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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071577
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201M
H01G4/30 201N
H01G4/30 201G
H01G4/30 515
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057618
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0154819
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ジン ウク
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、ヒェ スン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、セオン エー
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジ ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】リー、キ ヨン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE00
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性を向上させるキャパシタ部品を提供する。
【解決手段】キャパシタ部品は、誘電体層111と、第1内部電極層121及び第2内部電極層122を含む本体と、本体に配置され、第1内部電極層及び第2内部電極層と連結された外部電極と、を含む。本体は、誘電体層を間に挟んで第1内部電極層及び第2内部電極層が互いに交互に配置された活性部110Aと、活性部の上部及び下部に形成されたカバー部110Cと、活性部の互いに相対する両側端部に配置されたサイドマージン部110Mと、を有する。活性部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をA1、カバー部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をC1、サイドマージン部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をM1とするとき、0<A1<M1≦C1及びA1/C1≦0.60を満たす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と、第1及び第2内部電極層を含む本体と、
前記本体に配置され、前記第1及び第2内部電極層と連結された外部電極と、を含み、
前記本体は、
前記誘電体層を間に挟んで前記第1及び第2内部電極層が互いに交互に配置された活性部と、前記活性部の上部及び下部に形成されたカバー部と、前記活性部の互いに相対する両側端部に配置されたサイドマージン部と、を有し、
前記活性部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をA1、前記カバー部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をC1、及び前記サイドマージン部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をM1とするとき、0<A1<M1≦C1、及びA1/C1≦0.60を満たす、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記誘電体層の平均厚さは400nm以下である、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記誘電体層は、厚さの相対標準偏差が20%以下である、請求項1または2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記第1内部電極層の平均厚さは400nm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記第1内部電極層は、厚さの相対標準偏差が20%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記活性部の空隙率は0.01%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記活性部の空隙率をA2、前記カバー部の空隙率をC2、及び前記サイドマージン部の空隙率をM2とするとき、A2/C2≧0.003、及びM2/C2≧0.24を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記外部電極は、
前記本体に配置された第1電極層、及び前記第1電極層に配置された第2電極層を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
前記第2電極層は、ニッケル(Ni)及び錫(Sn)のうち少なくとも一つを含む、請求項8に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
誘電体層と、第1及び第2内部電極層を含む本体と、
前記本体に配置され、前記第1及び第2内部電極層と連結された外部電極と、を含み、
前記本体は、
前記誘電体層を間に挟んで前記第1及び第2内部電極層が互いに交互に配置された活性部と、前記活性部の上部及び下部に形成されたカバー部と、前記活性部の互いに相対する両側端部に配置されたサイドマージン部と、を有し、
前記活性部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をA1、前記カバー部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をC1、及び前記サイドマージン部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をM1とするとき、0<A1<M1≦C1を満たし、
前記活性部の空隙率は0.01%以下である、キャパシタ部品。
【請求項11】
前記活性部の空隙率をA2、前記カバー部の空隙率をC2、及び前記サイドマージン部の空隙率をM2とするとき、A2/C2≧0.003、及びM2/C2≧0.24を満たす、請求項10に記載のキャパシタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つであるMLCCは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、通信、コンピュータ、家電、自動車などの産業に使用される重要なチップ部品であり、特に、携帯電話、コンピュータ、デジタルTVなど、各種電気、電子、情報通信機器に使用される核心受動素子である。
【0003】
MLCCの高性能化への要求に伴って誘電体層はますます薄くなっている。しかし、誘電体層が薄くなる場合、容量を向上させることはできるが、例として、カバー部及びマージン部の厚さも薄くなって耐湿信頼性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2021-0071496号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの目的の一つは、信頼性を向上させることができるキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、誘電体層と、第1及び第2内部電極層を含む本体と、上記本体に配置され、上記第1及び第2内部電極層と連結された外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層を間に挟んで上記第1及び第2内部電極層が互いに交互に配置された活性部と、上記活性部の上部及び下部に形成されたカバー部と、上記活性部の互いに相対する両側端部に配置されたサイドマージン部と、を有し、上記活性部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をA1、上記カバー部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をC1、及び上記サイドマージン部に含まれたマグネシウム(Mg)の含量をM1とするとき、0<A1<M1≦C1、及びA1/C1≦0.60を満たすキャパシタ部品を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によると、キャパシタ部品の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面を概略的に示す図である。
図3図1のII-II'線に沿った断面を概略的に示す図である。
図4】誘電体層及び内部電極層のそれぞれの厚さ測定のために、図1のII-II'線に沿った断面に示された活性部を9つの領域に分割したことを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張することがある。また、各の実施形態の図面における同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については同一の参照符号を用いて説明する。
【0010】
なお、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書全体において、「上に」形成されるというのは、直接的に接触して形成されることを意味するだけでなく、その中に他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味することができるものとして文脈に応じて適切に解釈されるべきである。
【0011】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す図であり、図2図1のI-I'線に沿った断面を概略的に示す図であり、図3図1のII-II'線に沿った断面を概略的に示す図である。図1図3を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、本体110と、第1及び第2外部電極130、140とを含む。
【0013】
本発明の一実施形態において、本体110は形状における特別な限定はないが、実質的に六面体形状であってよい。すなわち、本体110は、内部電極層121、122の配置による厚さの差及び角部の研磨によって、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体に近い形状を有することができる。
【0014】
本発明の実施形態を明確に説明するために、六面体の方向を定義すると、図面上に示されているL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層された積層方向と同じ概念で使用することができる。
【0015】
また、本体110において、T方向に互いに対向する両面を第1及び第2面1、2と定義し、第1及び第2面1、2と連結され、L方向に互いに対向する両面を第3及び第4面3、4と定義し、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、W方向に互いに対向する両面を第5及び第6面5、6と定義する。このとき、第1面1は実装面となることができる。
【0016】
本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性部110A、活性部110Aの上下部にそれぞれ形成されるカバー部110C、及び活性部110Aの幅方向に相対する両側端部に配置されたサイドマージン部110Mを含むことができる。
【0017】
活性部110Aは、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極層121、122が交互に積層される構造からなることができる。
【0018】
誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系粉末を用いて形成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。ここで、例として、チタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末を用いて誘電体層111が形成されるとは、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を主成分として、主成分に副成分の粉末を追加したものを用いたことを意味することができる。副成分は、チタン酸バリウム(BaTiO3)のペロブスカイト構造(ABO3)において、バリウム(Ba)及び/又はチタン(Ti)の格子位置、すなわち、A-site及び/又はB-siteを置換(substitute)又は侵入(interstitial)することができる元素のカチオンを含む化合物(酸化物及び窒化物などを意味する)を含むことができる。一方、後述するように、誘電体層111はマグネシウム(Mg)を含む。
【0019】
第1及び第2内部電極層121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに相対するように配置されることができる。第1及び第2内部電極層121、122は、誘電体層111を形成するための誘電体グリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して誘電体グリーンシートを間に挟んで誘電体グリーンシートの積層方向に沿って積層された後、このような積層体を焼結することにより形成することができる。第1及び第2内部電極層121、122は、積層体が焼結して形成された本体110の第3及び第4面3、4を介して交互に露出するように形成されることができ、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0020】
このような第1及び第2内部電極層121、122は、本体110の第3及び第4面3、4を介して交互に露出する部分によって第1及び第2外部電極130、140とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0021】
したがって、第1及び第2外部電極130、140に電圧を印加すると、互いに対向する第1及び第2内部電極層121、122の間に電荷が蓄積され、このとき、キャパシタ部品100の静電容量は、第1及び第2内部電極層121、122の互いに重なる領域の面積に比例する。
【0022】
誘電体層111及び内部電極層121、122のそれぞれの平均厚さは400nm以下であってよい。誘電体層111及び内部電極層121、122のそれぞれの平均厚さが400nm以下に形成されるため、本実施形態によるキャパシタ部品1を薄型化するのに有利である。ここで、誘電体層111の平均厚さとは、L方向の中央部からとった本体100のWT断面に現れた活性部110Aを図4に示すように9つの領域に分割し、当該領域のそれぞれに対する光学顕微鏡画像又はSEM画像を用いて誘電体層111のT方向に沿った数値(dimension)を測定し、これらの値を算術平均したものであってよい。ここで、9つの領域は、図4に示すように、幅方向W及び厚さ方向Tに等間隔であってよいが、これに限定されるものではない。さらに、9つの領域のそれぞれは、図4に示すように、2つの内部電極層121、122と1つの誘電体層111とで構成される大きさであってよいが、これに限定されるものではない。他の例として、9つの領域のそれぞれは、8つの内部電極層121、122と7つの誘電体層111とで構成される大きさであってよい。内部電極層121、122の平均厚さも、前述した誘電体層111の平均厚さの測定方法と同様の方法で取得することができる。
【0023】
誘電体層111及び内部電極層121、122のそれぞれは、厚さの相対標準偏差が20%以下であってよい。誘電体層111及び内部電極層121、122のそれぞれの厚さの相対標準偏差が20%以下に形成されると、内部電極層121、122の電極凝集現象が減少することができ、部品の特性が向上することができる。ここで、誘電体層111の厚さの相対標準偏差は、前述の方法で9つの領域のそれぞれについて誘電体層111のT方向に沿った数値(dimension)を取得し、これらを算術平均して平均厚さを取得し、上記数値の標準偏差を計算して、標準偏差を平均厚さで除し、これに100を乗じたものであってよい。内部電極層121、122の厚さの相対標準偏差も、前述した誘電体層111の厚さの相対標準偏差の計算方法と同様の方法で計算することができる。
【0024】
カバー部110Cは、内部電極層を含まないことを除いては、上記活性部110Aの誘電体層111と類似の材料で形成することができる。具体的に、カバー部110Cは、誘電体層111と異なる材料のセラミック誘電体粉末を用いて形成することができる。ここで、カバー部110Cが誘電体層111と異なる材料のセラミック誘電体粉末を用いて形成されるとは、カバー部110Cの形成のために用いられる誘電体粉末と、誘電体層111の形成のために用いられる誘電体粉末が、互いに同じ元素で構成されるが、これらの間の比が異なることを意味することもでき、前述した副成分の元素の種類が異なることを意味することもでき、前述した副成分の元素の含量が異なることを意味することもできる。一方、後述するように、カバー部110Cはマグネシウム(Mg)を含む。
【0025】
カバー部110Cは、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を上記活性部110Aの上下面にそれぞれT方向に積層して形成されたものと見なすことができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる第1及び第2内部電極層121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0026】
サイドマージン部110Mは、内部電極層を含まないことを除いては、上記活性部110Aの誘電体層111と類似の材料で形成することができる。具体的に、サイドマージン部110Mは、誘電体層111と異なる材料のセラミック誘電体粉末を用いて形成することができる。ここで、サイドマージン部110Mが誘電体層111と異なる材料のセラミック誘電体粉末を用いて形成されるとは、サイドマージン部110Mの形成のために用いられる誘電体粉末と、誘電体層111の形成のために用いられる誘電体粉末が、互いに同じ元素で構成されるが、これらの間の比が異なることを意味することもでき、前述した副成分の元素の種類が異なることを意味することもでき、前述した副成分の元素の含量が異なることを意味することもできる。一方、後述するように、サイドマージン部110Mはマグネシウム(Mg)を含む。
【0027】
サイドマージン部110Mは、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を上記活性部110Aの幅方向Wに相対する両側端面にそれぞれ幅方向Wに積層して形成されたものと見なすことができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる第1及び第2内部電極層121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0028】
活性部110Aに含まれたマグネシウム(Mg)の含量をA1、カバー部110Cに含まれたマグネシウム(Mg)の含量をC1、及びサイドマージン部110Mに含まれたマグネシウム(Mg)の含量をM1とするとき、0<A1<M1≦C1、及びA1/C1≦0.60を満たす。A1がM1又はC1より大きいか、又はA1/C1の比が0.60を超える場合は、耐湿信頼性が低下する可能性がある。
【0029】
活性部110Aに含まれたマグネシウムの含量A1は、キャパシタ部品1の長さ方向Lの中央からとった幅方向-厚さ方向の断面(WT断面)において、活性部110Aの誘電体層111の複数の地点に対してTEM-EDSマッピング(又はSEM-EDSマッピング)を行い、各地点別にマグネシウム(Mg)の含量を取得し、これを算術平均して導出することができる。ここで、複数の地点は、少なくとも3以上の地点を意味することができ、互いに等間隔に離隔することができるが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。カバー部110Cに含まれたマグネシウム(Mg)の含量C1、及びサイドマージン部110Mに含まれたマグネシウム(Mg)の含量M1のそれぞれも、前述したA1の測定方法と同様の方法で測定することができる。
【0030】
活性部110Aの空隙率をA2、カバー部110Cの空隙率をC2、及びサイドマージン部110Mの空隙率をM2とするとき、A2は0.01%以下であってよい。そして、A2/C2≧0.003、及びM2/C2≧0.24を満たすことができる。A2が0.01%を超える場合は、耐湿信頼性が低下する可能性がある。A2/C2の比が0.003を超える場合やM2/C2の比が0.24未満の場合にも耐湿信頼性が低下する可能性がある。
【0031】
活性部110Aの空隙率であるA2は、キャパシタ部品1の長さ方向Lの中央からとった幅方向-厚さ方向の断面(WT断面)において、活性部110Aの誘電体層111の複数の領域について、各領域別に空隙(pore)の面積を計算して取得することができる。当該領域において空隙及び非空隙別面積は、例として、上記断面に対する光学顕微鏡画像又はSEM画像を取得した後、OBJECT AREA TOOLを用いて当該画像から空隙及び非空隙を区別して取得することができる。そして、空隙率A2は、上記領域の総面積に対する空隙の総面積の比で取得することができる。ここで、複数の領域を互いに等間隔に離隔することができ、互いに同じ面積を有するように選択することができるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。カバー部110Cの空隙率C2、及びサイドマージン部110Mの空隙率M2のそれぞれも前述したA2の測定方法と同様の方法で測定することができる。
【0032】
下記の表1は、活性部110Aの形成のために誘電体組成物に含まれたマグネシウム(Mg)の含量(mol)、カバー部110Cの形成のために誘電体組成物に含まれたマグネシウム(Mg)の含量(mol)、及びサイドマージン部110Mの形成のために誘電体組成物に含まれたマグネシウム(Mg)の含量(mol)を変化させた場合の、焼結後の製品における活性部110Aに含まれたマグネシウムの含量A1(wt%)、カバー部110Cに含まれたマグネシウム(Mg)の含量C1(wt%)、及びサイドマージン部110Mに含まれたマグネシウム(Mg)の含量M1(wt%)の変化を示す。また、焼結後の製品における活性部110Aの空隙率A2(%)、カバー部110Cの空隙率C1(%)、及びサイドマージン部110Mの空隙率M2(%)の変化を示す。
【0033】
耐湿信頼性の評価8585は、各実験例当たり400個のサンプルについて、温度85℃、相対湿度85%、及び印加電圧6.3Vを実験条件にして、時間tによる絶縁抵抗IRの変化を測定して行われた。実験時間の間、絶縁抵抗が初期の絶縁抵抗に比べて2order以上(102以上)低下するサンプルを不良と判定し、各実験例別に不良サンプルの個数を数えて表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1を参照すると、実験例1の場合、カバー部110Cの空隙率C2が6.6%、サイドマージン部110Mの空隙率M2が1.1%、活性部110Aの空隙率A2が0.01%であることが分かる。実験例1の場合、Al/C1が0.70であって0.60を超え、A2/C2が0.0015であって0.003未満の値を有する。また、M2/C2が0.17であって0.24未満の値を有する。その結果、耐湿信頼性の評価で不良が発生することが分かる。
【0036】
実験例2の場合、カバー部110Cの空隙率C2が3.8%、サイドマージン部110Mの空隙率M2が0.7%、活性部110Aの空隙率A2が0.01%であることが分かる。実験例2の場合、Al/C1が0.70であって0.60を超え、A2/C2が0.0026であって0.003未満の値を有する。また、M2/C2は0.18であって0.24未満の値を有する。その結果、耐湿信頼性の評価で不良が発生することが分かる。
【0037】
実験例3の場合、カバー部110Cの空隙率C2が3.3%、サイドマージン部110Mの空隙率M2が0.8%、活性部110Aの空隙率A2が0.01%であることが分かる。実験例3の場合、Al/C1が0.60、A2/C2が0.0030、M2/C2が0.24である。その結果、耐湿信頼性の評価で不良が発生しないことが分かる。
【0038】
実験例4の場合、カバー部110Cの空隙率C2が0.95%、サイドマージン部110Mの空隙率M2が0.9%、活性部110Aの空隙率A2が0.01%であることが分かる。実験例4の場合、Al/C1が0.60、A2/C2が0.0105、0.003以上であり、M2/C2が0.95であって0.24以上である。その結果、耐湿信頼性の評価で不良が発生しないことが分かる。
【0039】
外部電極130、140は本体100の第3及び第4面3、4に配置されて、内部電極層121、122と連結される。具体的に、第1外部電極130は本体110の第3面3に配置されて本体110の第3面3に露出した第1内部電極層121と連結される。第2外部電極140は本体110の第4面4に配置されて本体110の第4面4に露出した第2内部電極層122と連結される。第1及び第2外部電極130、140は、第1電極層131、141、及び第1電極層131、141上に配置される第2電極層132、142をそれぞれ含むことができる。一方、第1及び第2外部電極130、140は、内部電極層121、122との連結関係、及び本体110に形成された位置のみが異なる。したがって、以下では、説明の便宜上、本体110の第3面3に配置された第1外部電極130を中心に説明し、第2外部電極140に対する説明は省略する。第1外部電極130に対する後述の説明は、第2外部電極140にも同様に適用することができる。
【0040】
第1電極層131は、本体110の第3面3を介して露出した第1内部電極層121とそれぞれ接触して直接的に連結されることにより、第1外部電極130と第1内部電極層121間の電気的導通を確保する。第1電極層131は、例として、銅(Cu)及び銀(Ag)のうち少なくとも一つを含む導電性粉末を含む導電性ペーストを塗布した後、これを硬化又は焼成したものであってよい。他の例として、第1電極層131は、銅(Cu)めっき層であってよい。
【0041】
第2電極層132は第1電極層131に配置される。限定されない例として、第2電極層132は、電解めっきで形成されためっき層であってよい。第2電極層132は、例えば、ニッケルめっき層と錫めっき層とが順に積層された構造であってよい。
【0042】
第1外部電極130は、本体の第3面3に形成される接続部と、上記接続部において本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6のそれぞれの少なくとも一部まで延びるバンド部を含むことができる。ただし、本実施形態の範囲が上記の説明に限定されるものではなく、第1外部電極130は、例として、L型、C型などに様々に変形することができる。
【0043】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的事項から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは当該技術分野における通常の知識を有する者には自明である。
【符号の説明】
【0044】
100:キャパシタ部品
110:本体
110A:活性部
110C:カバー部
110M:サイドマージン部
111:誘電体層
121、122:第1及び第2内部電極層
130、140:第1及び第2外部電極
131、141:第1電極層
132、142:第2電極層
100:キャパシタ部品
図1
図2
図3
図4