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特開2023-71601燃料利用率が改善された燃料電池システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071601
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】燃料利用率が改善された燃料電池システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20230516BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20230516BHJP
   H01M 8/0668 20160101ALI20230516BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20230516BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/0662
H01M8/0668
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022167769
(22)【出願日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】63/278,477
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/938,718
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエインガートナー,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ガスダ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マーティン
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127BA02
5H127BA03
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA28
5H127BA37
5H127BA44
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB24
5H127BB27
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃料電池システムに供給される入力燃料の水素含有量の実質的に全てと炭素含有量のほぼ全てを使用又は再捕捉する燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタックを含みアノード排気生成物を発生する少なくとも1つのホットボックス(100)と、少なくとも1つの水素ポンプ(408)と、ホットボックス(100)のアノード排気生成物出口を水素ポンプ(408)の入口に流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管(410)と、水素ポンプの圧縮水素生成物出口に接続された圧縮水素生成物導管(410)と、水素ポンプ(408)のポンピングされない流出物出口に接続された少なくとも1つの流出物導管(418)とを含む燃料電池システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックを含みアノード排気生成物を発生する少なくとも1つのホットボックス;
少なくとも1つの水素ポンプ;
前記ホットボックスのアノード排気生成物出口を前記少なくとも1つの水素ポンプの入口に流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管;
前記少なくとも1つの水素ポンプの圧縮水素生成物出口に接続された圧縮水素生成物導管;及び
前記少なくとも1つの水素ポンプのポンピングされない流出物出口に接続された少なくとも1つの流出物導管を備える燃料電池システム。
【請求項2】
それぞれが燃料電池スタックを含みアノード排気生成物を発生する複数のホットボックスと、前記複数のホットボックスのそれぞれのアノード排気生成物出口をマニホールドに流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管と、前記マニホールドの出口を前記少なくとも1つの水素ポンプの前記入口に流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管とをさらに備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記複数のホットボックスの各ホットボックスが、少なくとも1つの生成物導管によって前記マニホールドに流体的に接続された第1のアノード排気出口と、少なくとも1つの生成物導管によって前記マニホールドに流体的に接続された第2のアノード排気出口とを含む、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記ホットボックスのそれぞれから前記第1のアノード排気出口を通って排出される前記アノード排気生成物は、それぞれの前記ホットボックスのアノード排気冷却器を通過したアノード排気を含み、
前記ホットボックスのそれぞれから前記第2のアノード排気出口を通って排出される前記アノード排気生成物は、それぞれの前記ホットボックスの前記アノード排気冷却器を迂回するアノード排気を含む、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの水素ポンプの前記ポンピングされない流出物出口からのポンピングされない流出物生成物を圧縮するように構成される前記少なくとも1つの流出物導管に流体的に接続されたブロワをさらに備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
少なくとも1つの流出物導管によって前記ブロワの出口に流体的に接続された酸化反応器をさらに備え、
前記酸化反応器は、前記ブロワによって圧縮される前記ポンピングされない流出物生成物から残留H及びCO含有量を低減又は排除するように構成される、請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
少なくとも1つの流出物導管によって前記酸化反応器の出口に流体的に接続された二酸化炭素処理装置をさらに備え、
前記二酸化炭素処理装置は、前記ポンピングされない流出物生成物を精製された又は純粋なCO生成物に変換するように構成される、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの水素ポンプは、99体積パーセントを超える水素を含む圧縮水素生成物を生成する電気化学式水素ポンプを含む、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記圧縮水素生成物導管は、前記燃料電池システムによる使用のために前記圧縮水素生成物の少なくとも一部を再循環させるように構成された少なくとも1つの水素リサイクル導管に流体的に接続される、請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記圧縮水素生成物導管は、前記燃料電池システムのホットボックスのアノードリサイクルループに流体的に接続される少なくとも1つの水素リサイクル導管に流体的に接続される、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記圧縮水素生成物導管は、前記燃料電池システムのホットボックスのアノードテールガス酸化器に流体的に接続される少なくとも1つの水素リサイクル導管に流体的に接続される、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記圧縮水素生成物導管は、前記燃料電池システムの燃料源及び前記燃料電池システムの1つ又は複数のホットボックスへの燃料吸入導管のうちの少なくとも1つに流体的に接続される少なくとも1つの水素リサイクル導管に流体的に接続される、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの水素リサイクル導管は、前記燃料電池システムによる使用のために前記圧縮水素生成物の第1の部分を再循環させるように構成され、前記圧縮水素生成物導管は、前記圧縮水素生成物の第2の部分を1つ又は複数の水素貯蔵容器に供給するように構成された少なくとも1つの水素貯蔵導管に流体的に接続される、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
水性ガスシフト反応器と、凝縮器とをさらに備え、
少なくとも1つの生成物導管が、前記マニホールドの出口を前記水性ガスシフト反応器の入口に流体的に接続し、
少なくとも1つの生成物導管が、前記水性ガスシフト反応器の出口を前記凝縮器の入口に流体的に接続し、
少なくとも1つの生成物導管が、前記凝縮器の出口を前記少なくとも1つの水素ポンプの前記入口に流体的に接続する、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの水素ポンプは、より低い圧力の水素ポンプと、より高い圧力の水素ポンプとを備え、
少なくとも1つの生成物導管が、前記アノード排気生成物の第1の部分を受け入れるために前記より低い圧力の水素ポンプの入口に流体的に接続され、
前記より低い圧力の水素ポンプによって発生された圧縮水素生成物が、前記燃料電池システムでの使用のために再循環され、
少なくとも1つの生成物導管が、前記アノード排気生成物の第2の部分を受け入れるために前記より高い圧力の水素ポンプの入口に流体的に接続され、
前記より高い圧力の水素ポンプによって発生された圧縮水素生成物が、1つ又は複数の水素貯蔵容器に供給される、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
前記燃料電池システムは固体酸化物形燃料電池システムを含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプをさらに備え、
(a)前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの入口が、少なくとも1つのポンピングされない流出物導管によって前記少なくとも1つの水素ポンプの前記ポンピングされない流出物出口に流体的に接続され、圧縮二酸化炭素生成物導管が前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの圧縮二酸化炭素生成物出口に接続され、少なくとも1つのポンピングされない流出物リサイクル導管が、前記燃料電池システムでの使用のために前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプからのポンピングされない流出物を再循環させるために前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプのポンピングされない流出物出口に連結され、
又は、
(b)少なくとも1つの生成物導管が、前記ホットボックスの前記アノード排気生成物出口を前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの入口に流体的に接続し、圧縮二酸化炭素生成物導管が、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの圧縮二酸化炭素生成物出口に接続され、少なくとも1つのポンピングされない流出物リサイクル導管が、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプからのポンピングされない流出物を前記少なくとも1つの水素ポンプの前記入口に供給するために、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプのポンピングされない流出物出口に連結される、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
燃料電池スタックを含みアノード排気生成物を発生する少なくとも1つのホットボックス;
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ;
前記ホットボックスのアノード排気生成物出口を前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの入口に流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管;
前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの圧縮二酸化炭素生成物出口に接続された圧縮二酸化炭素生成物導管;及び
前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプのポンピングされない流出物出口に接続された少なくとも1つの流出物導管、を備える燃料電池システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプは、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプに供給される前記アノード排気生成物から二酸化炭素の少なくとも約70%を除去し、圧縮二酸化炭素生成物とポンピングされない流出物とを生成するように構成される電気化学式二酸化炭素ポンプを含む、請求項18に記載の燃料電池システム。
【請求項20】
前記燃料電池システムでの使用のために前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプからの前記ポンピングされない流出物を再循環させるように構成される前記少なくとも1つの流出物導管に流体的に接続された少なくとも1つのブロワをさらに備える、請求項19に記載の燃料電池システム。
【請求項21】
燃料電池システムを作動する方法であって、
前記燃料電池システムの少なくとも1つのホットボックスに燃料吸入流を供給するステップ;
前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスからのアノード排気生成物流を生成するステップ;
前記アノード排気生成物流を少なくとも1つの水素ポンプに供給するステップ;
前記少なくとも1つの水素ポンプにおいて圧縮水素生成物とポンピングされない流出物とを生成するステップ;及び
前記圧縮水素生成物の少なくとも一部を前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスへ再循環させるステップ、を含む方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの水素ポンプからの前記ポンピングされない流出物から、精製された又は純粋なCO生成物を発生するステップ;及び
前記圧縮水素生成物の一部を少なくとも1つの水素貯蔵容器に供給するステップ、のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
燃料電池システムを作動する方法であって、
前記燃料電池システムの少なくとも1つのホットボックスに燃料吸入流を供給するステップ;
前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスからのアノード排気生成物流を生成するステップ;
前記アノード排気生成物流を少なくとも1つの二酸化炭素ポンプに供給するステップ;
前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプにおいて圧縮二酸化炭素生成物とポンピングされない流出物とを生成するステップ;及び
前記二酸化炭素ポンプからの前記ポンピングされない流出物の少なくとも一部を、前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスへ再循環させるステップ、を含む方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプからの前記圧縮二酸化炭素生成物から、精製された又は純粋なCO生成物を発生するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、燃料電池システム及び燃料電池システムを作動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池等の燃料電池は、燃料に蓄えられたエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換できる電気化学装置である。高温型の燃料電池には、固体酸化物形燃料電池と溶融炭酸塩形燃料電池が含まれる。これらの燃料電池は、水素及び/又は炭化水素燃料を使用して動作することができる。燃料電池には、固体酸化物形再生燃料電池など、逆の動作も可能な部類があり、電気エネルギーを入力として使用して、酸化された燃料を還元して未酸化燃料に戻すことができる。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックを含みアノード排気生成物を発生する少なくとも1つのホットボックスと、少なくとも1つの水素ポンプと、前記ホットボックスのアノード排気生成物出口を前記少なくとも1つの水素ポンプの入口に流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管と、前記少なくとも1つの水素ポンプの圧縮水素生成物出口に接続された圧縮水素生成物導管と、前記少なくとも1つの水素ポンプのポンピングされない流出物出口(unpumped effluent outlet)に接続された少なくとも1つの流出物導管と、を含む。
【0004】
さらなる実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックを含みアノード排気生成物を発生する少なくとも1つのホットボックスと、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプと、前記ホットボックスのアノード排気生成物出口を前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの入口に流体的に接続する少なくとも1つの生成物導管と、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプの圧縮二酸化炭素生成物出口に接続された圧縮二酸化炭素生成物導管と、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプのポンピングされない流出物出口に接続された少なくとも1つの流出物導管と、を含む。
【0005】
さらなる実施形態は、燃料電池システムの少なくとも1つのホットボックスに燃料吸入流を供給するステップと、前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスからのアノード排気生成物流を生成するステップと、前記アノード排気生成物流を少なくとも1つの水素ポンプに供給するステップと、前記少なくとも1つの水素ポンプにおいて圧縮水素生成物とポンピングされない流出物(unpumped effluent)とを生成するステップと、前記圧縮水素生成物の少なくとも一部を前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスに再循環させるステップと、を含む燃料電池システムを作動する方法を含む。
【0006】
さらなる実施形態は、燃料電池システムの少なくとも1つのホットボックスに燃料吸入流を供給するステップと、前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスからのアノード排気生成物流を生成するステップと、前記アノード排気生成物流を少なくとも1つの二酸化炭素ポンプに供給するステップと、前記少なくとも1つの二酸化炭素ポンプにおいて圧縮二酸化炭素生成物とポンピングされない流出物とを生成するステップと、前記二酸化炭素ポンプからの前記ポンピングされない流出物の少なくとも一部を前記燃料電池システムの前記少なくとも1つのホットボックスに再循環させるステップと、を含む、燃料電池システムを作動する方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図は、本明細書に組み込まれ及び本明細書の一部を構成するものであるが、本開示の例示の実施形態を示し、上述の概括的な説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本開示の特徴を説明するのに役立つ。
【0008】
図1図1は、様々な実施形態による、固体酸化物形燃料電池システムのホットボックスの概略図である。
図2図2は、本開示の一実施形態による燃料電池システムの構成要素の概略ダイアグラムである。
図3図3は、本開示の別の実施形態による燃料電池システムの構成要素の概略ダイアグラムである。
図4図4は、本開示のさらに別の実施形態による燃料電池システムの構成要素の概略ダイアグラムである。
図5図5は、本開示のさらに別の実施形態による燃料電池システムの構成要素の概略ダイアグラムである。
図6図6は、本開示のさらに別の実施形態による燃料電池システムの構成要素の概略ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して、様々な実施形態を詳細に説明する。可能な限り、同じ又は同様の部分を参照するために図面全体を通して同じ参照番号を使用する。特定の実施例及び実施形態への言及は、例示を目的とするものであり、本発明の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0010】
図1は、本開示の様々な実施形態による、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム等の燃料電池システム10のホットボックス100の概略図である。ホットボックス100は、固体酸化物形燃料電池スタック(ここで、スタックの1つの固体酸化物形燃料電池は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)又はスカンジア安定化ジルコニア(SSZ)等のセラミック電解質と、ニッケル-YSZ又はNi-SSZサーメット等のアノード電極と、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)等のカソード電極とを含む)等の燃料電池スタック102を含むことができる。スタック102は、互いに重ねて配置して複数のカラムにすることができる。
【0011】
ホットボックス100は、また、アノード復熱装置110、カソード復熱装置120、アノードテールガス酸化器(ATO)130、アノード排気冷却器140、渦発生器550、及び、蒸気発生器160を含むことができる。燃料電池システム10は、燃料電池システム10の他の構成要素と同様に、システムブロワ208(例えば、空気ブロワ)、水源206、バルブ511及び/又は流体導管300D、302A、304C、306及び308G等の付加的な構成要素をさらに含んでもよく、これらはホットボックス102の外側又は一部外側に配置することができる。しかしながら、本開示は、ホットボックス102に対する各構成要素の位置を何らかの特定の位置に限定するものではない。
【0012】
燃料流は、燃料導管300Dを通ってホットボックス102に入りアノード復熱装置110へと流れる。燃料流は、天然ガス等の炭化水素燃料と、燃料電池システム10の再循環アノード排気と、任意選択で、以下でさらに詳細に述べる再循環水素生成物との混合物を含むことができる。燃料流は、アノード復熱装置110内で加熱され得、アノード復熱装置110から燃料導管300Eを通ってスタック102へと流れ得る。
【0013】
システムブロワ208は、空気流(例えば、空気吸入流)を空気導管302Aを通じてアノード排気冷却器140に供給するように構成され得る。空気は、アノード排気冷却器140から空気導管302Bを通ってカソード復熱装置へと流れる。空気は、カソード復熱装置120から空気導管302Cを通ってスタック102へと流れる。
【0014】
スタック102で生成されたアノード排気は、アノード排気導管308Aを通じてアノード復熱装置110に供給される。アノード排気は、未反応の燃料を含む可能性があり、本明細書では燃料排気と呼ぶこともある。アノード復熱装置110内に位置するアノード排気は、アノード復熱装置110を通ってスタック102に流れる、入ってくる燃料流に熱を伝達することができる。アノード排気は、アノード復熱装置110からアノード排気導管308Bに供給され得る。アノード排気は、アノード排気導管308Bを通ってアノード排気冷却器140に流れることができる。アノード排気冷却器140からのアノード排気は、アノード排気導管308Cによってホットボックス100を出ることができる。アノード排気導管308Cと流体連通するアノードリサイクルブロワ(図1には図示せず)は、以下でさらに詳細に説明するように、アノード排気をアノード排気導管308Cを通して移動させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、スプリッタ511が、アノード排気導管308Cからアノード排気導管308Dにアノード排気の一部を選択的に供給するように構成され得る。スプリッタ511は、例えば、コンピュータ制御もしくはオペレータ制御式バルブ、又は流体導管内に開口部もしくはスリットを含むパッシブスプリッタ(passive splitter)等の任意の他の適切な流体分割装置であってよい。アノード排気導管308Dは、SOFCシステム10の始動中又は他の過渡的な動作状態中などに、アノード排気冷却器140を出るアノード排気の一部をアノード排気導管308Dを通じてATO130へと選択的に方向を変える(redirect)ことができる。
【0015】
図1に示される実施形態では、ホットボックス100内のアノード排気のすべては、アノード排気導管308Cを通ってホットボックス100を出る前に、アノード排気冷却器140を通過する。以下でさらに詳細に説明する他の実施形態では、アノード排気の少なくとも一部が、アノード排気冷却器140を通過する前にホットボックス100を出ることができる。例えば、アノード排気流の一部は、アノード復熱装置110とアノード排気冷却器140との間に配置され得るアノード排気導管(図1には図示せず)を通じて、ホットボックス100を出ることができる。
【0016】
スタック102で生成されたカソード排気は、排気導管304Aを通ってATO130へと流れる。渦発生器550は、排気導管304A内に配置することができ、カソード排気を旋回させるように構成することができる。アノード排気導管308Dは、渦発生器550の下流側で、カソード排気導管304A又はATO130に流体的に接続され得る。旋回させたカソード排気は、ATO130に供給される前に、アノード排気導管308Dからのアノード排気と混合することができる。この混合物は、ATO130内で酸化されてATO排気を生成し得る。ATO排気は、ATO130から排気導管304Bを通ってカソード復熱装置120へと流れる。ATO排気は、カソード復熱装置から排気導管304Cを通ってホットボックス100の外へと流れ出る。
【0017】
水は、水タンク又は水道管などの水源206から、水導管306を通って蒸気発生器160に流れる。蒸気発生器160は、水を、アノード排気導管308B内に噴射する。アノード復熱装置110から排気導管308Bに供給されたアノード排気からの熱がこの水を気化させて蒸気を生成する。蒸気は、アノード排気と混ざって、アノード排気導管308Bからアノード排気冷却器140を通ってアノード排気導管308Cに流れ込む加湿されたアノード排気流を供給する。
【0018】
システム10は、システム10の様々な要素を制御するように構成されたシステムコントローラ225をさらに含むことができる。コントローラ225は、記憶された命令を実行するように構成された中央処理ユニットを含み得る。例えば、コントローラ225は、燃料組成データに従って、システム10を通る燃料及び/又は空気の流れを制御するように構成され得る。システム10はまた、1つ又は複数の燃料改質触媒112、114、及び116を含むことができる。
【0019】
動作中、スタック102は、供給された燃料及び空気を使用して発電し、アノード排気(すなわち、燃料排気)とカソード排気(すなわち、空気排気)を生成する。アノード排気は、水素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン等の未反応の炭化水素燃料、及びその他の反応副生成物や不純物を含む可能性がある。
【0020】
図2は、本開示の実施形態による燃料電池システム10の構成要素の概略図である。燃料電池システム10は、図1を参照して上述したホットボックス100などの、少なくとも1つのホットボックス100を含むことができる。例えば、燃料電池システム10は、n個のホットボックス100を含むことができ、ここでnは、2から10、例えば4から8など、1から100の間の整数である。図2に示した燃料電池システム10は、2つのホットボックス100を含むが、様々な実施形態による燃料電池システムは、より多い又はより少ない数のホットボックス100を含むことができる。
【0021】
図2は、本開示の一実施形態による燃料電池システム10全体にわたる燃料及びアノード排気の流れを概略的に示す。図2を参照すると、システム10は、燃料電池システム10に適切な燃料を供給することができる燃料源400に連結することができる。燃料源400は、システム10と同じ現場に配置することができる1つ又は複数の燃料貯蔵容器(例えば、燃料タンク又は同様の容器)を含むことができる。あるいは、燃料源400は、ガスユーティリティラインなどを通じて、離れた燃料源からシステム10に燃料を供給することができる。燃料源400から燃料電池システム10に供給される燃料は、メタン、水素及び他のガスと共にメタンを含む天然ガス、プロパン又は他のバイオガス、あるいは、一酸化炭素などの炭素燃料、メタノールなどの酸化(oxygenated)炭素含有ガス、又は、他の炭素含有ガスと、水蒸気、Hガス、もしくはそれらの混合物などの水素含有ガスとの混合物を含むがこれらに限定されない、任意の適切な炭化水素燃料を含むことができる。例えば、前記混合物は、石炭又は天然ガスの改質に由来する合成ガスを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、燃料源400からの燃料は、燃料電池システム10のホットボックス100に供給される前に、1つ又は複数の前処理工程を受けることができる。例えば、燃料源400に連結された燃料吸入導管300Aは、燃料流から硫黄及び/又は他の望ましくない不純物を除去するために、1つ又は複数の脱硫器などの1つ又は複数の前処理ユニット400に燃料を供給することができる。前処理された燃料は、次に、燃料導管308Bを通ってホットボックス100のそれぞれへと流れることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、各ホットボックス100は、接触部分酸化(CPOx)反応器200、混合器210、CPOxブロワ204(例えば、空気ブロワ)、及びアノードリサイクルブロワ212をさらに含むことができ、これらは、ホットボックス100の外側に配置することができる。しかしながら、本開示は、ホットボックス100に関する構成要素のそれぞれに対する特定の位置に限定されない。
【0024】
再び図2を参照すると、それぞれのホットボックス100に関連付けられた各CPOx反応器200は、燃料導管308Bを通じて吸入燃料流を受け入れることができる。CPOxブロワ204は、CPOx反応器204に空気を供給することができる。CPOx反応器200からの燃料及び/又は空気は、燃料導管300Cによって混合器210に供給することができる。混合器210は、燃料流をホットボックス100からの再循環アノード排気と混合するように構成することができる。新しい燃料と再循環アノード排気とのこの混合物は、その後、図1を参照して上述したように、燃料導管300Dを通じてホットボックス100に供給することができる。
【0025】
各ホットボックス100からのアノード排気(すなわち、燃料排気)は、図1を参照して上述したように、アノード排気導管308Cを通ってホットボックス100を出ることができる。スプリッタ511(図1参照)は、アノード排気導管308C内に位置するアノード排気の一部を、選択的に向きを変えて、アノード排気導管308Dを通じてホットボックス100に戻すことができる。先に述べたように、アノード排気導管308Dを通じて方向を変えられるアノード排気の一部は、始動時又は他の過度的な動作条件中にホットボックス100のATO130に供給され得る。
【0026】
図2に示される実施形態では、アノード排気導管308C内に位置する残りのアノード排気は、スプリッタ403に供給され得る。スプリッタ403は、例えば、コンピュータ制御もしくはオペレータ制御式バルブ、又は、流体導管内に開口部もしくはスリットを含むパッシブスプリッタ等の任意の他の適切な流体分割装置であってよい。アノード排気の第1の部分は、スプリッタ403からアノード排気導管308Eを通じてアノードリサイクルブロワ212に供給され得る。アノードリサイクルブロワ212は、任意の適切な流体(例えば、ガス)ブロワ、ポンプ、圧縮機などであってよい。アノード排気の第1の部分は、アノードリサイクルブロワ212からアノード排気導管308Fによって混合器210に供給され得る。上述のように、再循環アノード排気は、燃料導管300Dを通じてホットボックス100に再入する前に、混合器210内で新しい燃料と混合され得る。本明細書で使用されるように、アノード排気導管308Cを通じてホットボックス100を出て、アノードリサイクルブロワ212によって再循環されて混合器210内で新しい燃料と混合され、燃料導管300Dを通じてホットボックス100に再入する、アノード排気の一部は、「アノードリサイクル」と呼ぶことができ、ホットボックス100の出口にあるアノード排気導管308Cとホットボックス100の入口にある燃料導管300Dとの間のアノードリサイクルの流体経路は、「アノードリサイクルループ」と呼ぶことができる。
【0027】
アノード排気の第2の部分は、スプリッタ403からアノード排気導管308Gを通じてマニホールド104に供給することができる。マニホールド104は、システム10の複数のホットボックス100に(いくつかの実施形態でシステム10のホットボックス100のすべてに、を含む)、それぞれのアノード排気導管308Gによって接続することができる。あるいは、システム10は複数のマニホールド104を含むことができ、各マニホールド104はシステム10のホットボックス100のサブセットに接続することができる。様々な実施形態において、システム10の複数のホットボックス100からのアノード排気流は、マニホールド104内で結合され得る。
【0028】
再び図2を参照すると、いくつかの実施形態において、ホットボックス100のそれぞれが、マニホールド104と流体連通する任意選択の追加のアノード排気導管308Hを含むことができる。いくつかの実施形態では、任意選択の追加のアノード排気導管308Hは、ホットボックス100とマニホールド104との間にダイレクトな流体経路を提供できる。いくつかの実施形態では、任意選択のアノード排気導管308H内のアノード排気は、アノード排気冷却器104の上流側でホットボックス100を出ることができる(図1参照)。例えば、ホットボックス100は、図1に示されるホットボックス100内のアノード復熱装置110とアノード排気冷却器140との間に位置するアノード流体導管308B内のスプリッタ(例えば、バルブ、パッシブスプリッタなど)を含むことができる。スプリッタは、アノード排気流の一部をアノード排気導管308Bから任意選択のアノード排気導管308Hに転向させて、アノード排気流のこの部分が図2に示されるマニホールド104に直接供給され得るようにすることができる。アノード排気流の残りの部分は、上述のように、アノード排気冷却器140を通って、アノード排気導管308Cに進むことができる。
【0029】
したがって、いくつかの実施形態では、マニホールド104に供給されるアノード排気は、アノード排気冷却器140の出口でホットボックス100を出て、アノード排気導管308C、スプリッタ511及び/又は403、及びアノード排気導管308Gを通ってマニホールド104へ流れるアノード排気の第1の成分と、アノード排気冷却器140の上流側でホットボックス100を出て、アノード排気導管308Hを通ってマニホールド104へ流れるアノード排気の第2の成分とを含むことができる。したがって、アノード排気の第2の成分は、アノード排気冷却器140を迂回することができ、したがって、アノード排気冷却器140を通って流れるアノード排気の第1の成分よりも高い温度を有することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、マニホールド104に受け入れられるアノード排気の混合は変えることができ、一定時間中は、1つ又は複数のホットボックス100からマニホールド104に供給される、アノード排気のより大きな部分(アノード排気のすべてを含む)が、アノード排気導管308Gを通じて供給されるアノード排気の第1の成分(すなわち、ホットボックス100のアノード排気冷却器140を通過したアノード排気)であり、他の時間は、1つ又は複数のホットボックス100からマニホールド104に供給される、アノード排気のより大きな部分(アノード排気のすべてを含む)が、アノード排気導管308Hを通じて供給されるアノード排気の第2の成分(すなわち、ホットボックス100のアノード排気冷却器140を迂回したアノード排気)であってよい。図1を参照して上述したシステムコントローラ225は、ホットボックス100のそれぞれからマニホールド104に供給されるアノード排気の第1の成分と第2の成分との混合を制御するために使用され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、アノード排気導管308Gを通じてマニホールド104に供給されるアノード排気の第1の成分(すなわち、ホットボックス100のアノード排気冷却器140を通過したアノード排気)は、約100℃と180℃との間の温度を有し、アノード排気導管308Hを通じてマニホールド104に供給されるアノード排気の第2の成分(すなわち、ホットボックス100のアノード排気冷却器140を迂回するアノード排気)は、約300℃と500℃との間の温度を有し得る。
【0032】
したがって、ホットボックス100のアノード排気冷却器140を通過する、より低い温度のアノード排気の第1の成分と、アノード排気冷却器140を迂回する、より高い温度のアノード排気の第2の成分との混合物を含むアノード排気流を供給することによって、マニホールド104内のアノード排気の温度を制御可能に変更することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド104内のアノード排気の温度は、以下でさらに詳細に説明するように、後続のH回収プロセス及び/又は二酸化炭素分離プロセスに必要とされるよりも多くの熱を含むように制御され得る。過剰な熱を含むアノード排気流を供給することは、1つ又は複数のその後のプロセスのために必要とされるアノード排気の冷却が、これらの同じプロセスのためにアノード排気を加熱するために必要とされるよりも少ない寄生電力(parasitic power)を消費し得るという利点を提供し得る。
【0033】
再び図2を参照すると、複数のホットボックス100からの結合されたアノード排気流は、マニホールド104からアノード排気導管308Iを通じてアノード排気調整ユニット404に供給され得る。アノード排気調整ユニット404は、アノード排気流の温度を変更して、アノード排気流を、アノード排気調整ユニット404の下流側に位置する水性ガスシフト(WGS)反応器405への導入に適したものにするように構成することができる。アノード排気調整ユニット404は、1つ又は複数の熱交換器及び/又は凝縮器などの1つ又は複数の伝熱装置を含むことができる。他の適切な伝熱装置は、本開示の予期される範囲内にある。いくつかの実施形態では、アノード排気流の温度がWGS反応器の動作温度範囲よりも高い場合、アノード排気調整ユニット404を通って流れるアノード排気流の温度を低下させるために、1つ又は複数の伝熱装置を、冷却水及び/又は空気などの冷却媒体によって冷却することができる。他の実施形態では、アノード排気流の温度がWGS反応器405の動作温度範囲よりも低い場合、アノード排気調整ユニット404を通って流れるアノード排気流の温度を上昇させるために、1つ又は複数の伝熱装置は、アノード排気流に熱を伝達することができる。アノード排気流への熱伝達は、アノード排気流より高い温度の流体媒体(例えば、燃焼ガス)と熱交換することによって、又は、電気ヒーターなどの加熱器を使用してアノード排気流を直接加熱することによって達成することができる。様々な実施形態において、アノード排気調整ユニット404を出るアノード排気の温度は、約150℃と300℃との間、例えば約200℃と250℃との間であり得る。
【0034】
再び図2を参照すると、アノード排気流は、アノード排気調整ユニット404からアノード排気導管308Jを通じてWGS反応器405に供給され得る。WGS反応器405は、水性ガスシフト反応を使用して、アノード排気中のCO及びHOをCO及びHに変換するように構成することができる。様々な実施形態において、WGS反応器405は、低温WGS反応器405であってよく、約200℃~250℃の間の公称動作温度を有してよい。水性ガスシフト反応の後で、アノード排気流は、主にHO、CO及びHを含み、少量のCO、N2及び他の不純物を含み得る。
【0035】
次いで、アノード排気流は、アノード排気導管308Kを通じてWGS反応器405から凝縮器406に供給され得る。凝縮器406は、冷却水及び/又は空気などの冷却媒体によって冷却されて、水蒸気を液体水に凝縮し、アノード排気流の温度を100℃未満、例えば50℃と80℃との間の温度(例えば、~70℃)まで下げることができる。液体水は、水排出導管407を通じて凝縮器406から除去することができ、導管407内の液体水は任意選択で精製及び/又は再利用することができる。様々な実施形態において、ウォーターノックアウトを、凝縮器406の設計に組み込むか、又は凝縮器406の下流側に別個の構成要素として含めることができる。部分的に脱水されたアノード排気流は、凝縮器406からアノード排気導管308Lを通じて少なくとも1つの水素ポンプ408に供給することができる。
【0036】
様々な実施形態において、少なくとも1つの水素ポンプ408に供給される部分的に水素化されたアノード排気流は、少なくとも約40%モル分率のHO、例えば50~60%(例えば、~56%)モル分率のHO、少なくとも約20%モル分率のCO、例えば25~35%(例えば、~29%)モル分率のCO、少なくとも約10%モル分率のH、例えば10~20%(例えば、~14%)モル分率のH、1%モル分率未満のCO、及び、1%モル分率未満のN2を含むことができる。少なくとも1つの水素ポンプ408のCOに対する耐性に応じて、いくつかの実施形態では、アノード排気流中のCOのモル分率は、0.5%から1%の間であり得る。これにより、WGS反応器405の相対的に高温での動作が可能になり、WGS反応器405の動作のより大きな熱ウィンドウが可能になり得る。
【0037】
少なくとも1つの水素ポンプ408は、1つ又は複数の電気化学式水素ポンプを含むことができる。少なくとも1つの電気化学式水素ポンプ408は、水素ポンプと、高分子膜全体に電流又は電圧を印加すると高分子膜を通して純粋な水素を電気化学的にポンピングする(pump)セパレータとを含むことができる。様々な実施形態では、少なくとも1つの電気化学式水素ポンプ408は、「HRENEW(登録商標)」の名称でSkyre,Inc.から入手可能であり、及び/又は米国特許第10,756,361号及び/又は第10,648,089号に記載されている高圧水素分離及び圧縮システムを含むことができる。少なくとも1つの水素ポンプ408は、直列及び/又は並列に接続された複数のポンプ(例えば、複数の分離膜スタック)を含み、水素のより高い全体回収率及び/又はより高いスループットを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水素ポンプ408は、少なくとも1つの水素ポンプ408に供給される脱水されたアノード排気流中の少なくとも約0.5%モル分率のCO(約1%モル分率までのCO、を含む)に耐えることができる。
【0038】
一実施形態では、少なくとも1つの水素ポンプ408は、脱水されたアノード排気流中の水素の80%超えを回収し、圧縮水素生成物導管410を通じて99%を超える純粋な圧縮水素生成物を排出することができる。例えば、圧縮水素生成物は、15psig~2,000psig、例えば15psig~150psigなど、1psig~10,000psigの圧力に加圧され得る、少なくとも99.99%の純粋な(すなわち乾燥した)水素であり得る。様々な実施形態において、少なくとも1つの水素ポンプ408によって発生される圧縮水素生成物は、追加の機械的圧縮又は乾燥なしで、使用又は貯蔵するのに適し得る。
【0039】
再び図2を参照すると、圧縮水素生成物導管410内の圧縮水素生成物は、スプリッタ411に供給され得る。スプリッタ411は、例えば、コンピュータ制御もしくはオペレータ制御式バルブ、又は、流体導管内の開口部もしくはスリットを含むパッシブスプリッタ等の任意の他の適切な流体分割装置であってよい。圧縮水素生成物の第1の部分は、燃料電池システム10でさらに使用するために、スプリッタ403から水素リサイクル導管412Aに供給され得る。圧縮水素生成物の第2の部分は、スプリッタ403から、圧縮水素生成物の貯蔵及び/又は配分もしくは販売のために水素貯蔵導管413へと供給され得る。いくつかの実施形態では、水素貯蔵導管413は、水素貯蔵導管413に接続された1つ又は複数の水素貯蔵容器414に圧縮水素生成物を直接供給することができる。あるいは、1つ又は複数の圧縮機(図2には図示せず)が水素貯蔵導管に連結され、圧縮水素生成物を、1つ又は複数の水素貯蔵容器414内での貯蔵に適した圧力までさらに圧縮するように構成され得る。
【0040】
様々な実施形態では、水素リサイクル導管412Aを使用して、燃料電池システム10内の1つ又は複数の場所に圧縮水素生成物を供給することができる。いくつかの実施形態では、水素リサイクル導管412Aは、圧縮水素生成物の少なくとも一部を燃料源400に供給することができ、これは、例えば、天然ガス供給源であってよい。
【0041】
代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、圧縮水素生成物の少なくとも一部を、燃料電池システム10の吸入燃料流に供給することができる。いくつかの実施形態では、圧縮水素生成物は、燃料電池システム10の1つ又は複数の前処理ユニット400(例えば、脱硫器)の下流側の吸入燃料に供給されてもよい。図2に示される一実施形態において、スプリッタ415は、圧縮水素生成物の少なくとも一部を水素リサイクル導管412Aから水素リサイクル導管412Bに向けることができ、水素リサイクル導管412Bは、圧縮水素生成物の少なくとも一部を燃料吸入導管300Aに供給することができる。
【0042】
代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、圧縮水素生成物の少なくとも一部を、ホットボックス100の1つ又は複数のアノードリサイクルループに供給することができる。様々な実施形態では、圧縮水素生成物を燃料電池システム10のホットボックス100のすべてのアノードリサイクルループに供給することができる。図2に示される一実施形態において、1つ又は複数のスプリッタ416は、圧縮水素生成物の少なくとも一部を水素リサイクル導管412Aから1つ又は複数の水素リサイクル導管412Cに向けることができる。アノードリサイクル導管412Cの各々は、それぞれのホットボックス100のアノードリサイクルループに流体的に接続することができる。ホットボックス100のアノードリサイクルループに供給される圧縮水素生成物は、アノードリサイクルループ内のアノードリサイクル燃料と新しい燃料の両方と混ざって、燃料導管300Dを通じてホットボックス100に入ることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、圧縮水素生成物の少なくとも一部はまた、燃料電池システム10の1つ又は複数のホットボックス100のATO130に供給され得る。実施形態では、圧縮水素生成物は、ホットボックス100の始動中又は他の過度的な状態中にATO130に供給され得、ホットボックス100の熱管理のために使用することができる。図2に示される実施形態において、1つ又は複数の水素リサイクル導管412Dは、圧縮水素生成物の一部を1つ又は複数のそれぞれのホットボックス100のATO130に選択的に方向を変えることができる。いくつかの実施形態では、水素リサイクル導管412Dは、圧縮水素生成物をそれぞれのATO130に向けるためのアノード排気導管308Dに流体的に連結することができる。水素をATO130に供給することによって、ホットボックス100の温度は、ほぼ一定の温度、又は実行可能である限り(as is feasible or practical)一定に近い温度に維持される。他の変化(例えば、周囲温度の変化、意図的な空気流の変化など)を考えると、ATO130への供給流の予め定められた流量制御はない。いくつかの構成では、比例ソレノイドバルブを使用して流量を+/-3~5%に制御することができる。他の構成では、流量をさらに制御できるが(例えば、+/-0.5%)、このような他の構成は高価である。
【0044】
実施形態では、圧縮水素生成物は、追加の処理又は調整を必要とせずに、燃料電池システム10にて使用するために再利用できるほど十分に純粋(すなわち、乾燥)であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、乾燥圧縮水素生成物は、水の凝縮を避けるために圧縮水素生成物を運ぶ導管412A、412B、412C、412Dをトレースし、断熱する必要なく、燃料電池システム10の様々な構成要素/位置に供給することができる。乾燥圧縮水素生成物はまた、脱硫タンクなど、燃料電池システム10の望ましくない場所で凝縮を生じる恐れがない。
【0045】
圧縮水素生成物が燃料電池システム10又はその構成要素で使用するのに十分に乾燥していない場合、燃料電池システム10で圧縮水素生成物が使用される前に、圧縮水素生成物の含水量をさらに減少させるために、冷却凝縮器を任意選択で使用することができる。
【0046】
さまざまな実施形態では、システムコントローラ225(図1を参照)は、燃料電池システム10内のさまざまな位置及び/又は1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給される圧縮水素生成物の量を制御することができる。1つの非限定的な実施例において、燃料電池システム10の定常状態動作中に、圧縮水素生成物の全部又はほぼ全部を燃料電池システム10のホットボックス100に供給することができる。燃料電池システム10の動作に必要とされない過剰な圧縮水素生成物は、1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給され得る。圧縮水素生成物の大部分を燃料電池システム10に再循環させることの利点は、燃料としてより多くの水素生成物が再循環されるにつれて、燃料電池システム10の正確で高い燃料利用率目標を満たすことの必要性を減らすことができる点である。相対的に多量の再循環水素生成物を供給することにより、パスあたりの利用率がより低くても、燃料電池システム10の全体的な燃料利用率を高く維持することができる。さらに、燃料電池システム10の燃料利用率を希望通り下げることによって、1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給される水素生成物の量を増やすことができる。
【0047】
再び図2を参照すると、少なくとも1つの水素ポンプ408からのポンピングされない流出物は、主に水(例えば、水蒸気及び/又は液体水)及び二酸化炭素を含み得る。ポンピングされない流出物は、アノード排気から分離されなかった少量の(small)水素、並びに少量の(smaller)一酸化炭素、窒素、及びその他の不純物も含み得る。例えば、ポンピングされない流出物は、0~5%モル分率のH等の10%モル分率未満のH、0~1%モル分率のCO、及び0~1%モル分率の窒素を含み得る。液体水は、少なくとも1つの水素ポンプ408から水排出導管417を通じて任意選択で除去することができ、導管417内の液体水は任意選択で精製及び/又は再利用することができる。少なくとも1つの水素ポンプ408からのガス状のポンピングされない流出物は、少なくとも1つの水素ポンプ408から流出物導管418に供給され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水素ポンプからの流出物は、任意選択で、流出物導管418から、任意の適切な流体(例えばガス)ブロワ、ポンプ、圧縮機などであってよいブロワ419に供給され得る。ブロワ419は、少なくとも1つの水素ポンプ408からのポンピングされない流出物を「引っ張る」ことができる。ブロワ419は、2~15psigの間の圧力などに、流出物をさらに圧縮することができる。ポンピングされない流出物の圧縮の熱は、ポンピングされない流出物の温度を上昇させ得る。これは、流出物中の残留H及びCOの一部又は全部を酸化するように構成された後続の触媒反応又は熱反応のために、流出物を予熱することができる。流出物の圧縮はまた、圧縮を、その後に実行され得るCO圧縮、脱水及び/又は液化プロセスから切り離すことができる。任意選択のブロワ419が存在する実施形態では、ブロワ419からの圧縮された流出物を流出物導管420に供給することができる。場合によっては、高い圧縮比を有する大型の圧縮機を調整すること(すなわち、圧縮機の速度を変えること)が困難な場合がある。例えば、圧縮機の速度がわずかに変化すると、パイプから引っ張ることのできるガスが多すぎたり又は少なすぎたりして、上流側に圧力の乱れをもたらす可能性がある。しかしながら、小さいブロワはゲインが低く、速度を少し調整すると、流量と吸入圧力がわずかに変化する。場合によっては、ブロワの下流の小さな貯蔵容積を使用して、圧力制御のためにシステムにいくらかのキャパシタンスを提供することができる。例えば、下流の貯蔵容積は、滞留時間1分程度であり得る。
【0049】
様々な実施形態において、ブロワ419からの圧縮された流出物は、任意選択で、流出物導管420を通じて酸化反応器421に供給され得る。酸化反応器421は、後続の二酸化炭素処理工程の前に流出物から残っているH及びCO含有量を低減又は除去するように構成され得る触媒又は熱酸化反応器であってよい。酸素源422は、酸化反応器421に連結することができ、酸化反応のための酸素を供給することができる。いくつかの実施形態では、酸素源422は空気ブロワを含むことができる。代替的又は付加的に、酸素源422は、酸化反応のために精製された酸素を提供することができる酸素発生器又は酸素貯蔵装置であってもよい。任意選択の酸化反応器421が存在する実施形態では、酸化反応器421からの流出物(ほぼ完全にHO及びCOから構成され得る)は、流出物導管423に供給され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、システム10は、少なくとも1つの水素ポンプ408からの流出生成物を含む流出物導管418、420、及び/又は423に動作可能に接続され得る二酸化炭素処理装置424を任意選択で含むことができる。二酸化炭素処理装置424は、少なくとも1つの水素ポンプ408から受け入れた流出物流を圧縮及び/又は冷却するように動作し得、この流出物流は任意選択でブロワ419によって圧縮され得、及び/又は酸化反応器421において酸化反応を受け得る。任意選択の二酸化炭素処理装置424は、流出物流から水を除去するように構成された凝縮器及び/又はドライヤーであってよい。いくつかの実施形態では、任意選択の二酸化炭素処理装置424はまた、流出物流を液化CO生成物に変換することもできる。流出物流から除去された水は、任意選択の精製及び/又は再利用のために、水排出導管425を通じて二酸化炭素処理装置424から任意選択で除去することができる。精製された又は純粋なCOを含み得る流出物流の残りの部分は、COの貯蔵及び/又は隔離のために、導管426を通じて1つ又は複数の二酸化炭素貯蔵容器427に供給され得るか、又は、化学プロセス、飲料用カーボネーション等のために使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の二酸化炭素貯蔵容器は、貯蔵のためにCOをドライアイスに変換するように構成された1つ又は複数の極低温貯蔵装置を含むことができる。
【0051】
図3は、本開示の別の実施形態による燃料電池システム20を概略的に示す。図3の燃料電池システム20は、図2を参照して上述した燃料電池システム10と類似であり得る。したがって、同様の構成要素の繰り返しの説明は、簡潔のために省略される。図3の燃料電池システム20は、より低い圧力の(lower pressure)水素ポンプとより高い圧力(higher pressure)の水素ポンプを使用して水素生成物を回収できるという点で、図2の燃料電池システム10とは異なり得る。
【0052】
特に、図3を参照すると、アノード排気導管308L内に配置されたスプリッタ450(例えば、バルブ、パッシブスプリッタなど)は、部分的に水和されたアノード排気流の一部をアノード排気導管451に向けることができる。アノード排気導管308L内の部分的に水和されたアノード排気流の残りの部分は、少なくとも1つの低圧水素ポンプ452に供給され得る。少なくとも1つの低圧水素ポンプ452は、アノード排気流から分離された水素を相対的に低い圧力(例えば、1~150psig)にポンピングするように構成され得る。様々な実施形態において、少なくとも1つの低圧水素ポンプ452は、燃料電池システム20での使用に適した圧力に水素をポンピングすることができる。少なくとも1つの低圧水素ポンプ452からの圧縮水素生成物は、図2を参照して上述したように、燃料電池システム20でさらに使用するために水素リサイクル導管412Aに供給され得る。少なくとも1つの低圧水素ポンプ452からの残りの流出物は、流出物導管418に供給され、図2を参照して上述したように、任意選択のブロワ419、任意選択の酸化反応器421、及び、COの分離のための任意選択の二酸化炭素処理装置424に進むことができる。流出物からの液体水は、任意選択で、水排出導管453を通じて回収することができる。
【0053】
再び図3を参照すると、アノード排気導管451内部に位置する部分的に水和されたアノード排気流の一部は、少なくとも1つの高圧水素ポンプ454に供給され得る。少なくとも1つの高圧水素ポンプ454は、アノード排気流から分離された水素を、相対的に高い圧力(例えば、200~10,000psig)にポンピングするように構成され得る。様々な実施形態において、少なくとも1つの高圧水素ポンプ452は、水素貯蔵及び/又は精製水素生成物の商業販売の目的に適した圧力に水素をポンピングすることができる。少なくとも1つの高圧水素ポンプ454からの圧縮水素生成物は、水素生成物導管456を通じて1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給され得る。少なくとも1つの高圧水素ポンプ454からの残りのガス状流出物は、流出物導管457に供給され得、流出物からの液体水は任意選択で水排出導管453を通じて回収することができる。いくつかの実施形態では、流出物導管457は、少なくとも1つの高圧水素ポンプ454からの流出物を、図2を参照して上述したように、任意選択のブロワ419、任意選択の酸化反応器421、及び、COを分離するための任意選択の二酸化炭素処理装置424に供給することができる。
【0054】
一般に、貯蔵及び/又は商業販売を目的とする水素生成物は、燃料電池システム20で使用するために再循環される水素生成物よりも高い加圧度を必要とする可能性がある。様々な実施形態において、アノード排気流を並行して処理し得る、少なくとも1つの低圧水素ポンプ452と少なくとも1つの高圧水素ポンプ454を提供することによって、燃料電池システム20のアノード排気から回収された圧縮水素生成物は、異なる用途のために最適化することができる。いくつかの実施形態では、それぞれの水素ポンプ452、454にフィードする平行なアノード排気流の流量の変動を緩和するために、少なくとも1つの低圧水素ポンプ452及び/又は少なくとも1つの高圧水素ポンプ454の上流に、1つ又は複数のバッファタンク(図3には図示せず)を設けることができる。
【0055】
したがって、図1~3に示される燃料電池システム10、20は、燃料電池システム10、20に供給される吸入燃料の水素含有量の本質的にすべて及び炭素含有量の本質的にすべてを使用又は再捕捉することができる。これにより、燃料電池システム10、20の燃料利用率を高めることができる。
【0056】
図4は、本開示の別の実施形態による燃料電池システム30を概略的に示す。図4の燃料電池システム30は、図2及び3を参照して上述した燃料電池システム10及び20と類似であり得る。したがって、同様の構成要素の繰り返しの説明は、簡潔のために省略される。図4の燃料電池システム30は、二酸化炭素ポンプを使用して、アノード排気流からCOの少なくとも一部を分離することができるという点で、図2及び3の燃料電池システム10及び20とは異なり得る。
【0057】
図4を参照すると、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600が、燃料電池システム30のホットボックス100からのアノード排気流において、水性ガスシフト(WGS)反応器405と凝縮器406の下流側に配置され得る。凝縮器406は、水蒸気を液体水に凝縮し、アノード排気流の温度及び/又は含水量が二酸化炭素ポンプ600の動作範囲内にあるように、アノード排気流の温度を低下させるように構成することができる。アノード排気流から凝縮された液体水は、水排出導管407を通じて除去することができる。アノード排気導管308Lは、凝縮器406からの部分的に脱水されたアノード排気流を少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600の入口に供給することができる。
【0058】
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、1つ又は複数の電気化学式二酸化炭素ポンプを含むことができる。少なくとも1つの電気化学式二酸化炭素ポンプ600は、より低い圧力の(lower-pressure)アノード排気流からのCOを、水も含み得るより高い圧力の(higher-pressure)ほぼ純粋なCO生成物にポンピングするように構成され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電気化学式二酸化炭素ポンプは、スクラバーと、高分子膜全体に電流又は電圧を印加すると高分子膜を通して二酸化炭素を電気化学的にポンピングするセパレータ(すなわち、濃縮器)とを含み得る。様々な実施形態において、少なくとも1つの電気化学式二酸化炭素ポンプ600は、「CORENEW(登録商標)」という名称でSkyre,Inc.から入手可能であり、及び/又は米国特許出願公開第2020/0222852号に記載されている高圧二酸化炭素分離及び圧縮システムを含むことができる。少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、直列及び/又は並列に接続された複数のポンプ(例えば、複数の分離膜スタック)を含み、COのより高い全体回収率及び/又はより高いスループットを可能にすることができる。
【0059】
一実施形態では、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、脱水されたアノード排気流に存在するCOの少なくとも70%、例えば70~90%以上を回収することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、分離されたCO生成物を、1~5psig、5~150psig、又は150~5,000psigなど、1psigと5,000psigとの間の圧力まで加圧することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600によって発生する圧縮CO生成物は、追加の機械的圧縮なしで使用、貯蔵、又は隔離するのに適し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からの圧縮CO生成物は、導管602を通じて二酸化炭素処理装置424に供給され得る。二酸化炭素処理装置424は、熱スイング吸着(TSA)及び/又は圧力スイング吸着(PSA)などにより、圧縮CO生成物から残留水を除去することができる。圧縮CO生成物から除去される水は、任意選択の精製及び/又は再利用のために、任意選択で水排出導管425を通じて除去することができる。圧縮CO生成物は、貯蔵、使用及び/又は隔離に適した圧力までCO生成物を加圧するために、任意選択でさらなる圧縮を受けてもよい。いくつかの実施形態では、圧縮CO生成物は、液化又は固化してドライアイスにすることができる。二酸化炭素処理装置424による処理に続いて、精製された又は純粋なCOを含み得る圧縮CO生成物は、COの貯蔵及び/又は隔離のために導管426を通じて1つ又は複数の二酸化炭素貯蔵容器427に供給され得るか、又は化学プロセス、飲料用カーボネーションなどに使用され得る。
【0061】
再び図4を参照すると、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からのポンピングされない流出物は、水素、水(例えば、水蒸気及び/又は液体水)、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600によってアノード排気から分離されなかった二酸化炭素、及び、少量の一酸化炭素、窒素、及びその他の不純物を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンピングされない流出物からの液体水を、任意選択で、水排出導管601を通じて除去することができる。少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からの残りのポンピングされない流出物は、燃料電池システム30に再循環されるために導管603に供給され得る。
【0062】
様々な実施形態において、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からのポンピングされない流出物は、アノード排気流からの水素及び一酸化炭素の実質的にすべてを含み得る。ポンピングされない流出物流内の水素及び一酸化炭素の濃度は、アノード排気流からの二酸化炭素の大部分及び水の一部が少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600によって除去されるため、一般にアノード排気流内のそれらの濃度よりも高くなる。これは、スタック102及び/又はATO130のための燃料源又は補助燃料としての使用を含め、導管603内の流出物流を燃料電池システム30での使用に有利にし得る。様々な実施形態において、少なくとも1つのブロワ604は、導管603と流体連通状態にあり得る。少なくとも1つのブロワ604は、任意の適切な流体(例えばガス)ブロワ、ポンプ、圧縮機などを含むことができる。少なくとも1つのブロワ604は、流出物流を燃料電池システム10での使用に適した圧力まで圧縮することができる。いくつかの実施形態では、複数のブロワ604を利用して、流出物流の一部を燃料電池システム10内での異なる使用のための異なる圧力まで圧縮することができる。例えば、アノードリサイクル導管412Cと流体連通する第1のブロワ604を使用して、ホットボックス100のアノードリサイクルループに供給される流出物流の圧力を、1psi~2psiだけ上昇させることができる。ホットボックス100に供給される流出物の少なくとも一部は、熱管理及び/又はATO130から窒素を除去するために、ホットボックス100のATO130にも供給され得る。それぞれのホットボックス100のATO130に供給される流出物の一部を制御するために、比例ソレノイドバルブを使用することができる。アノードリサイクル導管412Bと流体連通する追加のブロワ604を使用して、燃料電池システム30の燃料吸入流に供給される流出物流の圧力を、10psi~15psiだけ上昇させることができる。
【0063】
図4に示す燃料電池システム30では、分離された二酸化炭素生成物及び/又は燃料電池システム30の再循環燃料のいずれかとして、燃料のほとんどすべてを再循環させることができるので、燃料電池システム30のパス当たりの燃料利用率を下げることができる。さらに、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からの流出物流中の残留COは、燃料電池システム30を通って、最終的にホットボックス100からのアノード排気流に再循環されて戻されるので、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、CO回収率が極端に高い必要はない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600のパス当たりのCO回収率は、70~90%の間であり得る。これにより、ホットボックス100のATO130に再循環され、及び/又はそれによって生成され得る少量のCOを差し引いた、燃料電池システム30のほぼ100%の全体的なCO回収が可能になる。
【0064】
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600のCO耐性に応じて、いくつかの実施形態では、WGS反応器405及びアノード排気調整ユニット404を、図4の燃料電池システム30から除去することができる。したがって、マニホールド104からのアノード排気は、アノード排気流の温度及び/又は含水量が少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600の動作範囲内にあるようにアノード排気流を調整するように構成され得る凝縮器406に供給され得る。このような場合、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600に入るアノード排気流、並びに少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からの流出物流は、H及びCOの濃度が相対的に高くなり得る。
【0065】
図5は、本開示の別の実施形態による燃料電池システム40を概略的に示す。図5の燃料電池システム40は、図4を参照して上述した燃料電池システム30と類似であり得る。したがって、同様の構成要素の繰り返しの説明は、簡潔のため省略される。図5の燃料電池システム40は、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600の上流側に少なくとも1つの水素ポンプ408を付け加えることにより、図4の燃料電池システム30とは異なり得る。様々な実施形態において、アノード排気流は、凝縮器406からアノード排気導管308Lを通じて少なくとも1つの水素ポンプ408に供給され得る。少なくとも1つの水素ポンプ408は、上述のように圧縮水素生成物を発生することができ、それは導管410に提供され得る。少なくとも1つの水素ポンプ408からの圧縮水素生成物は、燃料電池システム30に再循環され、及び/又は、貯蔵及び潜在的な商用販売のために1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給され得る。図5に示される実施形態では、スプリッタ413を使用して、圧縮水素生成物の一部を、水素貯蔵導管413を通じて1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給することができ、圧縮水素生成物の残りの部分は、導管412Aを通じて燃料電池システムでの使用のために再循環させることができる。
【0066】
少なくとも1つの水素ポンプ408からのポンピングされない流出物は、少量の水素、一酸化炭素、窒素、及び他の不純物とともに、主に水(例えば、水蒸気及び/又は液体水)及び二酸化炭素を含み得る。ポンピングされない流出物からの液体水は、水排出導管417を通じて任意選択に除去することができる。残りの流出物流は、導管308Mを通じて少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600に供給することができる。少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、図4を参照して上述したように、流出物流からCOの大部分(例えば、70%以上)を分離し、圧縮CO生成物を供給することができる。圧縮CO生成物は、導管602を通じて二酸化炭素処理装置424に任意選択で供給され得る。
【0067】
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からのポンピングされない流出物は、水(例えば、水蒸気及び/又は液体の水)及び少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600によって分離されなかった二酸化炭素、並びに少量の水素、一酸化炭素、窒素、及びその他の不純物を含み得る。ポンピングされない流出物からの液体水は、水排出導管601を通じて任意選択で除去することができる。残りの流出物は導管603に供給されて、上述のように燃料電池システム40での使用のために再循環させることができる。
【0068】
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600の上流側に少なくとも1つの水素ポンプ408を設けることの利点は、少なくとも1つの水素ポンプ408が、プロセス流が少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600に供給される前に、プロセス流のガス流量を減少させることができる点である。さらに、少なくとも1つの水素ポンプ408を使用して水素を除去することにより、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600に供給されるプロセス流中のCOの濃度を増加させることができる。図5のシステム40はまた、純粋な又は精製された水素生成物を発生することができ、これは、後の使用及び/又は販売のために貯蔵され得る。
【0069】
図6は、本開示の別の実施形態による燃料電池システム50を概略的に示す。図5の燃料電池システム50は、図2を参照して上述した燃料電池システム10と類似であり得る。したがって、同様の構成要素の繰り返しの説明は、簡潔のために省略される。図3の燃料電池システム50は、少なくとも1つの水素ポンプ408の上流側に少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600を付け加えることにより、図2の燃料電池システム10とは異なり得る。様々な実施形態において、アノード排気流は、凝縮器406からアノード排気導管308Lを通じて少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600に供給され得る。少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600は、図4を参照して上述したように、アノード排気流からCOの大部分(例えば、70%以上)を分離し、圧縮CO生成物を提供することができる。圧縮CO生成物は、導管602を通じて二酸化炭素処理装置424に任意選択で供給され得る。
【0070】
少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600からのポンピングされない流出物は、水(例えば、水蒸気及び/又は液体水)、水素、及び、少なくとも1つの二酸化炭素ポンプ600によって分離されなかった二酸化炭素、並びに少量の一酸化炭素、窒素、及びその他の不純物を含む、水素富化プロセス流を含むことができる。ポンピングされない流出物からの液体水は、水排出導管601を通じて任意選択で除去することができる。残りの流出物は、導管604を通じて少なくとも1つの水素ポンプ408に供給することができる。
【0071】
少なくとも1つの水素ポンプ408は、上述のように圧縮水素生成物を発生することができ、これは導管410に供給され得る。少なくとも1つの水素ポンプ408からの圧縮水素生成物は、燃料電池システム30に再循環され、及び/又は、貯蔵及び潜在的な商用販売のために1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給され得る。図6に示される実施形態では、スプリッタ411を使用して、圧縮水素生成物の一部を水素貯蔵導管413を通じて1つ又は複数の水素貯蔵容器414に供給することができ、圧縮水素生成物の残りの部分は、燃料電池システムでの使用のために導管412Aを通じて再循環させることができる。
【0072】
少なくとも1つの水素ポンプ408からのガス状のポンピングされない流出物は、少なくとも1つの水素ポンプ408から流出物導管418に供給されてもよく、任意選択で、先に図2を参照して上述したように、ブロワ419、及び、流出物から残留H及びCOを低減又は除去するように構成された酸化反応器421に供給されてもよい。残りの流出物は、主に水及びCOを含み得るが、上述のように残りのCOの回収、貯蔵及び/又は使用のために、導管606を通じて二酸化炭素処理装置424に供給され得る。
【0073】
開示された態様の前述の説明は、当業者が本開示をなす又は使用することを可能にするために提供される。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される概括的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の態様に適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】