IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JRCモビリティ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-送受信装置 図1
  • 特開-送受信装置 図2
  • 特開-送受信装置 図3
  • 特開-送受信装置 図4
  • 特開-送受信装置 図5
  • 特開-送受信装置 図6
  • 特開-送受信装置 図7
  • 特開-送受信装置 図8
  • 特開-送受信装置 図9
  • 特開-送受信装置 図10
  • 特開-送受信装置 図11
  • 特開-送受信装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007161
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】送受信装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20230111BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230111BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20230111BHJP
【FI】
G01S7/03 230
H01Q21/06
H04B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110238
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】津田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】石村 直敬
【テーマコード(参考)】
5J021
5J070
5K011
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA11
5J021CA06
5J021FA13
5J021HA04
5J021JA08
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AK40
5K011AA06
5K011BA04
5K011DA02
5K011KA04
(57)【要約】
【課題】本開示は、不要電波をさらに抑圧し、近傍でのターゲット検知を可能にすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、送信アンテナ及び受信アンテナの搭載されているアンテナ面が前記送信アンテナ及び前記受信アンテナへの給電線路の搭載されている部品実装面の裏面に配置されている基板と、前記部品実装面に配置されたグランド導体と接触し、前記給電線路を覆う筐体と、を備える送受信装置であって、前記給電線路の配置されている前記部品実装面から前記筐体の天井面までの距離が、前記送信アンテナから送信する波長の1/2未満である、送受信装置である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナ及び受信アンテナの搭載されているアンテナ面が前記送信アンテナ及び前記受信アンテナへの給電線路の搭載されている部品実装面の裏面に配置されている基板と、
前記部品実装面に配置されたグランド導体と接触し、前記給電線路を覆う筐体と、
を備える送受信装置であって、
前記給電線路の配置されている前記部品実装面から前記筐体の天井面までの距離が、前記送信アンテナから送信する波長の1/2未満である、
送受信装置。
【請求項2】
前記送信アンテナからの送信信号を生成する送信回路が前記部品実装面に搭載され、
前記筐体は、前記送信回路との接続部分を除き、前記送信アンテナへの給電線路を囲む送信アンテナ包囲壁を備える、
請求項1に記載の送受信装置。
【請求項3】
前記送信アンテナへの給電線路は、前記部品実装面から前記アンテナ面への送信アンテナ給電部を備え、
前記送信アンテナ包囲壁で囲まれた領域内に、前記送信アンテナ給電部から前記送信回路への不要電波を防ぐ中間壁を備える、
請求項2に記載の送受信装置。
【請求項4】
前記受信アンテナの受信信号を受信する受信回路が前記部品実装面に搭載され、
前記筐体は、前記受信回路との接続部分を除き、前記受信アンテナへの給電線路を囲む受信アンテナ包囲壁を備える、
請求項1から3のいずれかに記載の送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線信号を送受信する送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送受信装置において、不要電波を抑圧する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、信号ライン同士の間に仕切り板を配置し、不要電波の放射源を隔離することで、不要電波を抑圧する。
【0003】
しかし、信号ライン同士の間に仕切り板を配置した構成では、完全に送信ラインと受信ラインを分離できず近傍のターゲットを検知するには不要電波の抑圧量が足りず、誤検知又は未検知の要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-257499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、不要電波をさらに抑圧し、近傍でのターゲット検知を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、不要電波の放射源の基板面と筐体間の距離をλ/2未満にすることで、不要電波をさらに抑圧する。
【0007】
具体的には、本開示の送受信装置は、
送信アンテナ及び受信アンテナの搭載されているアンテナ面が前記送信アンテナ及び前記受信アンテナへの給電線路の搭載されている部品実装面の裏面に配置されている基板と、
前記部品実装面に配置されたグランド導体と接触し、前記給電線路を覆う筐体と、
を備える送受信装置であって、
前記給電線路の配置されている前記部品実装面から前記筐体の天井面までの距離が、前記送信アンテナから送信する波長の1/2未満である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、不要電波をさらに抑圧し、更なる近傍でのターゲット検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】送受信装置の断面構成例を示す。
図2】送受信装置のアンテナ面の構成例を示す。
図3】送受信装置の部品実装面の構成例を示す。
図4】筐体のA-A’断面の構成例を示す。
図5】筐体のB-B’断面の構成例を示す。
図6】筐体に備わる壁の構成例を示す。
図7】筐体に備わる壁の構成例を示す。
図8】筐体に備わる壁の構成例を示す。
図9】本開示の送受信装置の構成例を示す。
図10】本開示の送受信装置をミリ波レーダに適用した場合の比較例を示す。
図11】比較例の断面構成を示す。
図12】本開示の送受信装置をミリ波レーダに適用した場合の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1に、送受信装置の構成例を示す。本実施形態に係る送受信装置は、基板61の部品実装面61Pに、筐体10が備わる。基板61のアンテナ面61Aには、送信アンテナ72及び受信アンテナ74が搭載されている。基板61の部品実装面61Pには、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)から送信アンテナ72への給電線路62及び受信アンテナ74への給電線路64のほか、MMICなどの回路部品が搭載されている。
【0012】
筐体10は、アルミダイカストなどの金属筐体である。部品実装面61Pにはグランド導体66が搭載されており、筐体10から伸びている壁11、14及び31がグランド導体66と接触することで、接地されている。
【0013】
図2及び図3に、アンテナ面61A及び部品実装面61Pの構成例を示す。アンテナ面61Aには、図2に示すように、送信アンテナ72及び受信アンテナ74が搭載されている。部品実装面61Pには、図3に示すように、MMIC53から送信アンテナ72への給電線路62及び給電部63、受信アンテナ74からMMIC53への給電線路64及び給電部65が搭載されている。給電線路62は、それぞれクロスしない、等長配線である。給電線路64についても給電線路62と同様、それぞれクロスしない、等長配線である。グランド導体66は、給電線路62の搭載されている領域52T、及び給電線路64の搭載されている領域52Rに搭載されている。図1に示す断面構成は、図3に示すB-B’断面に相当する。
【0014】
図4に、A-A’断面の構成例を示す。給電部63は、アンテナ面61Aに貫通するビア73で送信アンテナ72に接続されている。給電部65は、アンテナ面61Aに貫通するビア75で受信アンテナ74に接続されている。これにより、部品実装面61Pからアンテナ面61Aへの給電が行われる。
【0015】
給電部63から送信アンテナ72に送信信号が供給される際、給電部63から筐体10に向けて不要電波が放射され、少量の電波漏れが生じ、筐体10で反射される。このとき、反射面までの距離が電波の半波長未満である場合、多重反射を抑圧することができる。そこで、本開示は、給電線路62の搭載されている領域52Tについて、部品実装面61Pから筐体10の天井面までの距離D52Tを、送信アンテナ72から送信する波長の1/2未満にした。これにより、本実施形態に係る送受信装置は、給電部63から筐体10に向けて放射される不要電波を抑圧する。
【0016】
部品実装面61Pから筐体10の天井面までの距離D52Tを制御する方法は任意である。例えば、図1に示すように、筐体10の厚みT52Tを厚くすることで、送信アンテナ72から送信する波長の1/2未満にすることができる。また、図5に示すように、筐体10の上面を凹ませることで、送信アンテナ72から送信する波長の1/2未満にしてもよい。
【0017】
本実施形態は、1つのMMIC53に送信アンテナ72及び受信アンテナ74が接続される例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、領域52T及び52Rが離れた位置に配置されていてもよい。これにより、給電部63からの受信用の給電部65に到達する不要電波を抑圧しやすくすることができる。
【0018】
(第2の実施形態)
給電部63から送信アンテナ72に送信信号が供給される際、給電部63から全方位に向けて不要電波が放射され、筐体10の側面でも反射される。そこで、本実施形態では、筐体10の側面で反射され、受信用の給電部65で受信される電波を抑圧するよう、筐体10が壁を備える。
【0019】
図6に、本実施形態に係る筐体10の構成例を示す。筐体10は、送信アンテナ72への給電線路62を囲む、送信アンテナ包囲壁として機能する壁11、12、13、14を備える。これにより、給電部63からの不要電波が領域52T内に閉じ込められ、筐体10内で反射する不要電波を抑圧することができる。
【0020】
また、筐体10は、受信アンテナ74への給電線路64を囲む、受信アンテナ包囲壁として機能する壁11、31、32を備える。これにより、受信用の給電部65に到達する不要電波を抑圧することができる。
【0021】
(第3の実施形態)
第2の実施形態において、給電線路62はMMIC53と接続されており、この接続部分から壁11、12、13、14の外側に不要電波が漏洩する可能性がある。そこで、本実施形態の筐体10は、領域52T内に、中間壁として機能する壁を備える。これにより、不要電波がMMIC53に到達しにくくなるため、MMIC53から漏洩する不要電波をさらに抑圧することができる。
【0022】
例えば、図7に示すように、給電部63とMMIC53の間に配置されている壁21を備える。また、MMIC53の給電線路62への接続面に沿って壁15が配置されていてもよい。また、壁11についても、MMIC53の給電線路62への接続面に沿って配置されていてもよい。MMIC53の給電線路62への接続面に沿って壁11及び15が配置されていることで、MMIC53への不要電波の通過を妨げることができる。
【0023】
壁21の配置や形状は任意であり、例えば、壁21のように、給電部63の配列されているx軸方向と平行な同一直線上に配置されていてもよい。また、壁は、x軸方向と垂直に伸びる壁であってもよい。また、図8に示すように、給電部63同士の間が壁で隔てられていてもよい。
【0024】
(第4の実施形態)
本開示の送受信装置は、受信用の給電部65で受信される給電部63からの不要電波を抑圧する。このため、部品実装面61Pの裏面にアンテナ面61Aが配置される多種多様な送受信装置に適用することができる。
【0025】
例えば、本開示の送受信装置は、ミリ波帯の電波を用いたミリ波レーダに適用することができる。ミリ波レーダは、ミリ波帯の電波を対象物であるターゲットに向けて放射し、そのターゲットからの反射波を測定することにより、ターゲットまでの距離、速度、方向、受信強度などを測る装置である。この場合、本開示の送受信装置は、図9に示すように、アンテナ面61Aがレドーム51で覆われる。
【0026】
本開示の送受信装置をミリ波レーダに適用した場合の比較実験例を示す。図10は本開示の比較例を示し、図12は本開示の構成を採用した場合を示す。具体的には、図10の比較例では、図11に示すように、図6に示す壁11、12、13、14を備えるが、部品実装面61Pから筐体10の天井面までの距離D52Tが送信アンテナ72から送信する波長の1/2超である場合を示す。図12の本実施例では、図7に示す壁11、12、13、14を備え、さらに部品実装面61Pから筐体10の天井面までの距離(図1に示す符号D52T)を送信アンテナ72から送信する波長の1/2未満にした。
【0027】
図10に示す比較例では、筐体10内での多重反射の影響が5m付近まで及んでいる。このため、2.8m付近のターゲットTGT1及び4.6m付近のTGT2の受信信号にノイズが含まれ、多重反射の受信強度よりも小さい受信信号が、前記の多重反射に埋もれてしまい、検知できない。これに対し、図12に示す実施例では、筐体10内での多重反射の影響が1.5m付近にまで短縮できている。このため、ターゲットTGT1及びTGT2のノイズが除去され、1.8m付近のターゲットTGT3が検出できている。したがって、本開示の送受信装置をミリ波レーダに適用することで、2m未満の近傍のターゲットを検出することができる程度にまで不要電波を抑圧することができていることが分かる。
【0028】
本開示は、部品実装面61Pから筐体10の天井面までの距離を送信アンテナ72から送信する波長の1/2未満にすることで、ミリ波帯の無線信号に限らず、任意の波長帯の無線信号に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10:筐体
11、12、13、14、15、21、31、32:壁
53:MMIC
61:基板
62:送信用の給電線路
63:送信用の給電部
64:受信用の給電線路
65:受信用の給電部
66:グランド導体
72:送信アンテナ
73:送信用の給電部のビア
74:受信アンテナ
75:受信用の給電部のビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12