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  • 特開-霧化芯及び霧化器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071623
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】霧化芯及び霧化器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20230516BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20230516BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/44
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179038
(22)【出願日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】202111330499.9
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515287066
【氏名又は名称】立訊精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LUXSHARE PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 2,Block A,Sanyo New Industrial Area, West Haoyi Community, Shajing Subdistrict Office,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong,518104,P.R.China
(71)【出願人】
【識別番号】522437913
【氏名又は名称】陳 志穎
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 志穎
(72)【発明者】
【氏名】李 華兵
(72)【発明者】
【氏名】何 磊
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC16
4B162AC18
4B162AC22
4B162AD23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】芯部材と、芯部材に設けられる加熱部材と、霧化器の開口に流体的に連通するための芯部材に設けられる導流部材と、加熱部材に設けられる多孔質グラフェン吸着部材と、を備える霧化芯及び霧化器を開示する。
【解決手段】多孔質グラフェンは多孔質材料であり、その優れた多孔質特性は充填剤の吸着性を向上させることができる。この他、多孔質グラフェンは自己滅菌性材料でもあり、充填剤の濾過効果を向上させるだけでなく、濾過効果を医療水準にまで高めることができる。よって、多孔質グラフェンにより充填剤を濾過することにより、霧化器を医療水準の製品に応用することができる。最も重要なのは、多孔質グラフェンの高融点は空焚きの問題を回避でき、製品の安全性を大幅に向上させることができる。よって、本発明は安全で、安定した、品質の良好なフィルター芯を実現している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯部材と、
前記芯部材に設けられる加熱部材と、
霧化器の開口に流体的に連通するための、前記芯部材に設けられる導流部材と、
前記加熱部材に設けられる多孔質グラフェン吸着部材と、を備える、
霧化器の霧化芯。
【請求項2】
前記多孔質グラフェン吸着部材の孔隙率は80%より大きい、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項3】
前記芯部材及び前記多孔質グラフェン吸着部材は筒状であり、且つ前記多孔質グラフェン吸着部材は前記加熱部材及び前記芯部材を囲むようにセットされる、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項4】
前記芯部材内は導流空間を有し、前記導流部材は前記導流空間に流体的に連通される、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項5】
前記加熱部材は前記芯部材の周りに設けられる発熱線である、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項6】
前記加熱部材及び前記霧化器の電源に電気的に接続される導線をさらに備える、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項7】
前記多孔質グラフェン吸着部材を囲むようにセットし、前記芯部材、前記加熱部材、前記多孔質グラフェン吸着部材及び一部の前記導流部材を包囲する多孔質カバーをさらに備える、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項8】
前記多孔質カバーの材料はポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンである、
請求項7に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項9】
前記加熱部材は前記芯部材の外周面を囲繞して接触し、前記多孔質グラフェン吸着部材は前記芯部材の外周面及び前記加熱部材を囲繞して接触し、前記多孔質カバーは前記多孔質グラフェン吸着部材の外周面を囲繞して接触する、
請求項7に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項10】
前記芯部材は多孔質プラスチック部材である、
請求項1に記載の霧化器の霧化芯。
【請求項11】
霧化器本体と、
前記霧化器本体に設けられる請求項1から10のいずれかに記載の霧化芯と、を備える、
霧化器。
【請求項12】
前記霧化器本体内に設けられるタンクをさらに備え、前記霧化芯は前記タンク内に設けられ、且つ前記タンクと前記霧化芯の間には充填剤が貯蔵されている、
請求項11に記載の霧化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化装置の技術分野に関し、特に霧化芯及び霧化器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、霧化装置はユーザが使用できるように特定の充填剤を霧化するために使用される。例えば、霧化装置は電子タバコであってもよい。電子タバコは従来のタバコを模した電子装置であり、加熱部材、タンク及び電池からなる。電池が提供する電力により、加熱部材はタンク内の充填剤を霧化し、こうして従来のタバコの煙を再現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
充填剤が加熱部材に常時供給されるように、一般的に、加熱部材とタンク内の充填剤の間に綿を設け、綿の毛細管現象により充填剤を吸着させ、充填剤の流動を誘導する。しかし、綿材料の吸着力は低いため、長時間使用できない。この他、綿を用いて充填剤を濾過する方法は充填剤の残渣も生じやすい。充填剤の残渣は煙の品質を大幅に低下させ、ユーザ体験を低下させる。最も重要なのは、充填剤の量が不足すると、低融点の綿が焼き焦げやすいだけでなく、引火して燃焼し、危険な状態になる可能性がある。よって、安全で、安定した、品質の良好なフィルター芯を提供するかが、当分野の早く解決すべき課題となっている。
【0004】
本発明は、従来技術の霧化芯が綿を使用しているために、吸着性が低く、ひいては危害を生じる問題を解決できる霧化芯及び霧化器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術課題を解決するために、本発明は以下のように実施される:
芯部材と、芯部材に設けられる加熱部材と、霧化器の開口に流体的に連通するための芯部材に設けられる導流部材と、加熱部材に設けられる多孔質グラフェン吸着部材と、を備える霧化器の霧化芯を提供する。
【0006】
一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材の孔隙率は80%より大きい。
【0007】
一部の実施例において、芯部材及び多孔質グラフェン吸着部材は筒状であり、且つ多孔質グラフェン吸着部材は加熱部材及び芯部材を囲むようにセットされる。
【0008】
一部の実施例において、芯部材は導流空間を有し、導流部材は導流空間に流体的に連通される。
【0009】
一部の実施例において、加熱部材は芯部材の周りに設けられる発熱線である。
【0010】
一部の実施例において、霧化器の霧化芯は加熱部材及び霧化器の電源に電気的に接続される導線をさらに備える。
【0011】
一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材を囲むようにセットし、芯部材、加熱部材、多孔質グラフェン吸着部材及び一部の導流部材を包囲する多孔質カバーをさらに備える。
【0012】
一部の実施例において、多孔質カバーの材料はポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンである。
【0013】
一部の実施例において、加熱部材は芯部材の外周面を囲繞して接触し、多孔質グラフェン吸着部材は芯部材の外周面及び加熱部材を囲繞して接触し、多孔質カバーは多孔質グラフェン吸着部材の外周面を囲繞して接触する。
【0014】
一部の実施例において、芯部材は多孔質プラスチック部材である。
【0015】
第2の態様において、霧化器本体と、霧化器本体に設けられる第1の態様に記載の霧化芯と、を備える霧化器を提供する。
【0016】
一部の実施例において、霧化器は霧化器本体内に設けられるタンクをさらに備え、霧化芯はタンク内に設けられ、且つタンクと霧化芯の間には充填剤が貯蔵されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は従来技術における綿フィルターの代わりに多孔質グラフェンにより充填剤を吸着、濾過する。具体的に、多孔質グラフェンは多孔質材料であり、その優れた多孔質特性は充填剤の吸着性を向上させることができる。この他、多孔質グラフェンは自己滅菌性材料でもあり、充填剤の濾過効果を向上させるだけでなく、濾過効果を医療水準にまで高めることができる。よって、多孔質グラフェンにより充填剤を濾過することにより、霧化器を医療水準の製品に応用することができる。最も重要なのは、綿材料に比べ、多孔質グラフェンの高融点は空焚きの問題を回避でき、製品の安全性を大幅に向上させることができる。よって、本発明は安全で、安定した、品質の良好なフィルター芯を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで説明される図面は本発明をさらに理解できるように提供されるものであり、発明の一部分を構成し、本発明の概略的な実施例及びその説明は本発明を解釈するために用いられるものであって、本発明を限定するものではない。
図1】本発明の実施例における霧化器の霧化芯の概略図である。
図2】本発明の実施例における霧化器の霧化芯の分解図である。
図3】本発明の1つの実施例における霧化器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施例における図面と合わせて本発明の実施例における技術方案について明瞭且つ全面的に説明する。説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは言うまでもない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働なしに得られる他の実施例も全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0020】
図1及び図2はそれぞれ本発明の実施例における霧化器の霧化芯の概略図及び分解図である。図に示されるように、霧化器1の霧化芯1aは芯部材10と、芯部材10に設けられる加熱部材11と、霧化器1の開口に流体的に連通するための芯部材10に設けられる導流部材12と、加熱部材11に設けられる多孔質グラフェン吸着部材13と、を備える。
【0021】
一部の実施例において、霧化芯1aはタンク内の充填剤を吸着するために霧化器1のタンク内に設けられる。例えば、多孔質グラフェン吸着部材13は多孔構造により高い吸着性を有し、タンク内で充填剤を吸着でき、吸着された充填剤は多孔質グラフェン吸着部材13により加熱部材11のところまで流動し、加熱部材11により加熱される。
【0022】
加熱部材11により加熱された後、充填剤は液体微粒子及び気体の混合物に形成される(即ち、霧化される)。最後に、霧化された充填剤は芯部材10と導流部材12を順に流動して霧化器1の開口まで至り、ユーザが吸入できるようになる。上記の構成により、本発明の霧化器1の構造は簡単であり、且つ霧化された後の充填剤の品質は良好であり、安全で、安定した効果を実現できる。以下では、本発明の技術特徴及び有益な効果をより明瞭且つ容易に理解できるよう、霧化芯1aの各々の部材をさらに説明する。
【0023】
一部の実施例において、芯部材10は多孔質材料からなり、芯部材10の材料は、例えば多孔質プラスチックであるが、これに限定されない。一部の実施例において、芯部材10の材料は耐熱性プラスチックであってもよい。より具体的には、上記の“耐熱”とは熱割れや熱変形が生じない100℃に耐えられる特性を指す。好ましくは、“耐熱”とは熱割れや熱変形が生じない150℃に耐えられる特性を指す。芯部材10は充填剤を加熱するための加熱部材11を搭載する必要があるため、芯部材10は高温に耐えられる材料を選ぶ必要がある。
【0024】
一部の実施例において、耐熱性プラスチックはポリプロピレン、変性ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンのうちのいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
【0025】
即ち、当業者に知られている任意の耐熱性プラスチックを本発明に用いることができる。一部の実施例において、芯部材10の材料は例えば多孔質のセラミック又は金属とすることができるが、これらに限定されない。
【0026】
一部の実施例において、芯部材10は導流空間を有し、導流部材12は導流空間に流体的に連通される。例えば、芯部材10は中空の円筒とすることができ、且つ芯部材10外側の充填剤は芯部材10の表面上の孔隙により芯部材10の内側の導流空間に流入することができる。
【0027】
さらに、導流空間に流入した充填剤は導流部材12により霧化器1外まで流れ出ることができる。
【0028】
なお、図1に示される円筒形状は概略的なものであり、本発明の芯部材10の形状はこれに限定されない。例えば、芯部材10は中空の楕円筒、中空の四角形筒、中空の五角形筒、又は中空の異形筒等であってもよい。芯部材10を異なる形状にすることで、芯部材10及びそれを含む霧化芯1aを異なる形状、寸法の霧化器1に応用できるようになる。
【0029】
一部の実施例において、芯部材10の孔隙率は50%以上である。例えば、芯部材10の孔隙率は50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は上記数値における任意の範囲であってもよい。異なる孔隙率を設けることで、充填剤が流れる時の速率、圧力等の条件を有効に調整でき、応用範囲を広げることができる。
【0030】
一部の実施例において、芯部材10の孔隙は孔隙を通過する充填剤(液体でも気体でも)が同様の寸法を有するように、同じ寸法と形状を有してもよく、こうして、安定且つ均一な霧化充填剤を提供できる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、他の実施例において、芯部材10の孔隙は孔隙を通過する充填剤が様々な異なる寸法を有するように、異なる寸法と形状を有してもよく、こうして複数の組み合わせの霧化充填剤が生成される。
【0031】
一部の実施例において、加熱部材11は発熱線であり、発熱線は芯部材10の周りに設けられる。具体的に、発熱線は特定の傾斜でねじ山のように芯部材10の周りに設けてもよい。そのうち、発熱線の距離は必要に応じて調整できる。例えば、安定して加熱する必要がある時、巻回された隣接する発熱線の間の距離は、巻回された隣接する発熱線の間に温度勾配が生じないように小さくしてもよい。逆に、加熱が早くなりすぎないように、巻回された隣接する発熱線の間の距離は大きくしてもよい。
【0032】
この他、発熱線の太さも必要に応じて調整できる。例えば、発熱線の線の直径が大きいほど、発熱線の抵抗は小さくなるため、電流が通過する時に発生する熱量は小さくなる。逆に、発熱線の線の直径が小さいほど、発熱線の抵抗は大きくなるため、電流が通過する時に発生する熱量は大きくなる。よって、発熱線の太さは昇温速度の必要に応じて調整できる。
【0033】
一部の実施例において、発熱線の材料は、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、金、クロム、ニッケル、白金、チタン、イリジウム、ロジウム、又は良好な導電性を有する他の金属材料、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、発熱線は合金であってもよく、成分比を調整して好ましい発熱効果を達成することができる。
【0034】
一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材13は芯部材10と同じ筒状であり、且つ多孔質グラフェン吸着部材13は加熱部材11及び芯部材10を囲むようにセットされてもよい。即ち、多孔質グラフェン吸着部材13の形状は芯部材10の形状に対応するものであってもよい。
【0035】
しかし、本発明はこれらに限定されない。他の実施例において、芯部材10の形状は多孔質グラフェン吸着部材13の形状に対応しなくてもよい。例えば、芯部材10の形状は筒状であってもよく、多孔質グラフェン吸着部材13は球体であってもよい。
【0036】
一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材13はフォトエッチングプロセス、炭素熱還元プロセス、ウェットエッチングプロセス、ステンシルプロセス、ソルボサーマルプロセス及び化学気相成長プロセスのいずれかによって形成されている。例えば、高エネルギーの電子ビーム、イオンビーム、光子ビームによって、多孔質グラフェンを叩いて、多孔質グラフェンの格子から炭素原子を叩き出すことができる(即ち、フォトリソグラフィー)。又は、多孔質グラフェンの炭素原子を還元剤として金属酸化物を還元することにより、多孔質グラフェンに空孔を形成し、多孔質グラフェンを得ることができる(即ち、炭素熱還元法)。
【0037】
さらに、上記プロセスで形成された多孔質グラフェンは成形性が極めて高い材料である。即ち、多孔質グラフェン吸着部材13は設計ニーズに応じて様々な異なる形状に形成することができるため、様々な形状の霧化器1の製品に合わせることができる。この他、多孔質グラフェン自体は材料性質上、人体に無害であるだけでなく、有効的に抗菌できる。よって、本発明の多孔質グラフェンを含む霧化芯1aは、人体への危害を心配することなく、様々な霧化装置の分野に応用できる。最も重要なのは、多孔質グラフェンは耐熱性の材料であり、従来技術の綿に比べ、多孔質グラフェンは充填剤が減少しても空焚きや引火することなく、安定した動作を維持できる。こうして、ユーザの安全性を大きく確保することができる。
【0038】
一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材13の孔隙率は80%より大きい。例えば、多孔質グラフェン吸着部材13の孔隙率は80%、82.5%、85%、87.5%、90%、又は上記数値における任意の範囲であってもよい。芯部材10と同様に、異なる孔隙率を設けることで、充填剤が流れる時の速率、圧力等の条件を有効に調整でき、応用範囲を広げることができる。
【0039】
一部の実施例において、霧化器1の霧化芯1aは、加熱部材11及び霧化器1の電源に電気的に接続される導線14をさらに備える。例えば、導線14の材料は銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、金、クロム、ニッケル、白金、チタン、イリジウム、ロジウム、又は良好な導電性を有する他の金属材料、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。他の実施例において、導線14の材料は、使用する材料に導電性があれば、非金属材料であってもよい。好ましくは、導線14の材料は発熱線の材料と同じであってもよく、こうして2つの材料の界面間の抵抗の差を小さくすることができる。
【0040】
一部の実施例において、霧化器1の霧化芯1aは、多孔質グラフェン吸着部材13を囲むようにセットし、芯部材10、加熱部材11、多孔質グラフェン吸着部材13及び一部の導流部材12を包囲する多孔質カバー15をさらに備える。芯部材10と同様、カバーの好ましい材料は耐熱性プラスチックであってもよく、且つ“耐熱”とは熱割れや熱変形が生じない100℃に耐えられる特性を指す。例えば、多孔質カバー15の材料はポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンであるが、これらに限定されない。
【0041】
一部の実施例において、加熱部材11は芯部材10の外周面を囲繞して接触し、多孔質グラフェン吸着部材13は芯部材10の外周面及び加熱部材11を囲繞して接触し、多孔質カバー15は多孔質グラフェン吸着部材13の外周面を囲繞して接触する。加熱部材11は多孔質グラフェン吸着部材13と芯部材10の間に位置し、多孔質グラフェン吸着部材13は多孔質カバー15と多孔質グラフェン吸着部材13と加熱部材11の間に位置する。
【0042】
一部の実施例において、多孔質カバー15の孔隙率は50%以上である。例えば、多孔質カバー15の孔隙率は50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は上記数値における任意の範囲であってもよい。異なる孔隙率を設けることで、充填剤が流れる時の速率、圧力等の条件を有効に調整でき、応用範囲を広げることができる。
【0043】
図3は本発明の1つの実施例における霧化器の概略図である。図に示されるように、霧化器1は霧化器本体1bと、霧化器本体1bに設けられる上記に記載の霧化芯1aと、を備える。より具体的には、霧化器1は霧化器本体1b内に設けられるタンク1cをさらに備え、霧化芯1aはタンク1c内に設けられ、且つタンク1cと霧化芯1aの間には充填剤17が貯蔵されている。例えば、上記の霧化器1が電子タバコである場合、タンク1cは電子タバコの“カプセル”であってもよく、充填剤17は電子タバコの“リキッド”であってもよい。そのうち、霧化器本体1b内の電池16は導線14により電力を加熱部材11に供給する。
【0044】
続いて、多孔質カバー15は多孔構造によりタンク内のリキッドを吸着し、多孔質グラフェン吸着部材13は多孔構造により多孔質カバー15を介してリキッドを吸着し、一部の実施例において、芯部材10も多孔構造により多孔質グラフェン吸着部材13を介してリキッドを吸着する。タンク1c内のリキッドは霧化芯1a内の多孔質カバー15、多孔質グラフェン吸着部材13及び芯部材10を順に通過する過程で、加熱部材11により加熱されて霧化リキッドとなる。最後に、霧化されたリキッドがユーザの吸入により導流空間、導流部材12、霧化器1の開口18又はノズルに沿ってユーザの口内に入る。
【0045】
一部の実施例において、タンク1cは医療用霧化器であってもよく、充填剤は液体医薬品であってもよい。タンク1c内の液体医薬品は霧化芯1a内の多孔質カバー15、多孔質グラフェン吸着部材13及び芯部材10を順に通過する過程で、加熱部材11により加熱されて医薬ミストとなる。最後に、医薬ミストはユーザの吸入により導流空間、導流部材12、霧化器1の開口18又はノズルに沿ってユーザの口内又は鼻腔内に入る。
【0046】
一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材13の多孔構造はタンク1c内でリキッド又は液体医薬品を吸着でき、且つ吸着されたリキッド又は医薬品がその多孔構造を通過して芯部材10の周りに均一に誘導され、リキッド又は医薬品が加熱部材11により均一に加熱されて霧化されるように、リキッド又は液体を誘導する性能を有している。一部の実施例において、多孔質グラフェン吸着部材13はその緻密な多孔構造により、濾過性能をさらに有し、吸着されたリキッド又は医薬品が多孔質グラフェン吸着部材13を通過する時にその多孔構造によっても濾過される。
【0047】
一部の実施例において、霧化器1は霧化器本体1bに穿設される吸気管19をさらに備え、吸気管19は霧化芯1aに流体的に連通している。外界の空気は吸気管19を通って霧化芯1a内に入り、霧化された充填剤と互いに混合され、濃度が低く、食用に適したミスト状充填剤を生成することができる。
【0048】
以上をまとめ、本発明は従来技術における綿フィルターの代わりに多孔質グラフェンにより充填剤を吸着、濾過する。具体的に、多孔質グラフェンは多孔質材料であり、その優れた多孔質特性は充填剤の吸着性を向上させることができる。この他、多孔質グラフェンは自己滅菌性材料でもあり、充填剤の濾過効果を向上させるだけでなく、濾過効果を医療水準にまで高めることができる。
【0049】
よって、多孔質グラフェンにより充填剤を濾過することにより、霧化器1を医療水準の製品に応用することができる。最も重要なのは、綿材料に比べ、多孔質グラフェンの高融点は空焚きの問題を回避でき、製品の安全性を大幅に向上させることができる。よって、本発明は安全で、安定した、品質の良好なフィルター芯を実現している。
【0050】
なお、本明細書において、用語「含む」、「備える」、及びその如何なる変形も、非排他的な包含をカバーすることを意図している。したがって、一連の要素からなるプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素を含むだけでなく、明示されていない他の要素を含むか、又はプロセス、方法、物品、又は装置に固有の要素を含む。それ以上の限定がない場合、「……を備える」によって限定された要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置に存在する他の同じ要素を排除しない。
【0051】
以上、図面と合わせて本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の発明を実施するための形態に限定されるものではなく、上記の発明を実施するための形態は概略的なものであって、本発明を限定するものではない、当業者は本発明の示唆のもと、本発明の主旨及び特許請求の範囲を逸脱しない限り、他の複数の形態を作り出すことができ、これらもみな本発明の範囲内に入る。
図1
図2
図3