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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071626
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】高純度のSiC結晶体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/956 20170101AFI20230516BHJP
【FI】
C01B32/956
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179659
(22)【出願日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0155113
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513280854
【氏名又は名称】オーシーアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCI Company Ltd.
【住所又は居所原語表記】94,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul,100-718(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】キム ガボク
(72)【発明者】
【氏名】カン ビョンチャン
(72)【発明者】
【氏名】パク ビョンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジュンキ
(72)【発明者】
【氏名】チョン チャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チュン スンアン
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146MA14
4G146MB20B
4G146NA07
4G146NA12
4G146NB04
4G146NB14
4G146NB18
4G146QA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の目的は、不純物の含有量が極めて低い高純度のSiC結晶体を優れた収率で大量生産する方法を提供することである。
【解決手段】本発明の高純度のSiC結晶体を製造する方法は、
i)電源に連結された一対の電極および前記電極に電気的に連結された一対以上の導電性発熱体を含む反応チャンバーを含有する反応器を準備する段階と、
ii)前記導電性発熱体を加熱する段階と、
iii)シリコン源前駆体、炭素源前駆体およびキャリアガスを混合して混合ガスを調製する段階と、
iv)前記混合ガスを前記反応チャンバーに注入する段階と、
v)前記導電性発熱体上にSiCを蒸着する段階と、
vi)蒸着したSiC結晶体を前記導電性発熱体から分離して獲得する段階と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度のSiC結晶体を製造する方法であって、
i)電源に連結された一対の電極および前記電極に電気的に連結された一対以上の導電性発熱体を含む反応チャンバーを含有する反応器を準備する段階と、
ii)前記導電性発熱体を加熱する段階と、
iii)シリコン源前駆体、炭素源前駆体およびキャリアガスを混合して混合ガスを調製する段階と、
iv)前記混合ガスを前記反応チャンバーに注入する段階と、
v)前記導電性発熱体上にSiCを蒸着する段階と、
vi)蒸着したSiC結晶体を前記導電性発熱体から分離して獲得する段階と、を含むSiC結晶体の製造方法。
【請求項2】
前記反応チャンバー内部の温度が1,000℃~1,500℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性発熱体の温度を1,000℃~1,800℃まで昇温させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性発熱体は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、黒鉛、炭素繊維強化炭素(carbon fiber reinforced carbon,CFRC)、SiCおよびポリシリコーンから選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性発熱体は、一対以上のフィラメント形態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性発熱体上のSiC蒸着速度が10g/hr以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコン源前駆体は、トリクロロシラン(TCS)、ジクロロシラン(DCS)、シリコンテトラクロリド(STC)およびモノシランから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコン源前駆体は、トリクロロシラン(TCS)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素源前駆体は、プロパン(C38)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリアガスは、水素(H2)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合ガス内のシリコン源前駆体と炭素源前駆体間のSi:Cの原子比が0.5~2:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記混合ガス内のシリコン源前駆体と炭素源前駆体間のSi:Cの原子比が1:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法で製造されたSiC結晶体であって、純度が6N以上であるSiC結晶体。
【請求項14】
β相の単相を有する、請求項13に記載のSiC結晶体。
【請求項15】
α相とβ相が共存する複合相を有する、請求項13に記載のSiC結晶体。
【請求項16】
金属不純物の全含有量が1ppm以下である、請求項13に記載のSiC結晶体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度のシリコンカーバイド(silicon carbide,SiC)結晶体を製造する方法に関し、より具体的には、不純物の含有量が極めて低い高純度のSiCを優れた収率で大量生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンカーバイド(silicon carbide,SiC)は、最近、多様な電子素子および目的のための半導体材料として使用されている。シリコンカーバイドは、特に物理的強度および化学的攻撃に対する高い耐性を有するため、有用である。シリコンカーバイドは、また、耐放射性(radiation hardness)、比較的広いバンドギャップ、高い飽和電子ドリフト速度(saturated electron drift velocity)、高い操作温度、およびスペクトルの青色(blue)、紫色(violet)、および紫外線(ultraviolet)領域における高いエネルギー量子の吸収および放出を含む優れた電子的性質を有する。
【0003】
シリコンカーバイド単結晶は、高い耐酸化性および優れた電気的特性を利用して最大作動温度250℃のSi半導体の代わりに高温で使用でき、化学的に安定し、放射能などに対する耐性が強いため、特殊な環境で作動する半導体素子の製造に適しているという長所を有する。また、LED産業においてシリコンカーバイド単結晶は、LED基板に使用されるGaN成長のための基板に使用されているので、LED市長が拡大するに伴い、高純度のSiC単結晶の需要が増加し、これによって、結晶の成長に必要な原材料の需要と要求純度も増加している。
【0004】
従来の高純度のシリコンカーバイド粉末原材料の製造方法としては、多様な方法があり、一例として、アチソン法、炭素熱還元法、液相高分子熱分解法などを用いている。特に、高純度のシリコンカーバイド粉末合成法は、炭素熱還元法を用いている。すなわち、炭素源とケイ素源の材料を混合し、混合物に炭化工程および合成工程を施して、シリコンカーバイド粉末を合成することができる。しかしながら、前述のような従来方法による場合、多様な結晶相と純度を有する炭化ケイ素粉末が生成されるという限界点があった。
【0005】
韓国特許公開第10-2011-0021530号公報(特許文献1)には、PVT方法によるシリコンカーバイド単結晶の製造に使用される高純度の顆粒シリコンカーバイド粉末を製造するために、固相のシリカと固相のカーボン原料を混合した後、1,600℃~1,900℃の温度で熱炭素還元反応させて、高純度のシリコンカーバイド粉末を合成する技術が報告されている。
【0006】
米国特許登録第4,702,900号明細書(特許文献2)には、β相の高純度のシリコンカーバイド顆粒粉末を合成するために、シリコンアルコキシドと炭素化合物の種類を選択して二酸化ケイ素-炭素前駆体を製造した後、真空またはアルゴン(Ar)などのような不活性気体の条件で熱処理して、シリコンカーバイド粉末を得る技術が報告されている。
【0007】
米国特許登録第5,863,325号明細書(特許文献3)には、前記工程で製造されたシリコンカーバイド粉末の金属不純物は、数ppmの高純度のβシリコンカーバイド顆粒粉末が合成され、前記製造されたβ相のシリコンカーバイド粉末を単結晶原料として使用するための最適化された熱処理工程が開示されている。
【0008】
米国特許登録第5,704,985号明細書(特許文献4)のように、理論的SiC密度(3.2g/cm3)に近いバルクSiC形状をCVDにより商業的に生成している。当該工程で、ケイ素および炭素含有の気相前駆体は、昇温、通常、1,200℃~1,400℃で反応して固形SiCを形成し、一般的に、SiCは、黒鉛などの好適な基板に沈着される。SiとC原子を両方とも含有する単一前駆体、例えば、トリメチルシランも使用できる。高純度の前駆体が利用可能であるが、CVDにより生成された商業的な等級のバルクSiCは、商業的等級のバルクSiCが、通常、ホウ素(0.7~2ppm)、金属不純物および窒素(100ppm以下)を含有することと同様に、特に半絶縁SiC結晶に対して、SiC結晶成長における結晶源として使用するのに十分に純粋でない。
【0009】
しかしながら、前述のような従来の方法は、シリコンカーバイド粉末の経済的な製造が難しく、また、高純度で製造できないという問題点があるので、依然として高純度のSiC結晶体の大量生産方法に関する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2011-0021530号公報
【特許文献2】米国特許登録第4,702,900号明細書
【特許文献3】米国特許登録第5,863,325号明細書
【特許文献4】米国特許登録第5,704,985号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来の製造方法が有する限界点を解決し、不純物の含有量が極めて低い高純度のSiC結晶体を優れた収率で大量生産する方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明は、ベータ(β)相を有する単相またはα相とβ相が共存する複合相を有するSiC結晶体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、高純度のSiC結晶体を製造する方法であって、i)電源に連結された一対の電極および前記電極に電気的に連結された一対以上の導電性発熱体を含む反応チャンバーを含有する反応器を準備する段階と、ii)前記導電性発熱体を加熱する段階と、iii)シリコン源前駆体、炭素源前駆体およびキャリアガスを混合して混合ガスを調製する段階と、iv)前記混合ガスを前記反応チャンバーに注入する段階と、v)前記導電性発熱体上にSiCを蒸着する段階と、vi)蒸着した前記SiC結晶体を前記導電性発熱体から分離して獲得する段階と、を含むSiC結晶体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明において前記導電性発熱体の温度は、1,000℃~1,800℃まで昇温させることができ、これによって、前記反応チャンバー内部の温度が1,000℃~1,500℃で加熱される。
【0015】
前記導電性発熱体は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、黒鉛、炭素繊維強化炭素(carbon fiber reinforced carbon,CFRC)、SiCおよびポリシリコーンから選択できる。
【0016】
前記導電性発熱体は、一対以上のフィラメント形態を有していてもよい。
【0017】
前記導電性発熱体上のSiC蒸着速度は、10g/hr以上であってもよい。
【0018】
前記シリコン源前駆体は、トリクロロシラン(TCS)、ジクロロシラン(DCS)、シリコンテトラクロリド(STC)およびモノシランから選ばれる1種以上であってもよい。
【0019】
前記シリコン源前駆体は、トリクロロシラン(TCS)であってもよい。
【0020】
前記炭素源前駆体は、プロパン(C38)であってもよい。
【0021】
前記キャリアガスは、水素(H2)であってもよい。
【0022】
前記混合ガス内のシリコン源前駆体と炭素源前駆体間のSi:Cの原子比が0.5~2:1であってもよい。
【0023】
前記混合ガス内のシリコン源前駆体と炭素源前駆体間のSi:Cの原子比が1:1であってもよい。
【0024】
本発明は、前述した方法によって製造されたSiC結晶体であって、純度が6N以上であるSiC結晶体を提供する。
【0025】
前記SiC結晶体は、β相の単相またはα相とβ相が共存する複合相を有していてもよい。
【0026】
前記SiC結晶体は、金属不純物の全含有量が1ppm以下である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の製造方法は、高純度のSiC結晶体を優れた収率で大量生産することができる。
【0028】
また、本発明の方法によってSiC結晶体の高品質化および生産性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の製造方法によれば、金属不純物の全含有量が1ppm以下である前記高純度のSiC結晶体を提供することができ、前記高純度のSiC結晶体は、β相の単相またはα相とβ相が共存する複合相を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1は、本発明の実施形態による高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図である。
図2は、本発明による高純度のSiC結晶体の大量生産システムを概略的に示す構成図である。
図3は、図2に開示された大量生産システム内の反応器を概略的に示す構成図である。
図4図19は、実施例1~16で製造されたSiC結晶体内のβ相および/またはα相のピークを確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分を省略し、明細書全般において同一または同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付与した。
【0032】
実施形態の説明において、各層(膜)、領域、パターンまたは構造物が基板、各層(膜)、領域、パッドまたはパターンの「上/上方(on)」にまたは「下/下方(under)」に形成されるという記載は、直接(directly)または他の層を介在して形成されることを全部含む。各層の上/上方または下/下方の基準は、図面に基づいて説明する。
【0033】
図面において各層(膜)、領域、パターンまたは構造物の厚さやサイズは、説明の明確性および便宜のために変形することができるので、実際のサイズを完全に反映するものではない。
【0034】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0035】
本発明は、化学気相蒸着(CVD)により高純度のSiC結晶体を大量で生産する方法を提供する。
【0036】
本発明による高純度のSiC結晶体を製造する方法は、i)電源に連結された一対の電極および前記電極に電気的に連結された一対以上の導電性発熱体を含む反応チャンバーを含有する反応器を準備する段階と、ii)前記導電性発熱体を加熱する段階と、iii)シリコン源前駆体、炭素源前駆体およびキャリアガスを混合して混合ガスを調製する段階と、iv)前記混合ガスを前記反応チャンバーに注入する段階と、v)前記導電性発熱体上にSiCを蒸着する段階と、vi)蒸着した前記SiC結晶体を前記電導性発熱体から分離して獲得する段階と、を含む(図1)。
【0037】
図2は、本発明によるSiC大量生産システムを概略的に示す構成図である。図2と関連して図示しない装置構成は、通常使用される化学気相蒸着(CVD)反応器を参照して同一に適用することができる。
【0038】
図示のように、本発明によるSiC大量生産システムは、大きく、原料物質供給部100と、反応部200とで構成される。
【0039】
前記原料物質供給部100は、シリコン源前駆体供給部10と、炭素源前駆体供給部20と、キャリアガス供給部30と、混合器40と、気化器50と、を含み、シリコン源前駆体供給部10、炭素源前駆体供給部20およびキャリアガス供給部30の流量をそれぞれ調節する流量計11、21、31が設けられている。流体連結(fluid communication)を選択可能にする前記流量計11、21、31の例として、MFC、LMFC、LFCなどが使用できる。
【0040】
前記シリコン源前駆体供給部10に供給されるシリコン源前駆体(silicon source precursor)は、モノシランまたは一般組成式SiHn4-n(n=0、1、2、3;X=Cl、Br、I)で表されるハロシランが使用される。好ましくは、塩化シラン系化合物が使用できる。具体的には、トリクロロシラン(trichlorosilane,TCS)、ジクロロシラン(dichlorosilane,DCS)、シリコンテトラクロリド(silicon tetrachloride,STC)またはモノシラン(monosilane)が使用でき、好ましくは、トリクロロシラン(SiHCl3,TCS)である。
【0041】
前記炭素源前駆体供給部20に供給される炭素源前駆体(carbon source precursor)は、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素化合物であってもよく、好ましくは、プロパン(C38)である。
【0042】
前記キャリアガス供給部30に供給されるキャリアガスは、好ましくは、水素(H2)または水素(H2)と不活性ガス(例えば、He、Ar、N2)の混合物が使用でき、好ましくは、水素(H2)である。
【0043】
前記シリコン源前駆体供給部10、炭素源前駆体供給部20およびキャリアガス供給部30内部の圧力は、好ましくは2~4barである。
【0044】
前記混合器40は、流量計11、21、31から供給された原料物質を均一に混合した後、気化器50を介して反応器60内に混合ガスを流入させる。混合ガスは、シリコン源前駆体、炭素源前駆体およびキャリアガスを含む。前記気化器50は、低揮発性物質を体積で伝達することを可能にし、前駆体の熱的分解なしに再現性のある伝達および蒸着を誘導する。前記気化器50内の圧力および温度は調節することができ、気化器50内の圧力は、好ましくは、0~4barであり、気化器50内の温度は、好ましくは、50℃~400℃であり、より好ましくは、100℃~200℃の範囲であってもよい。
【0045】
前記混合器40に流入するシリコン源前駆体、炭素源前駆体およびキャリアガスを含む混合ガス内のSi:C:Hの原子比は、これらの化学元素の含有量、これらの化学元素の化学量論比によって選択できる。
【0046】
本発明の一様態において、混合ガス内のシリコン源前駆体と炭素源前駆体間のSi:Cの原子比が好ましくは、0.5~2:1であってもよく、より好ましくは、0.75~1.5:1であってもよく、さらに好ましくは、1:1であってもよい。前記範囲を満たす場合、前記導電性発熱体上に蒸着したSiCの結晶性および均一性が良好であり、供給された混合ガスからSiCへの転換効率が高くなる。
【0047】
図3は、図2に開示された大量生産システム内の反応器を概略的に示す構成図である。
【0048】
本発明は、一様態において、前記反応器60は、基板と反応器カバーを含む反応チャンバー600と、前記基板に貫通設置され、電源に連結される少なくとも一対の電極610と、電極チャックにより前記一対の電極それぞれに結合され、上端が互いに連結される一対以上の導電性発熱体620と、を含む。
【0049】
前記反応器60は、基板上に反応チャンバー600を形成し、反応器カバーは、基板にガス密閉構造で結合される。反応器60は、反応チャンバー600を形成するベルジャー(bell jar)と、ベルジャーから離隔して、相互の間に冷却剤を流すチャンバーカバーと、を含む。
【0050】
前記反応器内の一対以上の導電性発熱体620は、前記反応チャンバー600の基板の下端で電極および電極端子を介して外部の電気エネルギー供給源630に連結される。したがって、前記導電性発熱体620は、1つの電気回路を形成して、電極および電極端子を介して通電することによって加熱される。
【0051】
前記導電性発熱体620は、一対以上のフィラメントであってもよく、このようなフィラメントは、任意の形状を有していてもよい。本発明の一様態において、前記フィラメントは、一対以上のロッドフィラメントであってもよい。一対のロッドフィラメントは、反応チャンバー内で互いに離隔して直立した2つのロッドフィラメントと、これらの最上側の2つの端部を水平に連結する1つの水平ロッドフィラメントにより、ヘアピンまたはU型ロッドで形成される。また、2つのロッドフィラメントは、その下方の端部が電極と気密端子を介して外部の電気エネルギー供給源に連結されて、ワンセットのロッドフィラメントは、1つの完全な電気回路を形成する。
【0052】
本発明は、反応器内SiCが蒸着される被蒸着面を間接加熱する従来技術とは異なって、導電性発熱体620を直接加熱し、導電性発熱体620上にSiCを蒸着させる。これによって、導電性発熱体620の加熱温度調節によるSiC結晶相の微細調節が可能となるだけでなく、SiCの蒸着速度が顕著に向上し、高純度および高収率のSiC結晶体を収得することができる。
【0053】
本発明の導電性発熱体620物質としては、高融点の素材またはシリコン素材を使用する。本発明の導電性発熱体620物質の高い熱的安定性によって被蒸着面の酸化、腐食、割れなどが防止され、最終的に高純度のSiC結晶体を得ることができる。
【0054】
特に、前記導電性発熱体620物質は、金属材料に比べて高温での強度が高く、不活性雰囲気下、2000℃以上の超高温状態でも使用可能であり、高い熱的安定性を提供する。
【0055】
本発明の導電性発熱体620は、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、黒鉛、炭素繊維強化炭素(carbon fiber reinforced carbon,CFRC)、SiCおよびポリシリコーンからなる群のうち一つ以上を含む素材で製造されてもよく、好ましくは、タングステン(W)、炭素繊維強化炭素(CFRC)で製造される。また、より好ましくは、超高温下での熱的特性、寸法安定性、強度、耐腐食性などの化学的安定性の特性に優れた炭素繊維強化炭素(CFRC)を用いて前記導電性発熱体620を製造する。
【0056】
本発明の炭素繊維強化炭素(CFRC)は、炭素繊維強化炭素複合材(CFRC composite)または炭素/炭素物質(C/C物質)を含む。炭素繊維強化炭素(CFRC)は、軽量、高強度、高弾性などの物性と高耐久性および耐衝撃性を有する。特に、等方性黒鉛材質と比較して、炭素繊維強化炭素(CFRC)は、強度が高く、容易に曲がらず、割れが発生しないので、高い温度下でも高純度および高収率のSiC結晶体を提供する。
【0057】
前記炭素繊維強化炭素(CFRC)の一例として、強化マトリックスを含む炭素繊維強化炭素複合材(composite)が使用でき、前記複合材は、熱硬化性樹脂またはピッチなどの炭化物からなるマトリックスと炭素繊維を含んでもよい。
【0058】
前記導電性発熱体620は、電気エネルギー供給源630から電力を供給されて、例えば、1,000℃~1,800℃まで加熱され、好ましくは、1,400℃~1,600℃で加熱される。前記範囲を満たす場合、高収率のSiC結晶体を得ることができる。また、前記導電性発熱体620上のSiC蒸着速度が向上し、成長したSiCは、優れた結晶性、均一性および表面モフォロジーを有することとなる。究極的に、本発明によるSiC結晶体の製造方法は、SiC結晶体の高品質化および生産性を向上させる。
【0059】
前記導電性発熱体620が加熱されるにつれて、反応器内部の温度が上昇する。前記反応器内の温度は調節することができ、本発明の一様態において、約1,000℃~1,500℃まで加熱される。
【0060】
前記反応器60に流入した混合ガス中のシリコン源前駆体が熱分解し、炭素源前駆体と反応して、前記導電性発熱体上にSiCが蒸着し始め、一定の厚さ以上の厚さを有するSiC結晶体が生成される。
【0061】
本発明の一様態において、本発明は、一対以上の導電性発熱体を含む反応チャンバーからバルク形態のSiC結晶体を大量で得ることができる。
【0062】
SiC結晶体の蒸着時間は、好ましい厚さおよび粒子のサイズを有するSiC結晶体のために調節することができる。蒸着速度は、これに限定されるものではないが、蒸着温度、気化器を介して反応チャンバー内に流入する混合ガスの流量および、気化器の温度、および/または反応器の圧力を含む1つ以上の工程パラメーターに依存することができる。
【0063】
本発明の一様態において、SiCの蒸着速度は、少なくとも10g/hr以上であり、好ましくは、20g/hr以上、30g/hr以上、40g/hr以上、50g/hr以上であり、特に好ましくは、60g/hr以上であってもよい。
【0064】
必要に応じて前記反応器内の圧力を調節することができ、本発明の一様態において、1bar~3barであってもよい。
【0065】
前記反応器60で獲得したSiC結晶体は、別の装置を用いて、粉砕/破砕された後、粒子のサイズによって分級されたSiC単結晶粉末は、エッチング/洗浄後にパッケージングすることができる。
【0066】
本発明の一様態において、前述した方法で製造されたSiC結晶体は、6N以上の高純度を有し、好ましくは、7N以上、8N以上であり、特に好ましくは、9N以上の高純度を有する。
【0067】
前記SiC結晶体は、すべての不純物金属原子の含有量が1ppm以下であり、好ましくは、0.9ppm以下、0.8ppm以下、0.7ppm以下、0.6ppm以下、0.5ppm以下、0.4ppm以下、0.3ppm以下、0.2ppm以下であり、より好ましくは、0.1ppm以下と非常に低い。また、特に好ましくは、0.05ppm以下、0.04ppm以下、0.03ppm以下、0.02ppm以下または0.01ppm以下である。
【0068】
前記SiC結晶体は、β相単相またはα相とβ相の混合相であってもよく、混合相の場合、ほぼ化学量論的組成を有する。前記SiC結晶体がα相とβ相の混合相を有する場合、大部分の結晶相は、β相であってもよい。
【0069】
反応チャンバーの内部が1000℃~1500℃である場合、製造した前記SiC結晶体は、大部分がβ相である。ただし、蒸着段階でSiC結晶体内部の中心部の温度が約1,800℃以上に上昇する場合、中心部で相転移が起こり、SiC結晶体がα相とβ相の混合相を有すると考えられる。
【0070】
一方、本発明によるβ相を単独または大部分の(major)の組成で有するSiC結晶体は、電気的特性に優れ、製造時に純度が高いため、電気材料分野、特に半導体分野において使用でき、高い熱伝導度と優れた耐熱性を有する。
【実施例0071】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明が実施例によって限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
図1に示された高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図によって実験を進めたが、タングステン(W)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1050℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス中に存在するTCS、プロパンおよび水素内の各々のSi:C:Hの原子比が0.75:1:5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を25.37g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0073】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.18g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図4に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0074】
<実施例2>
タングステン(W)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1050℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を24.20g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0075】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.16g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図5に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0076】
<実施例3>
黒鉛で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1050℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を11.05g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0077】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.22g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図6に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0078】
<実施例4>
黒鉛で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1150℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を47.69g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0079】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.16g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図7に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0080】
<実施例5>
シリコン(silicon)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1050℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を24.32g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0081】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.18g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図8に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0082】
<実施例6>
シリコン(silicon)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1100℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を26.53g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0083】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.22g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図9に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0084】
<実施例7>
シリコン(silicon)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1170℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を32.07g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0085】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.19g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図10に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0086】
<実施例8>
シリコン(silicon)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1050℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を25.05g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0087】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.15g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図11に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0088】
<実施例9>
炭素繊維強化炭素(CFRC)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1050℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を30.58g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0089】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.18g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図12に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0090】
<実施例10>
炭素繊維強化炭素(CFRC)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1170℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を39.66g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0091】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.20g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図13に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0092】
<実施例11>
炭素繊維強化炭素(CFRC)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1150℃(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が0.75:1:5.5となるようにし、混合ガスは10SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を30.94g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0093】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.16g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図14に示されたように、α、β相のピークが一緒に存在することを確認することができる。
【0094】
<実施例12>
図1に示された高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図によって実験を進めたが、CFRC(Carbon Fiber Reinforced Carbon)で製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1500℃以上(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が1.5:1:5.5となるようにし、混合ガスは5SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を49.4g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0095】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.15g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図15に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0096】
<実施例13>
図1に示された高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図によって実験を進めたが、CFRCで製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1500℃以上(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が1:1:5.5となるようにし、混合ガスは5SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を40.9g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0097】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.18g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図16に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0098】
<実施例14>
図1に示された高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図によって実験を進めたが、CFRCで製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1500℃以上(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が1:1:5.5となるようにし、混合ガスは5SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を41.6g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0099】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.19g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図17に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0100】
<実施例15>
図1に示された高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図によって実験を進めたが、CFRCで製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1500℃以上(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が1:1:5.5となるようにし、混合ガスは5SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を40.6g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0101】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.17g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図17に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【0102】
<実施例16>
図1に示された高純度のSiC結晶体を製造するプロセスフロー図によって実験を進めたが、CFRCで製作された導電性発熱体を化学気相蒸着のための反応器内に設置し、電極に連結した。導電性発熱体を加熱して、反応チャンバー内部の温度が約1500℃以上(パイロメーターで測定)となるようにし、シリコン源前駆体としてTCS(SiHCl3)を使用し、炭素源前駆体としてプロパン(C38)を使用し、キャリアガスとして水素(H2)を使用して、これらを混合器で混合した後、気化させて、反応チャンバーに注入した。この際、混合ガス内存在するTCS、プロパンおよび水素内それぞれのSi:C:Hの原子比が1:1:5.5となるようにし、混合ガスは5SLMの速度で注入し、SiCの蒸着速度を41.5g/hrとして蒸着工程を進行した。
【0103】
前記導電性発熱体に蒸着したSiC結晶体を分離して獲得し、獲得したSiCの密度は3.17g/cm3であった。獲得したSiCの物性を分析するために、X-ray回折分析を実施し、その結果、図19に示されたように、β相のピークが最も大きいことを確認することができる。
【符号の説明】
【0104】
100 原料物質供給部
200 反応部
10 シリコン源前駆体供給部
20 炭素源前駆体供給部
30 キャリアガス供給部
40 混合器
50 気化器
60 反応器
11、21、31 流量計
600 反応チャンバー
610 一対の電極
620 導電性発熱体
630 電気エネルギー供給源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19