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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071627
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】電動駆動装置を備えた地面締固め装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/046 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
E02D3/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180055
(22)【出願日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10 2021 129 422.3
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュテフェン
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043CB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り少ない個数の構成要素を備えたコンパクトな構造を可能にする、振動タンパとして働く地面締固め装置の提供。
【解決手段】地面締固め装置であって、上側質量体(1)と、該上側質量体(1)に対して相対的に可動であり、かつ上側質量体(1)にばね装置(3)を介して連結された、地面を締め固めるための接地エレメント(4)を備えた下側質量体(2)とを備えており、上側質量体(1)に、接地エレメントの作業運動を引き起こすための駆動装置が設けられており、駆動装置が、突固め装置と、突固め装置を駆動する電動モータ(20)とを有しており、突固め装置が、電動モータ(20)により回転駆動可能なクランクホイール(23)と、クランクホイール(23)に連結されたコンロッド(25)と、コンロッド(25)に連結された、往復運動可能な突固めピストン(26)とを有しており、突固めピストン(26)が、ばね装置(3)と協働する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面締固め装置であって、
上側質量体(1)と、
該上側質量体(1)に対して相対的に可動であり、かつ前記上側質量体(1)にばね装置(3)を介して連結された、地面を締め固めるための接地エレメント(4)を備えた下側質量体(2)と、
を備えており、
前記上側質量体(1)に、前記接地エレメントの作業運動を引き起こすための駆動装置が設けられており、
前記駆動装置が、突固め装置と、該突固め装置を駆動するための電動モータ(20)とを有しており、
前記突固め装置が、前記電動モータ(20)により回転駆動可能なクランクホイール(23)と、該クランクホイール(23)に連結されたコンロッド(25)と、該コンロッド(25)に連結された、往復運動可能な突固めピストン(26)とを有しており、該突固めピストン(26)が、前記ばね装置(3)と協働し、
前記電動モータ(20)が、ステータ(21)とロータ(22)とを有しており、かつ
前記ロータ(22)が、前記クランクホイール(23)に固定的または弾性的に連結されている、地面締固め装置。
【請求項2】
前記ロータ(22)が、前記クランクホイール(23)の周面に形成されている、請求項1記載の地面締固め装置。
【請求項3】
前記ロータ(22)が、複数のロータ磁極を有しており、該ロータ磁極が、前記クランクホイール(23)の前記周面に配置されている、請求項1または2記載の地面締固め装置。
【請求項4】
前記ロータ磁極が、層状に構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項5】
前記ロータ磁極が、前記クランクホイール(23)と一緒に層状に構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項6】
前記クランクホイール(23)が、非層状に構成されていて、前記周面において前記層状のロータ磁極を支持している、請求項1から5までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項7】
前記ステータ(21)が、前記ロータ(22)を360°未満の角度にわたって取り囲んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項8】
前記ステータ(21)が、前記地面締固め装置の規定通りの作業位置で、前記ロータ(22)の上側に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項9】
少なくとも2つのクランクホイール(23)が設けられており、該クランクホイール(23)の周面に、それぞれ1つのロータ(22)が設けられており、
前記コンロッド(25)を、両クランクホール(23)が一緒に駆動する、請求項1から8までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項10】
前記駆動装置の少なくとも一部が、駆動装置ケーシング(28)により取り囲まれており、
前記ロータ(22)および前記ステータ(21)を冷却するために前記駆動装置ケーシング(28)内に冷却空気流を形成するために、空気流形成装置が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項11】
前記空気流形成装置が、以下の作用原理、すなわち
前記突固めピストン(26)の運動により、前記冷却空気流を形成するための空気ポンプ作用を引き起こすことができること、
前記ロータ(22)に、前記冷却空気流を形成するための少なくとも1つのファン翼(29)が設けられていること、
のうちの少なくとも1つの作用原理を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項12】
前記駆動装置ケーシング(28)に、周辺から空気を流入させるための空気入口(30)と、前記周辺に空気を流出させるための空気出口(31)とが設けられており、
前記空気入口(30)に、前記周辺から前記駆動装置ケーシング(28)内への空気流方向を設定するための逆止弁(32)が設けられており、かつ
前記空気出口(31)に、前記駆動装置ケーシング(28)から前記周辺への空気流方向を設定するための逆止弁(33)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【請求項13】
前記ロータ(22)の回転数、ひいては該ロータ(22)の1回転または複数回の回転を介した前記クランクホイール(23)の回転数が変更可能であるように前記電動モータを制御するための、モータ制御装置が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の地面締固め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動駆動装置を備えた地面締固め装置に関する。
【0002】
このような地面締固め装置、特にいわゆる振動タンパまたは揺動タンパは、多様に公知であり、地面ならびにアスファルト層の締め固めのために使用される。この場合に、タンパは、多様に内燃機関、例えば2サイクルエンジンにより駆動される。電気的な駆動モータを設けることも知られている。
【0003】
電動駆動装置では通常、電動モータが比較的高い回転数で駆動され、減速伝動装置を介して、突固めシステムとして働くばね-質量体システムを駆動する。この場合、電気的な駆動モータには、電流網から、または携帯式のバッテリから給電される。
【0004】
電気的な駆動モータは、ステータおよびロータを有している。短絡ロータとブラシレスの直流モータ(BLDCモータ)とを備えた非同期機が適していることが判明した。
【0005】
駆動モータの構造形態および振動タンパの作業形式に基づいて、突固めシステムによって要求される回転数(突固め周波数)を適合させるために、減速伝動装置が必要である。この種の伝動装置は、構造スペースと付加的な構成要素とを必要とする。さらに、このことは駆動装置の効率を低下させ、このことは特に、使用可能なバッテリの制限された電気的な容量に基づいて不都合に作用する。
【0006】
図1は、上側質量体1と、この上側質量体1に対して相対的に可動の下側質量体2とを備えた、先行技術から公知の振動タンパの例を示している。下側質量体2は、ばね装置3を介して上側質量体1に連結されている。ばね装置3は、ばね質量体システムを支援し、ばね質量体システムでは、上側質量体1を介して導入された強制運動が、下側質量体2に設けられた接地プレート4のばね弾性的な突固め運動を引き起こす。
【0007】
上側質量体1には、電動モータ5が設けられている。この電動モータ5は、減速伝動装置6を介してクランクホイール7を回転駆動する。クランクホイール7には、コンロッド9に連結されているクランクピン8が設けられている。コンロッド9は、突固めピストン10にも連結されており、突固めピストン10の端部は、ばね装置3と自体公知の形式で協働する。
【0008】
グリップ装置11、例えばグリップハンドルが、振動絶縁装置12、例えばゴム緩衝材を介して上側質量体1に取り付けられている。操作者は、振動タンパを手でグリップ装置11においてガイドすることができる。
【0009】
グリップ装置11には、バッテリ13の形態のエネルギ蓄え装置が取り付けられている。
【0010】
従来の振動タンパの、図1に示された実施形態では、バッテリ13が、電動モータ5に接続されており、これによって、電動モータ5への電気的な供給線路だけでなく、バッテリ13および電動モータ5を介した冷却空気流をガイドすることができる。冷却空気流は、図示されていないブロワによって、例えば電動モータ5に設けられたファンによって形成することができる。
【0011】
様々な構成部材をタンパに収容することができるようにするために、駆動モータは通常、突固め軸線の外側に配置されなければならず、したがってその結果、タンパの運転時に傾倒モーメントが生じ、この傾倒モーメントが、タンパの作用を減じ、ガイド性を悪化させる。
【0012】
本発明の根底を成す課題は、可能な限り少ない個数の構成要素を備えた特にコンパクトな構造を可能にする、振動タンパとして働く地面締固め装置を提供することである。
【0013】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を備えた地面締固め装置により解決される。好適な構成は、従属請求項に記載されている。
【0014】
地面締固め装置であって、上側質量体と、該上側質量体に対して相対的に可動であり、かつ上側質量体にばね装置を介して連結された、地面を締め固めるための接地エレメントを備えた下側質量体とを備えており、上側質量体に、接地エレメントの作業運動を引き起こすための駆動装置が設けられている、地面締固め装置が記載される。駆動装置が、突固め装置と、この突固め装置を駆動するための電動モータとを有しており、突固め装置が、電動モータによって回転駆動可能なクランクホイールと、クランクホイールに連結されたコンロッドと、このコンロッドに連結された往復運動可能な突固めピストンとを有しており、突固めピストンが、ばね装置と協働する。電動モータは、ステータとロータとを有しており、かつロータは、クランクホイールに固定的または弾性的に連結されている。
【0015】
したがって、ロータとクランクホイールとは、いわば1つのユニットを形成する。ロータとクランクホイールとの間の相対回転は、例えば弾性的に連結されている場合の許容可能な弾性を除いて、不可能である。ロータとクランクホイールとの間に、先行技術において必要とされているような伝動装置、特に減速伝動装置も介在していない。
【0016】
電動モータは、リラクタンス機、特に同期リラクタンス機であってよい。この場合、セグメント化されたステータを備えた同期リラクタンス機が特に適していることが判った。この同期リラクタンス機では、ステータが、所定の角度範囲にわたってのみ延びている(ステータブロック)。
【0017】
ロータとクランクホイールとの直接的な連結により、さもなければ介在されている減速伝動装置が不要であるので、著しい個数の構成部材を節減することができる。電動モータを相応に構成することにより、電動モータを、既に突固め工程および所望の突固め周波数に適している低い回転数で運転することが可能である。したがって、電動モータは、この低い回転数において、突固め工程を力強く実施することができるようにするために、十分なトルクを提供しなければならない。この場合に、リラクタンス機が特に適している。
【0018】
減速伝動装置の省略は、地面締固め装置の特にコンパクトな構造を可能にし、この地面締固め装置は、構成要素の有利な重量分布もしくは質量分布をさらに可能にする。すなわち、電動モータおよび突固め装置の相応の構成では、電動モータの重心が、突固め軸線上に、つまり下側質量体および突固めピストンの運動の長手方向軸線上に配置されていることが可能である。下側質量体の運動と電動モータの重心との間で、てこ作用は存在しない。これにより、タンパの運転時の望ましくない傾倒モーメントを回避することができる。
【0019】
ロータが、クランクホイールの周面に形成されていてよい。この実施形態では、ロータは、いわばクランクホイールに代替されるか、もしくはロータは、クランクホイールの部分になる。これにより、ロータとクランクホイールとを1つの部分に統合することができる。この場合、ロータは、半径方向の外面において、クランクホイールの周面に配置されていてよい。クランクホイールとロータとは、1つのユニットを形成しており、これにより、ロータは、クランクホイールの機能、つまり特にコンロッドの駆動もしくは運動を引き受けることができる。これによって、ロータとクランクホイールとを結合するための古典的なモータシャフトが不要となる。
【0020】
クランクホイールの外周面は、ロータとして用いることができるようにするために、適切な形式で構成されていなければならない。
【0021】
したがってロータは、クランクホイールの周面に配置されていてよい複数のロータ磁極を有していてよい。
【0022】
ロータ磁極は、層状に構成されていてよく、つまり互いに上下に重ねられた金属薄板の形態で積層金属薄板を形成する。電磁的な理由から、ロータのために層状の構造体を設けることができ、これにより、ロータ磁極、もしくはこれによりロータ磁極により形成される磁極ホイールが、積層された金属薄板により形成されることが望ましい。
【0023】
ロータ磁極は、クランクホイールと一緒に構成されていてよい。つまり、ロータ磁極とクランクホイールとは一緒に、互いに上下に重ねられた金属薄板から成っている。金属薄板は、例えば、ロータ磁極の輪郭を周面に、クランクホイールの輪郭を内部に含んでいてよい。金属薄板を互いに上下に重ね、組み立てることにより、ロータ磁極を備えたロータとクランクホイールとが形成される。金属薄板は、適切な形式で、例えばピン結合(プレス嵌め)またはねじ結合により纏めることができる。
【0024】
1つのバリエーションでは、クランクホイールは、非層状に構成されてもよく、その周面において層状のロータ磁極、つまり層状の磁極ホイールを支持することができる。したがってクランクホイールは、中実に、例えば旋削加工部材(鋼旋削加工部材または鋳鉄旋削加工部材)として構成されていてよい。クランクホイールは、ロータ金属薄板を備えたロータのための支持体として働き、その周面においてロータ磁極のための積層された金属薄板を支持している。したがって、積層金属薄板リングが、クランクホイールの周面に取り付けられる。
【0025】
ステータは、ロータを、360°未満の角度にわたって取り囲んでいてよい。これにより、このバリエーションでは、モータステータは、もはや閉じた回転部材もしくは閉じたリングとして構成されていなくてよく、規定された角度範囲にわたってのみ延びていてよい。したがって、ステータは、ステータセグメントまたはステータブロックとして構成されていてよく、例えば270°以下、180°以下、120°以下、または90°以下の角度にわたって延びていてよい。
【0026】
したがって、複数のステータセグメントもしくはステータブロックをロータの周面に分配することも可能であり、これにより、モータの性能および特にモータのトルクを拡大させることができる。
【0027】
ステータが、地面締固め装置の規定通りの作業位置においてロータの上側に配置されていてよい。例えば、ステータは、モータカバー内に、もしくは駆動装置ケーシングもしくはクランクケーシングのカバー内に保持されていてよい。この場合にステータは、ロータと構造的なユニットを有していなくてよい。特に、ステータとロータとが、クランクホイールとは別個に1つの共通の電動モータケーシングに収容されていなくてもよい。むしろステータ、ロータおよびクランクホイールは、1つの共通のケーシング内に配置されているか、または互いに別個に配置されていてもよい。
【0028】
1つのバリエーションでは、少なくとも2つのクランクホイールが設けられていてよく、これらのクランクホイールの周面には、それぞれ1つのロータが設けられており、コンロッドを、両クランクホイールが一緒に駆動する。したがって、この実施形態では、複数のロータおよびステータが設けられていてもよく、これにより、突固め装置の特に力強い駆動が可能である。
【0029】
特に両クランクホイールと、これらのクランクホイールに所属するロータとは、互いに同軸的に位置調整されていてよく、これにより、コンロッドを所望の形式で駆動することができる。
【0030】
駆動装置の少なくとも一部は、駆動装置ケーシングにより取り囲まれていてよく、ロータおよびステータを冷却するために駆動装置ケーシング内に冷却空気流を形成させるために、空気流形成装置が設けられていてよい。したがって、駆動装置ケーシングは、クランクケーシングまたはモータケーシングとしても理解することができ、駆動装置ケーシングの内部に、特にステータ、ロータ、クランクホイールおよびコンロッドの少なくとも一部、場合によっては突固めピストンの一部も収容されている。
【0031】
空気流形成装置により、駆動装置ケーシングの内部に冷却空気流を形成し、したがってロータおよびステータから、場合によっては突固め装置からも熱を排出することが可能である。
【0032】
空気流形成装置は、以下の作用原理、すなわち、突固めピストンの運動により、冷却空気流を形成するための空気ポンプ作用を引き起こすことができること、またはロータに、冷却空気流を形成するための少なくとも1つのファン翼が設けられていることのうち少なくとも1つの作用原理を有していてよい。したがって一方では突固めピストン、他方ではロータは、所望の冷却空気流を形成するもしくは支援することができる空気運動を意図的に形成させる有効面積を有している。
【0033】
駆動装置ケーシングには、周辺から空気を流入させるための空気入口と、周辺に空気を流出させるための空気出口とが設けられていてよく、空気入口に、周辺から駆動装置ケーシング内への空気流方向を設定するための逆止弁が設けられていてよく、かつ空気出口に、駆動装置ケーシングから周辺への空気流方向を設定するための逆止弁が設けられていてよい。
【0034】
したがって、逆止弁は、単に1つの方向、すなわち空気入口を介した駆動装置ケーシング内への空気流または空気出口を介した駆動装置ケーシングからの空気流を許容する方向弁である。逆止弁は、例えば空気流方向に応じて該当する開口を開閉するゴムフラップ状のエレメントを有していてよい。
【0035】
したがって、突固めピストンの運動時のポンプ作用ひいては駆動装置ケーシングの内部の空気体積の変化に関連して、新鮮な空気を、周辺から空気入口を介して駆動装置ケーシング内に吸い込み、突固めピストンの圧縮作用時に、空気出口を介して排出することができる。これにより、駆動装置ケーシングの内部で恒常的な空気交換、ひいては冷却作用を達成することができる。
【0036】
ロータの回転数、ひいてはロータの1回転または複数回の回転を介したクランクホイールの回転数が変更可能であるように電動モータを制御するためのモータ制御装置が設けられていてよい。したがって、モータ制御装置は、回転数、ひいてはトルクの意図的な変更のために働く。したがって、この変更は、突固めシステム、ひいては締め固めるべき地面の反動に基づいているだけでなく、モータ制御装置による意図的な制御に基づいている。
【0037】
これにより、突固めプロセスをダイナミクス化し、かつ機械を落ち着かせるためにも使用することができる、突固め基部の運動の変動が可能である。例えば、突固め装置が硬い地面上を跳ねている場合、モータの駆動エネルギが減じられ、これにより突固め装置を落ち着かせることができる。
【0038】
同様に、回転数の短期的な上昇により、突固め装置の二重打撃を、締め固めるべき地面に作用させることも可能である。またこのことは、突固め装置をガイドする操作者に作用する反発力を、同時的に高い突固めエネルギがある場合に減じることができることにつながる。
【0039】
モータ制御装置を用いて、トルクもスケーリングすることができ、これにより種々異なる力の衝撃を地面に加えることができる。
【0040】
本発明の上述の利点および特徴ならびに別の利点および特徴を、以下に、例をもとに添付の図面を用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】地面締固め装置としての、先行技術から公知の振動タンパを示す図である。
図2】本発明に係る地面締固め装置としての振動タンパを断面して示す側面図および正面図である。
図3】本発明による振動タンパの種々異なるバリエーションを断面して示す正面図である。
図4】本発明による振動タンパの別のバリエーションを示す図である。
図5】ロータおよびクランクホイールの固定的な連結部を備えた振動タンパの1つのバリエーションを示す図である。
図6】空気流形成装置を備えた振動タンパを示す図である。
図7】空気流形成装置のバリエーションを示す図である。
図8】空気流形成装置の別の1つの実施形態を示す図である。
図9】取付け可能なグリップ装置を備えた振動タンパを示す図である。
図10】本発明による振動タンパの1つのバリエーションを示す図である。
【0042】
図2は、本発明による地面締固め装置としての振動タンパを、左図部分では側面からの断面図で、右図部分では正面から断面図で示している。構成要素が、機能的に図1に示した先行技術に関連して上記で説明した振動タンパの構成要素に対応する限り、同一の参照符号が使用される。
【0043】
したがって、振動タンパは、上側質量体1と、この上側質量体1に対して相対的に可動である下側質量体2とを有している。下側質量体2は、ばね装置3を介して上側質量体1に連結されている。ばね装置3は、ばね質量体システムを支援しており、ばね質量体システムでは、上側質量体1を介して導入された強制運動(突固めピストンの線形の往復運動)が、下側質量体2に設けられた接地プレート4のばね弾性的な突固め運動を引き起こす。
【0044】
グリップ装置11、例えばグリップハンドルは、振動絶縁装置12、例えばゴム緩衝材を介して上側質量体1に取り付けられている。操作者は、振動タンパを手でグリップ装置11においてガイドすることができる。グリップ装置11には、バッテリ13の形態のエネルギ蓄え装置が取り付けられている。
【0045】
上側質量体1の内部には、ステータ21およびロータ22を備えた電動モータ20が設けられている。電動モータ20は、同期リラクタンス機として構成されており、ステータ21は、セグメント化されたステータであり、このステータは、図2の右図部分において確認可能であるように、約90°の範囲にわたってのみ延びている。
【0046】
ロータ22は、クランクホイール23の外周面に配置されている。これにより、クランクホイール23は、電動モータ20の一体的な構成部分であり、伝動装置が介在することなしに、電動モータ20により直接駆動される。
【0047】
この場合、ロータ22は、図2の左図部分において確認可能であるように、クランクホイール23の厚さより幾らか幅広に形成されていてよく、ロータ22は、クランクホイール23を幾らか覆っている。
【0048】
クランクホイール23は、クランクピン24を介してコンロッド25を駆動し、コンロッド25はさらに突固めピストン26を自体公知の形式で線形に往復運動させる。突固めピストン26は、突固めピストン26のガイドされた往復運動に基づいて、接地プレート4のばね弾性的な突固め運動を達成するために、ばね装置3と協働する。
【0049】
上側質量体1において、バッテリ13もグリップ装置11に設けられており、グリップ装置11は、振動絶縁装置12を介して上側質量体1に結合されている。バッテリ13は、電動モータ20へのエネルギ供給のために使用される。
【0050】
ロータ22は、層状に構成されており、したがって積層金属薄板を有しており、この積層金属薄板は、例えば旋削加工部材または鍛造部材として構成されたクランクホイール23上に取り付けられているか、もしくはクランクホイール23により支持されている。1つのバリエーションでは、ロータ22とクランクホイール23とを一緒に積層された金属薄板により形成する、つまりロータ22とクランクホイール23とが層状に構成されていることが可能である。
【0051】
図3は、互いに異なって形成されたロータ磁極を備えた、互いに異なって構成されたロータ22をそれぞれ有する、図2に示したタンパの様々異なるバリエーションを示している。特に図3のa~fに示した種々異なるバリエーションでは、ロータが、互いに異なるロータ磁極数を有していることが確認可能である。
【0052】
詳細には、種々異なるバリエーションは、以下の特徴を有している。
a:クランクホイールと、同期リラクタンスリングモータとの組み合わせ
b:クランクホイールとしての同期リラクタンスロータ
c:周面に配置された磁石を備えたクランクホイール
d:周面および/または内側に配置された磁石を備えたクランクホイール
e:非同期モータロータとしてのクランクホイール;組み合わせとしても可能
f:非同期モータ、磁石モータまたは同期リラクタンスモータにおける成形された磁極。
【0053】
図4は、左図部分aにおいて、2つのクランクホイール23が、周面に配置されたロータ22により駆動される1つのバリエーションを示している。対応して、互いに同軸的に配置された2つの電動モータ20が設けられている。クランクホイール23はコンロッド25を一緒に駆動する。二重のモータ配置により、特にコンパクトで力強い駆動を実現することができる。
【0054】
図4bに示したバリエーションでは、ロータ22が、クランクホイール23に対して軸方向でずらされて配置されている。これにより、突固め軸線に沿った重量分布を最適に構成することができる。
【0055】
図5は、図4bに示したバリエーションとは別の実施形態を示している。この実施形態では、ロータ22とクランクホイール23とは、1つの共通の軸27上に互いに同軸に配置されており、軸・ハブ結合部(ここでは平行キー結合部)によって、少なくとも周方向で形状結合式に互いに連結されている。
【0056】
図6は、図2に示した振動タンパに類似した振動タンパを示している。
【0057】
さらに、突固めピストン26はばね装置3と一緒に一種の空気ポンプを形成することが明らかであり、この空気ポンプは、電動モータ20、クランクホイール23および突固め装置の一部を取り囲んでいる駆動装置ケーシング28の内部で空気を周期的に圧縮および減圧する。
【0058】
交互に圧縮と減圧とによって、空気は駆動装置ケーシング28の内部で運動し、これによって、電動モータ20の構成要素を冷却する冷却空気流が発生する。
【0059】
図7は、空気流形成装置を備えた別の1つの実施形態を示している。空気流形成装置は、ロータ22もしくはクランクホイール23に配置されているファン翼29を有している。ロータ22およびクランクホイール23の回転により、空気が駆動装置ケーシング28の内部で循環させられ、これにより冷却作用が生じる。
【0060】
図8には、空気流形成装置の別のバリエーションを示している。
【0061】
この原理は、図6の図面に基づいており、これにより、ばね装置3による下側質量体2の線形運動によって、駆動装置ケーシング28の内部でポンプ作用が達成される。駆動装置ケーシング28は、空気入口30と空気出口31とを有している。空気入口30は、空気通路30aを介して第1の逆止弁32(入口逆止弁32)に接続されている。空気出口31には、出口逆止弁33が設けられている。
【0062】
図8はさらに、入口逆止弁32と空気入口30との間を延びる空気通路30aを介して空気がバッテリ13にわたってガイドされ、これにより空気が、駆動装置ケーシング28の内部に到達するまでに、まずバッテリ13を冷却することを示している。
【0063】
駆動装置ケーシング28の内部における、下側質量体2の突固め運動中に交番する正圧と負圧とによって、空気は交互に、入口逆止弁32および空気入口30を介して駆動装置ケーシング28に吸い込まれ、かつ空気出口31および出口逆止弁33を介して排出される。したがって、下側質量体2のポンプ運動によって、駆動装置ケーシング28の内部に恒常的な冷却空気流を引き起こすことができる。
【0064】
図9は、折畳み可能なグリップハンドル34を備えた本発明による突固め装置の一例を示しており、図9の左図部分には、グリップハンドル34が折り畳まれた位置、例えば特にコンパクトな搬送位置で図示されている一方で、グリップハンドル34は右図部分では、開かれた位置、つまり運転位置もしくは作業位置で示されている。
【0065】
バッテリ13は、空気通路30aとして働く弾性的なホース35を介して駆動装置ケーシング28に接続されていてよく、これにより、上述の形式の冷却空気ガイドを可能にし、かつグリップハンドル34の折畳みを可能にすることができる。
【0066】
図10は、図2に示した振動タンパに対するバリエーションを示している。ステータ21は、ロータ22の回転軸線の方向に、つまりロータ22に対して相対的に、ひいてはクランクホイール23に対しても相対的に、90°だけ旋回させられている。これにより、駆動装置ケーシング28の、ひいてはタンパ全体の構造高さを減じることができる。
【0067】
少なくともバッテリ13のケーシングと駆動装置ケーシング28との間に延びる空気通路30aは、示された全てのバリエーション、特に図2図4図8および図10のバリエーションにおいても、所定の弾性を有していることが望ましく、これにより、上側質量体1の駆動装置ケーシング28に対する、バッテリ13を支持するグリップ装置11の相対運動を補償することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】