(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071639
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】水中推進ユニット
(51)【国際特許分類】
B63H 20/32 20060101AFI20230516BHJP
B63H 20/00 20060101ALI20230516BHJP
B63H 20/28 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B63H20/32 100
B63H20/00 610
B63H20/32 710
B63H20/28 100
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181262
(22)【出願日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10 2021 129 462.2
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517169377
【氏名又は名称】トルキード ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュッセ、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】シュペングラー、アントン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツェ、セドリック
(57)【要約】
【課題】冷却、流れの最適化、およびコスト節約という相反する目標に対する解決法となる、改良された水中推進ユニットを提供する
【解決手段】本発明は、好ましくは船外機又はポッド駆動用の水中推進ユニット(10)に関し、水が周囲を流れるように設計されたプラスチックハウジング(1)と、電気駆動部(3)が収容される金属ハウジング(2)とを備え、前記電気駆動部(3)が前記金属ハウジング(2)内に水密状態で封止されるように収容され、前記金属ハウジング(2)が前記プラスチックハウジング(1)の内側に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中推進ユニット(10)は、好ましくは、船外機又はポッド駆動装置のために、水が周囲を流れるように設計されたプラスチックハウジング(1)と、電気駆動部(3)が受け入れられる金属ハウジング(2)とを備え、
前記電気駆動部(3)が、水密に周囲から密閉されるように前記金属ハウジング(2)内に受け入れられ、前記金属ハウジング(2)が、前記プラスチックハウジング(1)の内側に配置されることを特徴とする、水中推進ユニット(10)。
【請求項2】
前記プラスチックハウジング(1)は、流路(5)を介して連結される開口(4)を備え、前記プラスチックハウジング(1)は、前記プラスチックハウジング(1)の周囲を水が流れる状態で、少なくとも水が部分的に前記金属ハウジング(2)の周囲を流れるように設計されていることを特徴とする、請求項1記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項3】
前記プラスチックハウジング(1)は、前方領域に入口開口(4’)を備え、後方領域に出口開口(4’’)を備え、前記流路(5)は、前記水中推進ユニット(10)の長手方向軸(L)に沿って延在することを特徴とする、請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項4】
前記流路(5)は、少なくとも一部が前記金属ハウジング(2)により形成されていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項5】
前記プラスチックハウジング(1)は、シャフトチューブ(6)に接続され、前記接続は、シャフトチューブモールディング(7)を介して達成されることが好ましい、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項6】
前記電気駆動部(3)が、電気モーター(31)、オプションの動力伝達装置(30)及び/又は電子部品を備え、駆動シャフト(8)を介してプロペラ(9)を駆動することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項7】
前記金属ハウジング(2)は、前端部に前管シール(61)を備え、後端部に後管シール(62)を備えた金属管(60)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項8】
前記金属ハウジング(2)が前端部にケーブル(65)をシールするケーブルシール(63)を備え、および/または後端部に、シャフトシール(64)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項9】
前記プラスチックハウジング(2)が、複数の流路(5)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項10】
前記流路(5)が長手方向リブ(20)によって互いに分離され、前記長手方向リブ(20)が更に前記金属ハウジング(2)と前記プラスチックハウジング(1)とを互いに固定することを特徴とする、請求項9に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項11】
前記流路(5)はそれぞれ、前記プラスチックハウジング(1)の個別の入口開口(4’)および/または出口開口(4’’)に開口することを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項12】
流路(5)が、それぞれ共通の入口開口または出口開口を有する共通の入口ディストリビュータおよび/または出口ディストリビュータに開口することを特徴とする、請求項8または請求項10に記載の水中推進ユニット。
【請求項13】
前記金属ハウジング(2)は、前記プラスチックハウジング(1)のほぼ中央に配置され、前記プラスチックハウジング(1)は、前記金属ハウジング(2)と前記プラスチックハウジング(1)との間にケーブルガイドチャネル(50)を備えることが好ましい、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項14】
開口(4)及び/又は流路(5)は、固定式又は可変式の流量制限手段を備え、前記流量制限手段によって、前記流路(5)を通る流れが調節可能であることを特徴とする、請求項2から請求項13のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項15】
開口(4)及び/又は流路(5)は、タービュレータを備え、前記タービュレータは、前記金属ハウジング(2)に接続されていることが好ましい、請求項2から請求項13のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項16】
シャフトチューブ(6)は、前記金属ハウジング(2)に直接接続されており、好ましくは、前記金属ハウジングに溶接及び/又はねじ止め及び/又はリベット止めされており、及び/又は前記シャフトチューブ(6)は、前記金属ハウジング(2)と一体に形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項17】
少なくとも2つの水中推進ユニット(10)が同一構造の電気駆動部(3)および/または同一構造の金属ハウジング(2)を含み、各電気駆動部(3)は、特定の異なる出力クラスに事前設定され、前記プラスチックハウジング(1)の少なくとも1つの寸法は、前記事前設定された出力クラスに応じて選択されることを特徴とする、請求項1から請求項16の何れか一項に記載の水中推進ユニット(10)を少なくとも2つ備えるシステム。
【請求項18】
第1の水中推進ユニット(10)は、第2の水中推進ユニット(10)よりも高い出力クラスに予め設定されており、前記第1の水中推進ユニット(1)の前記プラスチックハウジング(1)は、前記第2の水中推進ユニット(10)の前記プラスチックハウジング(1)よりも大きな断面および/または大きな長さを有することを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の水中推進ユニット(10)を備えるボート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が周囲を流れるように設計されたプラスチックハウジングと、電気駆動部を有する金属ハウジングとを備える水中推進ユニットに関する。本発明は、さらに、この種の少なくとも2つの水中推進ユニットを備えるシステムに関する。本発明は、さらに、この種の水中推進ユニットを有するボートに関する。
【背景技術】
【0002】
水中推進ユニットには電気駆動部が装備されていることが多い。電気式水中推進ユニットの開発は、複数の競合する要求を受ける。
【0003】
一方では、電気駆動部またはその電力構成要素が過熱することを防止するために、良好な熱コンダクタンスを有する材料で推進ユニットを支持することが必要である。このため、推進ユニットは金属製ハウジング内に取り付けられることが多い。一方、水中推進ユニットは、水が周囲を流れるときの摩擦損失を低く抑えるために、最適な流動性を備えていなければならない。この場合、特殊なコーティング又は少なくとも特に良好な表面品質がしばしば用いられる。さらに、金属ハウジングは、環境の影響、特にそれに伴う腐食に対して保護されなければならない。しかし、耐水性の低い金属ハウジングと保護コーティングとの組み合わせは、かなりのコストを伴う。このことは、特にコストを節約するという更なる重要な要求に反する。従って、水中推進ユニットの開発において、特に低出力クラスに対して、冷却、流れの最適化、及びコスト低減という、相反する目標が存在する。さらに、水中推進ユニットの設計は市場性において重要である。これらの相反する目標の個々の側面は、従来技術で論じられている。
【0004】
EP 2 762 402 A2は、船舶用の推進ユニットを開示しており、推進ユニットの冷却は、モータが内側からも外側からも冷却されるという点で達成される。
【0005】
船舶駆動装置は米国2004014380号A1から知られており、ハウジング内に電気モータを備え、さらに推進ユニットを冷却することができるフロー開口部を備えている。
【0006】
US 20070173140 A1は、プラスチックのハウジング内に電気駆動装置を備える一体化された船外機を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術から知られている解決法の欠点は、公知の教示のいずれも、冷却、流れの最適化、およびコスト節約という相反する目標に対する満足すべき解決法を可能にしないことである。いずれにせよ、従来技術によれば、ハウジングは金属から製造され、その結果、流れの最適化のために、労力とコストのかかる方法で、それは再加工されなければならない。又はハウジングはプラスチック材料で作られ、その結果、電気駆動部の冷却が最適ではない。
発明の提示
【0008】
公知の従来技術に基づき、本発明の課題は、改良された水中推進ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題は、請求項1の特徴を有する水中ユニットによって達成される。有利な発展は、従属請求項、明細書及び図面に見ることができる。
【0010】
好ましくは船外機またはポッド駆動装置用の水中推進ユニットが提案され、このユニットは、水が周囲を流れるように設計されたプラスチック製のハウジングと、電気駆動部が受け入れられる金属製のハウジングとを備える。本発明によれば、電気駆動部は、水密的に周囲から密封されるように金属製ハウジング内に収容され、金属製ハウジングは、プラスチック製ハウジングの内部に配置される。
【0011】
金属ハウジングは水密であり、プラスチックハウジングの内側に配置されるので、「電気駆動部の冷却」および「流れの最適化」の機能の分離が達成される。すなわち、「シェル・イン・シェル」原理、具体的には「金属製ハウジング・イン・プラスチック製ハウジング」原理が用いられる。
【0012】
この場合、「電気駆動部の冷却」機能は、良好な熱伝導特性を示し、その結果、熱を電気駆動部から金属ハウジングを取り囲む媒体、水又はプラスチック材料に効率的に輸送する金属ハウジングによって果たされる。
【0013】
この場合、「流れの最適化」という機能は、プラスチックハウジングによって果たされる。このプラスチックハウジングは、水中推進ユニットの関連する使用の場合に最適な任意の所望の形状に、容易かつ柔軟に形成することができる。特に、プラスチックハウジングを使用することにより、金属ハウジングと比較して、腐食防止のためのコストのかかる対策や、流れ最適化コーティングのためのコストのかかる対策を避けることを可能にし、生産コストを低減することが可能になる。
【0014】
従って、結果として、金属ハウジングは、いかなる流れ最適化特性又は任意の特定の設計をもたなくてもよく、また、そのようにして特に簡単な方法でそれを構成することができるように、単純な材料表面を備えることができる。その結果、金属ハウジングは、例えば、大部分が未処理の表面を有するように設けられることができる。また、金属ハウジングは、円筒形状のような単純な形状を有するように設計することができる。
【0015】
同時に、プラスチックハウジングは、シール性を有する必要がない。したがって、プラスチックハウジングは、単に流れ要件に関して設計することができる。
【0016】
その結果、コスト節約、流れの最適化及び冷却という目標の矛盾は、周囲を流れるように設計されたプラスチックハウジングと、電気駆動部を有する金属ハウジングとを備え、金属ハウジングが水密であり、プラスチックハウジングの内側に配置されている水中推進ユニットによって、最適な方法で克服される。さらに、プラスチックハウジングによってもたらされるクラップルゾーンのために、金属ハウジングは、例えば、地面に接触した場合に起こり得るような機械的エネルギー入力から保護され、また、損傷、特に、モータおよび電子機器の全損失を招く可能性がある水による損傷から保護される。さらに、プラスチックハウジングのため、環境の影響から金属ハウジングをさらに保護することを省略することができる。
【0017】
本開示の意味の範囲内にある水中ユニットは、水中推進ユニットの定格動作において、完全にまたは部分的に水面下に位置する、船外モータまたはポッド駆動装置のパイロンである。
【0018】
本開示の意味内では、プラスチックハウジングは、プラスチック材料からなるハウジングであると理解することができる。特に、これは、専らプラスチック材料又は複数のプラスチック材料又は複合材料から製造されるハウジングであると理解することができる。プラスチックハウジングは、被覆されても被覆されていなくてもよい。特に、プラスチックハウジングはワニス処理することができる。代替として又は加えて、プラスチックハウジングは、表面エンボス加工を含むことができる。表面エンボス加工は、好ましくは、水がプラスチックハウジングの周りを流れるときに摩擦が低減されるように設計することができる。
【0019】
本開示の意味内では、金属ハウジングは、金属からなるハウジングであると理解することができる。特に、これは、金属のみから製造されるハウジングであると理解することができる。例えば、ハウジングは、鋳造部品を含むことができる。金属ハウジングは、有利には、未処理の表面を含む。これによりコストを節約できる。
【0020】
「水密」という用語は、水中推進ユニットの定格動作において、金属ハウジング内に水が浸透することができない、または、ごくわずかな量の水が侵入することができるように理解されるべきである。
【0021】
好ましくは、水中推進ユニットの電気駆動は、より低い出力クラスの水中推進ユニット用に設計され、特に、0.2HP~80HPの出力、例えば、0.2~0.7 HP、1~3HP、1.5~3HP、5~20HP、または40~80HPの出力(約150W~500W、730W~2.2kW、1.1~2.2kW、3.6~14.7kW、または29.4~58kW)を有する電気駆動として設計される。これは、これらのパワークラスにおいて、特に高いコスト節約が、ここに開示するような水中推進ユニットによって達成できるという利点を有する。
【0022】
プラスチックハウジングは、有利には、流路を介して接続された開口を備えており、プラスチックハウジングは、水がプラスチックハウジングの周りを流れる状態で、少なくとも部分的に金属ハウジングの周りを流れるように設計されている。
【0023】
プラスチックハウジングは、流路を介して連結された開口を備えており、かつプラスチックハウジングが、プラスチックハウジングの周囲を水が流れる状態で、少なくとも部分的に金属ハウジングの周囲を流れるように設計されているので、特に効率よく金属ハウジングを冷却することができる。この場合、金属ハウジングは外部構造の一部ではないので、金属ハウジングのコーティングは不要であり、流れ最適化の機能を果たす必要はない。したがって、金属ハウジングは流れに関して何らかの特定の要求を満足する必要はない。同時に、金属ハウジングも同様に、外から見えない、あるいはかろうじて見えるので、いかなる美的要求も満足する必要はない。
【0024】
プラスチックハウジングの周りに水が流れる状態では、金属ハウジングの周りの流れが少なくとも部分的に起こり、金属ハウジング、従ってその中に配置された駆動部品の冷却が作動中に可能である。
【0025】
本開示の意味内で、水が流れるように設計されたプラスチックハウジングは、プラスチック材料を含み、表面仕上げ、特に外形を有するハウジングを意味し、周囲を流れる水に関して最適化される。
【0026】
プラスチックハウジングは、前方領域内に少なくとも1つの入口開口と、後方領域内に少なくとも1つの出口開口と、を有利に備え、流路は、水中推進ユニットの長手方向軸Lに沿って延在する。すなわち、このように、水中推進ユニットの作動中に、周囲を流れる水が入口開口を介してプラスチックハウジング内に入り、流路を介して金属ハウジング内に到達し、その後、出口開口を介してプラスチックハウジング外に出ることが可能である。結果として、金属ハウジングの周りに連続的な流れを達成することができ、これにより、動作中の駆動コンポーネントの最適な冷却が得られる。
【0027】
有利には、流路は少なくとも部分的に金属ハウジングによって形成される。言い換えると、金属ハウジングは、流路の少なくとも1つの区画または壁部分を形成する。流路は、金属製ハウジングによって形成されているので、少なくとも一部は、プラスチック製ハウジングの周囲を水が流れる状態では、水が流路を介して金属製ハウジングに接触する。水による濡れは金属ハウジングと水の間の熱伝達を最適化し、その結果、冷却はさらに改善される。
【0028】
プラスチックハウジングはシャフトチューブに有利に接続され、接続はシャフトチューブ成形を介して達成される。プラスチックハウジングはシャフトチューブに接続されているので、金属ハウジングをシャフトチューブに溶接したり、成形したりする必要はない。シャフトチューブの金属ハウジングへの溶接、又は鋳造部品としての金属ハウジングへのシャフトチューブ接続部の成形のような確立された生産方法と比較して、旋削、穿孔、溶接又は鋳造、及び機械的な再加工のような多くの製造工程が省略されるので、生産コストを著しく低減することができる。さらに、シャフトチューブをプラスチックハウジングに接続することにより、プラスチックハウジング及び金属ハウジングの構成に対するより大きな設計自由度が可能となる。
【0029】
しかしながら、シャフトチューブは、金属ハウジングに直接取り付けることもでき、例えば、溶接、リベット止めまたはねじ止めすることもでき、あるいは金属ハウジングと共に一体に形成することもできる。シャフトチューブを金属ハウジングに直接取り付けることにより、さらに構造強度を向上させることができる。この場合、プラスチックハウジングは、例えば既述の成形を介してシャフトチューブに取り付けることもできる。
【0030】
しかし、プラスチックハウジングは、シャフトチューブに取り付けられた金属ハウジング上に保持されているだけでよい。この実施形態では、プラスチックハウジングは、シャフトチューブの通路の領域に簡単な開口部を備えることができ、この開口部を介してシャフトチューブがガイドされるが、プラスチックハウジングの更なる固定は行わない。
【0031】
電気駆動部は、有利には、電気モータ、任意選択的には変速機および/または電子部品を備え、駆動シャフトを介してプロペラを駆動する。次いで、言及された構成要素は、水密の方法で周囲から密閉されるように、金属ハウジング内に受け入れられる。駆動シャフトを駆動するためのトルクは、電気モータによって提供することができる。任意に、トルクは、駆動シャフト上の変速装置を介して、異なるトルク/速度比に変換することができる。
【0032】
電気駆動部は、電気モータ、変速機、及び/又は電子部品を備えているので、駆動シャフトを介してプロペラを駆動するために必要な全ての構成部品を金属ハウジングを介して冷却することができ、プラスチックハウジングの周囲を水が流れる状態で構成部品の周囲には、少なくとも部分的には水が流れる。このように、モータユニット全体は金属ハウジング内に収容され、その周囲には少なくとも部分的にはプラスチックハウジングの周囲に水が流れる状態で水も流れ、このように金属ハウジングが冷却される。
【0033】
金属ハウジングは、前端部に前管シールを備え、及び/又は後端部に後管シールを備えている円筒形金属管として有利に設計される。その結果、金属ハウジングは単純なチューブから製造することができ、このチューブは、その両端のカバーによってシールされる。特に、後端部の管シールも金属ハウジングの一部とすることができ、すなわち、金属ハウジングと一体に形成することができる。
【0034】
金属ハウジングは、有利には、その前端部に、ケーブルをシールするためのケーブルシール、および/または、その後端部に、シャフトシールを備える。したがって、ケーブルおよび/または駆動シャフトが金属ハウジングから導かれ、ケーブルおよび/または駆動シャフトとのインターフェースを介して水が金属ハウジングに入ることがないようにすることが可能である。例えば、ケーブルは、しっかりとしたネジ接続によって金属管の外に導くことができる。ケーブルシール及び/又はシャフトシールを使用することにより、少なくとも部分的に金属ハウジングの周りの水の流れが、金属ハウジングに水が浸入することなく、プラスチックハウジング内にモータユニット全体を収容することが可能となる。
【0035】
プラスチックハウジングは、複数の流路を含むことが有利である。プラスチックハウジング上に又はその中に複数の流路を有することは、金属ハウジングの周囲に水をより均一に又はより目標とする方法で流すことができ、従って、前記ハウジングをより良く冷却することができるという利点を有する。これは、さらに、プラスチックハウジングに入る水によって引き起こされ得る摩擦損失が、プラスチックハウジング上に均一に分布されるという利点を有する。その結果、水中推進ユニットの作動中に、プラスチックハウジング上に望ましくないロール、ヨーイング又はピッチングモーメントが発生するのを防止することが可能となる。
【0036】
プラスチックハウジングの流路は、好ましくは、プラスチックハウジング上の突起を含むことができ、その結果、プラスチックハウジングと金属ハウジングとの間の有効スペースが増加する。その結果、金属ハウジングでの水の流入を増加させることができ、プロセスに帰着する圧力損失を減少させることができる。突出部は、縦方向の流れの方向付け要素として作用することができ、その結果として、移動中の水中推進ユニットの安定性が最適化される。
【0037】
流路は、縦方向リブを介して互いに有利に分離され、縦方向リブは、さらに、金属ハウジングおよびプラスチックハウジングを互いに固定する。これにより、金属ハウジングをプラスチックハウジング内に容易かつ確実に配置することが可能となる。さらに、このようにして、規定された流路を形成することができ、これを介して、金属ハウジングの周りに予め規定された流れを確保することができる。その結果、水中ユニットの動作中の金属ハウジングの冷却を最適化することができる。すなわち、その結果、運転中に流体力学的に誘起される流れ損失を低減することができ、その結果、金属ハウジングの効率的な冷却が可能となる。
【0038】
流路は、プラスチックハウジング内の別々の入口開口および/または出口開口に、それぞれ有利に開く。結果として、入口開口および/または出口開口は、対応する流路の幾何学的形状のために意図的に調整することができる。入口開口は、例えば、丸い角部を有する矩形断面を有することができる。任意に、出口開口は、実質的に楕円形の断面を有することができる。このようにして、運転中に流体力学的に誘起される流れ損失を低減することができ、その結果、金属ハウジングの効率的な冷却が可能になる。
【0039】
別の実施例に従って、流路は、共通の入口開口または出口開口をそれぞれ有する共通の入口ディストリビュータおよび/または出口ディストリビュータへと開口する。このようにして、流体力学的に誘起される流れの損失をさらに低減することができ、その結果として、金属ハウジングの効率的な冷却が可能になる。
【0040】
金属ハウジングは、プラスチックハウジング内に実質的に中央に配置されることが好ましく、プラスチックハウジングは、金属ハウジングとプラスチックハウジングとの間にケーブルガイドチャネルを備えることが好ましい。プラスチックハウジングのほぼ中央に配置された金属ハウジングにより、プラスチックハウジングの周囲に沿って流路を均一に配置できるようにすることが可能になる。さらに、それによって、金属ハウジングが、例えば、衝突または地面に接触した場合の機械的エネルギー入力から、プラスチックハウジングによって、すべての側面で保護されることを確実にすることができる。
【0041】
開口および/または流路は、好ましくは、固定または可変流量制限手段を備え、その手段によって、流路を通る流れが調節可能である。開口および/または流路に固定または可変流量制限手段を使用することにより、金属ハウジングの周りを流れる水の目標供給量を設定することが可能になる。その結果、金属ハウジングの冷却は、速度に依存する方法だけでなく、更なる調整変数を介しても変えることができる。その結果、内部に配置された金属ハウジング及び駆動部品の冷却を更に改善することができる。
【0042】
開口および/または流路はタービュレータを含むことが好ましく、タービュレータは金属ハウジングに接続されることが好ましい。開口および/または流路がタービュレータを備えるので、金属ハウジングと金属ハウジングの周りを流れる水との間の熱伝達を著しく改善することができる。すなわち、乱流部分が増加し、その結果として熱輸送が促進される。これは、特にタービュレータが金属ハウジングに接続されている場合に達成される。この場合、流体中の乱流部分、及び熱輸送に利用可能な金属ハウジングの表面の両方が増加する。したがって、特に効率的に金属ハウジングを冷却することができる。有利な開発によると、タービュレータは、乱流の発生にもかかわらず、結果として生じる圧力損失ができるだけ低くなるように設計される。結果として、これが流れ損失に顕著な影響を及ぼすことなく、効率的な冷却を達成することができる。
【0043】
水中推進ユニットは、例えば、電動船外機のシャフトに取り付けることができ、この場合、特に、一体化されたバッテリパック及びピンを有する制御ユニット、又はピンを含むがそれ自体のバッテリパックを有しない制御ユニットをシャフトの頂部に配置することが可能である。この場合、船外機のシャフトは、単純に設計された金属製のチューブ又はプラスチック製のチューブによって形成することもでき、このチューブは、プラスチック製のハウジングによって囲まれている。
【0044】
また、水中推進ユニットは、水中専用に配置されたポッド駆動装置内に配置することもできる。
【0045】
好ましい態様では、シャフトチューブは金属ハウジングに直接接続され、好ましくは金属ハウジングに溶接及び/又はねじ止め及び/又はリベット止めされ、及び/又はシャフトチューブは金属ハウジングと一体に形成される。
【0046】
本システムに関しては、本発明の目的は、さらに、本開示による、少なくとも2つの水中推進ユニットを備えるシステムによって達成される。この場合、システムの少なくとも2つの水中推進ユニットは、同一構造の電気駆動部及び/又は同一構造の金属ハウジングを備え、各電気駆動部は、特定の異なる出力クラスに予め設定され、プラスチックハウジングの少なくとも1つの寸法は、予め設定された出力クラスに応じて選択される。
【0047】
言い換えれば、システムは製品範囲または製品ポートフォリオである。個々の異なる出力クラスは、例えばパワーエレクトロニクスによって、それらの対応する出力クラスに設定することができる。
【0048】
同じように設計された電気駆動部および/または金属ハウジングにより、同一の部品を製品全体に取り付けることが可能になり、したがってコストを節約することができる。プラスチックハウジングの少なくとも1つの寸法は、予め設定された出力クラスに応じて選択されるので、プラスチックハウジングに対して物理的に必要な又は有利な調整を行うことができる。さらに、それによって光学的な区別機能も達成することができ、これによって、事前設定パワークラスを結論付けることが可能になるか、または異なる事前設定パワークラスの視覚的な区別が可能になる。製品のマーケティングを改善することが可能である。
【0049】
本開示の意味内において、予め設定された出力クラスは、チップチューニング等によるような水中推進ユニットに対する広範な操作を実施せずに、エンドユーザが希望するように修正することのできない、製造者によって固定された出力上限を意味する。
【0050】
例えば、ここで言及されている5つのパワークラスのうちの少なくとも2つを予め設定することができ、例えば、0.2~0.7 HP、1~3HP、1.5~3HP、5~20HPまたは40~80HPである。言及されているパワークラスのうちの少なくとも2つに適しているドライブは、例えば、同じパワーエレクトロニクス、同じ金属ハウジング、および同じ電気ドライブを備えることができる。特に、そのとき、可能な電力クラスの1つは、パワーエレクトロニクスを設定することにより、例えば、スイッチまたはジャンパを切り替えることにより、または駆動コントローラをプログラムするかまたは設置することにより設定することができる。
【0051】
言い換えれば、異なる出力クラスのドライブは、同一のハードウェアを使用して提供することができる。しかし、異なる出力クラスについては、それぞれのケースにおいて異なるように設計されたプラスチック製ハウジングを選択することができ、そのため、保護の必要性および必要とされる流動特性、特に、各ケースにおいて選択された出力クラスの放熱要件に合わせて、ハウジングのサイズおよび形状を調整することができる。
【0052】
例えば、0.2~0.7馬力クラスの水中推進ユニットでは、小型のクラップルゾーンと低冷却パワーで十分であるため、プラスチックハウジングを小型に設計することができる。しかし、40~80馬力クラスの水中推進ユニットの場合、プラスチックハウジングがより大きくなるように設計できるように、また特に、より堅牢になるように設計できるように、大型のクラップルゾーンと高い冷却パワーが必要である。特に、プラスチックハウジングの肉厚を厚くすることができる。さらに、40~80 HPクラスのプラスチックハウジングの流れ特性を、達成可能な最大の速度および可能な最大の加速度に調整することができる。
【0053】
第1の水中推進ユニットは、有利には、第2の水中推進ユニットよりも高い出力クラスに予め設定され、第1の水中推進ユニットのプラスチックハウジングは、第2の水中推進ユニットのプラスチックハウジングよりも大きな断面および/または大きな長さを有する。
【0054】
したがって、より高い出力クラスを有する第1の水中推進ユニットが、プラスチックハウジングと金属ハウジングとの間の局所的に増大した間隔を有することを確実にすることが可能であり、その結果として、プラスチックハウジングと金属ハウジングとの間の熱輸送を最適化することが可能である。最終的には、その結果として、問題の水中推進ユニットの動作安全性を向上させることができる。これにより、より高い出力クラスを有する第1水中推進ユニットは、第2水中推進ユニットと比較して大きく見え、その結果、より高い出力クラスを純粋に光学的に識別可能な示唆を達成することができる。
【0055】
さらに、上記目的は、水中推進ユニットを備えるボートによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の好ましい実施形態を、以下の図面の説明によってより詳細に説明する。
【
図1】第1実施形態に係る水中推進ユニットの長手方向に延びる断面平面における概略断面図である。
【
図2】さらなる実施形態による水中推進ユニットの長手方向に延びる断面平面内にある詳細断面図である。
【
図3】
図2による水中推進ユニットの長手方向軸に対して垂直に配向した断面平面における概略断面図である。
【
図4】さらなる実施形態による水中推進ユニットの長手方向に延びる断面平面内にある概略断面図である。
【
図6】シャフトチューブを金属ハウジングに接続した水中推進ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に、図面を参照しながら好ましい実施形態を説明する。この場合、同一、類似、または同一に作用する要素には、異なる図中に同一の参照符号が付されており、冗長性を防止するために、これらの要素の繰り返し説明は一部省略されている。
【0058】
図1は、第1実施形態に係る水中推進ユニット10の概略断面図である。水中推進ユニット10は、水中推進ユニットの長手方向Lに延びる断面平面で示されている。水中推進ユニット10は、周囲を水が流れるように設計されたプラスチックハウジング1と、プラスチックハウジング1内に配置され、電気駆動部3が収容される金属ハウジング2とを備える。
【0059】
金属ハウジング2は、水密になるように設計されており、電気駆動部3を受ける。金属ハウジング2は、プラスチックハウジング1の内部に完全に配置されている。したがって、「シェルインシェル」原理、具体的には「金属ハウジングインプラスチックハウジング」原理が使用される。この場合、外側シェル、プラスチックハウジング1は、流れ最適化の機能を果たすが、水中推進ユニット10の作動時にはプラスチックハウジング1の周囲を水が流れるからである。この場合、内側シェル、金属ハウジング2は、金属ハウジング2を冷却する機能を果たし、ひいては最終的に電気駆動部3を冷却する。金属ハウジング2は、未処理であり、実質的に表面処理なしで製造された。
【0060】
プラスチックハウジング1は、シャフトチューブ6に連結されている。シャフトチューブ6のプラスチックハウジング1への接続は、シャフトチューブモールディング7を介して達成される。この場合、シャフトチューブ6は密封する必要はない。水中推進ユニット10はシャフトチューブ6を介してボート(図示せず)に接続することができる。水中推進ユニット10の推進は、金属ハウジング2内の電気駆動部3が駆動シャフト8を駆動するという点で発生し、駆動シャフト8にプロペラ9が取り付けられている。
【0061】
図2は、さらなる実施形態による水中推進ユニット10の詳細断面図であり、水中推進ユニット10の長手方向に延びる断面平面である。プラスチックハウジング1は、流路5を介して連結される開口4を備える。この場合、プラスチックハウジング1は、プラスチックハウジング1の周囲を水が流れる状態で、少なくとも水の一部は金属ハウジング2の周囲を流れるように設計されている。
【0062】
開口4は、プラスチックハウジング1の前方領域に形成された入口開口4’と、プラスチックハウジング1の後方領域に形成された出口開口4’’とから構成され、流路5は、水中推進ユニット10の長手方向軸Lに実質的に沿って入口開口4’と出口開口4’’との間に延在する。
【0063】
水中推進ユニット10の流路5は、一部が金属製ハウジング2によって形成されている。これは、プラスチックハウジング1の周りを水が流れる状態では、入口開口4’を介して水が金属ハウジング2に到達し、流路5内に入り、前記ハウジングを濡らすことを意味する。金属ハウジング2とその周囲を流れる水との間の熱輸送は、水-金属ハウジング有効面対によって促進される。金属ハウジング2は水密である。
【0064】
プラスチックハウジング1は、シャフトチューブ6に連結されている。シャフトチューブ6のプラスチックハウジング1への接続は、シャフトチューブモールディング7を介して達成される。この場合、シャフトチューブ6はシールする必要はない。水中推進ユニット10はシャフトチューブ6を介してボート(図示せず)に接続することができる。水中推進ユニット10の推進は、金属ハウジング2の電気駆動部3が駆動シャフト8を駆動するという点で発生し、駆動シャフト8にプロペラ9が取り付けられている。
【0065】
図2に示す水中推進ユニット10は、2つの流路5を備えている。したがって、水中推進ユニット10は、2つの入口開口4’と2つの出口開口4’’を備えており、入口開口4’と出口開口4’’は、それぞれの場合に、プラスチックハウジング1に別々の開口4として形成されている。
【0066】
図2によれば、金属ハウジング2は、前端に前管シール61を備え、後端に後管シール62を備えた金属管60を更に有している。金属管60は、単純な未処理の金属管である。前管シール61及び後管シール62は、それぞれの場合において、カバーとして理解することができる。金属管2は、前記カバーを介して水の侵入に対してシールされる。カバーは、ねじ接続によって、特に、フランジを介して、そして任意に適当なシールによって、金属管60に接続することができる。さらに、金属ハウジング2は、その前端部にケーブルシール63を備え、その後端部にシャフトシール64を備える。具体的な実施形態では、ケーブルシール63は前管シール63上に配置され、シャフトシール64は後管シール62上に配置される。
【0067】
金属ハウジング3の前管シール61内に配置されたケーブルシール63によって、ケーブル65は、金属ハウジング2からケーブルガイドチャネル50内に、水の侵入に対してシールされた状態で導かれる。続いて、ケーブル65は、ケーブルガイドチャネル50から導出され、シャフトチューブモールディング7上で、シャフトチューブ6内に導かれる。
【0068】
この場合、電気駆動部3は、i)モータと、ii)変速機を含むモータと、iii)電子機器を含むモータと、iv)変速機及び電子機器を含むモータとを備えることができる。
【0069】
図3は、
図2に示す実施形態による水中推進ユニット10の概略断面図であり、長手方向軸Lに対して垂直に配向され、フロントチューブシール61を通って延びる断面平面A-Aである。
【0070】
図3には、水を流すように設計されたプラスチックハウジング1と、プラスチックハウジング1内に配置され、図示しない電気駆動部からなる金属ハウジング2とからなる水中推進ユニット10を示す。この場合、プラスチックハウジング1は、長手方向リブ20を介して互いに分離される複数の流路5を備える。さらに、長手方向リブは、金属ハウジング2とプラスチックハウジング1とを互いに固定する。この場合、金属ハウジング2は、プラスチックハウジング1内にほぼ中央に配置される。さらに、プラスチックハウジング1は、金属ハウジング2とプラスチックハウジング1との間にケーブルガイドチャネル50を備える。
【0071】
金属ハウジング3の前管シール61内に配置されたケーブルシール63を介して、ケーブル65は、金属ハウジング2の外に導かれ、ケーブルガイドチャネル50内に、水の侵入に対してシールされて外に導かれる。続いて、ケーブル65は、ケーブルガイドチャネル50から導出され、シャフトチューブモールディング7上で、シャフトチューブ6内に導かれる。
【0072】
図4は、さらなる実施形態による水中推進ユニット10の、長手方向11に延びる断面平面における概略断面図である。
図4は、水が周りを流れるように設計されたプラスチックハウジング1と、プラスチックハウジング1内に配置され、電気駆動部3を備える水密金属ハウジング2とを備える水中推進ユニット10を示す。プラスチックハウジング1は、各ケースが別々の入口開口4と別々の出口開口5との間に延びる複数の流路5を備えている。この場合、プラスチックハウジング1は、プラスチックハウジング1の周囲を水が流れる状態で、少なくとも一部は金属ハウジング2の周囲を流れるように設計されている。具体的な例では、金属ハウジング2の周りの流れは、個々の流路5を通る流れを介して行われる。この場合、それぞれの流路5は、一部が金属ハウジング2によって形成されている。プラスチックハウジング1の周囲を水が流れる状態では、周囲を流れる水が金属ハウジング2の外部を濡らす。
【0073】
プラスチックハウジング1はシャフトチューブ6に接続されており、接続はシャフトチューブモールディング7を介して達成される。水中推進ユニットの電気駆動部3は、電気モータ31と、変速機30と、電子部品とを備え、駆動シャフト8を介してプロペラ(図示せず)を駆動する。
【0074】
水中推進ユニット10の金属ハウジング2は、ケーブル65を密閉するために、その前端部にケーブルシール63(図示せず)を備え、その後端部にシャフトシール64を備える。この場合、ケーブルシール63は、金属管60の前端に配置された前管シール61上に配置される。シャフトシール64は、金属管60の後端に配置される後管シール62上に配置される。
【0075】
入口開口4’は、丸みを帯びた縁部を有する実質的に矩形断面を有している。出口開口4’’は、実質的に楕円形の断面を有する。このようにして、流体力学的に誘起される流れの損失を低減することができ、その結果として、金属ハウジング2の効率的な冷却が可能になる。
【0076】
図5は、
図4の水中推進ユニット10の斜視図である。この図からわかるように、水中推進ユニット10の個々の流路5は突出部を含む。つまり、プラスチックハウジング1は、突起部を備えている。この場合、それぞれの入口開口4’および出口開口4’’は、各突出部の始端および終端に形成される。
【0077】
図6は、
図1と類似の変形の水中推進ユニット10を示しており、ここでの差は、シャフトチューブ6が金属ハウジング2に直接接続されていることである。図示の実施例では、シャフトチューブ6の金属ハウジング2への溶接22によって接続部が提供される。
【0078】
しかし、シャフトチューブ6と金属ハウジング2との間の直接接続は、ネジ止めまたはリベット止めによっても達成することができる。更なる実施形態において、シャフトチューブ6は、金属ハウジング2と一体に形成することができる。
【0079】
上述の変形例では、
図6に示すように、プラスチックハウジング1をシャフトチューブ6に同様に接続することができる。この場合、シャフトチューブモールディング7も設けられ、これはプラスチックハウジング1をシャフトチューブ6に接続する役割を果たす。
【0080】
ただし、シャフトチューブ6と金属ハウジング2との直結の場合には、プラスチックハウジング1はシャフトチューブ6と接触することなく配置することもできる。シャフトチューブ6は、例えば、プラスチックハウジング1の1つの開口部を単に通るように案内することができる。
【0081】
該当する場合、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に記載されている個々の特徴はすべて、互いに組み合わせることおよび/または置換することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 プラスチックハウジング
2 金属ハウジング
3 電気駆動部
4 開口
4’ 入口開口
4’’ 出口開口
5 流路
6 チューブシャフト
7 チューブシャフトモールディング
8 駆動シャフト
9 プロペラ
10 水中推進ユニット
20 長手方向リブ
22 溶接
30 変速機
31 電気モータ
50 ケーブルガイドチャネル
60 金属管
61 前管シール
62 後管シール
63 ケーブルシール
64 シャフトシール
65 ケーブル
【手続補正書】
【提出日】2023-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中推進ユニット(10)は、船外機又はポッド駆動装置のために、水が周囲を流れるように設計されたプラスチックハウジング(1)と、電気駆動部(3)が受け入れられる金属ハウジング(2)とを備え、
前記電気駆動部(3)が、水密に周囲から密閉されるように前記金属ハウジング(2)内に受け入れられ、前記金属ハウジング(2)が、前記プラスチックハウジング(1)の内側に配置され、
前記プラスチックハウジング(1)は、流路(5)を介して連結される開口(4)を備え、前記プラスチックハウジング(1)は、前記プラスチックハウジング(1)の周囲を水が流れる状態で、少なくとも水が部分的に前記金属ハウジング(2)の周囲を流れるように設計されていることを特徴とする、水中推進ユニット(10)。
【請求項2】
前記プラスチックハウジング(1)は、前方領域に入口開口(4’)を備え、後方領域に出口開口(4’’)を備え、前記流路(5)は、前記水中推進ユニット(10)の長手方向軸(L)に沿って延在することを特徴とする、請求項1に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項3】
前記流路(5)は、少なくとも一部が前記金属ハウジング(2)により形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項4】
前記プラスチックハウジング(1)は、シャフトチューブ(6)に接続されている、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項5】
前記電気駆動部(3)が、電気モーター(31)、オプションの動力伝達装置(30)及び/又は電子部品を備え、駆動シャフト(8)を介してプロペラ(9)を駆動することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項6】
前記金属ハウジング(2)は、前端部に前管シール(61)を備え、後端部に後管シール(62)を備えた金属管(60)を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項7】
前記金属ハウジング(2)が前端部にケーブル(65)をシールするケーブルシール(63)を備え、および/または後端部に、シャフトシール(64)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項8】
前記プラスチックハウジング(2)が、複数の流路(5)を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項9】
前記流路(5)が長手方向リブ(20)によって互いに分離され、前記長手方向リブ(20)が更に前記金属ハウジング(2)と前記プラスチックハウジング(1)とを互いに固定することを特徴とする、請求項8に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項10】
前記流路(5)はそれぞれ、前記プラスチックハウジング(1)の個別の入口開口(4’)および/または出口開口(4’’)に開口することを特徴とする、請求項9に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項11】
前記流路(5)が、それぞれ共通の入口開口または出口開口を有する共通の入口ディストリビュータおよび/または出口ディストリビュータに開口することを特徴とする、請求項7または請求項9に記載の水中推進ユニット。
【請求項12】
前記金属ハウジング(2)は、前記プラスチックハウジング(1)の中央に配置される、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項13】
前記開口(4)及び/又は前記流路(5)は、固定式又は可変式の流量制限手段を備え、前記流量制限手段によって、前記流路(5)を通る流れが調節可能であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項14】
前記開口(4)及び/又は前記流路(5)は、タービュレータを備え、前記タービュレータは、前記金属ハウジング(2)に接続されている、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項15】
前記シャフトチューブ(6)は、前記金属ハウジング(2)に直接接続されている、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項16】
少なくとも2つの水中推進ユニット(10)が同一構造の電気駆動部(3)および/または同一構造の金属ハウジング(2)を含み、各電気駆動部(3)は、特定の異なる出力クラスに事前設定され、前記プラスチックハウジング(1)の少なくとも1つの寸法は、前記事前設定された出力クラスに応じて選択されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)を少なくとも2つ備えるシステム。
【請求項17】
第1の水中推進ユニット(10)は、第2の水中推進ユニット(10)よりも高い出力クラスに予め設定されており、前記第1の水中推進ユニット(1)の前記プラスチックハウジング(1)は、前記第2の水中推進ユニット(10)の前記プラスチックハウジング(1)よりも大きな断面および/または大きな長さを有することを特徴とする、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1または請求項2に記載の水中推進ユニット(10)を備えるボート。
【請求項19】
前記プラスチックハウジング(1)の前記シャフトチューブ(6)への接続は、シャフトチューブモールディング(7)を介して達成される、請求項4に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項20】
前記プラスチックハウジング(1)は、前記金属ハウジング(2)と前記プラスチックハウジング(1)との間にケーブルガイドチャネル(50)を備える、請求項12に記載の水中推進ユニット(10)。
【請求項21】
前記シャフトチューブ(6)は、前記金属ハウジングに溶接及び/又はねじ止め及び/又はリベット止めされており、又は前記シャフトチューブ(6)は、前記金属ハウジング(2)と一体に形成されていることを特徴とする、請求項15に記載の水中推進ユニット(10)。
【外国語明細書】