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特開2023-71648アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法
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  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図1A
  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図1B
  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図1C
  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図2
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  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図6A
  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図6B
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  • 特開-アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071648
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】アルツハイマー病を予防的に防止し、その進行を遅らせ、または処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20230516BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230516BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 35/14 20150101ALN20230516BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P25/28
A61B5/00 G
A61K35/14
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023007457
(22)【出願日】2023-01-20
(62)【分割の表示】P 2019547373の分割
【原出願日】2018-03-01
(31)【優先権主張番号】62/465,262
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/876,808
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/537,581
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/516,100
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519266432
【氏名又は名称】エイチディーエル セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HDL THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】ホリス ブライアン ジュニア ブルーアー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エム マタン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルツハイマー病の予防的防止のための、またはその進行の処置のためのシステム、器械および方法を提供する。
【解決手段】アルツハイマー病(AD)に関連する徴候の進行、安定化、または改善は、ADを指し示す病態生理学的変化をペイシェントにおいてモニタリングすること、モニタリングに基づいて、アミロイドプラークがペイシェントの血管周囲腔において存在するかどうかを定めること、随意に、アミロイドプラークの程度を血管周囲腔において定めること、およびアミロイドプラークのペイシェントの血管周囲腔における存在に基づいて、処置プロトコルをペイシェントについて定めることによって処置される。処置プロトコルには、血液フラクションを脂質除去剤と混合することから由来する高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施すことが含まれる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病(AD)に関連する徴候についてペイシェントにおいてその進行を遅ら
せ、安定化させ、または改善するにあたり、次の:
ADを指し示す病態生理学的変化をペイシェントにおいてモニタリングすること;
前記モニタリングに基づいて、アミロイドプラークがペイシェントの血管周囲腔におい
て存在するかどうかを定めること;
前記血管周囲腔においてアミロイドプラークの程度を定めること;および、
ペイシェントの血管周囲腔におけるアミロイドプラークの存在に基づいて、処置プロト
コルをペイシェントについて定めることであり、そこでは処置プロトコルには、血液フラ
クションを脂質除去剤と混合することから由来する高密度リポタンパク質組成物をペイシ
ェントに施すことが含まれること
を含む、方法。
【請求項2】
画像診断はペイシェントの血管周囲腔においてアミロイドプラークの存在および程度を
定めるために用いられる、請求項1の方法。
【請求項3】
高密度リポタンパク質組成物は、
血液フラクションをペイシェントから取得することであって、そこでは血液フラクショ
ンは高密度リポタンパク質を有すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤
と混合すること;
修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および
修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られること
によって由来する、請求項1の方法。
【請求項4】
次の:
採血用デバイスにペイシェントを接続すること;
ペイシェントから採血すること;および
高密度リポタンパク質および低密度リポタンパク質を含有する血液フラクションを生じ
させるために、血液から血球を分離すること
をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項5】
修飾された高密度リポタンパク質は、混合に先立つ血液フラクションからの高密度リポ
タンパク質と比較してプレベータ高密度リポタンパク質の増加した濃度を有する、請求項
3の方法。
【請求項6】
修飾された高密度リポタンパク質は、混合に先立つ血液フラクションからのプレベータ
高密度リポタンパク質に加えてアルファ高密度リポタンパク質の濃縮物を有する、請求項
3の方法。
【請求項7】
病態生理学的変化は、脳アミロイド血管障害をもたらすペイシェントの血管周囲腔にお
けるプラークの蓄積によって指し示される、請求項1の方法。
【請求項8】
血液フラクションを脂質除去剤と混合することから由来する高密度リポタンパク質組成
物は、1mg/kgから250mg/kgまでに及ぶ投薬量において注入療法を介してペイシェントに送
られる、請求項1の方法。
【請求項9】
ペイシェントの血液フラクションを脂質除去剤と混合することから由来する高密度リポ
タンパク質組成物は、999mL/時間+/-100mL/時間の速度にて注入療法を介してペイシェン
トに送られる、請求項1の方法。
【請求項10】
全体的機能性、認知的機能性、日常生活動作、または行動的な評価の少なくとも一を使
用して、ADの重症度をペイシェントにおいて定めることをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項11】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ペイシェントは血管周囲腔に
おいてアミロイドプラークの蓄積における減少を経験する、請求項1の方法。
【請求項12】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシェントの
生理学的および/または認知的パラメータの変性率は安定し、およびさらなる減少を経験
しない、請求項1の方法。
【請求項13】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシェントの
生理学的および/または認知的パラメータの変性率は、高密度リポタンパク質組成物がペ
イシェントに施される前にADを指し示すペイシェントの生理学的および/または認知的パ
ラメータの変性率と比較してスローダウンする、請求項1の方法。
【請求項14】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシェントの
生理学的および/または認知的徴候は、高密度リポタンパク質組成物がペイシェントに施
される前にADを指し示すペイシャントの生理学的および/または認知的徴候と比較して改
善する、請求項1の方法。
【請求項15】
高密度リポタンパク質組成物は、
血液フラクションをペイシェント以外の個体から取得することであって、そこでは血液
フラクションは高密度リポタンパク質を有すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤
と混合すること;
修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および
修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られること
によって由来する、請求項1の方法。
【請求項16】
アルツハイマー病(AD)に関連する徴候についてペイシェントにおいてその進行を遅ら
せ、安定化させ、または改善させるにあたり、次の:
ADを指し示す病態生理学的変化、またはADの潜在的な将来の発症を、ペイシェントにお
いてモニタリングすること;
前記モニタリングに基づいて、アミロイドプラークがペイシェントの血管周囲腔におい
て存在するかどうかを決定すること;
アミロイドプラークのペイシェントの血管周囲腔における存在の決定に基づいて、処置
プロトコルをペイシェントについて定めることであって、そこでは処置プロトコルには、
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションであり、非修飾
高密度リポタンパク質を有するものを、脂質除去剤と混合することから由来する高密度リ
ポタンパク質組成物をペイシェントに施すことが含まれ、そこでは修飾された高密度リポ
タンパク質は非修飾高密度リポタンパク質と比較してプレベータ高密度リポタンパク質の
増加した濃度を有すること
を含む、方法。
【請求項17】
組成物は、
血液フラクションをペイシェントから取得すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤
と混合すること;
修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および
修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られること
によって由来する、請求項16の方法。
【請求項18】
次の:
採血用デバイスにペイシェントを接続すること;
ペイシェントから採血すること;および
低密度リポタンパク質および高密度リポタンパク質を含有する血液フラクションを生じ
させるために、血液から血球を分離すること
をさらに含む、請求項16の方法。
【請求項19】
組成物は、
血液フラクションをペイシェント以外の個体から取得すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤
と混合すること;
修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および
修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られること
によって由来する、請求項16の方法。
【請求項20】
アルツハイマー病(AD)を指し示す認知機能の障害をペイシェントにおいて改善するに
あたり、次の:
アミロイドプラークがペイシェントの血管周囲腔に存在するかどうかを決定すること;
全体的、認知的、機能的、または行動的な評価テストの少なくとも一を使用して、認知
障害の程度または重症度を、ペイシェントにおいて決定すること;および、
アミロイドプラークのペイシェントの血管周囲腔における存在および認知障害の程度ま
たは重症度のペイシェントにおける決定に基づいて、処置プロトコルをペイシェントにつ
いて定めることであって、そこでは処置プロトコルには、ペイシェントの血液フラクショ
ンを脂質除去剤と混合することから由来する高密度リポタンパク質組成物をペイシェント
に施すことが含まれること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第62/465,262号で、「Method for Treating Familial Hyper
cholesterolemia(家族性高コレステロール血の処置のための方法)」と題され、および2
017年3月1日付け出願のものに、優先権について依拠する。
【0002】
本出願は、米国特許出願第15/876,808号の一部継続出願で、「Methods for Treating C
holesterol-Related Diseases(コレステロール関連疾患を処置するための方法)」と題
され、および2018年1月22日付け出願のものであり、それは同様に、米国仮特許出願第62/
449,416号で、「Method for Treating Familial Hypercholesterolemia(家族性高コレス
テロール血の処置のための方法)」と題され、および2017年1月23日付け出願のものに、
優先権について依拠する。
【0003】
本出願は、米国仮特許出願第62/516,100号で、「Methods for Treating Cholesterol-R
elated Diseases(コレステロール関連疾患の処置のための方法)」と題され、および201
7年6月6日付け出願のものに、優先権について依拠する。
【0004】
本出願は、米国仮特許出願第62/537,581号で、「Methods for Treating Cholesterol-R
elated Diseases(コレステロール関連疾患の処置のための方法)」と題され、および201
7年7月27日付け出願のものに、優先権について依拠する。
【0005】
上述の出願はすべて、それらの全体において参照によってここに組み込まれる。
フィールド
【0006】
本明細の方法は、LDL粒子を実質的に無傷のままにしながら修飾HDL粒子を作り出すため
にHDLから脂質を選択的に除去するための連続的に繰り返される処置手順および修飾HDL粒
子を、アルツハイマー病関連の徴候を導く疾患または病態生理学的プロセスの進行を遅ら
せ、止めおよび安定化し、逆転または改善するために、アルツハイマー病を有する個体に
施すことを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バックグラウンド
歴史的に、アルツハイマー病(AD)の後期段階、例えば、重度および顕著なデメンシア
(認知症とも言う)の発症後などのようなものを規定する臨床基準の使用により、臨床試
験に登録されたペイシェント(人間で言う患者)は臨床的に明白なADに典型的な認知変化
および顕著なデメンシアに関連する機能障害の程度の双方を見せることが定められた。AD
の科学的理解が進むにつれて、より多くのクラスのペイシェントを臨床試験に登録するた
めに、追加の診断情報を組み込む努力がなされた。この診断情報には、さまざまな程度に
まで、基礎となる病態生理学的変化を反映するバイオマーカーの使用が含まれ、それは明
らかな機能障害または検出可能な臨床的異常がないペイシェントの登録を可能にする。こ
れらのペイシェントは、早期発症のADペイシェントとして分類される。より一層広範囲の
診断情報をADの程度および範囲を評価するために使用する場合、測定することができ、お
よび臨床的に明らかな知見に先行する病態生理学的変化の発症を考慮すると、疾患プロセ
スにおいてずっと早い段階で介入することが可能である。したがって、ADによって示され
る初期の臨床的欠陥につながる病態生理学的プロセスを遅らせ、止め、および好ましくは
逆転させる必要がある。
【0008】
ADは、鑑別診断に達するために、いくつかのテストからの結果を用いて決定される。そ
れゆえ、ADについて確定診断は存在しない。研究は、家族性高コレステロール血がADにつ
いての早期の危険因子であることを指し示した。LDL受容体はADのリスク増加に関与して
いると理論付けられる。家族歴によって、または遺伝子検査によって論証されるように、
一定の個体がADにかかり易いことが観察された。一旦病変が形成されるとADについて確立
された処置が存在しないことを考慮すると、ADを処置するか、またはADの発症を全体とし
て防止する予防的方法を提供することが望ましいであろう。
【0009】
血しょう成分の処置のための、および従って脂質関連疾患の既存のアフェレシス(aphe
resis、血液成分除去とも言う)および体外のシステムは、臨床的応用で使用されるそれ
らの能力を制限する複数の欠点に悩まされている。ADについての処置および予防的手段を
提供するために、血液成分から脂質を除去することが可能な優れたシステム、器械、およ
び方法について必要性が存在する。
【0010】
HDL粒子を選択的に脱脂する方法は上記の制限のいくつかを克服するが、必要とされる
のはまた、HDL粒子から脂質を選択的に除去し、およびそれによって慢性疾患において、L
DL粒子に実質影響を与えずに、コレステロールを受容する能力が増加した修飾HDL粒子を
作り出すための方法でもある。また必要とされるのは、画像技術、例えば、CT血管造影な
どのようなものを用いて処置の進行を監視するために、修飾HDL粒子の有効性を、コレス
テロールを受け入れる際に連続的に監視するための方法である。さらに、必要なものは、
ADを処置するため、またはADの発症を防ぐための方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
概略
以下の実施形態およびその態様は、システム、ツールおよび方法と併せて説明および例
示され、それらは模範的で、および例示的であることを意味し、範囲において制限するも
のではない。
【0012】
いくらかの実施形態において、本明細は、アルツハイマー病(AD)に関連する徴候につ
いてペイシェントにおいてその進行を遅らせ、止め、および安定化させ、または逆転およ
び改善するための方法を開示し、それは:ADを指し示す病態生理学的変化をペイシェント
においてモニタリングすること;前記モニタリングに基づいて、アミロイドプラークがペ
イシェントの血管周囲腔において存在するかどうかを定めること;前記血管周囲腔におい
てアミロイドプラークの程度を定めること;および、ペイシェントの血管周囲腔における
アミロイドプラークの存在に基づいて、処置プロトコルをペイシェントについて定めるこ
とであり、そこでは処置プロトコルには、血液フラクションを脂質除去剤と混合すること
から由来する高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施すことが含まれることを含
む。
【0013】
随意に、画像診断はペイシェントの血管周囲腔においてアミロイドプラークの存在およ
び程度を定めるために用いられる。
【0014】
随意に、高密度リポタンパク質組成物は、以下の、血液フラクションをペイシェントか
ら取得することであって、そこでは血液フラクションは高密度リポタンパク質を有するこ
と;修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去
剤と混合すること;修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および修飾された
高密度リポタンパク質はペイシェントに送られることによって由来する。
【0015】
随意に、本方法には、採血用デバイス(device for withdrawing blood、採血用装置と
も言う)にペイシェントを接続すること;ペイシェントから採血すること;および高密度
リポタンパク質および低密度リポタンパク質を含有する血液フラクションを生じさせるた
めに、血液から血球を分離することがさらに含まれる。
【0016】
随意に、修飾された高密度リポタンパク質は、混合に先立つ血液フラクションからの高
密度リポタンパク質と比較してプレベータ高密度リポタンパク質の増加した濃度を有する
【0017】
随意に、病態生理学的変化は、脳アミロイド血管障害をもたらすペイシェントの血管周
囲腔におけるプラークの蓄積によって指し示される。
【0018】
随意に、血液フラクションを脂質除去剤と混合することから由来する高密度リポタンパ
ク質組成物は、1mg/kgから250mg/kgまでに及ぶ投薬量において注入療法を介してペイシェ
ントに送られる。
【0019】
随意に、ペイシェントの血液フラクションを脂質除去剤と混合することから由来する高
密度リポタンパク質組成物は、999mL/時間の速度またはペイシェントについて最良と定め
られる別の速度にて注入療法を介してペイシェントに送られる。
【0020】
随意に、本方法には、全体的機能性(global functioning)、認知的機能性、日常生活
動作、または行動的な評価(behavioral assessments)の少なくとも一を使用して、ADの
重症度をペイシェントにおいて定めることがさらに含まれる。
【0021】
随意に、高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ペイシェントは血管
周囲腔においてアミロイドプラークのさらなる蓄積における停止または蓄積における減少
を経験する。
【0022】
随意に、高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシ
ェントの生理学的および/または認知的パラメータの変性率(rate of degeneration)は
安定し、およびさらなる減少を経験しない。
【0023】
随意に、高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシ
ェントの生理学的および/または認知的パラメータの変性率は、高密度リポタンパク質組
成物がペイシェントに施される前にADを指し示すペイシェントの生理学的および/または
認知的パラメータの変性率と比較してスローダウン(低下とも言う)する。
【0024】
随意に、高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシ
ェントの生理学的および/または認知的徴候は、高密度リポタンパク質組成物がペイシェ
ントに施される前にADを指し示すペイシェントの生理学的および/または認知的徴候と比
較して改善する。
【0025】
随意に、高密度リポタンパク質組成物は、次の、血液フラクションをペイシェント以外
の個体から取得することであって、そこでは血液フラクションは高密度リポタンパク質を
有するものであること;修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラ
クションを脂質除去剤と混合すること;修飾された高密度リポタンパク質を分離すること
;および修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られることによって由来す
る。
【0026】
いくらかの実施形態では、本明細は、アルツハイマー病(AD)に関連する徴候について
ペイシェントにおいてその進行を遅らせ、止め、および安定化させ、または逆転させ、お
よび改善させるための方法を開示し、それには:ADを指し示す病態生理学的変化、または
ADの潜在的な将来の発症を、ペイシェントにおいてモニタリングすること;前記モニタリ
ングに基づいて、アミロイドプラークがペイシェントの血管周囲腔に存在するかどうかを
決定すること;アミロイドプラークのペイシェントの血管周囲腔における存在の決定に基
づいて、処置プロトコルをペイシェントについて定めることであって、そこでは処置プロ
トコルには、修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションで
あり、非修飾高密度リポタンパク質を有するものを、脂質除去剤と混合することから由来
する高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施すことが含まれ、そこでは修飾され
た高密度リポタンパク質は非修飾高密度リポタンパク質と比較してプレベータ高密度リポ
タンパク質の増加した濃度を有することが含まれる。
【0027】
随意に、本組成物は、血液フラクションをペイシェントから取得すること;修飾された
高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤と混合するこ
と;修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および修飾された高密度リポタン
パク質はペイシェントに送られることによって由来する。
【0028】
随意に、本方法には、採血用デバイスにペイシェントを接続すること;ペイシェントか
ら採血すること;低密度リポタンパク質および高密度リポタンパク質を含有する血液フラ
クションを生じさせるために、血液から血球を分離することがさらに含まれる。
【0029】
随意に、本組成物は、血液フラクションをペイシェント以外の個体から取得すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤と
混合すること;修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および修飾された高密
度リポタンパク質はペイシェントに送られることによって由来する。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細は、アルツハイマー病(AD)を指し示す認知機能の障
害をペイシェントにおいて改善するための方法を開示し、それには:アミロイドプラーク
がペイシェントの血管周囲腔に存在するかどうかを決定すること;全体的、認知的、機能
的、または行動的な評価テストの少なくとも一を使用して、認知障害の程度または重症度
を、ペイシェントにおいて決定すること;および、アミロイドプラークのペイシェントの
血管周囲腔における存在および認知障害の程度または重症度のペイシェントにおける決定
に基づいて、処置プロトコルをペイシェントについて定めることであって、そこでは処置
プロトコルには、ペイシェントの血液フラクションを脂質除去剤と混合することから由来
する高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施すことが含まれることが含まれる。
【0031】
随意に、本方法には、血管周囲腔におけるアミロイドプラークの程度を決定すること、
および決定されたアミロイドプラークの程度に少なくとも部分的に基づいて処置プロトコ
ルを決定することがさらに含まれる。
【0032】
随意に、修飾された高密度リポタンパク質は、混合に先立つ血液フラクションからの高
密度リポタンパク質と比較してプレベータ高密度リポタンパク質の増加した濃度を有する
【0033】
随意に、本組成物は、以下の:血液フラクションをペイシェントから取得すること;修
飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、前記血液フラクションを脂質除去剤
と混合すること;前記修飾された高密度リポタンパク質を分離すること;および前記修飾
された高密度リポタンパク質は前記ペイシェントに送られることによって由来する。
【0034】
随意に、ADは、ホモ接合型の家族性高コレステロール血、ヘテロ接合型の家族性高コレ
ステロール血、虚血性脳卒中、冠動脈疾患、急性冠症候群、または末梢動脈疾患の少なく
とも一によって指し示される。
【0035】
随意に、変化を定期的にモニタリングすることには、三ないし六月の期間内に変化をモ
ニタリングすることが含まれる。
【0036】
随意に、血液フラクションを脂質除去剤と混合することは、合計タンパク質と比較して
プレベータ高密度リポタンパク質の増加した濃度を有する修飾された高密度リポタンパク
質を生じさせる。
【0037】
本明細の前述および他の実施形態は、図面および以下に提供される詳細な記載において
より一層深く説明することになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細のこれらおよび他の特長および利益は、次の、添付の図面に関連して考慮される
とき、以下の詳細な記載を参照することによってそれらはより一層良好に理解されること
になると認められるであろう:
図1A】本明細の実施形態に従って処置システムおよび方法を使用して心血管疾患を処置するステップを描写するフローチャートであり;
図1B】本明細の実施形態に従って処置システムおよび方法を使用して、コレステロール関連疾患、例えば、アテローム塞栓性腎疾患(AERD)などのようなものを処置するステップを描写する別のフローチャートであり;
図1C】本明細のいくらかの実施形態に従い、分析から決定される変性物質の異なる組成物に対して提供され得る処置のタイプを例示する表であり;
図2】ここに開示されるプロセスを達成するために本明細のいくらかの実施形態に従って使用される複数の構成要素の概略図であり;
図3】ここに開示されるプロセスを達成するために本明細のいくらかの実施形態に従って使用される複数の構成要素の配置の模範的な実施形態の絵による実例であり;
図4】本明細のある実施形態に従い、脳リンパ血管周囲経路に沿った輸送によるベータアミロイドの除去を例示する脳血管の縦横断面図であり;
図5】本明細のある実施形態に従い、高レベルのε4対立遺伝子を有する個体の脳リンパ血管周囲経路におけるアミロイドの蓄積を例示する脳血管の縦横断面図であり;
図6A】本明細のある実施形態に従い、脳アミロイド脈管障害(CAA)の処置を受けるADペイシェントの脳血管の縦横断面図であり;
図6B】本明細のある実施形態に従い、図6Aの血管内にプレβHDL粒子を注入することによるベータアミロイド分子の除去のメカニズムを例示し;
図6C】本明細のある実施形態による、図6Aの血管の血液ストリームを通して流れる修飾されたプレβHDL粒子を示し;および
図7】本明細のある実施形態に従い、ADペイシェントを処置するための治療プロトコルの複数の模範的なステップを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細は、コレステロール関連疾患を処置するための方法およびシステムに関する。本
明細の実施形態は、ペイシェントにおいて一またはそれよりも多く(一以上とも言う)の
アテロームのエリア(面積とも言う)およびボリューム(容量とも言う)の変化を、規則
的に一定期間にわたってモニタリング(監視とも言う)する。アテロームのエリアおよび
ボリュームは、狭窄における脂質含有変性物質(degenerative material)について、既
知のイメージング技術を用いてモニタリングされる。
【0040】
本明細の実施形態によれば、モニタリングの結果に基づいて、蓄積された脂質含有変性
物質が存在し、および閾値を超えると識別される場合、処置が提供される。処置は、アテ
ロームのアリアおよびボリュームが予め規定された(pre-defined)時間間隔にてモニタ
リングされるたびに繰り返され、および蓄積された脂質含有変性物質は、存在し、および
閾より高いと識別される。
【0041】
本明細の実施形態は、主にペイシェントの血しょうから由来する(導き出されるとも言
う)α-高密度リポタンパク質(α-HDL)粒子から脂質を除去するのに有用なシステム、
器械および方法を通して状態を処置し、それによって脂質含量が低減し、特にコレステロ
ール含量が減少した修飾HDL粒子を作り出す。本明細の実施形態は、LDL粒子を実質修飾せ
ずに低減された脂質含量を有するこれらの修飾HDL粒子を作り出す。本明細の実施形態は
、元のHDLと比較して増加したプレ-βHDLの濃度を有する修飾されたHDL粒子を生じさせる
ために、元のα-HDL粒子を修飾する。
【0042】
さらに、新たに形成されたHDL粒子の誘導体(修飾されたHDL)は、細胞コレステロール
流出を高め、および心血管疾患および/または他の脂質関連疾患を、アテローム塞栓性腎
疾患(Atheroembolic Renal Disease)(AERD)を含めて処置するために、ペイシェント
に施される。規則的な定期的モニタリングおよび処置プロセスにより、本明細の方法およ
びシステムは、心血管疾患の処置において、ホモ接合型の家族性高コレステロール血(ho
mozygous familial hypercholesterolemia)(HoFH)、ヘテロ接合型の家族性高コレステ
ロール血(HeFH)、虚血性脳卒中、冠動脈疾患(CAD)、急性冠(冠動脈)症候群(ACS)
、末梢動脈疾患(PAD)、腎動脈狭窄(RAS)を含めて、およびアルツハイマー病の進行の
処置のために、より一層効果的にされる。
【0043】
本明細はマルチプルな実施形態に沿っている。以下の開示は、本技術において通常の技
量を有する者(当業者)が本発明を実践することを可能にするために提供される。この明
細において使用される言語は、任意の一の特定の実施形態の一般的な否認として解釈され
たり、または請求の範囲をそこで使用される用語の意味を超えて制限するために使用され
たりすべきではない。ここで規定される一般原理は、本発明の精神および範囲から離れる
ことなく、他の実施形態および用途に適用され得る。また、使用される用語法および言い
回しは、模範的な実施形態を説明する目的のためのものであり、および制限と考えられる
べきではない。それゆえ、本発明は、開示された原理および特長と一致する膨大な数の代
替、修飾、および等価物を包含する最も広い範囲が与えられるべきである。明確にするた
めに、本発明に関連する技術分野において知られる技術資料に関する詳細は、本発明を不
必要に不明瞭にしないように詳しくは説明していない。本出願の説明および請求の範囲に
おいて、「comprise(構成要素としてもつ、含む、などとも言う)」、「include(全体
の一部・成分として含む、一定の枠内に含む、含有する、などとも言う)」および「have
(有する、もつ、などとも言う)」という単語のそれぞれ、およびそれらの形式は、単語
が関連付けられ得るリストにおけるメンバーに必ずしも制限されない。
【0044】
ここでは、特定の実施形態に関連して説明する任意の特長または構成要素は、別なふう
に明記しない限り、他の任意の実施形態と共に使用および実装し得ることに注目すべきで
ある。
【0045】
「流体」という用語は、脂質または脂質含有粒子を含む動物または人間からの流体、脂
質を含有する細胞(lipid-containing cells)と混合された脂質および流体を含む培養組
織および細胞からの流体として規定され得る。この発明の目的のために、流体において脂
質の量を減らすことには、血しょうにおいての脂質および血しょうにおいて含まれる粒子
を、制限されないが、HDL粒子を含めて、減らすことを含む。流体には、次に制限されな
いが:生物学的流体(体液とも言う);例えば、血液、血しょう、血清、リンパ液、脳脊
髄液、腹水、胸膜液、心膜液、生殖器系の種々の流体で、制限されないが、精液、射精液
、卵胞液および羊水が含まれるもの;細胞培養反応物(cell culture reagents)で、例
えば、通常の血清、ウシ胎仔血清または任意の動物または人間から由来する血清などのよ
うなもの;および免疫学的反応物で、例えば、組織および細胞の培養からの抗体およびサ
イトカインの様々な調製物などのようなもの、脂質を含有する細胞と混合した流体、およ
び脂質を含有する有機体を含む流体、例えば、脂質を含有する有機体を含む塩類溶液(サ
リン)などのようなものが含まれる。本発明の方法で処理される好ましい流体は血しょう
である。
【0046】
用語「脂質」は、人間または動物において生じる脂肪または脂肪様物質のグループの任
意の一以上として規定し得る。脂肪または脂肪様物質は、水における不溶性および有機溶
媒における溶解性によって特徴付けられる。「脂質」という用語は、本技術において通常
の技量の者に既知であり、および制限されないが、複合脂質、単純脂質、トリグリセリド
、脂肪酸、グリセロリン脂質(リン脂質)、真脂肪(true fats)で、例えば、脂肪酸の
エステルなどのようなもの、グリセロール、セレブロシド、ワックス、およびステロール
で、例えば、コレステロールおよびエルゴステロールなどのようなものが含まれる。
【0047】
用語「抽出溶媒」または「脂質除去剤」は、流体から、または流体内で粒子から脂質を
抽出するために使用される一以上の溶媒として規定され得る。この溶媒は流体に入り、お
よび他のサブシステムによって除去されるまで流体において残る。適切な抽出溶媒には、
脂質を抽出または溶解する溶媒が含まれ、制限されないが、フェノール、炭化水素、アミ
ン、エーテル、エステル、アルコール、ハロ炭化水素、ハロカーボン、およびそれらの組
合せが含まれる。適切な抽出溶媒の例は、エーテル、エステル、アルコール、ハロ炭化水
素、またはハロカーボンであり、それらには、制限されないが、ジイソプロピルエーテル
(DIPE)が含まれ、それはまたイソプロピルエーテルとも称され、ジエチルエーテル(DE
E)、それはまたエチルエーテルとも称され、低次アルコール、例えば、ブタノールなど
のようなもの、特にn-ブタノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、イソフ
ルラン、セボフルラン(1,1、1,3、3,3-ヘキサフルオロ-2-(フルオロメトキシ)プロパン-
d3)、ペルフルオロシクロヘキサン、トリフルオロエタン、シクロフルオロヘキサノール
、およびそれらの組合せが含まれる。
【0048】
「ペイシェント」という用語は、動物および人間に言及し、それは本発明の方法により
処置される流体ソース、または脂質含量が低下したHDL粒子の誘導体およびまたは血しょ
うのレシピエントのいずれかであり得る。
【0049】
「HDL粒子」という用語は、多種多様な方法、例えば、電荷、密度、サイズおよび免疫
親和性を、制限されないが、電気泳動移動度、超遠心分離機、免疫反応性および本技術に
おいて通常の技量の者に既知の他の方法を含めて測定するものなどのようなものに基づい
て規定されるいくつかのタイプの粒子を包含する。そのようなHDL粒子には、制限されな
いが、α-HDL、プレ-βHDL(プレ-β1HDL、プレ-β2HDLおよびプレ-β3HDLを含む)、HDL
2(HDL2aおよびHDL2bを含む)、HDL3、VHDL、LpA-I、LpA-II、LpA-I/LpA-IIが含まれる(
レビューについては、Barrans(バランス)ら、Biochemica Biophysica Acta(バイオケ
ミカ・バイオフィジカ・アクタ)1300;73-85、1996を参照)。したがって、本発明の方
法の実践は修飾されたHDL粒子を作り出す。HDL粒子のこれらの修飾された誘導体は、膨大
な数の方法で、制限されないが、以下の代謝および/または物理化学特性(レビューにつ
いては、Barransら、Biochemica Biophysica Acta 1300; 73-85,1996参照);分子量(kD
a);電荷;直径;形状;密度;水和密度(hydration density);浮遊特性(flotation
characteristics);コレステロールの含量;遊離コレステロールの含量;エステル化コ
レステロールの含量;遊離コレステロール対リン脂質のモル比;免疫親和性;次の酵素ま
たはタンパク質:ApoA-I、ApoA-II、ApoD、ApoE、ApoJ、ApoA-IV、コレステロールエステ
ル転移タンパク質(CETP)、レシチンの一以上の含量、活性、またはヘリシティ(らせん
性とも言う);コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT);コレステロール結合
についての能力および/または速度、コレステロール輸送についての能力および/または速
度の一以上における変化を含むものにおいて、修飾され得る。
【0050】
用語「血流予備量比(fractional flow reserve)」または「FFR」は、狭窄が心筋への
酸素デリバリーを妨げる可能性を決定するために、冠動脈狭窄(狭小化、通常はアテロー
ム性動脈硬化による)にわたる圧力差の測定値に言及するのに使用される。血流予備量比
は、狭窄前の圧力に対する狭窄後(遠位)の圧力として規定され、および絶対数として表
される。0.70のFFR値は、与えられる狭窄により血圧において30%低下を起こすことを意
味する。したがって、FFRは、狭窄が存在しない仮定において最大流量と比較して、狭窄
が存在する場合の血管を流れる最大流量を表すために使用される。血液フロー(血液流量
とも言う)での減少は、それがFFRを使用する血圧について測定され、血液を介した酸素
デリバリー(血液酸素デリバリー)の減少をもたらす。
【0051】
「脂質含量によるブロッケージ(ブロック、閉塞とも言う)」という用語はパーセンテ
ージ(割合と言うこともある)において測定され、および動脈において物理的ブロッケー
ジの程度(extent、範囲とも言う)に言及するために使用される。
【実施例0052】
心血管疾患
【0053】
図1Aは、循環器疾患(cardiovascular diseases)、例えば、以下のものに制限されな
いが、HoFH、HeFH、虚血性脳卒中、CAD、ACS、末梢動脈疾患(PAD)などのようなものを
処置する模範的なプロセスを例示するフローチャートであり、および本明細のいくらかの
実施形態に従いアルツハイマー病の進行を処置するためのものである。ステップ102では
、循環器疾患と診断される対象またはペイシェントは、診断手順を介して一以上のアテロ
ームエリアおよび/またはボリュームについてモニタリングされる。ある実施形態では、
先端医療撮像技術、例えば、以下に制限されないが、コンピュータ断層撮影(CT)血管造
影および/または血管内超音波(IVUS)などのようなものが、脂質含有変性物質が蓄積し
たかもしれない動脈壁の内層内のエリアを検出するために使用され得る。蓄積された変性
物質には、脂肪性沈着物(fatty deposits)が含まれてよく、それには、主としてマクロ
ファージ細胞、または破片が、脂質、カルシウム、および変動する量の線維性結合組織を
含めて、含まれ得る。イメージング(撮像とも言う)技術からの分析はまた、動脈壁の内
層内に蓄積される脂質含有変性物質のボリュームを識別し、および従ってモニタリングす
るために使用し得る。脂質含有変性物質および非脂質含有変性物質は、動脈壁において膨
張し、それによって動脈のチャネル中に侵入し、およびそれを狭め、結果として血液フロ
ーの制限を引き起こし得る。
【0054】
診断技術からの分析に基づいて、ステップ104において、変性物質の存在およびタイプ
が確認される。さらに、変性物質(脂質含有または非脂質含有)によって引き起こされる
ブロッケージの程度またはパーセンテージは、画像診断(diagnostic imaging)技術を使
用して医師によって決定される。ステップ104にて変性物質が検出されない場合、または
変性物質のレベルが予め定める(pre-determined、所定の、などとも言う)範囲外の値に
ある場合、プロセスは停止される。ある実施形態では、医師は、本明細に従い処置方法を
実践するために、蓄積された脂質による20%-70%のブロッケージをもつ狭窄を有する一
以上の動脈を識別する。ステップ106では、狭窄の存在下での酸素デリバリーの程度を決
定するために、血流予備量比(Fractional Flow Reserve)(FFR)測定が使用される。あ
る実施形態では、FFRは、冠動脈狭窄にわたる圧力差を測定して狭窄が心筋への血液酸素
デリバリーを妨げる可能性(虚血)を定めるために使用される。
【0055】
異なるタイプの処置を、診断結果および閾値に応じて提供し得る。この段階で、医師は
、本明細の実施形態による処置が、疾患が治まり、存在せず、十分でなく、または処置さ
れたため、要求されないか、または処置の代替形態(例えば、物理的なステントなどのよ
うなもの)が要求されるかのいずれかを決定し得る。
【0056】
図1Cは、図1Aのフローチャートにおいて記載されるように、本明細のいくらかの実施
形態に従って、循環器疾患の診断から決定された変性物質の異なる組成物について提供さ
れ得る処置のタイプを例示する表である。表は、血流予備量比(FFR)402の様々な程度の
組合せについて管理され得る異なるタイプの処置を比較し、それはブロッケージ後の血液
のフローの速度(rate of flow of blood)を指し示し(それは、次には、血液酸素デリ
バリーを指し示し)、血流予備量比のパーセンテージ(またはフラクション)、および脂
質含量404による様々な範囲の物理的ブロッケージに関して提供され、脂質含有によるブ
ロッケージのパーセンテージに関して提供される。表を参照すると、各セル、例えば、セ
ル406などのようなものは、範囲402(FFRを指し示す)および範囲404(脂質含量によるブ
ロッケージのパーセンテージまたは程度を指し示す)の組合せに対応し、それはさらに少
なくともその組合せについて適切であり得る処置の少なくとも一の方法を指し示す。
【0057】
実施形態において、異なるタイプの処置は、A、B、C、およびDとしてコード化される。
処置タイプ「A」は、物理的介入を通してステントが埋め込まれる侵襲的処置プロセスに
対応する。処置タイプ「B」は、本明細の実施形態に従い、HDL粒子を選択的に修飾する処
置方法を履行することに対応する。ある実施形態では、セクション(区画とも言う)404
によって注目されるように、血流予備量比(FFR)が80-100%からの範囲に及び、および
蓄積された脂質妨害物(lipid obstruction)が20-70%からの範囲に及ぶHDL粒子を選択
的に修飾する(およびHDL注入を実行する)のが好ましい。ここにおいて、実施形態では
、1-79%のFFR測定値が虚血状態を表し、そこでは80-100%のFFR測定値が非虚血状態を表
すことに注目すべきである。ほとんどの場合、処置タイプ「A」および/または「B」は状
態に対処することが可能であり得る。処置タイプ「D」は述べられる処置タイプ(Aおよび
/またはB)のいずれも要求されない場合に対応する。いくらかのセル、例えば、セル408
などのようなものでは、二つの処置オプションが指し示されてよく、および医師は処置の
適切なコース(過程とも言う)を決定するであろう。
【0058】
処置タイプ「C」は、ステントならびにHDL粒子の選択的修飾の双方の組合せが管理され
る場合に対応する(図1Aにおいて114aに関して以下でより一層詳細に記載されるように)
。アテローム性動脈硬化は全身性疾患であり、およびペイシェントは多発病変(multiple
lesions)をそれらの脈管構造全体に有する場合がある。したがって、ここでは、本明細
の処置方法が、全体にわたるペイシェントの健康に基づく処置戦略に基づいて履行されな
いで、しかしむしろ、「病変/プラーク/エリア/領域」に基づく処置戦略によることに注
目すべきである。それゆえ、わずか数ケースだけで、医師が処置を組み合わせ、および処
置タイプ「C」を施すことを決定し得る。仮に、特定のペイシェントにおいて、一以上の
エリアまたは病変が79%またはそれよりも少ない(1%から79%までに及ぶ)FFRを有する
場合、そのとき、それらのエリアにはステントが埋め込まれるであろう。同じペイシェン
トが20-70%の範囲において脂質ベースのブロッケージおよびまた80-100%のFFRを見せる
追加の、残存病変を示す場合、そのときペイシェントはその後の脱脂を受けるであろう。
したがって、双方の介入は、各病変にて異なるレベルの疾患を伴う多発病変を有するペイ
シェントについて使用され得る。
【0059】
再度、図1Aを参照すると、ステップ108aにおいて、医師は、蓄積された脂質含有変性物
質の量が、病変/プラーク/エリア/領域を覆い、脂質含量によるブロッケージのパーセン
テージに関して測定されるように、予め定められる(predetermined、所定の、などとも
言う)閾値を超えて、またはある値の範囲内に入るかどうかを決定する。閾パーセンテー
ジ値を超える脂質含有物質の量またはボリュームをもち、または値のある範囲内に入るア
テローム病変(群、「群」は複数もあり得ることを示す)を伴う動脈が識別されない場合
、代替処置プロセス(それには処置または物理的介入が含まれなくてよい)は、ステップ
110bにおいて医師によって決定される。予め定められる閾パーセンテージを超え、または
予め定められるパーセンテージ範囲内の脂質ブロッケージの量またはボリュームを有する
脂質含有アテローム病変/プラーク/エリア/領域(群)を伴う動脈が識別される場合、次
いでペイシェントは、ステップ110aにおいて脱脂プロセスにかけられる。本明細の脱脂プ
ロセスを以下でより一層詳細に説明する。
【0060】
ステップ108bにて、医師は、FFR測定に基づいて、血液酸素デリバリーが閾値未満また
は値の範囲内で妨げられるかどうかを決定する(それは、狭窄の仮定上の不存在において
の最大フローと比較した狭窄の存在下での管の下方の最大フローとして表される)。血液
酸素デリバリーが閾値未満または所定の値の範囲内で妨げられる場合、そのとき、ステッ
プ112aにおいて、医師は物理的介入、例えば、ステントなどのようなものにより処置する
。ステップ112bにおいて、血液酸素デリバリーが閾値を下回って妨げられない、または所
定範囲の値内に入らないと決定される場合、医師は代わりの処置オプションを探索する(
無処置または本明細の脱脂プロセスを含んでもよい)。ある実施形態においては、閾値は
80%である。ある実施形態では、値の範囲は1%-79%である。
【0061】
ステップ108cにて、医師は、双方の蓄積された脂質含有変性物質が、病変/プラーク/エ
リア/領域(群)を覆い、所定の範囲のパーセンテージ内に入る量またはボリュームであ
り、および血液酸素デリバリーが所定のパーセンテージの範囲によって定められるように
妨げられるかどうかを決定する。双方の条件が満たされる場合、ステップ114aにおいて、
医師は、虚血エリアとして識別されるそれらのエリア(1%ないし79%の範囲、および好
ましくは80%未満においてFFR測定)をステントインプラント手順(stent implant proce
dure、ステントの移植手順などとも言う)により、および次いで残りのエリアは本明細の
脱脂プロセスにより処置する。ステップ114bにおいて、双方の閾条件が満たされない場合
、そのとき医師は、条件のいずれか一方が満たされないか、またはどちらの条件も満たさ
れないかを定め、および上記で概説したように適切な処置コースを決定する。
【0062】
ある例のケースでは、そこではイメージングからの分析は、1%-79%の範囲においてFF
R、および1から100%までのいくらかでも脂質によるブロッケージを定め、医師は、FFR、
およびそれゆえに、血液酸素デリバリーによって測定されるように、血液フローを改善す
るために物理的に介入することを判断し得る。ある実施形態では、物理的介入は、識別さ
れたアテロームエリアにおいて血液フローの速度を増加させるために、外科的にステント
を埋め込むことにより実行される。
【0063】
別の例では、そこではイメージングからの分析は、80%-100%の範囲においてFFR、お
よび20%-70%の範囲にある脂質によるブロッケージを定め、医師は脂質を除去または削
減する処置方法を選んでもよい。この例では、HDL粒子の選択的修飾を可能にする本明細
の実施形態が利用される。
【0064】
まだ別の例では、そこではFFRは、1%-79%の範囲、好ましくは80%未満にあり、およ
び脂質によるブロッケージは20%-70%の範囲にあると定められ、医師はステントを埋め
込む外科的プロセスを進めることに決めてよい。20%-70%などのようなパーセンテージ
のブロッケージが述べられるとき、血管の断面積(cross-sectional area)が脂質含有物
質によりブロッケージされ、およびそのようなブロッケージが血管の断面積の20%ないし
70%の範囲を占めることを意味することが認められるべきである。
【0065】
所定のパーセンテージの範囲内の脂質ブロッケージの量またはボリュームを有する脂質
含有アテローム病変/プラーク/エリア/領域(群)を有する動脈がステップ110aにおいて
識別される場合、ペイシェントは次いで脱脂プロセスを受ける。このケースにおいて、ス
テップ120で、ペイシェントの血液フラクション(血液画分とも言う)が取得される。血
液フラクショネーション(血液分別とも言う)のプロセスは、典型的に、ろ過、血液の遠
心分離、吸引、または本技術において熟練する者に既知の任意の他の方法によって行われ
る。血液フラクショネーションは血しょうを血液から分離する。一実施形態では、体重に
基づいて約12ml/kgの血しょうを生成するのに十分なボリュームにおいて血液がペイシェ
ントから引き出される。血液は、本技術において熟練の者に普通に知られる方法、例えば
、プラズマフェレーシス(血しょう交換とも言う)などのようなものを使用して、血しょ
うおよび赤血球に分けられる。次いで、赤血球は適切な貯蔵液に貯蔵、またはプラズマフ
ェレーシス中にペイシェントに戻される。赤血球は、なるべくならプラズマフェレーシス
中にペイシェントに戻される。生理的塩類溶液もまた、ボリュームを補充するためにペイ
シェントに随意に施される。
【0066】
血液フラクショネーションは、本技術において通常の技量の者に既知であり、および図
1Aに関連して説明する方法から離れて実行される。フラクショネーション中に、血液は随
意に抗凝固物質、例えば、クエン酸ナトリウムなどのようなものと組み合わされ、および
重力の約2,000倍に等しい力で遠心分離することができる。次に、赤血球が血しょうから
吸引される。フラクショネーションの後、細胞はペイシェントに戻される。いくらかの代
替実施形態では、低密度リポタンパク質(LDL)もまた血しょうから分けられる。分けら
れたLDLは通常、処分される。代わりの実施形態では、LDLは血しょうにおいて保持される
。本明細の実施形態によれば、120にて取得した血液フラクションには、高密度リポタン
パク質(HDL)を有する血しょうが含まれ、および他のタンパク質粒子を含むか、または
含まなくてもよい。実施形態では、ペイシェントから収集された自己血しょうは、その後
、承認されたプラズマフェレーシスデバイスを介して処理される。血しょうは連続または
バッチプロセスを使用して輸送し得る。
【0067】
ステップ122にて、120で取得した血液フラクションを、一以上の溶媒、例えば、脂質除
去剤などのようなものと混合する。ある実施形態では、用いる溶媒には、有機溶媒セボフ
ルランおよびn-ブタノールのいずれかまたは双方が含まれる。実施形態において、血しょ
うおよび溶媒は、血しょうを溶媒と混合、かき混ぜ、または別なふうに接触させるための
少なくとも一の器械(apparatus、アパラトゥスなどとも言う)中に導入される。実施形
態において、溶媒システムは、HDL粒子だけがそれらの脂質レベルを低下させるために処
理され、およびLDLレベルに影響を及ぼさないように最適に設計される。溶媒システムに
は、変数、例えば、採用する溶媒、混合方法、時間、および温度などのようなものにおい
てのファクタリングが含まれる。溶媒のタイプ、比率および濃度はこのステップにおいて
変動し得る。溶媒対血しょうの許容可能な比率には、溶媒と血しょうの任意の組合せが含
まれる。いくらかの実施形態では、使用される比率は、2部の血しょう対1部の溶媒、1部
の血しょう対1部の溶媒、または1部の血しょう対2部の溶媒である。ある実施形態では、9
5部のセボフルランおよび5部のn-ブタノールを含む溶媒を使用するとき、血しょうの一部
当り溶媒の二部の比が使用される。追加的に、n-ブタノールを含む溶媒(solvent contai
ning n-butanol)を採用する実施形態では、本明細は、最終的な溶媒/血しょう混合物に
おいて少なくとも3%のn-ブタノールを生じさせる溶媒対血しょうの比を使用する。ある
実施形態では、最終的溶媒/血しょう混合物においてn-ブタノールの最終濃度は3.33%で
ある。血しょうおよび溶媒は、血しょうを溶媒と混合、かき混ぜ、または別なふうに接触
させるための少なくとも一の器械中に導入される。血しょうは、連続またはバッチプロセ
スを使用して輸送し得る。さらに、様々な検知手段は、圧力、温度、流量(flow rate、
流速と言うこともある)、溶媒レベル、およびその他同種類のものなどをモニタリングす
るために含まれ得る。溶媒は血しょうから脂質を溶解する。本明細の実施形態では、溶媒
は、脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理血しょうを生じさせるために脂質を溶
解する。そのプロセスは、HDL粒子を処理してそれらの脂質レベルを低下させ、および血
しょうタンパク質を破壊させたり、またはLDL粒子に実質影響を与えたりすることなく、
修飾されたHDL粒子を生成するように設計される。
【0068】
エネルギーは、多様な混合方法、時間、および速度の形態においてシステム中に導入さ
れる。124にて、バルク溶媒は遠心分離を介して修飾されたHDL粒子から除去される。実施
形態においては、任意の残りの可溶性溶媒は、チャコール(炭、木炭などとも言う)吸着
、蒸発、または中空繊維コントラクター(Hollow Fiber Contractors)(HFC)浸透気化
法(pervaporation)を介して取り出される。混合物は随意に、クロマトグラフィー(GC
)、または同様の手段の使用を介して残留溶媒についてテストされる。残留溶媒について
のテストは随意に、統計的検証に基づいて排除してよい。
【0069】
126にて、脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理された血しょうは、それが124
にて溶媒から分けられたものであり、適切に処理され、およびその後ペイシェントに戻さ
れる。修飾HDL粒子はプレベータHDLの濃度が増加したHDL粒子である。血しょうにおいて
、溶媒によりそれを処理する前に存在した元のHDLと比較して、修飾HDLではプレベータHD
Lの濃度がより一層高い。脂質が減少し、およびプレベータ濃度が増加したHDL粒子を含む
結果として得られた処理血しょうは随意に、ペイシェントの赤血球と、プラズマフェレー
シス中にその赤血球(the red cells)が既に戻されていない場合、組み合わされ、およ
びペイシェントに施される。施与の一つの経路は、脈管系、なるべくなら静脈内を通した
ものである。
【0070】
実施形態では、ペイシェントは、以前にモニタリングされたアテロームエリアおよびボ
リュームにおいての変化について、特に、脂質含有変性物質について、再びモニタリング
される。したがって、上記のように、プロセスはステップ102から繰り返される。実施形
態では、ペイシェントは三ないし六か月の期間内に繰り返しモニタリングされる。モニタ
リングがコレステロール流出を実質または十分に高めることを示唆するまで、処置サイク
ルもまた、この頻度で繰り返される。ある実施形態では、アテロームエリアおよびボリュ
ームが閾未満であるようにモニタリングされるとき、ペイシェントは処置されたと考えら
れ得、および処置サイクルのさらなる繰り返しを必要とされなくてよい。いくらかの実施
形態では、処置の頻度は、処置されるボリュームおよびペイシェントの状態の重症度に応
じて変動し得る。
【0071】
アテローム塞栓性腎疾患
【0072】
腎動脈狭窄(RAS)は全身性疾患であり、およびペイシェントは多発病変をそれらの脈
管構造全体に有する場合がある。時には、動脈内のプラークが剥離し、および腎臓を損傷
し、アテローム塞栓性腎疾患(AERD)をもたらすことがある。したがって、ここで、本明
細の処置方法は、全体にわたるペイシェントの健康をベースにした処置戦略に基づいて履
行されるのではないが、むしろ「病変/プラーク/エリア/領域」をベースにした処置戦略
に基づくことに注目すべきである。
【0073】
図1Bは。本明細のいくらかの実施形態に従い、コレステロール関連疾患、例えば、制限
されないが、アテローム塞栓性腎疾患(AERD)などのようなものを処置する別の模範的な
プロセスを例示するフローチャートである。すべてのケースにおいて、ペイシェントは最
初に腎動脈狭窄-腎臓に血液を供給する動脈においてブロッケージを提示する。ステップ1
32にて、ペイシェントが血圧(BP)を上昇させたかどうかが定められる。最近の高血圧の
発症はプラークの存在の臨床症状(clinical manifestation)であり得る。ペイシェント
が高BP(HBP)を有すると決定される場合、医師はステップ134にてアテローム塞栓性腎疾
患(AERD)を予期し得る。AERDは何ら徴候を引き起こさないかもしれないが、次の徴候の
いくらかはゆっくりと現れ、および時間が経つにつれて悪化し得る:尿中の血液(血尿)
、発熱、筋肉痛、頭痛、重量減少、足の痛みまたは青色足趾(blue toes、青色趾指など
とも言う)、悪心(吐き気)、他にも徴候(症状とも言うことがある)がある。AERDが識
別されない場合、そのとき136にて、HBPをもたらし得る任意のブロッケージを覆すために
ステントがペイシェントに配置される。
【0074】
134にて、上昇したBPに加えてAERDが識別される場合、そのとき医師は、ステップ138に
て、BPにおいてブロッケージおよび上昇を覆すためにステントを配置することができる。
加えて、ステップ140にて、医師は、ステントを配置する手順が、上昇したBPレベルおよ
びAERDの双方に対処するために動作したかどうかを定め得る。そうでない場合、本明細の
実施形態に従って、図1Aに関して説明される追加のステントを配置し得、または脱脂プロ
セスを使用し得る。処置の決定は、「病変/プラーク/エリア/領域」の決定に基づいても
よい。
【0075】
ステップ132では、ペイシェントが正常なレベルのBPを有すると決定される場合、医師
はステップ142にてAERDの徴候またはサインについてさらにチェックしてよい。チェック
は、徴候、例えば、以下に制限されないが、失明、尿中の血液、発熱、筋肉痛、頭痛、重
量減少、足の痛みまたは青色足趾、悪心、他にも徴候があるものなどのようなものに基づ
いて行い得る。142にて、AERDが検出されない場合、そのときステップ144で、医師は徴候
および任意の他の診断に基づいて適切な処置コースを決定し得る。HBPおよびAERDの双方
が高くない腎狭窄(コレステロール含有プラークの存在)がある場合、そのとき医師は、
心血管疾患について図1Aに関連して上記で概説した手順に従うことに決めてもよく、それ
は本明細のステントおよび/または脱脂プロセスのいずれか一方または双方という結果に
なることができる。
【0076】
ペイシェントがAERDと診断されるが、正常なBPレベルを有する場合、そのとき医師はス
テップ146に進んでよく、および対象またはペイシェントは、診断手順を介して一以上の
アテロームエリアおよび/またはボリュームについて腎機能障害の原因、および腎動脈狭
窄の程度を定めるためにモニタリングされる。ある実施形態において、先端医療撮像技術
、例えば、以下に制限されないが、コンピュータ断層撮影(CT)血管造影および/または
血管内超音波(IVUS)および/または近赤外分光法などのようなものを、脂質含有変性物
質が蓄積したかもしれない動脈壁の内層内のエリアを検出するために使用し得る。蓄積さ
れた変性物質には、脂肪性沈着物が含まれてよく、それには、主としてマクロファージ細
胞、または破片が、脂質、カルシウムおよび様々な量の線維性結合組織を含めて、含まれ
る。イメージング技術からの分析は、動脈壁の内層内に蓄積される脂質含有変性物質のボ
リュームを識別し、および従ってモニタリングするために使用し得る。脂質含有変性物質
および非脂質含有変性物質は、動脈壁において膨張し、それによって動脈のチャネル中に
侵入し、およびそれを狭め、結果として血液フローを制限し、および腎異常を引き起こし
得る。
【0077】
診断技術からの分析に基づいて、変性物質の存在およびタイプが確認され、変性物質(
脂質含有または非脂質含有)の程度またはパーセンテージが定められ、および血流予備量
比(FFR)に基づく血液酸素デリバリーの程度が識別される。変性物質が検出されない場
合、または変性物質のレベルが所定の閾を下回り、または所定の値の範囲外になる場合、
プロセスは停止される。ある実施形態では、医師は、本明細に従い処置方法を履行するた
めに、蓄積される脂質による20%-70%のブロッケージを有する狭窄を伴う一以上の腎動
脈を識別する。ある実施形態では、FFRを、動脈狭窄にわたって圧力差を測定し、狭窄が
血液フロー、および従って腎臓への酸素デリバリーを妨げる(虚血)可能性を決定するた
めに使用する。
【0078】
異なるタイプの処置を診断結果および閾値に応じて提供し得る。この段階で、医師は、
本明細の実施形態による処置は、疾患が治まり、存在せず、十分でなく、または処置され
たため、要求されないか;または処置の代替形態が要求されるかのいずれかを決定し得る
【0079】
図1Cに振り返ってみて、表は、血流予備量比(FFR)402の様々な程度の組合せについて
管理され得る処置の異なるタイプを比較し、それはブロッケージと関連する血液のフロー
の速度での変化を指し示し(および従って、血液酸素デリバリー)、FFRのパーセンテー
ジ、および脂質含量404による様々な程度のブロッケージに関して提供され、脂質含量に
よるブロッケージのパーセンテージに関して提供される。表を参照すると、各セル、例え
ば、セル406などのようなものは、範囲402(FFRを指し示す)および範囲404(脂質含量に
よるブロッケージのパーセンテージまたは程度を指し示す)の組合せに対応し、それはさ
らに少なくとも一の処置の方法を指し示し、それはその組合せに適切であり得る。
【0080】
実施形態では、処置の異なるタイプは、A、B、C、およびDとしてコード化される。処置
タイプ「A」は、物理的介入を通してステントが埋め込まれる侵襲的処置プロセスに対応
する。処置タイプ「B」は、本明細の実施形態に従いHDL粒子を選択的に修飾する処置方法
を履行することに対応する。ある実施形態では、セクション404によって注目されるよう
に、血流予備量比(FFR)が80-100%からの範囲に及び、および蓄積された脂質妨害物が2
0-70%からの範囲に及ぶHDL粒子を選択的に修飾する(およびHDL注入を実行する)のが好
ましい。ここで、実施形態において、1-79%のFFRが虚血状態を表し、そこでは80-100%
のFFRが非虚血状態を表すことに注目すべきである。処置タイプ「C」は、ステントならび
にHDL粒子の選択的修飾の双方の組合せが管理される場合に対応する。ほとんどの場合、
処置タイプ「A」および/または「B」は状態に対処することが可能であり得る。処置タイ
プ「D」は述べられる処置タイプ(A、B、またはC)のいずれも要求されない場合に対応す
る。いくらかのセル、例えば、セル408などのようなものでは、二つの処置オプションが
指し示されてよく、および医師は処置の適切なコースを決定するであろう。
【0081】
腎動脈狭窄(RAS)は全身性疾患であり、およびペイシェントは多発病変を脈管構造全
体に有する場合がある。ここでは、本明細の処置方法が、全体にわたるペイシェントの健
康に基づく処置戦略に基づいて履行されないが、むしろ「病変/プラーク/エリア/領域」
に基づく処置戦略によることに注目すべきである。それゆえ、少数のケースにおいて、医
師は処置を組み合わせ、および処置タイプ「C」を施すことを決定し得る。仮に特定のペ
イシェントで、一以上のエリアまたは病変が79%またはそれよりも低く測定されたFFRパ
ーセンテージを有する場合、そのときそれらのエリアにはステントが埋め込まれるであろ
う。同じペイシェントが追加の、残存する病変を示し、それが20-70%の範囲、およびま
た80-100%のFFRにおいて脂質ベースのブロッケージを見せる場合、そのときペイシェン
トはその後の脱脂を受けるであろう。したがって、双方の介入は、各病変において異なる
レベルの疾患を伴う多発病変を有するペイシェントについて使用され得る。
【0082】
医師は、蓄積された脂質含有変性物質の量が、病変/プラーク/エリア/領域を覆い、脂
質含量によるブロッケージのパーセンテージに関して測定されるように、所定の閾パーセ
ンテージを上回るか、または下回るか、またはパーセンテージの所定範囲内に入るかどう
かを決定する。閾パーセンテージを上回るか、または下回るか、またはパーセンテージの
所定範囲内に入る量またはボリュームを有する脂質含有アテローム病変(群)を伴う動脈
が識別されない場合、代替処置プロセス(それには処置または身体的介入が含まれなくて
よい)が医師によって決定される。所定のパーセンテージの範囲内に入る脂質ブロッケー
ジの量またはボリュームを有する脂質含有アテローム病変/プラーク/エリア/領域(群)
を伴う動脈が識別される場合、ペイシェントは次いで、脱脂プロセスを受ける。本明細の
脱脂プロセスは図1Aに関してより一層詳細に説明する。
【0083】
医師はまた、FFR測定に基づいて、血液酸素デリバリーが閾値未満に妨げられるか、ま
たは値の範囲内に入るかどうかを決定する(それは、狭窄の仮定上の不存在においての最
大フローと比較した狭窄の存在下での管の下方の血液の最大フローとして表される)。血
液酸素デリバリーが閾値未満に妨げられるか、または値の範囲内に入る場合、医師は、物
理的介入、例えば、ステントなどのようなものにより処置する。血液酸素デリバリーが閾
値を超えて妨げられないと決定される場合、医師は、代わりの処置オプションを探求する
(それは、無処置または本明細の脱脂プロセスを含み得る)。ある実施形態では、閾値は
80%である。ある実施形態では、値の範囲は1%-79%である。
【0084】
続いて、医師は、双方の蓄積された脂質含有変性物質が、病変/プラーク/エリア/領域
(群)を覆い、所定の範囲のパーセンテージ内の量またはボリュームであり、および血液
酸素デリバリーが閾値を超え、または所定の範囲の値内に妨げられるかどうかを決定する
。双方の閾条件が満たされる場合、医師は、虚血エリアとして識別されるそれらのエリア
(FFR80%未満、または1%かないし79%の範囲内)をステントインプラント手順により処
置し、およびその後、残りのエリアは本明細の脱脂プロセスによる。双方の閾条件が満た
されない場合、そのとき医師は、条件のいずれか一方か、またはどちらの条件も満たされ
ないかどうかを定め、および上記に概説するように適切な処置コースを決定する。
【0085】
ある例の場合、そこでイメージングからの分析は1%-79%の範囲においてFFRを、およ
び1から100%までのいくらかでも脂質によるブロッケージを定め、医師はFFRによって測
定されるように、血液酸素デリバリーを改善するために物理的に介入することを判断し得
る。ある実施形態では、物理的介入は、識別されたアテロームエリアにおいて血液フロー
の速度を増加させるために、外科的にステントを埋め込むことによって実行される。
【0086】
別の例では、そこでイメージングからの分析は80%-100%の範囲においてFFRを、およ
び20%-70%の範囲にある脂質によるブロッケージを定め、医師は脂質を除去または減ら
す処置方法を決めてもよい。この例では、HDL粒子の選択的修飾を可能にする本明細の実
施形態が利用される。
【0087】
さらに別の例では、そこでFFRは80%未満(1%ないし79%の範囲において)であると定
められ、および脂質によるブロッケージは20%-70%の範囲にあり、医師は、ステントを
埋め込む外科的プロセスを進めることに決めてよい。パーセンテージのブロッケージ、例
えば、20%-70%などのようなものが述べられるとき、管の断面積が脂質含有物質でブロ
ックされること、およびそのようなブロッケージが管の断面積の20%ないし70%の範囲を
占めることを意味することが認められるべきである。
【0088】
所定のパーセンテージの範囲内の脂質含有アテロームエリア/ボリュームを有する動脈
が識別される場合、ペイシェントは次に脱脂プロセスを受ける。この場合、ペイシェント
の血液フラクションが取得される。血液フラクショネーションのプロセスは、典型的に、
ろ過、血液の遠心分離、吸引、または本技術において熟練する者に既知の任意の他の方法
によって行われる。血液フラクショネーションは血しょうを血液から分離する。一実施形
態では、体重に基づいて約12ml/kgの血しょうを生成するのに十分なボリュームにおいて
血液がペイシェントから引き出される。血液は、本技術において熟練の者に普通に既知の
方法、例えば、プラズマフェレーシスなどのようなものを使用して、血しょうおよび赤血
球に分離される。次いで、赤血球は適切な貯蔵液において貯蔵され、またはプラズマフェ
レーシス中にペイシェントに戻される。赤血球は、なるべくなら、プラズマフェレーシス
中にペイシェントに返される。生理学的塩類溶液もまた、ボリュームを補充するために、
ペイシェントに随意に施される。
【0089】
血液フラクショネーションは、本技術において通常の技量の者に既知であり、および図
1Aに関連して説明する方法から離れて実行される。フラクショネーション中に、血液は随
意に抗凝固物質、例えば、クエン酸ナトリウムなどのようなものと組み合わされ、および
重力の約2,000倍に等しい力で遠心分離することができる。次に、赤血球が血しょうから
吸引される。フラクショネーションの後、細胞はペイシェントに戻される。いくらかの代
替実施形態においては、低密度リポタンパク質(LDL)もまた血しょうから分けられる。
分けられたLDLは通常、処分される。代替実施形態では、LDLは血しょうにおいて保持され
る。本明細の実施形態によれば、得られる血液フラクションには、高密度リポタンパク質
(HDL)を有する血しょうが含まれ、および他のタンパク質粒子が含まれるか、または含
まれなくてもよい。実施形態では、ペイシェントから収集された自己血しょうはその後、
承認されたプラズマフェレーシスデバイスを介して処理される。血しょうは、連続または
バッチプロセスを使用して輸送してよい。
【0090】
得られる血液フラクションは、一以上の溶媒、例えば、脂質除去剤などのようなものと
混合される。ある実施形態では、用いる溶媒には、有機溶媒セボフルランおよびn-ブタノ
ールのいずれかまたは双方が含まれる。実施形態において、血しょうおよび溶媒は、血し
ょうを溶媒と混合、かき混ぜ、または別なふうに接触させるための少なくとも一の器械中
に導入される。実施形態では、溶媒システム(溶媒系とも言う)は、HDL粒子だけがそれ
らの脂質レベルを低下させるために処理され、およびLDLレベルに影響を及ぼさないよう
に最適に設計される。溶媒システムには、変数、例えば、採用する溶媒、混合方法、時間
、および温度などのようなものにおいてのファクタリングが含まれる。溶媒のタイプ、比
率および濃度は、このステップにおいて変動し得る。溶媒対血しょうの許容可能な比率に
は、溶媒および血しょうの任意の組合せが含まれる。いくらかの実施形態では、用いられ
る比率は、血しょう2部対溶媒1部、血しょう1部対溶媒1部、または血しょう1部対溶媒2部
である。ある実施形態では、95部のセボフルラン対5部のn-ブタノールを含む溶媒を使用
するとき、血しょうの一部当り溶媒の二部の比が使用される。追加的に、n-ブタノールを
含む溶媒を採用する実施形態では、本明細は、最終溶媒/血しょう混合物において少なく
とも3%のn-ブタノールを生じる溶媒対血しょうの比を使用する。ある実施形態では、最
終溶媒/血しょう混合物においてn-ブタノールの最終濃度は3.33%である。血しょうおよ
び溶媒は、血しょうを溶媒と混合、かき混ぜ、または別なふうに接触させるための少なく
とも一の器械中に導入される。血しょうは、連続またはバッチプロセスを使用して輸送し
得る。さらに、様々な検知手段は、圧力、温度、流量、溶媒レベル、およびその他同種類
のものなどをモニタリングするために含まれ得る。溶媒は血しょうからの脂質を溶解する
。本明細の実施形態では、溶媒は、脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理された
血しょうを生じさせるために脂質を溶解する。本プロセスは、HDL粒子が、それらの脂質
レベルを低下させ、および血しょうタンパク質を破壊させたり、LDL粒子に実質的に影響
を与えたりすることなく、修飾されたHDL粒子を生じさせるために処理されるように設計
される。
【0091】
エネルギーは、多様な混合方法、時間、および速度の形態においてシステム中に導入さ
れる。バルク溶媒は遠心分離を介して修飾HDL粒子から除去される。実施形態では、任意
の残留する可溶性溶媒は、チャコール吸着、蒸発、または中空繊維コントラクター(HFC
)浸透気化法を介して除去される。混合物は随意に、クロマトグラフィー(GC)、または
同様の手段の使用を介して残留溶媒についてテストする。残留溶媒についてのテストは随
意に、統計的検証に基づいて排除し得る。
【0092】
脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理血しょうは、それが溶媒から分離された
ものであり、適切に処理され、およびその後ペイシェントに戻される。修飾HDL粒子はプ
レベータHDLの濃度が増加したHDL粒子である。血しょうにおいてそれを溶媒で処理する前
に存在していた元のHDLと比較して、修飾HDLではプレベータHDLの濃度がより一層高い。
脂質が減少し、およびプレベータ濃度が増加したHDL粒子を含む結果として得られた処理
血しょうは随意に、ペイシェントの赤血球と、プラズマフェレーシス中にその赤血球が既
に戻されていない場合、組み合わされ、およびペイシェントに施される。施与の一つの経
路は、脈管系、なるべくなら静脈内を通したものである。
【0093】
実施形態では、ペイシェントは、以前にモニタリングされたアテロームエリアおよびボ
リュームにおいての変化について、特に、脂質含有変性物質について、再びモニタリング
される。したがって、上記のようにプロセスは繰り返される。実施形態では、ペイシェン
トは三ないし六か月の期間内に繰り返しモニタリングされる。モニタリングがコレステロ
ール流出を実質または十分に高めることを示唆するまで、処置サイクルもまた、この頻度
で繰り返される。ある実施形態では、アテロームエリアおよびボリュームが閾未満である
とモニタリングされるとき、ペイシェントは処置されたと考えてよく、および処置サイク
ルのさらなる繰り返しを必要とされなくてよい。いくらかの実施形態では、処置の頻度は
、処置されるボリュームおよびペイシェントの状態の重症度に応じて変動し得る。
【0094】
アルツハイマー病
【0095】
アルツハイマー病は、鑑別診断に達するために、いくつかのテストからの結果を用いて
決定される。それゆえ、アルツハイマー病について確定診断は存在しない。実施形態にお
いて、本明細の処置およびプロトコルは、変化した全体的機能、認知的機能、日常生活動
作(activities of daily living)(ADL)/機能障害、および行動に関連する徴候に加え
て、ADのプレ全症候(pre-symptomatology)を見せるペイシェントに適用可能である。そ
れゆえに、ADを患うペイシェントは、徴候の全体に基づいて、早期(early)ステージ(
発症前(pre-symptomatic))/病期(Stages)1-4、軽度、中等度、または重度のADを有
するとして特徴付けることができる。
【0096】
以下のカテゴリを割り当ててよく、およびADの異なる早期ステージを通じて利益の設計
および評価を提供する:
・ステージ1は、早期発症ADの特徴的な病態生理学的変化を有するが、臨床的影響の証
拠がないペイシェントのクラスの代表である。これらのペイシェントは真に無症候性であ
り、自覚的な病訴(subjective complaint)、機能障害、または感受性の神経心理学的測
定尺度(sensitive neuropsychological measures)での検出可能な異常は有していない
。特徴的な病態生理学的変化は典型的に、様々なバイオマーカー測定尺度の評価によって
実証される。
・ステージ2には、早期発症ADの特徴的な病態生理学的変化および敏感な神経心理学的
測定尺度でのわずかに検出可能な異常があるが、機能障害のないペイシェントのグループ
が含まれる。わずかな機能障害の出現はステージ3への移行を知らせる。
・ステージ3は、早期発症ADの特徴的な病態生理学的変化、感受性の神経心理学的測定
尺度でのわずかなまたはより一層明らかな検出可能な異常、および軽度ではあるが、検出
可能な機能障害を有するペイシェントのクラスを代表する。この段階において機能障害は
、明白なデメンシアの診断を保証するのに足りるほど深刻ではない。
・ステージ4には、明白なデメンシアのペイシェントのグループが含まれる。この診断
は機能障害がステージ3で見られるものから悪化するときに行われる。このステージは、
以下で説明するように、軽度、中程度、および重度のアルツハイマー病の状態に対応する
追加のカテゴリに絞り込んでよい。
・ステージ5、6、および7は、明白なデメンシアおよび/または機能障害の程度の増加に
対応する。それ自体、ステージ5、6、および7は、軽度、中程度、および重度のADに対応
する。
【0097】
実施形態では、ベースライン、開始時(starting)または初期(initial)の重症度レ
ベルを、少なくとも一の生理学的診断または先端医療撮像技術を使用して診断/評価する
。いくらかの実施形態では、ベースライン、開始時または初期の重症度レベルは、少なく
とも一の認知力測定(cognitive measurement)またはテストによって追加的に評価され
る。利用可能な神経心理学的検査の一式(panoply)を考えると、複数の個々のテストに
ついて実証された推定的に有益な効果のパターンを使用して、早期ADにおける影響を評価
するか、または神経心理学的パフォーマンスの単一の感受性の測定尺度に対する大きな規
模の影響を使用し得る。例えば、アミロイドペプチドのレベル(40および42を含む)の測
定は、可能な処置の利益を評価するために使用し得る。
【0098】
アルツハイマー病の鑑別診断および重症度レベルの評価は、一以上の全体的、認知的、
機能的、および行動測定(behavioral measurements)、評価、またはテストに基づいて
もよい。
【0099】
実施形態において、全体的評価テスト(global assessment test)には、評価、例えば
、以下に制限されないが、臨床医のインタビューに基づく変化の印象プラス介護者評価(
Clinician's Interview-Based Impression of Change plus caregiver assessment)(CI
BIC-プラス)、および臨床的デメンシア見積総和ボックス(Clinical Dementia Rating-s
um of boxes)(CDR-SB)などのようなものを含み得る。
【0100】
臨床医のインタビューに基づく変化の印象プラス介護者インプット(Clinician's Inte
rview-Based Impression of Change plus caregiver input)(CIBIC-プラス)は、単一
または標準化されたインストルメント(器械、機器などとも言う)、例えば、以下に説明
するADAS-cogなどのようなものではない。治験薬(investigational drugs)についての
臨床試験では、多種多様なCIBICフォーマットが使用されており、それぞれは深さおよび
構造に関して異なる。それ自体、CIBIC-プラスからの結果は、それが使用されたその臨床
試験(trial)または臨床試験群(trials)からの臨床経験を反映し、および他の臨床試
験からのCIBIC-プラス評価の結果と直接比較することはできない。例として、いくらかの
主要な臨床試験において使用されるCIBIC-プラスは、ペイシェントの機能の四つの主要な
エリア:一般的、認知的、行動的、および日常生活動作を調べることを目的とした半構造
化されたインストルメントである。それは、ペイシェントとのインタビューでの雄性の/
雌性の(his/her)観察に基づいた熟練した臨床医の評価を、見積もられた間隔(interva
l rated)にわたるペイシェントの行動に精通した介護者によって提供された情報と組み
合わせて表す。CIBIC-プラスは、「著しく改善された」を示すスコア1から「変化なし」
を示すスコア4までないし「著しく悪化した」を示すスコア7に及ぶ七点のカテゴリ等級と
して点数を付けられる。CIBIC-プラスは、介護者からの情報(CIBIC)またはその他の全
体的な方法を使用しない評価と直接体系的に比較されていない。
【0101】
臨床的デメンシア見積総和ボックス(CDR-SB)は、六つのエリア:記憶、オリエンテー
ション(見当識などとも言う)、判断/問題解決、地域社会問題(community affairs)、
家庭/趣味、パーソナルケアにおける認知的パフォーマンスを測定する。各カテゴリは、
損傷の五点のスケール(0=なし、0.5=疑わしい、1=軽度、2=中程度、3=重度)にて採点さ
れる。見積の総和(0-18)はCDR-SB全体の評価を提供する。
【0102】
実施形態では、認知力テスト(cognitive tests)は、評価、例えば、制限されないが
、アルツハイマー病評価スケール(ADAS-cog)およびミニ精神状態検査(Mini Mental St
ate Examination)(MMSE)の認知サブスケールなどのようなものが含まれ得る。
【0103】
アルツハイマー病評価スケール(Alzheimer's Disease Assessment Scale)(ADAS-cog
)の認知サブスケールは、アルツハイマー病ペイシェントの縦断的コホート(longitudin
al cohorts of Alzheimer's disease patients)において広範に検証された多因子インス
トルメントである。ADAS-cogは、認知的パフォーマンスの選ばれた側面を、記憶、オリエ
ンテーション、注意、推論、言語、およびプラクシス(praxis、実行、実践などとも言う
)の要素を含めて、調べる。ADAS-cogスコアリング範囲は0から70までで、スコアが一層
高いほど認知機能障害がより一層大きいことを示す。認知機能が正常な高齢者のスコアは
0または1ほど低いが、典型的なデメンシアを呈しない成人のスコアがわずかに高いことも
珍しくない。
【0104】
ミニ精神状態検査(MMSE)は、オリエンテーション、記憶、集中、言語、およびプラク
シスに関する11の質問を含む。スコアリングスケールは0から30までの範囲に及び、スコ
アが一層高いほど損傷がより一層低いことを示す。
【0105】
実施形態では、機能的テストまたは日常生活動作の障害を評価するテストは、評価、例
えば、制限されないが、重度障害バッテリー(Severe Impairment Battery)(SIB)、修
正されたアルツハイマー病共同研究-日常生活動作のインベントリ(目録とも言う)(Mod
ified Alzheimer's disease Cooperative Study-activities of daily living inventory
)(ADCS-ADL)および重度のアルツハイマー病のための修正されたアルツハイマー病共同
研究-日常生活動作のインベントリ(ADCS-ADL重度)、進行性悪化スケール(Progressive
Deterioration Scale)(PDS)、インストルメンタル(手段的とも言う)日常生活動作
(Instrumental Activities of Daily Living)(IADL)、およびKatz(カッツ)の日常
生活動作(ADL)インデックスなどのようなものを含み得る。
【0106】
重度障害バッテリー(SIB)評価は、多項目インストルメントであり、および中等度な
いし重度のデメンシアを呈するペイシェントにおいて認知機能の評価について検証された
。SIBは、記憶、言語、オリエンテーション、注意、プラクシス、視空間能力、構築、お
よび社会的相互作用の要素を含め、認知パフォーマンスの選択的側面を評価する。SIBス
コアリング範囲は0から100までであり、スコアが一層低いほど認知機能障害がより一層大
きいことを示す。
【0107】
修正アルツハイマー病共同研究-日常生活動作のインベントリ(ADCS-ADL)は、ペイシ
ェントの機能的能力を測定するために使用されるADL質問の包括的なバッテリーからなる
。各ADL項目は、最高レベルの無関係なパフォーマンスから十分な損失まで見積られる。
調査員は、ペイシェントの挙動に精通する介護者にインタビューすることによってインベ
ントリを実行する。19項目のサブセットは、中等度ないし重度のデメンシアを有するペイ
シェントの評価のために、食餌(eat)、着衣(dress)、入浴(bathe)、電話、旅行、
買い物、および他の家事を実行する能力の見積りを含めて、検証された。修正ADCS-ADLは
スコア範囲の0ないし54を有し、スコアが一層低いほど機能障害がより一層大きいことを
示す。
【0108】
重度アルツハイマー病のための修正アルツハイマー病共同研究-日常生活動作のインベ
ントリ(ADCS-ADL-重度)は、上記のアルツハイマー病共同研究-日常生活動作のインベン
トリから導き出され、それはペイシェントの機能的能力を測定するために使用されるADL
質問の包括的なバッテリーである。各ADL項目は、最高レベルの無関係なパフォーマンス
から十分な損失まで見積もられる。ADCS-ADL-重度は19項目のサブセットであり、ペイシ
ェントの食餌、着衣、入浴、電話の使用、動き回り(または旅行)、および他の日常生活
動作の実行のペイシェントの能力の見積りが含まれ;それは中等度ないし重度のデメンシ
アを有するペイシェントの評価のために検証された。ADCS-ADL-重度はスコア範囲の0ない
し54を有し、スコアが一層低いほど機能障害が大きいことを示す。調査員は、介護者、例
えば、看護師スタッフなどのようなもので、その者はペイシェントの全体にわたる機能的
能力に精通しており、それにインタビューすることによってインベントリを実行する。
【0109】
進行性悪化スケール(PDS)は、11のエリアにおいて日常生活動作(ADL)およびインス
トルメンタルADLを、ペイシェントがすぐ近くを離れることができる範囲、よく知られる
家庭用器具の使用、家計および予算編成への関与、セルフケア、および日常業務を含めて
、調べる。スコアリングスケールは0から100までの範囲に及び、そこではスコアが一層高
いほど全体にわたる機能的能力がより一層良好であることを示す。
【0110】
インストルメンタル日常生活動作(IADL)評価は、複雑なADLでの能力を、電話するこ
と、買い物すること、食事の準備、ハウスキーピング、洗濯すること(laundering)、輸
送の使用、薬の使用、およびお金を扱う能力を含めて、測定するために使用される。各挙
動エリアのスコアは1または0である。複合スコアが一層高いほど機能的パフォーマンスが
より一層良好であることを示す。
【0111】
Katzの日常生活動作(ADL)インデックスは、ペイシェントのADLを実行する能力を、入
浴すること、着衣すること、トイレすること、移動すること、自制、および摂食すること
の六つの機能において無関係に評価するために使用される。各機能には、その機能におい
て独立に「はい」または「いいえ」のスコアが割り当てられ、それによって「はい」の回
答ごとに一ポイントが生成される。合計スコア6は十分な機能的能力を指し示し、その一
方スコア2またはそれよりも下は重度の機能障害を指し示す。
【0112】
実施形態では、挙動およびムード(気分)テストには、評価、例えば、制限されないが
、神経精神インベントリ(神経精神症状評価とも言う)(NPI)などのようなものが含ま
れてよく、およびうつ病、不安、過敏性、および全体にわたる気分の変化の程度を決定す
るために採用される。
【0113】
神経精神インベントリ(NPI)は、10項目を、妄想、幻覚、不快、不安、動揺、多幸、
無感動、過敏性、脱抑制、異常運動挙動(ペーシング(歩測)およびラメージング(臨検
))を含めて評価する。さらに二つの項目もまた、特に、夜間の挙動、および食欲および
摂食挙動においての変化も評価し得る。挙動障害の頻度は四点スケールにて見積もられ、
ともに重度は三点スケールにて見積もられる。合計スコアが一層高いほど挙動上の問題が
より一層多いことを指し示す。
【0114】
いくらかの場合には、血管周囲腔におけるプラークの蓄積または局所病変を決定するた
めに、画像診断(diagnostic imaging)テストが使用される。先端医療撮像技術は、血管
周囲腔においてプラークの程度を定め、およびアルツハイマー病の重症度レベルを評価す
るために使用される。実施形態において、先端医療撮像技術、例えば、制限されないが、
ポジトロン放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴画像法(MRI)および脊髄液テスト(ベータ
アミロイドフラグメント)などのようなものを使用し得る。
【0115】
特定のアミロイドポジトロン放射断層撮影法(PET)スキャンはまた、アミロイドPETイ
メージングとも称され、アルツハイマー病の早期診断および/または認知障害の程度の評
価における潜在的で主要な前進を表す。このスキャンは、脳において存在するプラーク領
域または病変を視覚化し、それらは、アルツハイマー病ペイシェントにおいて神経細胞を
損傷および消滅させることでの最有力原因である。スキャン技術は、放射性トレーサーを
、脳内のアミロイドタンパク質プラーク領域または病変を強調するために採用し、それら
はアルツハイマー病のホールマーク(特質とも言う)である。アミロイドPETスキャンニ
ングは、脳PETスキャンでのアミロイドプラーク(アミロイド斑とも言う)の「照明」を
可能にし、生きている人でのプラークの正確な検出が可能になる。スキャンにより、全症
候の呈示に先立ち、アルツハイマー病のより一層早期な診断または評価が可能になり得る
【0116】
デメンシアの診断および評価のための実践パラメータは、米国神経学会(American Aca
demy of Neurology)(AAN)によって発表されるように、構造的脳画像化が最適であると
考え、そこではMRIが適切な画像化方法の一つである。AANは、神経イメージング(神経画
像処理、検査などとも言う)が早期発症または異常な経過によって特徴付けられるデメン
シアを有するペイシェントにおいて最も有用であり得ることを示唆する。それゆえ、磁気
共鳴画像法(MRI)は、アルツハイマー病の診断および評価にとって好ましい神経イメー
ジング検査と考えることができ、それはそれが脳構造の3次元(3D)ボリューム、および
特に海馬および関連領域のサイズの正確な測定を可能にするからである。神経イメージン
グは、デメンシア症候群、例えば、正常圧水頭症、脳腫瘍、および硬膜下血腫などのよう
なものの改善可能な原因(reversible causes)を除外するために、およびデメンシアの
他の可能性のある原因、例えば、脳血管疾患などのようなものを除外するために概して有
用であると広く信じられ、それによってADの鑑別診断が可能にされる。
【0117】
髄液テスト(Spinal Fluid Test)(ベータアミロイドフラグメントの検出)は、脊髄
領域から流体を引き出すことを必要とする診断テストである。研究者は、アルツハイマー
病を有するペイシェントの髄液においてタンパク質の「シグナチャー(署名)」を識別し
、それは、その診断において重要な前進を表すことができた。シグナチャーは、アルツハ
イマー病を有すると診断された人の90%、および軽度認知障害(MCI)-アルツハイマー病
に進行することが多い障害を有する人の72%の脳脊髄液(CSF)において見出された。研
究者らは、アルツハイマーおよびMCIについて、潜在的な生物学的指標、またはバイオマ
ーカーとして以前に識別された三つのタンパク質:アミロイドベータ、タウ、およびホス
ホタウの濃度を測定した。アルツハイマー病は三つの無関係な研究グループにおいて識別
され、そこでは関係者は低レベルのアミロイドタンパク質アミロイド-ベータ1-42を、高
レベルの合計タウおよび上昇したホスホ-タウ181(P-タウ181)とともに示した。
【0118】
アポリポタンパク質E(ApoE)は、体において脂肪の代謝に関与するタンパク質のクラ
スであり、および脳において主要なコレステロールキャリアである。ApoEは多形性で、三
つの主要な対立遺伝子、即ち、ApoE-ε2、ApoE-ε3、およびApoE-ε4を伴う。ApoE-ε2は
母集団においておよそ7%ないし8%の対立遺伝子頻度を有する。アポリポタンパク質のこ
の変形は、細胞表面受容体に不十分にしか結合しないのに対し、ApoE-ε3およびApoE-ε4
は比較的よく結合する。ApoE-ε2は、アテローム性動脈硬化のリスクの増加および減少の
双方に関連する。ε2/ε2の組合せを有する個体は、食餌性脂肪をより一層緩徐にクリア
ーにする傾向があり、および早期の血管疾患および遺伝性障害タイプIII高リポタンパク
血症についてのリスクが高い。ApoE-ε3は、母集団においておよそ80%の対立遺伝子頻度
を有する。それは、三つの「ニュートラル(中立)」ApoE遺伝子型と考えられる。ApoE-
ε4は母集団においておよそ14%の対立遺伝子頻度を有する。ε4変形は、遅発性散在性ア
ルツハイマー病(late-onset sporadic Alzheimer's disease)(AD)の最大の既知の遺
伝的危険因子である。
【0119】
ADペイシェントの40-65%がε4対立遺伝子の少なくとも一つのコピーを有するが、ApoE
-ε4は疾患の最終的な決定因子ではなく;ADを有するペイシェントの少なくとも三分の一
がApoE-ε4陰性であり、およびApoE-ε4ホモ接合体のいくらかの人は決して病気を発症し
ない。なお、研究によると、二つのε4対立遺伝子を持つそれらのものは、ADを発症する
リスクが最大20倍有し、および従って、それは少なくとも要因として関係することができ
ることが示される。また、ApoE-ε2対立遺伝子がADにおいて保護的役割を果たし得るとい
う証拠もある。それゆえ、アルツハイマー病のリスクが最も高く、およびより一層早い齢
での遺伝子型は、ApoE-ε4、ApoE-ε4である。遺伝子型ApoE-ε3、ApoE-ε3をベンチマー
ク(この遺伝子型を持つ人にリスクファクター1.0を割り当てる)として使用することで
、遺伝子型ApoE-ε4、ApoE-ε4を有する個体は、アルツハイマー病を発症する相対的リス
クファクターの14.9を有する。ApoE-ε3、ApoE-ε4遺伝子型を有する個体は3.2の相対的
リスクファクターを見せる一方、ε2対立遺伝子およびε4対立遺伝子を有する人(ApoE-
ε2、ApoE-ε4)は2.6の相対的リスクファクターをもつ。ε2対立遺伝子およびε3対立遺
伝子(ApoE-ε2、ApoE-ε3)をそれぞれ一コピー有する個人(Persons)は、0.6の相対的
リスクファクターをもち、2対立遺伝子(ApoE-ε2、ApoE-ε2)を二コピー有する個人と
同様である。
【0120】
ApoE-ε4は、個体がアルツハイマー病を発症する可能性を大幅に増加させることが見出
されたが、無関係なリスクファクターの任意の組合せ、例えば、制限されないが、上記の
ように、一定のApoE対立遺伝子の異なるレベルなどのようなもの、高い全体の合計血清コ
レステロールレベル、および高血圧を有する個人がそれらの生涯においていくらかの時点
でAD発症の増幅されたリスクを有することに注目されるべきである。したがって、調査に
より、血清コレステロール値を下げることは、二つのApoE-ε4対立遺伝子をもつ場合でも
、アルツハイマー病の個人のリスクを低下させ得、そのようにしてAD発症の見込みの九ま
たは十倍から見込みの二倍にまで低下することが示唆された。女性はほとんどの年齢で男
性よりもADを発症する可能性が高く、および少なくとも一のε4対立遺伝子を有する個人
は男性よりも有意に多くの神経学的機能障害をもつ。
【0121】
本明細の態様では、脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理血しょうは、注入療
法を介してペイシェントに送られる。本プロセスは、HDL粒子が処理されて脂質レベルを
低下させ、および血しょうタンパク質を破壊させたり、またはLDL粒子に実質的に影響を
与えたりすることなく、修飾されたHDL粒子を生じさせるように設計される。
【0122】
HDLリポタンパク質粒子は、ApoA-I、リン脂質およびコレステロールから構成される。
本技術において通常の技量の者は、アポリポタンパク質A-I(ApoA-I)粒子が、それぞれ
プレベータおよびアルファ電気泳動移動度を有する二つのサブフラクション、プレβHDL
およびα-HDLを含むことを認めるであろう。それゆえ、プレ-βHDL 645は、リン脂質と複
合したApoA-I分子を表す。
【0123】
本明細の態様では、脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理血しょうは、注入療
法を介してペイシェントに送られる。ある実施形態では、修飾高密度リポタンパク質は、
混合に先立つ血液フラクションからのプレベータ高密度リポタンパク質に加えて、アルフ
ァ高密度リポタンパク質の濃縮物(a concentration of)を有する。
【0124】
本明細の態様では、分離されたプレβHDL粒子は、ベータアミロイド粒子に結合し、お
よび脳血管周囲経路をクリアーにするために、ペイシェントの血液ストリーム(blood st
ream)中に注入される。
【0125】
図4は、本明細の実施形態による、脳リンパ血管周囲(cerebral lymphatic perivascul
ar)経路に沿った輸送によるベータアミロイドの除去を例示する脳血管410の長さ方向横
断面図405である。示されるように、血液は管410の内腔415を通して循環し、その一方で
間質液(ISF)および溶質は、ベータアミロイド(Aβ)420を含め、血管周囲ドレナージ
経路425を介して脳から排除され、それは効果的な、脳のリンパドレナージである。ε3対
立遺伝子430は、ベータアミロイド粒子420に結合し、修飾ε3粒子が形成され、およびそ
れによって脳から血管周囲ドレナージ経路425に沿ってベータアミロイド粒子420が輸送さ
れる。また、アポリポタンパク質A-I(ApoA-I)粒子435およびHDL粒子440も、内腔415を
通る血液循環455の一部として、他の粒子、例えば、赤血球450などのようなものとともに
示す。ADは、いくらかのケースにおいて、脳リンパ血管周囲経路においてペプチドベータ
アミロイドの凝集物のビルドアップ(build-ups、蓄積、集積などとも言う)によって特
徴付けられる。表Aにおいて例示するように、ADペイシェントでは、ε2、ε3およびε4対
立遺伝子の分布はそれぞれおよそ4%、60%および37%である。アイソフォームApoE-ε4
は、脳血管周囲ドレナージ経路からのベータアミロイドのクリアランスを促進することで
は対立遺伝子ほど効果的ではない。それゆえ、ε4対立遺伝子の偏った存在量(skewed ab
undance)は、その遺伝子変形を有する個体においてADに対する増加した脆弱性に関連し
、およびADペイシェントにおいて、ADの重症度の増加および認知機能の喪失にも関連する
【0126】
図5は、本明細のある実施形態に従い、ε4対立遺伝子の存在が増加した個体の脳リンパ
血管周囲経路におけるアミロイド蓄積を例示する脳血管510の長さ方向横断面図505である
。示すように、血液は管510の内腔515を通って循環し、その一方、ベータアミロイド(A
β)粒子520は、ε4粒子530の存在の増加により脳血管周囲経路525において蓄積する。そ
れゆえ、ベータアミロイド520は、脳アミロイド脈管(血管)障害(cerebral amyloid an
giopathy)(CAA)として血管510の壁において堆積する。ADにおいてCAAは、血管周囲リ
ンパドレナージ経路525に沿って脳からのアミロイドベータ(Aβ)の排除の失敗を反映す
る。血管周囲経路に沿ったベータアミロイドの排除の失敗は、ベータアミロイドの酵素分
解における減少、血液中へのベータアミロイドの吸収の減少および血管壁の硬化と一致し
得る。他の粒子、例えば、赤血球550などのようなものと共に、また、内腔515を通る血液
循環555の一部としてのApoA-I粒子535およびHDL粒子540も示される。
【0127】
図6Aは、本明細のある実施形態に従う、脳アミロイド血管障害(CAA)について処置さ
れるADペイシェントの脳血管610の長さ方向横断面図605である。示すように、血液は血管
610の内腔615を通って循環し、その一方、ベータアミロイド(Aβ)粒子620は、ε4粒子6
30の高い存在性とともに脳血管周囲経路625において蓄積し、それによって経路625が本質
的にブロックされる。本明細の態様に従い、処置された血しょうまたは分離されたプレ-
βHDL粒子645は、ベータアミロイド粒子620に結合し、および脳血管周囲経路625をクリア
ーにするために、ペイシェントの血液ストリーム655中に注入される。プレ-βHDL645はリ
ン脂質と複合体化したApoA-I分子を表す。
【0128】
処置された血しょう、または増加した濃度の分離されたプレβHDL 645を含む溶液を生
成し、および続いてこれらをペイシェントに注入するために、血液フラクションを取得す
る。血液フラクショネーションのプロセスは典型的に、ろ過、血液の遠心分離、吸引、ま
たは本技術における熟練した人々に既知の任意の他の方法によって行われる。血液フラク
ショネーションは血しょうを血液から分ける。一実施形態では、体重に基づいて約12ml/k
gの血しょうを生成するのに十分なボリュームにおいて血液がペイシェントから引き出さ
れる。血液は、本技術において熟練の者に普通に既知の方法、例えば、プラズマフェレー
シスなどのようなものを使用して、血しょうおよび赤血球に分けられる。次いで、赤血球
は適切な貯蔵液において貯蔵され、またはプラズマフェレーシス中にペイシェントに戻さ
れる。なるべくなら赤血球はプラズマフェレーシス中にペイシェントに戻される。生理学
的塩類溶液もまた随意にボリュームを補充するためにペイシェントに施される。
【0129】
いくらかの代わりの実施形態において、低密度リポタンパク質(LDL)もまた血しょう
から分けられる。通常、分けられたLDLは処分される。代わりの実施形態では、LDLは血し
ょうにおいて保持される。本明細の実施形態によれば、結果として取得された血液フラク
ションは、HDLを伴う血しょうを含み、および他のタンパク質粒子を含んでも、または含
まなくてもよい。
【0130】
一実施形態では、血液フラクショネーションのプロセスは、ADを呈するペイシェントか
ら血液を引き出すことによって実行され、およびそのものは医師によって処置されている
。代わりの実施形態では、血液フラクショネーションのプロセスは、ペイシェント以外の
ものから血液を引き出すことによって実行される。したがって、血液フラクショネーショ
ンプロセスの結果として取得される血しょうは、自己または非自己のいずれかであり得る
【0131】
随意の実施形態において、取得された自己または非自己血しょうは、図1Aに関して上記
でより一層詳細に記載し、ただし、ここでは簡単に繰り返すように、脱脂プロセスに供さ
れる。結果として取得される血液フラクションは、一以上の溶媒、例えば、脂質除去剤な
どのようなものと混合される。ある実施形態において、用いる溶媒には、有機溶媒セボフ
ルランおよびn-ブタノールのいずれかまたは両方が含まれる。実施形態において、血しょ
うおよび溶媒は、血しょうを溶媒と混合、かき混ぜ、または別なふうに接触させるために
、少なくとも一の器械に導入される。実施形態では、溶媒システムは、脂質レベルを低下
させるためにHDL粒子だけが処理され、およびLDLレベルが影響を受けないように最適に設
計される。溶媒システムは、変数、例えば、採用する溶媒、混合方法、時間、および温度
などのようなものにおいてのファクタリングが含まれる。このステップでは、溶媒のタイ
プ、比率および濃度を変動し得る。血しょうおよび溶媒は、血しょうを溶媒と混合、かき
混ぜ、または別なふうに接触させるために、少なくとも一の器械に導入する。血しょうは
連続またはバッチプロセスを使用して輸送し得る。溶媒は血しょうから脂質を溶解する。
本明細の実施形態では、溶媒は、脂質含量が低減された修飾HDL粒子を含む処理血しょう
を生成するために、脂質を溶解する。本プロセスは、HDL粒子を処理してそれらの脂質レ
ベルを低下させ、および血しょうタンパク質を破壊したり、またはLDL粒子に実質的に影
響を与えたりすることなく、修飾されたHDL粒子を生成するように設計される。結果とし
て取得される処理血しょうは、修飾HDL粒子が含まれ、低減された脂質含量を有し、それ
は溶媒から分離されたもので、それは適切に処理され、およびある実施形態においてその
後ペイシェントに戻されてもよい。
【0132】
随意の実施形態では、結果として取得される流体は、修飾HDL粒子が含まれ、第二段階
において、プレβHDL粒子を分け、または分離するためにさらに処理される。ある実施形
態では、第二段階は、脱脂プロセスとは別の、および別個のエリアにおいて生じる。代わ
りの実施形態では、第二段階の処理は脱脂システムと共にインラインで起き、それによっ
てシステムはアフィニティーカラムサブシステムまたは超遠心サブシステムに接続され得
る。次いで、結果として取得される分離プレ-βHDL粒子は、以下に記載されるようにペイ
シェントの血流(bloodstream)に導入され得る。
【0133】
図6Aは、血液ストリーム655において非修飾HDL粒子640の存在を、他の粒子、例えば、
赤血球650などのようなものと共に例示する。修飾HDL粒子は、プレβHDL粒子645の濃度が
増加したHDL粒子であり得る。プレ-HDL645の濃度は、修飾されたHDLにおいて、元のHDLで
、それが溶媒で処理される前に血しょうにおいて存在していたものに比べて高い。結果と
して取得された処理血しょうは、HDL粒子が含まれ、減少した脂質および増加したプレβ
濃度を有し、赤血球がプラズマフェレーシス中にまだ戻されなかった場合、ペイシェント
の赤血球と随意に組み合わされ、およびペイシェントに施される。施与の一経路は血管シ
ステムを介し、なるべくなら静脈内、例えば、注入療法などのようなものによる。
【0134】
図6Bは、本明細のある実施形態に従い、ADペイシェントの血管610内に注入されたプレ
βHDL粒子645によるベータアミロイド分子620の除去のメカニズムを例示する。示すよう
に、ペイシェントの血液ストリーム655においてプレ-βHDL粒子645の濃度が増加すると、
比較的より一層高い数のプレ-βHDL粒子645が利用可能であり、血管周囲経路625からのベ
ータ-アミロイド粒子620に結合して、および引き出される。血液ストリーム655において
プレβHDL粒子645は血管周囲経路1025に入り、およびベータアミロイド粒子620と結合し
て、血液ストリーム655に再進入する修飾プレβHDL粒子645'を形成する。
【0135】
図6Cは、血液ストリーム655において流れ(血管610の内腔615において)、および分解
およびその後の排泄のために結合ベータアミロイド620を肝臓に輸送する働きをする複数
の修飾プレβHDL粒子645’を示す。いくらかの実施形態では、プレβHDL粒子6145はまた
、血管周囲経路625からベータアミロイド分子620と共にε4粒子630も引き寄せる。そのよ
うな実施形態では、修飾プレβHDL粒子645'は、ベータアミロイド620およびε4 630の両
方に結合するプレβHDL645である。それゆえ、注入された分離プレβHDL粒子1145は、コ
レステロールの逆、特に、ベータアミロイド620の、脳の血管周囲経路625から肝臓までの
輸送プロセスを開始する。図6Cにも見られるように、他の粒子、例えば、赤血球650など
のようなものと共に血液ストリーム655において非修飾HDL粒子640がある。
【0136】
修飾HDL粒子を施すための治療上プロトコル
【0137】
本明細の態様によれば、脂質の減少および/またはプレβ濃度の増加を伴う修飾HDL粒子
を含む処理血しょうは、複数の治療上のプロトコルに従ってペイシェントに施される。い
くらかの実施形態では、治療は、上記のように、ADの重症度のレベルに基づく。様々な実
施形態では、複数の治療上のプロトコルは、少なくとも一または任意の組合せの複数の治
療上のパラメータ、例えば、制限されないが、次のようなものを含む:
・投与範囲:1mg/kgないし250mg/kg、およびそこでの任意の増分、そこで特定の固定用
量はペイシェントの重量および病状の重症度の一方または両方に基づいて算出し得る。
・投与ボリューム:平均投与ボリュームは、用量(mg/kg)およびペイシェントに注入
される生産物の濃度に依存する(修飾HDL粒子または分離されたプレベータ粒子を含む処
理血しょう)。実施形態では、ペイシェントに戻されるボリュームは、脱脂プロセスに先
立ってペイシェントから取り除かれたボリュームに実質等しい。実施形態では、ペイシェ
ントに戻されるボリュームは濃縮ボリューム(concentrated volume)である。実施形態
では、注入療法(輸液療法とも言う)を介してペイシェントに送られるボリュームは、生
成物の調製、それが処理血しょうまたは濃縮、分離プレベータであるか、および緩衝剤ま
たは塩類溶液におけるその生成物の全体にわたる溶解度に依存する。
・投与速度:用量は注入療法を介して提供される。ここにおいて、注入の速度は、静脈
内療法のための正常な注入速度、または999mL/時間であり、および従って全体のボリュー
ムおよび濃度に依存することに注目すべきである。ある実施形態では、注入の時間は一時
間から八時間に及ぶ。
・処置の頻度またはサイクル:毎日、毎週、毎月および毎年
・治療の継続期間またはコース:少なくとも一日ないし少なくとも一年
【0138】
図7は、本明細のある実施形態に従う、ADペイシェントを処置するための治療上のプロ
トコルの複数の模範的なステップを説明するフローチャートである。ステップ705にて、
ペイシェントは最初に早期発症のADと一致する病態生理学的変化を呈する。前述の診断技
術のいずれかをこのステップにおいて使用し得る。実施形態では、様々なバイオマーカー
を、病態生理学的変化を定めるために使用し得る。例えば、アミロイドペプチドのレベル
の測定(40および42を含む)を、ADに特徴的な病態生理学的変化の程度を評価するために
、使用し得る。ある実施形態では、ペイシェントは、画像診断技術を使用して検出される
ような脳アミロイド血管障害(CAA)を呈し得る。ステップ710にて、CAAと診断されるペ
イシェントは、少なくとも一の診断手順を介して、血管周囲腔におけるプラークの蓄積の
程度を決定するために監視される。実施形態では、先端医療撮像技術、例えば、制限され
ないが、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴画像法(MRI)および髄液検査(ベ
ータアミロイドフラグメント)などのようなものを使用し得る。
【0139】
実施形態では、随意のステップ715にて、ペイシェントにおいてADの診断および重症度
レベルは、上述のように、一以上の全体的、認知的、機能的、および行動測定またはテス
トに基づいて追加的に評価される。
【0140】
実施形態では、全体的評価テストは、評価、例えば、制限されないが、臨床医のインタ
ビューに基づく変化の印象プラス介護者評価(CIBICプラス)、および臨床的デメンシア
見積総和ボックス(CDR-SB)などのようなものを含んでよい。
【0141】
実施形態では、認知力テストは、評価、例えば、制限されないが、アルツハイマー病評
価スケール(ADAS-cog)およびミニ精神状態検査(MMSE)の認知サブスケールなどのよう
なものが含まれ得る。
【0142】
実施形態では、機能的テストは、評価、例えば、制限されないが、重度障害バッテリー
(SIB)、修正アルツハイマー病共同研究-日常生活動作のインベントリ(ADCS-ADL)およ
び重度のアルツハイマー病のための修正アルツハイマー病共同研究日常生活動作のインベ
ントリ(ADCS-ADL-重度)、進行性悪化スケール(PDS)、手段的日常生活動作(IADL)、
およびKatzの日常生活動作(ADL)インデックスなどのようなものを含み得る。
【0143】
実施形態では、挙動およびムードテストには、評価、例えば、制限されないが、神経精
神インベントリ(NPI)などのようなものが含まれ得る。
【0144】
ステップ720にて、ペイシェントの一以上の生理学的パラメータが記録される。実施形
態では、一以上の生理学的パラメータは、一以上の治療パラメータを決定することに付帯
し得るものである。例えば、ペイシェントの投薬範囲を決定するために、ペイシェントの
重量が記録される。生理学的パラメータがステップ705に先立って最初に記録され得るこ
とが認められるべきである。
【0145】
ステップ725にて、ペイシェントは治療上のプロトコルに従って修飾HDL粒子を注入され
る。随意の実施形態では、血液フラクションはCAAを呈するペイシェントから採取される
。代わりの実施形態では、ペイシェント以外の人から血液を引き出して血液フラクション
が得られる。したがって、血液フラクショネーションプロセスの結果として取得される血
しょうは、自己または非自己のいずれかであり得る。続いて、血液フラクションを、修飾
HDL粒子を含む処理血しょうを取得するために、前述の脱脂プロセスを使用して処理する
。処理血しょうは、随意に、分離されたプレ-βHDLの濃度が増加した生成物を生じさせる
ために、さらに処理される。
【0146】
ある実施形態では、治療上のプロトコルは、1時間から8時間までに及ぶ期間にわたる修
飾HDL粒子または濃縮ボリュームの分離されたプレベータ粒子の注入デリバリー、および
そこでの任意の増加を、送られる治療上の生成物のその濃度に応じて含む。いくらかの実
施形態では、用量は1mg/kgから250mg/kgまで、およびその任意の増分に及び、および999m
L/時間+/-100ml/時間の注入デリバリー速度またはペイシェントにとってより一層適切と
考えられる速度で施される。実施形態では、処置は、治療の経過に応じて特定された頻度
または処置サイクルで繰り返される。いくらかの実施形態では、処置を施す頻度またはサ
イクルは、週に一回、週に二回、週当たりに三回、毎日、月に一回、月に二回、月当りに
三回から、少なくとも三、六、九または十二カ月に一回までに及んでよい。いくらかの実
施形態では、治療のコースは、少なくとも一日、少なくとも一週間、少なくとも一ヶ月か
ら少なくとも一年までに及んでよい。
【0147】
代わりの実施形態では、治療プロトコルは、治療の年次コースに対して三、六、九また
は十二ヶ月ごとに少なくとも一回、および最大で三、七または十回の処置を含む。いくら
かの実施形態では、少なくとも一の処置は、999mL/時間の速度での予め定めた時間にわた
る修飾HDL粒子の連続注入(IV)を含み得る。
【0148】
随意のステップ730で、治療プロトコルは、治療エンドポイント(therapeutic endpoin
t、治療終点とも言う)に基づいてアップまたはダウンに漸増または漸減または調節され
得る。実施形態では、診断および/または認知手順/テストを使用して、一以上のイントラ
処置(intra-treatment、処置間とも言う)の重症度レベル評価が行われる。一以上のイ
ントラ処置の重症度レベルの評価は、治療のコース中の予め定めた時点で行う。イントラ
処置の重症度レベルの評価により、追加の徴候の発現においての遅延、徴候の悪化におい
ての停止、またはペイシェントの状態においての改善が示される場合、治療上の利益があ
ると考えられる。実施形態において、治療上の利益が示されるとき、治療上の量は漸減さ
れ(titrated down)、そこでは、パラメータ、例えば、制限されないが、用量範囲、処
置の頻度またはサイクルおよび/または治療のコースなどのようなものが低減され得る。
あるいはまた、様々な要因に応じて治療プロトコルを漸増し(titrated up)得る。さら
に代わりに、イントラ処置の重症度レベルの評価でペイシェントの状態において改善が示
されるか、または示されない場合、治療プロトコルは調整されない。
【0149】
例として、重量が100kgであり、そこでの投薬量が15mg/kgであると定められる早期発症
ADペイシェントについて、そのペイシェントは1.5gの用量を受けるであろう。ペイシェン
トが軽度、中等度または重度のADを呈する場合、その投薬量を増加させ得ることは注目す
べきである。注入療法を介してペイシェントに送られる全体ボリュームは、緩衝剤または
塩類溶液において可溶化される治療上の生成物に依存する。例えば、治療上の生成物が自
己処理血しょうである場合、そのときペイシェントはペイシェントから抽出されたボリュ
ームに等しい治療上の生成物のボリュームを受けるであろう。治療上の生成物が非自己処
理血しょうである場合、ペイシェントは一例として1Lのボリュームを受け得る。治療上の
生成物が非自己の分離、濃縮プレベータ粒子である場合、ボリュームははるかに低くなり
得る。
【0150】
治療のエンドポイントまたは目的
【0151】
様々な実施形態において、ADペイシェントのベースライン、開始時または初期重症度レ
ベルは、上記のように早期発症、軽度、中程度または重度のうちの一つとして診断/評価
および分類される。ベースライン、開始時または初期重症度レベルは、ペイシェントが本
明細の修飾HDLおよび/または分離されたプレβHDL治療により処置される前のADの重症度
に言及する。
【0152】
実施形態では、ベースライン、開始時または初期重症度レベルは、少なくとも一の生理
学的診断または高度な医療画像技術を使用して診断/評価される。いくらかの実施形態で
は、ベースライン、開始時または初期重症度レベルは、少なくとも一の全体的、認知的、
機能的、行動測定またはテストによって追加的に評価される。
【0153】
ある実施形態では、治療上の利益は、本明細の治療プロトコルにより処置するとき、ペ
イシェントがそれらの現在の状態を維持または安定化することが可能なときに認識される
【0154】
ある実施形態では、治療上の利益は、本明細の治療プロトコルにより処置するとき、ペ
イシェントが、プラセボと比較するとき徴候を維持/安定化することを示すときに認識さ
れる。
【0155】
ある実施形態では、治療上の利益は、本明細の治療プロトコルにより処置するとき、ペ
イシェントが、プラセボと比較するとき徴候の悪化の遅延または停止を示すときに認識さ
れる。
【0156】
ある実施形態では、治療上の利益は、本明細の治療プロトコルにより処置するとき、ペ
イシェントが、プラセボと比較するとき徴候の進行速度の遅延を示すときに認識される。
【0157】
ある実施形態では、治療上の利益は、本明細の治療プロトコルにより処置するとき、ペ
イシェントが、プラセボと比較するとき徴候において改善を示すときに認識される。
【0158】
いくらかの実施形態では、少なくとも一の処置セッション(treatment session)また
は決定可能な時間周期(time period、期間などとも言う)の後、そのエンド(端部とも
言う)では前記少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、ペイシェ
ントは血管周囲腔においてアミロイドプラークの蓄積における減少を経験する。
【0159】
以下は、ベースライン、開始時または初期重症度レベルに関する複数の非制限的な、模
範的治療エンドポイントである。
【0160】
実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の後、そのエ
ンドでは前記少なくとも一の治療処置の効果は測定の影響を受け易く、ペイシェントの生
理的および/または認知パラメータの進行速度、レベルまたは量は、治療処置前のそのペ
イシェントの生理学的および/または認知パラメータのその速度、レベルまたは量に関し
て変化しない。
【0161】
実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の後、そのエ
ンドでは前記少なくとも一の治療処置の効果は測定の影響を受け易く、ペイシェントの生
理学的および/または認知パラメータの進行速度、レベルまたは量は、治療処置前のその
ペイシェントの生理学的および/または認知パラメータのその速度、レベルまたは量に関
して遅れる。
【0162】
実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の後、そのエ
ンドでは前記少なくとも一の治療処置の効果は測定の影響を受け易く、ペイシェントの生
理学的および/または認知パラメータの進行速度、レベルまたは量は、治療処置前のその
ペイシェントの生理学的および/または認知パラメータの進行速度、レベルまたは量に関
して修飾される。
【0163】
実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の後、そのエ
ンドでは前記少なくとも一の治療処置の効果は測定の影響を受け易く、その患者の生理学
的および/または認知パラメータの進行速度、レベルまたは量は、治療処置前のそのペイ
シェントの生理学的および/または認知パラメータの進行速度、レベル、または量に関し
て改善される。
【0164】
いくらかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、ペイ
シェントはAD関連徴候において改善を指し示すADAS-cogスコアの改善またはその安定化を
経験する。
【0165】
いくつかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、その
ペイシェントは、AD関連徴候において改善を指し示すCIBICプラススコアの改善またはそ
の安定化を経験する。
【0166】
いくつかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、その
ペイシェントは、AD関連徴候において改善を指し示すSIBスコアの改善またはその安定化
を経験する。
【0167】
いくつかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、その
ペイシェントは、AD関連徴候において改善を指し示すADCS-ADLスコアの改善またはその安
定化を経験する。
【0168】
いくつかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、その
ペイシェントはAD関連徴候において改善を指し示すADCS-ADL-重度スコアの改善またはそ
の安定化を経験する。
【0169】
いくつかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、その
ペイシェントはAD関連徴候において改善を指し示すいずれか一の全体的、認知的、機能的
、または行動的テストのスコアの改善またはその安定化を経験する。
【0170】
いくつかの実施形態では、少なくとも一の処置セッションまたは決定可能な時間周期の
後、そのエンドでは少なくとも一の処置セッションの効果は測定の影響を受け易く、その
ペイシェントはAD関連徴候において改善または安定化を指し示す血管周囲腔でのアミロイ
ドプラークの蓄積において減少を経験する。
【0171】
図2は本明細の方法を達成するために使用するシステムおよびその構成要素の模範的な
実施形態を例示する。この図は、HDL修飾システム200の要素を規定する模範的な基本構成
要素フローダイヤグラムを描く。システム200の構成要素の実施形態は、ペイシェントま
たは別の個体(ドナー)から血液フラクションを取得して後に利用する。血しょうは、血
液から分離され、さらなる処理のためにシステム200に対して滅菌バッグに入れる。血し
ょうは、既知のプラズマフェレーシスデバイスを使用して血液から分けられてもよい。血
しょうは、標準的なアフェレシス(成分除去とも言う)技術を使用してペイシェントから
滅菌バッグ中に収集し得る。次いで、血しょうは、さらなる処理のためにシステム200へ
の流体入力の形でもたらされる。実施形態において、システム200はいつでもペイシェン
トに接続されるのではなく、および血しょう脱脂のための別個の、独立型(stand-along
)システムである。ペイシェントの血しょうはシステム200によって処理され、およびペ
イシェントの場所に戻されてペイシェントに再注入で返される(reinfused back)。代わ
りの実施形態では、システムは、ペイシェントに接続される連続フローシステムであって
よく、そこでは、プラズマフェレーシスおよび脱脂の双方を体外の、並行システムにおい
て実行し、および脱脂血しょう生成物をペイシェントに戻す。
【0172】
流体入力205(血液の血しょう(blood plasma)を含む)を提供し、およびチュービン
グ(管類とも言う)を介して混合デバイス220に接続する。溶媒入力210も提供し、および
またチュービングを介して混合デバイス220に接続する。実施形態では、バルブ215、216
を使用して、流体入力205からの流体の流れを、および溶媒入力210からの溶媒の流れを、
それぞれ制御する。流体入力205は、上述のように、HDL粒子を、LDL粒子を有する血しょ
うを含めて、含むか、またはLDL粒子のない任意の流体を含むことが認められるべきであ
る。さらに、溶媒入力210は、単一の溶媒、溶媒の混合物、または溶媒入力210の点にて混
合される複数の異なる溶媒を含むことができることが認められるべきである。単一の溶媒
容器として示されるが、溶媒入力210は、複数の別々の溶媒容器を含むことができる。使
用され得る溶媒のタイプの実施形態は上記に議論する。
【0173】
ミキサー220は、流体-溶媒混合物を生じさせるために、流体入力205からの流体および
溶媒入力210からの溶媒を混合する。実施形態において、ミキサー220は、入力流体および
入力溶媒と共に、複数のバッチ、例えば、1、2、3またはそれよりも多くのバッチなどの
ようなものにおいてシェーカーバッグ(shaker bag)混合方法を使用することが可能であ
る。模範的なミキサーは、Barnstead Labline orbital shaker table(バーンステッド・
ラブライン・オービタル・シェーカー・テーブル)である。代わりの実施形態では、他の
既知の混合方法が利用される。一旦形成されると、流体-溶媒混合物は、チュービングを
通して、および少なくとも一のバルブ215aによって制御されて、セパレーター(分離器と
も言う)225に向けられる。ある実施態様では、セパレーター225はファンネル(漏斗とも
言う)形状バッグにおいて重力分離を通してバルク溶媒分離を実行するのが可能である。
【0174】
セパレーター225において、流体-溶媒混合物は第一層および第二層に分かれる。第一層
には、HDL粒子から除去された溶媒および脂質の混合物が含まれる。第一層はバルブ215b
を通して第一廃棄物容器235に輸送される。第二層には、残留溶媒、修飾HDL粒子、および
入力流体の他の要素の混合物が含まれる。本技術において通常の技量の者は、第一層およ
び第二層の組成が入力流体の性質に基づいて異なるであろうことを認めるであろう。一旦
第一層および第二層がセパレーター225において分かれると、第二層はチュービングを通
して溶媒抽出デバイス240に輸送される。ある実施形態では、圧力センサ229およびバルブ
230は、第二層の溶媒抽出デバイス240への流れを制御するために、フローストリームにお
いて配置される。
【0175】
入力容器205、210からの流体の流れを可能にするために、バルブ215、216の開放および
閉鎖は、流体入力205、210およびセパレーター225の重量決定から導き出される質量収支
計算(mass balance calculation)を使用して計時し得る。例えば、セパレーター225と
第一廃棄物容器235との間のバルブ215bおよびセパレーター225と溶媒抽出デバイス240と
の間のバルブ230は、入力質量(流体および溶媒)がセパレーター225において質量とほぼ
平衡し、および第一層と第二層との間の分離を可能にする十分な時間の期間が経過した後
に開く。どの溶媒を使用し、および従ってどの層をセパレーター225の底部に置くかに応
じて、セパレーター225および第一廃棄物容器235間のバルブ215bが開くか、またはセパレ
ーター225および溶媒抽出デバイス240間のバルブ230が開くかのいずれかである。本技術
において通常の技量の者は、開放のタイミングが第一層および第二層においてどれだけの
流体があるかに依存することを認めるであろうし、およびさらに、セパレーター225およ
び第一廃棄物容器235間のバルブ215bをすべての第一層および一部の第二層を除去するの
にちょうど十分な長さ開いたままに維持することが好ましく、それによって、溶媒抽出デ
バイス240に送られる流体から可能な限り多くの溶媒が除去されることが確実にされるこ
とを認めるであろう。
【0176】
実施形態において、注入グレード流体(infusion grade fluid)(「IGF」)は、プラ
イミング用にセパレーター225から溶媒抽出デバイス240までに至る流体経路221と流体連
通する一以上の入力260を介して採用され得る。ある実施形態では、塩類溶液は、入力260
の少なくとも一つにおいて、注入グレードのプライミング流体として採用される。ある実
施形態では、0.9%塩化ナトリウム(塩類溶液)が採用される。他の実施形態では、グル
コースを入力260のいずれか一つの注入グレードプライミング流体として採用してもよい
【0177】
実施形態では、グルコース入力255および一以上の塩類溶液入力260は、セパレーター22
5から溶媒抽出デバイス240に至る流路221と流体連通する。複数のバルブ215cおよび215d
もまた、フローストリームにおいてグルコース入力255および塩類溶液入力260からそれぞ
れチュービングへ組み込まれ、セパレーター225から溶媒抽出デバイス240への流路221が
提供される。IGF、例えば、塩類溶液および/またはグルコースなどのようなものは、シス
テムの動作前に溶媒抽出デバイス240をプライミングするために本明細の実施形態中に組
み込まれる。実施形態において、塩類溶液は、流体連通ラインおよび溶媒抽出デバイス24
0のほとんどをプライミングするために使用される。プライミングが要求されない場合、I
GF入力は採用されない。そのようなプライミングが要求されない場合、グルコースおよび
塩類溶液の入力は要求されない。また、本技術において通常の技量の者は、溶媒抽出デバ
イス240によって要求される場合、グルコースおよび塩類溶液の入力を他のプライマーで
置き換えることができることを認めるであろう。
【0178】
いくらかの実施形態では、溶媒抽出デバイス240は、溶媒入力210において使用される特
定の溶媒を除去するように設計されるチャコール(炭、木炭などとも言う)カラムである
。模範的な溶媒抽出デバイス240はAsahi Hemosorber(アサヒ・ヘモソーバー)チャコー
ルカラム、またはBazter/Gambro Adsorba(バズター/ガンブロ・アドソーバー)300Cチャ
コールカラムまたは血液ヘモグロビンかん流手順で採用される任意の他のチャコールカラ
ムである。ポンプ250を、第二層をセパレーター225から、溶媒抽出デバイス240を通して
、および出力容器245まで移動させるために使用する。実施形態では、ポンプ250はロータ
リーぜん動ポンプ(ロータリーペリスタポンプ)、例えば、Masterflex Model(マスター
フレックス・モデル)77201-62などのようなものである。
【0179】
第一層はチュービングおよび少なくとも一のバルブ215bを通してセパレーター225と流
体連通している廃棄物容器235に向けられる。追加的に、他の廃棄物は、発生する場合、
溶媒抽出デバイス240および出力容器245を接続する流体経路から第二廃棄物容器255に向
けることができる。随意に、ある実施形態では、バルブ215fが、溶媒抽出デバイス240か
ら出力容器245への経路において含まれる。随意に、ある実施形態では、バルブ215gが、
溶媒抽出デバイス240から第二廃棄物容器255への経路において含まれる。
【0180】
本明細のある実施形態では、複数の構成要素のそれぞれを通して流体を移動させるため
に、実用的であればいつでも重力が使用される。例えば、重力を、入力血しょう205およ
び入力溶媒210をミキサー220中に排出するために用いる。ミキサー220がシェーカーバッ
グを含み、およびセパレーター225がファンネルバッグを含む場合、流体はシェーカーバ
ッグからファンネルバッグに、およびその後、適切な場合、重力を使用して、第一廃棄物
容器235に移動させる。
【0181】
追加の実施形態では、図2において示さないが、出力容器245において出力流体は、任意
の溶媒、または他の望ましくない成分が出力流体にあるかどうかを定めるために、溶媒検
出システム、または脂質除去剤検出システムにかけられる。実施形態において、溶媒セン
サは連続フローシステムにおいて採用されるだけである。一実施形態では、出力流体は、
溶媒入力、例えば、n-ブタノールまたはジイソプロピルエーテルなどのようなものにおい
て導入される溶媒の濃度を決定することが可能なセンサにかけられる。出力流体はペイシ
ェントの血流に戻され、および溶媒濃度はこの操作を安全に遂行するために予め定めるレ
ベルより低くなければならない。実施形態において、センサは、リアルタイムで、および
出力流体のサンプルまたはヘッドスペースにおける空気を遠隔デバイスに物理的に輸送す
る必要なくそのような濃度情報を提供することが可能である。次に、結果として取得され
る分離された修飾HDL粒子は、ペイシェントの血流に導入される。
【0182】
一実施形態では、分子インプリントポリマー技術(molecularly imprinted polymer te
chnology)を、表面音波センサを可能にするために使用する。表面音波センサは、入力を
、その表面と周囲環境との若干の相互作用を通じて受け取り、および電気的応答を生じさ
せ、センサ基材の圧電特性によって生成される。相互作用を可能にするために、分子イン
プリントポリマー技術を用いる。分子インプリントポリマーは、複雑な生物学的サンプル
において、ターゲット(標的とも言う)分子で、薬、毒素または環境汚染物質のようなも
のを認識するためにプログラミングされたプラスチックである。分子インプリンティング
技術は、認識されるターゲット分子、即ち、ターゲット溶媒に類似する構造を見せるター
ゲットテンプレート(鋳型とも言う)分子の存在下で、一以上の機能性モノマーと過剰な
架橋モノマーとの重合によって可能にされる。
【0183】
表面音波センサを可能にする分子インプリントポリマー技術の使用は、標的化溶媒(ta
rgeted solvents)の濃度に対してより一層特異的にすることができ、およびそのような
標的化溶媒を他の可能な干渉物質と区別することが可能である。結果として、標的化溶媒
に対して同様の構造および/または特性を有し得る許容可能な干渉物質の存在は、センサ
が既存のそれぞれの溶媒濃度を正確に報告することを妨げないであろう。
【0184】
あるいはまた、入力溶媒が一定の溶媒、例えば、n-ブタノールなどのようなものを含む
場合、電気化学的酸化を、溶媒濃度を測定するために使用することができた。電気化学的
測定にはいくつかの利益がある。それらは、シンプル、高感度、高速であり、および広い
ダイナミックレンジをもつ。インスツルメンテーション(計装とも言う)はシンプルであ
り、および湿度によって影響を受けない。一実施形態では、ターゲット溶媒、例えば、n-
ブタノールなどのようなものは、サイクリックボルタンメトリーを使用して白金電極上で
酸化される。この技術は、電流を監視しながら、予め規定したスキャンレートにて、作用
電極の適用電位を順および逆の両方向に変動させることに基づく。一つの十分なサイクル
、部分的なサイクル、または一連のサイクルを実行することができる。白金が好ましい電
極物質である一方で、他の電極、例えば、金、銀、イリジウム、またはグラファイトなど
のようなものを使用することができた。サイクリックボルタンメトリー技術が使用される
が、他のパルス技術、例えば、微分パルスボルタンメトリー(differential pulse volta
mmetry)または矩形波ボルタンメトリーなどのようなものは、測定の速度および感度を向
上させ得る。
【0185】
本明細の実施形態は、自動的なサンプリングおよび出力流体、または出力流体上のヘッ
ドスペースを測定、検出、および分析するありとあらゆる形態を明示的にカバーする。例
えば、そのような自動検出は、ミニ-ガスクロマトグラフィー(GC)測定デバイスを統合
することによって実現でき、それは出力容器において空気を自動的にサンプリングし、そ
れを、脱脂プロセスにおいて使用される特定の溶媒について最適化されたGCデバイスに送
り、および、既知のGC技術を用い、溶媒の存在についてサンプルを分析する。
【0186】
図2に戻って参照すると、ここに記載のような器械の構成要素のいずれかで使用するの
に適した物質には、生体適合性であり、内側の体液との接触を伴う医療用途について承認
され、および米国PVIまたはISO 10993標準に準拠する物質が含まれる。さらに、物質は、
例として、少なくともシングル使用中に、本明細において使用される溶媒への暴露により
実質劣化しない。物質は放射線またはエチレンオキシド(EtO)滅菌のいずれかによって
滅菌可能である。そのような適切な物質は、慣習的なプロセス、例えば、制限されないが
、押出、射出成形および他のものなどのようなものを使用して物体に形成することが可能
である。これらの要件を満たす物質には、制限されないが、ナイロン、ポリプロピレン、
ポリカーボナート、アクリル、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フルオロ
エラストマーで、DuPont Dow Elastomers L.L.C.(デュポン・ダウ・エラストマーズ社)
から入手可能なVITON(バイトン)などのようなもの、熱可塑性エラストマーで、Monsant
o(モンサント)から入手可能なSANTOPRENE(サントプレーン)などのようなもの、ポリ
ウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニ
レンエーテル(PFE)、パーフルオロアルコキシコポリマー(PFA)、それはEI du Pont d
e Nemours and Company(EIデュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー)からTEFLON
PFA(テフロンPFA)として入手可能であり、およびそれらの組合せが含まれる。
【0187】
バルブ215、215a、215b、215c、215d、215e、215f、215g、216および各実施形態で使用
される任意の他のバルブは、制限されないが、ピンチ、グローブ、ボール、ゲート、また
は他の慣習的なバルブから構成されてよい。いくらかの実施形態では、バルブは、閉塞バ
ルブ(occlusion valves)、例えば、Acro Associates' Model 955(アクロ・アソシエー
テス・モデル955)バルブなどのようなものである。しかしながら、本明細は特定のスタ
イルを有するバルブに制限されない。さらに、本明細の実施形態に従って説明される各シ
ステムの構成要素は、物理的に一緒にカップリングされる(coupled、接合されるとも言
う)か、または可撓性または剛性のパイプ、チュービングまたは本技術において通常の技
量の者に既知の他のそのようなデバイスで構成され得る導管を使用して一緒にカップリン
グされ得る。
【0188】
図3は、本明細のいくつかの実施形態に従って、ここに開示するプロセスを達成するた
めに使用されるシステムの模範的な配置を例示する。図3を参照して、HDL修正システム30
0の基本的な構成要素の配置が示される。流体入力305を提供し、およびチュービングを介
して混合デバイス320に接続する。溶媒入力310を提供し、およびまたチュービングを介し
て混合デバイス320にも接続する。なるべくなら、流体入力305からの流体および溶媒入力
310からの溶媒の流れを制御するためにバルブ316を使用する。流体入力305は、上述のよ
うに、なるべくなら、HDL粒子を、LDL粒子を有するか、またはLDL粒子のない血しょうを
含めて、含む任意の流体を含むことが認められるべきである。溶媒入力310は単一の溶媒
、溶媒の混合物、または溶媒入力310の点にて混合される複数の異なる溶媒を含むことが
できることがさらに認められるべきである。単一の溶媒容器として描いているが、溶媒入
力310は、複数の別々の溶媒容器を含むことができる。使用され、および好ましい溶媒の
タイプは上記で議論する。
【0189】
ミキサー320は、流体-溶媒混合物を生じさせるために、流体入力305からの流体および
溶媒入力310からの溶媒を混合する。なるべくならミキサー320は、入力流体および入力溶
媒と共に、複数のバッチ、例えば、1、2、3またはそれよりも多くなどのようなバッチに
おいてシェーカーバッグ混合方法を使用することが可能である。一旦形成されると、流体
-溶媒混合物は、チュービングを通し、および少なくとも一のバルブ321によって制御され
て、セパレーター325に向けられる。好適な実施形態では、セパレーター325はファンネル
形状バッグにおいて重力分離を通してバルク溶媒分離を実行することが可能である。
【0190】
セパレーター325において、流体-溶媒混合物は第一層および第二層に分かれる。第一層
には、HDL粒子から取り出された溶媒および脂質の混合物が含まれる。第二層には、残留
溶媒、修飾HDL粒子、および入力流体の他の要素の混合物が含まれる。本技術において通
常の技量の者は、第一層および第二層の組成が入力流体の性質に基づいて異なるであろう
ことを認めるであろう。第一層および第二層が一旦セパレーター325において分かれると
、第二層はチュービングを通して溶媒抽出デバイス340に輸送される。なるべくなら、圧
力センサ326およびバルブ327は、第二層の溶媒抽出デバイス340への流れを制御するため
に、フローストリームにおいて位置される。
【0191】
なるべくなら、グルコース入力330および塩類溶液入力350は、セパレーター325から溶
媒抽出デバイス340に至る流体経路と流体連通にある。複数のバルブ331もまたなるべくな
ら、グルコース入力330および塩類溶液入力350からチュービングまでのフローストリーム
において組み込み、セパレーター325から溶媒抽出デバイス340への流路が提供される。グ
ルコースおよび塩類溶液は、システムの動作前に溶媒抽出デバイス340をプライミングす
るために本明細中に組み込む。そのようなプライミングが要求されない場合、グルコース
および塩類溶液の入力は必要ない。また、本技術において通常の技量の者は、グルコース
および塩類溶液入力を他のプライマーで置き換えることを、溶媒抽出デバイス340がそれ
を必要とする場合、できることを認めるであろう。
【0192】
溶媒抽出デバイス340はなるべくなら、溶媒入力310において使用される特定の溶媒を除
去するように設計されるチャコールカラムである。模範的な溶媒抽出デバイス340は、Asa
hi Hemosorberチャコールカラムである。ポンプ335を使用して、第二層をセパレーター32
5から、溶媒抽出デバイス340を通して、および出力容器315にまで移動させる。ポンプは
、なるべくならぜん動ポンプ、例えば、Masterflex Model 77201-62などのようなもので
ある。
【0193】
第一層は、廃棄物容器355に向けられ、それはチュービングおよび少なくとも一のバル
ブ356を通してセパレーター325と流体連通状態にある。さらに、他の廃棄物は、発生する
場合、溶媒抽出デバイス340および出力容器315を接続する流体経路から廃棄物容器355に
向けることができる。
【0194】
なるべくなら、本明細の実施形態は、実用的な場合はいつでも複数の構成要素のそれぞ
れを通して流体を移動させるために、重力を使用する。例えば、なるべくなら、重力を、
入力血しょう305および入力溶媒310をミキサー320中に排出するために使用する。ミキサ
ー320がシェーカーバッグを含み、およびセパレーター325がファンネルバッグを含む場合
、流体はシェーカーバッグからファンネルバッグに、およびその後、適切な場合、重力を
使用して、廃棄物容器355に移動される。
【0195】
概して、本明細はなるべくなら、すべての入力、例えば、入力血しょうおよび入力溶媒
などのようなもの、処分可能な要素、例えば、混合バッグ、セパレーターバッグ、廃棄物
バッグ、溶媒抽出デバイス、および溶媒検出デバイスなどのようなもの、および出力容器
が、簡単にアクセスできる位置にあり、および技術者によって簡単に取り外したり、およ
び交換したりすることができる構成配置を含む。
【0196】
本明細の上述の実施形態の動作を可能にするために、そのような実施形態のユーザに、
構成要素のパッケージセットをキット形式で供給するのが好ましく、それには、本明細の
実施形態を実践するのに必要な各構成要素が含まれる。キットは、入力流体容器(即ち、
高密度リポタンパク質ソース容器)、脂質除去剤ソース容器(即ち、溶媒容器)、ミキサ
ーの処分可能な構成要素、例えば、バッグまたは他の容器などのようなもの、セパレータ
ーの処分可能な構成要素、例えば、バッグまたは他の容器などのようなもの、溶媒抽出デ
バイスの処分可能な構成要素(即ち、チャコールカラム)、出力容器、廃棄物容器の処分
可能な構成要素、例えば、バッグまたは他の容器などのようなもの、溶媒検出デバイス、
および、複数のチュービングおよび複数のバルブで、入力容器からの入力流体(高密度リ
ポタンパク質)および溶媒容器からの脂質除去剤(溶媒)のミキサーへの流れを制御する
ための、脂質除去剤、脂質、および粒子派生物の混合物のセパレーターへの流れを制御す
るための、脂質および脂質除去剤の廃棄物容器への流れを制御するための、残留脂質除去
剤、残留脂質、および粒子派生物の抽出デバイスへの流れを制御するための、および粒子
派生物の出力容器への流れを制御するためのものを含んでもよい。
【0197】
一実施形態では、キットは、ミキサーの処分可能な構成要素、例えば、バッグまたは他
の容器などのようなもの、セパレーターの処分可能な構成要素、例えば、バッグまたは他
の容器などのようなもの、廃棄物容器の処分可能な構成要素、例えば、バッグまたは他の
容器などのようなもの、および、複数のチュービングおよび複数のバルブで、入力容器か
らの入力流体(高密度リポタンパク質)および溶媒容器からの脂質除去剤(溶媒)のミキ
サーへの流れを制御するための、脂質除去剤、脂質、および粒子派生物の混合物のセパレ
ーターへの流れを制御するための、脂質および脂質除去剤の廃棄物容器への流れを制御す
るための、および残留脂質除去剤、残留脂質、および粒子派生物の抽出デバイスへの流れ
を制御するための、および粒子派生物の出力容器への流れを制御するためのものを含む。
溶媒抽出デバイス(即ち、チャコールカラム)の処分可能な構成要素、入力流体、入力溶
媒、および溶媒抽出デバイスは別々に提供し得る。
【0198】
上記の例は本発明のシステムの多くの適用の単なる例示である。ここでは本発明のほん
のわずかな実施形態だけしか説明しないが、本発明の精神または範囲から離れることなく
、本発明を他の多くの特定の形態において具体化されるであろうことを理解すべきである
。したがって、本例および実施形態は、例示であり、および制限的ではないと考えられ、
および本発明は添付の請求の範囲の射程内で修飾されてよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病(AD)に関連する徴候についてペイシェントにおいてその進行を遅らせ、安定化させ、または改善するにあたり、次の:
ADを指し示す病態生理学的変化をペイシェントにおいてモニタリングすること;
前記モニタリングに基づいて、アミロイドプラークがペイシェントの血管周囲腔において存在するかどうかを定めること;
前記血管周囲腔においてアミロイドプラークの程度を定めること;および、
ペイシェントの血管周囲腔におけるアミロイドプラークの存在に基づいて、処置プロトコルをペイシェントについて定めることであり、そこでは処置プロトコルには、血液フラクションを脂質除去剤と混合することから生じる高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施すことが含まれること
を含む、方法である、アルツハイマー病(AD)の治療に用いるための高密度リポタンパク質組成物であって、
該高密度リポタンパク質組成物は、プレベータ高密度リポタンパク質及びアルファ高密度リポタンパク質を含み、高密度リポタンパク質(HDL)粒子低密度リポタンパク質(LDL)粒子及び血しょうタンパク質を含む血液フラクションを脂質除去剤と混合して、LDL粒子を修飾したり血しょうタンパク質を破壊せずに、低減された脂質含量を有する修飾されたHDL粒子を作り出すことから生じ
該高密度リポタンパク質組成物は、リン脂質と複合化したアポリポタンパク質A-I(ApoA-I)分子から構成されるプレベータHDL粒子を含み、
該プレベータHDL粒子は、ベータアミロイド粒子及びアポリポタンパク質-ε4粒子と結合して、ペイシェントの脳血管周囲経路をクリアーにする、高密度リポタンパク質組成物。
【請求項2】
画像診断はペイシェントの血管周囲腔においてアミロイドプラークの存在および程度を定めるために用いられる、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項3】
高密度リポタンパク質組成物は、
血液フラクションをペイシェントから取得することであって、そこでは血液フラクションは高密度リポタンパク質を有すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤と混合すること;および
修飾された高密度リポタンパク質を分離すること、によって生じ、
修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られる、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項4】
修飾された高密度リポタンパク質は、混合に先立つ血液フラクションからの高密度リポタンパク質と比較してプレベータ高密度リポタンパク質の増加した濃度を有する、請求項3の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項5】
前記方法が、次の:
採血用デバイスにペイシェントを接続すること;
ペイシェントから採血すること;および
高密度リポタンパク質および低密度リポタンパク質を含有する血液フラクションを生じさせるために、血液から血球を分離すること
をさらに含む、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項6】
病態生理学的変化は、脳アミロイド血管障害をもたらすペイシェントの血管周囲腔におけるプラークの蓄積によって指し示される、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項7】
血液フラクションを脂質除去剤と混合することから生じる高密度リポタンパク質組成物は、1mg/kgから250mg/kgまでに及ぶ投薬量において注入療法を介してペイシェントに送られる、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項8】
ペイシェントの血液フラクションを脂質除去剤と混合することから生じる高密度リポタンパク質組成物は、999mL/時間+/-100mL/時間の速度にて注入療法を介してペイシェントに送られる、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項9】
前記方法が、全体的機能性、認知的機能性、日常生活動作、または行動的な評価の少なくとも一を使用して、ADの重症度をペイシェントにおいて定めることをさらに含む、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項10】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ペイシェントは血管周囲腔においてアミロイドプラークの蓄積における減少を経験する、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項11】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシェントの生理学的および/または認知的パラメータの変性率は安定し、およびさらなる減少を経験しない、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項12】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシェントの生理学的および/または認知的パラメータの変性率は、高密度リポタンパク質組成物がペイシェントに施される前にADを指し示すペイシェントの生理学的および/または認知的パラメータの変性率と比較してスローダウンする、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項13】
高密度リポタンパク質組成物をペイシェントに施して後、ADを指し示すペイシェントの生理学的および/または認知的徴候は、高密度リポタンパク質組成物がペイシェントに施される前にADを指し示すペイシャントの生理学的および/または認知的徴候と比較して改善する、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【請求項14】
高密度リポタンパク質組成物は、
血液フラクションをペイシェント以外の個体から取得することであって、そこでは血液フラクションは高密度リポタンパク質を有すること;
修飾された高密度リポタンパク質を生じさせるために、血液フラクションを脂質除去剤と混合すること;および
修飾された高密度リポタンパク質を分離すること、によって生じ、
修飾された高密度リポタンパク質はペイシェントに送られる、請求項1の高密度リポタンパク質組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
【外国語明細書】