(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071665
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】部屋のための可変音響技術
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20230516BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20230516BHJP
G10K 15/00 20060101ALI20230516BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20230516BHJP
E04B 1/99 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G10K11/16 120
G10K11/162
G10K15/00 M
E04B1/86 K
E04B1/86 Q
E04B1/99 A
E04B1/99 E
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015894
(22)【出願日】2023-02-06
(62)【分割の表示】P 2019569536の分割
【原出願日】2018-03-04
(31)【優先権主張番号】PA201700153
(32)【優先日】2017-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
(71)【出願人】
【識別番号】519319842
【氏名又は名称】エーデルマン - ラーセン、ニールス ワーナー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エーデルマン - ラーセン、ニールス ワーナー
(57)【要約】
【課題】部屋のための可変音響技術を提供すること。
【解決手段】フロント・フェイスの一方の側に存在する音響場から、フロント・フェイスを通って、フロント・フェイスの反対側に位置付けされている音響吸収デバイスへのアクセスを開閉するように構成されたフロント・フェイスであって、フロント・フェイスは、複数の貫通開口部を含み、貫通開口部が開放状態になっているときに、音響エネルギーが、貫通開口部を通過することが可能であり、フロント・フェイスは、貫通開口部を開閉するように構成されている開/閉メカニズムを設けられており、開/閉メカニズムは、閉鎖部材およびリテイニング・メカニズムを含み、リテイニング・メカニズムは、モジュールが閉鎖状態になっているときに、閉鎖部材を実質的に貫通開口部の周囲部全体と接触した状態に維持するように構成されている。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記フロント・フェイスの一方の側に存在する音響場から、前記フロント・フェイスを通って、前記フロント・フェイスの反対側に位置付けされている音響吸収デバイスへのアクセスを開閉するように構成されたフロント・フェイスであって、前記フロント・フェイスは、複数の貫通開口部を含み、前記貫通開口部が開放状態になっているときに、音響エネルギーが、前記貫通開口部を通過することが可能であり、前記フロント・フェイスは、前記貫通開口部を開閉するように構成されている開/閉メカニズムを設けられており、前記開/閉メカニズムは、閉鎖部材およびリテイニング・メカニズムを含み、前記リテイニング・メカニズムは、前記モジュールが閉鎖状態になっているときに、前記閉鎖部材を実質的に前記貫通開口部の周囲部全体と接触した状態に維持するように構成されている、フロント・フェイスにおいて、
- 前記開/閉メカニズムは、前記貫通開口部(6、104)の実質的に音響的に緊密な閉鎖を取得するように構成されており、前記メカニズムは、第1および第2の閉鎖領域(106、110)を含み、前記第1の閉鎖領域(106)は、前記フロント・フェイス(4、55、61、62、70、75、87、103)の上に設けられており、前記第2の閉鎖領域(110)は、前記閉鎖部材(107)の上に設けられており、前記メカニズムは、前記第1および第2の閉鎖領域(106、110)が互いに接触しているときに、前記貫通開口部(6、104)を閉鎖し、前記第1および第2の閉鎖領域(106、110)が互いに接触していないときに、前記貫通開口部(6、104)を開放するように構成されており、前記貫通開口部(6、104)の前記実質的に音響的に緊密な閉鎖は、前記閉鎖部材(107)が前記フロント・フェイス(4、55、61、62、70、75、87、103)に対して実質的に垂直の方向への移動を経験することを防止するリテイニング手段によって取得されることを特徴とする、フロント・フェイス。
【請求項2】
前記フロント・フェイスは、前記開放状態において、音響が前記フロント・フェイスの中の前記貫通開口部(6、104)を通過して音響吸収デバイスに至ることができるように、音響吸収デバイス(95)を支持するように構成された手段(90、91、92、93)を設けられている、請求項1に記載のフロント・フェイス。
【請求項3】
前記フロント・フェイスは、複数のバーまたはワイヤー(89)を含み、前記バーまたはワイヤー(89)は、取り付け部材(90、91)の中に終端しており、前記取り付け部材(90、91)は、前記バーまたはワイヤーへの前記フロント・フェイスの取り付けのために構成されており、前記バーまたはワイヤー(89)によって、前記フロント・フェイスが、部屋の境界部に取り付けられ得り、前記音響吸収デバイス(95)が、前記フロント・フェイスの後方表面と前記境界部の外側表面との間のスペースの中に設けられるようになっている、請求項1または2に記載のフロント・フェイス。
【請求項4】
前記開/閉メカニズムは、前記フロント・フェイス(4、55、61、62、70、75、87、103)の外部表面またはフロント表面を維持するように構成されており、前記外部表面またはフロント表面は、前記開/閉メカニズムのすべての状態において、変更のない状態で外部領域またはスペース(7)に面しており、それによって、前記開/閉メカニズムの任意の状態において前記開/閉メカニズムが被覆シートと干渉することなく、前記フロント・フェイス(4、55、61、62、70、75、87、103)の外側表面の上に、または、前記フロント・フェイス(4、55、61、62、70、75、87、103)の外側表面の付近に、前記被覆シートを取り付けることが可能になっている、請求項1から3のいずれか一項に記載のフロント・フェイス。
【請求項5】
前記開/閉メカニズムは、前記フロント・フェイスの外部表面またはフロント表面から離れる内向き方向に開くように構成されており、前記開/閉メカニズムのすべての状態において、外部領域またはスペース(7)に面する前記フロント・フェイスの平らなまたは切れ目のない外部表面を維持するようになっている、請求項1から4のいずれか一項に記載のフロント・フェイス。
【請求項6】
前記開/閉メカニズムは、前記貫通開口部(6)の実質的に音響的に緊密な閉鎖を取得するように構成されており、前記メカニズムは、第1および第2の閉鎖面を含み、前記メカニズムは、前記第1および第2の閉鎖面が互いに接触しているときに、前記貫通開口部(6)を閉鎖し、前記第1および第2の接触面が互いに接触していないときに、前記貫通開口部(6)を開放するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のフロント・フェイス。
【請求項7】
前記第1の閉鎖面または前記第2の閉鎖面のうちの少なくとも1つは、磁気的な手段を設けられており、前記磁気的な手段は、前記メカニズムが前記閉鎖状態に持って行かれるときには、前記第1の閉鎖面を前記第2の閉鎖面に付勢するように構成されている、請求項6に記載のフロント・フェイス。
【請求項8】
前記第1の閉鎖面は、永久磁石材料を含み、前記第2の閉鎖面は、前記第1の閉鎖面の磁気材料によって引き付けられ得る材料から作製されている、請求項7に記載のフロント・フェイス。
【請求項9】
前記開/閉メカニズムは、枢動可能に装着されたプレート部材(56)を含み、前記プレート部材(56)は、前記フロント・フェイス(55)と固定関係になっている枢動軸棒(59)の周りに枢動するように構成されており、前記プレート部材(56)が閉鎖状態と開放状態との間で枢動することができるようになっており、前記閉鎖状態では、前記プレート部材(56)が、前記フロント・フェイス(55)の中の前記貫通開口部(6)を閉鎖しており、前記開放状態では、前記プレート部材(56)が、前記貫通開口部(6)を閉鎖しておらず、前記プレート部材(56)は、前記第1の閉鎖面(56’)を設けられており、対応する部分の上の前記フロント・プレート(55)は、前記第2の閉鎖面(55’)を設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のフロント・フェイス。
【請求項10】
前記閉鎖面(56’、55’)のうちの一方は、永久的な磁気材料(60)、たとえば、磁気リボンなどを設けられており、他方の閉鎖面(55’、56’)は、対向する前記閉鎖面(56’、55’)の上に設けられた前記磁気材料(60)からの磁力によって引き付けられ得る材料から作製されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のフロント・フェイス。
【請求項11】
前記磁気材料は、前記フロント・フェイスにおける前記貫通開口部の実質提起に周囲部全体に沿って設けられている、請求項9に記載のフロント・フェイス。
【請求項12】
たとえば、多目的部屋などの部屋の壁部または天井などのような、境界部(11)をカバーするように構成されている、可変の音響特性を有するシステムであって、前記部屋では、それぞれの特定の使用にしたがって、前記部屋の前記音響特性、たとえば、残響時間などを変化させることが可能でなければならず、前記システムは、請求項1から11のいずれか一項に記載の複数のフロント・フェイスを含み、前記システムは、前記フロント・フェイスの中の前記貫通開口部と音響的に連通している1つまたは複数の音響吸収デバイス(12)をさらに含む、システム。
【請求項13】
前記音響吸収デバイス(12)は、たとえば、ミネラル・ウールまたは他の音響吸収多孔性の材料の1つまたは複数の音響吸収バットである、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記音響吸収デバイス、たとえば、ミネラル・ウールのバットなどは、部屋の選ばれた境界部の上に事前に据え付けられている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
音響エネルギー連通通路の実質的に音響不透過性の閉鎖を提供するための開/閉メカニズムであって、前記通路は、ミネラル・ウールのバットなどのような音響吸収デバイスに、音響エネルギーを提供するように構成されており、前記音響エネルギー連通通路は、実質的に前記通路の断面の周囲部全体に沿って、第1の閉鎖面を設けられており、断面音響エネルギーは、前記通路が開放状態になっているときに、前記通路を通過し、前記開/閉メカニズムは、閉鎖部材を含み、前記閉鎖部材は、前記第1の閉鎖面と重なり合う関係になっている第2の閉鎖面を設けられており、前記第1および第2の閉鎖面が互いに実質的に接触した状態に持って行かれるときに、前記第1および第2の閉鎖面が、前記通路を閉鎖するようになっており、音響エネルギーが前記通路を通過することを実質的に防止されるようになっており、前記開/閉メカニズムは、閉鎖部材リテイニング手段を含み、前記閉鎖部材リテイニング手段は、前記第2の閉鎖面が前記第1の閉鎖面に対して移動することを実質的に防止する、開/閉メカニズムにおいて、
- 前記開/閉メカニズムは、前記貫通開口部(6、104)の実質的に音響的に緊密な閉鎖を取得するように構成されており、前記貫通開口部(6、104)の前記実質的に音響的に緊密な閉鎖は、前記閉鎖部材(107)が前記第2の閉鎖面に対して実質的に垂直の方向への移動を経験することを防止する前記リテイニング手段によって取得されることを特徴とする、開/閉メカニズム。
【請求項16】
前記リテイニング手段は、磁気的な手段、たとえば、磁気リボンなどである、請求項15に記載の開/閉メカニズム。
【請求項17】
前記リテイニング手段は、機械的な手段(118)である、請求項15に記載の開/閉メカニズム。
【請求項18】
前記リテイニング手段は、前記音響エネルギー連通通路の実質的に周囲部全体に沿って設けられている、請求項15から17のいずれか一項に記載の開/閉メカニズム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、室内音響学の分野に関し、より具体的には、残響時間がそれぞれの特定の種類のライブ・パフォーマンスに最適化され得るように、さまざまな種類のライブ・パフォーマンスがその中で行われることとなる部屋、公会堂、または他の場所の残響時間を変更するためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で、多目的部屋または多目的ホールが使用されており、特に、そのような部屋またはホールに関連して、残響時間がそれぞれの特定の要求にしたがって変化させられ得る場合には、それは大きな利点である。したがって、たとえば、ポップおよびロックなどのような増幅器を用いた音楽(amplified music)のパフォーマンスは、特に、低い周波数において、比較的に短い残響時間を必要とする可能性があり、一方、クラシック音楽または合唱音楽のパフォーマンスは、可能な限り良好に聴こえるために、より長い残響時間を必要とする可能性がある。
【0003】
部屋の音響的特質を変更するための手段が、当技術分野で良く知られている。したがって、たとえば、米国特許第8,573,356B1号明細書は、音響拡散エレメントおよび音響吸収エレメントを有する調節可能なサウンド・パネルを説明している。パネルは、状態を変化させられ、パネルの前方から適切な音響吸収材料が設けられているパネルの後方へ延在する通路を開放することによって、最大の音響吸収が取得される。パネルのフロント・フェイスは、音響拡散体として構成されており、音響拡散体は、所定のパターンのスラットを含み、隣接するスラット同士の間に開口部を備えている。部屋の中に装着されているときに、部屋の外観は変更されている。
【0004】
米国特許第9,322,165B2号明細書は、動的に調節可能な音響パネル・デバイスを説明しており、そのフロント・フェイスには、音響を拡散する効果を有する複数の比較的に小さい(音響パネル・デバイス全体と比較して)正方形のパネル・エレメントが設けられている。これらの小さいパネルは、軸線の周りにそれぞれ回転させられ得り、それによって、パネル・デバイスは、音響吸収状態に持って行かれ得る。その理由は、回転させられた小さいパネルは、パネル・デバイスの後ろの領域へのサウンド・アクセスを提供し、その中には、適切な音響吸収材料が設けられているからである。上記に引用されている米国特許第8,573,356B1号明細書のケースと同様に、パネル・デバイスを設けることは、部屋の中に装着されたときに、部屋の外観を変更する。
【0005】
米国特許第6,431,312B1号明細書は、電動のコンピューター操作される可変の音響処理を説明しており、それは、他の音響的処理から分離されたスペースに位置付けされている複数の音響的処理を含む。音響処理は、回転ユニットを含み、回転ユニットは、モーターによってそれらの個々の軸線の周りに回転させられ得り、モーターは、ユーザー・インターフェースを介してユーザーによって制御され得る。上記に引用されている米国特許第8,573,356B1号明細書および米国特許第9,322,165B2号明細書のケースと同様に、可変の音響処理を設けることは、部屋の中に装着されたときに、部屋の外観を変更する。
【0006】
欧州特許第1779375B1号明細書は、特に、より低い周波数において、部屋またはホールの残響時間を変更させるためのデバイス、システム、および方法を説明しており、適切な音響的特質を有する膨張可能なボディーを部屋の中に導入することによって、残響時間が変更させられる。残響時間の低減が望まれるときには、ボディーが膨張させられる。この文献に説明されているボディーを部屋の中に設けることは、ほとんどのケースにおいて、それらが照明されていない部屋の領域に設けられているのでなければ、部屋の外観を著しく変更することとなる。
【0007】
DE202007006877U1は、可変の音響学モジュールおよびこれらのグルーピングを説明している。ホールが示されており、ホールは、音響エネルギーが発生させられるステージと、観客エリアとを含む。ホールの境界部は、上述の可変の音響モジュールによってカバーされたエリアを含む。モジュールは、モジュールの外側に枢動可能なプレートを備えて構成されており、枢動可能なプレートが、開放状態と閉鎖状態との間で枢動することができるようになっており、開放状態では、音が、吸収部分に到達することが可能であり、閉鎖状態では、音は、吸収部分に到達することが阻止される。上述の文献に説明されているデバイスのいずれも、音響的に緊密な閉鎖が実現されることを保証する、開/閉プレートのためのリテイニング手段を開示していない。さらに、上述の文献に説明されているデバイスのいずれも、シートがその上に装着され得るフロント・フェイスを開示していない。
【0008】
コンサート・スペースの音響的可変性は、何十年も求められてきた。ロック・コンサート、チェンバー・ミュージック・コンサート、聖歌隊、または舞台劇などのような、さまざまな種類のプログラム材料は、すべて、同じスペースの中で良く聴こえるために異なる音響学を必要とする。さまざまなタイプの音楽に関して適切な残響時間(RT)として表現される推奨は、たとえば、Beranek(1954)[3]、Knudsen(1958)[4]、Egan(1988)[5]、Makrinenko(1994)[6]、Long(2006)[7]、およびAdelman-Larsen(2010、2018、2014)[1、2、8]など、当分野の何人かの著者および研究者によって記述されている。[1]では、ホールを、増幅器を用いた音楽に適切なものにするものは、何よりもまず、低い周波数(特に、125Hzであるが、しかし、ある程度では、63Hzおよび250Hzオクターブ・バンドも)におけるかなり低い残響時間であるということが実証された。さらに、[2]では、より高い周波数(いくらか500Hzを上回る)における残響時間は、増幅器を用いた音楽にはかなり長過ぎる可能性があるということが立証された。
【0009】
ノルウェー規格団体は、規格NS 8178の中で、さまざまなタイプの音楽に関して、周波数バンドおよびホールの体積の関数として、残響時間(RT)に対する推奨を記述している。その規格では、所与のサイズのホールに関して、RTは、周波数バンド125Hzから500Hzにおいて、典型的な舞台芸術センターの中でのチェンバー・ミュージック・セッティングに関するものよりも、ポップ・ミュージックおよびロック・ミュージックに関して、長さがおおよそ半分であるべきであるということが見られる。しかし、今日の多くの舞台芸術センターは、世界中で、この可変性にほぼ到達するということなく、そのような異なるタイプの音楽を週1回の頻度で実際に提供しており、ミュージシャンおよび観客にとって、非最適な音響学を結果として生じさせ、それによって、非最適な音の経験を結果として生じさせる。
【0010】
述べられているような必要とされるRTの大きいバリエーションは、以前には、実現することが可能ではなかった。その理由は、(たとえば、有名なSabineの式に見られるような)物理学の法則によれば、これが、可変の音響的手段によってカバーされた非常に長いエリアを必要とするからであり、可変の音響的手段のすべては、125Hzバンドを含む重要な周波数バンドにおいて、非常に大きいスパンの可変性を可能にしなければならない。単位面積当たりの可変性スパンは、非吸収性状態と比較された技術の吸収性状態において、吸収係数アルファαの差によって表現され得る。このバリエーションは、デルタ・アルファΔα(αONマイナスαOFF)と呼ばれ得る。
【0011】
以前は、可変の音響学デバイスは、主に、中間から高い周波数において活性的であり、低い周波数ではそれほどでもなかった。2018(Applied Acoustics、[参考文献2])からのAdelman-Larsenの科学的な記事では、これは適切でないということが示されている。可変性は、125Hzオクターブ・バンドに焦点を合わせるべきであり、63Hzから1kHzにおいて、すなわち、低い周波数および中間の周波数において、最も活性的であるべきであり、いくらか1kHzの上ではわずかな吸収だけを伴う。
【0012】
さらに、観客、ホール・オーナー、または建築家などのような利害関係者は、ホールのインテリア・デザインが、非常に大きい表面積の上のロール・バーナーなどのような、視覚的に傷つける可変の音響デバイスの存在によって非常に影響を与えられるということを進んで受け入れるということが仮定されることはできない。したがって、「見ることができない」可変の音響学デバイスが望ましいこととなる。
【0013】
上記の背景において、部屋またはホールの中で使用されることとなる可変の音響技術へのアクセスを有することが望ましいこととなり、その技術は、音響技術の音響的特質が変更されているときに、それによって部屋またはホールの外観を変更することなく、部屋またはホールの音響的特質、特に、残響時間を変更することが可能である。この技術は、好ましくは、既存の部屋またはホールのインテリア・デザインへの容易な一体化、ならびに、部屋およびホールの新しい構築への容易な一体化を可能にするように構成されているべきである。
【0014】
大きいエリアが、すでに述べられている大きい可変性を取得するために使用されなければならないので、音響技術が天井(水平方向の)表面および壁部(垂直方向の)表面の両方の上に装着され得る場合には、それがさらなる利点になることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の背景において、本発明の目的は、たとえば(しかし、決してそれに限定されない)、音楽が演奏されるコンサート・ホールまたは他の部屋、劇場、映画館、および多目的部屋または多目的ホールなど、部屋および公会堂などの中の残響時間を変化させるための手段を提供することである。本発明による手段は、少なくとも2つの要件を満たさなければならない。
(1) 本発明による手段は、より高い周波数において、たとえば、1000Hzをも上回る周波数において、残響時間を変化させることなく、中間のおよび低い周波数において、本発明による手段がその中で使用されている部屋またはホールの残響時間を変化させることを促進させなければならない。本発明の原理によれば、これは、音を吸収する手段を設けられた音響吸収ユニットまたはモジュール(以下では、モジュールと称される)を設けることによって達成され、ここで、中間のおよび低い周波数における音響吸収は、入射音響エネルギーの吸収が実質的にない状態と、入射音響エネルギーの非常に高い吸収の状態との間で変化させられ得る。音響吸収のこの大きいバリエーションは、より低い周波数範囲において、たとえば、500Hzを下回る周波数において、特に望ましい。しかし、本発明の文脈において述べられている周波数の特定の値は、本発明の保護の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、単なる例示的なものとしてみなされるべきであるということが理解される。
【0016】
したがって、たとえば、音響吸収の最適な周波数範囲は、部屋またはホールの特定の使用に依存して多くの他の要因の間にあり得る。
【0017】
(2) 本発明による手段は、既存の部屋もしくはホールのいずれかのインテリア・デザインに関与するか、または、その新しい構築に関与する建築家または他の決定者によって幅広く受け入れられ得る審美的な解決策を提供しなければならない。好ましくは、本発明による手段は、既存のまたは新しい部屋またはホールの中に一体化するように構成されなければならない。好ましくは、本発明による手段は、部屋またはホールの中に設けられているときに、たとえば、部屋またはホールの選ばれた境界部部分にわたって延在する、1つまたは複数の外見的に均一なまたは均質の切れ目のない表面を提示しなければならない。したがって、たとえば、多目的ホールの完全な壁部または天井(または、その一部分)は、本発明によるモジュールまたはシステムを備えた壁部を提供した後に、壁部全体もしくは天井全体またはその選ばれた部分にわたって延在する外見的に切れ目のない表面を提示することとなり、また、ホールの中に位置付けされている観察者に対して統一的な外見を有することとなる。本発明によれば、たとえば、部屋またはホールの残響時間を変更することを目標として、本発明による手段によって提供される境界部の音響特性が変更させられるときに、この外見は変化しないこととなる。具体的には、このような事情において、本発明による手段の表面部分の上の単純な手段(たとえば、照明または絵の投影など)によって、たとえば、本発明による手段が設けられている壁部または天井の外観を変化させることができるということが有利である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様
本発明の第1の態様は、音響吸収モジュールに関し、モジュールは、2つの音響吸収状態:(i)開放状態および(ii)閉鎖状態を有しており、(i)開放状態では、モジュールは、少なくとも低周波数領域(低周波数領域のより具体的な定義は、下記に与えられている)において音響エネルギーを吸収し、(ii)閉鎖状態では、モジュールは、実質的に音響エネルギーを吸収しない。第1の態様によるモジュールは、基本的に、開/閉メカニズムおよび音響吸収デバイスを備えたフロント・フェイスを含む。本発明の第1の態様によるモジュールの実施形態が、
図18に示されている。
【0019】
上記のおよび他の目的および利点は、本発明の第1の態様にしたがって、たとえば、多目的部屋などの部屋の壁部または天井などのような、境界部をカバーするように構成されている、可変の音響特性を有するモジュールであって、部屋では、それぞれの特定の使用にしたがって、部屋の音響特性、たとえば、残響時間などを変化させることが可能でなければならず、モジュールは、1つまたは複数の貫通開口部を設けられたフロント・フェイスを有しており、貫通開口部を通って、音響エネルギーは、モジュールの内側領域に進入することが可能であり、モジュールは、内側領域の中に、音響吸収デバイスを含み、音響吸収デバイスは、フロント・フェイスの中の貫通開口部と音響的に連通しており、音響エネルギーが、モジュールの外側の外部領域またはスペースから音響吸収デバイスへ通ることができるようになっており、貫通開口部は閉鎖され得り、音響エネルギーが貫通開口部を介して音響吸収デバイスに進入することができないようになっており、また、貫通開口部は開放され得り、音響エネルギーが貫通開口部を介して音響吸収デバイスに進入することができるようになっており、フロント・フェイスは、閉鎖部材およびリテイニング・メカニズムを含む開/閉メカニズムを設けられており、リテイニング・メカニズムは、モジュールが閉鎖状態になっているときに、閉鎖部材を実質的に貫通開口部の周囲部全体と接触した状態に維持するように構成されている、モジュールによって提供される。
【0020】
モジュールが閉鎖状態から開放状態へ持って行かれることとなるときには、アクチュエーターまたはモーターによって、開/閉メカニズムを介して力が働かされ、開/閉メカニズムは、フロント・フェイスの対応する表面とのその接触から離れるように閉鎖部材を付勢し、それによって、リテイニング・メカニズムは、閉鎖部材の上のその閉鎖グリップを失い、モジュールが開放状態へ持って行かれることができるようになっている。それぞれ、磁気的な手段または機械的な手段を使用するリテイニング・メカニズムのいくつかの実用的な実装形態が、図に示されており、本発明の詳細な説明により詳細に説明されている。
【0021】
多目的部屋などのような部屋の残響の必要なバリエーションを取得することができるようにするために(それは、本発明の中心的な目的である)、フロント・フェイスが閉鎖状態になっているときに、開/閉メカニズムが、フロント・フェイスの中の貫通開口部の非常に緊密な音響的閉鎖を実際に提供するように設計されているということが本質的である。非常に限られた量の音響エネルギーだけが、低い周波数において、特に、125オクターブ・バンドおよび250オクターブ・バンドにおいて、フロント・フェイスを通過すること、および、フロント・フェイスの後ろの音響吸収デバイスに到達することを許容される。本発明によれば、これは、実際に、詳細な説明の
図8の中に再現されている実際の測定によって示されることとなるように取得される。音響吸収デバイスへの音の進入を効果的に遮断するために、閉鎖メカニズムが十分に上手く機能するように、本発明は、上述のリテイニング手段の適用を提案し、上述のリテイニング手段は、開/閉メカニズムの中で使用される閉鎖手段の第1の閉鎖面が、第2の閉鎖面と接触したままになることを実際に実質的に(または、好ましくは、完全に)保証し、これらの閉鎖面は、好ましくは、フロント・フェイスの中の貫通開口部の周囲部全体に沿って延在している。
【0022】
モジュールの閉鎖状態において、非常に限られた量の音響エネルギーだけが音響吸収デバイスに到達することを保証する別の(および、補助的な)手段は、高い単位面積当たりの質量を有する、開/閉手段のための(および、フロント・フェイス全体のための)材料を選ぶということである。
【0023】
第1の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、開/閉メカニズムのすべての状態において、平らなフロント・フェイスを維持するように構成されており、それによって、フロント・フェイスの外側表面に、または、フロント・フェイスの外側表面の付近に(好ましくは、2cm未満、さらにより好ましくは、5mm未満)、音響透過性の被覆シートを取り付けることが可能になっており、フロント・フェイスの外側表面は、外部領域またはスペースに面するモジュールの表面である。
【0024】
第1の態様のある実施形態では、外部領域またはスペースに面するフロント・フェイスの表面は、被覆シートによってカバーされており、被覆シートは、貫通開口部が開放状態になっているときに、音響エネルギーがシートを通っておよび貫通開口部を通って音響吸収デバイスに進入することが可能であるように構成されている。
【0025】
第1の態様によるモジュールの実用的な実装形態では、被覆シートが、フロント・フェイスの中の貫通開口部の音響質量と組み合わせて、被覆シートとフロント・フェイスの外側表面との間に形成されるスペース(体積)のヘルムホルツ共鳴器効果を最小化するために、フロント・フェイスの外側表面に可能な限り近くに設けられるということが重要である可能性がある。さらに、影響を最小化するために、フロント・フェイスの閉鎖状態において貫通開口部を充填する手段を備えた開/閉メカニズムを提供することが可能である。そのような手段の実施形態は、本発明の詳細な説明において説明されることとなる。
【0026】
フロント・フェイスの外側表面の上にまたはその極めて近くに被覆シートを提供することによって取得される別の利点は、シートの中の穿孔によって引き起こされる望まれない音響拡散が最小化され、それによって、モジュールの閉鎖状態における残りの音響吸収が、音響吸収係数のより少ない可変性をもたらすこととなるということである。音響拡散は、部屋の中の残響時間の一定の望まれないより低い値をもたらすこととなる。
【0027】
本発明によれば、上述の音響吸収デバイスは、ミネラル・ウールのバットまたは他の適切な多孔性の材料であることが可能であるが、音響吸収デバイスは、本発明の文脈において、広く理解されるべきであり、また、比較的に狭い周波数範囲の中で音を吸収するように設計されたヘルムホルツ共鳴器を含む。また、本発明による音響吸収デバイスは、特定の目的のために望まれる場合には、異なる音響吸収デバイスの組み合わせを含むことが可能である。
【0028】
上述の内側(または、内部)領域は、モジュールと部屋の境界部(たとえ、天井または壁部)の対応する表面部分との間に形成される領域またはスペースであることが可能である。また、内側領域は、下記に説明されている本発明の第2の態様によるシステムの中で使用される複数のモジュールと、モジュールがその中に据え付けられている部屋の境界部の対応する表面部分との間に形成される領域またはスペースであることが可能である。第1および第2の本発明の態様の特定の実施形態では、モジュールは、上述の音響吸収デバイスがその中に設けられる内部スペースを含む別々のエンクロージャーとして構成され得る。したがって、本発明によるモジュールは、別々の物理的なエンティティーであるか、または、(下記に詳細に説明されているような)少なくとも適切に設計されたフロント・フェイス、適切に設計された音響吸収デバイス、および、フロント・フェイスと本発明によるモジュールがその中に据え付けられている部屋の中の境界部の対応する部分との間に形成される領域もしくはスペースを含む組み合わせであるかのいずれかであることが可能である。これの1つの結果として、下記に説明されている実施形態のうちのいくつかによるモジュールは、現地で組み立てられ得り、たとえば、モジュールを形成する構造体の一部分が最初に据え付けられ、その後に、完全なモジュールの残りの部分を提供され得る。
【0029】
モジュールの外側の外部領域またはスペースは、本発明によるモジュール(もしくは、そのようなモジュールのさまざまなシステム)がその中に設けられる部屋の領域または他のエンクロージャーであり、その外部領域の中で、残響時間は、部屋またはエンクロージャーの異なる特定の使用にしたがって変化させられなければならない。そのような異なる使用は、たとえば、ポップ・ミュージックもしくはロック・ミュージック、クラシック音楽、オペラ、ジャズのライブ・パフォーマンスであることが可能であり、また、公会堂または映画館としての部屋またはエンクロージャーの使用であることが可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の態様によるモジュールは、基本的に、3つのエンティティー、すなわち、
(1) フレーム構造体であって、フレーム構造体は、フロント・フェイスおよび音響吸収デバイスを一緒に保持するために使用され得り、フレーム構造体は、モジュールの内側領域を画定し、その内側領域の中に、音響吸収デバイス(または、複数の音響吸収デバイス)が設けられている、フレーム構造体と;
(2) フロント・フェイスであって、フロント・フェイスは、上述の貫通開口部を設けられており、貫通開口部は、開放状態になっているときに、部屋またはホールの中の音響場から、モジュールの内側領域の中に設けられた1つまたは複数の音響吸収デバイスへ、サウンド・アクセスを提供する、フロント・フェイスと;
(3) 1つまたは複数の音響吸収デバイスであって、1つまたは複数の音響吸収デバイスは、フレーム構造体の内側領域の中に設けられており、フロント・フェイスの中の貫通開口部と音響的に連通している、1つまたは複数の音響吸収デバイスと
を含む。フレームおよびフロント・フェイスを1つの一体化されたユニットとして製造することが可能であるが、実際には、フレームを1つのエンティティーとして提供し、フロント・フェイスを別のエンティティーとして提供することが好適である可能性がある。これは、フレーム構造体が、選ばれた境界部の上に最初に装着され、その後に、フレーム構造体が適切な場所にあるときに、フロント・フェイスをフレーム構造体に取り付けることを可能にする。典型的に、フロント・フェイスは、(モジュールの典型的な寸法および材料の選択肢に関して)約35kgの重量があることとなり、対応するフレーム構造体は、典型的に、12kgよりもかなり小さい重量があることとなる。したがって、据え付けの間に、フレーム構造体を1つの別々のエンティティーとして取り扱い、その後に、フロント・フェイスをフレーム構造体に取り付けることは、はるかに容易である。据え付けの間に、本発明の第1の態様によるフロント・パネルが、単一の人によって手動で取り扱われることとなる場合には、フロント・フェイスの重量は、好ましくは、約30kgを超えるべきではないが、2人であれば、恐らく、最大で約45kgまでの重量があるフロント・フェイスを手動で取り扱うことができることとなる。
【0031】
他の実施形態では、第1の態様によるモジュールは、基本的に、以下の4つの物理的なエンティティー、すなわち、(1)貫通開口部を設けられたフロント・フェイスであって、貫通開口部は、適切な開/閉メカニズムによって開閉され得る、フロント・フェイスと;(2)フロント・フェイスの中の貫通開口部と音響的に連通している1つまたは複数の音響吸収デバイスと;(3)フレーム構造体であって、フレーム構造体は、実質的に音響不透過性の側面を含み、実質的に音響不透過性の側面は、フロント・フェイスから延在しており、1つまたは複数の音響吸収デバイスを取り囲んでおり、モジュールが部屋の中に据え付けられているときに、音響エネルギーが、フロント・フェイスの中の貫通開口部のみを介して(これらが開放状態になっているときに)、1つまたは複数の音響吸収デバイスに到達することができるようになっている、フレーム構造体と;(4)モジュールを部屋の境界部に取り付けるように構成されているモジュール取り付け手段とを含む。
【0032】
側面によって低い周波数における十分な遮音を取得するために、これらは、少なくともフロント・フェイスと同じ単位面積当たりの質量を有するべきであり、好ましくは、おおよそ15kg/m2を上回る単位面積当たりの質量を有するべきである。
【0033】
第1の態様のある実施形態では、上述のモジュール取り付け手段は、実質的にリジッドのフレーム構造体である。
【0034】
第1の態様のある実施形態では、上述のモジュール取り付け手段は、複数のワイヤーであり、複数のワイヤーは、一方の長手方向の端部において、モジュールに取り付けられており、他方の長手方向の端部において、たとえば、部屋の天井に取り付けられている。
【0035】
第1の態様のある実施形態では、上述のモジュール取り付け手段は、複数の実質的にリジッドのレッグ部材であり、そのレッグ部材によって、モジュールは、たとえば、部屋の壁部部分に取り付けられ得る。
【0036】
2~3箇所の位置のみにおいて(たとえば、フロント・フェイスの長手方向の端部のいずれかにおいて)支持されているフロント・フェイスは、その特定の構成に応じて、膜吸収体として作用する傾向にあることとなり、すなわち、フロント・フェイスは、モジュールがその中に据え付けられている部屋の中に発生させられる音響場によって影響を与えられるので、振動する傾向にあることとなる。フロント・フェイスが膜吸収体として作用することを防止する必要がある場合には、フロント・フェイスは、本発明の詳細な説明に示されているような適切な3次元のプロファイルによって補強され得る。
【0037】
本発明において適切なフロント・フェイスのさまざまな実装形態が考えられ、これらのうちのいくつかは、本発明の詳細な説明において、より詳細に説明されることとなる。
【0038】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、薄い実質的に平面的な金属シートであり、貫通開口部が、このシートの一体部として設けられている。
【0039】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、たとえば、L字プロファイルなどのような補強用プロファイルを実質的に平面的なフロント・フェイスに提供することによって、そのリジッド性(曲げ剛性)を改善するために補強されている。好ましくは、そのようなプロファイルは、モジュールの内側領域に面するフロント・フェイスの表面の上に提供され得る。
【0040】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは湾曲している。
【0041】
第1の態様のある実施形態では、照明手段、たとえば、LEDなどが、貫通開口部の中に設置されており、そのLEDは、たとえば、貫通開口部が開放状態になっているときに、光を放出することが可能である。代替的に、照明手段は、モジュールの内側領域の中に設置され得り、貫通開口部が開放状態になっているときに、貫通開口部を介して見ることができる。
【0042】
第1の態様のある実施形態では、被覆シートは、少なくとも、フロント・フェイスの中の貫通開口部をカバーする被覆シートの領域において、穿孔を設けられた化粧板またはフォイルを含む材料から作製されている。たとえば、シートは、石膏パネルであることが可能であり、石膏パネルは、モジュールの外側の外部領域に面する表面において、モジュールの貫通開口部の前に適当な開口部を備えた化粧板の層によって提供される。
【0043】
第1の態様のある実施形態では、被覆シートは、少なくとも低い周波数において実質的に音響透過性のファブリックである。
【0044】
第1の態様のある実施形態では、中間シートまたはパネルが、フロント・フェイスと被覆シートとの間に設けられており、中間シートまたはパネルは、少なくとも、モジュールが開放状態になっているときに音響吸収が望まれる低周波数領域において、少なくとも、フロント・フェイスの中の貫通開口部に対応する中間シートまたはパネルの領域において、音響的に透過性になっている。
【0045】
第1の態様のある実施形態では、音響吸収デバイスは、たとえば、音響エネルギーを吸収するミネラル・ウールまたは他の多孔性の材料のバットであり、その材料は、所定の領域の中に提供されており、音波の大きい粒子速度が存在する。
【0046】
本発明のある実施形態では、音響吸収デバイスは、1つまたは複数のヘルムホルツ共鳴器を含む。そのような共鳴器は、正しくチューニングされているときに、狭い周波数バンドの中で高い音響吸収を提供する。本発明によれば、1つまたは複数のヘルムホルツ共鳴器は、自分自身によって音響吸収デバイスを形成することが可能であるか、または、ミネラル・ウールもしくは他の多孔性の材料の1つもしくは複数のバットと組み合わせられるかのいずれかであることが可能である。
【0047】
第1の態様のある実施形態では、モジュールは、開/閉メカニズムを含み、開/閉メカニズムは、貫通開口部の実質的に音響的に緊密な閉鎖を取得するように構成されており、メカニズムは、第1および第2の閉鎖面を含み、メカニズムは、第1および第2の閉鎖面が互いに接触しているときに、貫通開口部を閉鎖し、第1および第2の接触面が互いに接触していないときに、貫通開口部を開放するように構成されている。
【0048】
第1の態様のある実施形態では、第1の閉鎖面または第2の閉鎖面のうちの少なくとも1つは、リテイニング・メカニズムとして機能する磁気的な手段を設けられており、磁気的な手段は、メカニズムが閉鎖状態に持って行かれるときには、第1の閉鎖面を第2の閉鎖面に付勢するように構成されている。
【0049】
第1の態様のある実施形態では、第1の閉鎖面は、リテイニング・メカニズムとして機能する永久磁石材料を設けられており、第2の閉鎖面は、第1の閉鎖面の磁気材料によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0050】
第1の態様のある実施形態では、第1の接触面は、リテイニング・メカニズムとして機能する電磁石を設けられており、第2の接触面は、第1の接触面の電磁石によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0051】
第1の態様のある実施形態では、開閉するための手段は、アクチュエーターまたはモーター手段を含み、アクチュエーターまたはモーター手段は、貫通開口部を開閉するための手段に動作可能に接続されており、アクチュエーターまたはモーター手段は、ユーザー・インターフェースからユーザーによって遠隔制御され得る。
【0052】
第1の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、枢動可能に装着されたプレート部材を含み、プレート部材は、フロント・フェイスと固定関係になっている枢動軸棒の周りに枢動するように構成されており、プレート部材が閉鎖状態と開放状態との間で枢動することができるようになっており、閉鎖状態では、プレート部材が、フロント・フェイスの中の貫通開口部を閉鎖しており、開放状態では、プレート部材が、貫通開口部を閉鎖しておらず、プレート部材は、前記第1の閉鎖面を設けられており、対応する部分の上のフロント・プレートは、前記第2の閉鎖面を設けられている。
【0053】
第1の態様の好適な実施形態では(および、同様に、第2の態様によるフロント・フェイスの好適な実施形態では)、フロント・フェイスの中の貫通開口部のための開/閉手段として提供されるプレート部材は、内向き方向に枢動し、すなわち、音響吸収デバイスがその中に位置付けされているモジュールの内部領域の中へ枢動する。これは、なかでも、モジュールが、開放状態と閉鎖状態との間で変化するときに、その外観をほとんど変化させないという点で有利である。また、フロント・フェイスの外部表面またはフロント表面、すなわち、外部領域またはスペースに面するフロント・フェイスの表面と直接的に接触している状態でも、被覆シートが装着され得るということを保証する。好ましくは、モジュールの内部領域の中の音響吸収デバイスは、黒色であることとなり、フロント・フェイスは、同様に、艶消しの黒色の表面を有することとなり、被覆シートがフロント・フェイスの前に存在していないときでも、モジュールの開放状態と閉状態との間の差を見ることが少なくとも困難であるようになっている。第1の態様のある実施形態では、閉鎖面のうちの一方は、永久的な磁気材料、たとえば、磁気リボンなどを設けられており、他方の閉鎖面は、対向する閉鎖面の上に設けられた磁気材料からの磁力によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0054】
第1の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、スライディング・プレート部材を含み、スライディング・プレート部材は、フロント・フェイスと実質的に平行のスライディング移動のために装着されており、スライディング・プレート部材が、閉鎖状態と開放状態との間で移動することができるようになっており、閉鎖状態では、スライディング・プレート部材が、フロント・フェイスの中の貫通開口部を閉鎖しており、開放状態では、スライディング・プレート部材が、フロント・フェイスの中の貫通開口部を閉鎖していない。
【0055】
第1の態様のある実施形態では、スライディング・プレート部材は、移動の方向における両側の縁部部分において、レッグ部分を設けられており、スライディング・プレート部材が、概してU字形状を有するようになっており、フロント・フェイスは、貫通開口部の縁部において、対応するレッグ部分を設けられており、貫通開口部は、スライディング・プレート部材の移動の方向に対して垂直方向に延在しており、スライディング・プレート部材の1つのレッグ部分が、フロント・プレートの1つのレッグ部分に対応し、スライディング・プレート部材の他方のレッグ部分が、フロント・フェイスの他方のレッグ部分に対応するようになっており、開/閉メカニズムの閉鎖状態のときに、スライディング・プレート部材の第1のレッグ部分は、フロント・フェイスの対応するレッグ部分と実質的に接触しており、スライディング・プレート部材の他方のレッグ部分は、フロント・フェイスの対応するレッグ部分と実質的に接触しており、それによって、フロント・フェイスの中の貫通開口部が、実質的に閉鎖されている。
【0056】
第1の態様のある実施形態では、スライディング・プレート部材のレッグ部分のうちの一方は、磁気材料を設けられており、磁気材料は、フロント・フェイスの上の対応するレッグ部分に向けて前記レッグ部分を付勢するように構成されており、および/または、他方のレッグ部分は、磁気材料を設けられており、磁気材料は、開/閉メカニズムが閉鎖状態に持って行かれるときに、フロント・フェイスの上の対応する他のレッグ部分に向けて前記他方のレッグ部分を付勢するように構成されている。
【0057】
第1の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、開/閉プレート部材を含み、開/閉プレート部材は、フロント・フェイスと実質的に平行に延在しており、フロント・フェイスの中の貫通開口部をカバーしており、重なり合う閉鎖領域が、プレート部材の縁部部分と、貫通開口部に隣接するフロント・フェイスの対応する縁部領域との間に形成されるようになっており、開/閉メカニズムは、アクチュエーター手段(たとえば、リニア・アクチュエーター、モーター、または、開/閉メカニズムを駆動するのに適切な任意の他の手段など)を含み、アクチュエーター手段は、プレート部材に接続されており、閉鎖状態と開放状態との間で、フロント・フェイスに対して実質的に垂直の方向にプレート部材を移動させるように構成されており、閉鎖状態では、プレート部材が、貫通開口部を閉鎖しており、開放状態では、プレート部材が、貫通開口部を閉鎖していない。
【0058】
第1の態様のある実施形態では、重なり合う閉鎖領域もしくは対応する縁部領域のいずれか、または、これらの領域/部分の両方は、磁気的な手段を設けられており、磁気的な手段は、開/閉メカニズムが閉鎖状態になっているときに、重なり合う閉鎖領域を対応する縁部領域に向けて付勢するように構成されている。
【0059】
第1の態様のある実施形態では、開/閉手段は、開放状態と閉鎖状態との間で開/閉メカニズムを移動させるように構成されているアクチュエーター手段を含む。
【0060】
第1の態様のある実施形態では、音響吸収デバイスは、好ましくは、1000Hzを下回る周波数において、中間周波数音響エネルギーおよび低周波数音響エネルギーを吸収するように構成されている。
【0061】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、フロント・フェイスの一体部として設けられた複数の貫通開口部を含む。
【0062】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、磁力によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0063】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、スチールなどのような金属から作製されている。
【0064】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスの厚さtは、4mm以下であり、好ましくは、3mmよりも小さくなっている。
【0065】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、複数のスラットを含み、貫通開口部が、隣接するスラット同士の間に設けられている。
【0066】
第1の態様のある実施形態では、スラットは、スチールなどのような金属から作製されている。
【0067】
第1の態様のある実施形態では、スラットの厚さtは、4mmよりも小さくなっており、好ましくは、3mmよりも小さくなっている。
【0068】
第1の態様のある実施形態では、スラットは、実質的に平面になっているフロント・フェイスを有している。
【0069】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、取り付け手段を設けられており、取り付け手段は、シート、中間シート、および/または、シートを設けられたパネルを、モジュールのフロント・フェイスに取り付けるように構成されており、それによって、シートおよび/もしくは中間シート、または、シートを設けられたパネルは、モジュールが部屋またはホールの境界部の上に装着された後に、モジュールに取り付けられ得る。
【0070】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスとともにモジュールの内側領域を画定するモジュールの側面は、音響的に実質的に不透過性のプレート・エレメントによって閉鎖され、周囲の中の音響的エネルギーが、開/閉メカニズムおよび音響吸収デバイスを含有するモジュールの内部スペースに到達することを防止する。
【0071】
第1の態様のある実施形態では、被覆シートは、少なくとも低周波数領域において音響的に十分に透過性の材料から作製されており、モジュールの中の貫通開口部の開放状態において、モジュールがその吸音効果を有することを可能にする。たとえば、ファブリックのシートが、本発明の特定の実施形態において使用され得る。
【0072】
第1の態様のある実施形態では、中間シートまたはパネルが、前記フロント・フェイスと前記被覆シートとの間に設けられている。本発明のさまざまな態様の実用的な実装形態では、そのような中間シートまたはパネルが、本発明が適用されることとなる国の中の任意の法的規制(たとえば、防火規制など)に準拠するということが必要である。したがって、たとえば、中間シートまたはパネルは、すべてのケースにおいてフロント・フェイスの中の貫通開口部の前に適当に穿孔されている、石膏ボード材料もしくは繊維セメント・ボード材料、または、単純に薄い金属プレートなどであることが可能である。たとえば、実用的な実装形態では、化粧板は、石膏ボードに糊付けされ、コンサート・ホールなどのような部屋の中に木製の仕上げを生成させることが可能である。中間シートまたはパネルは、少なくともフロント・フェイスの中の貫通開口部に対応するシートまたはパネルの部分において、(少なくとも、音響吸収が望まれる低周波数領域において)音響的に透過性でなければならず、音響エネルギー(モジュールの開放状態において)が、部屋(モジュールがその中に据え付けられている)からモジュールの中の音響吸収デバイスへ通ることができるようになっている。第1の態様のある実施形態では、音響吸収デバイスは、中間のおよび低い周波数の音響エネルギーを、好ましくは、1000Hzを下回る周波数において吸収するように構成されている。
【0073】
第1の態様のある実施形態では、音響吸収デバイスは、モジュールの開放状態において、中間のおよび低い周波数の音響エネルギーを、好ましくは、500Hzを下回る周波数において吸収するように構成されている。
【0074】
第1の態様のある実施形態では、音響吸収デバイスは、モジュールの開放状態において、低い周波数の音響エネルギーを、好ましくは、63Hz、125Hz、および250Hzオクターブ・バンドの中の周波数において吸収するように構成されている。
【0075】
第1の態様のある実施形態では、モジュールのフロント・フェイスは、複数のスラットを含み、貫通開口部が、隣接するスラット同士の間に設けられている。
【0076】
第1の態様のある実施形態では、スラットは、スチールなどのような金属から作製されている。スラットは、中実であり得るか、または、音響的に緊密に閉鎖されたプロファイルから作製され得るかのいずれかである。
【0077】
スラットは、好ましくは、貫通開口部の閉鎖モードにおいて、低い周波数においても低い吸収値を取得するために、すなわち、閉鎖状態において、低い周波数において高い程度の音響反射を取得するために、たとえば、15kg/m2以上の十分な表面重量を保証する材料から作製されている。好ましくは、たとえば、最大0.2の音響吸収係数が、モジュールの閉鎖状態において、125Hzオクターブ・バンドの中で取得されるべきである。
【0078】
代替的に、または、追加的に、フロント・フェイスのリジッド性を増加させることは、フロント・フェイスの後方表面に取り付けられている、すなわち、モジュールの内側領域に向けて取り付けられている、スチール・プロファイル(たとえば、T字プロファイルまたはL字プロファイル)などのような適切な手段によって取得される。
【0079】
閉鎖状態において所望の低い音響吸収係数を取得するために必要とされる表面重量は、以下の式から大まかに推定され得る。
【数1】
ここで、αは、音響吸収係数であり、fは、周波数であり、mは、表面重量であり、ρは、空気の比質量であり、cは、空気の中の音の速度である。しかし、実用的な実装形態では、フロント・フェイスおよび閉鎖された貫通開口部を通る音の伝達は、満足のいく低いレベルにあるということを検証することが必要である。
図8(b)の中の125Hzにおける0,2の吸収係数が、場合によっては、上記の等式において述べられている膜吸収効果と組み合わせて、2mmスチールのフロント・フェイスを通る音の伝達によって引き起こされる可能性が最も高い。フロント・フェイスの表面重量がより高い場合には、より低い値が取得されることとなり、それは、より高い音響低減インデックスをもたらすこととなる。
【0080】
第1の態様のある実施形態では、スラットの厚さtは、4mm以下であり、好ましくは、3mmよりも小さくなっている。貫通開口部の音響質量、および、モジュールの中の内部スペースの音響コンプライアンスによって引き起こされる望ましくないヘルムホルツ共鳴器効果を回避するために、スラットの厚さ、ひいては、貫通開口部の深さは、好ましくは、小さく維持されるべきである。モジュールの中の貫通開口部をカバーするシートと開口部および閉鎖手段(下記を参照)(閉鎖手段は、フロント・フェイスを通りモジュールの内部領域の中へのサウンド・アクセスを開閉する)との間の共鳴器効果を回避するために、スラットの厚さは、好ましくは、小さく維持されるべきである。この共鳴器効果は、本発明の詳細な説明に説明されているような開閉手段の上にフォームまたは軟質の難燃プラスチック・ストリップを提供することによって、さらに回避されるかまたは低減され得る。
【0081】
第1の態様のある実施形態では、スラットは、実質的に平面的なフロント・フェイスを有している。この特徴は、スラットのフロント・フェイスの外側表面に被覆シートを固く装着することを可能にするために重要である。
【0082】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスの中の貫通開口部は、貫通開口部のうちの1つまたは複数を開閉するための手段を設けられており、その手段は、貫通開口部を開閉するための手段に動作可能に接続されているアクチュエーターまたはモーター手段を含み、そのアクチュエーターまたはモーター手段は、ユーザー・インターフェースからユーザーによって遠隔制御され得る。
【0083】
フロント・フェイスの中の貫通開口部は、実質的に音響吸収が望まれない場合には、音響的に緊密に閉鎖され得るということが重要である。フロント・フェイスの中の貫通開口部を開閉するためのメカニズムの実施形態は、本発明の詳細な説明に説明されている。これらのメカニズムの設計では、たとえば、メカニズムの中のダストまたは他の粒子の蓄積によって、必要とされる閉鎖が妨げられないことを保証するということが重要である。
【0084】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、取り付け手段を設けられており、取り付け手段は、被覆シートを設けられた中間シートまたはパネルをモジュールのフロント・フェイスに取り付けるように構成されており、それによって、被覆シートを設けられた中間シートまたはパネルは、モジュールが部屋またはホールの境界部の上に装着された後に、モジュールに取り付けられ得る。そのような取り付け手段は、機械的な取り付け手段およびグルーなどのような適切な接着剤の両方を含むことが可能であり、また、たとえば、Velcroテープなどを含むことが可能である。
【0085】
本発明の実施形態によれば、スリット-吸収体タイプの吸収特質を実現するために、スラットの厚さ(すなわち、フロント・フェイスからモジュールの内部スペースに向けての延在)は増加させられ得り、隣接するスラット同士の間の距離は、より小さくされ得り、たとえば、1cmにされ得る。これは、低周波数吸収を強化することが可能である。
【0086】
第1の態様のある実施形態では、スラットは、中空のプロファイルとして構成されており、たとえば、2mmスチール・プレートなどのような金属から作製されている。
【0087】
アクチュエーターまたは他の駆動手段などのような、モジュールの内部パーツのメンテナンスまたは交換を促進させるために、モジュールが部屋の中に据え付けられているときに、モジュールの内部への容易なアクセスを有することが望ましい。第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、モジュールを境界部に取り付けるために使用される取り付け手段によって枢動可能に取り付けられており、フロント・フェイスが取り付け手段に対して傾斜させられ得るようになっており、モジュールの内部領域へのアクセスを提供するようになっており、モジュールの内部領域の中には、なかでも、開/閉メカニズムを駆動するアクチュエーターまたはモーターが位置付けされている。
【0088】
第1の態様のいくつかの実施形態では、アクチュエーターは、モジュールのフロント・フェイスの後方部分から、モジュールの内部スペースの中へ、比較的に大きい距離にわたって延在している。これは、フロント・フェイスの出荷を高価にする。その理由は、出荷の間のそれぞれの個々のフロント・フェイスが比較的に大きいスペースを占めるからである。したがって、第1の態様のある実施形態では、アクチュエーター、および、場合によっては、追加的な駆動手段が、別々に提供され、モジュールがその中で使用されることとなる部屋の中に現地で装着され得る。
【0089】
部屋の天井に取り付けられることとなるモジュールのために、音響吸収デバイスの機能を果たすミネラル・ウール・スラブが、たとえば、拡張された金属/メッシュの表面の上に装着され得り、金属/メッシュは、フロント・フェイスの生産の間にフロント・フェイスの上に装着される。
【0090】
可能な限り音響的に緊密に閉鎖メカニズムを閉鎖させるために、たとえば、開/閉メカニズムの中のヒンジ部材の上の任意の公差を吸収するために、弾性パーツが、メカニズムのさまざまなパーツに適用され得る。
【0091】
本発明の第2の態様
本発明の第2の態様は、たとえば、第1の態様によるモジュールの中で使用するためのフロント・フェイスに関し、フロント・フェイスは、複数の貫通開口部を設けられており、複数の貫通開口部は、本発明の第1の態様の下で上記に説明されているように、開放状態において、音響吸収デバイスへの音響エネルギーのアクセスを提供する。フロント・フェイスは、開/閉メカニズムを設けられており、開/閉メカニズムは、フロント・フェイスの中に設けられている貫通開口部を開閉するように構成されている。本発明の態様のうちのいずれかによれば、開/閉メカニズムは、貫通開口部の実質的に音響的に緊密な閉鎖を提供することができるように構成されており、すなわち、それは、フロント・フェイスの閉鎖状態において、音響エネルギーが貫通開口部を通過することを非常に効果的に防止することが可能である。フロント・フェイスがその閉鎖状態になっているときに、音響エネルギーが実質的にまったく貫通開口部を通過することができず、音響吸収デバイスに進入することができないという、本発明の態様のうちのいずれかの機能に関して、それは非常に本質的であるということが見出された。
【0092】
第2の態様の好適な実施形態では、残響時間を変化させることが必要とされる外部領域またはスペースに面するフロント・フェイスの外側表面が、開/閉メカニズムの任意の状態において平らにまたは滑らかに維持されるように、開/閉メカニズムは構成されており、たとえば、被覆シートが、開/閉メカニズムを妨害することなく、外側表面に(または、この付近に)取り付けられ得るようになっている。
【0093】
第2の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは、複数の貫通開口部を含み、貫通開口部が開放状態になっているときに、音響エネルギーが、貫通開口部を通過することが可能であり、フロント・フェイスは、前記貫通開口部を開閉するように構成されている開/閉メカニズムを設けられており、開/閉メカニズムは、閉鎖部材およびリテイニング・メカニズムを含み、リテイニング・メカニズムは、モジュールが閉鎖状態になっているときに、閉鎖部材を実質的に貫通開口部の周囲部全体と接触した状態に維持するように構成されている。
【0094】
第2の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、前記貫通開口部の実質的に音響的に緊密な閉鎖を取得するように構成されており、メカニズムは、第1および第2の閉鎖面を含み、メカニズムは、第1および第2の閉鎖面が互いに接触しているときに、貫通開口部を閉鎖し、第1および第2の接触面が互いに接触していないときに、貫通開口部を開放するように構成されている。
【0095】
第2の態様のある実施形態では、第1の閉鎖面または第2の閉鎖面のうちの少なくとも1つは、磁気的な手段を設けられており、磁気的な手段は、メカニズムが閉鎖状態に持って行かれるときには、第1の閉鎖面を第2の閉鎖面に付勢するように構成されている。
【0096】
第2の態様のある実施形態では、第1の閉鎖面は、永久磁石材料を含み、第2の閉鎖面は、第1の閉鎖面の磁気材料によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0097】
第2の態様のある実施形態では、第1の接触面は、電磁石を設けられており、第2の接触面は、第1の接触面の電磁石によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0098】
第2の態様のある実施形態では、開閉するための手段は、アクチュエーターまたはモーター手段を含み、アクチュエーターまたはモーター手段は、貫通開口部を開閉するための手段に動作可能に接続されており、アクチュエーターまたはモーター手段は、ユーザー・インターフェースからユーザーによって遠隔制御され得る。
【0099】
第2の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、枢動可能に装着されたプレート部材を含み、プレート部材は、フロント・フェイスと固定関係になっている枢動軸棒の周りに枢動するように構成されており、プレート部材が閉鎖状態と開放状態との間で枢動することができるようになっており、閉鎖状態では、プレート部材が、フロント・フェイスの中の貫通開口部を閉鎖しており、開放状態では、プレート部材が、貫通開口部を閉鎖しておらず、プレート部材は、前記第1の閉鎖面を設けられており、対応する部分の上のフロント・プレートは、前記第2の閉鎖面を設けられている。
【0100】
第2の態様のある実施形態では、プレート部材は、モジュールが閉鎖状態から開放状態へ変化するときに、モジュールの内部領域またはスペースに向かう方向に、枢動軸棒の周りに枢動する。
【0101】
第2の態様のある実施形態では、閉鎖面のうちの一方は、永久的な磁気材料、たとえば、磁気リボンなどを設けられており、他方の閉鎖面は、対向する閉鎖面の上に設けられた磁気材料からの磁力によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0102】
第2の態様のある実施形態では、前記枢動軸棒の反対側のこの縁部部分において、前記第1の閉鎖面は、弾性リテイニング手段を設けられており、弾性リテイニング手段は、第1の閉鎖面に対して固定関係にある状態に前記第2の閉鎖面を維持するように構成されている。
【0103】
第2の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、スライディング・プレート部材を含み、スライディング・プレート部材は、フロント・フェイスと実質的に平行のスライディング移動のために装着されており、スライディング・プレート部材が、閉鎖状態と開放状態との間で移動することができるようになっており、閉鎖状態では、スライディング・プレート部材が、フロント・フェイスの中の貫通開口部を閉鎖しており、開放状態では、スライディング・プレート部材が、フロント・フェイスの中の貫通開口部を閉鎖していない。
【0104】
第2の態様のある実施形態では、スライディング・プレート部材は、移動(B)の方向における両側の縁部部分において、レッグ部分を設けられており、スライディング・プレート部材が、概してU字形状を有するようになっており、フロント・フェイスは、貫通開口部の縁部において、対応するレッグ部分を設けられており、貫通開口部は、スライディング・プレート部材の移動(B)の方向に対して垂直方向に延在しており、スライディング・プレート部材の1つのレッグ部分が、フロント・プレートの1つのレッグ部分に対応し、スライディング・プレート部材の他方のレッグ部分が、フロント・フェイスの他方のレッグ部分に対応するようになっており、開/閉メカニズムの閉鎖状態のときに、スライディング・プレート部材の第1のレッグ部分は、フロント・フェイスの対応するレッグ部分と実質的に接触しており、スライディング・プレート部材の他方のレッグ部分は、フロント・フェイスの対応するレッグ部分と実質的に接触しており、それによって、フロント・フェイスの中の貫通開口部が、実質的に閉鎖されている。
【0105】
第2の態様のある実施形態では、スライディング・プレート部材のレッグ部分のうちの一方は、磁気材料を設けられており、磁気材料は、フロント・フェイスの上の対応するレッグ部分に向けて前記レッグ部分を付勢するように構成されており、および/または、他方のレッグ部分は、磁気材料を設けられており、磁気材料は、開/閉メカニズムが閉鎖状態に持って行かれるときに、フロント・フェイスの上の対応する他のレッグ部分に向けて前記他方のレッグ部分を付勢するように構成されている。
【0106】
第2の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、開/閉プレート部材を含み、開/閉プレート部材は、フロント・フェイスに対して実質的に垂直に延在しており、フロント・フェイスの中の貫通開口部をカバーしており、重なり合う閉鎖面が、プレート部材の縁部部分と、貫通開口部に隣接するフロント・フェイスの対応する縁部領域との間に形成されるようになっており、開/閉メカニズムは、アクチュエーター手段を含み、アクチュエーター手段は、プレート部材に接続されており、閉鎖状態と開放状態との間で、フロント・フェイスに対して実質的に垂直の方向にプレート部材を移動させるように構成されており、閉鎖状態では、プレート部材が、貫通開口部を閉鎖しており、開放状態では、プレート部材が、貫通開口部を閉鎖していない。
【0107】
第2の態様のある実施形態では、この縁部部分における閉鎖面は、弾性リテイニング手段を設けられており、弾性リテイニング手段は、フロント・フェイスに対して固定関係にある状態に前記閉鎖面を維持するように構成されている。
【0108】
第2の態様のある実施形態では、重なり合う閉鎖領域もしくは対応する縁部領域のいずれか、または、これらの領域/部分の両方は、磁気的な手段を設けられており、磁気的な手段は、開/閉メカニズムが閉鎖状態になっているときに、重なり合う閉鎖領域を対応する縁部領域に向けて付勢するように構成されている。
【0109】
第2の態様のある実施形態では、開/閉手段は、開放状態と閉鎖状態との間で開/閉メカニズムを移動させるように構成されているアクチュエーター手段を含む。
【0110】
第1の態様のある実施形態では、フロント・フェイスは湾曲している。
【0111】
本発明の第3の態様
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様による複数のモジュールを含むシステムに関する。
【0112】
上記のおよびさらなる目的および利点は、本発明の第3の態様にしたがって、たとえば、多目的部屋などの部屋の壁部または天井などのような、境界部をカバーするように構成されている、可変の音響特性を有するシステムであって、部屋では、それぞれの特定の使用にしたがって、部屋の音響特性、たとえば、残響時間などを変化させることが可能でなければならず、システムは、本発明の第1の態様による複数のモジュールM1、M2、…M10を含み、個々のモジュールM1、M2、…M10は、制御ユニットと通信しており、制御ユニットが、個々のモジュールの対応する開/閉メカニズムを制御することによって、それぞれの個々のモジュールの中の貫通開口部の開/閉を制御することができるようになっている、システムによって提供される。
【0113】
第3の態様のある実施形態では、システムは、制御ユニットと機能的に通信しているユーザー・インターフェースを含み、それによって、モジュールM1からM10がその中に設けられている部屋の残響時間が、モジュールのそれぞれの個々を開/閉することによって、ユーザーによって制御され得る。
【0114】
第3の態様のある実施形態では、システムは、電子メモリーを含み、それぞれの個々のモジュールの対応するセッティング(開/閉状態)が、たとえば、取得された残響時間が最適であるとみなされた性能の種類の説明とともに、電子メモリーの中に記憶され得る。
【0115】
第3の態様のある実施形態では、照明手段が、貫通開口部の中に、または、音響吸収デバイスの内側に設けられており、照明手段によって放出される光が、システムがその中に据え付けられている部屋から見られ得るようになっており、それによって、システムの中で使用される個々のモジュールの状態を示す。
【0116】
第3の態様のある実施形態では、モジュールのフロント・フェイス、または、モジュールのグループのフロント・フェイスは、それらが装着されている境界部から異なる距離において、または、境界部に対して異なる角度で延在している。これは、たとえば、それに対応して、フレーム構造体/取り付け手段の深さを変化させることによって取得され得る。第2の態様のこの実施形態を使用することによって、望まれる場合には、中間のおよび低い周波数における音響拡散が取得され得る。
【0117】
モジュールが境界部の限られた部分だけをカバーしているケースでは、最も外側のモジュールの端部および側面が、実質的に音響不透過性のパネルなどでカバーされており、これらのモジュールの取り付け手段の端部および側面を介した、音響吸収手段を含有するモジュールの内部領域の中へのサウンド・アクセスが、効果的に防止されるようになっているということが重要である。
【0118】
第3の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、単一のモーターまたはアクチュエーターが第1の態様による複数のモジュールを駆動することができるように構成されている。
【0119】
第3の態様のある実施形態では、開/閉メカニズムは、それぞれのモジュールのフロント・フェイスが据え付けられる前に、開/閉メカニズムを据え付けることが可能となるように構成されている。したがって、この実施形態によれば、開/閉メカニズムは、個々のモジュールのフロント・フェイスを部屋の境界部に取り付けるために使用される取り付け構造体またはフレーム構造体のパーツを形成することが可能である。
【0120】
本発明の第4の態様
本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様によるフロント・フェイスのシステムに関する。第4の態様によれば、1つまたは複数の音響吸収デバイスは、第4の態様によるシステムがその中に据え付けられることとなる部屋の境界部の一部である。したがって、第4の態様によれば、第2の態様による複数のフロント・フェイスを、適当な様式で、部屋の中にすでに存在している音響吸収デバイスの上に据え付けることだけが必要である。
【0121】
第4の態様のある実施形態では、音響吸収デバイス、たとえば、ミネラル・ウールのバットなどは、部屋の選ばれた境界部の上に事前に据え付けられている。このケースでは、本発明によって提供される少なくとも残響時間の所望の可変性を取得するために、本発明の第2の態様によるフロント・フェイスを、選ばれた境界部の上に、たとえば、部屋の中の壁部(一部分)および/または天井(一部分)などの上に据え付けることだけが必要である。
【0122】
本発明の第5の態様
本発明の第5の態様は、本発明の第1の、第2の、第3の、および第4の態様において使用するための開/閉メカニズムに関する。本発明の所望の音響吸収機能を取得するために、開/閉メカニズムが、上記に説明されているフロント・フェイスの中の貫通開口部の非常に緊密な音響的閉鎖を提供するということが非常に本質的である。第4の態様は、この非常に緊密な音響的閉鎖を取得するための手段に関する。
【0123】
第5の態様によれば、音響エネルギー連通通路の実質的に音響不透過性の閉鎖を提供するための開/閉メカニズムであって、通路は、たとえば、部屋またはホールの可変の音響性、たとえば、残響時間などを提供するデバイスに、音響エネルギーを提供するように構成されており、音響エネルギー連通通路は、実質的に通路の断面の周囲部全体に沿って、第1の閉鎖面を設けられており、断面音響エネルギーは、通路が開放状態になっているときに、通路を通過し、開/閉メカニズムは、閉鎖部材を含み、閉鎖部材は、第1の閉鎖面と重なり合う関係になっている第2の閉鎖面を設けられており、第1および第2の閉鎖面が互いに実質的に接触した状態に持って行かれるときに、第1および第2の閉鎖面が、通路を閉鎖するようになっており、音響エネルギーが通路を通過することを実質的に防止されるようになっており、開/閉メカニズムは、閉鎖部材リテイニング手段を含み、閉鎖部材リテイニング手段は、通路が閉鎖状態になっているときに、第2の閉鎖面が第1の閉鎖面に対して移動することを実質的に防止する、開/閉メカニズムが提供される。
【0124】
第5の態様のある実施形態では、少なくとも第1の閉鎖面または第2の閉鎖面は、磁気的な手段を設けられており、磁気的な手段は、メカニズムが閉鎖状態に持って行かれるときに、第1の閉鎖面を第2の閉鎖面に付勢するように構成されている。
【0125】
第5の態様のある実施形態では、第1の閉鎖面は、永久磁石材料を設けられており、第2の閉鎖面は、第1の閉鎖面の磁気材料によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0126】
第5の態様のある実施形態では、第2の閉鎖面は、永久磁石材料を設けられており、第1の閉鎖面が、第2の閉鎖面の磁気材料によって引き付けられ得る材料から作製されている。
【0127】
第5の態様のある実施形態では、第1の閉鎖面および第2の閉鎖面の両方が、永久磁石材料を設けられている。
【0128】
第5の態様のある実施形態では、磁気材料のうちの少なくとも1つは、電磁石である。
【0129】
本発明の第6の態様
本発明の第6の態様は、部屋の特定の使用にしたがって部屋の残響時間(RT)を変化させるために本発明の第1から第5の態様を使用する方法に関する。
【0130】
本発明の第6の態様によれば、少なくとも低い周波数において、部屋の残響時間を変更するための方法であって、残響時間が変更されているときに、それによって、部屋の外観を変化させることのないようになっており、方法は、
- 本発明の第1の態様による複数のモジュール、または、本発明の第3の態様によるシステムを提供するステップと、
- モジュールまたはシステムを部屋の1つまたは複数の境界部に取り付けるステップと、
- 個々のモジュール、または、モジュールのシステムの状態(開/閉)を変化させるステップ、および、部屋の対応する残響時間を決定するステップと、
- 必要とされる残響時間が取得されるときに、個々のモジュールの対応する状態(開/閉)を維持するステップと
を含む、方法が提供される。
【0131】
第6の態様のある実施形態では、方法は、部屋のそれぞれの特定の使用に対応する個々のモジュールの決定されたセッティングをメモリー手段の中に記憶するステップをさらに含む。
【0132】
本発明によるモジュール、システム、および方法は、低い周波数において部屋またはホールの残響時間を非常に著しく変更することを可能にすることとなる。この効果は、なかでも、モジュールの深さ、すなわち、モジュールが装着される壁部部分から音響吸収材料のフロント・フェイスへの距離が、最適化されることを必要とする。その理由は、深さが大きくなればなるほど、低い周波数まで延在する効果を結果として生じさせることとなるからである。増幅器を用いた音楽(または、スピーチ)が、部屋またはホールの中で行われる場合には、これは、低い周波数において、比較的に短い残響時間を必要とすることとなり、その短い残響時間は、本発明のモジュール、システム、および方法を適用することによって取得され得る。より高い周波数において、たとえば、1kHzを上回る周波数において、ホールの中の観客、空いている椅子などは、通常、中間のおよび高い周波数において、比較的に低い残響時間を取得するために必要とされる音響吸収および散乱を提供することとなる。そのうえ、ポップ・ミュージックまたはロック・ミュージックのライブ・パフォーマンスにおいて使用されるラウドスピーカー・システムは、中間のおよび高い周波数において、それらの周波数における音響エネルギーの大部分を、ホールの境界部に向けてではなく、観客に向けて方向付けする、方向的特質を有することとなる。また、これは、中間のおよび高い周波数において残響時間を限定することに貢献する。
【0133】
本発明によるモジュール、システム、および方法の適用によって、多目的ホールの残響時間は、少なくとも低い周波数において変化させられ得り、たとえば、映画の上映、ポップ・ミュージックまたはロック・ミュージックのライブ・パフォーマンス、チェンバー・ミュージック、交響曲、オペラ、聖歌隊、演劇、および講演など、多くの異なるジャンルのパフォーマンスが、最適な音響的条件の下で行われることができるようになっている。
【0134】
本発明によるシステムの適用によって、システムを構成するモジュールのうちのいくつかを開放し、他のものを閉鎖することが可能であり、それによって、所与の目的のために残響時間を最適化する。
【0135】
本発明によるシステムの適用によって、残響時間の可変性は、それによって部屋またはホールの外見を変化させることなく取得され得る。
【0136】
本発明の第7の態様
本発明の第7の態様は、概して、部屋の中の可変の音響的特質、たとえば、可変の音響吸収、音響反射、および残響時間(RT)などを提供するデバイスおよびシステムとともに使用するように構成されている開/閉メカニズムの実質的に音を通すことのできない閉鎖を確立するための磁気的な手段の使用に関する。
【0137】
本発明の開/閉メカニズムの重要な特徴
本発明の態様のうちのいずれかによる開/閉メカニズムの好適であるが限定するものではない実施形態の1つの特徴は、フロント・プレートの中の貫通開口部を通した音響エネルギーのアクセスを開閉するために使用される開/閉部材が、決してフロント・フェイスのフロント表面を越えて延在しないように構成されており、それによって、開/閉メカニズムの任意の状態において、フロント表面が、滑らかなままであり、開/閉部材による切れ目のないままになっており、フロント表面に直接的に(または、極めて近付けて)被覆シートを取り付けることが可能となるようになっているということである。
【0138】
本発明によって提供される利点および効果
本発明によるシステムの適用によって、部屋またはホールの異なる用途に関する最適な残響時間に対応する異なるモジュールのセッティングを記憶することが可能となる。
【0139】
本発明によるモジュール、システム、および方法の適用によって、本発明によるモジュールまたはシステムが存在しない状態の部屋またはホールの残響時間は、比較的に長くなる可能性がある。それによって、部屋またはホールの初期の設計の後に、本発明によるモジュールまたはシステムを据え付け、より短い残響時間を必要とする異なる目的に関して、部屋またはホールを適切なものにするために必要とされる可変性を提供することが可能となる。
【0140】
本発明によるシステムが、任意の仕上げおよび外見の大きくて均一なまたは切れ目のない表面を、部屋またはホールの中の公衆に提示することができるという事実は、本発明によるシステムの適用によって、所望のスパンの残響時間(RT)を取得するために十分に大きい面積の可変の音響的手段を据え付けることを可能とし(その理由は、これらの可変の音響的手段が全体的なインテリア・デザインを視覚的に傷つけることとならないからである)、また、視覚的な効果(色付きの光、絵、ビデオ・シーケンスなど)をこれらの切れ目のない表面の上にさらに適用することを可能とし、それによって、異なる用途にしたがって部屋もしくはホールの外見を変化させ、および/または、本発明によるシステムの切れ目のない表面部分の上に直接的に、部屋もしくはホールの実際の使用に関する情報を提供する。
【0141】
下記に説明されている本発明のさまざまな態様は、いくつかの重要な課題を解決し、そのうちの以下の3つが述べられている。
1) 本発明のさまざまな態様の適用は、本発明がその中で使用される部屋の残響時間(RT)に関して大きいスパンを提供する。したがって、RTは、本発明の適用によって容易に2倍にされ得り(または、半分にされる)、それは、以前には決して実現されなかったバリエーションの大きさである。これは、Sabines式を参照する2つの要因に起因して可能となった。その2つの要因は、(1)本発明によるモジュール、ユニット、またはシステム全体が、部屋の非常に大きい天井エリアの中、および、壁部の上の両方に装着され得るということ、ならびに、(2)デルタ・アルファが、重要な低い周波数バンドにおいて大きくなっており、典型的に、0*、6~0,8であるということである。
2) 低い周波数におけるRTは変化させられ、一方、高い周波数、たとえば、1000Hzを上回る周波数は、同じ延在する本発明の適用によって同じ程度に影響を受けない。これは、最近の研究[2]およびNS 817によれば、とりわけ有利であり、また、欧州特許第1779375号明細書、米国特許第7,905,323号明細書、および特許第4782193号明細書に説明されているような、本発明者の以前の発明においてのみ、以前から実現されている。
3) 本発明を使用して取得される音響的可変性は、本発明がその中に据え付けられている部屋の外観に影響を与えず、それは、観客の視点から、ならびに、たとえば多目的ホールなどの部屋のインテリア・デザインを担当する、たとえば建築家またはその他の者の視点の両方から、魅力的な本発明の適用を生み出すこととなる。本発明において使用される可変の音響吸収デバイスは、インテリア・デザインの中に埋め込まれ得り、音響吸収デバイスは、ほとんど見ることができない。これは、以前には、この程度までは決して実現されなかった。
【0142】
システム構成
部屋または公会堂の中で可能な限り多く吸収が散乱させられるときに、これは、所定のエネルギー密度を有する音響場を生成させることとなり、それは、可能な限り均一であり、人間の耳に美しく聴こえる音減衰を結果として生じさせるということが、建築音響学ではよく知られている。本発明によってRTを2倍にするかまたは半分にするという求められる可変性を実現するために、典型的な状況は、天井エリアのほとんど、および、いくつかの壁部エリアを、パネルによって充填するということであり得る。
【0143】
例: LxWxH=30mx20mx10mの寸法を有する6000m3ホールにおいて、先述のNS 8178にしたがって、RTを1,1秒から2,2秒に変化させることが可能であるべきである。Sabine計算によれば、これは、0,6のΔαによって125Hzオクターブ・バンドの中にRTのこのバリエーションを取得するために、おおよそ700m2の本発明によるモジュールを必要とすることとなる。天井エリアは、たとえば、600m2になり、100m2の壁部エリアも使用されるべきであることとなる。
【0144】
より均一な音響エネルギー密度を実現するために、モジュールは、たとえば、壁部の上でより多くの面積によって、天井においてより少ない面積によって、より多く散乱させられ得る。また、これは、完璧に拡散される部屋を仮定するSabineの式により良好に準拠することとなる。2.4mx0.6mのモジュール・サイズによって、合計でおおよそ486個のモジュールが、必要となる700m2をカバーするために使用されなければならない。
【0145】
ポップ・ミュージック(1,1秒)およびチェンバー・ミュージック(2,2秒)のためだけでなく、たとえば、ブラス・バンド(1,7秒)などのような大音量の音響的音楽のためにも、理想的な残響時間条件を作製するために、そのような中間構成において、どの本発明によるモジュールまたはユニットがそれぞれONまたはOFFにされるべきであるかということが考えられるべきである。これは、仕事中の音響エンジニアが決定すること次第であることとなり、追い掛けるべき1つの経路は、美しい音を生成させるために、吸音パネル(ON)を可能な限り多く散乱させるということである可能性がある。しかし、また、モジュールを装着するときの実用性が、ここで考えられなければならない。典型的な据え付けは、N列のモジュールから構成され、それぞれの列の中にMモジュールを備えることとなる。上記の例では、ホールの幅、ひいては、天井の幅は、20mである。これは、それぞれのモジュールが60cmの幅である場合には、天井を横切って最大で20/0,6=>33列を可能にすることとなる。1つの構成は、すべて33列がONであることとなり(ポップ・ミュージック)、別の構成は、すべての列がOFFであることとなり(チェンバー・ミュージック)、一方、第3の構成は、1列おきにONであることなどが可能である。パフォーマンスのジャンルにしたがって、それぞれのコンサートに関して、ホールがそこから選ぶために、複数のプリセットが利用されることとなる。しかし、現実には、天井のいくつかのエリアは、音響的可変性のために使用されるのではなく、換気、スプリンクラー、照明、可変の音響モジュールのためのサービス・ハッチなどのような、ユーティリティー目的のために使用されることとなる。
【0146】
さらに、オーケストラが位置するホールの端部部分(ステージ・エリア)における音響吸収の量に関して、本発明によれば、ステージ・エリアは、さまざまな種類のパフォーマンスに適合され得る。また、これは、観客が位置しているホールの他の部分にも当てはまる。これは、本発明の適用によって、ミュージシャンへの早いおよび遅い音響エネルギーの量を制御することを可能にすることとなり、たとえば、特に、ミュージシャンによって経験される合計音レベルが、ミュージシャンの聴力を損なう可能性がある程に大きくないということを保証することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
本発明のさらなる利益および利点が、添付の図面と併せて、本発明の非限定的な例示的な実施形態の詳細な説明を読んだ後に、明らかになることとなる。
【0148】
【
図1】本発明の実施形態によるシステムおよび被覆シートの概略斜視図である。
【
図2】壁部部分または天井部分に取り付けられている、本発明の実施形態によるモジュールの概略断面表現図であり、モジュールは、たとえばミネラル・ウールのバットから構成される音響吸収デバイスを設けられていることを示す図である。
【
図3(a)】本発明によるモジュールのための開/閉メカニズムの実施形態を示す図である。
【
図3(b)】本発明によるモジュールのための開/閉メカニズムの実施形態を示す図である。
【
図4】閉鎖状態において、
図3(a)および
図3(b)に示されている本発明の実施形態によるモジュールの概略詳細図である。
【
図5】本発明の実施形態によるシステムの概略表現図であり、そのシステムは、ユーザーが操作可能な制御ユニットを設けられていることを示す図である。
【
図6】フロント・フェイスに対して反対のシステムの側から見たときの、すなわち、システムが装着されることとなる境界部に面するシステムの側から見たときの、本発明の実施形態によるシステムの概略斜視図である。
【
図7】フロント・フェイスに向かう方向から見たときの、すなわち、システムが装着されることとなる境界部から離れる方を向くシステムの側から見たときの、本発明の実施形態によるシステムの概略斜視図である。
【
図8(a)】開放状態において、本発明によるモジュールの実施形態によって取得された1/3-オクターブ・バンドの中で測定された音響吸収係数の例を示す図である。
【
図8(b)】閉鎖状態において、本発明によるモジュールの実施形態によって取得された1/3-オクターブ・バンドの中で測定された音響吸収係数の例を示す図である。
【
図9】部屋の2つの境界部の部分をカバーする本発明による被覆シートを備えたシステムの実施形態を示す図である。
【
図10(a)】本発明によるモジュールの2つの代替的な形状の例を示す図である。
【
図10(b)】本発明によるモジュールの2つの代替的な形状の例を示す図である。
【
図11】本発明による開/閉メカニズムの第1の実施形態の概略表現図である。
【
図12(a)】開/閉メカニズム本発明による第2の実施形態の概略表現図である。
【
図12(b)】開/閉メカニズム本発明による第2の実施形態の概略表現図である。
【
図13】開/閉メカニズム本発明による第3の実施形態の概略表現図である。
【
図14】開/閉メカニズム本発明による第4の実施形態の概略表現図である。
【
図15】本発明によるモジュールの実用的な実装形態の例の斜視図であり、本発明の実施形態によるフロント・フェイスの後方側の上に開/閉メカニズムの実施形態を示す図である。
【
図16】フロント・フェイスの中に設けられている所定のパターンの貫通開口部を示す、本発明の実施形態によるモジュールのフロント・フェイスの実用的な実装形態の例の平面図である。
【
図17】本発明によるモジュールの実施形態の一部分、および、部屋の境界部、たとえば、天井などにモジュールを取り付けるための取り付け構造体の実用的な実装形態の例の斜視図である。
【
図18】本発明によるモジュールの実施形態、および、部屋の境界部、たとえば、天井などにモジュールを取り付けるための取り付け構造体の実用的な実装形態の例の斜視図であり、モジュールは、モジュールのフロント・フェイスの中の貫通開口部の後ろに設置された音響吸収バットを設けられていることを示す図である。
【
図19】本発明によるモジュールの実施形態の概略斜視部分的分解図であり、モジュールの側面は、プレート・エレメントによって閉鎖されていることを示す図である。
【
図20】フロント・フェイスの後方側から見たときの、
図11に示されている第1の実施形態による開/閉メカニズムの実用的な実装形態を示す写真である。
【
図21】フロント・フェイスの後方側から見た、本発明の実施形態によるモジュールの写真であり、フロント・フェイスの中の貫通開口部の縁部部分がすべて磁気リボンを設けられている1つの実用的な実装形態を示す写真である。
【
図22】本発明の実施形態による開/閉メカニズムの例示目的の表現図である。
【
図23】本発明による開/閉メカニズムの第4の実施形態の概略表現図である。
【
図24】
図24(b)は、
図24(a)に示されているタイプの2つの隣接するモジュールの概略説明図であり、
図24(a)に示されているタイプの2つの隣接するモジュールは、たとえば
図21(a)に示されているような単一のアクチュエーターによって動作させられ得るように機能的に接続されていることを示す図である。
【
図25】本発明のフロント・フェイスの開/閉メカニズムの音響的に緊密な閉鎖を提供するために使用される磁気的な手段の代替的な実施形態を示す図である。
【
図26】例として、本発明において使用されるフロント・フェイスおよび閉鎖プレートを形成するために使用され得る、16kg/m2の単位面積当たりの質量を有する2mm厚さのスチール・プレートの音響低減インデックスのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0149】
本発明の原理は、このさまざまな実施形態によって図示されることとなる。しかし、当業者は、本発明の詳細な説明に実際に示されて説明されているもの以外の実施形態を考えることが可能であるということ、および、本発明の範囲は、独立請求項によって定義されているということが理解される。
【0150】
以下で使用されている専門用語を明確にするために、「モジュール」は、フロント・フェイス(関連の開/閉メカニズムを備える)および音響吸収デバイスまたは手段(たとえば、音響吸収バットのようなもの)を含むエンティティーである。いくつかの実施形態では、モジュールは、フレーム構造体をさらに含むことが可能であり、フレーム構造体は、たとえば、音響吸収デバイスまたは手段をモジュールの他のパーツに取り付けるために使用され得り、または、フレーム構造体は、オプションとして、モジュールを境界部に取り付けるために使用され得る。また、フレーム構造体は、フレーム構造体によって支持される側面および後方面をモジュールに提供するために使用され得り、その側面および後方面は、音響エネルギーがこれらの面を通って音響吸収デバイスまたは手段に到達することを大きく防止する。モジュールの例示的な実施形態が、
図18に示されており、上述の側面および後方面が、
図19に図示されている。
【0151】
図1を参照すると、本発明の第2の態様によるシステムの実施形態の概略斜視図によって、本発明の基本的概念が図示されている。
【0152】
図1に示されているシステムは、参照番号1によって全体的に指定されており、本発明の第1の態様による10個のモジュールを含む。これらのモジュールは、使用時に、適切な取り付け手段2によって、部屋の1つまたは複数の境界部の上に装着されている。モジュールは、参照番号4によって全体的に指定されているフロント・フェイスを含み、そのフロント・フェイスは、示されている実施形態では、複数の長手方向に延在するスラット5を含み、開口部6が、隣接するスラット5同士の間に長手方向に設けられている。これらの貫通開口部6は、モジュールの外側の外部領域7からモジュールの内側の内部領域3へのアクセスを提供する。貫通開口部6は、貫通開口部が開放状態になっているときに、音響エネルギーが外部領域7から内部領域3へ通ることを可能にする。貫通開口部6を閉鎖するように構成された手段が、それぞれのモジュールの内側に設けられており、音響エネルギーが外部領域7から内部領域3へ通ることができないようになっている。これらの開/閉手段は、以下では非限定的な例によって説明されることとなる。
【0153】
本発明によれば、音響エネルギーが領域7を介して被覆シート8および貫通開口部6(貫通開口部6が開放状態になっているときに)を通って内部領域3に進入することを可能にする材料および構築の被覆シート8が、システムを形成するために、モジュールのフロント・フェイス4に取り付けられ得る(示されている例では、10個のモジュール)。したがって、外見的に切れ目のない表面8が、システムのモジュールをカバーするように提供され得り、モジュールがその中に据え付けられている部屋の中の人によって、個々のモジュールが見られることができないようになっている。
【0154】
単一のシートよりも多くのシートが、本発明にしたがって使用され得る。したがって、シートは、複数の個々のシートまたは部分から構成され得る。したがって、たとえば、実際的な据え付けでは、シートは、1列の中に5つの単一モジュールをカバーするように寸法決めされ得る(すなわち、シートは、モジュールの高さに対応する1つの寸法を有している)。また、シートは、個々のモジュールのスラットのうちのすべてまたはいくつかにわたって長手方向に延在する細長いパネルを含むことが可能である。
【0155】
本発明のある実施形態では、シート8は、化粧板から作製されており、化粧板は、少なくとも、モジュールのフロント・フェイス4の中の貫通開口部6をカバーする化粧板の領域に、穿孔を設けられている。化粧板は、必要な場合には、フロント・フェイス4と化粧板6との間に設けられる、たとえば、石膏ボード材料または繊維セメント・ボード材料の中間シートまたはパネルに取り付けられ得る。システムが音響的に最適に機能するようにするために、穿孔および中間シートの空気流抵抗は、可能な限り低くなければならない。
【0156】
モジュール、ならびに、本発明によるモジュールおよびシステムが部屋(その部屋の中にモジュールまたはシステムが設けられている)の残響時間を変更することができる様式が、以下に説明されることとなる。
【0157】
図2を参照すると、本発明の実施形態によるモジュールの概略断面表現図が示されている。モジュールは、壁部または天井などのような、部屋の境界部11の上に装着されている。モジュールは、フロント・フェイス4を含み、フロント・フェイス4は、スラット5と、隣接するスラット同士の間に設けられた貫通開口部6を含む(ここでスラットと称されるフロント・フェイスの部分は、代替的に、たとえば、
図16に示されているように、フロント・フェイス自身の部分であり、これらの部分の間に貫通開口部が設けられた状態になっていることが可能であるということが理解される)。貫通開口部6は、
図2および
図4に示されているようにヒンジ13によって枢動可能に取り付けられているプレート9または他の適切な閉/開部材によって閉鎖され得る。プレート9は内向きに開くので、シート8(
図1を参照)は、フロント・フェイス4に対して同一面上になるように装着され得る。
【0158】
また、
図1から明らかであるように、この実施形態によるモジュールは、フレーム構造体(
図2の中の参照番号10および14によって示されている)を含み、フレーム構造体は、サイド・ポスト10および横方向ポスト14を含む。
図2では、モジュールは、横方向ポスト14を介して壁部部分11に取り付けられている。モジュールのフレーム構造体は、内側スペース3を生成させる。この内側スペース3では、音響吸収デバイスが設けられており、音響吸収デバイスは、示されている実施形態では、音響吸収材料12から構成されている。示されている実施形態では、音響吸収材料は、プレートまたはスラブまたはバットから構成されており、それは、モジュールの幅w全体にわたって、横方向におよび長手方向に(すなわち、図の平面に対して垂直の方向に)延在しているが、音響吸収材料は、代替的に、横方向ポスト14まで内側スペース3全体を充填することが可能である。音響吸収材料は、たとえば、ミネラル・ウール、たとえば、10cmの厚さのスラブ、および、空気の領域(たとえば25cmなどのような、適切な値の厚さd1を有する)の組み合わせから構成され得る。また、スペースを節約するように、より小さい距離d
1によって低い周波数における吸収を増加させるために、内部スペース3の中に膜吸収体を含むことが可能である。ミネラル・ウールのスラブ12は、最大の音響吸収を生み出す壁部11からの距離に設けられなければならず、すなわち、内部スペース3の中に生成される音響場の粒子速度が可能な限り大きくなる内部スペース3の中の領域に設けられなければならない。
【0159】
周囲からの音響エネルギーは、貫通開口部6のみを介して内側スペース3に進入することが可能であり、貫通開口部が開放状態になっているときだけ、音響吸収が実現されるようになっているということが重要である。これは、(
図19に概略的に示されているように)パネル(
図19の中の参照番号96、97、98、および99)を備えたフレーム構造体10を提供することによって実現され得り、パネルは、周囲から内側スペース3を音響的に遮蔽する。そのようなパネルは、所望の通りに、単一のモジュールに適用されるか、または、複数のモジュールを含むグループに適用され得る。また、フレーム構造体14は、被覆パネルを設けられてもよい(境界部11に取り付けられているフレーム構造体を介して、音響エネルギーが内側領域3に到達できないということを保証するために、これが必要であるとみなされる場合)。
【0160】
ミネラル・ウールが使用されているケースでは、ミネラル・ウール繊維が広がることを防止するバッグまたはホースの中にこれを包むことが必須である。ホースの材料は、本発明によるモジュールおよびシステムの中のすべての他のエレメントと同様に、B,S1-d0防火規格(または、それらが使用される国に応じて、他の防火規格)に準拠しなければならず、また、依然として、空気流のために多孔性でなければならない。
【0161】
低い周波数において大きい吸収係数を取得するために、壁部部分11から音響吸収材料への距離は、少なくとも10cmであることが推奨される。
【0162】
境界部(たとえば、壁部または天井など)の上に装着されているときに、モジュールは、部屋(その部屋の中にモジュールが装着されている)に向けて外側表面を画定しなければならず、それは、モジュールが閉鎖状態になっているときに、実質的に音響的に緊密である。したがって、開/閉メカニズムは、絶対的に可能な限り近いスラットの隣接する部分にシールを提供するということが本質的である。同様に、隣接するモジュール同士の間の接続は、可能な限り音響的に緊密でなければならない。そうでなければ、音響エネルギーは、貫通開口部6が音響的に緊密に閉鎖しているとしても、隣接するモジュール同士の間の小さいスリットまたは開口部を通過することとなる。
【0163】
スラット5は、好ましくは、貫通開口部6の閉鎖状態における低い周波数においても低い吸収値を取得するために、すなわち、閉鎖状態における低い周波数においても高い程度の音響反射を取得するために、15kg/m2以上の表面重量を保証する材料から作製され得る。好ましくは、0.2未満の音響吸収係数が、125Hzオクターブ・バンドにおいて取得されるべきである。
【0164】
図3(a)および
図3(b)を参照すると、本発明によるモジュールのフロント・フェイスの後方に関する開/閉メカニズムの実施形態が示されている。
【0165】
したがって、
図3(a)は、モジュールのフロント・フェイス4の後方の概略図を示している。フロント・フェイス4には、上記に説明されているような貫通開口部6が設けられている。プレート9は、モジュールのフロント・フェイスフレーム3に枢動可能に接続されており、プレート9が、(
図3(a)に示されているような)開放状態と(
図3(b)に示されているような)閉鎖状態との間で枢動することができるようになっている。接続部材15が、プレート9のそれぞれに取り付けられており、接続部材15は、プレート9の後方表面をバー16と接続させており、バー16は、接続部材15のそれぞれに枢動可能に接続されている。リニア・アクチュエーター19のアクチュエーター・アーム18は、バー16に枢動可能に接続されている。アクチュエーター・アーム18が、
図3(a)に示されているような延長された状態になっているときには、プレート9は開放状態になっており、一方、アクチュエーター・アーム18が、
図3(b)に示されている位置へ後退しているときには、プレート9が、それらのそれぞれのヒンジ手段の周りに枢動させられ、閉鎖状態へ持って行かれ、閉鎖状態では、プレート9は、フロント・フェイス4の中のそれぞれの貫通開口部6を閉鎖する。実質的に音響的に緊密に閉鎖することは、たとえば、閉鎖しているプレート9とスラットの後方部分との間の接触領域において、スラットの後方部分の上に磁気テープを設ける事によって取得され得る。実質的に音響的に緊密に閉鎖することを保証するために、磁気材料を適用することは、より詳細に以下に説明されることとなる。アクチュエーターは、たとえば、電気アクチュエーターまたはソレノイドであることが可能であり、それは、たとえばオペレーターの制御下において、制御ユニットからの電流をそれに提供することによって制御され得る。
【0166】
たとえば軟質プラスチック材料の絶縁ストリップ20が、プレート9の表面の上に設けられ得る。これらのストリップ20のサイズは、対応する貫通開口部6のサイズに対応していることが可能であり、また、メカニズムの閉鎖状態において、それらが少なくとも全体的に貫通開口部6を通って延在するような厚さを有している。これらの手段によって、貫通開口部6の前の穿孔されたシート8からの望まれない恒久的な吸収は、メカニズムが閉鎖状態になっているときに、著しく低減され得る。
【0167】
図4を参照すると、閉鎖状態の、
図3に示されている本発明の実施形態によるモジュールの概略詳細図が示されている。
図4は、モジュールが取り付けられている壁部部分11と、モジュールの内部スペース3の中に設けられている音響吸収材料のスラブ12とを示している。モジュールのフロント・フェイスの中のスラット5のうちの3つが示されており、隣接するスラット5同士の間の貫通開口部6(
図3を参照)は、示されているように、プレート9によって閉鎖されている。外側表面(外側領域7の方を向いている)の上に、軟質プラスチックまたは同様のストリップ20が設けられており、それは、それぞれのスラット5の間の開口部6を実質的に充填している。モジュールのフロント・フェイスの上には、穿孔されたシート8(または、少なくともフロント・フェイスの中の貫通開口部6に対応する領域において、穿孔を備えたシート)が設けられている。示されている実施形態では、ストリップ20は、プレート9の外側表面から穿孔されたシートの内側表面へ延在しており、したがって、貫通開口部6の上に横たわるその領域の中の穿孔されたシートからの吸収を最小化する。
【0168】
図3(a)および
図3(b)に示されている開/閉メカニズムに対する代替例として、複数の代替的なメカニズムが使用され得る。1つのそのような代替的な実施形態では、開/閉プレート9は、それらが開放状態と閉鎖状態との間でフロント・フェイスの内側表面の上のスライディング移動を経験することができるように装着されている。また、これは、被覆シートがフロント・フェイスの外側表面に対して同一面上になるように設置されることを可能にすることとなる。また、この開/閉メカニズムは、
図3(a)および
図3(b)に示されているものと実質的に同様のアクチュエーター配置によって動作され得る。代替的な開/閉メカニズムのいくつかの例が、
図12および
図13に示されており、より詳細に以下に説明されることとなる。
【0169】
図5を参照すると、本発明の実施形態によるシステムの概略表現図が示されており、そのシステムは、ユーザーが操作可能な制御ユニットを設けられている。
【0170】
図5に示されているシステム1は、
図1に示されているものと同様のセットアップにおける、本発明の第1の態様によるモジュールM1からM10を含む。それぞれの個々のモジュールM1からM10は、ライン21から30を介して中央制御ユニット31に接続されており、中央制御ユニットが、上記に説明されているように、それぞれの個々のモジュールの中の貫通開口部6の開/閉を制御することができるようになっている。ユーザーは、適切なユーザー・インターフェース32を介して制御ユニット31と通信することが可能であり、適切なユーザー・インターフェース32は、ライン34を介して制御ユニット31に機能的に接続されており、それによって、モジュールM1からM10がその中に提供されている部屋の残響時間を制御する。適切な残響時間が取得されたときには、それぞれの個々のモジュールの対応するセッティング(開/閉状態)が、取得された残響が最適であるとみなされた性能の種類の説明とともに、電子メモリー37の中に記憶され得る。電子メモリー37は、それぞれ、ライン35および36を介して、制御ユニット31およびユーザー・インターフェース32と協働することが可能である。
【0171】
(
図5の中のシステムによって例示されているような)複数のそのような制御可能なモジュールを含むシステムを形成するために、本発明の第1の態様によるモジュールを使用することは、システムがその中に据え付けられている部屋の残響時間RTを幅広い限界値の中で変化させることを可能にする。したがって、システムを形成する複数のモジュールを埋め込むことは(そのシステムにおいて、個々のモジュールの音響吸収係数αが、非常に高いα値(低い周波数において最大で1に近い)と非常に低いα値(ライブ・パフォーマンスに関して、関心の可聴周波数範囲の全体を通して0.2を下回って下方へ)との間で変化され得る)、幅広いスパンの音楽のジャンルに関して最適な音響的条件を実現するのに十分な音響的可変性に到達する可能性を与える。例として、8000m3のホールは、低い周波数において、1.2秒(ポップ・ミュージックおよびロック・ミュージックに関して)から、聖歌隊またはチェンバー・ミュージック・アンサンブルなどのような小さい音響グループに関して、2.4秒へ、RT可変性を必要とする。RTに関してSabineの式を使用して、この2の可変性因子は、中間のおよび低い周波数において、大きい音響吸収エリア、および、音響吸収係数αの大きい可変性(本文脈において、モジュールの開放状態と閉鎖状態との間の差)を必要とする。NS 8178(ノルウェー規格「Acoustic criteria for rooms and spaces for music rehearsal and performance」)が参照される。他のタイプのライブ・パフォーマンスに関して、および、公会堂、劇場ホール、または映画館としての部屋の使用に関して、1.2秒から2.4秒の間の残響時間が最適である可能性がある。そのような中間残響時間は、システムを形成するモジュールのうちのいくつかを閉鎖することによって、および、システムの他のモジュールを開放することによって、本発明にしたがって取得され得る。したがって本発明によるシステムを使用して、オペレーターが個々のモジュール、または、システムを形成するモジュールのグルーピングの開/閉状態を選び、特定のタイプの部屋の用途のために最適な残響時間を取得することが可能になる。開放モジュールおよび閉鎖モジュールの最適な選択肢が見出されると、同様のケースにおいて後に使用するために、この最適な選択肢(たとえば、特定の用途状況、および、システムの中のそれぞれの個々のモジュールの開/閉状態を含む記録)に関する情報をメモリー37の中に記憶することがさらに可能になる。
【0172】
図6を参照すると、システムの中のモジュールのフロント・フェイス4に対して反対のシステムの側から見たときの、すなわち、システム38が装着されることとなる部屋またはホールの境界部に面するシステム38の側から見たときの、参照番号38によって全体的に示されている、本発明の実施形態によるシステムの概略斜視図が示されている。それぞれのモジュールは、参照番号2によって示されている。
図6に示されているシステムは、10個のモジュールを含み、また、
図1に示されているシート8の省略を除いて、
図1に示されているものに対応している。説明の明確化のために、「長手方向の」および「横断方向の」という用語が、図の中のそれらの対応する軸線によって定義されている。システム/モジュールの深さまたは厚さが、それらのz軸の方向への延在になっている。
【0173】
図7を参照すると、フロント・フェイスに向かう方向から見たときの、すなわち、システムが装着されることとなる境界部から離れる方を向くシステムの側から見たときの、本発明の実施形態によるシステムの概略斜視図が示されている。システムは、(
図1および
図6のような)この例示的な実施形態では、10個のモジュールを含み、細長いスラット5を含むフロント・フェイスが、それぞれの個々のモジュールの隣接するスラット5同士の間に細長い貫通開口部6を設けられた状態になっている。それぞれのモジュールに関して、フレーム構造体は、反対側の端部部分39および反対側のサイド部分40を含み、それらは、フロント・フェイスおよび境界部(その上にモジュールが装着されている)とともに、モジュールの内側領域を画定しており、音響吸収デバイス、たとえば、音響吸収材料のスラブなどが、モジュールの内側領域の中に設けられている。上記に述べられているように、モジュールのグルーピングの周囲部を表す端部部分39およびサイド部分40は、周囲から端部部分39およびサイド部分40を通してモジュールの内側スペースの中の音響吸収材料への音響アクセスを防止するパネルを設けられなければならない。
【0174】
図7に示されているモジュールの実施形態によって、2つの隣接するモジュールの隣接する横方向スラットは、
図7の中の41において示されているように、2倍の幅の単一のスラットとして視覚的に現れる。システムが(
図1に示されているような)被覆シート8によってカバーされていないときには、個々のスラット5のフロント・フェイスによって形成される合計表面は、したがって、視覚的に均一になっていない。システムの視覚的に均一な表面は、被覆シート8によって取得され得るが、代替例として、スラットがモジュールの一方の長手方向の縁部部分に沿って延在し、開口部がモジュールの反対側の長手方向の縁部部分に沿って延在する、スラットおよび貫通開口部のパターンをそれぞれのモジュールに提供することによって、視覚的に均一な外側表面を提供することも可能である。
【0175】
図8(a)および
図8(b)を参照すると、本発明によるモジュールの実施形態によって取得される周波数の関数として、音響吸収係数の例が示されている。
図8(a)は、モジュールの開放状態での音響吸収係数の1/3-オクターブ測定を示しており、
図8(b)は、モジュールの閉鎖状態での音響吸収係数の1/3-オクターブ測定を示している。それは、非常に高い音響吸収係数が、中間のおよび低い周波数範囲において、開放状態の本発明によるモジュール/システムによって取得され得るということを明確に明らかにしている。また、それは、音響吸収係数が、より高い周波数において、所望のより低いレベルに維持され得るということを明らかにしている。
【0176】
図8(a)および
図8(b)に示されている測定は、テスト方法EN ISO354:2003にしたがって残響部屋の中で実施された。認証された報告が入手可能である。
【0177】
モジュールの閉鎖状態での低い音響吸収係数値は、十分に重いフロント・フェイス/閉鎖プレートと、実質的にフロント・フェイスの中の貫通開口部の周囲部全体に沿って設けられている磁気的なストリップなどのような、説明されているリテイニング手段の適用によって、本発明にしたがって取得されるような閉鎖手段の十分に音響的に緊密な閉鎖との組み合わせから結果として生じる。示されている測定値は、実質的に貫通開口部の周囲部全体に沿って適用された磁気テープ(実用的に弾力性はない)とともに、2mmの厚さを有するスチールから作製されたフロント・フェイスおよび閉鎖プレートを備えたモジュールに関連する。2mm厚さのスチール・プレートの単位面積当たりの質量は、おおよそ16kg/m2である。
【0178】
このケースでは、音響吸収デバイスは、フロント・フェイスから境界部へ合計で40cm深さの構築の中でフロント・フェイスの後方側に可能な限り近くに設置されている10cm厚さのミネラル・ウールのバットである。モジュールの開放状態での音響吸収係数は、125Hzオクターブから増加させられ得り、バットからモジュールの後ろ/上方の境界部(たとえば、壁部または天井など)への距離を増加させることによって下向きになる。
【0179】
125Hzおよび250Hzにおける音響吸収係数のバリエーションΔαは、部屋の残響時間の必要なバリエーションを取得することができるようにするために、モジュールの開放状態とモジュールの閉鎖状態との間で少なくとも0.5でなければならない。
【0180】
図9を参照すると、部屋の2つの境界部44および45の部分をカバーする本発明によるシステムの実施形態が示されており、ここで、第3の境界部46は、モジュールを設けられていない。モジュールのシステムは、部屋の中に位置付けされた視聴者に均一な表面47および48を提示する。見られるように、モジュールのフロント・フェイスは、化粧板タイプ仕上げのシートによってカバーされている。
【0181】
図10(a)および
図10(b)を参照すると、本発明によるモジュールの2つの代替的な形状の例が示されている。
【0182】
図10(a)は、6つのモジュール2を示しており、ここでは、モジュールのサイド部分49の第1の縁部部分50および第2の縁部部分51が、異なる長さを有しており、モジュールのフロント・シート8が、モジュールが装着されている境界部に対して傾けられるようになっている。そのようなモジュールを使用することによって、
図10(a)に示されている設計が取得され得り、そこでは、異なるモジュールのフロント・シート8が、異なる方向に傾いている。モジュールが閉鎖状態になっているときに(その状態では、モジュールは、音響エネルギーを吸収しない)、この設計を使用することによって、望まれる場合には、モジュールのシステムの音響拡散効果が取得され得る。
図10(a)に示されている設計に対する代替例が、
図10(b)に示されており、
図10(b)では、モジュールが異なる深さを有しており、異なるモジュールのフロント・シート8が、モジュールが装着されている境界部から異なる距離に位置付けされるようになっている。また、この設計は、モジュールがそれらの閉鎖状態になっているときに、音響を拡散する効果を有することとなる。
図10(a)および
図10(b)に示されている構成を形成する個々のモジュールのそれぞれは、側面、上部面、および底部面の上に、(ならびに、フロント・フェイスの反対側の後方面の上に、)音響不透過性のパネルを設けられており、それぞれのモジュールがその開放状態になっているときに、周囲からの音響エネルギーがフロント・フェイスの中の貫通開口部のみを介してそれぞれのモジュールの内部スペースに進入することができることを保証するようになっている。
【0183】
上記に述べられているように、モジュールが閉鎖状態になっているときに、周囲からモジュールの中の音響吸収デバイスへつながるフロント・フェイスの中の貫通開口部6の開/閉メカニズムが、貫通開口部の実質的に音響的に緊密な閉鎖を提供することができるということが非常に重要である。本発明によれば、これは、磁気的な閉鎖メカニズムによって達成され得り、磁気的な閉鎖メカニズムの例示的なおよび非限定的な実施形態が、以下に説明されることとなる。
【0184】
図11を参照すると、本発明による開/閉メカニズムの第1の実施形態の概略表現図が示されている。フロント・フェイス55の一部分は、閉鎖状態において、プレート部材56によって閉鎖されており、プレート部材56は、枢動アーム57の上に設けられており、枢動アーム57は、フロント・フェイスの部分のうちの1つに固定された取り付け部材58の軸棒59の周りに枢動することが可能である。枢動移動は、
図11の中の矢印Aによって示されている。プレート部材56の上、または、プレート部材56に面するフロント・フェイスの対応する縁部部分の上のいずれかに、たとえば、これらの部分の上に磁気リボンを適用することによって、磁気材料60が設けられている。これの例が、
図20に示されている写真に示されている。このように、フロント・フェイスの中の貫通開口部の縁部部分とプレート部材56の対応する部分との間の接触領域全体は、閉鎖状態において、磁気材料によって提供される磁力によって、固くおよび音響的に緊密に、一緒に保持されている。枢動アーム57およびプレート部材56の必要とされる枢動移動は、枢動アーム57に適切に連結されているアクチュエーターによって取得される。作動メカニズムの実用的な実装形態の例が、
図14に関連して説明されることとなる。
【0185】
閉鎖プレート部材(たとえば、
図2および
図3(a)の中の9、
図11の中の56、
図12(a)および(b)の中の63、
図13の中の71、ならびに、
図14の中の86)の慣性モーメントおよびリジッド性は、閉鎖プレート部材の上にL字プロファイルまたはU字プロファイルを装着することによって(または、L字プロファイルまたはU字プロファイルとしてこれらを形成することによって)強化され得る。これは、閉鎖プレート部材を十分にリジッドにするために必要なヒンジ(たとえば、
図11の中の枢動軸棒59、または、
図2の中のヒンジ13など)の数を最小化するという有利な効果を有することとなる。同様に、フロント・フェイスの後方側にL字プロファイルまたはU字プロファイルを装着することによって、フロント・フェイスはより高い剛性を与えられ得る。
【0186】
図12(a)を参照すると、本発明による開/閉メカニズムの第2の実施形態の概略表現図が示されている。この実施形態では、フロント・フェイス61、62の中の貫通開口部6の閉鎖は、概してU字形状のスライディング・プレート部材63、63’、63”によって達成される。閉鎖状態では、レッグ部63’および63”は、それぞれフロント・フェイス61および62の隣接する部分のそれぞれ対応するL字形状の縁部部分61’、62’と接触した状態にそれぞれ持って行かれる。磁気材料64、65、たとえば、磁気リボンは、スライディング・プレート部材63のレッグ部分とフロント・フェイス61、62の対応するL字形状の縁部部分61’、62’との間のそれぞれの接触領域の中に挿入されている。矢印Bによって示されているような必要とされるスライディング移動は、リニア・アクチュエーター68によって達成され得り、リニア・アクチュエーター68のアクチュエーター・アーム67は、適切なブラケット66によってスライディング・プレート部材63に取り付けられている。開/閉メカニズムのこの実施形態は、図の中のs
1によって示されているように、フロント・フェイスおよび開/閉メカニズムの非常にスリムな構成を促進させる。
【0187】
図12(b)を参照すると、上方から見られたときの、すなわち、
図12(a)に示されているアクチュエーター手段を含むモジュールの側から見られたときの、第2の実施形態による開/閉メカニズムが示されている。モジュールが閉鎖状態になっているときに、開/閉メカニズムは、フロント・フェイスの中の貫通開口部6の実質的に音響的に緊密な閉鎖を提供しなければならないので、スライディング・プレート部材63は、エクステンション103によって横方向に延在され得り、エクステンション103は、
図18に関連してより詳細に説明されることとなる長手方向に延在するサイド・パネル96および97の中の対応する長手方向の溝部104の中にぴったりとフィットしている。必要な場合には、小さいクリアランスdが、エクステンション103の横方向縁部部分と溝部104との間に提供され得るが、エクステンションが、溝部の中に可能な限りぴったりとフィットし、その閉鎖状態において、モジュールの実質的に音響的に緊密な閉鎖を提供するということが重要である。
【0188】
図13を参照すると、本発明による開/閉メカニズムの第3の実施形態の概略表現図が示されている。フロント・フェイス70の中の貫通開口部6を開放することおよび閉鎖することは、
図12に示されているものと同様であり、フロント・フェイス70の中の貫通開口部6を閉鎖するように構成されているプレート部材71を含む。磁気材料72、たとえば、磁気リボンなどが、プレート部材72の対応する縁部部分とフロント・フェイス70との間の接触領域の中に設けられている。リニア・アクチュエーター74のアクチュエーター・シャフト73が、プレート部材73に取り付けられており、アクチュエーター74が、
図13に示されているような閉位置と開位置との間でプレート部材71を移動させることができるようになっており、その移動は、矢印Cによって示されている。開/閉メカニズムのこの実施形態は、その単純性に起因して有利であるが、
図12に示されているものよりも大きいフィッティング深さs
2を必要とし、開/閉メカニズムの(および、モジュール全体の)フィッティング深さが重要な問題でないケースでは、有利な解決策であることとなる。
【0189】
図14を参照すると、本発明による開/閉手段の別の実施形態の概略説明図が示されている。閉鎖プレート71は、フロント・フェイス70に枢動可能に取り付けられており、閉鎖プレート71が、フロント・フェイス70に極めて近接する軸棒71’の周りに枢動することができるようになっている。適当なアクチュエーターまたはモーターが、矢印Fによって示されている方向にロッド131を駆動し、それによって、閉鎖プレート71は、フロント・フェイス70の中の貫通開口部6を閉鎖する。枢動軸棒71’の反対側のこの縁部部分に沿って閉鎖プレート71のリジッド性を増加させるために、閉鎖プレート71は、示されているように、縁部部分に沿ってL字プロファイル129を設けられている。代替的に、閉鎖プレート71自身は、一体化されたL字形状の(または、他の適当に形状決めされた)縁部部分によって設計され得る。閉鎖状態では、ロッド131は、枢動軸棒71’の反対側の閉鎖プレートの縁部部分を、矢印Fによって示されているように、貫通開口部の対応する縁部部分に固く押し付け、それによって、この縁部部分、ひいては、閉鎖プレート71全体が、貫通開口部に存在する音響場と調和して振動することが効果的に防止される。そのうえ、貫通開口部に隣接するフロント・フェイスの縁部部分は、締結手段130、たとえば、フェルトまたはゴムリボンを設けられ得る。
【0190】
図15を参照すると、フロント表面または外部表面75’(図では見ることができない)を備えたフロント・フェイスの実用的な実装形態の例の斜視図が示されており、本発明の実施形態によるモジュールのアクチュエーターは、
図11に示されている実施形態による開/閉メカニズムの実施形態を示している。フロント・フェイスは、フレーム構造体75を含み、フレーム構造体75は、内向きに(すなわち、モジュールの内部に面する(音響吸収デバイスまたは材料がその内部の中に位置付けされている))曲げられた縁部部分76、77と、フロント・フェイス78の後方側の上に装着されているL字プロファイル78とを含み、それらは、リジッド性を構造体に付加している。アクチュエーター79は、80’において支持構造体80に枢動可能に取り付けられており、支持構造体80は、フロント・フェイスのフレーム構造体に固く取り付けられている。したがって、動作の間に、アクチュエーター79は、取り付け部80’の周りに枢動することが可能である。アクチュエーター・シャフト81は、枢動軸棒83を介してバー82に枢動可能に取り付けられており、バー82は、フロント・フェイスに対して実質的に平行に移動することが可能である。図は、複数の枢動アーム85を示しており、その一方の長手方向の端部は、開/閉プレート部材86に取り付けられており、その他方の長手方向の端部は、参照番号87によって示されているように、フレーム構造体/フロント・フェイスに(ヒンジによって)枢動可能に取り付けられている。枢動アーム85の長手方向の端部部分において、枢動アームは、長手方向に延在するバー82に枢動可能に取り付けられている。アクチュエーター・シャフト81が、
図14に示されているように、その延長された位置になっているときには、開/閉プレート部材86は、(上記に説明されている磁気的なクロージャー手段の存在に起因して)実質的に音響的に緊密にフロント・フェイスの中の貫通開口部6を閉鎖しており、また、アクチュエーター・シャフトが後退するときには、枢動アーム85は、枢動軸棒87の周りに回転し、開/閉プレート部材86は、フロント・フェイスの中に提供されているそれぞれの貫通開口部6を開放する。
【0191】
図16を参照すると、本発明の実施形態によるモジュールのフロント・フェイスのフロント表面75’(
図15を参照)に向けて見たときのフロント・フェイスの実用的な実装形態の例の平面図が示されており、ここでは、モジュールのフロント・フェイス88は、所定のパターンの貫通開口部88’を設けられている。この実装形態は、
図2および
図4に関連して以前に説明されたもの(そこでは、厚さt(
図4を参照)のスラット5がフロント・フェイス4を形成するように組み立てられている)以外の、本発明によるモジュールの代替的な実施形態である。それらの実施形態では、厚さtは、比較的に大きく選ばれ得り、そのために、軟質プラスチック・ストリップ20が、スラットによって形成された望まれないチャネルを閉鎖するために使用され得る。
図16に示されている実施形態では、貫通開口部88’は、フロント・フェイスを形成するプレートの中に単純に切り抜かれており(または、その他の方法で提供される)、フロント・フェイス(ひいては、貫通開口部)は、非常に薄くなっていることが可能である。フロント・フェイスを提供するこの様式は、製造の視点から有利であることとなる。さらに、本発明によるモジュールの閉鎖状態では、フロント・フェイスは、平面的なフロント表面を提供することが可能であり、平面的なフロント表面にシートが装着され得る。
【0192】
図17を参照すると、上記に説明されているような本発明によるモジュールの実施形態のフロント・フェイス部分の実用的な実装形態の例、および、部屋の境界部にモジュールを取り付けるための取り付け構造体の実施形態の斜視図が示されている。示されている実施形態は、とりわけ(必ずしも排他的であるわけではないが)、天井から吊り下げられるモジュールに適している。フロント・フェイスは、開/閉メカニズムとともに、
図17および
図18の中の参照番号75によって全体的に示されており、複数の細いバーまたはワイヤー89によって天井に取り付けられており、そのうちの4つだけが、
図17および
図18に示されている。実際には、より多数のそのようなバーまたはワイヤーが、なかでもモジュールの実際の寸法に依存して使用され得る。バーまたはワイヤー89は、取り付け部材90、91の中に終端しており、取り付け部材90、91は、バーまたはワイヤーへのフロント・フェイスの取り付けのために構成されている。取り付け手段90の上側部分(すなわち、
図16において見られるようなフロント・フェイスの上方の一部分)は、構造体92、93、94のためのサポート/取り付けを提供するように構成されており、構造体92、93、94は、
図17に例示されているように、この構造体の上に音響吸収デバイス/手段を支持するように構成されている。
【0193】
図18を参照すると、本発明によるモジュール、および、モジュールを部屋の境界部(たとえば、天井など)に取り付けるための取り付け構造体の実施形態の実用的な実装形態の例の斜視図が示されており、ここでは、モジュールは、モジュールのフロント・フェイスを通る貫通開口部6の上方に音響吸収バット95を設けられており、音響吸収バット95は、上記に説明されている支持構造体92、93、94の上に設置されている。しかし、バット95以外の種類の音響吸収手段が、代替例としてまたはバット95と組み合わせて使用され得るということが理解される。たとえば、本発明によるモジュールによって取得されたLF音響吸収を狭帯域音響吸収(狭帯域音響吸収は、適切なチューニングされたヘルムホルツ共鳴器音響吸収体によって得られ得る)によって補完するために、ヘルムホルツ共鳴器タイプの1つまたは複数の音響吸収体は、フロント・フェイスの中の1つまたは複数の貫通開口部と音響的に連通して、フロント・フェイスの上方に設置され得る。
【0194】
繰り返して上記に述べられているように、閉鎖状態のモジュールは、実際に、周囲に対して実質的に音響的に緊密に閉鎖され、音響エネルギーが、モジュールの中の(または、本発明による複数のモジュールを含むシステムの中の)非意図的な開口部またはスリットを通して、モジュールの中の音響吸収デバイスに到達することができないようになっているということが非常に重要である。
【0195】
図19を参照すると、モジュール本発明による実施形態の概略斜視部分的分解図が示されており、ここでは、モジュールのサイド部分が、プレート・エレメント96、97、98、および99によって閉鎖されており、音響吸収デバイス(たとえば、示されている実施形態では、音響吸収バットなど)を含有するモジュールの内部スペースに、周囲の音響的エネルギーが到達することを防止する。
【0196】
図20を参照すると、
図11に示されている第1の実施形態による開/閉メカニズムの実用的な実装形態の例を示す写真が示されている。写真では、フロント・フェイスは、開放状態になっている。
【0197】
図21を参照すると、フロント・フェイスの後方側から見た、本発明の実施形態によるモジュールの写真が示されており、1つの実用的な実装形態を示しており、ここでは、フロント・フェイスの中の貫通開口部88の縁部部分は、すべて、磁気テープまたはリボン100、101、および102を設けられている。
【0198】
図22を参照すると、本発明による閉鎖手段の極めて概略的な説明図が示されている。フロント・フェイス103は、貫通開口部104を設けられており、第1の閉鎖領域106が、周囲部105全体に沿って設けられている。閉鎖プレート107は、ヒンジ108の上に枢動可能に装着されており、閉鎖プレート107は、矢印Dによって示されているように移動させられるときに、貫通開口部を閉鎖することができるようになっている。閉鎖プレート107は、閉鎖状態において貫通開口部を実質的にカバーする領域109と、第1の閉鎖領域106に実質的に対応する第2の閉鎖領域110とを含む。必要とされる貫通開口部の音響的に実質的に緊密な閉鎖を取得するために、それぞれの閉鎖領域は、本発明によれば、貫通開口部の閉鎖状態において、互いに接触した状態に維持されなければならず、閉鎖プレート107がフロント・フェイスに対して実質的に垂直の方向への移動を経験することを効果的に防止されるようになっている。これを保証することができる手段の例は、
図11、
図12、および
図13に示されている磁気材料、ならびに、
図23に示されている機械的な手段である。これらの手段、および、同様の効果を取得する他の手段は、リテイニング手段と集合的に称される。
【0199】
図23を参照すると、開/閉メカニズムが図示されており、
図11に示されている磁気的な手段が、
図23に示されている実施形態において、閉鎖プレート111が閉鎖状態になっているときに、閉鎖プレート111の縁部部分117を収容するように形成された弾性プロファイル118の形態の機械的なリテイニング手段によって交換されているということを除いて、その開/閉メカニズムは、大きい範囲において
図11に示されているものと同様である。弾性プロファイル118と係合させるようにおよび係合から外すように縁部部分117を移動させることは、アクチュエーターによって、または、
図23には示されていないモーターによって印加される力を必要とする。望まれる場合には、締結手段115および116(たとえば、軟質プラスチック)が、貫通開口部114の縁部領域に設けられ得る。
【0200】
上記に説明されているモジュールの開/閉メカニズムは、それぞれのモジュールのための別々のアクチュエーターまたはモーターによって駆動されているが、本発明によれば、単一のアクチュエーターまたはモーターによって、複数のモジュールの開/閉メカニズムを駆動することが可能である。これの例示的な実施形態が、
図24(b)に概略的に示されており、
図24(b)では、
図24(a)に示されているタイプ(それぞれのフロント・フェイスの中に、
図24(a)のように4つではなく、6つの開口部を備えているが)の2つの隣接するフロント・フェイス127および128が、それぞれ、ロッド部材129によって機能的に接続されている。たとえば、フロント・フェイス127は、
図24(a)に示されている様式でアクチュエーターまたはモーターを設けられ得り、バー122に枢動可能に取り付けられており、それによって、約上記に説明されている様式で、それぞれの枢動軸棒120の周りに閉鎖プレート119を枢動させることができる。ロッド部材129によって提供される接続に起因して、第2のフロント・フェイス128の閉鎖プレート126は、第1のフロント・フェイス127の閉鎖プレート119と調和して、それらのそれぞれの枢動軸棒130の周りに枢動させられる。
【0201】
システムの中のモジュールが、互いに隣接して据え付けられているときには、隣接するモジュールの対応するサイド部分の間の音響的に緊密な接続を保証することが重要である。
図24では、図の上部に示されているモジュールは、スクリュー孔部を設けられており、隣接するモジュールが、スクリュー孔部によって、一緒にネジ止めされ得る。場合によってはシーラントによって補完されるゴムプロファイルなどのような締結手段は、これらが一緒にネジ止めされる前に、隣接するモジュールのサイド表面同士の間にさらに導入され、隣接するモジュール同士の間の締結を改善することが可能である。
【0202】
図25を参照すると、本発明のフロント・フェイスの開/閉メカニズムの音響的に緊密な閉鎖を提供するために使用される磁気的な手段の代替的な実施形態が示されている。この実施形態では、複数の磁石130が、たとえば軟質プラスチックのストリップ131の中に設けられている。磁石は、永久磁石または電磁石のいずれかであることが可能である。
【0203】
図26を参照すると、例として、本発明において使用されるフロント・フェイスおよび閉鎖プレートを形成するために使用され得る、16kg/m2の単位面積当たりの質量を有する2mm厚さのスチール・プレートの音響低減インデックスのプロットが示されている。
【0204】
本発明は、上記に説明されている実施形態に関連して説明されてきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの他の可能な修正例および変形例が作製され得るということが理解されるべきである。したがって、たとえば、異なる種類の材料が、所与の部屋もしくはホールの特定の要求にしたがって、被覆シート8のために使用され得り、ならびに/または、被覆シートの中で使用される穿孔の異なる穿孔のサイズおよび密度も使用され得る。また、スラットとして木製のプロファイルを提供することも可能である。ギャップが、2つの近隣のモジュールの隣接するスラットの上に提供され得り、それは、モジュールを1つの視覚的に連続的なユニットとして見えるようにすることとなる。また、同じ物理的な寸法であるが、説明されている音響吸収手段の代わりに、たとえば、音発生手段、たとえば、ラウドスピーカーまたは音信号提供手段(アラームなど)などを含むモジュールと、本発明の第1の態様によるモジュールのうちの1つまたは複数を交換することが可能であることとなる。したがって、たとえば、それぞれの個々のモジュールは、モジュールが欠陥のある状態になった場合に通知信号を放出する音放出手段を設けられ得る。
【0205】
そのうえ、本発明によるモジュールおよび対応するフロント・フェイスは、全体的に、部屋の外部領域またはスペースに面する平らな表面を有するものとして説明されてきたが、これは、限定ではない。その理由は、モジュールおよび対応するフロント・フェイスは、代替的に、外部領域またはスペースに面する湾曲した表面を有することが可能であり、また、そのような湾曲した形状も本発明の範囲内にあるからである。同様に、本発明の第3および第4の態様によるシステムは、外部領域またはスペースに面する湾曲した表面を提示することが可能である。たとえば、システムは、複数のモジュールまたはフロント・フェイスを含むことが可能であり、複数のモジュールまたはフロント・フェイスは、外部領域またはスペースに面する平らな表面をそれぞれ有しており、ここで、個々のモジュールまたはフロント・フェイスは、互いに対して傾斜されている。また、システムは、外部領域またはスペースに面する湾曲した表面を備えたモジュールもしくはフロント・フェイス、または、その任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0206】
参考文献
[1] Niels Werner Adelman-Larsen et al.: Suitable reverberation times for halls for rock and pop music, JASA, 2010, Vol. 127 and No.1
[2] Niels Werner Adelman-Larsen et al.: Investigation on acceptable reverberation times at various octave bands in halls that present amplified music; Elsevier, Allied Acoustics, Vol. 129, 2018.
[3] Leo L. Beranek, book: “Acoustics”, 1954.
[4] V. O. Knudsen; Cyril M. Harris, book: “Acoustical Design In Architecture”, 1958.
[5] M. D. Egan, book: “Architectural Acoustics”, 1988.
[6] L. I. Makrinenko, book: “Acoustics of Auditoriums in Public Buildings”, 1994.
[7] Marshall Long, book: “Architectural Acoustics”, 2006.
[8] N. W. Adelman-Larsen, book: Rock and pop venues, Acoustic and architectural design, Springer Verlag, 2014.
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】