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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071724
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】CMVエピトープ
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20230516BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 39/245 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20230516BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20230516BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230516BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20230516BHJP
   C12N 15/36 20060101ALI20230516BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230516BHJP
   C12N 5/0787 20100101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K35/17 ZNA
A61P35/00
A61P31/22
A61K39/245
A61K39/39
A61K35/15
A61K48/00
A61K35/761
A61K39/395 T
A61K39/395 S
C12N15/33
C12N15/36
C07K14/705
C12N5/0787
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023020200
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2018561467の分割
【原出願日】2017-05-23
(31)【優先権主張番号】62/340,223
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500057995
【氏名又は名称】ザ カウンシル オブ ザ クイーンズランド インスティテュート オブ メディカル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンナ,ラジーブ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,コーリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象における感染及び/又はがんの処置に関する組成物及び方法を提供する。
【解決手段】クラスI MHC上に提示されるエピトープを含むペプチドと特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む細胞傷害性T細胞(CTL)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてがんを処置する方法であって、クラスI MHC上に提示される表1に列挙されたエピトープを含むペプチドと特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む細胞傷害性T細胞(CTL)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
対象においてサイトメガロウイルス(CMV)感染を処置する方法であって、クラスI MHC上に提示される表1に列挙されたエピトープを含むCMVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む細胞傷害性T細胞(CTL)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項3】
CTLが対象に対して自家である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
CTLが対象に対して自家ではない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
CTLがCTLのライブラリー又はバンクから得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
CMV特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の増殖を誘導する方法であって、CTLを含むサンプルと、表1に列挙されたエピトープを含むCMVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とをインキュベートし、これによりサンプルにおいてペプチド特異的CTLの増殖を誘導することを含む方法。
【請求項7】
サンプルが1つ以上のサイトカインをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
APCがB細胞である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
APCが抗原提示T細胞である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
APCが樹状細胞である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項11】
APCがaK562細胞である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項12】
サンプルが末梢血単核球細胞(PBMC)を含む、請求項6から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
T細胞が細胞傷害性T細胞である、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
CMVペプチドが長さ20以下のアミノ酸である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
CMVペプチドが長さ15以下のアミノ酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
CMVペプチドが長さ10以下のアミノ酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
CMVペプチドがKARAKKDELRの配列を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
CMVペプチドがARAKKDELRの配列を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
CMVペプチドがRRKMMYMYCRの配列を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
表1に列挙されたアミノ酸配列を含むペプチドであって、CMVタンパク質の30超の連続したアミノ酸を含まないペプチド。
【請求項21】
表1に列挙されたアミノ酸配列が、KARAKKDELR、ARAKKDELR又はRRKMMYMYCRである、請求項20に記載のペプチド。
【請求項22】
表1に列挙された2つ以上の配列を含む、請求項20又は21に記載のペプチド。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか1項に記載のペプチドを含むワクチン組成物。
【請求項24】
アジュバントをさらに含む、請求項23に記載のワクチン組成物。
【請求項25】
対象においてがんを処置及び/又は予防する方法であって、請求項23又は24に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項26】
対象においてCMV感染を処置及び/又は予防する方法であって、請求項23又は24に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項27】
クラスI MHC上に提示される、請求項20から22のいずれか1項に記載のペプチドを含む抗原提示細胞(APC)。
【請求項28】
抗原提示T細胞である、請求項27に記載のAPC。
【請求項29】
樹状細胞である、請求項27に記載のAPC。
【請求項30】
B細胞である、請求項27に記載のAPC。
【請求項31】
人工APCである、請求項27に記載のAPC。
【請求項32】
人工APCがaK562細胞である、請求項31に記載のAPC。
【請求項33】
CMVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)を産生する方法であって、請求項20から22のいずれか1項に記載のペプチド又は請求項20から22のいずれか1項に記載のペプチドをコードする核酸とともに抗原提示細胞をインキュベートすることを含む方法。
【請求項34】
APCが抗原提示T細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
APCが樹状細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
APCがB細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
APCが人工APCである、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
人工APCがaK562細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
対象においてがんを処置又は予防する方法であって、請求項27から32のいずれか1項に記載のAPCを対象に投与することを含む方法。
【請求項40】
APCが対象に対して自家である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
APCが対象に対して自家ではない、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
対象においてCMV感染を処置又は予防する方法であって、請求項37から41のいずれか1項に記載のAPCを対象に投与することを含む方法。
【請求項43】
APCが対象に対して自家である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
APCが対象に対して自家ではない、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
請求項20から22のいずれか1項に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項46】
発現ベクターである、請求項45に記載の核酸。
【請求項47】
発現ベクターがウイルスベクターである、請求項46に記載の核酸。
【請求項48】
ウイルスベクターがアデノウイルスに基づく発現ベクターである、請求項47に記載の核酸。
【請求項49】
請求項45から48のいずれか1項に記載の核酸を含むワクチン組成物。
【請求項50】
対象においてがんを処置及び/又は予防する方法であって、請求項49に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項51】
対象においてCMV感染を処置又は予防する方法であって、請求項49に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項52】
表1に列挙されたCMVエピトープと結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項53】
全長免疫グロブリン分子、
scFv、
Fabフラグメント、
Fab'フラグメント、
F(ab')2、
Fv、
ラクダ抗体、又は
ジスルフィド結合Fv
である、請求項52に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項54】
対象においてがんを処置する方法であって、請求項52又は53に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む方法。
【請求項55】
対象においてCMV感染を処置する方法であって、請求項52又は53に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む方法。
【請求項56】
主要組織適合複合体(MHC)上に提示される表1に列挙されたエピトープを含むペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞。
【請求項57】
細胞傷害性T細胞(CTL)である、請求項56に記載のT細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年5月23日に出願された米国特許仮出願第62/340,223号に対する優先権の利益を主張するものであり、その各々は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
サイトメガロウイルス(CMV、ヒトヘルペスウイルス-5としても知られる)は、ほぼどこにでも存在するヘルペスウイルスであり、個人の60%~90%が感染する。一次感染に続いて、CMVは、典型的には、健康な免疫系による制御下で維持される持続性感染を確立する。CMVは、多くの免疫調節戦略をとって、宿主の免疫反応を回避する。そのような戦略の例として、インターフェロン(IFN)及びIFN刺激遺伝子の阻害、細胞傷害性T細胞に対する抗原提示を阻止するためのHLAの分解、並びに、ナチュラルキラー(NK)細胞の機能を阻止するための活性化リガンド及び阻害性リガンドの調節が挙げられる。
【0003】
CMV感染は、典型的には、健康な個体では気付かれないが、免疫不全の個体(例えば、HIV感染した人、臓器移植レシピエント)においてウイルス潜伏からの再活性化が起こること、又は(例えば、移植の間に)そのような個体が一次感染することにより、重篤な疾患を導く可能性がある。例えば、CMVは、長期的な免疫抑制を必要とする移植レシピエントにおける移植の失敗及び死亡の主な原因の1つであり、妊娠中のCMV感染は先天性異常を導く可能性がある。CMV感染はまた、免疫応答性の個体においてさえ、がんと関連付けられている。
【0004】
免疫不全の個体におけるCMV感染は、現在、精製血漿免疫グロブリン(CMV-IGIV)、並びにガンシクロビル(Cytovene)及びバルガンシクロビル(Valcyte)などの抗ウイルス薬を使用して処置される。CMV-IVIGは、提供されるヒト血漿に由来するために、大量に産生することが難しく、その使用には感染性疾患の伝染の危険が伴う。薬物耐性CMV株は、ますます一般的になっており、現在の治療を無効にしていることも多い。CMVワクチンを開発しようとする最近の試みは、失敗に終わっている。したがって、CMV及びCMV関連がんの処置に対する、新規で改善された方法及び組成物への必要性は大きい。
【発明の概要】
【0005】
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)により認識され、CMV感染及び/又はがん(例えば、本明細書で提供されたCMVエピトープを発現するがん)の予防及び/又は処置に有用であるCMVエピトープ(例えば、表1に列挙されたCMVエピトープ)に関する組成物及び方法が本明細書で提供される。
【0006】
特定の態様において、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープ(例えば、表1に列挙されたCMVエピトープ)を含むポリペプチド、及び/又はそのようなポリペプチドをコードする核酸を含有する組成物(例えば、ワクチン組成物などの治療用組成物)、並びにそのような組成物を対象に投与することにより、CMV感染及び/又はがんを処置及び/又は予防する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、全長CMVタンパク質ではない。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、全長CMVタンパク質の15、20、25、30、35又は40以下の連続したアミノ酸を含有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、本明細書に記載されるCMVエピトープから本質的になる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、本明細書に記載されるCMVエピトープからなる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、長さ15、20、25、30、35又は40以下のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0007】
いくつかの態様において、例えば、CTLを含むサンプル(即ち、PBMCサンプル)を、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープを提示する抗原提示細胞(APC)(例えば、本明細書に記載されるCMVエピトープを含むペプチドを、クラスI MHC複合体上に提示するAPC)とともにインキュベートすることにより、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープを認識するCTLの増殖を起こす、活性化する、及び/又は誘導する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、APCは、CTLが得られた対象に対して自家である。いくつかの実施形態において、APCは、CTLが得られた対象に対して自家ではない。いくつかの実施形態において、APCは、B細胞、抗原提示T細胞、樹状細胞、又は人工抗原提示細胞(例えば、aK562細胞)である。いくつかの態様において、抗原提示細胞(例えば、aK562細胞)は、CD80、CD83、41BB-L、及び/又はCD86を発現する。
【0008】
いくつかの態様において、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープを認識するCTL(即ち、クラスI MHC複合体上に提示される本明細書に記載されるCMVエピトープを含むペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)を発現するCTL)を含む組成物(例えば、治療用組成物)、並びにそのような組成物を対象に投与することにより、CMV感染及び/又はがんを処置及び/又は予防する方法が本明細書で提供される。例えば、いくつかの実施形態において、対象のがん及び/又はCMV感染を処置及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープを認識するCTLを含む組成物を対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、CTLは、対象に対して自家ではない。いくつかの実施形態において、T細胞は、対象に対して自家である。いくつかの実施形態において、CTLは、対象に投与される前、細胞バンクに保存される。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書に記載される方法を使用して、CTLの増殖を起こす、活性化する、及び/又は誘導することをさらに含む。いくつかの態様において、主要組織適合複合体(MHC)上に提示される表1に列挙されたペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞(例えば、CTL)が本明細書で提供される。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCMVエピトープを含む1つ以上のペプチドを提示するAPC(例えば、クラスI MHC上に1つ以上のCMVエピトープを提示するAPC)が本明細書で提供される。特定の態様において、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープを提示するAPCを生成する方法であって、APCを、本明細書に記載されるCMVエピトープを含むペプチド、及び/又は本明細書に記載されるCMVエピトープをコードする核酸と接触させることを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、APCは、CTLが得られた対象に対して自家ではない。いくつかの実施形態において、APCは、B細胞、抗原提示T細胞、樹状細胞、又は人工抗原提示細胞(例えば、aK562細胞)である。いくつかの態様において、抗原提示細胞(例えば、aK562細胞)は、CD80、CD83、41BB-L、及び/又はCD86を発現する。いくつかの実施形態において、対象のがん及び/又はCMV感染を処置又は予防する方法であって、本明細書に記載されるAPCを対象に投与するステップを含む方法が本明細書で提供される。
【0010】
特定の態様において、本明細書に記載されるCMVエピトープと特異的に結合する抗原結合分子(例えば、抗体、抗体フラグメント、TCR、キメラ抗原受容体(CAR))が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、抗原結合分子は、抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態において、抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト抗体である。いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、全長免疫グロブリン分子、scFv、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fv、ラクダFv、又はジスルフィド結合Fvである。いくつかの実施形態において、抗体は、本明細書で提供されるエピトープと、約10-7M、10-8M又は10-9M以下の解離定数で結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合分子は、(例えば、抗体薬物コンジュゲートの一部として)薬物とコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、抗原結合分子は、細胞毒性物質(例えば、MMAE、DM-1、メイタンシノイド、ドキソルビシン誘導体、アウリスタチン、カリケアマイシン(calcheamicin)、CC-1065、デュオカルマイシン(aduocarmycin)又はアントラサイクリン)に連結されている。いくつかの実施形態において、抗原結合分子は、抗ウイルス薬(例えば、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビル、アシクロビル、ホミビルセン(formivirsen)、マリバビル、BAY 38-4766、又はGW275175X)と連結されている。いくつかの実施形態において、対象のがん及び/又はCMV感染を処置する方法であって、本明細書に開示される抗原結合分子を対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0011】
いくつかの態様において、本明細書で提供される1つ以上のペプチドをコードする配列を含む核酸が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される1つ以上のペプチドをコードする配列は、1つ以上の調節配列と機能的に連結されている。いくつかの実施形態において、核酸は、発現ベクターである。いくつかの実施形態において、核酸は、アデノウイルスベクターである。
【0012】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるCMVペプチド、CTL、APC、核酸、及び/又は抗原結合分子、並びに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物を投与することにより、対象のCMV感染及び/又はがんを処置及び/又は予防する方法が本明細書で提供される。
【0013】
いくつかの態様において、本明細書で提供される処置(例えば、本明細書に記載されるCTL、APC、ポリペプチド、組成物、抗体又は核酸の投与)の方法に好適な対象を同定する方法であって、対象からサンプル(例えば、血液又は腫瘍のサンプル)を単離すること、及びサンプル中において、本明細書で提供されるCMVエピトープ又は本明細書で提供されるCMVエピトープをコードする核酸の存在を検出することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるCMVエピトープは、サンプルを本明細書で提供される抗原結合分子と接触させることにより検出する。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される処置の方法に好適であるとして同定される対象は、この処置の方法を使用して処置される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】造血幹細胞移植(HSCT)レシピエントにおける、IE-1配列変異体のパイロシークエンス解析を示す。
図2】HSCT移植レシピエントにおける、ウイルス再活性化に続く、変異体特異的T細胞の活性化の動態を示す。
図3】IE-1変異体特異的T細胞の集団の機能的結合(アビディティ)活性の解析を示す。
図4】ウイルス再活性化での共感染の影響、及びウイルス再活性化と全T細胞免疫との関連を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概括
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)により認識され、CMV感染及び/又はがんの予防及び/又は処置に有用であるCMVエピトープ(例えば、表1に列挙されたCMVエピトープ)に関する組成物及び方法が本明細書で提供される。特定の態様において、本明細書に記載される1つ以上のCMVエピトープ(例えば、表1に列挙されたCMVエピトープ)を含むポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなペプチドを認識するCTL、そのようなペプチドを提示するAPC、及び/又は、そのようなペプチドに特異的に結合する抗原結合分子を含有する組成物(例えば、ワクチン組成物などの治療用組成物)、並びに、そのような組成物を対象に投与することにより、CMV感染及び/又はがんを処置及び/又は予防する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法にしたがう処置に好適な対象を同定する方法も本明細書で提供される。
【0016】
定義
便宜上、本明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語をここに集める。
【0017】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書において、その冠詞の文法的目的語の1つ又は1つ超(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「1つの要素」とは、1つの要素又は1を超える要素を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「投与する」とは、医薬品又は組成物を対象に提供することを意味し、限定されないが、医療従事者による投与及び自己投与が含まれる。このような薬剤には、例えば、本明細書に記載のペプチド、本明細書において提供される抗原提示細胞及び/又は本明細書において提供されるCTLが含有され得る。
【0019】
用語「アミノ酸」とは、アミノ官能基と酸官能基の両方を含み、天然アミノ酸のポリマーに含まれることができる天然又は合成のすべての分子を包含するものとする。例示的なアミノ酸としては、天然アミノ酸、その類似体、誘導体及び同族体、変異体側鎖を有するアミノ酸類似体、並びに上記のいずれかのすべての立体異性体が挙げられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「抗体」とは、インタクトな抗体及びその抗原結合フラグメントの両方を指し得る。インタクト抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存されている領域に挟まれた、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の最初の成分(Clq)を含む、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。用語「抗体」には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、一本鎖抗体、及び抗原結合抗体フラグメントが含まれる。
【0021】
本明細書で使用するとき、抗体の「抗原結合フラグメント」及び「抗原結合部分」という用語は、抗原に結合する能力を保持する抗体の1以上のフラグメントを指す。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv、ジスルフィド結合Fv、Fd、ダイアボディ、一本鎖抗体、ラクダ抗体、単離CDRH3、及びインタクトな抗体の可変領域の少なくとも一部を保持する他の抗体フラグメントが挙げられる。これらの抗体フラグメントは、慣用的な組み換え及び/又は酵素技法を使用して得ることができ、インタクト抗体と同じように抗原結合についてスクリーニングすることができる。
【0022】
「結合する」又は「相互作用する」という用語は、例えば生理学的条件下での静電相互作用、疎水性相互作用、イオン性相互作用及び/又は水素結合相互作用による、2つの分子間、例えば、ペプチドと結合パートナー又は物質(例として小分子)との間の、安定な会合(association)であり得る、会合を指す。
【0023】
「生物学的試料」、「組織試料」、又は単に「試料」という用語は、それぞれ、対象の組織から得られた細胞の集合物を指す。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結された及び/又は保存された臓器、組織試料、生検又は吸引物からのような固体組織、血液又は任意の血液成分、血清、血液、体液、例えば、脊髄液、羊水、腹水又は間質液、尿、唾液、糞便、涙液、又は対象の妊娠若しくは発生の任意の時点からの細胞であり得る。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「がん」には、限定されないが、固形腫瘍及び血液由来腫瘍が含まれる。がんという用語は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液及び血管の疾患を含む。用語「がん」は、原発性がん及び転移性がんをさらに包含する。
【0025】
用語「エピトープ」とは、抗体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、分子の化学的に活性な表面基、例えば、アミノ酸又は糖側鎖からなる。特定のエピトープは、T細胞受容体又は抗体が結合することができるアミノ酸の特定の配列によって規定することができる。
【0026】
用語「単離された核酸」とは、(1)その中に「単離された核酸」が天然に見出される細胞と会合していない、及び/又は(2)天然には結合していないポリヌクレオチドに機能的に連結された、天然若しくは合成起源のポリヌクレオチド又はそれらの何らかの組み合わせを指す。
【0027】
用語「単離されたポリペプチド」とは、特定の実施形態において、組換えDNA若しくはRNAから調製されるポリペプチド、又は合成起源のポリペプチド、又はそれらの何らかの組み合わせを指し、(1)天然に通常見られるタンパク質とは会合しない、(2)それが通常存在する細胞から単離されている、(3)同じ細胞供給源からの「他のタンパク質を含まずに単離されている、(4)異なる種由来の細胞によって発現される、又は(5)天然には生じないものである。
【0028】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わないで、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適した薬剤、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」という語句は、1つの臓器若しくは生体の部分から別の臓器若しくは生体の部分に運ぶか又は輸送することに関与する、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、又は溶媒をカプセル化している材料などを意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と相溶性を有し、患者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の一部の例としては、以下が挙げられる:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース、(4)粉末状トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、カカオバター及び坐薬ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝化剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝化溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物、及び(22)医薬製剤に使用される他の非毒性適合物質。
【0030】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」なる語は互換的に用いられる。それらは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド又はそれらの類似体のいずれであれ、任意の長さのヌクレオチドの重合形態を指す。ポリヌクレオチドは任意の三次元構造を有してもよく、任意の機能を果たしうる。以下のものはポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子又は遺伝子断片のコード又は非コード領域、連鎖解析から定められる遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体を含みうる。ヌクレオチド構造に対する修飾は、存在する場合には、重合体の構築の前又は後で施されうる。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分との結合(コンジュゲート化)によって、さらに修飾されうる。本明細書で提供されている全ての核酸配列において、UヌクレオチドはTヌクレオチドと交換可能である。
【0031】
本明細書で使用するとき、状態を「予防する」治療薬は、障害又は状態の発症前に統計試料(statistical sample)に投与された場合、処置されていない対照試料と比較して、処置された試料における障害若しくは状態の発生を低下させ、又は処置されていない対照試料と比較して、障害若しくは状態の1つ以上の症状の発症を遅延させるか若しくはその重症度を低下させる化合物を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、「特異的結合」とは、抗体が所定の抗原に結合する能力又はペプチドがその所定の結合パートナーに結合する能力を指す。典型的には、抗体又はペプチドは、約10-7M以下のKDに相当するアフィニティでその所定の抗原又は結合パートナーに特異的に結合し、そして非特異的かつ無関係の抗原/結合パートナー(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するアフィニティよりも少なくとも10倍小さい、少なくとも100倍小さい、又は少なくとも1000倍小さいアフィニティ(KDにより表されるようなもの)で所定の抗原/結合パートナーに結合する。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「対象」は、処置又は治療のために選択されたヒト又は非ヒト動物を意味する。
【0034】
本明細書で使用される「治療有効量」及び「有効量」という語句は、任意の医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で、対象の少なくとも、細胞の部分集団において所望の治療効果を生じさせるのに有効な薬剤の量を意味する。
【0035】
対象における疾患を「処置(治療)する」又は疾患を有する対象を「処置(治療)する」とは、疾患の少なくとも1つの症状が減少する又は悪化するのを妨げるように、対象に医薬的処置、例えば薬物の投与を施すことを指す。
【0036】
用語「ベクター」とは、それによって生物、細胞又は細胞成分間で核酸を増殖及び/又は移動させることができる手段を指す。ベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、ファージミド、トランスポゾン、及び人工染色体などが挙げられ、これらは自律的に複製することができてもできなくてもよく、又は宿主細胞の染色体に組み込まれてもよい。
【0037】
ペプチド
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識され、そしてCMV感染及び/又はがん(例えば、本明細書中に提供されるCMVエピトープを発現するがん)の予防及び/又は処置に有用なCMVエピトープを含むペプチドが本明細書において提供される。特定の実施形態では、CMVエピトープは、表1に列挙されたエピトープである。
【0038】
【表1】
【0039】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは全長CMVタンパク質である。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、CMVウイルスタンパク質の100、90、80、70、60、50、40、30、25、20、15又は10個未満の連続したアミノ酸を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、表1に列挙されたCMVエピトープの2つ以上を含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、ポリペプチドリンカーによって接続された、表1に列挙される2以上のCMVエピトープを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、表1に列挙されるエピトープの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個を含む。
【0040】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは表1に列挙されるエピトープからなる。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、表1に列挙されるエピトープから本質的になる。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、表1に列挙されたエピトープに加えて、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸を含む。
【0041】
一部の実施形態では、ペプチドの配列は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)の保存的配列修飾を除いてEBVウイルスタンパク質配列を含む。本明細書で使用するとき、用語「保存的配列修飾」は、TCRとMHC上に提示されるアミノ酸配列を含有するペプチドの間の相互作用に有意に影響しないか又はそれを変更しないアミノ酸修飾を指すことが意図される。このような保存的修飾には、アミノ酸の置換、付加(例えば、ペプチドのN末端又はC末端へのアミノ酸の付加)及び欠失(例えば、ペプチドのN末端又はC末端からのアミノ酸の欠失)が含まれる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、本明細書に記載されているペプチドの1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換することができ、変更されたペプチドは、当該技術分野において公知である方法を使用してTCR結合の保持について試験することができる。修飾は、当該技術分野において公知である標準的な技術、例えば、部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発によって抗体に導入することができる。
【0042】
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較目的のためにアライメントされる(例えば、最適なアライメントのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、非同一配列は、比較目的のために無視することができる)。次に、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有される場合、それらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れた上での、配列によって共有される同一位置の数の関数である。
【0043】
キメラタンパク質又は融合タンパク質もまた本明細書で提供される。本明細書で使用するとき、「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」は、本質的に連結されていない別個のペプチドに連結された、本明細書において提供されるペプチド(例えば表1に列挙されるエピトープを含むもの)を含む。例えば、別個のペプチドは、ペプチドのN末端又はC末端に、ペプチド結合を介して直接的に、又は化学リンカーを介して間接的に融合することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、他のCMVエピトープを含むポリペプチドに連結される。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、他のウイルス性疾患及び/又は感染性疾患由来のエピトープを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、がん関連エピトープをコードするペプチドに連結される。
【0044】
本明細書において提供されるキメラペプチド又は融合ペプチドは、標準的な組換えDNA技術によって産生することができる。例えば、異なるペプチド配列をコードするDNA断片は、従来の技術に従って、例えば、ライゲーションのための平滑末端化又は突出末端化(stagger-ended)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じて付着端の補完、望ましくない接続を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素ライゲーションを使用することによって、インフレームでライゲートされる。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続した遺伝子断片の間に相補的な突出部を生じさせるアンカープライマーを使用して行うことができ、その後、アニーリングし、再増幅してキメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons: 1992を参照されたい)。さらに、すでに融合部分をコードする多数の発現ベクターが市販されている。
【0045】
一部の態様では、本明細書に記載されているペプチド(例えば、表1に列挙されたエピトープを含むペプチド)を提示する細胞が本明細書において提供される。一部の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、抗原提示細胞(APC)(例えば、抗原提示T細胞、樹状細胞、B細胞、マクロファージ、又は人工抗原提示細胞、例えばaK562細胞等)である。本明細書に記載されているペプチドを提示する細胞は、当該技術分野において公知である標準的な技術によって産生することができる。例えば、細胞にパルスを与えてペプチド取り込みを促進し得る。一部の実施形態では、細胞は、本明細書において提供されるペプチドをコードする核酸をトランスフェクトされる。本明細書に記載されているペプチドで細胞をパルスするステップを含む、抗原提示細胞(APC)を産生する方法が本明細書において提供される。抗原提示細胞を産生する例示的な例は、WO2013088114号に見ることができ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
本明細書において提供されるペプチドは、標準的なタンパク質精製技術を使用して適切な精製スキームによって細胞又は組織源から単離することができ、組換えDNA技術によって産生することができ、且つ/又は標準的なペプチド合成技術を使用して化学的に合成することができる。本明細書に記載されているペプチドは、本発明のペプチド(複数可)をコードするヌクレオチドの発現によって、原核宿主細胞又は真核宿主細胞において産生することができる。あるいは、このようなペプチドは、化学的方法によって合成することができる。組換え宿主における異種ペプチドの発現、ペプチドの化学合成、及びインビトロ翻訳の方法は、当該技術分野において周知であり、さらに、参照により本明細書に組み込まれるManiatisら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1989)、第2版、Cold Spring Harbor, N. Y.、Berger及びKimmel、Methods in Enzymology、152巻、Guide to Molecular Cloning Techniques (1987)、Academic Press, Inc.、San Diego、Calif.、Merrifield, J. (1969) J. Am. Chem. Soc. 91:501、Chaiken I. M. (1981) CRC Crit. Rev. Biochem. 11:255、 Kaiserら(1989) Science 243:187、Merrifield, B. (1986) Science 232:342、Kent, S. B. H. (1988) Annu. Rev. Biochem. 57:957、Offord, R. E. (1980) Semisynthetic Proteins、Wiley Publishingに記載されている。
【0047】
核酸分子
本明細書に記載されているペプチドをコードする核酸分子が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に開示される核酸を対象に投与することにより、がん又はCMVを処置する方法が本明細書において提供される。核酸は、例えば細胞全体において、細胞溶解物中に、又は部分的に精製された若しくは実質的に純粋な形態で存在し得る。
【0048】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている核酸分子を含むベクター(例えば、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベースの発現ベクター等)が本明細書において提供される。本明細書で使用するとき、用語「ベクター」とは、それに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントはウイルスゲノムにライゲートされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター、エピソーム哺乳動物ベクター)において自律的複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製することができる。さらに、特定のベクターは、遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(又は単に「発現ベクター」)と呼ばれる。一部の実施形態では、発現ベクター中で1つ以上の調節配列(例えば、プロモーター)に機能的に連結された核酸が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、細胞は、本明細書において提供される核酸を転写し、それにより本明細書に記載されている抗体、その抗原結合フラグメント又はペプチドを発現する。核酸分子は、細胞のゲノムに組み込まれ得、又はそれは染色体外にあり得る。
【0049】
一部の実施形態では、本明細書で提供される核酸はワクチンの一部である。いくつかの実施形態では、ワクチンは、ベクターで、例えば限定されるものではないが、細菌ベクター及び/又はウイルスベクターなどで対象に送達される。細菌ベクターの例としては、限定されるものではないが、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)(BCG)、サルモネラ・ティフィムリウム・エスピー(Salmonella Typhimurium ssp.)、チフス菌(Salmonella Typhi ssp.)、クロストリジウム・エスピー(Clostridium sp.)胞子、大腸菌(Escherichia coli)Nissle 1917、大腸菌K-12/LLO、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、及びシゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)が挙げられる。ウイルスベクターの例としては、限定されるものではないが、ワクシニア、アデノウイルス、RNAウイルス(レプリコン)、ならびにアビポックス(avipox)、鶏痘(fowlpox)、カナリア痘(canarypox)、MVA、及びアデノウイルスのような複製欠損が挙げられる。
【0050】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている核酸(例えば、本明細書に記載されている抗体、その抗原結合フラグメント又はペプチドをコードする核酸)を含有する細胞が本明細書において提供される。細胞は、例えば、原核生物、真核生物、哺乳動物、鳥類、マウス及び/又はヒトであり得る。一部の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞はAPC(例えば、抗原提示T細胞、樹状細胞、B細胞、又はaK562細胞)である。本方法において、本明細書に記載されている核酸は、送達ビヒクルを伴わない核酸として、送達試薬と組み合わせて、細胞に投与することができる。一部の実施形態では、当該技術分野において公知である任意の核酸送達方法を、本明細書に記載されている方法において使用することができる。適した送達試薬としては、限定されないが、例えば、Mirus Transit TKO親油性試薬、リポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン(例えば、ポリリジン)、アテロコラーゲン、ナノプレックス及びリポソームが挙げられる。本明細書に記載されている方法の一部の実施形態では、リポソームが、細胞又は対象に核酸を送達するために使用される。本明細書に記載されている方法における使用に適したリポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成することができ、これは、一般的に、中性又は負に荷電したリン脂質及びステロール、例えば、コレステロールを含む。脂質の選択は、一般的に、因子、例えば、所望のリポソームサイズ及び血流中のリポソームの半減期を考慮することによって導かれる。リポソームを調製するための種々の方法が公知であり、例えば、それらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれるSzokaら、(1980)、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467、並びに米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号及び同第5,019,369号に記載されている。
【0051】
抗体
一部の態様において、本明細書において提供される組成物及び方法は、CMV感染細胞又はがん細胞の原形質膜上に発現されるタンパク質(例えば、表1に列挙されるエピトープを含むタンパク質)に特異的に結合する抗体及びその抗原結合フラグメントに関する。いくつかの実施形態において、抗体は、本明細書に提供されるペプチドのうちの1つの特定のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、表1におけるアミノ酸配列を有するエピトープを含むCMVタンパク質に結合する(ここでCMVタンパク質は全長CMVタンパク質ではない)。いくつかの実施形態では、エピトープは細胞外エピトープである。いくつかの実施形態において、エピトープは表1に列挙されるエピトープである。いくつかの実施形態において、抗体はポリクローナル又はモノクローナルであり得、そして例えば、マウス、キメラ、ヒト化又は完全ヒトであり得る。いくつかの実施形態において、抗体は、全長免疫グロブリン分子、scFv、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fv、ラクダ抗体又はジスルフィド結合Fvである。
【0052】
ポリクローナル抗体は、適切な対象(例えばマウス)をペプチド免疫原(例えば、表1に列挙されたアミノ酸配列)で免疫することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、ペプチド免疫原は、本明細書で提供される標的タンパク質の細胞外エピトープを含む。免疫した対象におけるペプチド抗体力価は、固相化ペプチドを使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いるなどの標準的な技法によって経時的にモニターすることができる。所望であれば、抗原に対する抗体を哺乳動物から(例えば血液から)単離し、そしてプロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術によりさらに精製してIgG画分を得ることができる。
【0053】
免疫後の適切な時点、例えば抗体力価が最も高い時に、抗体産生細胞を対象から得、それを使用して、標準的技法、例えばKohler and Milstein (1975) Nature 256:495-497により最初に記載されたハイブリドーマ技法(Brown et al. (1981) J. Immunol. 127:539-46; Brown et al. (1980) J. Biol. Chem. 255:4980-83; Yeh et al. (1976) Proc. Natl. Acad. Sci. 76:2927-31;及びYeh et al. (1982) Int. J. Cancer 29:269-75も参照)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor et al. (1983) Immunol. Today 4:72)、EBV-ハイブリドーマ技法(Cole et al. (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)又はトリオーマ技法を用いて、モノクローナル抗体を調製することができる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを産生するための技術は周知である(一般にKenneth, R. H. Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, New York (1980); Lerner, E. A. (1981) Yale J. Biol. Med. 54:387-402; Gefter, M. L. et al. (1977) Somatic Cell Genet. 3:231-36を参照)。簡単に説明すると、不死細胞株(典型的にはミエローマ)を上記のように免疫原で免疫した哺乳動物由来のリンパ球(典型的には脾細胞)に融合し、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、ペプチド抗原に結合する、好ましくは特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
【0054】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、本明細書に記載の標的タンパク質に結合するモノクローナル抗体は、適切なペプチド(例えば表1のエピトープを含むペプチド)を用いて組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングし、それによりペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することによって得ることができる。
【0055】
さらに、本明細書で提供される標的タンパク質及び/又は本明細書で提供される標的タンパク質の細胞外エピトープに特異的な組換え抗体、例えばキメラ又はヒト化モノクローナル抗体などは、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができる。そのようなキメラ及びヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の組換えDNA技術、例えば、米国特許第4,816,567号、米国特許第5,565,332号; Better et al. (1988) Science 240:1041-1043; Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443; Liu et al. (1987) J. Immunol. 139:3521-3526; Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. 84:214-218; Nishimura et al. (1987) Cancer Res. 47:999-1005; Wood et al. (1985) Nature 314:446-449;及びShaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559); Morrison, S. L. (1985) Science 229:1202-1207; Oi et al. (1986) Biotechniques 4:214; Winter 米国特許第5,225,539号; Jones et al. (1986) Nature 321:552-525; Verhoeyan et al. (1988) Science 239:1534;及びBeidler et al. (1988) J. Immunol. 141:4053-4060に記載されている方法、を使用して作製することができる。
【0056】
本明細書で提供される標的タンパク質及び/又は本明細書で提供される細胞外エピトープに特異的なヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を担持するトランスジェニック又はトランスクロモゾームマウスを使用して作製することができる。例えば、内因性μ及びκ鎖遺伝子座を不活性化する標的化突然変異と共に、再構成されていないヒト重鎖(μ及びγ)及びκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含む「HuMAbマウス」(Lonberg, N. et al. (1994) Nature 368(6474): 856 859)。したがって、このマウスは、マウスIgM又はκの発現低下を示し、免疫に応答して、導入されたヒト重鎖及び軽鎖導入遺伝子はクラススイッチング及び体細胞突然変異を受けて高アフィニティヒトIgGκモノクローナル抗体を生成する(Lonberg, N. et al. (1994),前掲; Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49 101におけるレビュー; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev. Immunol. Vol. 13: 65 93, 及びHarding, F. and Lonberg, N. (1995) Ann. N. Y Acad. Sci 764:536 546)。HuMAbマウスの調製は、Taylor, L. et al. (1992) Nucleic Acids Research 20:6287 6295; Chen, J. et al. (1993) International Immunology 5: 647 656; Tuaillon et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci USA 90:3720 3724; Choi et al. (1993) Nature Genetics 4:117 123; Chen, J. et al. (1993) EMBO J. 12: 821 830; Tuaillon et al. (1994) J. Immunol. 152:2912 2920; Lonberg et al., (1994) Nature 368(6474): 856 859; Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49 101; Taylor, L. et al. (1994) International Immunology 6: 579 591; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev. Immunol. Vol. 13: 65 93; Harding, F. and Lonberg, N. (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci 764:536 546; Fishwild, D. et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845 851に記載されている。さらに、米国特許第5,545,806号; 第5,569,825号; 第5,625,126号; 第5,633,425号; 第5,789,650号; 第5,877,397号; 第5,661,016号; 第5,814,318号; 第5,874,299号; 第5,770,429号;及び第5,545,807号を参照のこと。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される抗体は、10-6、10-7、10-8又は10-9M以下の解離定数で表1に列挙されるエピトープに結合することができる。抗体の結合能を評価するための標準的なアッセイは当該分野で公知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロット及びRIAが挙げられる。抗体の結合動態(例えば、結合アフィニティ)もまた、Biacore分析などの当技術分野において公知の標準的なアッセイによって評価することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗体は、抗体薬物コンジュゲートの一部である。抗体薬物コンジュゲートは、細胞毒性物質又は抗ウイルス薬などの生物学的に活性な薬剤に連結した抗体(例えば、表1に列挙されたタンパク質に結合する抗体)を含む治療用分子である。いくつかの実施形態では、生物学的に活性な薬剤は、化学的リンカーを介して抗体に連結される。そのようなリンカーは、ジスルフィド、ヒドラゾン、ペプチド又はチオエーテルなどの任意の安定な化学的モチーフに基づくことができる。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーであり、そして生物学的に活性な薬剤は、抗体が原形質膜標的タンパク質に結合すると抗体から放出される。いくつかの実施形態では、リンカーは切断不可能なリンカーである。
【0059】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは細胞毒性物質に結合した抗体を含む。いくつかの実施形態では、CMV感染細胞を死滅させることができる任意の細胞毒性物質を使用することができる。いくつかの実施形態において、細胞毒性物質は、MMAE、DM-1、メイタンシノイド、ドキソルビシン誘導体、アウリスタチン、カリケアマイシン(calcheamicin)、CC-1065、デュオカルマイシン(aduocarmycin)又はアントラサイクリンである。
【0060】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは抗ウイルス薬に結合した抗体を含む。いくつかの実施形態では、CMV複製を阻害することができる任意の抗ウイルス薬を使用する。いくつかの実施形態では、抗ウイルス薬は、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビル、アシクロビル、ホミビルセン(formivirsen)、マリバビル、BAY 38-4766、又はGW275175Xである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体又は抗体薬物コンジュゲートを含むワクチンが本明細書で提供される。
【0061】
細胞
一部の態様では、本明細書に記載されるCMVエピトープを含む1以上のペプチドを提示するMHCをその表面上に発現する抗原提示細胞(APC)(例えば、表1に列挙された1以上のCMVエピトープを提示するAPC)が本明細書において提供される。一部の実施形態では、MHCはクラスI MHCである。一部の実施形態では、MHCはクラスII MHCである。一部の実施形態では、クラスI MHCは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、HLA-g、HLA-K又はHLA-Lであるα鎖ポリペプチドを有する。一部の実施形態では、クラスII MHCは、HLA-DMA、HLA-DOA、HLA-DPA、HLA-DQA又はHLA-DRAであるα鎖ポリペプチドを有する。一部の実施形態では、クラスII MHCは、HLA-DMB、HLA-DOB、HLA-DPB、HLA-DQB又はHLA-DRBであるβ鎖ポリペプチドを有する。
【0062】
一部の実施形態では、APCは、B細胞、抗原提示T細胞、樹状細胞、又は人工抗原提示細胞(例えば、aK562細胞)である。本プロセスで使用するための樹状細胞は、患者試料からPBMCを採取し、それらをプラスチックに付着させることによって調製することができる。一般的に、単球集団は留まり、他の全ての細胞を洗い流すことができる。次に、付着細胞集団をIL-4及びGM-CSFで分化させ、単球由来の樹状細胞を産生させる。これらの細胞は、IL-1β、IL-6、PGE-1及びTNF-α(樹状細胞の表面上の重要な共刺激分子をアップレギュレートする)の添加によって成熟され得、その後、本明細書において提供されるペプチドの1つ以上で形質導入される。
【0063】
いくつかの実施形態では、APCは、人工抗原提示細胞、例えばaK562細胞などである。いくつかの実施形態では、人工抗原提示細胞は、CD80、CD83、41BB-L及び/又はCD86を発現するように操作されている。aK562細胞などの人工抗原提示細胞の例は、米国特許出願公開第2003/0147869号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0064】
特定の態様において、本明細書に記載のCMVエピトープを含むペプチド及び/又は本明細書に記載のCMVエピトープをコードする核酸とAPCとを接触させることを含む、本明細書に記載の1つ以上のCMVエピトープを提示するAPCの生成方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、APCは照射される。
【0065】
特定の態様において、MHC上に提示された本明細書に記載のペプチド(表1に列挙されるCMVエピトープを含むペプチド)を認識するTCR(例えば、αβTCR又はγδTCR)を発現するT細胞(例えば、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞)が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、T細胞は、クラスI MHC上に提示される本明細書に記載のペプチドを認識するTCRを発現するCD8 T細胞(CTL)である。いくつかの実施形態では、T細胞は、クラスII MHC上に提示される本明細書に記載のペプチドを認識するCD4 T細胞(ヘルパーT細胞)である。
【0066】
一部の態様では、本明細書に記載のCMVエピトープの1つ以上を認識するT細胞(例えば、CTL)を生成する、活性化する及び/又は増殖を誘導する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、CTLを含む試料(すなわち、PBMC試料)は、本明細書において提供されるAPC(例えば、クラスI MHC複合体上に本明細書に記載のCMVエピトープを含むペプチドを提示するAPC)とともに培養物中でインキュベートされる。一部の実施形態では、APCは、T細胞が得られた対象に対して自家である。一部の実施形態では、T細胞を含有する試料は、本明細書において提供されるAPCとともに2回以上インキュベートされる。一部の実施形態では、T細胞は、少なくとも1つのサイトカインの存在下でAPCとともにインキュベートされる。一部の実施形態では、サイトカインは、IL-4、IL-7及び/又はIL-15である。APCを使用してT細胞の増殖を誘導するための例示的な方法は、例えば、米国特許出願公開第2015/0017723号に提供され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
一部の態様では、本明細書において提供されるT細胞及び/又はAPCを含む組成物(例えば治療用組成物)が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、かかる組成物は、有効量の組成物を対象に投与することにより対象においてがん及び/又はCMV感染を処置及び/又は予防するために使用される。一部の実施形態では、T細胞及び/又はAPCは対象に対して自家ではない。一部の実施形態では、T細胞及び/又はAPCは対象に対して自家である。一部の実施形態では、T細胞及び/又はAPCは、対象に投与される前に細胞バンクに保存される。
【0068】
医薬組成物
いくつかの態様では、薬学的に許容される担体と共に製剤化された、本明細書に記載のペプチド(例えば表1からのエピトープを含むペプチド)、核酸、抗体、CTL、又はAPCを含有する組成物(例えば、ワクチン組成物などの医薬組成物)、並びにかかる医薬組成物を使用してがん又はCMV感染を処置する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、本明細書に提供されている複数の(例えば、2つ以上の)薬剤の組み合わせを含む。
【0069】
一部の実施形態では、医薬組成物は、アジュバントをさらに含む。本明細書で使用するとき、用語「アジュバント」は、患者又は対象における免疫学的又は生理学的応答に影響を及ぼす物質を広く指す。例えば、アジュバントは、経時的に又は腫瘍のような関心がある領域に対する抗原の存在を増加させ、抗原提示細胞抗原を吸収するのを助け、マクロファージ及びリンパ球を活性化し、並びにサイトカインの産生を支持し得る。免疫反応を変化させることによって、アジュバントは、より少ない用量の免疫相互作用剤が、特定の用量の免疫相互作用剤の有効性又は安全性を増加させることを可能にし得る。例えば、アジュバントは、T細胞の枯渇を防止し、したがって、特定の免疫相互作用剤の有効性又は安全性を増加させ得る。アジュバントの例には、限定されないが、免疫調節タンパク質、アジュバント65、α-GalCer、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、β-グルカンペプチド、CpG DNA、GPI-0100、リピドA、リポ多糖類、リポバント(Lipovant)、モンタニド(Montanide)、N-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン、Pam3CSK4、キイルA(quil A)及びジミコール酸トレハロースが含まれる。
【0070】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本明細書に記載の薬剤を担体及び場合により1つ以上の補助成分と合わせるステップを含む。一般に、製剤は、本明細書に記載の薬剤を、液体担体、若しくは微細固体担体、又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0071】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される無菌等張水溶液若しくは非水溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルション、又は使用直前に無菌注射液若しくは無菌注射分散液に再構成され得る無菌粉末と組み合わせて本明細書に記載の1種以上の薬剤を含み、また糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁化剤若しくは増粘剤を含み得る。
【0072】
本発明の医薬組成物に用いることができる適切な水性及び非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、及び注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)が挙げられる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0073】
選択された投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用することができる本発明の薬剤、及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に公知の慣用的な方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0074】
治療方法
特定の実施形態では、本明細書に提供されている医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるCMV感染及び/又はがんを処置する方法が、本明細書において提供される。
【0075】
いくつかの実施形態において、対象においてCMV感染を処置する方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、処置される対象は免疫不全である。例えば、いくつかの実施形態では、対象はT細胞欠損症を有する。いくつかの実施形態では、対象は、白血病、リンパ腫又は多発性骨髄腫を有する。いくつかの実施形態では、対象は、HIVに感染している、及び/又はAIDSを有する。いくつかの実施形態では、対象は、組織、臓器及び/又は骨髄移植を受けている。いくつかの実施形態において、対象は免疫抑制剤を投与されている。いくつかの実施形態において、対象は化学療法を受けた及び/又は受けている。いくつかの実施形態では、対象は放射線療法を受けた及び/又は受けている。
【0076】
いくつかの実施形態では、対象にはCMV複製を阻害する抗ウイルス薬も投与される。例えば、いくつかの実施形態において、対象には、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビル、アシクロビル、ホミビルセン(formivirsen)、マリバビル、BAY 38-4766、又はGW275175Xが投与される。
【0077】
一部の実施形態では、対象はがんを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、任意の癌性又は前癌性腫瘍を処置するために使用され得る。一部の実施形態では、がんは、本明細書において提供されるCMVエピトープ(例えば表1に列挙されたCMVエピトープ)の1つ以上を発現する。一部の実施形態では、がんは固形腫瘍を含む。本明細書において提供される方法及び組成物によって処置され得るがんには、限定されないが、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸管、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頚部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌又は子宮由来のがん細胞が含まれる。加えて、がんは、特に、以下の組織学的タイプであり得るが、これらに限定されない:新生物、悪性;癌腫;癌腫、未分化;巨細胞癌及び紡錘細胞癌、小細胞癌、乳頭癌、扁平上皮癌、リンパ上皮癌、基底細胞癌、毛母癌、移行上皮癌、乳頭状移行上皮癌、腺癌、ガストリン産生腫瘍、悪性;胆管癌、肝細胞癌、肝細胞癌及び胆管癌の合併、索状腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫性ポリープにおける腺癌、腺癌、家族性結腸ポリポーシス、固形癌、カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺癌、乳頭状腺癌、色素嫌性癌、好酸性癌、好酸性腺癌、好塩基性癌、明細胞腺癌、顆粒細胞癌、濾胞腺癌、乳頭腺癌及び濾胞腺癌、非被包性硬化性癌、副腎皮質癌、類内膜癌、皮膚付属器癌、アポクリン腺癌、皮脂腺癌、耳垢腺癌、粘膜表皮癌、嚢胞腺癌、乳頭嚢胞腺癌、乳頭漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、粘液性腺癌、印環細胞癌、浸潤性導管癌、髄様癌、小葉癌、炎症性癌、乳房のパジェット病、腺房細胞癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮化生を伴う腺癌、悪性胸腺腫、悪性の卵巣間質腫、悪性莢膜細胞腫、悪性顆粒膜細胞腫、悪性男性ホルモン産生細胞腫、セルトリ細胞腫、悪性ライディッヒ細胞腫、悪性脂質細胞腫瘍、悪性傍神経節腫、悪性乳房外傍神経節腫、褐色細胞腫、血管球血管肉腫、悪性黒色腫、無色素性黒色腫、表在拡大型黒色腫、巨大色素性母斑における悪性黒色腫、類上皮細胞黒色腫、悪性青色母斑、肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胎児性横紋筋肉腫、胞巣状横紋筋肉腫、間質肉腫、悪性混合腫瘍、ミュラー管混合腫瘍、腎芽腫、肝芽腫、癌肉腫、悪性間葉腫、悪性ブレンナー腫瘍、悪性葉状腫瘍、滑膜肉腫、悪性中皮腫、未分化胚細胞腫、胎児性癌、悪性奇形腫、悪性卵巣甲状腺腫、絨毛癌、悪性中腎腫、血管肉腫、悪性血管内皮腫、カポジ肉腫、悪性血管外皮腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、傍骨性骨肉腫、軟骨肉腫、悪性軟骨芽細胞腫、間葉性軟骨肉腫、骨巨細胞腫、ユーイング肉腫、悪性歯原性腫瘍、エナメル芽細胞歯牙肉腫、悪性エナメル上皮腫、エナメル芽細胞線維肉腫、悪性松果体腫、脊索腫、悪性神経膠腫、上衣腫、星状細胞腫、原形質性星状細胞腫、線維性星細胞腫、星状芽細胞腫、神経膠芽腫、乏突起細胞腫、乏突起膠芽細胞腫、原始神経外胚葉性、小脳肉腫、神経節芽細胞腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、嗅神経原性腫瘍、悪性髄膜腫、神経線維肉腫、悪性神経鞘腫、悪性顆粒細胞腫、悪性リンパ腫、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、側肉芽腫、小リンパ球性悪性リンパ腫、びまん性大細胞悪性リンパ腫、濾胞性悪性リンパ腫、菌状息肉腫、他の指定される非ホジキンリンパ腫、悪性組織球増殖症、多発性骨髄腫、肥満細胞肉腫、免疫増殖性小腸疾患、白血病、リンパ性白血病、形質細胞白血病、赤白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、骨髄性白血病、好塩基球性白血病、好酸球性白血病、単球性白血病、肥満細胞性白血病、巨核芽球性白血病、骨髄肉腫、並びにヘアリー細胞白血病。
【0078】
一部の実施形態では、対象には抗がん化合物も投与される。抗がん化合物の例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:アレムツズマブ[カンパス(Campath(登録商標))]、アリトレチノイン[パンレチン(Panretin(登録商標))]、アナストロゾール[アリミデクス(Arimidex(登録商標))]、ベバシズマブ[アバスチン(Avastin(登録商標))]、ベキサロテン[タルグレチン(Targretin(登録商標))]、ボルテゾミブ[ベルケード(Velcade(登録商標))]、ボスチニブ[ボスリフ(Bosulif(登録商標))]、ブレンツキシマブベドチン[アドセトリス(Adcetris(登録商標))]、カボザンチニブ[コメトリック(CometriqTM)]、カーフィルゾミブ[キプロリス(KyprolisTM)]、セツキシマブ[エルビタックス(Erbitux(登録商標))]、クリゾチニブ[キサルコリ(Xalkori(登録商標))]、ダサチニブ[スプリセル(Sprycel(登録商標))]、デニロイキンジフチトクス[オンタク(Ontak(登録商標))]、エルロチニブ塩酸塩[タルセバ(Tarceva(登録商標))]、エベロリムス[アフィニトール(Afinitor(登録商標))]、エキセメスタン[アロマシン(Aromasin(登録商標))]、フルベストラント[ファスロデクス(Faslodex(登録商標))]、ゲフィチニブ[イレッサ(Iressa(登録商標))]、イブリツモマブチウキセタン[ゼバリン(Zevalin(登録商標))]、メシル酸イマチニブ[グリーベック(Gleevec(登録商標))]、イピリムマブ[イェルボイ(YervoyTM)]、ラパチニブジトシレート[タイカーブ(Tykerb(登録商標))]、レトロゾール[フェマラ(Femara(登録商標))]、ニロチニブ[タシニャ(Tasigna(登録商標))]、オファツムマブ[アルツェラ(Arzerra(登録商標))]、パニツムマブ[ベクチビクス(Vectibix(登録商標))]、パゾパニブ塩酸塩[ボトリエント(Votrient(登録商標))]、ペルツズマブ[ペルジェタ(PerjetaTM)]、プララトレキサート[フォロチン(Folotyn(登録商標))]、レゴラフェニブ[スチバルガ(Stivarga(登録商標))]、リツキシマブ[リツキサン(Rituxan(登録商標))]、ロミデプシン[イストダクス(Istodax(登録商標))]、ソラフェニブトシレート[ネクサバール(Nexavar(登録商標))]、スニチニブマラート[ステント(Sutent(登録商標))]、タモキシフェン、テムシロリムス[トリセル(Torisel(登録商標))]、トレミフェン[ファレストン(Fareston(登録商標))]、トシツモマブ及び131I-トシツモマブ[ベクサール(Bexxar(登録商標))]、トラスツズマブ[ハーセプチン(Herceptin(登録商標))]、トレチノイン[ベサノイド(Vesanoid(登録商標))]、バンデタニブ[カプレルサ(Caprelsa(登録商標))]、ベムラフェニブ[ゼルボラフ(Zelboraf(登録商標))]、ボリノスタット[ゾリンザ(Zolinza(登録商標))]、及びジブ-アフリベルセプト(Ziv-aflibercept)[ザルトラップ(Zaltrap(登録商標))]。
【0079】
一部の実施形態では、対象には化学療法剤も投与される。化学療法剤の例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:アルキル化剤、例えばチオテパ、シクロホスファミド等;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン等;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)等;エチレンイミン及びメチラメラミン、例えばアルトレタアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)等;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エロイテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード等;ニトロソウレア(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン及びラニムスチン等;抗生物質、例えばエネジイン(enediyne) 抗生物質等 (例:カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγlI及びカリケアマイシンωl1;ダイネミシン(dynemicin)、ダイネミシンA (dynemicin A)を含む;クロドロネート(clodronate)等のビスホスホネート(bisphosphonates);エスペラマイシン(esperamicin);並びにネオカルチノスタチン発光団及び関連色素タンパク質エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);抗代謝産物、例えばメトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等;葉酸類似体、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)等;プリン類似体、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)等;アンドロゲン、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)等;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid)等;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォミチン(elfomithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシノイド(maytansinoid)、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin)等;ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特にT-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン等;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(例えばCPT-11);トポイソメラーゼインヒビターRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸等;カペシタビン;並びに上述したものの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体。
【0080】
いくつかの実施形態において、対象には免疫療法剤も投与される。免疫療法とは、がんを治療するために対象の免疫系を利用する治療法を指し、例えばがんワクチン、サイトカイン、がん特異的抗体の使用、T細胞療法、及び樹状細胞療法がある。
【0081】
いくつかの実施形態において、対象には免疫調節タンパク質も投与される。免疫調節タンパク質の例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:Bリンパ球走化性因子(「BLC」)、C-Cモチーフケモカイン11(「エオタキシン-1」)、好酸球走化性タンパク質2(「エオタキシン-2」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、1-309、細胞間接着分子1(「ICAM-1」)、インターフェロンガンマ(「IFN-γ」)、インターロイキン-1アルファ(「IL-1α」)、インターロイキン-1ベータ(「IL-1β」)、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(「IL-1 ra」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-4(「IL-4」)、インターロイキン-5(「IL-5」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、インターロイキン-6可溶性受容体(「IL-6 sR」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、インターロイキン-8(「IL-8」)、インターロイキン-10(「IL-10」)、インターロイキン-11(「IL-11」)、インターロイキン-12のサブユニットベータ(「IL-12 p40」又は「IL-12 p70」)、インターロイキン-13(「IL-13」)、インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-16(「IL-16」)、インターロイキン-17(「IL-17」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(「MCP-1」)、マクロファージコロニー刺激因子(「M-CSF」)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(「MIG」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(「MIP-1アルファ」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド4(「MIP-1ベータ」)、マクロファージ炎症性タンパク質-1-デルタ(「MIP-1デルタ」)、血小板由来成長因子サブユニットB(「PDGF-BB」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5、活性化に調節、正常T細胞発現及び分泌(Regulated on Activation, Normal T cell Expressed and Secreted)(「RANTES」)、TIMPメタロペプチダーゼインヒビター1(「TIMP-1」)、TIMPメタロペプチダーゼインヒビター2(「TIMP-2」)、腫瘍壊死因子、リンホトキシン-アルファ(「TNFα」)、腫瘍壊死因子、リンホトキシン-ベータ(「TNFβ」)、可溶性TNF受容体タイプ1(「sTNFRI」)、sTNFRIIAR、脳由来神経栄養因子(「BDNF」)、塩基性線維芽細胞増殖因子(「bFGF」)、骨形成タンパク質4(「BMP-4」)、骨形成タンパク質5(「BMP-5」)、骨形成タンパク質7(「BMP-7」)、神経成長因子(「b-NGF」)、上皮成長因子(「EGF」)、上皮成長因子受容体(「EGFR」)、内分泌腺由来血管内皮細胞成長因子(「EG-VEGF」)、線維芽細胞成長因子4(「FGF-4」)、ケラチノサイト成長因子(「FGF-7」)、成長分化因子15(「GDF-15」)、グリア細胞由来神経栄養因子(「GDNF」)、成長ホルモン、ヘパリン結合EGF様成長因子(「HB-EGF」)、肝細胞増殖因子(「HGF」)、インスリン様増殖因子結合タンパク質1(「IGFBP-1」)、インスリン様増殖因子結合タンパク質2(「IGFBP-2」)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(「IGFBP-3」)、インスリン様増殖因子結合タンパク質4(「IGFBP-4」)、インスリン様増殖因子結合タンパク質6(「IGFBP-6」)、インスリン様増殖因子1(「IGF-1」)、インスリン、マクロファージコロニー刺激因子(「M-CSF R」)、神経成長因子受容体(「NGF R」)、ニューロトロフィン-3(「NT-3」) )、ニューロトロフィン-4(「NT-4」)、破骨細胞形成抑制因子(「オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)」)、血小板由来成長因子受容体(「PDGF-AA」)、ホスファチジルイノシトール-グリカン生合成(「PIGF」)、Skp、Cullin、F-box含有複合体(「SCF」)、幹細胞因子受容体(「SCF R」)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(「TGFα」)、トランスフォーミング増殖因子ベータ-1(「TGFβ1」)、トランスフォーミング増殖因子ベータ-3(「TGFβ3」)、血管内皮成長因子(「VEGF」)、血管内皮成長因子受容体2(「VEGFR2」)、血管内皮成長因子受容体3(「VEGFR3」)、VEGF-D 6Ckine、チロシンプロテインキナーゼ受容体UFO(「Axl」)、ベータセルリン(「BTC」)、粘膜関連上皮ケモカイン(「CCL28」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド27(「CTACK」)、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド16(「CXCL16」)、C-X-Cモチーフケモカイン5(「ENA-78」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド26(「エオタキシン-3」)、顆粒球走化性タンパク質2(「GCP-2」)、GRO、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド14(「HCC-l」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド16(「HCC-4」)、インターロイキン-9(「IL-9」)、インターロイキン-17 F(「IL-17F」)、インターロイキン-18結合タンパク質(「IL-18 BPa」)、インターロイキン-28 A(「IL-28A」)、インターロイキン29(「IL-29」)、インターロイキン31(「IL-31」)、C-X-Cモチーフケモカイン10(「IP-10」)、ケモカイン受容体CXCR3(「I-TAC」)、白血病抑制因子(「LIF」)、Light、ケモカイン(Cモチーフ)リガンド(「リンホタクチン」)、単球走化性タンパク質2(「MCP-2」)、単球走化性タンパク質3(「MCP-3」)、単球走化性タンパク質4(「MCP-4」)、マクロファージ由来ケモカイン(「MDC」)、マクロファージ遊走阻止因子(「MIF」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド20(「MIP-3α」)、C-Cモチーフケモカイン19(「MIP-3β」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド23(「MPIF-1」)、マクロファージ刺激タンパク質アルファ鎖(「MSPalpha」)、ヌクレオソーム集合タンパク質1様4(「NAP-2」)、分泌型ホスホタンパク質1(「オステオポンチン」)、肺及び活性化調節サイトカイン(「PARC」)、血小板因子4(「PF4」)、間質細胞由来因子-1アルファ(「SDF-1α」)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(「TARC」)、胸腺発現ケモカイン(「TECK」)、胸腺間質リンホポエチン(「TSLP 4-IBB」)、CD166抗原(「ALCAM」)、分化クラスター80(「B7-1」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(「BCMA」)、分化クラスター14(「CD14」)、分化クラスター30(「CD30」)、分化クラスター40(「CD40リガンド」)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(「胆汁糖タンパク質」)(「CEACAM-1」)、デスレセプター6(「DR6」)、デオキシチミジンキナーゼ(「Dtk」)、1型膜糖タンパク質(「エンドグリン」)、受容体型チロシンプロテインキナーゼerbB-3(「ErbB3」)、内皮白血球接着分子1(「E-セレクチン」)、アポトーシス抗原1(「Fas」)、Fms様チロシンキナーゼ3(「Flt-3L」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1(「GITR」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14(「HVEM」)、細胞間接着分子3(「ICAM-3」)、IL-1 R4、IL-1 RI、IL-10 Rベータ、IL-17R、IL-2Rガンマ、IL-21R、リソソーム膜タンパク質2(「LIMPII」)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(「リポカリン-2」)、CD62L(「L-セレクチン」)、リンパ内皮細胞(「LYVE-1」)、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(「MICA」)、MHCクラスIポリペプチド関連配列B(「MICB」)、NRGl-ベータ1、ベータ型血小板由来成長因子受容体(「PDGF Rベータ」)、血小板内皮細胞接着分子(「PECAM-1」)、RAGE、A型肝炎ウイルス細胞受容体1(「TIM-1」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーIOC(「TRAIL R3」)、トラピンタンパク質トランスグルタミナーゼ結合ドメイン(「トラピン-2」)、ウロキナーゼ受容体(「uPAR」)、血管細胞接着タンパク質1(「VCAM-1」)、XEDAR、アクチビンA、アグーチ(Agouti)関連タンパク質(「AgRP」)、リボヌクレアーゼ5(「アンギオゲニン」)、アンジオポエチン1、アンジオスタチン、カテプシンS、CD40、潜在性(Cryptic)ファミリータンパク質IB(「Cripto-1」)、DAN、Dickkopf関連タンパク質1(「DKK-1」)、E-カドヘリン、上皮細胞接着分子(「EpCAM」)、Fasリガンド(FasL又はCD95L)、Fcg RIIB/C、フルイスタチン(FoUistatin)、ガレクチン-7、細胞間接着分子2(「ICAM-2」、IL-13 Rl、IL-13R2、IL-17B、IL-2 Ra、IL-2 Rb、IL-23、LAP、神経細胞接着分子(「NrCAM」)、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(「PAI-1」)、血小板由来成長因子受容体(「PDGF-AB」)、レジスチン、間質細胞由来因子1(「SDF-1β」)、sgpl30、分泌型frizzled関連タンパク質2(「ShhN」)、シアル酸結合免疫グロブリン型レクチン(「Siglec-5」)、ST2、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(「TGFβ2」)、Tie-2、トロンボポエチン(「TPO」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10D(「TRAIL R4」)、骨髄細胞上に発現される誘発(Triggering)受容体1(「TREM-1」)、血管内皮増殖因子C(「VEGF-C」)、VEGFRl、アディポネクチン、アジプシン(「AND」)、アルファフェトプロテイン(「AFP」)、アンジオポエチン様4(「ANGPTL4」)、ベータ-2-ミクログロブリン(「B2M」)、基底細胞接着分子(「BCAM」)、炭水化物抗原125(「CA125」)、癌抗原15-3(「CA15-3」)、癌胎児性抗原(「CEA」)、cAMP受容体タンパク質(「CRP」)、ヒト上皮成長因子受容体2(「ErbB2」)、フォリスタチン、卵胞刺激ホルモン(「FSH」)、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(「GROアルファ」)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(「βHCG」)、インスリン様成長因子1受容体(「IGF-1 sR」)、IL-1 sRII、IL-3、IL-18 Rb、IL-21、レプチン(Leptin)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(「MMP-1」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2(「MMP-2」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(「MMP-3」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(「MMP-8」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(「MMP-9」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-10(「MMP-10」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-13(「MMP-13」)、神経細胞接着分子(「NCAM-1」)、エンタクチン(「ニドジェン-1」)、ニューロン特異的エノラーゼ(「NSE」)、オンコスタチンM(「OSM」)、プロカルシトニン、プロラクチン、前立腺特異抗原(「PSA」)、シアル酸結合Ig様レクチン9(「Siglec-9」)、ADAM 17エンドペプチダーゼ(「TACE」)、チログロブリン、メタロプロテイナーゼインヒビター4(「TIMP-4」)、TSH2B4、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼドメイン含有タンパク質9(「ADAM-9」)、アンジオポエチン2、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13/酸性ロイシンリッチ核ホスホタンパク質32ファミリーメンバーB(「APRIL」)、骨形成タンパク質2(「BMP-2」)、骨形成タンパク質9(「BMP-9」)、補体成分5a(「C5a」)、カテプシンL、CD200、CD97、ケメリン(Chemerin)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(「DcR3」)、脂肪酸結合タンパク質2(「FABP2」)、線維芽細胞活性化タンパク質、アルファ(「FAP」)、線維芽細胞増殖因子19(「FGF-19」)、ガレクチン-3、肝細胞増殖因子受容体(「HGF R」)、IFN-アルファ/ベータR2、インスリン様増殖因子2(「IGF-2」)、インスリン様増殖因子2受容体(「IGF-2 R」)、インターロイキン-1受容体6(「IL-1R6」)、インターロイキン24(「IL-24」)、インターロイキン33(「IL-33」)、カリクレイン14、アスパラギンエンドペプチダーゼ(「レグマイン」)、酸化低密度リポタンパク質受容体1(「LOX-1」)、マンノース結合レクチン(「MBL」)、ネプリライシン(「NEP」)、Notchホモログ1、転座関連(Drosophila)(「Notch-1」)、腎芽細胞腫過剰発現(「NOV」)、オステオアクチビン、プログラム細胞死タンパク質1(「PD-1」)、N-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼ(「PGRP-5」)、セルピンA4、分泌型frizzled関連タンパク質3(「sFRP-3」)、トロンボモジュリン、Toll様受容体2(「TLR2」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10A(「TRAIL Rl」)、トランスフェリン(「TRF」)、WIF-lACE-2、アルブミン、AMICA、アンジオポエチン4、B細胞活性化因子(「BAFF」)、炭水化物抗原19-9(「CA19-9」)、CD163、クラステリン、CRT AM、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド14(「CXCL14」)、シスタチンC、 デコリン(Decorin)(「DCN」)、Dickkopf関連タンパク質3(「Dkk-3」)、デルタ様タンパク質1(「DLL1」)、
フェツインA、ヘパリン結合成長因子1(「aFGF」)、葉酸受容体アルファ(「FOLR1」)、フーリン(Furin)、GPCR関連ソーティングタンパク質1(「GASP-1」)、GPCR関連ソーティングタンパク質2(「GASP-2」)、顆粒球コロニー刺激因子受容体(「GCSF R」)、セリンプロテアーゼヘプシン(「HAI-2」)、インターロイキン-17B受容体(「IL-17B R」)、インターロイキン27(「IL-27」)、リンパ球活性化遺伝子3(「LAG-3」)、アポリポタンパク質A-V(「LDL R」)、ペプシノーゲンI、レチノール結合タンパク質4(「RBP4」)、SOST、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(「シンデカン-1」)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13B(「TACI」)、組織因子経路阻害剤(「TFPI」)、TSP-1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー10b(「TRAIL R2」)、TRANCE、トロポニンI、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(「uPA」)、カドヘリン5、タイプ2又はCD144としても知られるVE-カドヘリン(血管内皮)(「VE-カドヘリン」)、WNTl誘導性シグナル伝達経路タンパク質1(「WISP-1」)、及び核因子κBの受容体活性化因子(「RANK」)。
【0082】
いくつかの実施形態において、対象には免疫チェックポイント阻害剤も投与される。免疫チェックポイント阻害は、がん細胞が免疫反応を防止する又は下方調節するために生成することができるチェックポイントを阻害することを広く指す。免疫チェックポイントタンパク質の例としては、限定されるものではないが、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、KIR、LAG3、TIM-3又はVISTAが挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントタンパク質に結合し、これを阻害する抗体又はその抗原結合フラグメントであってもよい。免疫チェックポイント阻害剤の例としては、限定されるものではないが、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、AMP-224、AMP-514、STI-A1110、TSR-042、RG-7446、BMS-936559、MEDI-4736、MSB-0020718C、AUR-012及びSTI-A1010が挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される組成物(例えば、本明細書に提供されるワクチン組成物)は、がん及び/又はCMV感染を予防するために予防的に投与される。いくつかの実施形態では、ワクチンは腫瘍細胞増殖を阻害するために投与される。ワクチンは、患者におけるがん細胞又はCMV感染細胞の検出の前又は後に投与することができる。腫瘍細胞増殖の阻害は、腫瘍細胞の増殖の阻止、停止、遅延、又は細胞の殺傷を指すと理解される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド、核酸、抗体又はAPCを含むワクチンの投与後に、炎症誘発性応答が誘導される。炎症誘発性免疫反応は、炎症誘発性サイトカイン及び/又はケモカイン、例えばインターフェロンガンマ(IFN-γ)及び/又はインターロイキン2(IL-2)の産生を含む。炎症誘発性サイトカイン及びケモカインは当技術分野において周知である。
【0084】
併用(conjunctive)療法は、投与された第1の薬剤の治療効果がその後の治療が投与されたときに完全に消失しないような方法での、活性化合物の逐次的、同時及び別々、並びに/又は共投与を含む。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は第1の薬剤と共製剤化されてもよく、又は別々の医薬組成物に製剤化されてもよい。
【0085】
本明細書において提供される医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に毒性ではなく、特定の患者についての所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量、組成、及び投与様式を達成するように変化させ得る。
【0086】
選択された投薬量レベルは、使用される特定の薬剤の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出又は代謝速度、処置期間、使用される特定の化合物と併用して使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態及び以前の病歴、並びに医学分野において周知である同様の因子などの様々な因子に依存する。
【0087】
いくつかの態様において、本明細書で提供される治療(例えば、本明細書において提供される医薬組成物を対象に投与することを含む、対象においてCMV感染及び/又はがんを処置する方法)に適した対象を同定する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、本方法は、対象からサンプル(例えば、血液サンプル、組織サンプル、腫瘍サンプル)を単離すること、及びサンプル中において、表1に列挙されたCMVエピトープの存在を検出することを含む。いくつかの実施形態において、エピトープは、ELISAアッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、FACSアッセイ、蛍光顕微鏡アッセイ、エドマン分解アッセイ及び/又は質量分析アッセイ(例えば、タンパク質配列決定)を使用して検出される。いくつかの実施形態において、CMVエピトープの存在は、CMVエピトープをコードする核酸を検出することによって検出される。一部の実施形態では、CMVエピトープをコードする核酸は、核酸プローブ、核酸増幅アッセイ及び/又は配列決定アッセイを使用して検出される。
【0088】
本明細書に提供される方法において使用し得る核酸増幅アッセイの例としては、限定されるものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LATE-PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換型増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、Qβレプリカーゼに基づく増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、修復連鎖反応(repair chain reaction;RCR)、ブーメランDNA増幅(BDA)及び/又はローリングサークル増幅(RCA)が挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、増幅反応の産物は、試料中の細菌の存在及び/又は同一性の指標として検出される。いくつかの実施形態では、増幅産物は、増幅反応の完了後に検出される(すなわち、終点検出)。終点検出方法の例としては、ゲル電気泳動に基づく方法、プローブ結合に基づく方法(例えば、分子ビーコン、HPAプローブ、ライトオン/ライトオフプローブ)及び二本鎖DNA結合蛍光色素に基づく方法(例えば、臭化エチジウム、SYBR-グリーン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、増幅産物は、増幅反応中に生成されると同時に検出される(すなわち、リアルタイム検出)。リアルタイム検出方法の例としては、プローブ結合に基づく方法(例えば、分子ビーコン、TaqManプローブ、スコーピオンプローブ、ライトオン/ライトオフプローブ)及び二本鎖DNA結合蛍光色素に基づく方法(例えば、臭化エチジウム、SYBR-グリーン)が挙げられる。いくつかの実施形態において、増幅反応の産物は、配列決定によって(例えば、本明細書に記載の配列決定アッセイの使用を通じて)検出及び/又は同定される。
【0090】
いくつかの実施形態では、核酸配列の検出は、核酸配列をその核酸配列に特異的にハイブリダイズする核酸プローブと接触させることを含む。いくつかの実施形態において、プローブは検出可能に標識されている。いくつかの実施形態において、プローブは蛍光部分で(直接的又は間接的に)標識されている。本明細書で提供される方法において有用な蛍光部分の例としては、限定されるものではないが、アロフィコシアニン、フルオレセイン、フィコエリトリン、ペリジニン-クロロフィルタンパク質複合体、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、Alexa Fluor 790、GFP、RFP、YFP、EGFP、mPlum、mCherry、mOrange、mKO、EYFP、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、Cerulean及びCyPetが挙げられる。いくつかの実施形態において、プローブは、分子ビーコンプローブ、分子トーチプローブ、TaqManプローブ、SDAプローブ、スコーピオンプローブ、HPAプローブ、又はライトオン/ライトオフプローブである。
【0091】
いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列決定(シークエンシング)(例えば、全ゲノム配列決定、トランスクリプトーム配列及び/又は標的遺伝子配列決定)によって検出される。本明細書に提供される方法において使用し得る配列決定法の例としては、限定されるものではないが、チェーンターミネーション配列決定、超並列シグネチャー配列決定、イオン半導体配列決定、ポロニー(polony)配列決定、イルミナ(illumina)配列決定、ライゲーションによる配列決定、合成による配列決定、パイロシーケンシング、単分子リアルタイム配列決定、SOLiD配列決定、DNAナノボール配列決定、ヘリコープ(heliscope)単分子配列決定、単分子リアルタイム配列決定、454配列決定、ナノポア配列決定、トンネル電流DNA配列決定又はハイブリダイゼーションによる配列決定が挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法はさらに、本明細書で提供される処置の方法を使用して上記同定された対象を処置すること(例えば、本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与することによる)を含む。
【0093】
[実施例]
[実施例1]
HSCTレシピエントにおける、ウイルス再活性化に続く、CMVの遺伝的変異体の出現のダイナミックス
同種造血幹細胞移植(HSCT)を受けた26名の患者を、本研究に登録した。これらの患者の臨床的特徴は、表4に列挙する。全ての患者は、T細胞充満骨髄又はG-CSF動員末梢血幹細胞の移植を受けており、インビボT細胞除去は誰も受けていなかった。CMV血清陽性患者又は血清陽性ドナーからの移植を受けた患者を、第-5日~第28日又は除外するまで高用量のアシクロビルで、次いで、第100日までバラシクロビル(valacicolvir)で、予防的に処置した。600コピー/mL超の血漿におけるCMV DNA血症の患者を、1日2回を14日間に続いて、血漿DNA血症が600コピー/mL未満になるまで1日1回で維持するガンシクロビルで、又は900mgを1日2回に続いて、900mgを1日1回で維持するバルガンシクロビルで、処置した。ホスカルネットを、ガンシクロビルに不応答性であったか、又は著しい毒性を示した患者を処置するために使用した。本研究に登録した26名のHSCTレシピエントのうち17名が、600コピー/ml超のCMV DNA血症で定義されているウイルス再活性化の証拠を示した。初期のCMV再活性化がこれらの患者のうち16名で現れ、後期CMVを4名において検出した。これらの患者のうち2名で、CMV関連疾患が現れた。1名は大腸炎で、1名は腸炎であった。17名のうち14名は、不安定なCMV特異的免疫反応を示した(CMV-QuantiFERONアッセイで評価)。9名の患者は、ウイルス再活性化の証拠はないが、CMV免疫再構築を実証する今回の研究に含めた。
【0094】
HSCTレシピエントの本コホートにおけるT細胞免疫再構築での遺伝的変異体の出現の影響を叙述するために、8名の異なるHLAクラスI拘束性CD8+T細胞エピトープを、CMVの最初期(Immediate Early)(IE-1)タンパク質から選択した。Genbankデータベースを使用して、一連の変異体配列を、これらのエピトープそれぞれについて同定した。CMVコード化CD8+T細胞エピトープ内で一塩基多型(SNP)を同定するために、パイロシークエンス解析を設計した。最初、これらのSNP解析を、CMV再活性化を示す全HSCTレシピエントにおいてウイルス量のピークで実施した。各変異体位置でのアミノ酸残基を、ヌクレオチド配列に基づいて外挿した。図1Aのデータは、各位置でのアミノ酸のいずれか又は両方を示すレシピエントの割合を表している。データを、材料と方法で説明されているように、各位置で誤り率を補正した。特定の位置でのアミノ酸の使用で偏りを観察し、特に位置201、位置205、位置248、位置250及び位置323でそれぞれR残基、M残基、A残基、A残基及びM残基が優先的に使用されており、さらに著しく多いバリエーションを他の残基で認めた。この解析はまた、HSCTレシピエントが高い割合で再活性化に続いて複数のIE-1変異体を有していたことを明らかにした。ここで、各位置のサンプルの6~35%では両方のアミノ酸の検出が伴い、17名のHSCTレシピエントのうち9名が、少なくとも1つの位置での両方の変異体残基の同時検出を特徴とする混合感染の決定的な証拠を示した。ウイルス変異体の安定性を、17名のHSCTレシピエントのうち15名からの、ウイルス再活性化の間の長期的な血漿サンプルを使用して、経時的に評価した。4名のレシピエントから評価した全てのSNPの、代表的な長期的解析を図1Bに示す。一部のHSCTレシピエントでは、主に単一の変異体(レシピエント4)、又はほぼ確実な共感染(レシピエント17)のいずれかの検出後に、SNP発現のパターンにおいてほとんど変化が見られなかったのに対して、他のHSCTレシピエント(レシピエント19及び28)では、ウイルス再活性化の間、SNPの頻度における変化を示し、これから、これらHSCTレシピエントの末梢血における優性ウイルス分離株への、免疫学的選択圧の潜在的な影響が示唆される。
【0095】
[実施例2]
T細胞動態の共感染の影響
IE-1特異的T細胞免疫でのエピトープバリエーション及び共感染の影響を評価するために、ウイルス再活性化の証拠を示すHSCTレシピエントからのPBMCサンプルを、全ての潜在的なHLA適合変異体のペプチドエピトープで刺激し、次いでIL-2の存在下で2週間、インビトロで培養した。CMV再活性化の証拠はないが免疫再構築を示す9名のHSCTレシピエントに由来するPBMCもまた、HLA適合変異体のペプチドエピトープで刺激した(表2)。対照として、PBMCを、少なくとも2つの保存されたHLA適合エピトープで刺激した。ウイルス再活性化の動態を重ね合わせたこれらの患者のうち3名の、代表的な長期的解析を図2A~2Cに示す。各エピトープで試験したHSCTレシピエントの数及び応答するHSCTレシピエントの数についての包括的な要約を表3に示す。興味深いことに、これらの観察により、準優性エピトープ変異体を標的としたいくつかの例において、一部の患者は、パイロシークエンス解析により検出された複数のウイルス変異体を効率的に認識できる(図2B及びEの患者28で表される)が、他では優先的認識を示したことが示唆された。図2Dの証拠として、パイロシークエンス解析により、アミノ酸残基201及び205でのレシピエント17のIE-1配列は、アミノ酸残基R及びMが優性的であることが明らかになったが、これはHLA-B8個体のELRRKMMYMエピトープに相当しうる。これに対して、レシピエント17は、準優性ELKRKMIYM変異体に対するT細胞応答のみを生じた(図2A)。
【0096】
【表2】
【0097】
興味深いことに、レシピエント17はまた、ウイルス再活性化の間に免疫優性の保存されたT細胞エピトープ、VTEHDTTLYに対する検出可能な応答がないことを示し、ウイルス感染が解消した後でさえ優性ELRRKMMYM変異体に対するT細胞応答を生じなかった。同様の観察は、レシピエント44でも明らかであった(図2F)。両方のHLA-B44変異体をコードする配列を検出することは可能であったが、ウイルス再活性化の間のDELKRKMIY変異体に対する応答は検出されなかった。興味深いことに、これらの観察はまた、両方のHLA-B44拘束性エピトープに対する他のHLA-B44陽性HSCTレシピエントでも明らかであった(表3)。これは特に、7名のHLA B44陽性HSCTレシピエントのうち6名で検出されたが、どのレシピエントにおいても著しいT細胞応答を誘導しなかったEDAIAAYTL変異体で特に明らかであった。
【0098】
【表3】
【0099】
レシピエントコホートにおけるエピトープ変異体の認識をさらに評価するために、全HSCTレシピエントからの培養T細胞を、コグネート及び変異体ペプチドの両方を連続希釈で刺激し、IFN-γ産生を評価した。次いで、有効濃度(EC)50を、最大IFN-γ産生の50%を誘導するのに必要なペプチドの濃度に基づいて計算した。VLEETSVML及びYILEETSVMLエピトープ変異体の10倍連続希釈でのYILEETSVML刺激T細胞の培養物の回収に続く代表的な解析は図3Aで示す。HLA-A2拘束性エピトープ(VLEETSVML及びYILEETSVML)に特異的なT細胞は、両方の変異体を同様に効果的に一貫して認識したが(図3B及び3C)、HLA-B8エピトープ、ELRRKMMYM及びELKRKMIYMへの交差反応性は患者依存性があり、一部の個体(レシピエント17)における単一の変異体に対する優先性、並びに他の個体(レシピエント34及び37)における交差反応性を特徴とした(図3D及び3E)。複数の変異体への曝露に対する証拠があるにもかかわらず、単一の変異体に対する優先的偏りを示した2つのB44拘束性エピトープ、DELRRKMMY及びEEAIVAYTLに特異的なT細胞における交差反応性の証拠はなかった(図3F及び3G)。これらの観察は、複数のウイルス分離株への曝露が自動的に交差反応性T細胞免疫の効果的な誘導を導かないこと、及び、レパートリーの「穴」が遺伝的に無関係な個体にまたがって存在し得ることをさらに実証する。
【0100】
[実施例3]
ウイルス対照での複数のウイルス分離株への曝露の影響
両方の変異体IE-1及び/又は保存されたエピトープに対するCMV特異的T細胞応答の再構築がウイルス再活性化に関連したかどうかを決定するために、再活性化の証拠がある又はないHSCTレシピエントにおいて、移植後の初期(90~106日間)及び後期(180日超)での両方のIE-1変異体エピトープ及び保存されたエピトープに特異的なCD8+T細胞の頻度を比較した。移植後の初期及び後期での検出可能なCMV特異的T細胞応答全ての頻度のペアワイズ解析により、ウイルス再活性化の証拠を有するHSCTレシピエント(図4A)が、再活性化していないHSCTレシピエント(図4B)と比較してT細胞応答がより安定しないことを示したことが実証された。加えて、ウイルス特異的T細胞応答の頻度においてほとんど変化が見られなかった、再活性化していないHSCTレシピエントと比較して、再活性化を伴うHSCTレシピエントでは、初期及び後期の応答の間のCMV特異的T細胞の頻度において、著しくより大きい変化倍率を示した(図4C)。ウイルス対照での複数のウイルス分離株による再活性化の影響をさらに評価するために、末梢血における単一又は複数の変異体の証拠を有するHSCTレシピエントの、(i)ウイルス再活性化の回数、(ii)ピークウイルス量、及び(iii)最初のウイルス再活性化の期間を比較した。これらの解析により、複数のウイルス分離株の証拠がある又はない患者からのウイルス再活性化の回数(図4D)、ピークウイルス量の(図4E)、又は、再活性化の期間(図4F)で、著しい差がないことが明らかになった。これらの観察は、変異体特異的免疫の誘導が、CMVの複数の分離株による再活性化に続くウイルス再活性化の制御に役割を果たす可能性はあるが、保存されたエピトープに対して又は交差反応による応答を介するかのいずれかにより安定したCMV特異的免疫再構築を誘導する能力が、HSCTに続く、CMV再活性化の効果的な制御にとってより重要であったことを示唆する。
【0101】
【表4】
【0102】
本明細書で述べられる全ての刊行物、特許、特許出願及び配列アクセッション番号は、各刊行物、特許又は特許出願が参照により、特に、個別に組み込まれたことを示したかのように、その全体を参照として本明細書に組み込む。競合する場合、本出願が、本明細書でのいかなる定義も含めて、優先されることになる。
【0103】
当業者は、日常的な実験程度を用いて、本明細書に記載される発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
【0104】
[配列表]
SEQUENCE LISTING

<110> THE COUNCIL OF THE QUEENSLAND INSTITUTE OF MEDICAL RESEARCH

<120> CMV EPITOPES

<130> PA23-075

<150> US62/340,223
<151> 2016-05-23

<160> 31

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 1
Lys Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Arg
1 5 10


<210> 2
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 2
Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Arg
1 5


<210> 3
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 3
Arg Arg Lys Met Met Tyr Met Tyr Cys Arg
1 5 10


<210> 4
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 4
Lys Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Lys
1 5 10


<210> 5
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 5
Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Lys
1 5


<210> 6
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 6
Lys Arg Lys Met Ile Tyr Met Tyr Cys Arg
1 5 10


<210> 7
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 7
Val Leu Glu Glu Thr Ser Val Met Leu
1 5


<210> 8
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 8
Tyr Ile Leu Glu Glu Thr Ser Val Met Leu
1 5 10


<210> 9
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 9
Asp Glu Leu Arg Arg Lys Met Met Tyr
1 5


<210> 10
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 10
Asp Glu Leu Lys Arg Lys Met Ile Tyr
1 5


<210> 11
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 11
Glu Glu Ala Ile Ala Val Ala Tyr Leu
1 5


<210> 12
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 12
Glu Asp Ala Ile Ala Ala Tyr Thr Leu
1 5


<210> 13
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 13
Glu Leu Arg Arg Lys Met Met Tyr Met
1 5


<210> 14
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 14
Glu Leu Lys Arg Lys Met Ile Tyr Met
1 5


<210> 15
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 15
Ala Tyr Ala Gln Lys Ile Phe Lys Ile Leu
1 5 10


<210> 16
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 16
Thr Tyr Ser Gln Lys Ile Phe Lys Ile Leu
1 5 10


<210> 17
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 17
Lys Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Arg
1 5 10


<210> 18
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 18
Lys Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Lys
1 5 10


<210> 19
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 19
Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Lys
1 5


<210> 20
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 20
Ala Arg Ala Lys Lys Asp Glu Leu Arg
1 5


<210> 21
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 21
Lys Arg Lys Met Ile Tyr Met Cys Tyr Arg
1 5 10


<210> 22
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 22
Arg Arg Lys Met Met Tyr Met Cys Tyr Arg
1 5 10


<210> 23
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 23
Phe Met Asp Ile Leu Thr Thr Cys Val
1 5


<210> 24
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 24
Asn Leu Val Pro Met Val Ala Thr Val
1 5


<210> 25
<211> 11
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 25
Arg Pro His Glu Arg Asn Gly Phe Thr Val Leu
1 5 10


<210> 26
<211> 10
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 26
Thr Pro Arg Val Thr Gly Gly Gly Ala Met
1 5 10


<210> 27
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 27
Val Thr Glu His Asp Thr Leu Leu Tyr
1 5


<210> 28
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 28
Gln Ile Lys Val Arg Val Asp Met Val
1 5


<210> 29
<211> 11
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 29
Tyr Ser Glu His Pro Thr Phe Thr Ser Gln Tyr
1 5 10


<210> 30
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 30
Glu Glu Ala Ile Val Ala Tyr Thr Leu
1 5


<210> 31
<211> 9
<212> PRT
<213> Human herpesvirus 5

<400> 31
Val Thr Glu His Asp Thr Thr Leu Tyr
1 5
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書及び/又は図面に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
当業者は、日常的な実験程度を用いて、本明細書に記載される発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]対象においてがんを処置する方法であって、クラスI MHC上に提示される表1に列挙されたエピトープを含むペプチドと特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む細胞傷害性T細胞(CTL)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
[実施形態2]対象においてサイトメガロウイルス(CMV)感染を処置する方法であって、クラスI MHC上に提示される表1に列挙されたエピトープを含むCMVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む細胞傷害性T細胞(CTL)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
[実施形態3]CTLが対象に対して自家である、実施形態1又は2に記載の方法。
[実施形態4]CTLが対象に対して自家ではない、実施形態1又は2に記載の方法。
[実施形態5]CTLがCTLのライブラリー又はバンクから得られる、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]CMV特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の増殖を誘導する方法であって、CTLを含むサンプルと、表1に列挙されたエピトープを含むCMVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とをインキュベートし、これによりサンプルにおいてペプチド特異的CTLの増殖を誘導することを含む方法。
[実施形態7]サンプルが1つ以上のサイトカインをさらに含む、実施形態6に記載の方法。
[実施形態8]APCがB細胞である、実施形態6又は7に記載の方法。
[実施形態9]APCが抗原提示T細胞である、実施形態6又は7に記載の方法。
[実施形態10]APCが樹状細胞である、実施形態6又は7に記載の方法。
[実施形態11]APCがaK562細胞である、実施形態6又は7に記載の方法。
[実施形態12]サンプルが末梢血単核球細胞(PBMC)を含む、実施形態6から10のいずれかに記載の方法。
[実施形態13]T細胞が細胞傷害性T細胞である、実施形態1から10のいずれかに記載の方法。
[実施形態14]CMVペプチドが長さ20以下のアミノ酸である、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
[実施形態15]CMVペプチドが長さ15以下のアミノ酸である、実施形態14に記載の方法。
[実施形態16]CMVペプチドが長さ10以下のアミノ酸である、実施形態14に記載の方法。
[実施形態17]CMVペプチドがKARAKKDELRの配列を含む、実施形態1から16のいずれかに記載の方法。
[実施形態18]CMVペプチドがARAKKDELRの配列を含む、実施形態1から16のいずれかに記載の方法。
[実施形態19]CMVペプチドがRRKMMYMYCRの配列を含む、実施形態1から16のいずれかに記載の方法。
[実施形態20]表1に列挙されたアミノ酸配列を含むペプチドであって、CMVタンパク質の30超の連続したアミノ酸を含まないペプチド。
[実施形態21]表1に列挙されたアミノ酸配列が、KARAKKDELR、ARAKKDELR又はRRKMMYMYCRである、実施形態20に記載のペプチド。
[実施形態22]表1に列挙された2つ以上の配列を含む、実施形態20又は21に記載のペプチド。
[実施形態23]実施形態20から22のいずれかに記載のペプチドを含むワクチン組成物。
[実施形態24]アジュバントをさらに含む、実施形態23に記載のワクチン組成物。
[実施形態25]対象においてがんを処置及び/又は予防する方法であって、実施形態23又は24に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
[実施形態26]対象においてCMV感染を処置及び/又は予防する方法であって、実施形態23又は24に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
[実施形態27]クラスI MHC上に提示される、実施形態20から22のいずれかに記載のペプチドを含む抗原提示細胞(APC)。
[実施形態28]抗原提示T細胞である、実施形態27に記載のAPC。
[実施形態29]樹状細胞である、実施形態27に記載のAPC。
[実施形態30]B細胞である、実施形態27に記載のAPC。
[実施形態31]人工APCである、実施形態27に記載のAPC。
[実施形態32]人工APCがaK562細胞である、実施形態31に記載のAPC。
[実施形態33]CMVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)を産生する方法であって、実施形態20から22のいずれかに記載のペプチド又は実施形態20から22のいずれかに記載のペプチドをコードする核酸とともに抗原提示細胞をインキュベートすることを含む方法。
[実施形態34]APCが抗原提示T細胞である、実施形態33に記載の方法。
[実施形態35]APCが樹状細胞である、実施形態33に記載の方法。
[実施形態36]APCがB細胞である、実施形態33に記載の方法。
[実施形態37]APCが人工APCである、実施形態33に記載の方法。
[実施形態38]人工APCがaK562細胞である、実施形態33に記載の方法。
[実施形態39]対象においてがんを処置又は予防する方法であって、実施形態27から32のいずれかに記載のAPCを対象に投与することを含む方法。
[実施形態40]APCが対象に対して自家である、実施形態39に記載の方法。
[実施形態41]APCが対象に対して自家ではない、実施形態39に記載の方法。
[実施形態42]対象においてCMV感染を処置又は予防する方法であって、実施形態37から41のいずれかに記載のAPCを対象に投与することを含む方法。
[実施形態43]APCが対象に対して自家である、実施形態42に記載の方法。
[実施形態44]APCが対象に対して自家ではない、実施形態42に記載の方法。
[実施形態45]実施形態20から22のいずれかに記載のペプチドをコードする核酸。
[実施形態46]発現ベクターである、実施形態45に記載の核酸。
[実施形態47]発現ベクターがウイルスベクターである、実施形態46に記載の核酸。
[実施形態48]ウイルスベクターがアデノウイルスに基づく発現ベクターである、実施形態47に記載の核酸。
[実施形態49]実施形態45から48のいずれかに記載の核酸を含むワクチン組成物。
[実施形態50]対象においてがんを処置及び/又は予防する方法であって、実施形態49に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
[実施形態51]対象においてCMV感染を処置又は予防する方法であって、実施形態49に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
[実施形態52]表1に列挙されたCMVエピトープと結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
[実施形態53]全長免疫グロブリン分子、
scFv、
Fabフラグメント、
Fab'フラグメント、
F(ab')2、
Fv、
ラクダ抗体、又は
ジスルフィド結合Fv
である、実施形態52に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
[実施形態54]対象においてがんを処置する方法であって、実施形態52又は53に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む方法。
[実施形態55]対象においてCMV感染を処置する方法であって、実施形態52又は53に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む方法。
[実施形態56]主要組織適合複合体(MHC)上に提示される表1に列挙されたエピトープを含むペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞。
[実施形態57]細胞傷害性T細胞(CTL)である、実施形態56に記載のT細胞。
【外国語明細書】