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特開2023-71746単一ヌクレオチド分析方法及び関連するプローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071746
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】単一ヌクレオチド分析方法及び関連するプローブ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6874 20180101AFI20230516BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20230516BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C12Q1/6874 Z
C12Q1/6876 Z ZNA
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023021626
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2020542690の分割
【原出願日】2018-10-23
(31)【優先権主張番号】17197878.6
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521217482
【氏名又は名称】ライトキャスト ディスカバリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIGHTCAST DISCOVERY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】バーナビー バームフォース
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン アレクサンダー フレイリング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分析物中のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法を提供する。
【解決手段】ヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であって、(1)分析物とフルオロフォアを含む第1のオリゴヌクレオチドとをポリメラーゼ存在下で反応させるステップ;(2)(1)で作製された二本鎖をエンドヌクレアーゼと反応させるステップ;(3)対応する第1のオリゴヌクレオチド分子から新しい使用プローブ二本鎖を作製するステップ、(2)及び(3)を繰り返し、(4)エキソヌクレアーゼで分解しフルオロフォアを生成するステップ;及び(5)(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルから、単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか、未修飾であるかを推測するステップ、により特徴づけられる方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物中の所定のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であり、
(1)ポリメラーゼの存在下で、前記分析物を生物学的プローブと反応させるステップであり、前記生物学的プローブは、(a)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の5’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の5’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む、第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(b)少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方、他方、又は両方の前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズして、(b1)前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は他方と、(b2)前記第2のオリゴヌクレオチド、前記ヌクレオシド三リン酸分子由来の修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方、及び任意選択で前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分とからなる二本鎖使用プローブを作製することができ、前記二本鎖は4つの可能な(b1)/(b2)二本鎖置換のうちの1つを含む、ステップ;
(2)ステップ(1)で作製された前記二本鎖を、前記(b1)鎖を前記認識部位で選択的に切断するのに適した少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼ系と反応させて、元々の前記ヌクレオシド三リン酸分子における修飾の有無に応じて、(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(iii)それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントの混合物を作製するステップ;
(3)前記(b2)成分及び前記ペアの別の第1のオリゴヌクレオチドから別の二本鎖使用プローブを作製し、その後、ステップ(2)及び(3)を繰り返すステップ;
(4)3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で前記第1のオリゴヌクレオ
チドエレメントを分解して、ステップ(2)及び(3)のいずれか又は両方の後に検出可能な状態であるフルオロフォアを生成するステップ;及び
(5)ステップ(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルの性質から、元々の前記単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか未修飾であるかを推測するステップ
により特徴づけられる、方法。
【請求項2】
分析物中の所定のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であり、
(1)ポリメラーゼの存在下で、前記分析物を生物学的プローブと反応させるステップであり、前記生物学的プローブは、(a)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の3’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の3’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む、第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(b)少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方、他方、又は両方の前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズして、(b1)前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は他方と、(b2)前記第2のオリゴヌクレオチド、前記ヌクレオシド三
リン酸分子由来の修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方、及び任意選択で前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分とからなる二本鎖使用プローブを作製することができ、各二本鎖は4つの可能な(b1)/(b2)二本鎖置換のうちの1つを含む、ステップ;
(2)ステップ(1)で作製された前記二本鎖を、前記(b1)鎖を前記認識部位で選択的に切断するのに適した少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼ系と反応させて、元々の前記ヌクレオシド三リン酸分子における修飾の有無に応じて、(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(iii)それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントの混合物を作製するステップ;
(3)前記(b2)成分及び前記ペアの別の第1のオリゴヌクレオチドから別の二本鎖使用プローブを作製し、その後、ステップ(2)及び(3)を繰り返すステップ;
(4)5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で前記第1のオリゴヌクレオチドエレメントを分解して、ステップ(2)及び(3)のいずれか又は両方の後に検出可能な状態であるフルオロフォアを生成するステップ;及び
(5)ステップ(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルの性質から、元々の前記単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか未修飾であるかを推測するステップ
により特徴づけられる、方法。
【請求項3】
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、(i)前記第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドを含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第1の制限エンドヌクレアーゼ、及び、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する修飾されたヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分、並びに、(ii)前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドを含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第2の制限エンドヌクレアーゼ、及び、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する未修飾のヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、(i)前記第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドを含む(b1)-(b2)二本鎖、及び、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する修飾されたヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分、並びに、(ii)前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドを含む(b1)-(b2)二本鎖、及び、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する未修飾のヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分を切断することができない制限エンドヌクレアーゼを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
(i)前記制限エンドヌクレアーゼ系が、全ての(b1)-(b2)二本鎖を切断することが可能な第1の制限エンドヌクレアーゼ、前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドを含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第2の制限エンドヌクレアーゼ、及び、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する未修飾のヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分を含むこと、及び、(ii)前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドの認識部位が第1の制限エンドヌクレアーゼブロッキング部位を更に含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、前記第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌ
クレオチドを含む(b1)-(b2)二本鎖以外の全ての(b1)-(b2)二本鎖を切断することが可能な制限エンドヌクレアーゼ、及び、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する修飾されたヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、少なくとも1つのニッキングエンドヌクレアーゼを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エキソヌクレアーゼブロッキング部位が、各第1のオリゴヌクレオチドを閉ループにすることにより得られることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(1)がリガーゼの存在下で行われて、1つの前記第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2及び第3のオリゴヌクレオチド及び前記分析物に由来する前記所定のヌクレオシド三リン酸分子を含む相補的な第4のオリゴヌクレオチドとを含む二本鎖を作製し、ステップ(4)が前記第4のオリゴヌクレオチドから別の使用プローブ二本鎖を作製することを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のオリゴヌクレオチド及び前記第3のオリゴヌクレオチドが、それ自体が任意選択でオリゴヌクレオチドであってもよいリンカー領域で結合していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第4のオリゴヌクレオチドが、制限エンドヌクレアーゼによる切断に耐性があることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は両方が、前記フルオロフォアを消光する1つ又は複数の消光剤を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記分析物が、修飾及び未修飾の単一ヌクレオシド三リン酸分子の両方を含み、前記方法が、それぞれの量及び相対比率をステップ(5)の結果から決定する追加のステップを更に含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(2)がステップ(1)よりも高い温度で行われ、且つ/又は、ステップ(3)がステップ(2)よりも高い温度で行われることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ヌクレオシド三リン酸が、対応する微小液滴に含まれ、ステップ(1)~(4)が、前記微小液滴内で行われることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(i)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の5’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の5’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(ii)それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズすることが可能な少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドからなる(a)第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペアを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブ。
【請求項17】
(i)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の3’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の3’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(ii)それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズすることが可能な少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドからなる(a)第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペアを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブ。
【請求項18】
前記エキソヌクレアーゼブロッキング部位が、前記第1のオリゴヌクレオチドの閉ループ又は二本鎖領域により得られることを特徴とする、請求項16又は17に記載の多成分生物学的プローブ。
【請求項19】
前記第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア領域の前記フルオロフォアを消光する消光剤を含むこと、及び/又は、前記第2のオリゴヌクレオチド及び前記第3のオリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドリンカー領域で結合していることを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載の多成分生物学的プローブ。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか一項に記載の多数の生物学的プローブタイプのアセンブリを含み、前記アセンブリ中の各第1のオリゴヌクレオチドのペアが、異なる性質の核酸塩基及び異なる性質のフルオロフォアに選択的な異なる捕捉部位を有することにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブキット。
【請求項21】
前記第3のオリゴヌクレオチド、並びに、ポリメラーゼ、リガーゼ、請求項3~5のいずれか一項に記載の制限エンドヌクレアーゼ系、及び3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素の1つ又は複数を含む、請求項16、18、19、及び20のいずれか一項に記載の生物学的プローブを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブキット。
【請求項22】
前記第3のオリゴヌクレオチド、並びに、ポリメラーゼ、リガーゼ、請求項3~5のいずれか一項に記載の制限エンドヌクレアーゼ系、及び5’ -3’エキソヌクレアーゼ活
性を有する酵素の1つ又は複数を含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の生物学的プローブを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、天然に存在するDNA及びRNAの核酸塩基における修飾を検出するための方法及び関連する生物学的プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
我々の以前の特許出願である国際公開第2015/121675号において、我々は、一本鎖及び二本鎖オリゴヌクレオチド領域を有する第1の成分と、消光状態において異なるフルオロフォアを含む第2の成分のペアとを含む3成分生物学的プローブを用いて、ポリヌクレオチド分析物中の所定の単一ヌクレオチドのメチル化状態を決定することについて記載した。この方法では、消光されていない状態のフルオロフォアがエキソヌクレアーゼ分解により放出される前に、メチル化依存性又はメチル化感受性エンドヌクレアーゼにより使用プローブを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/121675号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
今回、我々は、この方法の別のバージョンを開発した。これは、一連の核酸塩基修飾及び現在利用可能な制限エンドヌクレアーゼにより広く適用可能なだけでなく、はるかに簡単でより感度が高く、より強いシグナル及びより高いシグナル対ノイズ比を生成する。従って、本発明の第1の態様によれば、分析物中の所定のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であり、(1)ポリメラーゼの存在下で、前記分析物を生物学的プローブと反応させるステップであり、前記生物学的プローブは、(a)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の5’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の5’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む、第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(b)少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方、他方、又は両方の前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズして、(b1)前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は他方と、(b2)前記第2のオリゴヌクレオチド、前記ヌクレオシド三リン酸分子由来の修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方、及び任意選択で前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分とからなる二本鎖使用プローブを作製することができ、前記二本鎖は4つの可能な(b1)/(b2)二本鎖置換(duplex permutation)のうちの1つを含む、ステップ;(2)ステップ(1)で作製された前記二本鎖を、前記(b1)鎖を前記認識部位で選択的に切断するのに適した少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼ系と反応させて、元々の前記ヌクレオシド三リン酸分子における修飾の有無に応じて、(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(iii)それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントの混合物を作製するステップ;(3)前記(b2)成分及び前記ペアの別の第1のオリゴヌクレオチドから別の二本鎖使用プローブ
を作製し、その後、ステップ(2)及び(3)を繰り返すステップ;(4)3’-5’
エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で前記第1のオリゴヌクレオチドエレメントを分解して、ステップ(2)及び(3)のいずれか又は両方の後に検出可能な状態であるフルオロフォアを生成するステップ;及び(5)ステップ(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルの性質から、元々の前記単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか未修飾であるかを推測するステップにより特徴づけられる方法を提供する。
【0005】
本発明の第2の関連する態様において、分析物中の所定のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であり、(1)ポリメラーゼの存在下で、前記分析物を生物学的プローブと反応させるステップであり、前記生物学的プローブは、(a)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の3’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の3’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む、第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(b)少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方、他方、又は両方の前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズして、(b1)前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は他方と、(b2)前記第2のオリゴヌクレオチド、前記ヌクレオシド三リン酸分子由来の修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方、及び任意選択で前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分とからなる二本鎖使用プローブを作製することができ、各二本鎖は4つの可能な(b1)/(b2)二本鎖置換のうちの1つを含む、ステップ;(2)ステップ(1)で作製された前記二本鎖を、前記(b1)鎖を前記認識部位で選択的に切断するのに適した少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼ系と反応させて、元々の前記ヌクレオシド三リン酸分子における修飾の有無に応じて、(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(iii)それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントの混合物を作製するステップ;(3)前記(b2)成分及び前記ペアの別の第1のオリゴヌクレオチドから別の二本鎖使用プローブを作製し、その後、ステップ(2)及び(3)を繰り返すステップ;(4)5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で前記第1のオリゴヌクレオチドエレメントを分解して、ステップ(2)及び(3)のいずれか又は両方の後に検出可能な状態であるフルオロフォアを生成するステップ;及び(5)ステップ(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルの性質から、元々の前記単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか未修飾であるかを推測するステップにより特徴づけられる方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本方法が適用可能な分析物は、進行性酵素的分解により、核酸前駆体から便利に調製することができる。一実施形態では、これは、前駆体の進行性エキソヌクレアーゼ分解、続いて、得られた単一ヌクレオシド一リン酸に対するキナーゼの作用により達成することができる(例えば、Biotechnology and Bioengineering
by Bao and Ryu(DOI 10.1002/bit.21498)を参照)。しかしながら、好ましくは、分析物中のヌクレオシド三リン酸分子は、進行性加ピロリン酸分解により前駆体から直接生成する。このステップで使用される核酸前駆体は、適切には一本鎖又は二本鎖ポリヌクレオチドであり、その長さは原理上、無制限とすることができ、例えば、ヒト遺伝子又は染色体断片に見出される最大数百万のヌクレオチドを
含む。しかしながら、典型的には、ポリヌクレオチドは少なくとも50、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド長であり、適切には500を超え、1000を超え、多くの場合、数千ヌクレオチド長である。核酸前駆体は、好ましくは天然由来のRNA又はDNA(例えば、植物、動物、細菌、又はウイルスに由来)であるが、本方法は、完全に合成の、又は合成的に製造されたものの分析にも用いることができる。RNA若しくはDNA、又はその関連核酸塩基が天然では一般的に見られない、即ち、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)以外の核酸塩基であるヌクレオチドで全体的又は部分的に構成される他の核酸を含む。そのような核酸塩基の例としては、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウリジン、2-O-メチルシチジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2-O-メチルシュードウリジン、2-O-メチルグアノシン、イノシン、N6-イソペンチルアデノシン、1-メチルアデノシン、1-メチルシュードウリジン、1-メチルグアノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、3-メチルシチジン、5-メチルシチジン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メトキシウリジン、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン、5-メトキシカルボニルメチルウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、ウリジン-5-オキシ酢酸-メチルエステル、ウリジン-5-オキシ酢酸、ウィブトキソシン、ウィブトシン、シュードウリジン、クエオシン、2-チオシチジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-メチルウリジン、2-O-メチル-5-メチルウリジン、及び2-O-メチルウリジンが挙げられる。DNAの場合、生成される単一ヌクレオシド三リン酸はデオキシリボヌクレオシド三リン酸であり、一方、RNAの場合、それらはリボヌクレオシド三リン酸である。
【0007】
本方法の一実施形態では、分析物の生成は、核酸前駆体を基板に付着させる第1のサブステップを更に含む。典型的には、この基板は、マイクロ流体表面、マイクロビーズ、又は透過膜を含み、例えば、ガラス製又は非分解性ポリマー製である。好ましくは、基材は、核酸前駆体の受け入れに特に適した表面を更に含む。核酸前駆体をそのような表面に付着させることができる多くの方法があり、そのいずれも原則としてこのサブステップで用いることができる。例えば、ある方法では、エポキシシラン、アミノヒドロカルビルシラン、又はメルカプトシラン等の官能化シランでガラス表面をプライミングすることを含む。次いで、そのようにして生成された反応部位は、反応性末端アミン、スクシニル又はチオール基を含むように修飾された核酸前駆体の誘導体で処理することができる。
【0008】
別の実施形態では、核酸前駆体を加ピロリン酸分解して、単一のヌクレオシド三リン酸分子のストリームを含む分析物を生成する。単一のヌクレオシド三リン酸分子の順序は分析物の配列の順序に対応する。そのような加ピロリン酸分解は、20~90℃の範囲の温度で、例えば、そのような酵素作用を示す適切なポリメラーゼを含む反応媒体の存在下で行ってもよい。好ましくは、単一のヌクレオシド三リン酸分子が遊離するにつれて反応域から連続的に除去されるように、連続流の条件下で行われる。最も好ましくは、加ピロリン酸分解は、酵素及び他の典型的な添加剤を含有する水性緩衝媒体を核酸分析物が結合している表面上に流動させることにより行う。
【0009】
更に別の実施形態では、使用する酵素は、核酸前駆体の進行性の3’-5’加ピロリン酸分解を引き起こして、高適合度で妥当な反応速度でヌクレオシド三リン酸分子のストリームを生じさせることができるものである。好ましくは、この分解速度は可能な限り速く、一実施形態では、毎秒1~50ヌクレオシド三リン酸分子の範囲である。ポリヌクレオチドの分解に適用される加ピロリン酸分解反応についての更なる情報は、例えば、読者が向けられるJ.Biol.Chem.244(1969)pp.3019-3028に見
出すことができる。適切には、加ピロリン酸分解は、例えば、ピロリン酸アニオン及びマグネシウムカチオンを更に含む媒体の存在下で行われ、好ましくはミリモル濃度である。この分解の後、放出されたヌクレオシド三リン酸を含む溶液をピロホスファターゼで適切に処理し、任意の残留ピロリン酸をリン酸アニオンに加水分解する。
【0010】
一実施形態では、細胞溶解、抽出、及びクロマトグラフ分離を含む既知の抽出技術を用いて、従来の生物学的又は医学的サンプルに存在する細胞物質から核酸前駆体を得る。
【0011】
ステップ(1)では、ヌクレオシド三リン酸分子を含む分析物を、ポリメラーゼ及び任意選択でリガーゼの存在下で反応させて、二本鎖使用プローブを生成する。リガーゼを追加で用いる一実施形態では、当該二本鎖は、別の実質的に二本鎖の第四のオリゴヌクレオチド(下記参照)を含むが、そのような第四のオリゴヌクレオチドの形成は方法の有効性に重要ではない。しかしながら、使用される核酸分析物は、関連する核酸塩基が修飾されている又は未修飾であると予想されるヌクレオシド三リン酸分子のどちらか又は両方を含むと予想されるものである。用語「修飾されている」は、修飾された核酸塩基をその未修飾のペアと区別する化学的又は構造的なあらゆる修飾を意味する。このような修飾として、アルキル化、ヒドロキシアルキル化、アルコキシル化、アミノ化、ハロゲン化、アセチル化、及びグルコシル化等の化学修飾を含んでいてもよいが、この方法は一般に、修飾がこのステップで行われる捕捉を妨げない限り、あらゆる修飾/未修飾の核酸塩基ペアに適用可能であることが理解されるだろう。一実施形態では、修飾は、メチル化、ヒドロキシメチル化、及びグルコシル化ヒドロキシメチル化から選択される。別の実施形態では、未修飾ヌクレオシド三リン酸分子は、天然に存在するDNA又はRNAの構成要素である未修飾ヌクレオシド三リン酸分子からなる群から選択される。更に別の実施形態では、関連する修飾は、核酸塩基シトシン及びアデニンのいずれか又は両方のメチル化である。
【0012】
このステップで用いるポリメラーゼは、適切には、反応条件下でエキソヌクレアーゼ活性もエンドヌクレアーゼ活性も本質的には示さないものからなる群から選択する。有利に用いることができるポリメラーゼの例としては、これらに限定されるものではないが、原核生物pol 1酵素、又は大腸菌(例えば、クレノウ断片ポリメラーゼ)、サーマス・アクアチクス(例えば、Taq Pol)、バチルス・ステアロサーモフィルス、バチルス・カルドベロックス、及びバチルス・カルドテナックス等の細菌から得られる酵素誘導体が挙げられる。原則として、任意の適切なリガーゼをこのステップで用いることができる。
【0013】
ステップ(1)で用いる生物学的プローブは、2つ又は任意選択で3つの成分:(a)検出不可能な状態の異なる第1及び第2の特徴的なフルオロフォアで標識した第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペアと、(b)第1のオリゴヌクレオチドの相補的なフランキング領域にハイブリダイズすることができる第2の及び任意選択で第3の非標識一本鎖オリゴヌクレオチドとを含む。3成分の一実施形態では、同じ第2及び第3のオリゴヌクレオチドは、ペアの両方の第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能であってもよい。リガーゼを用いない別の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドのみが共通であり、対応する第3のオリゴヌクレオチドのペアを用いる。更に別の実施形態では、第2及び第3のオリゴヌクレオチドは別個の存在であるが、更に別の実施形態では、それらはリンカー領域によって連結されたオリゴヌクレオチド領域である。この後者の場合、一実施形態では、リンカー領域は、第2及び第3のオリゴヌクレオチド領域の末端を連結する。リンカー領域は、原則として、任意の二価の基とすることができるが、それ自体が別のオリゴヌクレオチド領域であるのが便利である。一実施形態では、このオリゴヌクレオチドリンカー領域は、ペアの第1のオリゴヌクレオチドのどちらかに実質的にハイブリダイズすることができない。
【0014】
個々の第1、第2、及び第3のオリゴヌクレオチドは、第2の及び任意選択で第3のオリゴヌクレオチドが、ステップ(1)において、関連する第1のオリゴヌクレオチドの3’側及び5’側のフランキング領域にそれぞれハイブリダイズすることができるように選択する。当該領域自体は、単一ヌクレオチドを含む捕捉部位のいずれかの側に並置され、当該単一ヌクレオチドの核酸塩基は、プローブによって検出されるヌクレオシド三リン酸分子により生じる(borne by)ものに相補的である。捕捉部位もまた、制限エンドヌクレアーゼ認識部位の一部である。これにより、調査する特定のヌクレオシド三リン酸に対するプローブの選択性が高くなる。
【0015】
典型的には、ペアの各第1のオリゴヌクレオチドは、最大150ヌクレオチド長、好ましくは10~100ヌクレオチドである。一実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドの相補的な3’側フランキング領域よりも少なくとも1ヌクレオチドだけ短い。別の実施形態では、ヌクレオシド三リン酸がこの時点でポリメラーゼに捕捉されるのを防ぐために、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端と第2のオリゴヌクレオチド上のそれと反対のヌクレオチドとの間に少なくとも1つの単一ヌクレオチドミスマッチがある。同様に、一実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドの相補的な5’側フランキング領域よりも少なくとも1ヌクレオチドだけ長く、一方、別の実施形態では、ヌクレオシド三リン酸がこの時点でポリメラーゼに捕捉されるのを防ぐために、第3のオリゴヌクレオチドの3’末端と第1のオリゴヌクレオチド上のそれと反対のヌクレオチドとの間に少なくとも1つの単一ヌクレオチドミスマッチがある。
【0016】
ペアの各第1のオリゴヌクレオチドの共通の特徴は、特有でそれに特徴的な1つ又は複数のフルオロフォアで標識されていることである。両方の第1のオリゴヌクレオチドにおいて、これらのフルオロフォアは、プローブが未使用状態にあるときは実質的に検出不可能であるように配置される。好ましくは、それらは、フルオロフォアが検出されるように設計されている波長で本質的に非蛍光性であるように配置される。従って、フルオロフォアは、電磁スペクトルの広い部分にわたって一般的な低レベルのバックグラウンド蛍光を示すことがあるが、典型的には、蛍光強度が最大になる1つ又は少数の特定の波長又は波長エンベロープが存在するであろう。フルオロフォアが特徴的に検出されるこれらの最大値の1つ又は複数において、本質的に蛍光が生じないはずである。本特許の文脈において、用語「本質的に非蛍光性」又は同等の表現は、関連する特徴的な波長又は波長エンベロープにおける関連する第1のオリゴヌクレオチドに付着した全フルオロフォア数の蛍光強度が、同等数の遊離フルオロフォアの対応する蛍光強度の25%未満であることを意味し、好ましくは10%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満である。
【0017】
原則として、第1のオリゴヌクレオチドの未使用状態においてフルオロフォアが本質的に非蛍光性であることを確実にするために、いかなる方法も使用することができる。一実施形態では、これは、フルオロフォアが互いに消光するようにそれらを互いに近接して配置することにより達成される(自己消光配置)。別の実施形態では、フルオロフォアを含む領域は、フルオロフォアに近接して別の消光剤を更に含み、それにより同じ結果を達成することができる。本特許の文脈において、フルオロフォア間又はフルオロフォアと消光剤との間の「近接」を構成するものは、特定のフルオロフォア及び恐らくは第1のオリゴヌクレオチドの構造的特徴に依存するであろう。従って、この用語は、これらの要素のいかなる特定の構造的配置よりもむしろ求められる結果を参照して解釈されるべきであることを意図している。しかしながら、例示のみを目的として、隣接するフルオロフォアが特徴的なフェルスター距離(典型的には5nm未満)に対応する距離だけ離れている場合、一般に十分な消光が達成されることが指摘される。
【0018】
フルオロフォア自体について、それらは原則として、キサンテン部分、例えば、フルオレセイン、ローダミン、及びそれらの誘導体(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミンB等);クマリン部分(例えば、ヒドロキシクマリン、メチルクマリン、及びアミノクマリン);及びシアニン部分(例えば、Cy2、Cy3、Cy5、及びCy7)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で従来使用されている任意のものから選択することができる。具体例としては、以下の一般的に使用される染料:Alexa染料、シアニン染料、Atto Tec染料、及びローダミン染料から誘導されるフルオロフォアが挙げられる。また、例として、Atto 633(ATTO-TEC GmbH)、テキサスレッド(商標)、Atto 740(ATTO-TEC GmbH)、ローズベンガル、Alexa Fluor(商標)750 C-マレイミド(Invitrogen)、Alexa Fluor(商標)532 C-マレイミド(Invitrogen)、及びローダミンレッドC-マレイミド及びローダミングリーン、並びにQuasar 570等のホスホラミダイト染料が挙げられる。或いは、量子ドット又はLI-COR Biosciencesにより供給されるもの等の近赤外染料を使用することができ、本特許を解釈するために「フルオロフォア」であるとみなされるべきである。フルオロフォアは、典型的には当該技術分野で既知の化学的方法を用いて核酸塩基を介して第1のオリゴヌクレオチドに付着させる。
【0019】
適切な消光剤としては、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)メカニズムにより機能するものが挙げられる。上記のフルオロフォアと関連して使用することができる市販の消光剤の例としては、DDQ-1、Dabcyl、Eclipse、Iowa Black FQ及びRQ、IR Dye-QC1、BHQ-0、BHQ-1、-2及び-3、並びにQSY-7及び-21が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
第1のオリゴヌクレオチドの別の共通の特徴は、少なくとも1つのエキソヌクレアーゼブロッキング部位を含むことである。これは、上記の2つの方法のどちらを用いるかに応じて、認識部位の3’側又は5’側のいずれかに位置することになる。一実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、そのようなブロッキング部位を、場合によっては、両側に又は3’末端若しくは5’末端に隣接して含んでいてもよい。原則として、ブロッキング部位は、その化学的構成に基づいて、第1のオリゴヌクレオチドをその時点でエキソヌクレアーゼ分解耐性にする任意の領域とすることができる。そのような領域としては、例えば、ホスホロチオエートリンカー、オリゴヌクレオチドスペーサー(例えば、スペーサー3、スペーサー9、スペーサー18、dスペーサー等)、2’-0-メチルRNA塩基、逆塩基、デスチオビオチン-TEG、ジチオール、ヘキサンジオール、及び消光剤(例えば、BHQ)が挙げられる。
【0021】
一実施形態では、エキソヌクレアーゼブロッキング部位は、第1のオリゴヌクレオチドを環状、即ち、閉ループにすることにより得ることができる。後述のステップ(4)で一本鎖特異的エキソヌクレアーゼを使用する別の実施形態では、当該部位は、第一のオリゴヌクレオチド上の二本鎖領域を含んでいてもよい。更に別の実施形態では、第2及び/又は第3のオリゴヌクレオチドも同様のエキソヌクレアーゼブロッキング部位を備える。
【0022】
第1のオリゴヌクレオチドの更に別の共通の特徴は、上記の捕捉部位を更に含む制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むことである。当該認識位は、上記の2つの方法のどちらを用いるかに応じて、(1)エキソヌクレアーゼブロッキング部位の5’側且つフルオロフォアの3’側、又は(2)エキソヌクレアーゼブロッキング部位の3’側且つフルオロフォアの5’側のいずれかに配置される。
【0023】
ステップ(1)の一実施形態では、複数の生物学的プローブのセットは、異なるヌクレオチド捕捉部位並びに異なる第1及び第2のフルオロフォアを含む各ペアの第1のオリゴ
ヌクレオチドと共に、同じ方法で使用してもよい。別の実施形態では、当該セットは、読者が向けられる我々の欧州特許出願第17171168.2号において教示されているタイプの他の生物学的プローブを更に含むことができる。例えば、実例として、DNA前駆体のメチル化状態を調べる場合、ヌクレオチド捕捉部位に関連する核酸塩基がチミンである場合は、1つのペアはメチル化又は非メチル化デオキシアデノシン三リン酸を捕捉することができ、捕捉部位がグアニン核酸塩基を含む場合は、別のペアがメチル化又は非メチル化デオキシシチジン三リン酸を捕捉することができるだろう。複数の第1のオリゴヌクレオチドのペアを使用するこれらのような実施形態では、最小数の制限エンドヌクレアーゼの使用が必要とされるように、それぞれ異なる標識をされた第1のオリゴヌクレオチドであっても、同じ認識部位を含むことが好ましい。従って、一実施形態では、認識部位は、修飾された核酸塩基を含むペアの認識部位の一方又は他方と共に、RNA又はDNA(場合によって)の典型的な各ヌクレオチドの少なくとも1つを含む配列で構成されることが好ましい。
【0024】
ステップ(1)は、分析物中の各単一ヌクレオシド三リン酸を、20~80℃の範囲の温度で上記の酵素及び1つ又は複数のプローブと接触させることにより適切に実施する。
【0025】
ステップ(1)の生成物は、1つ又は複数の二本鎖を含み、その構成部分は、それぞれ、(i)第1のオリゴヌクレオチドの1つ、及び(ii)第2のオリゴヌクレオチド、ヌクレオシド三リン酸分子由来のヌクレオチド分子(修飾又は未修飾)の一方又は他方、及び任意選択で第3のオリゴヌクレオチドを含む成分である。上記で説明したように、ステップ(1)をリガーゼの存在下で行う場合、(ii)の種々の成分は、別個の第4のオリゴヌクレオチドも共に含み、使用プローブは、少なくとも認識部位の付近で二本鎖になるだろう。第2及び第3のオリゴヌクレオチドがリンカー領域により予め結合されている場合、これにより、閉ループでエキソヌクレアーゼ分解耐性の高い第4のオリゴヌクレオチドがもたらされることは、容易に明らかであろう。
【0026】
同様に、修飾又は未修飾ヌクレオシド三リン酸分子のいずれか又は両方と、それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドのペアとを含む核酸分析物を含む2成分の場合、4つの可能な結果が見込まれることは明白であろう。これらの結果における置換(permutation)は、第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチド、及び第2のオリゴヌクレオチドと、分析物に由来する修飾ヌクレオシド三リン酸分子と、任意選択で第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分(「第1の修飾」);第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチド、及び第2のオリゴヌクレオチドと、分析物に由来する未修飾ヌクレオシド三リン酸分子と、任意選択で第三のオリゴヌクレオチドとを含む成分(「第1の未修飾」);第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチド、及び第2のオリゴヌクレオチドと、分析物に由来する修飾ヌクレオシド三リン酸分子と、任意選択で第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分(「第2の修飾」);並びに第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチド、及び第2のオリゴヌクレオチドと、分析物に由来する未修飾ヌクレオシド三リン酸分子と、任意選択で第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分(「第2の未修飾」)を含むだろう。従って、上記の方法の種々の実施形態において、これらの二本鎖のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つ全てが、ステップ(1)の生成物中に存在する可能性がある。当業者はまた、複数のプローブ及び複数のタイプのヌクレオシド三リン酸分子が存在するより複雑な分析では、置換の数はそれに応じて増加するが、結果として得られる置換のセットは容易に決定することができることを理解するであろう。
【0027】
ステップ(2)では、ステップ(1)で作製された二本鎖を、20~100℃の範囲の温度で、上記の置換のいくつか又は全てを区別することができる制限エンドヌクレアーゼ系と反応させる。下記で説明するように、この区別は、制限エンドヌクレアーゼ系の成分
の正しい選択及び対応する制限エンドヌクレアーゼ認識部位の特徴によりもたらされる。一実施形態では、この制限エンドヌクレアーゼ系は、第1のオリゴヌクレオチドに由来する成分のみをその認識部位で切断するように設計された少なくとも1つのニッキング制限エンドヌクレアーゼを含む。別の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、両方の鎖を切断できるものであってもよく、また、第2及び/又は第3のオリゴヌクレオチドは、例えば、第2及び第3のオリゴヌクレオチドのいずれか又は両方にエンドヌクレアーゼブロッキング基を含むことにより、切断に対して耐性にしてもよい。一実施形態では、これらのブロッキング基は、ホスホロチオエート結合及び当該技術分野で一般的に使用される他の骨格修飾、オリゴヌクレオチドスペーサー、又はリン酸基等から選択することができる。リガーゼを用いない第3の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、ヌクレオシド三リン酸分子の捕捉後に第2及び第3のオリゴヌクレオチド間に残る切断部位で両方の成分を切断できるものであってもよい。
【0028】
適切な制限エンドヌクレアーゼの詳細は、本発明の方法、プローブ、及びプローブシステムと共に使用することができるニッキングエンドヌクレアーゼを含めて、http://rebase.neb.comにて、関連するデータベースに見出すことができる。
【0029】
一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼ系は、「第1の修飾」二本鎖のみを切断することができる第1の制限エンドヌクレアーゼと、「第2の未修飾」二本鎖のみを切断することができる第2の制限エンドヌクレアーゼとを含む。この場合、ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されている場合は第1のフルオロフォアのみが放出され、未修飾である場合は第2のフルオロフォアのみが放出される。当該実施形態では、調査中の修飾がアデニンメチル化である場合、使用することができる制限エンドヌクレアーゼのペアとしては、DpnI及びHpyl88Iが挙げられる。
【0030】
別の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼ系は、「第1の修飾」二本鎖を切断することができない制限エンドヌクレアーゼを含む。この場合、ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されている場合は2番目のフルオロフォアのみが放出され、未修飾である場合は第1及び第2のフルオロフォアの両方が放出される。この例では、修飾がアデニンメチル化である場合、制限エンドヌクレアーゼは、例えば、ClaI又はAlwIとすることができる。
【0031】
別の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼ系は、全ての二本鎖を切断することができる第1の制限エンドヌクレアーゼと、「第2の未修飾」二本鎖のみを切断することができる第2の制限エンドヌクレアーゼとを含む。この場合、第2のオリゴヌクレオチドの認識部位は、第2の制限エンドヌクレアーゼによる切断部位と同じ位置にない、第1の制限エンドヌクレアーゼによる切断部位に、制限エンドヌクレアーゼブロッキング部位を更に含む。ここで、ヌクレオシド三リン酸が修飾されている場合は第1のフルオロフォアのみが放出され、修飾されていない場合は第1及び第2のフルオロフォアの両方が放出される。アデニンメチル化に適用される当該アプローチの一例は、制限エンドヌクレアーゼBfuCI及びBspEIと、BfuCIの切断部位にホスホロチオエートブロッキング結合を含む第2のオリゴヌクレオチドとの併用である。
【0032】
更に別の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼ系は、「第1の修飾」二本鎖又は「第2の未修飾」二本鎖を切断することができない制限エンドヌクレアーゼを含む。この場合、ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されている場合は第2のフルオロフォアのみが放出され、修飾されていない場合は第1のフルオロフォアのみが放出される。
【0033】
ステップ(2)は、2つの別個のエレメントに切断された二本鎖の少なくとも1つの第1のオリゴヌクレオチド成分をもたらし、2つの別個のエレメントの1つは、第1又は第
2のフルオロフォア(場合によって)と使用する場合は消光剤とを有する。これにより、3つの可能な統計結果のうちの1つが導き出される:(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌ
クレオチドエレメントのみが生成される
、(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみが生成される、又は(iii)その両方の混合物が得られる。
【0034】
上記のように、ステップ(2)の終わりに、第2のオリゴヌクレオチドと、ヌクレオシド三リン酸分子に由来する修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方と、任意選択で第3のオリゴヌクレオチドとを含む成分(例えば、第4のオリゴヌクレオチド)を、ステップ(3)において、ペアの別の対応する第1のオリゴヌクレオチド分子にハイブリダイズ又は複合体化させ、それにより新しい使用プローブ二本鎖を作製する。当該二本鎖は、その後、ステップ(2)及び(3)の繰り返しを受け、それにより、検出可能な状態の更なるフルオロフォアを放出し、再び成分/第4のオリゴヌクレオチドを生成する。この方法により、ステップ(2)及び(3)が繰り返されて、原則として、実質的に全ての第1のオリゴヌクレオチドのペアが消費されるまで、蛍光シグナルが更に増強される。結果として、観察者は、他の方法で得られたものよりもはるかに大きな蛍光シグナルの増強を確認する。ステップ(1)でヌクレオシド三リン酸分子に由来するヌクレオチドの第3のオリゴヌクレオチドへの連結が起こらない一実施形態では(第3のオリゴヌクレオチドが使用されない方法の例を含むがこれに限定されない)、ステップ(2)は単に第2のオリゴヌクレオチド及びヌクレオチドを含む成分の放出をもたらしてもよい。そのような場合、新しく入ってくる第1のオリゴヌクレオチドは、それに付着した第3のオリゴヌクレオチドを既に有するか、又は第3のオリゴヌクレオチドは、その構造の一部であってもよい。
【0035】
一実施形態では、ステップ(2)がステップ(1)よりも高い温度で行われ、且つ/又はステップ(3)がステップ(2)よりも高い温度で行われることが好ましい。
【0036】
ステップ(4)において、ステップ(2)及び/又はステップ(3)の各反復のいずれか又は両方で作製されたエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントは、2つの方法のどちらを用いるかに応じて、3’-5’又は5’-3エキソヌクレアーゼ活性のいずれかを示す酵素により分解される。従って、エンドヌクレアーゼ分解及びそれに続くエキソヌクレアーゼ分解が起こると、観察者は蛍光シグナルの開始及び急速な増加を確認する。ステップ(4)は、30~100°Cの範囲の温度で最も効果的に達成することができる。ステップ(4)は、反復ステップ(3)が完了した後、又はステップ(2)及び(3)が生じているときに並行して行うことができることは、当業者には理解されよう。
【0037】
その後、ステップ(5)において、ステップ(3)又はステップ(2)~(4)の各反復で遊離したフルオロフォアが検出され、元々の単一ヌクレオシド三リン酸分子に付着した核酸塩基の修飾状態が、推測により、例えば、上記の結果に従って決定される。対応する検出方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、この方法で使用される反応媒体は、LED又はレーザー等の高強度電磁放射源からの光と、種々の第1及び第2のフルオロフォアの特徴的な蛍光波長又は波長エンベロープに調整された光検出器又は蛍光分析器を使用して収集された生成蛍光とから調べることができる。次に、これにより、光検出器は、既知のアルゴリズムを使用してコンピュータで処理及び分析することができる特徴的な電気シグナルを生成する。一実施形態では、分析物は、修飾及び未修飾ヌクレオシド三リン酸分子の両方を含み、方法は、ステップ(5)の結果からそれぞれの相対比率を決定するステップ(6)を更に含む。
【0038】
特に好適な実施形態では、本発明の方法は、少なくとも幾つかが単一ヌクレオシド三リ
ン酸分子を含む微小液滴のストリーム、例えば、その順序が進行的に分解された核酸前駆体の元々のヌクレオチド配列を反映するストリーム中で、全体的又は部分的に行われる。こうした方法は、例えば、そのような進行性分解により生成されたヌクレオシド三リン酸分子を、順序を維持するのを助ける炭化水素又はシリコーン油等の非混和性担体溶媒中に保持された対応する水性微小液滴のストリームに1つずつ挿入することにより開始してもよい。或いは、これは、進行性分解ゾーンの微小液滴ダウンストリームを直接形成することにより、例えば、反応媒体を適切な寸法の微小液滴ヘッドから溶媒の流動ストリームに入れることにより、達成することができる。或いは、進行性分解ゾーンからの反応媒体の小さなアリコートを溶媒中に懸濁させた既存の水性微小液滴のストリームに、一定の間隔で連続的に注入することができる。この後者の方法が用いられる場合、各微小液滴は、プローブシステムの各種成分並びに酵素及びステップ(1)~(4)を行うのに必要な任意のその他の試薬(例えば、バッファー)を既に含有していてもよい。更に別の方法では、前者の実施形態で作製した微小液滴を、続いてこのような既存の微小液滴のストリームと合体させて、同様の結果を達成することができる。これらの微小液滴法において、ステップ(5)は、次に、好ましくはインキュベーション後に、微小液滴を貯蔵領域に移送し、各微小液滴を調査して遊離したフルオロフォアを同定することを好適に含む。その後、各微小液滴から得られた結果を元々の核酸分析物のデータ特性に組み込む。
【0039】
所定の微小液滴が2つ以上のヌクレオシド三リン酸分子を含むリスクを回避するため、各充填された微小液滴が平均して1~20個、好適には2~10個の空の液滴で離されるような速度で、進行性分解ゾーンからそれぞれ放出されることが好ましい。その後、溶媒中の充填された及び充填されていない微小液滴のストリームを、流路、適切にはマイクロ流体流路に沿って、微小液滴が離散状態に維持され、且つ互いに合体する機会を持たないような速度及び方法で、流動させる。適切には、用いられる微小液滴は100ミクロン未満、好ましくは50ミクロン未満、より好ましくは20ミクロン未満、更に好ましくは15ミクロン未満の有限直径を有する。それらの全ての直径のうち、2~20ミクロンの範囲が最も好ましい。一実施形態では、システム全体を通る微小液滴流量は、毎秒50~3000液滴、好ましくは100~2000液滴の範囲内である。
【0040】
本発明の第3の態様では、(i)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の5’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の5’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(ii)それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズすることが可能な少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドからなる(a)第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペアを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブを提供する。
【0041】
一実施形態では、エキソヌクレアーゼブロッキング部位は、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端に隣接して位置する。別の実施形態では、エキソヌクレアーゼブロッキング部位は、ペアの各第1のオリゴヌクレオチドを環状、即ち、閉ループにすることにより得られる。
【0042】
本発明の第4の態様では、(i)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の3’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の3’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(ii)それぞれ前記第1のオリ
ゴヌクレオチドから区別され、前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズすることが可能な少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドからなる(a)第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペアを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブを提供する。
【0043】
一実施形態では、エキソヌクレアーゼブロッキング部位は、第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に隣接して位置する。別の実施形態では、エキソヌクレアーゼブロッキング部位は、ペアの各第1のオリゴヌクレオチドを環状、即ち、閉ループにすることにより得られる。
【0044】
これら第3及び第4の態様の両方の一実施形態では、第1のオリゴヌクレオチド上の種々のフルオロフォアは、自己消光するために互いに近接して配置される。別の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアを消光する消光剤を含む。適切なフルオロフォア及び消光剤としては、上記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別の実施形態では、第2及び第3のオリゴヌクレオチドは、上記で説明したように、リンカー領域により結合されており、リンカー領域自体が別のオリゴヌクレオチド領域であることが好ましい。
【0045】
上記で説明したように、DNA又はRNAシーケンスの目的で、本明細書で説明する生物学的プローブは、捕捉部位の核酸塩基の特性及び使用する第1及び第2のフルオロフォアの蛍光特性のみが異なる複数の異なる第1のオリゴヌクレオチドのペアタイプを含む対応する生物学的プローブ系に構築することができる。任意選択で、これらのプローブは、我々の欧州特許出願第17171168.2号において教示されているタイプの他の生物学的プローブと関連して使用してもよい。一実施形態では、捕捉部位の核酸塩基の特性及び第1及び第2のフルオロフォアのみが異なる1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の異なる第1のオリゴヌクレオチドのペアタイプを使用することができる。天然に存在するDNA又はRNAの場合、これらの核酸塩基はA、G、C、及びT又はUで構成される。別の実施形態では、生物学的プローブシステムは、リガーゼ、ポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、及び場合によって3’-5’又は5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を示す酵素の少なくとも1つを更に含むキットとして明示される
【実施例0046】
ここで、本発明を、下記の実施例を参照しながら説明する。
【0047】
実施例-プローブシステムの調製及び使用
それぞれ以下のヌクレオチド配列を有する第1の一本鎖オリゴヌクレオチド1a及び1bを調製する:
5’-TTTCGGGTGAGGTCATGGTCGACAGGTGGGFFQAGATGATGATCAGATGTTGCCCTTAGCX-3’
5’-TTTCGAGTGAGGTCATGGTCGACAGGTGGGEEQAGATGATGmATCAGmATGTTGCCCTTAGCX-3’
(配列中、A、C、G、及びTは、DNAの特徴的な関連ヌクレオチド塩基を有するヌクレオチドを表し、Fは、従来のアミン付着化学作用を用いてAtto700染料で標識したデオキシチミジンヌクレオチド(T)を表し、Eは、従来のアミン付着化学作用を用いてAtto594染料で標識したデオキシチミジンヌクレオチド(T)を表し、Qは、BHQlang=EN-US>-2消光剤で標識したデオキシチミジンヌクレオチドを表し、mAは、N6-メチル
-デオキシアデニンヌクレオチドを表し、Xは、3’逆dT(inverted 3’dT)ヌクレオチドを表す。どちらの第1の一本鎖オリゴヌクレオチドも、デオキシヌクレ
オシド三リン酸(dNTP)の混合物中のデオキシアデニン三リン酸ヌクレオチド(dATP)の捕捉に選択的な捕捉領域(Tヌクレオチド)を5’末端から43番目の塩基に、及び制限エンドヌクレアーゼDpnI及びDpnIIの認識配列「GATC」を更に含む。)
【0048】
2つの第1のオリゴヌクレオチドの捕捉領域に隣接(flanking)する3’領域に対し相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド領域と、DpnIIの切断部位にホスホロチオエート結合とを含む別の一本鎖オリゴヌクレオチド2、及び、2つの第1のオリゴヌクレオチドの捕捉領域に隣接する5’領域に対し相補的な配列を5’リン酸基と共に有するオリゴヌクレオチド領域と、3’逆dTヌクレオチドとを含む一本鎖オリゴヌクレオチド3も調製する。これらは以下のヌクレオチド配列を有する:
オリゴヌクレオチド2:5’-TAAGGGCAACATCTG-3’
オリゴヌクレオチド3:5’-PTCATCATCTAAACCCACCTGTCGAGX-3’
(配列中、Pは5’リン酸基を、Xは3’逆dTヌクレオチドを、はホスホロチオエート結合を表す。)
【0049】
次に、プローブシステムを含む反応混合物を調製する。反応混合物は、以下の配合組成に由来するものに対応する組成を有する:
20μLの5×バッファー、pH7.9
10μLのオリゴヌクレオチド1a、250nM
10μLのオリゴヌクレオチド1b、250nM
10μLのオリゴヌクレオチド2、10nM
10μLのオリゴヌクレオチド3、1000nM
10UのDpnI制限エンドヌクレアーゼ(New England Biolabs
Inc.製)
10UのDpnII制限エンドヌクレアーゼ(New England Biolabs Inc.製)
2.9UのBst Large Fragmentポリメラーゼ
2.7UのPlatinum Pfxポリメラーゼ
6.7Uの熱安定性無機ピロホスファターゼ
10μLのdATP又はN6-メチル-dATP、1nM
100μLまでの水。
ここで、5×バッファーは以下の混合物を含む:
100μLのTrizma酢酸塩、1M、pH8.0
50μLの含水酢酸マグネシウム、1M
250μLの含水酢酸カリウム、1M
50μLのTriton Xlang=EN-US>-100界面活性剤(10%)
500μgのBSA
1mLまでの水。
【0050】
次に、dATP又はN6-メチル-dATPの捕捉を、混合物を37℃で10分間インキュベーションすることにより行う。次に、温度を37℃で更に120分間保持し、第1のオリゴヌクレオチドの反復切断を行う。その後、更に15分間かけて温度を72℃まで上げ、フルオロフォア及び消光剤を有する切断された第1のオリゴヌクレオチド成分の分解を行う。反応の進行とともにCLARIOStarマイクロプレートリーダー(BMG
Labtech製)を用いて反応混合物におけるAtto700染料及びAtto594染料の蛍光強度を測定する。
【0051】
反応混合物のdNTP成分の存在下及び非存在下で、最後の15分間の分解ステップに
おける蛍光強度の増加をモニタリングする。反応混合物にdNTPが存在しない場合、オリゴヌクレオチド1a及び1bのAtto700染料及びAtto594染料はほとんど蛍光を示さない。検出混合物中にdATPが存在した場合、DpnIIはオリゴヌクレオチド1aを反復切断することができるが、DpnIはいずれの第1のオリゴヌクレオチドも切断することができず、その結果、エキソヌクレアーゼ分解後にAtto700チャンネルにおいてのみシグナルが生成する。検出混合物中にN6-メチル-dATPが存在する場合、DpnIはオリゴヌクレオチド1bを反復切断することができるが、DpnIIはいずれの第1のオリゴヌクレオチドも切断することができず、その結果、Atto594チャンネルにおいてのみシグナルが生成する。
【配列表】
2023071746000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA又はRNA分析物中の所定のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であり、
(1)ポリメラーゼの存在下で、前記分析物を生物学的プローブと反応させるステップであり、前記生物学的プローブは、(a)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の5’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位の成分第2の及び任意選択で第3のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズすることにより形成された前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位であって、該領域自体は、前記プローブによって検出されるヌクレオシド三リン酸分子により生じる核酸塩基に相補的である前記単一ヌクレオチドを含む捕捉部位のいずれかの側に並置される、単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の5’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む、異なる第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(b)少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方、他方、又は両方の前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズして、(b1)前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は他方と、(b2)前記第2のオリゴヌクレオチド、前記ヌクレオシド三リン酸分子由来の修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方、及び任意選択で前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分とからなる二本鎖使用プローブを作製することができ、前記二本鎖は4つの可能な(b1)/(b2)二本鎖置換のうちの1つを含む、ステップ;
(2)ステップ(1)で作製された前記二本鎖を、前記(b1)鎖を前記認識部位で選択的に切断するのに適した少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼ系と反応させて、元々の前記ヌクレオシド三リン酸分子における修飾の有無に応じて、(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(iii)それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントの混合物を作製するステップ;
(3)前記(b2)成分及び前記ペアの別の第1のオリゴヌクレオチドから別の二本鎖使用プローブを作製し、その後、ステップ(1)及び(2)を繰り返すステップ;
(4)3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で前記第1のオリゴヌクレオ
チドエレメントを分解して、ステップ(2)及び(3)のいずれか又は両方の後に検出可能な状態であるフルオロフォアを生成するステップ;及び
(5)ステップ(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルの性質から、元々の前記単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか未修飾であるかを推測するステップ
を含み
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、(i)前記第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する修飾されたヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分を含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第1の制限エンドヌクレアーゼ、並びに、(ii)前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する未修飾のヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分を含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第2の制限エンドヌクレアーゼ、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
DNA又はRNA分析物中の所定のヌクレオシド三リン酸分子の核酸塩基が所定の化学修飾又は構造修飾を含むか否かを決定する方法であり、
(1)ポリメラーゼの存在下で、前記分析物を生物学的プローブと反応させるステップであり、前記生物学的プローブは、(a)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の3’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位の成分第2の及び任意選択で第3のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズすることにより形成された前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位であって、該領域自体は、前記プローブによって検出されるヌクレオシド三リン酸分子により生じる核酸塩基に相補的である前記単一ヌクレオチドを含む捕捉部位のいずれかの側に並置される、単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の3’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む、異なる第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(b)少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方、他方、又は両方の前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズして、(b1)前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は他方と、(b2)前記第2のオリゴヌクレオチド、前記ヌクレオシド三リン酸分子由来の修飾又は未修飾ヌクレオチドの一方又は他方、及び任意選択で前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分とからなる二本鎖使用プローブを作製することができ、各二本鎖は4つの可能な(b1)/(b2)二本鎖置換のうちの1つを含む、ステップ;
(2)ステップ(1)で作製された前記二本鎖を、前記(b1)鎖を前記認識部位で選択的に切断するのに適した少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼ系と反応させて、元々の前記ヌクレオシド三リン酸分子における修飾の有無に応じて、(i)第1のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(ii)第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントのみ、又は(iii)それぞれ第1又は第2のフルオロフォアを有するエキソヌクレアーゼ分解可能な第1のオリゴヌクレオチドエレメントの混合物を作製するステップ;
(3)前記(b2)成分及び前記ペアの別の第1のオリゴヌクレオチドから別の二本鎖使用プローブを作製し、その後、ステップ(1)及び(2)を繰り返すステップ;
(4)5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で前記第1のオリゴヌクレオチドエレメントを分解して、ステップ(2)及び(3)のいずれか又は両方の後に検出可能な状態であるフルオロフォアを生成するステップ;及び
(5)ステップ(4)で放出されたフルオロフォアを検出し、観察された蛍光シグナルの性質から、元々の前記単一ヌクレオシド三リン酸分子が修飾されているか未修飾である
かを推測するステップ
を含み
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、(i)前記第1のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する修飾されたヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分を含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第1の制限エンドヌクレアーゼ、並びに、(ii)前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する未修飾のヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分を含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第2の制限エンドヌクレアーゼ、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
(i)前記制限エンドヌクレアーゼ系が、全ての(b1)-(b2)二本鎖を切断することが可能な第1の制限エンドヌクレアーゼ、及び、前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2のオリゴヌクレオチドと、前記分析物に由来する未修飾のヌクレオシド三リン酸分子と、前記第3のオリゴヌクレオチドを含む成分を含む(b1)-(b2)二本鎖のみを切断することが可能な第2の制限エンドヌクレアーゼを含むこと、及び、(ii)前記第2のフルオロフォアを有する第1のオリゴヌクレオチドの認識部位が第1の制限エンドヌクレアーゼブロッキング部位を更に含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制限エンドヌクレアーゼ系が、少なくとも1つのニッキングエンドヌクレアーゼを含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記エキソヌクレアーゼブロッキング部位が、各第1のオリゴヌクレオチドを閉ループにすることにより得られることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)がリガーゼの存在下で行われて、1つの前記第1のオリゴヌクレオチドと、前記第2及び第3のオリゴヌクレオチド及び前記分析物に由来する前記所定のヌクレオシド三リン酸分子を含む相補的な第4のオリゴヌクレオチドとを含む二本鎖を作製し、ステップ(4)が前記第4のオリゴヌクレオチドから別の使用プローブ二本鎖を作製することを含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のオリゴヌクレオチド及び前記第3のオリゴヌクレオチドが、それ自体が任意選択でオリゴヌクレオチドであってもよいリンカー領域で結合していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第4のオリゴヌクレオチドが、制限エキソヌクレアーゼによる切断に耐性があることを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【請求項9】
前記ペアの第1のオリゴヌクレオチドの一方又は両方が、前記フルオロフォアを消光する1つ又は複数の消光剤を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記分析物が、修飾及び未修飾の単一ヌクレオシド三リン酸分子の両方を含み、前記方法が、それぞれの量及び相対比率をステップ(5)の結果から決定する追加のステップを更に含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(2)がステップ(1)よりも高い温度で行われ、且つ/又は、ステップ(3)がステップ(2)よりも高い温度で行われることを特徴とする、請求項1~10のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヌクレオシド三リン酸が、対応する微小液滴に含まれ、ステップ(1)~(4)が、前記微小液滴内で行われることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(i)エキソヌクレアーゼブロッキング部位;前記ブロッキング部位の5’側に位置する少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識部位;前記認識部位内に位置する単一ヌクレオチド捕捉部位;及び実質的に検出不可能であるように配置されたそれぞれ前記認識部位の5’側に位置する第1及び第2のフルオロフォアをそれぞれ含む第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペア、及び(ii)それぞれ前記第1のオリゴヌクレオチドから区別され、前記捕捉部位の3’側及び5’側の相補的なフランキング領域にハイブリダイズすることが可能な少なくとも1つの第2の一本鎖オリゴヌクレオチド及び任意選択で少なくとも1つの第3の一本鎖オリゴヌクレオチドからなる(a)第1の一本鎖オリゴヌクレオチドのペアを含むことにより特徴づけられる、多成分生物学的プローブ。
【外国語明細書】