(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071752
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】PSMA阻害剤を含有する18F標識トリアゾール
(51)【国際特許分類】
C07D 249/04 20060101AFI20230516BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20230516BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230516BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230516BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230516BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20230516BHJP
C07C 275/16 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C07D249/04 503
A61K31/4192
A61P1/00
A61P11/00
A61P13/08
A61P13/12
A61P15/00
A61P35/00
A61P35/04
A61K51/04 200
C07C275/16 CSP
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022111
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2018568352の分割
【原出願日】2017-06-28
(31)【優先権主張番号】62/355,430
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】510243539
【氏名又は名称】コーネル ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】バビック,ジョン,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ジェームズ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】アモル-コアラサ,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ポンナラ,シャシカンス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】PSMAを過剰発現している哺乳動物組織の画像化するための化合物、それらの中間体、それらの組成物、それらの医薬、および方法を提供する。
【解決手段】化合物は、式(IV)の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IVの化合物
【化1】
(式中、
P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、またはtert-ブチルであり;
wは1または2であり;
xは0、1、2、または3であり;
yは1または2である)。
【請求項2】
P7、P8、およびP9が、各々独立にHまたはtert-ブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
P7、P8、およびP9が、各々独立にHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物を調製するための、式Vの中間体
【化2】
(式中、
P
10、P
11、およびP
12は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、またはtert-ブチルであり;
bは1または2であり;
dは0、1、2、または3である)。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項6】
前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組織を検出するための医薬組成物であって、有効量の請求項3に記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
哺乳動物組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項3に記載の化合物を対象に投与するステップ;ならびに
投与に続いて、陽電子放出、陽電子の放出および消滅からのガンマ線の1つまたは複数を検出し、陽電子放出によるチェレンコフ放射を検出するステップ
を含む方法。
【請求項9】
有効量の前記化合物を対象に投与するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象が、前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組織を患っていると疑われる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
哺乳動物組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物を投与するステップが非経口投与を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶媒の存在下で、請求項4に記載の化合物、銅塩、および式VI
【化3】
のアジドを接触させるステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる、2016年
6月28日出願の米国仮出願第62/355,430号に対する優先権の利益を主張する
。
【0002】
本発明の技術は、前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組
織、例えば、癌組織および癌新生血管などの画像化に関連する化合物、組成物、および方
法を対象とする。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、式Iによる化合物
【0004】
【化1】
または薬学的に許容されるそれらの塩が提供される
(式中、P
1、P
2、およびP
3は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベ
ンジル、またはtert-ブチルであり;W
1は、-C(O)-または-(CH
2)
n-
NH
2-C(O)-であり;
R
1、R
2、およびR
3の1つは、
【0005】
【化2】
であり、R
1、R
2、およびR
3の残りの2つは、各々Hであり;X
1は存在しないか、
O、S、またはNHであり;mは、0、1、2、または3であり;nは1または2であり
;pは0、1、2、または3であり、ただし、pが0である場合、X
1は存在せず;qは
、1または2である)。本明細書における任意の実施形態において、P
1、P
2、および
P
3は、各々独立にHまたはtert-ブチルであることができる。本明細書における任
意の実施形態において、P
1、P
2、およびP
3が各々独立にHであることもできる。
【0006】
同様に、式IVの化合物
【0007】
【化3】
または薬学的に許容されるそれらの塩が提供される
(式中、P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベ
ンジル、またはtert-ブチルであり;wは、1または2であり;xは0、1、2、ま
たは3であり;yは1または2である)。P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にHまた
はtert-ブチルである。本明細書における任意の実施形態において、P
7、P
8、お
よびP
9は、各々独立にHであることもできる。
【0008】
式Iまたは式IIの化合物を調製するための中間体も提供される。18F化合物は、典
型的には、使用前に比較的短時間で発生されるので、本発明の技術の中間体は、利用可能
な供給源に対する実質的改善を提供して、標的を画像化する本発明の技術の化合物を迅速
に高い放射化学的収率で生産することを非常に容易にする。
【0009】
式Iの化合物を生産するために特に有用な中間体は、式II
【0010】
【化4】
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含むが、これらに限定されない
(式中、P
4、P
5、およびP
6は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベ
ンジル、またはtert-ブチルであり;W
2は、-C(O)-または-(CH
2)
s-
NH
2-C(O)-であり;R
4、R
5、およびR
6の1つは
【0011】
【化5】
であり、R
4、R
5、およびR
6の残りの2つは、各々Hであり;X
2は、存在しないか
、O、S、またはNHであり;rは0、1、2、または3であり;sは1または2であり
;tは0、1、2、または3であり、ただし、tが0である場合、X
2は存在しない)。
【0012】
同様に、式IVの化合物を生産するために特に有用な中間体は、式V
【0013】
【化6】
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含むが、これらに限定されない
(式中、P
10、P
11、およびP
12は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メト
キシベンジル、またはtert-ブチルであり;bは1または2であり;dは0、1、2
、または3である)。
【0014】
関連する態様において、式I~IVの化合物および薬学的に許容される担体の任意の実
施形態を含む組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】LNCaP異種移植腫瘍担持マウスにおける[
18F]でフッ素化されたPSMAリガンドの一連のマイクロPET/CT画像を示す図である。マウス(1時点当たりn=2)を、注射後1時間、2時間、4時間および6時間に画像化した。全ての画像は、減衰を補正して縮尺して、最高の腫瘍取り込み画像(本発明の技術のRPS-040;注射後2時間)を強度目盛りを設定するための参照として使用した。
【
図2】LNCaPにおける異種移植腫瘍担持マウス中における[
18F]RPS-040(本発明の技術の)の体内分布を示す図である。マウス(1時点当たりn=5)を注射後1時間(1時間PI)、2時間(2時間PI)および4時間(4時間PI)に殺した。PSMAに対する特異性を決定するために、2-PMPAを共投与して、マウスを注射後1時間に殺した(n=5;1時間PIに遮断麻酔した)。
【
図3】LNCaP異種移植腫瘍担持マウスにおける[
18F]RPS-041(本発明の技術の)の体内分布を示す図である。マウス(1時点当たりn=5)を、注射後1時間(1時間PI)、2時間(2時間PI)および4時間(4時間PI)に殺した。
【
図4】LNCaP異種移植腫瘍担持マウスにおける[
18F]RPS-040および[
18F]RPS-041の腫瘍対バックグラウンド比を示す図であり、
図4Aは、腫瘍対血液比を示し、
図4Bは腫瘍対腎臓比を示し、
図4Cは腫瘍対肝臓比を示し、および
図4Dは腫瘍対筋肉比を示す。腫瘍対筋肉比における大きい誤差バーは、筋肉で記録された低いカウントに基づくと思われる。
【
図5】[
18F]RPS-040(
図5A)、[
18F]RPS-041(
図5B)および[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CC(
図5C)を含むLNCaP異種移植担持ヌードマウスのマイクロPET/CT画像化を示す図である。マウスは、6.66~8.14MBq(180~220μCi)を注射されて注射後1時間に画像化された。
【
図6】腫瘍、腎臓、および血液における[
18F]RPS-040、[
18F]RPS-041および[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCの取り込みの間の比較を示す図である。特に、
図6Aは、注射後1時間および2時間または3時間における([
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CC)の腫瘍対血液比を示し、
図6Bは腫瘍対腎臓比、および
図6Cは腫瘍による取り込みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
種々の態様において、本発明の技術は、前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発
現している哺乳動物組織を画像化するための化合物および方法を提供する。本明細書で提
供される化合物は、開示された方法で、有用な医薬組成物および医薬に製剤化することが
できる。医薬製剤および医薬の調製における化合物の使用も提供される。
【0017】
以下の用語は、全体を通して下で定義されるように使用される。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、「a」および「an」およ
び「the」などの単数の冠詞および、構成要素を記載する文脈(特に以下の請求項の文
脈)における同様な指示は、本明細書中で特に断りのない限りまたは文脈によって明らか
に矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書
中における値の範囲の記述は、本明細書中で特に断りのない限り、範囲内に入る別々の各
値を個々に挙げることを省略した方法として役立つことを単に意図されるもので、別々の
各値が、あたかもそれが本明細書中で個々に挙げられたかのように、本明細書中に組み込
まれる。本明細書で記載される全ての方法は、本明細書中で特に断りのない限り、または
そうではなくて文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順序で実施すること
ができる。本明細書で提供されるあらゆる例、または例示的な言葉(例えば、「など」)
の使用は、実施形態をより明らかにすることが単に意図され、特に断りのない限り請求項
の範囲に限定を課すことはない。明細書中における言い回しは、特許請求されていない如
何なる構成要素も、必須と指示すると解釈されるべきでない。
【0019】
本明細書において使用される「約」は、当業者によって理解され、およびそれが使用さ
れる文脈に依存して、ある程度変化するであろう。当業者にとって明確でない用語の使用
があれば、それが使用されている文脈を考慮して、「約」は、特定の限界のプラスマイナ
ス10%までを意味するであろう。
【0020】
一般的に、水素すなわちHなどのある種の元素に対する言及は、その元素の全ての同位
体を含むことが意味される。例えば、R基が水素すなわちHを含むと定義されていれば、
それは、重水素およびトリチウムも含む。したがって、トリチウム、14C、32P、お
よび35Sなどの放射性同位体を含む化合物は、本発明の技術の範囲内である。そのよう
な標識を本発明の技術の化合物中に挿入する手順は、本開示に基づいて当業者には容易に
明らかであろう。
【0021】
一般的に、「置換された」とは、有機基に含有される水素原子に対する1つまたは複数
の結合が、非水素または非炭素原子に対する結合により置き換えられた、下で定義される
ような有機基(例えば、アルキル基)を指す。置換された基は、炭素(単数または複数)
または水素(単数または複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、ヘテロ原子に対す
る二重または三重結合を含む1つまたは複数の結合により置き換えられた基も含む。した
がって、置換された基は、他のように特定されない限り、1つまたは複数の置換基で置換
されている。いくつかの実施形態では、置換された基は、1、2、3、4、5、または6
個の置換基で置換されている。置換基の例には、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、
およびI)、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケンオキシ、アリールオキシ、アラルキル
オキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルオキシ、およびヘテ
ロシクリルアルコキシ基、カルボニル(オキソ)、カルボキシレート、エステル、ウレタ
ン、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、チオール
、スルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホニル、ペンタフルオロスルファニル(す
なわち、SF5)、スルホンアミド、アミン、N-オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、
ヒドラゾン、アジド、アミド、ウレア、アミジン、グアニジン、エナミン、イミド、イソ
シアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、イミン、ニトロ基、ニ
トリル(すなわち、CN)等が含まれる。
【0022】
置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基などの
置換された環基は、水素原子に対する結合が、炭素原子に対する結合で置き換えられた環
および環系も含む。それ故、置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよ
びヘテロアリール基は、下で定義される置換または非置換のアルキル、アルケニル、およ
びアルキニル基で置換されていることもある。
【0023】
アルキル基は、1から12個の炭素原子、および典型的には、1から10個の炭素、ま
たは、いくつかの実施形態では、1から8個、1から6個、または1から4個の炭素原子
を有する直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基は、置換されていても、また
は非置換であってもよい。直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、n
-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチル基などの基
が含まれる。分岐アルキル基の例には、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、
tert-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、および2,2-ジメチルプロピル基が
含まれるが、これらに限定されない。代表的な置換されたアルキル基は、上でリストに挙
げた置換基などで、1回または複数回置換されていてもよく、ハロアルキル(例えば、ト
リフルオロメチル)、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルキルア
ミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル等
を含むが、これらに限定されない。
【0024】
シクロアルキル基は、環(単数または複数)中に、3から12個の炭素原子、または、
いくつかの実施形態では、3から10、3から8、もしくは3から4、5、もしくは6個
の炭素原子を有する単環、二環または三環式アルキル基を含む。シクロアルキル基は、置
換されていてもまたは非置換であってもよい。例示的な単環式シクロアルキル基には、シ
クロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およ
びシクロオクチル基が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、シ
クロアルキル基は、3から8個の環メンバーを有するが、他の実施形態では、環炭素原子
の数は、3から5、3から6、または3から7個の範囲にある。二環および三環式環系に
は、架橋シクロアルキル基および縮合環の両方、例えば、ビシクロ[2.1.1]ヘキサ
ン、アダマンチル、デカリニル等が含まれるが、これらに限定されない。置換されたシク
ロアルキル基は、上で定義された非水素および非炭素基で1回または複数回置換されてい
ることもある。しかしながら、置換されたシクロアルキル基は、上で定義された直鎖また
は分岐鎖のアルキル基で置換されている環も含む。代表的な置換されたシクロアルキル基
は、1回置換されていても、または2回以上、例えば、2,2-、2,3-、2,4-2
,5-もしくは2,6-ジ置換シクロヘキシル基などの、ただしこれらに限定されない回
数置換されていてもよく、それらは、上でリストに挙げた置換基などで置換されていても
よい。
【0025】
シクロアルキルアルキル基は、アルキル基に対する水素または炭素の結合が上で定義さ
れたシクロアルキル基に対する結合で置き換えられた上で定義されたアルキル基である。
シクロアルキルアルキル基は、置換されていてもまたは非置換であってもよい。いくつか
の実施形態では、シクロアルキルアルキル基は、4から16個の炭素原子、4から12個
の炭素原子、および典型的には4から10個の炭素原子を有する。置換されたシクロアル
キルアルキル基は、アルキル、シクロアルキルまたは基のアルキルおよびシクロアルキル
の両方の部分で置換されていてもよい。代表的な置換されたシクロアルキルアルキル基は
、モノ置換または2回以上の置換、例えば、上でリストに挙げた置換基などで、モノ-、
ジ-またはトリ-置換されていてもよいが、これらに限定されない。
【0026】
アルケニル基は、2個の炭素原子間の二重結合が少なくとも1つ存在することを除いて
、上で定義された直鎖および分岐鎖アルキル基を含む。アルケニル基は、置換されていて
もまたは非置換であってもよい。アルケニル基は、2から12個の炭素原子、典型的には
2から10個の炭素または、いくつかの実施形態では、2から8、2から6、もしくは2
から4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、1、2、また
は3個の炭素-炭素二重結合を有する。例には、とりわけ、ビニル、アリル、-CH=C
H(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=C
H(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2が含まれるが、これらに限定されない。代
表的な置換されたアルケニル基は、モノ置換されていても、または2回以上置換されてい
ても、例えば、上でリストに挙げた置換基などでモノ-、ジ-またはトリ-置換されてい
てもよいが、これらに限定されない。
【0027】
シクロアルケニル基は、少なくとも1つの2個の炭素原子間に二重結合を有する上で定
義されたシクロアルキル基を含む。シクロアルケニル基は、置換されていてもまたは非置
換であってもよい。いくつかの実施形態では、シクロアルケニル基は、1、2または3個
の二重結合を有することができるが、芳香族化合物は含まない。シクロアルケニル基は、
4から14個の炭素原子、または、いくつかの実施形態では、5から14個の炭素原子、
5から10個の炭素原子、またはさらに5、6、7、または8個の炭素原子を有する。シ
クロアルケニル基の例には、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニ
ル、シクロブタジエニル、およびシクロペンタジエニルが含まれる。
【0028】
シクロアルケニルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上で定義された
シクロアルケニル基に対する結合で置き換えられた、上で定義されたアルキル基である。
シクロアルケニルアルキル基は、置換されていてもまたは非置換であってもよい。置換さ
れたシクロアルケニルアルキル基は、基のアルキル、シクロアルケニルまたはアルキルお
よびシクロアルケニル部分の両方で置換されていてもよい。代表的な置換されたシクロア
ルケニルアルキル基は、上でリストに挙げた置換基などで1回または複数回置換されてい
てもよい。
【0029】
アルキニル基は、2個の炭素原子間の三重結合が少なくとも1つは存在することを除い
て、上で定義された直鎖および分岐鎖アルキル基を含む。アルキニル基は置換されていて
もまたは非置換であってもよい。アルキニル基は、2から12個の炭素原子、典型的には
2から10個の炭素または、いくつかの実施形態では、2から8、2から6、もしくは2
から4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、1、2、また
は3個の炭素-炭素三重結合を有する。例には、とりわけ、-C≡CH、-C≡CCH3
、-CH2C≡CCH3、-C≡CCH2CH(CH2CH3)2が含まれるが、これら
に限定されない。代表的な置換されたアルキニル基は、上でリストに挙げた置換基などで
、モノ置換されたまたは2回以上置換された、例えば、モノ、ジ-またはトリ-置換され
ていてもよいが、これらに限定されない。
【0030】
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。アリール基は、置
換されていてもまたは非置換であってもよい。本発明におけるアリール基は、単環式、二
環式および三環式の環系を含む。したがって、アリール基は、フェニル、アズレニル、ヘ
プタレニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニ
ル、インダニル、ペンタレニル、およびナフチル基を含むが、これらに限定されない。い
くつかの実施形態では、アリール基は、6から14個の炭素、および他の場合には、基の
環部分に、6から12個またはさらに6から10個の炭素原子を含有する。いくつかの実
施形態では、アリール基はフェニルまたはナフチルである。語句「アリール基」は、縮合
環、例えば、融合芳香族-脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチル等)
などを含有する基を含む。代表的な置換されたアリール基は、モノ置換されていても、ま
たは2回以上置換されていてもよい。例えば、モノ置換されたアリール基は、2-、3-
、4-、5-、または6-置換されたフェニルまたはナフチル基を含み、上でリストに挙
げた置換基などで置換されていてもよいが、これらに限定されない。
【0031】
アラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上で定義されたアリール基に対
する結合で置き換えられた、上で定義されたアルキル基である。アラルキル基は置換され
ていてもまたは非置換であってもよい。いくつかの実施形態では、アラルキル基は、7か
ら16個の炭素原子、7から14個の炭素原子、または7から10個の炭素原子を含有す
る。置換されたアラルキル基は、アルキル、アリールまたは基のアルキルおよびアリール
部分の両方で置換されていてもよい。代表的なアラルキル基は、ベンジルおよびフェネチ
ル基および融合(シクロアルキルアリール)アルキル基、例えば4-インダニルエチルな
どを含むが、これらに限定されない。代表的な置換されたアラルキル基は、上でリストに
挙げた置換基などで1回または複数回置換されていてもよい。
【0032】
ヘテロシクリル基は、3個以上の環メンバーを含有する芳香族(ヘテロアリールとも称
される)および非芳香族環化合物を含み、メンバーの1個または複数が、N、O、および
Sなどの、ただしこれらに限定されないヘテロ原子である。ヘテロシクリル基は、置換さ
れていてもまたは非置換であってもよい。いくつかの実施形態で、ヘテロシクリル基は、
1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する。いくつかの実施形態で、ヘテロシクリル
基は、3から16個の環メンバーを有する単環、二環および三環式環を含むが、それに対
して、他のそのような基は、3から6、3から10、3から12、または3から14個の
環メンバーを有する。ヘテロシクリル基は、芳香族、部分的に不飽和および飽和の環系、
例えば、イミダゾリル、イミダゾリニルおよびイミダゾリジニル基などを包含する。語句
「ヘテロシクリル基」は、融合芳香族および融合非芳香族基、例えば、ベンゾトリアゾリ
ル、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、およびベンゾ[1,3]ジオキソ
リルなどを含む基を含む融合環種を含む。この語句は、キヌシクリジルなどの、ただしこ
れに限定されないヘテロ原子を含有する架橋された多環式環系も含む。ヘテロシクリル基
には、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル
、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、
フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラ
ゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル
、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピ
ペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テ
トラヒドロチオピラニル,オキサチアン、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジル
、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジル、ジヒド
ロジチイニル、ジヒドロジチオニル、ホモピペラジニル、キヌシクリジル、インドリル、
インドリニル、イソインドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、イ
ンドリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオ
フェニル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジ
チイニル、ベンゾオキサチイニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチア
ゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピアゾロピリジル、イ
ミダゾピリジル(アザベンズイミダゾリル)、チアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジ
ル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、
キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリ
ジニル、プテリジニル、チアナフチル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラ
ニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロインドリル、テ
トラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリア
ゾリル、テトラヒドロピロロピリジル、テトラヒドロピアゾロピリジル、テトラヒドロイ
ミダゾピリジル、テトラヒドロチアゾロピリジル、およびテトラヒドロキノリニル基が含
まれるが、これらに限定されない。代表的な置換されたヘテロシクリル基は、1回置換さ
れたかまたは2回以上置換された、例えば、上でリストに挙げた種々の置換基などで2-
、3-、4-、5-、または6-置換された、または二置換されたピリジルまたはモルホ
リニル基であってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
ヘテロアリール基は、5個以上の環メンバーを含有する芳香族環化合物であり、環メン
バーの1個または複数が、N、O、およびSなどの、ただしこれらに限定されないヘテロ
原子である。ヘテロアリール基は、置換されていてもまたは非置換であってもよい。ヘテ
ロアリール基には、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル
、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニ
ル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザ
インドリル(ピロロピリジニル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジ
ニル(アザベンズイミダゾリル)、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾ
トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダ
ゾピリジニル、イソオキサゾロピリジニル、チアナフチル、プリニル、キサンチニル、ア
デニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキ
サリニル、およびキナゾリニル基などの基が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロ
アリール基は、全ての環がインドリル基などの芳香族である融合環化合物を含み、および
環の1つだけが2,3-ジヒドロインドリル基などの芳香族である融合環化合物を含む。
語句「ヘテロアリール基」は、融合環化合物を含む。代表的な置換されたヘテロアリール
基は、種々の上でリストに挙げた置換基などで1回または複数回置換されていてもよい。
【0034】
ヘテロシクリルアルキル基は、上で定義されたアルキル基であり、アルキル基の水素ま
たは炭素結合が、上で定義されたヘテロシクリル基に対する結合で置き換えられている。
ヘテロシクリルアルキル基は、置換されていてもまたは非置換であってもよい。置換され
たヘテロシクリルアルキル基は、アルキル、ヘテロシクリルで、または基のアルキルおよ
びヘテロシクリル部分の両方で置換されていてもよい。代表的なヘテロシクリルアルキル
基には、モルホリン-4-イル-エチル、フラン-2-イル-メチル、イミダゾール-4
-イル-メチル、ピリジン-3-イル-メチル、テトラヒドロフラン-2-イル-エチル
、およびインドール-2-イル-プロピルが含まれるが、これらに限定されない。代表的
な置換されたヘテロシクリルアルキル基は、上でリストに挙げた置換基などで1回または
複数回置換されていてもよい。
【0035】
ヘテロアラルキル基は、上で定義されたアルキル基であり、アルキル基の水素または炭
素結合が、上で定義されたヘテロアリール基に対する結合で置き換えられている。ヘテロ
アラルキル基は、置換されていてもまたは非置換であってもよい。置換されたヘテロアラ
ルキル基は、アルキル、ヘテロアリールまたは基のアルキルおよびヘテロアリール部分の
両方で置換されていてもよい。代表的な置換されたヘテロアラルキル基は、上でリストに
挙げた置換基などで1回または複数回置換されていてもよい。
【0036】
本発明の技術の化合物内に2箇所以上の連結点を有する(すなわち、2価、3価、また
は多価)本明細書に記載された基は、接尾辞「エン」の使用により表示される。例えば、
2価アルキル基はアルキレン基であり、2価アリール基はアリーレン基であり、2価ヘテ
ロアリール基は2価ヘテロアリーレン基である等々。本発明の技術の化合物に対する単一
の連結点を有する置換された基は、「エン」の表示を使用して表されることはない。した
がって、例えば、クロロエチルは、ここで、クロロエチレンと称されることはない。
【0037】
アルコキシ基は、水素原子に対する結合が、上で定義された置換または非置換のアルキ
ル基の炭素原子に対する結合で置き換えられたヒドロキシル基(-OH)である。アルコ
キシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよい。直鎖状アルコキシ基の例には
、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ等が含まれるが
、これらに限定されない。分岐したアルコキシ基の例には、イソプロポキシ、sec-ブ
トキシ、tert-ブトキシ、イソペントキシ、イソヘキソキシ等が含まれるが、これら
に限定されない。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオ
キシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が含まれるが、これらに限定され
ない。代表的な置換されたアルコキシ基は、上でリストに挙げた置換基などで1回または
複数回置換されていてもよい。
【0038】
本明細書において使用される用語「アルカノイル」および「アルカノイルオキシ」は、
それぞれ、各々2~5個の炭素原子を含有する-C(O)-アルキル基および-O-C(
O)-アルキル基を指すことができる。同様に、「アリーロイル」および「アリーロイル
オキシ」は、-C(O)-アリール基および-O-C(O)-アリール基を指す。
【0039】
用語「アリールオキシ」および「アリールアルコキシ」は、それぞれ、酸素原子に結合
した置換または非置換のアリール基、およびアルキルで酸素原子に結合した置換または非
置換のアラルキル基を指す。例には、フェノキシ、ナフチルオキシ、およびベンジルオキ
シが含まれるが、これらに限定されない。代表的な置換されたアリールオキシおよびアリ
ールアルコキシ基は、上でリストに挙げた置換基などで1回または複数回置換されていて
もよい。
【0040】
用語「尿素」は、-NR84-C(O)-NR85R86基を指す。R84、R85、
およびR86基は、独立に、水素、または本明細書で定義された、置換または非置換のア
ルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシク
リル、またはヘテロシクリルアルキル基である。
【0041】
本明細書において使用される用語「ハロゲン」または「ハロ」は、臭素、塩素、フッ素
、またはヨウ素を指す。いくつかの実施形態で、ハロゲンはフッ素である。他の実施形態
では、ハロゲンは塩素または臭素である。
【0042】
本明細書において使用される用語「ヒドロキシル」は、-OHまたはそのイオン化形態
、-O-を指すことができる。「ヒドロキシアルキル」基は、ヒドロキシルで置換された
アルキル基、例えばHO-CH2-などである。
【0043】
当業者により理解されるように、あらゆる目的に対して、特に書かれた記載を提供する
用語では、本明細書で開示された全ての範囲は、あらゆる可能な部分範囲およびそれらの
部分範囲の組合せも包含する。任意のリストに挙げられた範囲は、記載のように十分容易
に認識することができて、同じ範囲を少なくとも半分、3分の1、4分の1、5分の1、
10分の1等に等しく分割することを可能にすることができる。限定するものではない例
として、本明細書で論じられた各範囲を、下部の第3の、中央の第3のおよび上部の第3
の範囲等に容易に分割することができる。やはり当業者により理解されるように、全ての
言い回し、例えば、「まで」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」等は、挙げられ
た数およびその後上で論じたように部分範囲に分割され得る範囲を指す数を含む。最終的
に、当業者により理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例え
ば、1~3個の原子を有する基は、1、2、または3個の原子を有する基のことである。
同様に、1~5個の原子を有する基は、1、2、3、4、または5個の原子を有する基等
々のことである。
【0044】
本明細書に記載された化合物の薬学的に許容される塩は、本発明の技術の範囲内であり
、所望の薬理学的活性を保持して、生物学的に望ましくないことがない(例えば、塩が、
過度に毒性、アレルギー誘発性、または刺激性でなくて、および生体利用可能である)酸
添加または塩基添加塩を含む。本発明の技術の化合物が塩基性基、例えば、アミノ基など
を有する場合、薬学的に許容される塩は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、およ
びリン酸など)、有機酸(例えば、アルギン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香
酸、グルコン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸
、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、およびp
-トルエンスルホン酸)または酸性アミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸など)
と共に形成することができる。本発明の技術の化合物が、酸性基、例えば、カルボン酸基
などを有する場合、それは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、Na+、L
i+、K+、Ca2+、Mg2+、ZN2+)などの金属、アンモニアまたは有機アミン
(例えばジシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピ
コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)または塩基性
アミノ酸(例えばアルギニン、リシンおよびオルニチン)と塩を形成することができる。
そのような塩は、化合物の単離および精製中にその場で、または精製された化合物を、そ
れぞれ、その遊離の塩基もしくは遊離酸の形態で適当な酸または塩基と別に反応させて、
そのようにして形成された塩を単離することにより調製することができる。
【0045】
当業者は、本発明の技術の化合物が、互変異性の現象、配座異性、幾何学的異性および
/または立体異性を示すことがあることを認識しているであろう。明細書および請求項内
の式の図は、可能な互変異性、配座異性、立体化学的または幾何学的異性体形態の1つだ
けを表すことができるので、本発明の技術は、本明細書に記載された1つまたは複数の用
途を有する、化合物の任意の互変異性、配座異性、立体化学的および/または幾何学的異
性体形態ならびにこれらの種々の異なる形態の混合物を包含することが理解されるべきで
ある。
【0046】
「互変異性体」とは、互いに平衡にある化合物の異性体形態を指す。この異性体形態の
存在および濃度は、化合物が見出される環境に依存して、例えば、化合物が固体であるか
または有機溶液または水溶液中にあるかに依存して異なり得る。例えば、水溶液中で、キ
ナゾリノンは、以下の異性体形態を示すことができて、それらは互いの互変異性体と言わ
れる。
【0047】
【化7】
別の例として、グアニジンは、プロトン性有機溶液中で以下の異性体形態を示すことがで
きて、やはり互いの互変異性体と言われる。
【0048】
【0049】
化合物を構造式により表すことの限界のために、本明細書に記載された化合物の全ての
化学的式は、化合物の全ての互変異性形態を表し、本発明の技術の範囲内であると理解さ
れるべきである。
【0050】
化合物の立体異性体(光学異性体としても知られている)は、特定の立体化学が明白に
指示されていない限り、キラル、ジアステレオ異性、およびラセミ形態の構造を全て含む
。したがって、本発明の技術で使用される化合物は、描写から明らかな任意のまたは全て
の非対称原子で富化されたかまたは分割された光学異性体を含む。ラセミ体およびジアス
テレオマーの両者の混合物、ならびに個々の光学異性体は、それらのエナンチオマーのま
たはジアステレオマーの相手方を実質的に含まないように、単離されまたは合成され得て
、これらの立体異性体は全て本発明の技術の範囲内である。
【0051】
本発明の技術の化合物は、溶媒和物、特に水和物として存在することもできる。水和物
は、化合物または化合物を含む組成物の製造中に形成されることもあり、または水和物は
、化合物の引湿性の性質に基づいて時間が経つ間に形成されることもある。本発明の技術
の化合物は、とりわけDMF、エーテル、およびアルコールの溶媒和物を含む有機溶媒和
物としても同様に存在することもできる。任意の特定の溶媒和物の同定および調製は、合
成有機化学または医薬の化学の当業者の技術のうちである。
【0052】
前立腺癌は、男性の間で多い方から2番目の癌であり、世界中で、2012年に110
万件を超える診断があり、2013年には292,000人を超える前立腺癌による死亡
が報告された。該疾患の負担は大きくなり続けて、1990年には約157,000の死
が報告され、米国において2016年に180,000名を超える男性が新たに前立腺癌
と診断されて、該疾患に基づく26,000を超える死が記録されるであろうと推定され
ている。初期に検出されて、疾患が、前立腺腺および局所のリンパ節に限定されている場
合、5年生存率は殆ど100%であるが、疾患が転移性である場合に、生存率は、30%
未満に低下する。初期の診断は、患者の予後を大きく改善することができるが、該疾患の
感性のおよび特異的局在化は、疾患の診断およびステージ決定における重要な特徴である
。正確なステージ決定は、適当な患者管理のために決定的に重要である。
【0053】
前立腺特異的膜抗原(「PSMA」;グルタメートカルボキシペプチダーゼII(GC
PII)、N-アセチル-L-アスパルチル-L-グルタメートペプチダーゼI(NAA
LADase I)、およびFOLH1(フォレートヒドロラーゼ 1)の遺伝子により
コードされるNAAGペプチダーゼとしても知られる)は、前立腺癌の原発性腫瘍、癌新
生血管、多くの転移病変、およびある他の疾患、例えば、クローン病および炎症性腸疾患
(「IBD」)などで大きく過剰発現されているが、一方、健常な前立腺および他の組織
における発現は限定されている。例えば、Silver DA,Pellicer I,
Fair WR,Heston WDW,Cordon-Cardo C.Prosta
te-specific Membrane Antigen Expression
in Normal and Malignant Human Tissues.Cl
in.Cancer Res.1997,3,81~85ページおよびZhang T,
Song B,Zhu W,Xu X,Gong QQ,Morando C,Dass
opoulos T,Newberry RD,Hunt SR,Li E.An Il
eal Crohn’s Disease Gene Signature Based
on Whole Human Genome Expression Profil
es of Disease Unaffected Ileal Mucosal B
iopsies.PLoS One.2012 May 14;7(5):e37139
(doi:10.1371/journal.pone.0037139)を参照された
い。例えば、PSMAは、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転
移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直
腸腺癌、および腎細胞癌の新生血管で発現される。例えば、Wernicke AG,K
im S,Liu H,Bander NH,Pirog EC.Prostate-s
pecific Membrane Antigen(PSMA)Expression
in the Neovasculature of Gynecologic Ma
lignancies:Implications for PSMA-targete
d Therapy.Appl Immunohistochem Mol Morph
ol.2016 Feb 9(doi:10.1097/PAI.0000000000
000297);Wang HL,Wang SS,Song WH,Pan Y,Yu
HP,Si TG,Liu Y,Cui XN,Guo Z.Expression
of prostate-specific membrane antigen in
lung cancer cells and tumor neovasculat
ure endothelial cells and its clinical s
ignificance.PLoS One.2015 May 15;10(5):e
0125924 (doi:10.1371/journal.pone.012592
4);Samplaski MK,Heston W,Elson P,Magi-Ga
lluzzi C,Hansel DE.Folate hydrolase(pros
tate-specific membrane antigen)1 express
ion in bladder cancer subtypes and assoc
iated tumor neovasculature.Mod Pathol.20
11 Nov;24(11):1521~9ページ (doi:10.1038/mod
pathol.2011.112);Haffner MC,Kronberger I
E,Ross JS,Sheehan CE,Zitt M,Muhlmann G,O
fner D,Zelger B,Ensinger C,Yang XJ,Geley
S,Margreiter R,Bander NH.Prostate-speci
fic membrane antigen expression in the n
eovasculature of gastric and colorectal
cancers.Hum Pathol.2009 Dec;40(12):1754~
61ページ (doi:10.1016/j.humpath.2009.06.003
);Baccala A,Sercia L,Li J,Heston W,Zhou
M.Expression of prostate-specific membra
ne antigen in tumor-associated neovascul
ature of renal neoplasms.Urology.2007 Au
g;70(2):385~90ページ (doi:10.1016/j.urology
.2007.03.025);and Chang SS,Reuter VE,Hes
ton WD,Bander NH,Grauer LS,Gaudin PB.Fiv
e different anti-prostate-specific membr
ane antigen(PSMA)antibodies confirm PSMA
expression in tumor-associated neovascu
lature.Cancer Res.1999 Jul 1;59(13):3192
~8ページを参照されたい。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
さらに、数種類の他の特性が組み合わさって、PSMAを前立腺癌のための分子診断お
よび治療のための理想的標的にする:(1)それは該疾患の全てのステージで過剰発現さ
れる;(2)発現は、典型的には腫瘍の進行度、疾患の攻撃性、転移および生化学的再発
と相関する;(3)それは、細胞外のリガンド結合ドメインを有する膜貫通タンパク質で
ある;および(4)結合したリガンド-タンパク質複合体が受容体に媒介されるクラスリ
ン依存性のエンドサイトーシスを通して内在化される。診断的画像化および治療のための
標的としてのPSMAの効用の可能性が、放射性標識されたモノクローナル抗体J591
で、画像化のためにIn-111またはZr-89、および治療のためにY-90または
Lu-177を使用して示されたが、しかしながら、抗体の薬物動態により、それらは、
短寿命の放射性核種を用いる診断的画像化のためには不適当である。
【0055】
チェレンコフ発光画像化(CLI)は、一般的に、画像に誘導される手術のための、お
よび特に手術の周辺に関しての画像化モダリティーである。CLIは、陽電子放出断層撮
影(PET)画像化剤により放出されるチェレンコフ光子の検出に基づく。チェレンコフ
光子は、荷電粒子(陽電子または電子)が、誘電媒体を通って、その媒体中における光の
速度を超える速度で移動するときに、放出される。チェレンコフ現象は、19世紀の末期
にマリー・キュリーによって最初に、観察されたと思われる。彼女の伝記で、彼女は、彼
女の実験室で、ラジウムを含有する瓶からの青白いグローを観察したことを記載している
。チェレンコフ放射を系統的に記載した最初の人物は、パーヴェル・チェレンコフであり
、イリア・ミハイロビッチ・フランクおよびイーゴリ・エヴゲーニエヴィチ・タムと共に
理論的フレームワークを発展させて、彼らはチェレンコフ効果の発見に対する彼らの貢献
のために1958年にノーベル物理学賞を得た。一般には、チェレンコフ放射は、核反応
装置を取りまく冷水盤中の青いグローとして知られている。PET画像化トレーサーから
の光学光子を検出することにより、CLIは、光学と分子画像化と組み合わせる。PET
剤を用いるCLIが、癌をインビボで画像化するために使用されて、その時以来、この技
術は、バイオメディカル画像化の分野で急速に台頭した。例えば、Robertson
R,Germanos MS,Li C,Mitchell GS,Cherry SR
,Silva MD.Optical imaging of Cerenkov li
ght generation from positron-emitting ra
diotracers.Phys Med Biol 2009,54(16):N35
5~365ページ(doi:10.1088/0031-9155/54/16/n01
)およびM.R.Grootendorst MR,Cariati M,Kothar
i A,Tuch DS,・Purushotham A.Cerenkov lumi
nescence imaging(CLI)for image-guided ca
ncer surgery.Clin Transl Imaging 2016,4:
353~366ページ(doi:10.1007/s40336-016-0183-x
)を参照されたい。CLI画像は、陽電子を放出する放射性トレーサーからのチェレンコ
フ光を、電子倍増電荷カップルデバイス(EMCCD)カメラなどの超高感度光学カメラ
を使用して検出することにより得ることができる。CLI画像は、光子放射で半定量的に
分析することができる。数件の研究が、異なる放射性医薬について、CLIとPETとの
間の強い相関関係をインビトロ、エクスビボ、およびインビボで示した。
【0056】
多くの低分子量の、尿素系の低分子が、前立腺癌のための単光子放出コンピューター断層
撮影(SPECT)または陽電子放出断層撮影(PET)の画像化剤として記載されてお
り、それらのうち数種類が男性で臨床試験を受けているところである。例示的構造をスキ
ーム1に示す。
【0057】
【化9】
現在、7種のそのような分子が、米国および/またはヨーロッパでI/II/III相
の臨床試験に入っている:(i)Molecular Insight Pharmac
euticals,Inc.により開発された、放射性ヨウ素化されたMIP-1095
(SPECT/CTのためにI-123およびPET/CTのためにI-124)および
MIP-1072(SPECT/CTのためにI-123)、(ii)
99mTc-MI
P-1404および
99mTc-MIP-1405の2種のさらなるSPECT画像化剤
が、Molecular Insight Pharmaceuticalsのプラット
ホームから出現しており、(iii)[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CC(P
ET/CTのための[
68Ga]PSMA-11および[
68Ga]DKFZ-PSMA
-11としても知られている)、および(iv)PET/CTのための[
18F]DCF
BCおよびその次世代の誘導体[
18F]DCFPyL。男性における最初の評価を受け
るために新たに導入された化合物は、セラノスティックリガンドであるように開発されて
、治療の場面で
177Lu-DKFZ-617として評価されている
68Ga-DKFZ
-617、および構造的に関連する
68Ga-CHX-A”-DTPAを含む。
【0058】
SPECTよりもより大きい感度およびより高い空間的分解能のPETは、この技法を
多くの臨床環境において好ましい画像化プラットホームにした。PSMAを標的とするリ
ガンド中に現在組み込まれている陽電子を放出する同位体の中で、フッ素-18およびガ
リウム-68が、ヨウ素-124より好ましく、その理由は、それらのより短い半減期、
関連して、より低い放射線照射投与量および陽電子放出のより高い有効度(それぞれ、9
7%および89%対23%)である。さらに、ヨウ素-124走査は、シグナル対ノイズ
比を最少にするために、複雑な再構成アルゴリズムを必要として、そのことが、ヨウ素-
124の長い半減期(t1/2=4.18日)および望ましくないベータ粒子の放出との
組合せで、低分子の薬物動態に対する適合をしばしば不十分にする。それに加えて、ガリ
ウム-68は、現在、68Ge/68Ga発生装置で生産されて、サイクロトロンの利用
と独立の放射性調剤における単回のバッチ合成におけるその使用が可能である。ガリウム
-68のキレート化は大抵の低分子およびペプチドと適合する条件下で、汚染されずしか
も迅速である。これらの考慮が、臨床開発でPSMAPETの放射性トレーサーとして現
在最も広く使用される[68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCの出現に寄与した。
【0059】
フッ素-18は、ガリウム-68と比較して:(i)複数のステップの放射性合成が可
能で、画像化が実施される前に、バックグラウンドシグナルがなくなるためのより長い時
間が可能になる、より長い半減期(t1/2(68Ga)=67.7分に対して(t1/
2(18F)=109.8分)、(ii)複数の患者の用量が単回の合成で生産されるこ
とを可能にする大規模サイクロトロン生産、および(iii)多様なタイプのリガンドが
調製されることを可能にする、水素と同様な原子半径などの化学的特性を含む、多くの実
利的利点を提供する。この基盤に基づいて、フッ素-18で標識されたPSMAを標的と
するリガンドの開発が、大なる関心の目標として最近登場した。[18F]DCFBCは
、4-[18F]フルオロベンジル基で改変されたGlu-尿素-Cys薬理作用団に基
づいており、PSMA+異種移植腫瘍で良好な取り込みを示すと報告された。しかしなが
ら、男性において、それは、軟組織からの限定されたクリアランスを示し、減少した腫瘍
対バックグラウンド比および小さい病変の不十分な可視化を生じた。遅延したクリアラン
スに向けて、第2世代の[18F]フルオロピリジンで改変されたGlu-尿素-Lys
アナログ[18F]DCFPyLが開発された。より有望な薬物動態にもかかわらず、急
速な腫瘍の洗い出しが注射後1時間で早くも明らかになり、排泄された膀胱中における放
射能の蓄積は少なくなかった。それに加えて、[18F]DCFPyLは、低い放射化学
的収率で低迷している(減衰を補正して5~12%の範囲であるが、最近、直接フッ素化
による改善された合成が、収率を20%を超えるように増大させたと報告された)。
【0060】
本発明の技術は、特異性および親和性の高いフッ素-18-PSMAリガンドの開発に
おける前に言及した難題に取り組むものである。本発明の技術の化合物は、μPET/C
Tを使用して、LNCaP異種移植を担持するヌードマウスにおける実質的腫瘍取り込み
を示す。例えば、本発明の技術の2種類の化合物、RPS-040およびRPS-041
は、PSMAに対するそれらの高い特異性に基づく優れたPSMA画像化特性、高い腫瘍
取り込みおよび長期の腫瘍保持、非標的組織からの急速なクリアランスを示し、高い腫瘍
対バックグラウンド比を生ずる。本発明の技術の化合物は、マウスで[68Ga]Ga-
PSMA-HBED-CCと比較した場合にも、より優れた薬物動態を示す。さらに、本
発明の技術は、18Fを担持する本発明の技術の化合物の容易なおよび迅速な生産を可能
にして、本発明の技術の化合物の使用前の比較的容易な生産を可能にする、進歩した中間
体を提供する。
【0061】
したがって、一態様において、式I
【0062】
【化10】
による化合物または薬学的に許容されるそれらの塩が提供される
(式中、P
1、P
2、およびP
3は、各々独立に、H、メチル、ベンジル、4-メトキシ
ベンジル、またはtert-ブチルであり;W
1は、-C(O)-または-(CH
2)
n
-NH
2-C(O)-であり;
R
1、R
2、およびR
3の1つは、
【0063】
【化11】
であり、R
1、R
2、およびR
3の残りの2つは、各々Hであり;X
1は、存在しないか
、O、S、またはNHであり;mは0、1、2、または3であり;nは1または2であり
;pは0、1、2、または3であり、ただし、pが0である場合、X
1は存在せず;およ
びqは1または2である)。本明細書における任意の実施形態において、P
1、P
2、お
よびP
3は、各々独立にHまたはtert-ブチルであってもよい。本明細書における任
意の実施形態において、P
1、P
2、およびP
3が、各々独立にHであることも可能であ
る。
【0064】
同様に、式IV
【0065】
【化12】
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩が提供される
(式中、P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベ
ンジル、またはtert-ブチルであり;wは1または2であり;xは0、1、2、また
は3であり;yは1または2である)。P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にHまたは
tert-ブチルである。本明細書における任意の実施形態において、P
7、P
8、およ
びP
9が各々独立にHであることは可能である。
【0066】
式Iまたは式IVの化合物を調製するための中間体も提供される。18F化合物は、典
型的には、使用前に比較的短時間で発生されるので、本発明の技術の中間体は、利用可能
な供給源に対する実質的な改善を提供して、標的を画像化する本発明の技術の化合物を高
い放射化学的収率で迅速に生産することを非常に容易にする。
【0067】
式Iの化合物を生産するために特に有用な中間体は、式IIの化合物
【0068】
【化13】
または薬学的に許容されるそれらの塩を含むが、これらに限定されない
(式中、P
4、P
5、およびP
6は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベ
ンジル、またはtert-ブチルであり;W
2は、-C(O)-または-(CH
2)
s-
NH
2-C(O)-であり;R
4、R
5、およびR
6の1つが、
【0069】
【化14】
であり、R
4、R
5、およびR
6の残りの2つは、各々Hであり;X
2は、存在しないか
、O、S、またはNHであり;rは0、1、2、または3であり;sは1または2であり
;tは0、1、2、または3であり、ただし、tが0である場合、X
2は存在しない)。
【0070】
同様に、式IVの化合物を生産するために特に有用な中間体は、式Vの化合物
【0071】
【化15】
または薬学的に許容されるそれらの塩を含むが、これらに限定されない
(式中、P
10、P
11、およびP
12は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メト
キシベンジル、またはtert-ブチルであり;bは1または2であり;dは0、1、2
、または3である)。
【0072】
関連する態様において、式Iの任意の実施形態の化合物を形成する方法が提供される。
該方法は、溶媒の存在下で式IIの化合物、銅塩および式IIIのアジドを接触させるス
テップを含む。
【0073】
【化16】
該銅塩は、銅(I)塩(ヨウ化銅(I)など)、銅(II)塩(硫酸銅(II)など)、
またはそれらの混合物であってもよい。溶媒は、プロトン性溶媒であっても、非プロトン
性溶媒であっても、またはそれらの混合物であってもよい。本発明において使用されるプ
ロトン性溶媒は、アルコール(例えば、メタノール(CH
3OH)、エタノール(EtO
H)、イソプロパノール(iPrOH)、トリフルオロエタノール(TFE)、ブタノー
ル(BuOH)、エチレングリコール、プロピレングリコール)、カルボン酸(例えば、
ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシ
コール酸、グルタミン酸、グルクロン酸)、アンモニア(NH
3)、1級アミノ化合物(
例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン)、2級アミノ化合物(例えば、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ(n-プロピル)アミン)、水、またはそれらの任
意の2種以上の混合物を含むが、これらに限定されない。本発明において使用される極性
非プロトン性溶媒は、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテ
トラヒドロフラン(2Me-THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン)、エ
ステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン(例えば、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン)、カーボネート(例えば、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、トリメチレンカーボネート)、アミド(例えば、ジメチル
ホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA))、ニトリル(例えば、アセ
トニトリル(CH
3CN)、プロピオニトリル(CH
3CH
2CN)、ベンゾニトリル(
PhCN))、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド、「DMSO」ともいわれ
る)、スルホン(例えば、スルホラン)、またはそれらの任意の2種以上の混合物を含む
が、これらに限定されない。例えば、溶媒は、DMFおよびDMSOを含むこともできる
。
【0074】
同様な態様において、式IVの任意の実施形態の化合物を形成する方法が提供される。
該方法は、溶媒の存在下で式Vの化合物、銅塩、および式VI
【0075】
【化17】
のアジドを接触させるステップを含む。銅塩は、銅(I)塩(ヨウ化銅(I)など)、銅
(II)塩(硫酸銅(II)など)、またはそれらの混合物であってもよい。溶媒は、プ
ロトン性溶媒、および非プロトン性溶媒、またはそれらの混合物であってもよい。そのよ
うなプロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、およびそれらの混合物は、前出で論じてある。
方法の任意の実施形態において、溶媒は、DMFおよびDMSOを含むこともできる。
【0076】
本発明の技術の一態様において、式I、II、IVおよびVの化合物および薬学的に許
容される担体の態様および実施形態のいずれか1つを含む組成物が提供される。本明細書
において使用される、「薬学的に許容される担体」は、担体および/または賦形剤を含む
。関連する態様において、PSMAを過剰発現している哺乳動物組織、例えばPSMAを
発現している癌(癌組織、癌に関連する新生血管、またはそれらの組合せを含む)、クロ
ーン病、またはIBDなどを含む状態を画像化するために、該態様ならびに式IおよびI
Vの化合物の実施形態の有効量のいずれか1種の化合物を含む医薬組成物が提供される。
さらなる関連する態様において、対象に、該態様のいずれか1種の化合物ならびに式Iお
よびIVの化合物の実施形態を投与するステップ(例えば、有効量を投与するステップな
ど)、または該態様のいずれか1種の化合物ならびに式IおよびIVの化合物の実施形態
の有効量を含む医薬組成物を投与するステップ、ならびに投与に続いて、陽電子放出を検
出するステップ、陽電子の放出および消滅からのガンマ線を検出するステップ(陽電子放
出断層撮影などにより)、および/または陽電子放出によるチェレンコフ放射(チェレン
コフ発光画像化などにより)を検出するステップを含む画像化方法が提供される。画像化
方法の任意の実施形態において、対象は、PSMAを過剰発現している哺乳動物組織、例
えば、PSMAを発現している癌(癌組織、癌に関連する新生血管、またはそれらの組合
せを含む)、クローン病、またはIBDなどを含む状態を患っていると疑われていてもよ
い。上記医薬組成物および/または上記方法に関する癌は、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部
癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸
癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌の1種または複数を
含んでいてもよい。前立腺癌は、精巣除去に耐性の前立腺癌を含むこともある。その検出
ステップは、対象に対する手術操作、例えば、PSMAを過剰発現している哺乳動物組織
を除去する操作中に行うこともできる。検出ステップは、検出ステップを実行するための
手で持てる器具の使用を含むこともできる。例えば、チェレンコフ発光画像は、電子倍増
電荷カップルデバイス(EMCCD)カメラなどの超高感度光学カメラを使用して、チェ
レンコフ光を検出することにより得ることができる。
【0077】
「有効量」とは、所望の効果を生ずるために必要な化合物または組成物の量、例えば、
選ばれた検出方法により検出されるために必要な本発明の技術の化合物の量などを指す。
例えば、有効量の本発明の技術の化合物は、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、
原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺
癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌(精巣除去耐性前立腺癌など)の1
種または複数を含むが、これらに限定されない目的の標的に対する、化合物の結合の検出
を可能にするために十分な量を含む。有効量の別の例は、PSMAを過剰発現している組
織を有する対象における、陽電子の放出および消滅からの検出可能なガンマ線放出(バッ
クグラウンドを超える)、例えばバックグラウンドを超える統計的に有意な放出などを提
供することができる量または投薬量を含む。有効量の別の例は、PSMAを過剰発現して
いる組織を有する対象における、陽電子放出(バックグラウンドを超える)、例えば、バ
ックグラウンドを超える放出に統計的に有意な放出などによる検出可能なチェレンコフ放
射の放出を提供することができる量または投薬量を含む。本明細書において使用される、
「対象」または「患者」は、哺乳類、例えば、ネコ、イヌ、齧歯類または霊長類などであ
る。典型的には、対象は、ヒト、および、好ましくは、PSMAを過剰発現している哺乳
動物組織、例えばPSMAを発現している癌(癌組織、癌に関連する新生血管、またはそ
れらの組合せを含む)、クローン病、またはIBDなどを含む状態を患っているかまたは
患っていると疑われるヒトである。そのような状態は、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、
子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、
原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌(精巣除去耐性前立腺癌
など)の1種または複数を含むこともある。用語「対象」および「患者」は、互換的に使
用されてもよい。
【0078】
本発明の技術は、本明細書で開示される化合物(例えば、式I、II、IVおよびVの
化合物)および薬学的に許容される担体または賦形剤または充填剤の1つもしくは複数(
総称的にそのような担体、賦形剤、充填剤その他を、より特定の用語が使用されない限り
、「薬学的に許容される担体」と称することにする)のいずれかを含む医薬組成物および
医薬を提供する。組成物は、本明細書に記載された方法および処置で使用することができ
る。そのような組成物および医薬は、本明細書に記載された状態の1つまたは複数を画像
化するための式IおよびIVの化合物を含むが、これらに限定されない、有効量の本明細
書に記載された任意の化合物を含む。医薬組成物は、単位剤形で梱包することもできる。
例えば、単位剤形は、対象に投与されたときに、PSMAを過剰発現している哺乳動物組
織、例えばPSMAを発現している癌(癌組織、癌に関連する新生血管、またはそれらの
組合せを含む)、クローン病、またはIBDなどの画像化に、有効である。PSMAを発
現している癌は、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣
癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、
腎細胞癌、および前立腺癌の1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0079】
医薬組成物および医薬は、1種または複数の本発明の技術の化合物、それらの薬学的に
許容される塩、それらの立体異性体、それらの互変異性体、またはそれらの溶媒和物を、
薬学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合することにより、PSMA
を過剰発現している哺乳動物組織、例えば、PSMAを発現している癌(癌組織、癌に関
連する新生血管、またはそれらの組合せを含む)、クローン病、またはIBDなどと関連
する障害を、対象に投与されたときに、画像化するために調製することができる。PSM
Aを発現している癌は、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移
性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸
腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含んでいてもよい。本明細書に記載
された化合物および組成物は、PSMAを過剰発現している哺乳動物組織と関連する種々
の障害を画像化するための製剤および医薬を調製するために使用することができる。その
ような組成物は、例えば、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤
、エマルション剤、エリキシル剤、懸濁液剤または溶液剤の形態であり得る。本発明の組
成物は、例えば、経口、非経口、局所、直腸、鼻内、膣内投与によるか、または埋め込ま
れた貯蔵器による種々の投与経路のために製剤化することができる。非経口または全身投
与は、皮下、静脈内、腹腔内、および筋肉注射を含むが、これらに限定されない。以下の
投薬形態は、例として示すもので、本発明の技術を限定すると解釈されるべきでない。
【0080】
経口のために、バッカル、および舌下投与、散剤、懸濁液剤、顆粒剤、錠剤、ピル、カ
プセル剤、ジェルキャップ、およびカプレットが、固体剤形として許容される。これらは
、例えば、本発明の技術の1種もしくは複数の化合物、または薬学的に許容される塩もし
くはそれらの互変異性体を、デンプンなどの少なくとも1種の添加剤または他の添加剤と
混合することにより調製することができる。適当な添加剤は、スクロース、ラクトース、
セルロース糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルギン
酸塩、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン、コラ
ーゲン、カゼイン、アルブミン、合成または半合成ポリマーまたはグリセリドである。任
意選択で、経口投薬形態は、投与で助けになる他の含有成分、例えば、不活性希釈剤、も
しくは潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど、または防腐剤、例えば、パラベ
ンもしくはソルビン酸など、または抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、トコフェロールも
しくはシステインなど、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味料、着香剤または香料を
含有することができる。錠剤およびピルは、当技術分野において知られた適当なコーティ
ング材料でさらに処理されてもよい。
【0081】
経口投与のための液体の投薬形態は、薬学的に許容されるエマルション剤、シロップ剤
、エリキシル剤、懸濁液剤、および溶液剤の形態であってもよく、それらは、水などの不
活性希釈剤を含有することもできる。医薬製剤および医薬は、例えば、油、水、アルコー
ル、およびこれらの組合せなどの、ただしこれらに限定されない滅菌液体を使用して、懸
濁液または溶液として調製することもできる。薬学的に適当な界面活性剤、懸濁化剤、乳
化剤が、経口または非経口投与のために添加されてもよい。
【0082】
上で言及したように、懸濁液は油を含むこともできる。そのような油には、ピーナツ油
、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油が含まれるが、これらに限定されな
い。懸濁液の製剤は、脂肪酸のエステル、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソ
プロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化された脂肪酸グリセリドなどを含有するこ
ともできる。懸濁液製剤は、アルコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール
、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールなどを含むことも
できるが、これらに限定されない。ポリ(エチレングリコール)などの、ただしこれらに
限定されないエーテル、鉱油およびワセリンなどの石油炭化水素;および水も懸濁液製剤
で使用されてもよい。
【0083】
注射用投薬形態は、一般的に、適当な分散剤または加湿剤および懸濁化剤を使用して調
製され得る水性懸濁液または油懸濁液を含む。注射用の形態は、溶液相または懸濁液の形
態であってもよく、それは、溶媒または希釈剤を用いて調製される。許容される溶媒また
はビヒクルは、滅菌された水、リンゲル溶液、または等張の食塩水溶液を含む。等張溶液
は、対象と等張として理解されるであろう。あるいは、滅菌油が、溶媒または懸濁化剤と
して使用されてもよい。典型的には、油または脂肪酸は、非揮発性であり、天然または合
成油、脂肪酸、モノ-、ジ-またはトリ-グリセリドを含む。
【0084】
注射のために、医薬製剤および/または医薬は、上で記載された適当な溶液で再構成す
るために適当な粉末であってもよい。これらの例には、凍結乾燥された、回転乾燥された
または噴霧乾燥された散剤、非晶質散剤、顆粒、沈殿物、または粒子が含まれるが、これ
らに限定されない。注射のためには、製剤は、安定剤、pH改変剤、界面活性剤、バイオ
アベイラビリティ改変剤およびこれらの組合せを、任意選択で含有することもできる。
【0085】
本発明の技術の化合物は、鼻または口を通して吸入することにより肺に投与することも
できる。吸入のために適当な医薬製剤は、任意の適当な溶媒および任意選択で、例えば、
安定剤、抗菌剤、抗酸化剤、pH改変剤、界面活性剤、バイオアベイラビリティ改変剤お
よびこれらの組合せなどの、ただし、これらに限定されない他の化合物を含有する、溶液
、スプレー、乾燥散剤、またはエアロゾルを含む。担体および安定剤は、特定の化合物の
要求で変化するが、典型的には、非イオン性界面活性剤(ツイーン、プルロニック、また
はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害のタンパク質、ソルビタンエ
ステル、オレイン酸、レシチン、アミノ酸、例えばグリシンなど、緩衝剤、塩、糖類また
は糖アルコールを含む。水性および非水性(例えば、フルオロカーボン中の噴射剤)エア
ロゾルは、典型的には、本発明の技術の化合物を吸入により送達するために使用される。
【0086】
本発明の技術の化合物の局所のための投薬形態(バッカルおよび舌下を含む)または経
皮投与は、散剤、スプレー剤、軟膏、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、
溶液剤、およびパッチを含む。有効成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体また
は賦形剤、および必要とされ得る任意の防腐剤または緩衝剤と混合されてもよい。散剤お
よびスプレー剤は、例えば、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アル
ミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などを
用いて調製され得る。軟膏、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、賦形剤、例えば、
動物および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロー
ス誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび
酸化亜鉛、またはそれらの混合物などを含有することもできる。吸収増強剤も、本発明の
技術の化合物の皮膚を越える流束を増大させるために使用することができる。そのような
流束は、速度制御膜(例えば、経皮パッチの部分として)を提供するか、または化合物を
ポリマーマトリックスまたはゲル中に分散させるかのいずれかにより制御することができ
る。
【0087】
上で記載されたこれらの代表的投薬形態に加えて、薬学的に許容される賦形剤および担
体が、当業者に一般的に知られており、したがって本発明の技術に含まれる。そのような
賦形剤および担体は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる「Remington
s Pharmaceutical Sciences」 Mack Pub.Co.、
New Jersey(1991)に記載されている。
【0088】
本発明の技術の製剤は、下で記載されるように短時間作用性、急速放出性、長時間作用
性、および持続放出性であるようにデザインすることもできる。したがって、医薬製剤は
、制御された放出または遅延放出のために製剤化することもできる。
【0089】
本発明の組成物は、例えば、ミセルまたはリポソーム、またはいくつかの他のカプセル
化された形態を含むこともできて、または徐放性形態で投与されて、長期貯蔵および/ま
たは送達効果を提供することもできる。それ故、医薬製剤および医薬は、ペレットまたは
円筒に圧縮されて、筋肉内にまたは皮下にデポ注射として、またはステントなどのインプ
ラントとして埋め込まれてもよい。そのようなインプラントには、シリコーンおよび生分
解性ポリマーなどの既知の不活性材料を使用することもできる。
【0090】
特定の投薬量は、疾患の状態、対象の年齢、体重、一般的健康状態、性別、および食事
、投与量間隔、投与経路、排泄速度、および薬剤の組合せに応じて調節することができる
。有効量を含有する上の投薬形態のいずれも、十分日常的実験の範囲内であり、それ故、
本発明の技術の十分範囲内である。
【0091】
当業者は、本発明の技術の化合物を、患者に、例えば、PSMAを過剰発現している哺
乳動物組織の統計的に有意な分解能(例えば、陽電子放出断層撮影またはチェレンコフル
ミネッセンス画像化により)が達成されるまで、単に量を増大して投与することにより、
有効量を容易に決定することができる。本発明の技術の化合物は、患者に1日に約0.1
から約1,000mgの範囲内の投薬量レベルで投与されてもよい。体重が約70kgの
正常なヒト成人のためには、体重1kg当たり1日に約0.01から約100mgの範囲
内の投薬量で十分である。しかしながら、使用される特定の投薬量は、当業者により適当
と考えられるように変えることができるか、または調節することもできる。例えば、投薬
量は、患者の必要性、画像化される状態の重症度および使用される化合物の薬理学的活性
を含む多くの要因に依存し得る。特定の患者のための最適投薬量の決定は、当業者に周知
である。種々のアッセイおよびモデルシステムを、本発明の技術による化合物の有効性を
決定するために容易に使用することができる。
【0092】
本発明の技術の化合物は、PSMAを過剰発現している哺乳動物組織の画像化に有用と
思われる他の従来の画像化剤と一緒に、患者に投与することもできる。そのような哺乳動
物組織は、対象に投与されるときに、PSMAを発現している癌(癌組織、癌に関連する
新生血管、またはそれらの組合せを含む)、クローン病、またはIBDを含むが、これら
に限定されない。PSMAを発現している癌は、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体
癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性
胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌および前立腺癌の1種または複数を含んでいても
よい。したがって、本発明の技術の医薬組成物は、式IおよびIVの化合物と異なる画像
化剤をさらに含むこともできる。投与は、経口投与、非経口投与、または鼻内投与を含む
ことができる。任意のこれらの実施形態で、投与は、皮下注射、静脈注射、腹腔内注射、
または筋肉注射を含むこともできる。任意のこれらの実施形態で、投与は、経口投与を含
むこともできる。本発明の技術の方法は、1種または複数の本発明の技術の化合物を、順
次または従来の画像化剤との組合せのいずれかで、PSMAを過剰発現している哺乳動物
組織の画像化のために、潜在的にまたは相乗的に有効であり得る量で、投与することも含
むことができる。
【0093】
一態様において、本発明の技術の化合物は、画像化のために適当な量または投薬量で、
患者に投与される。一般的に、本発明の技術の化合物を含む単位投薬量は、患者の考慮に
依存して変化するであろう。そのような考慮は、例えば、年齢、プロトコル、状態、性別
、疾患の程度、禁忌、同時進行の療法等を含む。これらの考慮に基づく例示的単位投薬量
は、当業者の医師により調節または改変されることもできる。例えば、患者のための、本
発明の技術の化合物を含む単位投薬量は、1×10-4g/kgから1g/kg、好まし
くは、1×10-3g/kgから1.0g/kgで変化することができる。本発明の技術
の化合物の投薬量は、0.01mg/kgから100mg/kgまたは、好ましくは、0
.1mg/kgから10mg/kgで変化することもできる。
【0094】
本発明の技術の化合物は、薬物動態学的性質、毒性またはバイオアベイラビリティ(例
えば、増大したインビボの半減期)を改善するために、例えば、有機部分の共有結合連結
またはコンジュゲートによっても改変され得る。コンジュゲートは、直鎖状または分岐し
た親水性ポリマー基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。ポリマー基は、例え
ば、薬物動態学的性質、毒性またはバイオアベイラビリティを改善するために、当業者に
より調節され得る分子量を含むことができる。例示的コンジュゲートは、各々約8から約
70個の炭素原子を独立に含むことができるポリアルカングリコール(例えば、ポリエチ
レングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー
、アミノ酸ポリマーまたはポリビニルピロリドンおよび脂肪酸または脂肪酸エステル基を
含むことができる。本発明の技術の化合物と共に使用するためのコンジュゲートは、例え
ば、任意の適当な置換基または基、放射性標識(マーカーまたはタグ)、ハロゲン、タン
パク質、酵素、ポリペプチド、他の治療剤(例えば、医薬または薬物)、ヌクレオシド、
色素、オリゴヌクレオチド、脂質、リン脂質および/またはリポソームとのリンカーとし
ても役立つことができる。一態様において、コンジュゲートは、ポリエチレンアミン(P
EI)、ポリグリシン、PEIとポリグリシンのハイブリッド、ポリエチレングリコール
(PEG)またはメトキシポリエチレングリコール(mPEG)を含むことができる。コ
ンジュゲートは、本発明の技術の化合物を、例えば、標識(蛍光性または発光性)または
マーカー(放射性核種、放射性同位体および/または同位体)と連結して、本発明の技術
のプローブを含むこともできる。本発明の技術の化合物と共に使用するためのコンジュゲ
ートは、一態様において、インビボにおける半減期を改善することができる。本発明の技
術の化合物ならびにそれらの適用および関連する技法で使用するための他の例示的コンジ
ュゲートは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,672,662号に一般
的に記載されたものを含む。
【0095】
用語「関連する」および/または「結合する」は、例えば、本発明の技術の化合物と対
象とする標的の間の化学的または物理的相互作用を意味することができる。会合または相
互作用の例は、共有結合、イオン結合、親水性-親水性相互作用、疎水性-疎水性相互作
用および錯化を含む。関連するとは、各々が、種々の化学的または物理的相互作用を記載
するために使用され得るときに、「結合」または「親和性」を一般的に指すこともできる
。結合または親和性の測定も、当業者にとって日常的である。例えば、本発明の技術の化
合物は、対象とする標的または前駆体、それらの部分、フラグメントおよびペプチドおよ
び/またはそれらの堆積物と結合または相互作用することができる。
【0096】
本明細書中の例は、本発明の技術の利点を例示するために、および当業者が本発明の技
術の化合物または塩、医薬組成物、それらの誘導体、溶媒和物、代謝物、プロドラッグ、
ラセミ混合物または互変異性形態を調製または使用することをさらに助けるために提供さ
れている。本明細書中の例は、本発明の技術の好ましい態様をより完全に例示する目的で
も提供されている。例は、添付の請求項により規定された本発明の技術の範囲を制限する
と決して解釈されるべきでない。例は、上で記載された本発明の技術の任意の変形または
態様を含むかまたは組み込むことができる。上で記載された変形または態様は、本発明の
技術の任意のまたは全ての他の変形または態様の変形を各々さらに含むかまたは組み込む
こともできる。
【実施例0097】
一般的合成および分析の詳細:
全ての溶媒は、Sigma Aldrichから購入し、特に断りのない限り、試薬規
格品質であった。溶媒を、活性化されたステンレス鋼カラム(Pure Process
Technology、LLC)カラムで蒸留により脱水するか、または活性化された
モレキュラーシーブスで脱水するかによりいずれかで脱水した。試薬は、Sigma A
ldrich、Alfa Aesar、Combi Blocks、ChemBridg
e and Enamineから購入して、およびHPLCにより80~85%の純度で
あった3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)アニリン(Enamine)を例外と
して、試薬規格のものであった。
【0098】
全ての反応は、乾燥したガラス器具中で実施した。精製は、VWR(登録商標)高純度
シリカゲル60Åでシリカクロマトグラフィーを使用して実施した。分取HPLCは、X
Bridge(商標)分取C185μmOBD(商標)19×100mmカラム(Wat
ers)をAgilent ProStar325 二重波長UV-Vis検出器を備え
たデュアルポンプAgilent ProStar HPLCで使用して実施した。UV
吸収を、220nmおよび280nmでモニターした。H2O+0.01%TFAを含む
溶媒Aおよび90%v/vMeCN/H2O+0.01%TFAからなる溶媒Bを用いる
2元溶媒システムを使用した。精製は、以下のグラジエントHPLC法を使用して達成し
た:0%Bで0~1分、0~100%Bで1~28分、100~0%Bで28~30分。
【0099】
最終生成物は、薄層クロマトグラフィー、分析HPLC、質量分析法およびNMR分光
法を使用して、同定し、キャラクタライズした。分析HPLCは、XSelect(商標
)CSH(商標)C18 5μm、4.6×50mmカラム(Waters)を使用して
実施した。質量の決定は、Waters SQ Detector2と組み合わせたWa
tersのACQUITY UPLC(登録商標)を使用するLCMS分析により実施し
た。NMR分析は、Bruker Avance III 500 MHz分光計を使用
して実施した。スペクトルは、ppmとして報告され、DMSO-d6またはクロロホル
ム-d(Sigma Aldrich)における溶媒の共鳴を基準として参照した。生物
学的アッセイで評価した全ての化合物の純度は、LC-MSおよび1H NMRにより判
定して、>95%の純度であった。
【0100】
本発明の技術の中間体の代表的合成。代表的合成手順(経路AおよびB)を、本発明の
技術の例示的中間体を生成するためのスキーム2で下に示す。
【0101】
【化18】
a. DMAP, CDI, NEt
3; b. MeOTf, NEt
3, 0°C; c. H
2N-Lys(Cbz)-OtBu; d. H
2, Pd/C; e.
DMAP, CDI, NEt
3; f. MeOTf, NEt
3, 0°C; g. 2-もしくは4-(2-プロピン-1-イルオキシ)
アニリンまたは3-エチニルアニリン, 室温; 時間. TFA/CH
2Cl
2; i. TFA/CH
2Cl
2; j. トリ
ホスゲン, NEt
3, 還流; k. NEt
3, 室温.
経路Aおよび経路Bを通る例示的中間体の合成を、下で説明する。
【0102】
ジ-tert-ブチル(1H-イミダゾール-1-カルボニル)-L-グルタメート(
17)。L-H-Glu(OtBu)-OtBuの塩酸塩(1.25g、4.23mmo
l)を、CH2Cl2(30mL)に触媒量のN,N’-ジメチルアミノピリジン(50
mg)と共に溶解して、溶液を0℃に冷却してAr下で攪拌した。トリエチルアミン(4
.5mL)に続いて1,1’-カルボニルジイミダゾール(754mg、4.65mmo
l)を加えて、生じた混合物を室温に温めながら終夜攪拌した。次に反応混合物をCH2
Cl2で希釈して、H2Oに続けて飽和NaCl溶液で洗浄した。有機層をMgSO4で
脱水して、濾過し、減圧下で濃縮すると油が生じて、それは静置すると固化した。粗生成
物をシリカクロマトグラフィー(EtOAc中0~100%のMeOH)により精製して
、生成物のジ-tert-ブチル(1H-イミダゾール-1-カルボニル)-L-グルタ
メート(17)を、透明な油として得た(1.00g、61%収率)。1H NMR (500 MHz,
CDCl3) δ 8.18 (s, 1H), 7.48 (d, 1H, J = 6.2 Hz), 7.42 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 4
.45 (m, 1H), 2.44 (m, 2H), 2.18 (m, 2H), 1.50 (s, 9H), 1.46 (s, 9H).
【0103】
トリ-tert-ブチル(9S,13S)-3,11-ジオキソ-1-フェニル-2-
オキサ-4,10,12-トリアザペンタデカン-9,13,15-トリカルボキシレー
ト(18)。ジ-tert-ブチル(1H-イミダゾール-1-カルボニル)-L-グル
タメート(17)(572mg、1.48mmol)のジクロロエタン(6mL)中の溶
液を、0℃に冷却してAr下で攪拌した。トリメチルアミン(0.42mL、3.0mm
ol)のジクロロエタン(1mL)中の溶液に続いてメチルトリフレート(160μL、
1.5mmol)のジクロロエタンの溶液を加えた。反応混合物を60分間攪拌して、室
温に温めた。次に、L-H-Lys(Cbz)-OtBu.HCl(552mg、1.4
8mmol)のジクロロエタン(10mL)中の溶液を加えて、反応混合物を6時間50
℃、Ar下で攪拌した。次に混合物を、室温に冷却して減圧下で濃縮すると油が生じた。
油をシリカクロマトグラフィー(20%EtOACヘキサンから50%EtOAcヘキサ
ンへ)により精製して、生成物のトリ-tert-ブチル(9S,13S)-3,11-
ジオキソ-1-フェニル-2-オキサ-4,10,12-トリアザペンタデカン-9,1
3,15-トリカルボキシレート(18)を、透明な油として得た(678mg、74%
収率)。
【0104】
ジ-tert-ブチル(((S)-6-アミノ-1-(tert-ブチルオキシ)-1
-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)-L-グルタメート(1)。活性化された
パラジウム炭素(0.1eq)をトリ-tert-ブチル(9S,13S)-3,11-
ジオキソ-1-フェニル-2-オキサ-4,10,12-トリアザペンタデカン-9,1
3,15-トリカルボキシレート(18)(500mg)のEtOH(15mL)中の溶
液に懸濁した。懸濁液を室温でH2雰囲気下に終夜攪拌した。次に混合物を、セライトを
通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、生成物のジ-tert-ブチル(((S)-6
-アミノ-1-(tert-ブチルオキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモ
イル)-L-グルタメート(1)を粘稠な油として得た(360mg、92%収率)。
【0105】
経路Aによる合成
ジ-tert-ブチル(((S)-1-(tert-ブトキシ)-6-(1H-イミダ
ゾール-1-カルボキシアミド)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)-L
-グルタメート(2)。化合物1(1.46g、3.0mmol)を、ジクロロエタン(
10mL)中に、トリエチルアミン(0.84mL、6.0mmol)および触媒量のN
,N’-ジメチルアミノピリジン(15mg)と共に溶解して、室温でAr下に攪拌した
。5分後に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(486mg、3.3mmol)のジ
クロロエタン(2mL)中の懸濁液を加えて、反応混合物をAr下で終夜攪拌した。次に
溶液を、H2O中で1%v/vのAcOHおよび飽和NaCl溶液で順に洗浄した。有機
層をMgSO4で脱水して濾過し、減圧下で濃縮すると黄色の油が生じた。油をシリカク
ロマトグラフィー(ヘキサン中で50%EtOAcからEtOAc中で10%MeOHに
)により精製して、生成物のジ-tert-ブチル(((S)-1-(tert-ブトキ
シ)-6-(1H-イミダゾール-1-カルボキシアミド)-1-オキソヘキサン-2-
イル)カルバモイル)-L-グルタメート(2)をオフホワイトの粉末として得た(60
%収率)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.34 (s, 1H), 7.94 (br s, 1H), 7.69 (s, 1H)
, 7.05 (s, 1H), 5.95 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 5.58 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 4.21 (m, 1H)
, 4.16 (m, 1H), 3.53 (m, 1H), 3.28 (m, 1H), 2.30 (m, 2H), 2.05 (m, 1H), 1.83 (m,
1H), 1.79 (m, 1H), 1.72 (m, 1H), 1.50 (m, 2H), 1.43 (s, 18H), 1.38 (s, 9H), 1.3
2 (m, 2H). ESI(+) = 582.5 (M+H)+. 質量計算値: 581.34
【0106】
ジ-tert-ブチル(((S)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソ-6-(
3-(2-プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ウレイド)ヘキサン-2-イ
ル)カルバモイル)-L-グルタメート(3)。ジ-tert-ブチル(((S)-1-
(tert-ブトキシ)-6-(1H-イミダゾール-1-カルボキシアミド)-1-オ
キソヘキサン-2-イル)カルバモイル)-L-グルタメート(2)(182mg、0.
30mmol)のジクロロエタン(4mL)中の溶液を、0℃に冷却してAr下で攪拌し
た。トリエチルアミン(87μL、0.63mmol)のジクロロエタン(1mL)中の
溶液を加えて、続いてメチルトリフレート(34μL、0.31mmol)のジクロロエ
タン(1mL)中の溶液を加えた。反応混合物を、60分間攪拌して、室温に温めた。次
に反応混合物の2mLを、Ar下で、2-(2-プロピン-1-イルオキシ)アニリン(
15mg、0.10mmol)のジクロロエタン(1mL)中の溶液を含有する丸底フラ
スコに移した。生じた混合物を室温で16時間Ar下で攪拌した。混合物を次に室温に冷
却して減圧下で濃縮すると油が生じた。油を逆相分取HPLC(12mL/分で、30分
かけて0%Bから100%Bへ、続いて100%Bで5分;λ=220nm、254nm
)により精製した。生成物を含有するピークを凍結乾燥して、生成物のジ-tert-ブ
チル(((S)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソ-6-(3-(2-プロパ-
2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ウレイド)ヘキサン-2-イル)カルバモイル)
-L-グルタメート(3)を、白色粉末として単離した(28mg、45%収率)。1H N
MR (500 MHz, CDCl3) δ 8.20 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.45 (br s, 1H), 6.97 (m, 1H),
6.84 (m, 2H), 6.71 (m, 2H), 6.00 (br s, 1H), 5.69 (br s, 1H), 5.50 (d, 1H, J = 7
.0 Hz), 4.67 (dd, 2H, J1 = 7.2 Hz, J2 = 2.4 Hz), 4.36 (m, 1H), 4.21 (m, 1H), 3.1
2 (m, 2H), 2.54 (t, 1H, J = 2.4 Hz), 2.33 (m, 2H), 2.03 (m, 1H), 1.87 (m, 1H), 1
.75 (m, 1H), 1.54-1.38 (m, 5H), 1.41 (s, 18H), 1.37 (s, 9H). ESI(+) = 661.5 (M+H
)+. 質量計算値: 660.37
【0107】
ジ-tert-ブチル(((S)-1-(tert-ブトキシ)-6-(3-(2-エ
チニルフェニル)ウレイド)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)-L-グ
ルタメート(4)。上記化合物を同じ方法によって3-エチニルアニリン(1.1eq)
および尿素(2)(1.0eq)から合成して、橙色の半固体として単離した(33%)
。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.90 (s, 1H), 7.58 (t, 1H, J = 1.7 Hz), 7.51 (dd, 1
H, J1= 8.2 Hz, J2 = 1.3 Hz), 7.18 (t, 1H, J = 7.9 Hz), 7.05 (d, 1H, J = 7.7 Hz),
6.38 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 6.28 (br s, 1H), 5.77 (d, 1H, J = 6.9 Hz), 4.32 (m, 1
H), 4.02 (m, 1H), 3.53 (m, 1H), 3.05 (m, 1H), 3.00 (s, 1H), 2.39 (m, 2H), 2.07 (
m, 1H), 1.88 (m, 1H), 1.74 (m, 1H), 1.62 (m, 1H), 1.49-1.37 (m, 4H), 1.41 (s, 18
H), 1.37 (s, 9H). ESI(+) = 631.5 (M+H)+. 質量計算値: 630.36
【0108】
ジ-tert-ブチル(((S)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソ-6-(
3-(4-プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ウレイド)ヘキサン-2-イ
ル)カルバモイル)-L-グルタメート(5)。上記化合物を、同じ方法によって、[4
-(2-プロピン-1-イルオキシ)フェニル]アミン塩酸塩(1.1eq)および尿素
(2)(1.0eq)から合成して、薄い褐色の油として単離した(46%)。1H NMR (
500 MHz, CDCl3) δ 7.60 (s, 1H), 7.33 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 6.86 (d, 2H, J = 9.0
Hz), 6.24 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 6.05 (br s, 1H), 5.71 (d, 1H, J = 7.0 Hz), 4.61 (
d, 2H, J = 2.3 Hz), 4.30 (m, 1H), 4.03 (m, 1H), 3.45 (m, 1H), 3.05 (m, 1H), 2.47
(t, 1H, J = 2.3 Hz), 2.31 (m, 2H), 2.06 (m, 1H), 1.83 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.
48 (m, 3H), 1.41 (s, 9H), 1,39 (s, 9H), 1.37 (s, 9H),1.31 (m, 2H). ESI(+) = 661.
4 (M+H)+. 質量計算値: 660.37
【0109】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)
フェニル)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)-L-グルタミン酸(6)。ジ-ter
t-ブチル(((S)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソ-6-(3-(2-プ
ロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ウレイド)ヘキサン-2-イル)カルバモ
イル)-L-グルタメート(3)(4.2mg、6.4μmol)を、CH2Cl2(0
.5mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(0.5mL)を加えて、混合物を終夜室温で
攪拌した。揮発性溶媒をN2のストリーム下で除去して、生じた粗残留物を凍結乾燥して
、生成物、(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(2-(プロパ-2-イン-1-イ
ルオキシ)フェニル)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)-L-グルタミン酸(6)を
、白色粉末として得た(3.1mg、98%収率)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.1
0 (m, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.03 (m, 1H), 6.90 (br s, 1H), 6.86 (m, 2H), 6.33 (d, 1
H, J = 12.5 Hz), 6.31 (d, 1H, J = 12.5 Hz), 4.86 (d, 2H, J = 2.3 Hz), 4.10 (m, 2
H), 3.60 (t, 1H, J = 2.3 Hz), 3.06 (m, 2H), 2.24 (m, 2H), 1.93 (m, 1H), 1.69 (m,
2H), 1.56 (m, 1H), 1.42 (m, 2H), 1.32 (m, 2H). ESI(+) = 493.3 (M+H)+. 質量計算
値: 492.19
【0110】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(3-エチニルフェニル)ウレイド)ペンチル
)カルバモイル)-L-グルタミン酸(7)。アルキン(4)を同じ方法により脱保護し
て表題の化合物を白色粉末として単離した(61%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8
.42 (s, 1H), 7.11 (m, 2H), 6.91 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 6.50 (dd, 1H, J1 = 8.2 Hz,
J2 = 2.4 Hz), 6.31 (m, 2H), 6.13 (br s, 1H), 4.71 (d, 2H, J = 2.2 Hz), 4.08 (m,
2H), 3.05 (m, 2H), 2.24 (m, 2H), 1.91 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.54 (m, 1H), 1.41
(m, 2H), 1.30 (m, 2H). ESI(+) = 463.3 (M+H)+. 質量計算値: 462.18
【0111】
((1-カルボキシ-5-(3-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル
)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)グルタミン酸(8)。アルキン(5)を、同じ方
法により脱保護して表題の化合物を白色粉末として単離した(96%)。1H NMR (500 MH
z, DMSO-d6) δ 8.28 (s, 1H), 7.31 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 6.87 (d, 2H, J = 9.0 Hz),
6.35 (d, 1H, J = 11.4 Hz), 6.34 (d, 1H, J = 11.4 Hz), 6.09 (br s, 1H), 4.72 (d,
2H, J = 2.3 Hz), 4.10 (m, 2H), 3.54 (t, 1H, J = 2.3 Hz), 3.06 (m, 2H), 2.25 (m,
2H), 1.93 (m, 1H), 1.63 (m, 2H), 1.53 (m, 1H), 1.42 (m, 2H), 1.31 (m, 2H). ESI(
+) = 493.3 (M+H)+. 質量計算値: 492.19
【0112】
経路Bによる合成
(((S)-5-アミノ-1-カルボキシペンチル)カルバモイル)-L-グルタミン酸
(9)。化合物(1)(1.22g、2.5mmol)をCH2Cl2(5mL)に溶解
した。トリフルオロ酢酸(1.5mL)を加えて、反応混合物を終夜室温で攪拌した。揮
発性材料をN2のストリーム下で除去して、粗生成物を凍結乾燥して、(((S)-アミ
ノ-1-カルボキシペンチル)カルバモイル)-L-グルタミン酸(9)を粘稠な油とし
て得た(700mg、88%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.71 (s, 2H), 6.37 (m
, 2H), 4.08 (m, 2H), 2.78 (m, 2H), 2.25 (m, 2H), 1.93 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.5
3 (m, 3H), 1.32 (m, 2H).
【0113】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(2-エチニルフェニル)ウレイド)ペンチル
)カルバモイル)-L-グルタミン酸(10)。2-エチニルアニリン(30μL、0.
26mmol)のトルエン(1mL)中の溶液を、トリホスゲン(56mg、0.19m
mol)のトルエン(3mL)中の溶液に室温でAr下にゆっくり加えた。トリエチルア
ミン(42μL、0.30mmol)を加えて反応混合物を加熱して6時間還流させた。
溶媒を減圧下で除去して、粗残留物の黄色/白色半固体を、DMF(2mL)に溶解した
。次に、アミン(9)(60mg、0.19mmol)のDMF(1mL)中の溶液を加
え、続いてトリエチルアミン(42μL、0.30mmol)を加えた。反応混合物を室
温で90分間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮して、粗残留物を逆相分取HPLC(12
mL/分で、30分かけて0%Bから100%Bへ、続いて100%Bで5分;λ=22
0nm、254nm)により精製した。生成物を含有するピークを捕集して凍結乾燥して
、(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(2-エチニルフェニル)ウレイド)ペンチ
ル)カルバモイル)-L-グルタミン酸(10)を白色粉末として得た(27mg、31
%収率)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.13 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.86 (s, 1H), 7
.37 (dd, 1H, J1= 7.6 Hz, J2 = 1.3 Hz), 7.27 (m, 1H), 7.23 (br s, 1H), 6.90 (t, 1
H, J = 7.6 Hz), 6.34 (m, 2H), 4.56 (s, 1H), 4.10 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 2.25 (m,
2H), 1.93 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.57 (m, 1H), 1.44 (m, 2H), 1.33 (m, 2H). ESI(
+) = 463.5 (M+H)+; ESI(-) = 461.2 (M-H)-. 質量計算値: 462.18
【0114】
((1-カルボキシ-5-(3-(3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル
)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)グルタミン酸(11)。上記化合物を、同じ方法
によって、アミン(9)および3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)アニリンから
合成して、薄い褐色粉末として単離した(13%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.5
4 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.32 (dd, 1H, J1 = 8.1 Hz, J2= 1.3 Hz), 7.21 (t, 1H, J
= 7.8 Hz), 6.98 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.33 (m, 2H), 6.21 (br s, 1H), 4.11 (s, 2H)
, 4.08 (m, 2H), 3.06 (m, 2H), 2.24 (m, 2H), 1.93 (m, 1H), 1.71 (m, 2H), 1.55 (m,
1H), 1.43 (m, 2H), 1.31 (m, 2H). ESI(+) = 493.1 (M+H)+. 質量計算値: 492.19
【0115】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(4-エチニルフェニル)ウレイド)ペンチル
)カルバモイル)-L-グルタミン酸(12)。上記化合物を、同じ方法によって、アミ
ン(9)および4-エチニルアニリンから合成して、青白い緑色の粉末として単離した(
38%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.64 (s, 1H), 7.40 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7
.32 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 6.33 (m, 2H), 6.22 (br s, 1H), 4.10 (m, 2H), 3.99 (s, 1
H), 3.07 (m, 2H), 2.25 (m, 2H), 1.93 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.43 (
m, 2H), 1.31 (m, 2H). ESI(+) = 463.4 (M+H)+; ESI(-) = 461.3 (M-H)-. 質量計算値:
462.18
【0116】
代表的中間体からの代表的19F化合物
代表的合成手順を、本発明の技術の18F化合物の例示となる例示的19F化合物を生
成することにおける下のスキーム3で示し、続いてこれらの例示的19F化合物の合成を
より詳細に説明する。
【0117】
【0118】
2-フルオロエチルトシレート(13)。テトラブチルフッ化アンモニウムの溶液(2
.2mL、THF中1.0M)を、ジ(p-トルエンスルホニル)エタンジオール(74
0mg、2.0mmol)のTHF(15mL)中の懸濁液に加えて、混合物を加熱して
Ar下で終夜還流させた。次に反応混合物を室温に冷却して、溶媒を減圧下で除去した。
粗残留物をH2OとEtOAcとの間に分配した。層を分離して水性層をEtOAcで抽
出した。有機層を合わせてMgSO4で脱水し、濾過して減圧下で濃縮すると無色の油が
生じた。油をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン中20%のEtOAc)により精製し
て、2-フルオロエチルトシレート(13)を無色の油として得た(225mg、52%
収率)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.79 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.35 (d, 2H, J = 8.
6 Hz), 4.61 (m, 1H), 4.51 (m, 1H), 4.28 (m, 1H), 4.22 (m, 1H), 2.45 (s, 3H).
【0119】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(2-(1-(2-フルオロエチル)-1H-
1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)
-L-グルタミン酸(RPS-042)。ナトリウムアジド(10mg、150μmol
)を、2-フルオロエチルトシレート(7.5mg、30μmol)のDMF(0.3m
L)中の溶液に懸濁させた。懸濁液を終夜室温で攪拌してから濾過した。濾液に、アルキ
ン(6)(0.9mg、1.83μmol)のDMSO(0.2mL)中の溶液を加えた
。別のバイアル中で、0.5MのCuSO4(100μL)および1.5Mのアスコルビ
ン酸ナトリウム(100μL)を5分間混合して、次に反応バイアルにDMF(100μ
L)中の溶液として移した。反応混合物を60分間室温で攪拌して、逆相分取HPLC(
12mL/分で、30分かけて0%Bから100%B、続いて100%Bで5分;λ=2
20nm、254nm)により精製した。生成物を含有するピークを凍結乾燥して、RP
S-042を白色粉末として単離した(0.8mg、75%収率)。1H NMR (500 MHz, D
MSO-d6) δ 8.64 (s, 1H), 8.16 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.61 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.2
6 (dd, 1H, J1 = 8.3 Hz, J2 = 7.3 Hz), 7.12 (br s, 1H), 7.02 (m, 2H), 6.33 (d, 1H
, J = 8.3 Hz), 6.31 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.97 (m, 1H), 4.86 (m, 2H), 4.80 (m, 1H
), 4.10 (m, 2H), 3.07 (m, 2H), 2.25 (m, 2H), 1.94 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.57 (m
, 1H), 1.44 (m, 2H), 1.32 (m, 2H). ESI(+) = 552.4 (M+H)+; ESI(-) = 550.3 (M-H)-.
質量計算値: 551.21
【0120】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(3-(1-(2-フルオロエチル)-1H-
1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)
-L-グルタミン酸(RPS-040)。RPS-040をアルキン(7)から、RPS
-042と同じ方法によって合成して、白色粉末として単離した(82%収率)。1H NMR
(500 MHz, DMSO-d6) δ 8.52 (s, 2H), 7.94 (s, 1H), 7.32 (m, 2H), 7.26 (m, 1H), 6
.32 (m, 2H), 6.15 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 4.91 (t, 1H, J = 4.6 Hz), 4.82 (t, 1H, J
= 4.6 Hz), 4.77 (t, 1H, J = 4.6 Hz), 4.71 (t, 1H, J = 4.6 Hz), 4.08 (m, 2H), 3.0
7 (d, 2H, J1 = 12.4 Hz, J2 = 6.8 Hz), 2.25 (m, 2H), 1.91 (m, 1H), 1.67 (m, 2H),
1.54 (m, 1H), 1.43 (m, 2H), 1.30 (m, 2H). ESI(+) = 552.4 (M+H)+. ESI(-) = 550.3.
質量計算値: 551.21
【0121】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(4-(1-(2-フルオロエチル)-1H-
1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)ウレイド)ペンチル)カルバモイル)
-L-グルタミン酸(RPS-041)。RPS-041を、アルキン(8)からRPS
-042と同じ方法によって合成して、白色粉末として単離した(50%収率)。1H NMR
(500 MHz, DMSO-d6) δ 8.57 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.70 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.4
7 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 6.35 (d, 1H, J = 9.3 Hz), 6.33 (d, 1H, J = 9.3 Hz), 6.22
(br s, 1H), 4.92 (t, 1H, J = 4.7 Hz), 4.83 (t, 1H, J = 4.7 Hz), 4.77 (t, 1H, J =
4.7 Hz), 4.72 (t, 1H, J = Hz), 4.10 (m, 2H), 3.10 (m, 2H), 2.21 (m, 2H), 1.93 (
m, 1H), 1.85 (m, 2H), 1.63 (m, 1H), 1.43 (m, 2H), 1.33 (m, 2H). ESI(+) = 552.5
(M+H)+; ESI(-) = 550.3 (M-H)-. 質量計算値: 551.21
【0122】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(2-((1-(2-フルオロエチル)-1H
-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ウレイド)ペンチル)カ
ルバモイル)-L-グルタミン酸(RPS-039)。RPS-039を、アルキン(1
0)からRPS-042と同じ方法によって合成して、白色粉末として単離した(34%
収率)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (s, 1H), 8.09 (d, 1H, J = 9.7 Hz), 7.7
4 (s, 1H), 7.16 (d, 1H, J = 9.6 Hz), 6.95 (t, 1H, J = 5.4 Hz), 6.86 (m, 2H), 6.3
2 (m, 2H), 5.24 (s, 2H), 4.90 (t, 1H, J = 4.4 Hz), 4.78 (m, 2H), 4.72 (t, 1H, J
= 4.4 Hz), 4.10 (m, 2H), 3.05 (m, 2H), 2.25 (m, 2H), 1.93 (m, 1H), 1.71 (m, 2H),
1.55 (m, 1H), 1.40 (m, 2H), 1.32 (m, 2H). ESI(+) = 582.4 (M+H)+; ESI(-) = 580.3
(M-H)-. 質量計算値: 581.22
【0123】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(3-((1-(2-フルオロエチル)-1H
-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ウレイド)ペンチル)カ
ルバモイル)-L-グルタミン酸(RPS-043)。RPS-043を、アルキン(1
1)からRPS-042と同じ方法によって合成して、白色粉末として単離した(60%
収率)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.40 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.18 (br s, 1H)
, 7.10 (t, 1H, J = 8.1 Hz), 6.89 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 6.57 (d, 1H, J = 8.2 Hz),
6.31 (m, 2H), 6.13 (br s, 1H), 5.09 (s, 1H), 4.87 (t, 1H, J = 4.6 Hz), 4.76 (m,
2H), 4.69 (t, 1H, J = 4.6 Hz), 4.08 (m, 2H), 3.05 (m, 2H), 2.24 (m, 2H), 1.91 (m
, 1H), 1.69 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.40 (m, 2H), 1.31 (m, 2H). ESI(+) = 582.4 (M
+H)+; ESI(-) = 580.2 (M-H)-. 質量計算値: 581.22
【0124】
(((S)-1-カルボキシ-5-(3-(4-((1-(2-フルオロエチル)-1H
-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ウレイド)ペンチル)カ
ルバモイル)-L-グルタミン酸(RPS-038)。RPS-038を、アルキン(1
2)からRPS-042と同じ方法によって合成して、白色粉末として単離した(77%
収率)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.27 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.30 (d, 2H, J
= 9.0 Hz), 6.91 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 6.34 (m, 2H), 6.10 (t, 1H, J = 5.3 Hz), 5.0
9 (s, 2H), 4.89 (t, 1H, J = 4.5 Hz), 4.78 (m, 2H), 4.71 (t, 1H, J = 4.5 Hz), 4.1
0 (m, 2H), 3.06 (m, 2H), 2.25 (m, 2H), 1.93 (m, 1H), 1.73 (m, 2H), 1.60 (m, 1H),
1.42 (m, 2H), 1.32 (m, 2H). ESI(+) = 582.3 (M+H)+; ESI(-) = 580.3 (M-H)-. 質量
計算値: 581.22
【0125】
DCFPyLの合成
冷リガンドDCFPyLおよび前駆体トリメチルアンモニウム塩補欠基(20)の合成
を、各々参照により本明細書に組み込まれる、Olberg DE,Arukwe JM
,Grace D,Hjelstuen OK,Solbakken M,Kindbe
rg GM,Cuthbertson A.One Step Radiosynthe
sis of 6-[18F]Fluoronicotinic Acid 2,3,5
,6-Tetrafluorophenyl Ester([18F]F-Py-TFP
):A New Prosthetic Group for Efficient L
abeling of Biomolecules with Fluorine-18
.J Med Chem.2010;53:1732~40ページおよびChen Y,
Pallumbhatla M,Foss CA,Byun Y,Nimmagadda
S,Senthamizhchelvan S,ら 2-(3-{1-Carboxy
-5-[(6-[18F]Fluoro-Pyridine-3-Carbonyl)-
Amino]-Pentyl}-Ureido)-Pentanedioic Acid
,[18F]DCFPyL,a PSMA-Based PET Imaging Ag
ent for Prostate Cancer.Clin Cancer Res.
2011;17:7645~53ページに記載された手順に従って試みた。
【0126】
N,N,N-トリメチル-5-((2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)-カ
ルボニル)ピリジン-2-アミニウムトリフルオロメタンスルホネート(20)。表題化
合物を、6-クロロニコチン酸から3ステップで白色結晶として単離した(137mg、
19%収率)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.42 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 8.94 (dd, 1H,
J1 = 8.7 Hz, J2= 2.2 Hz), 8.29 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 7.57 (m, 1H), 3.76 (s, 9H).
ESI(+) = 329.3 (M+-OTf). 質量計算値: 329.09
【0127】
6-フルオロニコチン酸2,3,5,6-テトラフルオロフェニルエステル(21)。
表題化合物を、トリメチルアンモニウム塩(20)から、白色粉末として合成した(2.
5mg、14%収率)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.11 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 8.59
(dt, 1H, J1 = 8.2 Hz, J2= 2.4 Hz), 7.15 (dd, 1H, J1 = 8.6 Hz, J2 = 2.9 Hz), 7.10
(m, 1H).
【0128】
2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロピリジン-3-カルボニル)-ア
ミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)。表題化合物を、活性
化されたエステル(21)から2ステップで、白色粉末として合成した(2.0mg、5
5%収率)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.67 (m, 2H), 8.38 (m, 1H), 7.30 (dd, 1
H, J1 = 8.6 Hz, J2= 2.6 Hz), 6.33 (m, 2H), 4.08 (m, 2H), 3.26 (m, 2H), 2.25 (m,
2H), 1.93 (m, 1H), 1.72 (m, 2H), 1.58 (m, 3H), 1.36 (m, 2H). ESI(+) = 499.4 (M+H
)+. 質量計算値: 498.21
【0129】
放射性合成
一般的方法。全ての溶媒および試薬は、Sigma Aldrichから購入し、特に
断りのない限り、試薬規格品質のものであった。全ての反応は、オーブンで乾燥したガラ
ス器具中で実施した。フッ素-18は、TR19サイクロトロン(Advanced C
yclotron Systems、Inc.)を使用して、H2
18O(Rotem
Industries)の照射により18O(p,n)18F形質転換を通して得た。衝
撃終了時の活性は、典型的には、5.55~9.25GBq(150~250mCi)で
あった。分析およびセミ分取HPLCを、二重UV-Vis検出器およびNaI(Tl)
検出器(Bioscan)を備えた二重ポンプVarian HPLC(Agilent
Technologies)で実施した。溶媒AはH2O中0.01%のTFAであり
、溶媒Bは90:10v/vMeCN:H2O中0.01%のTFAであった。セミ分取
HPLCをBondapakのC18 7.8×300mm、125Åカラム(Wate
rs)で実施して、一方、分析HPLCはSymmetryのC18 4.6×50mm
、100Åカラム(Waters)で実施した。UV吸収スペクトルを220nmおよび
280nmでモニターした。セミ分取HPLCは、15%Bの定組成溶媒混合物を使用し
て4mL/分の流速で実施した。分析HPLCは、一般的に、2ml/分の流速で、以下
のグラジエント;0%B0~1分、0~100%B1~8分、100~0%B8~10分
を使用して実施した。全ての放射化学的収率は、合成開始時に、[18F]フッ化物の活
性測定に対して補正した。報告された反応条件は、手を使用した放射性合成により得られ
た最高の収率を代表する。
【0130】
本発明の技術の例示的18F化合物の放射性合成
本発明の技術のある例示的18F化合物のための代表的合成スキームを、下のスキーム
4で提供する。特定の手順の詳細はこの後に続く。
【0131】
【0132】
2-アジドエタノール(14)。ブロモエタノール(250mg、2.0mmol)を
H2O(7mL)に溶解した。ナトリウムアジド(195mg、3.0mmol)のH2
O(3mL)中の溶液を加えて、反応混合物を4時間室温で、次に16時間80℃で攪拌
した。次に反応混合物を室温に冷却してEtOAcで抽出した。有機層を合わせて、Mg
SO4で脱水して濾過し、減圧下で濃縮して、2-アジドエタノール(14)を透明な液
体として得た(149mg、86%収率)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.88 (t, 2H,
J = 5.1 Hz), 3.39 (t, 2H, J = 5.1 Hz), 3.14 (br s, 1H).
【0133】
2-アジドエチルトシレート(15)。p-トルエンスルホニルクロリド(394mg
、2.07mmol)のCH2Cl2(5mL)中の溶液を2-アジドエタノール(14
9mg、1.72mmol)のCH2Cl2(10mL)中の溶液に加えた。トリエチル
アミン(0.48mL、3.44mmol)を加えて、反応混合物を5時間室温でAr下
で攪拌した。次に反応混合物を、1M HCl、H2Oおよび飽和NaCl溶液で次々に
洗浄した。有機層をMgSO4で脱水して濾過し、減圧下で濃縮すると、青白い油が生じ
た。油をシリカクロマトグラフィー(33%EtOAcヘキサン中)により精製して2-
アジドエチルトシレート(15)を無色の油として得た(204mg、49%収率)。1H
NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.29 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 4.0
8 (t, 2H, J = 5.1 Hz), 3.41 (t, 2H, J = 5.1 Hz), 2.39 (s, 3H).
【0134】
2-[18F]フルオロエチルアジド(16)。担体無添加[18F]フッ化物を、予
め活性化されたSep-PakQMAカートリッジ(Waters)に捕捉して、2.7
mgのK2CO3および4mgのKryptofix-222を含有する1mLの80%
v/vMeCN/H2O溶液で溶出した。該溶液をMeCN(2×0.5mL)と100
℃で10分共沸させて脱水した。脱水された[18F]フッ化物に、2-アジドエチルト
シレート(15)(6mg)のMeCN(300μL)中の溶液を加えた。生じた溶液を
80℃で10分間攪拌すると、2-[18F]フルオロエチルアジドが生じた。2-[1
8F]フルオロエチルアジドを、バイアルを130℃で加熱することによる蒸留により精
製して、2-[18F]フルオロエチルアジドを、0℃に冷却された100μLのDMF
を含有するバイアルで捕捉した。
【0135】
本発明の技術の代表的18F化合物の例示的合成。DMF(100μL)中で予め混合
された0.5MのCuSO4(50μL)および1.5Mのアスコルビン酸ナトリウム(
50μL)の溶液を、2-[18F]フルオロエチルアジド溶液を含有するバイアルに加
え、続いてDMSO(100~150μL)中の1mgのアルキン前駆体(6~8;10
~12)を加えた。反応混合物を100℃で20分間攪拌した。次に、それを室温に冷却
して、2mLのH2Oで希釈して、0.45μmのナイロン注射器フィルター(Cole
-Parmer)を通して濾過した。フィルターを1mLのH2Oで洗浄して、洗浄液を
濾液に加えた。濾液を、セミ分取逆相HPLC(4mL/分;0~100%B;30分)
により精製して、18Fで標識されたトリアゾールに対応するピークを捕集して、H2O
で希釈して、予め活性化されたOasis(商標)固相抽出カートリッジ(Waters
)を通した。保持された活性をEtOHで溶出させて、0.9%のNaCl溶液で、エタ
ノールの濃度が5%v/v未満になり、放射能濃度が最小の74MBq/mLになるまで
希釈した。合成、精製および最終の調製は、合成開始から105分で達成された。最適化
された定組成HPLC精製方法(4mL/分;15%B;30分)を使用して、[18F
]RPS-040および[18F]RPS-041を、減衰を補正された20~40%の
放射化学的収率、99%を超える放射化学的純度および391GBq/μmolまでの特
異的活性で単離した。
【0136】
[68Ga]Ga-PSMA-HBED-CC。表題の化合物を、参照により本明細書
に組み込まれる、Amor-Coarasa A,Schoendorf M,Meck
el M,Vallabhajosula S,Babich J.Comprehen
sive Quality Control of the ITG Ge-68/Ga
-68 Generator and Synthesis of Ga-68-DOT
ATOC and Ga-68-PSMA-HBED-CC for Clinical
Imaging.J Nucl Med.2016 Apr 21(PMID:271
03024)に記載された手順に従って生成させた。特に、1.85GBqの68Ga/
68Ge発生源(ITG)を4mLの0.05M HClで溶出させて、68GaCl3
を185~222MBq/mLの溶液として得た。この貯蔵溶液から、1mL(約185
MBqを含有する)を取って、95℃で、それをH2O中1mg/mLのPSMA-HB
ED-CC(ABX)溶液の5μLと組み合わせた。20μLの3N NaOAc溶液の
添加により反応を開始させて、Thermomixer上で20分間95℃に加熱し続け
た。次に、それを、予め活性化されたSep-PakOasis(商標)カートリッジ(
Waters)に通して、カートリッジをH2Oで洗浄した。[68Ga]Ga-PSM
A-HBED-CCを食塩水中10%v/vのEtOH溶液中に溶出させて、約100M
Bq/mLの最終濃度に希釈した。減衰を補正した放射化学的収率は、95%を超えて、
放射化学的純度は99%を超えた。
【0137】
[18F]DCFPyL。2mLのH2
18O中の10.73GBq(290mCi)
[18F]フッ化物を、H2O中100μg/mLのKF溶液50μLおよび4mgのk
ryptofix-222の存在下において100℃で、MeCNと共沸させて脱水した
。脱水された混合物に、1mLのMeCN中の9mgの6-トリメチルアンモニウム塩(
20)を加えて、反応混合物を40℃で70分間攪拌した。反応混合物を10mLで希釈
して予め活性化されたSep-Pakシリカカートリッジ(Waters)に通した。溶
出液を60℃で蒸発乾固した。乾燥された混合物に、10μLのMeCN、5μLのNE
t3および1mLのCH2Cl2中の1mgのジ-tert-ブチル(((S)-6-ア
ミノ-1-(tert-ブチルオキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル
)-L-グルタメート(1)を加えた。反応混合物を20分間40℃で攪拌して、次に1
0μLのMeCNおよび5μLのNEt3中の別の1mg(1)を加えた。反応混合物を
さらに30分間攪拌した後、溶媒を蒸発させて、粗生成物を100μLのTFAに溶解し
て、20分間40℃で攪拌した。揮発性物質を真空下で蒸発させ、粗残留物をH2Oに溶
解して、セミ分取HPLC(2mL/分、10分グラジエント)により精製した。生成物
を含有するピークを捕集して、H2Oで希釈して、予め活性化されたSep-PakOa
sis(商標)カートリッジ(Waters)で捕捉した。活性成分を600μLのMe
CNで溶出させて、真空下100℃で濃縮した。粗残留物を200μLの0.9%NaC
l溶液に溶解した。合成時間の合計は230分であり、減衰を補正された放射化学的収率
は0.9%であり、放射化学的純度は96%を超え、特異的活性は35GBq/μmol
を超えた。
【0138】
代表的生物学的アッセイ
細胞培養。ヒト前立腺癌細胞系統、LNCaPは、特に断りのない限り、Americ
an Type Culture Collection.Cellから得て、培養の供
給はInvitrogenからであった。LNCaP細胞は、加湿されたインキュベータ
ー中37℃/5%CO2で、10%ウシ胎児血清(Hyclone)、4mMのL-グル
タミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、10mMのN-2-ヒドロキシエチルピペラジ
ン-N-2-エタンスルホン酸(HEPES)、2.5mg/mLのD-グルコース、お
よび50μg/mLのゲンタマイシンを補充されたRPMI-1640培地中で維持した
。細胞を、それらを0.25%トリプシン/エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)で
インキュベートすることにより、継代のため、または12-ウェルのアッセイプレートに
移すために、フラスコから取り出した。
【0139】
IC50のインビトロにおける決定。前に記載された方法に従って、非放射性フッ素含
有リガンドのIC50値を、LNCaP細胞上のPSMAに対する結合について、99m
Tc-((7S,12S,16S)-1-(1-(カルボキシメチル)-1H-イミダゾ
ール-2-イル)-2-((1-(カルボキシメチル)-1H-イミダゾール-2-イル
)メチル)-9,14-ジオキソ-2,8,13,15-テトラアザオクタデカン-7,
12,16,18-テトラカルボン酸テクネチウムトリカルボニル錯体)(99mTc-
MIP-1427)に対する多濃度競合結合アッセイにおけるスクリーニングにより決定
した。参照により本明細書に組み込まれる Hillier SM,Maresca K
P,Lu G,Merkin RD,Marquis JC,Zimmerman CN
,Eckelman WC,Joyal JL,Babich JW.99mTc-La
beled Small-Molecule Inhibitors of Prost
ate-Specific Membrane Antigen for Molecu
lar Imaging of Prostate Cancer.J.Nucl.Me
d.2013,54,1369~1376ページを参照されたい。LNCaP細胞をプレ
ートで48時間培養した後、0.25%のウシ血清アルブミンで補充されたRPMI-1
640培地で約5×105細胞/ウェル(3連で)の密度に達した後、アッセイを実施す
る実験を行った。LNCaP細胞を、1nMの99mTc-MIP-1427と、無血清
RPMI-1640培地中で、1~10,000nMの試験化合物を存在させて、1時間
インキュベートした。次に、放射性インキュベーション培地をピペットにより取り出して
、1mLの氷冷HEPES緩衝液を使用して細胞を2回洗浄した。細胞をプレートから収
穫して、PackardのCobra IIガンマカウンターを使用して、放射能を計数
するためにチューブに移した。IC50値を、GraphPadのPrismソフトウェ
アを使用して非線形回帰により決定した。
【0140】
異種移植されたマウスの接種。全ての動物研究は、Institutional An
imal Care and Use Committee of Weill Cor
nell Medicineにより承認されて、Humane Care and Us
e of Laboratory Animals.に関するUSPHS Policy
により示された指針に従って企画された。動物は、承認された施設に、12時間の明/暗
サイクルで標準条件下に収容した。食物および水は、研究の進行中を通じて随意に供給さ
れた。雄インブレッド無胸腺nu/nuマウスをThe Jackson Labora
toryから購入した。マウスに接種するために、LNCaP細胞をPBS:マトリゲル
(BD Biosciences)の1:1混合物中に4×107細胞/mLで懸濁した
。各マウスの左脾腹に0.25mLの細胞懸濁液を注入した。腫瘍が約200~400m
m3に達したときに、マウスを画像化して、同時に腫瘍が100~400mm3の範囲に
なったときに、体内分布測定を行った。
【0141】
画像化。LNCaP異種移植腫瘍担持マウス(1化合物当たり2匹)に、尾静脈を通し
て、トレーサーの、5.5~6.5MBq(150~175μCi)の[18F]DCF
PyL([18F]RPSシリーズ)または5.5MBq(150μCi)の[68Ga
]Ga-PSMA-HBED-CCの7.03~7.77MBq(190~210μCi
)を、ボーラス注射で静脈注射した。特異的活性は190GBq/μmolを超えた。マ
ウスをμPET/CT(Inveon(商標);Siemens Medical So
lutions、Inc.)により、注射後([18F]フッ素化化合物)1時間、2時
間、4時間、および6時間または注射後([68Ga]Ga-PSMA-HBED-CC
)1時間および3時間に画像化した。合計取得時間は30分であり、CT走査は、解剖学
的相互位置合わせおよび減衰補正の両方の取得の直前または直後のいずれかに得た。デー
タを、業者により供給される市販のInveon(商標)ソフトウェアを使用して再構成
した。腫瘍取り込みを、対象領域(ROI)を描くことにより推定した。
【0142】
体内分布。LNCaP異種移植腫瘍担持マウス(1時点当たりn=5)に、尾静脈を通
して370kBq(10μCi)の[18F]RPS-040または[18F]RPS-
041のいずれかを、ボーラス注射で注射した。化合物の特異的活性は、それぞれ341
GBq/μmolおよび391GBq/μmolであった。マウスを、注射後1時間、2
時間および4時間に、イソフルオラン下における窒息により安楽死させた。追加組のマウ
ス(n=5)に[18F]RPS-040(370kBq;10μCi)および2-PM
PA(約250μg;10mg/kg)を共投与して注射後1時間に殺して、取り込み特
異性を決定した。全体内分布の研究を全てのマウスで実施して、組織を切り出して秤量し
、自動化γ-カウンターで計数した。組織の時間活性値は、組織の1グラム当たりに注射
された投与量に対するパーセンテージとして表現した(%ID/g)。統計的比較は、標
準スチューデントのt-検定を、95%信頼区間で使用して実施した。
【0143】
本発明の技術の化合物の代表的活性
例示的なインビトロにおける研究結果。
PSMAに対する親和性は、LNCaP細胞を使用して、競合結合アッセイで決定して
、6種類の化合物のIC50は、3.2~36.5nMに範囲にあった(表1)。同じL
NCaPに基づくアッセイで、MIP-1095は、0.3nMのIC50を有すると決
定されたが、フッ素化されたPSMA阻害剤のDCFPyLは、男性における最初の試行
が、米国およびヨーロッパで、現在進行中で、22.8nMのIC50を有した。[68
Ga]Ga-PSMA-HBED-CCは、LNCaP細胞を使用する競合結合アッセイ
で、PSMAに対して約24nMのIC50を有すると報告された。
【0144】
【表1】
a. Maresca KP, Hillier SM, Femia FJ, Barone DKC, Joyal JL, Zimmerman CN, Kozikow
ski AP, Barrett JA, Eckelman WC, Babich JW. A Series of Halogenated Heterodimeri
c Inhibitors of Prostate Specific Membrane Antigen(PSMA)as Radiolabeled Probes f
or Targeting Prostate Cancer. J. Med.Chem.2009, 52, 347~357ページを参照されたい
。
b. Wustemann T, Bauder-Wust U, Schafer M, Eder M, Benesova M, Leotta K, Kratochw
il C, Haberkorn U, Kopka K, Mier W.Design of Internalizing PSMA-specific Glu-ure
ido-based Radiotherapeuticals. Theranostics.2016 Apr 28;6(8):1085~95ページを参
照されたい。
c. 腫瘍取り込みの画像計測
【0145】
インビボにおける評価。本発明の技術の6種類の代表的な
18F化合物を、前立腺癌の
マウスモデルで、注射後1時間、2時間、4時間および6時間におけるμPET/CT画
像化により査定した。本発明の技術の代表的な
18F化合物の各々は、1時間までに腫瘍
における良好な取り込みを示し、取り込みは、2時間でピークになり、4時間まで定常値
を保った(
図1)。有意の洗い出しは、6時間までに観察されなかった。対照的に、腎臓
および肝臓などの他の組織におけるシグナルは、1時間後に低下し始めて、注射後2時間
までに高いコントラスト画像を生じた。排泄は、これらのマウスの膀胱中における活性の
急速な蓄積により証明されるように、主に尿を通じて行われた。尿は捕集されなかった。
【0146】
シリーズ1における化合物について、腫瘍における最大取り込み(t=2時間)は、μ
PET/CT画像から、5.89±0.27%ID/gから9.04±1.88%ID/
gの範囲と推定され、取り込みは、[18F]RPS-043>[18F]RPS-03
8>[18F]RPS-039であった(前出の表1を参照されたい)。シリーズ1でR
PS-039は、PSMA(14nM)に対して最高の親和性を有したが、腫瘍の取り込
みは最低(5.87±0.27%ID/g)であったので、取り込みは、LNCaP細胞
で決定されたIC50と直接には相関しなかった。化合物は、シリーズ2で、シリーズ1
におけるそれらの構造的片割れより大きい腫瘍取り込みおよびより高いコントラストを示
した。最大腫瘍取り込み(t=2時間)は、画像から誘導されて計算され、10.06±
1.33%ID/gから14.30±0.67%ID/gの範囲にあり、[18F]RP
S-040>[18F]RPS-041>[18F]RPS-042の順であった(前出
の表1を参照されたい)。親和性が最高の化合物([18F]RPS-041;IC50
=3.2nM)が最高の腫瘍取り込みを有しなかったことは再び事実であった。
【0147】
クリアランスの主要な経路は、腎臓経由であると思われるが、RPS-039およびR
PS-042は例外で、それらは、腎臓クリアランスに加えて肝胆道経路によるクリアラ
ンスを示した。これらの2種類の化合物は、構造的特徴として、フェニル尿素の2-位に
おける置換を共有する。[18F]RPS-039は、インビトロにおける結合アッセイ
で、最も強いシリーズ1の化合物であったが、[18F]RPS-039および[18F
]RPS-042は両方とも、それらそれぞれのシリーズの最低の腫瘍取り込みおよび最
低の画像コントラストを有した。
【0148】
μPET/CT画像で、画像計測された最高の腫瘍取り込み(それぞれ、14.30%
ID/gおよび12.51%ID/g、)および最大の腫瘍/バックグラウンドコントラ
ストを有した[18F]RPS-040および[18F]RPS-041の両方を、LN
CaP腫瘍異種移植担持マウスにおける体内分布の研究によりさらに評価した。
【0149】
画像化の知見は体内分布の研究で確証され、該研究において、両方のリガンドについて
、最大の腫瘍取り込みが、注射後2時間に観察され(
図2および
図3)、[
18F]RP
S-040は14.30±2.49%ID/g(n=5)に達し、および[
18F]RP
S-041は10.86±1.03%ID/g(n=5)でピークになった。この時点で
、取り込みは、腎臓(60.94±8.06および23.93±5.45)、脾臓(3.
23±1.26および1.13±0.47)および肝臓(4.72±0.93および2.
51±0.21)でも観察される。腫瘍対バックグラウンド比を、
図4にプロットしてあ
る。比は[
18F]RPS-041に有利であり、それは、全ての時点で、[
18F]R
PS-040より僅かに低い腫瘍取り込みを有するが、相当により低いバックグラウンド
シグナルを有する。注射後2時間で、[
18F]RPS-041によるコントラストは、
[
18F]RPS-040によるよりも2倍大きい。
【0150】
取り込みがPSMAに媒介されることを示すために、5匹のマウスに、[
18F]RP
S-040および強いPSMA阻害剤の2-ホスホノメチルペンタン二酸(2-PMPA
)を共注射して、注射後1時間に殺した。この時点で、腫瘍取り込みは、阻止されない組
のマウスにおける12.69±1.56%ID/g(n=5)から2-PMPAを共投与
された組における1.75±0.15%ID/g(n=5)に減少した。同様な阻止は、
ヌードマウスでPSMAを発現することが知られている他の2器官の、脾臓(4.97±
1.55%ID/g対0.32±0.05%ID/g)および腎臓(74.24±10.
71%ID/g対5.95±1.65%ID/g)(
図2)でも観察された。
【0151】
[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCとの比較。
[
18F]RPS-040および[
18F]RPS-041の[
68Ga]Ga-PS
MA-HBED-CCとのμPET/CT画像の比較は、ガリウム-68トレーサーの注
射後1時間における、有意により高い腎臓取り込み(p<0.0002)およびより低い
腫瘍取り込み(p<0.0008)を示す(
図5)。肝臓または腸における取り込みは、
[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCでは、顕性でなかった。
【0152】
これらの観察は、エクスビボにおける体内分布の知見に反映される。[
68Ga]Ga
-PSMA-HBED-CCの最近報告された研究は、腫瘍取り込みが、注射後1時間で
5.81±1.67%ID/gおよび注射後3時間で6.27±1.44%ID/gであ
ることを示した(Nikolopoulou A,Amor-Coarasa A,Ke
lly J,Vallabhajosula V,and Babich J.Comp
arative evaluation of 68Ga-labeled urea-
based PSMA ligands in LNCaP tumor bearin
g mice J Nucl Med May 1,2015 vol.56 no.s
upplement 3 114ページ)。それ故、最大腫瘍取り込みの時間で、[
18
F]RPS-040は、[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCよりも2倍を超え
る取り込みを示し、一方、[
18F]RPS-041は、殆ど2倍大きかった。[
18F
]RPS-040および[
18F]RPS-041の両方と比較して、血液中の活性は、
より高かったが、腎臓中における活性(1時間で314.44±90.61;3時間で2
07.97±58.38)および脾臓における活性(1時間で31.73±14.09;
3時間で13.85±3.53)は有意により高かった(それぞれp<0.0002およ
びp<0.002)。これらの薬物動態は、[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-C
Cに対して[
18F]RPS-040および[
18F]RPS-041でより高い腫瘍取
り込みおよび増強された腫瘍対バックグラウンド比を生じた(
図6)。
【0153】
注射後1時間で、[18F]RPS-041および[18F]RPS-040について
、腫瘍対血液の比は、[68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCについてよりも、そ
れぞれ、2倍および3倍より大きく、これらの比は、時間と共に大きくなり続ける。腫瘍
対腎臓の比は、[18F]RPS-040および[18F]RPS-041が、10倍お
よび12倍強いコントラストを示すので、さらにより顕著であり、やはり、相対的コント
ラストは、時間と共に増大する。
【0154】
本発明の技術の利点の考察
補欠基戦略は、6種類のPSMA阻害剤の合成および放射性合成のために構想された。
この手法により、尿素系の直接フッ素化に基づく画像化プローブにおける低い収率および
高い変動性の原因となるフッ化物と尿素のプロトンとの間の相互作用を克服することが可
能であった。Boiocchi M,Del Boca L,Gomez DE,Fab
brizzi L,Licchelli M,Monzani E.Nature of
Urea-Fluoride Interaction:Incipient and
Definitive Proton Transfer.J.Am.Chem.So
c.2004,126,16507~16514ページを参照されたい。2-[18F]
フルオロエチルアジド/Cu(I)触媒によるクリックケミストリーの方法論の、本発明
の技術の化合物の放射性合成への適用が良好な放射化学的収率で高親和性リガンドを合成
するための簡単なおよび再現性のある経路であることが示された。
【0155】
フェニル環における置換位置の比較を通して、腫瘍取り込みは、代表的な本発明の技術
の化合物のシリーズ1およびシリーズ2の両方について、3-置換>4-置換>2-置換
の順であることが観察された。この優先順は、4-位における置換に強い優先を示した、
ハロゲン化された低分子PSMA阻害剤を用いた(Maresca KP,Hillie
r SM,Femia FJ,Barone DKC,Joyal JL,Zimmer
man CN,Kozikowski AP,Barrett JA,Eckelman
WC,Babich JW.A Series of Halogenated He
terodimeric Inhibitors of Prostate Speci
fic Membrane Antigen(PSMA)as Radiolabele
d Probes for Targeting Prostate Cancer.J
.Med.Chem.2009,52,347~357ページ)、および2-位における
置換がより高い親和性の化合物を導く、Glu-尿素-Lysの(アルコキシフェニル)
尿素誘導体を用いた(Tykvart J,Schimer J,Barinkova
J,Pachl P,Postova-Slavetinska L,Majer P,
Konvalinka J,Sacha P.Rational design of
urea-based glutamate carboxypeptidase II
(GCPII)inhibitors as versatile tools for
specific drug targeting and delivery.Bi
oorg.Med.Chem.2014,22,4099-4108)前のSAR研究を
考慮すれば予想外であった。それは、LNCaP細胞で決定されたIC
50値の等級順と
も相関しない。
4-置換された[
18F]RPS-041に対して3-置換された[
18F]RPS-
040の増大した腫瘍取り込みにもかかわらず、[
18F]RPS-041のクリアラン
スは、より急速であり、注射後2時間で、より強い画像コントラストおよびより高い腫瘍
対バックグラウンド比を生ずる(
図1および
図4)。[
18F]RPS-038、[
18
F]RPS-041のフェニルエーテルアナログのクリアランスは、[
18F]RPS-
043よりも同様に急速である(
図1)。
【0156】
6種類の代表的な[
18F]フッ素化された本発明の技術の化合物の各々の画像化特性
は、[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCと比較して有利であり、前立腺癌の診
断のPET画像化剤として最も広く使用されている。フッ素-18がガリウム-68に優
って提供する、より高い感度およびより高い空間的分解能に加えて、画像が同じ強度目盛
りで比較されたときに、2から3倍のより高い腫瘍取り込みが明らかである(
図5)。改
善された画像品質は、[
68Ga]Ga-PSMA-HBED-CCよりも有意に大きい
腫瘍対バックグラウンド比および腫瘍対腎臓比を示した、リガンド[
18F]RPS-0
40および[
18F]RPS-041を用いた体内分布の研究によって強化されている(
図6)。
【0157】
現在、臨床評価中の、第2世代の[18F]フッ素化されたPSMAリガンドである[
18F]DCFPyLが、最近、LNCaP腫瘍異種移植で研究されて、SUVmaxが
、注射後1時間で1.1±0.1であると報告された。Bouvet V,Wuest
M,Jans H-S,Janzen N,Genady AR,Valliant J
F,Benard F,Wuest F.Automated synthesis o
f [18F]DCFPyL via direct radiofluorinati
on and validation in preclinical prostat
e cancer models.EJNMMI Research 2016,6:4
0.を参照されたい。これは、注射後1時間における腫瘍中のSUVが1.5から2.5
の範囲であると推定され、SUVmaxが約1.5から2.9の範囲にあると計算されて
いる、本発明の技術の6種類の代表的18F化合物の各々で観察されたよりも低い取り込
みである。それに加えて、[18F]DCFPyLは、LNCaP異種移植担持マウスに
おいて注射後1時間で8.3の腫瘍対血液比を有すると報告されている。この同じ時点で
、[18F]RPS-040および[18F]RPS-041についての腫瘍対血液比は
、それぞれ、28.8±8.06および20.78±7.87である。注射後4時間まで
に、長期の腫瘍保持および急速な血液クリアランスが、比を、それぞれ、92.93±7
5.67および118.4±69.4に押し上げる。
【0158】
[
18F]DCFPyLを、同じLNCaP異種移植担持マウスで、μPET/CT画
像化によって、本発明の技術の代表的
18F化合物と比較した。腎臓からのクリアランス
は急速であったが、急速な腫瘍の洗い出しも明らかであった(
図1)。これらの薬物動態
は、腎臓におけるシグナルの低下の原因であるが、RPSシリーズで達成され得るよりも
劣った腫瘍の図形の原因でもある。PSMAを標的とするリガンドのマウスの腎臓細胞に
対するインビトロにおける結合は、ヒトの腎臓細胞に対する結合より少なくとも2倍大き
いと報告されて、前立腺癌の前臨床マウスモデルにおける急速な腎臓クリアランスは必須
の要件ではなことを示唆した。このことに照らして、[
18F]DCFPyLと比較して
、[
18F]RPS-040および[
18F]RPS-041のより大きい腫瘍取り込み
、より長い腫瘍保持、およびより大きい腫瘍対血液比は、これらの潜在的PET画像化剤
の有利な特性である。
【0159】
ある特定の実施形態が例示および記載されているが、当業者は、前述の詳述を読んだ後
で、本明細書で説明した、本発明の技術の化合物または塩、医薬組成物、誘導体、プロド
ラッグ、代謝物、互変異性体またはそれらのラセミ混合物に対する等価物の変化、置換お
よび他のタイプの変更を実行することができる。上で記載された各態様および実施形態は
、任意のまたは全ての他の態様および実施形態に関して開示されるそのような変形または
態様も、それと共に含み、または組み込んでいることができる。
【0160】
本発明の技術は、本発明の技術の個々の態様の単なる例示として意図される、本明細書
に記載された特定の態様に関して限定されることもない。当業者には明らかであるように
、本発明の技術の多くの改変および変形が、その精神および範囲から逸脱することなく為
され得る。本明細書で列挙された方法に加えて、前述の記載から、本発明の技術の範囲内
で機能的に等価の方法が、当業者には明らかであろう。そのような改変および変形は、添
付の請求項の範囲内に入ることが意図されている。本発明の技術は、言うまでもなく、特
定の方法、試薬、化合物、組成物、標識された化合物または生物学的システムに限定され
ず、変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用された用語は、特定の態様
を説明する目的だけのものであり、制限されることは意図されないことも理解されるべき
である。したがって、本明細書は、添付の請求項、その中の定義およびそれらの任意の等
価物によってのみ指示された本発明の技術の幅、範囲および精神についての例としてのみ
役立つものと考えられることが意図される。
【0161】
本明細書で例示として記載された実施形態は、本明細書で特に開示されていない任意の
構成要素(単数または複数)の存在、限定(単数または複数)なしで、適当に実施されて
もよい。したがって、例えば、用語「を含む(comprising)」、「を含む(i
ncluding)」、「含有する(containing)」等は、拡大して読まれる
べきで限定されない。それに加えて、本明細書で使用される用語および表現は、記載の用
語として限定なしで使用されており、示されたおよび記載された特徴の任意の等価物また
はそれらの部分を排除するような用語および表現の使用の意図はないが、種々の改変が特
許請求された技術の可能な範囲内であることが認識されている。それに加えて、語句「か
ら本質的になる」は、特に挙げられたこれらの構成要素および特許請求された技術の基本
的なおよび新規な特性に実質的に影響しない追加の構成要素を含むと理解されるであろう
。語句「からなる」は、特定されていない如何なる構成要素も排除する。
【0162】
それに加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群の表現で記載されている場合
、当業者は、開示が、それによりマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはサブグル
ープに関しても記載されていることを認識するであろう。包括的な開示のうちに入る、よ
り狭い種および亜属の集団の各々も、本発明の部分を形成する。これは、本発明の包括的
な記載を含むが、ただし、条件付きであり、すなわち、削除された材料が、本明細書で特
に挙げられているか否かにかかわらず、任意の対象事物を属から除外する否定的限定を有
する。
【0163】
当業者により理解されるように、あらゆる目的に対して、特に書かれた記載を提供する
ことに関して、本明細書で開示された全ての範囲は、あらゆる可能な部分範囲およびそれ
らの部分範囲の組合せも包含する。任意のリストに挙げられた範囲は、同じ範囲を十分に
記載して、それが少なくとも同等の半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、
その他に分割されることを可能にすると容易に認識することができる。制限するものでな
い例として、本明細書で論じられた各範囲は、下部の3分の1、中央の3分の1、および
上部の3分の1等々に容易に分割され得る。やはり当業者により理解されるように、「ま
で」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」等の全ての言い回しは、挙げられた数を
含み、上で論じた部分範囲に後で分割され得る範囲を指す。最終的に、当業者により理解
されるように、範囲は各々個々のメンバーを含む。
【0164】
本明細書で言及された全ての出版物、特許出願、発布された特許、および他の文献(例
えば、定期刊行物、論文および/または教科書)は、あたかも各個の公表、特許出願、発
布された特許、または他の文献が、参照によりその全体で組み込まれると具体的におよび
個々に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれ
るテキストに含有される定義は、それらが本開示における定義と矛盾する程度に応じて除
外される。
【0165】
本発明の技術は、以下に書かれた段落で挙げた特徴および特徴の組合せを含むことがで
きるが、これらに限定されず、以下の段落は、本明細書に添付された請求項の範囲を制限
すること、または全てのそのような特徴が、そのような請求項に必ず含まれなければなら
ないことを義務づけると解釈されるべきでないことが理解される。
A.式Iの化合物
【0166】
【化21】
または薬学的に許容されるそれらの塩(式中、
P
1、P
2、およびP
3は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、
またはtert-ブチルであり;
W
1は、-C(O)-または-(CH
2)
n-NH
2-C(O)-であり;
R
1、R
2、およびR
3の1つは
【0167】
【化22】
であり、
R
1、R
2、およびR
3の残りの2つは、各々Hであり;
X
1は、存在しないか、O、S、またはNHであり;
mは0、1、2、または3であり;
nは1または2であり;
pは0、1、2、または3であり、ただし、pが0である場合、X
1は存在せず;
qは1または2である)。
B.P
1、P
2、およびP
3が、各々独立に、Hまたはtert-ブチルである、段落A
の化合物。
C.P
1、P
2、およびP
3が各々独立にHである、段落Aまたは段落Bの化合物。
D.段落A~Cのいずれか1種の化合物を調製するための、式IIの中間体;
【0168】
【化23】
(式中、
P
4、P
5、およびP
6は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、
またはtert-ブチルであり;
W
2は、-C(O)-または-(CH
2)
s-NH
2-C(O)-であり;
R
4、R
5、およびR
6の1つは、
【0169】
【化24】
であり;
R
4、R
5、およびR
6の残りの2つは、各々Hであり;
X
2は、存在しないか、O、S、またはNHであり;
rは0、1、2、または3であり;
sは1または2であり;
tは0、1、2、または3であり、ただし、tが0である場合、X
2は存在しない)。
E.段落A~Dのいずれか1つの化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物。
F.前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組織を検出するた
めの医薬組成物であって、有効量の段落A~Cのいずれか1種の化合物および薬学的に許
容される担体を含む組成物。
G.組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、
非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、子宮頸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎
細胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含む、段落Fの医薬組成物。
H.段落A~Cのいずれか1種の化合物を対象に投与するステップ;ならびに
投与に続いて、陽電子放出、陽電子の放出および消滅からのガンマ線、ならびに陽電子放
出によるチェレンコフ放射の1つまたは複数を検出するステップ
を含む方法。
I.有効量の前記化合物を対象に投与するステップを含む、段落Hの方法。
J.対象が、前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組織を患
っていると疑われる、段落Hまたは段落Iの方法。
K.組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、
非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細
胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含む、段落Jの方法。
L.前記化合物を投与するステップが非経口投与を含む、段落H~Kのいずれか1つの方
法。
M.溶媒の存在下で、段落Dの化合物、銅塩、および式III
【0170】
【化25】
のアジドを接触させるステップを含む、段落A~Cのいずれか1種の化合物を形成する方
法。
N.式IVの化合物
【0171】
【化26】
(式中、
P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、
またはtert-ブチルであり;
wは1または2であり;
xは0、1、2、または3であり;
yは1または2である)。
O.P
7、P
8、およびP
9は、各々独立にHまたはtert-ブチルである、段落Nの
化合物。
P.P
7、P
8、およびP
9が各々独立にHである、段落Nまたは段落Oの化合物。
Q.段落N~Pのいずれか1種の化合物を調製するための、式Vの中間体
【0172】
【化27】
である、
(式中、
P
10、P
11、およびP
12は、各々独立にH、メチル、ベンジル、4-メトキシベン
ジル、またはtert-ブチルであり;
bは1または2であり;
dは0、1、2、または3である)。
R.段落N~Qのいずれか1種の化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物。
S.前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組織を検出するた
めの医薬組成物であって、有効量の段落N~Pのいずれか1種の化合物および薬学的に許
容される賦形剤を含む医薬組成物。
T.段落N~Pのいずれか1つの医薬組成物であって、組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外
陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、
結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌の1種または複
数を含む医薬組成物。
U.段落N~Pのいずれか1種の化合物を対象に投与するステップ;ならびに
投与に続いて、陽電子放出、陽電子の放出および消滅からのガンマ線、ならびに陽電子放
出によるチェレンコフ放射の1つまたは複数を検出するステップ
を含む方法。
V.有効量の前記化合物を対象に投与するステップを含む、段落Uの方法。
W.対象が、前立腺特異的膜抗原(「PSMA」)を過剰発現している哺乳動物組織を患
っていると疑われる、段落Uまたは段落Vの方法。
X.組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、
非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細
胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含む、段落Wの方法。
Y.前記化合物を投与するステップが非経口投与を含む、段落U~Xのいずれか1つの方
法。
Z.溶媒の存在下で、段落Qの化合物、銅塩、および式VI
【0173】
【化28】
のアジドを接触させるステップを含む、段落N~Pのいずれか1種の化合物を形成する方
法。
【0174】
他の実施形態を、以下の請求項で、そのような請求項が権利を与えられる等価物の完全
範囲と共に公けにする。
哺乳動物組織が、神経膠腫、子宮頸癌、外陰部癌、子宮体癌、原発性卵巣癌、転移性卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、結腸癌、原発性胃腺癌、原発性結腸直腸腺癌、腎細胞癌、および前立腺癌の1種または複数を含む、請求項4に記載の医薬組成物。