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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071758
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】車輌用洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/52 20060101AFI20230516BHJP
   B05B 1/10 20060101ALI20230516BHJP
   B05B 1/30 20060101ALI20230516BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20230516BHJP
   B60S 1/58 20060101ALI20230516BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20230516BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B60S1/52
B05B1/10
B05B1/30
B60S1/56 110B
B60S1/56 120B
B60S1/56 500Z
B60S1/58 100Z
B60S1/62 120B
B08B3/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022370
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2019543575の分割
【原出願日】2018-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2017178862
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017178863
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017178864
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩明
(72)【発明者】
【氏名】阪井 健
(57)【要約】
【課題】 部品点数の削減及び構造の簡素化を図る。
【解決手段】 被洗浄物へ向けて流体を噴射するノズルと、内部空間が流体の流路とされ流体が供給される供給管が連結されるジョイントと、流路を開閉する弁とを備え、弁が前記ジョイントの内部に配置された。これにより、ジョイントに供給管が連結されると共にジョイントの内部に弁が配置されるため、供給管が連結される部材と弁が配置される部材とが共用され、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物へ向けて流体を噴射するノズルと、
内部空間が流体の流路とされ流体が供給される供給管が連結されるジョイントと、
前記流路を開閉する弁とを備え、
前記弁が前記ジョイントの内部に配置された
車輌用洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルを保持するノズルホルダーが設けられ、
前記ノズルホルダーに前記ジョイントが着脱可能にされた
請求項1に記載の車輌用洗浄装置。
【請求項3】
前記ジョイントには前記ノズルホルダーに連結される連結筒部と前記供給管が連結される管連結部とが設けられ、
前記連結筒部の軸方向と前記管連結部の軸方向とが異なる方向にされた
請求項2に記載の車輌用洗浄装置。
【請求項4】
前記ジョイントに弾性変形可能な連結用突部が設けられ、
前記連結用突部の一部が前記ノズルホルダーに係合されることにより前記ジョイントが前記ノズルホルダーに取り付けられる
請求項3に記載の車輌用洗浄装置。
【請求項5】
前記弁を前記流路が閉塞される方向へ付勢し前記弁の内側に位置された付勢バネが設けられ、
前記流体が前記弁の外側を流動される
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから被洗浄物へ向けて流体を噴射して被洗浄物を洗浄する車輌用洗浄装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車体又はバンパーに形成された開口から一部が外部へ突出され、ノズルから流体を噴射して、例えば、車輌用灯具やカメラやレーダー等の被洗浄物を洗浄する車輌用洗浄装置がある。
【0003】
車輌用洗浄装置は、先端側に設けられ流体を噴射するノズルと流体の流路に配置された弁とを有するものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
このような車輌用洗浄装置においては、流路に流体が供給されるときに弁が動作され、弁によって閉塞されていた流路が開放されて流体がノズルへ向けて流動されノズルから噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2014-125057号公報
【特許文献2】2006-335299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車輌用洗浄装置には、先端側に設けられ流体を噴射するノズルと流体の流路に配置された弁とホース等の供給管が連結されるジョイントとを有するものがある(例えば、特許文献2参照)が、このような車輌用洗浄装置において、弁が配置されたノズル部や供給管が連結されるジョイントやノズル部に連結されるホルダー等を有すると、部品点数が多く、小型化に支障を来す他、部品の組付工数が多くなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明車輌用洗浄装置は、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車輌用洗浄装置は、被洗浄物へ向けて流体を噴射するノズルと、内部空間が流体の流路とされ流体が供給される供給管が連結されるジョイントと、前記流路を開閉する弁とを備え、前記弁が前記ジョイントの内部に配置されたものである。
【0009】
これにより、ジョイントに供給管が連結されると共にジョイントの内部に弁が配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ジョイントに供給管が連結されると共にジョイントの内部に弁が配置されるため、供給管が連結される部材と弁が配置される部材とが共用され、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図2乃至図11と共に本発明車輌用洗浄装置の第1の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の斜視図である。
図2】車輌用洗浄装置の断面図である。
図3】内部構造等を断面にした状態で示す分解斜視図である。
図4】弁の押当筒部が径が広がる方向へ弾性変形される前の状態を示す断面図である。
図5】弁の押当筒部が径が広がる方向へ弾性変形された状態を示す断面図である。
図6】流体がノズルへ向けて流動され弁が動作された状態を示す断面図である。
図7】流体が膨張し弁が動作された状態を示す断面図である。
図8】弁の別の例を示す断面図である。
図9】弁のまた別の例を示す断面図である。
図10】付勢バネの別の例を示す斜視図である。
図11】付勢バネのまた別の例を示す斜視図である。
図12図13及び図14と共に本発明車輌用洗浄装置の第2の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の斜視図である。
図13】車輌用洗浄装置の断面図である。
図14】弁が動作された状態を示す断面図である。
図15図16乃至図18と共に本発明車輌用洗浄装置の第3の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の側面図である。
図16】車輌用洗浄装置の斜視図である。
図17】車輌用洗浄装置の断面図である。
図18】弁が動作され流路が開放された状態を示す断面図である。
図19図20と共に本発明車輌用洗浄装置の第4の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の斜視図である。
図20】車輌用洗浄装置の断面図である。
図21図22乃至図25と共に本発明車輌用洗浄装置の第5の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の斜視図である。
図22】車輌用洗浄装置の断面図である。
図23】弁の押当筒部が径が広がる方向へ弾性変形される前の状態を示す断面図である。
図24】弁の押当筒部が径が広がる方向へ弾性変形された状態を示す断面図である。
図25】弁が動作され流路が開放された状態を示す断面図である。
図26図27乃至図30と共に本発明車輌用洗浄装置の第6の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の斜視図である。
図27】車輌用洗浄装置の断面図である。
図28】内部構造等を断面にした状態で示す分解斜視図である。
図29】流体がノズルへ向けて流動され弁が第1の方向へ移動された状態を示す断面図である。
図30】流体が膨張し弁が第2の方向へ移動された状態を示す断面図である。
図31図32及び図33と共に本発明車輌用洗浄装置の第7の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用洗浄装置の斜視図である。
図32】車輌用洗浄装置の断面図である。
図33】流体が膨張し弁が第2の方向へ移動された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明車輌用洗浄装置を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
尚、以下に示す車輌用洗浄装置は、車輌用灯具やカメラやレーダー等の被洗浄物の他に、車体や窓やミラー等の車輌に設けられる各部を被洗浄物とした車輌用洗浄装置に広く適用することが可能である。
【0014】
先ず、第1の実施の形態に係る車輌用洗浄装置1について説明する(図1乃至図11参照)。
【0015】
尚、以下に示す第1の実施の形態に係る車輌用洗浄装置においては、筒状に形成された弁が変形されて流体が流動されるが、以下の説明にあっては、弁の軸方向を上下方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0016】
車輌用洗浄装置1は流路形成体2とジョイント3とノズル4を有している(図1乃至図3参照)。
【0017】
流路形成体2はノズルホルダー5と連結部材6が結合されて成る。
【0018】
ノズルホルダー5は、軸方向が上下方向にされた略円筒状の筒状部7と、筒状部7の上側開口を閉塞する略円板状の仕切板部8と、仕切板部8の中央部から下方に突出された軸部9と、仕切板部8の外周部から上方に突出された略円筒状のノズル保持部10とを有している。筒状部7には周方向における反対側に空気流通孔7a、7aが形成されている。仕切板部8には通過孔8a、8a、・・・が形成されている。ノズルホルダー5には、例えば、車体やバンパー等に対する図示しない取付突部が設けられている。
【0019】
軸部9は仕切板部8に連続され下方へ行くに従って径が小さくなる径変化部9aと径変化部9aから下方に突出され径が略一定の被押当部9bとから成る。軸部9は流路形成体2の一部として筒状部7と仕切板部8と一体に形成されている。
【0020】
連結部材6は略円筒状の小径部11と略円環状の中間部12と略円筒状の大径部13を有している。小径部11は中間部12の内周部から上方に突出され、大径部13は中間部12の外周部から下方に突出され、小径部11の径が大径部13の径より小さくされている。
【0021】
連結部材6には大径部13から外方に突出された環状の連結用係合部14が設けられている。連結用係合部14は外面が上方へ行くに従って外側に変位する傾斜面14aと傾斜面14aの上端に連続され上方を向く円環状の係合面14bとを有している。
【0022】
連結部材6は中間部12の上面が筒状部7の下面に下方から突き当てられた状態でノズルホルダー5に結合されている。
【0023】
ノズル4は外周面が上端部を除いて球状に形成され、内部に吐出用空間4aが形成されている。ノズル4の上端部には吐出用空間4aに連通する吐出口4bが形成されている。
【0024】
ノズル4はノズルホルダー5のノズル保持部10に内嵌状に圧入されている。ノズル4はノズル保持部10に対して任意の方向へ回転可能とされていてもよい。ノズル4がノズル保持部10に保持されている状態において、吐出用空間4aがノズル保持部10の内部空間に連通される。
【0025】
ジョイント3は流路形成体2の連結部材6に連結される。ジョイント3は連結部材6に対して着脱可能にされている。ジョイント3の内部空間は流動路3aとして形成されている。ジョイント3は上下方向に延びる連結筒部15と連結筒部15の下端部から後方に突出された管連結部16と連結筒部15に連続された連結用突部17とを有している。
【0026】
連結筒部15の上端寄りの位置には周方向に延びるリング挿入溝15aが形成されている。管連結部16は内部の空間が連結筒部15の内部の空間に連通されている。
【0027】
連結用突部17は連結筒部15から前方に突出された腕部18と腕部18の先端部に連続された作用部19とを有し、作用部19の上下方向における中央部が腕部18に連続されている。作用部19の上端部には連結筒部15側に突出された係合部19aが設けられている。連結用突部17は作用部19の上下両端部が連結筒部15に離接する方向へ弾性変形可能にされている。
【0028】
連結筒部15のリング挿入溝15aにはゴム等により形成された封止リング20が挿入されている。
【0029】
ジョイント3は連結部材6に下方から連結され、ジョイント3の連結部材6への連結は、連結筒部15を連結部材6の大径部13に挿入することにより行われる。連結筒部15が大径部13に挿入されるときには、連結筒部15と作用部19の間に大径部13の一部が挿入され、係合部19aが連結用係合部14の傾斜面14aに摺動される。係合部19aが傾斜面14aに摺動されると、連結用突部17は係合部19aが連結筒部15から離隔する方向へ弾性変形され、係合部19aの下縁が傾斜面14aの上縁に達したときに連結用突部17が弾性復帰され、係合部19aが係合面14bに係合される。
【0030】
ジョイント3は連結筒部15が大径部13に挿入され係合部19aが係合面14bに係合されることにより、連結部材6に連結される。ジョイント3が連結部材6に連結された状態においては、封止リング20によって連結筒部15と大径部13の間での封止が行われる。
【0031】
このようにジョイント3の流路形成体2への連結は、連結筒部15を大径部13に下方から挿入する一度の工程で行うことが可能であるため、ジョイント3の流路形成体2への連結作業における作業性の向上を図ることができる。
【0032】
一方、ジョイント3の流路形成体2からの取り外しは、連結用突部17を弾性変形させて係合部19aの係合面14bに対する係合を解除し、連結筒部15を大径部13から下方に引き抜くことにより行うことができる。このとき連結用突部17の弾性変形は、作用部19の下端部を連結筒部15側に押圧することにより行うことが可能であるため、ジョイント3の流路形成体2からの取り外しを容易に行うことができる。
【0033】
ジョイント3の管連結部16にはホース等の供給管50が連結される。供給管50には図示しない供給タンクから洗浄水や洗浄液等の流体が供給され、供給された流体がジョイント3の流動路3aから流路形成体2の内部の空間を経てノズル4へ向けて流動される。
【0034】
流路形成体2の内部には弁21が配置されている。弁21は弾性変形可能なゴム材料等によって形成され、ノズルホルダー5の仕切板部8と連結部材6の間の空間に配置されている。
【0035】
弁21は、軸方向が上下方向にされた円筒状の押当筒部22と、押当筒部22の下端に連続され下方へ行くに従って径が大きくなる第1の傾斜部23と、押当筒部22の上端に連続され上方へ行くに従って径が大きくなる第2の傾斜部24と、第1の傾斜部23の下端部から外方に張り出されたフランジ状の第1の被押さえ部25と、第2の傾斜部24の上端部から外方に張り出されたフランジ状の第2の被押さえ部26とを有している。
【0036】
弁21は押当筒部22の径が変化される方向へ弾性変形可能にされ、押当筒部22に対して径が大きくなる方向への力より径が小さくなる方向への力の方が大きく作用されている場合に、押当筒部22が軸部9の被押当部9bに密着される(図4参照)。
【0037】
流路形成体2の内部に弁21が配置された状態において、流路形成体2の内部の空間は押当筒部22の下側が第1の流路2aとされ押当筒部22の上側が第2の流路2bとされる(図2参照)。
【0038】
弁21の押当筒部22には付勢バネ27が巻き付けられている。付勢バネ27は押当筒部22を径が小さくなる方向へ付勢し、付勢バネ27として、例えば、略円筒状に形成された板バネが用いられている。
【0039】
流路形成体2の内部にはスペーサー28が配置されている。スペーサー28は円筒状に形成され、周方向における反対側に流通孔28a、28aを有している。スペーサー28は外周面がノズルホルダー5における筒状部7の内周面に密着された状態で配置され、流通孔28a、28aがそれぞれ筒状部7の空気流通孔7a、7aに一致されている。
【0040】
流路形成体2の内部にスペーサー28が配置されることにより、弁21は、第1の被押さえ部25がスペーサー28の下面と連結部材6の上面とによって上下から押さえられ、第2の被押さえ部26が仕切板部8の下面とスペーサー28の上面とによって上下から押さえられる。
【0041】
上記のように構成された車輌用洗浄装置1において、供給タンクから供給管50を介してジョイント3の流動路3aに流体が供給されると、流体が流動路3aから流路形成体2の第1の流路2aに流動されて弁21へ向かう。
【0042】
このとき筒状部7の空気流通孔7a、7aとスペーサー28の流通孔28a、28aから流路形成体2の内部における弁21の外周側に外気が取り込まれているが、流体が弁21へ向かうことにより、第1の流路2aの圧力(内圧)が大気圧より大きくなる。従って、弁21は押当筒部22の径が大きくなる方向へ付勢バネ27の付勢力に反して弾性変形され(図5及び図6参照)、押当筒部22の内周面と軸部9における被押当部9bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第1の流路2aから第2の流路2bへ向けて流動される。
【0043】
流体が第1の流路2aを流動され弁21の押当筒部22へ向かうときには、流体は弁21における第1の傾斜部23の内側の傾斜面23aに案内されて軸部9における被押当部9bの外周側に流動される。
【0044】
従って、第1の傾斜部23によって流体の流動により上昇した第1の流路2aの圧力(内圧)が押当筒部22に作用し易くなるため、押当筒部22の径が変化する方向への変形を簡素な構成により確実に実現することができる。
【0045】
第2の流路2bへ向けて流動された流体はノズル4の吐出用空間4aに流動され、吐出口4bから車輌用灯具等の被洗浄物へ向けて噴射され、噴射された流体によって被洗浄物が洗浄される。
【0046】
供給タンクからの流体の供給が停止されると、流路形成体2の内部の圧力が低下して弁21と付勢バネ27が弾性復帰し、押当筒部22が軸部9の被押当部9bに密着され(図2参照)、ノズル4からの流体の噴射が停止される。押当筒部22の被押当部9bへの密着は、流路形成体2の内部の圧力と大気圧の差による弁21の弾性復帰の他に、付勢バネ27による押当筒部22に対する付勢力によっても行われる。
【0047】
このように車輌用洗浄装置1には、押当筒部22を径が小さくなる方向へ付勢する付勢バネ27が設けられている。従って、付勢バネ27の付勢力によっても押当筒部22が軸部9に密着され、非洗浄時に押当筒部22を軸部9に確実に密着させて流体の意図しないノズル4からの噴射を防止することができると共に第1の流路2aと第2の流路2bの圧力の制御を容易に行うことができる。
【0048】
また、付勢バネ27として押当筒部22の外周面に巻き付けられる板バネが用いられている。従って、押当筒部22の外周面に巻き付けられる板バネの付勢力によって押当筒部22が軸部9に密着されるため、付勢バネ27の配置スペースが小さくなり、車輌用洗浄装置1の小型化を確保した上で非洗浄時に押当筒部22を軸部9に確実に密着させて流体の意図しないノズル4からの噴射を防止することができると共に第1の流路2aと第2の流路2bの圧力の制御を容易に行うことができる。
【0049】
一方、車輌用洗浄装置1にあっては、流体がノズル4から弁21までの各空間に残存する場合があり、寒冷地等においては残存する流体が凍結等によって膨張する可能性がある。このように流体が膨張すると、第2の流路2bの圧力(内圧)が大気圧より大きくなり、弁21は押当筒部22の径が大きくなる方向へ付勢バネ27の付勢力に反して弾性変形され(図7参照)、押当筒部22の内周面と軸部9における被押当部9bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第2の流路2bから第1の流路2aへ向けて流動可能な状態にされる。このとき流体は弁21における第2の傾斜部24の内側の傾斜面24aに案内されて軸部9における被押当部9bの外周側に流動可能な状態にされる。
【0050】
上記のように流体が膨張したときには、押当筒部22の内周面と軸部9における被押当部9bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第2の流路2bから第1の流路2aへ向けて流動可能な状態にされるため、弁21や流路形成体2の各部への圧力が低減され、弁21や流路形成体2の損傷や破損が生じない。
【0051】
流体が第2の流路2bから弁21の押当筒部22へ向かうときには、流体は弁21における第2の傾斜部24の内側の傾斜面24aに案内されて軸部9における被押当部9bの外周側に流動される。
【0052】
従って、第2の傾斜部24によって流体の流動により上昇した第2の流路2bの圧力(内圧)が押当筒部22に作用し易くなるため、押当筒部22の径が変化する方向への変形を簡素な構成により確実に実現することができる。
【0053】
流体の凍結等が解消され第2の流路2bの圧力が低下されると、弁21と付勢バネ27が弾性復帰し、押当筒部22が軸部9の被押当部9bに密着される元の状態に戻る(図2参照)。
【0054】
尚、上記には、押当筒部22の上下に連続してそれぞれ第2の傾斜部24と第1の傾斜部23が設けられた弁21を例として示したが、弁21に代えて第1の傾斜部23又は第2の傾斜部24の一方が設けられた弁21Aを用いることも可能である(図8参照)。この場合には、軸部9の少なくとも下端部の外周面を下方へ行くに従って内方に変位するように傾斜された傾斜状外周面9cとして形成することが望ましい。
【0055】
このように軸部9に傾斜状外周面9cを形成することにより、流体が第1の流路2aを流動され弁21の押当筒部22へ向かうときに傾斜状外周面9cに案内されるため、傾斜状外周面9cによって流体の流動により上昇した第1の流路2aの圧力(内圧)を押当筒部22に作用させ易くすることができる。
【0056】
また、弁21に代えて、内方に突出された環状の押当突部22aを有する押当筒部22Bが設けられた弁21Bが用いられてもよい(図9参照)。押当突部22aは、例えば、断面形状が被押当部9b側に凸の略半円形状に形成されている。
【0057】
このような形状の押当突部22aを有する弁21Bが用いられることにより、流体が被押当部9bと押当筒部22Bの間に侵入し易くなり、第1の流路2a又は第2の流路2bの圧力(内圧)が大気圧より大きくなったときに押当筒部22Bが径が大きくなる方向へ弾性変形し易くなり、弁21Bの動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
さらに、上記には、板バネである付勢バネ27が用いられた例を示したが、付勢バネ27に代えて押当筒部22に巻き付けられたコイルバネである付勢バネ27Aが用いられてもよい(図10参照)。
【0059】
また、付勢バネ27に代えて押当筒部22に一体に形成された付勢バネ27Bが用いられてもよい(図11参照)。付勢バネ27Bは押当筒部22の外周側に押当筒部22と同じ材料によって一体に形成され、例えば、外方に凸の環状に形成され、断面形状が外方に凸の略半円形状に形成されている。このように押当筒部22に付勢バネ27Bが一体に形成されることにより、部品点数の削減を図ることができると共に付勢バネの弁21への組付作業が不要になり車輌用洗浄装置1の組立作業における作業性の向上を図ることができる。
【0060】
次に、第2の実施の形態に係る車輌用洗浄装置1Aについて説明する(図12乃至図14参照)。
【0061】
尚、以下に示す車輌用洗浄装置1Aは、上記した車輌用洗浄装置1と比較して、ピストンとシリンダーを有し、ピストンがシリンダーに対して突出方向における移動端まで移動された状態でノズルから流体が吐出されることが相違し、内部の基本的な構造は車輌用洗浄装置1と同様である。従って、車輌用洗浄装置1Aについては、車輌用洗浄装置1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用洗浄装置1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0062】
また、以下に示す第2の実施の形態に係る車輌用洗浄装置の説明にあっては、弁の軸方向を前後方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0063】
車輌用洗浄装置1Aは流路形成体2Aとノズル4A、4Aを有している(図12及び図13参照)。車輌用洗浄装置1Aにはジョイント3が設けられていない。
【0064】
流路形成体2Aは略円筒状に形成された連結部30と連結部30から反対側に突出されたノズル保持部31、31とを有している。
【0065】
連結部30は小径部32と大径部33が前側から順に連続されて形成され、小径部32の径が大径部33の径より小さくされている。大径部33は略前半部が配置部34として設けられ略後半部がピストン連結部35として設けられている。配置部34には周方向における反対側に空気流通孔34a、34aが形成されている。連結部30の内部には軸部9が設けられている。
【0066】
連結部30の小径部32には連結部30の前側開口を閉塞するキャップ36が取り付けられている。
【0067】
ノズル保持部31、31は小径部32からそれぞれ左方と右方に突出され、突出方向が連結部30の軸方向に対して直交する方向にされている。ノズル4A、4Aはそれぞれノズル保持部31、31の先端部に保持されている。
【0068】
流路形成体2Aの内部には弁21と付勢バネ27とスペーサー28が配置されている。弁21と付勢バネ27とスペーサー28は大径部33の配置部34に配置されている。スペーサー28は流通孔28a、28aがそれぞれ配置部34の空気流通孔34a、34aに一致されている。
【0069】
流路形成体2Aは大径部33のピストン連結部35がピストン37に連結されている。ピストン37は前端部が連結筒部37aとして設けられている。流路形成体2Aのピストン連結部35は連結筒部37aに連結されている。
【0070】
ピストン37はシリンダー38に前後方向へ移動可能に支持されている。ピストン37の内部には図示しないバネ部材、例えば、引張コイルバネが配置され、バネ部材は一端部がピストン37に支持され他端部がシリンダー38に支持されている。従って、ピストン37にはバネ部材によってシリンダー38の内部へ引き込まれる方向への付勢力が付与され、ピストン37の内部に流体が供給されていない状態においてはピストン37が移動範囲における後端に位置されている。
【0071】
シリンダー38は後端部が供給管連結部38aとして設けられている。供給管連結部38aには供給管50が連結される。供給管50には供給タンクから流体が流動され、流動された流体がピストン37の内部の空間から流路形成体2Aの第1の流路2a及び第2の流路2bを経てノズル4A、4Aへ向けて流動される。
【0072】
上記のように構成された車輌用洗浄装置1Aにおいて、供給タンクから供給管50を介してピストン37の内部に流体が供給されると、流体の圧力によってピストン37がバネ部材の付勢力に反してシリンダー38に対して突出される方向(前方)へ移動される。ピストン37が移動範囲における前端まで移動されたときには、第1の流路2aの圧力(内圧)が大気圧より大きくされており、弁21は押当筒部22の径が大きくなる方向へ付勢バネ27の付勢力に反して弾性変形され(図14参照)、押当筒部22の内周面と軸部9における被押当部9bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第1の流路2aから第2の流路2bへ向けて流動される。
【0073】
第2の流路2bへ向けて流動された流体はノズル4の吐出用空間4aに流動され、吐出口4bから車輌用灯具等の被洗浄物へ向けて噴射され、噴射された流体によって被洗浄物が洗浄される。
【0074】
供給タンクからの流体の供給が停止されると、流路形成体2Aの内部の圧力が低下して弁21と付勢バネ27が弾性復帰し、押当筒部22が軸部9の被押当部9bに密着され(図13参照)、ノズル4からの流体の噴射が停止される。続いて、流体の圧力の低下によりバネ部材が圧縮されてピストン37がシリンダー38に引き込まれる方向へ移動範囲における後端まで移動される。
【0075】
一方、車輌用洗浄装置1Aにあっては、流体がノズル4A、4Aから弁21までの各空間に残存する場合があり、寒冷地等においては残存する流体が凍結等によって膨張する可能性がある。このように流体が膨張すると、第2の流路2bの圧力(内圧)が大気圧より大きくなり、弁21は押当筒部22の径が大きくなる方向へ付勢バネ27の付勢力に反して弾性変形され(図14参照)、押当筒部22の内周面と軸部9における被押当部9bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第2の流路2bから第1の流路2aへ向けて流動可能な状態にされる。
【0076】
従って、弁21や流路形成体2Aの各部への圧力が低減され、弁21や流路形成体2Aの損傷や破損が生じない。
【0077】
流体の凍結等が解消され第2の流路2bの圧力が低下されると、弁21が弾性復帰し、押当筒部22が軸部9の被押当部9bに密着される元の状態に戻る(図13参照)。
【0078】
尚、第2の実施の形態に係る車輌用洗浄装置1Aにおいても、弁21に代えて弁21A又は弁21Bを用いることが可能であり、付勢バネ27に代えて付勢バネ27A又は付勢バネ27Bを用いることが可能である。
【0079】
以上に記載した通り、車輌用洗浄装置1、1Aにあっては、押当筒部22の径が変化する方向へ弾性変形可能とされた弁21が設けられ、弁21の内側に押当筒部22が密着可能な軸部9が位置され、弁21が大気圧に対する第1の流路2aの圧力又は第2の流路2bの圧力の大きさに応じて弾性変形される。
【0080】
従って、大気圧に対して第1の流路2aの圧力又は第2の流路2bの圧力が大きくなったときに押当筒部22の径が変化して流路が開放されるため、弁21や流路形成体2、2Aに過度の圧力が付与されず、流体の膨張による不具合を解消して車輌用洗浄装置1、1Aの正常な動作状態を確保することができる。
【0081】
また、軸部9が流路形成体2、2Aに一体に形成されているため、弁21が密着される専用の軸部を設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0082】
次に、第3の実施の形態に係る車輌用洗浄装置101について説明する(図15乃至図18参照)。
【0083】
尚、以下に示す第3の実施の形態に係る車輌用洗浄装置においては、弁が移動されて流路が開放され流体がノズルホルダーの内部をノズルへ向けて流動されるが、以下の説明にあっては、ノズルホルダーの軸方向を上下方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0084】
車輌用洗浄装置101はノズルホルダー102とジョイント103とノズル104を有している(図15乃至図17参照)。
【0085】
ノズルホルダー102は軸方向が上下方向にされ、円筒状の筒状部105と筒状部105の上端部に連続されたノズル保持部106と筒状部105の下端部に連続されたジョイント連結部107とを有している。ノズルホルダー102の内部空間は流路102aとして形成されている。
【0086】
筒状部105は径がノズル保持部106とジョイント連結部107の径より小さくされ、例えば、車体やバンパー等に取り付けられる。ノズル保持部106は上方に開口され、ジョイント連結部107は下方に開口されている。
【0087】
ノズルホルダー102にはジョイント連結部107から外方に突出された環状の連結用係合部108が設けられている。連結用係合部108は外面が上方へ行くに従って外側に変位する傾斜面108aと傾斜面108aの上端に連続され上方を向く円環状の係合面108bとを有している。
【0088】
ノズル104は外周面が上端部を除いて球状に形成され、内部に吐出陽空間104aが形成されている。ノズル104の上端部には吐出陽空間104aに連通する吐出口104bが形成されている。
【0089】
ノズル104はノズルホルダー5のノズル保持部106に内嵌状に圧入されている。ノズル104はノズル保持部106に対して任意の方向へ回転可能とされていてもよい。ノズル104がノズル保持部106に保持されている状態において、吐出陽空間104aがノズル保持部106の内部空間に連通される。
【0090】
ジョイント103はノズルホルダー102のジョイント連結部107に連結される。ジョイント103はノズルホルダー102に対して着脱可能にされている。ジョイント103の内部空間は流動路103aとして形成されている。ジョイント103は上下方向に延びる連結筒部109と連結筒部109の下端部から後方に突出された管連結部110と連結筒部109に連続された連結用突部111とを有している。
【0091】
連結筒部109は軸方向が上下方向にされた略円筒状に形成されている。連結筒部109の上端寄りの位置には周方向に延びるリング挿入溝109aが形成されている。連結筒部109の内部における上端寄りの位置には上方へ行くに従って内方へ変位する曲面109bが形成されている。連結筒部109における曲面109bの上縁は開口109cとして形成され、連結筒部109の内部空間のうち開口109cの上側の部分は径が一定にされた挿入空間109dとして形成されている。
【0092】
管連結部110は内部の空間が連結筒部109の内部の空間に連通されている。
【0093】
連結用突部111は連結筒部109から前方に突出された腕部112と腕部112の先端部に連続された作用部113とを有し、作用部113の上下方向における中央部が腕部112に連続されている。作用部113の上端部には連結筒部109側に突出された係合部113aが設けられている。連結用突部111は作用部113の上下両端部が連結筒部109に離接する方向へ弾性変形可能にされている。
【0094】
連結筒部109のリング挿入溝109aにはゴム等により形成された封止リング114が挿入されている。
【0095】
ジョイント103はノズルホルダー102に下方から連結され、ジョイント103のノズルホルダー102への連結は、連結筒部109をノズルホルダー102のジョイント連結部107に挿入することにより行われる。連結筒部109がジョイント連結部107に挿入されるときには、連結筒部109と作用部113の間にジョイント連結部107の一部が挿入され、係合部113aが連結用係合部108の傾斜面108aに摺動される。係合部113aが傾斜面108aに摺動されると、連結用突部111は係合部113aが連結筒部109から離隔する方向へ弾性変形され、係合部113aの下縁が傾斜面108aの上縁に達したときに連結用突部111が弾性復帰され、係合部113aが係合面108bに係合される。
【0096】
ジョイント103は連結筒部109がジョイント連結部107に挿入され係合部113aが係合面108bに係合されることにより、ノズルホルダー102に連結される。ジョイント103がノズルホルダー102に連結された状態においては、封止リング114によって連結筒部109とジョイント連結部107の間での封止が行われる。
【0097】
上記のようにジョイント103のノズルホルダー102への連結は、連結筒部109をジョイント連結部107に下方から挿入する一度の工程で行うことが可能であるため、ジョイント103のノズルホルダー102への連結作業における作業性の向上を図ることができる。
【0098】
一方、ジョイント103のノズルホルダー102からの取り外しは、連結用突部111を弾性変形させて係合部113aの係合面108bに対する係合を解除し、連結筒部109をジョイント連結部107から下方に引き抜くことにより行うことができる。このとき連結用突部111の弾性変形は、作用部113の下端部を連結筒部109側に押圧することにより行うことが可能であるため、ジョイント103のノズルホルダー102からの取り外しを容易に行うことができる。
【0099】
また、車輌用洗浄装置101には、ノズル104を保持するノズルホルダー102が設けられ、ノズルホルダー102にジョイント103が着脱可能にされているため、ノズルホルダー102とジョイント103の間に他の部材が存在せず、部品点数の削減を図ることができる。
【0100】
さらに、ジョイント103にはノズルホルダー102に連結される連結筒部109と供給管150が連結される管連結部110とが設けられ、連結筒部109の軸方向と管連結部110の軸方向とが異なる方向にされている。
【0101】
従って、供給管150から管連結部110と連結筒部109を介してノズル104へ向けて流動される流体の流動経路が屈曲された流動経路になり、車輌の配置スペース等を考慮した設計の自由度の向上を図ることができる。
【0102】
さらにまた、ジョイント103に弾性変形可能な連結用突部111が設けられ、連結用突部111の係合部113aがノズルホルダー102の連結用係合部108に係合されることによりジョイント103がノズルホルダー102に取り付けられる。
【0103】
従って、連結用突部111が弾性変形又は弾性復帰されることによりジョイント103のノズルホルダー102に対する着脱が行われるため、ジョイント103のノズルホルダー102に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0104】
ジョイント103の管連結部110にはホース等の供給管150が連結される。供給管150には図示しない供給タンクから洗浄水や洗浄液等の流体が供給され、供給された流体がジョイント103の流動路103aからノズルホルダー102の流路102aを経てノズル104へ向けて流動される。
【0105】
ジョイント103には連結筒部109の下側開口を閉塞するキャップ115が取り付けられている。キャップ115は略円板状の閉塞部116と閉塞部116の中心部から上方に突出されたバネ支持部117が設けられている。閉塞部116には上下に貫通された空気流通孔116a、116aが形成されている。
【0106】
キャップ115は閉塞部116が連結筒部109の下側開口を閉塞する状態でジョイント103に取り付けられる。
【0107】
ジョイント103には連結筒部109の内部に弁118が配置されている。弁118は弾性変形可能なゴム材料等によって形成されている。
【0108】
弁118は、上下に延びる開閉部119と、開閉部119から上方に突出された突状部120と、開閉部119の下端部から外方に張り出されたフランジ状の被取付部121とを有している。開閉部119における上端部の外周面は上方に凸の曲面状の押当面119aとして形成され、押当面119aは連結筒部109の曲面109bと略同じ曲率にされている。開閉部119には下方に開口された配置空間119bが形成されている。突状部120は下縁が押当面119aの上縁に一致され、径が開閉部119の最大径より小さくされている。
【0109】
弁118は被取付部121の外周部が連結筒部109の一部とキャップ115の閉塞部116とによって上下から挟持されて連結筒部109の内部に配置されている。弁118は開閉部119と突状部120が上下に移動される方向へ被取付部121が弾性変形可能にされている。
【0110】
弁118は付勢バネ122によって押当面119aが連結筒部109の曲面109bに押し付けられる方向へ付勢されている。付勢バネ122は、例えば、圧縮コイルバネであり、下端部を除いて弁118の配置空間119bに挿入されると共に内部にキャップ115のバネ支持部117が挿入され、上下両端部がそれぞれ弁118とキャップ115の閉塞部116とに押し付けられている。
【0111】
弁118に下方への移動力が付与されていない状態においては、押当面119aが曲面109bに押し付けられ開閉部119によって開口109cが閉塞され、突状部120の全体が挿入空間109dに挿入されている。
【0112】
上記のように構成された車輌用洗浄装置101において、供給タンクから供給管150を介してジョイント103の流動路103aに流体が供給されて弁118へ向かう。
【0113】
このときキャップ115の空気流通孔116a、116aからジョイント103の内部における弁118の下側に外気が取り込まれているが、流体が弁118へ向かうことにより、流動路103aの圧力(内圧)が大気圧より大きくなる。従って、弁118は付勢バネ122の付勢力に反して被取付部121が弾性変形されて下方へ移動され(図18参照)、開閉部119の押当面119aがジョイント103の曲面109bから離隔されて開口109cが開放され、流体が開口109cを通って流路102aからノズル104へ向けて流動される。このとき流体は流動路103aにおいて弁118の外周側の部分を通ってノズル104へ向けて流動されていく。
【0114】
このように車輌用洗浄装置101においては、弁118の内側に位置された付勢バネ122が設けられ、流体が弁118の外側を流動されるため、付勢バネ122によって流体の流動が妨げられることがなく、流体の円滑な流動状態を確保することができる。
【0115】
ノズル104へ向けて流動された流体は吐出陽空間104aに流動され、吐出口104bから車輌用灯具等の被洗浄物へ向けて噴射され、噴射された流体によって被洗浄物が洗浄される。
【0116】
供給タンクからの流体の供給が停止されると、ジョイント103の内部の圧力が低下して被取付部121と付勢バネ122が弾性復帰して弁118が上方へ移動され、開閉部119の押当面119aがジョイント103の曲面109bに押し付けられて開口109cが閉塞され(図17参照)、ノズル104からの流体の噴射が停止される。
【0117】
一方、車輌用洗浄装置101にあっては、流体がノズル104から弁118までの各空間に残存する場合があり、寒冷地等においては残存する流体が凍結等によって膨張する可能性がある。このように流体が膨張すると、ノズル104から弁118までの空間の圧力(内圧)が大気圧より大きくなり、弁118が付勢バネ122の付勢力に反して下方へ移動され(図18参照)、開口109cが開放されて流体が弁118の下端側へ流動可能な状態にされる。
【0118】
上記のように流体が膨張したときには、開口109cが開放されて流体が弁118の下端側へ流動可能な状態にされるため、弁118やノズルホルダー102の各部への圧力が低減され、弁118やノズルホルダー102の損傷や破損が生じない。
【0119】
流体の凍結等が解消されノズル104から弁118までの空間の圧力が低下されると、被取付部121と付勢バネ122が弾性復帰し、開閉部119の押当面119aがジョイント103の曲面109bに押し付けられる元の状態に戻る(図17参照)。
【0120】
次に、第4の実施の形態に係る車輌用洗浄装置101Aについて説明する(図19及び図20参照)。
【0121】
尚、以下に示す車輌用洗浄装置101Aは、上記した車輌用洗浄装置101と比較して、弁のジョイントに対する配置の向きが相違すること及び連結用突部の位置が異なることが相違し、基本的な構造は車輌用洗浄装置101と同様である。従って、車輌用洗浄装置101Aについては、車輌用洗浄装置101と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用洗浄装置101における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0122】
また、以下に示す第4の実施の形態に係る車輌用洗浄装置の説明にあっては、ノズルホルダーの軸方向を上下方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0123】
車輌用洗浄装置101Aはノズルホルダー102とジョイント103Aとノズル104を有している。
【0124】
ジョイント103Aはノズルホルダー102のジョイント連結部107に連結される。ジョイント103Aはノズルホルダー102に対して着脱可能にされている。ジョイント103Aは上下方向に延びる連結筒部109Aと連結筒部109Aに連続された管連結部110Aと連結筒部109Aから突出された連結用突部111Aとを有している。
【0125】
連結筒部109Aは軸方向が上下方向にされた略円筒状に形成されている。
【0126】
管連結部110Aは軸方向が前後方向にされた略円筒状に形成され、前端寄りの部分が連結筒部109Aの下端部に連続されている。管連結部110Aの内部の前後方向における中央部には後方へ行くに従って内方へ変位する曲面110aが形成されている。管連結部110Aにおける曲面110aの後縁は開口110bとして形成され、管連結部110Aの内部空間のうち開口110bの後側の部分は径が一定にされた挿入空間110cとして形成されている。
【0127】
連結用突部111Aは連結筒部109Aから後方に突出された腕部112Aと腕部112Aの先端部に連続された作用部113Aとを有し、作用部113Aの長手方向における中間部が腕部112Aに連続されている。作用部113Aは略直交するように屈曲された形状に形成され、屈曲された部分が腕部112Aに連続され、連結筒部109A側の端部に連結筒部109A側に突出された係合部113aを有している。連結用突部111Aは係合部113aが連結筒部109Aに離接する方向へ弾性変形可能にされている。
【0128】
ジョイント103Aはノズルホルダー102に下方から連結され、ジョイント103Aのノズルホルダー102への連結は、連結筒部109Aをノズルホルダー102のジョイント連結部107に挿入することにより行われる。連結筒部109Aがジョイント連結部107に挿入されるときには、連結筒部109Aと作用部113Aの間にジョイント連結部107の一部が挿入され、係合部113aが連結用係合部108の傾斜面108aに摺動される。係合部113aが傾斜面108aに摺動されると、連結用突部111Aは係合部113aが連結筒部109Aから離隔する方向へ弾性変形され、係合部113aの下縁が傾斜面108aの上縁に達したときに連結用突部111Aが弾性復帰され、係合部113aが係合面108bに係合される。
【0129】
このようにジョイント103Aのノズルホルダー102への連結は、連結筒部109Aをジョイント連結部107に下方から挿入する一度の工程で行うことが可能であるため、ジョイント103Aのノズルホルダー102への連結作業における作業性の向上を図ることができる。
【0130】
一方、ジョイント103Aのノズルホルダー102からの取り外しは、連結用突部111Aを弾性変形させて係合部113aの係合面108bに対する係合を解除し、連結筒部109Aをジョイント連結部107から下方に引き抜くことにより行うことができる。このとき連結用突部111Aの弾性変形は、作用部113Aの係合部137aと反対側の端部を押圧することにより行うことが可能であるため、ジョイント103Aのノズルホルダー102からの取り外しを容易に行うことができる。
【0131】
また、車輌用洗浄装置101Aには、ノズル104を保持するノズルホルダー102が設けられ、ノズルホルダー102にジョイント103Aが着脱可能にされているため、ノズルホルダー102とジョイント103Aの間に他の部材が存在せず、部品点数の削減を図ることができる。
【0132】
さらに、ジョイント103Aにノズルホルダー102に連結される連結筒部109Aと供給管150が連結される管連結部110Aとが設けられ、連結筒部109Aの軸方向と管連結部110Aの軸方向とが異なる方向にされている。
【0133】
従って、供給管150から管連結部110Aと連結筒部109Aを介してノズル104へ向けて流動される流体の流動経路が屈曲された流動経路になり、車輌の配置スペース等を考慮した設計の自由度の向上を図ることができる。
【0134】
さらにまた、ジョイント103Aに弾性変形可能な連結用突部111Aが設けられ、連結用突部111Aの係合部113aがノズルホルダー102の連結用係合部108に係合されることによりジョイント103Aがノズルホルダー102に取り付けられる。
【0135】
従って、連結用突部111Aが弾性変形又は弾性復帰されることによりジョイント103Aのノズルホルダー102に対する着脱が行われるため、ジョイント103Aのノズルホルダー102に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0136】
ジョイント103Aには管連結部110Aの前側開口を閉塞するキャップ115が取り付けられている。
【0137】
ジョイント103Aには管連結部110Aの内部に弁118が配置されている。弁118は、前後に延びる開閉部119と、開閉部119から後方に突出された突状部120と、開閉部119の前端部から外方に張り出されたフランジ状の被取付部121とを有している。弁118は被取付部121の外周部がキャップ115の閉塞部116と管連結部110Aの一部とによって前後から挟持されて管連結部110Aの内部に配置されている。弁118は開閉部119と突状部120が前後に移動される方向へ被取付部121が弾性変形可能にされている。
【0138】
上記のように構成された車輌用洗浄装置101Aにおいては、弁118が前後方向へ移動されて開口110bが開閉され、流体のノズル104への流動や流動の停止の他に、流体の膨張時による弁118やノズルホルダー102の各部への圧力の低減が行われる。
【0139】
次いで、第5の実施の形態に係る車輌用洗浄装置101Bについて説明する(図21乃至図25参照)。
【0140】
尚、以下に示す車輌用洗浄装置101Bは、上記した車輌用洗浄装置101と比較して、弁と付勢バネとジョイントの構成が異なることが相違する。従って、車輌用洗浄装置101Bについては、車輌用洗浄装置101と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用洗浄装置101における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0141】
また、以下に示す第5の実施の形態に係る車輌用洗浄装置の説明にあっては、ノズルホルダーの軸方向を前後方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0142】
車輌用洗浄装置101Bはノズルホルダー102とジョイント103Bとノズル104を有している。
【0143】
ジョイント103Bはホルダー連結部材130と管連結部材131が上下で連結されて構成されている。
【0144】
ホルダー連結部材130は、軸方向が上下方向にされた略円筒状の連結筒部132と、連結筒部132の上端寄りの位置に設けられた上下方向を向く平板状の仕切板部133と、仕切板部133の中央部から下方に突出された軸部134と、連結筒部132から外方に突出された連結用突部135とを有している。連結筒部132には周方向における反対側に空気流通孔132a、132aが形成されている。連結筒部132の上端寄りの位置には周方向に延びるリング挿入溝132bが形成されている。仕切板部133には通過孔133a、133a、・・・が形成されている。
【0145】
軸部134は仕切板部133に連続され下方へ行くに従って径が小さくなる径変化部134aと径変化部134aから下方に突出され径が略一定の被押当部134bとから成る。
【0146】
連結用突部135は連結筒部132から前方に突出された腕部136と腕部136の先端部に連続された作用部137とを有し、作用部137の上下方向における中央部が腕部136に連続されている。作用部137の上端部には連結筒部132側に突出された係合部137aが設けられている。連結用突部135は作用部137の上下両端部が連結筒部132に離接する方向へ弾性変形可能にされている。
【0147】
連結筒部132のリング挿入溝132bにはゴム等により形成された封止リング114が挿入されている。
【0148】
ジョイント103Bはノズルホルダー102に下方から連結され、ジョイント103Bのノズルホルダー102への連結は、連結筒部132をノズルホルダー102のジョイント連結部107に挿入することにより行われる。連結筒部132がジョイント連結部107に挿入されるときには、連結筒部132と作用部137の間にジョイント連結部107の一部が挿入され、係合部137aが連結用係合部108の傾斜面108aに摺動される。係合部137aが傾斜面108aに摺動されると、連結用突部135は係合部137aが連結筒部132から離隔する方向へ弾性変形され、係合部137aの下縁が傾斜面108aの上縁に達したときに連結用突部135が弾性復帰され、係合部137aが係合面108bに係合される。
【0149】
ジョイント103Bは連結筒部132がジョイント連結部107に挿入され係合部137aが係合面108bに係合されることにより、ノズルホルダー102に連結される。ジョイント103Bがノズルホルダー102に連結された状態においては、封止リング114によって連結筒部132とジョイント連結部107の間での封止が行われる。
【0150】
上記のようにジョイント103Bのノズルホルダー102への連結は、連結筒部132をジョイント連結部107に下方から挿入する一度の工程で行うことが可能であるため、ジョイント103Bのノズルホルダー102への連結作業における作業性の向上を図ることができる。
【0151】
一方、ジョイント103Bのノズルホルダー102からの取り外しは、連結用突部135を弾性変形させて係合部137aの係合面108bに対する係合を解除し、連結筒部132をジョイント連結部107から下方に引き抜くことにより行うことができる。このとき連結用突部135の弾性変形は、作用部137の下端部を連結筒部132側に押圧することにより行うことが可能であるため、ジョイント103Bのノズルホルダー102からの取り外しを容易に行うことができる。
【0152】
また、車輌用洗浄装置101Bには、ノズル104を保持するノズルホルダー102が設けられ、ノズルホルダー102にジョイント103Bが着脱可能にされているため、ノズルホルダー102とジョイント103Bの間に他の部材が存在せず、部品点数の削減を図ることができる。
【0153】
さらに、ジョイント103Bに弾性変形可能な連結用突部135が設けられ、連結用突部135の係合部137aがノズルホルダー102の連結用係合部108に係合されることによりジョイント103Bがノズルホルダー102に取り付けられる。
【0154】
従って、連結用突部135が弾性変形又は弾性復帰されることによりジョイント103Bのノズルホルダー102に対する着脱が行われるため、ジョイント103Bのノズルホルダー102に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0155】
管連結部材131は軸方向が上下方向にされた略円筒状に形成され、上端寄りの位置に外方に張り出されたフランジ状の突き当て部131aを有し、突き当て部131aの上側の部分が嵌合部131bとして設けられている。
【0156】
管連結部材131は嵌合部131bがホルダー連結部材130における連結筒部132の下端部に挿入されて嵌合され、突き当て部131aが連結筒部132の下面に突き当てられた状態でホルダー連結部材130に連結される。
【0157】
ジョイント103Bの管連結部材131にはホース等の供給管150が連結される。供給管150には図示しない供給タンクから洗浄水や洗浄液等の流体が供給され、供給された流体が管連結部材131からホルダー連結部材130を順に経てノズル104へ向けて流動される。
【0158】
尚、ホルダー連結部材130と管連結部材131は一体に形成され、ジョイント103Bが一つの部材として設けられていてもよい。
【0159】
ホルダー連結部材130の内部には弁138が配置されている。弁138は弾性変形可能なゴム材料等によって形成され、ホルダー連結部材130の仕切板部133と管連結部材131の間の空間に配置されている。
【0160】
弁138は、軸方向が上下方向にされた円筒状の押当筒部139と、押当筒部139の下端に連続され下方へ行くに従って径が大きくなる第1の傾斜部140と、押当筒部139の上端に連続され上方へ行くに従って径が大きくなる第2の傾斜部141と、第1の傾斜部140の下端部から外方に張り出されたフランジ状の第1の被押さえ部142と、第2の傾斜部141の上端部から外方に張り出されたフランジ状の第2の被押さえ部143とを有している。
【0161】
弁138は押当筒部139の径が変化される方向へ弾性変形可能にされ、押当筒部139に対して径が大きくなる方向への力より径が小さくなる方向への力の方が大きく作用されている場合に、押当筒部139が軸部134の被押当部134bに密着される(図22及び図23参照)。
【0162】
ホルダー連結部材130の内部に弁138が配置された状態において、ホルダー連結部材130の内部の空間は押当筒部139の下側が第1の流路130aとされ押当筒部139の上側が第2の流路130bとされる。
【0163】
弁138の押当筒部139には付勢バネ144が巻き付けられている。付勢バネ144は押当筒部139を径が小さくなる方向へ付勢し、付勢バネ144として、例えば、略円筒状に形成された板バネが用いられている。
【0164】
ホルダー連結部材130の内部にはスペーサー145が配置されている。スペーサー145は円筒状に形成され、周方向における反対側に流通孔145a、145aを有している。スペーサー145は外周面がホルダー連結部材130における連結筒部132の内周面に密着された状態で配置され、流通孔145a、145aがそれぞれ連結筒部132の空気流通孔132a、132aに一致されている。
【0165】
ホルダー連結部材130の内部にスペーサー145が配置されることにより、弁138は、第1の被押さえ部142がスペーサー145の下面と管連結部材131の上面とによって上下から押さえられ、第2の被押さえ部143が仕切板部133の下面とスペーサー145の上面とによって上下から押さえられる。
【0166】
上記のように構成された車輌用洗浄装置101Bにおいて、供給タンクから供給管150を介して管連結部材131に流体が供給されると、流体がホルダー連結部材130の第1の流路130aに流動されて弁138へ向かう。
【0167】
このとき連結筒部132の空気流通孔132a、132aとスペーサー145の流通孔145a、145aからホルダー連結部材130の内部における弁138の外周側に外気が取り込まれているが、流体が弁138へ向かうことにより、第1の流路130aの圧力(内圧)が大気圧より大きくなる。従って、弁138は押当筒部139の径が大きくなる方向へ付勢バネ144の付勢力に反して弾性変形され(図24及び図25参照)、押当筒部139の内周面と軸部134における被押当部134bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第1の流路130aから第2の流路130bへ向けて流動される。
【0168】
流体が第1の流路130aを流動され弁138の押当筒部139へ向かうときには、流体は弁138における第1の傾斜部140の内側の傾斜面140aに案内されて軸部134における被押当部134bの外周側に流動される。
【0169】
従って、第1の傾斜部140によって流体の流動により上昇した第1の流路130aの圧力(内圧)が押当筒部139に作用し易くなるため、押当筒部139の径が変化する方向への変形を簡素な構成により確実に実現することができる。
【0170】
第2の流路130bへ向けて流動された流体はノズル104の吐出陽空間104aに流動され、吐出口104bから車輌用灯具等の被洗浄物へ向けて噴射され、噴射された流体によって被洗浄物が洗浄される。
【0171】
供給タンクからの流体の供給が停止されると、ホルダー連結部材130の内部の圧力が低下して弁138と付勢バネ144が弾性復帰し、押当筒部139が軸部134の被押当部134bに密着され(図22参照)、ノズル104からの流体の噴射が停止される。押当筒部139の被押当部134bへの密着は、ホルダー連結部材130の内部の圧力と大気圧の差による弁138の弾性復帰の他に、付勢バネ144による押当筒部139に対する付勢力によっても行われる。
【0172】
このように車輌用洗浄装置101Bには、押当筒部139を径が小さくなる方向へ付勢する付勢バネ144が設けられている。従って、付勢バネ144の付勢力によっても押当筒部139が軸部134に密着され、非洗浄時に押当筒部139を軸部134に確実に密着させて流体の意図しないノズル104からの噴射を防止することができると共に第1の流路130aと第2の流路130bの圧力の制御を容易に行うことができる。
【0173】
一方、車輌用洗浄装置101Bにあっては、流体がノズル104から弁138までの各空間に残存する場合があり、寒冷地等においては残存する流体が凍結等によって膨張する可能性がある。このように流体が膨張すると、第2の流路130bの圧力(内圧)が大気圧より大きくなり、弁138は押当筒部139の径が大きくなる方向へ付勢バネ144の付勢力に反して弾性変形され(図25参照)、押当筒部139の内周面と軸部134における被押当部134bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第2の流路130bから第1の流路130aへ向けて流動可能な状態にされる。このとき流体は弁138における第2の傾斜部141の内側の傾斜面141aに案内されて軸部134における被押当部134bの外周側に流動可能な状態にされる。
【0174】
上記のように流体が膨張したときには、押当筒部139の内周面と軸部134における被押当部134bの外周面との間に隙間が生じ、この隙間を通って流体が第2の流路130bから第1の流路130aへ向けて流動可能な状態にされるため、弁138やホルダー連結部材130の各部への圧力が低減され、弁138やホルダー連結部材130の損傷や破損が生じない。
【0175】
流体が第2の流路130bから弁138の押当筒部139へ向かうときには、流体は弁138における第2の傾斜部141の内側の傾斜面141aに案内されて軸部134における被押当部134bの外周側に流動される。
【0176】
従って、第2の傾斜部141によって流体の流動により上昇した第2の流路130bの圧力(内圧)が押当筒部139に作用し易くなるため、押当筒部139の径が変化する方向への変形を簡素な構成により確実に実現することができる。
【0177】
流体の凍結等が解消され第2の流路130bの圧力が低下されると、弁138と付勢バネ144が弾性復帰し、押当筒部139が軸部134の被押当部134bに密着される元の状態に戻る(図22参照)。
【0178】
ところで、車輌用洗浄装置には、先端側に設けられ流体を噴射するノズルと流体の流路に配置された弁とホース等の供給管が連結されるジョイントとを有するものがある(例えば、特許文献2参照)が、このような車輌用洗浄装置において、弁が配置されたノズル部や供給管が連結されるジョイントやノズル部に連結されるホルダー等を有すると、部品点数が多く、小型化に支障を来す他、部品の組付工数が多くなるおそれがある。そこで、本発明車輌用洗浄装置101、101A、101Bにおいては、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることが望まれる。
【0179】
以上に記載した通り、車輌用洗浄装置101、101A、101Bにあっては、被洗浄物へ向けて流体を噴射するノズル104と、内部空間が流体の流路とされ流体が供給される供給管150が連結されるジョイント103、103A、103Bと、流体の流路を開閉する弁118、138とを備え、弁118、138がジョイント103、103A、103Bの内部に配置されている。
【0180】
従って、ジョイント103、103A、103Bに供給管150が連結されると共にジョイント103、103A、103Bの内部に弁118、138が配置されるため、供給管150が連結される部材と弁118、138が配置される部材とが共用され、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【0181】
次に、第6の実施の形態に係る車輌用洗浄装置201について説明する(図26乃至図30参照)。
【0182】
尚、以下に示す第6の実施の形態に係る車輌用洗浄装置においては、弁がバネによって付勢された状態でバネの伸縮方向へ移動されるが、以下の説明にあっては、弁が移動される方向を上下方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0183】
車輌用洗浄装置201は流路形成体202とジョイント203とノズル204を有している(図26乃至図28参照)。
【0184】
流路形成体202はノズルホルダー205と連結部材206が結合されて成る。流路形成体202は内部空間が流体の流路202aとして形成されている。
【0185】
ノズルホルダー205は、軸方向が上下方向にされた略円筒状の筒状部207と、筒状部207の上側開口を閉塞する略円板状の仕切板部208と、仕切板部208の中央部から下方に突出された略円筒状のバネ支持部209と、仕切板部208の外周部から上方に突出された略円筒状のノズル保持部210とを有している。筒状部207の下端寄りの位置には下方を向く段差面207aが形成されている。仕切板部208には通過孔208a、208a、・・・が形成されている。ノズルホルダー205には、例えば、車体やバンパー等に対する図示しない取付突部が設けられている。
【0186】
連結部材206は上側から順に連続されそれぞれ略円筒状の小径部211と中径部212と大径部213を有し、小径部211の径が中径部212の径より小さくされ、中径部212の径が大径部213の径より小さくされている。中径部212の内周面には上下に延びる流動溝212a、212a、・・・が周方向に離隔して形成されている。
【0187】
連結部材206には大径部213から外方に突出された環状の連結用係合部214が設けられている。連結用係合部214は外面が上方へ行くに従って外側に変位する傾斜面214aと傾斜面214aの上端に連続され上方を向く円環状の係合面214bとを有している。
【0188】
連結部材206は中径部212の上面が段差面207aに下方から突き当てられ大径部213の上面が筒状部207の下面に下方から突き当てられた状態でノズルホルダー205に結合されている。
【0189】
ノズル204は外周面が上端部を除いて球状に形成され、内部に吐出用空間204aが形成されている。ノズル204の上端部には吐出用空間204aに連通する吐出口204bが形成されている。
【0190】
ノズル204はノズルホルダー205のノズル保持部210に内嵌状に圧入されている。ノズル204はノズル保持部210に対して任意の方向へ回転可能とされていてもよい。ノズル204がノズル保持部210に保持されている状態において、吐出用空間204aがノズル保持部210の内部空間に連通される。
【0191】
ジョイント203は流路形成体202の連結部材206に連結される。ジョイント203は連結部材206に対して着脱可能にされている。ジョイント203の内部空間は流動路203aとして形成されている。ジョイント203は上下方向に延びる連結筒部215と連結筒部215の下端部から後方に突出された管連結部216と連結筒部215に連続された連結用突部217とを有している。
【0192】
連結筒部215の上端寄りの位置には周方向に延びるリング挿入溝215aが形成されている。管連結部216は内部の空間が連結筒部215の内部の空間に連通されている。
【0193】
連結用突部217は連結筒部215から前方に突出された腕部218と腕部218の先端部に連続された作用部219とを有し、作用部219の上下方向における中央部が腕部218に連続されている。作用部219の上端部には連結筒部215側に突出された係合部219aが設けられている。連結用突部217は作用部219の上下両端部が連結筒部215に離接する方向へ弾性変形可能にされている。
【0194】
連結筒部215のリング挿入溝215aにはゴム等により形成された封止リング220が挿入されている。
【0195】
ジョイント203は連結部材206に下方から連結され、ジョイント203の連結部材206への連結は、連結筒部215を連結部材206の大径部213に挿入することにより行われる。連結筒部215が大径部213に挿入されるときには、連結筒部215と作用部219の間に大径部213の一部が挿入され、係合部219aが連結用係合部214の傾斜面214aに摺動される。係合部219aが傾斜面214aに摺動されると、連結用突部217は係合部219aが連結筒部215から離隔する方向へ弾性変形され、係合部219aの下縁が傾斜面214aの上縁に達したときに連結用突部217が弾性復帰され、係合部219aが係合面214bに係合される。
【0196】
ジョイント203は連結筒部215が大径部213に挿入され係合部219aが係合面214bに係合されることにより、連結部材206に連結される。ジョイント203が連結部材206に連結された状態においては、封止リング220によって連結筒部215と大径部213の間での封止が行われる。
【0197】
このようにジョイント203の流路形成体202への連結は、連結筒部215を大径部213に下方から挿入する一度の工程で行うことが可能であるため、ジョイント203の流路形成体202への連結作業における作業性の向上を図ることができる。
【0198】
一方、ジョイント203の流路形成体202からの取り外しは、連結用突部217を弾性変形させて係合部219aの係合面214bに対する係合を解除し、連結筒部215を大径部213から下方に引き抜くことにより行うことができる。このとき連結用突部217の弾性変形は、作用部219の下端部を連結筒部215側に押圧することにより行うことが可能であるため、ジョイント203の流路形成体202からの取り外しを容易に行うことができる。
【0199】
ジョイント203の管連結部216にはホース等の供給管250が連結される。供給管250には図示しない供給タンクから洗浄水や洗浄液等の流体が供給され、供給された流体がジョイント203の流動路203aから流路形成体202の流路202aを経てノズル204へ向けて流動される。
【0200】
流路形成体202の内部にはバネ受けプレート221と弁座222と第1のバネ223が配置されている。
【0201】
バネ受けプレート221は軸方向が上下方向にされた略円環状のバネ受部221aとバネ受部221aの内周部から上方に突出された挿入部221bとを有し、バネ受部221aの下面がジョイント203における連結筒部215の上面に接した状態で配置されている。
【0202】
弁座222はバネ受けプレート221の上方に位置され、上下方向へ移動可能にされている。弁座222は軸方向が上下方向にされた円環状のバネ支持部222aとバネ支持部222aの外周部から下方に突出された周面部222bとを有している。
【0203】
第1のバネ223は、例えば、圧縮コイルバネであり、上下両端部がそれぞれ弁座222のバネ支持部222aとバネ受けプレート221のバネ受部221aとに押し付けられた状態で配置されている。第1のバネ223の下端部にはバネ受けプレート221の挿入部221bが挿入され、第1のバネ223の上端部における外周側には弁座222の周面部222bが位置される。
【0204】
弁座222は第1のバネ223によって上方(第1の方向)へ付勢されている。弁座222の上面と連結部材206における小径部211の下面との間にはオーリング224が配置され、弁座222が第1のバネ223の付勢力によってオーリング224に押し付けられる。従って、弁座222と小径部211の間の隙間がオーリング224によって封止される。
【0205】
弁座222と第1のバネ223は連結部材206における中径部212の内側に位置されている。
【0206】
流路形成体202の内部には弁225と第2のバネ226が配置されている。
【0207】
弁225は弁座222の上方に位置され、上下方向へ移動可能にされている。弁225は軸方向が上下方向にされ外形状が略円筒状のベース部227とベース部227の下端に連続された開閉部228とを有している。
【0208】
開閉部228には傾斜接触面228aとバネ受け面228bが形成され、傾斜接触面228aがバネ受け面228bの下側に位置されている。傾斜接触面228aは開閉部228の下端における外周寄りの位置から外方へ行くに従って上方に変位するように傾斜され、環状に形成されている。バネ受け面228bはベース部227の外周面における下端に連続され、ベース部227の外周側において上方を向く状態で形成されている。
【0209】
弁225は最大外径が連結部材206における小径部211の内径より小さくされ、少なくとも小径部211の内側において上下方向へ移動可能にされている。
【0210】
第2のバネ226は、例えば、圧縮コイルバネであり、上下両端部がそれぞれノズルホルダー205における仕切板部208の下面と弁225のバネ受け面228bとに押し付けられた状態で配置されている。第2のバネ226の下端部には弁225のベース部227が挿入され、第2のバネ226の上端部にはノズルホルダー205のバネ支持部209が挿入される。
【0211】
弁225は第2のバネ226によって下方(第2の方向)へ付勢されている。弁225は第2のバネ226の付勢力によって傾斜接触面228aが弁座222の上端に形成された開口部222cの開口縁に押し付けられ、開口部222cが閉塞される。弁225は傾斜接触面228aが開口部222cに押し付けられた状態において、開閉部228の一部が弁座222の内部に挿入される。
【0212】
第1のバネ223のバネ力は第2のバネ226のバネ力より大きくされている。従って、弁座222に対して下方への力が付与されていない状態においては、弁座222が上方の移動端に位置された状態で弁225によって開口部222cが閉塞されている。
上記のように構成された車輌用洗浄装置201において、供給タンクから供給管250を介してジョイント203の流動路203aに流体が供給されると、流体が流動路203aから流路形成体202の流路202aに流動されてバネ受けプレート221と弁座222とオーリング224の内部を通って弁225へ向かう。
【0213】
流体が弁225へ向かうことにより、流体の圧力が弁225に付与されて第2のバネ226が圧縮され弁225が第2のバネ226の付勢力に反して第1の方向へ移動され、開閉部228の傾斜接触面228aが弁座222から離隔される(図29参照)。傾斜接触面228aが弁座222から離隔されることにより、弁座222の開口部222cが開放される。
【0214】
弁225が移動されて開口部222cが開放されると、開口部222cを通過した流体が弁225の外周側を流動されて流路202aからノズル204の吐出用空間204aに流動され、吐出口204bから車輌用灯具等の被洗浄物へ向けて噴射され、噴射された流体によって被洗浄物が洗浄される。
【0215】
供給タンクからの流体の供給が停止されると、弁225に対する流体の圧力が低下し第2のバネ226が伸長されて弁225が第2の方向へ移動され、開閉部228が弁座222に押し付けられて開口部222cが閉塞され、ノズル204からの流体の噴射が停止される。
【0216】
一方、車輌用洗浄装置201にあっては、流体がノズル204から弁225までの各空間に残存する場合があり、寒冷地等においては残存する流体が凍結等によって膨張する可能性がある。このように流体が膨張すると、流体の圧力が弁225に上方から付与され、弁225に第2の方向への移動力が生じ弁225から弁座222に力が伝達される。
【0217】
流体の膨張による弁225からの力が弁座222に伝達されると、弁座222が第1のバネ223の付勢力に反して第2の方向へ移動される(図30参照)。弁座222が第2の方向へ移動されると、弁座222の上側に弁225と小径部211の間の隙間に連通する空間229が生じ、膨張した流体が弁225と小径部211の間の隙間から空間229を介して中径部212と弁座222の間の隙間に流動可能な状態にされる。
【0218】
従って、弁225や流路形成体202の各部への圧力が低減され、弁225や流路形成体202の損傷や破損が生じない。
【0219】
尚、中径部212には流動溝212a、212a、・・・が形成されているため、流体が中径部212と弁座222の間の隙間を流動し易く、弁225や流路形成体202の各部への圧力の低減が迅速かつ確実に行われる。
【0220】
流体の凍結等が解消され弁225等への圧力が低下されると、第1のバネ223の付勢力によって弁座222と弁225が一体になって第1の方向へ移動され、弁座222がオーリング224を介して小径部211の下面に押し付けられる元の状態に戻る(図27参照)。
【0221】
次に、第7の実施の形態に係る車輌用洗浄装置201Aについて説明する(図31乃至図33参照)。
【0222】
尚、以下に示す車輌用洗浄装置201Aは、上記した車輌用洗浄装置201と比較して、ピストンとシリンダーを有し、ピストンがシリンダーに対して突出方向における移動端まで移動された状態でノズルから流体が吐出されることが相違し、内部の基本的な構造は車輌用洗浄装置201と同様である。従って、車輌用洗浄装置201Aについては、車輌用洗浄装置201と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用洗浄装置201における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0223】
また、以下に示す第7の実施の形態に係る車輌用洗浄装置の説明にあっては、弁が移動される方向を前後方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0224】
車輌用洗浄装置201Aは流路形成体202Aとノズル204A、204Aを有している(図31及び図32参照)。車輌用洗浄装置201Aにはジョイント203が設けられていない。
【0225】
流路形成体202Aは略円筒状に形成された連結部230と連結部230から反対側に突出されたノズル保持部231、231とを有している。
【0226】
連結部230は小径部232と大径部233が前側から順に連続されて形成され、小径部232の径が大径部233の径より小さくされている。大径部233は略前半部が配置部234として設けられ略後半部がピストン連結部235として設けられている。配置部234の内周面には前後に延びる流動溝234a、234a、・・・が形成されている。
【0227】
連結部230の小径部232には連結部230の前側開口を閉塞するキャップ236が取り付けられている。キャップ236には後方に突出されたバネ支持部236aが設けられている。
【0228】
ノズル保持部231、231は小径部232からそれぞれ左方と右方に突出され、突出方向が連結部230の軸方向に対して直交する方向にされている。ノズル204A、204Aはそれぞれノズル保持部231、231の先端部に保持されている。
【0229】
流路形成体202Aの内部にはバネ受けプレート221と弁座222と第1のバネ223とオーリング224と弁225と第2のバネ226が配置されている。バネ受けプレート221と弁座222と第1のバネ223とオーリング224は大径部233の配置部234に配置されている。第2のバネ226は前後両端部がそれぞれキャップ236の一部と弁225のバネ受け面228bとに押し付けられた状態で配置され、第2のバネ226の上端部にキャップ236のバネ支持部236aが挿入される。
【0230】
流路形成体202Aは大径部233のピストン連結部235がピストン237に連結されている。ピストン237は前端部が連結筒部237aとして設けられている。シリンダー238は後端部が供給管連結部238aとして設けられている。流路形成体202Aのピストン連結部235は連結筒部237aに連結されている。
【0231】
シリンダー238の供給管連結部238aには供給管250が連結される。供給管250には供給タンクから流体が流動され、流動された流体がピストン237の内部の空間から流路形成体202Aの流路202aを経てノズル204A、204Aへ向けて流動される。
【0232】
ピストン237はシリンダー238に前後方向へ移動可能に支持されている。ピストン237の内部には図示しないバネ部材、例えば、引張コイルバネが配置され、バネ部材は一端部がピストン237に支持され他端部がシリンダー238に支持されている。従って、ピストン237にはバネ部材によってシリンダー238の内部へ引き込まれる方向への付勢力が付与され、ピストン237の内部に流体が供給されていない状態においてはピストン237が移動範囲における後端に位置されている。
【0233】
上記のように構成された車輌用洗浄装置201Aにおいて、供給タンクから供給管250を介してピストン237の内部に流体が供給されると、流体の圧力によってピストン237がバネ部材の付勢力に反してシリンダー238に対して突出される方向(前方)へ移動される。ピストン237が移動範囲における前端まで移動されると、流体の圧力によって弁225が第2のバネ226の付勢力に反して第1の方向へ移動され、開閉部228の傾斜接触面228aが弁座222から離隔される。傾斜接触面228aが弁座222から離隔されることにより、弁座222の開口部222cが開放される。
【0234】
弁225が第1の方向へ移動されて開口部222cが開放されると、開口部222cを通過した流体が弁225の外周側を流動されて流路202aからノズル204A、204Aの内部に流動され、ノズル204A、204Aから車輌用灯具等の被洗浄物へ向けて噴射され、噴射された流体によって被洗浄物が洗浄される。
【0235】
供給タンクからの流体の供給が停止されると、弁225に対する流体の圧力が低下し第2のバネ226が伸長されて弁225が第2の方向へ移動され、開閉部228が弁座222に押し付けられて開口部222cが閉塞され、ノズル204A、204Aからの流体の噴射が停止される。続いて、流体の圧力の低下によりバネ部材が圧縮されてピストン237がシリンダー238に引き込まれる方向へ移動範囲における後端まで移動される。
【0236】
一方、車輌用洗浄装置201Aにあっては、流体がノズル204A、204Aから弁225までの各空間に残存する場合があり、寒冷地等においては残存する流体が凍結等によって膨張する可能性がある。このように流体が膨張すると、流体の圧力が弁225に前方から付与され、弁225に第2の方向への移動力が生じ弁225から弁座222に力が伝達される。
【0237】
流体の膨張による弁225からの力が弁座222に伝達されると、弁座222が第1のバネ223の付勢力に反して第2の方向へ移動される(図33参照)。弁座222が第2の方向へ移動されると、膨張した流体が弁225と小径部232の間の隙間から空間229を介して大径部233と弁座222の間の隙間に流動可能な状態にされる。
【0238】
従って、弁225や流路形成体202Aの各部への圧力が低減され、弁225や流路形成体202Aの損傷や破損が生じない。
【0239】
尚、大径部233には流動溝234a、234a、・・・が形成されているため、流体が大径部233と弁座222の間の隙間を流動し易く、弁225や流路形成体202Aの各部への圧力の低減が迅速かつ確実に行われる。
【0240】
流体の凍結等が解消され弁225等への圧力が低下されると、第1のバネ223の付勢力によって弁座222と弁225が一体になって移動され、弁座222がオーリング224を介して小径部232に押し付けられる元の状態に戻る(図32参照)。
【0241】
以上に記載した通り、車輌用洗浄装置201、201Aにあっては、開口部222cを有し第1の方向と第2の方向へ移動可能な弁座222と、流体の圧力によって第1の方向へ移動されることにより開口部222cを開放する弁225と、弁座222を第1の方向に付勢し弁座222を弁225に押し付ける第1のバネ223と、弁225を第2の方向に付勢し弁225によって開口部222cを閉塞させる第2のバネ226とが設けられている。
【0242】
従って、第1のバネ223と第2のバネ226によって弁座222と弁225が互いに近付く方向へ付勢され、弁225に対する圧力の付与状態に応じて弁225が第1の方向又は第2の方向へ移動されるため、流体の膨張による弁に対する負荷が軽減され、流体の膨張による不具合を解消して車輌用洗浄装置201、201Aの正常な動作状態を確保することができる。
【0243】
また、第1のバネ223の付勢力が第2のバネ226の付勢力より大きくされているため、流体の非凍結時に弁座222が常に所定の位置に保持され、流体のノズル204、204Aからの噴射動作及び噴射の停止動作に関する動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0244】
さらに、弁225の周囲に位置され弁座222の外周側から弁225の外周側への流体の流動を規制するオーリング224が設けられている。
【0245】
従って、流体の第1の方向への流動時に流体が弁座222の外周側から弁225の外周側へ流動されないため、流体の圧力の付与により弁225が第1の方向へ確実に移動され、流体を高圧でノズル204、204Aへ向けて確実に流動させることができる。
【0246】
さらにまた、流路形成体202、202Aの内面における弁座222の外周側に流体の流動方向に延びる流動溝212a、234aが形成されているため、流体の膨張により弁225が第2の方向へ移動されたときに流体が弁225の外周側から流動溝212a、234aを流動され、流体をノズル204、204Aの反対側へ円滑に流動させることができる。
【0247】
加えて、第1のバネ223と第2のバネ226としてコイルバネが用いられている。
【0248】
従って、第1のバネ223と第2のバネ226の内側をそれぞれ流体の流動空間として利用することが可能になり、流体の円滑な流動状態を確保することができると共に流体の圧力が第1のバネ223と第2のバネ226に付与され難く第1のバネ223と第2のバネ226のそれぞれ適正な付勢力を保持することができる。
【符号の説明】
【0249】
1…車輌用洗浄装置、2a…第1の流路、2b…第2の流路、4…ノズル、21…弁、1A…車輌用洗浄装置、4A…ノズル、101…車輌用洗浄装置、102…ノズルホルダー、102a…流路、103…ジョイント、104…ノズル、109…連結筒部、110…管連結部、111…連結用突部、118…弁、122…付勢バネ、150…供給管、101A…車輌用洗浄装置、103A…ジョイント、109A…連結筒部、110A…管連結部、111A…連結用突部、101B…車輌用洗浄装置、130a…第1の流路、130b…第2の流路、103B…ジョイント、132…連結筒部、135…連結用突部、201…車輌用洗浄装置、202a…流路、204…ノズル、225…弁、201A…車輌用洗浄装置、204A…ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
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