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特開2023-71810酸性化コーティング及びそれによってコーティングされた崩壊耐性基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071810
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】酸性化コーティング及びそれによってコーティングされた崩壊耐性基材
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/38 20060101AFI20230516BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/32
A61K47/34
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023029011
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2020555484の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】62/656,611
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】308021682
【氏名又は名称】ビーピーエスアイ ホールディングス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メータ,ラクシットクマール ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】レイエス,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】テッコー,ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】トゥー,ダニエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】pH5以下の水性媒体中で感知できるほどに崩壊しない、そのようなフィルムコーティングを有する医薬基材を提供する。
【解決手段】pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性があり、
i)薬物又は有効成分を含むコア部;
ii)実質的に該コア部を覆う腸溶性コーティング部;及び
iii)実質的に該腸溶性コーティング部を覆う酸性化トップコート
を含む経口摂取可能な基材である。前記腸溶性コーティングが部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーと酸性成分とを含む、乾燥酸性化コーティング組成物。
【請求項2】
ポリマーが、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール‐ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PVAをベースとする他のコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸性成分が、イオン化可能な水素イオンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
酸性成分が、クエン酸、乳酸、ステアリン酸及びそれらの混合物の群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーが組成物の約10~90重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーが組成物の約25~85重量%である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリマーが組成物の約30~80重量%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
酸性成分が組成物の約5~50重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
酸性成分が組成物の約8~45重量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
可塑剤、粘着性低下剤、顔料又は界面活性剤の1種以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーが組成物の約25~約85重量%の量で存在し、酸性成分の量が組成物の約8~約45重量%の量で存在し、可塑剤がポリマーの約2~約18重量%の量で存在し、粘着性低下剤が組成物の約5~約45重量%の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物と水とを含む、水性分散液。
【請求項13】
乾燥コーティング組成物の一部として加えられた、可塑剤、粘着性低下剤、顔料及び界面活性剤の1種以上をさらに含む、請求項12に記載の水性分散液。
【請求項14】
水性分散液へ別々に加えられた、可塑剤、粘着性低下剤、顔料及び界面活性剤の1種以上をさらに含む、請求項12に記載の水性分散液。
【請求項15】
請求項12に記載の水性分散液でコーティングされた、経口摂取可能な基材。
【請求項16】
酸性化コーティングの下に腸溶性コーティングをさらに含む、請求項15に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項17】
経口摂取可能な基材と腸溶性コーティングとの間にサブコートをさらに含む、請求項16に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項18】
腸溶性コーティングが、部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む、請求項17に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項19】
部分的に中和された腸溶性ポリマーが、部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーである、請求項18に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項20】
部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーが、乾燥基準で腸溶性コーティング組成物の約40~75重量%を構成する、請求項19に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項21】
pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性があり、
i)薬物又は有効成分を含むコア部;
ii)実質的に該コア部を覆い、腸溶性コーティングが部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む、腸溶性コーティング部;及び
iii)実質的に該腸溶性コーティング部を覆う酸性化トップコート
を含む経口摂取可能な基材。
【請求項22】
薬物含有コアと、部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングとの間に、サブコートをさらに含む、請求項21に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項23】
部分的に中和された腸溶性ポリマーが、部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーである、請求項21に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項24】
コア部が約50~約90重量%を構成し、腸溶性コーティング部が約8~約40重量%を構成し、酸性化トップコートが約2~約30重量%を構成する、請求項21に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項25】
酸性化トップコートが約3~約25重量%を構成する、請求項24に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項26】
i)薬物を含むコアを準備する工程;
ii)薬物を含むコア上に腸溶性コーティングを塗布する工程;及び
iii)腸溶性コーティング上に酸性化トップコートを塗布する工程
を含む、pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性がある経口摂取可能な基材の製造方法。
【請求項27】
薬物を含むコアと腸溶性コーティングとの間にサブコートを塗布する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング錠剤の成分のpH依存性放出のための、医薬錠剤等のコーティングのための水性フィルムコーティング分散液の分野に関する。本発明は、pH依存性コーティングを有する医薬品のトップコートとして使用できる水性コーティング分散液を作製するのに使用するための、無毒で、可食性の、乾燥粉体組成物を提供する。本発明はまた、pH5以下の水性媒体中で感知できるほどに崩壊しない、そのようなフィルムコーティングを有する医薬基材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,420,473号は、アクリル樹脂、アルカリ化剤、粘着性低下剤(detackifier)及び、任意に、可塑剤、流動助剤、顔料、界面活性剤、凝集防止剤、二次膜形成剤、二次粘着性低下剤等の付加的成分を含む乾燥腸溶性フィルムコーティング組成物を記載する。本発明の譲受人に譲渡された米国特許第9,233,074号は、改善された安定性のために、有利にはケイ酸カルシウムも含む乾燥腸溶性フィルムコーティング組成物の関連を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,420,473号
【特許文献2】米国特許第9,233,074号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
米国特許第6,420,473号及び米国特許第9,233,074号に開示されている製剤は商業的に有用であるが、pH5以下の媒体中で感知できるほどに崩壊しない、改良された腸溶性コーティングされた剤形の必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、1種以上の酸性成分を含むトップコートを、腸溶性コーティングされた剤形に加えることにより、トップコートされた剤形は、pHが約5以下の媒体中での崩壊に対する耐性が増加することが見出された。
【0006】
本発明の一態様において、医薬品及び関連技術のための乾燥粉体フィルムコーティング組成物が提供される。乾燥pH依存性フィルムコーティング組成物は、1種以上のポリマー、1種以上の酸性成分、及びフィルムコーティング製剤で一般的に使用される他の添加剤を含む。
【0007】
本発明の別の一態様において、上述したフィルムコーティング組成物の水性分散液が提供される。分散液は好ましくは約5~約25%の非水成分含有量を含む。さらなる態様は、コーティング分散液で経口摂取可能な基材をコーティングする方法、及び、pHが約5以下の媒体中での崩壊に対する驚くべき耐性を有する、これらの方法で作製されたコーティングされた基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的のために、以下の用語はそれらの意味に関してさらに説明される。
【0009】
「経口摂取可能な基材」とは、任意の薬学的に許容される剤形、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、薬物レイヤード糖スフェア(drug-layered sugar spheres)又は類似のビーズ、薬物粒子など、或いは、経口投与経路を介して摂取できる任意の他の獣医用又は製菓用の製品を意味することを理解されたい。
【0010】
「薬物」とは、有機的に合成されたか、組換え技術によって作製されたか、又は天然抽出物であるかにかかわらず、栄養補助剤を含む、任意の生物学的又は薬学的に認められた有効成分を含むと理解されたい。
【0011】
「乾燥粉体」とは、本質的に液体を含まない粉体ではなく、触ると比較的乾燥している粉体を意味することを理解されたい。
【0012】
「周囲温度」とは、一般に約20℃(68°F)~約30℃(86°F)+/-3℃の範囲の温度を意味することを理解されたい。
【0013】
「pH依存性」とは、あるpH範囲で可溶であるが、別のpH範囲では可溶でないポリマー又はコーティングを意味することを理解されたい。例えば、従来の「腸溶性」ポリマー又はコーティングは、低pH、例えば、約5以下では不溶であるが、より高いpH、すなわち、約6.5以上では可溶である。
【0014】
フィルムコーティングに関する「崩壊に対して実質的に耐性がある」とは錠剤、カプセル又は多粒子(multi-particulate)に適用した場合に、in vitro溶解媒体において約2時間以内に、その中にコーティングされた有効成分の約5%未満を放出するフィルムコーティングに関すると理解されたい。
【0015】
酸性化フィルムコーティング組成物は、1種以上のポリマー、1種以上の酸性成分、任意に1種以上の可塑剤、及び、場合によっては、粘着性低下剤、顔料、界面活性剤等の1種以上の任意成分を含む。
【0016】
1種又は複数種のポリマーは、即時放出フィルムコーティングにおいて一般的に使用されるポリマーのいずれであってもよい。好適なポリマーとしては、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール‐ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PVAをベースとする他のコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。ほとんどの実施形態では、本発明の粉体混合物に含まれるポリマー(複数可)の総量は約10~約90重量%である。いくつかの好ましい実施形態では、その量は乾燥コーティング組成物の約25~約85重量%の範囲であり、より好ましくは約30~約80重量%の範囲である。
【0017】
酸性成分は、部分的に中和された腸溶性ポリマー上に見られるカチオンを置換することができるイオン化可能な水素を有する、任意の薬学的に認可された酸性物質であり得る。好適な酸性成分としては、ステアリン酸、クエン酸、乳酸及びそれらの混合物が挙げられる。ほとんどの実施形態では、本発明の粉体混合物に含まれる酸性成分(複数可)の総量は約5~約50重量%である。いくつかの好ましい実施形態では、その量は乾燥コーティング組成物の約8~約45重量%の範囲である。特定の理論に縛られることを望むものではないが、酸性成分からのイオン化可能な水素イオンは、腸溶コーティングされた経口摂取可能な基材の腸溶コーティング中の部分的に中和された腸溶性ポリマー上に見られるカチオンを置換すると考えられる。有利なことに、部分的に中和された腸溶性ポリマー上のカチオンが水素イオンで置き換えられると、腸溶性ポリマーが崩壊するpHが上昇する。部分的に中和された腸溶性ポリマーは、中和されていない形態よりもはるかに容易に水に分散されるため、腸溶性コーティングされた剤形を調製する時に一般的に好ましい。従って、酸性化トップコートの使用は、好ましい腸溶性コーティングの機能性を向上させる。
【0018】
酸性化コーティング組成物に可塑剤が含まれるこれらの本発明の態様において、使用される量は、選択された可塑剤、並びにフィルムコーティング組成物に含まれるポリマーの種類及び量に依存する。当業者には明らかなように、含まれる可塑剤の量は、フィルムコーティング組成物が水性分散液の形態又は経口摂取可能な基材上のコーティングの形態の時に、ポリマーの十分な可塑化、すなわち、軟化及び/又はガラス転移温度の低下の改良、を達成する量である。好適な可塑剤の非限定的なリストには、クエン酸トリエチル、トリアセチン、中鎖トリグリセリド、グリセリルカプリロカプレート(グリセリルモノ及びジカプリロカプレートとしても知られる)、200~8000の分子量を有するポリエチレングリコール及びグリセロールが挙げられる。ほとんどの実施形態では、可塑剤の量はポリマー含有量の約0~約20重量%である。いくつかの好ましい実施態様では、その量は、ポリマー含有量の約2~約18重量%の範囲である。
【0019】
好適な粘着性低下剤の非限定的なリストには、タルク、カルナウバワックス、水添ヒマシ油、フマル酸ステアリルナトリウム他又はそれらの混合物が挙げられ、主に、本発明の組成物に基づく水性分散液を使用した、医薬錠剤等のフィルムコーティング中に起こり得る錠剤の粘着の発生率を低減するために使用される。ほとんどの実施形態では、粘着性低下剤の総量は乾燥フィルムコーティング組成物の約0~約50%である。いくつかの好ましい実施形態では、その量は、乾燥フィルムコーティング組成物の約5~約45%の範囲である。
【0020】
好適な顔料は、FD&C又はD&C lakes、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、リボフラビン、カーマイン(carmine)40、クルクミン、アナトー、他の非合成着色剤、不溶性染料、マイカ及び/又は二酸化チタンをベースとする真珠光沢顔料(pearlescent pigments)、或いはそれらの混合物である。使用される顔料の種類及び量は、所望の色に依存することは当業者には明らかである。複数の顔料を一緒に使用して、異なる様々な色合いを作成することができる。顔料の総量は、乾燥コーティング組成物の0~約40重量%であってよい。いくつかの好ましい実施形態では、その量は乾燥コーティング組成物の約5~約30%の範囲である。
【0021】
好適な界面活性剤は、当業者には明らかであろう。しかしながら、多くの好ましい態様において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。界面活性剤は、主として、本発明の乾燥コーティング組成物から調製された水性分散液の表面張力を低下させるために使用される。界面活性剤は、液滴の広がり及び、それに対応して、コーティングの均一性を促進する。ほとんどの実施形態では、使用する界面活性剤の量は、フィルムコーティング組成物の0~約5重量%の間である。いくつかの好ましい実施形態では、その量は組成物の約0.1~約4重量%の範囲である。
【0022】
さらに、粉体混合物は、フィルムコーティングに典型的に見られる補足成分又は補助成分を含んでいてもよい。そのようなアジュバントの非限定的なリストには、分散助剤、甘味料、香料など、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
水性分散液を調製する前に、乾燥コーティング組成物に多くの利益を与える添加剤を組み込むことがより有利で経済的であることが多いが、成分を水性分散液に段階的に加えることもできる。例えば、最初にポリマーと酸性剤との混合物を水性媒体中に分散させ、次に可塑剤、粘着性低下剤、界面活性剤及び顔料を段階的に加えることができる。さらに、必要に応じて、消泡剤を水性分散液に直接添加することもできる。
【0024】
粉体混合物は、当業者に公知の標準的なドライブレンド又は混合技術を使用して調製される。例えば、成分を個々に秤量し、適切な装置に添加し、成分が実質的に均一な混合物が得られるまで十分な時間混合する。もちろん、このような実質的な均一性を達成するために必要な時間は、バッチサイズ及び使用される装置に依存する。粉体製剤成分のいずれかが液体である場合、それらは全ての乾燥成分が十分に混合された後にのみ添加され、湿潤成分及び乾燥成分の組合せは、全ての液体が導入された後、均一性を確保するために、さらに時間をかけて混合される。
【0025】
特定の実施形態では、乾燥プレブレンドとして2種以上の成分を一緒に混合することが好ましい。例えば、乳酸等の液状酸性成分とヒプロメロース等のポリマーの一部とのプレブレンドを大規模で製造することができる。次に、得られた自由流動性粉体(free-flowing powders)を貯蔵し、その後、完全に配合されたコーティング組成物の複数のバッチの製造に使用することができる。別の例示的なプレブレンドはタルクと乳酸との組合せである。有利なことに、このプレブレンドは、残りのポリマー、粘着性低下剤、可塑剤及び顔料を含む残りの乾燥成分に迅速に加えることができ、これにより、液体成分を分散させるための追加のブレンド時間の必要性をなくすことができる。
【0026】
上記のように、バッチサイズは、必要に応じて変わり得る。好適な混合装置の非限定的なリストとしては、拡散ブレンダー、例えばPatterson-Kellyから入手可能なクロスフロー、V-ブレンダー、又はハブブレンダー、或いは対流ブレンダー、例えば、Azo、Servolift及びReadcoから入手可能なルバーグ(Ruberg)又はCVMブレンダーが挙げられる。上記の製剤のブレンドは、湿式塊化(wet massing)、流動床造粒、噴霧造粒及び乾式圧縮、ローラー圧縮又はスラッギング(slugging)を含むが、これらに限定されない方法によって、成分を顆粒状に加工して、埃の立たない(non-dusting)顆粒状コーティング組成物を調製することによって達成することもできる。他のブレンド方法は当業者に明らかであろう。
【0027】
酸性化トップコートが塗布される腸溶性コーティングされた剤形は、薬物含有コア及び腸溶性コーティングから構成される。また、薬物含有コアと腸溶性コーティングとの間にサブコートを含ませて、コアにより大きな物理的強度を与え、また、コアの成分と腸溶性コーティングとの間の潜在的な相互作用を最小限に抑えることも、有利であることが多い。腸溶性コーティングは、pH依存性ポリマー(腸溶性ポリマーとしても知られている)を含む。好適なpH依存性ポリマーとしては、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、及びメタクリル酸コポリマーが挙げられる。好ましいメタクリル酸コポリマーとしては、例えば、Eudragit L100の商品名で販売されている、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1; 例えば、Eudragit L100-55又はKollicoat MAE 100-55の商品名で販売されている、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1;、及び、例えば、Eudragit S100の商品名で販売されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2が挙げられる。本明細書に記載の本発明に関して使用するのに適した、市販のすぐに使える腸溶性ポリマーフィルムコーティングの非限定的なリストには、Acryl-EZE(登録商標)、Nutrateric(登録商標)及びSureteric(登録商標)の商品名でColorconから入手可能なものが挙げられる。
【0028】
前述のように、腸溶性ポリマーは、水への分散を促進するために部分的に中和されることが多い。腸溶性ポリマーに適したアルカリ化剤(又は中和剤)としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び炭酸アンモニウムが挙げられる。前述のもの及び本明細書で特に言及されていない当業者に知られているものはそれぞれ、pH依存性の、予め中和されていない腸溶性ポリマーを含む組成物に有用である。重炭酸ナトリウムが特に好ましいアルカリ化剤である。使用されるアルカリ化剤の量は、pH依存性ポリマー中に存在するカルボン酸含有単量体の量に直接的に依存する。具体的には、アルカリ化剤がpH依存性の、腸溶性ポリマーとの反応後に、0.1~10モル%の酸性基が塩の形態で存在するような量で添加される。コリコート(Kollicoat)MAE-100Pの商品名で販売されている部分的に中和されたポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1のように、ポリマー上のカルボン酸基が使用前に予め中和されている場合、予備中和されたポリマーはすでに分散可能であるので、腸溶性フィルムコーティング組成物中にアルカリ化剤を使用する必要はない。
【0029】
腸溶性コーティングされた剤形は現在の業界の慣行と一致し、米国6,420,473号及び米国9,233,074号に開示されているように、調製されており、それぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、水性フィルムコーティングプロセスが薬物含有コアに腸溶性コーティングを塗布するために使用される。塗布される腸溶性コーティングの量は、コアの表面積に依存する。例えば、錠剤は、一般に、約8~10%の重量増加を必要とし;一方、より大きな表面積を有するビーズ又はスフェアは、一般に、30~40%の重量増加を必要とする。
【0030】
上述の、腸溶性コーティングされた経口摂取可能な基材は、経口摂取可能な基材と本発明のフィルムコーティング組成物との間にサブコートフィルムコーティングを含むこともできる。選択されるサブコートは、薬物含有コアと腸溶性コーティングとの両方と、相性がよく、付着する可食性フィルムコーティング組成物に基づいていることが望ましい。したがって、当業者は、本発明におけるサブコートとして使用するために、多種多様な医薬品又は食品に許容されるコーティングから選択することができる。このサブコートも基材に塗布され、腸溶性コーティングされた経口摂取可能な基材に約0.25~約10%の重量増加をもたらす。
【0031】
酸性化トップコート分散液は、予備混合された乾燥粉体酸性化コーティング組成物を、周囲温度で連続的に攪拌しながら、脱イオン水に加えることによって調製される。ほとんどの実施形態では、5~25部の予備混合された乾燥粉体酸性化コーティング組成物を75~95部の脱イオン水に添加する。好ましい実施形態では、10~20部の予備混合された乾燥粉体酸性化コーティング組成物を80~90部の脱イオン水に添加する。その結果得られる酸性化コーティング分散液は、次に腸溶性コーティングされた経口摂取可能な基材上に、当業者に知られている市販のフィルムコーティング装置を用いてスプレーされる。ほとんどの実施形態では、腸溶性コーティングされた基材の開始重量に対して2~30%の重量増加が達成されるように酸性化トップコートが塗布される。酸性化トップコートの好ましい量は、腸溶性コーティングされた基材の表面積の増加とともに増加する。錠剤及びカプセルについては、酸性化トップコートが、好ましくは腸溶性コーティングされた錠剤及びカプセルの開始重量に対して3~8%の重量増加が達成されるように塗布される。多粒子又はビーズについては、酸性化トップコートが、好ましくは腸溶性コーティングされた多粒子又はビーズの開始重量に対して3~25%の重量増加が達成されるように塗布される。
【0032】
特定の実施形態によれば、錠剤及び多粒子を含む経口摂取可能な基材は、複数の層を有していてもよい。例えば、中心部には、薬物又は有効成分を含有することができるコアがある。腸溶性コーティング層又は部は実質的にコアを包み、酸性化トップコート部分は、実質的に腸溶性コーティング層を包む。腸溶性コーティングとコアとを分離する任意のサブコートがあってもよく、これは、pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性がある最終生成物の性質に実質的に影響しない。
【0033】
コア部は、最終生成物/基材の約50~約90重量%を構成することができ、一方、腸溶性コーティング部は約8~約40重量%を構成することができ、酸性化トップコートは約2~約30重量%を構成することができる。さらなる態様において、酸性化トップコートは、約3~約25重量%を構成する。
【0034】
本発明おいていくつかの好ましい乾燥酸性化トップコート組成物には以下が含まれる。
【0035】
【表1】
【0036】
上記の表から、好ましい乾燥フィルムコーティング組成物は本明細書に記載されるように、少なくともポリマー及び酸性成分を含むことが理解されよう。付加的成分が含まれる場合、ポリマー及び酸性成分の量は、乾燥混合物中の全ての成分の総量が100重量%となるように、減少するが、なお本明細書に記載する範囲内である。
【0037】
説明が目的であり限定するものではないが、約10%の固形分を有する水性酸性化トップコート分散液は、上記の混合粉体混合物40グラムを360グラムの周囲温度の水中に分散させることによって形成することができる。水を、適当な容器、すなわち最終の分散液の深さとほぼ等しい直径を有する容器に秤量する。低せん断ミキサー、好ましくは混合容器の直径の約3分の1の直径を有する攪拌翼を有するもの、を水中に下げ入れ、容器の縁から攪拌翼のほぼ真上まで下がる渦を形成するように回転させて、空気の巻き込みを防止する。乾燥粉体が過剰に蓄積されない速度で、40グラムの乾燥フィルムコーティング組成物を渦に加える。泡立ちを避けるために、空気が分散液内に引き込まれないように攪拌翼のスピード及び深さを調節する。分散液を、低速、好ましくは350rpm以下で、均一な混合物が形成されることを確実にするのに十分な時間撹拌する。上記のバッチサイズを規準として使用すると、約45分間の混合時間が必要である。その後、分散液を医薬基材等の上にスプレーするための準備をする。当業者はまた、水中の固体が実質的に均一な混合物を調製する多くの方法があること、及び本発明の範囲は使用される装置に決して依存しないことを理解するであろう。
【0038】
前述したように、任意成分を段階的に水性分散液に加えることもできる。例えば、上述のような装置を用いて、最初にポリマー、酸性成分及び可塑剤を水性媒体に分散し、次に粘着性低下剤、界面活性剤及び顔料を段階的に加えることができる。
【0039】
本発明の更なる実施形態において、本発明の酸性化トップコート製剤でコーティングされた腸溶性コーティングされた、経口摂取可能な基材が提供される。幾つかの好ましい実施形態において、腸溶性コーティング中の腸溶性ポリマーは部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーを含む。追加の好ましい実施形態では、腸溶性コーティング組成物中の腸溶性ポリマーの量が腸溶性コーティング組成物の約40~75重量%、より好ましくは55~70重量%である。コーティングされた基材は、優れた外観及び均一性、凝集に対する耐性、並びに望ましい遅延放出特性を有する。
【0040】
以下の実施例に記載されるように、この方法は、酸性化トップコートコーティング組成物を、水性分散液として、経口摂取可能な基材の表面に塗布することを含む。酸性化トップコートは、このような物品をコーティングするために一般的に使用されるパンコーティング又はスプレーコーティングのプロセスの一部として施すことができる。塗布されるコーティングの量は、コーティングの組成物、コーティングされる基材、及びコーティングを塗布するために使用される器具等を含む、いくつかの要因に依存する。ほとんどの実施形態では、腸溶性コーティングされた基材の開始重量に対して2~30%の重量増加が達成されるように酸性化トップコートを塗布する。好ましい実施形態では、腸溶性コーティングされた基材の開始重量に対して3~25%の重量増加が達成されるように酸性化トップコートを塗布する。
【0041】
本発明のコーティング系でコーティングすることができる好適な基材の非限定的なリストには、圧縮錠剤、カプレット、薬剤を含むコア、薬物レイヤード糖スフェア又は類似のビーズ、機能性食品(nutraceuticals)及び栄養補助食品(dietary supplements)、並びに、他の当技術分野で認識されている経口摂取可能なコアが挙げられる。
【実施例0042】
以下の実施例は、本発明をさらに理解するのに役立つものであるが、決して本発明の有効な範囲を限定することを意味するものではない。全ての成分は重量%で表されている。
【0043】
実施例1
【0044】
腸溶性コーティングされたプラセボ錠剤の調製
【0045】
I.プラセボ錠剤の調製
【0046】
ラクトース一水和物(42部)、微結晶性セルロース(42部)、スターチ(Starch)1500(15部)、コロイド状二酸化ケイ素(0.5部)及びステアリン酸マグネシウム(0.5部)の乾燥ブレンド混合物を、打錠機を備えたPiccola 10-stationで圧縮することによって、円形両凸プラセボ錠剤(直径11mm)を調製した。
【0047】
II. サブコート及び腸溶性コーティング分散液の調製
【0048】
プラセボ錠剤を、ヒプロメロース(HPMC)をベースとしたOpadry(登録商標)コーティング組成物から作製されたサブコーティング分散液及び米国特許第9233074号に記載された組成物に従って調製された腸溶性コーティング分散液で順次コーティングした。最初に、Opadryサブコーティング分散液を、乾燥Opadry処方物(75グラム)を脱イオン水(607グラム)に添加し、この組合せをプロペラミキサーで45分間攪拌することによって調製した。このようにして、均一な分散液が得られた。
【0049】
腸溶性コーティング分散液は、予備混合した乾燥粉体腸溶性組成物を水に加えて調製した。Eudragit(登録商標)L100-55(137.5グラム; 55.0重量%)、重炭酸ナトリウム(2.8グラム;1.1重量%)、タルク(49.5グラム; 19.8重量%)、二酸化チタン(32.5グラム; 13.0重量%)、ポロキサマー(poloxamer)407(16.5グラム;6.6%)、ケイ酸カルシウム(10.0グラム;4.0重量%)及びラウリル硫酸ナトリウム(1.3グラム;0.5重量%)をフードプロセッサー中で5分間完全に混合することにより、乾燥粉体腸溶性組成物を調製した。目に見える凝集物のない自由流動性粉体が得られた。次に、最初に水性ケイ素エマルジョン(消泡剤 FG-10; 0.5g)を、混合容器の直径の約3分の1の直径を有する攪拌翼を有する低せん断ミキサーを使用して、水中に下げ入れ、容器の縁から攪拌翼のほぼ真上まで下がる渦を形成するように回転させて、空気の巻き込みを防止することによって、脱イオン水(1.0kg)中に混合し、腸溶性分散液を調製した。消泡剤を30秒間混合した後、予備混合した乾燥粉体腸溶性組成物(250グラム)を、乾燥粉体が過剰に蓄積されない速度で渦に添加した。攪拌翼のスピード及び深さは、泡立ちを避けるために、空気が分散液内に引き込まれないように調節した。分散液を、低速、350rpm以下で、均質な混合物が形成されることを確実にするのに十分な時間撹拌した。約45分間の混合時間が必要であった。
【0050】
III. サブコート及び腸溶性コーティング分散液でのプラセボ錠剤のコーティング
【0051】
2つのポンプヘッドを有する内部蠕動ポンプ送達システム、プラチナ硬化シリコーン管(サイズ16)及び2つのSchlickスプレーガン(モデル#301~246;流体ノズル(1mm)301‐224(12); エアキャップ301‐001)を備えた、直径24インチのO’Hara LabCoat 2コーティングパンに、前述のプラセボコア(合計充填量16kg)を添加した。錠剤を、以下のプロセス条件下で、Opadryサブコーティング分散液でサブコーティングした。
【0052】
【表2】
【0053】
コーティング実行中、べたつき又は錠剤対錠剤の粘着は観察されなかった。
【0054】
1つのポンプヘッドを有するMasterflex L/S 7528-30蠕動ポンプ、プラチナ硬化シリコーン管(サイズ15)及び1つのSchlickスプレーガン(モデル#970/7-1S75; 流体ノズル(1mm)w44019; エアキャップ-27 w44183)を備えた直径15インチのO’Hara LabCoat 1コーティングパンに、サブコーティングしたプラセボコア(合計充填量2.5kg)を添加した。錠剤を、以下のプロセス条件下で、腸溶性分散液で腸溶性コーティングした。
【0055】
【表3】
【0056】
IV 酸性化トップコート分散液の調製及びコーティング
【0057】
本発明の酸性化トップコートは、最初に、ヒプロメロースE6(35部)、ヒプロメロースE15(20部)及びクエン酸一水和物(40部)をフードプロセッサー中で5分間完全に混合することにより、乾燥粉体プレミックス組成物として調製された。この固体混合物に、グリセリルカプリロカプレート(5部)を加えた。さらに2分間混合した後、目に見える凝集物のない均一な自由流動性粉体が得られた。
【0058】
32部の酸性化トップコートを288部の水に攪拌しながら徐々に添加することにより、コーティング分散液を調製した。均一な分散液を30分で調製した。
【0059】
酸性化トップコート分散液を、以下のコーティングプロセスパラメータを使用して、前述の腸溶性コーティングされた錠剤上にコーティングした。
【0060】
【表4】
【0061】
酸性化トップコートによる3%及び4%の重量増加を施したときに、コーティング錠剤サンプルを採取した。
【0062】
酸性化トップコートが有る及び無い、腸溶性コーティングされた錠剤のテスト
【0063】
pH 5.0の媒体に対する耐性を評価するために、6個のコーティング錠剤を個々に秤量し、崩壊浴(Erweka ZT44)中のpH 5.0の酢酸緩衝液中に2時間入れ、その後、それらを取り出し、膨れ、亀裂、変色及び早期崩壊について検査した。ティッシュペーパーを用いて錠剤を乾燥させ、再秤量した。崩壊媒体に浸漬する前後の平均重量パーセントの差を、流体取り込み量として報告した。錠剤コーティングが無傷のままであり、錠剤が崩壊しなかった場合、合格の結果を割り当てた。その結果は、次のとおりであった。
【0064】
【表5】
【0065】
実施例2~4
【0066】
実施例1に記載したように、乾燥粉体酸性化トップコートを調製し、続いて、水性媒体に分散し、腸溶性コーティングされたプラセボにコーティングし、追加の5%の重量増加サンプルを得た。得られたコーティング錠剤を、同じく実施例1に記載したように、崩壊試験に供した。処方及び結果を以下の表で報告する。
【0067】
【表6】
【0068】
実施例5~7
【0069】
実施例1に記載したように、乾燥粉体酸性化トップコートを調製し、続いて、水性媒体に分散し、腸溶性コーティングされたプラセボにコーティングした。得られたコーティング錠剤を、同じく実施例1に記載したように、崩壊試験に供した。処方及び結果を以下の表で報告する。
【0070】
【表7】
【0071】
実施例8~9
【0072】
腸溶性コーティングされたプラセボ錠剤を、腸溶性コーティング製剤が55%の腸溶性ポリマーではなく65%の腸溶性ポリマーを含有すること以外は、実施例1に記載したように調製した。乾燥粉体腸溶性組成物は、Eudragit(登録商標)L100-55(130グラム; 65.0重量%)、重炭酸ナトリウム(1.43グラム; 0.715重量%)、タルク(52.17グラム; 26.085重量%)、ポロキサマー407(10.4グラム、5.2重量%)、ケイ酸カルシウム(5グラム; 2.5重量%)及びラウリル硫酸ナトリウム(1グラム; 0.5重量%)を含有した。
【0073】
実施例1記載したように、乾燥粉体酸性化トップコートを調製し、続いて、水性媒体に分散し、腸溶性コーティングされたプラセボに3%の重量増加までコーティングした。得られたコーティング錠剤を、同じく実施例1に記載したように、崩壊試験に供した。処方及び結果を以下の表で報告する。
【0074】
【表8】
【0075】
腸溶性コーティング中の腸溶性ポリマー濃度を55%から65%に増加させると、有意に低い媒体取り込みが観察された。
【0076】
実施例10
【0077】
Suglets(登録商標)糖スフェアをランソプラゾール(lansoprazole)で薬物層状化し、ヒプロメロース(HPMC)をベースとするOpadry(登録商標)コーティング分散液から作製した分散液、腸溶性コーティング分散液、及び最後に酸性化トップコートで連続的にサブコーティングした。
【0078】
Discjetプレート、2つのヘッドを有する内部蠕動ポンプ(Watson Marlow)、シリコーン管(Masterflex 96410-16)及び2つのHuttlinスプレーガン(1mm流体ノズル)を備えたHuttlin Unilab 流動床コーターに、5kgのSuglets(登録商標)糖スフェア18/20メッシュ(1000/850ミクロンサイズ)を添加した。Opadry(登録商標)(187.5グラム)、重炭酸ナトリウム(75グラム)及びランソプラゾール(75グラム)を脱イオン水(1912.5グラム)に添加し、均質な混合物が形成されることを確実にするのに十分な時間、低せん断混合機を用いて、完全に混合することによって、ランソプラゾール薬物層コーティング分散液を調製した。約45分間の混合時間が必要であった。
【0079】
次に、ランソプラゾール薬物層状スフェア(5.0kg)を、Huttlin Unilab流動床コーター中でOpadry(登録商標)サブコート分散液(2250kgの脱イオン水中に250グラムのOpadry)でコーティングした。次に、これらのサブコーティングされたスフェアの一部(500グラム)を、Wursterインサートを有するAeromatic Strea-2流動床コーター中で腸溶性コーティング分散液(700グラムの脱イオン水中に175グラムの乾燥腸溶性コーティングプレミックス)でコーティングした。3つのコーティングプロセスに使用したプロセス条件は、以下の通りであった。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
次に、このようにして得られた腸溶性コーティングされたビーズを、酸性化トップコートでコーティングした。トップコートは、最初にヒプロメロースE6(85部)、乳酸(水中90%、11部)、ステアリン酸(5部)を混合することにより乾燥粉体プレミックスとして調製した。乾燥粉体プレミックス(20部)を脱イオン水(180部)に添加し、プロペラ撹拌機で60分間撹拌した。次に、酸性化トップコート分散液を、以下のプロセス条件に従って4%の重量増加が達成されるまで、腸溶性コーティングされたビーズ上にコーティングした。
【0083】
【表11】
【0084】
酸性化トップコートが有る及び無い場合の、腸溶性コーティングされた多粒子を、「遅延放出」ランソプラゾールモノグラフに従い、USP溶解法(USP Dissolution Method)<711>の改良版を用いて評価した。コーティングされた多粒子の3つの別々の1グラムのサンプルを、75 RPMの装置1を使用して、37℃で2時間、pH5.0の酢酸緩衝液(1L)中に置いた。この媒体中で放出された薬物の量を、所定の時点で各サンプルの半分を採取し、それを分析することによって、1及び2時間後に試験した。以下のデータが得られた。
【0085】
【表12】
【0086】
実施例11
【0087】
Suglets(登録商標)糖スフェアを、クロルフェニラミンマレイン酸塩(CPM)を有効成分として使用したことを除いて、実施例10と同様に、薬物層状化し、サブコーティングした。Huttlin Unilab 流動床コーターに、7650gの糖スフェアを投入した。Opadry(登録商標)(122.4グラム)及びCPM(286.9グラム)を脱イオン水(2319.2グラム)に添加し、均質な混合物が形成されることを確実にするのに十分な時間、低せん断混合機を用いて、完全に混合することによって、CPM薬物層コーティング分散液を調製した。約45分間の混合時間が必要であった。
【0088】
次に、CPM薬物層状スフェア(7.5kg)をOpadry(登録商標)サブコートでコーティングした。Opadry(登録商標)サブコートコーティング分散液はOpadry(登録商標)(37.5グラム)を脱イオン水(431.3グラム)に添加し、均質な混合物が形成されることを確実にするのに十分な時間、低せん断混合機を用いて、完全に混合することによって調製した。約45分間の混合時間が必要であった。
【0089】
次に、サブコートされたCPM糖スフェアの一部(500グラム)を、Wursterインサートを有するAeromatic Strea-2流動床コーター中で、腸溶性コーティング分散液でコーティングした。腸溶性コーティング分散液は、予備混合した乾燥粉体腸溶性組成物を水に加えて調製した。Eudragit(登録商標)L100-55(113.75グラム; 65.0重量%)、重炭酸ナトリウム(1.25グラム;0.715重量%)、タルク(45.65グラム; 26.085重量%)、ポロキサマー407(9.1グラム、5.2重量%)、ケイ酸カルシウム(4.38グラム;2.5重量%)及びラウリル硫酸ナトリウム(0.88グラム;0.5重量%)をフードプロセッサー中で5分間完全に混合することにより、乾燥粉体腸溶性組成物を調製した。目に見える凝集物のない自由流動性粉体が得られた。次いで、最初に、脱イオン水(431.3グラム)にシメチコン消泡剤エマルジョン(ダウコーニングDC Q7-2243; 0.88g)を、低せん断混合機を用いて、均質な混合物が形成されるのを確実にするのに十分な時間混合することにより、腸溶性分散液を調製した。約45分間の混合時間が必要であった。3つのコーティングプロセスの条件は、以下の通りであった。
【0090】
【表13】
【0091】
【表14】
【0092】
次に、このようにして得られた腸溶性コーティングされたビーズを、酸性化トップコートでコーティングした。トップコートは、最初にヒプロメロースE6(48.89部)、乳酸(水中90%; 11.11部)及びタルク(40部)を混合することにより乾燥粉体プレミックスとして調製した。乾燥粉体プレミックス(16部)を脱イオン水(144部)に添加し、プロペラ撹拌機で60分間撹拌した。次に、酸性化トップコート分散液を、以下のプロセス条件に従って4%の重量増加が達成されるまで、腸溶性コーティングされたビーズ上にコーティングした。
【0093】
【表15】
【0094】
酸性化トップコートが有る及び無い場合の、腸溶性コーティングされた多粒子を、クロルフェニラミンマレイン酸塩徐放モノグラフに従い、USP溶解法<711>の改良版を用いて評価した。コーティングされた多粒子の2つの別々の1グラムのサンプルを、75 RPMの装置1を使用して、37℃で2時間、pH5.0の酢酸緩衝液(1L)中に置いた。この媒体中で放出された薬物の量を、所定の時点で各サンプルの半分を採取し、それを分析することによって、1及び2時間後に試験した。以下のデータが得られた。
【0095】
【表16】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性があり、
i)薬物又は有効成分を含むコア部;
ii)実質的に該コア部を覆う腸溶性コーティング部;及び
iii)実質的に該腸溶性コーティング部を覆う酸性化トップコート
を含む経口摂取可能な基材。
【請求項2】
腸溶性コーティングが部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項3】
薬物含有コアと、腸溶性コーティングとの間に、サブコートをさらに含む、請求項1に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項4】
部分的に中和された腸溶性ポリマーが、部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーを含む、請求項2に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項5】
コア部が50~90重量%を構成し、腸溶性コーティング部が8~40重量%を構成し、酸性化トップコートが2~30重量%を構成する、請求項1に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項6】
酸性化トップコートが3~25重量%を構成する、請求項4に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項7】
酸性化トップコートがポリマー及び酸性成分を含む、請求項1に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項8】
腸溶性コーティングされた基材の開始重量に対して2~30%の重量増加が達成されるように酸性化トップコートが塗布される、請求項1に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項9】
ポリマーが、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール‐ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PVAをベースとする他のコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項10】
酸性成分は、イオン化可能な水素イオンを含む、請求項7に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項11】
ポリマーが酸性化トップコートの10~90重量%である、請求項7に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項12】
酸性成分が酸化性トップコートの5~50重量%である、請求項7に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項13】
酸化性トップコートが可塑剤、粘着性低下剤、顔料又は界面活性剤の1種以上をさらに含む、請求項7に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項14】
ポリマーが酸化性トップコートの25~85重量%の量で存在し、酸性成分の量が酸化性トップコートの8~45重量%の量で存在し、可塑剤がポリマーの2~18重量%の量で存在し、粘着性低下剤が酸化性トップコートの5~45重量%の量で存在する、請求項13に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項15】
部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーが、乾燥基準で腸溶性コーティング組成物の40~75重量%を構成する、請求項4に記載の経口摂取可能な基材。
【請求項16】
基材が錠剤又はカプセルであり、腸溶性コーティングされた錠剤又はカプセルの開始重量に対して3~8%の重量増加が達成されるように酸性化トップコートが塗布される、請求項1に記載の経口摂取可能な基材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
【表16】
(付記)
(付記1)
ポリマーと酸性成分とを含む、乾燥酸性化コーティング組成物。
(付記2)
ポリマーが、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール‐ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PVAをベースとする他のコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載の組成物。
(付記3)
酸性成分が、イオン化可能な水素イオンを含む、付記1に記載の組成物。
(付記4)
酸性成分が、クエン酸、乳酸、ステアリン酸及びそれらの混合物の群から選択される、付記3に記載の組成物。
(付記5)
ポリマーが組成物の約10~90重量%である、付記1に記載の組成物。
(付記6)
ポリマーが組成物の約25~85重量%である、付記5に記載の組成物。
(付記7)
ポリマーが組成物の約30~80重量%である、付記6に記載の組成物。
(付記8)
酸性成分が組成物の約5~50重量%である、付記1に記載の組成物。
(付記9)
酸性成分が組成物の約8~45重量%である、付記8に記載の組成物。
(付記10)
可塑剤、粘着性低下剤、顔料又は界面活性剤の1種以上をさらに含む、付記1に記載の組成物。
(付記11)
ポリマーが組成物の約25~約85重量%の量で存在し、酸性成分の量が組成物の約8~約45重量%の量で存在し、可塑剤がポリマーの約2~約18重量%の量で存在し、粘着性低下剤が組成物の約5~約45重量%の量で存在する、付記10に記載の組成物。
(付記12)
付記1に記載の組成物と水とを含む、水性分散液。
(付記13)
乾燥コーティング組成物の一部として加えられた、可塑剤、粘着性低下剤、顔料及び界面活性剤の1種以上をさらに含む、付記12に記載の水性分散液。
(付記14)
水性分散液へ別々に加えられた、可塑剤、粘着性低下剤、顔料及び界面活性剤の1種以上をさらに含む、付記12に記載の水性分散液。
(付記15)
付記12に記載の水性分散液でコーティングされた、経口摂取可能な基材。
(付記16)
酸性化コーティングの下に腸溶性コーティングをさらに含む、付記15に記載の経口摂取可能な基材。
(付記17)
経口摂取可能な基材と腸溶性コーティングとの間にサブコートをさらに含む、付記16に記載の経口摂取可能な基材。
(付記18)
腸溶性コーティングが、部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む、付記17に記載の経口摂取可能な基材。
(付記19)
部分的に中和された腸溶性ポリマーが、部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーである、付記18に記載の経口摂取可能な基材。
(付記20)
部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーが、乾燥基準で腸溶性コーティング組成物の約40~75重量%を構成する、付記19に記載の経口摂取可能な基材。
(付記21)
pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性があり、
i)薬物又は有効成分を含むコア部;
ii)実質的に該コア部を覆い、腸溶性コーティングが部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む、腸溶性コーティング部;及び
iii)実質的に該腸溶性コーティング部を覆う酸性化トップコート
を含む経口摂取可能な基材。
(付記22)
薬物含有コアと、部分的に中和された腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングとの間に、サブコートをさらに含む、付記21に記載の経口摂取可能な基材。
(付記23)
部分的に中和された腸溶性ポリマーが、部分的に中和されたメタクリル酸コポリマーである、付記21に記載の経口摂取可能な基材。
(付記24)
コア部が約50~約90重量%を構成し、腸溶性コーティング部が約8~約40重量%を構成し、酸性化トップコートが約2~約30重量%を構成する、付記21に記載の経口摂取可能な基材。
(付記25)
酸性化トップコートが約3~約25重量%を構成する、付記24に記載の経口摂取可能な基材。
(付記26)
i)薬物を含むコアを準備する工程;
ii)薬物を含むコア上に腸溶性コーティングを塗布する工程;及び
iii)腸溶性コーティング上に酸性化トップコートを塗布する工程
を含む、pH5.0の媒体中での崩壊に対して実質的に耐性がある経口摂取可能な基材の製造方法。
(付記27)
薬物を含むコアと腸溶性コーティングとの間にサブコートを塗布する工程をさらに含む、付記26に記載の方法。
【外国語明細書】