(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071824
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】補体が媒介する疾患および障害を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230516BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230516BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230516BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230516BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230516BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230516BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230516BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230516BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230516BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230516BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230516BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230516BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230516BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P27/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P13/12
A61P37/06
A61P25/28
A61P11/06
A61P9/10 101
A61P9/00
A61P25/00
A61P17/00
A61P31/00
A61P29/00
A61P9/10
A61P7/00
A61P25/16
A61P17/06
A61P11/00
A61P21/00
A61P35/00
A61P21/04
A61P1/04
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030606
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2019550688の分割
【原出願日】2018-03-14
(31)【優先権主張番号】62/471,190
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/553,059
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】515110373
【氏名又は名称】バイオベラティブ・ユーエスエイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヴァン・ヴラッセラァー
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・パリー
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー・イー・スタグリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】サンディップ・パニッカー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法、およびそれを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法を提供する。
【解決手段】本方法は、抗C1s抗体を個体に投与することを含む。本方法はまた、抗C1s抗体を固定用量、例えば、5.5g、6.5g、または7.5gで投与することも含む。本方法はまた、個体に抗C1s抗体の有効量を投与して、治療作用のための抗C1s抗体の最小の血清レベルを達成することも含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における補体が媒介する疾患または障害の処置における使用のための抗C1s抗体を含む医薬組成物であって、該対象に該抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、該投与後の該抗C1s抗体の血清中濃度は、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約55μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約65μg/mL、少なくとも約70μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約85μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約95μg/mL、または少なくとも約100μg/mLである、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記抗体の有効量は、少なくとも約4g、少なくとも約5g、少なくとも約6g、少なくとも約7g、少なくとも約8g、少なくとも約9gである、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
前記抗体の有効量は、約4gから約10gの間、約5gから約9gの間、約5gから約8gの間、約6gから約8gの間、約5.5gから約8.5gの間、約6gから約8gの間、約6.5gから約8gの間、6.5gから7.5gの間、6gから約7.5gの間、7gから約8gの間、または約7gから約7.5gの間である、請求項2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
前記抗体の有効量が、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、少なくとも約100mg/kg、少なくとも約105mg/kg、少なくとも約110mg/kg、少なくとも約115mg/kg、少なくとも約120mg/kg、少なくとも約125mg/kg、少なくとも約130mg/kg、少なくとも約135mg/kg、少なくとも約140mg/kg、少なくとも約145mg/kg、少なくとも約150mg/kg、少なくとも約155mg/kg、少なくとも約160mg/kg、少なくとも約165mg/kg、少なくとも約170mg/kg、少なくとも約175mg/kg、少なくとも約180mg/kg、少なくとも約185mg/kg、少なくとも約190mg/kg、少なくとも約195mg/kg、または少なくとも約200mg/kgである、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
抗C1s抗体は、対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項6】
抗C1s抗体は、対象におけるヘモグロビンのレベルを増加させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項7】
抗C1s抗体は、対象における、例えば血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを減少させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項8】
抗C1s抗体は、対象における、例えば血液中のビリルビンのレベルを減少させる、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
抗C1s抗体は:
a)i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む軽鎖可変領
域および重鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含む重鎖可変領域(VH);または
b)i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む軽鎖可変領域;ならびに
ii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
抗C1s抗体は:
a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項12】
抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
補体が媒介する疾患または障害は、加齢性黄斑変性症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば、リウマチ様関節炎)
、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患、バラケル-サイモンズ症候群、ベーチェット病、英国型アミロイド血管症、水疱性類天疱瘡、バーガー病、C1q腎症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、がん、劇症型抗リン脂質症候群、脳アミロイド血管症、寒冷凝集素症(原発性寒冷凝集素症および続発性寒冷凝集素症を含む)、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト-ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血症性血管炎、ボクサー認知症、レヴィ小体型認知症(DLB)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、円板状紅斑性狼瘡、ダウン症候群、巣状分節性糸球体硬化症、正式な思考障害、前頭側頭認知症(FTD)、17番染色体に連鎖する前頭側頭型認知症パーキンソニズム、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン-ストロイスラー-シャインカー病、ギラン-バレー症候群、ハラーフォルデン-シュパッツ病、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管浮腫、ハイポホスファスタシス(hypophosphastasis)、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、感染症(例えば、細菌(例えば、髄膜炎菌または連鎖球菌属)によって引き起こされる疾患、ウイルスによって引き起こされる疾患(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、または他の感染因子によって引き起こされる疾患)、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知機能障害、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、モリブデン補因子欠乏症(MoCD)A型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II型(デンスデポジット病)、膜性腎炎、多発梗塞性認知症、狼瘡(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、粘膜類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋緊張性ジストロフィー、視神経脊髄炎、ニーマンピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソン症候群、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、進行性皮質下神経膠症、進行性核上麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素産生性大腸菌(Shiga-toxin E coli:STEC)-HuS、脊髄性筋萎縮症、卒中、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化優位型認知症、移植による拒絶反応、血管炎(例えば、ANCA関連血管炎)、ウェーグナー肉芽腫症、鎌状赤血球症、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、特発性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、薬剤起因性血小板減少症、ループス腎炎、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群、偽水晶体性水疱性角膜症、および血小板不応から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
補体が媒介する疾患または障害は、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)から選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行して出願された出願への相互参照
本出願は、2017年3月14日付けで出願された米国仮出願第62/471,190号、および2017年8月31日付けで出願された米国仮出願第62/553,059号の利益を主張し、これらは全て、参照によってそれらの全体が開示に組み入れられる。
【0002】
電子的に提出された配列表への参照
本出願と共にASCIIテキストファイルで電子的に提出された配列表の内容(名称:4159.505PCO2_SeqListing.TXT;サイズ:24,288バイト;および作成日:2018年3月13日)は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
補体系は、病原体や他の有害物質からの保護だけでなく傷害からの回復ももたらす、免疫応答の周知のエフェクターメカニズムである。補体経路は、典型的に体内に不活性型で存在するいくつものタンパク質を含む。古典的補体経路は、C1q、C1r、およびC1sタンパク質からなるC1複合体と称される補体第一成分の活性化によって引き起こされる。C1が免疫複合体または他のアクチベーターに結合すると、C1s成分であるフルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)感受性セリンプロテアーゼは、補体成分C4およびC2を切断して、古典的補体経路の活性化を開始させる。古典的補体経路は、多くの疾患および障害において役割を果たすようである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当分野において、補体が媒介する疾患または障害を処置する化合物が必要である。さらに、このような疾患または障害を検出またはモニターできる化合物も必要である。また、このような化合物およびその組成物を生産および使用するための方法も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示は、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法、およびそれを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法を提供する。一部の態様において、本方法は、個体に抗C1s抗体を5.5gの固定用量で投与することを含む。一部の態様において、抗C1s抗体は、隔週で個体に投与される。
【0006】
一部の態様において、抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域の軽鎖相補性決定領域(CDR)および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0007】
一部の態様において、抗C1s抗体は、ヒト化されている。一部の態様において、ヒト化抗体は、ヒト化された軽鎖フレームワーク領域および/またはヒト化された重鎖フレームワーク領域を含む。
【0008】
一部の態様において、抗C1s抗体は:i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含
む重鎖可変領域を含む。
【0009】
別の態様において、抗C1s抗体は:i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域を含む。
【0010】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0011】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0012】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0013】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0014】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0015】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0016】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0017】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0018】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0019】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0020】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0021】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0022】
本開示の一部の態様において、抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む。一部の態様において、抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される。
【0023】
一部の態様において、抗C1s抗体の投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する。
【0024】
一部の態様において、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の第1の用量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の第2の用量を投与すること;およびc)8日目の用量後に隔週で、抗C1s抗体を投与することを含む。
【0025】
また本発明の開示は、それを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は5.5gの量で投与される、方法も提供する。他の実施形態において、本発明の開示は、それを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、個体の体重が約75kg未満の場合、抗C1s抗体は6.5gの量で投与される、方法を提供する。一部の実施形態において、本発明の開示は、それを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、個体の体重が約75kg以上の場合、抗C1s抗体は7.5gの量で投与される、方法を提供する。
【0026】
一部の態様において、抗C1s抗体は、隔週で個体に投与される。
【0027】
一部の態様において、抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域の軽鎖相補性決定領域(CDR)および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0028】
一部の態様において、抗C1s抗体は、ヒト化されている。一部の態様において、ヒト化抗体は、ヒト化された軽鎖フレームワーク領域および/またはヒト化された重鎖フレームワーク領域を含む。
【0029】
一部の態様において、抗C1s抗体は:a)i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域を含む。
【0030】
一部の態様において、抗C1s抗体は:i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域を含む。
【0031】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0032】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0033】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0034】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0035】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0036】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0037】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0038】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0039】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0040】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0041】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0042】
別の態様において、抗C1s抗体は:配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0043】
本開示の一部の態様において、抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む。本開示の一部の態様において、抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される。
【0044】
一部の態様において、抗C1s抗体の投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する。
【0045】
一部の態様において、それを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の第1の用量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の第2の用量を投与すること;およびc)8日目の用量後に隔週で、抗C1s抗体を投与することを含む。
【0046】
また本発明の開示は、それを必要とする対象における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、投与後の抗C1s抗体の血清中濃度は、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約55μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約65μg/mL、少なくとも約70μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約85μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約95μg/mL、または少なくとも約100μg/mLである、方法も提供する。
【0047】
一部の態様において、投与後の抗C1s抗体の血清中濃度は、約20μg/mLから約100μg/mLの間、約20μg/mLから約90μg/mLの間、約20μg/mLから約80μg/mLの間、約20μg/mLから約70μg/mLの間、約20μg/mLから約60μg/mLの間、約20μg/mLから約50μg/mLの間、約20μg/mLから約40μg/mLの間、または約20μg/mLから約30μg/mLの間である。
【0048】
一部の態様において、抗C1s抗体の血清中濃度は、直接結合酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される。
【0049】
一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、少なくとも約100mg/kg、少なくとも約105mg/kg、少なくとも約110mg/kg、少なくとも約115mg/kg、少なくとも約120mg/kg、少なくとも約125mg/kg、少なくとも約130mg/kg、少なくとも約135mg/kg、少なくとも約140mg/kg、少なくとも約145mg/kg、少なくとも約150mg/kg、少なくとも約155mg/kg、少なくとも約160mg/kg、少なくとも約165mg/kg、少なくとも約170mg/kg、少なくとも約175mg/kg、少なくとも約180mg/kg、少なくとも約185mg/kg、少なくとも約190mg/kg、少なくとも約195mg/kg、または少なくとも約200mg/kgである。他の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約4gから約10gである。
【0050】
一部の態様において、有効量は、約60mg/kgから約100mg/kgの間、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。他の態様において、有効量は、約4gから約10gの間、約5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約6.5gから約7.5gの間、または約6.5gから約8.5gの間である。一部の態様において、有効量は、約4gから約9gの間、約5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約6gから約8gの間、または約6.5gから約7.5gの間である。
【0051】
一部の態様において、有効量は、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。一部の態様において、有効量は、約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、または約10gである。
【0052】
一部の態様において、抗C1s抗体は、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日の投与間隔で投与される。
【0053】
一部の態様において、抗C1s抗体は、1週間、2週間、3週間、4週間、または1ヶ月の投与間隔で投与される。
【0054】
一部の態様において、抗C1s抗体は、投与後に、対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる。
【0055】
また本発明の開示は、それを必要とする対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含む、方法も提供する。
【0056】
一部の態様において、抗C1s抗体は、投与後に、対象の血液中の網状赤血球の数を、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加させる。一部の態様において、抗C1s抗体は、投与の約24時間以内に、対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる。
【0057】
本発明の開示の一部の態様において、抗C1s抗体は、対象におけるヘモグロビンのレベルを増加させる。一部の態様において、抗C1s抗体は、対象におけるヘモグロビンのレベルを、少なくとも約1.0g/dL、1.1g/dL、1.2g/dL、1.3g/dL、1.4g/dL、1.5g/dL、1.6g/dL、1.7g/dL、1.8g/dL、1.9g/dL、2.0g/dL、2.1g/dL、2.2g/dL、2.3g/dL、2.4g/dL、2.5g/dL、2.6g/dL、2.7g/dL、2.8g/dL、2.9g/dL、3.0g/dL、3.1g/dL、3.2g/dL、3.3g/dL、3.4g/dL、3.5g/dL、3.6g/dL、3.7g/dL、3.8g/dL、3.9g/dL、4.0g/dL、4.1g/dL、4.2g/dL、4.3g/dL、4.4g/dL、4.5g/dL、4.6g/dL、4.7g/dL、4.8g/dL、4.9g/dL、5.0g/dL、5.1g/dL、5.2g/dL、5.3g/dL、5.4g/dL、5.5g/dL、5.6g/dL、5.7g/dL、5.8g/dL、5.9g/dL、または6.0g/dLに増加させる。一部の態様において、対象におけるヘモグロビンのレベルは、投与から7日以内に少なくとも1.6g/dL増加する。一部の態様において、対象におけるヘモグロビンのレベルは、投与から6週間以内に3.9g/dLまで増加する。
【0058】
本発明の開示の一部の態様において、抗C1s抗体は、対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを減少させる。一部の態様において、対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージは、投与前の対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。他の態様において、対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージは、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、または約5%に減少する。
【0059】
一部の態様において、抗C1s抗体は、対象におけるビリルビンのレベルを減少させる。一部の態様において、対象におけるビリルビンのレベルは、約2.5mg/dL、2.
4mg/dL、2.3mg/dL、2.2mg/dL、2.1mg/dL、2.0mg/dL、1.9mg/dL、1.8mg/dL、1.7mg/dL、1.6mg/dL、1.5mg/dL、1.4mg/dL、1.3mg/dL、1.2mg/dL、1.1mg/dL、1.0mg/dL、0.9mg/dL、0.8mg/dL、0.7mg/dL、0.6mg/dL、0.5mg/dL、0.4mg/dL、0.3mg/dL、0.2mg/dL、または0.1mg/dLより低くなるように減少する。
【0060】
本発明の開示の一部の態様において、抗C1s抗体は、a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;またはl)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0061】
本発明の開示の一部の態様において、抗C1s抗体は:a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;またはl)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0062】
本発明の開示の一部の態様において、抗C1s抗体は:a)i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む軽鎖可変領域および重鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含む重鎖可変領域(VH);またはb)i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、
配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含む重鎖可変領域を含む。
【0063】
本開示の一部の態様において、抗C1s抗体は:a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;またはl)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0064】
一部の態様において、抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む。
【0065】
一部の態様において、抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される。
【0066】
一部の態様において、投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する。
【0067】
実施形態
E1.個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、5.5gの量で投与される、方法。
【0068】
E2.抗C1s抗体は、隔週で個体に投与される、E1に記載の方法。
【0069】
E3.抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域の軽鎖相補性決定領域(CDR)および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域の重鎖CDRを含む、E1またはE2に記載の方法。
【0070】
E4.抗C1s抗体は、ヒト化されている、E1~E3のいずれか1項に記載の方法。
【0071】
E5.ヒト化抗体は、ヒト化された軽鎖フレームワーク領域および/またはヒト化された重鎖フレームワーク領域を含む、E4に記載の方法。
【0072】
E6.抗C1s抗体は:
a)i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有す
るCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域;
b)i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
m)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
n)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む、E1~E5のいずれか1項に記載の方法。
【0073】
E7.抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む、E1~E6のいずれか1項に記載の方法。
【0074】
E8.抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される、E1~E6のいずれか1項に記載の方法。
【0075】
E9.前記投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する、E1~E8のいずれか1項に記載の方法。
【0076】
E10.a)1日目に、抗C1s抗体の第1の用量を投与すること;
b)8日目に、抗C1s抗体の第2の用量を投与すること;および
c)8日目の用量後に隔週で、抗C1s抗体を投与すること
を含む、E1~E9のいずれか1項に記載の方法。
【0077】
E11.それを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は5.5gの量で投与される、方法。
【0078】
E12.抗C1s抗体は、隔週で個体に投与される、E11に記載の方法。
【0079】
E13.抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域の軽鎖相補性決定領域(CDR)および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域の重鎖CDRを含む、E11またはE12に記載の方法。
【0080】
E14.抗C1s抗体は、ヒト化されている、E11~E13のいずれか1項に記載の方法。
【0081】
E15.ヒト化抗体は、ヒト化された軽鎖フレームワーク領域および/またはヒト化された重鎖フレームワーク領域を含む、E14に記載の方法。
【0082】
E16.抗C1s抗体は:
a)i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域;
b)i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むCDRを含む重鎖可変領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
m)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
n)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む、E11~E15のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
E17.抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む、E11~E16のいずれか1項に記載の方法。
【0084】
E18.抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される、E11~E16のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
E19.前記投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する、E11~E18のいずれか1項に記載の方法。
【0086】
E20.a)1日目に、抗C1s抗体の第1の用量を投与すること;
b)8日目に、抗C1s抗体の第2の用量を投与すること;および
c)8日目の用量後に隔週で、抗C1s抗体を投与すること
を含む、E11~E19のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
E21.それを必要とする対象における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、投与後の抗C1s抗体の血清中濃度は、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約55μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約65μg/mL、少なくとも約70μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約85μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約95μg/mL、または少なくとも約100μg/mLである、方法。
【0088】
E22.投与後の抗C1s抗体の血清中濃度は、約20μg/mLから約100μg/mLの間、約20μg/mLから約90μg/mLの間、約20μg/mLから約80μg/mLの間、約20μg/mLから約70μg/mLの間、約20μg/mLから約70μg/mLの間、約20μg/mLから約60μg/mLの間、約20μg/mLから約50μg/mLの間、約20μg/mLから約40μg/mLの間、または約20μg/mLから約30μg/mLの間である、E21に記載の方法。
【0089】
E23.抗C1s抗体の血清中濃度は、直接結合酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される、E21またはE22に記載の方法。
【0090】
E24.有効量は、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、少なくとも約100mg/kg、少なくとも約105mg/kg、少なくとも約110mg/kg、少なくとも約115mg/kg、少なくとも約120mg/kg、少なくとも約125mg/kg、少なくとも約130mg/kg、少なくとも約135mg/kg、少なくとも約140mg/kg、少なくとも約145mg/kg、少なくとも約150mg/kg、少なくとも約155mg/kg、少なくとも約160mg/kg、少なくとも約165mg/kg、少なくとも約170mg/kg、少なくとも約175mg/kg、少なくとも約180mg/kg、少なくとも約185mg/kg、少なくとも約190mg/kg、少なくとも約195mg/kg、もしくは少なくとも約200mg/kg、または約4gから10gである、E21~E23のいずれか1項に記載の方法。
【0091】
E25.有効量は、約60mg/kgから約100mg/kgの間、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/
kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、もしくは約60mg/kgから約65mg/kgの間、または約4gから約10gの間、約5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約6.5gから約7.5gの間、もしくは約6.5gから約8.5gの間である、E21~E23のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
E26.有効量は、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、もしくは約150mg/kg、または4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、もしくは10gである、E25に記載の方法。
【0093】
E27.抗C1s抗体は、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日の投与間隔で投与される、E21~E26のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
E28.抗C1s抗体は、1週間、2週間、3週間、4週間、または1ヶ月の投与間隔で投与される、E21~E26のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
E29.抗C1s抗体は、投与後に、対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる、E21~E28のいずれか1項に記載の方法。
【0096】
E30.それを必要とする対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【0097】
E31.抗C1s抗体は、投与後に、対象の血液中の網状赤血球の数を、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍増加させる、E29またはE30に記載の方法。
【0098】
E32.抗C1s抗体は、投与の約24時間以内に、対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる、E29~E31のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
E33.抗C1s抗体は、対象におけるヘモグロビンのレベルを増加させる、E1~E32のいずれか1項に記載の方法。
【0100】
E34.抗C1s抗体は、対象におけるヘモグロビンのレベルを、少なくとも約1.0g/dL、1.1g/dL、1.2g/dL、1.3g/dL、1.4g/dL、1.5g/dL、1.6g/dL、1.7g/dL、1.8g/dL、1.9g/dL、2.0g/dL、2.1g/dL、2.2g/dL、2.3g/dL、2.4g/dL、2.5g/dL、2.6g/dL、2.7g/dL、2.8g/dL、2.9g/dL、3.0g/dL、3.1g/dL、3.2g/dL、3.3g/dL、3.4g/dL、3.5
g/dL、3.6g/dL、3.7g/dL、3.8g/dL、3.9g/dL、4.0g/dL、4.1g/dL、4.2g/dL、4.3g/dL、4.4g/dL、4.5g/dL、4.6g/dL、4.7g/dL、4.8g/dL、4.9g/dL、5.0g/dL、5./1g/dL、5.2g/dL、5.3g/dL、5.4g/dL、5.5g/dL、5.6g/dL、5.7g/dL、5.8g/dL、5.9g/dL、または6.0g/dLに増加させる、E33に記載の方法。
【0101】
E35.対象におけるヘモグロビンのレベルは、投与から7日以内に、少なくとも1.6g/dL増加する、E33に記載の方法。
【0102】
E36.対象におけるヘモグロビンのレベルは、投与から6週間以内に、3.9g/dLまで増加する、E33に記載の方法。
【0103】
E37.抗C1s抗体は、対象における、例えば血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを減少させる、E1~E36のいずれか1項に記載の方法。
【0104】
E38.対象におけるC3d陽性赤血球のパーセンテージは、投与前の対象におけるC3d陽性赤血球のパーセンテージと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する、E37に記載の方法。
【0105】
E39.抗C1s抗体は、対象における、例えば血液中のビリルビンのレベルを減少させる、E1~E38のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
E40.対象におけるビリルビンのレベルは、2.5mg/dL、2.4mg/dL、2.3mg/dL、2.2mg/dL、2.1mg/dL、2.0mg/dL、1.9mg/dL、1.8mg/dL、1.7mg/dL、1.6mg/dL、1.5mg/dL、1.4mg/dL、1.3mg/dL、1.2mg/dL、1.1mg/dL、1.0mg/dL、0.9mg/dL、0.8mg/dL、0.7mg/dL、0.6mg/dL、0.5mg/dL、0.4mg/dL、0.3mg/dL、0.2mg/dL、または0.1mg/dLより低くなるように減少する、E39に記載の方法。
【0107】
E41.抗C1s抗体は:
a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む抗体と交差競合する、E21~E40のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
E42.抗C1s抗体は:
a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む抗体と同じエピトープに結合する、E21~E41のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
E43.抗C1s抗体は:
a)i)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む軽鎖可変領域および重鎖可変領域;ならびにii)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含む重鎖可変領域(VH);または
b)i)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む軽鎖可変領域;ならびにii)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含む重鎖可変領域
を含む、E21~E42のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
E44.抗C1s抗体は:
a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む、E21~E43のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
E45.抗C1s抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む、E21~E44のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
E46.抗C1s抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される、E21~E45のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
E47.投与は、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を介する、E21~E46のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】抗C1s抗体が投与された患者の寒冷凝集素症(CAD)患者の特徴の表を示す表である。
【
図2-1】
図2A~2Cは、BIVV009での処置の前およびその間のCAD患者の実験パラメーターを示す図である。
図2Aは、BIVV009での処置の前の患者のベースラインの実験パラメーターを示す。
図2Bは、BIVV009での処置中の患者の最小および最大の実験パラメーターを示す。
図2Cは、BIVV009での処置中の実験パラメーターにおける最大変化を示す。
【
図3】
図3A~3Bは、抗C1s抗体、BIVV009の薬物動態および薬力学を示す図である。
図3Aは、正常な健康な志願者(NHV)から採取した血清サンプル中のBIVV009レベルおよび古典的経路活性の濃度応答分析を示す。
図3Bは、寒冷凝集素症(CAD)を有する患者(n=10)におけるBIVV009の平均薬物動態プロファイルを示す。
【
図4-1】
図4A~4Cは、BIVV009輸注に対する血液学的応答を示す図である。データは、10人の患者の中央値および四分位数間範囲である。
図4Aは、BIVV009投与後のC3d陽性赤血球のレベル(%)を示す。
図4B(塗りつぶしの四角)は、BIVV009投与後のヘモグロビンのレベル(g/dL)を示す。
図4Bにおける白い三角は、Berentsenの定義を使用した原発性寒冷凝集素症を有する患者のサブグループにおけるヘモグロビンレベルの中央値を表す。
図4Cは、BIVV009投与後のビリルビンのレベル(mg/dL)を示す。データは、10人の患者の中央値および四分位数間範囲である。
【
図5】循環中のビリルビンレベル対BIVV009濃度のプロットを示す図である。x軸上の点線は、血清中の20μg/mLのBIVV009を表し、y軸上の点線は、1.2mg/dL(正常値上限)を表す。
【
図6】CADを有する患者におけるBIVV009応答に対する経時的なヘモグロビン値の比較を示す図である。PRBCは濃厚赤血球(packed red blood cell)である。
【
図7-1】
図7A~7Fは、繰り返しのBIVV009の投与におけるCADを有する患者における生化学応答パターンを示す図である。矢印は、BIVV009投与を示す。実線のバーの上に、BIVV009用量レベルも提供される。
図7Aは、繰り返しBIVV009を投与した後の時間(日)にわたる網状赤血球レベル(×10
9/L)を示す。
図7Bは、繰り返しのBIVV009の投与後における時間(日)にわたるヘモグロビンレベル(g/dL)を示す。
図7Cは、繰り返しのBIVV009の投与後における時間(日)にわたるハプトグロビンレベル(mg/dL)を示す。
図7Dは、繰り返しのBIVV009の投与後における時間(日)にわたる乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル(U/L)を示す。
図7Eは、繰り返しのBIVV009の投与後における時間(日)にわたる血清古典的補体経路活性(CH50)を示す。
図7Fは、繰り返しのBIVV009の投与後における時間(日)にわたるビリルビンレベル(mg/dL)を示す。
【
図8】ドナー特異的抗体(DSA)によって引き起こされる古典的経路(CP)活性化の兆候に関連する後期活動性ABMRと診断された腎臓移植レシピエントにBIVV009を投与するための臨床試験プロトコールの略図である。指標Bx、ベースライン生検;FU Bx、経過観察生検;EOS、研究の終了。
【
図9】研究への組み入れ決定時に確認された臨床試験に参加する対象における個々のDSA特異性を示す図である。
【
図10A】BIVV009の中央値(四分位数間範囲)の血清中濃度(対数スケール)と、WIESLAB(登録商標)CPアッセイによって検出された総体的なCP活性%との関係を示す図である。
【
図10B】単一のビーズアッセイでの免疫優性ドナー特異的抗体(DSA)によって、または混合されたビーズにプレコーティングした第三者の抗HLA抗体(補体源としての患者血清)の広範なパネルによって引き起こされたC3d固定に対するBIVV009の作用、ならびに平行して、免疫優性DSAのIgG平均蛍光強度(MFI)および組換えC1qを固定するその能力を示す図である。
【
図11-1】
図11A~11Hは、組織形態学的生検および分子生検の結果に対するBIVV009の作用を示す図である。
図11Aは、尿細管周囲毛細血管におけるC4d染色(C4dスコア)を示す。
図11Bは、微小循環の程度(g+ptcスコア)を示す。
図11Cは、移植腎糸球体症の程度(cgスコア)を示す。
図11Dは、ABMRスコアを示す。
図11Eは、TCMRスコアを示す。
図11Fは、全ての拒絶反応スコアを示す。
図11Gは、急性腎臓傷害(AKI)スコアを示す。
図11Hは、慢性傷害(萎縮/線維症)スコアを示す。箱ひげ図は、中央値、四分位数間範囲および範囲を表す。統計比較のために、ウィルコクソンの順位検定を使用した。
【
図12-1】
図12A~12Lは、病因ベースの転写(PBT)スコアに対するBIVV009の作用を示す図である。パネルは、指標と経過観察生検との間のPBT発現における差を示す。
図12Aは、T細胞負荷を代表する転写物(TCB)を示す。
図12Bは、細胞傷害性T細胞浸潤を代表する転写物(QCAT)を示す。
図12Cは、NK細胞負荷に関連する転写物(NKB)を代表する転写物を示す。
図12Dおよび12Eは、マクロファージに関連する転写物(QCMAT、AMAT1)を代表する転写物を示す。
図12Fは、ガンマ-インターフェロンに関連する転写物(GRIT1)を代表する転写物を示す。
図12Gは、DSAの存在に関連する転写物(DSAST)を示す。
図12Hは、内皮炎症に関連する転写物(ENDAT)を示す。
図12Iは、DSAに関連する転写物(eDSAST)への応答を示す。
図12Jは、急性腎臓傷害および創傷修復に関連する転写物(IRRAT)を示す。
図12Kおよび12Lは、それぞれ健康な腎臓組織および正常な機能(KT1、KT2)を代表する転写物を示す。
【
図13】50日の研究期間にわたる対象における推測の糸球体ろ過率(eGFR、mL/分/1.73m
2)および尿タンパク質/クレアチニン(P/C)比(mg/g)の経過を示す図である。矢印は、BIVV009投与日を示す。
【
図14】BIVV009(ヒト化された抗C1sモノクローナル抗体)または陰性対照のいずれかで処置した健康な対象の第1相臨床試験のフローチャートである。
*対象は、パートB(複数回の輸注)において胃腸炎のために2回目の輸注を受けなかった;その対象は、調整後のPKデータの変動が最小であることから、最終的な分析から除外されなかった。
【
図15-1】
図15A~15Bは、健康な志願者におけるBIVV009の平均(+SE)血清中濃度とそれに対する単回の60分のBIVV009の静脈輸注後の時間(パートA;
図15A)のグラフ表示であり、BIVV009の平均(+SE)血清トラフ濃度とそれに対する週1回の60分のBIVV009の静脈輸注後の時間(パートB;
図15B)のグラフ表示である。
【
図16-1】
図16A~16Cは、個々の体重と、それに対してAUClastD(μg
*時間/mL/mg)(
図16A)、C
maxD(μg/mL/mg)(
図16B)、および半減期_ラムダ_z(時間)((
図16C)のグラフ表示である。AUC:濃度-時間曲線下面積;MAD:複数用量漸増;Cmax:最高血清中濃度;HL:半減期。
【
図17-1】
図17A~17Cは、平均(+SE)血清古典的補体経路(CP)活性とそれに対する健康な志願者における単回の60分のBIVV009の静脈輸注後の時間(
図17A)のグラフ表示でり、平均(+SE)血清トラフCP活性とそれに対する単回または週1回の60分のBIVV009の静脈輸注後の時間(
図17B)のグラフ表示である。
図17Cは、個々のトラフ血清CP活性とそれに対する健康な志願者における複数回の週1回の60分のBIVV009の静脈輸注後の時間のグラフ表示である。
【
図18】第3相試験における予測される体重(kg)分布を示す図である。シミュレーションは、米国の電子医療記録および請求データベースから抽出した、631人のCAgD患者(平均(SD)=77.0(19.7)kg、中央値(最小値-最大値)=74.8(40.6-163.3)kg)に基づいていた。
【
図19】提唱された用量レジメンのシミュレートされた中央値(90%予測区間(PI))のBIVV009濃度を示す図である。実線は、中央値のBIVV009濃度を表し、影を付けた領域は、90%予測区間を表す。点線は、標的媒介薬物動態(TMDD)が起こり始めるBIVV009濃度(100μg/mL)を表す。
【
図20】
図20A~20Bは、抗C1s抗体の非存在または存在下で水疱性類天疱瘡を有する患者からの血清と共にインキュベートし、C3dの存在に関して染色した、サル食道組織の蛍光顕微鏡画像を示す図である。蛍光は、細胞表面上へのC3dのC3d沈着を示す。
図20Aは、抗C1s抗体の非存在下におけるC3d沈着のレベルを示す。
図20Bは、抗C1s抗体の存在下におけるC3d沈着のレベルを示す。
【
図21】
図21A~21Cは、BIVV009抗体で処置した水疱性類天疱瘡患者における、患者の皮膚生検の蛍光顕微鏡画像を示す。蛍光は、真皮と上皮との接合部におけるC3d沈着を示す。
図21Aは、BIVV009処置前の真皮と上皮との接合部におけるC3d沈着のレベルを示す。
図21Bは、BIVV009処置中の真皮と上皮との接合部におけるC3d沈着のレベルを示す。
図21Cは、afterBIVV009処置および抗体のウォッシュアウト後の、真皮と上皮との接合部におけるC3d沈着のレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
定義
本発明の開示をより容易に理解できるようにするため、まず特定の用語を定義する。本出願で使用されるように、以下の用語のそれぞれは、本明細書で明示的にそうではないことが記載されない限り、以下に記載の意味を有するものとする。追加の定義は、本出願にわたり記載される。
【0116】
本開示は、グループのちょうど1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセス中に存在する、それにおいて採用される、あるいはそれと関連する、実施形態を含む。本開示は、グループのメンバーの1つより多くまたは全てが、所与の生成物またはプロセス中に存在する、それにおいて採用される、あるいはそれと関連する、実施形態を含む。
【0117】
さらに、「および/または」は、本明細書において使用される場合、それ以外のものを含んで、または含まずに、2つの特定された特徴または要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるものとする。したがって、用語「および/または」は、本明細書において「Aおよび/またはB」などの表現で使用される場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの表現で使用される場合、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを含むことが意図される。
【0118】
別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語や科学用語は、本開示が関連する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、Juo,Pei-Show、第2版、2002、CRC Press;The Dictionary of Cell and Molec
ular Biology、第3版、1999、Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology、改訂版、2000、Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する。
【0119】
態様が本明細書において言語「含む」を用いて記載される場合はいつでも、「からなる」および/または「から本質的になる」の用語で記載されるそれ以外の類似した態様も提供される。
【0120】
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)で容認された形態で表示される。数値範囲は、範囲を定義する両端の数値を含む。ある値の範囲が列挙される場合、その範囲の列挙された上限と下限との間の各整数値とそれらの各有理数も、このような値の間の各部分範囲も含め具体的に開示されることが理解されるものとする。いずれの範囲の上限および下限も、独立して、その範囲に含まれていてもよいし、またはその範囲から除外されていてもよく、上限下限のいずれかを含む、どちらも含まない、または両方とも含む各範囲も本開示に含まれる。値が明示的に列挙されている場合、列挙された値とほぼ同じ数量または量である値も本開示の範囲内であることが理解されるものとする。組合せが開示される場合、その組合せの要素の各下位の組合せも具体的に開示され、本開示の範囲内である。逆に言えば、異なる要素または要素のグループが個々に開示されている場合、それらの組合せも開示される。開示のいずれかの要素が複数の代替物を有するとして開示されている場合、各代替物が、単独で、または他の代替物とのあらゆる組合せで除外されるその開示の例も、それにより開示される;開示の1つより多くの要素は、このような除外を有していてもよく、そのためこのような除外を有する要素の全ての組合せが開示される。
【0121】
ヌクレオチドは、それらの一般的に容認された一文字コードで記載される。別段の指定がない限り、核酸は、左から右へ5’から3’の方向に表記される。ヌクレオチドは、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨されるそれらの一般的に公知の一文字記号によって記載される。したがって、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Uはウラシルを表す。
【0122】
アミノ酸は、本明細書において、それらの一般的に公知の3文字記号か、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨された1文字記号のいずれかによって記載される。別段の指定がない限り、アミノ酸配列は、左から右へアミノからカルボキシの方向に表記される。
【0123】
用語「約」は、本明細書および特許請求の範囲にわたり、数値と共に使用される場合、当業者にとって一般的な許容できる精度の隔たりを意味する。一般的に、このような精度の隔たりは、±10%である。
【0124】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「抗C1s抗体(an anti-C1s antibody)」への言及は、複数のこのような抗体を含み、「補体が媒介する疾患(the complement-mediated disease)」への言及は、1つまたはそれ以上の補体が媒介する疾患および当業者公知のそれらの均等物などへの言及を含む。さらに、特許請求の範囲を、あらゆる任意選択の要素も除外されるように起草し得ることが留意される。そのようなものとして、この記述は、このような「単に」、「のみ」などの排他的な用語を特許請求の範囲の要
素の記載と併用して使用するための、または「否定的な」限定の使用のための先行詞として役立つことが意図される。
【0125】
範囲が与えられる場合、両端の値が含まれる。さらに、別段の指定がない限り、またはそれ以外の方式で文脈や当業者の知識から明白である場合、範囲として表される値は、本開示の異なる実施形態において、文脈上明らかに別段の指示がない限り、述べられた範囲内のあらゆる具体的な値または部分範囲を、その範囲の下限の単位の10分の1まで想定することができる。
【0126】
用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、あらゆるアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、抗原への特異的な結合を保持する抗体のフラグメント、例えば、これらに限定されないが、Fab、Fv、scFv、およびFdフラグメントなど、キメラ抗体、ヒト化抗体、操作された抗体、単鎖抗体(scAb)、単一ドメイン抗体(dAb)、シングルドメイン重鎖抗体、シングルドメイン軽鎖抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ならびに抗体および非抗体タンパク質の抗原結合(本明細書では抗原結合とも称される)部分を含む融合タンパク質を含む。抗体は、例えば、放射線同位体、検出可能な生成物を生成する酵素、蛍光タンパク質などで検出可能に標識することができる。抗体はさらに、他の部分、例えば特異的結合対のメンバー、例えばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などにコンジュゲートさせることができる。また抗体は、これらに限定されないが、ポリスチレンプレートまたはビーズなどの固体支持体に結合させることもできる。また、Fab’、Fv、F(ab’)2、ならびに/または抗原への特異的な結合を保持する他の抗体フラグメント、およびモノクローナル抗体もこの用語に含まれる。モノクローナル抗体は、本明細書で使用される場合、その全てが単一の細胞から繰り返しの細胞複製によって生産された同一の細胞のグループによって生産された抗体である。すなわち、その細胞のクローンは、単一の抗体種のみを生産する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ生産技術を使用して生産できるが、当業者公知の他の生産方法も使用することができる(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー由来の抗体)。抗体は、1価または2価であり得る。抗体は、4つのポリペプチド鎖:ジスルフィド結合によって連結された2つの重鎖および2つの軽鎖からなる「Y型」の分子であるIgモノマーであり得る。
【0127】
用語「ヒト化された免疫グロブリン」は、本明細書で使用される場合、異なる起源の免疫グロブリンの部分を含む免疫グロブリンであって、少なくとも1つの部分がヒト起源のアミノ酸配列を含むものを指す。例えば、ヒト化抗体は、従来の技術(例えば、合成)によって化学的に一体化した、または遺伝子工学技術(例えば、キメラ抗体のタンパク質部分をコードするDNAを発現させて、隣接するポリペプチド鎖を生産することができる)を使用して隣接するポリペプチドとして製造された、マウスなどの必要な特異性を有する非ヒト起源の免疫グロブリン由来の部分と、ヒト起源の免疫グロブリン配列由来の部分とを含んでいてもよい(例えば、キメラ免疫グロブリン)。ヒト化された免疫グロブリンの別の例は、非ヒト起源の抗体由来のCDRと、ヒト起源の軽鎖および/または重鎖由来のフレームワーク領域とを含む1つまたはそれ以上の免疫グロブリン鎖を含む免疫グロブリン(例えば、フレームワークが変更されたまたは変更されていないCDRグラフト化抗体)である。キメラまたはCDRグラフト化単鎖抗体も、ヒト化された免疫グロブリンという用語に含まれる。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許第0,125,023号B1;Bossら、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許第0,120,694号B1;Neuberger,M.S.ら、WO86/01533;Neuberger,M.S.ら、欧州特許第0,194,276号B1;Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0,239,400号B1;Padlan,E.A.ら、欧州特許出願第0,519,596号A1を参照されたい。また単鎖抗体に関して、Ladnerら、米
国特許第4,946,778号;Huston、米国特許第5,476,786号;およびBird,R.E.ら、Science、242:423~426頁(1988))も参照されたい。
【0128】
例えば、ヒト化された免疫グロブリンは、合成および/または組換え核酸を使用して所望のヒト化鎖をコードする遺伝子(例えば、cDNA)を製造することにより生産することができる。例えば、ヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)配列は、PCR変異誘発方法を使用して、ヒトまたはヒト化鎖をコードするDNA配列、例えば予めヒト化された可変領域由来のDNAテンプレートを変更することにより構築することができる(例えば、Kamman,M.ら、Nucl.Acids Res.、17:5404頁(1989));Sato,K.ら、Cancer Research、53:851~856頁(1993);Daugherty,B.L.ら、Nucleic Acids Res.、19(9):2471~2476頁(1991);およびLewis,A.P.およびJ.S.Crowe、Gene、101:297~302頁(1991)を参照)。これらまたは他の好適な方法を使用して、バリアントも容易に生産することができる。例えば、クローニングした可変領域を変異誘発させて、所望の特異性を有するバリアントをコードする配列を選択することができる(例えば、ファージライブラリーから;例えば、Krebberら、米国特許第5,514,548号;Hoogenboomら、WO93/06213、1993年4月1日公開を参照)。
【0129】
「抗体フラグメント」は、無傷の抗体の部分、例えば、無傷の抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(Zapataら、Protein Eng.8(10):1057~1062頁(1995));ドメイン抗体(dAb;Holtら(2003)Trends Biotechnol.21:484頁);単鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化は、それぞれ単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、その残りの、容易に結晶化する能力を反映した名称である「Fc」フラグメントとを生産する。ペプシン処理により、2つの抗原との連結部位を有し、それでもなお抗原との架橋が可能なF(ab’)2フラグメントが生じる。
【0130】
「Fv」は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。この領域は、きつく非共有結合で会合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。この配置のために、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体表面上に抗原結合部位が定義される。6つのCDRは、集合的に、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でも、結合部位全体より低い親和性ではあるが抗原を認識して結合する能力を有する。
【0131】
「Fab」フラグメントはまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fabフラグメントは、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に抗体のヒンジ領域からの1つまたはそれ以上のシステインを含む数個の残基が付加されている点でFab’フラグメントとは異なる。本明細書において、Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab’の名称である。F(ab’)2抗体フラグメントは本来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として生産された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
【0132】
あらゆる脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」を、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づきカッパおよびラムダと呼ばれる2つの明らかに別個のタイプのものの一方に割り当てることができる。その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免
疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのクラスのうちのいくつかはさらに、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2などのサブクラス(アイソタイプ)に分割することができる。サブクラスはさらに、例えばIgG2aおよびIgG2bなどのタイプに分割することができる。
【0133】
「単鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一部の実施形態において、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それによりsFvが抗原結合にとって所望の構造を形成することができる。sFvの総論に関して、Pluckthunの、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994)を参照されたい。
【0134】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体フラグメントであって、そのフラグメントが同じポリペプチド鎖(VH-VL)中で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含むものを指す。同じ鎖上で2つのドメイン間に対を形成するには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対を形成せざるを得ず、2つの抗原結合部位が作り出される。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444~6448頁でより詳細に説明されている。
【0135】
用語「親和性」は、結合性分子、例えば抗体が、抗原と結合性分子との平衡を、それらの結合によって形成される複合体の存在の方向にシフトさせるように抗原に結合する程度を指す。したがって、抗原と結合性分子とが相対的に等しい濃度で連結する場合、高親和性の結合性分子は、得られた複合体が高濃度になる方向に平衡をシフトさせるように、利用可能な抗原に結合することになる。本発明の開示の結合性分子、例えば抗体、またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、それらの抗原に対する結合親和性に関して記載したり、または特定したりすることもできる。結合性分子、例えば抗体の抗原に対する親和性は、あらゆる好適な方法を使用して実験的に決定することができる。(例えば、Berzofskyら、「Antibody-Antigen Interactions」、In Fundamental Immunology、Paul,W.E.編、Raven Press:New York、N.Y.(1984);Kuby、Janis Immunology、W.H.Freeman and Company:New York、N.Y.(1992);およびそこに記載された方法を参照)。
【0136】
特定の結合性分子-抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定する場合、変動する場合がある。したがって、親和性および他の抗原結合パラメーター(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、結合性分子および抗原の標準化した溶液、および標準化した緩衝液を用いてなされる。
【0137】
結合性分子、例えば抗体に関する「高親和性」は、少なくとも約1×107リットル/モル、または少なくとも約1×108リットル/モル、または少なくとも約1×109リットル/モル、または少なくとも約1×1010リットル/モル、または少なくとも約1×1011リットル/モル、または少なくとも約1×1012リットル/モル、または少なくとも約1×1013リットル/モル、または少なくとも約1×1014リットル/モルの、またはそれより大きい平衡会合定数(Kaff)を指す。「高親和性」結合は、抗
体アイソタイプ毎に異なっていてもよい。
【0138】
KD、平衡解離定数は、抗体親和性を記載するのにも使用される用語であり、Kaffの逆数である。KDは、kdのkaに対する比率(すなわちkd/ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体のKD値は、当分野において十分に確立されている方法を使用して決定することができる。抗体のKDを決定するための利用可能な方法としては、バイオレイヤー干渉(BLI)アッセイ、表面プラズモン共鳴、例えばBIACORE(登録商標)システムまたはフローサイトメトリーのようなバイオセンサーシステム、およびスキャッチャード分析が挙げられる。KDが使用される場合、抗体の用語「高親和性」は、約1×10-7M未満、または約1×10-8M未満、または約1×-10-9M未満、または約1×10-10M未満、または約1×10-11M未満、または約1×10-12M未満、または約1×10-13M未満、約1×10-14M未満、またはそれより低い平衡解離定数(KD)を指す。
【0139】
親和性は、無関係のアミノ酸配列を有する抗体の親和性より、少なくとも1倍大きい、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、少なくとも100倍大きい、または少なくとも1,000倍大きくてもよいし、またはそれより大きくてもよい。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル濃度(nM)から約0.1nM、約100nMから約1ピコモル濃度(pM)、または約100nMから約1フェムトモル濃度(fM)であってもよいし、またはそれより高くてもよい。用語「結合活性」は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれ以上の物質の複合体の希釈後の解離しにくさを指す。用語「免疫反応性」および「優先的に結合する」は、抗体および/または抗原結合フラグメントに関して、本明細書では互換的に使用される。
【0140】
用語「結合」は、例えば、共有結合、静電、疎水性、ならびにイオン性および/または水素結合による相互作用、例えば塩橋および水架橋などの相互作用による2つの分子間の直接の会合を指す。対象の抗C1s抗体は、補体C1sタンパク質中のエピトープに特異的に結合する。「特異的結合」は、少なくとも約10-7Mまたはそれより大きい親和性、例えば、5×10-7M、10-8M、5×10-8M、およびそれより大きい親和性での結合を指す。「非特異的結合」は、約10-7M未満の親和性での結合、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mなどの親和性での結合を指す。
【0141】
用語「競合する」または「交差競合する」は、本明細書で結合性分子、例えば抗体に関して使用される場合、第1の結合性分子とその同種のエピトープとの結合の結果が、第2の結合性分子の存在下で、第2の結合性分子の非存在下における第1の結合性分子の結合と比較して検出可能に減少するように、第1の結合性分子、例えば第1の抗体またはその抗原結合部分が、第2の結合性分子、例えば第2の抗体またはその抗原結合部分の結合に十分に類似した方式でエピトープに結合することを意味する。その代わりに、第2の結合性分子のそのエピトープへの結合も第1の結合性分子の存在下で検出可能に減少することも、必ずではないが起こり得る。すなわち、第1の結合性分子は、第2の分子が第1の結合性分子のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく、第2の結合性分子のそのエピトープへの結合を阻害することができる。しかしながら、各結合性分子が他の結合性分子とその同種のエピトープとの結合を検出可能に阻害する場合、同じ程度か、より大きい程度か、またはより低い程度かにかかわらず、結合性分子は、それらのそれぞれのエピトープの結合に関して互いに「交差競合する」と言われる。競合する結合性分子および交差競合する結合性分子はどちらも本発明の開示に含まれる。
【0142】
結合性分子、例えば抗体は、1つの抗体のみが所与の時点でエピトープに結合できるように結合性分子が交差競合する場合、すなわち一方の結合性分子が他方の作用の結合またはモジュレーションを妨げる場合、「同じエピトープに結合する」または「同じ結合部位を含む」または「本質的に同じ結合」特徴を有すると言われる。
【0143】
競合は、本明細書において、例えば実施例の章に記載したように競合ELISA分析またはForteBio分析によって決定した場合、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%大きい相対的な阻害を意味する。特定の状況において何が好適な競合のレベルであるかの基準として、より高い相対的な阻害の閾値を設定することが望ましい場合がある。したがって、例えば、競合結合の基準を、抗体が十分に競合的であるとみなされる前に、少なくとも約40%の相対的な阻害が検出されるか、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%の相対的な阻害が検出されるか、または約100%もの相対的な阻害が検出される場合に設定することが可能である。
【0144】
用語「エピトープ」は、本明細書で使用される場合、結合性分子、例えば抗体に結合することが可能な抗原性のタンパク質決定基(例えば、C1sのアミノ酸部分配列)を指す。エピトープは通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面配置からなり、通常、特異的な3次元構造の特徴に加えて、特異的な電荷の特徴を有する。エピトープを認識する抗体または結合性分子の一部は、パラトープと呼ばれる。タンパク質抗原のエピトープは、それらの構造およびパラトープとの相互作用に基づき、2つのカテゴリー、すなわちコンフォメーショナルエピトープとリニアエピトープに分けられる。コンフォメーショナルエピトープは、抗原のアミノ酸配列の不連続なセクションで構成される。これらのエピトープは、抗原の3次元表面の特徴および形状または三次構造に基づき、パラトープと相互作用する。それに対して、リニアエピトープは、それらの一次構造に基づき、パラトープと相互作用する。リニアエピトープは、抗原由来のアミノ酸の連続的な配列によって形成される。
【0145】
用語「CDR」または「相補性決定領域」は、本明細書で使用される場合、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される隣接しない抗原連結部位を意味することが意図される。CDRは、Kabatら、J.Biol.Chem.252:6609~6616頁(1977);Kabatら、U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequences of proteins
of immunological interest」(1991)(本明細書ではKabat 1991とも称される);Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901~917頁(1987)(本明細書ではChothia 1987とも称される);およびMacCallumら、J.Mol.Biol.262:732~745頁(1996)によって説明されており、それにおいて定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基のオーバーラップまたはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体もしくはグラフト化抗体またはそれらのバリアントのCDRに言及するためのいずれかの定義の適用は、本明細書において定義および使用される用語の範囲内であることが意図される。アミノ酸残基は、CDRを含み、上記の引用された参考文献のそれぞれで定義される通り、比較として、以下の表1に記載される。本発明の開示で提供されるCDRを、Kabat
1991に従って定義した。
【0146】
【0147】
用語「CDR-L1」、「CDR-L2」、および「CDR-L3」は、本明細書で使用される場合、それぞれ軽鎖可変領域における第1、第2および第3のCDRを指す。用語「CDR-H1」、「CDR-H2」、および「CDR-H3」は、本明細書で使用される場合、それぞれ重鎖可変領域における第1、第2および第3のCDRを指す。用語「CDR-1」、「CDR-2」、および「CDR-3」は、本明細書で使用される場合、それぞれいずれかの鎖の可変領域の第1、第2および第3のCDRを指す。
【0148】
本明細書で使用される場合、用語「フレームワーク」は、抗体の可変領域に関して使用される場合、抗体の可変領域内におけるCDR領域の外側の全てのアミノ酸残基を意味することが意図される。可変領域のフレームワークは、一般的に、長さが約100~120の間のアミノ酸の不連続のアミノ酸配列であるが、そのうちCDRの外側のアミノ酸のみを指すことが意図される。用語「フレームワーク領域」は、本明細書で使用される場合、CDRによって隔てられたフレームワークの各ドメインを意味することが意図される。
【0149】
「単離された」抗体は、その天然の環境の成分から同定され分離された、および/または回収された抗体である。その天然の環境の汚染成分は、抗体の診断または治療的使用に干渉すると予想される物質であり、そのようなものとして、酵素、ホルモン、および他のタンパク質様または非タンパク性の溶質を挙げることができる。一部の実施形態において、抗体は、(1)ローリー法によって決定される場合、抗体の90重量%より多く、95重量%より多く、または98重量%より多く、例えば99重量%を超えて、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によって、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度に、または(3)クーマシーブルーまたは銀染色を使用した還元または非還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって均一になるように精製されると予想される。単離された抗体としては、抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しなくなれば、組換え細胞内の元の位置にある抗体も挙げられる。一部の場合において、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって製造されると予想される。
【0150】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書では互換的に使用され、あらゆる長さのアミノ酸の多量体型を指し、そのようなものとして、遺伝学的にコードされたおよび非遺伝学的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に改変または誘導されたアミノ酸、ならびに改変されたペプチド骨格を有するポリペプチドを
挙げることができる。この用語は、融合タンパク質、これらに限定されないが、異種アミノ酸配列との融合タンパク質、N末端のメチオニン残基含有または非含有の異種および相同なリーダー配列との融合体;免疫学的にタグ付けされたタンパク質などを含む。
【0151】
用語「同一性」は、本明細書で使用される場合、ポリマー性分子間で、例えばポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子(例えばDNA分子および/またはRNA分子)で全体的にモノマーが保存されていることを指す。いかなる追加の修飾語も付かない「同一の」という用語、例えば、タンパク質Aはタンパク質Bと同一であるということは、配列が100%同一であること(100%の配列同一性)を意味する。2つの配列が、例えば「70%同一の」と記載することは、それらが例えば「70%の配列同一性」を有すると記載することと同じである。
【0152】
2つのポリヌクレオチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を並べることによって実行することができる(例えば、最適なアライメントのために、ギャップを第1および第2の核酸配列の一方または両方に導入してもよいし、比較目的のために同一ではない配列を無視してもよい)。特定の実施形態において、比較目的のために並べられた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置におけるヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じヌクレオチドで占められている場合、その分子は、その位置において同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、それらの配列に共通する同一の位置の数の関数である。配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的なアルゴリズムを使用して達成することができる。DNAとRNAとを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、等価とみなすことができる。
【0153】
好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給源より入手可能であり、タンパク質およびヌクレオチド配列両方のアライメントのためのものである。配列同一性パーセントを決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターのBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)より入手可能な、BLASTプログラムパッケージの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは、核酸配列を比較するのに使用され、一方でBLASTPは、アミノ酸配列を比較するのに使用される。他の好適なプログラムは、例えば、EMBOSSのバイオインフォマティクスプログラムパッケージの一部である、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherでありこれらも欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute;EBI)よりwww.ebi.ac.uk/Tools/psaにおいて入手可能である。
【0154】
配列アライメントは、当分野において公知の方法、例えばMAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal XまたはClustal Omega)、MUSCLEなどを使用して実行することができる。
【0155】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と並べられる単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列中の異なる領域がそれぞれ、それら自身の配列同一性パーセントを有していてもよい。配列同一性パーセント値は、小数点第2位で四捨五入されることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、および80.14は、
80.1に切り下げられ、一方で80.15、80.16、80.17、80.18、および80.19は、80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数になることにも留意されたい。
【0156】
特定の態様において、第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する同一性パーセンテージ(ID)%は、ID%=100×(Y/Z)として計算され、式中Yは、第1および第2の配列のアライメント(目視検査または特定の配列アライメントプログラムによって並べた場合)において同一の対とスコア付けされたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列中の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列より長い場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントより高くなる。
【0157】
当業者は、配列同一性パーセントの計算のための配列アライメントの作成が、一次配列データによってのみ決定される一対の配列-配列の比較に限定されないことを理解しているものと予想される。また、配列アライメントが、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的なタンパク質構造)、機能的データ(例えば、突然変異の配置)、または系統発生学的データなどのヘテロジニアスな供給源からのデータと統合することによって作成できることも理解されるものと予想される。ヘテロジニアスなデータを統合して複数の配列アライメントを作成する好適なプログラムは、T-Coffeeであり、これは、www.tcoffee.orgで入手可能であり、その代わりに例えばEBIからも入手可能である。また、配列同一性パーセントを計算するのに使用される最終的なアライメントは、自動的に、または手動でのいずれかで取りまとめることができることも理解されるものと予想される。
【0158】
用語「処置」、「処置すること」、「処置する」などは、本明細書で使用される場合、所望の薬理学的および/または生理学的作用を得ることを指す。このような作用は、疾患またはその症状を完全または部分的に予防するという観点で予防的であってもよいし、および/または疾患および/またはその疾患に起因し得る有害作用の部分的または完全な治癒という観点で治療的であってもよい。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のあらゆる処置を網羅し、そのようなものとして、(a)疾患に罹患しやすい可能性があるが、まだそれを有すると診断されていない対象において疾患の発生を予防すること;(b)疾患を抑制すること、すなわちその進行を停止させること;(c)疾患を緩和すること、例えば疾患の寛解をもたらすこと;および(d)疾患に関連する症状を緩和または軽減させることが挙げられる。
【0159】
用語「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」は、本明細書では互換的に使用され、哺乳動物、これらに限定されないが、ネズミ科動物(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを指す。またこれらの用語は、補体系を有するあらゆる動物、例えば哺乳動物、魚類、および一部の無脊椎動物も含む。そのようなものとして、これらの用語は、補体系を含む哺乳動物、魚類、および無脊椎動物のコンパニオンアニマル、農耕動物、働く動物、動物園の動物、および実験動物を含む。
【0160】
「治療有効量」、「有効な量」、または「有効量」は、疾患を処置するために哺乳動物または他の対象に投与される場合、このような疾患のための処置を成し遂げるのに十分な抗補体C1s抗体の量を指す。
【0161】
用語「未満」(<)は、参照値未満であるが、参照値に等しくない値を意味する。用語「より大きい」(>)は、参照値より大きいが、参照値に等しくない値を意味する。用語「未満であるかまたはそれに等しい」(≦)は、参照値未満であるかまたはそれに等しい
値を意味する。用語「より大きいかまたはそれに等しい」(≧)は、参照値より大きいかまたはそれに等しい値を意味する。
【0162】
本発明の開示をさらに説明する前に、この開示は、記載された特定の実施形態に限定されず、したがって当然ながら様々であり得ることが理解されるものとする。また、本発明の開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、限定することを意図していないことも理解されるものとする。
【0163】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の、文脈上明らかに別段の指示がない限り下限の単位の10分の1までのその間にある値のそれぞれ、およびその述べられた範囲内の他の全ての述べられたまたはその間にある値が、本開示に含まれることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限を、独立して、そのより小さい範囲に含めることができ、述べられた範囲内における何らかの具体的に除外された上下限がない限り、それらもまた本開示に含まれる。述べられた範囲が上下限の一方または両方を含む場合、そのような範囲に含まれる上下限のいずれかまたは両方を除外した範囲も本開示に含まれる。
【0164】
本発明の開示の実施または試験において、本明細書に記載されたものに類似した、または同等なあらゆる方法および材料を使用することもできるが、ここで好ましい方法および材料を説明する。本明細書で述べられた全ての公報は、それらの公報で引用されているものと共に方法および/または材料を開示および説明するために、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0165】
明確にするために別の実施形態の文脈で説明される本開示の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供できることが理解される。逆に言えば、単一の実施形態の文脈で簡略して説明される本開示の様々な特徴はまた、別々に、またはあらゆる好適なサブコンビネーションで提供することもできる。本開示に関する実施形態の全ての組合せが、具体的に本発明の開示に含まれ、ありとあらゆる組合せが個別かつ明示的に開示されたのと同様に本明細書で開示される。加えて、様々な実施形態およびそれらの要素の全てのサブコンビネーションも具体的に本発明の開示に含まれ、ありとあらゆるこのようなサブコンビネーションが個別かつ明示的に本明細書で開示されたのと同様に本明細書で開示される。
【0166】
本明細書で論じられた公報は、単にそれらが本出願の出願日前に開示されたために提供されたにすぎない。本明細書において、本発明の開示は、先行の開示のためにこのような公報に先行する資格がないことの承認として解釈されないものとする。さらに提供された公報の日付は、独立して確認する必要がある場合がある実際の公開日と異なることがある。
【0167】
詳細な説明
本発明の開示は、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法、およびそれを必要とする個体において補体成分C4の活性化を阻害する方法を提供する。一部の態様において、本方法は、個体に抗C1s抗体を5.5gの固定用量で投与することを含む。一部の態様において、本方法は、個体に抗C1s抗体を約4.0gから約10.0gの間、例えば、約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、または約10gの固定用量で投与することを含む。一部の態様において、本方法は、個体に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗体の血清中濃度は、約20μg/mlから約150μg/mlの間である。
【0168】
抗C1s抗体
本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、以下のヒトC1sのアミノ酸配列のアミノ酸272~422中のコンフォメーショナルエピトープと特異的に結合する:
EPTMYGEILSPNYPQAYPSEVEKSWDIEVPEGYGIHLYFTHLDIELSENCAYDSVQIISGDTEEGRLCGQRSSNNPHSPIVEEFQVPYNKLQVIFKSDFSNEERFTGFAAYYVATDINECTDFVDVPCSHFCNNFIGGYFCSCPPEYFLHDDMKNCGVNCSGDVFTALIGEIASPNYPKPYPENSRCEYQIRLEKGFQVVVTLRREDFDVEAADSAGNCLDSLVFVAGDRQFGPYCGHGFPGPLNIETKSNALDIIFQTDLTGQKKGWKLRYHGDPMPCPKEDTPNSVWEPAKAKYVFRDVVQITCLDGFEVVEGRVGATSFYSTCQSNGKWSNSKLKCQPVDCGIPESIENGKVEDPESTLFGSVIRYTCEEPYYYMENGGGGEYHCAGNGSWVNEVLGPELPKCVPVCGVPREPFEEKQRIIGGSDADIKNFPWQVFFDNPWAGGALINEYWVLTAAHVVEGNREPTMYVGSTSVQTSRLAKSKMLTPEHVFIHPGWKLLEVPEGRTNFDNDIALVRLKDPVKMGPTVSPICLPGTSSDYNLMDGDLGLISGWGRTEKRDRAVRLKAARLPVAPLRKCKEVKVEKPTADAEAYVFTPNMICAGGEKGMDSCKGDSGGAFAVQDPNDKTKFYAAGLVSWGPQCGTYGLYTRVKNYVDWIMKTMQENSTPRED(配列番号9)
【0169】
本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、補体成分C4のC1sが媒介する切断を阻害する。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法での使用に好適な抗C1s抗体は、補体成分C4のC1sが媒介する切断を阻害するが、補体成分C2のC1sが媒介する切断を阻害しない。一部のケースにおいて、抗体は、古典的補体経路の要素を阻害する;一部のケースにおいて、古典的補体経路の要素は、C1sである。一部の場合において、抗体は、C1sのプロテアーゼ活性を阻害しない。
【0170】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、ヒト化されている。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、ヒト化された軽鎖フレームワーク領域を含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、ヒト化された重鎖フレームワーク領域を含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、ヒト化された軽鎖フレームワーク領域およびヒト化された重鎖フレームワーク領域を含む。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、ヒト化されたモノクローナル抗体である。
【0171】
フレームワーク領域のヒト化は、抗体がヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を惹起するリスクを低減する。当分野で認識されている免疫応答を決定する方法を実行して、特定の患者における、または臨床試験中のHAMA応答をモニターすることができる。開始時に、さらに療法の投与中ずっと、ヒト化抗体が投与された患者に、免疫原性の評価を与えることができる。HAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)および/または固相酵素結合免疫吸着測定(ELISA)分析などの当業者公知の方法を使用して、患者からの血清サンプル中のヒト化された治療試薬に対する抗体を検出することによって測定される。多くの場合において、対象のヒト化された抗C1s抗体は、ヒト対象においてHAMA応答を実質的に惹起しない。
【0172】
ヒト可変領域フレームワーク残基からの特定のアミノ酸は、CDRコンフォメーションおよび/または結合抗原へのそれらの可能性のある影響に基づいて、置換のために選択される。ネズミ科動物のCDR領域をヒト可変フレームワーク領域と天然にはない並置にすることにより、天然にはない構造上の拘束をもたらすことができ、特定のアミノ酸残基の置換によって修正されない限り、それにより結合親和性の損失が起こる。
【0173】
置換のためのアミノ酸残基の選択は、コンピューターモデリングによって部分的に決定してもよい。免疫グロブリン分子の3次元画像を制作するためのコンピューターハードウェアおよびソフトウェアは、当分野において公知である。一般的に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそのドメインの解析済みの構造から始めて制作される。モデル化しようとする鎖を、解析済みの3次元構造の鎖またはドメインとアミノ酸配列の類似性に関して比較して、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインを、分子モデル構築のための開始点として選択する。少なくとも50%の配列同一性を有する鎖またはドメインが、モデリングのために選択され、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の配列同一性またはそれより高い配列同一性を有するものが、モデリングのために選択される。解析済みの開始の構造は、モデル化される免疫グロブリン鎖またはドメイン中の実際のアミノ酸と、開始の構造のアミノ酸との差が許容されるように改変される。次いで改変された構造を、複合免疫グロブリンに組み立てる。最終的に、モデルは、エネルギー最小化によって、さらに、全ての原子が互いに適切な距離内にあること、および結合距離と角度が化学的に許容できる限界内であることを検証することによって洗練される。
【0174】
CDRおよびフレームワーク領域は、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National
Institutes of Health, Bethesda、Md.、1987および1991)で定義した通りである。代替の構造的定義は、Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901頁(1987);Nature 342:878頁(1989);およびJ.Mol.Biol.186:651頁(1989)(集合的に「Chothia」と称される)によって提唱されている。上記のKabatで定義した通りのフレームワーク残基が、上記のChothiaで定義した通りの構造的なループ残基を構成する場合、マウス抗体中に存在するアミノ酸が、ヒト化抗体への置換のために選択することができる。「CDR領域に隣接する」残基は、ヒト化された免疫グロブリン鎖の一次配列中のCDRの1つまたはそれ以上に直接隣接した位置にあるアミノ酸残基、例えば、Kabatで定義した通りのCDR、またはChothiaで定義した通りのCDRに直接隣接した位置にあるアミノ酸残基を含む(例えば、ChothiaおよびLesk
JMB 196:901頁(1987)を参照)。これらのアミノ酸は特に、CDR中のアミノ酸と相互作用する可能性が高く、アクセプターから選ばれる場合、ドナーCDRを歪め、親和性を低減する可能性が高い。さらに、隣接するアミノ酸は、抗原と直接的に相互作用することができ(Amitら、Science、233:747頁(1986))、ドナーからこれらのアミノ酸を選択することが、元の抗体において親和性をもたらす全ての抗原の接触を維持するために望ましい場合がある。
【0175】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL中に存在するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域の可変領域(VL)を含む。
配列番号7:
QIVLTQSPAIMSASLGERVTMTCTASSSVSSSYLHWYQQKPGSSPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTFYSLTISSMEAEDDATYYCHQYYRLPPITFGAGTKLELK
【0176】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH中に存在するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域の可変領域(VH)を含む。
配列番号8:
EVMLVESGGALVKPGGSLKLSCAASGFTFSNYAMSWVRQI
PEKRLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNARDTLYLQMSSLRSEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTSVTVSS
【0177】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
配列番号1:SSVSSSYLHWYQ;
配列番号2:STSNLASGVP;
配列番号3:HQYYRLPPIT;
配列番号4:GFTFSNYAMSWV;
配列番号5:ISSGGSHTYY;
配列番号6:ARLFTGYAMDY
【0178】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号12、配列番号13、および配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。配列番号10:TASSSVSSSYLH;
配列番号11:STSNLAS;
配列番号3:HQYYRLPPIT;
配列番号12:NYAMS;
配列番号13:TISSGGSHTYYLDSVKG;
配列番号14:LFTGYAMDY
【0179】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
配列番号15:
QIVLTQSPAILSLSPGERATMSCTASSSVSSSYLHWYQQKPGKAPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYTLTISSLQAEDFATYYCHQYYRLPPITFGQGTKLEIK
【0180】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
配列番号16:
QIVLTQSPATLSLSPGERATMSCTASSSVSSSYLHWYQQKPGKAPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCHQYYRLPPITFGQGTKLEIK
【0181】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域を含む。
配列番号17:
QIVLTQSPATLSLSPGERATLSCTASSSVSSSYLHWYQQKPGKAPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCHQYYRLPPITFGQGTKLEIK
【0182】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号18に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号18:
EVMLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNSKDTLYLQMSSLRAEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTSVTVSS
【0183】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号19:
EVMLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNSKDTLYLQMNSLRAEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTLVTVSS
【0184】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号20:
EVMLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNSKDTLYLQMSSLRAEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTSVTVSS
【0185】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号21に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号21:
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTLVTVSS
【0186】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0187】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0188】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0189】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0190】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0191】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0192】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0193】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0194】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0195】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0196】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0197】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0198】
一部の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、参照抗体と交差競合する抗体である。一実施形態において、参照抗体は:
a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む。
【0199】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL中に存在するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域の可変領域(VL)を含む抗体と交差競合する。
【0200】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH中に存在するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域の可変領域(VH)を含む抗体と交差競合する。
【0201】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む抗体と交差競合する。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
【0202】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号12、配列番号13、および配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む抗体と交差競合する。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
【0203】
他の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、参照抗体と同じエピトープに特異的に結合する抗体である。一実施形態において、参照抗体は:
a)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
d)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
e)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
g)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
h)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
i)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
j)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;
k)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域;または
l)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域
を含む。
【0204】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL中に存在するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域の可変領域(VL)を含む抗体と同じエピトープに特異的に結合する。
【0205】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH中に存在するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域の可変領域(VH)を含む抗体と同じエピトープに特異的に結合する。
【0206】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む抗体と同じエピトープに特異的に結合する。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
【0207】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号12、配列番号13、および配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む抗体と同じエピトープに特異的に結合する。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
【0208】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0209】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に
記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0210】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0211】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号18に記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0212】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0213】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0214】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号21に記載のアミノ酸配列に少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0215】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0216】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0217】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0218】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0219】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0220】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に
記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0221】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0222】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0223】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0224】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0225】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0226】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と交差競合する。
【0227】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL中に存在するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域の可変領域(VL)を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0228】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH中に存在するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域の可変領域(VH)を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0229】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
【0230】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は:a)それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖領域;およびb)それぞれ配列番号12、配列番号13、および配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化されたVHおよび/またはVLフレームワーク領域を含む。
【0231】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0232】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0233】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0234】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号18に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0235】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0236】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0237】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号21に記載のアミノ酸配列に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0238】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領
域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むVL領域;および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVH領域を含む抗体と同じエピトープと結合する。
【0239】
一部の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、BIVV009である。BIVV009は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号23に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。
【0240】
配列番号22 BIVV009の重鎖:
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0241】
配列番号23 BIVV009の軽鎖:
QIVLTQSPATLSLSPGERATMSCTASSSVSSSYLHWYQQKPGKAPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCHQYYRLPPITFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0242】
一部の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、Igモノマー、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、scFv、scAb、dAb、Fv、シングルドメイン重鎖抗体、およびシングルドメイン軽鎖抗体からなる群から選択される。
【0243】
一部のケースにおいて、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、免疫グロブリン
の定常領域(例えば、Fc領域)を含む。Fc領域は、存在する場合、ヒトFc領域または補体系を有するあらゆる動物由来のFc領域であってもよい。一部の実施形態において、Fc領域は、存在する場合、ヒトFc領域である。定常領域が存在する場合、抗体は、軽鎖定常領域と重鎖定常領域の両方を含んでいてもよい。好適な重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含む。本明細書に記載される抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEなどの全てのタイプの定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などのあらゆるアイソタイプを有する抗体を含む。好適な重鎖Fc領域の例は、ヒトアイソタイプIgG1のFcである。好適な重鎖Fc領域の別の例は、ヒトアイソタイプIgG2のFcである。好適な重鎖Fc領域のさらに別の例は、ヒトアイソタイプIgG3のFcである。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであり得る。本発明の開示の方法での使用に好適な抗C1s抗体は、1つより多くのクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含んでいてもよい。抗体は、2つの軽鎖と2つの重鎖とを含む四量体として、別の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvとして、または重鎖および軽鎖可変ドメインがスペーサーを介して連結された単鎖抗体として発現させることができる。
【0244】
一部のケースにおいて、重鎖領域は、アイソタイプIgG4の重鎖領域である。これらの実施形態の一部において、ヒンジ領域は、S241P置換を含む。例えば、Angalら(1993)Mol.Immunol.30:105を参照されたい。これらの実施形態の一部において、ヒンジ領域は、L236E(またはL235E、EUナンバリングを使用;Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Dept. Health and Human Services、Bethesda、MD、NIH出版91~3242)置換を含む。例えば、Reddyら(2000)J.Immunol.164:1925頁;およびKlechevskyら(2010)Blood 116:1685頁を参照されたい。これらの実施形態の一部において、ヒンジ領域は、S241P置換およびL236E置換を含む。
【0245】
他の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号XXに記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号XXに記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。他の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号XXに記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号XXに記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態において、本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、配列番号XXに記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号XXに記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、抗C1s抗体は、BIV
V009の6つのCDRを含む。
【0246】
本発明の開示にとって好適な抗C1s抗体は、実質的に純粋であってもよく、例えば、少なくとも約80%から85%純粋、少なくとも約85%から90%純粋、少なくとも約90%から95%純粋、もしくは98%から99%、またはそれより高度に純粋であってもよく、例えば、例えば死細胞片、抗C1s抗体以外の巨大分子などの汚染物質を含まない。
【0247】
組成物
抗C1s抗体は、一般的に、組成物、例えば医薬組成物で存在する。
【0248】
抗C1s抗体を含む組成物は、塩、例えば、NaCl、MgCl2、KCl、MgSO4など;緩衝剤、例えば、トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;洗浄剤、例えば、非イオン性洗浄剤、例えばTween-20など;プロテアーゼ阻害剤;グリセロールなどの1種またはそれ以上を含んでいてもよい。
【0249】
本発明の開示の方法を行うことにおいて、抗C1s抗体は、所望の治療作用または診断作用をもたらすことが可能なあらゆる便利な手段を使用して個体に投与することができる。したがって、抗C1s抗体は、治療的な投与のための様々な製剤に取り込むことができる。より特に、抗C1s抗体は、適切な薬学的に許容される担体、医薬的に許容される希釈剤、または他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることによって医薬組成物に製剤化してもよいし、固体、半固体、液体またはガス状の形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤およびエアロゾルに製剤化してもよい。一部のケースにおいて、医薬組成物は、抗C1s抗体および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0250】
医薬剤形において、抗C1s抗体は、その薬学的に許容される塩の形態で投与してもよいし、または抗C1s抗体は、単独で、または他の医薬活性を有する化合物と適切に会合させて、同様にそれらと組み合わせて使用することもできる。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、決して限定するものではない。
【0251】
経口調製物の場合、抗C1s抗体は、単独で使用してもよいし、または錠剤、散剤、顆粒剤またはカプセル剤を作製するための適切な添加剤、例えば、従来の添加剤、例えばラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン;結合剤、例えば結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;崩壊薬、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム;潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム;および必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤および矯味矯臭剤と組み合わせて使用してもよい。
【0252】
抗C1s抗体は、注射のための調製物に製剤化することができ、これは、水性または非水性溶媒、例えば、植物性油または他の類似の油、プロピレングリコール、合成脂肪酸グリセリド、注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、より高次の脂肪酸またはプロピレングリコールのエステル中で;必要に応じて、従来の添加剤、例えば可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および保存剤と共に、抗体を溶解させる、懸濁させる、または乳化することによってなすことができる。非経口のビヒクルとしては、塩化ナト
リウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または不揮発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、液体および栄養補充液、電解質補充液(例えばリンゲルデキストロースをベースとするもの)などが挙げられる。さらに、本発明の開示の医薬組成物は、医薬組成物の意図した使用に応じて、ドーパミンまたは精神薬理学的な薬物などのさらなる薬剤を含んでいてもよい。
【0253】
抗C1s抗体を含む医薬組成物は、所望の純度を有する対象の抗体を、任意選択の生理学的に許容される担体、他の賦形剤、安定剤、界面活性剤、緩衝液および/または等張化剤と混合することによって製造される。許容できる担体、他の賦形剤および/または安定剤は、採用される投薬量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、そのようなものとしては、緩衝液、例えばリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、および他の有機酸緩衝液;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニンおよびクエン酸;保存剤(例えばエタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルもしくはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、またはそれらの組合せ);アミノ酸、例えばアルギニン、グリシン、オルニチン、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリンおよびそれらの組合せ;単糖、二糖および他の炭水化物;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えばゼラチンもしくは血清アルブミン;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばトレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸;ならびに/または非イオン界面活性剤、例えばTween、Brij、Pluronic、Triton-X、もしくはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0254】
医薬組成物は、液体の形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成された液体の形態であってもよく、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液で再構成されることになる。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的手順は、所定体積(典型的には凍結乾燥中に除去された体積に等しい体積)の純水を添加して戻すことである;しかしながら、非経口投与のための医薬組成物を生産するために、抗菌剤を含む溶液を使用することができる;Chen(1992)Drug Dev Ind Pharm 18、1311~54頁も参照されたい。
【0255】
本発明の開示の方法での使用に好適な医薬組成物中の例示的な抗体濃度は、約1mg/mLから約200mg/mL、または約50mg/mLから約200mg/mL、または約150mg/mLから約200mg/mLの範囲であってもよい。一部の態様において、抗体濃度は、約10mg/mLから約60mg/mL、約12mg/mLから約58mg/mL、約14mg/mLから約56mg/mL、約16mg/mLから約54mg/mL、約17mg/mLから約52mg/mL、または約18mg/mLから約50mg/mLである。一部の態様において、抗体濃度は、18mg/mLである。一部の態様において、抗体濃度は、50mg/mLである。
【0256】
抗C1s抗体の水性製剤は、pH緩衝液中で、例えば、約4.0から約7.0、または約5.0から約6.0の範囲、または代替として約5.5のpHで製造することができる。この範囲内のpHに好適な緩衝液の例としては、リン酸、ヒスチジン、クエン酸、コハク酸、酢酸緩衝液および他の有機酸緩衝液が挙げられる。緩衝液の濃度は、例えば緩衝液や製剤の所望の張度に応じて、約1mMから約100mM、または約5mMから約50mMであってもよい。
【0257】
製剤の張度をモジュレートするために、等張化剤を抗体製剤中に含めることができる。
例示的な等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびアミノ酸、糖の群からのあらゆる要素、加えてそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態において、水性製剤は等張であるが、高張または低張溶液も好適な場合がある。用語「等張」は、生理食塩水または血清などの、比較される何らかの他の溶液と同じ張度を有する溶液を意味する。等張化剤は、約5mMから約350mMの量で、例えば100mMから350nMの量で使用することができる。
【0258】
界面活性剤も、製剤化された抗体の凝集を低減するために、および/または製剤中の微粒子の形成を最小化するために、および/または吸着を低減するために抗体製剤に添加することができる。例示的な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好適なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート20(商標Tween20(商標)で販売)およびポリソルベート80(商標TWEEN80(商標)で販売)である。好適なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーの例は、名称PLURONIC(登録商標)F68またはPOLOXAMER188(商標)で販売されるものである。好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、商標BRIJ(商標)で販売されるものである。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%から約1%w/vの範囲であってもよい。
【0259】
凍結乾燥プロセス中の不安定化条件から不安定な活性成分(例えばタンパク質)を保護するために、凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)を添加することもできる。例えば、公知の凍結乾燥保護剤としては、糖(グルコースおよびスクロースなど);ポリオール(マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールなど);およびアミノ酸(アラニン、グリシンおよびグルタミン酸など)が挙げられる。凍結乾燥保護剤は、約10mMから500nMの量で含まれる。
【0260】
一部のケースにおいて、好適な製剤は、抗C1s抗体、および上記で特定された薬剤(例えば、界面活性剤、緩衝液、安定剤、等張化剤)の1つまたはそれ以上を含み、本質的に、1種またはそれ以上の保存剤、例えばエタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、およびそれらの組合せを含まない。他の実施形態において、保存剤は、製剤中に、例えば約0.001から約2%(w/v)の範囲の濃度で含まれる。
【0261】
例えば、好適な製剤は、非経口投与に好適な液体または凍結乾燥製剤であってもよく:約1mg/mLから約200mg/mLの対象の抗体;約0.001%から約1%の少なくとも1種の界面活性剤;約1mMから約100mMの緩衝液;場合により約10mMから約500mMの安定剤;および約5mMから約305mMの等張化剤を含んでいてもよく;約4.0から約7.0のpHを有する。
【0262】
別の例として、好適な非経口製剤は、約1mg/mLから約200mg/mLの抗C1s抗体;0.04%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含む液体または凍結乾燥製剤であり:5.5のpHを有する。
【0263】
別の例として、対象の非経口製剤は、1)15mg/mLの抗C1s抗体;0.04%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;5.5のpHを有する凍結乾燥製剤;または2)75mg/mLの対象の抗体;0.04%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;5.5のpHを有する凍結乾燥製剤;または3)75mg/mLの抗C1
s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;5.5のpHを有する凍結乾燥製剤;または4)75mg/mLの抗C1s抗体;0.04%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;5.5のpHを有する凍結乾燥製剤;または5)75mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;5.5のpHを有する凍結乾燥製剤を含む。
【0264】
別の例として、好適な非経口製剤は、1)7.5mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;120mMのL-ヒスチジン;および125mMのスクロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または2)37.5mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;10mMのL-ヒスチジン;および125mMのスクロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または3)37.5mg/mLの抗C1s抗体;0.01%のTween20w/v;10mMのL-ヒスチジン;および125mMのスクロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または4)37.5mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;10mMのL-ヒスチジン;125mMのトレハロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または5)37.5mg/mLの抗C1s抗体;0.01%のTween20w/v;10mMのL-ヒスチジン;および125mMのトレハロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または6)5mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または7)75mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMマンニトールを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または8)75mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および140mMの塩化ナトリウムを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または9)150mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または10)150mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのマンニトールを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または11)150mg/mLの抗C1s抗体;0.02%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および140mMの塩化ナトリウムを含み;5.5のpHを有する液体製剤;または12)10mg/mLの抗C1s抗体;0.01%のTween20w/v;20mMのL-ヒスチジン;および40mMの塩化ナトリウムを含み;5.5のpHを有する液体製剤である。
【0265】
好適な賦形剤であるビヒクルは、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組合せである。加えて、必要に応じて、ビヒクルは、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤のような少量の補助剤を含んでいてもよい。このような剤形を製造する実際の方法は公知であるか、または当業者にとって明らかであると予想される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、第17版、1985を参照されたい。投与される組成物または製剤は、いずれの場合においても、処置されている対象において所望の状況を達成するのに適当な量の対象の抗体を含むと予想される。
【0266】
薬学的に許容される賦形剤、例えばビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤は、一般に容易に利用可能である。さらに、薬学的に許容される補助剤、例えばpH調整剤および緩衝剤、張度調節剤、安定剤、湿潤剤などは、一般に容易に利用可能である。
【0267】
投薬量
本発明の開示は、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、少なくとも4g、少なくとも4.5g、少なくとも5g、少なくとも5.5g、少なくとも6g、少なくとも6.5g、少なくとも7g、少なくとも7.5g、少なくとも8g、少なくとも8.5g、少なくとも9g、少なくとも9.5g、または少なくとも10gの有効量で投与される、方法を提供する。
【0268】
一部の態様において、抗C1s抗体は、約5.5gから約10gの間、約5.5gから約9.5gの間、約5.5gから約9gの間、約5.5gから約8.5gの間、約5.5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約5.5gから約7gの間、約5.5gから約6.5gの間、または約5.5gから約6gの間の有効量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約4.5gから約8.5gの間、約4.5gから約8gの間、約4.5gから約7.5gの間、約4.5gから約7gの間、約4.5gから約6.5gの間、約4.5gから約6gの間、約4.5gから約5.5gの間、または約4.5gから約5gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約7.5gから約12gの間、約7.5gから約11.5gの間、約7.5gから約11gの間、約7.5gから約10.5gの間、約7.5gから約10gの間、約7.5gから約9.5gの間、約7.5gから約9gの間、約7.5gから約8.5gの間、または約7.5gから約8gの間の量で投与される。
【0269】
一態様において、本発明の開示は、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、5.5gの量で投与される、方法を提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の5.5gの用量は、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は:a)1日目に、抗C1s抗体5.5gを投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体5.5gを投与すること;およびc)8日目の投与後に隔週で、抗C1s抗体5.5gを投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の5.5gの用量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の5.5gの用量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。例えば、一部のケースにおいて、抗C1s抗体の5.5gの用量は、1年から50年、例えば、1年から2年、2年から5年、5年から10年、10年から20年、20年から30年、30年から40年、または40年から50年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0270】
一部の態様において、本発明の方法に関する個体の体重は、75kg以上であり、抗C1s抗体は、約7.5gの有効量で投与される。他の態様において、本発明の方法に関する個体の体重は、75kg以下であり、抗C1s抗体は、約6.5gの有効量で投与される。
【0271】
別の態様において、本発明の開示はまた、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、約6.5gの有効量で投与される、方法も提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量は、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の約6.5gの有効量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の約6.5gの有効量を投与すること;およびc)8日目の投与後に隔週で、抗C1s抗体の約6.5gの有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。例えば、一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6
.5gの有効量は、1年から50年、例えば、1年から2年、2年から5年、5年から10年、10年から20年、20年から30年、30年から40年、または40年から50年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0272】
別の態様において、本発明の開示はまた、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、約7.5gの有効量で投与される、方法も提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の約7.5gの有効量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の約7.5gの有効量を投与すること;およびc)8日目の投与後に隔週で、抗C1s抗体の約7.5gの有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。例えば、一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、1年から50年、例えば、1年から2年、2年から5年、5年から10年、10年から20年、20年から30年、30年から40年、または40年から50年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0273】
他の態様において、本発明の開示は、個体における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、約6.5gから約7.5gの間の有効量で投与される、方法を提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gから約7.5gの間の有効量は、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は、0日目および7日目に、次いでその後は隔週で、抗C1s抗体の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gから7.5gの間の有効量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gから7.5gの間の有効量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0274】
本発明の開示は、それを必要とする対象における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、投与後の抗C1s抗体の血清濃度は、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約55μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約65μg/mL、少なくとも約70μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約85μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約95μg/mL、または少なくとも約100μg/mLである、方法も提供する。本開示の一部の態様において、投与後の抗C1s抗体の血清中濃度は、約20μg/mLから約100μg/mLの間、約20μg/mLから約90μg/mLの間、約20μg/mLから約80μg/mLの間、約20μg/mLから約70μg/mLの間、約20μg/mLから約70μg/mLの間、約20μg/mLから約60μg/mLの間、約20μg/mLから約50μg/mLの間、約20μg/mLから約40μg/mLの間、または約20μg/mLから約30μg/mLの間である。特定の実施形態において、投与後の抗C1s抗体の血清中濃度は、少なくとも約20μg/mLである。
【0275】
対象における抗C1s抗体の血清中濃度は、当分野において公知の技術を使用して測定することができる。一部の態様において、抗C1s抗体は、直接結合酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して測定される。一部の態様において、抗C1s抗体は、間接
ELISAを使用して測定される。一部の態様において、抗C1s抗体は、サンドイッチELISAを使用して測定される。一部の態様において、抗C1s抗体は、競合ELISAを使用して測定される。
【0276】
本発明の開示は、それを必要とする対象における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、または少なくとも約100mg/kgである、方法を提供する。具体的な実施形態において、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約60mg/kgである。
【0277】
一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約60mg/kgから約100mg/kgの間、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約45mg/kgから約85mg/kgの間、約45mg/kgから約80mg/kgの間、約45mg/kgから約75mg/kgの間、約45mg/kgから約70mg/kgの間、約45mg/kgから約65mg/kgの間、約45mg/kgから約60mg/kgの間、または約45mg/kgから約50mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約85mg/kgから約150mg/kgの間、約85mg/kgから約145mg/kgの間、約85mg/kgから約140mg/kgの間、約85mg/kgから約135mg/kgの間、約85mg/kgから約130mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約120mg/kgの間、約85mg/kgから約115mg/kgの間、約85mg/kgから約110mg/kgの間、約85mg/kgから約105mg/kgの間、約85mg/kgから約100mg/kgの間、約85mg/kgから約95mg/kgの間、または約85mg/kgから約90mg/kgの間である。
【0278】
一部の態様において、本発明の方法に関する有効量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。
【0279】
本発明の開示は、それを必要とする対象における補体が媒介する疾患または障害を処置する方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗C1s抗体は、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日の投与間隔で投与される、方法を提供する。
【0280】
一部の態様において、抗C1s抗体は、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、または4ヶ月の投与間隔で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体の投与の後、抗C1s抗体は、対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる。
【0281】
一部の態様において、抗C1s抗体は、1回またはそれ以上の負荷用量で投与され、それに続き投与間隔を空けて投与される。負荷用量は、約7日間空けて、約14日間空けて、約21日間空けて、約28日間空けて、約2ヶ月間空けて、約3ヶ月間空けて、または約4ヶ月間空けて投与することができる。一部の態様において、本発明の開示に関する負荷用量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。一部の態様において、負荷用量は、投与間隔を空けて投与される用量と異なる投薬量である。一部の態様において、負荷用量は、投与間隔を空けて投与される用量と同じ投薬量である。一態様において、抗C1s抗体は、60mg/kgの負荷用量で週1回を2回投与され、それに続き隔週で60mg/kgの用量で投与される。
【0282】
本発明の開示は、それを必要とする対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含む、方法を提供する。一部の態様において、抗C1s抗体は、投与後に、対象の血液中の網状赤血球の数を、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加させる。
【0283】
一部の態様において、抗C1s抗体は、対象の血液中の網状赤血球の数を、投与から、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内、約10日以内、約11日以内、約12日以内、約13日以内、約14日以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内、または約12週間以内に増加させる。
【0284】
本発明の開示は、それを必要とする対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、または少なくとも約100mg/kgである、方法を提供する。
【0285】
一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約60mg/kgから約100mg/kg、約60mg/kgから約95mg/kg、約60mg/kgから約90mg/kg、約60mg/kgから約85mg/kg、約60mg/kgから約80mg/kg、約
60mg/kgから約75mg/kg、約60mg/kgから約70mg/kg、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約45mg/kgから約85mg/kg、約45mg/kgから約80mg/kg、約45mg/kgから約75mg/kg、約45mg/kgから約70mg/kg、約45mg/kgから約65mg/kg、約45mg/kgから約60mg/kg、または約45mg/kgから約50mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約85mg/kgから約150mg/kg、約85mg/kgから約145mg/kg、約85mg/kgから約140mg/kg、約85mg/kgから約135mg/kg、約85mg/kgから約130mg/kg、約85mg/kgから約125mg/kg、約85mg/kgから約125mg/kg、約85mg/kgから約120mg/kg、約85mg/kgから約115mg/kg、約85mg/kgから約110mg/kg、約85mg/kgから約105mg/kg、約85mg/kgから約100mg/kg、約85mg/kgから約95mg/kg、または約85mg/kgから約90mg/kgの間である。
【0286】
一部の態様において、本発明の方法に関する有効量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。
【0287】
また本発明の開示は、それを必要とする対象の血液中の網状赤血球の数を増加させる方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、少なくとも約4g、少なくとも約4.5g、少なくとも約5g、少なくとも約5.5g、少なくとも約6g、少なくとも約6.5g、少なくとも約7g、少なくとも約7.5g、少なくとも約8g、少なくとも約8.5g、少なくとも約9g、少なくとも約9.5g、または少なくとも約10gの量で投与される、方法も提供する。
【0288】
一部の態様において、抗C1s抗体は、約5.5gから約10g、約5.5gから約9.5g、約5.5gから約9g、約5.5gから約8.5g、約5.5gから約8g、約5.5gから約7.5g、約5.5gから約7g、約5.5gから約6.5g、または約5.5gから約6gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約4.5gから約8.5g、約4.5gから約8g、約4.5gから約7.5g、約4.5gから約7g、約4.5gから約6.5g約4.5gから約6g、約4.5gから約5.5g、または約4.5gから約5gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約7.5gから約12g、約7.5gから約11.5g、約7.5gから約11g、約7.5gから約10.5g、約7.5gから約10g、約7.5gから約9.5g、約7.5gから約9g、約7.5gから約8.5g、または約7.5gから約8gの間の量で投与される。
【0289】
本発明の開示は、それを必要とする対象におけるヘモグロビンのレベルを増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含む、方法を提供する。一部の態様において、抗C1s抗体は、投与後に、対象におけるヘモグロビンのレベルを、少なくとも1.0g/dL、1.1g/dL、1.2g/dL、1.3g/dL、1.4g/dL、1.5g/dL、1.6g/dL、1.7g/dL、1.8g/dL、1.9g/dL、2.0g/dL、2.1g/dL、2.2g/dL、2.3g/dL、2.4g/dL、2.5g/dL、2.6g/dL、2.7g/dL、2.8g/dL、2.9g/dL、3.0g/dL、3.1g/dL、3.2g/dL、3.3g/dL、3.4g
/dL、3.5g/dL、3.6g/dL、3.7g/dL、3.8g/dL、3.9g/dL、4.0g/dL、4.1g/dL、4.2g/dL、4.3g/dL、4.4g/dL、または4.5g/dLに増加させる。
【0290】
一部の態様において、抗C1s抗体は、投与後に、対象におけるヘモグロビンの総レベルを、少なくとも10.0g/dL、少なくとも10.1g/dL、少なくとも10.2g/dL、少なくとも10.3g/dL、少なくとも10.4g/dL、少なくとも10.5g/dL、少なくとも10.6g/dL、少なくとも10.7g/dL、少なくとも10.8g/dL、少なくとも10.9g/dL、少なくとも11.0g/dL、少なくとも11.1g/dL、少なくとも11.2g/dL、少なくとも11.3g/dL、少なくとも11.4g/dL、少なくとも11.5g/dL、少なくとも11.6g/dL、少なくとも11.7g/dL、少なくとも11.8g/dL、少なくとも11.9g/dL、少なくとも12.0g/dL、少なくとも12.1g/dL、少なくとも12.2g/dL、少なくとも12.3g/dL、少なくとも12.4g/dL、少なくとも12.5g/dL、少なくとも12.6g/dL、少なくとも12.7g/dL、少なくとも12.8g/dL、少なくとも12.9g/dL、少なくとも13.0g/dL、少なくとも13.1g/dL、少なくとも13.2g/dL、少なくとも13.3g/dL、少なくとも13.4g/dL、少なくとも13.5g/dL、少なくとも13.6g/dL、少なくとも13.7g/dL、少なくとも13.8g/dL、少なくとも13.9g/dL、少なくとも14.0g/dL、少なくとも14.1g/dL、少なくとも14.2g/dL、少なくとも14.3g/dL、少なくとも14.4g/dL、少なくとも14.5g/dL、少なくとも14.6g/dL、少なくとも14.7g/dL、少なくとも14.8g/dL、少なくとも14.9g/dL、少なくとも15.0g/dL、少なくとも15.1g/dL、少なくとも15.2g/dL、少なくとも15.3g/dL、少なくとも15.4g/dL、少なくとも15.5g/dL、少なくとも15.6g/dL、少なくとも15.7g/dL、少なくとも15.8g/dL、少なくとも15.9g/dL、少なくとも16.0g/dL、少なくとも16.1g/dL、少なくとも16.2g/dL、少なくとも16.3g/dL、少なくとも16.4g/dL、少なくとも16.5g/dL、少なくとも16.6g/dL、少なくとも16.7g/dL、少なくとも16.8g/dL、少なくとも16.9g/dL、少なくとも17.0g/dL、少なくとも17.1g/dL、少なくとも17.2g/dL、少なくとも17.3g/dL、少なくとも17.4g/dL、少なくとも17.5g/dL、少なくとも17.6g/dL、少なくとも17.7g/dL、少なくとも17.8g/dL、少なくとも17.9g/dL、または少なくとも18.0g/dLに増加させる。
【0291】
一部の態様において、抗C1s抗体は、対象におけるヘモグロビンのレベルを、投与から、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内、約10日以内、約11日以内、約12日以内、約13日以内、約14日以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内、または約12週間以内に増加させる。
【0292】
特定の態様において、本発明の開示は、それを必要とする対象における、例えば血液中のヘモグロビンのレベルを増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、対象における、例えば血液中のヘモグロビンのレベルは、投与から7日以内に少なくとも1.6g/dL増加する、方法を提供する。別の態様において、対象に
おけるヘモグロビンのレベルは、投与から6週間以内に3.9g/dLまで増加する。
【0293】
本発明の開示は、それを必要とする対象におけるヘモグロビンのレベルを増加させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、または少なくとも約100mg/kgである、方法を提供する。
【0294】
一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約60mg/kgから約100mg/kgの間、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約45mg/kgから約85mg/kgの間、約45mg/kgから約80mg/kgの間、約45mg/kgから約75mg/kgの間、約45mg/kgから約70mg/kgの間、約45mg/kgから約65mg/kgの間、約45mg/kgから約60mg/kgの間、または約45mg/kgから約50mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約85mg/kgから約150mg/kgの間、約85mg/kgから約145mg/kgの間、約85mg/kgから約140mg/kgの間、約85mg/kgから約135mg/kgの間、約85mg/kgから約130mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約120mg/kgの間、約85mg/kgから約115mg/kgの間、約85mg/kgから約110mg/kgの間、約85mg/kgから約105mg/kgの間、約85mg/kgから約100mg/kgの間、約85mg/kgから約95mg/kgの間、または約85mg/kgから約90mg/kgの間である。
【0295】
一部の態様において、有効量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。
【0296】
また本発明の開示は、それを必要とする対象におけるヘモグロビンのレベルを増加させる方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、少なくとも4g、少なくとも4.5g、少なくとも5g、少なくとも5.5g、少なくとも6g、少なくとも6.5g、少なくとも7g、少なくとも7.5g、少なくとも8g、少なくとも8.5g、少なくとも9g、少なくとも9.5g、または少なくとも10gの量で投与される、方法も提供する。
【0297】
一部の態様において、抗C1s抗体は、約5.5gから約10gの間、約5.5gから約9.5gの間、約5.5gから約9gの間、約5.5gから約8.5gの間、約5.5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約5.5gから約7gの間、約5.5gから約6.5gの間、または約5.5gから約6gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約4.5gから約8.5gの間、約4.5gから約8gの間、約4.5gから約7.5gの間、約4.5gから約7gの間、約4.5gから約6.5gの間、約4.5gから約6gの間、約4.5gから約5.5gの間、または約4.5
gから約5gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約7.5gから約12の間、約7.5gから約11.5gの間、約7.5gから約11gの間、約7.5gから約10.5gの間、約7.5gから約10gの間、約7.5gから約9.5gの間、約7.5gから約9gの間、約7.5gから約8.5gの間、または約7.5gから約8gの間の量で投与される。
【0298】
本発明の開示は、それを必要とする対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを減少させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含む、方法を提供する。一部の態様において、抗C1s抗体は、対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを、投与前の対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる。
【0299】
一部の態様において、抗C1s抗体は、対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを、投与から、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内、約10日以内、約11日以内、約12日以内、約13日以内、約14日以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内、または約12週間以内に減少させる。
【0300】
本発明の開示は、それを必要とする対象の投与においてC3d陽性赤血球のパーセンテージを減少させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、または少なくとも約100mg/kgである、方法を提供する。
【0301】
一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約60mg/kgから約100mg/kg、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約45mg/kgから約85mg/kgの間、約45mg/kgから約80mg/kgの間、約45mg/kgから約75mg/kgの間、約45mg/kgから約70mg/kgの間、約45mg/kgから約65mg/kgの間、約45mg/kgから約60mg/kgの間、または約45mg/kgから約50mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約85mg/kgから約150mg/kgの間、約85mg/kgから約145mg/kgの間、約85mg/kgから約140mg/kgの間、約85mg/kgから約135mg/kgの間、約85mg/kgから約130mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約12
0mg/kgの間、約85mg/kgから約115mg/kgの間、約85mg/kgから約110mg/kgの間、約85mg/kgから約105mg/kgの間、約85mg/kgから約100mg/kgの間、約85mg/kgから約95mg/kgの間、または約85mg/kgから約90mg/kgの間である。
【0302】
一部の態様において、有効量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。
【0303】
また本発明の開示は、それを必要とする対象の血液中のC3d陽性赤血球のパーセンテージを減少させる方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、少なくとも約4g、少なくとも約4.5g、少なくとも約5g、少なくとも約5.5g、少なくとも約6g、少なくとも約6.5g、少なくとも約7g、少なくとも約7.5g、少なくとも約8g、少なくとも約8.5g、少なくとも約9g、少なくとも約9.5g、または少なくとも約10gの量で投与される、方法も提供する。
【0304】
一部の態様において、抗C1s抗体は、約5.5gから約10gの間、約5.5gから約9.5gの間、約5.5gから約9gの間、約5.5gから約8.5gの間、約5.5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約5.5gから約7gの間、約5.5gから約6.5gの間、または約5.5gから約6gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約4.5gから約8.5gの間、約4.5gから約8gの間、約4.5gから約7.5gの間、約4.5gから約7gの間、約4.5gから約6.5gの間、約4.5gから約6gの間、約4.5gから約5.5gの間、または約4.5gから約5gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約7.5gから約12gの間、約7.5gから約11.5gの間、約7.5gから約11gの間、約7.5gから約10.5gの間、約7.5gから約10gの間、約7.5gから約9.5gの間、約7.5gから約9gの間、約7.5gから約8.5gの間、または約7.5gから約8gの間の量で投与される。
【0305】
本発明の開示は、それを必要とする対象における、例えば血液中のビリルビンのレベルを減少させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含む、方法を提供する。一部の態様において、抗C1s抗体は、対象におけるビリルビンのレベルを、2.5mg/dL未満、2.4mg/dL未満、2.3mg/dL未満、2.2mg/dL未満、2.1mg/dL未満、2.0mg/dL未満、1.9mg/dL未満、1.8mg/dL未満、1.7mg/dL未満、1.6mg/dL未満、1.5mg/dL未満、1.4mg/dL未満、1.3mg/dL未満、1.2mg/dL未満、1.1mg/dL未満、1.0mg/dL未満、0.9mg/dL未満、0.8mg/dL未満、0.7mg/dL未満、0.6mg/dL未満、0.5mg/dL未満、0.4mg/dL未満、0.3mg/dL未満、0.2mg/dL未満、または0.1mg/dL未満になるように減少させる。
【0306】
一部の態様において、抗C1s抗体は、対象における、例えば血液中のビリルビンのレベルを、投与から、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約1日以内、約2日以内、約3日
以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内、約10日以内、約11日以内、約12日以内、約13日以内、約14日以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内、または約12週間以内に減少させる。
【0307】
本発明の開示は、それを必要とする対象における、例えば血液中のビリルビンのレベルを減少させる方法であって、対象に抗C1s抗体の有効量を投与することを含み、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、または少なくとも約100mg/kgである、方法を提供する。
【0308】
一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約60mg/kgから約100mg/kgの間、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約45mg/kgから約85mg/kgの間、約45mg/kgから約80mg/kgの間、約45mg/kgから約75mg/kgの間、約45mg/kgから約70mg/kgの間、約45mg/kgから約65mg/kgの間、約45mg/kgから約60mg/kgの間、または約45mg/kgから約50mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約85mg/kgから約150mg/kgの間、約85mg/kgから約145mg/kgの間、約85mg/kgから約140mg/kgの間、約85mg/kgから約135mg/kgの間、約85mg/kgから約130mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約120mg/kgの間、約85mg/kgから約115mg/kgの間、約85mg/kgから約110mg/kgの間、約85mg/kgから約105mg/kgの間、約85mg/kgから約100mg/kgの間、約85mg/kgから約95mg/kgの間、または約85mg/kgから約90mg/kgの間である。
【0309】
一部の態様において、本発明の方法に関する有効量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。
【0310】
また本発明の開示は、それを必要とする対象における、例えば血液中のビリルビンのレベルを減少させる方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、少なくとも約4g、少なくとも約4.5g、少なくとも約5g、少なくとも約5.5g、少なくとも約6g、少なくとも約6.5g、少なくとも約7g、少なくとも約7.5g、少なくとも約8g、少なくとも約8.5g、少なくとも約9g、少なくとも約9.5g、または少なくとも約10gの有効量で投与される、方法も提供する。
【0311】
一部の態様において、抗C1s抗体は、約5.5gから約10gの間、約5.5gから約9.5gの間、約5.5gから約9gの間、約5.5gから約8.5gの間、約5.5
gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約5.5gから約7gの間、約5.5gから約6.5gの間、または約5.5gから約6gの間の有効量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約4.5gから約8.5gの間、約4.5gから約8gの間、約4.5gから約7.5gの間、約4.5gから約7gの間、約4.5gから約6.5gの間、約4.5gから約6gの間、約4.5gから約5.5gの間、または約4.5gから約5gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約7.5gから約12gの間、約7.5gから約11.5gの間、約7.5gから約11gの間、約7.5gから約10.5gの間、約7.5gから約10gの間、約7.5gから約9.5gの間、約7.5gから約9gの間、約7.5gから約8.5gの間、または約7.5gから約8gの間の量で投与される。
【0312】
本発明の開示は、個体における補体成分C4の切断を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、約5.5gの有効量で投与される、方法を提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約5.5gの有効量は、2週に1回、個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の約5.5gの有効量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の約5.5gの有効量を投与すること;およびc)8日目の投与後に隔週で、抗C1s抗体の約5.5gの有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約5.5gの有効量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約5.5gの有効量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。例えば、一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約5.5gの有効量は、1年から50年、例えば、1年から2年、2年から5年、5年から10年、10年から20年、20年から30年、30年から40年、または40年から50年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0313】
本発明の開示は、個体における補体成分C4の切断を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、約6.5gの有効量で投与される、方法を提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量の用量は、2週に1回、個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の約6.5gの有効量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の約6.5gの有効量を投与すること;およびc)8日目の投与後に隔週で、抗C1s抗体の約6.5gの有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。例えば、一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約6.5gの有効量は、1年から50年、例えば、1年から2年、2年から5年、5年から10年、10年から20年、20年から30年、30年から40年、または40年から50年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0314】
本発明の開示は、個体における補体成分C4の切断を阻害する方法であって、個体に抗C1s抗体を投与することを含み、抗C1s抗体は、約7.5gの有効量で投与される、方法を提供する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、2週に1回、個体に投与される。一部のケースにおいて、本方法は:a)1日目に、抗C1s抗体の約7.5gの有効量を投与すること;b)8日目に、抗C1s抗体の約7.5gの有効量を投与すること;およびc)8日目の投与後に隔週で、抗C1s抗体の約7.5gの有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、約4週間から1年、例えば、約4週間から約8週間、約2ヶ月から約6ヶ月、または約6ヶ月から1年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。一部のケースにおいて、
抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、1年より長い期間にわたり、隔週で個体に投与される。例えば、一部のケースにおいて、抗C1s抗体の約7.5gの有効量は、1年から50年、例えば、1年から2年、2年から5年、5年から10年、10年から20年、20年から30年、30年から40年、または40年から50年の期間にわたり、隔週で個体に投与される。
【0315】
投与経路
抗C1s抗体は、インビボおよびエクスビボの方法、加えて全身および局所投与経路などの、薬物送達に好適なあらゆる利用可能な方法および経路を使用して個体に投与される。
【0316】
従来のおよび薬学的に許容される投与経路としては、鼻腔内、筋肉内、気管内、髄腔内、頭蓋内、皮下、皮内、外用、静脈内、腹膜内、動脈内(例えば、頸動脈を介した)、脊髄または脳への送達、直腸、鼻、経口、および他の経腸および非経口の投与経路が挙げられる。投与経路は、必要に応じて組み合わせてもよいし、または抗体および/または所望の作用に応じて調整してもよい。抗C1s抗体組成物は、単回用量で、または複数回用量で投与することができる。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、経口投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、皮下投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、筋肉内投与される。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、静脈内投与される。
【0317】
抗C1s抗体は、全身または局所経路などの従来の薬物の送達に好適なあらゆる利用可能な従来の方法および経路を使用して宿主に投与することができる。一般的に、本開示によって予期される投与経路としては、必ずしもこれらに限定されないが、経腸、非経口、または吸入による経路が挙げられる。
【0318】
吸入投与以外の非経口投与経路としては、必ずしもこれらに限定されないが、外用、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、および静脈内経路、すなわち消化管を介する経路以外のあらゆる投与経路が挙げられる。非経口投与は、対象の抗体の全身または局所送達が達成されるように行うことができる。全身送達が望ましい場合、投与は、典型的には医薬調製物の、侵襲性または全身吸収性の外用または粘膜投与を含む。
【0319】
「処置」は、少なくとも、宿主を苦しめる病的状態に関連する症状の緩和を意味し、この場合、緩和は、広義で使用され、パラメーターの規模、例えば処置中の病的状態、例えば補体が媒介する疾患または障害に関連する症状を少なくとも低減することを指す。そのようなものとして、処置はまた、宿主がもはや病的状態、または少なくとも病的状態に特徴的な症状に罹っていない状態になるように、病的状態、または少なくともそれに関連する症状を完全に抑制する、例えば発生を予防する、または止める、例えば終わらせる状況も含む。
【0320】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、注射および/または送達によって、例えば脳動脈中の部位に投与されるか、または脳組織に直接投与される。抗C1s抗体は、標的部位に直接投与することもでき、例えば遺伝子銃送達によって標的部位に投与することもできる。
【0321】
様々な宿主(ここで用語「宿主」は、本明細書では用語「対象」、「個体」、および「患者」と互換的に使用される)が、本発明に従って処置可能である。一般的に、このような宿主は、「哺乳動物」または「哺乳類」であり、この場合、これらの用語は、一般的に、哺乳綱に含まれる生物、例えば、肉食目(例えば、ネコ)、草食動物(例えば、ウシ、
ウマ、およびヒツジ)、雑食動物(例えば、イヌ、ヤギ、およびブタ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)などを記載するのに使用される。一部の実施形態において、宿主は、補体系を有する個体、例えば哺乳動物、魚類、または無脊椎動物である。一部のケースにおいて、宿主は、補体系を含む哺乳動物、魚類、または無脊椎動物のコンパニオンアニマル、農耕動物、働く動物、動物園の動物、または実験動物である。一部のケースにおいて、個体は、ヒトである。
【0322】
補体が媒介する疾患および障害
一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、C1sの上昇した(正常より高い)量または補体C1s活性の上昇したレベルが細胞、組織または体液中に存在することを特徴とする。例えば、一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、脳組織および/または髄液中にC1sの上昇した量および/または上昇した活性が存在することを特徴とする。細胞、組織または体液中のC1sの「正常より高い」量は、細胞、組織または体液中のC1sの量が、正常な対照レベルより高い、例えば、同じ年齢グループの個体または個体の集団の正常な対照レベルより高いことを示す。細胞、組織または体液中のC1s活性の「正常より高い」レベルは、細胞、組織または体液中のC1sによって実行されるタンパク質分解による切断が、正常な対照レベルより高い、例えば、同じ年齢グループの個体または個体の集団の正常な対照レベルより高いことを示す。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害を有する個体は、このような疾患または障害の1種またはそれ以上の追加の症状を呈示する。
【0323】
他のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、正常な量より低いC1sまたはより低い補体C1s活性のレベルが細胞、組織または体液中に存在することを特徴とする。例えば、一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、脳組織および/または髄液中にC1sのより低い量および/またはより低い活性が存在することを特徴とする。細胞、組織または体液中のC1sの「正常より低い」量は、細胞、組織または体液中のC1sの量が、正常な対照レベルより低い、例えば、同じ年齢グループの個体または個体の集団の正常な対照レベルより低いことを示す。細胞、組織または体液中のC1s活性の「正常より低い」レベルは、細胞、組織または体液中のC1sによって実行されるタンパク質分解による切断が、正常な対照レベルより低い、例えば、同じ年齢グループの個体または個体の集団の正常な対照レベルより低いことを示す。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害を有する個体は、このような疾患または障害の1種またはそれ以上の追加の症状を呈示する。
【0324】
補体が媒介する疾患または障害は、補体C1sの量または活性が個体において疾患または障害を引き起こす原因である疾患または障害である。一部の実施形態において、補体が媒介する疾患または障害は、自己免疫疾患、がん、血液病、感染症、炎症性疾患、虚血再灌流傷害、神経変性疾患、神経変性障害、眼疾患、腎疾患、移植による拒絶反応、血管疾患、および血管炎疾患からなる群から選択される。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、自己免疫疾患である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、がんである。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、感染症である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、炎症性疾患である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、血液病である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、虚血再灌流傷害である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、眼疾患である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、腎疾患である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、移植による拒絶反応である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、抗体媒介性の移植による拒絶反応である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、血管疾患である。一部のケースにおいて、補体が媒介
する疾患または障害は、血管炎障害である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、神経変性疾患または障害である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患は、神経変性疾患である。一部のケースにおいて、補体が媒介する障害は、神経変性障害である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、タウオパシーである。
【0325】
補体が媒介する疾患または障害の例としては、これらに限定されないが、加齢性黄斑変性症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば、リウマチ様関節炎)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患、バラケル-サイモンズ症候群、ベーチェット病、英国型アミロイド血管症、水疱性類天疱瘡、バーガー病、C1q腎症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、がん、劇症型抗リン脂質症候群、脳アミロイド血管症、寒冷凝集素症(原発性寒冷凝集素症および続発性寒冷凝集素症を含む)、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト-ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血症性血管炎、ボクサー認知症、レヴィ小体型認知症(DLB)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、円板状紅斑性狼瘡、ダウン症候群、巣状分節性糸球体硬化症、正式な思考障害、前頭側頭認知症(FTD)、17番染色体に連鎖する前頭側頭型認知症パーキンソニズム、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン-ストロイスラー-シャインカー病、ギラン-バレー症候群、ハラーフォルデン-シュパッツ病、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管浮腫、ハイポホスファスタシス(hypophosphastasis)、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、感染症(例えば、細菌(例えば、髄膜炎菌または連鎖球菌属)によって引き起こされる疾患、ウイルスによって引き起こされる疾患(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、または他の感染因子によって引き起こされる疾患)、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知機能障害、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、モリブデン補因子欠乏症(MoCD)A型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II型(デンスデポジット病)、膜性腎炎、多発梗塞性認知症、狼瘡(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、粘膜類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋緊張性ジストロフィー、視神経脊髄炎、ニーマンピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソン症候群、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、進行性皮質下神経膠症、進行性核上麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素産生性大腸菌(Shiga-toxin E coli:STEC)-HuS、脊髄性筋萎縮症、卒中、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化優位型認知症、移植による拒絶反応、血管炎(例えば、ANCA関連血管炎)、ウェーグナー肉芽腫症、鎌状赤血球症、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、特発性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、薬剤起因性血小板減少症、ループス腎炎、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群、偽水晶体性水疱性角膜症、および血小板不応が挙げられる。
【0326】
一部のケースにおいて、本発明の方法は、それを必要とする対象における原発性CAgDの処置であって、約6.5gから約7.5gの間、例えば、体重75kg未満の対象の場合、約6.5gの有効量、体重が75kgより重い対象の場合、7.5gの有効量の抗C1s抗体、例えばBIVV009を投与することを含む、処置を含む。一部の実施形態において、本発明の方法は、貧血の重症度、輸血歴、またはこれまでの処置の経験に関連する使用に限定されない。一部の実施形態において、投与前におけるREMSの要件はない;重篤な感染のリスクを低減するために、処置開始前に地域ガイドラインに従って、患者に接種させる。一部の実施形態において、用量は、0日目、7日目、その後、21日目から開始して14日±2日毎に、静脈内注入として1時間かけて投与される。静脈内注入
は、診療施設または自宅の環境内で行うことができる。処置の結果として、抗C1s抗体は、貧血および関連する臨床症状を改善する、輸血をなくす、溶血、作用の迅速な発生を予防する、疲労および生活の質を改善することができ、および/またはそれらのあらゆる組合せであり得る。他の実施形態において、処置は、薬物関連の重篤なまたは重度の有害事象がないこと;有害事象による中断がないこと、重篤な感染がないこと;REMSの要件がないこと、最も頻繁に報告された有害事象がプラセボと類似していたこと、またはそれらのあらゆる組合せを示す。他の実施形態において、抗C1s抗体は、処置の結果として、慢性溶血を予防し、結果として貧血の改善、輸血をなくすこと、生活の質の改善、および最終的に生命を脅かす血栓塞栓性の事象、病的状態および死亡のリスク低減、ならびに医療施設利用の低減が起こる。
【0327】
一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、水疱性類天疱瘡である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、臓器移植の抗体媒介性の拒絶反応である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、寒冷凝集素症である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、温式自己免疫性溶血性貧血である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、抗体媒介性の移植による拒絶反応である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、免疫性血小板減少性紫斑病である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、視神経脊髄炎である。
【0328】
一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、多巣性運動ニューロパチー(MMN)である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、重症筋無力症である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーである。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、ループス腎炎である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、粘膜類天疱瘡である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、瘢痕性類天疱瘡である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、眼類天疱瘡である。一部のケースにおいて、補体が媒介する疾患または障害は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)関連血管炎である。
【0329】
他の実施形態において、補体が媒介する疾患または障害は、自己抗体が媒介する末梢性ニューロパチー、例えば、これらに限定されないが、ギラン-バレー症候群、重症筋無力症、急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、急性運動性軸索型ニューロパチー(AMAN)、急性運動感覚性軸索型ニューロパチー(AMSAN)、咽頭頸部上腕型ミラーフィッシャー症候群、またはそれらのあらゆる組合せなどである。一部の実施形態において、補体が媒介する疾患または障害は、ギラン-バレー症候群であり、これは、足手から始まり腕と上半身に広がる迅速に発生する筋力低下として現れる。ギラン-バレー症候群は、急性期中、呼吸不全が起こる可能性があり、他の自律神経系の機能(例えば心拍数)も影響を受ける可能性があるため、死に至る可能性がある。全ケースの約7.5%が致死性である。発生率:1~2/100,000。
【0330】
他の実施形態において、補体が媒介する疾患または障害は、重症筋無力症であり、これは、衰弱、疲労を現し、身体活動期間中に次第に悪化するが、一般的には眼の衰弱から始まり;手足の衰弱および基礎的な生命機能(咀嚼、嚥下、呼吸)の実行における衰弱を特徴とするより重度の形態に進行する。筋無力症クリーゼでは、呼吸麻痺が起こり、生命を維持するのに補助換気が必要になる。
【0331】
他の実施形態において、補体が媒介する疾患または障害は、多巣性運動ニューロパチー(MMN)であり、これは、下部神経系の炎症性自己免疫疾患である。MMNは、純粋な
運動性ニューロパチーであり、その平均発病年齢は40歳である。MMNは緩徐進行性、非対称の遠位四肢の衰弱;しばしば尺骨、正中、橈骨または脛骨神経に影響を及ぼす伝導ブロック(CB);および/または筋肉の萎縮を特徴とする。他の臨床的な特徴としては、筋痙攣、線維束性収縮、および低温条件における衰弱の増加が挙げられる。GM1特異的IgM抗体は、全患者のほぼ半分の血清中に存在し、その力価は、それらのインビトロにおける補体活性化能力および疾患の重症度と互いに関係がある。静脈内免疫グロブリン(IVIg)は、MMNにおいて効果的である。それにもかかわらず、患者はなお、慢性IVIg療法で完全に予防できない緩徐進行性の軸索変性および筋力低下を被る。
【0332】
他の実施形態において、処置に有用な補体が媒介する疾患または障害は、視神経脊髄炎(NMO)である。NMOは、補体を活性化し、星状細胞を致死させ、視神経および脊髄を有髄化する希突起膠細胞の死をもたらす抗アクアポリン-4IgG自己抗体(NMO-IgG)によって引き起こされる。発作の後、視力の喪失および麻痺が起こる。
【0333】
他の実施形態において、処置に有用な補体が媒介する疾患または障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)である。全身性エリテマトーデス(SLE)は、先進国の人口の0.04%に影響を与える自己免疫疾患である。SLEは、補体が主要な役割を果たす体の廃棄物除去システムにおける障害の結果として生じると考えられる。ヒトにおいて、C1複合体に加えてC2およびC4における補体タンパク質の先天的な欠乏が、SLE発症のリスク増加と関連する。しかしながら、SLEを有する患者の相当数が、C1qおよび古典的経路の他の要素の枯渇:例えば、RBCへの補体沈着および/または罹患した組織におけるC1q沈着を伴う低補体血症を発症する。
【0334】
他の実施形態において、処置に有用な補体が媒介する疾患または障害は、ループス腎炎(LN)である。LNは、SLEにおける腎臓の症状発現であって、これは、患者の25~50%で起こり、罹患率および死亡率の主要な原因である。C1q抗体は、腎臓の関与と密接に関連しており、高頻度で急性増悪の前兆であり、急性増悪中に存在する。活性LNは、C1q Abの非存在下でほとんど観察されない。複数の研究から、C1q Abの力価および血清C1qとの負の相関、およびLNを有する患者の糸球体におけるC1q沈着との正の相関が示されている。
【0335】
一部の実施形態において、処置に有用な補体が媒介する疾患または障害は、膜性増殖性糸球体腎炎(I型)(混合型クリオグロブリン血症)である。混合型クリオグロブリン血症は、免疫複合体(IC)によって媒介される全身性血管炎である。これは、慢性感染の状況で最もよく見られる(MCのケースの80%がHCVである)。臨床的に、クリオグロブリン血症それ自体は、衰弱および関節痛のような症状、ならびに一様ではない皮膚および内臓器官の病変を呈する。一部の患者はステロイドで炎症がうまく抑制されるが、循環中のクリオグロブリンを除去するための追加の血漿分離交換法と、新しいクリオグロブリン形成を阻害するための免疫抑制処置を要することが多い。
【0336】
一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、水疱性類天疱瘡を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、臓器移植の抗体媒介性の拒絶反応を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、寒冷凝集素症を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、温式自己免疫性溶血性貧血を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、免疫性血小板減少性紫斑病を有する対象に、抗C1s抗体、例え
ばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、視神経脊髄炎を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。
【0337】
一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、多巣性運動ニューロパチー(MMN)を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、重症筋無力症を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーを有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、ループス腎炎を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、粘膜類天疱瘡を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、瘢痕性類天疱瘡を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、眼類天疱瘡を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。一部のケースにおいて、本発明の開示の方法は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)関連血管炎を有する対象に、抗C1s抗体、例えばBIVV009の約6.5gから約7.5gの間の有効量を投与することを含む。
【0338】
一部の実施形態において、本発明の開示の抗C1s抗体を投与することは:(a)補体活性化の低減;(b)認知機能の改善;(c)ニューロン損失における低減;(d)ニューロンにおけるホスホタウレベルの低減;(e)グリア細胞活性化の低減;(f)リンパ球浸潤の低減;(g)マクロファージ浸潤の低減;(h)抗体沈着の低減;(i)グリア細胞損失の低減;(j)希突起膠細胞損失の低減;(k)樹状細胞浸潤の低減;(l)好中球浸潤の低減;(m)赤血球溶解の低減;(n)赤血球貪食の低減;(o)血小板貪食の低減;(p)血小板溶解の低減;(q)移植グラフトの生存の改善;(r)マクロファージが媒介する貪食の低減;(s)視力の改善;(t)運動制御の改善;(u)血栓形成の低減;(x)抗体が媒介する補体活性化の低減;(y)自己抗体が媒介する補体活性化の低減;(z)貧血の改善;(aa)髄鞘脱落の低減;(ab)好酸球増加の低減;(ac)赤血球上へのC3沈着の低減(例えば、RBC上へのC3b、iC3bなどの沈着の低減);および(ad)血小板上へのC3沈着の低減(例えば、血小板上へのC3b、iC3bなどの沈着の低減);および(ae)アナフィラトキシン毒素産生の低減;(af)自己抗体が媒介する水疱形成の低減;(ag)自己抗体によって誘発されたそう痒の低減;(ah)自己抗体によって誘発されたエリテマトーデスの低減;(ai)自己抗体が媒介する皮膚びらんの低減;(aj)輸血反応による赤血球破壊の低減;(ak)同種異系抗体による赤血球溶解の低減;(al)輸血反応による溶血の低減;(am)同種異系抗体が媒介する血小板溶解の低減;(an)輸血反応による血小板溶解の低減;(ao)肥満細胞活性化の低減;(ap)肥満細胞のヒスタミン放出の低減;(aq)血管透過性の低減;(ar)浮腫の低減;(as)移植グラフトの内皮上への補体沈着の低減;(at)移植グラフトの内皮におけるアナフィラトキシン生成の低減;(au)真皮と上皮との接合部の分離の低減;(av)真皮と上皮との接合部におけるアナフィラトキシン生成の低減;(aw)移植グラフトの内皮における同種異系抗体が媒介する補体活性化の低減;(ax)抗体が媒介する神経筋接合部の損失の低減;(ay)神経筋接合部における補体活性化の低減;(az)神経筋接合部におけるアナフィラトキシン生成の低減;(ba)神経筋接合部における補体沈着の低減;(bb)麻痺の低減;(bc)無感覚の低減;
(bd)膀胱制御の増加;(be)腸制御の増加;(bf)自己抗体に関連する死亡率の低減;(bg)自己抗体に関連する罹患率の低減;ならびに(bh)伝導ブロックの低減からなる群から選択される転帰をもたらす。
【0339】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、少なくとも100μg/mlの抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、少なくとも100μg/mlの抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、少なくとも100μg/mlの抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持するのに効果的である。
【0340】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、補体古典的経路(CP)を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害するのに十分である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、CPを、90%阻害するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、補体古典的経路(CP)を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、CPを、90%阻害するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、補体古典的経路(CP)を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、CPを、90%阻害するのに効果的である。
【0341】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、以下の転帰:(a)補体活性化;(b)認知機能の低下;(c)ニューロン損失;(d)ニューロンにおけるホスホタウレベル;(e)グリア細胞活性化;(f)リンパ球浸潤;(g)マクロファージ浸潤;(h)抗体沈着;(i)グリア細胞損失;(j)希突起膠細胞損失;(k)樹状細胞浸潤;(l)好中球浸潤;(m)赤血球溶解;(n)赤血球貪食;(o)血小板貪食;(p)血小板溶解;(q)移植片拒絶反応;(r)マクロファージが媒介する貪食;(s)視力喪失;(t)抗体が媒介する補体活性化;(u)自己抗体が媒介する補体活性化;(v)髄鞘脱落;(w)好酸球増加;(x)水疱形成;(y)そう痒;(z)皮膚発疹;(ab)皮膚びらん;(ac)点状出血;(ad)出血時間;(ae)伝導ブロックの1つまたはそれ以上の、抗
C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きな低減を達成するのに効果的である。
【0342】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、以下の転帰:(a)補体活性化;(b)認知機能の低下;(c)ニューロン損失;(d)ニューロンにおけるホスホタウレベル;(e)グリア細胞活性化;(f)リンパ球浸潤;(g)マクロファージ浸潤;(h)抗体沈着;(i)グリア細胞損失;(j)希突起膠細胞損失;(k)樹状細胞浸潤;(l)好中球浸潤;(m)赤血球溶解;(n)赤血球貪食;(o)血小板貪食;(p)血小板溶解;(q)移植片拒絶反応;(r)マクロファージが媒介する貪食;(s)視力喪失;(t)抗体が媒介する補体活性化;(u)自己抗体が媒介する補体活性化;(v)髄鞘脱落;(w)好酸球増加;(x)水疱形成;(y)そう痒;(z)皮膚発疹;(ab)皮膚びらん;(ac)点状出血;(ad)出血時間;(ae)伝導ブロックの1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きな低減を達成するのに効果的である。
【0343】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、以下の転帰:(a)補体活性化;(b)認知機能の低下;(c)ニューロン損失;(d)ニューロンにおけるホスホタウレベル;(e)グリア細胞活性化;(f)リンパ球浸潤;(g)マクロファージ浸潤;(h)抗体沈着;(i)グリア細胞損失;(j)希突起膠細胞損失;(k)樹状細胞浸潤;(l)好中球浸潤;(m)赤血球溶解;(n)赤血球貪食;(o)血小板貪食;(p)血小板溶解;(q)移植片拒絶反応;(r)マクロファージが媒介する貪食;(s)視力喪失;(t)抗体が媒介する補体活性化;(u)自己抗体が媒介する補体活性化;(v)髄鞘脱落;(w)好酸球増加;(x)水疱形成;(y)そう痒;(z)皮膚発疹;(ab)皮膚びらん;(ac)点状出血;(ad)出血時間;(ae)伝導ブロックの1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きな低減を達成するのに効果的である。
【0344】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、以下の転帰:a)認知機能;b)移植グラフトの生存;c)視力;d)運動制御;e)血栓形成(血栓形成の低減);f)凝固(凝固の低減);g)腎臓の機能;h)ヘマトクリット(赤血球数);i)心因性掻痒;j)水疱形成;k)皮膚発疹;l)点状出血;m)血小板数;n)出血時間;o)伝導ブロック;およびp)炎症(炎症の低減)の1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80
%、少なくとも約90%、または90%より多くの改善を達成するのに効果的である。
【0345】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、以下の転帰:a)認知機能;b)移植グラフトの生存;c)視力;d)運動制御;e)血栓形成(血栓形成の低減);f)凝固(凝固の低減);g)腎臓の機能;h)ヘマトクリット(赤血球数);i)心因性掻痒;j)水疱形成;k)皮膚発疹;l)点状出血;m)血小板数;n)出血時間;o)伝導ブロック;およびp)炎症(炎症の低減)の1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多くの改善を達成するのに効果的である。
【0346】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、以下の転帰:a)認知機能;b)移植グラフトの生存;c)視力;d)運動制御;e)血栓形成(血栓形成の低減);f)凝固(凝固の低減);g)腎臓の機能;h)ヘマトクリット(赤血球数);i)心因性掻痒;j)水疱形成;k)皮膚発疹;l)点状出血;m)血小板数;n)出血時間;o)伝導ブロック;およびp)炎症(炎症の低減)の1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多くの改善を達成するのに効果的である。
【0347】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、個体における補体活性化を、抗C1s抗体で処置する前の個体における補体活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きく低減するのに効果的である。
【0348】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、個体における補体活性化を、抗C1s抗体で処置する前の個体における補体活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きく低減するのに効果的である。
【0349】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、個体における補体活性化を、抗C1s抗体で処置する前の個体における補体活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きく低減するのに効果的である。
【0350】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、個体における補体成分C4の切断を、抗C1s抗体で処置する前の個体におけるC4の切断のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多く阻害するのに効果的である。
【0351】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、個体における補体成分C4の切断を、抗C1s抗体で処置する前の個体におけるC4の切断のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多く阻害するのに効果的である。
【0352】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、個体における補体成分C4の切断を、抗C1s抗体で処置する前の個体におけるC4の切断のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多く阻害するのに効果的である。
【0353】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、有効量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約55μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約65μg/mL、少なくとも約70μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約85μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約95μg/mL、または少なくとも約100μg/mLの抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持するのに効果的である。
【0354】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、有効量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持して、補体古典的経路(CP)を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害する。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、5.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、CPを、90%阻害するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、6.5gの用量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、CPを、90%阻害するのに効果的である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、7.5gの用量で投与される場合、さらに、単
独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、CPを、90%阻害するのに効果的である。
【0355】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、有効量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持して、以下の転帰:(a)補体活性化;(b)認知機能の低下;(c)ニューロン損失;(d)ニューロンにおけるホスホタウレベル;(e)グリア細胞活性化;(f)リンパ球浸潤;(g)マクロファージ浸潤;(h)抗体沈着;(i)グリア細胞損失;(j)希突起膠細胞損失;(k)樹状細胞浸潤;(l)好中球浸潤;(m)赤血球溶解;(n)赤血球貪食;(o)血小板貪食;(p)血小板溶解;(q)移植片拒絶反応;(r)マクロファージが媒介する貪食;(s)視力喪失;(t)抗体が媒介する補体活性化;(u)自己抗体が媒介する補体活性化;(v)髄鞘脱落;(w)好酸球増加;(x)水疱形成;(y)そう痒;(z)皮膚発疹;(ab)皮膚びらん;(ac)点状出血;(ad)出血時間;(ae)伝導ブロックの1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きな低減を達成する。
【0356】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、有効量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持して、以下の転帰:a)認知機能;b)移植グラフトの生存;c)視力;d)運動制御;e)血栓形成(血栓形成の低減);f)凝固(凝固の低減);g)腎臓の機能;h)ヘマトクリット(赤血球数);i)心因性掻痒;j)水疱形成;k)皮膚発疹;l)点状出血;m)血小板数;n)出血時間;o)伝導ブロック;およびp)炎症(炎症の低減)の1つまたはそれ以上の、抗C1s抗体で処置する前の個体における転帰のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多くの改善を達成する。
【0357】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、有効量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持して、個体における補体活性化を、抗C1s抗体で処置する前の個体における補体活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より大きく低減する。
【0358】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、補体が媒介する疾患または障害を有する個体に、有効量で投与される場合、さらに、単独療法として、または併用療法で1回またはそれ以上の用量で投与される場合、抗C1s抗体の血清中濃度を達成し、維持して、個体における補体成分C4の切断を、抗C1s抗体で処置する前の個体におけるC4の切断のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%より多く阻害する。
【0359】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体の有効量は、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、または少なくとも約100mg/kgである。
【0360】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体の有効量は、約60mg/kgから約100mg/kgの間、約60mg/kgから約95mg/kgの間、約60mg/kgから約90mg/kgの間、約60mg/kgから約85mg/kgの間、約60mg/kgから約80mg/kgの間、約60mg/kgから約75mg/kgの間、約60mg/kgから約70mg/kgの間、または約60mg/kgから約65mg/kgの間である。一部の態様において、抗C1s抗体の有効量は、約45mg/kgから約85mg/kgの間、約45mg/kgから約80mg/kgの間、約45mg/kgから約75mg/kgの間、約45mg/kgから約70mg/kgの間、約45mg/kgから約65mg/kgの間、約45mg/kgから約60mg/kgの間、または約45mg/kgから約50mg/kgの間である。一部のケースにおいて、抗C1s抗体の有効量は、約85mg/kgから約150mg/kgの間、約85mg/kgから約145mg/kgの間、約85mg/kgから約140mg/kgの間、約85mg/kgから約135mg/kgの間、約85mg/kgから約130mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約125mg/kgの間、約85mg/kgから約120mg/kgの間、約85mg/kgから約115mg/kgの間、約85mg/kgから約110mg/kgの間、約85mg/kgから約105mg/kgの間、約85mg/kgから約100mg/kgの間、約85mg/kgから約95mg/kgの間、または約85mg/kgから約90mg/kgの間である。
【0361】
一部のケースにおいて、有効量は、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約115mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、または約150mg/kgである。
【0362】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、少なくとも4g、少なくとも4.5g、少なくとも5g、少なくとも5.5g、少なくとも6g、少なくとも6.5g、少なくとも7g、少なくとも7.5g、少なくとも8g、少なくとも8.5g、少なくとも9g、少なくとも9.5g、または少なくとも10gの有効量で投与される。
【0363】
一部のケースにおいて、抗C1s抗体は、約5.5gから約10gの間、約5.5gから約9.5gの間、約5.5gから約9gの間、約5.5gから約8.5gの間、約5.5gから約8gの間、約5.5gから約7.5gの間、約5.5gから約7gの間、約5.5gから約6.5gの間、または約5.5gから約6gの間の有効量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約4.5gから約8.5gの間、約4.5gから約8gの間、約4.5gから約7.5gの間、約4.5gから約7gの間、約4.5gから約6.5gの間、約4.5gから約6gの間、約4.5gから約5.5gの間、または約4.5gから約5gの間の量で投与される。一部の態様において、抗C1s抗体は、約7.5gから約12gの間、約7.5gから約11.5gの間、約7.5gから約11gの間、約7.5gから約10.5gの間、約7.5gから約10gの間、約7.5gから約9.5gの間、約7.5gから約9gの間、約7.5gから約8.5gの間、または約7.5gから約8gの間の量で投与される。
【0364】
本発明の開示をここで詳細に説明したが、本発明は、以下の実施例への言及によってより明確に理解されると予想され、これらは単に例示のために本明細書に含まれ、本開示を限定することを意図しない。
【実施例0365】
輸血依存性の原発性寒冷凝集素症患者において溶血を迅速に止め、重度の貧血を治す抗C1s抗体
この実施例は、寒冷凝集素症を有する患者のための臨床上の利益を提供するヒト化された抗C1s抗体であるBIVV009(TNT009としても公知)を提供する。この実施例は、BIVV009が、寒冷凝集素症患者において迅速に溶血を止め、正常なヘモグロビンレベルを回復させることができるという臨床的なエビデンスを提供する。
【0366】
方法:
研究の設計:試験プロトコールおよびその改正は、国内所轄官庁およびウィーン医科大学の倫理委員会によって承認され、この試験は、ClinicalTrials.gov(NCT02502903)およびEUDRACT(EUDRA-CT2014-003881-26)に登録されている。これは、健康な志願者におけるランダム化プラセボ対照設定(第1a相)、加えて共通の基礎的な病態生理学、すなわち抗体が媒介する補体活性化を有する4つの異なる疾患における前向き非盲検試験設計(第1b相)で、BIVV009の単回および複数用量漸増(MAD)を研究した、統合されたプロトコール設計を使用したヒト初回投与試験である。この実施例は、寒冷凝集素症に罹った患者グループ(2016年1月から12月まで処置された)におけるBIVV009の観察された効能データに焦点を当てており、指定された患者プログラム下で薬物に再曝露したときのこれらの発見の確認によって増補される。
【0367】
患者:組み入れ基準は、年齢18歳以上、被包性病原菌(髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae))に対するワクチンの接種歴があるかまたはワクチン接種を受ける意思があること;インフォームドコンセントを理解し実行できること;協力することができる、および先に行われた登録の3ヶ月以内における寒冷凝集素症の診断の確認(寒冷凝集素力価>1:32)を含んでいた。除外基準は、活動性感染または前月以内のその病歴;寒冷凝集素症以外の自己免疫障害;他の公知の補体が媒介する障害;公知の悪性腫瘍(局所的に限定された、以前に外科除去した皮膚の基底細胞癌、研究中の補体が媒介する疾患と因果関係のないリンパ増殖性障害などを除く);臨床的に有意な肝胆汁性障害;輸血過敏症の病歴;他の治療用タンパク質に対するアレルギーまたはアナフィラキシー反応;物質乱用;精神疾患;避妊を行っていない妊娠可能年齢の女性;処置開始前の30日以内における他の実験薬物との併用療法または何らかの治験薬を用いる別の臨床試験への参加、および体重>98kgであった。
【0368】
処置:BIVV009は、欧州連合と米国でオーファンドラッグ指定を受けたヒト化された抗C1s IgG4モノクローナル抗体である。患者はスクリーニング検査を受け、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、および肺炎連鎖球菌に対するワクチン接種後の最短14日に薬物輸注の開始が可能であった。Austrian Agency for Health and Food Safety (AGES)による要請に応じて、1回目の輸注における予期せぬ有害作用のケースにおいて、BIVV009の最初の10mg/kg静脈内(IV)「試験」用量を輸注した。1日から4日後、患者は、十分な60mg/kg用量、それに続いて週1回の間隔で3回の追加の60mg/kgの輸注を受けた。患者を医師による一定の観察下に置き、1時間の輸注中のパルスオキシメトリーおよび規則的
な血圧の読み取りでモニターした。患者は、合計49~53日間にわたりプロトコールに従った。
【0369】
実験室分析:全ての実験パラメーターを、ウィーン医科大学の中央実験室において完全に自動化された方式で測定した。技術者は加えて、顕微鏡による鑑別血球計算を実行した。37℃の予め温めた真空採血管に新しく静脈穿刺することによって全てのサンプルを収集し、予め温めたスチールのブロック中で中央実験室に輸送した。一部の場合において、採血後に、二次転帰パラメーターの正確な測定を妨げる強い凝集およびエクスビボにおける溶血が起こった。直接抗グロブリン試験(DAT)を、LISS/Coombs Gelcards(Bio-Rad GmbH、Vienna、Austria)を用いて分析した。C1sがコーティングされたプレートを使用して遊離のBIVV009を捕獲し、ヤギ抗ヒトHRPコンジュゲート二次抗体を使用して検出し、比色基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)で発色させた直接結合ELISAを使用して、血清BIVV009レベルを決定した。補体系古典的経路WIESLAB(登録商標)(WL CP)、エクスビボの古典的経路によって媒介される膜侵襲複合体の沈着を検出するELISAを使用して、血清サンプル中のBIVV009の薬力学的活性を評価した(Euro-Diagnostica、Malmo、Sweden)。患者の赤血球上のC3dを検出するためのフローサイトメトリーを、Shiら、Blood、123(26):4015~22頁(2014)で説明された通りに実行した。
図2A~2Cに、処置前に測定された実験パラメーターおよび処置中の最大の変化の要約を示す。
【0370】
統計的分析:CAD患者におけるこのパイロット試験に関して、効果サイズとそのばらつきを推測するための以前のデータが入手可能でなかったため、サンプルサイズの計算は実行しなかった。ヘモグロビンレベルは、症状、循環の不安定を決定し、輸血の主要な開始要因であるため、CAD患者における目的とする主要転帰の可変値は、ヘモグロビンレベルである。ヘモグロビンの変化は、95%信頼区間として表される。37℃に予熱したサンプリングチューブを使用しても、強いエクスビボにおける赤血球凝集によって、網状赤血球数、乳酸デヒドロゲナーゼおよびDATに関して測定できない値が生じることもあった。しかしながら、それによるデータ損失はなかった。臨床応答を、ヘモグロビンの2g/dL以上の増加と定義した。推測統計的検定は計画しなかったが、時間経過についてはフリードマンのANOVAを使用し、ベースラインと最大との個体作用の差についてはウィルコクソン検定を使用した。DAT、ビリルビン、網状赤血球数、ハプトグロビン、乳酸デヒドロゲナーゼ、総補体活性(CH50)およびC4などの他のマーカーは、独立していない二次転帰パラメーターである。データは、中央値および範囲を使用して記述的に要約される。値がアッセイの検出限界未満のケースにおいて、検出限界の値から1を引いた値をグラフに割り当てた(例えば、ハプトグロビン<12mg/dLの代わりに、ハプトグロビン=11;同様に、1:2048を、寒冷凝集素力価>1:1024に割り当てた)。因果関係に関する信頼性のレベルを増加させ、平均への回帰を除外するために、本発明者らは、薬物をウォッシュアウトしたときの作用の逆転(すなわち貧血および溶血の再発)、およびその再攻撃したときの繰り返しを研究した。この概念は、Clinical Trials in Small Populationsのガイドライン(CHMP/EWP/83561/2005)から適合させたものであり、処置中から処置後までに多期のクロスオーバー期間を有する一連の非ランダム化n-of-1試験の代表例である。処置後期間の持続時間は、主として、処置の中断後の溶血および重度の貧血の再発により維持し、期間と期間との間の不必要な輸血を同時に回避した。
【0371】
結果:
研究集団:
図1に、患者の特徴を示す。13人の患者をスクリーニングした;鉄欠乏性貧血および不活性な寒冷凝集素症、負の寒冷凝集素力価、または>11g/dLのHbレベルのために、3人の女性を除外した。10人の患者は、イギリスからの3人、およびカ
ナダ/スペインからの1人(8人がコーカソイド、1人がスペイン人、1人がインド人)であり、これらの患者を最終的に組み入れた。罹患期間の中央値は5年(範囲:1~12年間)であった。3人の患者は、ステロイドの中程度の用量(10~25mg/日)を与えながら試験を受け、この用量は、第1の試験日に10mg未満のプレドニゾロンに低減し、BIVV009の第1週以内に漸減し中断することができた。
【0372】
薬物動態および薬力学:健康な志願者に実行された研究の単回の用量漸増の部分から、BIVV009は、およそ100μg/mLより低い濃度で直線的ではない消失を経ることが実証された;この挙動は、他のモノクローナル抗体でも頻繁に観察され、標的が媒介する消失プロセスが関与することを示唆する。血清の古典的経路活性のエクスビボでの読み出し(WL CP ELISA、方法を参照)を使用して、本発明者らは、血清BIVV009濃度と血清古典的経路活性との関係を評価することができた。NHV対象におけるモデリングに基づき、古典的経路活性のノックダウンに関して急勾配の濃度-作用関係が観察され、およそ20μg/mLのBIVV009濃度で最大作用(古典的経路活性の90%超の阻害)に到達した(
図3A)。NHV(それぞれ2073μg/mLおよび234612μg
*時間/mL)およびCAD患者(それぞれ1885μg/mLおよび209996μg
*時間/mL)における、60mg/kgの用量で週1回を4回施した後の平均C
maxおよびAUCの結果によって実証された通り、BIVV009の薬物動態は、疾患のステータスに関係なく類似している。CAD患者の平均BIVV009濃度-時間プロファイルからわかるように(
図3B)、BIVV009濃度は、60mg/kgの用量で週1回を4回施した患者において、20μg/mLのレベルを十分に超えたままであり、この薬力学的な閾値に近づき始めるのは最後の用量から672時間(28日)後からのみであることから、この用量レジメンは、臨床作用の閾値を超える長時間作用性の補体阻害を維持するのに十分であることが示される。
【0373】
WL CP ELISAを使用して観察された結果と一致して、血清古典的経路活性の尺度であるCH50は、BIVV009投与の24時間以内に、前処置レベルから有意に低減した(p=0.0209)。C1sによって切断される第1の基質である補体成分C4の血漿レベルは、研究の経過にわたり徐々に増加し、結果的に中央値は3.8倍の増加であった(p=0.0077)。フローサイトメトリー分析から、C3d陽性赤血球数が、第1の用量の5週間後に、40%(IQR:27~49%)から21%の最低点(IQR:14~27%)に有意に減少したことが明らかになった(p<0.0172;
図4A)。これらの、C4レベル、より重要には赤血球表面でのインビボにおけるBIVV009薬力学的活性の測定値は、その作用機序と一致しており、BIVV009は、CAD患者において古典的補体経路を阻害することが示唆される。
【0374】
本発明の実施例はさらに、CAD患者において、BIVV009はヘモグロビンレベルを増加させ、溶血を迅速に阻害することを示す。BIVV009の輸注は、処置の第1週以内に1.6g/dLのヘモグロビン増加の中央値(p=0.0069;n=10)をもたらし、6週間後に3.9g/dLの最高の応答の中央値までもたらした(IQR:1.3~4.5;95%CI:2.1~4.5;p=0.0050;n=10)(
図4B)。さらに、4人の患者において限定的な試験持続時間中にヘモグロビンは完全に正常化し(≧12g/dL)、5人の患者は4g/dL超の増加を経た。
図6に、1人の患者の経時的なヘモグロビンデータ(BIVV009投与前)を示すが、それによれば、慢性的な貧血のCAD患者におけるBIVV009の臨床効果が実証される。PRBCは、輸血補助が提供されたときを意味する。これらの経時的なヘモグロビンデータは、試験への登録前の4年を超えるヘモグロビン値を含み、BIVV009が提供されるまで、この患者におけるヘモグロビンレベルが正常値の下限(12g/dL、点線)に達したことがなかったことを実証する。
図7における血液学的なデータは、同じ患者にBIVV009によって提供される臨床上の利益を、一連の処置中(実線の水平のバーによって表示される)およ
び処置後(バーなしによって表示される)の期間(斜線のバーは、BIVV009のウォッシュアウト期間を表す)で実証する。
図7Aは、BIVV009投与が網状赤血球の即時の増加をもたらすことを示し、これは、BIVV009が網状赤血球の破壊を予防することを示唆している。
図7Bは、BIVV009が、ヘモグロビンレベルを3.8g/dLに増加させたことを示す。
図7Cは、ハプトグロビンが検出限界未満の場合、BIVV009が、ハプトグロビンレベルを、処置前と比較して正常な範囲内まで増加させることを示す。
図7Dは、血管内溶血のマーカーであるLDHレベルが、BIVV009で処置すると減少したことを示す。
図7Eは、BIVV009が、血清古典的経路活性の尺度であるCH50レベルを低減させたことを示す。最後に
図7Fは、BIVV009がビリルビンレベルを低減させたことを示し、これは、この薬物が血管外溶血を止めたことを示唆している。全てのこれらのマーカーのモジュレーションは、BIVV009ウォッシュアウト(バーなしによって表示される期間)後に逆転し、再処置すると再発した(実線の水平のバー)。まとめると、これらのデータは、BIVV009が、CAD患者において寒冷凝集素が媒介する赤血球および網状赤血球の補体破壊を予防することを実証する。
【0375】
網状赤血球数は、最初の24時間以内に41%の中央値に増加し(p=0.0381、n=10)、次いでヘモグロビンのレベルが上昇すると予想通りに正常な範囲内に徐々に低下した。登録前に輸血依存性を有していた5人の患者全ては、そのBIVV009での処置経過の期間中、輸血を受けなかった。
図6は、BIVV009での処置を始める前に濃厚赤血球(PRBC)輸血を受けたCADを有する患者の経時的なヘモグロビンレベルを示す。
図7A~7Fは、繰り返しのBIVV009の投与を受けたCADを有する患者における、網状赤血球、ヘモグロビン、ハプトグロビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、総補体活性(CH50)、およびビリルビンレベルの生化学応答パターンを示す。
【0376】
ハプトグロビンは、処置前の全ての患者において検出レベル未満(<11mg/dL)であったが、4人の患者において1~2週間以内に正常化し、溶血の完全な阻害が確認された。投与前のビリルビンレベルが、7人のCAD患者において上昇したことが見出されたが、これは、増加した赤血球が単核食細胞系によって反転することを示唆する。BIVV009投与は、第1の輸注の24時間以内に、ビリルビンレベル中央値の61%の減少をもたらし(p=0.0068、n=10;
図4C)、6人の患者で正常化した。同様に、BIVV009ウォッシュアウトのとき、ビリルビンレベルが有意に増加したことから、溶血の再発が実証される。BIVV009処置のときの循環中のビリルビンの低減および正常化の迅速さは、ウォッシュアウト後のその再現性に加えて、BIVV009と血管外溶血との関係を検査するための疾患関連バイオマーカーを提供した。それを超えると薬物が血清古典的経路活性を完全に阻害する閾値である20μg/mLより高いBIVV009濃度で(
図3A)、ビリルビンレベルは、ほぼ例外なく正常な範囲内であった。逆に言えば、20μg/mL未満のビリルビンレベル濃度で、ビリルビンは、正常な範囲を超える傾向を示した(
図5)。
【0377】
応答分析:10人のCAD患者のうちの7人は、リツキシマブ(C1002)、リツキシマブ+ベンダムスチン(C1001;C1010)、またはエクリズマブ(C1010)の後に応答できないかまたは再発した患者を含み、>2g/dLのヘモグロビン増加と定義される臨床上の利益を引き出した。3人の患者は、BIVV009での処置に十分に応答しなかった(0.5~1.3g/dLのヘモグロビン増加)。1人の患者(C1011)は、クームス試験において、C3dおよびIgGの両方に関して繰り返して陽性であったことから(>1+)、その患者は、冷式および温式自己免疫性溶血性貧血の両方(すなわち混合型自己免疫性溶血性貧血)に罹っていたことが示唆される。他の2人の患者は、活性リンパ腫を有し、70%および15%(それぞれC1003およびC1013)のリンパ球の骨髄浸潤を示し、1人のさらなる患者は60%の骨髄浸潤を示し、部分的な応答しか示さなかった(C1009)。また応答者のうち5人において乳酸デヒドロゲナー
ゼ(LDH)レベルも正常化し、それに対して、3人の不応答者のうち2人においてLDHは2~3倍に増加した。
【0378】
BIVV009のウォッシュアウトおよび再攻撃後の応答の繰り返し:BIVV009の最後の用量からおよそ3~4週間後に、BIVV009レベルが20μg/mLの薬力学的な閾値未満に低下したとき、全ての応答者において赤血球上への補体沈着、貧血、および溶血が再発した(
図3B、
図4)。それゆえに、指定された患者プログラムに参加する機会を応答者に与えて、6人の患者での一連のn-of-1試験における連続処置による因果関係を証明した。部分的な応答を示す患者が、処置なしで継続することが好ましく(患者はイギリスを行き来するため)、患者のヘモグロビンレベルは8.7g/dLから減少したが、BIVV009は追跡中に6~6.5g/dLになった。残りの6人の患者において、BIVV009への再曝露は、即時的な作用の発生、および迅速で完全な溶血の阻害を繰り返した。
【0379】
薬物の蓄積を示唆する薬物動態分析から週1回の60mg/kgの用量がBIVV009のトラフレベルの増加をもたらしたことが実証されたことから(
図2)、指定された患者プログラムで代替の用量および用量レジメンを調査した。2人の患者に、BIVV009を45mg/kgの用量で週1回を4回、それに続き隔週で45mg/kgで施した。これは、7回の輸注後、実験パラメーターがブレイクスルー溶血を示したため除外した。ブレイクスルーは血清CH50活性の回復および検出不可能な循環中のBIVV009を伴ったことから、ブレイクスルーは不十分なトラフ濃度の結果であったことが確認される。次いで患者をさらに、BIVV009を60mg/kgの負荷用量で週1回を2回、それに続き隔週で60mg/kgで施すことによって維持することにより、8回の輸注後に2人の患者において再度ブレイクスルー溶血をもたらした。隔週で、65mg/kgに用量を増加させ、または5.5gの固定用量にして、さらなるブレイクスルー事象を予防した。全ての5人の輸血依存性患者は、少なくとも1回のBIVV009処置後、正常なヘモグロビンレベル(>12g/dL)を達成し、処置中に輸血をしないままであった。2人の患者は、薬物の安全性または効能以外の理由で指定された患者プログラムを中断したところ、再び輸血依存性になり、およそ隔週で輸血補助を必要とした。
【0380】
安全性:全ての輸注は、前投与なしで、さらに重大な薬物関連の有害作用もなしで、十分許容されるものであった。有害事象は、試験中ほとんどなく;全て軽度かまたは中程度であり、研究薬物とは無関係かまたは関連する可能性は低いとみなされた。患者C1001は、2つの事例で吐き気および嘔吐を有し、一度は下痢を伴った。患者C1002は、寝汗を訴え、長期のステロイド療法に起因する既存の骨折に加えて新しく椎骨を骨折した。これは最終的に、患者の試験参加終了から数週間後に、骨の痛みの処置のために計画的な入院に至った。患者C1004は、そう痒を訴え、発疹を有していたが、これは、BIVV009曝露を継続していたにもかかわらず一過性であった。
【0381】
結論:
これらのデータは、抗C1sモノクローナル抗体BIVV009によるC1s遮断が、原発性寒冷凝集素症に罹っている患者における重度の輸血依存性貧血を迅速に治すことを示す。
この単群第1b相試験を、長期免疫抑制中の腎臓移植レシピエントにおけるBIVV009の限定的な経過における安全性/忍容性プロファイルおよび補体阻害活性を調査するように設計した。ここで本発明者らは、活動性ABMRを有する患者からの系統的な経過観察のための生検の、BIVV009のCP遮断能力ならびに組織形態学的評価および分子評価、ならびにBIVV009で処置したCP活性化(インビボにおけるC4d染色および/または血清中の補体を固定するドナー特異的抗体(DSA)の検出)のエビデンスを説明する。
研究患者:この試験に、後期ABMRと診断された10人の成人腎臓移植レシピエントを組み入れた。2015年12月から2016年9月の間に、ウィーン医科大学の腎臓病外来患者の診療施設で対象を採用し、2016年11月に研究を終わらせた。登録の前に、全ての参加者は、書面によるインフォームドコンセントを提供した。主要な組み入れ基準は、インフォームドコンセントを理解し実行する能力、年齢18歳以上、移植後180日以降に推測の糸球体ろ過率(eGFR)が20mL/分/1.73m2以上である機能的な同種移植、血清中の1種またはそれ以上の抗HLAクラスIおよび/またはII DSAの検出、生検によって証明された活動性拒絶反応プロセスの組織形態学的特徴(gスコア>0、ptcスコア>0)を示す後期ABMR(急性または慢性)、分子顕微鏡診断システム18(MMDx;分子ABMRスコア≧0.20)によって決定したABMRの分子生検シグネチャー、およびCP活性化の兆候(指標の生検における補体結合DSAおよび/またはC4d沈着)であった。女性対象は、閉経後であるか、外科処置によって不妊であるか、または研究中ずっと、研究のための最後の訪問から30日間にわたり、極めて有効な受胎調節方法を使用する意思がある対象でなければならなかった。主要な除外基準は、研究への組み入れ前の4週間以内における急性同種移植不全および/または何らかの拒絶反応の処置、TCMRの診断、または経口シプロフロキサシンを用いた抗生物質予防投与の禁忌であった。他の除外基準は以下の通りであった:活動性急性または慢性ウイルス、細菌、真菌性もしくはマイコバクテリア感染または前月以内のその病歴、自己免疫障害またはわかっている悪性腫瘍、臨床的に有意な肝胆汁性障害、輸血過敏症の病歴、他の治療用タンパク質に対するアレルギーまたはアナフィラキシー反応、物質乱用、精神疾患または対象が研究手順に十分に適合できなくなるような他の理由、妊娠中、授乳中、または避妊の実践に関して信頼できない可能性がある女性、>98kgの体重、および処置
開始前の30日以内の別の臨床試験への参加。
試験薬物療法:薬物投与のために、患者を研究ユニット(臨床薬理学部、ウィーン医科大学)に入れた。安全性の理由で、患者は、第1の全用量の1日前に、BIVV009の最初の10mg/kgの試験用量を受けた。処置は、60mg/kgの用量で週1回を4回からなっていた。BIVV009を静脈内経路を介して60分にわたり投与した。投与の前、全ての対象は、被包性細菌(髄膜炎菌、インフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌)に対するワクチン接種と、それに続き、全研究期間にわたりシプロフロキサシン(250mgを経口で1日2回)での予防を受けた。
転帰尺度:研究エンドポイントを50日目(研究のための訪問の最後)まで評価した。主要エンドポイントは、BIVV009の安全性および忍容性、医薬品規制整合化国際会議(ICH)の医薬品の臨床試験の実施に関する基準のガイドラインに従って定義および分類された有害事象(AE)の発生率および重症度を評価することであった。プロトコールは中間分析を含んでいなかった。しかしながら、継続的な安全性審査プロセスによって試験を管理した。安全性審査は、独立したデータ安全性管理委員会と相談しながら実行し、安全性の懸念を引き起こす予想外の臨床的および検査発見がみられたケースでは、研究中断の選択肢がとられた。副次的エンドポイントは、BIVV009の薬物動態、血清(全体的なCP活性およびDSAによって引き起こされるCP活性化)および移植された腎臓(毛細血管のC4d沈着)におけるCPを遮断するBIVV009の能力、DSAの平均蛍光活性およびC1qの固定能力に対するBIVV009の作用、ならびにeGFR(メイヨーの方程式)およびスポット尿タンパク質/クレアチニン比を含んでいた。抗体によって引き起こされる炎症/傷害および遺伝子発現パターンに対するBIVV009の作用を評価するために、患者は、32日目に、経過観察プロトコール生検を受けた。
抗体および補体検出:抗体および補体アッセイを、連続12回、すなわち:0日目(BIVV009の最初の試験用量投与の1時間前)、1、8、15および22日目(BIVV009の各全用量の1時間前)、ならびに29、36、43および50日目(研究のための訪問の最後)に採られたサンプルで実行した。血清をアリコートにし、分析まで繰り返し凍結および融解することなく-80℃で貯蔵した。試験間の結果のばらつきを回避するために、全てのタイムポイントからの血清を、研究が終わった後に遡及的にアッセイした。
LuminexベースのIgG型DSAの検出のために、本発明者らは、LABScreen HLAクラスIおよびII単一抗原フロービーズ(SAFB)アッセイ(One
Lambda,Inc、Canoga Park、CA、USA)を使用した。血清を熱で不活性化して(56℃で30分)、補体依存性の干渉を予防した。DSA陽性率の閾値をMFI値≧1,000に設定した。アロ反応性パターンを、HLA Fusion 3.0ソフトウェア(One Lambda)を使用して分析し、地域のHLA研究所またはEurotransplantのデータベースから検索された血清学および/または低もしくは高分解能ドナー/レシピエントHLAタイピング(HLA-A、-B、-Cw、-DR、-DQおよび/またはDP)の結果の観点から、ドナー特異性を評価した。各サンプルにつき、個々のDSAおよび最高のIgG MFI(MFI_max)を有するDSAを記録した。
検出されたDSAの組換えC1qに結合する能力を、C1qScreenアッセイを製造元の説明書(One Lambda)に従って使用したSAFBで、C1q陽性率のMFI閾値を500以上に設定して評価した。
全体的なCP補体活性の評価のために、2つの異なるアッセイの原則を適用した。CPによって引き起こされる膜侵襲複合体の活性化を評価するための補体系古典的経路WIESLAB(登録商標)アッセイを、製造元の説明書(Euro-Diagnostica、Malmo、Sweden)に従って実行した。平行して、第三者のHLA抗体によって引き起こされるC3活性化を特異的に検出する初期に記載された固相アッセイにおけるBIVV009が投与された患者からの血清の補体を沈着させる能力を評価した。簡単に言えば、患者血清を、高レベルの補体を活性化するHLA抗体でスパイクされたHLAハプロタイプでコーティングしたLABSCREEN混合ビーズ(One Lambda)の混合物と共にインキュベートした(3人の広範に感作された患者から得られた熱で不活性化した血清のプールとのプレインキュベーション、その患者の各々が、SAFBアッセイにおいて>99%の仮想のパネル反応性を有していた)。洗浄後、ビーズを、上述したようにビオチンコンジュゲート抗C3d抗体およびPEコンジュゲートストレプトアビジンで染色した。熱で不活性化した非結合性陰性対照血清を用いて得られた測定したままのMFIを、患者血清MFIを用いて得られたMFIから引くことによって(正規化したMFI)、アッセイの結果を、正規化したC3d MFIとして記録した。各試験血清につき、本発明者らは、LABSCREEN混合ビーズパネル内の12のHLAクラスIおよび5つのHLAクラスIIビーズ集団のうち4つで記録された正規化したC3d MFIの平均値を計算した[1つのHLAクラスIIビーズ集団(ID25)を、一貫して陰性のC3d染色、MFI<100のために除外した]。
生検。腎臓同種移植生検を、16ゲージの針を使用して実行した。光学顕微鏡法、電子顕微鏡法および遺伝子発現分析のために、2つのコアを得た。免疫組織化学的C4d染色のために、本発明者らは、ポリクローナル抗C4d抗体(BI-RC4D、Biomedica、Vienna、Austria)を適用した。C4dを、それぞれ0(陰性)、1(最小)、2(限局的)、および3(散在性)にスコア付けした。尿細管周囲毛細血管(PTC)に沿った最小の染色(C4d1)を陽性とみなした。遺伝子発現分析のために、3mmの比率の生検コアをRNAlaterに置き、-20℃で貯蔵し、室温でAlberta Transplant Applied Genomics Centre(ATAGC、University of Alberta、Edmonton、AB、Canada)に輸送した。RNA抽出および遺伝子発現分析を、これまで詳細に記載されたようにして、PrimeView GeneChipアレイ(Affymetrix
Santa Clara、CA、USA)を使用して実行した。拒絶反応(ABMR、TCMR、全ての拒絶反応)または急性腎臓傷害(AKIスコア)に関する分類器を、1208個の生検試料21の参照セットに基づき作成した。加えて、実験的な細胞培養研究、マウス移植研究およびヒト腎臓移植により生じた主要な生物学的事象を表し、種々の注釈付きの病理学的プロセス(例えば、細胞傷害性T細胞浸潤、γ-インターフェロンの作用、ナチュラルキラー細胞の負荷量、上皮の損傷)に関与することを示した様々な病因ベースの転写(PBT)のスコアを、先に詳細に説明した通りに評価した。Banff分類の2013年のアップデートに従って(Haasら、Am J Transplant、14(2):272~283頁(2014))、ABMRを、それぞれ、組織形態学的、免疫組織的(C4d)、超微細構造の(PTC基底膜の多層化)、血清学の(DSA検出)基準、およびABMRに関する徹底的に検証された分子分類器(分子ABMRスコア≧
0.2)18に基づき定義した。
統計的分析。連続的なデータは、中央値、四分位数間範囲(IQR)および範囲として示される。離散したデータは、数およびパーセンテージとして提示される。対になったサンプル比較の場合、ウィルコクソンの符号順位検定を使用した。両側p値<0.05を統計学的に有意とみなした。分析を、GraphPad Prism 6.0(GraphPad Software Inc.、San Diego、CA、USA)およびIBM SPSS Statistics 24(IBM Corporation、Armonk、NY、USA)を使用して実行した。
研究患者のうちの2人は生体ドナー移植のレシピエントであり、そのうちの1人はABO因子不適合であった。3人のレシピエントは、予め形成されたDSAのために移植周辺の免疫吸着のプロトコールに供された。研究組み入れ時に、9人の患者はタクロリムスミコフェノール酸およびステロイドを受けていた。eGFRの中央値は46mL/分/1.73m2であり、尿タンパク質/クレアチニン比は399mg/gであった。表3は、ベースライン時に得られた免疫学的、組織形態学的および分子的な結果を提供する。
処置は十分許容されるものであった。全ての対象が1つまたはそれ以上のAEを有していたが、重度の有害事象(SAE)は起こらなかった。6人の患者は軽度のAEを有し、4人は中程度のAEを有していた。研究期間中に記録された最も頻度の高い事象は、頭痛(n=3)、末梢性浮腫(n=3)および疲労(n=2)であった。処置に関連するとみなされたAEはなかった。細菌または真菌感染のケースはなかったが、1人のレシピエントが、研究開始の6週間後に臨床症状のないCMVウイルス血症(最大3000コピー/mL)を発症したが、これは、一連の経口バルガンシクロビル投与で回復が可能であった。