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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071848
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】新規乳酸菌及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20230516BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230516BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20230516BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20230516BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
A23L33/135
A61P25/18
A61P25/28
A61K35/747
A61K35/745
A61P29/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031186
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2020527989の分割
【原出願日】2018-11-20
(31)【優先権主張番号】10-2017-0155078
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0142811
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512139102
【氏名又は名称】ユニバーシティ-インダストリー コーオペレイション グループ オブ キョンヒ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY-INDUSTRY COOPERATION GROUP OF KYUNG HEE UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】520255861
【氏名又は名称】ナビファーム、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NAVIPHARM Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム、トン、ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ミョン、ジュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新規な乳酸菌及びその用途を提供する。
【解決手段】新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ及びビフィドバクテリウム・ロンガムを提供する。これらは、老化因子p16タンパク質の発現と炎症性因子を抑制することにより、記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防と治療、並びに炎症性疾患の予防と治療に有用な新規な乳酸菌を含む組成物に用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P。
【請求項2】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P。
【請求項3】
前記ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091Pは、配列番号1の16SrDNA塩基配列を含むことを特徴とする請求項1に記載のラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P。
【請求項4】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087Pは、配列番号2の16SrDNA塩基配列を含むことを特徴とする請求項2に記載のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P。
【請求項5】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項6】
前記ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091Pは、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項5に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項7】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087Pは、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項5に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記記憶障害、学習障害は、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、てんかん、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失を含む群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項9】
前記精神障害は、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害を含む群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項10】
前記組成物は、老化因子p16の発現を抑制することを特徴とする請求項5に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項11】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含むことを特徴とする記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は改善用健康機能食品。
【請求項12】
前記ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091Pは、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項11に記載の学習障害或いは精神障害の予防又は改善用健康機能食品。
【請求項13】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087Pは、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項11に記載の学習障害或いは精神障害の予防又は改善用健康機能食品。
【請求項14】
前記記憶障害、学習障害は、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、老化、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、脳転移症、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失を含む群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載の学習障害或いは精神障害の予防又は改善用健康機能食品。
【請求項15】
前記精神障害は、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害を含む群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載の学習障害或いは精神障害の予防又は改善用健康機能食品。
【請求項16】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む炎症性疾患の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項17】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む炎症性疾患の予防又は改善用健康機能食品。
【請求項18】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を投与する段階を含むことを特徴とする記憶障害、学習障害或いは神障害疾患の予防又は治療方法。
【請求項19】
前記記憶障害、学習障害は、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、てんかん、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失を含む群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項18に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害疾患の予防又は治療方法。
【請求項20】
前記精神障害は、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害を含む群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項18に記載の記憶障害、学習障害或いは精神障害疾患の予防又は治療方法。
【請求項21】
ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を投与する段階を含むことを特徴とする炎症性疾患の予防又は治療方法。
【請求項22】
前記炎症性疾患は、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腸炎、腎炎、大腸炎、糖尿病、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、炎症の痛み、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、火傷、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項21に記載の炎症性疾患の予防又は治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ及びビフィドバクテリウム・ロンガムに関するものであって、具体的には老化因子p16タンパク質の発現及び炎症性因子を抑制することによって記憶障害、学習障害或いは精神障害疾患の予防と治療、並びに炎症性疾患の予防と治療に有用な新規な乳酸菌を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
老齢人口の増加に伴い、発生する病気のうち、最も問題とされる病気として認知症をはじめとした記憶障害がある。韓国の保健福祉部の中央認知症センターの年次報告書によると、12分に毎に1人ずつの認知症患者が発生しており、65万人が認知症を患っていることが報告されている。特に、70代以上の老年層で主に発生するとして知られていた認知症は、最近では、持病、外傷、遺伝的な要因、及び誤った生活習慣が原因で若年層でも発病率が増加している。
【0003】
認知症をはじめとする記憶障害は、完治が難しい疾病であって、記憶障害が発病した場合、患者本人だけでなく、患者の家族にとっても生涯の苦痛と負担となり、これに伴い派生する問題が深刻な水準である。
【0004】
また、市中に流通されている認知症治療剤の場合、悪心、嘔吐、食欲減退、腹痛などの消化器系の副作用をはじめ、皮膚発赤、かゆみなどの副作用が発生することがあり、その使用が制限的である。
【0005】
一方、天然物を用いた研究の結果として、韓国公開特許第10-2016-0110767号では、豆柿の木の抽出物を用いた記憶力改善用食品組成物が開示されているが、未だ認知症をはじめとする記憶障害を治療できる効果的な乳酸菌の研究は、皆無であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、効果的に記憶力を回復できる治療剤を研究していたところ、ヒトの糞便から分離された新規な乳酸菌が記憶力改善に効果を奏し、不安行動を改善する効果が示され、記憶障害、学習障害、及び精神障害の予防と治療に使用できることを確認し、本発明を完成した。また、炎症性因子を抑制することにより、炎症性疾患および炎症性因子に関連する記憶障害、学習障害及び精神障害の予防と治療に使用できることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、新規なラクトバチルス・ムコサエ及びビフィドバクテリウム・ロンガム乳酸菌を提供するものである。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、新規な乳酸菌を含む老化因子p16タンパク質の発現を抑制する、記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用組成物を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、新規な乳酸菌を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41及びビフィドバクテリウム・ロンガムNK46は、老化因子p16タンパク質の発現を抑制し、記憶力が回復する効果を奏し、不安行動を改善する効果がある。従って、本発明に係る新規な乳酸菌は、記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用組成物として用いることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る新規な乳酸菌は、炎症反応を抑制する効果があり、炎症性疾患の予防又は治療用組成物に用いることができ、特に、大腸炎の予防と治療に有効的である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】老化動物モデル(Ag)に新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)、又はこれらの1:1の混合物(ML)を投与した結果、Y字型迷路試験において自発的な交替行動量が正常群(NOR)レベルに回復したことが確認されたグラフである。
図2】老化動物モデル(Ag)に新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)、又はこれらの1:1の混合物(ML)を投与した結果、物体認識試験において、新規物体接触回数が正常群(NOR)レベルに回復したことが確認されたグラフである。
図3】アルツハイマー病動物モデル(Tg)に新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、Y字型迷路試験において、自発的な交替行動量が正常群(NOR)レベルに回復したことが確認されたグラフである。
図4】アルツハイマー病動物モデル(Tg)に新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、受動的回避試験において、滞在時間が正常群(NOR)レベルに回復したことが確認されたグラフである。
図5】アルツハイマー病動物モデル(Tg)に新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、水迷路実験において、足場があったところでの滞在時間が回復したことが確認されたグラフである。
図6】アルツハイマー病動物モデル(Tg)に新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、海馬におけるNF-kBの活性が抑制され、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が増加したことが確認された図である。(左から)正常群;アルツハイマー病動物モデル、LM投与群;BL投与群。
図7】うつ病動物モデルに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、オープンアームでの滞在時間(OT)及びオープンアームへの進入(OE)が正常群(NOR)レベルに回復したことが確認されたグラフである。
図8】うつ病動物モデルに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、強制水泳試験において、不動状態が減少することにより、不安行動およびうつ症状が改善されたことが確認されたグラフである。
図9】うつ病動物モデルに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、尾懸垂試験において、不動状態が減少することにより、不安行動およびうつ病症状が改善されたことが確認されたグラフである。
図10】うつ病動物モデルに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、海馬におけるNF-kBの活性が抑制され、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が増加したことが確認された図である。
図11】うつ病動物モデルに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、血液内のコルチコステロンが有意に減少したことが確認されたグラフである。
図12】うつ病動物モデルに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)を投与した結果、Iba1陽性微細接着細胞數がいずれも有意に減少したことが確認された図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記目的を実行するための一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)(寄託機関:韓国微生物保存センター、寄託日:2017.08.04、受託番号:KCCM12091P)を提供する。
【0014】
本発明のラクトバチルス・ムコサエNK41は、ヒトの糞便から分離及び同定されたラクトバチルス・ムコサエの新規な乳酸菌であることを特徴とする。
【0015】
本発明のラクトバチルス・ムコサエNK41の同定及び分類のための16SrDNA塩基配列は、本明細書に添付された配列番号1に示す。したがって、本発明のラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)は、配列番号1の16SrDNAを含むことができる。
【0016】
前記配列番号1の16SrDNA塩基配列の分析の結果、公知のラクトバチルス・ムコサエ菌株と99%の相同性を示し、ラクトバチルス・ムコサエと最も高い分子系統学的類縁関係を示した。したがって、前記乳酸菌をラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)に同定し、ラクトバチルス・ムコサエNK41と命名し、韓国微生物保存センターに2017年8月4日付で寄託した(受託番号KCCM12091P)。
【0017】
本発明のラクトバチルス・ムコサエNK41は、グラム陽性菌であり、細胞の形態は桿菌である。さらに具体的なラクトバチルス・ムコサエNK41の生理学的特性は、当該技術分野における通常の方法で分析することができ、その結果は、下記表2に示す。具体的には、ラクトバチルス・ムコサエNK41は、炭素源として、L-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、D-ガラクトース、D-グルコース、アミグダリン、エスクリン、マルトース、ラクトース、メリビオス、スクロース、ラフィノース、ゲンチオビオース及びグルコネートを用いることができる。
【0018】
前記目的を実行するためのもう一つの様態として、本発明は、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(寄託機関:韓国微生物保存センター、寄託日:2017.08.04、受託番号:KCCM12087P)を提供する。
【0019】
本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46は、ヒトの糞便から分離及び同定されたビフィドバクテリウム・ロンガムの新規な乳酸菌であることを特徴とする。
【0020】
本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46の同定及び分類のための16SrDNA塩基配列は、本明細書に添付された配列番号2に示す。したがって、本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)は、配列番号2の16SrDNAを含むことができる。
【0021】
前記配列番号2の16SrDNA塩基配列の分析の結果、公知のビフィドバクテリウム・ロンガム菌株と99%の相同性を示し、ビフィドバクテリウム・ロンガムと最も高い分子系統学的類縁関係を示した。したがって、前記乳酸菌をビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)に同定して、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46と命名し、韓国微生物保存センターに2017年8月4日付で寄託した(受託番号KCCM12087P)。
【0022】
本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46は、グラム陽性菌であり、細胞の形態は桿菌である。より具体的なビフィドバクテリウム・ロンガムNK46の生理学的特性は、当該技術分野における通常の方法で分析することができ、その結果は下記表3に示す。具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46は、炭素源として、L-アラビノース、D-キシロース、D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、マンニトール、ソルビトール、α-メチル-D-グルコシド、エスクリン、サリシン、マルトース、ラクトース、メリビオス、スクロース、ラフィノース及びD-ツラノースを用いることができる。
【0023】
前記目的を実行するための、もう一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用医薬組成物を提供する。
【0024】
本発明の「ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)」は、前記に説明した通りである。
【0025】
具体的には、本発明の医薬組成物に含まれるラクトバチルス・ムコサエNK41は、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はこれらの抽出物であってもよいが、記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療効果を達成することができるラクトバチルス・ムコサエNK41の形態であれば制限なく用いることができる。
【0026】
本発明の「ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)」は、前記に説明した通りである。
【0027】
具体的には、本発明の薬学組成物に含まれるビフィドバクテリウム・ロンガムNK46は、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はこれらの抽出物であってもよいが、記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療効果を達成することができるビフィドバクテリウム・ロンガムNK46の形態であれば制限なく用いることができる。
【0028】
本発明において、用語「培養物」は、乳酸菌を公知の液体培地又は固体培地で培養させて取得したものを意味し、本発明では、新規な乳酸菌を含む概念である。
【0029】
本発明の記憶障害、学習障害は、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、老化、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、てんかん、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失を含む群から選択されるいずれか一つ以上であってもよい。
【0030】
本発明の一実施例では、神経細胞にストレスホルモンのコルチコステロンと一緒にラクトバチルス・ムコサエNK41又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46を処理したとき、アルツハイマー病のような記憶障害、学習障害を誘発する物質として知られたNF-kBの活性が抑制されると同時に、老化及び認知症などの発現を減少するとして知られた脳由来神経栄養因子(brain derivated neurotrophic factor、BDNF)の発現が増加したことが確認された(表5)。また、本発明の一実施例では、加齢動物モデル及びアルツハイマー病動物モデルにラクトバチルス・ムコサエNK41、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46又はこれらの混合物を投与したとき、記憶力回復効果が示され、海馬における老化因子p16の発現が抑制され、NF-kBの活性が抑制され、脳由来神経栄養因子の発現が増加したことが確認された(実施例4)。特に、ラクトバチルス・ムコサエNK41及びビフィドバクテリウム・ロンガムNK46の混合物が、個々の乳酸菌に比べて、より優れた効果を示すことが確認された。これにより、前記ラクトバチルス・ムコサエNK41、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46又はこれらの混合物を含む薬学組成物が記憶障害、学習障害の予防と治療に有用に用いることができることが確認された。
【0031】
したがって、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む本発明の薬学組成物は、老化因子p16の発現を抑制することができる。
【0032】
前記p16は、ヒトCDKN2A遺伝子から発現される代表的な老化因子タンパク質であって、前記p16の発現が増加するにつれて、老化が促進する特性を示す。
【0033】
本発明の精神障害は、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害を含む群から選択されたいずれか一つ以上であってもよい。
【0034】
本発明の一実施例では、ストレスが誘導された動物モデルにラクトバチルス・ムコサエNK41、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46又はこれらの混合物を投与したとき、ストレスによる不安行動が著しく改善されることが確認された(表8)。これにより、前記ラクトバチルス・ムコサエNK41、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46又はこれらの混合物を含む薬学組成物が精神障害の予防と治療に有用に用いることができることが確認された。
【0035】
前記目的を実行するためのもう一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む炎症性疾患の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0036】
本発明の「ラクトバチルス・ムコサエNK41」及び「ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46」は、前記に説明した通りである。
【0037】
本発明の炎症性疾患は、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腸炎、腎炎、大腸炎、糖尿病、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、炎症の痛み、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、火傷、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上であってもよい。
【0038】
本発明の一実施例では、マウスから分離されたマクロファージに、炎症反応誘導物質のリポポリサッカライドと共にラクトバチルス・ムコサエNK41又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46を処理したとき、炎症反応が著しく抑制されたことが確認された(表4)。これにより、前記ラクトバチルス・ムコサエNK41及びビフィドバクテリウム・ロンガムNK46を含む薬学組成物が炎症性疾患の予防と治療に有用に用いることができることが確認された。
【0039】
具体的には、前記の炎症性疾患は、大腸炎であってもよい。
【0040】
本発明の一実施例では、ストレスが原因で大腸炎が誘導された動物モデルにラクトバチルス・ムコサエNK41、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46又はこれらの混合物を投与したとき、大腸炎の指標である大腸の長さが正常レベルに回復し、大腸炎の指標因子の発現及び活性が減少したことが確認された(表6)。これにより、前記ラクトバチルス・ムコサエNK41、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46又はこれらの混合物を含む薬学組成物が炎症性疾患、具体的には大腸炎の予防と治療に有用に用いることができることが確認された。
【0041】
本発明に係る記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物又は炎症性疾患の予防又は治療用薬学組成物は、哺乳動物への投与後に活性成分の迅速な放出、持続放出又は遅延した放出を提供できるように当業界でよく知られた方法を用いて、薬学的剤形に製造することができる。剤形の製造において、本発明に係る薬学組成物は、新規な乳酸菌の活性を阻害しない範囲内で、追加的に薬剤学的に許容可能な担体を含むことができる。
【0042】
前記薬剤学的に許容可能な担体は、通常使用されるもの、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱物油などを含むが、これらに限定されるものでない。また、本発明の薬学的組成物は、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤、その他の薬剤学的に許容可能な添加剤を含むことができる。
【0043】
本発明に係る薬学組成物の投与量は、薬剤学的に有効な量でなければならない。「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスク比で記憶障害、学習障害、精神障害又は炎症性疾患を予防又は治療するのに十分な量を意味する。有効容量水準は、製剤化の方法、患者の状態及び体重、患者の性別、年齢、疾患の程度、薬物形態、投与経路及び期間、排泄速度、反応感応性などのような要因に基づいて当業者によって多様に選択することができる。有効量は、当業者に認識されているように処理の経路、賦形剤の使用および他の薬剤とともに使用することができる可能性により変化することができる。しかし、好ましい効果が得られるためには、経口投与剤の場合、一般的に成人に1日に体重1kg当たり本発明の組成物を1日0.0001~100mg/kg、好ましくは0.001~100mg/kg投与することもできる。投与は、一日に一度投与することも、数回に分けて投与することもできる。前記投与量は、どのような面であれ、本発明の範囲を限定するものではない。
【0044】
本発明の記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用薬学組成物、若しくは炎症性疾患の予防又は治療用薬学組成物は、マウス、家畜、ヒトなどの哺乳動物に多様な経路を介して投与することができる。具体的には、本発明の薬学組成物は、経口又は非経口投与(例えば、塗布又は静脈内、皮下、腹腔内注射)することができるが、経口投与が好ましい。経口投与用固形製剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、丸剤などを含んでもよい。経口用液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、エアロゾルなどが該当するが、よく用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの外にさまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与用製剤としては、それぞれ、通常の方法によって滅菌された水溶液、液剤、非水性溶剤、懸濁剤、エマルジョン、点眼剤、眼軟膏剤、シロップ、坐剤、エアロゾルなどの外用剤及び滅菌注射製剤の形態で製剤化して用いることができ、好ましくはクリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、眼軟膏剤、点眼剤、パスタ剤又はパップ剤の薬剤学的組成物を製造して用いることができるが、これに限定されるものではない。局所投与用製剤は、臨床的処方に基づいて無水型又は水性型であってもよい。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを用いることができる。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを用いることができる。
【0045】
前記目的を実行するためのもう一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)又はこれらの混合物をオブジェクトに投与する段階を含む記憶障害、学習障害或いは精神障害疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0046】
本発明における「ラクトバチルス・ムコサエNK41」及び「ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46」、「投与」および「記憶障害、学習障害或いは精神障害」などの用語は、前記に説明した通りである。
【0047】
前記オブジェクトは、動物を指し、典型的に、本発明の新規な乳酸菌を用いた治療に有益な効果を示すことができる哺乳動物であってもよい。これらのオブジェクトの好ましい例として、ヒトのような霊長類が含まれることができる。また、このようなオブジェクトには、老化因子p16タンパク質の発現、記憶障害、学習障害或いは精神障害の症状を有したり、このような症状を有する危険性のあるオブジェクトをすべて含むことができる。
【0048】
前記目的を実行するためのもう一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)又はこれらの混合物をオブジェクトに投与する段階を含む炎症性疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0049】
本発明における「ラクトバチルス・ムコサエNK41」及び「ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46」、「投与」および「炎症」などの用語は、前記に説明した通りである。
【0050】
前記オブジェクトは、動物を指し、典型的に、本発明の新規な乳酸菌を用いた治療に有益な効果を示すことができる哺乳動物であってもよい。これらのオブジェクトの好ましい例として、ヒトのように霊長類を含むことができる。また、このようなオブジェクトには、ミエロペルオキシダーゼ活性が増加したり、TNF-αおよびIL-17のサイトカインの発現量が増加したり、NF-kBの活性又はCOX-2の活性が増加したりしたオブジェクトをすべて含むことができる。さらに、炎症症状があったり、このような症状を有するおそれのあるオブジェクトをすべて含むことができ、具体的には大腸炎の症状を有するオブジェクトであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
もう一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は改善用健康機能食品を提供する。
【0052】
もう一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ムコサエNK41(Lactobacillus mucosae NK41)KCCM12091P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)KCCM12087P又はこれらの混合物を含む炎症性疾患の予防又は改善用健康機能食品を提供する。
【0053】
本発明の「ラクトバチルス・ムコサエNK41」及び「ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46」、「投与」および「記憶障害、学習障害或いは精神障害」および「炎症性疾患」などの用語は、前記に説明した通りである。
【0054】
前記健康機能食品は、食品の生体調節機能を強調した食品であって、物理的、生化学的、生物工学的な方法を用いて、特定の目的に作用および発現するように付加価値を付与した食品である。これらの健康機能食品の成分は、生体防御と身体のリズムの調節、疾患の防止および回復に関係する身体調節機能を生体に対して十分に発揮するように設計・加工され、食品として許容可能な食品補助添加剤、甘味料又は機能性原料を含有することができる。
【0055】
本発明のラクトバチルス・ムコサエNK41又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46を健康機能食品(又は健康機能飲料添加物)として用いる場合には、前記新規な乳酸菌をそのまま添加したり、他の食品又は食品成分と一緒に使用したりして、通常の方法に従って適宜に用いることができる。前記ラクトバチルス・ムコサエNK41又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46の混合量は、その使用目的(予防、健康又は改善、治療的処置)に従って適宜決定することができる。
【0056】
前記健康機能食品は、いくつかの栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤、および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、保存剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含有することができる。また、本発明の健康機能食品は、果物及び野菜飲料製造用の果肉を含有することができる。これらの成分は、単独で、又は組み合わせることで用いることができ、これらの添加剤の割合は、組成物全体の重量当たり0.001~50重量部の範囲で選択するのが一般的である。
【0057】
前記健康機能食品の種類には、特別な制限はない。前記ラクトバチルス・ムコサエNK41又はビフィドバクテリウム・ロンガムNK46を添加することができる食品は、ソーセージ、肉類、パン、チョコレート類、スナック類、キャンディ類、菓子類、ラーメン、ピザ、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがある。飲料として製剤化する場合、新規な乳酸菌の外に添加される液体成分として、これらに限定されないが、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述した天然炭水化物は、モノサッカライド(例えば、ブドウ糖、果糖など)、ジサッカライド(例えば、マルトース、スクロースなど)、およびポリサッカライド(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような一般的な糖)、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールであってもよい。
【0058】
以上、本明細書に記載された数値は、特に明記されていない限り、均等の範囲まで含むものと解釈されるべきである。
【実施例0059】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、これにより本発明の内容が限定されるものではない。
【0060】
実施例1:乳酸菌の分離及び同定
(1)ヒトの糞便から乳酸菌分離
ヒトの糞便をGAM液体培地(GAM broth; Nissui Pharmaceutical、Japan)に入れて懸濁した。その後、上澄み液を回収してBL寒天培地(BL agar medium; Nissui Pharmaceutical、Japan)に移植し、37℃で約48時間の間、嫌気性培養した後、コロニー(colony)を形成した菌株を分離した。
【0061】
(2)キムチから乳酸菌分離
白菜キムチ、大根キムチやネギキムチをそれぞれ破砕し、破砕の上澄み液を回収してMRS寒天培地(MRS agar medium; Difco、USA)に移植し、37℃で約48時間の間、嫌気性培養し、コロニー(colony)を形成した菌株を分離した。
【0062】
(3)分離された乳酸菌の同定
ヒトの糞便又はキムチから分離された菌株の生理学的特性および16SrDNA配列を分析し、菌株の種を確定し、菌株名を付与した。付与された乳酸菌の菌株名は、下記表1に示す。具体的には、キムチから分離された乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)5種(表1の整理番号1~5)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)5種(表1の整理番号6~10)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)5種(表1の整理番号11~15)及びラクトバチルス・カルバタス(Lactocacillus curvatus)5種(表1の整理番号16~20)であった。ヒトの糞便から分離された乳酸菌は、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)5種(表1の整理番号21~25)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)5種(表1の整理番号26~30)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)5種(表1の整理番号31~35)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)4種(表1の整理番号36~39)、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)3種(表1の整理番号40~42)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)3種(表1の整理番号43~45)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)5種(表1の整理番号46~50)であった。
【0063】
【表1】
【0064】
(4)新規な乳酸菌ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41の生理学的特性
前記表1に記載された菌株のうち、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41(受託番号KCCM12091P)は、グラム陽性桿菌であることが確認された。また、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41の16SrDNAは、配列番号1の塩基配列を有することが分かった。ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41の16SrDNA塩基配列をBLAST検索で比較した結果、同一の16SrDNA塩基配列を有するラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)菌株は、検出されず、公知のラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)菌株の16SrDNA配列と99%の相同性を示すことが確認された。
【0065】
ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41の生理学的特性のうち、炭素源利用性をAPI 50 CHLキットを使って糖発酵試験で分析した。その結果を表2に示す。下記表2におおいて、「+」は、炭素源利用性が陽性の場合を示し、「-」は、炭素源利用性が陰性の場合を示す。
【0066】
【表2】
【0067】
(5)新規乳酸菌ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46の生理学的特性
前記表1に記載された菌株等のうち、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46(受託番号KCCM12087P)は、グラム陽性桿菌であることが確認された。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46の16SrDNAは、配列番号2の塩基配列を有することが分かった。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46の16SrDNA塩基配列をBLAST検索で比較した結果、同一の16SrDNA塩基配列を有するビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)菌株は、検出されず、公知のビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)菌株の16SrDNA配列と99%の相同性を示すことが確認された。
【0068】
ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46の生理学的特性のうち、炭素源利用性をAPI 50 CHLキットを用いて糖発酵試験で分析した。その結果は下記表3に示す。表3において、「+」は、炭素源利用性が陽性の場合を示し、「-」は、炭素源利用性が陰性の場合を示す。
【0069】
【表3】
【0070】
実施例2:分離された乳酸菌活性の比較
(1)抗酸化活性(in vitro)
DPPH(2,2-Diphenyl-1-picrylhydrazyl)を0.2mMの濃度になるようにエタノールで溶かし、DPPH溶液を製造した。前記DPPH溶液0.1mlに乳酸菌の懸濁液(1×10CFU/ml)又はビタミンC溶液(1g/ml)を入れ、20分間、37℃で培養した。培養液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。以後、517nmで上澄み液の吸光度を測定して分離された乳酸菌等の抗酸化活性を計算した。各乳酸菌別抗酸化活性は、下記表4に示す。
【0071】
(2)マクロファージからの炎症の指標測定
C57BL/6マウス(male、6週齢20-23g)の腹腔内に滅菌された4%チオクリレート(thioglycolate)2mlを投与した。96時間経過後、マウスを麻酔させ、マウスの腹腔内にRPMI1640培地8mlを投与した。5~10分後にマウスの腹腔内のRPMI培地(マクロファージ)を吸引し、1000gで10分間遠心分離して再びRPMI1640培地で2回洗浄した。前記マクロファージを、各ウェル当たり0.5×10の数で24ウェルプレートに撒いて、分離された乳酸菌(最終処理濃度:1×10cfu/ml、以下同じ)と炎症反応誘導物質であるリポポリサッカライド(lipopolysaccharide、LPS)を2時間又は24時間処理した後、上澄み液及び細胞を取得した。取得した細胞にRIPAバッファー(Gibco社)を加えて均質化した。24時間処理した培養上澄み液からTNF-α、IL-10などのサイトカイン発現量を、2時間処理して取得した細胞からp65(NF-kB)、p-p65(phosphor-NF-kB)及びβの発現量を免疫プロッド法(immunoblotting)で測定した。各乳酸菌別炎症指標の発現レベルは、下記表4に示す。(表4の活性測定時の基準:+++、>90%、非常に強い;++、>60~90%、強い;+、>20-60%、弱い;-、<20%、効果微々、表5と同じ)
【0072】
【表4】
【0073】
(3)Caco2細胞のZO-1タンパク質発現の効果
大腸がん細胞Caco2細胞を韓国細胞株バンクから分譲を受け、RPMI1640培地で48時間培養した後、Caco2細胞をウェル当たり2×10の量となるよう12ウェルプレートに分注した。各ウェルにLPS 1ugを単独で処理したり、LPS 1ugと乳酸菌1×10CFUを一緒に処理した後、24時間培養した。それから、各ウェルから培養された細胞を集め、免疫プロッド法(immunoblotting)で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO-1の発現量を測定した。各乳酸菌別ZO-1の発現量は、下記表5に示す。
【0074】
(4)SH-SY5Y細胞に対する脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現効果及びNF-kB活性化効果
神経細胞SH-SY5Y細胞等を韓国細胞株バンクから分譲を受け、10%FBSおよび1%の抗生剤が添加されたDMEM培地で培養し、12ウェルプレートにウェル当たり2×10細胞数で分注した。この後、各ウェルに乳酸菌(1×10CFU/ml)と一緒にコルチコステロン(corticosterone)を300mg/mlの濃度で添加して培養した後、NF-kB(p65、p-p65)および脳由来神経栄養因子(brain derivated neurotrophic factor、BDNF)の発現量を免疫プロッド法(immunoblotting)で測定した。各乳酸菌別BDNF発現レベル及びNF-kB活性化レベルは、下記表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】
(5)実験結果
分離された乳酸菌等の活性を評価した結果、分離された乳酸菌の中から、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46は、密着結合タンパク質ZO-1の発現量を増加させながら抗酸化活性及び炎症反応抑制効果に優れていることを示すことが確認された。特に、アルツハイマー病のような老化関連疾患を誘発する物質として知られたNF-kBの活性を抑制すると同時に、老化及び認知症などで減少する脳の神経を生産する脳由来神経栄養因子の発現を増加させることが確認された(表4および表5)。
【0077】
実施例3:新規な乳酸菌の抗炎症効果及び大腸炎の改善効果
(1)大腸炎の動物モデルの製造および乳酸菌投与
C57BL/6マウス(雄、21~23g、6週齢)を一群当たり6匹ずつ使用して、1週間実験室に適応させた後、実験を行った。一群を正常群とし、残りの群のマウスは、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid、TNBS)で大腸炎を誘発した。具体的には、実験動物をエーテルで麻酔させた後、50%エタノールで混合したTNBS溶液を先の丸い1ml容量の注射器を用いて、肛門を介して大腸内0.1mlずつ投与して垂直に入れ、30秒間維持して炎症を誘発した。一方、正常群には生理食塩水、0.1mlを経口投与した。投与後、翌日から毎日1回ずつ3日間、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46又はこれらの1:1の混合物を生理食塩水に懸濁して1×10CFUの量で経口投与した。乳酸菌投与が終了した翌日、実験動物を犠牲にした後、大腸部位のうち、盲腸から肛門直前の部位までの大腸を摘出して長さを測定した。それから、次の各種指標が確認された。一方、通常群の実験動物には、新規な乳酸菌の代わりに乳酸菌懸濁液である1%のデキストロース溶液を経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、新規な乳酸菌の代わりに大腸炎の治療薬であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgの量で経口投与した。
【0078】
(2)ミエロペルオキシダーゼ活性の測定
大腸組織100mgに0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)含有10mMリン酸カルシウム緩衝液(potassium phosphate buffer、pH 7.0)200ulを入れ、均質化(homogenization)した。4℃及び10,000gの条件で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50ulを0.95mlの反応液(1.6mMテトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H含有)に入れ、37℃で反応させながら、650nmで経時的に吸光度を測定した。前記ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase、MPO)の活性は、反応物として生じたH1μmol/mlを1ユニットで計算した。
【0079】
(3)炎症指標の測定
ウエスタンブロッド法を用いて、p-p65、p65、COX-2およびIL-17のような炎症反応指標物質を測定した。具体的には、前記ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定実験と同一方法で得られた上澄み液50ugを取り出し、免疫ブロッティングを行った。また、サイトカインの発現量は、ELISA kitを用いて測定した。
【0080】
(4)実験結果
前記で実行した実験結果は、下記表6に示す。
【表6】
【0081】
具体的には、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46又はこれらの混合物を投与した群での体重の変化が大きくないことから毒性がないことが確認された。また、大腸炎を誘導したとき、大腸の長さが短くなったが、乳酸菌を投与した群では、大腸の長さが回復される効果を示すことが確認された。さらに、乳酸菌を投与した群では、大腸炎の誘導によって増加されたミエロペルオキシダーゼ活性が減少し、TNF-αおよびIL-17のサイトカインの発現量が抑制され、NF-kBの活性及びCOX-2の活性が抑制されることが確認された。
【0082】
これにより、新規な乳酸菌は、毒性を有さず、かつ大腸炎の予防と治療に効果があることが確認された。
【0083】
実施例4:新規な乳酸菌の老化に起因する記憶力損傷に対する記憶力改善効果の確認(1)Y字型迷路試験(Y-maze task)
実験に用いられたY字型迷路装置は、伸びている3本のアーム(arm)がアルファベットY字状をしており、各枝は長さ25cm、高さ14cm、幅5cmであり、同一角度の位置装置であって、短期記憶力の実験に使用される。
【0084】
具体的には、Y字型迷路のいずれか一つのアーム端に実験動物の頭部分が向かうようにし、8分間自在にアームを歩き回るようにした。動物の動きを記録し、動物の後足までアームに入ったときを通過(arm entry)と見なした。動物の動きを交替回数(alternation)で表すが、前記交替回数は、動物が連続的に3本のアームを通過したときに一度交替したと定義した。自発的な交替行動量(Spon.alternation)は、実際の交替回数と最大可能な交替回数(すなわち、総交替回数から2を引いた値)の百分比で表示した。
【0085】
(2)受動的回避試験(Passive avoidance task)
長期記憶力を評価するために、受動的回避試験を進めた。具体的には、マウスを照明をつけた明るい区画(50Wの電球)に置いて、10秒間接触させた後、ギロチンドア(gillotin door、5×5cm)を開けて、暗い区画へ入れるようにした(Gemini Avoidance System; San Diego、USA)。ギロチンドアが開いてから、マウスが暗い区画へ入るまでの時間を測定し、これを習得試験(acquisition trial)と定義した。一旦マウスが暗い区画へ4本足が全部入るとギロチンドアが閉まり、0.5mAの電気ショックが3秒間グリッド(grid)床を介して流れるようにし、マウスがこれを記憶するようにした。習得試験が終わってから24時間後に乳酸菌の効果を確認すべく受動的回避試験を行った。10秒の接触時間後、ギロチンドアが開き、暗い区画へマウスの4本足が全部入るまでの時間(latency time:滞在時間)を300秒まで測定した(retention trial:記憶テスト)。
【0086】
公知の試験結果の解釈によって、暗い区画へ行くまでの時間がかかるほど、記憶力に優れていると解釈した。
【0087】
(3)水迷路試験(Water maze task)
長期記憶力及び空間知覚能力をテストするために、20±1℃、弱い照明で、直径90cm、高さ45cmの円形水槽に30cmの深さで、500mlの牛乳が入っている水槽で水迷路実験(Morris water maze test)を行った。具体的には、水槽を4箇所の仮想領域に分割し、そのうちの一箇所に直径6cmサイズの足場を1cmほど水に浸すように29cmの高さで設置した。訓練の初日は、60秒間足場なしで水泳訓練をし、残りの4日間は毎日4回ずつ足場を見つける訓練を行った(訓練試験:training trial)。足場には10秒間滞在するようにし、60秒間、足場を見つられなかった場合には、10秒間足場で休めるようにした。訓練が終わった後、実験動物は、紫外線ランプで乾燥させた。訓練は、30秒ごとに繰り返され、足場を見つけるまでの所要時間を、ビデオカメラで測定した。最終の実験は、水槽の足場を取り除いた後、実験動物を水槽に入れて足場があったところで滞在する時間(Time spent in target quadrant)を測定した(プローブ試験:probe trial)。
【0088】
(4)物体認識試験(Novel object task)
物体認識試験は、内部から外部が見えないように製作されたボックス(40×40×40cm)で行われた。形と大きさが同じ二つの物体(A、A’)をボックスの中に固定させ、マウスをボックスの中心から出発させた。また、10分間マウスが二つの物体を接触する回数を記録した。24時間経過後、二つの物体のうちのいずれかを新規な物体に変え(A、B)、元の物体と新規な物体を接触する回数(Exploration time)を記録し、%で計算した。
【0089】
(5)老齢動物モデルの記憶力改善効果
老齢動物モデルC57BL/6マウス(Ag、オス、19ヶ月齢)をラオンバイオから購入し、新規な乳酸菌の老化因子p16タンパク質の発現抑制及び記憶力改善効果を確認した。
【0090】
具体的には、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46又はこれらの1:1の混合物を1×10CFU/マウス/日の濃度で4週間それぞれ投与した。その後、実施例3のY字型迷路試験、物体認識試験及び海馬で記憶力関連因子の測定実験を行った。
【0091】
実験の結果、乳酸菌を投与していない老齢動物モデルは、自発的な交替行動量が正常群に比べて減少したが、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(Ag+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(Ag+BL)及びこれらの混合物を投与した群(Ag+ML)は、正常群レベルで自発的な交替行動量が回復したことが確認された(図1)。また、さらに、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(Ag+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(Ag+BL)及びこれらの混合物を投与した群(Ag+ML)は、正常群レベルに新規物体接触回数が回復したことが確認された(図2)。前記乳酸菌投与群では、老齢動物モデルに比べて高齢化因子p16の発現が抑制され、炎症因子NF-kBの活性が抑制され、脳由来神経栄養因子の発現が増加したことが確認された(表7)。特に、ラクトバチルス・ムコサエNK41とビフィドバクテリウム・ロンガムNK46との混合物が、個別乳酸菌に比べて、より優れた効果を示すことが確認された。
【0092】
【表7】
【0093】
これを通じて、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46及びこれらの混合物は、老齢動物モデルの記憶力改善効果に優れていることが確認された。
【0094】
(6)アルツハイマー病動物モデルの記憶力改善効果
アルツハイマー動物モデルTgマウス[B6C3-Tg(APPswe、PSEN1dE9)85Dbo/J strain-AD mice(Jackson Laboratory,Bar Harbor,Maine,USA)]4ヶ月齢を購入し、2ヶ月間適応させた。正常群、かつ健康的なC57BL/6マウス(オリエント、ソウル、韓国)6ヶ月齢を購入し、2ヶ月間適応させた。Tgマウスに新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41又はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を、1×10CFU/マウス/日の濃度で8週間それぞれ投与した(土曜日と日曜日は投与せず)。その後、実施例3のY字型迷路試験、受動的回避試験、水迷路実験と海馬における記憶力関連因子の測定実験を行った。
【0095】
実験の結果、乳酸菌を投与していないTgマウスは、正常群に比べてY字型迷路試験での自発的な交替行動量が減少し、受動的回避試験での滞在時間が減少し、水迷路実験での滞在時間が増加したが、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(Tg+LM)及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(Tg+BL)は、正常群レベルに自発的な交替行動量及び滞在時間が回復したことが確認された(図3図5)。また、前記乳酸菌投与群は、Tgマウスに比べて炎症因子NF-kBの活性が抑制され、脳由来神経栄養因子の発現が増加したことが確認された(図6)。
【0096】
これを通じて、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46及びこれらの混合物は、アルツハイマー病動物モデルの記憶力改善効果に優れていることが確認された。
【0097】
実施例5:新規な乳酸菌の精神障害改善効果
(1)精神障害誘導動物モデルの作製-拘束ストレス(IS)
不安、うつ症又はストレスなどの精神障害を誘導するために3×10cmの円筒状の拘束ストレス器具にマウスを動けないように固定した。2日に1回頭が上を向くように直立させる方法で拘束ストレスを5回繰り返した。その後、不安行動を測定した。
【0098】
(2)高架式十字迷路試験(elevated plus maze、EPM)
高架式十字迷路試験(elevated plus maze、EPM)は、ストレス又は不安症などの精神障害の程度を測定するための実験装置である。
【0099】
本実験に用いられた高架式十字迷路実験装置は、二本のオープンアーム(Open arm(30×7cm))と20cm高さの壁を有する2本のクローズドアーム(Enclosed arm(30×7cm))が床から50cmほど高く、中央プラットフォームから7cmずつ伸びている黒いプレキシガラス装置である。本試験は、20ルクスの明るさで、ビデオカメラが上に設置されている部屋で、高架式十字迷路にいるマウスの動きを記録した。
【0100】
具体的には、C57BL/6マウス(雄、19~22g)を、高架式十字迷路の中央に置き、頭はオープンアームに向かうようにしておいた。5分間オープンアームとクローズドアームでの滞在時間と回数を測定した。四足が全部入ったとき、アームへの進入(Arm entry)として認める。
【0101】
全試験時間のうち、オープンアームでの滞在時間(Time spent in open arms、OT)は、[オープンアームでの滞在時間/(オープンアームでの滞在時間+クローズドアームでの滞在時間)]×100で計算した。そして、オープンアームへの進入(open arm entries、OE)は、[オープンアームへの入場/(オープンアームへの入場+クローズドアームへの入場)]×100)で計算した。毎行動実験終了後には、70%エタノールで残臭を除去した。
【0102】
公知の試験結果の解釈に基づいて、オープンアームでの滞在時間(OT)及びオープンアームへの進入(OE)が減少した場合、不安症やうつ症などの精神障害症状が現れたと解釈した。
【0103】
(3)実験結果
実験の結果、拘束ストレスを与えた後、乳酸菌を投与していないマウス(IS)は、正常群(NOR)に比べて高架式十字迷路試験において、オープンアームでの滞在時間(OT)及びオープンアームへの進入(OE)が減少したが、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(IS+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(IS+BL)又はこれらの1:1の混合物を投与した群(IS+LM+BL)は、オープンアームでの滞在時間(OT)及びオープンアームへの進入(OE)が増加したことが確認された(表8)。
【0104】
【表8】
【0105】
これを通じて、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46は、不安症、うつ症及びストレスなどの精神障害の改善効果に優れていることが確認された。
【0106】
実施例6:新規な乳酸菌のうつ病改善効果
(1)うつ病マウスモデルの作製
うつ症を誘導するために3×10cmの円筒状の拘束ストレス器具に固定し、一日に12時間ずつ2日間拘束し、うつ症マウスモデルを作製した。以後、翌日からラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)又はこれらの1:1の混合物(ML)を5日間投与し、最終投与の翌日にうつ行動指標を測定した。
【0107】
(2)高架式十字迷路試験(elevated plus maze、EPM)
2本のオープンアーム(Open arm(30×7cm))と20cm高さの壁を有する2本のクローズドアーム(Enclosed arm(30×7cm))が床から50cmほど高く、中央プラットフォームから7cmずつ伸びている黒いプレキシガラス装置である高架式十字迷路実験装置を用いた。
【0108】
本試験は、20ルクスの明るさで、ビデオカメラが上に設置されている部屋で、高架式十字迷路に置かれたマウスの動きを記録した。
【0109】
具体的には、C57BL/6マウス(雄、19~22g)を、高架式十字迷路の中央に置き、頭はオープンアームを向かうようにした。5分間オープンアームとクローズドアームでの滞在時間と回数を測定した。四足の全部が入ったとき、アームへの進入(Arm entry)として認めた。
【0110】
全試験時間のうち、オープンアームでの滞在時間(Time spent in open arms、OT)は、[オープンアームでの滞在時間/(オープンアームでの滞在時間+クローズドアームでの滞在時間)]×100で計算した。毎行動実験終了後には、70%エタノールで残臭を除去した。
【0111】
(3)強制水泳試験(Forced Swimming Test、FST)
Porsolts RM, Le Pichon M, Jalfre M, Nature 266:730~732(1977)「Depression:a new animal model sensitive to antidepressants」の方法に従って、高さ40cm、直径20cmの水槽に温度25±1℃の水を水30cm満たし、実験用マウスを一匹ずつ水槽に入れた。計6分のうち、最初の2分間は適応時間とし、測定はせず、最後の4分間、実験動物の不動状態(immobility)時間を測定した。
【0112】
不動状態は、頭だけを水面に出す最小限の動きのみをしながら、直立して動かずに浮いている状態をいい、うつ状態が減少すると、不動状態の減少が現れる。
【0113】
(4)尾懸垂試験(Tail Suspension Test、TST)
Steru、L.et al.,Psychopharmacology,(1985)85, 367-370,「The tail suspension test:a new method for screening antidepressants in mice」の方法に従って、マウスの尾先端1cm程度に固定装置を装着した後、地面から50cm離れた位置に懸垂し、計6分間、実験動物の不動状態(immobility)時間を測定した。
【0114】
(5)不安及びうつ症状マーカーの測定
前記(1)と同様に、拘束ストレスを与え、うつ病マウスモデルを作製し、ラクトバチルス・ムコサエNK41(LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(BL)又はこれらの1:1の混合物(ML)を5日間投与し、最終投与の翌日に不安及びうつ症状のマーカーを測定した。
【0115】
マウスの血液中のコルチコステロン(corticosterone)をEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)kit(Ebioscience、San Diego、CA)で測定し、免疫ブロッティング法(immunoblotting)を用いて、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)及びNF-kB(p-p65、p65)を測定した。
【0116】
具体的には、海馬(hippocampus)を手術で取り除き、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル(protease inhibitor cocktail)及びリン酸加水分解酵素阻害剤カクテル(phosphatase inhibitor cocktail)を含有したRIPA lysis bufferを加え、ホモジナイザー(homogenization)をして遠心分離(13,200×g、10min、4℃)し、上澄み液を得た。該上澄み液を12%SDS(sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide)ゲル(gel)に電気泳動した上、nitrocellulose membraneへ移し、スキムミルク蛋白でブロッキング(blocking)した後、洗浄した。以後、BDNF、p65、p-p65、βctin抗体を処理して結合されるようした後、洗浄し、horseradish peroxidaseを含む2次抗体を処理し、タンパク質をenhanced chemiluminescence detection kitで確認した。
【0117】
(6)蛍光免疫染色
脳切片をスライドグラスに固定し、Leeなどの方法に従って、anti-Iba1(ionized calcium-binding adapter molecule 1)抗体(1:100、Abcam)、又はDAPI(4’,6-diamidino-2-phenylindole)を処理してミクログリア細胞(microglia)を共焦点顕微鏡(confocal microscope)で確認した。
【0118】
(7)実験結果
図7に示すように、うつ病を誘導した後、乳酸菌を投与していないマウス(DC)は、正常群(NOR)に比べて高架式十字迷路試験で、オープンアームでの滞在時間(OT)及びオープンアームへの進入(OE)が減少したが、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(DC+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(DC+BL)又はこれらの1:1の混合物を投与した群(DC+ML)は、オープンアームでの滞在時間(OT)及びオープンアームへの進入(OE)が増加したことが確認された。
【0119】
これを通じて、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46及びこれらの混合物は、うつ病の改善効果に優れていることが確認された。
【0120】
図8に示すように、強制水泳試験で拘束ストレスによって誘発された不安行動及びうつ病症状ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(DC+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(DC+BL)又はこれらの1:1混合物を投与した群(DC+ML)から不動状態が減少することにより、不安行動およびうつ症状が改善されたことが確認された。
【0121】
図9に示すように、尾懸垂試験で拘束ストレスによって誘発された不安行動及びうつ病症状がラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(DC+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(DC+BL)又はこれらの1:1の混合物を投与した群(DC+ML)から不動状態が減少することにより、不安行動およびうつ症状が改善されたことが確認された。
【0122】
図10に示すように、拘束ストレスによって誘導されたうつ病マウスモデルの海馬では脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が減少し、NF-kBの活性が誘導される現象が現れた。その反面、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(DC+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(DC+BL)又はこれらの1:1の混合物を投与した群(DC+ML)からBDNFの発現が増加し、NF-kBの活性が抑制されたことが確認された。
【0123】
また、図11に示すように、血液内のコルチコステロンを測定した結果、うつ病マウスモデルでは、コルチコステロンが有意に増加したが、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(DC+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(DC+BL)、又はこれらの1:1の混合物を投与した群(DC+ML)からは、血液内のコルチコステロンが有意に減少したことが確認された。
【0124】
併せて、図12に示すように、海馬で活性化されたIba1陽性微細接着細胞數及びミクログリア細胞を観察した結果、うつ病マウスモデルからは、海馬のCA1及びCA3領域全部からIba1及びミクログリア細胞の活性化が示されたのに対し、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を投与した群(DC+LM)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を投与した群(DC+BL)又はこれらの1:1の混合物を投与した群(DC+ML)からは、Iba1陽性ミクログリア細胞の活性化が全部有意に減少したことが確認された。
【0125】
前記のような結果から、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46は、うつ病及び不安症状に対する改善効果に優れていることが確認された。
【0126】
<乳酸菌の受託情報>
本発明の発明者等は、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)NK41を2017年8月4日に公認寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国ソウル西大門区弘済内2ガギル45ユリムビル)に特許寄託し、KCCM12091Pの受託番号が付与された。
【0127】
また、本発明の発明者等は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NK46を2017年8月4日に公認寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国ソウル西大門区弘済内2ガギル45ユリムビル)に特許寄託し、KCCM12087Pの受託番号が付与された。
【0128】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12087P
受託日:20170804
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12091P
受託日:20170804
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2023071848000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P
【請求項2】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087Pは、老化因子p16タンパク質の発現を抑制するものであることを特徴とする請求項に記載のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)(受託番号:KCCM12091P)
【請求項3】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087Pは、配列番号2の16SrDNA塩基配列を含むことを特徴とする請求項1に記載のビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P
【請求項4】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)を含む記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療用医薬組成物であって、
前記記憶障害又は学習障害が、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、てんかん、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失からなる群から選択される少なくとも一つであり、かつ、
前記精神障害が、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害からなる群から選択される少なくとも一つである、医薬組成物
【請求項5】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)は、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
フィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087Pを含む記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は改善用食品組成物であって、
前記記憶障害又は学習障害が、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、てんかん、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失からなる群から選択される少なくとも一つであり、かつ、
前記精神障害が、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害からなる群から選択される少なくとも一つである、食品組成物
【請求項7】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087Pは、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項に記載の食品組成物
【請求項8】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)を含むことを特徴とする炎症疾患の予防又は治療用医薬組成物であって、
前記炎症性疾患、関節炎、痛風、肝炎、喘息、角膜炎、胃炎、腸炎、腎炎、大腸炎、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、敗血症、火傷、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎からなる群から選択される少なくとも一つである、医薬組成物
【請求項9】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)は、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)を含むことを特徴とする炎症疾患の予防又は改善用食品組成物であって、
前記炎症性疾患が、関節炎、痛風、肝炎、喘息、角膜炎、胃炎、腸炎、腎炎、大腸炎、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、敗血症、火傷、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎からなる群から選択される少なくとも一つである、食品組成物。
【請求項11】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)は、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物であることを特徴とする請求項10に記載の食品組成物。
【請求項12】
記憶障害、学習障害或いは精神障害の予防又は治療のための薬剤の製造において、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物を含むことを特徴とする組成物の用途であって、
前記記憶障害又は学習障害が、老化、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、頭部外傷、物忘れ、記憶力低下、外傷性脳損傷、てんかん、海馬硬化症、頭痛、脳老衰症、認知症および記憶喪失からなる群から選択される少なくとも一つであり、かつ、
前記精神障害が、不安、うつ病、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫性障害、偏頭痛、ストレス、認知障害および注意障害からなる群から選択される少なくとも一つである、用途。
【請求項13】
炎症疾患の予防又は治療のための薬剤の製造において、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK46(Bifidobacterium longum NK46)(受託番号:KCCM12087P)、これらの生菌体、これらの死菌体、これらの培養物、これらの破砕物又はその抽出物を含むことを特徴とする組成物の用途であって、
前記炎症性疾患が、関節炎、痛風、肝炎、喘息、角膜炎、胃炎、腸炎、腎炎、大腸炎、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、敗血症、火傷、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎からなる群から選択される少なくとも一つである、用途。
【外国語明細書】