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特開2023-71861セラミックプレカーサバッチのレオロジー制御装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071861
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】セラミックプレカーサバッチのレオロジー制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/20 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
B28B3/20 E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031656
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2019505488の分割
【原出願日】2017-08-03
(31)【優先権主張番号】62/370,518
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン マラーキー
(72)【発明者】
【氏名】コナー ジェームズ ウォルシュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】押出成形中にセラミックプレカーサバッチのレオロジーを制御するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】押出しシステムは押出機122を含み、押出機バレルの第1の部分120内へとセラミックプレカーサバッチを供給する導入口144および導入口の下流において押出機バレルから出るセラミックプレカーサ押出物を押出成形するよう構成された排出口172を有する。液体注入器210は、セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成される。センサ106は、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出する。コントローラは、(i)センサからレオロジー特性を受信し、(ii)そのレオロジー特性をセラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値と比較し、(iii)その比較に基づいてコマンドを生成するよう構成される。液体調整器110は、コマンドを受信し、それに基づいて、液体注入器への液流を調節する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出しシステムにおいて、
押出機バレルの第1の部分内へとセラミックプレカーサバッチを供給するよう構成された導入口、および前記導入口の下流において前記押出機バレルから出るセラミックプレカーサ押出物を押出成形するよう構成された排出口を含む押出機と、
前記押出機の上流において前記セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成された第1の液体注入器と、
前記押出機内において前記セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成された第2の液体注入器と、
前記セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出するよう構成されたセンサと、
(i)前記センサから前記レオロジー特性を受信し、(ii)前記レオロジー特性を前記セラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値と比較し、(iii)前記比較に基づいてコマンドを生成するよう構成されたコントローラであって、
(i)前記レオロジー特性が前記所定のレオロジー値より小さいときに、液流値を増加させた前記コマンドを生成し、(ii)前記レオロジー特性が前記所定のレオロジー値より大きいときに、液流値を減少させた前記コマンドを生成するよう構成された
コントローラと、
前記コマンドを受信し、該コマンドに基づいて前記第1の液体注入器及び前記第2の液体注入器のどちらか一方または両方への液流を調節するよう構成された液体調整器であって、
前記液流値を増加させた前記コマンドの受信に応答して、前記第1の液体注入器及び前記第2の液体注入器のどちらか一方または両方への液流を増やすよう調節するよう構成され、且つ、
前記液流値を減少させた前記コマンドの受信に応答して、前記第1の液体注入器及び前記第2の液体注入器のどちらか一方または両方への液流を減らすよう調節するよう構成された
液体調整器と
を含み、
前記レオロジー特性が、(i)前記セラミックプレカーサバッチの液体含有量、(ii)前記セラミックプレカーサバッチの硬さ、(iii)前記セラミックプレカーサバッチの壁面抵抗、(iv)ダイ圧力、(v)バレル圧力、(vi)混合プレートにおける圧力変化、(vii)押出しトルク、(viii)セラミックプレカーサバッチ温度、および(ix)スクリーン圧力のうちの少なくとも1つを含む、押出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本願は、合衆国法典第35巻第119条に基づき、2016年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/370,518号による優先権を主張するものであり、その内容に依拠すると共に、その全体を参照して本明細書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本開示の例示的な実施形態は、セラミックプレカーサバッチのレオロジー制御装置および方法に関し、より具体的には、セラミックハニカム体を押出し成形によって製造する際のセラミックプレカーサバッチのレオロジー制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関からの排気ガスの後処理は、炭素すす粒子を除去するために、高表面積基体上に支持された触媒、および、ディーゼルエンジンおよび一部のガソリンを直接注入するエンジンの場合には、触媒フィルタを用い得る。これらの用途においては、多孔質セラミックのフロースルー型ハニカム基体およびウォールフロー型ハニカムフィルタが用いられ得る。
【0004】
セラミックハニカム構造の製造は、セラミック粉体バッチ混合物を可塑化し、その混合物を、ハニカム押出しダイを通して押出成形してハニカム押出物を形成し、押出物を乾燥および焼成して、高い強度および熱耐久性を有するセラミックハニカムを製造する処理によって達成され得る。このように製造されたセラミックハニカムは、自動車の排気システムにおけるセラミック触媒支持体として、並びに、ディーゼルエンジンの排気からすすおよび他の粒子を除去するための触媒支持体およびウォールフロー型粒子フィルタとして、広く用いられる。
【0005】
上記の「背景」の項において開示される情報は、単に本開示の背景の理解を高めるためのものであり、従って、従来技術の一部を構成するものではなく、従来技術が当業者に示唆し得るものでもない情報を含み得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示の例示的な実施形態は、セラミックプレカーサバッチ用の押出しシステムを提供する。
【0007】
本開示の例示的な実施形態は、押出機用のバッチレオロジー制御システムも提供する。
【0008】
本開示の例示的な実施形態は、セラミックプレカーサ押出物を製造する方法も提供する。
【0009】
本開示の例示的な実施形態は、押出機においてセラミックプレカーサバッチレオロジー制御を用いて、セラミックプレカーサハニカム体を製造する方法も提供する。
【0010】
本開示の例示的な実施形態は、押出機を含む押出しシステムに関する。本押出機は、押出機バレルの第1の部分内へとセラミックプレカーサバッチを供給するよう構成された導入口、および、導入口の下流において押出機バレルから出るセラミックプレカーサ押出物を押出成形するよう構成された排出口を含む。本システムは、セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成された液体注入器と、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出するよう構成されたセンサと、(i)センサからレオロジー特性を受信し、(ii)このレオロジー特性をセラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値と比較し、(iii)この比較に基づいてコマンドを生成するよう構成されたコントローラとも含む。本システムは、コマンドを受信し、このコマンに基づいてド液体注入器への液流を調節するよう構成された液体調整器を更に含む。
【0011】
一部の実施形態では、レオロジー特性は、(i)セラミックプレカーサバッチの液体含有量、(ii)セラミックプレカーサバッチの硬さ、(iii)セラミックプレカーサバッチの壁面抵抗、(iv)ダイ圧力、(v)バレル圧力、(vi)混合プレートにおける圧力変化、(vii)押出しトルク、(viii)セラミックプレカーサバッチ温度、および(ix)スクリーン圧力のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
一部の実施形態では、所定のレオロジー値は、(i)押出機ダイ起動条件についての第1の液体値、および(ii)第1の値より小さい定常状態押出機条件についての第2の液体値を含む。
【0013】
一部の実施形態では、液体注入器は、押出機バレルの第1の部分の上流において、セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成される。
【0014】
一部の実施形態では、液体注入器は、押出機バレルの第1の部分の下流にあり、且つ、押出機バレルの排出口の上流にある押出機バレルの第2の部分において、セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成される。
【0015】
一部の実施形態では、液体注入器は、0.5psi~3000psi(約3.4kPa~約20684.3kPa)の圧力で押出機バレル内へと液体を注入するよう構成される。
【0016】
一部の実施形態では、液体注入器は、0.5psi~10psi(約3.4kPa~約68.9kPa)の圧力で押出機バレル内へと液体を注入するよう構成される。
【0017】
一部の実施形態では、液体注入器は、液体注入口を通して押出機バレル内へと液体を注入するよう構成される。
【0018】
一部の実施形態では、センサは、導入口の上流において、セラミックプレカーサバッチ中の液体含有量を検出するよう構成される。
【0019】
一部の実施形態では、センサは、排出口の下流において、セラミックプレカーサバッチ中の液体含有量を検出するよう構成される。
【0020】
一部の実施形態では、センサは、セラミックプレカーサバッチ中の液体含有量として、油性流体含有量および水性流体含有量のうちの少なくとも1つを検出するよう構成される。
【0021】
一部の実施形態では、センサは、(i)近赤外線(IR)センサおよび(ii)マイクロ波センサのうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
一部の実施形態では、排出口にダイが結合され、このダイは、ダイ本体と、ダイ本体の上流側表面に設けられ、ダイ本体内へと下流に延びる供給孔であって、上流側表面においてセラミックプレカーサバッチを受け入れるよう構成された供給孔と、ダイ本体内において供給孔と交差するマトリックスパターンに構成され、ダイの排出側表面まで延びる出口スロットであって、セラミックプレカーサバッチを成形してハニカム押出物にするよう構成された出口スロットとを含む。
【0023】
一部の実施形態では、コントローラは、(i)レオロジー特性が所定のレオロジー値より小さいときに、液流値を増加させたコマンドを生成し、(ii)レオロジー特性が所定のレオロジー値より大きいときに、液流値を減少させたコマンドを生成するよう構成される。
【0024】
一部の実施形態では、液体調整器は、液流値を増加させたコマンドの受信に応答して、液体注入器への液流を増やすよう調節するよう構成され、且つ、液流値を減少させたコマンドの受信に応答して、液体注入器への液流を減らすよう調節するよう構成される。
【0025】
一部の実施形態では、システムは、導入口の下流にあり、液体注入器の下流にあり、且つ、排出口の上流にある押出機バレルの第3の部分において、セラミックプレカーサバッチからガスを排出するよう構成された真空装置を含む。
【0026】
本開示の例示的な実施形態は、セラミックプレカーサ押出物を製造する方法に関する。この方法は、セラミックプレカーサバッチを押出機バレルの第1の部分内に配置する工程と、セラミックプレカーサバッチに液体を注入する工程と、配置する工程および注入する工程の下流において、押出機バレルから出るセラミックプレカーサ押出物を押出成形する工程と、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出する工程と、このレオロジー特性をセラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値と比較する工程と、比較する工程に基づいて、セラミックプレカーサバッチへの液体の注入を調節する工程とを含む。
【0027】
一部の実施形態では、所定のレオロジー値は、(i)押出機ダイ起動条件についての第1の液体値、および(ii)第1の値より小さい定常状態押出機条件についての第2の液体値を含む。
【0028】
一部の実施形態では、所定のレオロジー値は、(i)ダイ圧力、(ii)バレル圧力、(iii)混合プレートにおける圧力変化、(iv)スクリーン圧力、および(v)セラミックプレカーサバッチ温度のうちの少なくとも1つである。
【0029】
一部の実施形態では、注入する工程は第1の部分の上流において行われる。
【0030】
一部の実施形態では、注入する工程は、第1の部分の下流にある押出機バレルの第2の部分において行われる。
【0031】
一部の実施形態では、注入する工程は、0.5psi~3000psi(約3.4kPa~約20684.3kPa)の圧力で行われる。
【0032】
一部の実施形態では、検出する工程は、注入する工程の上流において、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出することを含む。
【0033】
一部の実施形態では、検出する工程は、押出成形する工程の下流において、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出することを含む。
【0034】
一部の実施形態では、押出成形する工程は、ハニカム押出物を形成することを含む。
【0035】
上記の概要説明および以下の詳細説明は、例示的且つ説明的なものであり、本開示の更なる説明を提供することを意図したものであることを理解されたい。本開示の更なる特徴は、以下の説明で述べられると共に、部分的にはその説明から自明であり、または、本開示を実施することによって知られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本開示の例示的な実施形態による、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との模式図を示す
図2】本開示の例示的な実施形態による、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との別の模式図を示す
図3】本開示の例示的な実施形態による、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との別の模式図を示す
図4】本開示の例示的な実施形態による、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との別の模式図を示す
図5】本開示の例示的な実施形態による、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との別の模式図を示す
図6】1平方インチ当たり400個のセル(1平方センチメートル当たり62個のセル)と4ミル(0.1mm)の壁厚さとを有する薄肉型(TW)ハニカム押出物用の空のダイの起動についての、時間に対する押出機圧力のグラフデータプロットを示す
図7】経時的なばらつきを示す、セラミック形成バッチの近赤外線(NIR)読取値から得られたデータについての、時間に対する重量パーセントのグラフプロットを示す
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部をなすものである。図面は本開示の例示的な実施形態を示しており、明細書と共に、本開示の原理を説明する役割をするものである。
【0038】
多孔質セラミックハニカム体の製造は、セラミック粉体バッチ混合物を可塑化し、その混合物を、ハニカム押出しダイを通して押出成形してハニカム押出物を形成し、押出物を切断、乾燥および焼成して、第1の端面から第2の端面まで軸方向に延びるチャネルを有する、高い強度および熱耐久性を有するセラミックハニカムを製造する処理によって達成され得る。本明細書において参照されるバッチ、セラミック粉体バッチ混合物、セラミックプレカーサバッチ、およびセラミックバッチ組成物は、反応した際にセラミックを生じる無機酸化物または酸化物プレカーサ、並びに、未反応のまま残るセラミックもしくは反応した際に全体的にもしくは部分的に別のセラミックを生じるセラミックを含み得る。本明細書において用いられるセラミックハニカム体は、セラミックハニカムモノリスおよび分割されたセラミックハニカム体を含む。
【0039】
セラミックハニカム製造のための商業的に成功しているプロセスには、セラミックハニカム押出物の混合および押出成形を行うための大型の共回転ツインスクリュー押出機を用いるものがある。これらの装置は、例えば、単一の連続処理工程において、セラミック粉体バッチ混合物を均質化および可塑化して、ハニカム押出しダイを通して混合物を押し込む能力を提供する。この手法の好ましい経済性は、自動車の排気システム用の比較的小径のハニカムの大量生産から、大型ディーゼルエンジンの排気システム用の非常に大きい前面面積(VLFA)を有するハニカムの成形にまで及ぶ。円筒の軸およびハニカムチャネルの配向方向を横断する方向に測定される断面直径を有する円筒形ハニカム形状は、5cmほどの小さいものから、高々50cm以上までの範囲であり得る。
【0040】
押出機において用いられる回転スクリューは、通常、スクリュー全体を構成するために、例えば、キー溝を有する軸方向の駆動軸上に、続けて配置された複数のスクリュー部分で構成される。スクリュー部分は、例えば、金属またはセラミック等の任意の適切な材料でできていてよい。セラミックハニカム製造のための他の処理としては、ラム押出、プレス成形、キャスト成形、スプレー成形、および3Dプリンティングが挙げられる。
【0041】
共押出によって成形される、または後から施される外皮は、セラミックハニカム体の軸方向外周面を構成し得る。フィルタを製造するために、ハニカム体の各チャネルには、モノリスであるかまたは分割されているかに関係なく、入口面または出口面において栓が施され得る。一部のチャネルには栓が施されない場合には、部分フィルタが製造され得る。ハニカム体には、モノリスであるかまたは分割されているかに関係なく、基体を製造するために触媒が施され得る。更に、フィルタおよび部分フィルタには、多機能性を付与するために触媒が施され得る。このように製造されたセラミックハニカム体は、自動車の排気システムにおけるセラミック触媒支持体として、並びに、エンジンの排気からすすおよび他の粒子を除去するための触媒支持体およびウォールフロー型粒子フィルタとして、広く用いられる。
【0042】
押出し成形による薄肉型セル状基体の製造は、ダイ圧力が定常状態の運転圧力に安定するまでの間、低い歩留まりを有する余分の動作期間を含み得る。例えば、製造損失を生じ得る2つの具体的なケースとしては、新たな空のダイの起動、および空のダイの起動が挙げられる。
【0043】
これらの低生産量問題に対処するために、幾つかの技術が開発されている。これらの問題に対処することを補助するために、供給速度を低いレベルに変えること(これは非効率的であり得る)、バッチの水含有量を変えること、および、ダイに予め潤滑油(例えば、DURASYN(登録商標)162および164等のポリアルファオレフィン(PAO))を施しておくことが用いられている。バッチの水含有量を変えることは、例えば、押出物における欠陥および押出し圧力のばらつき等の更なる問題を生じ得る。別の技術は、バッチのレオロジー特性を用いることで、最も効果的な方法で定常状態圧力を達成する。
【0044】
本開示の例示的な実施形態は、ダイ圧力が定常状態の運転圧力に安定するまでの間の低い歩留まりを有する余分の動作期間の問題に対処するものであり、また、本開示の例示的な実施形態は、バッチの水含有量のばらつきの問題にも対処するものである。本開示の例示的な実施形態によれば、押出機内のバッチの水含有量を一定にすることで、押出しの安定性が改善されると共に押出物の欠陥が低減され、一方、ダイの起動中に押出機内のバッチ中の水を増加させることで、ダイの起動中にかなりの量のバッチを無駄にすることなく、最も効果的な方法で定常状態圧力が達成される。
【0045】
本開示の幾つかの例示的な実施形態は、形成処理のばらつきを生じるダイ起動時間および液体含有量のばらつきが低減され得るように、閉ループ制御のためにNIR計測器と併せて高圧液体注入口を用いて、バッチ中に水および/または他の液体を迅速に導入すると共にその水および/または液体の正確な量を変更する、制御処理を提供する。
【0046】
本開示の幾つかの例示的な実施形態は、ハニカム体を押出成形する装置およびハニカム体を押出成形する方法を提供する。これらの例示的な実施形態によれば、押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)にある注入口、高圧計量ポンプ、およびバッチの水含有量を測定する近赤外線(NIR)センサを含む装置および方法が提供される。本装置および方法のリアルタイムフィードバック制御システムは、NIRシステムまたは類似のシステムを用いて、バッチ中の液体の量を連続的に決定し、決定の結果を出力する。バッチ中の液体の量の決定の結果は、起動条件または定常状態条件のいずれが生じているかに応じて、液体を所定の設定点になるよう調節するために、計量ポンプを制御するために用いられる。
【0047】
図1は、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との模式図を示す。上流とは、或る地点(例えば、押出しダイ)から、押出成形中にバッチ材料が流れる方向とは反対方向に離れていることを指す。また、上流とは、処理の流れにおいて、押出機内へと供給する処理および装置も指す。逆に、下流とは、バッチ材料が流れる方向と同じ方向を指す。また、下流とは、処理の流れにおいて、押出機より後にある処理および装置も指す。
【0048】
図1に示されている押出機および上流処理システム100は、乾いた成分および湿った成分を混合するためのプリコンディショナー102と、プリコンディショニングされたバッチを下流に供給するための計量予混合器104とを含む。バッチのレオロジー特性(例えば、(i)バッチの水(水分)含有量、(ii)バッチの油(潤滑剤)含有量、(iii)押出物の形状、(iv)押出しトルク、(v)押出機内のバッチの温度、および(vi)押出機内のバッチの圧力)を検出するために、1以上のセンサ106(a)、106(b)が用いられ得る。センサ106(a)、106(b)、および/またはコントローラは、検出されたレオロジー特性から他のレオロジー特性を生成し得る。例えば、1以上の圧力センサによって行われる圧力測定から、押出機内のバッチの硬さおよびバッチの壁面抵抗が導出され得る。従って、硬さおよび壁面抵抗もレオロジー特性であり得る。
【0049】
一部の実施形態では、センサ106(a)、106(b)は、光源および/または検出器を含む近赤外線(NIR)センサである。NIRセンサは、バッチの水含有量および/または油含有量を検出するために用いられるNIR測定を行う。バッチの水含有量および/または油含有量は、電界効果に基づく別のシステム(例えば、(i)マイクロ波測定を行うマイクロ波センサ、(ii)NIR範囲内またはNIR範囲外におけるIR測定を行う赤外線(IR)センサ、または(iii)液体含有量を検出可能な他の検出システム等)を用いて検出されてもよい。
【0050】
更なる実施形態では、センサ106(a)、106(b)は、押出機に沿った位置において圧力測定を行って圧力(例えば、ダイ圧力、バレル圧力、および/または混合プレートにおける圧力変化)を決定する圧力センサである。
【0051】
様々な実施形態では、センサ106(a)、106(b)は、温度(例えば、セラミックプレカーサバッチ温度)測定を行う温度センサである。
【0052】
更に別の実施形態では、センサ106(a)、106(b)は、押出物がダイから押出成形される際の押出物の形状を決定する圧力センサである。例えば、押出物の表面の周囲を操作するために、レーザが用いられ得る。レーザ光の光路長の変化を用いて、押出物の形状が決定され得る。
【0053】
センサ106(a)、106(b)は、センサによって測定されたレオロジー特性を、信号(例えば、電気信号、光ファイバ信号、または無線信号)を用いてコントローラ108に送信し得る。コントローラ108は、センサ106(a)、106(b)からの信号データを用いて、決定(例えば、計算等)を行い得る。計算は、レオロジー特性と所定のレオロジー値(例えば、(i)バッチの所定の水(水分)含有量値、(ii)バッチの所定の油(潤滑剤)含有量値、(iii)押出物の所定の形状、(iv)所定の押出しトルク値、(v)押出機内のバッチの所定の温度値、(vi)押出機内のバッチの所定の圧力値、(vii)バッチの所定の硬さ、および/または(viii)所定の壁面抵抗値)との間の比較であり得る。コントローラ108は、この決定に基づいて、制御ループ(例えば、フィードバック制御ループおよび/またはフィードフォワード制御ループ等)を用いて、上流または下流処理を制御し得る。例えば、図示されているシステム100は、液体タンク114からプリコンディショナー102に液体(例えば、水および/または油等)を供給するための液体調整器110(例えば、ポンプ(例えば、ピストンポンプ)または弁等)を含む。コントローラ108は、計量予混合器104に設けられているセンサ106(a)からの信号に基づいて、計量予混合器内のバッチが乾き過ぎている(例えば、検出された水含有量が所定の水含有量値より小さい)ことを決定し、より多くの水をプリコンディショナー102に加えるようポンプ110を制御し得る。同様に、コントローラ108は、センサ106(a)からの信号に基づいて、計量予混合器104内のバッチが湿り過ぎている(例えば、検出された水含有量が所定の水含有量値より大きい)ことを決定し、より少ない水をプリコンディショナー102に加えるようポンプ110を制御し得る。
【0054】
レオロジー特性(例えば、液体含有量)が所定のレオロジー値より小さい場合には、コントローラ108は、プリコンディショナー102への液流を調節するために、液流値を増加させたコマンドを生成し、それを液体調整器110に送信し得る。液体調整器110は、液流値を増加させたコマンドの受信に応答して、より多くの液流をプリコンディショナー102に供給し得る。
【0055】
レオロジー特性(例えば、液体含有量)が所定のレオロジー値より大きい場合には、コントローラ108は、プリコンディショナー102への液流を調節するために、液流値を減少させたコマンドを生成し、それを液体調整器110に送信し得る。液体調整器110は、液流値を減少させたコマンドの受信に応答して、より少ない液流をプリコンディショナー102に供給する。
【0056】
計量予混合器104からのバッチは、詰め込み供給器118内へと移動し、押出機122の後端部120(導入端部)内へと供給される。押出機122は、バレルと、詰め込み供給器118を通して加えられるバッチ126を処理するための押出機スクリュー124とを含む。押出機122は、押出機スクリュー124(または、ツインスクリュー押出機の場合には複数の押出機スクリュー)を駆動するための駆動部128を含む。バッチ126は、スクリューのねじ山130とバレル内壁132との間において混錬される。また、スクリューのねじ山130は、バッチ126を下流に送る。バレルは、例えば、高々9または10個のバレル部分までの複数のバレル部分(例えば、第1のバレル部分120、第2のバレル部分136、第3のバレル部分138、第4のバレル部分142等)を有し得る。その代わりに、バレルは、押出機122の長さの1つのバレル部分を有し得る。第1のバレル部分120には、混合および可塑化されるバッチ材料を押出機122内へと導入するための導入口144が設けられている。
【0057】
スクリュー部の下流には、混合器プレート146が配置され、押出機122の出口端部に取り付けられたカートリッジ148内に収容され得る。混合器プレート146は、可塑化されたバッチ材料126を更に混合して均質化する。カートリッジ148内にはフィルタスクリーン154および押出しダイ158も設けられ得る。押出しダイ158は、バレルの排出口に関して(例えば、バレルの端部等において)結合され得る。押出しダイ158の前には、バッチが押出しダイ158に到達する前に、安定した栓状のフローフロントの形成を容易にするための他の構造(例えば、概ね開いたキャビティ、スクリーン/ホモジナイザー154等)があってもよい。
【0058】
押出しダイ158はダイ本体160を含み得るものであり、ダイ本体160は、(i)上流側表面164にあり、ダイ本体160内へと下流に延びる供給孔162であって、上流側表面164においてセラミックプレカーサバッチを受け入れるための供給孔162と、(ii)ダイ本体160内において供給孔162と交差するマトリックスパターンに構成され、ダイの排出側表面170まで延びる出口スロット168であって、セラミックプレカーサバッチを成形してハニカム押出物172にするための出口スロット168とを画成する。ハニカム押出物172は、押出機122から空気軸受174上へと出てもよい。更なる処理は、セラミックハニカム体を生じるために押出物172を切断、乾燥、および焼成することを含み得る。
【0059】
一実施形態において、センサ106(a)は、押出機の上流におけるレオロジー特性を決定することに関して説明された。その代わりに、またはそれに加えて、センサ106(a)は、押出機バレル132内における、混合器プレート146における、押出機スクリーン154における、押出しダイ158における、および/または、押出物172が押出機122から出る際の押出しダイ158の下流におけるバッチのレオロジー特性も決定し得る。例えば、レオロジー特性は、セラミックプレカーサバッチの液体含有量(例えば、油および/または水含有量等)、セラミックプレカーサバッチの硬さ、バッチの温度、バッチの壁面抵抗、ダイ圧力、バレル圧力、混合プレートにおける圧力変化、および/または、スクリーン圧力であり得る。
【0060】
従って、センサは、計量予混合器104だけでなく、計量予混合器104の下流にある様々な位置に設けられ得る。例えば、図1では、ダイ158の下流において押出物172を調べて、バッチのレオロジー特性(例えば、バッチの水分(例えば、水)含有量および/またはバッチの有機液体(例えば、油)含有量等)を決定するためのセンサ106(b)も示されている。センサ106(b)は、そのレオロジー特性を、信号を用いてコントローラ108に送信し得る。コントローラ108は、センサ106(b)からの信号データを用いて、決定(例えば、計算等)を行い得る。計算は、そのレオロジー特性と所定のレオロジー値との比較であり得る。コントローラ108は、フィードバック制御ループにおいて、その決定に基づいて上流処理を制御し得る。
【0061】
例えば、コントローラ108は、センサ106(b)からの信号に基づいて、押出物172におけるバッチの壁面抵抗が高過ぎる(例えば、検出された壁面抵抗が所定の壁面抵抗値より大きい)ことを決定し、より多くの油(潤滑剤)をプリコンディショナー102に加えるようポンプ110を制御し得る。同様に、コントローラ108は、センサ106(b)からの信号に基づいて、押出物172におけるバッチの壁面抵抗が低過ぎる(例えば、検出された壁面抵抗が所定の壁面抵抗値より小さい)ことを決定し、より少ない油をプリコンディショナー102に加えるようポンプ110を制御し得る。コントローラ108は、液体調整器110に、押出機122内のバッチ126への油の流れを調節するための信号(例えば、コマンド等)を送信し得る。
【0062】
別の例では、センサ106(b)は、導入口144とダイ出口170との間の複数の位置において、押出機122内のバッチの圧力および温度を決定するよう設けられ構成され得る。そのような測定された圧力および温度は、コントローラ108によって、フィードバック制御ループにおいて、バッチへの液流を制御するために用いられ得る。
【0063】
更に別の実施形態では、センサ106(b)は、押出物がダイから押出成形される際の押出物の形状を決定するよう構成される。押出物の形状が仕様に合わない(例えば、押出物が軟らか過ぎて形状を保てないことを示す楕円形状を有する)場合には、コントローラ108は、より少ない水をバッチに加えるために、液体調整器110に信号を送信し得る。
【0064】
図1に示されているように、押出機122は、セラミックプレカーサバッチからガス178(例えば、空気等)を排出するための真空装置176を更に含み得る。真空装置176は、ツインスクリューベントポートスタッファーおよび真空ポンプであり得る。真空装置176は、導入口144の下流であり且つ混合器プレート146およびカートリッジ148の上流に設けられ得る。例えば、導入口144が第1のバレル部分120に設けられている場合には、真空装置176は第3のバレル部分138に設けられ得る。
【0065】
本開示の事例的な実施形態は、プリコンディショナー102、計量予混合器104、押出機122、および/または、押出物172の位置にある1以上のセンサ106(a)、106(b)を含み得る。一実施形態において、押出機および上流処理システム100は、バッチの水含有量を測定するために用いられる単一のセンサ(例えば、センサ106(a)等)のみを含む。別の実施形態では、押出機および上流処理システム100は、例えば、バッチの水含有量を測定するために用いられるセンサ106(a)、および、そのバッチについての壁面抵抗および/または圧力を測定するために用いられるセンサ106(b)等の2つのセンサを含む。この構成では、コントローラ108は、センサ106(a)から供給されたレオロジー特性を用いて、水含有量を制御すると共に、センサ106(b)から供給されたレオロジー特性を用いて、バッチの潤滑剤含有量を制御し得る。本明細書において用いられる数「106」とそれに続く括弧内の文字(例えば、「106(a)」、「106(b)」、「106(c)」等)は、押出機および上流処理システム内におけるセンサのあり得る位置を示す。システムの様々な実施形態では、1以上のあり得る位置にセンサが設けられていなくてもよく、または、システムは、各あり得る位置に1以上のセンサを有してもよい。例えば、一部の実施形態では、単一の位置に、バッチの水含有量を検出するセンサ(例えば、NIRセンサおよび/または押出物の形状を測定するセンサ)と、バッチの油含有量を測定するセンサ(例えば、NIRセンサ、圧力センサ、または温度センサ)とを有し得る。
【0066】
図2は、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との模式図を示す。図2に示されているように、幾つかの構成要素は図1のものと同じであり、幾つかの構成要素は、説明を容易にするために省略されている。例えば、重量測定計量予混合器202が計量予混合器104内へと供給し、センサ106(c)が、上述のようにセラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を決定し得る。これらの実施形態の一部においては、導入口144は、例えば、供給効率を改善するために空気を除去して粉体のバルク密度を高めるために組み込まれたFETバレルを有する重力送りサイドフィーダーであり得る。
【0067】
例示的な実施形態によれば、コントローラ108が、バッチのレオロジー特性の調節が必要であることを決定したら、コントローラ108は、リアルタイムフィードフォワード制御ループにおいて、その決定に基づいて下流処理を制御し得る。例えば、図示されているシステム200は、液体タンク114から直に押出機122内のバッチ126へと液体(例えば、水および/または油等)を供給するための液体調整器(例えば、ポンプ110(例えば、ピストンポンプ)または弁等)を含む。例えば、コントローラ108は、計量予混合器104に設けられたセンサ106(c)および/または押出機バレル132に設けられたセンサ106(d)からの信号に基づいて、計量予混合器内のバッチが乾き過ぎている(例えば、検出された水含有量が所定の水含有量値より小さい)ことを決定し、より多くの水を押出機122内のバッチ126に加えるようポンプ110を制御し得る。同様に、コントローラ108は、センサ106(c)、106(d)からの信号に基づいて、計量予混合器104内のバッチが湿り過ぎている(例えば、検出された水含有量が所定の水含有量値より大きい)ことを決定し、より少ない水を押出機122内のバッチ126に加えるようポンプ110を制御し得る。コントローラ108は、押出機122内のバッチ126への液流を調節するために、液体調整器110に信号(例えば、コマンド等)を送信し得る。
【0068】
これらの実施形態の一部によれば、液体注入口214を通して押出機バレル132内のバッチ126に液体を注入するための液体注入装置210が設けられる。これらの実施形態の一部においては、液体注入装置210はピストンポンプ等であり得る。液体注入装置210は、約0.5psi~約3000psi(約3.4kPa~約20684.3kPa)の圧力で、押出機バレル132内のバッチ126に液体を注入し得る。例えば、液体注入装置210は、約0.5psi~約10psi(約3.4kPa~約68.9kPa)の圧力で、押出機バレル132内のバッチ126に液体を注入し得る。
【0069】
押出機122の第2のバレル部分136には、押出物172の均一な混合、低い壁面抵抗、および適切な硬さを提供するために、セラミックプレカーサバッチ126に液体を加えるための注入口214が設けられ得る。液体は、押出成形中に、例えば、押出機122の混合/剪断ゾーンおよび/または押出機122の搬送ゾーンにおいて、セラミックプレカーサバッチ126に導入され得る。液体注入口214が第2のバレル部分136に設けられている場合には、押出機122の混合/剪断ゾーンは、第3のバレル部分138の端部に、剪断ディスクの代わりに、ニュートラルな混練ブロックを含み得る。液体注入口214は、バレル圧力プローブポート内に設置された高圧ノズルであり得る。これらの実施形態の一部によれば、水およびトールオイルが、注入ノズルに入る前に1つに合わさる2つのラインを有する同じポートを通して注入され得る。
【0070】
図3は、スクリュー押出機(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理とを含むシステム300の別の模式図を示す。図3に示されているように、幾つかの構成要素は図1のものと同じであり、幾つかの構成要素は、説明を容易にするために省略されている。図3では、液体タンク114から初期量の液体が加えられた後に、第2の液体追加点310において、液体(例えば、水および/または油等)がバッチに供給される。これらの例示的な実施形態では、液体タンク114によって、バッチの液体の合計の95%以下がバッチに加えられ得る。例えば、液体タンク114によって、バッチの液体の合計の90%以下がバッチに加えられてもよく、液体タンク114によって、バッチの液体の合計の85%以下がバッチに加えられてもよく、または、液体タンク114によって、バッチの液体の合計の80%以下がバッチに加えられてもよい。第2の液体追加点310では、第2の液体タンク314によって、バッチの液体の合計の100%に到達する残りの部分がバッチに加えられ得る。例えば、第2の液体追加点310において、第2の液体タンク314によってバッチに加えられる、バッチの液体の合計の100%に到達する残りの部分は、バッチの液体の合計の5%、バッチの液体の合計の10%、バッチの液体の合計の15%、またはバッチの液体の合計の20%であり得る。この残りの部分は、バッチのレオロジーの制御を提供するために調節され得る。
【0071】
図3を参照して上述したようなフィードバック制御は、センサ106(e)、106(f)、コントローラ108、および第2の液体追加点310を用いて、バッチの液体含有量、およびそれに従ってバッチのレオロジーの制御を提供し得る。例えば、図示されているシステム300は、液体タンク314から計量予混合器104へと液体(例えば、水および/または油等)を供給するための液体調整器316(例えば、ポンプ(例えば、ピストンポンプ)または弁等)を含む。コントローラ108は、センサ106(e)からの信号に基づいて、計量予混合器104内のバッチ、または、押出機122の計量予混合器104から押出物172までに沿った、センサ106(f)が設けられている他のどこかの位置にあるバッチが乾き過ぎている(例えば、検出された水含有量が所定の水含有量値より小さい)ことを決定し、より多くの水を計量予混合器104に加えるようポンプ110を制御し得る。同様に、コントローラ108は、センサ106(e)、106(f)からの信号に基づいて、計量予混合器104内のバッチ、または上述のような他の位置にあるバッチが湿り過ぎている(例えば、検出された水含有量が所定の水含有量値より大きい)ことを決定し、より少ない水を計量予混合器104に加えるようポンプ110を制御し得る。コントローラ108は、計量予混合器104への液流を調節するために、液体調整器316に信号(例えば、コマンド等)を送信し得る。
【0072】
図3では、第2の液体追加310は計量予混合器104内に示されているが、本開示はそのようには限定されず、上述のフィードバック制御を提供するためにセンサ106(e)、106(f)を第2の液体追加310の下流に維持しつつ、第2の液体追加は、図2を参照して説明したように、押出機バレル132内へと直に注入を行うよう設けられて構成されてもよい。
【0073】
図4は、スクリュー押出機システム400(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との別の模式図を示す。図4は、図1および図3と同様に、フィードバック制御システム400を示しているが、コントローラ108は、センサ106(g)、106(h)、106(i)から提供されるレオロジー特性に基づいて、(i)プリコンディショナー102への液流を調節するために、液体調整器110に信号(例えば、コマンド等)を送信してもよく、(ii)計量予混合器への液流を調節するために、液体調整器316に信号(例えば、コマンド等)を送信してもよく、および/または、(iii)第3の液体タンク414から直に押出機バレル132内へと送られる液流を調節するために、第3の液体調整器410に信号(例えば、コマンド等)を送信してもよい。
【0074】
これらの実施形態の一部においては、センサ106(g)は、第2の液体タンク314の下流であり且つ次の液体タンク414の上流において、バッチのレオロジー特性を感知するために設けられ、そのレオロジー特性をコントローラ108に送信し得るものであり、コントローラ108は、フィードバックループにおいて、液体タンク314から液体(例えば、水および/または油等)を処理に供給するよう、第2の液体調整器316を制御し得る。同時に、コントローラ108は、フィードフォワードループにおいて、第3の液体タンク414から液体(例えば、水および/または油等)を処理に供給するよう、第3の液体調整器410を制御し得る。同様に、センサ106(g)が第1の液体タンク114と第2の液体タンク314との間に設けられている場合には、コントローラ108は、第1の液体調整器110を介してフィードバック制御を提供すると共に、第2の液体調整器316および/または第3の液体調整器410を介してフィードフォワード制御を提供し得る。更に、一部の実施形態では、センサ106(h)、106(i)は、第3の液体タンク414の下流における(例えば、第3のバレル部分138における、第4のバレル部分142における、混合器プレート146における、押出機スクリーン154における、および/または、押出物172における)バッチのレオロジー特性を感知するために設けられ得る。コントローラ108は、第3の液体タンク414の下流においてセンサ106(h)、106(i)によって取得されたレオロジー特性を用いて、第1の液体調整器110、第2の液体調整器310、および/または第3の液体調整器510を介してフィードバック制御を提供し得る。
【0075】
図5は、スクリュー押出機システム500(例えば、ツインスクリュー押出機等)と、押出物(例えば、触媒コンバータ基体および/またはフィルタ用のセラミックハニカム体用のハニカム押出物等)用のバッチ成分の上流処理との別の模式図を示す。これらの実施形態の一部においては、センサ106(j)は、第2の液体タンク314の上流におけるバッチのレオロジー特性を感知するために設けられ、そのレオロジー特性をコントローラ108に送信し得るものであり、コントローラ108は、フィードフォワードループにおいて、液体タンク314から液体(例えば、水および/または油等)を処理に供給するために、第2の液体調整器310を制御し得る。センサ106(j)、106(k)は、第3の液体タンク514の上流におけるバッチのレオロジー特性を感知するために設けられ、そのレオロジー特性をコントローラ108に送信し得るものであり、コントローラ108は、フィードフォワードループにおいて、第3の液体タンク514から液体(例えば、水および/または油等)を処理に供給するために、第3の液体調整器510を制御し得る。同様に、センサ106(k)が第2の液体タンク314と第3の液体タンク514との間に設けられる場合には、コントローラ108は、第2の液体調整器310を介してフィードバック制御を提供し得ると共に、第3の液体調整器510を介してフィードフォワード制御を提供し得る。更に、一部の実施形態では、センサ106(l)は、第3の液体タンク514の下流における(例えば、第3のバレル部分138における、第4のバレル部分142における、混合器プレート146における、押出機スクリーン154における、および/または、押出物172における)バッチのレオロジー特性を感知するために設けられ得る。コントローラ108は、第3の液体タンク414の下流においてセンサ106(l)によって取得されたレオロジー特性を用いて、第1の液体調整器110、第2の液体調整器310、および/または第3の液体調整器510を介してフィードバックループ制御を提供し得る。
【0076】
図6は、1平方インチ当たり400個のセル(1平方センチメートル当たり62個のセル)と4ミル(0.1mm)の壁厚さとを有する薄肉型(TW)ハニカム押出物用の空のダイの起動についての、時間に対する押出機圧力のグラフデータプロットを示す。図6は、バッチの水分が、良好な品物を押出成形するために許容可能な含有量に到達するまでに、2時間(618)かかり得ることを示している。初期ダイ圧力過渡時間は30分間である。最大圧力は線602によって示されており、ダイ圧力は線606によって示されており、スクリーン圧力は線608によって示されており、ホモジナイザー圧力は線612によって示されている。
【0077】
新たな押出機ダイまたは空の押出機ダイの起動中は、高い圧力が必要となり得、ダイ圧力が安定化して定常状態運転圧力になるまでは、歩留まりは低くなり得る。ダイ圧力起動時間を短縮するために、液体(例えば、界面活性剤および/または潤滑剤を含む水)が加えられ得る。一部の実施形態では、最小の起動時間を可能にするために、空のダイを通して充填されるバッチを送るために、所定の量の液体が所定の期間にわたって加えられ得る。そのような実施形態では、所定のレオロジー値は、定常状態での運転中の液体の量より大きい所定の量の液体を必要とし得る。これらの実施形態の一部においては、押出しダイ圧力は締切圧より低いままになるので、押出機122のスループットは一定のままになり得る。この一定のスループットは、所定の量の液体の注入がなければ、可能にならないものであり得る。押出しダイ圧力が、安定したレベルに戻ったら、押出物はラインを通して処理され得る。
【0078】
簡単に上述したように、これらの例示的な実施形態の一部によれば、液体注入口214は、セラミックプレカーサバッチ126中の液体のばらつきを低減し得る。説明したように、液体の安定性は、センサ106を用いてバッチ中の液体含有量を計測することによって行われ得る。液体注入口214とセンサ106との間におけるフィードバックまたはフィードフォワードループは、液体の含有量が低くなっているまたは液体の含有量が高くなっていることをセンサ106が検出した場合に、バッチ中の液体の目標量を達成するために、指定されている量の液体をバッチに注入し得る。バッチの液体のばらつきを低減することで、圧力および温度の安定性を含む処理の安定性が改善され、押出成形された製品の均一性が得られる。
【0079】
図7は、セラミック形成バッチの近赤外線(NIR)読取値から得られたデータについての、時間に対する重量パーセントのグラフプロットを示すものであり、経時的なばらつきを示している。線702は、計量予混合器104内におけるセラミックプレカーサバッチの水分を20%~30%のスケールで示しており、線708は、計量予混合器104内における油含有量を0%~10%のスケールで示している。そのようなデータは、本開示の例示的な実施形態による、バッチの液体のばらつきを低減するための液体注入口214を含むフィードバックおよびフィードフォワード制御ループにおいて用いられ得る。
【0080】
これらの例示的な実施形態の一部では、押出しダイ158に送出されるセラミックプレカーサバッチのレオロジーを、所望のレオロジー特性を達成するよう調整するために、押出機122の圧力ポートにおいて、ニアラインレオロジー特徴付けツールが用いられ得る。そのような場合には、液体は、硬さおよび壁面抵抗の両方について最適な含有量になるよう調節され得る。例えば、プリコンディショナー102(例えば、Littleford(登録商標)ミキサー等)は、液体の90%を注入し得るものであり、液体注入口214は、セラミックプレカーサバッチについて各液体の最後の10%を注入し得る。例えば、壁面抵抗がノミナルより僅かに高い場合には、壁面抵抗を低くするために、増加されたトールオイルまたはステアリン酸乳液が注入され得るものであり、壁面抵抗がノミナルより僅かに低い場合には、壁面抵抗を高めるために、減少されたトールオイルまたはステアリン酸乳液が注入され得る。例えば、硬さ調節については、フィードバックを受信したら、最適な水含有量およびバッチ硬さを達成するために、水の合計量が直ちに調節され得る。これにより、最適化された水含有量を達成するために、バッチ中の水分を変更するための時間が、約20~40分間から10分間未満に短縮される。そのようなバッチ中の水分を変更するための時間の短縮は、製造効率を劇的に改善すると共に、ハニカム体押出物の欠陥(例えば、膨れたウェブ、速く流れるウェブ、潰れ、およびいびつな押出物等)に起因する材料使用量の損失を低減する。
【0081】
更に、これらの実施形態の一部によれば、フィードバックおよびフィードフォワードレオロジー制御は、一定の押出しダイ圧力を提供し得る。例えば、バッチ中の無機物は様々であり得るが、バッチのレオロジーは、押出しダイ158におけるセンサ106によって検出できる。そのような場合には、コントローラ108は、そのレオロジー特性を所定のレオロジー値と比較して、一定のダイ押出し圧力を維持するためにバッチの液体含有量を修正するために、液体調整器(例えば、液体注入口214および/または調整器110等)を制御し得る。即ち、一部の実施形態では、無機バッチ成分(例えば、原材料における粒径、粒径分布、または他の変化等)が変わる場合には、一定の液体含有量目標を有することは、安定した押出し圧力を達成するために十分ではない。むしろ、入力される変数が変われば、所定のレオロジー値を満たすための目標液体含有量も変わる。従って、これらの実施形態の一部においては、センサ106によって、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性の変化が、押出しダイ圧力および/または他の押出し圧力(例えば、バレル圧力、混合器プレート146圧力変化、スクリーン圧力等、およびそれらの組合せ)に基づいて測定され得る。
【0082】
本開示の一部の実施形態は、新たなダイおよび空のダイの起動時間を顕著に短縮することができ、その結果、例えば、パージ損失の低減に起因する押出物の効率的な製造ができる。本開示の一部の実施形態は、押出機内のバッチへの水および/または他の液体の追加の粗調整および微調整を可能にし得るものであり、それにより、(i)液体含有量の変化が決定されたときと、(ii)水含有量の変化が形成処理に影響するときとの間の時間を短縮し得る。また、本開示の一部の実施形態は、(上流の混合器内におけるバッチの調節と比較して)より連続的、動的、且つリアルタイムな水および/または他の液体の調節によって、形成処理のばらつきを低減し得る。更に、本開示の一部の実施形態は、押出機の修理中の分解およびクリーニングを容易にする。更に、本開示の一部の実施形態は、押出機内における真空処理に起因する温度および水分損失を制御し、それにより、不適合のバッチが押出成形される時間を顕著に低減するために用いられ得る。
【0083】
本明細書に記載された方法および処理の一部(例えば、(i)センサからレオロジー特性を受信する工程、(ii)セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を所定のレオロジー値と比較する工程、および(iii)比較に基づいてコマンドを生成する工程等)は、コントローラによって行われ得る。
【0084】
「コントローラ」という用語は、本明細書において開示された実施形態を、何らかの特定の装置タイプまたはシステムに限定するものと解釈されるべきではない。一実施形態において、コントローラは、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、またはメインフレームコンピュータであり得る。ユーザがコンピュータシステムとやりとりできるように、コンピュータシステムはグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含み得る。コンピュータシステムは、上述の方法および処理のうちの任意のもの(例えば、上記に挙げた処理i~iii)を実行するためのコンピュータプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、または汎用コンピュータ)も含み得る。
【0085】
コンピュータシステムは、例えば、半導体記憶装置(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、もしくはフラッシュプログラマブルRAM)、磁気記憶装置(例えば、ディスケットもしくは固定ディスク)、光記憶装置(例えば、CD-ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、または他の記憶装置等のメモリを更に含み得る。このメモリは、例えば、セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性およびセラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値を格納するために用いられ得る。
【0086】
上記に挙げた処理i~iiiを含む、上述の方法および処理の一部は、コンピュータプロセッサと共に用いられるコンピュータプログラム論理として実装され得る。コンピュータプログラム論理は、ソースコードの形態またはコンピュータが実行可能な形態を含む様々な形態で具現化され得る。ソースコードは、様々なプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、または、例えば、C、C++、もしくはJAVA(登録商標)等の高レベル言語)での一続きのコンピュータプログラム指示を含み得る。そのようなコンピュータ指示は、非一過性のコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ)に格納されて、コンピュータプロセッサによって実行され得る。コンピュータ指示は、印刷された文書または電子文書を伴うリムーバブル記憶媒体としての任意の形態(例えば、シュリンクパックされたソフトウェア)で配布されてもよく、コンピュータシステムに(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)予めロードされていてもよく、または、サーバもしくは電子掲示板から通信システム(例えば、インターネットもしくはワールドワイドウェブ)を介して配布されてもよい。
【0087】
それに加えて、またはその代わりに、コントローラは、プリント回路基板に結合されたディスクリート電子コンポーネント、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、および/またはプログラマブル論理装置(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))を含み得る。上述の方法および処理のうちの任意のものは、そのような論理装置を用いて実装され得る。
【0088】
本開示の目的で、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、またはX、Y、およびZのうちの2以上の項目の任意の組合せ(例えば、XYZ、XYY、YZ、ZZ)として解釈され得ることが理解されよう。更に、本開示の目的で、「X、Y、および/またはZ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、またはX、Y、およびZのうちの2以上の項目の任意の組合せ(例えば、XYZ、XYY、YZ、ZZ)として解釈され得ることが理解されよう。
【0089】
本明細書を通した例示的な実施形態に対する参照、および、本明細書を通した類所の言葉は、同じ実施形態を参照し得るが、必ずしもそうではない。更に、或る例示的な実施形態を参照して本明細書に記載された主題の記載された特徴、構造、または特性は、1以上の例示的な実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0090】
上述の方法は、一般的に、論理的フローとして述べられている。従って、順序および工程は、代表的な実施形態を示すものである。上述の方法の1以上の工程、またはそれらの一部と等価の機能、論理、または効果を有する他の工程および方法も考えられる。それに加えて、特定の方法が行われる順序は、本明細書に記載された対応する工程の順序に厳密に従ってもよく、従わなくてもよい。
【0091】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示において様々な変形および変更が行われ得ることが、当業者には自明であろう。従って、添付の特許請求の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内である、本開示の様々な変形および変更を網羅することが意図される。
【0092】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0093】
実施形態1
押出機バレルの第1の部分内へとセラミックプレカーサバッチを供給するよう構成された導入口、および、前記導入口の下流において前記押出機バレルから出るセラミックプレカーサ押出物を押出成形するよう構成された排出口を含む押出機と、
前記セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成された液体注入器と、
前記セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出するよう構成されたセンサと、
(i)前記センサから前記レオロジー特性を受信し、(ii)前記レオロジー特性を前記セラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値と比較し、(iii)前記比較に基づいてコマンドを生成するよう構成されたコントローラと、
前記コマンドを受信し、該コマンドに基づいて前記液体注入器への液流を調節するよう構成された液体調整器と
を含むことを特徴とする押出しシステム。
【0094】
実施形態2
前記レオロジー特性が、(i)前記セラミックプレカーサバッチの液体含有量、(ii)前記セラミックプレカーサバッチの硬さ、(iii)前記セラミックプレカーサバッチの壁面抵抗、(iv)ダイ圧力、(v)バレル圧力、(vi)混合プレートにおける圧力変化、(vii)押出しトルク、(viii)セラミックプレカーサバッチ温度、および(ix)スクリーン圧力のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1記載のシステム。
【0095】
実施形態3
前記所定のレオロジー値が、(i)押出機ダイ起動条件についての第1の液体値、および(ii)前記第1の値より小さい定常状態押出機条件についての第2の液体値を含む、実施形態1~2のいずれか一つに記載のシステム。
【0096】
実施形態4
前記液体注入器が、前記押出機バレルの前記第1の部分の上流において前記セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成された、実施形態1~3のいずれか一つに記載のシステム。
【0097】
実施形態5
前記液体注入器が、前記押出機バレルの前記第1の部分の下流にあり且つ前記押出機バレルの前記排出口の上流にある前記押出機バレルの第2の部分において、前記セラミックプレカーサバッチに液体を注入するよう構成された、実施形態1~4のいずれか一つに記載のシステム。
【0098】
実施形態6
前記液体注入器が、0.5psi~3000psi(約3.4kPa~約20684.3kPa)の圧力で前記押出機バレル内へと液体を注入するよう構成された、実施形態1~5のいずれか一つに記載のシステム。
【0099】
実施形態7
前記液体注入器が、0.5psi~10psi(約3.4kPa~約68.9kPa)の圧力で前記押出機バレル内へと液体を注入するよう構成された、実施形態1~6のいずれか一つに記載のシステム。
【0100】
実施形態8
前記液体注入器が、液体注入口を通して前記押出機バレル内へと液体を注入するよう構成された、実施形態1~7のいずれか一つに記載のシステム。
【0101】
実施形態9
前記センサが、前記導入口の上流において前記セラミックプレカーサバッチ中の前記液体含有量を検出するよう構成された、実施形態1~8のいずれか一つに記載のシステム。
【0102】
実施形態10
前記センサが、前記排出口の下流において前記セラミックプレカーサバッチ中の前記液体含有量を検出するよう構成された、実施形態1~9のいずれか一つに記載のシステム。
【0103】
実施形態11
前記センサが、前記セラミックプレカーサバッチ中の前記液体含有量として、油性流体含有量および水性流体含有量のうちの少なくとも1つを検出するよう構成された、実施形態1~10のいずれか一つに記載のシステム。
【0104】
実施形態12
前記センサが、(i)赤外線(IR)センサおよび(ii)マイクロ波センサのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~11のいずれか一つに記載のシステム。
【0105】
実施形態13
前記排出口に結合されたダイを更に含み、該ダイが、
ダイ本体と、
前記ダイ本体の上流側表面に設けられ、前記ダイ本体内へと下流に延びる供給孔であって、前記上流側表面において前記セラミックプレカーサバッチを受け入れるよう構成された供給孔と、
前記ダイ本体内において前記供給孔と交差するマトリックスパターンに構成され、前記ダイの排出側表面まで延びる出口スロットであって、前記セラミックプレカーサバッチを成形してハニカム押出物にするよう構成された出口スロットと
を含む、
実施形態1~12のいずれか一つに記載のシステム。
【0106】
実施形態14
前記コントローラが、(i)前記レオロジー特性が前記所定のレオロジー値より小さいときに、液流値を増加させた前記コマンドを生成し、(ii)前記レオロジー特性が前記所定のレオロジー値より大きいときに、液流値を減少させた前記コマンドを生成するよう構成された、実施形態1~13のいずれか一つに記載のシステム。
【0107】
実施形態15
前記液体調整器が、前記液流値を増加させた前記コマンドの受信に応答して、前記液体注入器への液流を増やすよう調節するよう構成され、且つ、
前記液体調整器が、前記液流値を減少させた前記コマンドの受信に応答して、前記液体注入器への液流を減らすよう調節するよう構成された、
実施形態1~14のいずれか一つに記載のシステム。
【0108】
実施形態16
前記導入口の下流にあり、前記液体注入器の下流にあり、且つ、前記排出口の上流にある前記押出機バレルの第3の部分において、前記セラミックプレカーサバッチからガスを排出するよう構成された真空装置を更に含む、実施形態1~15のいずれか一つに記載のシステム。
【0109】
実施形態17
セラミックプレカーサ押出物を製造する方法であって、
セラミックプレカーサバッチを押出機バレルの第1の部分内に配置する工程と、
前記セラミックプレカーサバッチに液体を注入する工程と、
配置する前記工程および注入する前記工程の下流において、前記押出機バレルから出るセラミックプレカーサ押出物を押出成形する工程と、
前記セラミックプレカーサバッチのレオロジー特性を検出する工程と、
前記レオロジー特性を前記セラミックプレカーサバッチの所定のレオロジー値と比較する工程と、
比較する前記工程に基づいて、前記セラミックプレカーサバッチへの液体の注入を調節する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【0110】
実施形態18
前記所定のレオロジー値が、(i)押出機ダイ起動条件についての第1の液体値、および(ii)前記第1の値より小さい定常状態押出機条件についての第2の液体値を含む、実施形態17記載の方法。
【0111】
実施形態19
前記所定のレオロジー値が、(i)ダイ圧力、(ii)バレル圧力、(iii)混合プレートにおける圧力変化、(iv)スクリーン圧力、および(v)セラミックプレカーサバッチ温度のうちの少なくとも1つである、実施形態17~18のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
実施形態20
注入する前記工程が前記第1の部分の上流において行われる、実施形態17~19のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態21
注入する前記工程が、前記第1の部分の下流にある前記押出機バレルの第2の部分において行われる、実施形態17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態22
注入する前記工程が、0.5psi~3000psi(約3.4kPa~約20684.3kPa)の圧力で行われる、実施形態17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態23
検出する前記工程が、注入する前記工程の上流において、前記セラミックプレカーサバッチの前記レオロジー特性を検出することを含む、実施形態17~22のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態24
検出する前記工程が、押出成形する前記工程の下流において、前記セラミックプレカーサバッチの前記レオロジー特性を検出することを含む、実施形態17~23のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態25
押出成形する前記工程が、ハニカム押出物を形成することを含む、実施形態17~24のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0118】
100、300、500 押出機システム
102 プリコンディショナー
104 計量予混合器
106(a)、106(b)、106(c)、106(d)、106(e)、106(f)、106(g)、106(h)、106(i)、106(j)、106(k) センサ
108 コントローラ
110、316、410、510 液体調整器
114、314、414、514 液体タンク
122 押出機
126 バッチ
120 第1のバレル部分
136 第2のバレル部分
138 第3のバレル部分
142 第4のバレル部分
144 導入口
146 混合器プレート
154 フィルタスクリーン
158 押出しダイ
160 ダイ本体
162 供給孔
164 上流側表面
168 出口スロット
170 排出側表面
172 ハニカム押出物
214 液体注入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7