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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007187
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】搬送用車両
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20230111BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B62B3/02 G
B62B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110281
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敏也
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 紘
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050BB22
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050FF02
3D050GG01
3D050HH07
3D050KK14
(57)【要約】
【課題】搬送物の昇降が可能であって、ホイールベースを可動できる、搬送用車両を提供する。
【解決手段】搬送用車両は、荷台部と、第1車輪が取り付けられた第1車体部と、第2車輪が取り付けられた第2車体部と、連結部と、伸縮可能なアクチュエータ部とを備える。連結部には、第1車体部に対して、第2車体部が揺動する連結軸を有する。アクチュエータ部は、連結部の下側の第1車輪の軸線と第2車輪の軸線との間の距離を変化させる。
を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台部と、
第1車輪が取り付けられた第1車体部と、
第2車輪が取り付けられた第2車体部と、
前記第1車体部に対して、前記第2車体部が揺動する連結軸を有する連結部と、
前記荷台部の下側と連結され、前記連結部を備える取付部と、
前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離を変化させるアクチュエータ部と、
を備える搬送用車両。
【請求項2】
前記アクチュエータ部は、ネジ軸と、ナットとを含み、
前記ナットに対して前記ネジ軸が突出する突出量が大きくなると、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が大きくなり、
前記ナットに対して前記ネジ軸が突出する突出量が小さくなると、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が小さくなる、請求項1に記載の搬送用車両。
【請求項3】
前記ネジ軸は、前記連結軸の下側にある、請求項2に記載の搬送用車両。
【請求項4】
前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が大きくなると、路面から前記荷台部までの高さが小さくなり、
前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が小さくなると、前記路面から前記荷台部までの高さが大きくなる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送用車両。
【請求項5】
前記第1車体部は、前記連結部の下側において、前記第2車体部に対向する第1面を有し、
前記第2車体部は、前記連結部の下側において、前記第1車体部に対向する第2面を有し、
前記第1面と前記第2面とが当接すると、前記第1面と前記第2面とが平行になる、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送用車両。
【請求項6】
前記第1車体部側に重心がある、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送用車両。
【請求項7】
前記アクチュエータ部の一端は、前記第1車体部に対して回転可能に支持されており、
前記アクチュエータ部の他端は、前記第2車体部に対して回転可能に支持されており、
前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が変わっても、前記アクチュエータ部の一端から前記アクチュエータ部の他端までの方向は変化しない、請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送用車両には、搬送物の出し入れ時における作業者の身体的な作業負担の軽減が求められている。例えば、特許文献1には、台車と、台車から垂直方向に延在する垂直軸と、垂直軸に連結されるロボットアームと、を備え、ロボットアームが台車に搬送物を積載する又は台車から搬送物を持ち上げる移動体の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-55085号公報
【特許文献2】特開2000-344481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宅配ロボット、無人搬送台車(AGV;Auto Guided Vehicle)、搬送用カート等、搬送物を保持して道路を走行する小型の搬送用車両には、走行安定性が求められている。
【0005】
特許文献2には、搬送物の昇降機能および搬送物確保のためのホイールベースの可動機能を備えているフォークリフトが記載されている。
【0006】
搬送物の昇降が可能であって、ホイールベースの可動をより短いアクチュエータで実現させたい要望がある。
【0007】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、搬送物の昇降が可能であって、ホイールベースを可動できる、搬送用車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の搬送用車両は、荷台部と、第1車輪が取り付けられた第1車体部と、第2車輪が取り付けられた第2車体部と、前記第1車体部に対して、前記第2車体部が揺動する連結軸を有する連結部と、前記荷台部の下側と連結され、前記連結部を備える取付部と、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離を変化させるアクチュエータ部と、を備える。
【0009】
これにより、搬送用車両は、搬送物を入れる荷台部の昇降が可能であって、ホイールベースをアクチュエータ部で可動できる。
【0010】
望ましい態様として、前記アクチュエータ部は、ネジ軸と、ナットとを含み、前記ナットに対して前記ネジ軸が突出する突出量が大きくなると、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が大きくなり、前記ナットに対して前記ネジ軸が突出する突出量が小さくなると、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が小さくなる。
【0011】
これにより、搬送用車両は、アクチュエータ部の伸縮に応じて、ホイールベースの可動を調整できる。
【0012】
望ましい態様として、前記ネジ軸は、前記連結軸の下側にある。
【0013】
ネジ軸の長さが小さくても、ホイールベースの変化を大きくすることができる。
【0014】
望ましい態様として、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が大きくなると、路面から前記荷台部までの高さが小さくなり、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が小さくなると、前記路面から前記荷台部までの高さが大きくなる。
【0015】
これにより、搬送用車両は、荷台部の昇降と、ホイールベースの可動とを連動させることができる。
【0016】
望ましい態様として、前記第1車体部は、前記連結部の下側において、前記第2車体部に対向する第1面を有し、前記第2車体部は、前記連結部の下側において、前記第1車体部に対向する第2面を有し、前記第1面と前記第2面とが当接すると、前記第1面と前記第2面とが平行になる。
【0017】
これにより、第1面と第2面とが当接した状態では、荷台部が高くなっても、姿勢が安定する。
【0018】
望ましい態様として、前記第1車体部側に重心がある。
【0019】
これにより、搬送用車両は、第1車体部を前方にして進めば、斜面を登坂走行しても、姿勢が安定する。
【0020】
望ましい態様として、前記アクチュエータ部の一端は、前記第1車体部に対して回転可能に支持されており、前記アクチュエータ部の他端は、前記第2車体部に対して回転可能に支持されており、前記連結部の下側の前記第1車輪の軸線と前記第2車輪の軸線との間の距離が変わっても、前記アクチュエータ部の一端から前記アクチュエータ部の他端までの方向は変化しない。
【0021】
これにより、アクチュエータ部の動作は、第1車体部および第2車体部の動作と干渉しにくくなり、円滑になる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、搬送物の昇降が可能であって、ホイールベースを可動できる、搬送用車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る第1モードの搬送用車両の側面図である。
図2図2は、図1のZ1-Z1における矢視断面図である。
図3図3は、図2のY1-Y1における矢視断面図である。
図4図4は、アクチュエータ部と搬送用車両との関係を説明するための説明図である。
図5図5は、本実施形態に係る第2モードの搬送用車両の断面図である。
図6図6は、本実施形態に係る第3モードの搬送用車両の断面図である。
図7図7は、登坂時の搬送用車両を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0025】
図1は、本実施形態に係る第1モードの搬送用車両の側面図である。図2は、図1のZ1-Z1における矢視断面図である。図3は、図2のY1-Y1における矢視断面図である。図4は、アクチュエータ部と搬送用車両との関係を説明するための説明図である。以下の説明においては、XYZ直交座標軸が用いられる。X軸は、搬送用車両におけるホイールベースに沿う軸である。X軸に沿う方向をX方向という。Y軸は、幅方向(左右方向)と平行な方向に沿う軸である。Y軸に沿う方向をY方向という。Z軸は、X-Y平面に垂直な軸である。Z軸に沿う方向をZ方向という。
【0026】
<搬送用車両>
搬送用車両10は、道路などの路面を走行する。宅配ロボット、無人搬送台車等、搬送物を保持して走行する。搬送用車両10は、走行車である。搬送用車両10は、無人走行車でなく、例えば、人力で押される搬送用カートなどであってもよい。搬送用車両10は、図1のX方向の第1車輪24の方を前方として走行する。
【0027】
搬送用車両10は、第1車体部20、第2車体部30、連結部40、アクチュエータ部50(図3参照)、荷台部60、およびコントローラ80を有する。第1車体部20に対して第2車体部30は、連結軸42周りに揺動可能に連結される。第1車体部20と第2車体部30とは、図2に示すように、Z方向から見てY方向の中心軸U上に並べて配置される。
【0028】
第1車体部20は、第1車輪24、第1ヒンジ部44(図2参照)、1対のブラケット26(図2参照)および第1面28を有する。第1車輪24は、操舵輪であって、従動輪である。図2に示すように、第1車輪24には、左車輪24Lと右車輪24Rとがある。第1車輪軸線22は、車輪軸を結ぶ線であって、図2に示すように、左車輪24Lの中心と右車輪24Rの中心とを結ぶ線である。左車輪24Lと右車輪24Rとの間隔は、長さBである。第1車輪軸線22は、Y軸と平行な軸線である。第1車体部20は、連結部40の下側において、第2車体部30に対向する第1面28を有している。
【0029】
1対のブラケット26は、Y方向に貫通する孔26Hをそれぞれ備える。1対のブラケット26は、図2および図3に示すように、第1車体部20の内部の、前方から見て右側の面および左側の面に、それぞれ備えられる。1対のブラケット26は、それぞれの面から、第1車体部20のY方向の中心に向かってそれぞれ延びる。孔26Hは、ブラケット26の第1車体部20のY方向の中心側の端部に備えられる。1対のブラケット26の、それぞれの孔26Hは、孔26H同士が同軸上に備えられる。1対のブラケット26の孔26Hは、第1車体部20の内部の左側の面側および右側の面側の、連結軸42の軸線と第1車輪軸線22とを結んだ線上に、それぞれ備えられてもよい。
【0030】
第1面28は、図1および図3に示すように、第1車体部20の後方の面の下方に備えられる。第1面28は、Y方向から見て、第1車体部20の後方の面と、下方の面とが接合する角が、所定の平面で切除された形状を有する。
【0031】
第2車体部30は、第2車輪34、第2ヒンジ部46(図2参照)、1対のブラケット36(図2参照)および第2面38を有する。第2車輪34は、駆動輪であり、内部に印ホイールモータを備えている。第2車輪34の駆動源は、インホイールモータではなく、原動機や、走行用のモータであってもよい。図2に示すように、第2車輪34には、左車輪34Lと右車輪34Rとがある。第2車輪軸線32は、車輪軸を結ぶ線であって、図2に示すように、左車輪34Lの中心と右車輪34Rの中心とを結ぶ線である。第2車輪軸線32は、Y軸と平行な軸線である。第2車体部30は、連結部40の下側において、第1車体部20に対向する第2面38を有している。
【0032】
図2に示すように、1対のブラケット36は、Y方向に貫通する孔36Hをそれぞれ備える。1対のブラケット36は、図2および図3に示すように、第2車体部30の、前方から見て左側面および右側面にそれぞれ備えられ、第2車体部30のY方向の中心に向かってそれぞれ延びる。それぞれの孔36Hは、ブラケット36の第2車体部30のY方向の中心側の端部に備えられる。1対のブラケット36の、Y方向の中心側の端同士の間隙は、所定の間隔となっている。1対のブラケット36の孔36Hは、同軸上に備えられる。1対のブラケット36の孔36Hは、第2車体部30の内部の左側面側および右側面側の、連結軸42の軸線と第2車輪軸線32とを結んだ線上に、それぞれ備えられてもよい。
【0033】
第2面38は、図1および図3に示すように、第2車体部30の前方の面の下方に備えられる。第2面38は、Y方向から見て、第2車体部30の前方の面と、下方の面とが接合する角が、所定の平面で切除された形状を有する。
【0034】
以下の説明において、第1車輪軸線22と第2車輪軸線32とを結んだ線分は、図1に示す車両底部の基準線Kとする。基準線Kは、第1車体部20の第1車輪24の半径r1と第2車体部30の第1車輪24の半径r2とが同じである場合、路面と平行となる。
【0035】
連結部40は、第1車体部20と第2車体部30とを連結するヒンジ機構である。連結部は、第1ヒンジ部44と、第2ヒンジ部46と、連結軸42とを有する。第1ヒンジ部44と、第2ヒンジ部46とは、Y方向に重なり合わない位置にある。
【0036】
第1ヒンジ部44は、図1に示すように、第1車体部20の後方の面の上方に備えられる。第1ヒンジ部44は、第1車体部20と一体に備えられる。第1ヒンジ部44には、Y方向に貫通する孔44Hがある。
【0037】
第2ヒンジ部46は、第2車体部30の前方の面の上方に備えられる。第2ヒンジ部46は、第2車体部30と一体に備えられる。第2ヒンジ部46には、Y方向に貫通する孔46Hがある。
【0038】
図2に示すように、連結軸42は、第1ヒンジ部44の孔44Hと第2ヒンジ部46の孔46Hとに挿通されている。連結軸42は、Y軸と平行な連結軸42上に備えられる。連結軸42は、円柱形状の軸ピンまたはシャフトである。以下の説明において、図1および図3に示すように、連結軸42の軸線と第1車輪軸線22とを結ぶ仮想上の直線の線分は、第1揺動線V1とされる。連結軸42から第1車輪軸線22までの第1揺動線V1の長さは、図4に示すように、長さM1である。図1および図3に示すように、連結軸42の軸線と第2車輪軸線32とを結ぶ仮想上の直線の線分は、第2揺動線V2とされる。連結軸42から第1車輪軸線22までの第2揺動線V2の長さは、図4に示すように、長さM2である。
【0039】
荷台部60は、荷物を収納することができる。荷台部60は、図1に示すように、搬送用車両10の上方に備えられる。荷台部60は、連結部40に、連結軸42周りに揺動可能に備えられる。荷台部60は、収納部62および取付部64を有する。
【0040】
収納部62と取付部64とは、固定されている。収納部62は、箱形状を有する。収納部62は底面66を備える。底面66は平面となっている。収納部62は、例えば、開閉蓋を備えており、開閉蓋を開閉して内部に荷物を出し入れすることができる。
【0041】
取付部64は、荷台部60を搬送用車両10に対して取り付ける。取付部64は、収納部62の底面66に取り付けられる。例えば、取付部64は、収納部62の底面66に溶接される。取付部64は、Y方向に貫通する孔64Hを備えるブラケットである。取付部64は、複数のブラケットが、Y方向に離隔して形成されてもよい。取付部64は、孔64Hに、連結軸42の軸ピンが挿通されて、連結軸42まわりに揺動可能に取り付けられる。取付部64の孔64Hに挿通される軸ピンは、連結軸42の第1ヒンジ部44と第2ヒンジ部46とを連結する軸ピンと同じである。
【0042】
荷台部60は、連結部40とともに高さの位置を変化することができる。すなわち、アクチュエータ部50の長さの伸縮に応じて、荷台部60の位置の高さが変化する。荷台部60の位置の高さは、路面から、底面66の連結軸42からの軸が直交する点である基準点68までの高さである。
【0043】
姿勢調整部70は、荷台部60を、基準線Kに対して所定の角度となるよう支持する。具体的には、姿勢調整部70は、Y方向から見て、荷台部60の底面66が基準線Kに対して所定の角度となるよう支持する。姿勢調整部70は、Y方向から見て、例えば、荷台部60の底面66を、基準線Kと平行となるよう支持する。姿勢調整部70は、第1バネ部72および第2バネ部74を含む。
【0044】
第1バネ部72は、荷台部60の底面66の前方側に備えられる。第2バネ部74は、荷台部60の底面66の後方側に備えられる。第1バネ部72および第2バネ部74の一端は、それぞれ荷台部60の底面66に取り付けられ、第1バネ部72および第2バネ部74の他端は、第1車体部20の上方の面および第2車体部30の上方の面に、それぞれ取り付けられる。
【0045】
第1車体部20の第1角度A1および第2車体部30の第2角度A2が変化すると、第1バネ部72は、荷台部60と第1車体部20との間隔δ1が変化し、また、第2バネ部74は、荷台部60と第2車体部30との間隔δ2が変化する。第1バネ部72および第2バネ部74は、間隔δ1(図3参照)および間隔δ2(図3参照)の変化量に応じて、それぞれ変化した方向と逆方向の力が生じる。これにより、第1バネ部72による付勢力と第2バネ部74による付勢力とが均衡する。このようにして、荷台部60は、姿勢調整部70により、第1車体部20および第2車体部30が連結軸42周りに揺動しても、基準線Kに対して所定の角度をとることができる。
【0046】
<アクチュエータ部>
アクチュエータ部50は、図3に示すように、搬送用車両10の中心軸Uの軸上に備えられ、X方向に長さを伸縮する。アクチュエータ部50は、X方向の伸縮する一端にブラケット52および他端にブラケット54を有する。アクチュエータ部50は、X方向に伸縮することにより、ブラケット52とブラケット54との間の、X方向の長さを変化させる。
【0047】
アクチュエータ部50は、モータ50a、第1プレート50b、ネジ機構50c、ガイド機構50d、プーリーアンドベルト機構50e、第2プレート50fおよび第3プレート50gを含む。
【0048】
モータ50aは、出力軸を回転させる。モータ50aは、出力回転数および回転速度が調整可能となっている。モータ50aは、ブレーキ機能を備えてもよい。
【0049】
ネジ機構50cは、ボールねじ装置であり、ネジ軸50c1およびナット50c2を含む。ネジ軸50c1の外周には、所定のリードの軌道溝が形成されている。ナット50c2には、内周部の内部にネジ軸50c1の軌道溝と対応する軌道溝が形成されている。ナット50c2とネジ軸50c1との間には、図示しないボールなどの転動体が備えられる。ネジ軸50c1の軌道溝と、ナット50c2の軌道溝との間に、ボールを介して接触して螺合する。ネジ機構50cは、ナット50c2の回転運動を直動運動に変換する。ネジ機構50cは、ナット50c2が回転することで、ネジ軸50c1をネジ軸50c1のX方向に移動させる。
【0050】
ガイド機構50dは、ガイド軸50d1およびスライダ50d2を含む。ガイド軸50d1は、中心軸Uと平行方向に伸びており、スライダ50d2の移動をX方向のみに規制する。なお、ガイド機構50dは、省略してもよい。
【0051】
プーリーアンドベルト機構50eは、プーリー50e1、プーリー50e2およびベルト50e3を含む。プーリー50e1と、プーリー50e2とは、所定のギア比を有する。プーリー50e2の直径は、プーリー50e1の直径より大きくてよい。
【0052】
図4に示すように、モータ50aは、第1プレート50bに取り付けられ、モータ50aの出力軸には、プーリーアンドベルト機構50eのプーリー50e1が取り付けられる。プーリーアンドベルト機構50eのプーリー50e2は、ネジ機構50cのナット50c2に取り付けられる。ネジ機構50cのナット50c2はベアリングを備えており、第1プレート50bに取り付けられる。これにより、ナット50c2は、第1プレート50bに対して回転自在となる。そして、ナット50c2は、第1プレート50bとの間の距離は固定され、ナット50c2の軸方向への移動は拘束される。プーリー50e1と、プーリー50e2とは、それぞれモータ50aおよびのナット50c2にそれぞれ取り付けられた後、1つのベルト50e3で巻かれる。ガイド機構50dのガイド軸50d1の軸線方向は、ネジ軸50c1の軸線方向と平行に備えられる。ガイド軸50d1およびネジ軸50c1の軸線方向の一端は、共に第2プレート50fに固定され、ガイド軸50d1およびネジ軸50c1の軸線方向の他端は、共に第3プレート50gに固定される。アクチュエータ部50は、モータ50aの回転が、プーリーアンドベルト機構50eを介して、ネジ機構50cのナット50c2を回転させる。
【0053】
アクチュエータ部50において、モータ50aの回転は、プーリーアンドベルト機構50eを介してナット50c2に伝達され、モータ50aの回転に応じて、ナット50c2が回転する。ナット50c2の回転は、ネジ軸50c1をX方向に移動させ、ナット50c2に対するネジ軸50c1の位置を変化させる。これにより、アクチュエータ部50は、X方向に長さを伸縮させることができる。このように、本実施形態において、アクチュエータ部50の伸縮とは、第1プレート50bと第2プレート50fが相対移動することをいう。
【0054】
アクチュエータ部50のブラケット52およびブラケット54は、軸線方向がY方向の孔52Hおよび孔54Hを、それぞれ有する。ブラケット52は、第1プレート50bに固定される。ブラケット54は、第2プレート50fに固定される。
【0055】
ブラケット52およびブラケット54は、第1車体部20または第2車体部30に対して、それぞれ揺動可能に取り付けられる。具体的には、アクチュエータ部50の一端側のブラケット52の孔52H(図4参照)と、第1車体部20のブラケット26の孔26H(図3参照)とが、それぞれ軸ピン51に挿通される。また、アクチュエータ部50の他端側のブラケット54の孔54H(図4参照)と、第2車体部30のブラケット36の孔36H(図3参照)とが、軸ピン53で挿通される。
【0056】
図2に示すように、アクチュエータ部50は、搬送用車両10の、Z方向における、連結部40と第1車輪軸線22および第2車輪軸線32との間に備えられる。具体的には、アクチュエータ部50の伸縮する一端側の軸ピン51の軸線が、第1車体部20の、Z方向における連結軸42の軸線と第1車輪軸線22との間に備えられる。また、アクチュエータ部50の伸縮する他端側の軸ピン53の軸線が、第2車体部30のZ方向における連結軸42の軸線と第2車輪軸線32との間に備えられる。
【0057】
ブラケット52は、図4に示すように、第1揺動線V1の連結軸42から距離N1の位置に備えられる。ここで、距離N1は、第1揺動線V1の長さM1より短い。また、ブラケット54は、第2揺動線V2の連結軸42から距離N2の位置に備えられる。ここで、距離N2は、第2揺動線V2の長さM2より短い。距離N1と距離N2とは等しい。
【0058】
図4に示すように、アクチュエータ部50は、ナット50c2に対してネジ軸50c1が突出する突出量を変えることができる。これにより、ナット50c2に対してネジ軸50c1が突出する突出量に応じ、第1プレート50bに対して、第2プレート50fが相対移動する。第2プレートと共に、アクチュエータ部50の他端側のブラケット54が移動するので、軸ピン51と、軸ピン53との距離Sが変化する。
【0059】
第1揺動線V1の長さM1と、第2揺動線V2の長さM2とが等しく、かつ距離N1と、距離N2とが等しい場合には、距離Sと、車輪軸線間距離であるホイールベースLとの関係は、S:L=N1:M1=N2:M2となる。アクチュエータ部50は、連結軸42の下側に配置され、ネジ軸50c1が伸縮する。このため、距離Sと、ホイールベースLとの関係により、距離Sの変化は、距離Sの変化よりもより大きなホイールベースLの変化として現れる。その結果、ホイールベースであるホイールベースLが、より短いネジ軸50c1で伸縮可能になる。
【0060】
このように、ネジ軸50c1は、連結軸42の下側にあるので、ネジ軸50c1の長さが小さくても、ホイールベースの変化を大きくすることができる。
【0061】
図5は、本実施形態に係る第2モードの搬送用車両の断面図である。図6は、本実施形態に係る第3モードの搬送用車両の断面図である。例えば、第1モードでは距離S1(図3参照)、第2モードでは距離S2(図5参照)または第3モードでは距離S3(図6参照)で、アクチュエータ部50は、それぞれ伸縮を停止して、それらの長さを保つことができる。
【0062】
アクチュエータ部50が距離Sを伸縮すると、アクチュエータ部50の伸縮する力が、ブラケット52およびブラケット54を介して、ブラケット26およびブラケット36に伝わり、第1車体部20に対して第2車体部30を、連結軸42周りに揺動させる。これにより、第1車輪軸線22と第2車輪軸線32との間のX方向の距離であるホイールベースLが変化する。
【0063】
<コントローラ>
駆動ドライバ86を介して、コントローラ80は、第2車輪34の駆動およびアクチュエータ部50の駆動を制御する。コントローラ80は、演算部81と、記憶部82と、入出力部85とを備える。
【0064】
演算部81は、CPU(Central Prosessing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含む。入出力部85から入力された情報は、演算部81に伝えられて所定の演算処理がされる。CPUは、演算手段であり、RAMをワークエリアとして使用しながらROMや記憶部82に記憶されているプログラムを実行することにより、図1に示す演算部81は、走行制御部83、昇降制御部84を含む種々の機能を実現する。
【0065】
演算部81で処理された情報や入出力部85から入力された情報は、記憶部82に保存される。また、記憶部82は、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disk Drive)などで構成される。
【0066】
コントローラ80は、入出力部85を介して、速度情報、地図情報などの情報を入力される。コントローラ80は、入出力部85を介して、駆動ドライバ86へ制御信号を出力する。
【0067】
走行制御部83は、地図情報に基づいて、第1車輪24の操舵と、第2車輪34の駆動を制御する。これにより、搬送用車両10は、自走できる。
【0068】
昇降制御部84は、アクチュエータ部50を伸縮させることにより、荷台部60の高さを第1モード、第2モードおよび第3モードの3段階で制御する。本実施形態では、荷台部60の高さは、3段階で制御されるが2段階でもよく、4段階以上であってもよい。
【0069】
駆動ドライバ86は、コントローラ80の走行制御部83の指令に基づいて、第2車輪34のインホイールモータの駆動力を発生させる。具体的には、駆動ドライバ86は、走行制御部83の指令に基づき、第1車輪24を回転させる。
【0070】
駆動ドライバ86は、コントローラ80の昇降制御部84の指令に基づいて、モータ50aの駆動力を発生させる。具体的には、駆動ドライバ86は、昇降制御部84の指令に基づいて、モータ50aを回転させ、アクチュエータ部50を駆動する。コントローラ80の昇降制御部84は、モータ50aの出力回転数を制御することにより、ナット50c2に対してネジ軸50c1を伸縮する長さを制御することができる。また、モータ50aの回転速度を制御することにより、アクチュエータ部50は、伸縮する速度を制御することができる。
【0071】
なお、アクチュエータ部50は、ブレーキ機能を備えてもよい。アクチュエータ部50は、ブレーキ機能を備えることにより、モータ50aを制御しない時でも伸縮した長さを維持することができる。
【0072】
以下に、搬送用車両10の第1モード、第2モードおよび第3モードの状態について説明する。
【0073】
<第1モード>
図3に示されるように、第1モードの搬送用車両10ホイールベースは、ホイールベースLであり、荷台部60の位置は、路面から高さH1である。第1モードの搬送用車両10のアクチュエータ部50のX方向の長さは、距離S1である。
【0074】
また、第1モードの搬送用車両10の第1揺動線V1は、連結軸42周りの第1角度A11であり、第2揺動線V2は、連結軸42周りの第2角度A12である。また、第1モードの搬送用車両10の重心Gの位置は、路面からの高さGH1である。
【0075】
また、第1モードの搬送用車両10は、重心GのX方向の位置と第1車輪軸線22との距離L11が、重心Gと第2車輪軸線32との距離L12より小さい。すなわち、重心GのX方向の位置は、基準線Kの中心より第1車輪軸線22側である。
【0076】
第1モードの搬送用車両10の連結軸42の軸線と中心軸Uとの間隔は、間隔D1である。また、第1モードの搬送用車両10のX方向の全長は、全長E1である。
【0077】
第1モードの搬送用車両10の重心Gにかかる、搬送用車両10の重量を重量Wとする。第1モードの搬送用車両10は、第1車体部20の第1車輪24には、搬送用車両10の重量Wのうち第1車輪24に重量Wf(第1軸重)が掛かっており、また、第2車体部30の第2車輪34に重量Wrが掛かっている。ここで、重量Wfおよび重量Wr(第2軸重)は、基準線Kが水平である場合、基準線Kにおける重心Gが掛かる位置と第1車輪軸線22との距離L11と、基準線Kにおける重心Gが掛かる位置と第2車輪軸線32との間の距離L12との配分により決定される。
【0078】
第1モードでは、荷台部60と、第1車体部20の上方の面との間隙がδ11であり、荷台部60と、第2車体部30の上方の面との間隙がδ12である。姿勢調整部70により、荷台部60は、第1バネ部72の間隔δ11に応じた付勢力、および第2バネ部74の間隔δ12に応じた付勢力に応じて、間隔δ11と間隔δ12とが均等になるように荷台部60が支持される。姿勢調整部70により支持される荷台部60は、Y方向から見て、基準線Kとほぼ平行となるよう維持される。
【0079】
<第2モード>
第2モードのアクチュエータ部50のX方向の長さは、図5に示すように、距離S2である。ここで、距離S2は、第1モードの搬送用車両10の距離S1より短い。また、第2モードの搬送用車両10では、第1車体部20の連結軸42周りの角度がA21あり、第2車体部30の連結軸42周りの角度がA22である。また、第2モードの搬送用車両10のホイールベースはホイールベースL2であり、荷台部60は、高さH2である。ここで、第2モードの搬送用車両10の荷台部60の高さH2は、第1モードの搬送用車両10の荷台部60の高さH1より高い。
【0080】
このように、第2モードから第1モードへ変化して、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が大きくなると、路面から荷台部60までの高さが小さくなる。第1モードから第2モードへ変化して、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が小さくなると、路面から荷台部60までの高さが大きくなる。これにより、搬送用車両10は、荷台部60の昇降と、ホイールベースLの伸縮とを連動させることができる。
【0081】
また、第2モードの搬送用車両10の重心Gは、路面からの高さGH2を有する。ここで、第2モードの搬送用車両10の重心Gの位置の高さGH2は、第1モードの搬送用車両10の重心Gの位置の高さGH1より高い。また、第2モードの搬送用車両10は、重心GのX方向の位置と第1車輪軸線22との間隔L21が、重心Gと第2車輪軸線32との間隔L22より小さい。すなわち、重心GのX方向の位置は、基準線Kの中心より第1車輪軸線22側である。
【0082】
また、第2モードの搬送用車両10の連結軸42の軸線と中心軸Uとの間隔は、間隔D2である。間隔D2は、第1モードの間隔D1より長い。
【0083】
第2モードでは、搬送用車両10は、全長E2である。第2モードでの搬送用車両10の全長E2は、第1モードでの搬送用車両10の全長E1より短い。
【0084】
第2モードの搬送用車両10では、荷台部60と第1車体部20の上方の面との間は、間隔δ21であり、荷台部60と第2車体部30の上方の面との間は、間隔δ22である。第2モードにおいても、搬送用車両10の荷台部60は、第1バネ部72および第2バネ部74により、間隔δ21と間隔δ22とが均等になるよう付勢される。荷台部60は、Y方向から見て、基準線Kとほぼ平行になっている。
【0085】
アクチュエータ部50の一端の軸ピン51は、第1車体部20に対して回転可能に支持されており、アクチュエータ部50の他端の軸ピン53は、第2車体部30に対して回転可能に支持されている。第1モードから第2モードへ変化した場合、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が距離S1から距離S2へ変わっても、アクチュエータ部50の一端の軸ピン51からアクチュエータ部50の他端の軸ピン53までの方向は変化しない。これにより、アクチュエータ部50の動作は、第1車体部20および第2車体部30の動作と干渉しにくくなり、円滑になる。
【0086】
<第3モード>
第3モードの搬送用車両10のアクチュエータ部50のX方向の長さは、図6に示すように、距離S3である。ここで、第3モードの搬送用車両10の距離S3は、第2モードの搬送用車両10の距離S2より短い。第3モードの搬送用車両10のホイールベースLは、ホイールベースL3であり、荷台部60の位置の高さは、路面から高さH3である。ここで、第3モードの搬送用車両10の荷台部60の位置の高さH3は、第2モードの搬送用車両10の荷台部60の位置の高さH2より高い。
【0087】
第3モードから第2モードへ変化して、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が大きくなると、路面から荷台部60までの高さが小さくなる。第2モードから第3モードへ変化して、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が小さくなると、路面から荷台部60までの高さが大きくなる。これにより、搬送用車両10は、荷台部60の昇降と、ホイールベースLの伸縮とを連動させることができる。
【0088】
また、第3モードの搬送用車両10の重心Gの路面からの高さは、高さGH3である。ここで、第3モードの搬送用車両10の重心Gの位置の路面からの高さGH3は、第2モードの搬送用車両10の重心Gの位置の高さGH2より高い。第3モードの搬送用車両10は、重心GのX方向の位置と第1車輪軸線22との間隔L31が、重心Gと第2車輪軸線32との間隔L32より小さい。すなわち、重心GのX方向の位置は、基準線Kの中心より第1車輪軸線22側である。
【0089】
また、第3モードの搬送用車両10の連結軸42の軸線と中心軸Uとの間隔は、距離D3である。第3モードの間隔D3は、第1モードの間隔D1および第2モードの間隔D2より長い。
【0090】
第3モードの搬送用車両10は、全長E3である。第3モードの搬送用車両10の全長E3は、第1モードの搬送用車両10の全長E1および第2モードの搬送用車両10の全長E2より短い。
【0091】
第3モードの搬送用車両10は、荷台部60と第1車体部20との間が間隔δ31であり、荷台部60と第2車体部30との間が間隔δ32である。荷台部60は、第1バネ部72の間隔δ31に応じた付勢力、および第2バネ部74の間隔δ32に応じた付勢力により、間隔δ11と間隔δ12とが均等になるように支持される。荷台部60は、姿勢調整部70により支持されて、Y方向から見て、基準線Kとほぼ平行になっている。
【0092】
搬送用車両10は、第1車体部20の後方の面の下方に第1面28と、第2車体部30の前方の面の下方に第2面38とを有する。これにより、第1車体部20と第2車体部30とが、連結軸42周りに揺動して第1角度A31と第2角度A32となったときも、第1車体部20の後方の面と、第2車体部30の前方の面とが干渉しない。これにより、第1車体部20の後方の面と第2車体部30の前方の面との、X方向における距離を小さくすることができる。その結果、搬送用車両10の全長Eが短くなる。
【0093】
第3モードにおいて、第1面28と第2面38とが当接すると、第1面28と第2面38とが平行になる。これにより、第1面28と第2面38とが当接した状態では、荷台部60が高くなっても、姿勢が安定する。
【0094】
第2モードから第3モードへ変化した場合、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が距離S2から距離S3へ変わっても、アクチュエータ部50の一端の軸ピン51からアクチュエータ部50の他端の軸ピン53までの方向は変化しない。これにより、アクチュエータ部50の動作は、第1車体部20および第2車体部30の動作と干渉しにくくなり、円滑になる。
【0095】
(登坂限界角度)
図7は、登坂時の搬送用車両を示す側面図である。一般に、搬送用車両10は、傾斜路面を登る際、路面の傾斜角度Trに応じて、搬送用車両10の重量が掛かる位置が後方に移動し、いわゆる荷重移動が生じる。すなわち、図7に示すように、搬送用車両10が傾斜角度Trを有する路面を登る方向に走行する際、搬送用車両10の重量が掛かる基準線Kにおける位置は、Sin(Tr)に基準線Kから重心Gまでの間の距離を掛けた分だけ、後方に移動した位置となる。具体的には、傾斜路面による荷重移動後の搬送用車両10の、基準線Kにおける重心Gが掛かる位置と第1車輪軸線22との間の水平方向の距離は、距離Lr1となり、基準線Kにおける重心Gが掛かる位置と、第2車輪軸線32との間の水平方向の距離は、距離Lr2となる。ここで、距離Lr1>ホイールベースL1であり、距離Lr2<ホイールベースL2である。このため、傾斜路面における搬送用車両10の第1車輪24の重量Wrfは、傾斜のない路面のときに第1車輪24に掛かる重量Wf(第1軸重)より小さくなる。
【0096】
本実施形態に係る搬送用車両10の第1モードでは、第2モード及び第3モードと比較して、重心Gの位置がZ方向の低い位置、かつX方向の前方の位置である。このため、第2モード及び第3モードと比較して、第1モードの搬送用車両10は、傾斜を有する路面を登坂したとしても、搬送用車両10の第1車輪24と路面との接触力の低下を抑制することができる。そして、搬送用車両10は、登坂限界角度を大きくすることができる。
【0097】
このように、搬送用車両10は、第1車体部20側に重心がある。そして、搬送用車両10は、第1車体部20を前方にして進めば、斜面を登坂走行しても、姿勢が安定する。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送用車両10は、荷台部60と、第1車輪24が取り付けられた第1車体部20と、第2車輪34が取り付けられた第2車体部30と、連結部40と、取付部64と、伸縮可能なアクチュエータ部50と、を備える。連結部40は、第1車体部20に対して、第2車体部30が揺動する連結軸42を有する。取付部64は、荷台部60の下側と連結され、連結部40を備える。アクチュエータ部50は、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離を変化させる。これにより、搬送用車両10は、搬送物を入れる荷台部60の昇降が可能であって、ホイールベースLをより短いアクチュエータ部で伸縮できる。
【0099】
搬送用車両10には、搬送物の出し入れ時における作業者の身体的な作業負担の軽減が求められている。荷台部60からの荷物の積み下ろし作業は、収納部62に荷物を収納して、または収納部62から荷物を取り出して行われる。荷物の積み下ろし作業が、上述した第3モードにおける高さH3や第2モードにおける高さH2で行われるため、作業者の作業負担が軽減される。
【0100】
アクチュエータ部50は、ネジ軸50c1と、ナット50c2とを有する。ナット50c2に対してネジ軸50c1が突出する突出量が大きくなると、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が大きくなる。これに対して、ナット50c2に対してネジ軸50c1が突出する突出量が小さくなると、連結部40の下側の第1車体部20と第2車体部30との間の距離が小さくなる。これにより、搬送用車両10は、アクチュエータ部50の伸縮に応じて、ホイールベースLの伸縮を調整できる。
【0101】
このように、本実施形態では、搬送用車両10の走行時には、ホイールベースLが大きくなり、搬送物の昇降時には、作業車の作業負担が軽減される。
【符号の説明】
【0102】
10 搬送用車両
20 第1車体部
22 第1車輪軸線
24 第1車輪
26 ブラケット
28 第1面
30 第2車体部
32 第2車輪軸線
34 第2車輪
36 ブラケット
38 第2面
40 連結部
42 連結軸
44 第1ヒンジ部
46 第2ヒンジ部
50 アクチュエータ部
50a モータ
50b 第1プレート
50c ネジ機構
50c1 ネジ軸
50c2 ナット
50d ガイド機構
50e プーリーアンドベルト機構
51 軸ピン
52 ブラケット
53 軸ピン
54 ブラケット
60 荷台部
62 収納部
64 取付部
80 コントローラ
86 駆動ドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7