(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071916
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】モノクローナル抗体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230516BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230516BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230516BHJP
A61P 35/02 20060101ALN20230516BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20230516BHJP
A61P 3/10 20060101ALN20230516BHJP
A61P 9/00 20060101ALN20230516BHJP
A61P 9/14 20060101ALN20230516BHJP
A61P 31/00 20060101ALN20230516BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20230516BHJP
A61P 19/02 20060101ALN20230516BHJP
A61P 13/12 20060101ALN20230516BHJP
A61P 27/02 20060101ALN20230516BHJP
A61P 17/00 20060101ALN20230516BHJP
A61P 1/16 20060101ALN20230516BHJP
A61P 17/06 20060101ALN20230516BHJP
A61P 11/00 20060101ALN20230516BHJP
A61P 11/06 20060101ALN20230516BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20230516BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/12
A61P35/02 ZNA
A61P35/00
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/14
A61P31/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P29/00
A61P13/12
A61P27/02
A61P17/00
A61P1/16
A61P17/06
A61P11/00
A61P11/06
C07K16/00
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034558
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2019547137の分割
【原出願日】2018-02-28
(31)【優先権主張番号】62/465,269
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・アンドリュー・ロボ
(72)【発明者】
【氏名】アンバリッシュ・ウマカント・シャー
(72)【発明者】
【氏名】モニカ・スード・シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】デボラ・スウィート・ゴールドバーグ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低または中性pIを有する抗体のコロイド安定性が改善された、抗体製剤を提供する。
【解決手段】本発明は:(i)モノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤;を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~6.5のpHを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤であって、
i.モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含み、前記モノクローナル抗体が約50mg/ml以上の濃度で存在し、前記イオン性賦形剤が約50~約150mMの濃度で存在し、前記製剤が5.5~7.5のpHを有する、製剤。
【請求項2】
製剤であって、
i.モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含み、前記モノクローナル抗体が約50mg/ml以上の濃度で存在し、前記イオン性賦形剤が約50~約150mMの濃度で存在し、前記製剤が5.5~7.5のpHを有し;前記製剤中の前記モノクローナル抗体の凝集率が、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い、製剤。
【請求項3】
前記モノクローナル抗体が、pH5.5~pH7.5の範囲のpIを有する、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記モノクローナル抗体が、pH6.0~pH7.5の範囲のpIを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体が、pH6.4~pH7.5の範囲のpIを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記モノクローナル抗体がIgG4モノクローナル抗体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体が、約100mg/ml~約200mg/mlの濃度で前記製剤中に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体が、約100mg/mlの濃度で前記製剤中に存在する、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
約pH5.5~約pH6.5の範囲のpHを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
約pH5.7~約pH6.3の範囲のpHを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
約pH5.7~約pH6.1の範囲のpHを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
約pH6.0のpHを有する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記イオン性賦形剤が塩である、請求項1~12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記塩がNaClである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記塩がアルギニン塩酸塩である、請求項13に記載の製剤。
【請求項16】
前記塩がリジン塩酸塩である、請求項13に記載の製剤。
【請求項17】
前記イオン性賦形剤が、約75mM~約100mMの濃度で存在する、請求項1~16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記イオン性賦形剤が約80mMの濃度で存在する、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
糖をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
前記糖がトレハロースである、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
前記糖がスクロースである、請求項19に記載の製剤。
【請求項22】
前記糖が、約100mM~約140mMの濃度で存在する、請求項19~21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
前記糖が約120mMの濃度で存在する、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
前記1つまたは複数の緩衝剤が、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、およびヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩から選択される、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
前記1つまたは複数の緩衝剤が、L-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩一水和物である、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
前記1つまたは複数の緩衝剤が約10mM~約50mMの濃度で存在する、請求項24~26のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項28】
前記1つまたは複数の緩衝剤が約30mMの濃度で存在する、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項30】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項29に記載の製剤。
【請求項31】
前記界面活性剤がポリソルベート80である、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
前記界面活性剤が、約0.02%(w/v)~約0.07%(w/v)の濃度で前記製剤中に存在する、請求項29~31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項33】
前記界面活性剤が、約0.04%(w/v)の濃度で前記製剤中に存在する、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
例えば、1つまたは複数の糖、塩、アミノ酸、ポリオール、キレート剤、乳化剤、および/または保存剤を含む、1つまたは複数の追加の賦形剤をさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項35】
150mg/mlの抗IL-13 IgG4抗体、50mMの酢酸ナトリウム、85mMの塩化ナトリウム、および0.01%のポリソルベート80を含み、前記製剤がpH5.5のpHを有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項36】
前記抗体が、
図1-1および
図1-2に示されているようなCAT-354の6個のCDR配列を有する、請求項35に記載の製剤。
【請求項37】
前記抗体が、
図1-1および
図1-2に示されているCAT-354のVHおよびVL配列を有する、請求項35に記載の製剤。
【請求項38】
150mg/mlの抗GM-CSF-Rα IgG4抗体、50mMの酢酸ナトリウム/酢酸、106mMのトレハロース二水和物、70mMの塩化ナトリウム、および0.05%(w/v)のポリソルベート80を含み、前記製剤がpH5.8のpHを有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項39】
前記抗体が、CAM-3001の6個のCDR配列を有する、請求項38に記載の製剤。
【請求項40】
前記抗体が、CAM-3001のVHおよびVL配列を有する、請求項38に記載の製剤。
【請求項41】
医薬製剤である、請求項1~40のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項42】
薬剤として使用するための、請求項41に記載の医薬製剤。
【請求項43】
疾患の処置に使用するための、請求項41に記載の医薬製剤。
【請求項44】
請求項41に記載の医薬製剤を対象に投与することを含む、前記対象の疾患を処置するための方法。
【請求項45】
滅菌水のみを使用して、請求項1~40のいずれか一項に記載の製剤または請求項41~43のいずれか一項に記載の医薬製剤に再構成することができる凍結乾燥ケーキ。
【請求項46】
凍結乾燥させて凍結乾燥ケーキを形成することができる製剤であって、滅菌水のみを使用して、請求項1~40のいずれか一項に記載の製剤または請求項41~43のいずれか一項に記載の医薬製剤に再構成することができる、製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体製剤、特にモノクローナル抗体製剤およびその使用に関する。本発明は、特に、抗体製剤のコロイド安定性の改善を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質にとって好ましい製剤の薬学的pH範囲(pH5.5~pH7.5)であるいくつかのモノクローナル抗体の等電点(pI)により、これらの分子は、固有の製剤の課題を提示する。
【0003】
分子のpIにおけるコロイド不安定性は、分子上の静電荷の欠如によるものであり、この静電荷の欠如は、物理的不安定性をもたらすより近いタンパク質-タンパク質相互作用(いわゆる「自己会合」)を可能にする。このため、タンパク質製剤のpHは、典型的にはタンパク質pIから少なくとも1pH単位離れるように選択される。これは、コロイド安定性を提供し、したがって凝集、沈殿、乳光、相分離、および/または粒子形成などの物理的不安定性を防止することが目的である。
【0004】
したがって、「1pH単位離れた」の法則によると、低または中性pI、例えばpH5.5~pH7.5のpIを有する抗体は、5.5~7.5の範囲以外のpHを有する製剤に製剤化されるべきである。しかしながら、この範囲以外では、さらなる不安定性が観察され得る。より酸性のpHでは、断片化率の増大、立体配座安定性の低下、および凝集の増加が観察され得る。より塩基性のpHでは、酸化、脱アミド化、および断片化の増大、ならびにガラス容器との不適合性の可能性が存在する。
【0005】
上記の不安定性は、抗体が商業的に望ましい濃度、例えば50mg/ml以上で存在するような抗体製剤において特に問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、低または中性pIを有する抗体のための改良された製剤を提供する必要がある。特に、低または中性pIを有する抗体のための安定な製剤、特に商業的に望ましい抗体濃度を有するそのような製剤を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、新規の抗体製剤、特に新規のモノクローナル抗体製剤を提供する。特に、本製剤は、低または中性pIを有する抗体のコロイド安定性を改善するための手段を提供する。したがって、本発明は、コロイド安定性を提供するための「1pH離れた」の法則に対する代替案を提供する。したがって、本発明は、低または中性pIを有する抗体を、抗体pIの1pH単位以内で製剤化することを可能にする。したがって、本発明は、より酸性またはより塩基性のpHに関連する不安定性を実質的に回避しながら、そのような抗体を5.5~7.5のpH範囲内で、商業的に有用な濃度で製剤化することを可能にする。
【0008】
本発明は:
i.モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。
【0009】
したがって、本発明は:
i.モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0010】
本発明の製剤は、例えばpH5.5~pH7.5の範囲の低または中性pIを有する抗体に特に有用である。本発明は:
i.低または中性pI(例えば、5.5~7.5)を有するモノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。
【0011】
したがって、本発明は、この製剤は:
i.低または中性pI(例えば、5.5~7.5)を有するモノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中に調合される同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0012】
一実施形態では、モノクローナル抗体は5.5~7.5の範囲のpIを有する。一実施形態では、モノクローナル抗体は6.0~7.5の範囲のpIを有する。一実施形態では、モノクローナル抗体は6.3~7.5の範囲のpIを有する。一実施形態では、モノクローナル抗体は6.4~7.5の範囲のpIを有する。理論に拘束されることを望むものではないが、低~中性のpIは、タンパク質上の反対に荷電した(正のアミン基および負のカルボキシレート基)アミノ酸側鎖の正味バランスが存在するか、または異なるドメインが、5.5~7.5のpH範囲内で全体的に反対の電荷を有する場合にタンパク質で生じ得る。同様に、理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の製剤中のイオン性賦形剤はこれらの反対の引き合う電荷を遮蔽し、したがって、この範囲内のpIを有するタンパク質をコロイド的に安定化させることが可能である。したがって、本発明は、製剤中の抗体の荷電の状態または分布を変化させることを目的とした抗体製剤におけるイオン性賦形剤の使用を提供する。本発明は、製剤中の抗体をコロイド的に安定化させることを目的とした抗体製剤におけるイオン性賦形剤の使用をさらに提供する。
【0013】
一実施形態では、モノクローナル抗体は本明細書に記載の製剤中に約75mg/ml以上(例えば、約75mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在する。一実施形態では、モノクローナル抗体は本明細書に記載の製剤中に約100mg/ml以上(例えば、約100mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在する。一実施形態では、モノクローナル抗体は本明細書に記載の製剤中に約100mg/ml~約165mg/mlの濃度で存在する。一実施形態では、モノクローナル抗体は約100mg/mlの濃度で存在する。
【0014】
一実施形態では、イオン性賦形剤は約75mM~約100mMの濃度で存在する。一実施形態では、イオン性賦形剤は約75mMの濃度で存在する。一実施形態では、イオン性賦形剤は約80mMの濃度で存在する。
【0015】
一実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG1またはIgG4モノクローナル抗体である。最も好ましくは、モノクローナル抗体はIgG4モノクローナル抗体である。IgG4抗体は、典型的には低または中性pIを有する。したがって、本発明は、:
i.IgG4モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。
【0016】
したがって、本発明は、この製剤は:
i.IgG4モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0017】
一実施形態では、本明細書に記載の製剤は、約pH5.5~約pH6.5の範囲のpHを有する。一実施形態では、本明細書に記載の製剤は、約pH5.7~約pH6.3の範囲のpHを有する。一実施形態では、本明細書に記載の製剤は、約pH5.7~約pH6.1の範囲のpHを有する。好ましい製剤は約5.8のpHを有する。他の好ましい製剤は約6.0のpHを有する。
【0018】
一実施形態では、イオン性賦形剤は荷電アミノ酸である。一実施形態では、イオン性賦形剤はリジンである。他の実施形態では、イオン性賦形剤はアルギニンである。
【0019】
一実施形態では、イオン性賦形剤は塩である。したがって、本発明は:
i.本明細書のどこかで定義されるモノクローナル抗体;および
ii.塩;
を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、この塩は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。
【0020】
したがって、本発明は:
i.本明細書のどこかで定義されるモノクローナル抗体;および
ii.塩;
を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、この塩は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、塩を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0021】
一実施形態では、塩は、約75mM~約100mMの濃度で存在する。一実施形態では、塩は、約75mMまたは約80mMの濃度で存在する。
【0022】
一実施形態では、塩は、例えば約75mM~約100mMの濃度、適切には約75mMの濃度のNaClである。
【0023】
一実施形態では、塩は、例えば約75mM~約100mMの濃度、適切には約80mMの濃度のアルギニン塩酸塩である。
【0024】
一実施形態では、製剤は糖をさらに含む。他の既知の利点の中でも、糖の存在は、製剤の張性を改善し得る。これは、好ましい製剤は等張またはほぼ等張である(例えば、240~500mOsm/kgのオスモル濃度を有する)ため望ましい。一実施形態では、イオン性賦形剤は塩であり、製剤は糖をさらに含む。
【0025】
一実施形態では、製剤は糖をさらに含み、イオン性賦形剤は約75mM~約150mMの範囲の濃度で存在する。一実施形態では、製剤は糖をさらに含み、イオン性賦形剤は約75mM~約100mMの範囲の濃度で存在する。一実施形態では、製剤は糖をさらに含み、この糖は、約100mM~140mMの範囲の濃度で存在し、イオン性賦形剤は約75mM~100mMの範囲の濃度で存在する。
【0026】
したがって、本発明は:
i.本明細書のどこかで定義されるモノクローナル抗体;
ii.本明細書のどこかで定義されるイオン性賦形剤(例えば、塩);
iii.本明細書のどこかで定義される糖;
を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。イオン性賦形剤は、好ましくは約75mM~約150mM、より好ましくは約75mM~約100mMの範囲の濃度で存在する。
【0027】
したがって、本発明は:
i.本明細書のどこかで定義されるモノクローナル抗体;および
ii.本明細書のどこかで定義されるイオン性賦形剤(例えば、塩);
iii.本明細書のどこかで定義される糖;
を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。イオン性賦形剤は、好ましくは約75mM~約150mM、より好ましくは約75mM~約100mMの範囲の濃度で存在する。
【0028】
一実施形態では、糖はトレハロースである。他の実施形態では、糖はスクロースである。例えば、糖は、約100mM~約140mMの濃度、適切には約120mMの濃度で存在する。
【0029】
一実施形態では、製剤は、1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、ヒスチジンを含む緩衝剤である。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、コハク酸ヒスチジン、酢酸ヒスチジン、クエン酸ヒスチジン、塩化ヒスチジン、または硫酸ヒスチジンを含む緩衝剤から選択される。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、またはそれらの組み合わせ(ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩)である。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、L-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩一水和物である。例えば、緩衝剤は、約10mM~約50mMの濃度、適切には約30mMの濃度であり得る。緩衝剤は、それ自体がイオン性賦形剤であり得ることを理解されたい。したがって、一実施形態では、緩衝剤はイオン性賦形剤である。この実施形態では、緩衝剤の濃度は、50mMよりも高い、すなわち本明細書に開示されるイオン性賦形剤の濃度と一致するべきである。言い換えれば、一実施形態では、イオン性賦形剤は製剤中の緩衝剤としても作用する。この実施形態では、追加の緩衝剤が存在してもしなくてもよい。
【0030】
一実施形態では、製剤は界面活性剤をさらに含む。一実施形態では、界面活性剤は、例えばポリソルベート80を含むポリソルベートである。
【0031】
一実施形態では、製剤は、糖および1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む。一実施形態では、イオン性賦形剤は塩であり、製剤は糖および1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む。
【0032】
一実施形態では、製剤は、界面活性剤、糖、および1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む。一実施形態では、イオン性賦形剤は塩であり、製剤は界面活性剤、糖、および1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む。
【0033】
したがって、本発明は:
i.本明細書のどこかで定義されるモノクローナル抗体;
ii.本明細書のどこかで定義されるイオン性賦形剤(例えば、塩);
iii.本明細書のどこかで定義される糖;
iv.本明細書のどこかで定義される1つ以上の緩衝剤;および
v.本明細書のどこかで定義される任意選択的に界面活性剤;
を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。
【0034】
したがって、本発明は:
i.本明細書のどこかで定義されるモノクローナル抗体;および
ii.本明細書のどこかで定義されるイオン性賦形剤(例えば、塩);
iii.本明細書のどこかで定義される糖;
iv.本明細書のどこかで定義される1つまたは複数の緩衝剤;および
v.本明細書のどこかで定義される任意選択の界面活性剤;
を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0035】
本明細書に記載の製剤はまた、例えば、1つまたは複数の糖、塩、アミノ酸、ポリオール、キレート剤、乳化剤、および/または保存剤を含む1つまたは複数の追加の賦形剤も含み得る。
【0036】
本発明によって提供される1つの好ましい製剤は、150mg/mlの抗体、50mMの酢酸ナトリウム/酢酸、106mMのトレハロース無水物、70mMの塩化ナトリウム、0.05%(w/v)のポリソルベート80を含み、この製剤はpH5.8のpHを有する。この製剤中の抗体は、好ましくは抗GM-CSF-Rα IgG4抗体、より好ましくは本明細書に記載されるようなCAM-3001抗体のVHおよびVL配列を有する抗GM-CSF-Rα IgG4抗体である。この製剤中の抗体は、好ましくは、本明細書に記載されるようなCAM-3001抗体と同じ6個のCDRを有する抗GM-CSF-Rα IgG4抗体である。
【0037】
本発明によって提供される1つの好ましい製剤は、150mg/mlの抗体、50mMの酢酸ナトリウム、85mMの塩化ナトリウム、および0.01%のポリソルベート80を含み、この製剤はpH5.5のpHを有する。この製剤中の抗体は、好ましくは抗IL-13 IgG4抗体、より好ましくは本明細書に記載されるようなCAT-354抗体のVHおよびVL配列を有する抗IL-13 IgG4抗体である。この製剤中の抗体は、好ましくは、本明細書に記載されるようなCAT-354抗体と同じ6個のCDRを有する抗IL-13 IgG4抗体である。
【0038】
本発明の製剤は、好ましくは医薬製剤である。
【0039】
本発明は、薬剤として使用するための、本明細書のどこかに記載されるような医薬製剤を提供する。
【0040】
本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書のどこかに記載されるような医薬製剤を提供する。
【0041】
本発明は、本明細書のどこかに記載されるような医薬製剤を対象に投与することを含む、対象の疾患を処置する方法を提供する。また、本明細書のどこかに記載されるような治療有効量の医薬製剤を対象に投与することによって対象を処置する方法も本明細書で提供される。
【0042】
一実施形態では、対象はヒトである。
【0043】
処置するべき疾患は、製剤中に含まれる特定の抗体によって決まる。一実施形態では、疾患は癌である。この疾患は、糖尿病、心血管疾患、感染症、関節リウマチ、脈管炎、巨細胞動脈炎(giant cell arthritis)、糸球体腎症、ループス腎炎、ブドウ膜炎、アトピー性皮膚炎、肝硬変、乾癬性関節炎、慢性閉塞性肺疾患、重症喘息、好中球性喘息、および骨髄性白血病からなる群から選択することができる。
【0044】
本発明は、滅菌水のみを使用して本明細書で定義される製剤または本明細書で定義される医薬製剤に再構成することができる凍結乾燥ケーキを提供する。また、凍結乾燥して凍結乾燥ケーキを形成することができる製剤も本明細書で提供され、この凍結乾燥ケーキは、滅菌水のみを使用して本明細書で定義される製剤または本明細書で定義される医薬製剤に再構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、IgG4モノクローナル抗体の半分子への変換を示す。
図1-1および
図1-2は、CAT-354抗体に関する配列を示す。V
HおよびV
L配列が標識され、6つのCDRに下線が引かれている。
【
図2】
図2は、IgG4分子の凝集率に対する塩の影響を示す。
【
図3B】
図3Bは、100mMの塩の存在下でのKdに対する変動するpHの結果を示す。
【
図4】
図4は、k
Dに対する塩の影響を示す。一般に、pH5ではコロイド安定性が低下するが、pH6およびpH7ではコロイド安定性が増加することに留意されたい。
【
図5】
図5は、100mMの塩を含むまたは含まない製剤についての40℃での凝集率のデータを示す。
【
図6】
図6は、MEDI7814製剤のpHによる凝集率の変化を示す。
【
図7】
図7は、pH6での抗体凝集率に対するイオン性賦形剤の影響を示す(MEDI7814)。
【
図8】
図8は、MEDI8897重鎖ヌクレオチド配列および翻訳を示す。CDRには下線が引かれ、対立遺伝子定常領域を形成するアミノ酸の相違は丸で囲まれ、可変領域と定常領域との間の境界は「|」)によって示されている。
【
図9】
図9は、MEDI8897軽鎖ヌクレオチド配列および翻訳を示す。CDRには下線が引かれ、可変領域と定常領域との間の境界は「|」)によって示されている。
【
図10】
図10は、5℃、25℃、および40℃での3ヶ月間のMEDI8897製剤の安定性を示す。
【
図11】
図11は、pH6での抗体凝集率に対するイオン性賦形剤の影響を示す(MEDI578)。
【
図12】
図12は、サイズ排除クロマトグラフィーによる純度を示す。
【
図13】
図13は、熱応力条件下でのイオン性賦形剤を含有する製剤中の見えない粒子の減少を示す。コロイド安定性が改善されている。
【発明を実施するための形態】
【0046】
いくつかのモノクローナル抗体、特にIgG4抗体は、生理的pH、すなわちヒト投与に一般的に望ましいpHに近いpIを有するという事実から、これらのモノクローナル抗体の製剤化に困難が生じる。これらの困難は、特にコロイド安定性に関連し得る。
【0047】
IgG4モノクローナル抗体は、補体活性化を防止するとともに、二価反応性を有する新規のIgG4を生成する、2つのIgG4分子間のインビボでの半分子の交換(1つの重鎖と1つの軽鎖)も可能にする構造によって特徴付けられる。
図1を参照されたい。IgG4ヒンジは、IgG1のヒンジよりも3アミノ酸短く、IgG4は、H鎖間の共有結合相互作用に利用可能な2つのシステインを有する。[Aalberse and Schuurman,“IgG4 breaking the rules,”Immunology 2002 105:9-19]。
【0048】
本発明は、新規のモノクローナル抗体製剤、特に新規のIgG4モノクローナル抗体製剤および新規のIgG1モノクローナル抗体製剤を提供する。
【0049】
本発明は:(i)モノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤(例えば、塩);を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。
【0050】
本発明は:(i)モノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤(例えば、塩);を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0051】
凝集率は、本明細書に記載されるような標準的な技術に従って測定することができる。驚くべきことに、本発明による製剤は、良好な安定性を有すること、および自己凝集の減少、例えば室温で3ヶ月間保存したときに≦2.0%の凝集を有することを示すことが示された。したがって、本発明は、製剤中の抗体の安定性を高めることを目的とした、抗体製剤におけるイオン性賦形剤の使用を提供する。本発明は、製剤中の抗体の自己凝集を減少させることを目的とした、抗体製剤におけるイオン性賦形剤の使用をさらに提供する。
【0052】
本発明の製剤は、低または中性pIを有する抗体、例えばpH5.5~pH7.5、pH6.0~pH7.5、pH6.3~pH7.5、pH6.4~pH7.5、またはpH6.5~pH7.5の範囲のpIを有する抗体に特に有用である。抗体のpIは、標準的な技術に従って、例えば、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)によって測定することができる。したがって、本発明は:(i)低または中性pI(例えば、5.5~7.5)を有するモノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤;を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。したがって、本発明は:(i)低または中性pI(例えば、5.5~7.5)を有するモノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤;を含む製剤をさらに提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0053】
一実施形態では、モノクローナル抗体は、pH6.4~pH7.5の範囲のpIを有する。別の実施形態では、本明細書に記載のモノクローナル抗体は、約pH5.5~約pH6.0、約pH5.7~約pH6.0の範囲、または約pH5.5、約pH5.6、約pH5.7、約pH5.8、約pH5.9、約pH6.0、約pH6.1、約pH6.2、約pH6.3、約pH6.4、または約pH6.5のpIを有する。実施形態では、本明細書で提供されるモノクローナル抗体のpIは、5.7~6.0、より適切には約5.8または6.0のpIである。
【0054】
一実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG1またはIgG4モノクローナル抗体である。最も好ましくは、モノクローナル抗体はIgG4モノクローナル抗体である。したがって、本発明は:(i)低または中性pI(例えば、5.5~7.5)を有するIgG4モノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤;を含む製剤を提供し、このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有する。したがって、本発明は:(i)低または中性pI(例えば、5.5~7.5)を有するIgG4モノクローナル抗体;および(ii)イオン性賦形剤を含む製剤をさらに提供し;このモノクローナル抗体は約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約200mg/ml)の濃度で存在し、このイオン性賦形剤は約50~約150mMの濃度で存在し、この製剤は5.5~7.5のpHを有し;製剤中のモノクローナル抗体の凝集率は、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い。
【0055】
一実施形態では、モノクローナル抗体は、抗GM-CSF-Rαモノクローナル抗体、抗IL-13モノクローナル抗体、抗RSVモノクローナル抗体、または抗C5/C5aモノクローナル抗体である。例示的な実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG4モノクローナル抗体、例えば抗GM-CSF-Rαモノクローナル抗体である。一実施形態では、モノクローナル抗体はCAM-3001である。一実施形態では、モノクローナル抗体はMEDI8897である。
【0056】
モノクローナル抗体は、抗体機能部分、例えば、抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体を含む。モノクローナル抗体には、限定されるものではないが、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、エピトープ結合断片、例えば、Fab、Fab’、およびF(ab’)2、Fd、Fvs、一重鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VLドメインまたはVHドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片がさらに含まれる。ScFv分子は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号明細書に記載されている。本開示に包含される免疫グロブリンまたは抗体分子は、あらゆる種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。好ましい実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG1またはIgG4モノクローナル抗体である。
【0057】
抗体濃度
適切には、モノクローナル抗体は、本明細書に記載の製剤中に、例えば、約50mg/ml~約300mg/ml、約50mg/ml~約200mg/ml、約100mg/ml~約200mg/ml、約100mg/ml~約165mg/ml、約100mg/ml~約150mg/ml、または約50mg/ml、約75mg/ml、約100mg/ml、約105mg/ml、約110mg/ml、約115mg/ml、約120mg/ml、約125mg/ml、約130mg/ml、約135mg/ml、約140mg/ml、約145mg/ml、約150mg/ml、約155mg/ml、約160mg/ml、約165mg/ml、約170mg/ml、約175mg/ml、約180mg/ml、約185mg/ml、約190mg/ml、約195mg/ml、または約200mg/ml(これらの範囲内の値および範囲を含む)の商業的に望ましい濃度で存在する。
【0058】
適切には、モノクローナル抗体は、本明細書に記載の製剤中に約100mg/ml~約165mg/mlの濃度で存在する。適切には、モノクローナル抗体は、本明細書に記載の製剤中に約100mg/mlの濃度で存在する。
【0059】
pH
適切には、本明細書に記載の製剤は、ほぼ最適または最適な化学的安定性(加水分解、脱アミド化、異性化)を提供するために約pH5.5~約pH7.5の範囲のpHを有する。一実施形態では、本明細書に記載の製剤は約pH5.7~約pH6.3の範囲のpHを有する。一実施形態では、本明細書に記載の製剤は約5.5~約6.5の範囲のpHを有する。一実施形態では、本明細書に記載の製剤は約pH5.7~約pH6.1の範囲のpHを有する。好ましい製剤は約5.8のpHを有する。他の好ましい製剤は約6.0のpHを有する。
【0060】
適切には、本明細書に記載の製剤は、約pH5.5~約pH6.0、約pH5.7~約pH6.0の範囲、または約pH5.5、約pH5.6、約pH5.7、約pH5.8、約pH5.9、約pH6.0、約pH6.1、約pH6.2、約pH6.3、約pH6.4、または約pH6.5のpHを有する。実施形態では、本明細書で提供される製剤のpHは5.7~6.0であり、より適切には製剤は約5.8または6.0のpHを有する。
【0061】
また、約pH7.4に近い製剤pHも注射部位の耐容性のために望ましい可能性がある。
【0062】
イオン性賦形剤
製剤に使用するための例示的なイオン性賦形剤には、塩および荷電アミノ酸が含まれる。イオン性賦形剤には、塩と荷電アミノ酸との組み合わせが含まれる可能性がある。
【0063】
例示的な荷電アミノ酸には、アルギニンおよびリジンが含まれる。
【0064】
例示的な塩としては、荷電アミノ酸の塩、例えば、アルギニンおよびリジンのコハク酸塩、酢酸塩、および硫酸塩が挙げられる。
【0065】
さらなる例示的な塩は、限定されるものではないが、塩化ナトリウム、ならびにナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムなどとの他の塩、例えば、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、および非経口投与の分野で常用の他の助剤などを含む、本明細書に記載の塩である。
【0066】
適切には、塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、リジン塩酸塩、およびアルギニン塩酸塩から選択される。一実施形態では、塩はNaClである。別の実施形態では、塩はアルギニン塩酸塩である。他の実施形態では、塩はリジン塩酸塩である。
【0067】
本明細書に記載の医薬製剤中のイオン性賦形剤、適切には塩の濃度は、一般に約50mM~約150mM、より適切には約50mM~約100mM、約60mM~約80mMの範囲、または約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mM(これらの範囲内のあらゆる範囲または値を含む)である。
【0068】
一実施形態では、イオン性賦形剤は約50mM~約125mMの濃度で存在する。
【0069】
一実施形態では、イオン性賦形剤は約50mM~約100mMの濃度で存在する。
【0070】
一実施形態では、イオン性賦形剤は約75mM~約100mMの濃度で存在する。
【0071】
適切な実施形態では、塩は、例えば約50mM~約100mMの濃度、適切には約70mMの濃度のNaClである。
【0072】
適切な実施形態では、塩は、例えば約50mM~約100mMの濃度、適切には約80mMの濃度のアルギニン塩酸塩である。
【0073】
緩衝剤
本明細書に記載の製剤は、適切には1つまたは複数の緩衝剤を含む。本明細書で使用される「緩衝剤」は、製剤のpHを維持するための賦形剤を指す。本明細書で提供される製剤に使用するための例示的な緩衝剤としては、限定されるものではないが、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩(ヒスチジンHCl)、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム/酢酸、リン酸ナトリウム、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、グリジン、および酢酸塩が挙げられる。一実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための緩衝剤は、酢酸ナトリウム/酢酸である。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤はヒスチジンを含む緩衝剤である。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、コハク酸ヒスチジン、酢酸ヒスチジン、クエン酸ヒスチジン、塩化ヒスチジン、または硫酸ヒスチジンを含む緩衝剤から選択される。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、またはそれらの組み合わせ(ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩)である。一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤はL-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩一水和物である。
【0074】
本明細書に記載の医薬製剤中の緩衝剤、適切には酢酸ナトリウム/酢酸の濃度は、一般に約10mM~約100mM、より適切には約15mM~約80mM、約25mM~約75mM、約30mM~約60mM、約40mM~約60mM、約40mM~約50mM、または約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、または約75mMの範囲(これらの範囲内のあらゆる範囲または値を含む)である。
【0075】
一実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、例えば約10mM~約50mMの濃度、適切には約30mMの濃度のL-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩一水和物である。
【0076】
緩衝剤のpHは、好ましくはpH5.5~pH6.0の範囲である。
【0077】
緩衝剤は、それ自体がイオン性賦形剤であり得ることを理解されたい。したがって、一実施形態では、緩衝剤はイオン性賦形剤である。この実施形態では、緩衝剤の濃度は、50mMよりも高い、すなわち本明細書に開示されるイオン性賦形剤の濃度と一致するべきである。この実施形態における緩衝剤の好ましい濃度は、イオン性賦形剤に関して本明細書のどこかで論じられる通りである。
【0078】
別の言い方をすれば、一実施形態では、イオン性賦形剤は製剤中の緩衝剤としても作用する。この実施形態では、追加の緩衝剤が存在してもしなくてもよい。
【0079】
糖および界面活性剤
本明細書に記載の製剤には、糖、例えば、限定されるものではないが、トレハロース、ラクトース、マンニトール、メリビオース(mellibiose)、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、およびスクロースが適切に含まれる。他の実施形態では、三価以上の分子量の糖アルコール、例えば、グリセリン、デキストラン、エリトリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどのポリオールを使用することができる。還元糖の例としては、限定されるものではないが、グルコース、マルトース、マルツロース、イソマルツロース、およびラクツロースが挙げられる。非還元糖の例としては、限定されるものではないが、糖アルコールおよび他の直鎖ポリアルコールから選択されるポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドであるトレハロースが挙げられる。糖アルコールの例としては、限定されるものではないが、ラクトース、マルトース、ラクツロース、およびマルツロースなどの二糖の還元によって得られる化合物であるモノグリコシドが挙げられる。グリコシド側基は、グルコシドまたはガラクトシドのいずれかであり得る。糖アルコールのさらなる例としては、限定されるものではないが、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、およびイソマルツロースが挙げられる。一実施形態では、糖は、トレハロース、ラクトース、マンニトール、ラフィノース、およびスクロースからなる群から選択される。特定の実施形態では、トレハロースは本明細書に記載の製剤中の糖として使用される。特定の実施形態では、スクロースは本明細書に記載の製剤中の糖として使用される。
【0080】
適切には、本明細書に記載の製剤中の糖、例えばトレハロースの量は、約1%(w/v)~約10%(w/v)である。特記しない限り、本明細書で使用される成分の百分率(%)は重量/容量(w/v)%を意味する。例示的な実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤中の糖の量は、約1%(w/v)~約8%(w/v)、または約2%(w/v)~約6%(w/v)、約2%(w/v)~約5%(w/v)、約3%(w/v)~約5%(w/v)、または約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%(w/v)、約8%(w/v)、約9%(w/v)、または約10%(w/v)(これらの範囲内のあらゆる値および範囲を含む)である。
【0081】
本明細書に記載の製剤は界面活性剤を適切に含む。
【0082】
本明細書で使用される「界面活性剤」という用語は、両親媒性構造を有する有機物質を指す;すなわち、この両親媒性構造は、反対の溶解傾向の基、典型的には油溶性炭化水素鎖基および水溶性イオン基からなる。界面活性剤は、界面活性部分の電荷に応じて、アニオン性、カチオン性、および非イオン性界面活性剤に分類することができる。界面活性剤は、様々な医薬製剤および生物学的材料の調製物のための湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、および分散剤としてよく使用される。ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、40、60、または80);ポリオキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン;ナトリウムオクチルグリコシド;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアルアミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアルアミドプロピル-ジメチルアミン;メチルココイルタウリン酸ナトリウムまたはメチルオレイルタウリン酸二ナトリウムのような薬学的に許容される界面活性剤;ならびにMONAQUA(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.,Paterson,N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピレングリコール、およびエチレンとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、Pluronics、PF68など)を本明細書に記載の医薬製剤に使用することができる。適切には、界面活性剤は、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80を含むポリソルベートである。一実施形態では、界面活性剤はポリソルベート80である。
【0083】
適切には、本明細書に記載の製剤は、約0.001%~約0.5%(w/v)の界面活性剤(適切にはポリソルベート80)、より適切には約0.002%~約0.1%の界面活性剤、例えば、約0.01%~約0.2%、約0.02%~約0.01%、約0.02%~約0.07%、約0.03%~約0.06%、約0.04%~約0.06%、または約0.02%、約0.025%、約0.03%、約0.035%、約0.04%、約0.045%、約0.05%、約0.055%、約0.060%、約0.065%、約0.07%、約0.075%、約0.08%、約0.085%、約0.09%、約0.095%、または約0.1%(これらの範囲内のあらゆる範囲または値を含む)の界面活性剤を含む。
【0084】
本明細書に記載の製剤は、界面活性剤および糖を適切に含む。本明細書に記載の製剤は、界面活性剤および1つまたは複数の緩衝剤を適切に含む。本明細書に記載の製剤は、糖および1つまたは複数の緩衝剤を適切に含む。本明細書に記載の製剤は、界面活性剤、糖、および1つまたは複数の緩衝剤を適切に含む。
【0085】
本明細書に記載の製剤はまた、例えば、1つまたは複数の糖、塩、アミノ酸、ポリオール、キレート剤、乳化剤、および/または保存剤を含む1つまたは複数の追加の賦形剤も含み得る。
【0086】
医薬的使用
本発明の製剤は、好ましくは医薬製剤である。適切には、本明細書に記載の医薬製剤は、「薬学的に許容される」ものであり、したがって、連邦政府または州政府の規制当局によって要求された、または米国薬局方、欧州薬局方、もしくはその他の一般に認められている薬局方に記載されている必要な承認要件を満たしているため、動物、特にヒトに使用することができる。
【0087】
本発明は、医薬として使用するための、本明細書のどこかに記載されるような医薬製剤を提供する。本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書のどこかに記載されるような医薬製剤を提供する。本発明は、本明細書のどこかに記載されるような医薬製剤を対象に投与することを含む、対照の疾患を処置する方法を提供する。本明細書のどこかに記載されるような処置有効量の医薬製剤を対象に投与することによって対象を処置する方法も本明細書で提供される。
【0088】
本明細書で使用される「対象」という用語は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、限定されるものではないが、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物および非哺乳動物を含む。一実施形態では、対象はヒトである。
【0089】
疾患は、糖尿病、心血管疾患、感染症、関節リウマチ、脈管炎、巨細胞性動脈炎、糸球体腎症、ループス腎炎、ブドウ膜炎、アトピー性皮膚炎、肝硬変、乾癬性関節炎、慢性閉塞性肺疾患、重症喘息、好中球性喘息、および骨髄性白血病からなる群から選択され得る。
【0090】
実施形態では、製剤は、皮下投与または注射によって対象に投与される。
【0091】
適切には、製剤は液体製剤または凍結製剤である。
【0092】
また、本明細書に記載されるような医薬製剤を調製すること、およびこの医薬製剤をシリンジに適切に充填して充填済みシリンジにすることを含む医薬製剤の調製方法も本明細書で提供される。
【0093】
適切には、本明細書に記載の医薬製剤は、滅菌水中で調製される、または注射用の滅菌水中に所望の量で再懸濁される。
【0094】
例示的実施形態では、医薬製剤は、約0.1mL~約20.0mL、より適切には約0.5mL~約15.0mL、約0.5mL~約12.0mL、約1.0mL~約10.0mL、約1.0mL~約5.0mL、約1.0mL~約2.0mL、または約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1.0mL、約1.1mL、約1.2mL、約1.3mL、約1.4mL、約1.5mL、約1.6mL、約1.7mL、約1.8mL、約1.9mL、約2.0mL、約2.1mL、約2.2mL、約2.3mL、約2.4mL、約2.5mL、約2.6mL、約2.7mL、約2.8mL、約2.9mL、または約3.0mL(これらの範囲内のあらゆる範囲または値を含む)の容量を有する。
【0095】
適切な実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、液体製剤、すなわち滅菌水または注射用水(WFI)中で調製される医薬製剤であるが、この医薬製剤は、凍結製剤または予め凍結乾燥された製剤であってもよい。
【0096】
本発明はまた、滅菌水のみを使用して本明細書に記載されるような本発明による製剤に再構成することができる凍結乾燥ケーキを提供する。抗体:イオン性賦形剤の比率は、凍結乾燥ケーキにおいても凍結乾燥後の製剤と同じであることを理解されたい。一実施形態では、イオン性賦形剤:抗体のモル比は、450:1~40:1の範囲内である。製剤が凍結乾燥されている場合、本明細書で提供される製剤の濃度は再構成後の濃度であり、したがって、いわゆる「医薬品」の濃度である。例として、半再構成法が使用される場合(凍結乾燥中に除去された水の量の半分が再構成中に戻される場合)、再構成後、抗体の濃度は、凍結乾燥前の2倍、すなわちいわゆる凍結乾燥前の「薬物-物質」組成物中に存在したときの2倍である。したがって、本発明は、凍結乾燥させて凍結乾燥ケーキを形成することができる組成物をさらに提供し、この凍結乾燥ケーキは、滅菌水のみを使用して本明細書に記載されるような本発明による製剤に再構成することができることを理解されたい。適切な再構成法は当業者には公知であろう。
【0097】
実施形態では、本明細書に記載されるような液体医薬製剤を提供し、適切な条件下で製剤を凍結することによって凍結製剤を調製することが望ましい。例えば、凍結製剤は、液体製剤を0℃未満、より適切には約-20℃、約-40℃、約-60℃、または適切には約-80℃に凍結することによって提供することができる。医薬製剤はまた、液体製剤として適切に調製され、約2℃~約8℃、または約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、または約8℃で保存される。
【0098】
液体製剤および/または凍結製剤から凍結乾燥医薬製剤を調製するための適切なプロトコルおよび方法は当技術分野において公知である。
【0099】
製剤の安定性
例示的な実施形態では、本明細書に記載の製剤は、室温または約2℃~約8℃の温度範囲、適切には約5℃での長期保存で安定である。本明細書で使用される室温は、一般に約22℃~約25℃の範囲内である。適切には、医薬製剤は、約2℃~約8℃(例えば、5℃)で少なくとも6ヶ月間保存した後も安定である。本明細書で使用される、保存期間中「安定な」(または「安定性」)という用語は、モノクローナル抗体、適切にはIgG4モノクローナル抗体、医薬製剤が凝集、分解、半抗体形成、および/または断片化に抵抗することを示すために使用される。モノクローナル抗体の安定性は、基準と比較して、高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円偏光二色性(CD)、尿素変性技術(urea unfolding technique)、内在性トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、および/またはANS結合技術によって測定される凝集度、分解、半抗体の形成、または断片化によって評価することができる。
【0100】
モノクローナル抗体を含む医薬製剤の全体的な安定性は、例えば、単離された抗原分子を用いるELISAおよびラジオイムノアッセイを含む様々な免疫学的アッセイによって評価することができる。
【0101】
本明細書で使用される「低レベルから検出不可能なレベルの凝集」という句は、高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)または静的光散乱(SLS)技術によって測定される、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、または約0.5重量%以下のタンパク質の凝集を含有する医薬製剤を指す。適切には、医薬製剤は、≦5.0%の凝集、より適切には≦4.0%の凝集、≦3.0%の凝集、≦2.0%の凝集、≦1.0%の凝集、または0.5%の凝集を示す。適切には、液体医薬製剤および/または凍結医薬製剤は、≦5.0%の凝集、より適切には≦4.0%の凝集、≦3.0%の凝集、≦2.0%の凝集、≦1.0%の凝集、または0.5%の凝集を示す。
【0102】
本明細書で使用される「低レベルから検出不可能なレベルの断片化」という語句は、例えば、HPSECまたは還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)によって決定されるような単一ピークでは、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上の全モノクローナル抗体を含有する医薬製剤を指し、非分解モノクローナル抗体またはその非分解断片を表し、全モノクローナル抗体の約5%超、約4%超、約3%超、約2%超、約1%超、または約0.5%超を有する他の単一ピークを含まない。断片化は、IgG4モノクローナル抗体において適切に測定することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、自己凝集の減少は、kD値の増加によって証明されるように、コロイド安定性の改善によるものと考えられる。例示的な実施形態では、本明細書に記載の製剤は、目視観察、光散乱、ネフェロメトリー、または比濁法によって検出されるように乳光の減少および相分離の減少を有する。
【0103】
さらなる実施形態、実施形態の特徴、および利点、ならびに様々な実施形態の構造および動作は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0104】
実施例
実施例1-IgG4製剤
低または中性pI値を有する抗体の製剤化の課題は、これらの抗体が5.5~7.5の範囲以外のpH(タンパク質電荷およびコロイド安定性を増加させるために一般に必要とされる)で製剤化される場合、さらなる不安定性が観察されることである。酸性pHでは、断片化率の増加、立体配座の安定性の低下、および凝集の増加が観察される。塩基性pHでは、酸化、脱アミド化、および断片化の増大、ならびにガラス容器との不適合性の可能性がある。IgG4抗体は、典型的には低または中性pI値を有するため、そのような不安定性を調べるのに特に有用である。
【0105】
以下は、中性pIを有するモノクローナル抗体の保存安定性を最適化し、しかも上述の中性のpHの物理的不安定性も克服する、本明細書に記載の製剤を開発するために使用される方法を詳述する。
【0106】
本明細書に記載されるように、製剤は、中性pHと塩などのイオン性賦形剤との組み合わせを有する。任意選択により、糖も製剤中に使用することができ、これは、場合によってはさらなる改善をもたらすことが示されている。
【0107】
糖(スクロースおよびトレハロースが例である)は、(イオン性賦形剤と組み合わせて)立体配座安定性をさらに高めることができ;イオン性賦形剤(例えば、塩化ナトリウム、リジン塩酸塩、およびアルギニン塩酸塩)は、モノクローナル抗体分子のコロイド安定性を高める。さらに、製剤の中性pH(約pH6)はまた、上記の酸性および塩基性分解経路を最小限にする。これらの製剤は、これらのモノクローナル抗体に対して優れた全体的な保存安定性を提供する。製剤の他の適切な成分は、中性pKaを有する緩衝剤(例えば、NaAC、ヒスチジンHCl、リン酸ナトリウム)である。
【0108】
本明細書に記載され、表1に列挙されるように、CAM-3001(抗GM-CSFRαモノクローナル抗体)、2つの抗IL-13モノクローナル抗体、および抗C5/C5aモノクローナル抗体は中性pI値を有するIgG4であるため、これらをこの試験のために選択した。
【0109】
【0110】
CAT-354は、ヒトインターロイキン13(IL-13)に特異的に結合して、IL-13受容体との相互作用をブロックするIgG4サブクラスのヒト抗体である。CAT-354の軽鎖および重鎖のDNAおよびそれに由来するアミノ酸配列はそれぞれ、「エラー!参照元が見つからない」および「エラー!参照元が見つからない」で提供される。「エラー!参照元が見つからない」および「エラー!参照元が見つからない」では、VHおよびVL配列が標識され、6個のCDRに下線が引かれている。CAT-354分子は、約147,000ダルトン(Da)の分子量を有するヒトモノクローナルIgG4(λ軽鎖)抗体(オリゴ糖を含む)である。抗体は、それぞれ約49,500Daの2つの同一の重鎖と、それぞれ約22,500Daの2つの同一の軽鎖とからなる。CAT-354は、フコシル化二分岐複合体、およびAsn-299で各重鎖に結合した高マンノースN結合炭水化物を含有する。オリゴ糖部分の平均サイズは、重鎖あたり約1,650Daである。
【0111】
CAM-3001は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体α(GM-CSFRα)に結合する抗体である。CAM-3001は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/110631号パンフレットに開示されている。CAM-3001の重鎖CDR(HCDR)は、国際公開第2007/110631号パンフレットに配列番号53~55として開示されている。CAM-3001の軽鎖CDR(LCDR)は、国際公開第2007/110631号パンフレットに配列番号58~60として開示されている。CAM-3001の重鎖可変領域(VH)は、国際公開第2007/110631号パンフレットに配列番号52として開示されている。CAM-3001の軽鎖可変領域(VL)は、国際公開第2007/110631号パンフレットに配列番号218として開示されている。
【0112】
図2に示すように、100mMの濃度の塩の存在下では、凝集率は、分子がpH5である場合は増加するが、分子がpH6およびpH7である場合は低下する。
【0113】
最も安定な製剤を達成するために、立体配座安定性とコロイド安定性との組み合わせを試験することによって、モノクローナル抗体の溶液特性と拡散相互作用パラメータ(k
D)との間の相関関係を調べた。k
Dは、コロイド安定性の指標として測定し、示差走査熱量測定(DSC)は、立体配座安定性の尺度として調べた。
図3は、調べたモノクローナル抗体についての様々なpHにおけるk
Dを示す。
図3Bは、100mMの濃度で塩を添加した後に調べたモノクローナル抗体についての様々なpHにおけるk
Dを示す。低いイオン強度では、k
Dは一般に、pHの増加とともにより負になる。塩の添加により、調べたすべての分子でk
Dが負になりにくくなる。
【0114】
図4に示す結果では、塩を100mMの濃度で製剤に添加し、コロイド安定性を調べた。一般に、pH5ではコロイド安定性が低下するが、pH6およびpH7ではコロイド安定性が向上することに留意されたい。
【0115】
図5に示す結果では、40℃での凝集率データは、100mMの塩を含むまたは含まない製剤で得た。pI(pH6または7)に近い塩を含む製剤は、pIから離れた塩を含まない製剤と比較して凝集の減少を示す。
【0116】
図6および
図7に示す凝集率の結果から、荷電アミノ酸は、分子pI付近でイオン安定剤としても作用することができ、場合によってはNaClよりも安定化させることができることが分かる。
【0117】
IgG4の安定性に対する効果を決定するために、ヒスチジンベースの緩衝剤への塩の添加を調べた。以下の緩衝剤系を調べた:対照緩衝剤(25mMヒスチジン、7%スクロース、pH6);試験緩衝剤(25mMヒスチジン、7%スクロース;100mM NaCl、pH6)および外観に対する塩の影響を以下の表2に要約する。
【0118】
【0119】
上記で実証されたように、塩の添加により凝集率およびモノマー損失率が低下し、製剤の外観が改善された。
【0120】
要約すると、塩を含み、糖を含むまたは含まない製剤は、乳光が少なく、場合によっては相分離が緩和され、スクロースのみを含む製剤と比較して同等またはそれ以上に良好な安定性を提供する。
【0121】
凍結融解試験により、3回の凍結融解サイクル後に、製品の品質に有意な変化、例えば目に見えない粒子などが存在しないことが示された。要約すると、塩と糖の両方の添加により、それらのpI付近のpHで製剤化した場合であっても、IgG4分子の安定性が改善された。
【0122】
実施例2-IgG1製剤
MEDI8897は、RSV-Fタンパク質に対するヒトIgG1κ-YTEモノクローナル抗体である。FcドメインのCH2領域における3つのアミノ酸置換(M252Y/S254T/T256E;YTEと呼ばれる)を導入して、MEDI8897の血清半減期を延ばした。MEDI8897の配列情報を
図8および9に示す。MEDI8897のpIをcIEFによって測定すると、6.4~6.7であり、6.4に主ピークがあった。pIは、製造、製剤、および保存安定性に関する潜在的な問題を示唆する製剤緩衝剤の範囲(5.5~6.5)と重複する。
【0123】
MEDI8897の熱安定性を示差走査熱量測定によって測定した。Tm2が82℃であるのに対し、Tmlは61℃であることが分かった。50℃を超えるTmlは、分子が許容可能なコロイド安定性を有することを示唆する。
【0124】
安定性の要約
標準緩衝剤(25mMヒスチジン、7%スクロース、pH6.0)中にMEDI8897を入れると、相分離が2~8℃で観察された。上層は75mg/mlのタンパク質濃度を有する一方、底層は125mg/mlであった。25℃で平衡化すると、2つの異なる相が消失し、1つの単相のみが観察された。2~8℃での相分離は、製剤のpH6.0に近いMEDI8897のpIに起因すると考えられる。溶解性を維持し、100mg/mlでのMEDI8897の相分離を防止する条件を目標とした、MEDI8897安定性評価にとってより適切な製剤緩衝剤を見出すために探索試験を開始した。
【0125】
5.9未満または6.7超のpHの標準緩衝剤(25mMヒスチジン、7%スクロース)での製剤化は相分離を緩和した。pH5.0~6.7の間の標準緩衝剤への75mMのNaClの添加もまた相分離を緩和した。最後に、pIから離れたpH値の酢酸塩緩衝剤およびリン酸緩衝剤も相分離を緩和した。これらのスクリーニング試験および製剤空間内のpIを有するmAbの予備知識に基づいて、評価のために代替緩衝剤(25mM His/HisHCl、75mM NaCl、4%スクロース、0.02%PS80、pH6.0)を選択した。
【0126】
kD試験
最初のkDスクリーニングでは、すべての試料を、25℃で2~10mg/mlの25mMのヒスチジン(pH5.5)ベースの緩衝剤中で評価した。MEDI8897はpH5.5でより可溶性であり、不溶性粒子に敏感なDLS測定を容易にするため、この緩衝剤をpH6.0の代わりに選択した。アルギニン-HCl、リジン-HCl、およびNaClを含むイオン性賦形剤を10mM、25mM、50mM、75mM、および100mMの濃度で評価した。さらに、プロリン、アラニン、Na2SO4、およびヒスチジンを、100mMの濃度のみで評価した。最後に、2%、4%、および6%スクロースを評価して、スクロースがタンパク質-タンパク質相互作用に影響を与えるかどうかを決定した。すべての条件を緩衝剤対照(25mM ヒスチジン、pH5.5)と比較した。
【0127】
対照試料は、2~10mg/mlで6.2~7.8nmに増加する流体力学的半径を有する、異なるタンパク質-タンパク質相互作用を示した。アルギニン-HCl、リジン-HCl、およびNaClは、2~10mg/mlの濃度範囲にわたって流体力学的サイズの増加がないことによって証明されるように、25mMの濃度で開始するタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)の減少を示した。25~100mMの間ではさらなる効果は見られなかった。100mMの濃度で、プロリンおよびアラニンは対照と同様のPPIを示したが、Na2SO4およびヒスチジンはPPIを軽減した。最後に、スクロース濃度はPPIに影響を与えなかった。このデータは、荷電賦形剤(Arg-HCl、Lys-HCl、ヒスチジン、およびNa2SO4)はタンパク質-タンパク質相互作用を軽減するが、中性賦形剤(スクロース、プロリン、アラニン)はPPIを軽減しないことを例証している。したがって、pH5.5のイオン性賦形剤の添加により、100mg/mlでの相分離が減少した。
【0128】
40℃での安定性評価
kDスクリーニングに基づいて、40℃での安定性評価のためにいくつかの条件を選択した。表3は、製剤条件および40℃で見られた1ヶ月の分解率を要約する。
【0129】
【0130】
この試験は、アルギニンおよびリジンがNaClよりも安定化していることを例証する。さらに、75mM以上は、凝集に対して安定化するようである。この試験に基づいて、アルギニンを、最も安定化させる凍結乾燥が容易な(lyo-friendly)賦形剤として選択し、次の一連の試験に進んだ。
【0131】
最後の凍結乾燥サイクル/代表的な物質に対する医薬品の安定性
医薬品の安定性を評価した。30mMのL-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、80mMのL-アルギニン塩酸塩、120mMのスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、pH6.0中での100mg/mlの再構成後の製剤について3ヶ月間のデータを収集した。結果を
図10に示す。2~8℃での保存は、3ヶ月の期間中に実質的に変化を示さず、臨床使用での製剤および乾燥凍結サイクルの適合性を裏付けている。したがって、これらのデータは、製剤が適切な安定性および溶解性を提供し、かつ初めてヒト臨床使用で適していることを実証する。
【0132】
【0133】
実施例3-IgG4製剤
抗体MEDI578の製剤をpH6で試験した。MEDI578は、6.3~6.8のpIを有するIgG4モノクローナル抗体である。
【0134】
【0135】
実施例4-IgG4製剤
試験したすべての製剤は、ポリソルベートを含まず、100mg/mlのMEDI578、20mMのヒスチジン、pH6.5を含んでいた。MEDI578は、6.3~6.8のpIを有するIgG4モノクローナル抗体である。
【0136】
【0137】
図12は、サイズ排除クロマトグラフィーによる純度を示す。
【0138】
図13は、熱応力条件下でのイオン性賦形剤を含有する製剤中の目に見えない粒子の減少を示す。コロイド安定性が改善されている。
【0139】
本発明の実施形態を以下の項にさらに記載する:
[項1]
製剤であって、
i.モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含み、前記モノクローナル抗体が約50mg/ml以上の濃度で存在し、前記イオン性賦形剤が約50~約150mMの濃度で存在し、前記製剤が5.5~7.5のpHを有する、製剤。
[項2]
製剤であって、
i.モノクローナル抗体;および
ii.イオン性賦形剤;
を含み、前記モノクローナル抗体が約50mg/ml以上の濃度で存在し、前記イオン性賦形剤が約50~約150mMの濃度で存在し、前記製剤が5.5~7.5のpHを有し;前記製剤中の前記モノクローナル抗体の凝集率が、イオン性賦形剤を含まない同じ製剤中の同じ抗体の凝集率と比較して低い、製剤。
[項3]
前記モノクローナル抗体が、pH5.5~pH7.5の範囲のpIを有する、上記項1または2に記載の製剤。
[項4]
前記モノクローナル抗体が、pH6.0~pH7.5の範囲のpIを有する、上記項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
[項5]
前記モノクローナル抗体が、pH6.4~pH7.5の範囲のpIを有する、上記項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
[項6]
前記モノクローナル抗体がIgG4モノクローナル抗体である、上記項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
[項7]
前記モノクローナル抗体が、約100mg/ml~約200mg/mlの濃度で前記製剤中に存在する、上記項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
[項8]
前記モノクローナル抗体が、約100mg/mlの濃度で前記製剤中に存在する、上記項7に記載の製剤。
[項9]
約pH5.5~約pH6.5の範囲のpHを有する、上記項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
[項10]
約pH5.7~約pH6.3の範囲のpHを有する、上記項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
[項11]
約pH5.7~約pH6.1の範囲のpHを有する、上記項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
[項12]
約pH6.0のpHを有する、上記項11に記載の製剤。
[項13]
前記イオン性賦形剤が塩である、上記項1~12のいずれか一項に記載の製剤。
[項14]
前記塩がNaClである、上記項13に記載の製剤。
[項15]
前記塩がアルギニン塩酸塩である、上記項13に記載の製剤。
[項16]
前記塩がリジン塩酸塩である、上記項13に記載の製剤。
[項17]
前記イオン性賦形剤が、約75mM~約100mMの濃度で存在する、上記項1~16のいずれか一項に記載の製剤。
[項18]
前記イオン性賦形剤が約80mMの濃度で存在する、上記項17に記載の製剤。
[項19]
糖をさらに含む、上記項1~18のいずれか一項に記載の製剤。
[項20]
前記糖がトレハロースである、上記項19に記載の製剤。
[項21]
前記糖がスクロースである、上記項19に記載の製剤。
[項22]
前記糖が、約100mM~約140mMの濃度で存在する、上記項19~21のいずれか一項に記載の製剤。
[項23]
前記糖が約120mMの濃度で存在する、上記項22に記載の製剤。
[項24]
1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む、上記項1~23のいずれか一項に記載の製剤。
[項25]
前記1つまたは複数の緩衝剤が、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、およびヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩から選択される、上記項24に記載の製剤。
[項26]
前記1つまたは複数の緩衝剤が、L-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩一水和物である、上記項25に記載の製剤。
[項27]
前記1つまたは複数の緩衝剤が約10mM~約50mMの濃度で存在する、上記項24~26のいずれか一項に記載の製剤。
[項28]
前記1つまたは複数の緩衝剤が約30mMの濃度で存在する、上記項27に記載の製剤。
[項29]
界面活性剤をさらに含む、上記項1~28のいずれか一項に記載の製剤。
[項30]
前記界面活性剤がポリソルベートである、上記項29に記載の製剤。
[項31]
前記界面活性剤がポリソルベート80である、上記項30に記載の製剤。
[項32]
前記界面活性剤が、約0.02%(w/v)~約0.07%(w/v)の濃度で前記製剤中に存在する、上記項29~31のいずれか一項に記載の製剤。
[項33]
前記界面活性剤が、約0.04%(w/v)の濃度で前記製剤中に存在する、上記項32に記載の製剤。
[項34]
例えば、1つまたは複数の糖、塩、アミノ酸、ポリオール、キレート剤、乳化剤、および/または保存剤を含む、1つまたは複数の追加の賦形剤をさらに含む、上記項1~33のいずれか一項に記載の製剤。
[項35]
150mg/mlの抗IL-13 IgG4抗体、50mMの酢酸ナトリウム、85mMの塩化ナトリウム、および0.01%のポリソルベート80を含み、前記製剤がpH5.5のpHを有する、上記項1に記載の製剤。
[項36]
前記抗体が、
図1-1および
図1-2に示されているようなCAT-354の6個のCDR配列を有する、上記項35に記載の製剤。
[項37]
前記抗体が、
図1-1および
図1-2に示されているCAT-354のVHおよびVL配列を有する、上記項35に記載の製剤。
[項38]
150mg/mlの抗GM-CSF-Rα IgG4抗体、50mMの酢酸ナトリウム/酢酸、106mMのトレハロース二水和物、70mMの塩化ナトリウム、および0.05%(w/v)のポリソルベート80を含み、前記製剤がpH5.8のpHを有する、上記項1に記載の製剤。
[項39]
前記抗体が、CAM-3001の6個のCDR配列を有する、上記項38に記載の製剤。
[項40]
前記抗体が、CAM-3001のVHおよびVL配列を有する、上記項38に記載の製剤。
[項41]
医薬製剤である、上記項1~40のいずれか一項に記載の製剤。
[項42]
薬剤として使用するための、上記項41に記載の医薬製剤。
[項43]
疾患の処置に使用するための、上記項41に記載の医薬製剤。
[項44]
上記項41に記載の医薬製剤を対象に投与することを含む、前記対象の疾患を処置するための方法。
[項45]
滅菌水のみを使用して、上記項1~40のいずれか一項に記載の製剤または上記項41~43のいずれか一項に記載の医薬製剤に再構成することができる凍結乾燥ケーキ。
[項46]
凍結乾燥させて凍結乾燥ケーキを形成することができる製剤であって、滅菌水のみを使用して、上記項1~40のいずれか一項に記載の製剤または上記項41~43のいずれか一項に記載の医薬製剤に再構成することができる、製剤。
本出願で引用したすべての文献、特許、雑誌記事、および他の資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
本発明は、添付の図面を参照しながらそのいくつかの実施形態に関連して十分に記載したが、当業者には様々な変更および修正が明らかであり得ることを理解されたい。そのような変更および修正は、本発明の範囲から逸脱しない限り、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書および図面に記載の発明。