(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071917
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】コパンリシブの製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20230516BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230516BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230516BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
A61K9/19
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/26
【審査請求】有
【請求項の数】45
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034647
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2020513544の分割
【原出願日】2018-09-06
(31)【優先権主張番号】17190117.6
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17207771.1
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506161290
【氏名又は名称】バイエル・コンシューマー・ケア・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Consumer Care AG
(71)【出願人】
【識別番号】300049958
【氏名又は名称】バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フロインドリーブ,ユリア
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス,ティア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含有固体を提供する。
【解決手段】コパンリシブ、1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸化ナトリウムを含む緩衝剤、及び増量剤を含む固体、特には粉末若しくはケーキであって、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有する、凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくは
ケーキであって、前記固体、特には粉末若しくはケーキが、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、p
H4~5(両端含む)を有する、凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケ
ーキ。
【請求項2】
前記治療用量がコパンリシブ30、45又は60mgである、請求項1に記載の凍結乾
燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項3】
前記pH調節剤が緩衝剤である、請求項1又は2に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固
体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項4】
前記緩衝剤がクエン酸及び水酸化ナトリウムである、請求項1~3のいずれか1項に記
載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項5】
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0.7~75重量%、特には1.5~30重量%
、特には2.98重量%の量でクエン酸を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の凍
結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項6】
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0~6重量%、特には3.3~4.0重量%、特
には3.7重量%の量で水酸化ナトリウムを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の
凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項7】
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0.01~6重量%、特には3.3~4.0重量
%、特には3.7重量%の量で水酸化ナトリウムを含む、請求項1~6のいずれか1項に
記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項8】
前記増量剤がマンニトールである、請求項1~7のいずれか1項に記載の凍結乾燥コパ
ンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項9】
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の15.4~82.1重量%、特には30.8~8
2.1重量%、特には61.6重量%の量でマンニトールを含む、請求項8に記載の凍結
乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項10】
凍結乾燥コパンリシブ含有固体の7.7~92.4重量%、特には7.7~61.6重
量%、特には30.8重量%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む、請求項1~9のい
ずれか1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項11】
・コパンリシブの前記治療用量が、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の30.8重量
%の量であり、
・前記クエン酸が、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の2.98重量%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の3.7重量%の量で
あり、及び
・前記マンニトールが、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の61.6重量%の量であ
り、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有している、請求項1~10のいずれ
か1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項12】
・コパンリシブの前記治療用量が、30、45又は60mgの量であり、
・前記クエン酸が、5.8mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、6.3mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、120mgの量であり、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有している、請求項1~11のいずれ
か1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項13】
・コパンリシブの前記治療用量が、80mgの量であり、
・前記クエン酸が、7.7mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、8.4mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、160mgの量であり、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有している、請求項1~11のいずれ
か1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項14】
1個の容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注射バイアル
に入っている、請求項1~13のいずれか1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、
特には粉末若しくはケーキ。
【請求項15】
68.4mgの量でコパンリシブを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の凍結
乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若
しくはケーキの製造方法であって、
前記方法が、
・凍結乾燥に直接好適な高溶解度の安定なコパンリシブ含有バルク水溶液を調製するこ
と[前記バルク溶液は、
○コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
○1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水
酸化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
○増量剤
を含み、
前記バルク溶液はpH4~5(両端含む)を有する。]、
・冷凍、アニーリング、一次及び二次乾燥段階
を含み、
前記方法がそうして、請求項1~15のいずれか1項に記載の希釈及び治療用途に好適
な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキを提供する製造方法
。
【請求項17】
凍結乾燥に直接好適である高溶解度の安定なコパンリシブ含有バルク水溶液であって、
前記バルク溶液が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液がpH4~5(両端含む)を有しており、
特には40mg/mLの量でコパンリシブを含む、コパンリシブ含有バルク水溶液。
【請求項18】
・コパンリシブの前記治療用量が、前記バルク溶液の3.8重量%の量であり。
・前記クエン酸が、前記バルク溶液の0.37重量%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、前記バルク溶液の0.4重量%の量であり、及び
・マンニトールである前記増量剤が、前記バルク溶液の7.7重量%の量であり、
前記コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有する、請求項17に記載のバ
ルクコパンリシブ含有溶液。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の安定なコパンリシブ含有バルク水溶液の調製方法であって
、
前記方法が、
・好適な容器に注射用水を入れること;
・遊離塩基若しくは塩、例えば塩酸塩、特には1塩酸塩若しくは2塩酸塩、又はトシル
酸塩の形態でのコパンリシブを、前記容器に移し入れること;
・例えば任意にpH2~3(両端含む)で攪拌することで前記コパンリシブを溶解させ
ることで、コパンリシブ含有溶液を形成すること;
・前記緩衝剤及び前記増量剤を前記コパンリシブ含有溶液に加えること;
・例えば任意に攪拌することで、前記緩衝剤及び前記増量剤を溶解させること;
・そうして形成された溶液のpHを、適切な量の水酸化ナトリウム溶液でpH4~5に
調節することで、バルク溶液を形成すること;
・前記バルク溶液を無菌的に濾過することで、
直接凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含有バルク水溶液を提供する
こと;及び
・そうして形成された濾過したバルク溶液を1以上のバイアルに充填すること
を含む方法。
【請求項20】
前記容器に移し入れる前記コパンリシブがコパンリシブ2塩酸塩である、請求項19に
記載の方法。
【請求項21】
特には請求項17又は18に記載の安定なコパンリシブ含有バルク水溶液から、請求項
16に記載の方法に従って調製され、前記バルク溶液が特には請求項19又は20に記載
の方法によって調製されたものである、請求項1~15のいずれか1項に記載の凍結乾燥
コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【請求項22】
さらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液であ
って、前記再生溶液が、
・請求項1~15又は21のいずれか1項に記載の凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特
には粉末若しくはケーキ、及び
・好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0
.9%塩化ナトリウム水溶液
を含み、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有する、高溶解度の安定な再生コパンリシブ
含有溶液。
【請求項23】
前記再生溶液の0.08~15.0重量/体積%、特には0.15~3.0重量/体積
%、特には0.15重量/体積%の量でクエン酸を含む、請求項22に記載の再生コパン
リシブ含有溶液。
【請求項24】
前記再生溶液の0~0.3重量/体積%、特には0.14~0.18重量/体積%、特
には0.16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む、請求項22又は23に記載の
再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項25】
前記再生溶液の0.01~0.3重量/体積%、特には0.14~0.18重量/体積
%、特には0.16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む、請求項22又は23に
記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項26】
前記再生溶液の1.5~24.0重量/体積%、特には1.5~16.0重量/体積%
、特には3.0重量/体積%の量でマンニトールを含む、請求項22~25のいずれか1
項に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項27】
前記再生溶液の0.5~16.0重量/体積%、特には1.0~8.0重量/体積%、
特には1.5重量/体積%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む、請求項22~25の
いずれか1項に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項28】
・コパンリシブの前記治療用量が、前記再生溶液の1.5重量/体積%の量であり、
・前記クエン酸が、前記再生溶液の0.15重量/体積%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、前記再生溶液の0.16重量/体積%の量であり、及び
・前記マンニトールが、前記再生溶液の3.0重量/体積%の量であり、
前記希釈剤が0.9%塩化ナトリウム水溶液であり、
前記コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有する、請求項22~27のい
ずれか1項に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項29】
・前コパンリシブの記治療用量が、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸が、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、7.2mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、136.8mgの量であり、
・0.9%塩化ナトリウム水溶液である前記希釈剤が、4.4mLの量であり、
前記再生コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有し、
前記再生コパンリシブ含有溶液が体積4.55mLを有する、請求項22~27のいず
れか1項に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項30】
1個の容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注射バイアル
に入っている、請求項22~28のいずれか1項に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項31】
15mg/mLの量でコパンリシブを含む、請求項22~30のいずれか1項に記載の
再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項32】
特には体積4mL中にコパンリシブ60mgを含む、請求項22~31のいずれか1項
に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項33】
好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.
9%塩化ナトリウム水溶液でさらに希釈されている、請求項22~32のいずれか1項に
記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項34】
前記好適な希釈剤が、特には体積100mL中の0.9%塩化ナトリウム水溶液である
、請求項33に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項35】
輸液バッグに入っている、特にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポ
リ塩化ビニル(PVC)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)製の輸液バッグに入
っている、請求項34に記載の再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項36】
請求項1~15のいずれか1項に記載の、又は方法請求項16に記載の方法によって調
製される希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若
しくはケーキの再生方法であって、
前記再生方法が、
・好適な容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注射バイア
ル中の前記安定な凍結乾燥固体、特には粉末に、希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩
化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を加えることを含み;
前記方法がそうして、請求項22~35のいずれか1項に記載のさらなる希釈及び治療
用途に好適な安定な再生コパンリシブ含有溶液を提供する、再生方法。
【請求項37】
単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療法抗がん剤
との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一次、二次若
しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リンパ腫(F
L)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形質細胞性
/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性NHL、特
にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)
、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リンパ球性白
血病(CLL)の治療若しくは予防のための、請求項1~15若しくは21のいずれか1
項に記載の、若しくは請求項16の方法に従って調製される凍結乾燥コパンリシブ含有固
体、特には粉末若しくはケーキ、又は請求項22~35のいずれか1項に記載の、若しく
は請求項36の方法に従って調製されるさらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の
安定な再生コパンリシブ含有溶液。
【請求項38】
単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療法抗がん剤
との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一次、二次若
しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リンパ腫(F
L)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形質細胞性
/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性NHL、特
にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)
、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リンパ球性白
血病(CLL)の治療若しくは予防のための、請求項1~15若しくは請求項21のいず
れか1項に記載の、若しくは請求項16の方法に従って調製される凍結乾燥コパンリシブ
含有固体、特には粉末若しくはケーキ、又は請求項22~35のいずれか1項に記載の、
若しくは請求項36の方法に従って調製されるさらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶
解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液の使用。
【請求項39】
単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療法抗がん剤
との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一次、二次若
しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リンパ腫(F
L)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形質細胞性
/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性NHL、特
にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)
、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リンパ球性白
血病(CLL)の治療若しくは予防のための医薬製造のための、請求項1~15若しくは
請求項21のいずれか1項に記載の、若しくは請求項16の方法に従って調製される凍結
乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ、又は請求項22~35のいずれ
か1項に記載の、若しくは請求項36の方法に従って調製されるさらなる希釈及び治療用
途に好適な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液の使用。
【請求項40】
対象者における、がん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一次、二次若
しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リンパ腫(F
L)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形質細胞性
/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性NHL、特
にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)
、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リンパ球性白
血病(CLL)の治療若しくは予防方法であって、
単独療法として、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療法抗がん剤と
の併用療法で、
前記対象者に対して、さらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安定な再生コパ
ンリシブ含有溶液、及び5(両端含む)、
請求項22~35のいずれか1項に記載の、又は請求項36の方法に従って調製される
、さらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液を投
与することを含む、治療若しくは予防方法。
【請求項41】
前記コパンリシブ含有溶液がコパンリシブ60mgを含む、請求項38若しくは39に
記載の使用、又は請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コパンリシブ含有溶液が体積4.0mLのものである、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記使用を、患者に対して、間欠的スケジュールで(3週間オン及び1週間オフ)、2
8日治療サイクルの第1日、第8日及び第15日に、1時間静脈注入として、コパンリシ
ブ60mgの固定容量を投与することで行う、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記溶液を、化学療法抗がん剤と併用投与する、請求項38若しくは39に記載の使用
、又は請求項40若しくは請求項41~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記化学療法抗がん剤が、
131I-chTNT、アバレリックス、アビラテロン、アクラルビシン、アダリムマ
ブ、アドゥ-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブ、アフリベルセプト、アルデス
ロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アレンドロン酸、アリトレチノイン、アルト
レタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、ヘキシルアミノレブリネート、アムルビ
シン、アムサクリン、アナストロゾール、アンセスチム、アネトールジチオレチオン、ア
ネツマブラブタンシン、アンギオテンシンII、アンチトロンビンIII、アプレピタン
ト、アルシツモマブ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、
アキシチニブ、アザシチジン、バシリキシマブ、ベロテカン、ベンダムスチン、ベシレソ
マブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ブ
レオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ブセレリン、ボスチニブ、ブレンツキシ
マブ・ベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カルシトニン、カル
シウムホリナート、カルシウムレボホリナート、カペシタビン、カプロマブ、カルバマゼ
ピン、カルボプラチン、カルボコン、カルフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、
カツマキソマブ、セレコキシブ、セルモロイキン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラム
ブシル、クロルマジノン、クロルメチン、シドフォビル、シナカルセト、シスプラチン、
クラドリビン、クロドロン酸、クロファラビン、コビメチニブ、クリサンタスパーゼ、ク
リゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノ
マイシン、ダラツムマブ、ダルベポエチンアルファ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、ダウ
ノルビシン、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デプ
レオチド、デスロレリン、ジアンヒドロガラクチトール、デクスラゾキサン、塩化ジブロ
スピジウム、ジアンヒドロガラクチトール、ジクロフェナク、ジヌツキシマブ、ドセタキ
セル、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドキソルビシン+エストロン
、ドロナビノール、エクリズマブ、エドレコロマブ、酢酸エリプチニウム、エロツズマブ
、エルトロンボパグ、エンドスタチン、エノシタビン、エンザルタミド、エピルビシン、
エピチオスタノール、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エプ
タプラチン、エリブリン、エルロチニブ、エソメプラゾール、エストラジオール、エスト
ラムスチン、エチニルエストラジオール、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、
ファドロゾール、フェンタニル、フィルグラスチム、フルオキシメステロン、フロクスウ
リジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、フォルメスタン、
ホスアプレピタント、フォテムスチン、フルベストラント、ガドブトロール、ガドテリド
ール、ガドテル酸メグルミン、ガドベルセタミド、ガドキセト酸、硝酸ガリウム、ガニレ
リクス、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グルカルピダーゼ、グルトキシム
、GM-CSF、ゴセレリン、グラニセトロン、顆粒球コロニー刺激因子、ヒスタミン二
塩酸塩、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、I-125シード、ランソプラゾール、
イバンドロン酸、イブリツモマブ チウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン、イホス
ファミド、イマチニブ、イミキモド、インプロスルファン、インジセトロン、インカドロ
ン酸、インゲノールメブテート、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、
インターフェロンガンマ、イオビトリドール、イオベングアン(123I)、イオメプロ
ール、イピリムマブ、イリノテカン、イトラコナゾール、イキサベピロン、イキサゾミブ
、ランレオチド、ランソプラゾール、ラパチニブ、ラソコリン(lasocholine
)、レナリドマイド、レンバチニブ、レノグラスチム、レンチナン、レトロゾール、リュ
ープロレリン、レバミソール、レボノルゲストレル、レボチロキシンナトリウム、リスリ
ド、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、マソプロコール、メドロキシプロゲステロ
ン、メゲストロール、メラルソプロール、メルファラン、メピチオスタン、メルカプトプ
リン、メスナ、メタドン、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、
メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、メチロシン、ミファムルチド、ミルテホ
シン、ミリプラチン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシ
ン、ミトタン、ミトキサントロン、モガムリズマブ、モルグラモスチム、モピダモール、
モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、ナビロン、ナビキシモルス、ナファレリン、ナロキソ
ン+ペンタゾシン、ナルトレキソン、ナルトグラスチム、ネシツムマブ、ネダプラチン、
ネララビン、ネリドロン酸、ネツピタント/パロノセトロン、ニボルマブ、ペンテトレオ
チド、ニロチニブ、ニルタミド、ニモラゾール、ニモツズマブ、ニムスチン、ニンテダニ
ブ、ニトラクリン、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オ
ラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オメプラゾール、オンダ
ンセトロン、オプレルベキン、オルゴテイン、オリロチモド、オシメルチニブ、オキサリ
プラチン、オキシコドン、オキシメトロン、オゾガマイシン、p53遺伝子治療、パクリ
タキセル、パルボシクリブ、パリフェルミン、パラジウム-103シード、パロノセトロ
ン、パミドロン酸、パニツムマブ、パノビノスタット、パントプラゾール、パゾパニブ、
ペグアスパルガーゼ、PEG-エポエチンベータ(メトキシPEG-エポエチンベータ)
、ペンブロリズマブ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペ
ンブロリズマブ、ペメトレキセド、ペンタゾシン、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペ
ルフルブタン、ペルホスファミド、ペルツズマブ、ピシバニール、ピロカルピン、ピラル
ビシン、ピクサントロン、プレリキサホル、プリカマイシン、ポリグルサム、リン酸ポリ
エストラジオール、ポリビニルピロリドン+ヒアルロン酸ナトリウム、ポリサッカライド
-K、ポマリドミド、ポナチニブ、ポルフィマーナトリウム、プララトレキセート、プレ
ドニムスチン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロコダゾール、プロプラノロール、キ
ナゴリド、ラベプラゾール、ラコツモマブ、塩化ラジウム-223、ラドチニブ、ラロキ
シフェン、ラルチトレキセド、ラモセトロン、ラムシルマブ、ラニムスチン、ラスブリカ
ーゼ、ラゾキサン、レファメチニブ、レゴラフェニブ、リセドロン酸、エチドロン酸レニ
ウム-186、リツキシマブ、ロラピタント、ロミデプシン、ロミプロスチム、ロムルチ
ド、ルカパリブ、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、サツモ
マブ、セクレチン、シルツキシマブ、シプロイセル-T、シゾフィラン、ソブゾキサン、
グリシジダゾールナトリウム、ソニデジブ、ソラフェニブ、スタノゾロール、ストレプト
ゾシン、スニチニブ、タラポルフィン、タリモジーン・ラハーパレプベック、タミバロテ
ン、タモキシフェン、タペンタドール、タソネルミン、テセロイキン、テクネチウム(9
9mTc)ノフェツモマブ(nofetumomab)メルペンタン、99mTc-HY
NIC-[Tyr3]-オクトレオチド、テガフール、テガフール+ギメラシル+オテラ
シル、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、
テトロホスミン、サリドマイド、チオテパ、チマルファシン、甲状腺刺激ホルモンα、チ
オグアニン、トシリズマブ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン
、トラメチニブ、トラマドール、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、トレ
オスルファン、トレチノイン、トリフルリジン+チピラシル、トリロスタン、トリプトレ
リン、トラメチニブ、トロホスファミド、トロンボポエチン、トリプトファン、ウベニメ
クス、ヴァラチニブ、バルルビシン、バンデタニブ、バプレオチド、ベムラフェニブ、ビ
ンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビスモデギ
ブ、ボリノスタット、ボロゾール、イットリウム-90ガラス微小球、ジノスタチン、ジ
ノスタチンスチマラマー、ゾレドロン酸、ゾルビシンからなる群から選択される、請求項
44に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
・凍結乾燥に、そして治療的使用に好適である、安定なコパンリシブ含有バルク水溶液
を調製する方法(以下、「製造プロセス」と称する);
・凍結乾燥に直接適している高溶解度の、安定なコパンリシブ含有バルク溶液(以下、
「バルク溶液」と称する);
・前記バルク溶液を凍結乾燥する方法(以下、「凍結乾燥プロセス」と称する);
・特には1個若しくは2個の容器中に、特には1個の密閉容器中に治療用量のコパンリ
シブを含む、安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ(以下、
「凍結乾燥物」と称する);
・前記凍結乾燥物を再生する方法(以下、「再生方法」と称する);及び
・さらなる希釈に、そして治療的使用に好適である、溶解度が高い安定な再生コパンリ
シブ含有溶液(以下、「再生溶液」と称する)
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コパンリシブは、主として、悪性B細胞で発現されるPI3K-α及びPI3K-δア
イソフォームに対するキナーゼ阻害活性を有する新規な静脈パン分類Iのホスファチジル
イノシトール-3-キナーゼ(PI3K)阻害剤である。PI3K経路は細胞の増殖、生
存及び代謝に関与しており、それの異常調節が非ホジキンリンパ腫(NHL)において重
要な役割を果たす。
【0003】
コパンリシブは、イン・ビトロ及びイン・ビボの両方で複数の組織型の腫瘍に対する広
い活性スペクトラムを示す。
【0004】
コパンリシブは、2004年4月8日にWO04/029055A1として公開の国際
特許出願PCT/EP2003/010377(参照によって、その全体が本明細書に組
み込まれる)、第26頁以降で提供される方法に従って合成することができる。
【0005】
コパンリシブは、2008年6月12日にWO2008/070150A1として公開
の国際特許出願PCT/US2007/024985(参照によって、その全体が本明細
書に組み込まれる)で、実施例13の化合物:遊離塩基である2-アミノ-N-[7-メ
トキシ-8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシ)-2,3-ジヒドロイミダゾ[1
,2-c]キナゾリン-5-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドとして公開されてい
る。コパンリシブ遊離塩基は、WO2008/070150、第9頁以降及び第42頁以
降で提供される方法に従って合成することができる。式(I)の化合物についての生物試
験データは、WO2008/070150第101~107頁にある。
【0006】
コパンリシブ2塩酸塩(2-アミノ-N-[7-メトキシ-8-(3-モルホリン-4
-イルプロポキシ)-2,3-ジヒドロイミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル]
ピリミジン-5-カルボキサミド・2塩酸塩である)(以下、「コパンリシブ2塩酸塩」
と称する)が、2012年10月11日にWO2012/136553として公開された
国際特許出願PCT/EP2012/055600で、実施例1及び2の化合物:2-ア
ミノ-N-[7-メトキシ-8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシ)-2,3-ジ
ヒドロイミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド
・2塩酸塩として公開されており、それは前記実施例1及び2で提供される方法に従って
合成することができる。
【0007】
コパンリシブ遊離塩基及びコパンリシブ2塩酸塩は、2016年5月12日にWO20
16/071435として公開された国際特許出願PCT/EP2015/075789
(参照によって、その全体が本明細書に組み込まれる)で公開の方法に従って合成するこ
ともできる。
【0008】
コパンリシブ2塩酸塩は、非晶質型で、又は3種類の結晶型(水和物I、II及びII
Iである)の一つで存在する。
【化1】
【0009】
本発明の文脈において、別段の断りがない限り、「コパンリシブ」又は「薬剤物質」と
いう用語は、遊離塩基の形での、又は塩、例えば塩酸塩、特には1塩酸塩若しくは2塩酸
塩又はトシル酸塩の形でのコパンリシブを指し、例えば前記型が水和物、無水物又は非晶
質形として存在することが可能である。
【0010】
本発明で薬剤物質として使用される化合物は、コパンリシブ2塩酸塩である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO04/029055A1
【特許文献2】WO2008/070150A1
【特許文献3】WO2012/136553
【特許文献4】WO2016/071435
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
コパンリシブの製剤に関連する具体的な技術的問題
コパンリシブは、pHが低下すると水溶液中での溶解度上昇を示すが、それは安定性の
低下、そして更には所与の可能な製剤の低い局所耐容性を伴うものである。
【0013】
コパンリシブ2塩酸塩はpH依存性の溶解度を示す。それは、0.1M塩酸、リン酸緩
衝液pH1、リン酸緩衝液pH2、クエン酸緩衝液pH3に自由に溶ける。それはクエン
酸緩衝液pH4に溶ける。それは、クエン酸緩衝液pH5にはごくわずかに可溶である。
それは、リン酸緩衝液pH6及びリン酸緩衝液pH7には実質的に不溶である。
【0014】
IUPACの定義によれば、溶解度は、指定の溶媒中の指定の溶質の割合として表され
る飽和溶液の分析組成である。
【0015】
溶解度は、固体、液体若しくは気体溶媒中に溶ける溶質と称される固体、液体若しくは
気体化学物質の特性である。物質の溶解度は基本的に、溶質及び溶媒の物理特性及び化学
特性並びに溶液の温度、圧力及びpHによって決まる。特定の溶媒中の物質の溶解度の程
度は、それ以上溶質を加えても溶液の濃度が上昇せず、過剰量の溶質の沈殿が開始する飽
和濃度として測定される。物質の溶解度は、それがどの程度の速度で溶解するかである、
溶解速度とは全く異なる特性である。
【0016】
ある種の条件下で、平衡溶解度を超えて、いわゆる過飽和溶液を与え得るものであり、
それは準安定である。
【0017】
過飽和溶液は、特定の条件下で結晶化するであろう(論文″Crystallizat
ion of molecular systems from solution:
phase diagrams, supersaturation and othe
r basic concepts″, Chemical Society Revi
ews, RSC Publishing. 43: 2286を参照する)。通常の溶
液では、最大量の溶質が溶解すると、さらに溶質を加えると、溶けていた溶質が析出する
か、及び/又は溶質が全く溶けなくなると考えられる(論文″Mechanism of
precipitate formation during spontaneou
s crystallization from supersaturated aq
ueous solutions″ ; Chem. Review. 83: 343
-364. 2014を参照する)。温度、圧力若しくは体積を操作することで飽和溶液
の溶解度が低下するが、過飽和状態が起こらない場合がある。これらの場合、溶質は簡単
に析出するであろう。これは、過飽和溶液が、飽和溶液より高エネルギー状態であるため
である。
【0018】
重要な点として、溶解度は、化学、地球化学、無機化学、物理化学、有機化学及び生化
学の全ての分野に適用される。全ての場合で、それは、物理条件(温度、圧力及び濃度)
並びに関係する溶媒及び溶質に直接関係するエンタルピー及びエントロピーによって決ま
るであろう。
【0019】
従来の凍結乾燥は、生成物、装置及び処理技術の注意深い均衡を必要とする複雑なプロ
セスである(International Journal of Novel Tre
nds in Pharmaceutical Sciences, 3(4), 20
13参照)。多様な利点に加えて、凍結乾燥は、多くの欠点、例えば長い処理時間、無菌
的処理、好適な容器の大きさ及び充填体積に関する制限、及び関連するコストも有する。
凍結乾燥は複雑なプロセスであることから、重要な製剤温度/製剤の崩壊温度及び凍結乾
燥パラメータについての一定の経験及び知識が必要とされる。凍結乾燥物及び固体状態の
有効成分及び非活性成分のケーキ構造は、組成及び処理パラメータの両方によって影響さ
れる。
【0020】
コパンリシブの具体的な場合で、コパンリシブの必要な治療用量は、大体積の希釈剤中
で、又は非経口投与に、そしてその後に、即ち投与時及び投与後に良好に耐容されないp
Hでのみ可能である。非経口製剤は、等張性且つ等水素性(euhydric)であるこ
とを狙うべきである。非経口製剤は、投与部位での生理pH値に従う、又は注入の場合、
血液の生理pH値に従うpH値を有するべきである。ヒト組織、臓器及び血液の緩衝能力
を考慮すると、pH値4~8を有する小体積非経口製剤は、良好に受け入れられると見な
される。
【0021】
上記で言及したように、コパンリシブは、pH依存性溶解度及びpH依存性不安定性を
示す。即ち、コパンリシブは、水、緩衝液pH7及び0.1M塩酸及び0.1M水酸化ナ
トリウム溶液などの各種媒体中で加水分解不安定性を示す。
【0022】
概して、所与の医薬成分の分解は化学的不安定性によって起こって、新たな化学物質を
生じ得る。例えば、化学的不安定性は、加水分解及び/又は酸化から生じ得る。医薬有効
成分の分解は、医薬用途に望ましくない効果である。薬剤の効力又は入手性は、劇的に変
わり得る。
【0023】
医薬有効成分は、物理的に不安定でもあり得る。溶液の物理的不安定性は、医薬有効成
分の溶解度限度/溶解度平衡が溶液において超過すると結晶化及び/又は沈殿から生じ得
るものであり、それによって粒子が形成され得る。非経口用途のための医薬で粒子が形成
されると、特には、製剤が臨床用途に有害なものになる。
【0024】
従って、さらなる処理に使用されるコパンリシブ含有バルク溶液は、製剤の完全性を確
保する上で十分な物理的及び化学的安定性(「保持時間」)を示さなければならない。即
時使用溶液は、最終的に患者に投与される時に害を回避する上で十分な物理的及び化学的
安定性(用時安定性)も示すものでなければならない。
【0025】
医薬製剤の分野で知られているように、フリーズドライとも称される凍結乾燥は、液体
生成物を処理して乾燥固体生成物とする方法である。
【0026】
概して、凍結乾燥は、生成物を凍結させ、次に昇華によって含有水を除去する安定化プ
ロセスと定義される。
【0027】
得られた凍結乾燥生成物は、許容されるケーキ構造並びに必要な温度での十分な安定性
(「貯蔵寿命」)、短い再水和/再生時間、及び十分な用時安定性を有すべきである。凍
結乾燥生成物の主要な欠点の一つは、薬剤の安定性が、全ての成分の物理的状態によって
も決まるということである。
【0028】
凍結乾燥に先だって、所与の医薬有効成分を、例えば増量剤、pH調節剤、存在し得る
低温保護剤などの賦形剤とともに、溶液(「バルク溶液」)を形成するのに好適な溶媒に
溶かさなければならない。凍結乾燥後、得られた乾燥固体生成物及びそれとともに有効成
分を、好適な希釈剤又は溶媒に溶かして、溶液を形成しなければならない(「再生溶液」
)。次に、この再生溶液を、患者に直接又はさらに希釈した後に投与することができる。
【0029】
凍結乾燥に関する要件として、効率的な凍結乾燥プロセスを容易にするのに、バイアル
の充填体積が少ないことが必要である。従って、凍結乾燥は、高水溶解度又は低治療用量
とすることで、投与当たりのバイアル数を減らすことができる有効成分にのみ好適である
。従って、高治療用量、例えばコパンリシブについては60mgの場合、投与当たりの必
要バイアル数は、薬剤物質の溶解度によって決まる。
【0030】
マンニトールは、凍結乾燥生成物用の増量剤として広く使用されている。凍結乾燥時に
、マンニトールは、3種類の一般的な安定な無水多形体(即ち、α、β及びδ)として、
又はマンニトール半水化物として結晶化することが明らかになっている(″Mechan
ism ofprecipitate formation during spont
aneous crystallization from supersaturat
ed aqueous solutions″; Chem. Review. 83:
343-364, 2014を参照する)。マンニトールの一般的な安定な無水多形体は
、変態I(以下、「Mod. I」又は「β」と称される)、II(以下、と称される「
Mod. II」又は「α」)及びIII(以下、と称される「Mod. III」又は
「δ」)と称することもできる(Journal of Pharmaceutical
Sciences Volume 89, Issue 4, April 2000
, pp.457-468. A. Burger, J.-O. Henck, S.
Hetz, J. M. Rollinger, A. A. Weissnicht
, H. Stottnerを参照する)。
【0031】
マンニトールが広く使われている理由の一つは、それの冷凍水溶液から結晶化する傾向
である。この特性は、効率的な凍結乾燥及び物理的に安定な薬学的に見た目の良い凍結乾
燥固体を促進するはずである。
【0032】
多くの賦形剤(例:ソルビトール及び二糖類)とは異なり、マンニトールは、冷却時及
び再加熱時の両方で、冷凍水溶液から結晶化する強い傾向を有する。バイアル破損現象は
、この傾向の顕著な例である。マンニトールは、凍結乾燥後に、特には熱及び水分の結果
として、結晶化し続けることが認められており、それは凍結乾燥プロセスによって、部分
非晶質及び部分結晶材料が生じ得ることを示している(Yu et al., Jour
nal of Pharmaceutical Sciences Vol.88, N
o.2,February 1999参照)。
【0033】
凍結乾燥固体としての薬剤の安定性に対するマンニトールの有害効果についての報告が
ある。Hermanらは、乳糖などの非晶質賦形剤の場合と比較して、マンニトールを増
量剤として用いた場合に、凍結乾燥固体状態でのメチルプレドニゾロンナトリウムスクシ
ネートの加水分解速度が有意に高くなると報告している(Journal of Pha
rmaceutical Sciences Vol. 87, No. 8, Aug
ust 1998を参照する)。マンニトール存在下でのこの薬剤不安定性は、少なくと
も部分的に、最初はごく部分的に結晶している系からのマンニトールの継続的結晶化によ
るものである。非晶質マンニトールは医薬有効成分(API)の安定剤として働き得るが
(Izutsu et al., Chemical and Pharmaceuti
cal Bulletin Vol. 42, No. 1, January 199
4.を参照する)、凍結乾燥時にマンニトールを非晶質状態に維持することが困難である
ため、マンニトールを安定剤とするのは良くない選択となる(Pikal, 2002.
Freeze drying. In: Swarbrick, J., Boyla
n, J. (Eds.), Encyclopedia of Pharmaceut
ical Technology. Marcel Dekker, New York
, pp. 1807-1833を参照する)。
【0034】
凍結乾燥固体の物理的及び化学的安定性に対するマンニトールの有害効果を予測及び回
避するために、マンニトール含有製剤の凍結乾燥の物理化学についての理解を深めること
が現在もなお必要とされている。当業者であれば、凍結乾燥固体でのマンニトールの物理
的状態が、製剤パラメータ及び処理パラメータの両方によって影響されることは理解する
はずである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
以上を鑑み、コパンリシブを製剤する上での具体的な技術的問題を考慮して、本発明の
目的は、
・化学的及び物理的不安定性を防止する、コパンリシブの薬学的に好適な製剤;
・直接非経口投与又はさらなる希釈に好適である、コパンリシブを含む安定な水溶液;
・最大1個若しくは2個の好適な容器中に合計治療用量のコパンリシブを含む安定な製
剤;
・非経口投与用の薬学的に好適なコパンリシブの製剤を可能とする製造プロセス
を提供することにある。
【0036】
本願人の知る限りでは、そのようなコパンリシブ含有製剤、及びコパンリシブ含有製剤
のそのような製造方法は知られていない。
【0037】
化学的及び物理的不安定性を防止するコパンリシブの薬学的に好適な製剤は、凍結乾燥
によって達成できると考えられる。直接非経口投与若しくはさらなる希釈に好適であるコ
パンリシブを含む水溶液は、投与部位で耐容され、血液の生理的pHを乱さないpHを必
要とする。耐容される/生理的pHでのコパンリシブの低溶解度に関して、総治療用量を
網羅するのに、大量の凍結乾燥が必要であると考えられる。大量容器の凍結乾燥は実現可
能ではないことから、このアプローチは、先行技術の知識によると、コパンリシブの治療
用量を網羅するために複数容器の凍結乾燥となると予想されるであろう。
【0038】
従って、コパンリシブの水溶液中の高溶解度は、1個若しくは2個の容器に総治療用量
を含む製剤の凍結乾燥を可能とするのに必要である。
【0039】
コパンリシブの製剤における具体的な技術的問題を考慮すると、予想外に、そして驚く
べきことに、薬剤溶解度上昇を可能とし、直接凍結乾燥に好適であるコパンリシブのバル
ク水溶液が得られる製造方法が達成されたことが認められ、そしてそれが本発明の基礎と
なる。
【0040】
驚くべきことに、凍結乾燥物の再生後、コパンリシブ溶解度上昇を示し、直接投与若し
くは希釈に好適である溶液が得られることも認められた。
【0041】
さらに、本発明は、コパンリシブ、pH調節剤及び増量剤を含む凍結乾燥物が長期保存
中の化学的及び物理的不安定性を防止するという予想外の所見に基づくものでもある。
【0042】
具体的には、驚くべきことに、本発明による製造プロセスによってコパンリシブ含有バ
ルク水溶液が得られ、再生プロセスでもコパンリシブ含有再生溶液が得られることが認め
られ、それは個々の溶媒中でのコパンリシブ溶解度が高いことを示しており、それは、コ
パンリシブの溶解度データによるその溶媒中の予想溶解度より有意に高い(実施例の部参
照)。
【0043】
さらに驚くべきことに、コパンリシブバルク溶液及び再生溶液は物理的不安定性(例え
ば、沈殿)を示さず、溶液が準安定状態であるにも拘わらず十分な保持時間及び用時安定
性が可能であることが認められた。それは、当該分野での先行技術/一般知識を考慮する
と全く予想外のものである。
【0044】
さらに驚くべきことに、コパンリシブバルク溶液は、溶液が準安定状態であるにも拘わ
らず凍結乾燥プロセスの際の冷凍及びアニーリング時に結晶化/沈殿を示さないことが認
められた。これもまた、当該分野での先行技術/一般知識を考慮すると全く予想外のもの
である。
【0045】
さらに驚くべきことに、コパンリシブ、pH調節剤及び結晶性増量剤を含む凍結乾燥物
製剤が、長期保存時の結晶性増量剤上での非晶質薬剤物質相の結晶化を防止することが認
められた。これは、薬剤物質製剤が準安定状態であることから当該分野での先行技術/一
般知識を考慮すると全く予想外のものである。
【0046】
さらに驚くべきことに、コパンリシブ、pH調節剤及び結晶性増量剤を含む凍結乾燥物
製剤が、凍結乾燥物製剤の高残留水分レベルで結晶性増量剤上での非晶質薬剤物質相の結
晶化を防止することが認められた。これは、製剤中の薬剤物質が準安定状態であることか
ら当該分野での先行技術/一般知識を考慮すると全く予想外のものである。
【0047】
上記のように、コパンリシブの溶解度を高め、バルク溶液として及び再生溶液として数
週間にわたり、そして可溶化剤や安定剤(例えば,乳化剤、ポリマー)を用いずに冷凍及
びアニーリングを含む凍結乾燥時に、その溶解度を維持することができるという結論に、
当業者が到達するとは考えられない。
【0048】
上記のように、マンニトールが結晶型で存在していながら、凍結乾燥時に達成されるコ
パンリシブの非晶質状態が長期保存時に物理的に維持可能であるという結論に、当業者が
到達するとは考えられない。
【0049】
従って、本発明は、
・凍結乾燥に、そして治療的使用に好適である、安定なコパンリシブ含有バルク水溶液
を調製する方法(以下、「製造プロセス」と称する);
・凍結乾燥に直接適している高溶解度の、安定なコパンリシブ含有バルク溶液(以下、
「バルク溶液」と称する);
・前記バルク溶液を凍結乾燥する方法(以下、「凍結乾燥プロセス」と称する);
・特には1個若しくは2個の容器中に、特には1個の密閉容器中に治療用量のコパンリ
シブを含む、安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ(以下、
「凍結乾燥物」と称する);
・前記凍結乾燥物を再生する方法(以下、「再生方法」と称する);及び
・さらなる希釈に、そして治療的使用に好適である、溶解度が高い安定な再生コパンリ
シブ含有溶液(以下、「再生溶液」と称する)
に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1/4は、2~8℃、25℃及び40℃でのコパンリシブバルク溶液中におけるAETQPのpH依存的形成を示している。
【
図2】
図2/4は、コパンリシブバルク溶液のpH依存的安定性を示している。
【
図3】
図3/4は、30℃及び75%相対湿度で18ヶ月後の注射用コパンリシブ60mgのX線粉末ディフラクトグラムを示している(バッチAについては、表6a参照)。
【
図4】
図4/4は、参考として、D-マンニトール変態III(δ型としても知られる)のX線粉末ディフラクトグラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書で使用される定義
本明細書で使用される場合、「医薬製剤」又は「製剤」という用語は、含まれる有効成
分の生理活性が有効であることができるような形態であり、製剤の投与を受けると考えら
れる対象者に対して許容できない毒性を有する別の成分を全く含まない製剤を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「pH調節剤」という用語は、特には、酸性若しくは塩基
性物質を加えた後にごくわずかだけpHが変化する緩衝溶液を指すが、それに限定される
ものではない。緩衝溶液は、それぞれ、弱酸及びそれの相当する塩基の混合物、又は弱塩
基及びそれの相当する酸の混合物を含む。本明細書で使用される場合、「緩衝剤」という
用語は、上記の酸及び塩基の1以上の混合物を指す。本発明で使用可能なpH調節剤は、
例えば、緩衝剤、例えばクエン酸若しくはそれの塩、酢酸若しくはそれの塩、又はリン酸
若しくはそれの塩、又は無機酸、例えば塩酸、ホウ酸、炭酸、重炭酸、又はアミノ酸若し
くは有機酸、例えばモノ炭酸、オキソ炭酸若しくはポリ炭酸、又は塩基、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムである。特には、緩衝
剤は、クエン酸及びNaOHである。最も好ましくは。緩衝剤は、クエン酸及びNaOH
の混合物を含む。本発明の文脈において、「クエン酸」という用語は、別段の具体的な断
りがない限り、無水型又はそれの水和物若しくは塩、例えばクエン酸ナトリウムを指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「好適な希釈剤/溶媒」という用語は、特には塩化ナトリ
ウム水溶液0.9%、グルコース溶液5%、注射用水、リンゲル液、マンニトール5%な
どを指すが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「凍結乾燥(した)」という用語は、組成物が凍結乾燥さ
れていることを意味する。凍結乾燥の際、液体製剤を冷凍し、溶質を溶媒から分離する。
溶媒を、昇華(即ち、一次乾燥)及び次に脱着(即ち、二次乾燥)によって除去する。凍
結乾燥によって、ケーキ又は粉末が得られ、それは長期間にわたって保存することができ
る。投与に先だって、凍結乾燥組成物を、好適な溶媒、特には塩化ナトリウム水溶液中で
再生する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「再生溶液/製剤」という用語は、好適な希釈剤を加えた
後のそのような凍結乾燥組成物を指す。
【0056】
凍結乾燥方法は、当業界では公知である(例えば、Wang, Internatio
nal Journal of Pharmaceutics Vol. 203, 2
000参照)。本発明の凍結乾燥組成物は、下記の実施例の部に記載のような各種凍結乾
燥方法によって調製した。
【0057】
本明細書で使用される場合、「固定用量」という用語は、コパンリシブ60mgの投与
を指す。
【0058】
第1の態様によれば、本発明は、凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含
有バルク水溶液の調製方法であって、前記バルク溶液が
・特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液が、pH4~5(両端含む)を有しており、
前記方法が、
・好適な容器に注射用水を入れること;
・遊離塩基若しくは塩、例えば塩酸塩、特には1塩酸塩若しくは2塩酸塩、又はトシル
酸塩の形態でのコパンリシブを、前記容器に移し入れること;
・例えば任意にpH2~3(両端含む)で攪拌することで前記コパンリシブを溶解させ
ることで、コパンリシブ含有溶液を形成すること;
・前記緩衝剤及び前記増量剤を前記コパンリシブ含有溶液に加えること;
・例えば任意に攪拌することで、前記緩衝剤及び前記増量剤を溶解させること;
・そうして形成された溶液のpHを、適切な量の水酸化ナトリウム溶液でpH4~5に
調節することで、バルク溶液を形成すること;
・前記バルク溶液を無菌的に濾過することで、直接凍結乾燥及び治療用途に好適な安定
なコパンリシブ含有バルク水溶液を提供すること;及び
・そうして形成された濾過バルク溶液を1以上のバイアルに充填すること
を含む方法に関するものである。
【0059】
本発明の第1の態様の1実施形態によれば、前記容器に移し入れる前記コパンリシブは
コパンリシブ2塩酸塩である。
【0060】
前記方法は、以下、「製造プロセス」と称され、前記バルク溶液は、以下、「バルク溶
液」と称される。
【0061】
前記製造プロセスは、耐容されるpHであり、治療用途に好適である、1個若しくは2
個のバイアル、特には1個のバイアル中の、コパンリシブの高溶解度を与える、即ち治療
用量の直接凍結乾燥のために十分高い濃度でコパンリシブを含む安定なコパンリシブ含有
バルク水溶液を提供する。
【0062】
第2の態様によれば、本発明は、凍結乾燥に直接好適な高溶解度の安定なコパンリシブ
含有バルク水溶液であって、前記バルク溶液が、
・特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ,
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液がpH4~5(両端含む)を有する、コパンリシブ含有バルク水溶液に
関するものである。
【0063】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記治療用量は、コパンリシブ30、45
、60又は80mgである。
【0064】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記治療用量はコパンリシブ60mgであ
る。
【0065】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記pH調節剤は緩衝剤である。
【0066】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記緩衝剤はクエン酸及び水酸化ナトリウ
ムである。
【0067】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、前記
バルク溶液の0.18~18.5重量%、特には0.18~3.7重量%、特には0.3
7重量%の量でクエン酸を含む。
【0068】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、前記
バルク溶液の0~0.8重量%、特には0.3~0.5重量%、特には0.4重量%の量
で水酸化ナトリウムを含む。
【0069】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、前記
バルク溶液の0.01~0.8重量/体積%、特には0.3~0.5重量/体積%、特に
は0.4重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む。
【0070】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記増量剤はマンニトールである。
【0071】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、前記
バルク溶液の3.0~23.1重量%、特には3.0~15.4重量%、特には7.7重
量%の量でマンニトールを含む。
【0072】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、前記
バルク溶液の0.5~15.2重量%、特には1.0~7.6重量%、特には3.8重量
%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む。
【0073】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液において
、
・コパンリシブの前記治療用量は、前記バルク溶液の3.8重量%の量であり、
・前記クエン酸は、前記バルク溶液の0.37重量%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、前記バルク溶液の0.4重量%の量であり、
・前記マンニトールは、前記バルク溶液の7.7重量%の量であり、
前記コパンリシブ含有溶液はpH4~5(両端含む)を有する。
【0074】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液において
、
・コパンリシブの前記治療用量は、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸は、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、7.2mgの量であり、
・前記マンニトールは、136.8mgの量であり、
前記バルクコパンリシブ含有溶液はpH4~5(両端含む)を有し、
前記バルクコパンリシブ含有溶液は、体積1.71mLを有している。
【0075】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、40
mg/mLの量でコパンリシブを含む。
【0076】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、体積
1.71mL中にコパンリシブ68.4mgを含む。
【0077】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、体積
1.5mL中にコパンリシブ60mgを含む。
【0078】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液は、無菌
注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液な
どの好適な希釈剤でさらに希釈される。
【0079】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、
・コパンリシブの前記治療用量が68.4mgの量であり、
・前記クエン酸が6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが7.2mgの量であり、及び
・前記マンニトールが136.8mgの量である
前記バルクコパンリシブ含有溶液を、
・4.4mLの量での0.9%塩化ナトリウム水溶液である希釈剤
でさらに希釈し、
前記バルクコパンリシブ含有溶液はpH4~5(両端含む)を有し、
前記バルクコパンリシブ含有溶液は、体積1.71mLを有する。
【0080】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液を好適な
希釈剤でさらに希釈し、前記好適な希釈剤は、特には体積100mLでの0.9%塩化ナ
トリウム水溶液である。
【0081】
本発明の第2の態様の1実施形態によれば、前記バルクコパンリシブ含有溶液を好適な
希釈剤でさらに希釈し、前記好適な希釈剤は、特には体積100mLでの0.9%塩化ナ
トリウム水溶液であり、それは、特にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)
、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)製の輸液バッグ
に入っている。
【0082】
前記バルク溶液は、以下、そのように称される。
【0083】
第3の態様によれば、本発明は、凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含
有バルク水溶液を凍結乾燥する方法であって、前記組成物が
・特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ,
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液がpH4~5(両端含む)を有しており、
前記凍結乾燥方法が冷凍段階、アニーリング段階、一次及び二次乾燥段階を含み;
従って前記方法が、希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、
特には粉末若しくはケーキを提供し、前記固体、特には粉末若しくはケーキが、
・特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌
塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液で再生した場合に、
pH4~5(両端含む)を有する方法に関するものである。
【0084】
前記安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、再生されて
再生溶液となると、さらなる希釈及び治療用途に好適である。
【0085】
前記方法は、以下、「凍結乾燥プロセス」と称される。前記凍結乾燥プロセスは、安定
な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には許容されるケーキ構造及び短い再生時間を有す
る粉末若しくはケーキを提供する。
【0086】
第4の態様によれば、本発明は、希釈及び治療用途に好適な、安定な凍結乾燥コパンリ
シブ含有固体、特には粉末若しくはケーキであって、前記固体、特には粉末若しくはケー
キが、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ,
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、p
H4~5(両端含む)を有する、安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若し
くはケーキに関するものである。
【0087】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記治療用量は、コパンリシブ30、45
、60又は80mgである。
【0088】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記治療用量はコパンリシブ60mgであ
る。
【0089】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記pH調節剤は緩衝剤である。
【0090】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記緩衝剤はクエン酸及び水酸化ナトリウ
ムである。
【0091】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記緩衝剤はクエン酸緩衝液であり、その
緩衝液は、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナト
リウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、4~5(両端を含む)、特には5の
pH値を与える。
【0092】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキは、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0.7~75重量%、特
には1.5~30重量%、特には2.98重量%の量でクエン酸を含む。
【0093】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキ、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0~6重量%、特には3.
3~4.0重量%、特には3.7重量%の量で水酸化ナトリウムを含む。
【0094】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキ、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0.01~6重量%、特に
は3.3~4.0重量%、特には3.7重量%の量で水酸化ナトリウムを含む。
【0095】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記増量剤はマンニトールである。
【0096】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキは、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の15.4~82.1重量
%、特には30.8~82.1重量%、特には61.6重量%の量でマンニトールを含む
。
【0097】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキは、凍結乾燥コパンリシブ含有固体の7.7~92.4重量%、特
には7.7~61.6重量%、特には30.8重量%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を
含む。
【0098】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキにおいて、
・コパンリシブの前記治療用量は、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の30.8重量
%の量であり、
・前記クエン酸は、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の2.98重量%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の3.7重量%の量で
あり、
・前記マンニトールは、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の61.6重量%の量であ
り、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有する。
【0099】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキにおいて、
・コパンリシブの前記治療用量は、30、45又は60mgの量であり、
・前記クエン酸は、5.8mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、6.3mgの量であり、及び
・前記マンニトールは、120mgの量であり、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有する。
【0100】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキにおいて、
・コパンリシブの前記治療用量は、80mgの量であり、
・前記クエン酸は、7.7mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、8.4mgの量であり、及び
・前記マンニトールは、160mgの量であり、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有する。
【0101】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキは、1個の容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細
には6mL注射バイアルに入っている。
【0102】
本発明の第4の態様の1実施形態によれば、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特に
は粉末若しくはケーキは、68.4mgの量でコパンリシブを含む。
【0103】
前記固体、特には粉末若しくはケーキは、以下、「凍結乾燥物」と称される。
【0104】
前記安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、十分な安定
性を示す非晶質固体状態のコパンリシブを含む。
【0105】
さらに、前記安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、凍
結乾燥組成物として長期保存を可能とする、即ち長い貯蔵寿命を有し、一旦安定な再生コ
パンリシブ含有溶液として再生されると、再生後に十分な使用時間を有する。
【0106】
従って、前記安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、一
旦再生されて再生溶液となると、直接治療用途に好適であるか、好適な希釈剤、例えば無
菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液
による更なる希釈に好適であり、そしてさらなる治療用途に好適である。
【0107】
凍結乾燥プロセス時及びその後の物理的安定性を得るため、本発明の液体組成物は増量
剤を含む。増量剤は代表的には、当業界では、凍結乾燥の結果として製造される「ケーキ
」に構造及び重量を提供するのに用いられる。当業界で公知のあらゆる好適な増量剤が、
本発明の凍結乾燥組成物との関連で使用可能である。好適な増量剤には、例えば、マンニ
トール、デキストラン、シクロデキストリン類及びグリシン、トレハロース、サッカロー
スなどがある。
【0108】
第5の態様において、本発明は、希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシ
ブ含有固体、特には粉末若しくはケーキを再生する方法であって、前記安定な凍結乾燥固
体、特には粉末が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、p
H4~5(両端含む)を有し、
前記再生方法が、
・好適な容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注射バイア
ル中、前記安定な凍結乾燥固体、特には粉末に、希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩
化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を加えることを含み;
前記方法がそうして、さらなる希釈及び治療用途に好適な安定な再生コパンリシブ含有
溶液を提供し、前記再生溶液が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ,
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有する方法に関するものである。
【0109】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記治療用量は、コパンリシブ30、45
、60又は80mgである。
【0110】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記治療用量はコパンリシブ60mgであ
る。
【0111】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記pH調節剤は緩衝剤である。
【0112】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記緩衝剤はクエン酸及び水酸化ナトリウ
ムである。
【0113】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法によって製造される前記再生コパ
ンリシブ含有溶液は、前記再生溶液の0.08~15.0重量/体積%、特には0.15
~3.0重量/体積%、特には0.15重量/体積%の量でクエン酸を含む。
【0114】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法によって製造される前記再生コパ
ンリシブ含有溶液は、前記再生溶液の0~0.3重量/体積%、特には0.14~0.1
8重量/体積%、特には0.16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む。
【0115】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法によって製造される前記再生コパ
ンリシブ含有溶液は、前記再生溶液の0.01~0.3重量/体積%、特には0.14~
0.18重量/体積%、特には0.16重量/体積%に量で水酸化ナトリウムを含む。
【0116】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記増量剤はマンニトールである。
【0117】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、前記再生溶液の1.5~24.0重量/体積%、特には1.5~16.
0重量/体積%、特には3.0重量/体積%の量でマンニトールを含む。
【0118】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記希釈剤は、無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には0.9%塩化ナトリウム水溶液である。
【0119】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、それから製造される前記再生コパンリシブ
含有溶液は、前記再生溶液の0.5~16.0重量/体積%、特には1.0~8.0重量
/体積%、特には1.5重量/体積%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む。
【0120】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液において、
・コパンリシブの前記治療用量は、前記再生溶液の1.5重量/体積%の量であり、
・前記クエン酸は、前記再生溶液の0.15重量/体積%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、前記再生溶液の0.16重量/体積%の量であり、及び
・前記マンニトールは、前記再生溶液の3.0重量/体積%の量であり、
前記希釈剤が0.9%塩化ナトリウム水溶液であり、
前記コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有する。
【0121】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、15mg/mLの量でコパンリシブを含む。
【0122】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、体積4.55mL中にコパンリシブ68.4mgを含む。
【0123】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、体積4mL中にコパンリシブ60mgを含む。
【0124】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液において、
・コパンリシブの前記治療用量は、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸は、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、7.2mgの量であり、及び
・前記マンニトールは、136.8mgの量であり、
・0.9%塩化ナトリウム水溶液である前記希釈剤が、4.4mLの量であり、
前記再生コパンリシブ含有溶液はpH4~5(両端含む)を有し、
前記再生コパンリシブ含有溶液は体積4.55mLを有する。
【0125】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、1個の容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6m
L注射バイアルに入っている。
【0126】
前記安定な再生コパンリシブ含有溶液は、耐容されるpHのものであり、直接治療用途
及び/又は好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例
えば0.9%塩化ナトリウム水溶液によるさらなる希釈に、そしてさらなる治療用途に好
適である。
【0127】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特
には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液によってさらに希釈される。
【0128】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記好適な希釈剤は、特には体積100m
Lでの0.9%塩化ナトリウム水溶液である。
【0129】
本発明の第5の態様の1実施形態によれば、前記方法から製造される前記再生コパンリ
シブ含有溶液は、特にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニ
ル(PVC)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)製の輸液バッグに入っている。
【0130】
前記方法は、以下、「再生方法」と称される。
【0131】
第6の態様によれば、本発明は、さらなる希釈及び治療用途に好適な高溶解度の安定な
再生コパンリシブ含有溶液であって、前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器に入った、コパンリシブ、特には治
療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液によって調製されたものであり、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有する、高溶解度の安定な再生コパンリシブ
含有溶液に関するものである。
【0132】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記治療用量は、コパンリシブ30、45
、60又は80mgである。
【0133】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記治療用量はコパンリシブ60mgであ
る。
【0134】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記pH調節剤は緩衝剤である。
【0135】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記緩衝剤はクエン酸及び水酸化ナトリウ
ムである。
【0136】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、前記再
生溶液の0.08~15.0重量/体積%、特には0.15~3.0重量/体積%、特に
は0.15重量/体積%の量でクエン酸を含む。
【0137】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、前記再
生溶液の0~0.3重量/体積%、特には0.14-0.18重量/体積%、特には0.
16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む。
【0138】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、前記再
生溶液の0.01~0.3重量/体積%、特には0.14~0.18重量/体積%、特に
は0.16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む。
【0139】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記増量剤はマンニトールである。
【0140】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、前記再
生溶液の1.5~24.0重量/体積%、特には1.5~16.0重量/体積%、特には
3.0重量/体積%の量でマンニトールを含む。
【0141】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記希釈剤は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には0.9%塩化ナトリウム水溶液である。
【0142】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、前記再
生溶液の0.5~16.0重量/体積%、特には1.0~8.0重量/体積%、特には1
.5重量/体積%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む。
【0143】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液において、
・コパンリシブの前記治療用量は、前記再生溶液の1.5重量/体積%の量であり、
・前記クエン酸は、前記再生溶液の0.15重量/体積%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、前記再生溶液の0.16重量/体積%の量であり、及び
・前記マンニトールは、前記再生溶液の3.0重量/体積%の量であり、
前記希釈剤は0.9%塩化ナトリウム水溶液であり、
前記コパンリシブ含有溶液はpH4~5(両端含む)を有する。
【0144】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液において、
・コパンリシブの前記治療用量は、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸は、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムは、7.2mgの量であり、及び
・前記マンニトールは、136.8mgの量であり、
・0.9%塩化ナトリウム水溶液である前記希釈剤は、4.4mLの量であり、
前記再生コパンリシブ含有溶液はpH4~5(両端含む)を有し、
前記再生コパンリシブ含有溶液は体積4.55mLを有する。
【0145】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、1個の
容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注射バイアルに入って
いる。
【0146】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、15m
g/mLの量でコパンリシブを含む。
【0147】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、特には
体積4mL中にコパンリシブ60mgを含む。
【0148】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、好適な
希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化
ナトリウム水溶液でさらに希釈される。
【0149】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記好適な希釈剤は、0.9%塩化ナトリ
ウム水溶液であり、特には体積100mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液である。
【0150】
本発明の第6の態様の1実施形態によれば、前記再生コパンリシブ含有溶液は、輸液バ
ッグに入っており、特にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)製の輸液バッグに入っている
。
【0151】
前記安定な再生コパンリシブ含有溶液は、十分に高い濃度でコパンリシブを含んでおり
、即ちコパンリシブが高い溶解度を有しており、それの直接治療用途及び/又は好適な希
釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナ
トリウム水溶液によるさらなる希釈に、そしてさらなる治療用途に耐容されるpHのもの
である。前記安定な再生コパンリシブ含有溶液では、十分な再生後使用時間が可能である
。
【0152】
前記再生溶液は、以下、そのように称される。
【0153】
実験の部
コパンリシブの測定のための分析方法
溶解度の測定方法:
コパンリシブ2塩酸塩の濃度を、サンプルの適切な希釈に従うAgilentシステム
での逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価した。次に、サンプル溶
液5.0μLを、温度45℃に維持したZORBAX Eclipse Plus C1
8(150mm×4.6mm、3.5μm)カラム(Agilent)(流量2.0mL
/分)に注入した。サンプルを、溶媒A(0.2%トリフルオロ酢酸/H2O)及び溶媒
B(0.2%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)からなる移動相を用いて分析した。適
用した勾配プロファイルは7段階を含むものである。以下の説明中で提供されるパーセン
トは、移動相Bを指す。勾配は、0%1分間の定組成段階から開始し、次に4.0分以内
の0%から10%運転する段階、そして8.0分間の10%保持段階である。その後、5
.0分以内の10%から15%の段階、4.0分以内の15%から50%の段階、そして
2.0分以内の50%から80%の段階と続く。最後に、2.0分間の80%定組成段階
で、勾配プロファイルは終了する。コパンリシブ2塩酸塩は、波長300nmで分析した
。
【0154】
加水分解安定性の測定方法
サンプルの適切な希釈後、コパンリシブ2塩酸塩の分解生成物を、Agilentシス
テムで210nm及び250nmでのUV検出を用いる逆相HPLCによって評価した。
固定相は、XBridge Shield HPLCカラム(150mm×3.0mm、
粒径3.5μm)である。ピーク分離のため、流量0.5mL/分での勾配溶離を選択し
、移動相Aとしてドデシル硫酸ナトリウムイオン対溶離液(リン酸含有水溶液中)、及び
移動相Bとしてドデシル硫酸ナトリウムイオン対溶離液(20%水及びリン酸含有アセト
ニトリル中)を用いる。適用した勾配プロファイルは、5分以内で40%から50%移動
相B、25分以内で50%から65%移動相B、及びさらに5分以内で65%から100
%移動相B、次に10分間の100%移動相Bの定組成相での実施という4段階を含む。
カラム温度は25℃に維持し、注入体積は3.0μLである。さらに、前述の方法でコパ
ンリシブ2塩酸塩と共溶出する不純物の濃度を、Agilentシステムでの逆相高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価した。次に、サンプル溶液1.0μLを
、温度20℃に維持したXBridge Shield(150mm×3.0mm、3.
5μm)カラム(Waters)に注入した(流量0.5mL/分)。溶媒A(0.2%
トリフルオロ酢酸/H2O)及び溶媒B(0.2%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)
からなる移動相を用いて、20.0分かけての0%から35%(体積比)溶媒B勾配、次
に10分間の35%溶媒Bでの定組成相を用いて、サンプルを分析した。不純物は、波長
210nmで分析し、分解生成物を決定する上で考慮した。
【0155】
X線粉末回折(XRPD):
この実験の部で言及されるディフラクトグラムを得るための装置設定は次の通りである
。
【0156】
サンプル準備:粉末を、二つのホイル間の薄層として準備する。
【0157】
装置:X線粉末回折計(STOE STADI P)
発電機:40kV/40mA
検出器:線形位置感受性検出器
放射線:ゲルマニウム単色化CuKα1線
技術:伝送
走査範囲:3°≦2θ≦30°
ステップ幅:0.2°
測定時間:15秒/ステップ
実施例1:凍結乾燥及び治療用とに好適である、安定なコパンリシブ含有バルク水溶液
の調製方法
当該方法は、以下、「製造プロセス」と称され、そうして得られるバルク溶液は、以下
、「バルク溶液」と称される。
【0158】
コパンリシブバルク溶液の製造プロセスは、次のように行う。
【0159】
製造容器を注射用水に入れる。コパンリシブを容器に移し、pH2~3で攪拌しながら
溶解させる。増量剤及び緩衝剤を加え、攪拌しながら溶解させる。溶液のpHを、適切な
量の水酸化ナトリウム溶液でpH5.0に調節する。その後、バルク溶液の無菌濾過を行
い、溶液をバイアルに充填する。
【0160】
溶解度:
表1:コパンリシブ2塩酸塩の溶解度
【表1】
【0161】
溶液での化学的安定性
異なる水溶液(0.05%コパンリシブ;50%2-プロパノール添加後、[0.5μ
m膜フィルターで濾過した緩衝溶液])を、25℃及び70℃で24時間及び1週間にわ
たって保存した。分析HPLC法を開発して、コパンリシブのアッセイ及び有機不純物を
求め、そして分解生成物を求めた。前記HPLC方法は、標題「加水分解安定性の測定方
法」下に、この実験の部の冒頭で提供している。
【0162】
表2:コパンリシブの加水分解安定性についての結果
【表2】
【0163】
物理的安定性
バイアルの充填及び溶液の冷凍などの製造プロセス時のバルク溶液の必要な保持時間に
関して、溶液での化学的及び物理的安定性が、凍結乾燥物の開発のためであっても非常に
重要なものである。
【0164】
再生溶液は、最終的に患者に投与する時の害を回避するのに十分な物理的及び化学的安
定性(用時安定性)も示すものでなければならない。
【0165】
コパンリシブバルク溶液の化学的安定性は、pH上昇に伴って高くなる。特に、主要な
分解生成物であるアミノエチルトリオキソキナゾリンピラミド(以下、「AETQP」と
略され、称される)の形成によって、pH3~pH6の調べた範囲で明瞭なpH依存性が
あることが明らかになり、それはpHが高いほど安定性が高いことを示している。
【0166】
しかしながら、pH6では、コパンリシブ2塩酸塩バルク溶液の沈殿が、ストレス条件
下で肉眼的に検出可能であった。従って、バルク溶液のpHはpH6以下であることが必
要とされる。
【0167】
図1/4は、2~8℃、25℃及び40℃でのコパンリシブバルク溶液中におけるAE
TQPのpH依存的形成を示している。
【0168】
図2/4は、コパンリシブバルク溶液のpH依存的安定性を示している。
【0169】
バルク溶液(40mg/mL、コパンリシブ遊離塩基)
コパンリシブバルク溶液の物理的安定性に関する調査を、バイアルへの充填後に行った
。製造開始及び2~8℃での保存から約17日後に、バルク溶液を充填したバイアルにつ
いて肉眼観察を行ったが所見はなかった。その後、バルク溶液製造から約3週間後に、さ
らなる調査を行った(表3)。室温又は2~8℃での保存でのさらなる14日間の試験期
間中に、沈殿は全く観察されなかった。従って、無菌濾過及びガラスバイアルへの充填な
どの記載の条件下で製造されたコパンリシブバルク溶液は、製造から5週間以内で沈殿傾
向を全く示さなかった。
【0170】
表3:バイアル中のバルク溶液の物理的安定性に対する温度の効果(n=3)、調査は
、製造及び2~8℃での保存(バルク溶液の保持時間)の約3週間後に開始した。
【表3】
【0171】
実施例2:凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含有バルク水溶液の凍結
乾燥方法
前記方法は、以下、「凍結乾燥プロセス」と称され、そうして得られた凍結乾燥固体、
特には粉末若しくはケーキは、以下、「凍結乾燥物」と称され、特には1個若しくは2個
の容器、特には1個の密閉容器中に治療用量のコパンリシブを含む治療用途に好適な安定
な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキは、以下、「即時再生凍結
乾燥物」又は「薬剤製品」と称される。
【0172】
凍結乾燥プロセス
凍結乾燥又は冷凍乾燥(freeze drying)は、公知である液体製剤安定化
プロセスである。代表的な凍結乾燥プロセスは、アニーリングを含む冷凍、一次乾燥、及
び二次乾燥という3段階に分けることができる。
【0173】
液体製剤の最初の冷凍によって、水が氷に変わり、溶質が結晶化する。追加のアニーリ
ング段階によって、溶質の完全な結晶化が確実に行われる。一次乾燥時に、凍結氷が真空
下で昇華する。残った水分は、二次乾燥時に基質から蒸発する。最後に、最初の溶液の溶
質を含む乾燥固体ケーキが得られる。
【0174】
凍結乾燥プロセスは、実験室規模で開発された(HOF、Fabrik-Nr.:Co
m.41239)。パイロット規模及び商業規模のHOFでの凍結乾燥物の製造には、こ
れまではFabrik-Nr.:Com.41041が使用された。
【0175】
表4a:公称充填及び過剰充填を含む充填及び60mg用量についてのコパンリシブ遊
離塩基及びコパンリシブ2塩酸塩の量
【表4】
【0176】
凍結乾燥パラメータは次の通りである。
【0177】
表4b:コパンリシブ凍結乾燥物に適用される凍結乾燥段階の比較
【表5】
【0178】
【0179】
溶解度の測定:
25℃のサーモスタット制御水浴で19時間にわたり試験対象の溶媒中のコパンリシブ
を攪拌することで、フラスコ法を用いて、コパンリシブ2塩酸塩の溶解度を測定した。懸
濁液を遠心してから、HPLC分析を行った。濃度を、外部標準に対してHPLCによっ
てモニタリングした。前記HPLC分析で使用した方法は、標題「溶解度の測定方法」下
に、この実験の部の冒頭で提供している。
【0180】
pHの測定:
コパンリシブ溶液のpHは、Ph. Eurに従って電位差滴定的に測定する。
【0181】
保存安定性実験:
コパンリシブ凍結乾燥物の開発を通じて、凍結乾燥生成物の物理化学的状態の分析では
、マンニトール(変態III中に存在)に基づく結晶ピークのみが確認され、薬剤物質の
結晶化事象を示すものは全く示されなかった。技術的及び臨床的バッチのストレス試験に
より、この挙動が30℃/75%RHでの保存の少なくとも18ヶ月間にわたって維持さ
れることがわかった。
【0182】
表6:ストレス試験後の注射用コパンリシブ凍結乾燥物60mgの固体状態
【表7】
【0183】
バッチA、B及びCは、下記の表6aで示した成分を下記の量で含む。
【0184】
表6a:コパンリシブ凍結乾燥物60mgのバッチA、B及びC中の成分量
【表8】
【0185】
pH調節に必要な水酸化ナトリウムは適量で含まれる。
【0186】
薬剤物質の非晶質状態が4年間の保存でも維持されることが確認された、2~8℃の所
期の保存条件で、並びに25℃/60%RHの高条件で保存した80mg用量強度の薬剤
製品バッチもある(表7)。
【0187】
表7:長期試験後の注射用コパンリシブ凍結乾燥物80mgの固体状態
【表9】
【0188】
従って、再生時に急速な溶解が確実に行われる薬剤物質の非晶質状態が、製品の製品貯
蔵寿命を通じて保たれることを確認することができる。
【0189】
さらに、凍結乾燥物の残留水分を、長期安定性試験中にモニタリングした。コパンリシ
ブ凍結乾燥物60mg及び80mg製剤についての結果を、下記の表に示している。全て
の調べたバッチ及び条件に関して、凍結乾燥中の含水量は、規定限度2.0%以内であっ
た。凍結乾燥物の固体状態研究(XRPD)により、調べた含水量とは独立の薬剤物質の
非晶質状態が確認された。さらに、マンニトールは、変態III中にまだ存在している。
【0190】
図3/4は、30℃及び75%相対湿度で18ヶ月後の注射用コパンリシブ60mgの
X線粉末ディフラクトグラムを示している(バッチAについては、表6a参照)。
【0191】
表7aは、回折ピークの相当する2θ値を示している。
【0192】
参考として、D-マンニトール変態III(δ型としても知られる)のX線粉末ディフ
ラクトグラムを
図4/4に示している。ディフラクトグラムは、Botezら2003(
C.E.Botez,P.W.Stephens,C.Nunes,R.Suryana
rayanan, Powder Diffr.(2003),18,214参照)によ
って公開された単結晶X線構造からシミュレートしたものである。
【0193】
表7a:30℃及び75%相対湿度での18ヶ月保存後の注射用コパンリシブ60mg
の回折ピークの2θ値(バッチAについては、表6a参照)
【表10】
【0194】
表8:12ヶ月後のコパンリシブ凍結乾燥物60mgの残留水分についての結果
【表11】
【0195】
表9:36ヶ月後のコパンリシブ凍結乾燥物80mgの残留水分についての結果
【表12】
【0196】
凍結乾燥物中の薬剤物質の非晶質における変化が全く検出できなかったことから、注射
用コパンリシブ凍結乾燥物60mgを用いて、下記の湿度ストレス試験を行った(表10
)。コパンリシブ凍結乾燥物バイアルのキャップ及びストッパーを外し、バイアルを25
℃/60%RHで48時間まで保存して、凍結乾燥物の含水量を増やすようにした。カー
ル・フィッシャー滴定によって、残留水分を測定した。24時間開放保存後に、水分3.
5%の平衡に達する。
【0197】
そうではあっても、製剤の非晶質相における変化は、残留水分3.5%及び48時間開
放保存までXRPDによって検出されず、それは非晶質相の結晶化傾向が非常に低いこと
を示している。
【0198】
表10:注射用コパンリシブ凍結乾燥物60mgの固体状態(バッチK)に対する残留
水分の影響
【表13】
【0199】
実施例3:希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉
末若しくはケーキの再生方法
前記方法は、以下、「再生方法」と称され、そうして製造されたさらなる希釈及び治療
用途に好適な高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液は、以下、「再生溶液」と称さ
れる。
【0200】
再生(15mg/mL、コパンリシブ、遊離塩基)及び希釈溶液(0.56mg/mL
、コパンリシブ、遊離塩基)
実験室で製造された凍結乾燥物を、ストッパーを外さずに塩化ナトリウム水溶液0.9
%で再生して、15mg/mLコパンリシブ、遊離塩基の溶液を得た。
【0201】
コパンリシブバルク溶液の結果に従って、再生溶液についても温度の効果を調べた(表
11)。
【0202】
表11:再生溶液(15mg/mLコパンリシブ、遊離塩基)、バッチHの物理的安定
性に対する温度の効果(再生溶液の用時安定性):
【表14】
【0203】
実施例4:再発又は難治性緩慢性B細胞リンパ腫患者におけるコパンリシブ
方法:≧2の事前治療方針後に再発した若しくはそれに対して難治性であった緩慢性B
細胞非ホジキンリンパ腫患者(4サブタイプ:濾胞性(FL)、辺縁帯(MZL)、小リ
ンパ球性(SLL)及びリンパ形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症
(LPL-WM))が有資格者であった。過去の治療には、リツキシマブ及びアルキル化
剤が含まれていなければならなかった。コパンリシブ(60mg、静注)を、28日サイ
クルの第1日、第8日及び第15日に間欠投与した。主要効力エンドポイントは、独立の
放射線学的総覧(Cheson et al., JCO 20:579, 2007)
によって評価される客観的腫瘍応答率(ORR)であった。
【0204】
結果:完全解析集合は患者142名を含んでおり、そのうちの患者141名が緩慢性リ
ンパ腫を有していた(FL/MZL/SLL/LPL-WM:104/23/8/6)。
一次解析時に、治療期間中位値は2週間であり(範囲1~105)、患者46名が治療に
残った。最も一般的な治療関連有害事象(AE)(全グレード/グレード3+)は、一過
性高血糖(49%/40%)及び高血圧(29%/23%)であった。興味深い他のAE
には、好中球減少症(25%/19%)、下痢(18%/4%)、肺感染(14%/11
%)、肺炎(7%/1.4%)、及び結腸炎(0.7%/0.7%)などがあった。結腸
穿孔は全く起こらなかった。二つの非致死性日和見感染があった。興味深い臨床検査毒性
は、主としてグレード-1であり、アラニンアミノトランスフェラーゼ(23%全グレー
ド/19%グレード-1)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(28%/25
%)などがあった。死亡が6例あり、そのうちの3例がコパンリシブによるものであり、
肺感染、呼吸器不全及び血栓塞栓事象であった。
【0205】
全体応答率(ORR)は59.2%であり、12.0%完全応答(CR)及び47.2
%部分応答(PR)を含み、29.6%の患者で安定疾患であり、2.1%の患者で進行
性疾患であった。FLサブセットにおいて、ORRは58.7%であり、14.4%CR
及び44.2%PRを含んでいた。MZLサブセットでは、ORRは69.6%であり、
8.7%CR及び60.9%PRを含んでいた。全解析集合での応答の推定カプラン・マ
イヤー(KM)期間中位値は、687日(範囲0~687)であり、FLサブセットでは
370日(範囲0~687)であった。PFS中位値のKM推定値は340日(範囲0~
736)であった。全体生存率中位値にはまだ達していなかった。
【0206】
結論:コパンリシブによる再発性又は難治性緩慢性B細胞リンパ種患者の治療によって
、持続的な腫瘍応答が生じた。コパンリシブの投与は、管理可能な安全性プロファイルを
有しており、重度の肝臓酵素病、下痢又は炎症事象の率は低く、そして日和見感染、致死
性感染その他の致死性SAEの率も低かった。
【0207】
第7の態様によれば、本発明は、単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法
若しくは免疫-化学療法抗がん剤との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(
NHL)、例えば一次、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NH
L、特には濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫
(SLL)、リンパ形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-
WM)、又は進行性NHL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マ
ントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(
TL)、又は慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防のための、さらなる希
釈及び治療用途に好適な高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液であって、前記再生
溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有する、再生コパンリシブ含有溶液である。
【0208】
本発明の第7の態様の1実施形態によれば、前記コパンリシブ含有溶液は、上記の態様
のいずれか一つで定義されている。
【0209】
第8の態様によれば、本発明は、単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法
若しくは免疫-化学療法抗がん剤との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(
NHL)、例えば、一次、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性N
HL、特には濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ
腫(SLL)、リンパ形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL
-WM)、又は進行性NHL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、
マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫
(TL)、又は慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防のための、さらなる
希釈及び治療用途に好適な高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液であって、前記再
生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、前記再生溶
液がpH4~5(両端含む)を有する、再生コパンリシブ含有溶液に関するものである。
【0210】
第9の態様によれば、本発明は、単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法
若しくは免疫-化学療法抗がん剤との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(
NHL)、例えば、一次、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性N
HL、特には濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ
腫(SLL)、リンパ形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL
-WM)、又は進行性NHL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、
マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫
(TL)、又は慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防のための医薬の製造
のための、さらなる希釈及び治療用途に好適な高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶
液であって、前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、前記再生溶
液がpH4~5(両端含む)を有する、再生コパンリシブ含有溶液に関するものである。
【0211】
第10の態様によれば、本発明は、対象者における、がん、特には非ホジキンリンパ腫
(NHL)、例えば、一次、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性
NHL、特には濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リン
パ腫(SLL)、リンパ形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LP
L-WM)、又は進行性NHL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
、マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ
腫(TL)、又は慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防方法であって、
単独療法として、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療法抗がん剤と
の併用療法で、前記対象者に対して、さらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安
定な再生コパンリシブ含有溶液を投与することを含み、前記再生溶液が
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、前記再生溶
液がpH4~5(両端含む)を有する方法に関するものである。
【0212】
本発明の第8、第9若しくは第10の態様の1実施形態によれば、前記コパンリシブ含
有溶液は、上記の態様のいずれか一つで定義される。
【0213】
本発明の第8、第9若しくは第10の態様の1実施形態によれば、前記コパンリシブ含
有溶液は、コパンリシブ30、45、60又は80mgを含む。
【0214】
本発明の第8、第9若しくは第10の態様の1実施形態によれば、前記コパンリシブ含
有溶液は、コパンリシブ60mgを含む。
【0215】
本発明の第8、第9若しくは第10の態様の1実施形態によれば、前記コパンリシブ含
有溶液の前記使用は、間欠的スケジュールで(3週間オン及び1週間オフ)、28日治療
サイクルの第1日、第8日及び第15日に、1時間静脈注入として患者にコパンリシブ6
0mgの固定用量を投与することで行う。
【0216】
本発明の第8、第9若しくは第10の態様の1実施形態によれば、前記コパンリシブ含
有溶液は、化学療法抗がん剤、特には
131I-chTNT、アバレリックス、アビラテロン、アクラルビシン、アダリムマ
ブ、アドゥ-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブ、アフリベルセプト、アルデス
ロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アレンドロン酸、アリトレチノイン、アルト
レタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、ヘキシルアミノレブリネート、アムルビ
シン、アムサクリン、アナストロゾール、アンセスチム、アネトールジチオレチオン、ア
ネツマブラブタンシン、アンギオテンシンII、アンチトロンビンIII、アプレピタン
ト、アルシツモマブ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、
アキシチニブ、アザシチジン、バシリキシマブ、ベロテカン、ベンダムスチン、ベシレソ
マブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ブ
レオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ブセレリン、ボスチニブ、ブレンツキシ
マブ・ベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カルシトニン、カル
シウムホリナート、カルシウムレボホリナート、カペシタビン、カプロマブ、カルバマゼ
ピン、カルボプラチン、カルボコン、カルフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、
カツマキソマブ、セレコキシブ、セルモロイキン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラム
ブシル、クロルマジノン、クロルメチン、シドフォビル、シナカルセト、シスプラチン、
クラドリビン、クロドロン酸、クロファラビン、コビメチニブ、クリサンタスパーゼ、ク
リゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノ
マイシン、ダラツムマブ、ダルベポエチンアルファ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、ダウ
ノルビシン、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デプ
レオチド、デスロレリン、ジアンヒドロガラクチトール、デクスラゾキサン、塩化ジブロ
スピジウム、ジアンヒドロガラクチトール、ジクロフェナク、ジヌツキシマブ、ドセタキ
セル、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドキソルビシン+エストロン
、ドロナビノール、エクリズマブ、エドレコロマブ、酢酸エリプチニウム、エロツズマブ
、エルトロンボパグ、エンドスタチン、エノシタビン、エンザルタミド、エピルビシン、
エピチオスタノール、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エプ
タプラチン、エリブリン、エルロチニブ、エソメプラゾール、エストラジオール、エスト
ラムスチン、エチニルエストラジオール、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、
ファドロゾール、フェンタニル、フィルグラスチム、フルオキシメステロン、フロクスウ
リジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、フォルメスタン、
ホスアプレピタント、フォテムスチン、フルベストラント、ガドブトロール、ガドテリド
ール、ガドテル酸メグルミン、ガドベルセタミド、ガドキセト酸、硝酸ガリウム、ガニレ
リクス、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グルカルピダーゼ、グルトキシム
、GM-CSF、ゴセレリン、グラニセトロン、顆粒球コロニー刺激因子、ヒスタミン二
塩酸塩、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、I-125シード、ランソプラゾール、
イバンドロン酸、イブリツモマブ チウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン、イホス
ファミド、イマチニブ、イミキモド、インプロスルファン、インジセトロン、インカドロ
ン酸、インゲノールメブテート、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、
インターフェロンガンマ、イオビトリドール、イオベングアン(123I)、イオメプロ
ール、イピリムマブ、イリノテカン、イトラコナゾール、イキサベピロン、イキサゾミブ
、ランレオチド、ランソプラゾール、ラパチニブ、ラソコリン(lasocholine
)、レナリドマイド、レンバチニブ、レノグラスチム、レンチナン、レトロゾール、リュ
ープロレリン、レバミソール、レボノルゲストレル、レボチロキシンナトリウム、リスリ
ド、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、マソプロコール、メドロキシプロゲステロ
ン、メゲストロール、メラルソプロール、メルファラン、メピチオスタン、メルカプトプ
リン、メスナ、メタドン、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、
メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、メチロシン、ミファムルチド、ミルテホ
シン、ミリプラチン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシ
ン、ミトタン、ミトキサントロン、モガムリズマブ、モルグラモスチム、モピダモール、
モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、ナビロン、ナビキシモルス、ナファレリン、ナロキソ
ン+ペンタゾシン、ナルトレキソン、ナルトグラスチム、ネシツムマブ、ネダプラチン、
ネララビン、ネリドロン酸、ネツピタント/パロノセトロン、ニボルマブ、ペンテトレオ
チド、ニロチニブ、ニルタミド、ニモラゾール、ニモツズマブ、ニムスチン、ニンテダニ
ブ、ニトラクリン、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オ
ラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オメプラゾール、オンダ
ンセトロン、オプレルベキン、オルゴテイン、オリロチモド、オシメルチニブ、オキサリ
プラチン、オキシコドン、オキシメトロン、オゾガマイシン、p53遺伝子治療、パクリ
タキセル、パルボシクリブ、パリフェルミン、パラジウム-103シード、パロノセトロ
ン、パミドロン酸、パニツムマブ、パノビノスタット、パントプラゾール、パゾパニブ、
ペグアスパルガーゼ、PEG-エポエチンベータ(メトキシPEG-エポエチンベータ)
、ペンブロリズマブ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペ
ンブロリズマブ、ペメトレキセド、ペンタゾシン、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペ
ルフルブタン、ペルホスファミド、ペルツズマブ、ピシバニール、ピロカルピン、ピラル
ビシン、ピクサントロン、プレリキサホル、プリカマイシン、ポリグルサム、リン酸ポリ
エストラジオール、ポリビニルピロリドン+ヒアルロン酸ナトリウム、ポリサッカライド
-K、ポマリドミド、ポナチニブ、ポルフィマーナトリウム、プララトレキセート、プレ
ドニムスチン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロコダゾール、プロプラノロール、キ
ナゴリド、ラベプラゾール、ラコツモマブ、塩化ラジウム-223、ラドチニブ、ラロキ
シフェン、ラルチトレキセド、ラモセトロン、ラムシルマブ、ラニムスチン、ラスブリカ
ーゼ、ラゾキサン、レファメチニブ、レゴラフェニブ、リセドロン酸、エチドロン酸レニ
ウム-186、リツキシマブ、ロラピタント、ロミデプシン、ロミプロスチム、ロムルチ
ド、ルカパリブ、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、サツモ
マブ、セクレチン、シルツキシマブ、シプロイセル-T、シゾフィラン、ソブゾキサン、
グリシジダゾールナトリウム、ソニデジブ、ソラフェニブ、スタノゾロール、ストレプト
ゾシン、スニチニブ、タラポルフィン、タリモジーン・ラハーパレプベック、タミバロテ
ン、タモキシフェン、タペンタドール、タソネルミン、テセロイキン、テクネチウム(9
9mTc)ノフェツモマブ(nofetumomab)メルペンタン、99mTc-HY
NIC-[Tyr3]-オクトレオチド、テガフール、テガフール+ギメラシル+オテラ
シル、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、
テトロホスミン、サリドマイド、チオテパ、チマルファシン、甲状腺刺激ホルモンα、チ
オグアニン、トシリズマブ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン
、トラメチニブ、トラマドール、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、トレ
オスルファン、トレチノイン、トリフルリジン+チピラシル、トリロスタン、トリプトレ
リン、トラメチニブ、トロホスファミド、トロンボポエチン、トリプトファン、ウベニメ
クス、ヴァラチニブ、バルルビシン、バンデタニブ、バプレオチド、ベムラフェニブ、ビ
ンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビスモデギ
ブ、ボリノスタット、ボロゾール、イットリウム-90ガラス微小球、ジノスタチン、ジ
ノスタチンスチマラマー、ゾレドロン酸、ゾルビシンからなる群から選択される化学療法
抗がん剤と組み合わせて投与される。
【0217】
上記投与は、経口又は非経口的に行われる。コパンリシブの場合、非経口投与経路がよ
り好ましい。非経口送達の方法には、局所、動脈(腫瘍に直接)、筋肉、皮下、髄内、く
も膜下、脳室内、静脈、腹腔内又は経鼻投与などがある。有効成分に加えて、これらの医
薬組成物は、活性化合物を医薬として使用可能な製剤に加工するのに役立つ賦形剤及び補
助剤を含む好適な医薬として許容される担体を含むことができる。製剤及び投与の技術に
関するさらなる詳細が、Remington′s Pharmaceutical Sc
iences(編:Maack Publishing Co, Easton, Pa
.)の最新版にある。
【0218】
本発明の製剤は、注入器、ポンプ、注射器又は当業界で公知のいずれか他の機器/注入
機器を用いて、並びに重力によって投与することができる。針又はカテーテルを用いて、
本発明の製剤をある種の非経口経路を介して患者身体に導入することができる。
【0219】
本発明で使用するのに好適な医薬組成物には、有効成分が、所期の目的、すなわち特定
の疾患の治療を達成する上での有効量で含まれる組成物などがある。有効用量の決定は、
当業者の能力の範囲内である。
【0220】
コパンリシブについて、治療上有効用量は、最初に細胞培養アッセイ、例えば腫瘍性細
胞で、又は動物モデル、通常はマウス、ウサギ、イヌ、ブタ若しくはサルで推定すること
ができる。動物モデルを用いて、所望の濃度範囲及び投与経路も得られる。次に、そのよ
うなデータを用いて、ヒトでの投与に有用な用量及び経路を決定することができる。
【0221】
コパンリシブ含有組成物は、治療的適用で許容されるように製剤する。「治療的適用」
とは、処置を必要とする対象者への、治療上有効量のコパンリシブの投与が関与する処置
を指す。ここで、「治療上有効量」は、単独で若しくは他薬剤と組み合わせて、単一用量
で又は連続投与法で、アポトーシスによる腫瘍細胞死又は原発性悪性B細胞系の増殖阻害
を誘発するのに十分な量であり、悪い状態を改善するが毒物学的に耐容されるコパンリシ
ブの量と定義される。対象者は、ヒト又は非ヒト動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス
、イヌ、サル又は他の低次霊長類)であることができる。
【0222】
正確な用量は、処置される患者を考慮して個々の医師が選択することができる。用量及
び投与を調節して、十分なレベルの活性部分を提供し、所望の効果を維持する。考慮し得
る別の要素には、疾患状態の重度、例えば腫瘍の大きさ及び位置;患者の年齢、体重及び
性別;食事、投与の時刻及び回数、薬剤の組み合わせ、反応感受性、及び療法への耐容性
/応答などがある。
【0223】
長期作用性医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス速度に応じて、例えば
3から4日に1回、週1回、2週に1回、又は3週に1回投与されるものと考えられる。
【0224】
本発明によれば、コパンリシブ含有組成物は、間欠的スケジュールで(3週間オン及び
1週間オフ)、28日治療サイクルの第1日、第8日及び第15日に、1時間静脈注入と
して、コパンリシブ30、45、60又は80mgの固定用量として患者に投与すること
ができる。
【0225】
本発明によれば、コパンリシブ含有組成物は、間欠的スケジュールで(3週間オン及び
1週間オフ)、28日治療サイクルの第1日、第8日及び第15日に、1時間静脈注入と
して、コパンリシブ60mgの固定用量として患者に投与される。
【0226】
第11の態様によれば、本発明は、下記の項目に関するものである。
【0227】
項目1.さらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有
溶液であって、前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の、特には治療用量として好適な
量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液で調製されたものであり、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有する、再生コパンリシブ含有溶液。
【0228】
項目2.前記治療用量が、コパンリシブ30、45、60又は80mgである、項目1
による再生コパンリシブ含有溶液。
【0229】
項目3.前記治療用量がコパンリシブ60mgである、項目1又は2による再生コパン
リシブ含有溶液。
【0230】
項目4.前記pH調節剤が緩衝剤である、項目1~3のいずれか一つによる再生コパン
リシブ含有溶液。
【0231】
項目5.前記緩衝剤がクエン酸及び水酸化ナトリウムである、項目1~4のいずれか一
つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0232】
項目6.前記再生溶液の0.08~15.0重量/体積%、特には0.15~3.0重
量/体積%、特には0.15重量/体積%の量でクエン酸を含む、項目1~5のいずれか
一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0233】
項目7.前記再生溶液の0~0.3重量/体積%、特には0.14~0.18重量/体
積%、特には0.16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む、項目1~6のいずれ
か一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0234】
項目8.前記再生溶液の0.01~0.3重量/体積%、特には0.14~0.18重
量/体積%、特には0.16重量/体積%の量で水酸化ナトリウムを含む、項目1~7の
いずれか一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0235】
項目9.前記増量剤がマンニトールである、項目1~8のいずれか一つによる再生コパ
ンリシブ含有溶液。
【0236】
項目10.前記再生溶液の1.5~24.0重量/体積%、特には1.5~16.0重
量/体積%、特には3.0重量/体積%の量でマンニトールを含む、項目9による再生コ
パンリシブ含有溶液。
【0237】
項目11.前記希釈剤が、無菌塩化ナトリウム水溶液、特には0.9%塩化ナトリウム
水溶液である、項目1~10のいずれか一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0238】
項目12.前記再生溶液の0.5~16.0重量/体積%、特には1.0~8.0重量
/体積%、特には1.5重量/体積%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む、項目1~
11のいずれか一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0239】
項目13.
・コパンリシブの前記治療用量が、前記再生溶液の1.5重量/体積%の量であり、
・前記クエン酸が、前記再生溶液の0.15重量/体積%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、前記再生溶液の0.16重量/体積%の量であり、及び
・前記マンニトールが、前記再生溶液の3.0重量/体積%の量であり、
前記希釈剤が0.9%塩化ナトリウム水溶液であり、
前記コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有する、項目9~12のいずれ
か一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0240】
項目14.
・コパンリシブの前記治療用量が、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸が、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、7.2mgの量であり、
・前記マンニトールが、136.8mgの量であり、
・0.9%塩化ナトリウム水溶液である前記希釈剤が4.4mLの量であり、
前記再生コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有し、
前記再生コパンリシブ含有溶液が体積4.55mLを有する、項目9~13のいずれか
一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0241】
項目15.1個の容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注
射バイアルに入っている、項目1~14のいずれか一つによる再生コパンリシブ含有溶液
。
【0242】
項目16.15mg/mLの量でコパンリシブを含む、項目1~15のいずれか一つに
よる再生コパンリシブ含有溶液。
【0243】
項目17.コパンリシブ60mgを、特には体積4mL中に含む、項目1~16のいず
れか一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0244】
項目18.好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には
例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液によってさらに希釈した、項目1~17のいずれか
一つによる再生コパンリシブ含有溶液。
【0245】
項目19.前記好適な希釈剤が、特には体積100mL中の0.9%塩化ナトリウム水
溶液である、項目18による再生コパンリシブ含有溶液。
【0246】
項目20.輸液バッグに入っている、特にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(
PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)製の輸液
バッグに入っている、項目19による再生コパンリシブ含有溶液。
【0247】
項目21.希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉
末若しくはケーキの再生方法であって、前記安定な凍結乾燥固体、特には粉末が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、p
H4~5(両端含む)を有しており、
前記再生方法が、
・好適な容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注射バイア
ル中の前記安定な凍結乾燥固体、特には粉末に、希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩
化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を加えることを含み;
前記方法がそうして、さらなる希釈及び治療用途に好適な安定な再生コパンリシブ含有
溶液を提供し、前記再生溶液が
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ,
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有する再生方法。
【0248】
項目22.製造される前記コパンリシブ含有溶液が項目1~21のいずれか一つで定義
されている、項目21による再生方法。
【0249】
項目23.希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉
末若しくはケーキであって、前記固体、特には粉末若しくはケーキが、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、p
H4~5(両端含む)を有する、凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケ
ーキ。
【0250】
項目24.前記治療用量がコパンリシブ30、45、60又は80mgである、項目2
3による凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0251】
項目25.前記治療用量がコパンリシブ60mgである、項目23による凍結乾燥コパ
ンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0252】
項目26.前記pH調節剤が緩衝剤である、項目23又は24による凍結乾燥コパンリ
シブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0253】
項目27.前記緩衝剤がクエン酸及び水酸化ナトリウムである、項目23~26のいず
れか一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0254】
項目28.前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0.7~75重量%、特には1.5~
30重量%、特には2.98重量%の量でクエン酸を含む、項目23~27のいずれか一
つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0255】
項目29.前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0~6重量%、特には3.3~4.0
重量%、特には3.7重量%の量で水酸化ナトリウムを含む、項目23~28のいずれか
一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0256】
項目30.前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の0.01~6重量%、特には3.3~
4.0重量%、特には3.7重量%の量で水酸化ナトリウムを含む、項目23~28のい
ずれか一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0257】
項目31.前記増量剤がマンニトールである、項目23~30のいずれか一つによる凍
結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0258】
項目32.前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の15.4~82.1重量%、特には3
0.8~82.1重量%、特には61.6重量%の量でマンニトールを含む、項目31に
よる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0259】
項目33.凍結乾燥コパンリシブ含有固体の7.7~92.4重量%、特には7.7~
61.6重量%、特には30.8重量%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む、項目2
3~32のいずれか一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケー
キ。
【0260】
項目34.
・コパンリシブの前記治療用量が、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の30.8重量
%の量であり、
・前記クエン酸が、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の2.98重量%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の3.7重量%の量で
あり、及び
・前記マンニトールが、前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体の61.6重量%の量であ
り、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有している、項目23~33のいずれ
か一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0261】
項目35.
・コパンリシブの前記治療用量が、30、45又は60mgの量であり、
・前記クエン酸が、5.8mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、6.3mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、120mgの量であり、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有している、項目23~34のいずれ
か一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0262】
項目36.
・コパンリシブの前記治療用量が、80mgの量であり、
・前記クエン酸が、7.7mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、8.4mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、160mgの量であり、
前記凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は
無菌塩化ナトリウム水溶液、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希
釈剤で再生した場合に、pH4~5(両端含む)を有している、項目23~34のいずれ
か一つによる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0263】
項目37.1個の容器、特には密閉容器、特には注射バイアル、より詳細には6mL注
射バイアルに入っている、項目23~36のいずれか一つによる凍結乾燥コパンリシブ含
有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0264】
項目38.68.4mgの量でコパンリシブを含む、項目23~37のいずれか一つに
よる凍結乾燥コパンリシブ含有固体、特には粉末若しくはケーキ。
【0265】
項目39.凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含有バルク水溶液の凍結
乾燥方法であって、前記組成物が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液がpH4~5(両端含む)を有しており、
前記凍結乾燥方法が、冷凍、アニーリング、一次及び二次乾燥段階を含み;
前記方法がそうして、希釈及び治療用途に好適な安定な凍結乾燥コパンリシブ含有固体
、特には粉末若しくはケーキを提供し、前記固体、特には粉末若しくはケーキが、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記固体、特には粉末若しくはケーキが、無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液
、特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液などの好適な希釈剤で再生した場合に、p
H4~5(両端含む)を有している凍結乾燥方法。
【0266】
項目40.凍結乾燥に直接好適である高溶解度の安定なコパンリシブ含有バルク水溶液
であって、前記バルク溶液が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液がpH4~5(両端含む)を有している、コパンリシブ含有バルク水溶
液。
【0267】
項目41.前記治療用量がコパンリシブ30、45、60又は80mgである、項目4
0によるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0268】
項目42.前記治療用量がコパンリシブ60mgである、項目40によるバルクコパン
リシブ含有溶液。
【0269】
項目43.前記pH調節剤が緩衝剤である、項目40~42のいずれか一つによるバル
クコパンリシブ含有溶液。
【0270】
項目44.前記緩衝剤がクエン酸及び水酸化ナトリウムである、項目40~43のいず
れか一つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0271】
項目45.前記バルク溶液の0.18~18.5重量%、特には0.18~3.7重量
%、特には0.37重量%の量でクエン酸を含む、項目40~44のいずれか一つによる
バルクコパンリシブ含有溶液。
【0272】
項目46.前記バルク溶液の0~0.8重量%、特には0.3~0.5重量%、特には
0.4重量%の量で水酸化ナトリウムを含む、項目40~45のいずれか一つによるバル
クコパンリシブ含有溶液。
【0273】
項目47.前記増量剤がマンニトールである、項目40~46のいずれか一つによるバ
ルクコパンリシブ含有溶液。
【0274】
項目48.前記バルク溶液の3.0~23.1重量%、特には3.0~15.4重量%
、特には7.7重量%の量でマンニトールを含む、項目47によるバルクコパンリシブ含
有溶液。
【0275】
項目49.前記バルク溶液の0.5~15.2重量%、特には1.0~7.6重量%、
特には3.8重量%の量で前記コパンリシブ遊離塩基を含む、項目40~48のいずれか
一つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0276】
項目50.
・コパンリシブの前記治療用量が、前記バルク溶液の3.8重量%の量であり、
・前記クエン酸が、前記バルク溶液の0.37重量%の量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、前記バルク溶液の0.4重量%の量であり、及び
・前記マンニトールが、前記バルク溶液の7.7重量%の量であり、
前記コパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有している、項目40~49の
いずれか一つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0277】
項目51.
・コパンリシブの前記治療用量が、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸が、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、7.2mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、136.8mgの量であり、
前記バルクコパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有しており、
前記バルクコパンリシブ含有溶液が体積1.71mLを有する、項目40~50のいず
れか一つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0278】
項目52.40mg/mLの量でコパンリシブを含む、項目40~51のいずれか一つ
によるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0279】
項目53.体積1.71mL中にコパンリシブ68.4mgを含む、項目40~52の
いずれか一つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0280】
項目54.体積1.5mL中にコパンリシブ60mgを含む、項目40~53のいずれ
か一つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0281】
項目55.好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、特には
例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液でさらに希釈された、項目40~54のいずれか一
つによるバルクコパンリシブ含有溶液。
【0282】
項目56.
・コパンリシブの前記治療用量が、68.4mgの量であり、
・前記クエン酸が、6.6mgの量であり、
・前記水酸化ナトリウムが、7.2mgの量であり、及び
・前記マンニトールが、136.8mgの量であり、
4.4mLの量での0.9%塩化ナトリウム水溶液である希釈剤でさらに希釈され、
前記バルクコパンリシブ含有溶液がpH4~5(両端含む)を有しており、
前記バルクコパンリシブ含有溶液が体積1.71mLを有する、項目55によるバルク
コパンリシブ含有溶液。
【0283】
項目57.好適な希釈剤でさらに希釈され、前記好適な希釈剤が、特には体積100m
Lでの0.9%塩化ナトリウム水溶液である、項目55又は56によるバルクコパンリシ
ブ含有溶液。
【0284】
項目58.輸液バッグに入っている、特にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(
PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)製の輸液
バッグに入っている、項目55~57のいずれか一つによるバルクコパンリシブ含有溶液
。
【0285】
項目59.凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含有バルク水溶液の調製
方法であって、前記バルク溶液が、
・コパンリシブ、特には治療用量として好適な量でのコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記バルク溶液がpH4~5(両端含む)を有しており、
前記方法が、
・好適な容器に注射用水を入れること;
・遊離塩基若しくは塩、例えば塩酸塩、特には1塩酸塩若しくは2塩酸塩、又はトシル
酸塩の形態でのコパンリシブを、前記容器に移し入れること;
・例えば任意にpH2~3(両端含む)で攪拌することで前記コパンリシブを溶解させ
ることで、コパンリシブ含有溶液を形成すること;
・前記緩衝剤及び前記増量剤を前記コパンリシブ含有溶液に加えること;
・例えば任意に攪拌することで、前記緩衝剤及び前記増量剤を溶解させること;
・そうして形成された溶液のpHを、適切な量の水酸化ナトリウム溶液でpH4~5に
調節することで、バルク溶液を形成すること;
・前記バルク溶液を無菌的に濾過することで、
直接凍結乾燥及び治療用途に好適な安定なコパンリシブ含有バルク水溶液を提供する
こと;及び
・そうして形成された濾過したバルク溶液を1以上のバイアルに充填すること
を含む方法。
【0286】
項目60.前記容器に移し入れる前記コパンリシブがコパンリシブ2塩酸塩である、項
目59による方法。
【0287】
項目61.単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療
法抗がん剤との併用療法での、がん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一
次、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リ
ンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ
形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性
NHL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫
(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リ
ンパ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防のための、さらなる希釈及び治療用途に好
適な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液であって、前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、
前記再生溶液がpH4~5(両端含む)を有している、再生コパンリシブ含有溶液。
【0288】
項目62.前記コパンリシブ含有溶液が項目1~20のいずれか一つで定義される、項
目61による使用。
【0289】
項目63.単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療
法抗がん剤との併用療法でのがん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一次
、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リン
パ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形
質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性N
HL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(
MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リン
パ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防のための、さらなる希釈及び治療用途に好適
な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液の使用であって、前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、前記再生溶
液がpH4~5(両端含む)を有する使用。
【0290】
項目64.単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療
法抗がん剤との併用療法でのがん、特には非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、一次
、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL、特には濾胞性リン
パ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形
質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-WM)、又は進行性N
HL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(
MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(TL)、又は慢性リン
パ球性白血病(CLL)の治療若しくは予防のための医薬品の製造のための、さらなる希
釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安定な再生コパンリシブ含有溶液の使用であって、
前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、前記再生溶
液がpH4~5(両端含む)を有する使用。
【0291】
項目65.単独療法としての、又は1以上の免疫療法、化学療法若しくは免疫-化学療
法抗がん剤との併用療法での、対象者における、がん、特には非ホジキンリンパ腫(NH
L)、例えば、一次、二次若しくは9次までの事前治療、再発性、難治性、緩慢性NHL
、特には濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(
SLL)、リンパ形質細胞性/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(LPL-W
M)、又は進行性NHL、特にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マン
トル細胞リンパ腫(MCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、形質転換リンパ腫(T
L)、又は慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療又は予防方法であって、
前記対象者に対して、さらなる希釈及び治療用途に好適な、高溶解度の安定な再生コパ
ンリシブ含有溶液を投与することを含み、前記再生溶液が、
・1個若しくは2個の容器、特には1個の密閉容器中の治療用量のコパンリシブ、
・1以上のpH調節剤、特には、特に弱酸、例えばクエン酸、及び強塩基、例えば水酸
化ナトリウムを含む緩衝剤、及び
・増量剤
を含み、
前記再生溶液が、好適な希釈剤、例えば無菌注射用水又は無菌塩化ナトリウム水溶液、
特には例えば0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて調製されたものであり、前記再生溶
液がpH4~5(両端含む)を有する方法。
【0292】
項目66.前記コパンリシブ含有溶液が、項目1~20のいずれか一つで定義される、
項目63若しくは64による使用、又は項目65による方法。
【0293】
項目67.前記コパンリシブ含有溶液がコパンリシブ60mgを含む、項目63若しく
は64のいずれか一つによる使用、又は項目65による方法。
【0294】
項目68.前記コパンリシブ含有溶液が体積4.0mLのものである、項目67による
使用。
【0295】
項目69.項目68による使用であって、前記使用を、患者に対して、間欠的スケジュ
ールで(3週間オン及び1週間オフ)、28日治療サイクルの第1日、第8日及び第15
日に、1時間静脈注入としてコパンリシブ60mgの固定用量を投与することによって行
われる方法。
【0296】
項目70.前記溶液を、化学療法抗がん剤との併用で投与する、項目63若しくは64
による使用、又は項目65による方法。
【0297】
項目71.前記化学療法抗がん剤が、
131I-chTNT、アバレリックス、アビラテロン、アクラルビシン、アダリムマ
ブ、アドゥ-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブ、アフリベルセプト、アルデス
ロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アレンドロン酸、アリトレチノイン、アルト
レタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、ヘキシルアミノレブリネート、アムルビ
シン、アムサクリン、アナストロゾール、アンセスチム、アネトールジチオレチオン、ア
ネツマブラブタンシン、アンギオテンシンII、アンチトロンビンIII、アプレピタン
ト、アルシツモマブ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、
アキシチニブ、アザシチジン、バシリキシマブ、ベロテカン、ベンダムスチン、ベシレソ
マブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ブ
レオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ブセレリン、ボスチニブ、ブレンツキシ
マブ・ベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カルシトニン、カル
シウムホリナート、カルシウムレボホリナート、カペシタビン、カプロマブ、カルバマゼ
ピン、カルボプラチン、カルボコン、カルフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、
カツマキソマブ、セレコキシブ、セルモロイキン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラム
ブシル、クロルマジノン、クロルメチン、シドフォビル、シナカルセト、シスプラチン、
クラドリビン、クロドロン酸、クロファラビン、コビメチニブ、クリサンタスパーゼ、ク
リゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノ
マイシン、ダラツムマブ、ダルベポエチンアルファ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、ダウ
ノルビシン、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デプ
レオチド、デスロレリン、ジアンヒドロガラクチトール、デクスラゾキサン、塩化ジブロ
スピジウム、ジアンヒドロガラクチトール、ジクロフェナク、ジヌツキシマブ、ドセタキ
セル、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドキソルビシン+エストロン
、ドロナビノール、エクリズマブ、エドレコロマブ、酢酸エリプチニウム、エロツズマブ
、エルトロンボパグ、エンドスタチン、エノシタビン、エンザルタミド、エピルビシン、
エピチオスタノール、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エプ
タプラチン、エリブリン、エルロチニブ、エソメプラゾール、エストラジオール、エスト
ラムスチン、エチニルエストラジオール、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、
ファドロゾール、フェンタニル、フィルグラスチム、フルオキシメステロン、フロクスウ
リジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、フォルメスタン、
ホスアプレピタント、フォテムスチン、フルベストラント、ガドブトロール、ガドテリド
ール、ガドテル酸メグルミン、ガドベルセタミド、ガドキセト酸、硝酸ガリウム、ガニレ
リクス、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グルカルピダーゼ、グルトキシム
、GM-CSF、ゴセレリン、グラニセトロン、顆粒球コロニー刺激因子、ヒスタミン二
塩酸塩、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、I-125シード、ランソプラゾール、
イバンドロン酸、イブリツモマブ チウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン、イホス
ファミド、イマチニブ、イミキモド、インプロスルファン、インジセトロン、インカドロ
ン酸、インゲノールメブテート、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、
インターフェロンガンマ、イオビトリドール、イオベングアン(123I)、イオメプロ
ール、イピリムマブ、イリノテカン、イトラコナゾール、イキサベピロン、イキサゾミブ
、ランレオチド、ランソプラゾール、ラパチニブ、ラソコリン(lasocholine
)、レナリドマイド、レンバチニブ、レノグラスチム、レンチナン、レトロゾール、リュ
ープロレリン、レバミソール、レボノルゲストレル、レボチロキシンナトリウム、リスリ
ド、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、マソプロコール、メドロキシプロゲステロ
ン、メゲストロール、メラルソプロール、メルファラン、メピチオスタン、メルカプトプ
リン、メスナ、メタドン、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、
メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、メチロシン、ミファムルチド、ミルテホ
シン、ミリプラチン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシ
ン、ミトタン、ミトキサントロン、モガムリズマブ、モルグラモスチム、モピダモール、
モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、ナビロン、ナビキシモルス、ナファレリン、ナロキソ
ン+ペンタゾシン、ナルトレキソン、ナルトグラスチム、ネシツムマブ、ネダプラチン、
ネララビン、ネリドロン酸、ネツピタント/パロノセトロン、ニボルマブ、ペンテトレオ
チド、ニロチニブ、ニルタミド、ニモラゾール、ニモツズマブ、ニムスチン、ニンテダニ
ブ、ニトラクリン、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オ
ラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オメプラゾール、オンダ
ンセトロン、オプレルベキン、オルゴテイン、オリロチモド、オシメルチニブ、オキサリ
プラチン、オキシコドン、オキシメトロン、オゾガマイシン、p53遺伝子治療、パクリ
タキセル、パルボシクリブ、パリフェルミン、パラジウム-103シード、パロノセトロ
ン、パミドロン酸、パニツムマブ、パノビノスタット、パントプラゾール、パゾパニブ、
ペグアスパルガーゼ、PEG-エポエチンベータ(メトキシPEG-エポエチンベータ)
、ペンブロリズマブ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペ
ンブロリズマブ、ペメトレキセド、ペンタゾシン、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペ
ルフルブタン、ペルホスファミド、ペルツズマブ、ピシバニール、ピロカルピン、ピラル
ビシン、ピクサントロン、プレリキサホル、プリカマイシン、ポリグルサム、リン酸ポリ
エストラジオール、ポリビニルピロリドン+ヒアルロン酸ナトリウム、ポリサッカライド
-K、ポマリドミド、ポナチニブ、ポルフィマーナトリウム、プララトレキセート、プレ
ドニムスチン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロコダゾール、プロプラノロール、キ
ナゴリド、ラベプラゾール、ラコツモマブ、塩化ラジウム-223、ラドチニブ、ラロキ
シフェン、ラルチトレキセド、ラモセトロン、ラムシルマブ、ラニムスチン、ラスブリカ
ーゼ、ラゾキサン、レファメチニブ、レゴラフェニブ、リセドロン酸、エチドロン酸レニ
ウム-186、リツキシマブ、ロラピタント、ロミデプシン、ロミプロスチム、ロムルチ
ド、ルカパリブ、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、サツモ
マブ、セクレチン、シルツキシマブ、シプロイセル-T、シゾフィラン、ソブゾキサン、
グリシジダゾールナトリウム、ソニデジブ、ソラフェニブ、スタノゾロール、ストレプト
ゾシン、スニチニブ、タラポルフィン、タリモジーン・ラハーパレプベック、タミバロテ
ン、タモキシフェン、タペンタドール、タソネルミン、テセロイキン、テクネチウム(9
9mTc)ノフェツモマブ(nofetumomab)メルペンタン、99mTc-HY
NIC-[Tyr3]-オクトレオチド、テガフール、テガフール+ギメラシル+オテラ
シル、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、
テトロホスミン、サリドマイド、チオテパ、チマルファシン、甲状腺刺激ホルモンα、チ
オグアニン、トシリズマブ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン
、トラメチニブ、トラマドール、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、トレ
オスルファン、トレチノイン、トリフルリジン+チピラシル、トリロスタン、トリプトレ
リン、トラメチニブ、トロホスファミド、トロンボポエチン、トリプトファン、ウベニメ
クス、ヴァラチニブ、バルルビシン、バンデタニブ、バプレオチド、ベムラフェニブ、ビ
ンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビスモデギ
ブ、ボリノスタット、ボロゾール、イットリウム-90ガラス微小球、ジノスタチン、ジ
ノスタチンスチマラマー、ゾレドロン酸、ゾルビシンからなる群から選択される、項目7
0による使用。
【外国語明細書】