(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007195
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の風防装置
(51)【国際特許分類】
B62J 17/04 20060101AFI20230111BHJP
B62J 11/00 20200101ALI20230111BHJP
【FI】
B62J17/04
B62J11/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110291
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】直井 創
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】長山 雅
(57)【要約】
【課題】風防装置1において、車体2への組付作業を容易にする。
【解決手段】鞍乗り型車両3の風防装置1であって、車体2に固定されるベース4と、前記ベース4の後部に取り付けられ、車両情報を表示するメータ5を支持するメータブラケット6と、前記ベース4に移動可能に取り付けられ、風防部材7を支持するホルダ8と、前記ホルダ8に取り付けられた風防部材7を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両の風防装置であって、
車体に固定されるベースと、
前記ベースの後部に設けられた取付部に取り付けられ、車両情報を表示するメータを支持するメータブラケットと、
前記ベースに設けられたガイド部に移動可能に取り付けられ、風防部材を支持するホルダと、
前記ホルダに取り付けられた風防部材と、
前記取付部の有するベース側締結部と、
前記メータブラケットに設けられ、前記ベース側締結部に締結部材によって締結されるブラケット側締結部とを有する風防装置。
【請求項2】
前記取付部は、係止孔をさらに有し、
前記メータブラケットは、前記係止孔に挿入される突起をさらに有する請求項1に記載の風防装置。
【請求項3】
前記ベース側締結部は締結孔を有し、
前記締結孔の軸線が前記係止孔の軸線と垂直に配置されている、請求項2に記載の風防装置。
【請求項4】
前記係止孔の軸線は上下に延び、前記締結孔の軸線は左右に延びている、請求項3に記載の風防装置。
【請求項5】
前記メータブラケットは、前後を向く板状の本体部を有し、
前記突起は前記本体部の下部に設けられ、
前記ブラケット側締結部は、前記本体部の上部に設けられている、請求項2~4のいずれか1項に記載の風防装置。
【請求項6】
前記ブラケット側締結部は、前記本体部の上部から前方に突出する板片部に設けられている、請求項5に記載の風防装置。
【請求項7】
前記ブラケット側締結部は、左右方向から見て露出している、請求項2~6のいずれか1項に記載の風防装置。
【請求項8】
前記ベースは、
前後に延び、前記車体に取り付けられる左右のベースメンバと、
前記ベースメンバの前端から後方かつ上方に傾斜して延び、前記ホルダをスライド移動可能に支持する左右の前記ガイド部と、
左右に延び、前記ガイド部のそれぞれの前端に結合したフロントメンバと、
左右に延び、前記ベースメンバのそれぞれの後端に結合したリヤメンバと、
左右に延び、前記ガイド部のそれぞれの後端に結合し、前記リヤメンバの上方に配置されたアッパメンバとを有し、
前記係止孔は前記リヤメンバに設けられており、
前記ベース側締結部は前記アッパメンバに設けられている、請求項2~7のいずれか1項に記載の風防装置。
【請求項9】
前記ホルダの後端には前記ガイド部のそれぞれにスライド移動可能かつ回転可能に支持された軸部が設けられ、
前記ホルダの前端と前記ガイド部のそれぞれの前端とはリンクによって接続され、
前記リンクの一端は左右に延びる軸線を中心として回転可能に前記ホルダの前端に結合され、前記リンクの他端は、左右に延びる軸線を中心として回転可能に前記ガイド部の前端のそれぞれに結合されている、請求項8に記載の風防装置。
【請求項10】
前記メータブラケットは、前記本体部の上縁から後方に延びる庇部とを有する、請求項5または6に記載の風防装置。
【請求項11】
前記メータブラケットが、前記本体部に前記メータを取り付けるための複数の締結孔を有する、請求項5、6および10のいずれか1項に記載の風防装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の風防装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体を構成するヘッドパイプに取り付けられた固定部材と、固定部材に取り付けられた後カバー部と、後カバー部に取り付けられたメータと、固定部材に取り付けられた前カバー部と、前カバー部に取り付けられた風防部材とを備えた風防装置が開示されている。特許文献2は、車体に取り付けられたメータステーと、メータステーに取り付けられたメータパネルと、メータステーに取り付けられたスクリーン可変構造と、スクリーン可変構造に支持された風防部材とを備えた風防装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-045054号公報
【特許文献2】特開2014-184787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2のいずれも、メータを支持する構造体と風防部材を支持する構造体とが互いに独立して車体に取り付けられている。そのため、組付作業が煩雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、風防装置1において、車体2への組付作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、鞍乗り型車両(3)の風防装置(1)であって、車体(2)に固定されるベース(4)と、前記ベース(4)の後部に設けられた取付部に取り付けられ、車両情報を表示するメータ(5)を支持するメータブラケット(6)と、前記ベース(4)に設けられたガイド部(15)に移動可能に取り付けられ、風防部材(7)を支持するホルダ(8)と、前記ホルダ(8)に取り付けられた風防部材(7)と、前記取付部の有するベース側締結部(10)と、前記メータブラケット(6)に設けられ、前記ベース側締結部(10)に締結部材によって締結されるブラケット側締結部(13)とを有する。
【0007】
この態様によれば、ベースに設けられた取付部とガイド部に予めメータブラケットとホルダを取り付けられるため、車体への組付け作業はベースを取り付ける作業だけでよく、車体への組付作業が容易になる。
【0008】
上記の態様において、前記取付部は、係止孔(9)をさらに有し、前記メータブラケット(6)は、前記係止孔(9)に挿入される突起(11)をさらに有していても良い。
【0009】
この態様によれば、ベースへのメータブラケットの取付は、係止孔への突起の挿入と、ベース側締結部とブラケット側締結部の締結により行われるため、簡易に行うことができる。また、係止後に締結作業を行うため、メータブラケットがぐらつかず、安定して締結作業を行うことができる。
【0010】
上記の態様において、前記ベース側締結部(10)は締結孔(10A)を有し、前記締結孔(10A)の軸線が前記係止孔(9)の軸線と垂直に配置されても良い。
【0011】
この態様によれば、締結孔の軸線と係止孔の軸線が垂直に配置されているため、ベースとメータブラケットの取付部の剛性を高めることができる。
【0012】
上記の態様において、前記係止孔(9)の軸線は上下に延び、前記締結孔(10A)の軸線は左右に延びていても良い。
【0013】
この態様によれば、係止孔の軸線が上下に延びていることにより、係止孔と突起の結合が安定して維持される。また、上下方向からの係止と左右方向からの締結により、メータブラケットがベースに安定して支持される。さらに、メータ側からボルトなどの締結部材が見えないため、外観が損なわれない。
【0014】
上記の態様において、前記メータブラケット(6)は、前後を向く板状の本体部(21)を有し、前記突起(11)は前記本体部(21)の下部に設けられ、前記ブラケット側締結部(13)は、前記本体部(21)の上部に設けられていても良い。
【0015】
この態様によれば、メータブラケットの上部と下部がベースに支持されるため、ベースに対するメータブラケットの締結が安定して維持される。また、下部を係止してから上部を締結することができるため、メータブラケットがぐらつかず、安定して係止作業を行うことができる。
【0016】
上記の態様において、前記ブラケット側締結部(13)は、前記本体部(21)の上部から前方に突出する板片部(23)に設けられていても良い。
【0017】
この態様によれば、ブラケット側締結部のメータへの干渉を防止することができる。
【0018】
上記の態様において、前記ブラケット側締結部(13)は、左右方向から見て露出しているとよい。
【0019】
この態様によれば、ベースとメータブラケットを左右方向から簡単に締結することができる。
【0020】
上記の態様において、前記ベース(4)は、前後に延び、前記車体(2)に取り付けられる左右のベースメンバ(14)と、前記ベースメンバ(14)の前端から後方かつ上方に傾斜して延び、前記ホルダ(8)をスライド移動可能に支持する左右のガイド部(15)と、左右に延び、前記ガイド部(15)のそれぞれの前端に結合したフロントメンバ(16)と、左右に延び、前記ベースメンバ(14)のそれぞれの後端に結合したリヤメンバ(17)と、左右に延び、前記ガイド部(15)のそれぞれの後端に結合し、前記リヤメンバ(17)の上方に配置されたアッパメンバ(18)とを有し、前記係止孔(9)は前記リヤメンバ(17)に設けられており、前記ベース側締結部(10)は前記アッパメンバ(18)に設けられていても良い。
【0021】
この態様によれば、メータブラケットがベースの後部の上部と下部で支持されるため、メータブラケットに対するベースの締結が安定して維持される。
【0022】
上記の態様において、前記ホルダ(8)の後端には前記ガイド部(15)のそれぞれにスライド移動可能かつ回転可能に支持された軸部(19)が設けられ、前記ホルダ(8)の前端と前記ガイド部(15)のそれぞれの前端とはリンク(20)によって接続され、前記リンク(20)の一端は左右に延びる軸線を中心として回転可能に前記ホルダ(8)の前端に結合され、前記リンク(20)の他端は、左右に延びる軸線を中心として回転可能に前記ガイド部(15)の前端のそれぞれに結合されていても良い。
【0023】
この態様によれば、ホルダがベースに対してスライド移動する際に、ホルダのベースに対する角度を変化させることができる。
【0024】
上記の態様において、前記本体部(21)の上縁から後方に延びる庇部(22)とを有していてもよい。
【0025】
この態様によれば、メータブラケットの上部に庇部を設けることにより、光の反射でメータが見えにくくなるのを防止することができる。
【0026】
上記の態様において、メータブラケット(6)は、前記本体部(21)に前記メータ(5)を取り付けるための複数の締結孔(35)を有していてもよい。
【0027】
ベースの形状に拘わらず、メータをメータブラケットに予め取り付けておくことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上の態様によれば、風防装置(1)において、車体(2)への組付作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る風防装置を鞍乗り型車両に適用した状態を示す側面図
【
図3】ベースへのメータブラケットの取付部を示す斜視図
【
図7】ロック機構のロック状態及びロック解除状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の風防装置1の一実施形態を説明する。説明の便宜上、風防装置1が取り付けられる鞍乗り型車両3を基準として、図示するように前後、左右及び上下を規定する。
【0031】
風防装置1は、
図1に示すような鞍乗り型車両3の前部に設けられている。鞍乗り型車両3の車体2には、車体フレーム24と、車体フレーム24を覆う車体カバー25が設けられている。車体フレーム24の前部には、上下に延び、上方かつ後方に傾斜する左右一対のフロントフォーク26が設けられ、下端において前輪27を支持している。フロントフォーク26の上部には、前輪27を操舵するためのハンドル28が設けられている。風防装置1は、ハンドル28の前方に設けられている。
【0032】
図2に示すように、風防装置1は、車体2に固定されるベース4と、ベース4の後部に取り付けられ、車両情報を表示するメータ5を支持するメータブラケット6と、ベース4に移動可能に取り付けられ、風防部材7を支持するホルダ8と、ホルダ8に取り付けられた風防部材7を有する。ベース4、ホルダ8及びメータブラケット6は、例えば、樹脂によって形成されているとよい。風防部材7とは、運転者に当たる走行風を軽減するための部材であり、透明な樹脂やガラスで形成されているとよい。車両情報とは、例えば、鞍乗り型車両3の速度やエンジンの回転数を含む鞍乗り型車両3に関する情報である。
【0033】
図1及び
図5に示すように、フロントフォーク26の上部には、ステー29が設けられている。ベース4は、前後に延び、ステー29に締結される左右のベースメンバ14と、ベースメンバ14の前端から後方かつ上方に傾斜して延び、ホルダ8をスライド移動可能に支持する左右のガイド部15と、左右に延び、ガイド部15のそれぞれの前端に結合したフロントメンバ16と、左右に延び、ベースメンバ14のそれぞれの後端に結合したリヤメンバ17と、左右に延び、ガイド部15のそれぞれの後端に結合し、リヤメンバ17の上方に配置されたアッパメンバ18とを有する。各ベース4は、ベースメンバ14の下部に設けられた複数の締結部によって、ステー29に締結されている。
【0034】
ガイド部15は、左右対称に形成され、上方かつ前方に向けて凸となる弧状に形成されたガイド本体部30を有する。ガイド本体部30は、ガイド本体部30に沿って形成され、前後に傾斜して延びるガイド孔31を有する。ガイド孔31は、ガイド本体部30を左右に貫通している。また、ガイド孔31は、ガイド本体部30に沿って、後方かつ上方に延びている。ガイド孔31の適所には、長手方向に互いに間隔をおいて複数のロック孔32が設けられている。ロック孔32の幅は、ガイド孔31の幅よりも大きく形成されている。
【0035】
図3に示すように、リヤメンバ17には、係止孔9が設けられている。係止孔9は、リヤメンバ17に複数設けられている。係止孔9の軸線は上下に延び、上方に向かって開口している。アッパメンバ18には、左右一対のベース側締結部10が設けられている。ベース側締結部10は、アッパメンバ18の左右の端部の下部から後方に突出した突出部33に設けられている。突出部33は、左右を向く面を有する。詳細には、ベース側締結部10は、締結孔10Aを有し、締結孔10Aは、左右に延びる軸線を有する雌ねじ孔である。
【0036】
メータブラケット6は、前後を向く板状のメータブラケット本体部21と、メータブラケット本体部21の上縁から後方に延びる庇部22とを有する。メータブラケット6には、メータ5が取り付けられている。メータブラケット本体部21には、ボルトを挿入可能な複数の締結孔35が形成されている。締結孔35にボルトが挿入され、ボルトとナットを組み合わせて使用することで、メータ5がメータブラケット6に取り付けられる。庇部22はメータ5の上方に配置され、外光がメータ5に反射することによりメータ5が見えにくくなるのを防止する。
【0037】
図4に示すように、メータブラケット6は、係止孔9に挿入される突起11を有する。突起11はメータブラケット本体部21の下部に複数設けられている。突起11は、メータブラケット本体部21の下部から、下方に向かって突出するように形成されている。メータブラケット6は、ベース側締結部10に締結部材12によって締結される左右一対のブラケット側締結部13を有する。ブラケット側締結部13は、メータブラケット本体部21の左右の側面の上部から前方に突出した左右を向く面を有する板片部23に設けられている。詳細には、ブラケット側締結部13は、左右に延びる軸線を有し、板片部23を貫通する締結孔である。左右一対のブラケット側締結部13は、左右一対のベース側締結部10よりもベース4に対して外側に設けられている。締結部材12は、例えば、ベース側締結部10とブラケット側締結部13を締結するボルトである。
【0038】
ホルダ8は、後方かつ上方に延びるホルダ本体部38と、ホルダ本体部38の後部から後方かつ下方に向かって延びる左右一対のアーム部39とを有する。左右一対のアーム部39には、左右に延びる支持軸19が支持されている。支持軸19の左端は左側のアーム部39から左方に突出し、左側のガイド部15のガイド孔31を通過して左方に延びている。支持軸19の右端は右側のアーム部39から右方に突出し、右側のガイド部15のガイド孔31を通過して右方に延びている。左右のアーム部39は、支持軸19を介してガイド孔31にスライド移動可能に支持されている。
【0039】
ホルダ本体部38の前端とガイド本体部30のそれぞれの前端とはリンク20によって接続されている。リンク20の一端は、左右に延びる軸線を中心として回転可能にホルダ本体部38の前端に結合されている。リンク20の他端は、左右に延びる軸線を中心として回転可能にガイド本体部30の前端のそれぞれに結合されている。
【0040】
支持軸19の左右の端部のそれぞれには、操作部45が設けられている。各操作部45は、支持軸19に対して所定の範囲で軸方向に移動可能に支持されている。各操作部45は、筒形に形成され、支持軸19の端部を受容している。各操作部45と支持軸19との間にはそれぞればね43が設けられ、各操作部45は支持軸19に対して左右方向における内方に付勢されている。各操作部45は、左右方向における内端に設けられたロック凸部42と、左右方向における外端に設けられた把持部44とを有する。ロック凸部42は、ロック孔32に嵌合可能な形状を有する。
図7(A)に示すように、各ロック凸部42が対応するロック孔32のいずれかに嵌合した状態をロック状態という。ロック状態では、支持軸19のガイド孔31に対するスライド移動が規制され、ベース4に対するホルダ8及び風防部材7の位置が定まる。
図7(B)に示すように、各ロック凸部42がロック孔32から離脱した状態をロック解除状態という。ロック解除状態では、支持軸19のガイド孔31に対するスライド移動が可能になり、ベース4に対してホルダ8及び風防部材7が移動可能になる。
【0041】
図7(A)に示すように、ロック凸部42がロック孔32に嵌合した状態では、支持軸19がガイド孔31に沿って移動することができず、支持軸19の移動が規制されるロック状態となる。
【0042】
一方、
図7(B)に示すように、ロック凸部42がロック孔32から離脱すると、支持軸19がガイド孔31に沿って上下に移動することができるロック解除状態となる。
【0043】
次に、ベース4に対するホルダ8の移動態様について説明する。
【0044】
図5は、ホルダ8がベース4に対して最も低い位置にある状態を示す。まず、作業者が左右の把持部44を両手で把持し、把持部44を同時に外向きに引っ張る。この動作により、ばね43によりベース4の内側向きに付勢されていたロック凸部42が外側に移動してロック孔32から離脱する。すなわち、ロック解除状態となる。
【0045】
次に、作業者は、把持部44を外向きに引っ張った状態のまま、把持部44をガイド孔31に沿って上方にスライド移動させる。この動作により、
図6に示すように、ホルダ8がガイド孔31に沿って上方に移動し、ベース4に対するホルダ8の高さが上方向きに変化する。すなわち、ホルダ本体部38に取り付けられた風防部材7のベース4に対する高さも上方向きに変化する。
【0046】
最後に、作業者は、把持部44を外向きに引っ張っていた両手の力を緩めるとよい。この動作により、ばね43の付勢により把持部44が内側向きに移動し、ロック凸部42がロック孔32に嵌合する。すなわち、ロック状態となる。
【0047】
ベース4に対してホルダ8がスライド移動すると、それに伴ってベース4に対するリンク20の角度も変化する。
図5に示すように、ホルダ8がベース4に対して最も低い位置にあるときは、リンク20は前後に延びている。これに対し、
図6に示すように、ホルダ8をベース4に対して上方に移動させたときは、リンク20は上下に延びている。このように、リンク20の角度が変化することにより、リンク20と結合されたホルダ本体部38のベース4に対する角度が変化する。すなわち、ホルダ本体部38に取り付けられた風防部材7の車体2に対する角度が変化する。
【0048】
次に、メータブラケット6をベース4に取り付ける方法について説明する。まず、作業者は、ベース4の後方に、メータ5が取り付けられたメータブラケット6を配置する。次に、作業者は、メータブラケット6の突起11を、ベース4の係止孔9に上方から挿入する。このとき、作業者は、左右のブラケット側締結部13が左右のベース側締結部10を挟み込み、かつ、ブラケット側締結部13に設けられた締結孔がベース側締結部10に設けられた雌ねじ孔に重なるように位置を調整するとよい。そして、作業者は、ブラケット側締結部13に設けられた締結孔を貫通し、かつベース側締結部10に設けられた雌ねじ孔に挿入されるように、ボルトを左右方向から締結する。これにより、メータブラケット6がベース4に取り付けられる。
【0049】
上記の実施形態に係る風防装置1によれば、ベース4に予めメータブラケット6とホルダ8を取り付けておくことができる。そのため、車体2への組付け時はベース4を車体2に取り付ける作業だけで済む。これにより、メータブラケット6とホルダ8を個別に車体2に組み付ける場合と比較して、組付け作業が容易になる。
【0050】
ベース4にメータブラケット6を取り付ける際は、係止孔9へ突起11を挿入し、ベース側締結部10とブラケット側締結部13を締結すればよい。そのため、ベース4にメータブラケット6全体を締結することに比べて簡易に取り付けを行うことができる。また、下部が係止した状態で上部を締結することができるため、メータブラケット6がぐらつかず、安定して締結作業を行うことができる。
【0051】
ブラケット側締結部13が、左右方向から見て露出しているため、前後方向から工具を差し込んで締結作業する必要が無く、ベース4へのメータブラケット6の取り付け作業がしやすい。また、前後方向から工具を差し込んで締結作業を行う必要が無いので、ベース4やホルダ8の形状が変更されても締結作業を簡易に行うことができる。
【0052】
メータブラケット6をベース4に締結するための係止孔9と締結孔10Aの軸線が垂直に配置されている。そのため、係止孔9と締結孔10Aの軸線が同一の方向に延びている場合と比較して、メータブラケット6とベース4の結合部の剛性を高めることができる。また、係止孔9の軸線が上下に延びていることにより、係止孔9と、係止孔9に挿入される突起11の結合が安定して維持される。また、メータ5側からボルトなどの締結部材12が見えないため、メータ5周辺の外観が損なわれるのを防止することができる。
【0053】
係止孔9がベース4の後部の下部に設けられ、ベース側のベース側締結部10がベース4の上部に設けられているため、メータブラケット6がベース4の上部と下部から支持される。これにより、メータブラケット6に対するベース4の結合が安定して維持される。
【0054】
突起11がメータブラケット本体部21の下部に設けられ、ブラケット側のブラケット側締結部13がメータブラケット本体部21の上部に設けられていることにより、ベース4に対するメータブラケット6の締結が安定して維持される。
【0055】
メータブラケット6がメータブラケット本体部21にメータ5取り付け用の締結孔35を複数有するため、予めメータブラケット6にメータ5を取り付けておくことができる。また、ベース4の後部に取付部を有するため、ベース4の形状が変更された場合でも、メータブラケット6へのメータ5の取付け作業に影響することがない。
【0056】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、係止孔9は下方に向けて幅が小さくなるテーパ形状をしていてもよく、突起11は、下方に向けて幅が小さくなるテーパ形状をしていてもよい。これにより、突起11が係止孔9の内側面に摺接し、突起11が係止孔9に挿入しやすくなる。また、係止孔9の内側面には可撓性のシートが貼り付けられていてもよい。これにより、突起11と係止孔9の係止のがたつきを防止することができる。
【0057】
ロック孔32はベース4の外面側から内面側に向けて次第に狭くなるテーパ形状であってもよく、ロック凸部42は、ベース4の外面側から内面側に向けて次第に狭くなるテーパ状に形成されていてもよい。これにより、ロック凸部42がロック孔32に摺接し、ロック解除状態からロック状態への移行がしやすくなる。
【0058】
ガイド部15は、ベース4に対するホルダ8の可動域を広げるために、上下方向または前後方向に拡張されてもよく、これに伴い、ベース4の形状が変更されてもよい。また、メータブラケット6の形状は、鞍乗り型車両3の機種によって変更されてもよい。これにより、より汎用性の高い風防装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 :風防装置
2 :車体
3 :鞍乗り型車両
4 :ベース
5 :メータ
6 :メータブラケット
7 :風防部材
8 :ホルダ
9 :係止孔
10 :ベース側締結部
10A :締結孔
11 :突起
12 :締結部材
13 :ブラケット側締結部
14 :ベースメンバ
15 :ガイド部
16 :フロントメンバ
17 :リヤメンバ
18 :アッパメンバ
19 :軸部(支持軸)
20 :リンク