(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071958
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】涙腺移植片用静的ピン挿入ツール
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
A61F9/007 150
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036140
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2019500615の分割
【原出願日】2017-07-13
(31)【優先権主張番号】62/362,004
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516019091
【氏名又は名称】マティ セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ウッケーデ,ディーパンク
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ロバート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本明細書では、涙腺移植片と使用するための挿入ツール、システム、および方法が提供される。
【解決手段】挿入ツールは、遠位端に、涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された静的ピンと、挿入具チップの近位端でハンドルを受けるための機械的結合とを含む挿入具チップと、ハンドルの遠位端で挿入具チップと、ハンドルの近位端でプランジャと結合するハンドルと、を含み、プランジャは、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。挿入具チップの静的ピンは、涙小管内に配置した後、挿入ツールからの機械的力なしで涙腺移植片から取り外される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された遠位端における静的ピンと、挿入具チップの近位端においてハンドルを受けるための機械的結合と、を含む挿入具チップと、
前記ハンドルの遠位端において前記挿入具チップに、および前記ハンドルの近位端においてプランジャに結合されるハンドルであって、ここで、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように前記プランジャは構成される、ハンドルと、
を含む、涙腺移植片挿入ツール。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記ハンドルの管腔内にばねおよびねじを含み、前記挿入具チップの前記近位端は、前記ハンドルに結合されるように構成される、請求項1の挿入ツール。
【請求項3】
前記プランジャは、前記ハンドルの前記管腔内で滑動し、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、請求項2に記載の挿入ツール。
【請求項4】
前記挿入具チップおよびハンドルは、締まりばめを介して結合される、請求項1に記載の挿入ツール。
【請求項5】
前記挿入具チップは、生体適合性ポリマーを含む、請求項1に記載の挿入ツール。
【請求項6】
前記挿入具チップは、0.75から1.5インチの長さである、請求項1に記載の挿入ツール。
【請求項7】
前記挿入具チップおよびハンドルが結合されるとき、前記挿入具チップは、0.5から1.25インチの長さである、請求項1に記載の挿入ツール。
【請求項8】
前記ハンドルは、3.75から5.5インチの長さである、請求項1に記載の挿入ツール。
【請求項9】
前記挿入具チップは使い捨てである、請求項1に記載の挿入ツール。
【請求項10】
涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された遠位端における静的ピンと、挿入具チップの近位端においてハンドルを受けるための機械的結合と、を含む挿入具チップと、
前記挿入具チップの前記静的ピンに結合された涙腺移植片と、
を含む眼の治療のためのシステム。
【請求項11】
ハンドルの遠位端において前記挿入具チップに、および前記ハンドルの近位端においてプランジャに結合された前記ハンドルをさらに含み、前記プランジャは、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ハンドルは、前記ハンドルの管腔内にばねおよびねじを含み、前記挿入具チップの前記近位端は、前記ハンドルに結合されるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記プランジャは、前記ハンドルの前記管腔内で滑動し、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記挿入具チップおよびハンドルは、締まりばめを介して結合される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記挿入具チップは、生体適合性ポリマーを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記挿入具チップは、0.75から1.5インチの長さである、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
パッケージをさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記挿入具チップおよび前記ハンドルが結合されるとき、前記挿入具チップは0.5から1.25インチの長さである、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハンドルは、3.75から5.5インチの長さである、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記挿入具チップは使い捨てである、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
前記涙腺移植片は、
第一の軸を画定し、前記第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、前記涙点に伸びるように構成される第一の部材と、
第二の軸を画定し、前記第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、前記涙点の垂直部分にあり、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口外へ延びるように構成される、第二の部材と、
角度を有する交差部を形成するために、前記第一の部材の前記第一の端部と、前記第二の部材の前記第二の端部とを第一の角度で接続する、第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定し、上面を有する穴を含む、第三の部材と、
を含み、
前記穴は、前記移植片の挿入を容易にするために前記挿入具チップの前記静的ピンにアクセス可能であるように構成され、前記上面から前記第三の部材に伸び、さらに、前記第一の角度は、前記第二の軸に対して前記第一の軸によって画定され、前記第二の角度は、前記第三の軸に対して前記第一の軸によって画定され、
前記第一の角度は、30度から150度であり、
前記第二の角度は、15度から90度である、
請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記涙腺移植片は、
第一の軸を画定し、前記第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、前記涙点に伸びるように構成された、第一の部材と、
第二の軸を画定し、前記第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、前記涙点の垂直部分にあり、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口外へ延びるように構成される、第二の部材と、
治療薬コアを収容するように構成された空洞であって、前記第二の軸に沿って前記第二の部材に延びる空洞と、
角度を有する交差部を形成するために、前記第一の部材の前記第一の端部と、前記第二の部材の前記第二の端部とを第一の角度で接続する第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定し、上面を有する穴を含む、第三の部材と、
を含み、
前記穴は、前記移植片の挿入を容易にするために前記挿入具チップの前記静的ピンにアクセス可能であるように構成され、前記上面から前記第三の部材に伸び、さらに、前記第一の角度は、前記第二の軸に対して前記第一の軸によって画定され、前記第二の角度は、前記第三の軸に対して前記第一の軸によって画定され、
前記第一の角度は、30度から150度であり、
前記第二の角度は、15度から90度である、
請求項10に記載のシステム。
【請求項23】
挿入ツールを用いて涙腺移植片を挿入するための方法であって、
請求項10に記載の前記システムをハンドルに結合することであって、前記ハンドルは、前記ハンドルの遠位端において前記挿入具チップに結合され、前記ハンドルは、前記ハンドルの近位端にプランジャを含み、前記プランジャは、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、ことと、
前記涙腺移植片を涙点内に配置することと、
前記涙腺移植片から前記挿入具チップを取り外すことであって、ここで、前記静的ピンは、前記挿入ツールから機械的力なしで解放される、ことと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記ハンドルの前記近位端において前記プランジャを押し出すことによって、前記ハンドルから前記挿入具チップを取り外すことをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ハンドルは、前記ハンドルの管腔内にばねおよびねじを含み、前記挿入具チップの前記近位端は、前記挿入具チップとハンドルとを結合するように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記プランジャは、前記ハンドルの前記管腔内で滑動し、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記挿入具チップおよびハンドルは締まりばめを介して結合される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記挿入具チップは生体適合性ポリマーを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記挿入具チップは、0.75から1.5インチの長さである、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記ハンドルが前記挿入具チップに結合された後に、前記システムはパッケージから除去される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記挿入具チップおよび前記ハンドルが結合されるとき、前記挿入具チップは0.5から1.25インチの長さである、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記ハンドルは、3.75から5.5インチの長さである、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記挿入具チップは使い捨てである、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記ハンドルは、請求項10に記載の前記システムと別々に提供される、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記涙腺移植片は、
第一の軸を画定し、前記第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、前記涙点に伸びるように構成される、第一の部材と、
第二の軸を画定し、前記第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、前記涙点の垂直部分にあり、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口外へ延びるように構成される、第二の部材と、
角度を有する交差部を形成するために、前記第一の部材の前記第一の端部と、前記第二の部材の前記第二の端部とを第一の角度で接続する、第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定し、上面を有する穴を含む、第三の部材と、
を含み、
前記穴は、前記移植片の挿入を容易にするために前記挿入具チップの前記静的ピンにアクセス可能であるように構成され、前記上面から前記第三の部材に伸び、さらに、前記第一の角度は、前記第二の軸に対して前記第一の軸によって画定され、前記第二の角度は、前記第三の軸に対して前記第一の軸によって画定され、
前記第一の角度は、30度から150度であり、
前記第二の角度は、15度から90度である、
請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記涙腺移植片は、
第一の軸を画定し、前記第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、前記涙点に伸びるように構成された、第一の部材と、
第二の軸を画定し、前記第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、前記涙点の垂直部分にあり、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口外へ延びるように構成される、第二の部材と、
治療薬コアを収容するように構成された空洞であって、前記第二の軸に沿って前記第二の部材へ延びる、空洞と、
角度を有する交差部を形成するために、前記第一の部材の前記第一の端部と、前記第二の部材の前記第二の端部とを第一の角度で接続する第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定し、上面を有する穴を含む、第三の部材と、
を含み、
前記穴は、前記移植片の挿入を容易にするために前記挿入具チップの前記静的ピンにアクセス可能であるように構成され、前記上面から前記第三の部材に伸び、さらに、前記第一の角度は、前記第二の軸に対して前記第一の軸によって画定され、前記第二の角度は、前記第三の軸に対して前記第一の軸によって画定され、
前記第一の角度は、30度から150度であり、
前記第二の角度は、15度から90度である、
請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対するクロスリファレンス]
本出願は、2016年7月13日に出願された米国仮特許出願整理番号62/362,004号の優先権を享受する権利を主張し、米国仮特許出願整理番号62/362,004号の内容は、その全体において、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、概して、涙腺移植片および/または涙点プラグを配置するための挿入ツール、ならびに、眼病および眼症状を治療する方法のための当該挿入ツールの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
涙腺移植片は、(ドライアイなどの症状を防ぐために)涙の排出を阻害するため、または眼への局所的な放出用の、眼の周囲組織へのもしくは涙小管の排出を介した全身への投与用のある量の薬剤を包含するための、いずれかの目的で眼の涙点および関連する涙小管に挿入されるデバイスである。
【0004】
図1-
図2は、眼100に関連付けられる解剖学的組織構造の例の図を図示する。図示された解剖学的組織構造のうちのある構造は、本明細書で論じられる様々な涙腺移植片および方法を用いて治療するのに適したものであり得る。眼100は、外側の強膜102、中間の脈絡膜104、および内側の網膜106の三層を有する壁を含む球構造である。強膜102は、内側の層を保護する固い繊維状のコーティングを含む。それは、角膜108としてよく知られる、前面における透明な領域を除いてほぼ白色であり、それによって、眼100に光が入射することを可能とする。
【0005】
強膜102の内側に位置する脈絡膜104は、多数の血管を含み、色素性の虹彩110として、眼100の前面で改質される。両凸レンズ112は、瞳孔のちょうど背後に位置する。レンズ112の背後のチャンバ114は、硝子体液、ゼラチン状物質で満たされる。前方および後方のチャンバ116は、角膜108と虹彩110との間にそれぞれ位置し、眼房水で満たされる。眼100の後ろには、光検出網膜106がある。
【0006】
角膜108は、眼100の後ろに画像を伝達する光学的に透明な組織である。それは、血管組織を含み、血管組織には、角膜108と強膜102との間の接合を覆う血管からと、涙液および眼房水で浸すことを介して、栄養分および酸素が供給される。角膜108は、眼100に薬剤を浸透させるための経路を含む。
【0007】
図2を参照すると、分泌系230、分配系、および排出系を含む涙腺排出器官系を含む眼100に関連する他の解剖学的組織構造が図示される。分泌系230は、瞬きや涙の蒸発による温度変化によって刺激される分泌細胞と、輸出性副交感神経供給を有し、物理的または感情的な刺激に応じて涙を分泌する反射分泌細胞とを含む。分配系は、瞼202と、開いた眼の瞼周囲の涙半月部とを含み、これらは、瞬きによって眼表面上に涙を広げ、それによって、乾燥領域が広がることを軽減する。
【0008】
涙腺排出系の排出系は、流動と排出のために、涙点、涙小管、涙嚢204、および涙管206を含む。涙管206からは、涙および他の流動性物質が鼻涙系の経路に流れ出す。涙小管は、上部(上位)涙小管208と、下部(下位)涙小管210とを含み、これらは、それぞれ、上部涙点212および下部涙点214にて終端する。上部涙点212および下部涙点214は、結膜嚢218近傍の睫毛と涙腺部分との接合216において、眼瞼縁の中央端においてわずかに上昇する。上部涙点212および下部涙点214は、組織の連結環によって包囲された、ほぼ円形またはわずかに楕円形の開口である。涙点212および214の各々は、涙嚢204の入り口で互いに接合するために、涙小管の湾曲250においてより水平方向に曲がる前に、そのそれぞれの涙小管の垂直部分220、222につながる。涙小管208、210は、ほぼ管状の形状であり、弾性組織によって包囲された重層扁平上皮によって覆われ、これによって、涙小管を拡張することが可能となる。図示されるように、涙小管膨大部252は、各々の涙小管湾曲250の外端の近傍に存在する。
【0009】
眼の薬剤輸送の領域では、患者および医者は様々な課題に直面している。特に、治療のそれぞれの特性(複数の注入、一日につき複数の目薬の点眼)、関連するコスト、患者の服薬順守の欠如は、利用できる治療の効能に顕著に影響を与えることがあり、視力の低下および多くの場合には失明につながる。
【0010】
例えば、目薬の点眼など、投薬の上での患者の服薬順守は、不安定であり得、ある場合には、指示された処方計画に患者が従わないこともある。服薬順守の欠如は、目薬点眼の失敗、無効になるような技術(必要量未満の点眼)、目薬の過度の使用(全身性の副作用につながる)、および非処方の目薬の使用または複数種類の目薬を必要とする処方計画に従う上での失敗を含み得る。薬剤のうちの多くは、一日に四回まで、患者に点眼を要求することがある。
【0011】
眼の薬剤輸送に対する一つの将来有望なアプローチは、眼に薬剤を局所的に放出する、眼上または眼の近傍に配置された非侵襲的(例えば、非外科的)移植片の利用である。これらの移植片は、涙小管内(その垂直部分および/もしくは水平部分)または眼の眼表面上(例えば、瞼下もしくは角膜上の結膜組織)に配置されることができる。このアプローチは、目薬に対していくつかの改良点を提供することができるが、涙点プラグ移植片を用いるこのアプローチのいくつかの潜在的な問題は、所望の組織位置における移植片の配置、所望の組織位置での移植片の保持、および長期間の間の所望の治療レベルにおける薬剤の持続的な放出を含み得る。
【0012】
涙点プラグ涙腺移植片、特に、露出された近位端など、涙液と接触する表面から薬剤を溶離するそれらにおける具体的な一つの問題は、涙点にそれらを挿入することが困難なことである。涙点プラグは、涙小管内で少なくとも部分的に適合するように構成され、その微小な寸法により、ツールの補助なしで扱うことが困難である。それらは、また、鉗子またはピンセットで管理されることができない方向に向けることが困難でもあり得る。涙小管の寸法および形状は均一ではなく、移植片の保持を向上するために、ある移植片は、涙小管の特有の形状に基づいて設計されており、ある方向または構成で配置されなければならない。それらの涙点プラグの配置は、最終利用者によって扱うことが容易であり、かつ、涙点プラグの正確な配置および方向付けを容易にする挿入ツールを必要とする。
【0013】
上記に照らして、上述の欠点のうちの少なくともいくつかを克服する、涙腺移植片用の改良された挿入および/または引抜ツールを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0014】
例示的一実施形態においては、本発明は、挿入ツールと、眼病を治療するためのシステムと、当該挿入ツールを用いて、涙腺移植片を配置するための方法と、を提供する。実施形態においては、挿入ツールは、涙腺移植片の穴内に配置するように構成された、遠位端における静的ピンと、挿入具チップの近位端においてハンドルを受けるための機械的結合とを含む挿入具チップと、ハンドルの遠位端において挿入具チップに、ハンドルの近位端においてプランジャに結合されたハンドルと、を含み、プランジャは、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。実施形態においては、ハンドルは、ハンドルの管腔内にばねおよびねじを含み、挿入具チップの近位端は、ハンドルの遠位端の管腔内で締まりばめを介して配置され、固定されるように構成される。プランジャは、ハンドルの管腔内で滑動し、ばねとかみ合い、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。
【0015】
実施形態においては、挿入ツールは、挿入具チップの静的ピンに結合された涙腺移植片をさらに含む。実施形態においては、涙腺移植片は、第一の軸を画定し、第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、涙小管に伸びるように構成される第一の部材と、第二の軸を画定し、第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、涙小管の垂直部分に存在し、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口の外へ伸びるように構成される第二の部材と、治療薬コアを収容するように構成された空洞であって、第二の軸に沿って第二の部材に伸びる空洞と、角度を有する交差部を形成するために、第一の部材の第一の端部と第二の部材の第二の端部とを第一の角度で接続する第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定し、上面を有する穴を含む第三の部材と、を含み、穴は、移植片の挿入を容易にするための挿入具チップの静的ピンに対してアクセス可能であるように構成され、上面から第三の部材に伸び、さらに、第一の角度は、第二の軸に対して第一の軸によって画定され、第二の角度は、第三の軸に対して第一の軸によって画定され、第一の角度は、30度から150度であり、第二の角度は、15度から90度である。
【0016】
実施形態においては、挿入具チップは、眼病または眼の不調の治療用のシステムを提供する涙腺移植片に結合される。実施形態においては、システムは、無菌包装をさらに含む。実施形態においては、システムは、涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された、遠位端における静的ピンと、挿入具チップの近位端においてハンドルを受けるための機械的結合とを含む挿入具チップと、挿入具チップの静的ピンに結合された涙腺移植片とを含む。実施形態においては、システムは、ハンドルの遠位端において挿入具チップに、ハンドルの近位端においてプランジャに結合されるハンドルをさらに含み、プランジャは、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。ハンドルは、ハンドルの管腔内にばねおよびねじを含み、挿入具チップの近位端は、プランジャおよびハンドルに対して抵抗を与えるために、ねじの頭部周囲に配置されるように構成される。実施形態においては、プランジャは、ハンドルの管腔内で滑動し、ばねとかみ合い、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。
【0017】
実施形態においては、挿入ツールは、対象者の涙点および涙小管内に涙腺移植片を配置するために用いられ、涙腺移植片と挿入具チップとを含むシステムをハンドルに結合することであって、ハンドルは、ハンドルの遠位端で挿入具チップに結合され、ハンドルは、ハンドルの近位端にプランジャを含み、プランジャは、(挿入ツールと涙腺移植片の除去または切り離し後に)ハンドルから挿入具チップを解放するか、または廃棄するように構成される、ことと、涙点内に涙腺移植片を配置することと、涙腺移植片から挿入具チップを切り離すことであって、静的ピンは、挿入ツールから機械的力なしで解放されることを含む。実施形態においては、涙腺移植片に結合されたピンは静的であり、涙腺移植片からハンドルを徐々に引き出すことによって、涙腺移植片の穴内で、ピンの締まりばめからピンを解放するために、ユーザによって力がかけられる。実施形態においては、涙腺移植片は、
図3から
図6に表される涙点プラグである。それらの涙腺移植片は、その特有の設計によって、涙点内に良好に保持され、挿入ツールのハンドルで徐々に引き出すことは、涙点から涙点プラグを移動させることがない。即時的な挿入ツールは、涙小管の垂直区域および水平区域の双方に静置された少なくともL字形状(例えば、第一部材および第二部材)と、涙小管膨大部に適合する尾部(例えば、第三の部材)とを含む、それらのプラグと用いられるように設計される。
図2を参照されたい。それらのプラグの設計は、4週間にわたって、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の涙点内での保持率を提供する。
図12において、参照によって本明細書に組み入れられた米国特許整理番号9,610,271号を参照されたい。
【0018】
様々な実施形態においては、本発明は、本発明の移植片と、涙点に移植片を挿入するための挿入ツールとを有するキットを含む。
【0019】
一つ以上の涙点移植片を用いて眼病を治療する方法も提供される。
【0020】
本明細書に開示されたこれらのおよび他の実施形態、利点および、方法の態様は、以下の詳細な記述で部分的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面においては、類似の参照番号は、幾つかの図面全体を通じて類似の構成要素を記述する。異なる添え字を有する類似の参照番号は、類似の構成要素の異なる実施例を表す。図面は、本明細書に開示された様々な実施形態を例示として、限定するわけではなく一般的に図示するものである。
【0022】
【
図1】涙腺移植片が用いられることができる適切な環境を提供する、眼に関連する解剖学的組織構造と、これらの組織構造のうちのある構造の一例を図示する。
【
図2】涙腺移植片が用いられることができる適切な環境を提供する、眼に関連する解剖学的組織構造と、これらの組織構造のうちのある構造の別の例を図示する。
【
図3A】本発明の一実施形態による、移植片の透視図を提供する。
【
図3B】本発明の一実施形態による、移植片の側面図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による移植片の第二の部材と第三の部材とを図示する側面図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による、移植片の裏面図である。
【
図3E】本発明の一実施形態による、穴を有する移植片を図示する、
図3Dの線III(E)-III(E)で描かれた断面図である。
【
図3F】本発明の一実施形態による、移植片の第二の部材と、第三の部材と、第三の部材に形成された穴と、を図示する、円III(F)で描かれた
図3Eの部分拡大図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、移植片の透視図を提供する。
【
図4B】本発明の一実施形態による、第二の部材に形成された空洞を有する移植片を図示する断面図である。
【
図4C】本発明の一実施形態による、移植片の第二の部材内の空洞と、第三の部材内の穴とを図示する、
図4Bの円IV(C)で描かれた部分拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、移植片の部分断面図を提供する。
【
図6】本発明の別の実施形態による、移植片の部分断面図を提供する。
【
図7】本発明の一実施形態による、静的挿入ツールと、移植片とのかみ合いの一実施例を提供する。
【
図9】涙腺移植片に結合された挿入具チップと、静的ピンとの図を提供する。
【
図10】挿入ツールのハンドルに結合された挿入具チップの図を提供する。
【
図11】挿入ツールの図を提供し、挿入具チップはハンドルに結合される。
【
図12】挿入具チップの静的ピンに結合された涙腺移植片と、ハンドルと、挿入具チップおよびハンドルの結合の図を提供する。
【
図13】パッケージ内のシステム(涙腺移植片に結合された挿入具チップ)と、挿入具チップがパッケージ内にあるときの、ハンドルと、挿入具チップおよびハンドルの結合の図を提供する。
【
図14】涙腺移植片に結合された挿入具チップと静的ピンとの図を提供する。
【
図15】パッケージ内に配置された涙腺移植片に結合された挿入具チップと静的ピンとの図を提供する。
【
図16】涙腺移植片に結合された挿入具チップと静的ピンとの図を提供する。
【
図17】挿入具チップの近位端の拡大図を提供する。
【
図18】挿入具チップの遠位端と静的ピンとの拡大図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の例示的一実施形態においては、構成物、当該構成物を用いるキットおよび方法が提供される。本明細書には、対象者の涙点および涙小管に涙点プラグ涙腺移植片を配置するための挿入ツールが提供される。以下により詳細に記述される涙腺移植片は、保持率や、薬剤コアを保持するのに十分な大きさの空洞および/または貯蔵部など、市販の涙点プラグの多数の制限を克服するように開発された。本発明の涙腺移植片の改善された保持率は、涙点プラグにおける多数の傑出した特徴によるものであり、その特徴は、涙小管にプラグを誘導する長い脚部(305)、涙点の外へプラグが滑り落ちないようにする涙小管膨大部内に配置するための大きい尾部(380)、涙管にプラグが滑り出すのを防ぐ大きな笠部(密封構成要素340)を含む。
図3-
図6を参照されたい。これらの特徴は、涙腺移植片の保持を改善するが、また、涙点内に涙点プラグを配置することをさらに困難にし、配置中に臨床医を支援するために、挿入ツールの使用を余儀なくする。これは、最も市販されている涙点プラグ挿入具が、本発明の薬剤コアを収容する穴(例えば、458)を使用するために設計されているという事実によってさらに複雑にされる。したがって、挿入ツールに涙点プラグを取り付けるための代替的な配置は、本発明のプラグ設計に組み込まれた。
図6および本発明の挿入ツールの静的ピン用の穴を画定する385を参照されたい。即時的な涙腺移植片は、挿入具のピンを収容するように設計されたプラグの尾部内の穴を含む。
図9、
図12および
図14を参照されたい。
【0024】
本発明の静的ピン涙点プラグ挿入具は、挿入具チップの遠位端に静的ピンを含み、対象者の涙点に挿入中、涙点プラグを保持し、操作するためのユーザの能力を改善するように構成される。実施形態においては、挿入具は、使い捨てのチップおよびハンドルを有する二部品設計である。
図12および
図13を参照されたい。ある実施形態においては、ハンドルは、再利用可能であり、他の実施形態においては、ハンドルは使い捨てである。ある実施形態においては、挿入具チップは、遠位端に静的ピンを含み、近位端に、挿入ツールのハンドルの遠位端に適合する部品を含む。
図8を参照されたい。静的ピンは、配置用に構成され、涙腺移植片の穴に適合する。
図6の385を参照されたい。
【0025】
実施形態においては、涙腺移植片は、挿入具チップの静的ピンに結合され、固いトレー内に包装され、アルミニウムラミネートまたはTyvek蓋で熱融着されることができる。
図15を参照されたい。製品は、その後、電子ビームまたはガンマ放射、酸化エチレンまたは蒸気などで最終的に無菌化される。実施形態においては、ハンドルは、個別のパッケージで提供される。
【0026】
実施形態においては、使用方法は、挿入具チップに結合された涙点プラグを含むパッケージを開封することと、その後、挿入具チップにハンドルを取り付けることとを含む。
図12、
図13、および
図16を参照されたい。実施形態においては、挿入具チップは、そのパッケージから涙点プラグを最初に取り出す必要なく、ハンドルに取り付けられることができる。挿入具チップおよびハンドルが結合されると、ユーザは、その後、対象者の涙点内に移植片を配置することができる。代替的実施形態においては、静的挿入具は、一部品として提供され、涙点プラグは、無菌パッケージで個別に提供される。この例においては、静的挿入具は、再利用可能か、使い捨てのいずれかであってもよい。他の実施形態においては、ハンドルに結合された挿入具チップに結合された涙腺移植片を含むパッケージが提供される。
【0027】
実施形態においては、遠位端に、涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された静的ピンと、挿入具チップの近位端でハンドルを受けるための機械的結合とを含む挿入具チップと、ハンドルの遠位端で挿入具チップに、ハンドルの近位端でプランジャに結合されたハンドルと、を含む挿入ツールが提供され、プランジャは、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。
図7および
図11を参照されたい。実施形態においては、ハンドルは、ハンドルの管腔内に、ばねおよびねじを含む。
図7を参照されたい。実施形態においては、プランジャはハンドルの管腔内で滑動し、ばねとかみ合い、ハンドルから挿入具チップを解放するように構成される。実施形態においては、挿入具チップおよびハンドルは、締まりばめを介して結合される。
【0028】
実施形態においては、挿入具チップは、遠位端に微細な静的ピンを有する、円錐形状の第一部分を有する。実施形態においては、挿入具チップは、可動部品のない一体型である。涙腺移植片は、ピンに結合されることができ、締まりばめで固定される。円錐形状は、ピンからハンドルへの直径の移行として機能することができる。実施形態においては、挿入具チップの近位端は、ハンドルの遠位端に挿入具チップを取り外し可能なように取り付けるための保持機構を含む。実施形態においては、保持機構は、ハンドルの管腔内でねじまたはピンにぴったりと適合し、結合するように構成される。代替的実施形態においては、挿入具チップは、締まりばめを介してハンドルに結合され、ねじ/ばね/プランジャ構成は、ハンドルからチップを取り外すために使用される。
【0029】
実施形態においては、挿入具チップは、使い捨てであり、涙腺移植片が対象者の涙点内に配置されると、チップはハンドルから取り出されるか、取り外されることができる。実施形態においては、挿入ツールは、ハンドルから挿入具チップを取り出すための、ばね留めのボタンまたはプランジャを含む。
図7を参照されたい。代替的実施形態においては、挿入具チップは、ハンドルに永久的、または一時的に取り付けられてもよく、チップは、再利用可能であり、一回の使用後には廃棄されない。実施形態においては、挿入ツールが完全に組み立てられると、挿入具チップには、動く部品または可動部品はない。実施形態においては、挿入具チップのピンは、静的であり、挿入ツールの可動部品ではない。本発明の涙腺移植片の設計によって、涙点プラグが対象者の涙点内に配置されると、ユーザは、移植片が対象者の涙小管内にしっかりと配置されたままで、機械的力なしで静的挿入具を除去することができる。涙点プラグの特有の設計は、締まりばめを介して、涙点内にしっかりと配置されたままであり、それによって、涙点プラグから挿入ツールを分離するために、挿入ツールをユーザが引き出すことを可能とする。
【0030】
図7は、涙点を通して、対象者の涙小管内へ涙腺移植片を配置するために使用されることができる静的挿入ツールの実施形態を図示する。実施形態においては、挿入ツールは、静的ピンを有する取り外し可能な挿入具チップを含み、ピンは、涙腺移植片の穴に適合するように構成される。実施形態においては、挿入ツールは、ハンドルから挿入具チップを取り外すためのばね留めのボタンまたは機構を含む。
【0031】
また、様々な眼病および不調を治療するために、本発明の方法で使用する涙腺移植片の例示的構造が、本明細書に開示される。例示的構造は、涙点を通して、その関連する涙小管に少なくとも部分的に挿入するための涙腺移植片を含む。様々な実施形態は、涙点に涙腺移植片を配置するための挿入ツールをさらに含む。また、本明細書には、デバイス全体を通じて、デバイスの一つ以上の部分内に、または例えば、局所化された治療薬コアなどの治療薬コア内に、組み込まれた治療薬を含む例示的な移植片が開示される。本発明のデバイスは、様々な疾病を治療するために有用である。
【0032】
本発明の方法の様々な実施形態においては、本発明の涙腺移植片を涙点を通して、関連する涙小管に配置することは、様々な実施形態においては、そこを通じて、涙が流れることを抑制または阻害する。様々な実施形態においては、涙が流れることを抑制または阻害するデバイスは、ドライアイを治療するのに有用である。例示的一実施形態においては、涙腺移植片の挿入は、治療薬の送達を可能とする。様々な実施形態においては、送達は、持続的な送達(徐放)である。本発明の移植片に組み込まれた例示的な治療薬は、眼を治療するために有用であるか、または全身的な療法としてより広範囲で有用とすることができる。例えば、本発明のデバイスを使用して、治療薬は、鼻腔、内耳系、または様々な疾病の治療用の他の経路もしくは系に送達され、様々な疾病は、眼の感染症、眼の炎症、緑内障、他の眼病、他の眼の不調、副鼻腔疾患もしくはアレルギー性不調、めまいもしくは片頭痛を含むが、そのいずれにも限定はされない。本発明のデバイスは、効能を有する量で一つ以上の治療薬を全身的に送達するうえで有用である。実施形態においては、本発明の涙腺移植片は、眼に対する効能を有する量で、一つ以上の治療薬を局所的に送達するうえで有用である。
【0033】
本発明の以下の詳細な説明は、単に例示的なものであって、如何なる場合でも限定することを意図されないことを当業者は理解するであろう。本発明の他の実施形態は、本開示の利益を有するこのような当業者にそれら自体を容易に示唆するだろう。添付の図面に図示されるような本発明の実装への言及が詳細にここでなされるだろう。同一の参照記号は、同一、または類似の部分を参照するために、図面および以下の詳細な説明の全体を通じて使用されるだろう。
【0034】
[定義]
本明細書で用いられるように、“一つ(a)”または“一つ(an)”という用語は、特許文書で一般的なように、如何なる他の例または“少なくとも一つ(at least one)”もしくは“一つ以上(one or more)”の使用とは関係なく、一つ、または二つ以上を含むように用いられる。
【0035】
本明細書で用いられるように、“または(or)”という用語は、そうでないと特筆されない限りは、非排他的であるように、または、“AまたはB(A or B)”が“BではなくA(A but not B)”、“AではなくB(B but not A)”ならびに“AおよびB(A and B)”を含むように言及するために用いられる。
【0036】
本明細書で用いられるように、“約(about)”という用語は、明記された量に対して大体等しい、近傍である、ほとんど等しい、ほぼ等しい、または、等しい量を指すために用いられ、例えば、明記された量の+/-約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%である。
【0037】
本明細書で用いられるように、“軸(axis)”という用語は、そこに沿って部材が伸びる大体の方向を指す。この定義によれば、部材は、軸に対して、全体として、または部分的に対照的であることは必要なく、軸の方向に沿って直線である必要もない。したがって、この定義の文脈においては、本出願で開示された、軸によって特徴づけられた如何なる部材も、対照的または直線構造に限定はされない。
【0038】
本文書においては、“近位(proximal)”という用語は、涙点プラグまたは涙腺移植片と組み合わせて用いられるとき、眼の膜膜に対して比較的より近い位置を指し、“遠位(distal)”という用語は、角膜から比較的より遠い位置で、涙小管内により深くに挿入されていることを指す。対照的に、“近位”という用語は、挿入ツールと組み合わせて用いられるとき、ユーザに対して比較的より近い位置、例えば、挿入具チップから最も離れたハンドルの端を指し、“遠位”という用語は、ユーザから比較的より遠い位置、例えば、挿入具チップを指す。
【0039】
添付の請求項においては、“含む(including)”および“in which”という用語は、それぞれ、用語“含む(comprising)”および“wherein”の平易な英語の均等物として用いられる。また、以下の請求項においては、“including”および“comprising”という用語は、オープンエンドであり、すなわち、請求項でこのような用語の後に記載されたものに加えて、構成要素を含むシステム、アセンブリ、デバイス、態様またはプロセスは、当該請求項の範囲内にあるとやはりみなされる。さらに、以下の請求項においては、“第一の(first)”“第二の(second)”および“第三の(third)”などの用語は、単にラベルとして用いられるものであって、それらの対象に対して数字的な要件を課すことを意図するものではない。
【0040】
本明細書で用いられるように、“実質的に構成される(consisting essentially of)”という句は、構成物の基本的および新規の特徴に著しく影響を与えないような、特定の材料またはステップおよび追加的で、定義されていない構成要素に対して、構成物を限定する。
【0041】
本明細書で用いられるように、“継続的な(continuous)”または“継続的に(continuously)”という用語は、実質的に切れ目がない、または途切れないことを意味する。例えば、継続的に投与される活性薬剤は、実質的に中断なく、ある期間にわたって投与される。
【0042】
本明細書で用いられるように、“直径(diameter)”という用語は、広い意味を包含する。例えば、円形断面を有する部材に対して、“直径”という用語は、従来の意味を有し、円周上の二点をつなぐ円の中心を通る直線を指す。断面が円形ではないときには、本開示における“直径”という用語は、断面の特徴的な直径を指す。“特徴的な直径(characteristic diameter)”とは、構成要素の断面と同一の表面積を有する円の直径を指す。本出願においては、“直径”とは、“特徴的な直径”と入替可能である。
【0043】
本明細書で用いられるように、“眼(eye)”という用語は、眼に関連付けられるあらゆる、およびすべての解剖学的組織および構造を指す。眼は、外側の強膜、中間の脈絡膜、および内側の網膜の三層を有する壁を有する球構造である。強膜は、内側の層を保護する固い繊維状のコーティングを含む。それは、前面における透明な領域、角膜を除いてほぼ白色であり、それによって、眼に光が入射することを可能とする。強膜の内側に位置する脈絡膜は、多数の血管を含み、色素性の虹彩として、眼の前面で改質される。両凸レンズは、瞳孔のちょうど背後に位置する。レンズの背後のチャンバは、硝子体液、ゼラチン状物質で満たされる。前方および後方のチャンバは、角膜と虹彩との間にそれぞれ位置し、眼房水で満たされる。眼の後ろには、光検出網膜がある。角膜は、眼の後面に画像を伝達する、光学的に透明な組織である。それは、血管組織を含み、血管組織には、栄養分および酸素が角膜と強膜との間の接合を覆う血管からと、涙液と眼房水とで浸すことを介して供給される。角膜は、眼に薬剤を浸透させるための一つの経路を含む。分泌系、分配系、および排出系を含む涙腺排出器官を含む眼に関連する他の解剖学的組織構造。分泌系は、瞬きや涙の蒸発による温度変化によって刺激される分泌細胞と、輸出性副交感神経供給を有し、物理的または感情的な刺激に応じて、涙を分泌する反射分泌細胞とを含む。分配系は、瞼と、開いた眼の瞼周囲の涙半月部とを含み、これらは、瞬きによって眼表面上に涙を広げ、それによって、乾燥領域が広がることを軽減する。
【0044】
本明細書で用いられるように、“移植片(implant)”という用語は、本文書や、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許公報2013/0053794号、米国特許整理番号8,333,726号、および米国特許公報2010/0274204号などで開示されるようなものなど、例えば、薬剤コアまたは薬剤マトリクスを介して、薬剤を含むか、または薬剤で飽和されるように構成することができる構造を指す。“移植片”、“プラグ(plug)”、“涙点プラグ(punctal plug)”、および“涙点移植片(punctal implant)”という用語は、本明細書では、類似の構造を指すことを意味する。同様に、“移植片本体(implant body)”、“プラグ本体(plug body)”という用語は、本明細書では、類似の構造を指すことを意味する。本明細書で記述される移植片は、対象者の涙点に、または涙点を通して涙小管に挿入されてもよい。移植片は、また、薬剤コアまたは薬剤マトリクスをそれ自体に含むことがあり、これらは、涙点移植片オクルダなどのキャリア内に収容されることなく、涙点に挿入するために構成され、例えば、ポリマー構成要素およびラタノプロストもしくは他の眼内圧降圧治療薬構成要素を包囲する追加構造なしで、ポリマー構成要素および治療薬構成要素を有する。
【0045】
本明細書で用いられるように、“涙点(punctum)”という用語は、涙湖の横方向の先端における眼瞼辺縁でみられる、涙小管の終端における開口部を指す。涙点(複数の涙点)は、涙腺によって生成される涙を再吸収するように機能する。涙腺排出系の排出部は、流動と排出のために、涙点、涙小管、涙嚢、および涙管を含む。涙管からは、涙および他の流動性物質が鼻涙系の経路に流れ出す。涙小管は、上部(上位)涙小管と、下部(下位)涙小管とを含み、これらは、それぞれ、上部涙点および下部涙点にて終端する。上部涙点および下部涙点は、結膜嚢近傍の睫毛と涙腺部分との接合において、眼瞼縁の中央端においてわずかに上昇する。上部涙点および下部涙点は、組織の連結環によって包囲された、ほぼ円形またはわずかに楕円形の開口である。涙点の各々は、涙嚢の入り口で互いに接合するために、涙小管の湾曲においてより水平方向に曲がる前に、そのそれぞれの涙小管の垂直部分につながる。涙小管は、ほぼ管状の形状であり、弾性組織によって包囲された重層扁平上皮によって覆われ、これによって、涙小管を拡張することが可能となる。
【0046】
“対象者(subject)”および“患者(patient)”という用語は、ほ乳類などの動物を指し、霊長類(例えば、ヒト)、牛、羊、山羊、馬、犬、猫、ウサギ、ラット、およびマウスなどを含むがそれらに限定されない。多くの実施形態においては、対象者または患者は、ヒトである。
【0047】
[挿入ツール]
図7-
図13は、本発明の涙点プラグ静的ピン挿入ツールの例示的実施形態を図示する。
図7を参照すると、例示的挿入ツール700は、ピン702の接合と、涙点への涙腺移植片の挿入とを通じて、本発明の移植片760とかみ合うように図示される。涙腺移植片は、以下に開示される例示的実施形態、その変形、または任意の類似の構造を含む。
【0048】
図7は、挿入具チップ701、ねじ703、ばね704およびハンドル705を含む挿入ツール700を図示する。挿入具チップは、涙点プラグ760の穴385内に配置するために構成される静的ピン702を遠位端に含む。実施形態においては、挿入ツールは、ピン702を動かすための機構を含まない。挿入具チップ701は、ハンドル705の遠位端へ向かってカチッと閉まるか、またはロックする近位端をさらに含む。実施形態においては、スナップまたはロック機構は、ハンドル705とチップ701との間の締まりばめである。実施形態においては、挿入具チップ701の長さは、約0.75インチから1.5インチであり、ハンドル705との取り付け後の挿入具チップの長さは、約0.5インチから1.25インチである。実施形態においては、挿入具チップ701の直径は変化し、約0.5インチから0.1インチの最大直径から、遠位端におけるピン702に向かって、先細りする。
【0049】
ハンドル705は、遠位端におけるハンドルに対する内部に、ねじ703およびばね704を含み、プランジャ706を近位端に含む。プランジャおよびばねは、プランジャが押し下げられるとき、挿入具チップを解放するか、または取り出すように構成される。ハンドルの長さは変化することができ、ユーザの手に快適に適合するように構成される。実施形態においては、ハンドル705の長さは、3.75インチから5.5インチであり、プランジャ706をハンドルの近位端に含む。
【0050】
実施形態においては、
図13-
図18は、挿入具チップ、ハンドル、および挿入具チップの静的ピンに結合され得る涙腺移植片の様々な図を図示する。実施形態においては、挿入具チップは、生体適合性ポリマーで製造され、含む。実施形態においては、挿入具チップは成型され、固体または実質的に固体であり得る可動部はない。挿入具チップを製造するために用いられる材料の密度は、変化してもよく、ハンドルへの挿入具チップの締まりばめを向上するために選択されてもよい。実施形態においては、ハンドルは、挿入具チップと同一の材料または異なる材料で製造される。例示的実施形態においては、挿入具チップおよびハンドルは、異なる材料またはポリマーで製造され、含む。
【0051】
[涙腺移植片]
図3-
図6は、本発明の方法で使用する涙腺移植片の例示的実施形態を図示する。例示的移植片は、涙点212、214を通して、関連する涙小管208、210に挿入可能である。本発明で使用する例示的涙腺移植片は、
図3Aで図示されるような第一の部材305、第二の部材310、および第三の部材もしくは尾部330などの、第一の部材と第二の部材と尾部とを含む。例示的涙腺移植片は、例えば、
図3Aにおける第三の部材もしくは尾部330内に形成された穴385などの、尾部内に形成された穴をさらに含む。いくつかの実施形態においては、例示的涙腺移植片は、空洞458(例えば、
図4Aに図示された涙腺移植片)をさらに含む。
【0052】
図3Aを参照すると、本方法で使用する例示的涙腺移植片300の透視図が図示され、第一の部材305が第一の軸Aによって特徴づけられ、第二の部材310が第二の軸Bによって特徴づけられる。
【0053】
第三の部材もしくは尾部330は、第一の部材305と第二の部材310とを第一の角度θ
1で接続するように構成され、ここで、θ
1は、第二の軸Bに対して第一の軸Aによって画定される。例えば、
図3Aにおいて、第一の角度θ
1は、第一の軸Aにおいて開始し、第一の軸Aから第二の軸Bに向かって反時計回りに回転する角度を指す。いくつかの実施形態においては、第一の軸Aおよび第二の軸Bは、同一平面内にあり、互いに交差する。いくつかの実施形態においては、第一の軸Aは、第二の軸Bの平面とは異なる平面内にあり、第一の軸Aおよび第二の軸Bは交差しない。このような実施形態においては、第一の角度θ
1は、第二の軸Bに対して、第一の軸Aの平行線によって画定される角度を指す。この第一の軸Aの平行線は、第二の軸Bと同一平面内にあり、第二の軸と交差する。
【0054】
いくつかの実施形態においては、第一の角度θ1は、約30度から約150度、約45度から約135度、または約75度から約105度である。例えば、いくつかの実施形態においては、第一の角度θ1は、約90度である。
【0055】
いくつかの実施形態においては、第一の軸に沿った移植片の全体の寸法は、約4mmから約8mmである。例示的一実施形態においては、第一の軸に沿った全体の寸法は、約5mmから約7mmである。様々な実施形態においては、第一の軸に沿った全体の寸法は、約6.3mmである。
【0056】
様々な実施形態においては、第二の軸Bに沿った全体の寸法は、約1mmから約3mmであり、例えば、約1.2mmから約1.9mmである。
【0057】
いくつかの実施形態においては、第一の軸に沿った全体の寸法は約6.3mmであり、第二の軸に沿った全体の寸法は約1.2mmである。様々な実施形態においては、第一の軸に沿った全体の寸法は約6.3mmであり、第二の軸に沿った全体の寸法は約1.9mmである。いくつかの実施形態においては、第一の軸に沿った全体の寸法は約4.8mmであり、第二の軸に沿った全体の寸法は約1.9mmである。
【0058】
[第一の部材305]
いくつかの実施形態においては、第一の部材305は、涙小管に伸びるように構成され、一方、第二の部材310は涙小管の垂直部分220、222内にあって、関連する涙点の開口へと延びるか、または関連する涙点の開口の外へと延びるように構成される。このような構成の涙腺移植片300が涙小管に挿入されるとき、第一の軸Aおよび第二の軸Bの交差部は、
図2における涙小管湾曲250など、概して涙小管の湾曲にある。いくつかの実施形態においては、第一の部材305および第二の部材310は、第一の角度で接続され、その角度は、少なくとも約45度であり、それによって、第一の部材と第二の部材との間の角度を有する交差部を形成する。様々な実施形態においては、涙腺移植片300が涙小管内に配置されるとき、角度を有する交差部の少なくとも一部は、涙小管の涙小管湾曲に対して傾いている。この実施形態においては、涙腺移植片300は、移植された涙腺移植片300の保持を容易にするために、解剖学的構造を使用する。
【0059】
図3Bは、本発明の例示的涙腺移植片300の側面図を示す。いくつかの実施形態においては、第一の部材305は、前方片とチップ断片との間に、中間断片315と、チップ断片もしくはチップ325と、前方断片320とを含む。中間断片315は、第三の部材もしくは尾部330によって、第二の部材310に接続されるように構成され、チップ断片もしくはチップ325は、第一の部材305の他の二つの断片に対してよりも前に、ならびに涙腺移植片300の他の部材に対してよりも前に、涙点を通って挿入されるように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態においては、中間断片315、前方断片320、およびチップ断片もしくはチップ325は、ほぼそれらの形状によって、互いに区別することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、中間断片315は、ほぼ円柱形状を有し、その直径は、チップ断片もしくはチップ325の直径よりも大きい。様々な実施形態においては、前方断片320が一端で中間断片315と接続し、他端でチップ断片もしくはチップ325と接続するように、前方断片320は、先細りであり、円錐形状を有する。いくつかの実施形態においては、中間断片315から前方断片320への移行、または前方断片320からチップ断片もしくはチップ325への移行は、区別可能な端部が移行の際に存在しないように段階的かつ滑らかなものである。
【0061】
いくつかの実施形態においては、中間断片315は円柱形状を有する。様々な実施形態においては、中間断片は、円形断面、楕円形断面、または多角形断面を有する。中間断片315は、長さと直径とのあらゆる有用な組み合わせである。
【0062】
いくつかの実施形態においては、中間断片315は、約0.4mmから約0.8mmの直径を有する。例えば、いくつかの実施形態においては、中間断片315の直径は、約0.53mmから約0.63mmである。いくつかの実施形態においては、中間断片315は、約0.5mmから約3.5mmの、第一の軸Aに沿った長さを有する。例えば、いくつかの実施形態においては、中間断片315の長さは、約1mmから約2.8mmである。
【0063】
いくつかの実施形態においては、チップ断片もしくはチップ325は、実質的に半球または半球の一部である。例示的実施形態においては、半球または部分療法は、約0.05mmから約0.3mmの半径を有する。例えば、いくつかの実施形態においては、チップ断片もしくはチップ325の半径は、約0.20mmである。
【0064】
いくつかの実施形態においては、前方断片320は、円錐構造を有し、チップ断片もしくはチップ325に近づくにつれて、中間断片315の直径から先細りする。いくつかの実施形態においては、前方断片320は、短く、急角度で先細りし、それによって、より広いテーパー角度を形成する。前方断片320はまた、長く、かつ、より緩やかに先細りすることがあり、それによって、より狭いテーパー角度を形成する。テーパー角度θ
3は、
図3Eに図示される。いくつかの実施形態においては、テーパー角度θ
3は、約2°から約10°である。例えば、いくつかの実施形態においては、テーパー角度θ
3は、約3.8°から約7.8°である。いくつかの実施形態においては、θ
3は、約7.8°である。いくつかの実施形態においては、前方断片320は、約1mmから約5mmの、第一の軸Aに沿った長さを有する。例えば、いくつかの実施形態においては、前方断片320の長さは、約1.7mmから約3.5mmである。
【0065】
[第二の部材310]
図3Bを参照すると、本発明の方法で使用する移植片のいくつかの実施形態においては、第二の部材310は、第三の部材もしくは尾部330から第二の軸Bの方向にほぼ沿って伸びる直立断片335を含む。様々な実施形態においては、第二の部材310は、第三の部材もしくは尾部330とは逆端において直立断片335に取り付ける、頭部断片340をさらに含む。いくつかの実施形態においては、涙腺移植片300が涙小管内に配置されるときに、頭部断片340は、涙点の外部を包囲する組織と接触する一方、直立断片335が涙小管の垂直部分にあるように、第二の部材310は構成される。
図3A-
図3Fに図示される例示的一実施形態においては、直立断片335は円柱形状を有し、頭部断片340は、楕円または長方形構造を有する。しかしながら、あらゆる他の適切な形状または構造が使用されることができ、本発明の範囲内にあることが理解されるだろう。例えば、様々な実施形態においては、直立断片335は、円錐形であるように構成され、頭部断片340は、円形、楕円形または多角形の断面を有するように構成される。
【0066】
いくつかの実施形態においては、直立断片335は、約0.7mmから約0.9mmの特徴的な直径を有する。例えば、いくつかの実施形態においては、直立断片335の特徴的な直径は、約0.8mmである。
【0067】
いくつかの実施形態においては、直立断片335は、約0.7mmから約1.5mmの、第二の軸B方向における長さを有する。例えば、いくつかの実施形態においては、第二の軸Bの方向に沿った直立断片335の長さは、約0.9mmである。
【0068】
一般的に、頭部断片340は、短軸および長軸によって特徴づけられる断面を有する。短軸および長軸は、断面の最短の特徴的な直径と、最長の特徴的な直径をそれぞれ指す。このように、短軸は、長軸以下である。例えば、いくつかの実施形態においては、頭部断片340が円形断面を有する場合、短軸および長軸は等しい長さである。様々な実施形態においては、頭部断片340は、楕円形または長方形断面を有し、短軸は長軸よりも短い。いくつかの実施形態においては、頭部断片340は、第一の軸Aと平行な方向に延長される。長軸は、第一の部材305の伸長を示し、涙点および涙小管内に涙腺移植片300を配置することを容易にする。いくつかの実施形態においては、長軸は約1.5mmから約2.5mmである。様々な実施形態においては、短軸は、約1mmから約1.5mmである。例えば、いくつかの実施形態においては、頭部断片340の長軸および短軸は、それぞれ約1.9mmと1.3mmである。いくつかの実施形態においては、頭部断片340は、約0.2mmから約0.4mmの、第二の軸方向における厚さを有する。例えば、いくつかの実施形態においては、第二の軸方向における頭部断片340の厚さは、約0.3mmである。
【0069】
図3Bをさらに参照すると、例示的な頭部断片340は、第三の部材もしくは尾部330に直面する下面350と、第三の部材もしくは尾部330から外側を向く外面355とを含む。例示的な頭部断片340は、下面350および外面355を結合する端面345をさらに含む。下面350と外面355との間の距離は、容易に変化することができる。いくつかの実施形態においては、その距離は、約0.2mmから約0.4mmである。
【0070】
いくつかの実施形態においては、外面355は下面350よりも小さく、実質的に平たんである。様々な実施形態においては、端面345は、先細りするか、湾曲するか、角があるか、または多角的である。いくつかの実施形態においては、端面345は、約0.2mmから約0.7mmの曲率半径を有する。いくつかの実施形態においては、下面350はほぼ平坦であり、涙腺移植片300が涙小管内に配置されるとき、涙点を包囲する外部組織と接触するように構成される。
【0071】
[第三の部材もしくは尾部330]
いくつかの実施形態においては、第三の部材もしくは尾部330は、上面360と、下面365と側面370とを含む。図示された実施形態においては、穴385は、上面360から第三の部材もしくは尾部330に延びる。いくつかの実施形態においては、上面360および下面365は、実質的に平たんであり、ある距離によって相互に分離される。このような距離は、容易に可変であり、典型的には、約0.3mmから約0.7mmである。例えば、いくつかの実施形態においては、上面360および下面365は、約0.4mmから約0.6mm(例えば、約0.53mm)の距離によって分離される。いくつかの実施形態においては、上面360は、第二の部材310との交差部を越えて伸びる。いくつかの実施形態においては、上面360は、約0.3から約0.6mmの距離の分、第二の部材310との交差部を越えて伸びる。上面360は、また、側面370とも接合されることができる。様々な実施形態においては、上面360および側面370は、湾曲した交差部380によって接合される。いくつかの実施形態においては、湾曲した交差部380は、約0.04mmから約0.08mmの曲率半径を有する。
【0072】
ここで
図3Dおよび
図3Fを参照すると、いくつかの実施形態においては、第三の部材もしくは尾部330は、第一の部材305に、または第一の部材305の中間断片315に、第三の部材もしくは尾部330を結合するように構成された尾部接続断片375を含む。尾部接続断片375は、平坦または湾曲した構造を含む容易に可変の形状である。
図3Fにおいては、第二の軸Bの方向における尾部接続断片375の幅は、第一の軸Aの方向に沿って変化する。例えば、尾部接続断片375は、第一の部材305の中間断片315の直径よりも、側面370にまたは側面370の近傍に、より小さい幅を有する。いくつかの実施形態においては、中間断片315との交差部または中間断片315との交差部の近傍で、尾部接続断片375は、幅が大きくなって、それにより、
図3Fに図示されたような切欠きを形成する。切欠きは、第一の部材305または第二の部材310にぶつかる前に、第一の軸Aおよび第二の軸Bの双方に沿ってより深くなるか、またはより浅くなるかのいずれかとすることができることが理解されるだろう。
【0073】
切欠きは、本発明の移植片において必要不可欠な機構ではない。いくつかの実施形態においては、尾部接続断片375は、中間断片315の直径と同一の寸法を有する。例えば、第二の軸Bに沿った第三の部材もしくは尾部330の厚さは、第一の部材305の中間断片315の直径と等しい。例えば、いくつかの実施形態においては、第二の軸Bの方向における第三の部材もしくは尾部330の厚さと、中間断片315の直径との双方は、約0.53mmから約0.63mmである。このような構成においては、第三の部材もしくは尾部330は、
図6における代替的な尾部接続断片675によって図示されるように、切欠きを形成することなく、中間断片315と結合する。
【0074】
例示として、
図3A-
図3Fに図示された第三の部材もしくは尾部330は、第一の部材305の第一の軸Aに実質的に平行である。これは、必要不可欠なことではないことが理解されるだろう。いくつかの実施形態においては、第三の部材もしくは尾部330は、第一の軸Aに関して、角度を形成することができる。
【0075】
[穴385]
穴385の例示的構造が
図3Eおよび
図3Fに詳細に示され、ここで、涙腺移植片300の断面図および部分的に拡大された断面図が提供される。穴385は、涙点への涙腺移植片300の挿入を容易にするために、外部挿入ツールのチップまたは他の突起を受けるように構成される。尾部内の穴の寸法、形状、角度(θ
2)、および位置を含む構成は、穴と挿入ツールとのかみ合い、尾部の柔軟性、または涙腺移植片の保持を容易にするために容易に調整可能である。移植片の目的または用途と、尾部を製造するために用いられる材料とに依存して、上述の穴の特徴は、容易に変化する。本明細書に開示された穴385の構成は、例示的なものであって、あらゆる他の適切な構成は、本発明の範囲内にある。
【0076】
図3Fにおいては、例示的な穴385は、第三の軸Cと、第一の角度θ
1と同様の方法で第三の軸Aに対して第一の軸によって画定される第二の角度θ
2とによって特徴づけられる。いくつかの実施形態においては、第二の角度θ
2は、約15°から約90°である。例えば、いくつかの実施形態においては、第二の角度θ
2は、約45°である。
【0077】
いくつかの実施形態においては、穴385は、約0.3mmから約0.7mmの、第三の軸Cの方向に沿った深さを有する。例えば、いくつかの実施形態においては、穴385の深さは、約0.4mmであり、いくつかの実施形態においては、約0.6mmである。穴385は、円形、楕円形、卵型、または多角形の断面を有するほぼ円柱形状の穴シャフト390を含んでもよい。穴385は、穴シャフト390が終端する穴チップ395をさらに含んでもよい。例示的な穴チップ395は、ほぼ半球の構造を有する。いくつかの実施形態においては、穴シャフト390は、約0.1mmから約0.3mmの特徴的な直径を有する。いくつかの実施形態においては、穴の特徴的な直径は、約0.17mmである。理解されるように、本出願で開示された形状、寸法、方向づけは例示的なものであって、あらゆる他の適切な形状、寸法、または方向付けが本出願の範囲内にある。さらに、穴の開口は、第二の部材に対してより近いか、もしくは尾部の端部に対してより近くに配置されることができることが理解されるだろう。
【0078】
[空洞458]
図4A-
図4Cは、涙点212、214を通って、関連する涙小管208、210に挿入することが可能な例示的な涙腺移植片400を図示する。
図4Aにおいては、涙腺移植片400は、様々な眼病、副鼻腔の疾病、または他の疾病の治療用に、眼または周囲組織に放出するための治療薬コアまたは他の物質を収容するように構成された空洞458を含む。
【0079】
図示された例示的実施形態においては、空洞458は、頭部断片340内に形成され、外面355を通る開口を有する。空洞458は、頭部断片340内に留まるように、より浅くすることができる。空洞458は、また、より深くすることもでき、頭部断片340を越えて、直立断片335に伸びることができる。図示された例示的空洞458は、ほぼ、円形断面を有する実質的な円柱形状である。あらゆる他の適切な構成が、本出願の範囲内にある。例えば、いくつかの実施形態においては、空洞458は、先端を断ち切った半球構造を有し、または楕円形もしくは多角形断面を有する円柱構造を有する。
【0080】
いくつかの実施形態においては、空洞458は、約0.2mmから約1.4mmの、第二の軸Bの方向における深さを有する。例えば、いくつかの実施形態においては、空洞458の深さは約1.2mmである。いくつかの実施形態においては、空洞458は、約0.3mmから約0.7mmの直径を有する。例えば、いくつかの実施形態においては、空洞458の直径は、約0.42mmから約0.55mmである。例示的一実施形態においては、空洞458は、直立断片335に伸び、空洞458の直径は、直立断片335の直径よりも小さい。
【0081】
図4Cを参照すると、空洞458は、底部482を含む。様々な実施形態においては、底部482は曲線的である。様々な実施形態においては、曲線の底部は、約0.03mmから約0.07mmの曲率半径を有する。
【0082】
図5は、空洞458の例示的構成を図示する。
図5においては、空洞458は、空洞458の開口に配置された縁部584もしくは他の保持構造を含む。縁部584もしくは他の保持構造は、空洞458を部分的に包囲する、例えば、空洞458の外に治療薬コアまたは他の物質が流出することを防ぐように任意に構成される。いくつかの実施形態においては、縁部584は、外面355から空洞458へ下方に伸び、空洞458の開口の中心に向かって内部に伸びる正方形断面の環である。いくつかの実施形態においては、縁部584は、タブ構造であり、空洞458の開口に内部に伸びる複数の離隔された縁部を含む。縁部584は、下方に約0.02mmから約0.1mm伸び、内部に約0.02mmから約0.1mm伸びてもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、縁部584は、下方または内部に約0.05mm伸びる。
【0083】
[涙腺移植片の形成]
本発明の方法で使用する例示的な涙腺移植片は、プラスチック、ゴム、ポリマー、または複合材料を含む様々な材料で製造される。本発明の例示的な涙腺移植片は、プラスチック、ゴム、ポリマー、複合材料、または他の適切な材料を含む一つ以上の材料から形成される。いくつかの実施形態においては、涙腺移植片は、液状シリコンゴムから形成される。例えば、例示的実施形態においては、涙腺移植片は、NuSil4840液状シリコンゴム、NuSil4870、またはこのような液状シリコンゴムを含む混合物など、市販の材料から形成される。このような混合物の例は、約1%から約5%、例えば、約2%から約4%の6-4800を有するNuSil4840、を含む、6-4800として市販される材料を含む。
【0084】
いくつかの実施形態においては、涙腺移植片は、生分解性材料、例えば、ポリ(ビニルアルコール)などの架橋ポリマーを含む生分解性弾性材料から形成される。いくつかの実施形態においては、涙腺移植片は、シリコン/ポリウレタンコポリマー、シリコン/ウレタン、シリコン/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、およびシリコン/2ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などの、コポリマーを含むことができる。参照によってその全体において本明細書に組み入れられた、2008年9月5日に出願された、“DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS”と題された、共同所有されたUtkhedeらによる米国特許出願整理番号12/231,986号で論じられるように、ウレタンベースのポリマーおよびコポリマー材料は、様々な処理方法を可能にし、相互に良好に結合する。
【0085】
材料の硬さは、涙点およびその関連する涙小管内での涙腺移植片の保持を容易にするか、または変化させるために選択される。したがって、いくつかの実施形態においては、約20Dから約80D、例えば、約30Dから約70D、例えば、約40Dから約60Dのデュロメータ評価値を有する材料が、患者の快適性および保持などのパラメータを調整するために有用である。例えば、いくつかの実施形態においては、涙腺移植片を形成するために用いられる材料のデュロメータ評価値は、約40Dである。明記された範囲内(特に訳40Dである)の涙腺移植片用のデュロメータ評価値を提供する、上記に例示されたもの以外の材料も、また有用である。いくつかの実施形態においては、より硬い材料、またはより柔らかい材料が、涙腺移植片全体またはその一部に対して使用される。このような場合には、涙腺移植片は、約70Dのデュロメータ評価値を提供する材料から形成される。
【0086】
いくつかの実施形態においては、本発明の方法で使用する涙腺移植片は、複数の材料で形成され、涙腺移植片のある部材、または涙腺移植片の一部は、異なる特性を有する材料で形成される。例えば、いくつかの実施形態においては、第一の部材305は、より硬いデュロメータ評価値の材料で形成され、一方、第二の部材310は、より柔らかいデュロメータ評価値の材料で形成される。いくつかの実施形態においては、第一の部材305は、より柔らかいデュロメータ評価値の材料で形成され、一方、第二の部材310は、より硬いデュロメータ評価値の材料で形成される。いくつかの実施形態においては、第三の部材もしくは尾部330は、第二の部材310の残部の一つ以上の部分よりも硬いデュロメータ評価値の材料で形成される。様々な実施形態においては、第三の部材もしくは尾部330は、第二の部材310の残部よりも柔らかいデュロメータ評価値の材料で形成される。
【0087】
本発明で使用する例示的移植片は、当該技術分野で周知の方法によって形成されることができ、その方法は、所望の形状および寸法に対象物を機械加工することと、移植片を形成する材料を成型することとを含むが、そのいずれにも限定はされない。
【0088】
移植片は、長時間の間、ラタノプロストまたは他の眼内圧降圧治療薬を放出する、任意の数の異なる設計のうちの一つとすることができる。以下の特許文書の開示は、本発明の実施形態の方法で使用するための例示的移植片の構造または処理、当該移植片の製造方法を記述しているが、その全体において、本明細書に参照によって組み入れられる。米国出願整理番号60/871,864号(2006年12月26日出願、Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Thrapyと題される);米国出願整理番号11/695,537号(2007年4月2日出願、Drug Delivery Methods, Structures, and Compositions for Nasolacrimal Systemと題される);米国出願整理番号12/332,219号(2008年12月10日出願、Drug Delivery Methods, Structures, and Compositions for Nasolacrimal Systemと題される); 米国出願整理番号60/787,775号(2006年3月31日出願、Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapyと題される);米国出願整理番号11/695,545号(2007年4月2日出願、Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapyと題される);
米国出願整理番号60/585,287号(2004年7月2日出願、Treatment Medium Delivery Device and Methods for Delivery of Such Treatment Mediums to the Eye Using Such a Delivery Deviceと題される);米国出願整理番号11/571,147号(2006年12月21日出願、Treatment Medium Delivery Device and Methods for Delivery of Such Treatment Mediums to the Eye Using Such a Delivery Deviceと題される);米国出願整理番号60/970,696号(2007年9月7日出願、Expandable Nasolacrimal Drainage System Implantsと題される);米国出願整理番号60/974,367号(2007年9月21日出願、Expandable Nasolacrimal Drainage System Implantsと題される);米国出願整理番号60/970,699号(2007年9月7日出願、Manufacture of Drug Cores for Sustained Release of Therapeutic Agentsと題される);米国出願整理番号60/970,709号(2007年9月7日出願、Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Deliveryと題される);米国出願整理番号60/970,720号(2007年9月7日出願、 Manufacture of Expandable Nasolacrimal Drainage System Implantsと題される);米国出願整理番号60/970,755号(2007年9月7日出願、Prostaglandin Analogues for Implant Devices and Methodsと題される);米国出願整理番号60/970,820号(2007年9月7日出願、Multiple Drug Delivery Systems and Combinations of Drugs with Punctal Implantsと題される);米国出願整理番号61/066,223号(2008年2月18日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/049,347号(2008年4月30日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/033,211号(2008年3月3日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/049,360号(2008年4月30日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/052,595号(2008年5月12日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/075,309号(2008年6月24日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/154,693号(2009年2月23日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/209,036号(2009年3月2日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/209,630号(2009年3月9日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/036,816号(2008年3月14日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/271,862号(2009年7月27日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/252,057号(2009年10月15日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号12/710,855号(2010年2月23日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号60/871,867号(2006年12月26日出願、Drug Delivery Implants for Inhibition of Optical Defectsと題される);米国出願整理番号12/521,543号(2009年12月31日出願、Drug Delivery Implants for Inhibition of Optical Defectsと題される);米国出願整理番号61/052,068号(2008年5月9日出願、Sustained Release Delivery of Latanoprost to Treat Glaucomaと題される);米国出願整理番号61/052,113号(2008年5月9日出願、Sustained Release Delivery of Latanoprost to Treat Glaucomaと題される);米国出願整理番号61/108,777号(2008年10月27日出願、Sustained Release Delivery of Latanoprost to Treat Glaucomaと題される);米国出願整理番号12/463,279号(2009年5月8日出願、Sustained Release Delivery of Active Agents to Treat Glaucoma and Ocular Hypertensionと題される);米国出願整理番号61/049,337
号(2008年4月30日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号12/432,553号(2009年4月29日出願、Composite Lacrimal Insert and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/049,317号(2008年4月30日出願、Drug-Releasing Polyurethane Lacrimal Insertと題される);米国出願整理番号12/378,710号(2009年2月17日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/075,284号(2008年6月24日出願、Combination Treatment of Glaucomaと題される);米国出願整理番号12/490,923号(2009年6月24日出願、Combination Treatment of Glaucomaと題される);米国出願整理番号61/134,271号(2008年7月8日出願、Lacrimal Implant Body Including Comforting Agentと題される);米国出願整理番号12/499,605号(2009年7月8日出願、Lacrimal Implant Body Including Comforting Agentと題される);米国出願整理番号61/057,246号(2008年5月30日出願、Surface Treatment of Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/132,927号(2008年6月24日出願、Surface Treated Implantable Articles and Related Methodsと題される);米国出願整理番号12/283,002号(2008年9月5日出願、Surface Treated Implantable Articles and Related Methodsと題される);米国出願整理番号12/231,989号(2008年9月5日出願、Lacrimal Implants and Related Methodsと題される);米国出願整理番号61/049,317号(2008年4月30日出願、Drug-Releasing Polyurethane Lacrimal Insertと題される);米国出願整理番号12/231,986号(2008年9月5日出願、Drug Cores for Sustained Release of Therapeutic Agentsと題される);米国出願整理番号61/050,901号(2008年5月6日出願、Punctum Plug Detectionと題される);米国出願整理番号12/231,987号(2008年9月5日出願、Lacrimal Implant Detectionと題される);米国出願整理番号61/146,860号(2009年1月23日出願、Sustained Release Delivery of One or More Anti-Glaucoma Agentsと題される);米国出願整理番号61/152,909号(2009年2月16日出願、Sustained Release Delivery of One or More Anti-Glaucoma Agentsと題される);米国出願整理番号61/228,894号(2009年7月27日出願、Sustained Release Delivery of One or More Anti-Glaucoma Agentsと題される);米国出願整理番号61/277,000号(2009年9月18日出願、Drug Cores for Sustained Ocular Release of Therapeutic Agentsと題される);米国出願整理番号12/692,452号(2010年1月22日出願、Sustained Release Delivery of One or More Agentsと題される);米国出願整理番号61/283,100号(2009年11月27日出願、Lacrimal Implants Including Split and Insertable Drug Coreと題される);国際出願整理番号PCT/US2010/058129(2010年11月26日出願、WO2011/066479として公開、Lacrimal Implants Including Split and Insertable Drug Coreと題される);米国出願整理番号61/139,456号(2008年12月19日出願、Substance Delivering Punctum Implants and Methodsと題される);米国出願整理番号12/643,502号(2009年12月21日出願、Substance Delivering Punctum Implants and Methodsと題される);米国出願整理番号10/825,047号(2004年4月15日出願、Drug Delivery via Punctal Plugと題される);米国出願整理番号12/604,202号(2009年10月22日出願、Drug Delivery via Ocular Implantと題される);国際出願整理番号PCT/US2005/023848(2005年7月1日出願、WO2006/014434として公開、Treatment Medium Delivery Device and Methods for Deliveryと題される);国際出願整理番号PCT/US2007/065792(2007年4月2日出願、WO2007/115261として公開、Drug Delivery Methods, Structures, and Compositions for Nasolacrimal Systemと題される);および国際出願整理番号PCT/US2007/065789(2007年4月2日出願、WO2007/115259として公開、Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapyと題される)。
【0089】
[保持]
本発明の方法の様々な実施形態においては、保持構造を含む移植片が、涙点または涙小管内に移植片を保持するために使用される。保持構造は、移植片本体に取り付けられるか、移植片本体と一体化している。保持構造は、移植片が所望の組織位置、例えば、涙点または涙小管に容易に配置できるような寸法および形状である適切な材料を含む。いくつかの実施形態においては、薬剤コアは、少なくとも部分的に鞘部を介して、保持構造に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態においては、保持構造は、保持構造が涙点内に配置されるときに膨張するように構成されたヒドロゲルを含む。保持構造は、軸方向に方向づけられた表面を有する取り付け部材を含むことができる。いくつかの実施形態においては、ヒドロゲルの膨張は、ヒドロゲルが水和されつつ、ヒドロゲルを軸方向に方向づけられた表面に対して保持することができる。いくつかの実施形態においては、取り付け部材は、保持構造の一部を通る突起、フランジ、リム、または開口のうちの少なくとも一つを含むことができる。いくつかの実施形態においては、保持構造は、涙点および涙小管の組織に実質的に適合するような、移植片本体部の寸法および形状を含む。
【0090】
保持構造は、涙小管管腔内に少なくとも部分的に適合するのに適切な寸法を有してもよい。保持構造は、挿入に適切した小さな外形の構造と、管腔内に保持構造を固定するための大きな外形の構造との間で拡張可能とすることができ、保持構造は、薬剤コアの遠位端の近傍に取り付けられることができる。特定の実施形態においては、保持構造が小さな外形の構造から大きな外形の構造に拡張するときに、保持構造は、近位端の近傍で薬剤コアに沿って滑動することができる。薬剤コアに沿った保持構造の長さは、小さい外形の構造よりも大きい外形の構造において、より短くすることができる。
【0091】
いくつかの実施形態においては、保持構造は、弾性的に拡張可能である。小さい外形は、約0.2mm未満の断面を有してもよく、大きい外形は、約2.0mm未満の断面を有してもよい。保持構造は、溝によって分離された腕部を有する管状本体を含んでもよい。保持構造は、薬剤コアを少なくとも部分的に覆うように配置されることができる。
【0092】
いくつかの実施形態においては、保持構造は、機械的に展開することができ、典型的には、所望の断面委形状に拡張し、例えば、保持構造は、Nitinol(商標)などの超弾性形状記憶合金を含む。Nitinol(商標)に加えて他の材料が使用されることができ、例えば、所望の拡張を提供するための、弾力のある金属またはポリマー、塑性的に変形可能な金属またはポリマー、および形状記憶ポリマーなどである。いくつかの実施形態においては、SanDiego、CAのBiogeneral,Inc.から市販されているポリマーおよび被覆繊維が使用されてもよい。ステンレス鋼および非形状記憶合金などの多くの金属が使用されることができ、所望の拡張を提供することができる。この拡張能力は、様々な寸法、例えば、0.3mmから1.2mmの範囲の涙小管の中空の組織構造に移植片が適合することを可能とする(すなわち、一つの寸法がすべてに適合する)。単一の保持構造は、0.3mmから1.2mmの涙小管に適合するように製造されることができるが、複数の代替的に選択可能な保持構造が、必要に応じて、この範囲に適合するために用いられることができ、例えば、涙小管に対して0.3mmから約0.9mmの第一の保持構造が、涙小管に対して約0.9mmから1.2mmの第二の保持構造が用いられる。保持構造は、保持構造を取り付ける解剖学的構造に適切な長さを有し、例えば、涙小管の涙点近傍に配置された保持構造に対しては、約3mmの長さである。様々な解剖学的構造に対しては、長さは、適切な保持力を提供するために適切なものとすることができ、例えば、必要に応じて1mmから15mmの長さである。
【0093】
移植片本体は、上述されたように、保持構造の一端に取り付けられてもよく、多くの実施形態においては、保持構造が拡張する間に、鞘部本体および薬剤コアを含む移植片本体の上で保持構造が滑動できるように、保持構造の他端は、移植片本体に取り付けられない。所望の断面幅をとるために保持構造が幅を拡張するにつれて、保持構造は長さが縮小し得るため、一端における滑動性能が望ましい。しかしながら、多くの実施形態は、コアに対して滑動しない鞘部本体を使用してもよいことに留意されたい。
【0094】
多くの実施形態においては、保持構造は、組織から回収されることができる。例えば、フック、ループ、またはリングなどの突起は、保持構造の除去を容易にするために、移植片本体の一部から延びることができる。
【0095】
いくつかの実施形態においては、鞘部および保持構造は、二部品を含むことができる。
【0096】
本発明の涙腺移植片は、非常に優れた保持特性を有し、選択された期間、移植片を保持する、移植片が移植された眼の割合に基づくと、市販のプラグに対して向上した期間、涙点および涙小管内に保持される(
図9)。
【0097】
例示的一実施形態においては、本発明の方法は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上、の間、涙点内に移植されたまま保持されるように構成された涙腺移植片を用いる。例示的一実施形態においては、涙腺移植片は、治療薬の意図された持続的な放出の期間、涙点によって保持されるように構成される。様々な実施形態においては、治療薬の意図された持続的な放出の期間は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上である。様々な実施形態においては、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、または少なくとも約80%の涙腺移植片が、治療薬の意図され、制御された放出の期間、保持される。例示的一実施形態においては、移植片は、効能を示すために、ある期間、涙点によって保持される。
【0098】
様々な実施形態においては、本発明は、涙点内の移植片の保持を高める構造的特徴を有する移植片の使用を可能とする。他の特徴の中でもとりわけ、本発明の移植片の尾部(例えば、330)は、涙小管膨大部(例えば、252)内に静止するようになるように構成され、移植片をその位置に効率的にロックする。しかしながら、本発明者は、移植されたデバイスの回転や相対的な移動を防ぐために、デバイスの移動においてある役割を果たす第一の部材が膨大部内に尾部を維持する必要があったことを認識していた。したがって、第一の部材、例えば、305は、涙小管内に涙点プラグを安定させ、周囲の組織が動くときにプラグの位置を保持するように構成される。
【0099】
[密封構成要素]
例示的一実施形態においては、本発明の方法は、密封構成要素を有する移植片を使用する。密封構成要素は、涙が流れることを阻害するために、保持構造に取り付けられ、保持構造とともに拡張可能とすることができる。密封構成要素は、管腔を通って涙が流れることを抑制してもよく、密封構成要素は、保持構造から管腔を保護するために、保持構造の少なくとも一部を覆ってもよい。移植片が、中空の組織構造を通る流体の流れ(例えば、涙小管を通る涙液)を少なくとも部分的に抑制、阻害さえもすることができるように、密封構成要素は、適切な寸法および形状の材料を含む。密封構成要素は、保持構造とともに拡張や収縮が可能な生体適合性材料、例えばシリコンの薄い壁の膜であってもよい。密封構成要素は、上述されたように、保持構造の一端の上を滑動し、保持構造の一端に取り付けられた材料の分離された薄い管として形成される。あるいは、密封構成要素は、生体適合性ポリマー、例えば、シリコンポリマー内に保持構造を浸漬被覆することによって形成されることができる。密封構成要素の厚さは、約0.01mmから約0.15mmで、しばしば、約0.05mmから0.1mmの範囲とすることができる。
【0100】
[治療薬および治療薬コア]
頻繁で周期的な服用を含む従来の薬剤送達は、多くの場合、理想的でも、また実用的でもない。例えば、より中毒性のある薬剤では、従来の周期的服用の結果として、服用時に好ましくないほど高い最初の薬剤レベルをもたらし、その後、服用の間ではしばしば、治療効果のレベルに満たない低い薬剤レベルになることがある。同様に、従来の周期的服用は、網膜などの治療を必要とする眼内または脳の領域を対象とする製薬治療などで、ある場合には、実用的でなく、または治療が効果的でないことがある。したがって、いくつかの実施形態においては、涙腺移植片は、その構造内に一つ以上の治療薬をさらに含む。様々な実施形態においては、薬剤は、デバイス全体を通じて分散される。いくつかの実施形態においては、薬剤は、デバイスの一つ以上の個別の位置または領域に配置される。例示的一実施形態においては、治療薬は、デバイスの空洞内に配置され、薬剤を保持するコンポーネントは、コアと呼ばれる。
【0101】
デバイス全体を通じて薬剤が分散される様々な実施形態においては、薬剤の放出速度および位置は、薬剤に対して不浸透性である物質で、デバイスの少なくともコンポーネントをコーティングすることによって制御される。例示的一実施形態においては、薬剤が眼または周囲組織に溶離することができる、材料内の一つ以上の間隙を除いて、本質的にデバイス全体が、物質でコーティングされる。例示的なコーティングは、Paryleneコーティングである(参照によって本明細書に組み入れられた2008/0181930を参照されたい)。
【0102】
例示的一実施形態においては、本発明の涙腺移植片は、持続性放出デバイスとして構成され、治療的に有効な方法で組み込まれた治療薬を、例えば、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上の間、治療的に有効な投薬量を提供する速度で放出する。例示的一実施形態においては、涙腺移植片は、治療薬の意図され、制御された放出の期間、涙点によって保持されるように構成される。様々な実施形態においては、治療薬の意図され、制御された放出の期間は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上である。様々な実施形態においては、移植された移植片の少なくとも95%は、治療薬の意図され、制御された放出の期間の間、保持される。例示的一実施形態においては、移植片は、効能を示すために、ある期間、涙点によって保持される。
【0103】
[治療薬コア]
一実施形態においては、本発明の方法は、治療薬の持続的な放出を提供するために、移植片本体の第一の部材305または第二の部材310のうちの少なくとも一つに配置された個別の治療薬コア、または一体化薬剤、または他の薬剤を含む移植片を使用する。例えば、配置された薬剤コア、または一体化薬剤、または他の薬品は、薬剤または他の治療薬の持続的な放出を提供するために、涙腺移植片400の空洞458内に配置されてもよい。
【0104】
本発明の方法に有用な例示的移植片は、眼、鼻腔、または内耳系のうちの一つ以上に治療薬を送達するように構成される。様々な実施形態においては、薬剤は、眼を通して対象者の全身に送達される。治療薬コアは、一つ以上の治療薬を含むことができ、幾つかの例においては、薬剤または他の薬剤の持続的な放出を提供するために、一つ以上のマトリクス物質を含むことができる。
【0105】
様々な実施形態においては、治療薬コアは、空洞458内に挿入される。
【0106】
様々な実施例においては、個別の薬剤コア、または一体化コア、または他の薬剤は、少なくとも約20マイクログラム、少なくとも約40マイクログラム、少なくとも約45マイクログラム、少なくとも約80マイクログラム、または少なくとも約95マイクログラムの薬剤(例えば、ラタノプロスト)を含み、これらは、Butunerらに共同所有され、2009年5月8日に出願され、“SUSTAINED RELEASE DELIVERY OF ACTIVE AGENTS TO TREAT GLAUCOMA AND OCULAR HYPERTENSION”と題された米国特許出願整理番号12/463,279号、ならびに、Utkhedeに共同所有され、2009年9月18日に出願され、“IMPROVED DRUG CORES FOR SUSTAINED OCULAR RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS”と題された米国特許出願整理番号61/277,000号でさらに論じられ、これらの双方は、その全体において参照によって組み入れられ、薬剤または他の薬品濃度の記述を含む。
【0107】
薬剤コアは、一つ以上の薬剤(drug and agent)の持続的な放出を提供することができる一つ以上の生体適合性材料を含むことができる。薬剤コアは、その中に配置された薬剤の溶解可能な内包物を有する、実質的に非生分解性のシリコンマトリクスを含むマトリクスを含むことができる。薬剤コアは、薬剤の持続的な放出を提供する他の構造を含むことができ、例えば、生分解可能なマトリクス、多孔質の薬剤コア、液体の薬剤コア、または固体の薬剤コアである。薬剤を含むマトリクスは、生分解性ポリマーまたは非生分解性ポリマーのいずれかから形成されることができる。いくつかの実施例においては、非生分解性薬剤コアは、シリコン、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えば、Wilmington,Del.のE.I.DuPont de Nemours and Companyから市販されたDACRON(商標))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、押出コラーゲン、ポリマー発泡体、シリコンゴム、ポリエチレンテレフタラート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケル・チタン合金(例えば、Nitinol)、チタン、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金(例えば、Elgin Specially Metals,Elgin,III.からのELGILOY(商標)、Wyomissing、Pa.のCarpenter Metals Corp.からのCONICHROME(商標))を含むことができる。いくつかの実施例においては、生分解性薬剤コアは、一つ以上の生分解性ポリマーを含むことができ、それは、たんぱく質、ヒドロゲル、ポリエチレン酸化物、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L乳酸)(PLLA)、ポリ(Lグリコール酸)(PLGA)、ポリグリコライド、Lラクチド、ポリDラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコナート、ポリ乳酸・ポリエチレン酸化物コポリマー、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステルヒドロキシ酪酸、ポリ無水物、ポリホスホエステル、ポリ(アルファヒドロキシ酸)およびその組み合わせである。いくつかの実施例においては、薬剤コアは、ヒドロゲルポリマーを含むことができる。
【0108】
[鞘部本体]
例示的一実施形態においては、本発明の方法で有用な移植片は、鞘部本体内に収容される治療薬コアを含む。鞘部本体は、薬剤コアからのラタノプロストまたは他の抗緑内障薬剤の移動を制御するために適切な形状および材料を含むことができる。いくつかの実施形態においては、鞘部本体は、薬剤コアを収容し、コアに対してピッタリと適合することができる。鞘部本体は、ラタノプロストまたは他の抗緑内障薬剤に対して実質的に不浸透性である材料から製造され、薬剤の移動速度が、鞘部本体によって覆われていない薬剤コアの露出された表面積によって大体制御され得るようにする。多くの実施形態においては、鞘部本体を通るラタノプロストまたは他の抗緑内障薬剤の移動は、薬剤コアの露出表面を通るラタノプロストまたは他の抗緑内障薬剤の移動の約1/10以下、しばしば、1/100以下とすることができる。換言すると、鞘部本体を通るラタノプロストまたは他の抗緑内障薬剤の移動は、薬剤コアの露出表面を通るラタノプロストまたは他の抗緑内障薬剤の移動の少なくとも約1桁分未満である。適切な鞘部本体の材料は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート(以降“PET”)を含む。鞘部本体は、約0.00025”から約0.0015”の、コアに隣接する鞘部表面からコアから反対側の鞘部表面までで定義されるような厚さを有する。コアを通って伸びる鞘部の全体の直径は、約0.2mmから約1.2mmの範囲である。コアは、鞘部材料内でコアを浸漬被覆することによって形成されてもよい。代替的に、または組み合わせて、鞘部本体は、管と、鞘部に導入されるコア、例えば、鞘部本体管に滑動されるか、挿入されるか、または押し出されることができる液体または固体と、を含むことができる。鞘部本体は、また、コア周囲で浸漬被覆されることができ、例えば、
予め形成されたコアの周囲に浸漬被覆されることができる。
【0109】
鞘部本体は、移植片の臨床利用を容易にするために、さらなる特徴を有するように提供されることができる。例えば、鞘部は、移植片本体、保持構造、および鞘部本体が対象者内に移植されたままの間に交換可能な薬剤コアを受けてもよい。鞘部本体は、上述されたように、しばしば、保持構造に対してしっかりと取り付けられ、保持構造が鞘部本体にある間にコアは交換可能である。特定の実施形態においては、押し出され、鞘部本体からコアが取り出されるとき、鞘部本体に力を与える外部突起を有するように鞘部本体は提供されることができる。別の薬剤コアは、その後、鞘部本体内に配置されることができる。多くの実施形態においては、鞘部本体または保持構造は、配置を示すために際立った特徴、例えば、際立った色を有してもよく、鞘部本体または保持構造の涙小管または他の生体組織構造内での配置が対象者によって容易に検出されることができるようにする。保持構成要素または鞘部本体は、涙小管内での配置の深さを示すために少なくとも一つのマークを含んでもよく、保持構成要素または鞘部本体が少なくとも一つのマークに基づいて、涙小管内で所望の深さに配置されることができるようにする。
【0110】
[治療薬]
一般的に、本発明の方法で有用な薬剤的に活性のある薬剤は、例えば、眼に対して、有利かつ有用な結果を生み出すような、本明細書で記述されたものなどの、移植片から送達されることができるあらゆる化合物、組成物、またはその混合物、、特に所望の局所的もしくは全身的な生理学的もしくは薬理学的効果を得るうえで効果的な薬剤とすることができる。
【0111】
このような薬剤の例は、麻酔薬、リドカインおよび関連化合物、ベンゾジアゼピンおよび関連化合物などの鎮痛剤、5フルオロウラシル、アドリアマイシンおよび関連化合物などの抗がん剤、フルコナゾールおよび関連化合物などの抗真菌剤、トリソジウムホスホモノホルメート、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、DDI、AZTなどの抗ウイルス剤、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンBおよび関連化合物などの細胞輸送/移動切迫剤、抗緑内障薬(例えば、アドレナリンアゴニスト、アドレナリン拮抗薬(ベータブロッカー)炭酸脱水素酵素阻害剤(CAI、全身性および局所的)、副交感神経作用薬、プロスタグランジンおよび降圧脂質ならびにそれらの組み合わせ)、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、駆虫薬、抗真菌剤など)、副腎皮質ホルモンまたは他の抗炎症剤(例えば、NSAIDもしくは他の鎮痛および疼痛処理化合物)、充血除去剤(例えば、血管収縮薬)、アレルギー反応を防ぐか、緩和する薬剤(例えば、抗ヒスタミン剤、サイトカイン抑制剤、ロイトコリエン抑制剤、IgE抑制剤、免疫促進剤)、肥満細胞安定化剤、毛様筋調節薬、散瞳薬などを含むが、そのいずれにも限定はされない。
【0112】
本発明で有用なデバイスに組み込まれることができる他の薬剤は、降圧剤、フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなどの充血緩和剤、ムラミルジペプチドおよび関連化合物などの免疫応答調節剤、シクロスポリン、インスリン、成長ホルモン、インスリン関連成長因子、ヒートショックたんぱく質および関連化合物などのペプチドおよびたんぱく質、デキサメタゾン、プレドニゾロンおよび関連化合物などのステロイド化合物、フルオシノロンアセトニドおよび関連化合物などの難溶解性ステロイド、炭酸脱水酵素阻害剤、診断薬、抗アポトーシス剤、遺伝子治療薬、補足剤、グルタチオンなどの還元剤、抗浸透性剤、アンチセンス化合物、抗増殖剤、抗体複合体、抗うつ剤、血流増強剤、抗喘息薬、駆虫剤、イブプロフェンなどの非ステロイド抗炎症薬、栄養素およびビタミン、酵素阻害剤、抗酸化剤、抗白内障薬、アルドースリダクターゼ阻害剤、細胞保護剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、サイトカイン保護剤、UVブロッカー、肥満細胞安定化剤、血管新生抑制剤、例えば、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤などの抗血管新生剤を含む。
【0113】
本明細書で使用するためのさらなる薬剤的な活性剤の代表例は、ニモジピンおよび関連化合物などの神経保護剤、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロムフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシンなどの抗生物質、抗感染症薬、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾールなどの抗菌剤、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウムなど、アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、ピリルアミン、プロフェンピリダミンなどの抗アレルギー剤、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21リン酸塩、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21リン酸塩、プレドニゾロンアセテート、フルオロメトロン、ベタメタゾン、トリミノロンなどの抗炎症剤、散瞳薬、ピロカルピン、サリチル酸エセリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ホスホリンイオダイン、デメカリウムブロマイドなどの抗コリンエステラーゼ、散瞳剤、硫酸アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、ヒドロキシアンフェタミンなどの散瞳薬、エピネフリンなどの交感神経作用剤、例えば、1985年にアムステルダムのHans Bundgaard,Elsevier Scientific Publishing Co.によって編集されたDesign of Prodrugsに記述されたものなどのプロドラッグを含むが、そのいずれにも限定はされない。前述の薬剤に加えて、ほ乳類生物の健康状態を治療、管理または診断するために適切な他の薬剤は、コポリマー内に取り込まれ、本発明の薬剤送達システムを用いて投与されてもよい。再度、参照は、例えば、薬理学的に活性のある薬剤に対するRemington’s Pharmaceutical Sciencesなどの任意の標準的な薬学の教科書に対して行われることがある。
【0114】
前述の治療的に活性のある薬剤のあらゆる薬学的に許容可能な形態は、本発明を実施する際に使用されてもよい。例えば、遊離塩基、遊離酸、薬学的に許容可能な塩、エステルまたはそのアミド、例えば、塩酸塩、水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、メシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩などの酸付加塩、ナトリウム、カルシウム、カリウムおよびマグネシウム塩などのアルカリまたはアルカリ土類金属塩、水和物、光学異性体、異性体、ステレオ異性体、ジアステレオ異性体、変異性体、多形、その混合物、そのプロドラッグ、またはラセミ体もしくはそのラセミ混合物である。
【0115】
涙腺移植片を用いる本方法で使用されることができるさらなる薬剤は、連邦食品、薬品、化粧品法(United States Federal Food,Drug, and Cosmetic Act)のSection505の下で、または、公衆衛生法(Public Health Service Act)の下で承認された薬剤を含むがそのいずれにも限定はされない。それらのうちのいくつかは、米国食品医薬品局(FDA)ウェブサイトhttp://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/indexで見つけることができる。本発明の涙腺移植片は、また、紙または電子形態のうちのいずれかで、Orange Bookに記載された薬剤と用いることもでき、これは、FDA Orange Bookウェブサイト(http://www.fda.gov/cder/ob/)で見つけることができ、本文書の提出日と同一の日付、それよりも早い日付、またはそれよりも遅い日付を有するか、または記録する。例えば、これらの薬剤は、とりわけ、ドルゾラミド、オロパタジン、トラボプラスト、ビマトプロスト、シクロスポリン、ブリモニジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、ブリンゾラミド、アシクロビルチモロールマレイン酸塩、ケトロラックトロメタミン、プレドニゾロン酢酸塩、ヒアルロン酸ナトリウム、ネパフェナク、ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、スプロフェナク、ビノキサン、パタノール、デキサメタゾン/トブラマイシン混合物、モキシフロキサシンまたはアシクロビルを含むことができる。
【0116】
薬剤または他の薬剤のさらなる論考は、共同所有された米国特許出願公開番号2009/0104248、米国特許出願公報2010/0274204、米国特許出願公開番号2009/0105749に見つけることができ、これらはその全体において、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0117】
本発明で有用な薬剤送達システムにおける薬学的に活性のある薬剤の実際の投与レベルは、投与する特定の系および方法に対して所望の治療反応を得るために効果的な、薬剤的に活性のある薬剤の量を得るために、変更されてもよい。選択された投与レベルは、したがって、例えば、所望の治療効果、投与経路、所望の治療期間などの要因、および他の要因に依存する。単回投与または分割投与で対象者に投与される薬学的に活性のある薬剤の一日用量は、様々な要因に依存して広範囲に変化することができ、その要因は、例えば、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間および投与経路、吸収および排出速度、他の薬剤との組み合わせ、治療される具体的状態の深刻度などを含む。一般的に、本発明の薬剤送達システムに存在する薬学的に活性のある薬剤の量は、約0.1%W/Wから約60%W/Wの範囲とすることができ、望ましくは、約1%W/Wから約50%W/Wの範囲とすることができる。
【0118】
上記の薬剤と、本発明の方法によって治療されることができる疾病または不調の例は、緑内障、手術前および手術後の眼治療、ドライアイ、抗眼性アレルギー、抗感染症、手術後の炎症もしくは疼痛、アレルギーなどの呼吸関連の不調、めまいもしくは片頭痛などの内耳不調、または高血圧、コレステロール管理、肺疾患の不調もしくは免疫学的不調などの他の全身性の不調を含むが、そのいずれにも限定はされない。いくつかの実施例においては、治療薬は、例えば、ドライアイを治療するための潤滑油など、潤滑油または界面活性剤を含むことができる。他の実施例においては、治療薬は、眼から涙を吸収することができる吸収剤を含むことができる。
【0119】
本発明の方法によって治療可能なさらなる疾病は、広範囲の治療用途で用いられ得る本発明のマトリクス制御される拡散薬剤送達システムを含む。本発明のマトリクス制御された拡散薬剤送達システムは、眼の疾病、不調、および/または損傷の治療で特に有用である。このような眼の疾病、不調または損傷の代表例は、糖尿病性網膜症、緑内障、黄斑変性症、網膜色素変性症、網膜裂孔、網膜剥離、網膜虚血、外傷関連急性網膜症、炎症媒介変性症、手術後合併症、光線力学的治療(PDT)を含むレーザ治療に関連する損傷、手術光誘発医原性網膜症、薬剤誘発網膜症、常染色体優性視神経萎縮、中毒性/栄養弱視、レーベル遺伝性視神経症(LHOP)、眼性症状もしくは合併症を伴う他のミトコンドリア疾患、血管新生、不定型RP、バルデー・ビードル症候群、青錐体全色覚異常、白内障、中心性輪紋状脈絡膜萎縮、コロイデレミア、錐体ジストロフィー、杆体ジストロフィー、錐体杆体ジストロフィー、杆体錐体ジストロフィー、先天停止性夜盲症、サイトメガロウィルス網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、優性遺伝性ドルーゼン、巨細胞性動脈炎(GCA)、ゴールドマン・ファブレジストロフィー、グレーブス眼症、脳回転状萎縮、ヒドロキシクロロキン、虹彩炎症、若年網膜隔離症、カーンズ・セイヤー症候群、ローレンス・ムーン・バルディ・ビードル症候群、レーバー先天性黒内障、ループス誘発綿花状白斑、非滲出型黄斑変性症、滲出型黄斑変性症、黄斑ドルーゼン、黄斑ジストロフィー、家族性ドルーゼン、眼ヒストプラズマ症候群、オグチ病、酸化損傷、増殖性硝子体網膜症、レフサム病、白点状網膜炎、未熟児網膜症、錐体全色覚異常、RPおよびアッシャー症候群、強膜炎、セクターRP、シェーグレン・ラルソン症候群、ソースビー眼底変性症、スターガルト病および他の網膜疾患を含むが、そのいずれにも限定はされない。
【0120】
本発明の方法は、様々な経路による治療が必要な、ほ乳類に投与されることができる。例えば、薬剤送達システムは、局所的な薬剤送達の必要な、生体の一部内、例えば、眼の内部で、移植によって用いられてもよい。しかしながら、例示的なマトリクス制御された拡散薬剤送達システムは、眼科領域の当業者に既知の他の手術手順に従って同様に用いられてもよい。例えば、薬剤送達システムは、当該技術分野で周知の器具を使用する治療を必要とする、眼科領域に投与されることができる。その器具とは、例えば、米国特許出願公開番号2002/0002362に開示された柔軟性マイクロカテーテルシステムもしくはカニューレ、または米国特許番号5,273,530号および5,409,457号に開示された網膜内送達、引出システムであり、各々の内容は、本明細書に参照によって組み入れられる。薬学的に活性のある薬剤は、ある持続的かつ長い期間にわたって、薬剤送達デバイスから放出されてもよい。任意で、薬剤放出速度は、例えば、薬剤送達デバイスの表面処理によって、不活性な拡散バリアの付加を通して制御されることもできる。表面処理は、例えば、酸化プラズマ、真空蒸着、浸漬被覆、または押し出し成型技術などの、当該技術分野で周知の様々な表面処理技術を通じて適用されてもよい。
【0121】
治療薬は、薬学的に許容可能なキャリアを有する剤形で、デバイス内に存在することができる。例えば、賦形剤、沈殿防止剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、溶剤、分散媒、コーティング、等張剤、および当該技術分野周知の他の物質である。薬剤的な剤形は、任意で、増強剤、錯化剤、標的薬剤、安定剤、溶剤、加圧ガスまたは可溶化剤複合物を含む。
【0122】
例示的な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールなどの糖、コーンスターチ、小麦スターチ、米スターチ、ポテトスターチ、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルオキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤を含む。望ましい賦形剤は、ラクトース、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および低分子量のスターチ製品を含む。
【0123】
加圧パック吸入システム内でバルブ潤滑剤として機能することができる例示的な沈殿防止剤が望ましい。このような薬剤は、オレイン酸、カルボン酸単純誘導体、ソルビタントリオレエートを含む。
【0124】
例示的な希釈剤は、水、生理食塩水、リン酸緩衝クエン酸、もしくは生理食塩水溶液および粘液溶解薬を含む。他の考えられ得る希釈剤は、アルコール、プロピレングリコールおよびエタノールを含み、これらの溶剤または希釈剤は、口腔エアゾール剤形でより一般的である。呼吸器系と適合する張性およびpHを有する生理学的に許容可能な希釈剤が望ましい。望ましい希釈剤は、塩化ナトリウムまたはスクロースまたはデキストロースまたはマンニトールで張性が調整された等張生理食塩水、リン酸緩衝等張溶液を含む。
【0125】
例示的な充填剤は、グリセリン、プロピレングリコール、エタノールを液体または流体の調剤で含む。乾燥粉末吸入システム用の適切な充填剤は、ラクトース、スクロース、デキストロース、適切なアミノ酸およびラクトースの誘導体を含む。望ましい充填剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ラクトースおよびあるアミノ酸を含む。
【0126】
例示的塩は、生理学的に適合し、所望の張性の調整を提供するものを含む。強酸または弱酸の一価および二価の塩が望ましい。望ましい塩は、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、リン酸ナトリウムを含む。
【0127】
例示的緩衝剤は、リン酸もしくはクエン酸緩衝液、または低い緩衝容量の混合緩衝系を含む。望ましい緩衝剤は、リン酸またはクエン酸緩衝剤を含む。
【0128】
要約書は、技術的開示の本質を読者が迅速に確認することが可能なように、37C.F.R.§1.72(b)に従って提供される。それは、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するように用いられないことを理解したうえで提出される。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された遠位端における静的ピンと、挿入具チップの近位端においてハンドルを受けるための機械的結合と、を含む挿入具チップと、
前記ハンドルの遠位端において前記挿入具チップに、および前記ハンドルの近位端においてプランジャに結合されるハンドルであって、ここで、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように前記プランジャは構成される、ハンドルと、
を含む、涙腺移植片挿入ツール。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入ツールを用いて涙腺移植片を挿入するための方法であって、
a)涙腺移植片の穴内に配置されるように構成された遠位端における静的ピンと、挿入具チップの近位端においてハンドルを受けるための機械的結合と、を含む挿入具チップと、前記挿入具チップの前記静的ピンに結合された涙腺移植片と、を含む眼の治療のためのシステムを提供することと、
b)前記システムをハンドルに結合することであって、前記ハンドルは、前記ハンドルの遠位端において前記挿入具チップに結合され、前記ハンドルは、前記ハンドルの近位端にプランジャを含み、前記プランジャは、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、ことと、
c)前記涙腺移植片を涙点内に配置することと、
d)前記涙腺移植片から前記挿入具チップを取り外すことであって、ここで、前記静的ピンは、前記挿入ツールから機械的力なしで解放される、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ハンドルの前記近位端において前記プランジャを押し出すことによって、前記ハンドルから前記挿入具チップを取り外すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記ハンドルの管腔内にばねおよびねじを含み、前記挿入具チップの前記近位端は、前記挿入具チップとハンドルとを結合するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プランジャは、前記ハンドルの管腔内で滑動し、前記ハンドルから前記挿入具チップを解放するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記挿入具チップおよびハンドルは締まりばめを介して結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記挿入具チップは生体適合性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記挿入具チップは、0.75から1.5インチの長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハンドルが前記挿入具チップに結合された後に、前記システムはパッケージから除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ハンドルとの取り付け後の前記挿入具チップは0.5から1.25インチの長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドルは、3.75から5.5インチの長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記挿入具チップは使い捨てである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ハンドルは、前記システムと別々に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記涙腺移植片は、
第一の軸を画定し、前記第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、涙小管に伸びるように構成される、第一の部材と、
第二の軸を画定し、前記第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、前記涙小管の垂直部分にあり、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口外へ延びるように構成される、第二の部材と、
角度を有する交差部を形成するために、前記第一の部材の前記第一の端部と、前記第二の部材の前記第二の端部とを第一の角度で接続する、第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定する穴であって、上面を有する穴を含む、第三の部材と、
を含み、
前記穴は、前記移植片の挿入を容易にするために前記挿入具チップの前記静的ピンにアクセス可能であるように構成され、前記上面から前記第三の部材に伸び、さらに、前記第一の角度は、前記第二の軸に対して前記第一の軸によって画定され、前記第二の角度は、前記第三の軸に対して前記第一の軸によって画定され、
前記第一の角度は、30度から150度であり、
前記第二の角度は、15度から90度である、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記涙腺移植片は、
第一の軸を画定し、前記第一の軸に沿って第一の端部を有する第一の部材であって、涙小管に伸びるように構成された、第一の部材と、
第二の軸を画定し、前記第二の軸に沿って第二の端部を有する第二の部材であって、前記涙小管の垂直部分にあり、関連する涙点の開口に、または関連する涙点の開口外へ延びるように構成される、第二の部材と、
治療薬コアを収容するように構成された空洞であって、前記第二の軸に沿って前記第二の部材へ延びる、空洞と、
角度を有する交差部を形成するために、前記第一の部材の前記第一の端部と、前記第二の部材の前記第二の端部とを第一の角度で接続する第三の部材であって、第三の軸および第二の角度を画定画定する穴であって、上面を有する穴を含む、第三の部材と、
を含み、
前記穴は、前記移植片の挿入を容易にするために前記挿入具チップの前記静的ピンにアクセス可能であるように構成され、前記上面から前記第三の部材に伸び、さらに、前記第一の角度は、前記第二の軸に対して前記第一の軸によって画定され、前記第二の角度は、前記第三の軸に対して前記第一の軸によって画定され、
前記第一の角度は、30度から150度であり、
前記第二の角度は、15度から90度である、
請求項1に記載の方法。