(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071971
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】位置決めデバイスおよび分娩後出血を治療するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/42 20060101AFI20230516BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61B17/42
A61B17/12
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036465
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2021539475の分割
【原出願日】2019-09-13
(31)【優先権主張番号】62/734,422
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ, エリン
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ピーダーソン, ウェスリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】Bakri分娩後出血バルーンなどの子宮タンポナーデバルーンカテーテル装置と共に使用するためのデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、その近位端にハブを含み、その遠位端に非外傷性先端を含むスタイレットを含む。デバイスは、タンポナーデバルーンカテーテル装置に取り外し可能に結合されて、子宮腔内へのタンポナーデバルーンカテーテルの挿入及び位置決めを支援し、バルーンが分娩後出血及び子宮出血の制御及び管理のために意図されたように機能することを可能にするように構成される。タンポナーデバルーンカテーテルは、挿入及び使用中の超音波による視覚化を支援するエコー源性要素を含む。デバイスの使用方法も開示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルのルーメン内に配置されるようにされ、近位端及び遠位端を有する縦方向本体を備えたスタイレットと、
前記スタイレットの前記近位端にあるハブであって、開口した近位端、開口した遠位端、及び前記開口した近位端と前記開口した遠位端の間に延在して前記開口した近位端と前記開口した遠位端の間に延在するドレナージ用ハブルーメンを画定する側壁、を有するハブと、を備え、
前記開口した近位端は、前記ハブルーメンから、前記開口した近位端を通り、前記開口した近位端から出る流体流れを受け入れるようにされ、
前記スタイレットは、前記ハブの前記遠位端において前記ハブの前記側壁から延在し、前記ハブの縦軸から径方向にオフセットされている、位置決めデバイス。
【請求項2】
前記ドレナージ用ハブルーメンが前記スタイレットによって遮られていない、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項3】
前記ハブの前記側壁が概して均一な厚さのものである、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項4】
前記ハブの前記側壁の一部が、前記ハブの前記遠位端において、前記ハブの前記側壁の他の部分よりも厚い、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項5】
前記スタイレットが、前記ハブの前記遠位端において、前記ハブの前記側壁の前記厚い部分から延在している、請求項4に記載の位置決めデバイス。
【請求項6】
前記ハブの前記ルーメンが、前記ハブの前記遠位端において、概してD字形を有する、請求項4に記載の位置決めデバイス。
【請求項7】
前記スタイレットが、前記ハブの前記遠位端において、前記側壁から延在している、請求項3に記載の位置決めデバイス。
【請求項8】
前記スタイレットの前記近位端が前記ハブの前記側壁内に埋め込まれている、請求項7に記載の位置決めデバイス。
【請求項9】
前記スタイレットが前記カテーテルのルーメンの少なくとも一部の中に配置され、前記開口した近位端が開口したままとなっている、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項10】
子宮タンポナーデカテーテルとともに使用するようにされた位置決めデバイスであって、
近位端及び遠位端を有する縦方向本体を有するスタイレットと、
前記スタイレットの近位端にあるハブであって、開口した近位端、開口した遠位端、及び前記開口した近位端と前記開口した遠位端の間に延在して前記開口した近位端と前記開口した遠位端の間に延在するドレナージ用ハブルーメンを画定する側壁、を有するハブと、を備え、
前記開口した近位端は、前記ハブルーメンから、前記開口した近位端を通り、前記開口した近位端から出る液体流れを受け入れるようにされ、
前記側壁は、第1の厚さ及び第2の厚さを有し、
前記スタイレットは、前記ハブの前記遠位端において前記ハブの前記側壁から延在し、前記ドレナージ用ハブルーメンが前記スタイレットによって遮られないように前記ハブの縦軸から径方向にオフセットされている、位置決めデバイス。
【請求項11】
前記スタイレットが前記子宮タンポナーデカテーテルのルーメンの少なくとも一部の中に配置されたときに、前記開口した近位端が開口したままであり、前記子宮タンポナーデカテーテルのルーメンから、前記ドレナージ用ハブルーメンを通って、前記開口した近位端から出る流体流れが妨げられないようにされた、請求項10に記載の位置決めデバイス。
【請求項12】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きく、また前記ハブの前記遠位端の周りを部分的に周方向に延在しており、前記スタイレットは前記第1の厚さの部分において前記ハブの前記遠位端から延在している、請求項10に記載の位置決めデバイス。
【請求項13】
前記第1の厚さ及び前記第2の厚さが実質的に同じである、請求項10に記載の位置決めデバイス。
【請求項14】
前記第1の厚さが前記ハブの前記近位端と前記遠位端の間を部分的にのみ延在している、請求項12に記載の位置決めデバイス。
【請求項15】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きく、また前記前記ハブの少なくとも一部の全円周周りに延在している、請求項11に記載の位置決めデバイス。
【請求項16】
前記スタイレットが、前記タンポナーデカテーテルのルーメンの一部の中に配置されるようにされ、前記スタイレットが前記タンポナーデカテーテルの前記ルーメンの前記一部の中に配置されたときに、前記開口した近位端が開口したままである、請求項10に記載の位置決めデバイス。
【請求項17】
分娩後出血を治療するためのシステムであって、位置決めデバイスを備え、
前記位置決めデバイスが、
近位端及び遠位端を有する縦方向本体を有し、カテーテルのルーメン内に配置されるようにされた、スタイレットと、
前記スタイレットの近位端にあるハブであって、開口した近位端、開口した遠位端、及び前記開口した近位端と前記開口した遠位端の間に延在して前記開口した近位端と前記開口した遠位端の間に延在するドレナージ用ハブルーメンを画定する側壁、を有するハブと、を備え、
前記ドレナージ用ハブルーメンは、前記カテーテルのルーメンから前記開口した遠位端を通り、前記ドレナージ用ハブルーメンを通り、そして前記開口した近位端から出る流体流れを受け入れるようにされた、
前記スタイレットは、前記ハブの前記遠位端から延在し、前記ドレナージ用ハブルーメンが前記スタイレットによって遮られないように前記ハブの縦軸から径方向にオフセットしており、
前記スタイレットが前記カテーテルのルーメンの少なくとも一部の中に配置されたときに、前記開口した近位端が開口したままである、システム。
【請求項18】
前記スタイレットが前記側壁において前記ハブの前記遠位端から延在している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記スタイレットが前記側壁の厚くされた部分から延在している、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記側壁の前記厚くされた部分が前記ハブの前記遠位端の円周の周りで円周方向に部分的にのみ延在している、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2018年9月21日に提出された米国仮特許出願第62/734,422号の提出日の利益を主張し、その仮特許出願はこれによって参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、子宮出血を制御するための装置及び方法に関し、より具体的には、子宮内へのタンポナーデ組立体の適切な挿入及び位置決めを容易にする、子宮タンポナーデ組立体と一緒に使用するための付属デバイスに関する。本発明はまた、概して、使用中、超音波による組立体の視覚化及び位置決めを支援するための、子宮タンポナーデ組立体のエコー源性構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
子宮出血は、経膣分娩及び/又は帝王切開分娩に続く分娩後出血(PPH)を含む、様々な原因に起因する臨床状態である。分娩後出血すなわち分娩後の過剰血液喪失は、一般に、出産後、子宮が正常に収縮できず、持続出血を生じてしまう子宮弛緩症に起因する。治療されないまま放置されると、PPHは、深刻な合併症を引き起こしたり、又はさらには死に至ったりすることがある。
【0004】
筋収縮薬又は筋収縮剤の単独での、又は他の機械若しくは外科技術と組み合わせての投与を含む、PPHを治療及び管理するために使用される様々な技術がある。1つのそのような技術は、バルーンタンポナーデカテーテルなどのタンポナーデ装置を子宮内に挿入することを含み、ここでは、バルーンは、全体的に下部子宮部分の輪郭に一致するまで、十分な圧力及び体積に膨張される。子宮内壁に圧力を加えることは、出血が制御されるか又は止まるまで、タンポナーデ効果をもたらす。子宮タンポナーデバルーンカテーテルの一例は、Bakriバルーン(Cook Medical Technologies LLC,Bloomington,Indiana)である。Bakriバルーンの効果は、効率的且つ適切な挿入、配置及び膨張、並びに子宮腔内での適切な位置でのバルーンの維持に、部分的に起因し得る。
【0005】
ほとんどの場合、バルーンタンポナーデカテーテルの使用が求められるとき、医師は、カテーテルのバルーン部分を子宮に挿入し、バルーン全体が子宮頚管及び内子宮口を通り過ぎて挿入されていることを確かめ得る。挿入は、経膣分娩に続いて経膣的に、又は帝王切開分娩に続いて経腹的に成し遂げられ得る。それゆえ、イントロデューサなどの付属デバイスを提供することが望ましく、これは、使用中適所に留まり、且つまたバルーンタンポナーデカテーテルの適切な位置決めを維持するためのポジショナーとしての機能を果たし得、これは、患者の子宮内にバルーンタンポナーデカテーテルを効率的に、効果的に、そして正確に挿入及び位置決めするために使用され得る。子宮内でのバルーンタンポナーデカテーテルの視覚化及び配置により医師を支援するために、エコー源性構成要素又は要素をバルーンタンポナーデカテーテルに提供することも望ましい。したがって、開示されるイントロデューサデバイス及び/又は開示されるエコー源性構成要素は、Bakriバルーンなどの様々な公知の子宮タンポナーデ組立体と一緒に使用され得る。
【0006】
開示されるイントロデューサデバイスは、子宮にタンポナーデ組立体を迅速に導入し、タンポナーデ組立体の使用中に適所に留まるために使用され得る。これにより、バルーンが、PPH及び子宮出血の制御及び管理に関して目的通りに機能することが可能になり得る。好都合にも、開示されるイントロデューサデバイスは、したがって、外傷を生じることなく患者の解剖学的構造を進むために、限定されるものではないが、可撓性、捻力及び柔軟性を含む属性及び特性の所望の組み合わせをもたらす一方、タンポナーデ組立体の挿入を支援する十分な押し込み性(pushability)及びコラム強度を有し、且つタンポナーデバルーン組立体の使用中に適所に置かれたままである場合には適切なドレナージを可能にし得る。さらに、開示されるエコー源性構成要素は、挿入中の改善された視覚化を提供し、子宮内のタンポナーデ組立体の正確な位置決め及び配置を支援することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例では、本開示は、近位端及び遠位端を有する縦方向本体を含むスタイレットを含む位置決めデバイスを記載する。ハブがスタイレットの近位端に位置する。ハブは、近位端と、遠位端と、それらの間に延在してハブルーメンを画定する側壁とを含み、側壁は、第1の厚さを有する第1の部分と、第2の厚さを含む第2の部分とを含み、第2の厚さは第1の厚さよりも大きく、スタイレットは第2の部分に結合されている。
【0008】
別の例では、カテーテル組立体が記載されている。カテーテル組立体は、近位端及び遠位端を有するスタイレットと、スタイレットの近位端のハブとを含む位置決めデバイスを備える。組立体は、近位端及び遠位端と、それらの間に延びる少なくとも1つのルーメンとを有するカテーテルを含むタンポナーデバルーンカテーテルをさらに含み、カテーテルは、その上に配置された少なくとも1つのエコー源性要素を含む。組立体は、カテーテルの少なくとも一部の周りに配置された拡張可能なタンポナーデデバイスをさらに含む。スタイレットは、少なくとも1つのカテーテルルーメンの少なくとも一部内を縦方向に延びるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】タンポナーデバルーンカテーテルの一例の経膣挿入及び膨張を示す患者の解剖学的構造の側面図であり、イントロデューサデバイスの例がタンポナーデバルーンカテーテルに結合され、ドレナージ組立体がタンポナーデバルーンカテーテルに結合されている。
【
図2】エコー源性要素の一例を有する、
図1のタンポナーデバルーンカテーテルの遠位端の拡大図である。
【
図3】超音波による複数のタンポナーデバルーンカテーテル組立体の遠位先端の視覚化を示しており、各先端は様々な量のエコー源性を有する。
【
図4】ハブ及びハブから延びるスタイレットを含む、イントロデューサデバイスの一例の斜視図である。
【
図5】ハブ及びハブから延びるスタイレットを含む、イントロデューサデバイスの一例の側面図である。
【
図6】タンポナーデバルーンカテーテルの近位端の一例の側面断面図であり、ハブ及びスタイレットが取り外し可能に結合され、ドレナージ管がハブの近位端に取り外し可能に結合されている。
【
図7】
図6に示されるタンポナーデバルーンカテーテルの一例の断面図である。
【
図8】タンポナーデバルーンカテーテルの一例の経腹的挿入を示す。
【
図9】ハブ及びハブに取り付けられた非外傷性遠位先端を有するスタイレットを含むイントロデューサデバイスの一例の斜視図である。
【
図10】
図9のスタイレットの非外傷性遠位先端の拡大図である。
【
図11】タンポナーデバルーンカテーテルの一例の近位端の拡大図であり、サイドアームがイントロデューサデバイスのハブの一例の近位端に挿入されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書を通して、近位及び近位にという用語は、患者の身体から離れる又はさらには患者の体の外部にある位置又は方向を指すために使用され、遠位及び遠位にという用語は、患者の方に向かう及び/又は患者の身体の穴又は腔内に挿入されている位置又は方向を指すために使用される。下に記載される実施形態は、分娩後出血を治療し、且つ子宮内の所望の位置にタンポナーデバルーンカテーテルを導入及び位置決めするために、タンポナーデバルーンカテーテルなどのタンポナーデ組立体と一緒に使用するための又はその付属品としてのイントロデューサデバイスに関連する。しかしながら、記載されるイントロデューサデバイスはまた、当業者に理解されるように、施されている技術又は処置に依存して、様々な体腔に挿入されるある範囲の医療器具と関連して使用されて、そのような器具を効果的及び効率的に導入及び位置決めし得る。以下に記載される実施形態はまた、子宮内の挿入、位置決め及び配置の間、タンポナーデ組立体の視覚化を支援するためのタンポナーデバルーンカテーテル用のエコー源性要素に関連する。
【0011】
図1は、患者の解剖学的構造内に挿入及び位置決めされた、タンポナーデ組立体、すなわちタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の一例を示す。バルーンは実線で膨張した状態で示され、収縮した状態は
図1の仮想線によって示されている。位置決め又はイントロデューサデバイス12は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のルーメンの近位端13内へと延在する。ドレナージ管44が、イントロデューサデバイス12の近位端に取り外し可能に取り付けられ、収集バッグ11に至る。
【0012】
タンポナーデは、出血源に直接圧力を加えることによる創傷の閉鎖又は閉塞であり、出血(bleeding)又は出血(hemorrhage)を止める又は管理する有用な方法である。公知のタンポナーデ組立体の一例は、Bakriバルーンカテーテル(Cook Medical Technologies LLC,Bloomington,Indiana)を含む。タンポナーデバルーンカテーテル組立体2、すなわち、Bakriバルーンカテーテルは、子宮腔内で拡張された状態で示されている。イントロデューサデバイス12が、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のルーメン内に延在する。イントロデューサデバイス12は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のルーメン内に留まることができ、したがってタンポナーデバルーンカテーテル組立体2を適所に維持するためのポジショナーとしての機能も果たし、これによりユーザは、使用中、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2を位置決めし直すことが可能になる。
【0013】
図1で矢印によって示すように、イントロデューサデバイス12は、経膣分娩の後にタンポナーデバルーンカテーテル組立体2を経膣的に挿入するために使用され得る。或いは、
図8に示すように、イントロデューサデバイス12は、帝王切開分娩の後にタンポナーデバルーンカテーテル組立体2を経腹的に導入するために用いられ得る。
図8で矢印によって示すように、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2と結合されたイントロデューサデバイス12は、患者の腹壁にある帝王切開での開口部を通って子宮4内へと導入され得る。その後、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13は、バルーン6の基部(これは、
図8では収縮した状態にある)が内子宮口に接触するまで、膣管を通して引かれ得る。タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の膨張前に、切開部は閉鎖され得るが、縫合している間、収縮したバルーン6を突き刺さないように注意する。
【0014】
タンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、分娩後出血(PPH)を治療及び制御するために患者の子宮腔4内に配置されることを目的としているが、必要に応じて又は要望通りに、血管、骨、器官又は他の組織を含む、身体の様々な他の箇所、管腔又は穴にも使用され得る。その寸法は、血液などの流体が流れ出る子宮4、又は任意の他の標的体腔を進むために適切な寸法にされ得るように変更できる。
図1に示すように、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、好ましくは、縦方向本体9と遠位端15及び近位端13とを有するカテーテル8を含む。
【0015】
ドレナージ用ルーメン16が近位端13と遠位端15との間に縦方向本体9の長さに沿って延在し、一例では、コネクタ(Y字形コネクタ又は任意の他の好適なコネクタなど)がカテーテル8の近位端13に配置され得、これはバルーン6の膨張のためにカテーテル8を空気又は食塩水源に接続するため、及び/又はカテーテル8を、患者から排出された廃棄物、流体及び/又は血液を受け入れるための収集バッグ11又は容器に接続するためのものである。カテーテル8は、その遠位端15に又はその近くに、1つ又は複数の開口部17を含み得、カテーテル8の遠位端15が子宮4内に位置決めされているとき、開口部17は、血液及び他の流体が、ドレナージ用ルーメン16に入ってそこを流れることができるようにする。ドレナージ用ルーメン16はまた、カテーテル8の遠位端15にある開口部17が、凝固した血液、組織又は他のデブリによって閉塞された場合にこれら開口部を洗い流すためになど、潅注流体又は他の物質を子宮4に導入するために使用され得る。カテーテル8はまた、縦方向本体9に沿った様々な点に追加的なポート又はオリフィスを含み得、血液又は他の流体がカテーテル8に入ることができるようにする。カテーテル8はまた、位置決め及び配置をさらに支援するために、シャフトの長さの上に及び/又はシャフトの長さに沿って、1つ又は複数の深さマーカを提供され得る。例えば、
図1に示されるように、複数の線、リング、又は他の同様のタイプのマーキングが、カテーテルに沿ったいくつかの間隔を置いた離れた位置に配置され、例えば「XXcm」などの測定値で識別される。そのようなマーキングは、測定距離、挿入の長さ及び/又は深さ、並びに子宮内のカテーテル8の位置に関して医師に視覚的な表示を提供する。
【0016】
図2に示されるように、カテーテル8は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の少なくとも一部の視覚化を支援及び/又は向上する1つ又は複数の構成要素を含み得る。一例では、これは、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2にエコー源性構造又は要素19を提供することを含み得る。エコー源性要素19は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の1つ又は複数の部分の視覚化を向上するいずれかの構造を含み得る。次に、エコー源性要素は、
図1に示すような超音波デバイス、トランスデューサ又はワンド21などによって、超音波を介して見ることができる。より具体的には、エコー源性とは、超音波検査においてエコーを跳ね返す、又は信号を返す能力である。音響エコーを跳ね返す表面が音波を反射するとき、エコー源性はより高くなる。より高いエコー源性を有する組織又は要素は、通常、医療用超音波検査の画像においてより明るい色で表される。対照的に、より低いエコー源性を有する組織又は要素は、通常、より暗い色で表される。したがって、異なるエコー源性を有する要素又は組織の界面がある場合、目に見えるコントラスト差が表示される。したがって、1つ又は複数のエコー源性要素を提供することは、導入及び配置中、並びに使用及び回収中に、タンポナーデバルーンカテーテル組立体の場所及び位置のリアルタイムの向上したビューを有する能力を医師に提供するという利点を提供する。これはまた、患者の快適さ、成功率、安全性、効率、及び特定の手技の結果を改善する可能性がある。
【0017】
エコー源性要素19は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2と一体的に形成され得る。或いは、エコー源性要素19は、別個に形成又は製造され、次いでタンポナーデバルーンカテーテル組立体2に取り付けられ得る。このような取り付けは、接着剤、ボンディング、オーバーモールディング、RF溶接、機械的アタッチメント、又はその他の適切なアタッチメントメカニズムによって達成され得る。タンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、必要に応じて又は要望通りに、単一のエコー源性要素19又は複数のエコー源性要素19を備えてもよい。
【0018】
一例では、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、カテーテル8の遠位端15に位置するエコー源性要素19を含み得る。
図2及び3に示されるように、複数のエコー源性ビーズ23がカテーテル8の遠位端15に存在する。一例では、エコー源性ビーズ23はガラスで形成され得、カテーテル8のシャフトの遠位端15にオーバーモールドされるポリマー材料に埋め込まれ得る。ポリマービーズ23が埋め込まれ得る、取り付けられ得る又は他の方法で接着され得るポリマー材料は、カテーテル8の遠位端15上にオーバーモールド、成形、又は形成され得るゴム、プラスチック、及び/又は他の順応性材料を含み得る。1つの非限定的な例では、ポリマー材料はシリコーンを含み得る。エコー源性ビーズ23は、分子コーティングを含み得る。そのような分子コーティングは、ビーズ23が、それらが埋め込まれるか又は接着されるシリコーンを含むポリマー材料によりよく接着又は結合することを可能にし得る。ガラスエコー源性ビーズ23の一例は、Potters Industries LLCによって供給されている。
【0019】
エコー源性ビーズ23は、様々な形状、サイズ、及び寸法であり得ることが考えられる。ビーズ23は、エコー源性特性を有する他の材料によって形成され得ることもまた考えられる。他の例では、カテーテル8の遠位端15上に単一の固体エコー源性先端を形成し得る球、ディスク又はドームなどのエコー源性要素19を使用することができる。1つ又は複数の追加のエコー源性要素19はまた、カテーテル8の長さに沿った及び/又はバルーンカテーテル組立体2上の1つ又は複数の位置に存在し得る。例えば、エコー源性特性を有する円筒形バンド又は他のマーキングが、カテーテル8及び/又はバルーンカテーテル組立体2の表面に存在し得る、又は適用され得る。
【0020】
エコー源性要素19は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2上の1つ又は複数の位置に様々な量、パーセンテージ、密度、又は量で存在し得る。一例では、エコー源性ビーズ23のより高い体積パーセント(より高い濃度)は、カテーテル8の遠位端15に存在する可能性があり、これは超音波反射を強める可能性がある。エコー源性要素19の体積パーセントが高いほど、超音波下で見たときにエコー源性要素19が存在するタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の特定の部分の視覚化が高められる、又は増強する可能性がある。
図3に示すように、例えば、4種類の異なるバルーンカテーテル組立体の4種類の遠位端15(遠位先端)が、超音波で見られるように表示されている。各遠位端15は、存在するエコー源性要素19の体積パーセントが異なる。
【0021】
より具体的には、4種類の別個の遠位端15はそれぞれ、ポリマー材料に埋め込まれ、次いでタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の遠位端15にオーバーモールドされた、異なるパーセンテージ又は濃度のエコー源性ビーズ23を有する。
図3に示されているのは、各タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の遠位端15の先端である。第1の(左端の)遠位先端には、エコー源性要素19が存在しない。換言すると、遠位端15は、エコー源性ビーズ23も他のエコー源性要素19も存在しない。左から2番目に示される画像は、カテーテル8の遠位端15にオーバーモールドされたポリマー材料に埋め込まれた5体積%の濃度のエコー源性ビーズ23を有する。左から3番目に示される画像は、カテーテル8の遠位端15にオーバーモールドされたポリマー材料に埋め込まれた10体積%の濃度のエコー源性ビーズ23を有する。最後に、右端に示される画像は、カテーテル8の遠位端15にオーバーモールドされたポリマー材料に埋め込まれた15体積%の濃度のエコー源性ビーズ23を有する。一例では、エコー源性ビーズ23のパーセント濃度は、カテーテル8の遠位先端又は遠位端15にオーバーモールドされたシリコーンに埋め込まれたエコー源性ビーズ23の約5体積%~約10体積%の濃度であり得る。
【0022】
1つ又は複数のエコー源性要素19のより高い又はより低い濃度が、必要に応じて又は要望通りに使用され得ることが理解されるであろう。様々な濃度の異なるエコー源性要素19が、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2上の、又はそれに沿った異なる位置に配置され得ることも理解されよう。これは、例えば、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のどの部分をユーザが組立体2の挿入及び配置中に超音波によって視覚化を向上又は増強したいかに依存し得る。1つの非限定的な例では、エコー源性要素19は、カテーテル8の長さに沿った1つ又は複数の位置に位置付けられ得る。これは、単一又は複数のエコー源性要素19であり得る。カテーテル8の縦方向本体9に沿った単一のエコー源性要素19は、サイズ又は直径がより大きくあり得る一方、複数のエコー源性要素19は、複数のエコー源性ビーズ23の形態で上に記載したようにタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の遠位端15に存在し得る。
【0023】
バルーン6などのタンポナーデ構造は、カテーテル8の遠位端15の近くに配置され、好ましくは、ゴム、シリコーン、ラテックス又は任意の他の拡張できる生体適合性材料などの拡張可能な材料で作製される。バルーン6の代わりに又はそれに加えて、拡張できるか又は他の方法で子宮腔4に外形が一致できる複数のアーム、管、ループ、メッシュ又は同様の構造などの他のタンポナーデ機構も使用され得る。全体的に
図6及び7に示すように、カテーテル8内の膨張用ルーメン14が、バルーン6の膨張及び収縮を可能にするように提供される。膨張用ルーメン14は、ドレナージ用ルーメン16と平行に延び得るが、好ましくは、2つのルーメン14、16は、それらの全長にわたり分離されたままであり、及びそれぞれのルーメンは、全体的に同じサイズとし、及び同様の内径を有し得るか、又は、その代わりに、それぞれの膨張用ルーメン14及びドレナージ用ルーメン16は、異なるサイズ、寸法及び/又は内径を有し得る。
【0024】
一例では、
図6及び7に示すように、ドレナージ用ルーメン16は、膨張用ルーメン14よりも大きい場合があり、その結果、ドレナージ用ルーメン16の内径は、膨張用ルーメン14の内径よりも大きく示されている。一実施形態では、ドレナージ用ルーメンの内径は約0.215インチであり得るが、より大きい又は小さい他の寸法が考えられる。さらに、一例では、隔壁又は分離壁18が、膨張用ルーメン14とドレナージ用ルーメン16を分離する。隔壁18の配置によって、膨張用ルーメン14及びドレナージ用ルーメン16のそれぞれが全体的に「D」字形状の横断面を有するようになる。しかしながら、それぞれのルーメンが、必要に応じて又は要望通りに、ほぼ同じ内径又は異なる内径を有し得るように、ルーメン14、16を分離する隔壁18を配置し得るため、それぞれのルーメン14、16の形状及び相対的なサイズは変化し得る。
【0025】
少なくとも
図1、6及び8に示すように、カテーテル8の近位端13は、分岐又はサイドアーム20を含み得る。或いは、上記の「Y」コネクタが使用される場合、これは、「Y」字接続の1つの分岐であり得る。
図6に断面で示すように、このサイドアーム20は、膨張用ルーメン14と流体連通している。様々な媒質、例えば水、食塩水、空気又は他の生理的適合性媒質が、膨張用ルーメン14を通して導入され、バルーン6の制御された拡張を容易にし得る。食塩水バッグ、食塩水充填シリンジ又は他の膨張源などの膨張源に接続されると、膨張用媒質が、サイドアーム20を通して膨張用ルーメン14に導入され得、カテーテル8のルーメンを通ってバルーン6内へと遠位方向に流れることができるようになるため、バルーンの拡張が容易となる。
【0026】
ひとたびバルーン6が患者の子宮4内に配置されたら、バルーン6は、膨張され得るか又は他の方法で拡張され得る。好ましくは、バルーン6は十分な順応性を有し、その結果、拡張されると、それが配置される腔の形状及び輪郭に全体的に一致し、収縮されると、頚部7及び膣5を(又は、帝王切開分娩の場合には、
図8に示すような腹部の切開部を)簡単に通過して除去されるようにプロファイルが十分に減少され得る。バルーン6が拡張し得るサイズ及び体積は、好ましくは、出血の制御が必要とされる体腔によって決定される。
図1に示すように、バルーン6は、好ましくは、十分な体積及び圧力で膨張されて、全体的に子宮腔4の輪郭に、より具体的には、子宮下部に一致するようにする。その後、膨張されたバルーン6は、子宮壁に全体的に均一な圧縮力又は圧力を加え、子宮の出血(bleeding)又は出血(hemorrhage)を実質的に減少させるか又はさらには止める。子宮壁に接触するバルーン表面の全て又は少なくとも一部分を、子宮出血の制御を強化又は支援し得る生体適合性材料、薬又は他の物質で被覆するか又は含浸させることも可能とし得る。1つの非限定的な例では、これは、筋収縮又は凝固促進薬、又はバルーン6の膨張/収縮を促す他の物質を含み得る。
【0027】
上述の通り、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、1つ又は複数の他の構成要素又は付属品を含み得る。一例では、これは、イントロデューサデバイス12を含み得る。イントロデューサデバイス12は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2と一体的に形成され得る及び/又はそれに結合され得る。それゆえ、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2とイントロデューサデバイス12の組み合わせ体は、パッケージから出してすぐに医師に提供され得る。或いは、イントロデューサデバイス12は、別々に提供される構成要素とし得、この構成要素は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の使用前又は使用中に、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のカテーテル8に挿入され、且つタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13に取り外し可能に結合され得る。
【0028】
図1、6及び8に全体的に示されるように、イントロデューサデバイス12はスタイレット10を含み、スタイレット10の近位端にはハブ22が配置され得る。スタイレット10は、カテーテル8に構造体又は追加的な剛性を提供し得、上述の通り、カテーテル内で一体的に形成され得るか、又はその代わりに、スタイレット10は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の使用前又は使用中に、医師によってカテーテル8に挿入され得る。好ましくは、スタイレット10は、
図6及び7に示されるようにドレナージ用ルーメン16内を、又はその代わりに膨張用ルーメン14を通って又はカテーテル8の追加的な若しくは別個のルーメンを通って、縦方向に延在する。1つの非限定的な例では、スタイレット10は、
図9及び10に示されるように中実ロッド又はマンドレルであり得る。しかしながら、スタイレット10は、必要に応じて又は所望通りに他の形状又は寸法であり得、例えばルーメンがその中を延びる中空管又はカニューレなどであり、これは子宮4などの体腔から排出する血液又は他の流体が流れ得る追加的なドレナージ導管を提供する。
【0029】
図4、5及び9に示されるように、一実施形態では、スタイレット10は、コラム強度を維持し及びカテーテル8を支えるために十分な剛性を提供するが、依然として患者の解剖学的構造を進むのに十分な可撓性を提供する金属、プラスチック及び/又は他の材料を含むロッド状構造体を含み得る。一例では、スタイレット10は、ステンレス鋼ロッドであり得る。スタイレット10は、他の金属、又は例えばニチノールを含む形状記憶合金を含む合金で形成され得ることも考えられる。スタイレット10は、近位端24、遠位端26、及び近位端24と遠位端26との間に配置された中央セクション28を有する。スタイレットの長さは、約47cm~約53cmの範囲、好ましくは約50cmであり得るが、必要に応じて及び要望通りに他の適切な長さが考えられる。スタイレットの外径は、約0.015インチ~約0.125インチであり得、一例では、好ましくは約0.04インチであり得る。スタイレット10が
図7に示すようにカテーテル8のドレナージ用ルーメン16内の所定の位置に留まっているときに、ドレナージ用ルーメン16を通って流れる流体及び/又は組織が同じくスタイレット10の外面の周りを効率的且つ自由に流れることができるように、最小外径を有するスタイレット10を提供することが有利である。一例では、スタイレットの外径は、ドレナージ用ルーメン16の内径の半分(50%)未満である。別の例では、スタイレットの外径は、ドレナージ用ルーメン16の内径の4分の1(25%)未満である。さらに別の例では、スタイレットの外径は、ドレナージ用ルーメン16の内径の10%未満である。さらなる例では、スタイレットの外径は、ドレナージ用ルーメン16の内径の5%未満である。
【0030】
したがって、スタイレット10は、出血を治療するためのタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の使用中、カテーテル8のドレナージ用ルーメン16内の適所に残され得る。換言すると、イントロデューサデバイス12は、流体を子宮腔4から排出できるようにするために、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のルーメンから除去される必要はない。しかしながら、必要な場合又は所望される場合、イントロデューサデバイス12は、使用中、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2から除去され、その後、カテーテル8のルーメンに再び挿入されて、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の再位置決めを支援し得、及び/又は出血が止まりタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の使用が完了したときの除去を支援し得る。意図する使用に対するスタイレット10のコラム強度、剛性、捻力、可撓性、及び柔軟性を含むがこれらに限定されない属性及び特性の所望の組み合わせを提供するためにスタイレット10の他の形状、寸法及び構造が必要に応じて考えられる。
【0031】
スタイレット10は、カテーテル8の全長又は長さの少なくとも一部分に延び、例えば、カテーテル8の遠位端15の開口部17に隣接した又はすぐ遠位の箇所まで延在し得るか、又は少なくとも、カテーテル8に縦方向の安定性を加えるように十分な長さで延在し得る。スタイレット10の十分なコラム強度は、押し込み性を提供しながら、カテーテル8の望ましくない折り畳み及び/又は曲げを減少させるか又は実質的になくし、また、経膣挿入(及び/又は帝王切開の切開部を通した挿入)の最中、及び、子宮4内でのバルーン6の位置決めの最中、縦方向の短縮、収縮及び/又は潰れに抵抗し且つそれを防止する。スタイレット10はまた、損傷、穿孔、裂傷又は外傷を引き起こさずに、患者の解剖学的構造の輪郭を進むために、十分な可撓性及び柔軟性を有する。
【0032】
少なくとも
図4~6に大まかに示されるように、イントロデューサデバイス12は、スタイレット10の近位端24にハブ部分22をさらに含み得る。ハブ22は、近位端30及び遠位端32と、その間に延在しルーメン40を画定する側壁34とを含む。一例では、ハブ22の外径は、ハブ22がスタイレット10に結合される場所又はその近くの遠位端32で約0.313インチであり得る。ハブ22の遠位端32は、スタイレット10の近位端24と一体的に形成され得るか、又はそれは別個に形成され、ボンディング、接着剤、及び/又は他の適切なアタッチメント機構などにより、スタイレット10に取り付けられ得るか、又はオーバーモールドされ得る。一例では、溶融ハブは、スタイレット10の近位端24上にオーバーモールドされ得る。一例では、スタイレット10の近位端24は、平坦化及び/又は拡大されて、
図6に示すようにハブ22がスタイレット10にオーバーモールドされるか又は別の方法で取り付けられ得るより大きな表面積を提供し得る。ハブ22は、スタイレット10の軸と同軸であり得るか、又はハブ22は、スタイレット10の近位端24からオフセット又は角度付けされ得る。
図4に示されるように、スタイレット10は、ハブの遠位端の一方の側又は壁から延び得る。ハブの側壁34は、概して均一な厚さを有し得るか、又は1つ又は複数の部分が他の部分よりも厚い様々な厚さを有し得る。例えば、スタイレット10が取り付けられていないハブ側壁34の部分は、スタイレット10が側壁34に取り付けられている部分よりも薄くてもよい。側壁34のより薄い部分は約0.068インチであり得る一方、スタイレット10がハブ22に取り付けられる側壁34のより厚い部分37は、約0.120インチであり得る。1つの非限定的な例では、ハブ側壁34のより厚い部分37は、スタイレット10の片側において約0.040インチ、さらにスタイレット10自体の厚さが直径0.040インチであり、次いでスタイレット10の他方側において約0.040インチの別の厚さを含み、合計の厚さは約0.120インチであり得る。したがって、
図4に示されるような斜視図でハブ22を見るとき、ハブ22の遠位端32は、約0.313インチの外径を有し得、その内訳は、0.068インチの側壁34のより薄い部分、さらにD字形ハブルーメン40の直径(約0.125インチであり得る)、さらにスタイレット10がハブ22に取り付けられるハブ側壁34の厚くされた部分37の0.120インチ厚さである。これらの寸法は例示であり、制限するつもりはなく、当業者が理解し得るように他の寸法が考えられる。ハブ側壁34の厚くされた部分37は、スタイレット10がハブ22に取り付けられるのに十分な取り付け領域を提供し得る。
【0033】
スタイレット10の遠位端26は、非外傷性先端39を含み得る。非外傷性先端39は、イントロデューサデバイス12がドレナージ用ルーメン16に挿入されるとき、スタイレット10の遠位端26でカテーテル8の内面をこする、突き刺す、引き裂く、又は損傷するリスクを低減又は排除する。一例では、スタイレット10の遠位端26は、ゴム、プラスチック又は他のエラストマー材料などのより柔らかい材料でオーバーモールドされ得、その結果、スタイレット10の遠位端26は、順応性があり、柔らかく、曲げることができ、したがって非外傷性である。別の例では、スタイレット10の遠位端26は、金属、プラスチック、ゴム、又は1つ若しくは複数の材料の組み合わせで形成された球、ディスク、ボール又はビーズ或いは他の同様の丸みを帯びた構造を含み得る。ボールは中実であり得るか、又はディンプルを含み得るか、又は「ホイッフルボール(whiffle ball)」構成と同様に1つ又は複数の穴がその中に形成され得る。
図9及び10に示されるさらに別の例では、スタイレット10の遠位端26は、ループ、リング、投げ縄又はアイレットタイプの構造を形成するために曲げられ得るか、又は丸くされ得る。
図9及び10に示されるアイレット形状の遠位先端39は、スタイレット10を形成するために使用されるのと同じ材料から形成され得るか、又は異なる材料又はそれらの組み合わせから形成され得る。
【0034】
一例では、ハブ22は、しなやかであり且つ他の構成要素又は継手(ドレナージ管44及び/又はドレナージ用継手42)とのシールを提供するのに十分に柔らかいが、使用中にイントロデューサデバイス12を患者に挿入する際に押し込み性を有するのに十分に剛性のデュロメータを有するポリマー成形品又は鋳造物を含むがこれらに限定されない、生体適合性エラストマーで形成され得る。ハブ22は、ウレタン又はシリコーンなどのポリマーで形成されてもよく、又はコポリマーで形成されてもよい。シリコーン及びゴム及び/又はプラスチックなどのエラストマーを含む他の材料を使用してハブ22を形成することもできる。一例では、ハブ22は、ナイロンブレンド(例えば、Pebax(登録商標)など)で形成することができる。ハブ22は、約25D~約40Dのデュロメータを有し得る。スタイレット10が取り付けられているハブ22のより厚い壁37は、異なる材料又は追加の材料で形成され、補強され、又はハブ22の他の部分とは異なるデュロメータを有することができると考えられる。これは、スタイレットの取り付けに対応するために、ハブ22のより強い、より頑丈な、又はより安定した部分を提供することができる。より厚い壁37は、ハブ22の近位端30及び遠位端32の間の全長又は全距離に延びることができ、又はより厚い壁37は、ハブ22の近位端及び遠位端の間を部分的にのみ延びることができる。
図6の一例に示されるように、より厚い壁は、ハブ22の遠位端32から近位端30に向かって終端し、そこでスタイレット10の近位端24に結合される。さらに、ハブ側壁34の厚くされた部分37は、ハブ22の円周の周りに部分的に延び得る。別の例では、厚くされた部分37は、ハブ22の少なくとも一部の全円周の周りに延びる。
【0035】
図4~6に示されるように、ハブ22の近位端30は、半径方向外向きにフレア状に広げられ得、その結果、半径方向内向きに先細になり得るハブ22の遠位端32よりも大きな外径を有する。ハブ22の外面の少なくとも一部に1つ又は複数のリブ、ねじ山又は隆起38が存在し得る。
図5に示される1つの非限定的な例では、複数の隆起38が、リング状の突起でハブ22の側壁の周りに延び、ハブ22の近位端30は、そのような隆起38のない、概して滑らかな表面を含む。隆起38は、イントロデューサデバイス12を操作するとき、及び/又はイントロデューサデバイス12のハブ22をカテーテル8の近位端13に挿入するとき又はそれから取り出すとき、ユーザの把持面を強化し得る一方で、概して滑らかな近位端30はまた、強化された安定性及び構造、並びに把持面を提供する。隆起の数、並びにそれらの形状、(不)連続性、及び相互の相対角度及びハブ22の縦軸との相対角度が一例として提供されているが、ここで本実施形態の範囲内に留まるが、非常に異なる視覚的外観を提供しながら、さらに他の構成が望ましい強化された把持機能を提供することを理解されたい。例えば、表面は、刻み付き表面;直線、ジグザグ、又は違った風に方向付けることができる長方形、六角形、又はその他の角のある幾何学的断面の円周方向又は非円周方向のリブ/隆起;凸面状及び/又は凹面状にくぼみが形成された表面;及び改善された把持機能を提供することが知られている他の表面構成など、示され、記載されている隆起の代わりに、又はそれに加えて、1つ又は複数の特徴を含むことができる。
【0036】
図6に示すように、ハブ22の先細にされた遠位端32は、好ましくは、カテーテル8の近位端13への取り外し可能な取り付け又は結合のための形状にされる。例えば、ハブ22の遠位端32の又はその近くのリブ付き外表面は、
図6に示すように、カテーテル8の近位端13に挿入され得る(又は他の方法で、かかり、ねじ山及び/又は他の対応する係合可能な面などによって、それに係合され得る)。このようにして、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2及びイントロデューサデバイス12は結合されて、ユニットとして一緒に動かされて、子宮4内へのタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の好都合にして効率的な挿入、位置決め及び再位置決めを実現し得る。ハブ22の遠位端32は、締り嵌め又は摩擦嵌合又はカテーテル8の近位端13内に配置された対応するねじ山、かかり若しくはシール面などによって、カテーテル8の近位端13内の適所に留まり得るが、それぞれの構成要素間の他の取り付け方法も使用され得る。
【0037】
ハブ22の中には少なくとも1つのルーメン40が形成され得る。ハブルーメン40は、近位ハブ端部30と遠位ハブ端部32との間のハブ22の任意の部分に形成され得るが、
図4及び
図6に示すように、ハブルーメン40は、ハブ22の近位端と遠位端の間に延在し、流体がハブ22を通って自由に流れることを可能にする。ハブルーメン40はまた、
図6に示すように、ドレナージ継手42がハブ22の近位端30に取り外し可能に取り付けられ得るアパーチャを提供する。一例では、ドレナージ継手42はかかり付き継手であるが、ハブルーメン40との取り外し可能な取り付けのための任意の継手を使用し得ることが考えられる。
【0038】
タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の使用中にドレナージ継手42を配置するためにルーメン40を提供する代わりに又はそれに加えて、ハブルーメン40はまた、カテーテル8の近位端13から延在する膨張用ポート又はサイドアーム20を受け入れるための開口部を提供し得る。サイドアーム20は、経腹的アプローチを介して子宮4にタンポナーデバルーンカテーテル組立体2を挿入している間、
図8及び
図11に示すように、摩擦嵌合又は締り嵌めなどによって、イントロデューサデバイス12のハブルーメン40内に取り外し可能に固定され得る。ハブ22は、ルーメン40に加えて、追加的なドレナージ点又は膨張点を可能にする、及び/又は
図6に示すように、イントロデューサデバイス12がタンポナーデバルーンカテーテル組立体2に結合されるときに、追加的な管又はカテーテルをハブ22に取り外し可能に取り付けて、カテーテル8と流体連通するように配置することを可能にする、他の開口部又はアパーチャを含み得る。
【0039】
バルーン6が子宮腔内で展開されると、子宮壁に接するバルーン6の外向きの力が、子宮4からのバルーン6の除去に抵抗するのを助ける。しかしながら、内部スタイレット10によってタンポナーデバルーンカテーテル組立体2のカテーテル8にもたらされた剛性は、カテーテル8の縦方向の潰れを低減及び/又は軽減し、少なくともバルーン6とイントロデューサデバイス12のハブ22との間に配置されたカテーテル8の部分が、構造的完全性及び縦方向長さを維持するようにする。これは、子宮4が不十分な大きさの頚部を通してバルーン6を「送達」しようとする(それゆえカテーテル本体9に対して近位方向に圧力を加える)場合、及び/又は医師が挿入する最中に子宮4内へとカテーテル8を押す(それゆえカテーテル本体9に対して、遠位方向に圧力を加える)ときなど、力が近位及び/又は遠位方向のいずれかに加えられるときの、長尺なカテーテル本体9の縦方向の収縮又は潰れを低減及び/又は軽減する。本質的には、スタイレット10は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の導入、位置決め及び使用の最中に、カテーテル8を支えるための足場を提供する。
【0040】
ここで、
図1及び8を参照すると、イントロデューサデバイス12による、Bakriバルーンカテーテルなどのタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の導入は、以下に記載される通りであり得る。子宮タンポナーデバルーンカテーテル組立体2が患者の体内に挿入される前、イントロデューサデバイス12は、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13に挿入され得、ハブ22がタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13に結合される。或いは、イントロデューサデバイス12がタンポナーデバルーンカテーテル組立体2に予め取り付けられている場合もあり、そのためイントロデューサデバイス12に結合されたタンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、パッケージから出してすぐにユニットとして使用準備が整っている。
図8及び11に示すように、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13にある膨張用ポート又はサイドアーム20は、ハブ22の近位端30に挿入され、子宮4内へタンポナーデバルーンカテーテル組立体2を挿入している間、摩擦嵌合又は締り嵌めなどによって、イントロデューサデバイス12のハブルーメン40内に取り外し可能に固定され得る。換言すると、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13のすぐ近位に配置されたイントロデューサデバイス12のハブ22によって、使用中にバルーン6が膨張するためのポートを提供するタンポナーデバルーンカテーテル組立体2のサイドアーム20は、ハブルーメン40に押し込まれて、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2を薄型及びコンパクトな送達構成に維持して、特に、
図8に示すような子宮への「ハブが最初の」経腹的挿入の最中、サイドアーム20が、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の導入を妨げるのを、又は組織に引っかかるのを防止し得る。
【0041】
経膣分娩に続いて、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、イントロデューサデバイス12がタンポナーデバルーンカテーテル組立体2のルーメン内の適所にある状態で、
図1に示すように、膣5を通って子宮4内へと「バルーンが最初に」挿入され得る。或いは、帝王切開分娩に続いて、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のルーメン内の適所でイントロデューサデバイス12に結合されたタンポナーデバルーンカテーテル組立体2は、
図8に示すように、腹部の切開部を通して「ハブが最初に」挿入され得る。ハブ22及びタンポナーデバルーンカテーテル組立体2の近位端13は、バルーン6の基部が内子宮口に接触するまで、膣管を通して引かれ得る。
【0042】
バルーン6が子宮4内のその所望の位置にある状態で、サイドアーム20は、ハブルーメン40内に押し込まれて保持されているその位置から除去され得る。その後、バルーン6は、カテーテル8の膨張用ルーメン14を通して生理学的に好適な流体を用いて膨張され得るか、又は他の方法で拡張され得る。十分に拡張されたバルーン6の形状は、全体的に、子宮4の内部、好ましくは子宮下部の形状に一致するため、子宮壁に対して圧縮力を加える。一例では、バルーン6は、200~500ミリリットルの食塩水で迅速に且つ注意深く膨張され得る。バルーン6は、必要な場合には、部分的に又は完全に収縮されて、再位置決めを可能にし得る。詰め物が膣5に追加されてもよいし、又はカテーテル8のシャフトに牽引力が加えられて、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2の効果を高めてもよい。
【0043】
イントロデューサデバイス12は、所望の場合には、使用中、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2のドレナージ用ルーメン16内の適所に留まり得る。子宮4からカテーテル8を通して近位方向に排出される血液又は他の流体は、ハブ22に形成されたルーメン40を流れ、且つハブルーメン40を通ってハブ22の近位端30から出てもよい。
図1及び6に示すように、ドレナージ管44は、ハブルーメン40に挿入され、且つ摩擦嵌合、締り嵌め又は他の好適なアタッチメント手段若しくは機構などによって、ハブルーメン40内の適所にぴったりと固定して保持されるドレナージ用アダプタ継手42によって、ハブルーメン40に取り外し可能に取り付けられる。ドレナージ用アダプタ継手42の挿入及び除去(並びに、上述のようなサイドアーム20の挿入及び除去)、及びユーザがハブルーメン40と流体連通して配置したいかもしれない任意の他の管、アダプタ、継手又は付属装置の挿入及び除去を容易にできるようにするために、ハブ22は、ユーザが、ハブルーメン40を開放するか又は広げるように少なくとも近位端30を締め付ける又は他の方法で操作することができるように、十分に曲げやすく且つ可撓性がある。しかしながら、ドレナージ用アダプタ継手42を適所に固定するための他の好適な機構が使用されてもよい。ハブ22を通して近位に排出される血液及び他の流体は、廃棄物収集バッグ11で収集されるために、ドレナージ用アダプタ継手42を通ってドレナージ管44内へと流れ続け得る。廃棄物収集バッグ11への流体の量及び流れは、出血が減少した又は止まったときを判断するために、監視され得る。医師によって判断されるように出血が適切に止まると、バルーン6は、バルーンを収縮させるためにドレナージ用ルーメン16を通して迅速に排出され得る。その後、タンポナーデバルーンカテーテル組立体2が患者から経膣的に除去され得る。
【0044】
本明細書を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「備える(comprise)」及び「含む(include)」という語、並びに「備える(comprising)」及び「含む(including)」などの変形例は、アイテム又はアイテム群の包含を暗示するが、他のアイテム及びアイテム群の除外を暗示しないことが理解される。
【0045】
本発明の様々な実施形態を記載してきたが、当業者には、本発明の範囲内でより多くの実施形態及び実施例が可能であることが明白である。さらに、様々な表示が本発明の範囲に関して与えられたが、本発明は、これらのいずれか1つに限定されるものではなく、これらの2つ以上が組み合わせられたものに存在し得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物を踏まえずに、限定されることはない。