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特開2023-71989バッテリの使用可能容量を決定するための能動インプラント型医療装置とその方法。
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  • 特開-バッテリの使用可能容量を決定するための能動インプラント型医療装置とその方法。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071989
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】バッテリの使用可能容量を決定するための能動インプラント型医療装置とその方法。
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/378 20060101AFI20230516BHJP
   A61N 1/362 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
A61N1/378
A61N1/362
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037031
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2020198055の分割
【原出願日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】1913604
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】510166157
【氏名又は名称】ソーリン シーアールエム エス ア エス
【氏名又は名称原語表記】SORIN CRM S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ベガン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】RFリンクを介してプログラマ、家庭モニタまたは他の任意の装置、特に外部装置と通信するために使用することができる、能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量の決定を最適化する方法を提供する。
【解決手段】心臓刺激装置のような能動インプラント型医療装置において、RFデータ伝送に必要なピーク電流を表す所定のパルス期間及び強度を有する電流負荷をトリガすることと、前記電流負荷によって生じた、バッテリの瞬間電圧降下dVBiの間に、前記バッテリの電圧VBiを測定することと、VBiを所定の閾値電圧VBSと比較することと、VBiがVBS以下である場合、他の装置へRFで警告メッセージを伝送することとを含む。前記警告メッセージは、RF通信ユニットがもはや使用できないことを示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信期間にわたってデータをRF伝送するためのRF通信ユニットを備える、心臓刺激装置のような能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能な容量を決定するための方法であって、前記能動インプラント型医療装置は、前記バッテリの使用可能な容量により前記RF通信ユニットを介してデータをRF伝送し、前記方法は、
a)RFデータ伝送に必要なピーク電流を表す所定のパルス期間及び強度を有する、定められた電流負荷をトリガするステップと、
b)前記定められた電流負荷によって生じた瞬間電圧降下dVBiの間に、前記バッテリの電圧VBiの測定を実行するステップと、
c)前記バッテリの前記測定された電圧VBiと所定の閾値電圧VBSとを比較するステップと、
d)前記バッテリの前記測定された電圧VBiが前記所定の閾値電圧VBS以下である場合に、別の装置に警告メッセージをRF伝送するステップと
を含み、前記警告メッセージは、前記RF通信ユニットがもはや使用できないことを示す、方法。
【請求項2】
前記電流負荷が、20ms未満の期間の電流ドローに対応する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)は、RF伝送中にピーク-ピーク値間で振動する前記バッテリの電圧の少なくとも1つの高ピーク電圧および次の低ピーク電圧の測定を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップb)は、さらに任意の電流負荷前に前記バッテリの開放回路電圧の測定を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電流ドローが、データのRF伝送の所定の期間の100分の1未満である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
データのRF伝送中に存在する最大電流に対応するピーク電流で前記電流ドローを生成する請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップa)~前記ステップd)は、定期的に実施される請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の閾値電圧VBSが、前記能動インプラント型医療装置から他の装置への少なくとも1つのRF伝送をさらに可能とする閾値電圧を示している請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の閾値電圧VBSが、前記能動インプラント型医療装置の前記RF通信ユニットの動作限界を表す制限電圧VBrefよりも高い請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電流ドローが、前記能動インプラント型医療装置のRFユニットを用いて生成される請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電流ドローの生成が、キャリア波の生成を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電流ドローの生成は、前記能動インプラント型医療装置と他の装置とのRF通信を開始するために接続スキャンチャネルを使用することを含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記電圧VBiに応じて前記バッテリの残留容量および/または残留寿命を決定するステップを含む請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
他の装置の要求に応じて、前記他の装置に前記電圧VBiをRF伝送するステップを含む請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電圧VBiに応じた自動モニタリングの許可または非許可のステップを含む請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の閾値電圧VBSを交差したことに続いて、前記能動インプラント型医療装置からのデータのRF伝送を停止する請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記電流負荷が、10ms未満の期間の電流ドローに対応する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記電流ドローが、データのRF伝送の所定の期間の1000分の1未満である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップa)~前記ステップd)は、毎日実施される請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記能動インプラント型医療装置と他の装置とのRF通信を開始するために、ブルートゥース(登録商標)プロトコルのプライマリチャネルを使用することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項21】
心臓刺激装置のような能動インプラント型医療装置であって、RF通信ユニット、バッテリおよびコントローラを備え、前記コントローラは、
RFデータ伝送に必要なピーク電流を表す所定のパルス期間及び強度を有する、定められた電流負荷をトリガすることと;
前記定められた電流負荷によって生じた、前記バッテリの瞬間電圧降下dVBiの間に、前記バッテリの電圧VBiを測定することと;
前記バッテリの前記測定された電圧VBiを所定の閾値電圧VBSと比較することと;
前記バッテリの前記測定された電圧VBiが前記所定の閾値電圧VBS以下である場合、他の装置へRFで警告メッセージを伝送することと;
を行うように構成され、ここで前記警告メッセージは、前記RF通信ユニットがもはや使用できないことを示す、能動インプラント型医療装置。
【請求項22】
請求項1から20のいずれかに記載の方法を遂行するように構成される、能動インプラント型医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に外部装置、非インプラント型装置と通信するために、高周波(RF)リンクを装備した能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量を決定するための方法と、ならびに、特に心臓刺激装置または神経刺激器のような、能動インプラント型医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
能動インプラント型装置は、別の装置、特に外部装置、例えば、医師に使われるプログラマ、家庭用モニタ、スマートフォンまたは任意の他の装置との通信を可能にするための高周波(RF)通信ユニットを含み得る。ここで、「通信」という用語は、他の装置からの応答の有無に関係なく、インプラント型装置と他の装置との間の何らかの通信を意味するものと理解されるべきである。
【0003】
RF通信機能を有する能動インプラント型医療装置を装着している患者にとって、この種の装置のバッテリの使用可能容量を決定することができることは極めて重要である。インプラント型除細動器の場合とは別に、インプラント型医療装置のバッテリは、治療を行う場合よりもRF通信の過程ではるかに高い電流にさらされる。したがって、RFリンクはもはや使用できないことを医療従事者に知らせる警告の引き金となる指標を定義することが必要である。実際、医師は、リモートで患者をモニタリングし続けるために、次いで医師が装置を取り替えることができるように、RF通信機能の崩壊を知らされる必要がある。
【0004】
製造者から提供されたバッテリに関するデータは、RF使用の実際の条件には対応していないことが知られている。このため、現状では、バッテリの容量がRFに十分であるかどうかを判断するためにデータを使用することはできない。実際、伝統的に提供されている情報は、開放回路電圧(または低負荷電圧または静止電圧)およびバッテリが大きな電流、例えば5mA~30mAにさらされたときの電圧に関するものであり、これはあらかじめ定められた期間にわたって安定する。これらのデータは、単独で使用されることもあれば、共同で使用されることもあるが、通信プロトコルにリンクした電流の大きな変動によって特徴づけられるRF通信時の動的電流プロファイルに適用することはできない。次いで、これらのデータに従うと、使用可能容量に重大な影響を及ぼすかなりのマージンが構築され、または事実上、使用可能容量を過大評価することにつながり、ある劣化のレベルを超えてRFを使用した場合に、能動インプラント型医療装置を損なうリスクを冒す。
【0005】
別の既知の方法は、所定の閾値に達しているかどうかをチェックするような方法で、RFによる通信中にバッテリの電圧またはインピーダンスを連続的に測定することからなる。バッテリの負荷は、本質的に、リモートモニタリングの間、または医師の存在下で行われる。このため、バッテリの状態が依然としてRFリンクを使用できるかどうかを知るには、RF通信による患者の次回検査を待つだけでは十分ではない。実際、2回の検診の間には、数カ月から1年もかかる可能性がある。これは、検査が行われると、能動インプラント型医療装置の性能が劣化する可能性があるという事実につながる可能性があり、したがって、バッテリはその負荷をサポートすることができなくなるか、または実際には閾値に達するとすぐにRFリンクが中断される可能性がある。
【0006】
RFリンクの使用制限が推奨される交換時間(RRT)と一致する場合、能動インプラント型医療装置が問診されるたびに、残留寿命を正確に定義する必要がある。この残留寿命指標は、バッテリの消耗レベルの評価に依存する。したがって、医師および患者にRFの使用のために最適化された寿命を保証しながら、毎日または毎週のように、信頼でき、利用可能であり、非常に定期的に更新される指標を有することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、RFリンクを介してプログラマ、家庭モニタまたは他の任意の装置、特に外部装置と通信するために使用することができる、能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量の決定を最適化する方法を定義することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、能動インプラント型医療装置、特に心臓刺激装置のバッテリの使用可能容量を決定するための方法であって、通信期間にわたってRFによってデータを伝送するための高周波(RF)通信ユニットを含み、ここで、能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量がRF通信ユニットを介してRFによってデータを伝送することを可能にし、前記方法は、
a)前記装置のバッテリに生じた電流負荷の結果として生じる前記バッテリの瞬間電圧降下dVBiを表す前記バッテリの電圧VBiの値を測定するステップと、
b)バッテリの電圧VBiと所定の閾値電圧VBSとを比較するステップと、
c)バッテリの測定電圧VBiが所定の閾値電圧VBSを超える場合に、別の装置に警告メッセージを伝送するステップ、と
を含む方法の手段によって達成される。
【0009】
本発明は、負荷が始まるときの電圧の瞬間的な低下が、バッテリの容量を決定するのに十分な情報を提供するという事実を利用する。したがって、この方法は、特に、使用可能容量を著しく減少させる製造業者のデータに由来するかなりのマージンを省くことによって、能動インプラント型医療装置のバッテリの使用の寿命を延長するために使用することができる。測定された瞬間的な低下は、特にバッテリの抵抗部分に関連している。
【0010】
能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量を決定するための方法に関する本発明は、以下の実施形態の手段によってさらに改良され得る。
【0011】
一実施形態によれば、負荷は、20ms未満の期間、特に10ms未満の電流ドロー(すなわち、バッテリからの電流の引き出し、又はバッテリから引き出された電流)に対応してもよい。
【0012】
このように、データの伝送に必要な通信の期間より短い期間を有するパルスを適用することにより、バッテリの使用可能容量を決定することが可能である。このため、使用可能容量を決定するために、RFによるデータの完全な伝送を使用する必要はない、すなわち、医師の存在下での検査またはリモート検査の間にRF通信を使用すること、さらには、1年に1回のみ実施すればよい。
【0013】
一実施形態によれば、ステップa)は、RF通信中にピーク-ピーク値の間で振動する、バッテリの電圧の少なくとも1つの高ピーク電圧および次の低ピーク電圧の測定を含んでもよい。
【0014】
したがって、例えば、ブルートゥース(登録商標)プロトコルに従った「アドバタイズ」の間、またはデバイスと任意の外部装置との間の定期的な交換の間の、インプラント型デバイスのRF通信の任意のタイプが、バッテリの状態を決定するために使用され得る。高い値と次の低い値との間の瞬間的な低下は、バッテリの所与の消耗(depletion)状態に対して実質的に一定であるバッテリの抵抗部分に主にリンクされるので、高い値および低い値の決定はいつでも行うことができる。
【0015】
一実施形態によれば、ステップa)はさらに、任意の負荷前にバッテリの開放回路電圧の測定を含むことができる。
【0016】
したがって、伝送中に高ピークおよび低ピーク電圧が測定されても、所定の閾値電圧VBSとの比較を行うことができるようにするために、開放回路電圧の測定を使用して測定を正規化してもよい。
【0017】
一実施形態によれば、前記電流ドローは、データの伝送の所定の期間の100分の1未満であってもよく、1000分の1未満であってもよい。
【0018】
したがって、バッテリはその使用可能な容量を決定するために、わずかに負荷されているに過ぎない。
【0019】
一実施形態によれば、電流ドローは、RFデータの伝送中に存在する最大電流に対応するピーク電流で生成されてもよい。
【0020】
したがって、得られた状況はデータの伝送に匹敵し、これにより、バッテリが依然としてRFを介してデータを伝送することができるかどうかを判定する方法の信頼性をさらに高めることができる。
【0021】
一実施形態によれば、前記能動インプラント型医療装置のバッテリの電圧VBiを測定するステップは、特に毎日、定期的に実施することができる。
【0022】
このように、バッテリの電圧VBiはより定期的に測定可能であり、寿命の予測は評価可能であり、リモートで行われても病院環境で行われても、各質問に対して利用可能である。さらに、電流ドローは短い期間なため、バッテリの寿命に及ぼす影響は無視できる。実際、これは、RFによるデータの伝送と等しい期間の電流ドローを受けるバッテリの電圧を定期的に測定することの疑問ではないことは明らかである。したがって、デバイスの寿命は、いかなる実質的な方法でも損なわれない。
【0023】
一実施形態によれば、所定の閾値電圧VBSは、前記能動インプラント型医療装置から他の装置、特に別の、非インプラント型の外部装置へのRFによるデータの少なくとも1つの伝送を依然として可能にする閾値電圧を表すことができる。
【0024】
したがって、少なくとも1つの警告メッセージは、別の装置、特に外部の非インプラント型装置に依然として伝送することができる。次に、このバッテリの枯渇状態を医療従事者に警告することが可能である。
【0025】
一実施形態によれば、所定の閾値電圧VBSは、前記能動インプラント型医療装置のRF通信回路の動作限界を表す制限電圧VBrefより高くてもよい。
【0026】
したがって、この方法は、RFリンクがもはや使用できなくなる前に、少なくとも警告メッセージの伝送を保証する安全域を提供する。
【0027】
一実施形態によれば、電流ドローは前記能動インプラント型医療装置のRFユニットを用いて生成され得る。
【0028】
したがって、本発明は、電流ドローに必要な電流専用の補給源を用いずに実施することができる。
【0029】
一実施形態によれば、電流ドローの生成は、RFデータの伝送に必要な機能の少なくとも一部の活性化を伴う、または伴わないキャリア波の生成を含むことができる。
【0030】
このため、RFデータの伝送中に必要なピーク電流を発生する素子を起動することにより、RFユニットを介して電流を供給することができる。したがって、この方法を用いて、RFデータの伝送中に存在する電流に匹敵する電流を生成することができる。
【0031】
一実施形態によれば、電流ドローの生成は、前記能動インプラント型医療装置と他の装置とのRF通信を開始するために、接続スキャンチャネル(特にブルートゥース(登録商標)プロトコルのプライマリアドバタイズチャネル)を使用することを含む。
【0032】
このため、電流ドローは、電流がRF通信中のピーク電流の代表であることを条件として、接続スキャンプロトコルにすでに存在するものの1つである可能性がある。これはまた、能動インプラント型医療装置の装着者の環境に存在する通信に中断がないことを保証する。
【0033】
一変形実施例によれば、この方法は、測定電圧VBiの関数としてバッテリの残留容量および/または残留寿命を決定するステップを含むことができる。
【0034】
これは、電圧VBiを、能動医療装置のメモリに保存された表と比較することによって行われることがある。残留寿命を判定するために、過去のバッテリの使用を考慮に入れてもよい。
【0035】
一実施形態によれば、この方法は、残留容量および/またはバッテリの残留寿命の関数としてメッセージの伝送を含むことができる。
【0036】
したがって、メッセージが伝送され、これは、ユーザまたは処理担当者が、RFによるデータの伝送がどれだけ長く可能になるかを知ることができることを意味する。
【0037】
一実施形態によれば、この方法は、他の装置および/またはユーザの要求に応じて、値VBiを他の装置に伝送するステップを含むことができる。
【0038】
したがって、残留容量および/または残留寿命は、能動医療装置の外部でも確立される可能性がある。これにより、能動インプラント型医療装置におけるメモリおよび計算能力の必要性が低減され、これにより、装置のエネルギ消費および体積が低減されることが可能になる。
【0039】
一実施形態によれば、この方法は、VBiの関数として自動モニタリングを許可するか否かのステップを含むことができる。
【0040】
使用者の健康状態に応じて、医師は、RFまたはその他によるデータの伝送を許可するような方法でインプラント型医療装置をプログラムすることができる。伝送が必要でない患者の場合、この機能は使用されず、バッテリの寿命を延長できることを意味する。しかし、ユーザの健康状態の悪化に続いて、医師はRFによるデータの自動伝送を使用すべきであると判断することができる。この時、VBiの値が既に閾値VBSを下回っていれば、装置の誤作動を防止するためにRF機能の使用をブロックすることになる。
【0041】
一実施形態によれば、能動医療装置からのRFデータの伝送は、所定の閾値電圧VBS超えた後に中断することができる。
【0042】
したがって、能動医療装置は、推奨される交換時間などの、別のパラメータに到達するまで、この機能なしで依然として使用されることがある。
【0043】
本発明の目的はまた、バッテリ、RFユニットおよびコントローラを含むRFリンクを装備した能動インプラント型医療装置の手段によって達成される。コントローラは、上記の方法を実行するように構成されている。
【0044】
このように、RFデータの伝送に必要な通信の期間よりも短い期間のパルスを適用することにより、バッテリの使用可能容量を決定することが可能である。このため、使用可能容量を決定するために、RFデータの完全な伝送を起動する必要はない、すなわち、これに加えて年に1回のみの実施で、リモートモニタリング中に、または医師の存在下でのモニタリング中にRF通信を使用することができる。言い換えれば、本発明の能動インプラント型医療装置の手段によって、データ伝送が依然として可能か否かを判断するためにRF通信を確立する必要はない。さらに、電流ドローの期間は、RFによるデータ伝送の期間よりも短いため、バッテリの寿命への影響は無視できる。したがって、特に、使用可能容量に重大な影響を及ぼす、製造業者のデータに由来するかなりの限界を取り除くことにより、能動インプラント型医療装置のバッテリ寿命を延ばすことが可能である。
【0045】
本発明およびその利点は、以下で、好ましい実施形態、特に以下の図を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量を決定するための本発明による方法の構成図を表す。
図2】本発明による能動インプラント型医療装置を表す。
図3】RFデータの伝送中に電流が流れたときの、バッテリ内の電圧を表すグラフである。
図4】RFデータの伝送を表す期間、平均電流の関数としてのバッテリの電圧を表すグラフである。
図5】RFデータの伝送を表す期間にわたって電流が流れたときの平均電流の関数としてのバッテリの電圧と、RFデータの伝送開始時に測定がなされなかったときのdVBiの決定を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
RF通信機能を有する能動インプラント型医療装置のバッテリが、RFデータの伝送に必要な電力を依然として供給可能であることを確実にするために、本発明は、バッテリ自体にそれほど負荷を掛けることなく、例えば毎日、バッテリの状態を定期的にチェックするために使用することができる方法を提案する。RF伝送のための条件は、典型的にはあらかじめ決められており、伝送速度、伝送されるメモリプールの大きさおよび通信の期間が知られている。RF通信には、例えば、通信が必要かどうかを確認するために、数ミリ秒から数十ミリ秒の間、短い通信による定期的なウェイクアップ(例えば、ブルートゥース(登録商標)標準規格の「アドバタイズ」モードを使用)など、様々な種類がある。RFによる通信はまた、他の装置と通信するか否かを示すためにメッセージを伝送するように示すことがある。それは、1秒未満の期間でのデータの伝送の通信であることがある。最後に、数十秒続く可能性があるデータの伝送との通信である可能性がある。
【0048】
能動インプラント型医療装置のバッテリの使用可能容量を決定するための本発明の一実施形態による方法は、図1の構成図の助けを借りて説明されるであろう。
【0049】
本発明による方法10の第1ステップ12の間に、期間Δtpulseと、能動インプラント型医療装置からのRFによるデータの伝送によって必要とされるピーク電流を表す強度を有する規定された電流ドローがトリガされる。電流ドローは、20ms未満、特に10ms未満の期間Δtpulseを有し、その結果、バッテリ電圧の瞬間的な低下に実質的に対応するのに十分に短くなる。
【0050】
したがって、電流ドローの期間はRFデータの伝送の期間よりも短い。刺激装置のRFデータの典型的な伝送では、電流ドローの期間はRFデータの伝送の期間の100分の1よりも短く、1000分の1より短いこともある。
【0051】
本発明による方法10の第2ステップ14の間に、ステップ12でトリガされる電流ドローの終わりに、バッテリのVBi(図上でVBiとしても示される)を測定する。この電圧はバッテリに負荷を掛けた後のバッテリの瞬間的な低下を表す。
【0052】
本発明による方法10の第3ステップ16の間に、測定された電圧VBiをバッテリの所定の閾値電圧、VBS(図上でVBとしても示される)と比較する。
【0053】
電流ドローの終わりに測定された電圧VBiが、バッテリに対する所定の閾値電圧VBSよりも大きい場合、これは、能動インプラント型医療装置のバッテリが、RFによるデータの伝送を保証するために使用可能な容量を依然として有することを意味する。この閾値を越えるとすぐに、RFによるデータの完全な伝送はもはや保証できない。矢印18によって示されるように、次に方法10はステップ12に戻る。ステップ12は、例えば1日1回、近接する間隔で繰り返すことができる。
【0054】
注意すべきことであるが、バッテリに対する所定の閾値電圧の値VBSは、バッテリの寿命の間中固定される。従って、バッテリ、VBSに対する所定の閾値電圧の値を後に決定する必要はない。
【0055】
電流ドローの終わりに測定された電圧VBiがバッテリの所定の閾値電圧、VBSと同等またはそれ以下である場合、医療従事者またはユーザに、閾値VBSが推奨される交換時間と同じであるか否かに応じて、バッテリがバッテリの所定の閾値電圧、VBSに達し、インプラント型医療装置の交換を必要である、または必要ではないことを警告するために、警告メッセージがステップ20の間に伝送される。
【0056】
一変形実施例によれば、電圧VBiは、RFの使用のためのバッテリの残留容量を決定するための基準として作用してもよく、したがって、電圧VBSに到達する前のRFの使用のための残留寿命を決定するための基準として作用してもよい。
【0057】
電圧VBiが定期的に測定されることを考慮すると、例えば毎日、この残留寿命は利用可能であり、これが医師の存在下で実施されるか、リモートで実施されるかにかかわらず、能動インプラント型医療装置が問診されるたびに更新される。したがって、値VBiは、表から、またはアルゴリズムから、残留容量および/または残留寿命を決定し得る別の装置に伝送され得る。一変形実施例によれば、残留容量または残留寿命は、能動医療装置においても決定される可能性がある。
【0058】
RFの使用を中止することが推奨される交換時間と一致する場合、電圧VBiは、能動インプラント型医療装置の残留寿命指標の基準として作用する可能性があることに留意すべきである。
【0059】
RFの使用を中止しても推奨される交換時間と一致しない場合、閾値を越えるとRF機能が停止することになる。ただし、推奨される交換時間までは、能動医療装置を使用することは可能である。ユーザの健康状態が許せば、それでも装置を使用でき、それによって装置を変更しなければならない時間を遅らせることができる。
【0060】
電圧VBiを使用する別の方法によれば、電圧VBSに到達することはまた、それまではなかった装置の将来のリモートモニタリングのプログラミングを許可しないように作用する可能性がある。
【0061】
RFデータの伝送に等しい期間で流れ出される電流にさらされるバッテリの電圧を周期的に測定する必要がないため、使用可能な容量の決定は、バッテリの寿命に与える影響がより少ない。実際、電流ドローは、RFデータの伝送の期間と比較して短い期間であるため、このタイプの電流ドローがバッテリの寿命に及ぼす影響は無視できる。さらに、この方法10は、例えば毎日定期的な測定を行うために使用することができ、必要な場合に能動インプラント型医療装置の緊急でない交換に使用することができる。
【0062】
本発明はまた、バッテリ、RFユニットおよびコントローラを含むRFリンクを装備した能動インプラント型医療装置に関する。コントローラは、図1を参照して記載された方法10に従って、使用可能容量を決定するように構成されている。
【0063】
図2は、本発明に従って構成された、このタイプの能動インプラント型医療装置20を例示する。能動インプラント型医療装置20は、高周波RFタイプと他の装置、特に別の外部装置22とのワイヤレスリンクを生成できるように構成されている。インプラント型医療装置20は、心臓刺激装置または神経刺激装置であってもよい。もう1つの装置、特にもう1つの外部装置22は、臨床医、家庭でのモニタリングまたは任意の他の装置によって使用されるプログラマであってもよい。
【0064】
能動インプラント型医療装置20は、他の装置、特に他の外部装置22との通信を可能にする高周波ユニット(RF)24を備える。それは、RF通信を可能にするためのバッテリ26を備える。バッテリ26はまた、1つまたはそれ以上の電極29を管理するコントローラ28を介して生成された治療を行うのに必要なエネルギを供給する。加えて、能動インプラント型医療装置20は、以下に記載する方法10に従ってバッテリ26の状態を決定するために構成されるコントローラ30を含む。したがって、バッテリ26の状態は、期間が20ms未満、特に10ms未満である期間Δtpulseを伴う短い電流ドローの手段によって決定される。この期間Δtpulseは装置20からのRFデータの通常の伝送の期間よりも短く、他の装置、特に他の外部装置22へデータを伝送するために使用される期間よりも短い。
【0065】
有利な変形実施例によれば、電流ドローは、前記能動インプラント型医療装置20のRFユニット24を使用することによって実装され得る。この場合、電流は、RFデータの伝送中に必要なピーク電流を生成する要素を活性化することによって、RFユニット24を介して供給される。関心は、同一の電流を発生させ、補足的な電流源を要求する必要がないことである。ピーク電流は、キャリア波を発生させ、他の機能を活性化することによって得られ、RFデータの伝送中に有意な電流を必要とする。
【0066】
別の変形実施例によれば、コントローラ30は、通信プロトコル、特に接続スキャンプロトコルを使用して電流ドローを生成するように構成される。このため、方法10は、能動インプラント型医療装置20において既に利用可能な特徴を備えて実施され得る。
【0067】
図3は、時間の関数として、またRFデータの伝送開始を表す電流ドローにさらされるバッテリの電圧を表すグラフを示す。
【0068】
例えば、適切なブルートゥース(登録商標)プロトコルまたは任意の他のRF通信プロトコルを使用することによって、RFデータ伝送の動的な電流ドローレジームにさらされたときのバッテリの動作は、電流ドローのたびに瞬間的な電圧降下をもたらし、これは、一般にバッテリに接続されるフィルタリング容量の関数として、多かれ少なかれ顕著である。この瞬間的な低下は、主に、バッテリの所定の消耗状態に対して一定であると考えられるバッテリの抵抗部分にリンクされる。
【0069】
図3から分かるように、バッテリVBの電圧は、RFデータの伝送中に、高いピーク電圧VBihighと、それに続く低いピーク電圧VBilowとの間で振動する。
【0070】
RF通信またはRFデータの伝送に伴って徐々に低下することも観察されるであろう。このように、バッテリの電圧のプロファイルは、これらの瞬間的な電圧降下を生じさせるピーク電流とも呼ばれるより高い電流と、緩やかな電圧降下の基本であるRFデータの伝送を生じさせるために供給される平均電流とにリンクされる。
【0071】
図3においてdVBiと表記された瞬間的な相対的電圧降下(図面においてdVBiと表記されてもいる)は、RFデータの伝送を通して各電流において発生する。したがって、時刻t=0でバッテリに負荷を掛けた瞬間の瞬間低下dVBiは、少し遅れて、例えば0.4sまたは1.65sで、同じである。このように、RFデータの伝送終了時に到達するバッテリ電圧は、瞬間的な低下の原因となる瞬間的な電流と、その緩やかな低下の原因となる平均電流に依存する。このようにして、2つのパラメータを定義することができる。すなわち、図3に示されている第1のパラメータは、短い単一の電流ドローの終了時におけるバッテリの電圧であり、ピーク電流中の瞬時電圧降下dVBiを表す。第2のパラメータは、ピーク電流に等しいRFデータおよび電流の伝送に等しい、所定の期間を有する単一の電流ドローの終了時における電圧であり、これは、図4および図5に関してより詳細に説明される。
【0072】
ここで、第1のパラメータに関して、「短期電流ドロー」という用語は、期間を意味すると理解する必要があり、これは少なくとも電流ドローの期間に等しく、バッテリ電圧の瞬間的な低下、すなわち1msの状態で、そして最大でも20msを超えない期間を意味するものと理解されるべきである。これを越えると電圧の低下はより高くなり、ますます代表的ではなくなる。
【0073】
心臓刺激装置のような能動インプラント型医療装置のためのRFデータの伝送中の最大ピーク電流の典型的な値は、5mA~30mAの状態である。平均電流は、2mA~10mAの状態であり、インプラントのメモリに保存されたデータの完全転送のためのRF通信の期間は、10s~60sの状態である。
【0074】
図4は横座標に沿ったRFデータの伝送中にバッテリから引き出される平均電流の強度の関数として、およびバッテリの消耗の関数として、縦座標までの定義された期間にわたるRFデータの伝送の終了時におけるバッテリの電圧を表すグラフを示す図である。RFデータの伝送終了時の電圧と平均電流の関係は、第1近似値に対して線形である。
【0075】
図4において、i=1~nの電圧VBiは、バッテリの負荷後の瞬時電圧低下後のバッテリの電圧に相当する。
【0076】
短い電流ドローに対しては、RFデータの伝送の期間に関する電流は無視できるので、瞬間的なドロップを横座標の原点に置くことができる。その後、VBiは、期間Δtpulseで定義された短い電流ドローの終わりに測定された電圧に対応する。
【0077】
対照的に、平均電流が高いほど、ピーク電流に近づく。線形近似値により、直線をピーク電流(IBpeak)に対応する点に拡張した。したがって、この点は、電流が一定であり、ピーク電流と等しいRFデータの伝送の期間のための電流ドローに相当する。
【0078】
図4のグラフ上の座標(IBpeak;VBipeak)を有する点Ai,i=1~nは、RFデータの伝送のそれと等しい期間を有する電流ドローに対応し、伝送の平均電流はピーク電流IBpeakに等しい、すなわち、RFデータの伝送のために所定の期間の全体にわたって、バッテリが供給する最大瞬間電流に等しい。
【0079】
装置のRF通信のパラメータ化に依存して、平均電流は、従って、2つの制限値l=0とI=IBpeakの間にある。第1の近似値として、バッテリの電圧は、2つの極端な点Aiと(0,VBi)を結ぶ直線上にある。
【0080】
バッテリの消耗に応じて、プロットVBi(Imean)は、矢印と点Aiおよび(0,VBi)で定義される2番目の直線で示されるように、徐々に下方に変位する。電圧降下VBiが低下するにつれて、消耗の関数としての電圧降下VBipeakがより大きくなることが観察される。このことは、あるレベルの消耗から、RFデータ動作の伝送がもはや保証されなくなるバッテリの制限電圧に到達することを意味する。したがって、能動インプラント型医療装置の良好で信頼性のある動作の予測、およびバッテリの使用可能な容量の最適化が本発明の目的である。
【0081】
本発明は、バッテリの製造者が、所与のピーク電流と、短い電流ドローに対応する期間及び所与のデータ伝送期間に対応する期間に対応する、バッテリ電圧の変化を提供できるという事実、従って、値VBiおよびAiを提供することができるという事実に基づいている。これらの製造業者のデータにより、バッテリの消耗の関数として、図4に示されている直線VBi(Imean)を得ることが可能である。また、高周波データの伝送動作が保証される制限電圧(VBref)と平均電流(IBref)に対応して、AS(図中にも示すように)およびVBSで規定される直線が点BS(図中にもBsで示す)を通過するバッテリの消耗レベルを規定することが可能となる。
【0082】
刺激装置からのRF型データの伝送のための平均電流IBrefは、実験的に決定され得る。さらに、所定のインプラント型医療装置の設計は、適切な動作のために、特にRFリンクを確実にするために必要な制限電圧VBrefを規定できることも意味する。この電圧は、実験的に決定することもできる。これらの値は次に図4に示した点BSを決定する。
【0083】
電圧と平均電流の間の線形依存性があると仮定すると、点ASとBSを通る直線VBS(Imean)を横座標の原点に向かって外挿すると、短い電流ドローを通しても超えられない限界電圧VBSが得られる。
【0084】
したがって、ここでは、バッテリの使用可能な容量がまだ十分であるかどうかを判定するために、短い期間、すなわち。Δtpulseの短い電流ドローの終わりに測定されたバッテリの電圧を表す電圧VBiと、バッテリの制限電圧VBSの閾値とを比較することで十分である。VBiを判定できるようなるためのバッテリへの負荷が非常に短いため、例えば毎日定期的かつ頻回に検査を行うことができる。
【0085】
所要のエネルギが与えられれば、閾値電圧VBSを決定できるようにするために、能動インプラント型医療装置で使用される各バッテリについての点ASを考慮に入れるために、VBipeakを定期的に測定することは、想定できない。同じタイプの能動インプラント型医療装置について、複数のバッテリについて共通閾値を確立する方が有利である。したがって、各装置についてVBSpeakをさらに測定する必要はない。
【0086】
安全上の理由から、直線VBS(Imean)を確立するために選択された電圧VBSpeakは、同じタイプの一連のバッテリで測定された同じピーク電流IBpeakに対して低い電圧を持つ電圧VBpeakに対応する。言い換えると、基準として考慮される電圧VBSpeakは、安全マージンを導入するために「最悪の場合」バッテリに対応する場合がある。このバッテリは、点BSを通過する直線VBS(Imean)を有し、そして最大の減少を有する。
【0087】
基準直線VBS(Imean)によって定義されるバッテリの閾値電圧VBSは、バッテリアセンブリの基準点として機能する。基準直線VBS(Imean)によって導入される安全マージンのため、バッテリの閾値電圧VBSは、短い電流ドローの測定中に閾値電圧VBSに到達した瞬間に、バッテリの制限動作電圧VBrefに到達することができないことを意味する。実際、バッテリの消耗のレベルによっては、短い電流ドローの終わりにバッテリVBiの測定電圧が、値VB1から値VBSまで低下することになり、これにより、RFデータの伝送の終わりに到達したバッテリ電圧が、VBrefを上回ったままであることが保証される。点Aiと点(0;VBi)を結ぶ連続した直線は、横座標に向かって下降し、バッテリの消耗の関数として基準直線VBS(Imean)に近づくような方法で変位されるであろう。閾値電圧VBSに到達した時点で、能動インプラント型医療装置から別の装置、特に別の外部非インプラント型装置へ、RFによるデータの一層の伝送を行うことが可能であろう。これは、RFデータの伝送であることが好ましく、RFデータは、全ての有用な情報を伝送することを可能にし、特に、メモリに存在するデータの伝送を可能にする。代替案に従い、バッテリのこの段階の消耗を医療従事者に警告するためにも、警告メッセージとなり得る。
【0088】
このため、基準直線VBS(Imean)によって導入された安全域は、RFデータまたはRFリンクが、もはや使用できなくなる前に伝送される警告メッセージを少なくとも保証する。電圧VBSは、複数の能動インプラント型医療装置に対する、所定の閾値電圧の基準として作用することに留意されたい。したがって、各装置についてVBSを再定義する必要はない。
【0089】
図5は、RFデータの伝送を表す期間にわたって電流が流れ、測定がRFデータの伝送開始時にもVBiの測定に特有の電流負荷によっても行われない場合の、バッテリの電圧を平均電流の関数を表すグラフを示す図である。
【0090】
上述のように、図3でdVBiと表記されている瞬間的な電圧降下は、RFデータの伝送全体を通して各電流ドローで見出される。したがって、時刻t=0でバッテリに負荷を掛けた瞬間の瞬間降下dVBiは、少し遅れた0.4sまたは1.65sと同じである。
【0091】
したがって、代替案に従って、図1および図2に関して記載されている方法は、RFデータの伝送中の任意の瞬間的な降下でも実施することができる。RFデータの伝送中に、例えば、図3の0.4sで、高いピーク電圧'VBihigh'と、高い値と低い値の間で振動するバッテリ電圧VBの次の低ピーク電圧'VBilow'とを測定することによって、値dVBiも決定することができる。これに対して、VBGiという値は、測定時のバッテリの開放回路電圧、VBiという値を得るためにも考慮しなければならない。実際、VBi=VBGi-(VBihigh-VBilow)である。
【0092】
図3から分かるように、開放回路電圧VBGもバッテリの消耗状態の関数として降下する。
【0093】
誤差の限界を小さくするためには、RFデータの伝送中にdVBiを数回測定し、高い値を通過するエンベロープEhと低い値を通過する別のエンベロープElを決定し、両者の距離を求めることも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5