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特開2023-72アート作品取引システム、アート作品取引方法、およびアート作品取引管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000072
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】アート作品取引システム、アート作品取引方法、およびアート作品取引管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20221222BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20221222BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
G06Q20/38 310
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100674
(22)【出願日】2021-06-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】518442491
【氏名又は名称】株式会社TRiCERA
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】井口 泰
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB23
5L055AA71
(57)【要約】
【課題】アーティストの利便性を向上させ、アート作品の流動性を向上させること。
【解決手段】アート作品取引システム1は、アート作品取引システム1の登録ユーザが使用するユーザ端末30と、ブロックチェーンネットワーク50と、アート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置10と、アート作品の所有権に関する所有権トークンを管理する所有権トークン管理装置40と、を備えている。アート作品取引管理装置10は、登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行う。所有権トークン管理装置40は、出品登録されたアート作品に対応する所有権トークンを発行し、発行した所有権トークンをブロックチェーンネットワーク50へ出品する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アート作品取引システムの登録ユーザが使用するユーザ端末と、
ブロックチェーンネットワークと、
アート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置と、
前記アート作品の所有権に関する所有権トークンを管理する所有権トークン管理装置と、
を備え、
前記アート作品取引管理装置は、前記登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行い、
前記所有権トークン管理装置は、出品登録された前記アート作品に対応する前記所有権トークンを発行し、発行した前記所有権トークンを前記ブロックチェーンネットワークへ出品する、
アート作品取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記所有権トークンは、および前記所有権トークンの所有権者を特定する情報、および前記所有権トークンの取引履歴の情報を含み、
前記所有権トークンの取引が成立すると、前記所有権トークンの前記所有権者を特定する情報、および前記所有権トークンの前記取引履歴の情報が更新される、
アート作品取引システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記ユーザ端末は、前記アーティストにより入力された出品希望アート作品情報を前記アート作品取引管理装置へ送信し、
前記アート作品取引管理装置は、前記出品希望アート作品情報に基づいて、出品希望アート作品に対応する前記所有権トークンの発行を指示し、前記出品希望アート作品の出品登録を行う、
アート作品取引システム。
【請求項4】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記アート作品取引管理装置は、前記所有権トークン管理装置へ前記所有権トークンの発行指示を行う、
アート作品取引システム。
【請求項5】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記アーティストの前記ユーザ端末は、前記所有権トークン管理装置へ前記所有権トークンの発行指示を行う、
アート作品取引システム。
【請求項6】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記アート作品は、デジタルアート作品または実体アート作品をデジタル化した前記実体アート作品のデジタルデータである、
アート作品取引システム。
【請求項7】
請求項6に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記実体アート作品は、パブリックスペースに設置されるパブリックアート作品である、
アート作品取引システム。
【請求項8】
ユーザ端末が、アーティストにより入力された出品希望アート作品情報をアート作品取引管理装置へ送信し出品リクエストを行うステップと、
前記アート作品取引管理装置が、前記出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行うステップと、
所有権トークン管理装置が、出品登録された前記アート作品の所有権に関する前記所有権トークンを発行し、発行した前記所有権トークンをブロックチェーンネットワークへ出品するステップと、
を備えている、
アート作品取引方法。
【請求項9】
請求項8に記載のアート作品取引方法において、
前記所有権トークン管理装置は、前記アート作品取引管理装置からの前記所有権トークンの発行指示に基づいて前記所有権トークンを発行する、
アート作品取引方法。
【請求項10】
請求項8に記載のアート作品取引方法において、
前記所有権トークン管理装置は、前記ユーザ端末からの前記所有権トークンの発行指示に基づいて前記所有権トークンを発行する、
アート作品取引方法。
【請求項11】
アート作品取引システムにおいてアート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置であって、
前記アート作品取引システムの登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行い、前記出品登録した前記アート作品の所有権に関する所有権トークンの発行指示を所有権トークン管理装置に行う、
アート作品取引管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アート作品取引システム、アート作品取引方法、およびアート作品取引管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば暗号資産の取引等の高いセキュリティが要求される分野において、ブロックチェーンが用いられている。ブロックチェーンは、分散型台帳とも呼ばれている。ブロックチェーンネットワーク内の複数の情報処理装置では、取引情報等の各種情報を含むブロックチェーンがそれぞれ生成される。
【0003】
また、アート作品の取引においても、ブロックチェーンが用いられている。例えば特許文献1には、芸術作品の流動性を高めるとともに、ユーザが当該芸術作品を鑑賞しやすい環境を創出するプログラムに関する技術が開示されている。具体的には、ユーザが発行したアート作品の証明書、およびユーザが作成したルールセットがブロックチェーンに格納される。そして、アート作品の証明書とルールセットとの照合が行われ、照合をパスしたアート作品のみが出品される旨、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-068010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、ブロックチェーンに格納されたアート作品の証明書およびルールセットを用いているため、アート作品の取引におけるセキュリティを確保することができる。しかしながら、アート作品の証明書の発行やルールセットの作成等を、アーティストが自ら行う必要があるため、利便性が十分であるとは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、アーティストの利便性を向上させ、アート作品の流動性を向上させるアート作品取引システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な実施の形態によるアート作品取引システムは、アート作品取引システムの登録ユーザが使用するユーザ端末と、ブロックチェーンネットワークと、アート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置と、アート作品の所有権に関する所有権トークンを管理する所有権トークン管理装置と、を備えている。アート作品取引管理装置は、登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行う。所有権トークン管理装置は、出品登録されたアート作品に対応する所有権トークンを発行し、発行した所有権トークンをブロックチェーンネットワークへ出品する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アーティストの利便性を向上させ、アート作品の流動性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係るアート作品取引システムの構成例を示す図である。
図2】アート作品取引管理装置の構成を例示する図である。
図3】ユーザ端末の構成を例示する図である。
図4】所有権トークン管理装置の構成を例示する図である。
図5】ノードの構成を例示する図である。
図6】ユーザ登録に関わる画像を例示する図である。
図7】本発明の実施の形態1に係るアート作品の出品方法を例示するフロー図である。
図8】アート作品出品リクエスト画面を例示する図である。
図9】所有権トークンの構成を例示する図である。
図10】本発明の実施の形態1に係るアート作品の取引方法の概要を説明する図である。
図11】本発明の実施の形態1に係るアート作品の取引方法を例示するフロー図である。
図12】本発明の実施の形態1に係るアート作品の取引方法の他の例を示すフロー図である。
図13】本発明の実施の形態2に係るアート作品の取引方法の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。
【0011】
<アート作品取引システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係るアート作品取引システムの構成を例示する図である。アート作品取引システム1は、図1に示すように、アート作品取引管理装置10、ユーザ端末30、所有権トークン管理装置40、ブロックチェーンネットワーク50を備えている。図1では、3つのユーザ端末30a(30)、30b(30)、30c(30)がアート作品取引管理装置10にアクセスし、3つのユーザ端末30d(30)、30e(30)、30f(30)がブロックチェーンネットワーク50にアクセスしている状況が示されている。
【0012】
本実施の形態では、例えば、デジタルアート作品の所有権、および実体アート作品をデジタル化した実体アート作品のデジタルデータの所有権が、ブロックチェーンネットワーク50において取引される。具体的には、これらの所有権は、アート作品取引管理装置10の指示に基づき所有権トークン管理装置40においてトークン化され、所有権トークンがブロックチェーンネットワーク50において取引される。実体アート作品のデジタルデータは、例えば、実体アート作品の撮像画像データやスキャン画像データ等のデータである。ブロックチェーンネットワーク50における所有権トークンの取引履歴を含むアート作品取引システム1に関わる各種情報は、ブロックチェーン70に格納される。
【0013】
<<アート作品取引管理装置>>
アート作品取引管理装置10は、アート作品取引システム1へアート作品の出品を希望するアーティストの管理、所有権トークンの取引に関わる処理等を行う。具体的には、アート作品取引管理装置10は、アート作品の製作者であるアーティストのユーザ登録、アーティストからの出品リクエストに基づく出品希望アート作品の審査、審査結果に基づく所有権トークン管理装置40への所有権トークン発行指示、出品されたアート作品(デジタルアート作品および実体アート作品のデジタルデータ)の保管、所有権トークンの取引成立に伴うアーティストへのロイヤリティの支払い、手数料取得等の処理を行う。
【0014】
図2は、アート作品取引管理装置の構成を例示する図である。図2に示すように、アート作品取引管理装置10は、プロセッサ11、メインメモリ13、ストレージ15、通信インタフェース17、モニタ19を備えた情報処理装置である。通信インタフェース17は、ユーザ端末30およびブロックチェーンネットワーク50との間で各種情報の送受信を行う装置である。
【0015】
ストレージ15は、プログラム記憶領域15a、ユーザアカウント情報記憶領域15b、アート作品情報記憶領域15c等の各記憶領域を備えている。プログラム記憶領域15aは、アート作品取引管理装置10を動作させる基本プログラム、アート作品取引システム1を実現するアート作品取引システム用プログラム等の各種プログラムを記憶する。したがって、ストレージ15は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0016】
ユーザアカウント情報記憶領域15bは、登録ユーザ(アーティスト)のユーザアカウント情報を記憶する。ユーザアカウント情報は、例えば、登録ユーザのログインID、登録ユーザのログインパスワード、登録ユーザ名、登録ユーザのログイン履歴、登録ユーザの出品履歴(出品リクエストの履歴)、登録ユーザの連絡先(例えば、メールアドレス、電話番号、住所等)、登録ユーザの口座(例えば現実通貨の口座、あるいはブロックチェーンネットワーク50内の暗号通貨のウォレット口座)等の情報を含む。なお、ユーザアカウント情報は、これらのうちの一部のみでも構わない。ユーザアカウント情報は、通信インタフェース17を介してブロックチェーンネットワーク50へ送信され、ブロックチェーン70に格納される。
【0017】
アート作品情報記憶領域15cは、アート作品情報として、出品登録されたアート作品を識別する固有のアート作品ID、アーティストのユーザID、アート作品の作品名、アート作品の出品時(所有権トークン発行時)の販売価格、取引成立時に購入者から所有権トークンの発行者(例えばアート作品取引管理装置10の運営会社)へ支払うロイヤリティを規定するロイヤリティ比率等の情報を記憶する。また、アート作品情報記憶領域15cは、アート作品情報として、ブロックチェーンネットワーク50に出品された所有権トークンに対応する出品登録されたアート作品(デジタルアート作品または実体アート作品のデジタルデータ)を記憶する。また、アート作品情報には、例えば、出品登録されたアート作品(デジタルアート作品または実体アート作品のデジタルデータ)に対応する所有権トークンを識別する固有のトークンIDが含まれてもよい。なお、トークンIDとして、アート作品IDが用いられてもよい。なお、アート作品情報は、これらのうちの一部のみで構成されても構わない。
【0018】
アート作品(デジタルアート作品または実体アート作品のデジタルデータ)を除くアート作品情報は、通信インタフェース17を介してブロックチェーンネットワーク50へ送信され、ブロックチェーン70に格納されてもよい。
【0019】
メインメモリ13は、プログラム記憶領域15aから読み出したプログラム等を保持する。また、メインメモリ13は、通信インタフェース17を介して受信した情報や、通信インタフェース17を介して送信する情報を一時的に保持する。
【0020】
プロセッサ11は、メインメモリ13に保持されたプログラムを読み出し実行することで、アート作品取引管理装置10の各構成要素を駆動させる機能ブロック、アート作品取引システム1においてアート作品取引管理装置10に必要な機能ブロック等をソフトウェアで実現する。なお、プロセッサ11は、一部の機能をハードウェアで実現してもよい。
【0021】
<<ユーザ端末>>
次に、ユーザ端末30について説明する。ユーザ端末30は、登録ユーザ(アーティスト)や、ブロックチェーンネットワーク50において所有権トークンの取引を希望するユーザが使用する端末である。登録ユーザは、ユーザ端末30を用いてアート作品取引管理装置10へアクセスし、出品希望のアート作品(デジタルアート作品または実体アート作品のデジタルデータ)の出品リクエストを行う。また、ユーザは、ブロックチェーンネットワーク50へアクセスし、所有権トークンの取引(購入、出品)を行う。なお、アーティストは、他のアーティストのアート作品の所有権トークンの取引を行うこともできる。すなわち、アート作品取引システム1の登録ユーザがブロックチェーンネットワーク50のユーザとなることもあり得る。ユーザ端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パソコン等である。アート作品取引管理装置10やブロックチェーンネットワーク50へのアクセスは、専用アプリケーションから行われてもよいし、ウェブサイトから行われてもよい。また、ユーザ端末30は、必要に応じて所有権トークン管理装置40へアクセスしてもよい。
【0022】
図3は、ユーザ端末の構成を例示する図である。なお、図3には、スマートフォンを例にしたユーザ端末30の構成が示されている。図3に示すように、ユーザ端末30は、プロセッサ31、メインメモリ33、ストレージ35、通信インタフェース37、表示部39を備えている。通信インタフェース37は、アート作品取引管理装置10、およびブロックチェーンネットワーク50との間で各種情報の送受信を行う装置である。なお、通信インタフェース37は、所有権トークン管理装置40との間で各種情報の送受信を行ってもよい。
【0023】
ストレージ35は、プログラム記憶領域35a、アート作品情報記憶領域35b等の各記憶領域を備えている。プログラム記憶領域35aは、ユーザ端末30を動作させる基本プログラム、アート作品取引管理装置10やブロックチェーンネットワーク50へのアクセス用のアプリケーション等の各種プログラムを記憶する。したがって、ストレージ35は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0024】
アート作品情報記憶領域35bは、出品登録されたアート作品、あるいは出品予定のアート作品の情報を記憶する。アート作品情報記憶領域35bに記憶されるアート作品情報は、例えば、アート作品(デジタルアート作品または実体アート作品のデジタルデータ)、サムネイル画像等である。
【0025】
メインメモリ33は、プログラム記憶領域35aから読み出したプログラム等を保持する。また、メインメモリ33は、通信インタフェース37を介して受信した情報や、通信インタフェース37を介して送信する情報を一時的に保持する。
【0026】
プロセッサ31は、メインメモリ33に保持されたプログラムを読み出し実行することで、アート作品取引管理装置10の各構成要素を駆動させる機能ブロック、アート作品取引システム1においてユーザ端末30に必要な機能ブロック等をソフトウェアで実現する。なお、プロセッサ31は、一部の機能をハードウェアで実現してもよい。
【0027】
表示部39は、ユーザ端末30における各種画像を表示する。表示部39には、例えば、ユーザ端末30の基本動作に関わる画像、アプリケーションに関わる画像、アート作品取引システム1に関わる画像等を表示する。図3では、表示部39および入力部が、一体で構成されている。すなわち、図3のユーザ端末30では、表示部39にタッチ入力機能が備えられている。表示された画像を見ながらユーザが表示部39をタッチすることで、所定の入力操作が行われる。なお、表示部39と操作部とが別体で構成されてもよい。
【0028】
<<所有権トークン管理装置>>
次に、所有権トークン管理装置40について説明する。所有権トークン管理装置40は、所有権トークンの取引に関わる処理等を行う。具体的には、所有権トークン管理装置40は、アート作品取引管理装置10は、アート作品取引管理装置10の指示に基づく所有権トークンの発行、ブロックチェーンネットワーク50への所有権トークンの出品、所有権トークンの取引履歴(取引情報)の取得、取得した所有権トークンの取引履歴のアート作品取引管理装置10への通知等の処理を行う。
【0029】
図4は、所有権トークン管理装置の構成を例示する図である。図4に示すように、所有権トークン管理装置40は、プロセッサ41、メインメモリ43、ストレージ45、通信インタフェース47、モニタ49を備えた情報処理装置である。通信インタフェース47は、アート作品取引管理装置10、ユーザ端末30、およびブロックチェーンネットワーク50との間で各種情報の送受信を行う装置である。
【0030】
ストレージ45は、プログラム記憶領域45a、所有権トークン情報記憶領域45b、所有権トークン取引履歴情報記憶領域45c等の各記憶領域を備えている。プログラム記憶領域45aは、所有権トークン管理装置40を動作させる基本プログラム、アート作品取引システム1を実現するアート作品取引システム用プログラム等の各種プログラムを記憶する。したがって、ストレージ45は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0031】
所有権トークン情報記憶領域45bは、所有権トークン管理装置40が発行した所有権トークンの情報を記憶する。所有権トークンごとの所有権トークン情報は、例えば、トークンID、対応するアート作品ID、所有権トークン発行時の所有権者(一次流通時の出品者であるアーティスト)、所有権トークン発行時の販売価格、ロイヤリティ比率、所有権トークンの発行時期、所有権トークンの発行者(例えばアート作品取引管理装置10の運営会社、または所有権トークン管理装置40の運営会社)、発行者の口座情報等の情報を含む。発行者の口座情報は、例えばブロックチェーンネットワーク50内のウォレット口座である。また、二次流通およびそれ以降の取引における所有権トークン情報には、出品者の口座情報(例えばブロックチェーンネットワーク50内のウォレット口座)、出品者が設定した販売価格が含まれる。これらの情報は、アート作品取引管理装置10から出力される。なお、トークンIDは、所有権トークン管理装置40で付与されてもよいし、アート作品取引管理装置10であらかじめ付与されてもよい。また、トークンIDとして、アート作品IDが用いられてもよい。なお、所有権トークン情報は、これらのうちの一部のみでも構わない。通信インタフェース47を介して前述した所有権トークン情報を送信することで、発行された所有権トークンが、ブロックチェーンネットワーク50へ出品されブロックチェーン70に格納される。これにより、ブロックチェーンネットワーク50内で所有権トークンの取引を行うことが可能となる。
【0032】
所有権トークン取引履歴情報記憶領域45cは、所有権トークンの取引履歴に関する情報を記憶する。所有権トークン管理装置40は、ブロックチェーンネットワーク50を監視し、自身が発行した所有権トークンの取引履歴を取得する。そして、所有権トークン管理装置40は、自身が発行した所有権トークンの取引履歴を取得すると、取得した取引履歴を所有権トークン取引履歴情報記憶領域45cへ記憶する。所有権トークンの取引履歴に関する情報は、例えば、トークンID、所有権トークンの出品者、所有権トークンの購入者、販売価格、取引成立時刻等の情報を含む。なお、所有権トークンの取引履歴に関する情報は、これらのうちの一部のみで構成されても構わない。
【0033】
メインメモリ43は、プログラム記憶領域45aから読み出したプログラム等を保持する。また、メインメモリ43は、通信インタフェース47を介して受信した情報や、通信インタフェース47を介して送信する情報を一時的に保持する。
【0034】
プロセッサ41は、メインメモリ43に保持されたプログラムを読み出し実行することで、所有権トークン管理装置40の各構成要素を駆動させる機能ブロック、アート作品取引システム1において所有権トークン管理装置40に必要な機能ブロック等をソフトウェアで実現する。なお、プロセッサ41は、一部の機能をハードウェアで実現してもよい。
【0035】
なお、所有権トークン管理装置40とブロックチェーンネットワーク50との間に、情報の送受信を仲介するミドルウェアが設けられてもよい。なお、所有権トークン管理装置40が、このミドルウェアを備えてもよく、この場合、所有権トークン管理装置40は、所有権トークンの発行等を行う装置と、情報の送受信を仲介するミドルウェアとを別体で含んだ構成となる。
【0036】
<<ブロックチェーンネットワーク>>
次に、ブロックチェーンネットワーク50について説明する。ブロックチェーンネットワーク50では、所有権トークン管理装置40から出品された所有権トークンの取引が行われる。また、ブロックチェーンネットワーク50では、ブロックチェーン70が生成され、所有権トークンの取引履歴を含むアート作品取引システム1に関わる各種情報がブロックチェーン70に格納される。
【0037】
図1に示すように、ブロックチェーンネットワーク50は、複数のノード60を備えている。図1には、5つのノード60a(60)、60b(60)、60c(60)、60d(60)、60e(60)が例示されているが、ノード60の個数はこれに限定されない。これらのノード60は、例えばPeer to Peer方式で互いに接続されている。
【0038】
ブロックチェーンネットワーク50内の各ノード60は、アート作品取引管理装置10から送信された情報や、ブロックチェーンネットワーク50における所有権トークンの取引履歴や、取引成立時におけるウォレット口座間での暗号通貨の送金履歴等を含むアート作品取引システム1に関わる各種情報を共有し、所定時間が経過するごとにこれらの情報を含むブロックチェーンを生成する。このように、各ノード60は、アート作品取引システム1に関わる各種情報をブロックチェーンに格納する。
【0039】
図5は、ノードの構成を例示する図である。図5に示すように、ノード60は、プロセッサ61、メインメモリ63、ストレージ65、通信インタフェース67、モニタ69を備えた情報処理装置である。通信インタフェース67は、他のノード60、所有権トークン管理装置40、アート作品取引管理装置10、およびユーザ端末30との間で各種情報の送受信を行う装置である。
【0040】
ストレージ65は、プログラム記憶領域65a、ブロックチェーン記憶領域65b等の各記憶領域を備えている。プログラム記憶領域65aは、ノード60を動作させる基本プログラム、ブロックチェーンの生成等に関わるブロックチェーン用プログラム等の各種プログラムを記憶する。したがって、ストレージ65は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0041】
ブロックチェーン記憶領域65bは、ノード60において生成されたブロックチェーン70を記憶する。各ノード60では、所定時間が経過するごとに最新のブロックチェーンが生成される。このため、ブロックチェーン記憶領域65bのブロックチェーン70は、所定時間が経過するごとに最新のブロックチェーンに更新される。
【0042】
メインメモリ63は、プログラム記憶領域65aから読み出したプログラム等を保持する。また、メインメモリ63は、通信インタフェース67を介して受信した情報、生成されたブロックチェーン、通信インタフェース67を介して送信する情報等を一時的に保持する。
【0043】
プロセッサ61は、メインメモリ63に保持されたプログラムを読み出し実行することで、ノード60の各構成要素を駆動させる機能ブロック、ブロックチェーン用機能ブロック等をソフトウェアで実現する。なお、プロセッサ61は、一部の機能をハードウェアで実現してもよい。プロセッサ61は、ブロックチェーン用機能ブロックにより、所定時間が経過するごとに最新のブロックチェーンを生成する。具体的には、プロセッサ61は、最新の所定時間内に受信した情報を含むブロックチェーンを生成し、生成したブロックチェーンと直前までのブロックチェーンとを連結することで最新のブロックチェーンを生成する。
【0044】
<ユーザ登録>
次に、アート作品取引システム1へのユーザ登録方法について説明する。図6は、ユーザ登録画面を例示する図である。ユーザ登録リクエスト画面110は、ユーザ端末30の表示部39に表示される。図6に示すように、ユーザ登録リクエスト画面110は、例えば、登録希望ユーザの名前入力欄111、登録希望ユーザの連絡先入力欄113、登録希望ユーザの口座情報入力欄115、パスワード入力欄117、送信ボタン119を備えている。
【0045】
アート作品取引システム1への登録を希望するユーザは、あらかじめインストールしたアート作品取引システム用の専用アプリケーションを起動して、あるいはウェブサイトからアート作品取引システム1へアクセスし、ユーザ端末30にユーザ登録リクエスト画面110を表示させる。登録希望ユーザは、表示されたユーザ登録リクエスト画面110の各入力欄(111、113、115、117)に所定の内容を入力した後、送信ボタン119をタッチする。これにより、入力内容が登録希望ユーザ情報としてアート作品取引管理装置10へ送信される。
【0046】
アート作品取引管理装置10は、ユーザ端末30から登録希望ユーザ情報を受信すると、登録希望ユーザに固有のユーザIDを割り当てる。そして、アート作品取引管理装置10は、登録希望ユーザ情報および割り当てたユーザIDをユーザアカウント情報としてユーザアカウント情報記憶領域15bに記憶し、登録希望ユーザをアート作品取引システム1のユーザとして登録する。また、アート作品取引管理装置10は、登録ユーザのユーザアカウント情報をブロックチェーンネットワーク50へ送信し、ユーザアカウント情報をブロックチェーン70に格納させる。これらの処理が完了すると、アート作品取引管理装置10は、割り当てたユーザIDを登録希望ユーザに通知し、登録が完了したことを通知する。なお、ユーザ登録時には、口座情報が入力されなくてもよい。なお、パスワードは、ユーザIDと併せて、アート作品取引管理装置10から通知されてもよい。
【0047】
<アート作品の出品>
次に、アート作品の出品方法について説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係るアート作品の出品方法を例示するフロー図である。図7には、アート作品の出品に関わるステップ(第1ステップ)S10としてステップS110~S150が示されている。
【0048】
ステップS110において、アート作品の出品を希望する登録ユーザは、ユーザ端末30を操作し、アート作品取引システム1に対し、アート作品の出品リクエストを行う。アート作品の出品を希望するアーティスト(登録ユーザ)は、例えば、表示部39に表示されるアート作品出品リクエスト画面130に所定の内容を入力することで、アート作品取引管理装置10の運営会社へ出品リクエストを行う。また、これ以外にも、アーティストが、アート作品出品リクエスト画面130の内容が記載されたメールをアート作品取引管理装置10の運営会社へ送信することにより、アート作品の出品リクエストが行われてもよい。
【0049】
図8は、アート作品出品リクエスト画面を例示する図である。アート作品出品リクエスト画面130は、例えば、出品希望のアート作品(デジタルアート作品、または実体アート作品のデジタルデータ)の画像を添付する出品アート作品画像添付欄131、作品名入力欄133、販売価格入力欄135、送信ボタン139を備えている。出品者は、表示されたアート作品出品リクエスト画面130の各入力欄(131、133、135)に所定の内容を入力した後、送信ボタン139をタッチする。これにより、入力内容が出品希望アート作品情報としてアート作品取引管理装置10へ送信される。このように、アート作品の出品リクエストが行われる。なお、出品アート作品画像添付欄131には、アート作品の画像の格納場所を特定するアドレスが入力されてもよい。
【0050】
ステップS120では、アーティストから出品リクエストが行われた出品希望のアート作品の審査が行われる。そして、審査に不合格の場合(NO)、出品希望のアート作品の出品登録は行われず、アート作品の出品に係る処理が終了する。一方、審査に合格した場合(YES)、ステップS130に移行し、出品希望のアート作品の出品登録に関わる処理が引き続き行われる。
【0051】
ステップS130において、アート作品取引管理装置10は、所有権トークンTKの発行に必要な所有権トークン情報を出力し、出品リクエストが行われたアート作品の所有権トークンの発行を、所有権トークン管理装置40へ指示する。そして、所有権トークン管理装置40は、アート作品取引管理装置10からの指示に基づき、所有権トークンTKを発行し、所有権トークンTKをブロックチェーンネットワーク50へ出品する。また、アート作品取引管理装置10は、発行した所有権トークンTKに対応するアート作品の画像を所有権トークン管理装置40へ送信する。所有権トークン管理装置40は、所有権トークンとともに、対応するアート作品の画像をブロックチェーンネットワーク50へアップロードする。ブロックチェーンネットワーク50へアップロードされる画像として、例えば、アート作品のデータ量を圧縮した画像が用いられる。この画像は、出品される所有権トークンTKのサムネイル画像としても用いられる。この画像は、アーティストが所有するユーザ端末30等の情報処理端末、撮像装置、あるいはアート作品取引管理装置10において生成される。
【0052】
図9は、所有権トークンの構成を例示する図である。図9に示すように、所有権トークンTKは、例えば、所有権トークンTKを特定する情報(例えばトークンID)、対応するアート作品を特定する情報(例えばアート作品ID)、所有権トークンTKの所有権者を特定する情報(例えば所有権者ID(一次流通の出品者であるアーティストのユーザID))、所有権トークンTKの取引履歴、所有権トークンの発行者を特定する情報(例えば発行者ID)、販売価格、ロイヤリティ比率、発行者の口座情報等の情報を含む。なお、出品登録されたアート作品と発行された所有権トークンTKとは1対1に対応しているので、所有権トークンTKはいわゆる非代替性トークン(NFT : Non-Fungible Token)である。このように、アート作品取引管理装置10は、出品登録されたアート作品をトークン化し、所有権トークンTKを販売することで、アート作品の流動性を向上させている。
【0053】
ステップS140において、アート作品の所有権トークンTKおよび対応する画像がブロックチェーンネットワーク50へアップロードされると、出品希望アート作品情報に基づき、出品リクエストが行われたアート作品の出品登録が行われる。アート作品取引管理装置10は、出品リクエストが行われたアート作品(デジタルアート作品、または実体アート作品のデジタルデータ)にアート作品を識別する固有のアート作品IDを割り当てる。そして、アート作品取引管理装置10は、アート作品ID、アート作品の制作者であるアーティストのユーザID、アート作品の作品名、アート作品の販売価格等の情報を、アート作品情報としてアート作品情報記憶領域15cに記憶し、アート作品の出品登録が行われる。なお、アート作品IDは、ステップS110~S130のいずれかにおいて付与されてもよい。また、これらのアート作品情報は、ブロックチェーン70に格納されてもよい。
【0054】
ステップS150において、アート作品取引管理装置10は、出品リクエストが行われたアート作品の出品登録が完了したことをアーティストのユーザ端末30へ通知する。このように、アート作品の出品処理が行われる。
【0055】
<アート作品の取引方法>
<<アート作品の取引の概要>>
次に、アート作品取引システム1に出品登録されたアート作品の取引方法について説明する。図10は、本発明の実施の形態1に係るアート作品の取引方法の概要を説明する図である。図10には、アート作品を出品するアーティスト、アート作品取引システム1の運営会社、およびアート作品の購入者が示されている。図10の運営会社は、表記の便宜上、アート作品取引管理装置10の運営会社、および所有権トークン管理装置40の運営会社の両方を含む。なお、これらの運営会社は同一でも構わない。
【0056】
アーティストは、アート作品を製作すると、アート作品をアート作品取引システム1に出品する。アート作品取引管理装置10の運営会社は、出品リクエストが行われたアート作品の審査を行い、審査に合格したアート作品の所有権トークンの発行指示を行う。所有権トークン管理装置40の運営会社は、所有権トークンの発行指示に従い、審査に合格したアート作品の所有権トークンTKを発行し、所有権トークンTKをブロックチェーンネットワーク50に出品する。そして、第1購入者は、ブロックチェーンネットワーク50内で、アート作品取引管理装置10の運営会社から所有権トークンTKを購入する。
【0057】
所有権トークンTKの取引が成立すると、所有権トークンTKに記録された所有権トークンTKの所有権者、取引履歴等の情報が更新される。所有権者がアーティストから第1購入者に更新されると、アート作品の所有権が第1購入者に移転する。
【0058】
また、所有権トークンTKの取引が成立すると、代金が第1購入者からアート作品取引管理装置10の運営会社へ支払われる。このときの代金は、第1購入者から出品者に支払われる所有権トークンTKの購入代金(販売価格と同額)、および第1購入者からアート作品取引管理装置10の運営会社に支払われるロイヤリティの両方を含む。ロイヤリティは、あらかじめ設定されたロイヤリティ比率と販売価格との積により算出される。そして、ロイヤリティからアート作品取引管理装置10の運営会社の手数料を差し引いた金額、および購入代金が、アート作品取引管理装置10の運営会社からアーティストへ支払われる。なお、ロイヤリティからアート作品取引管理装置10の運営会社の手数料を差し引いた金額は、所有権トークンTKの取引成立に際し受け取ることができる、アーティストのロイヤリティである。このように、所有権トークンTKの取引が成立すると、アート作品取引管理装置10の運営会社は手数料収入を得ることができ、アーティストは、ロイヤリティを得ることができる。ロイヤリティ比率は、例えば、販売価格に対する所定の割合で規定され、手数料比率は、ロイヤリティに対する所定の割合で規定される。これらの比率は、例えば、アート作品の出品登録時にアート作品情報として設定されてもよいし、アート作品取引管理装置10の運営会社が作成するアート作品取引システム1の約款等に規定されてもよい。このように、アート作品取引管理装置10の運営会社から第1購入者へのアート作品(所有権トークンTK)の一次流通が行われる。
【0059】
第1購入者からアート作品取引管理装置10の運営会社への代金の支払いは、ブロックチェーンネットワーク50内におけるウォレット口座を用いて暗号通貨により行われる。すなわち、所有権トークンTKの取引および代金の支払いに関わる処理は、ブロックチェーンネットワーク50内で行われる。そして、アート作品取引管理装置10の運営会社からアーティストへロイヤリティおよび購入代金の支払いは、暗号通貨により行われてもよいし、現実通貨により行われてもよい。
【0060】
次に、第1購入者は、所有権トークンTKをブロックチェーンネットワーク50へ再出品し、所有権トークンTKを第2購入者に販売する。所有権トークンTKの取引が成立すると、所有権トークンTKに記録された所有権トークンTKの所有権者、取引履歴等の情報が更新される。所有権者が第1購入者から第2購入者に更新されると、アート作品の所有権が第2購入者に移転する。
【0061】
所有権トークンTKの取引が成立すると、購入代金が第2購入者から第1出品者へ支払われる。そして、ロイヤリティが、第2購入者からアート作品取引管理装置10の運営会社へ支払われる。そして、アート作品取引管理装置10の運営会社は、ロイヤリティから手数料を差し引いた金額をアーティストのロイヤリティとして、アーティストへ支払う。このように、第1購入者から第2購入者へのアート作品(所有権トークンTK)の二次流通が行われる。なお、これ以降の流通(三次流通…)も、二次流通と同様である。
【0062】
<<アート作品の取引方法のフロー(一次流通)>>
図11は、本発明の実施の形態1に係るアート作品の取引方法を例示するフロー図である。図11は、アート作品の一次流通に関するフロー図である。図11には、アート作品の一次流通のフローとしてステップS10~S60が実行される。ステップS10は、アート作品の出品登録に関わるステップである。ステップS10の詳細は、図7を用いてすでに述べたので、ここではステップS10の説明を省略する。以下のステップS20~S60は、アート作品の販売に関わる第2ステップである。
【0063】
ステップS20では、ブロックチェーンネットワーク50において、所有権トークンTKが販売される。アート作品(所有権トークン)の購入希望者は、ユーザ端末30を操作してブロックチェーンネットワーク50へアクセスする。そして、購入希望者は、ユーザ端末30に表示される出品中の所有権トークンTKに対応して表示されるアート作品のサムネイル画像や販売価格等の情報を参照して、購入する所有権トークンTKを選択する。購入希望者が所有権トークンTKの購入手続を行うと、所有権トークンTKの取引が成立する(ステップS30)。この間、ログイン時刻、購入した所有権トークンを特定する情報(例えばトークンID等)、取引成立日時、購入金額(販売価格)等の購入希望者の行動履歴は、ブロックチェーン70に格納される。なお、ブロックチェーンネットワーク50とアート作品取引管理装置10等との間で、ユーザIDやパスワード等が異なってもよい。
【0064】
所有権トークンTKの取引が成立すると、所有権トークンTKに記録された情報が更新される(ステップS40)。具体的には、所有権トークンTKの所有権者がアーティストから購入者に変更され、所有権トークンTKの取引成立日時が記録される。これにより、所有権トークンTKに対応するアート作品の所有権が所有権トークンTKの購入者に移転する。情報が更新された所有権トークンTKは、引き続き、ブロックチェーン70に格納される。所有権トークンTKの取引が成立し、所有権トークンTKの情報が更新されると、所有権トークン管理装置40は、所有権トークンの取引履歴(取引情報)を取得し、所有権トークンの取引履歴をアート作品取引管理装置10へ通知する。
【0065】
また、所有権トークンTKの取引が成立すると、購入者(図10の第1購入者)の口座からアート作品取引管理装置10の運営会社の口座へ代金(購入代金およびロイヤリティ)が支払われる(ステップS50)。所有権トークンTKの代金の支払には、暗号通貨が用いられる。そして、アート作品取引管理装置10の運営会社は、ロイヤリティから所有権トークンTKの販売に伴う手数料収入を得る。また、アート作品取引管理装置10の運営会社は、アート作品取引管理装置10の運営会社の口座からアーティストの口座へ、購入代金(販売価格と同額)および手数料を差し引いたロイヤリティを支払う(ステップS60)。
【0066】
なお、所有権トークン管理装置40からの所有権トークンの取引履歴の通知と、購入者からの代金の支払いとは、互いに独立した処理であり。このため、アート作品取引管理装置10は、所有権トークン管理装置40からの所有権トークンの取引履歴の通知があり、かつ、購入者からの代金の支払いがあった場合に、アーティストへの購入代金およびロイヤリティの支払いを行うようにしてもよい。
【0067】
<<アート作品の取引方法のフロー(二次流通等)>>
次に、アート作品の二次流通およびそれ以降のフローについて説明する。図12は、本発明の実施の形態1に係るアート作品の取引方法の他の例を示すフロー図である。図12は、図11と類似しているので、図11と異なる箇所を主に説明する。
【0068】
所有権トークンTKの所有者(例えば図1の第1購入者)が、所有権トークンTKをブロックチェーンネットワーク50へ再出品し(ステップS10A)、所有権トークンTKがブロックチェーンネットワーク50で取引される(ステップS20)。このときの、出品者は、所有権トークンTKの直前の購入者(第1購入者等)であり、購入者は、第2購入者等である。所有権トークンTKの取引が成立すると(ステップS30)、所有権トークンTKの情報が更新される(ステップS40)。
【0069】
そして、購入者(例えば図10の第2購入者)の口座から出品者(例えば図10の第1購入者)の口座へ購入代金が支払われ、購入者の口座から所有権トークンTKの発行者であるアート作品取引管理装置10の運営会社の口座へロイヤリティが支払われ(ステップS50A)。そして、アート作品取引管理装置10の運営会社の口座からアーティストの口座へ、手数料を差し引いたロイヤリティが支払われる(ステップS60A)。
【0070】
なお、二次流通およびそれ以降においても、アート作品取引管理装置10は、所有権トークン管理装置40からの所有権トークンの取引履歴の通知があり、かつ、購入者からの代金(ロイヤリティ)の支払いがあった場合に、アーティストへのロイヤリティの支払いを行うようにしてもよい。
【0071】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、アート作品の所有権トークンTKが発行され、所有権トークンTKを取引させることでアート作品を流通させる。また、アート作品取引管理装置10は、ユーザ端末30から送信された出品希望アート作品情報に基づいて、出品希望アート作品の出品登録を行い、所有権トークン管理装置40は、アート作品取引管理装置10の指示に基づき出品リクエストが行われたアート作品の所有権トークンTKを発行する。この構成によれば、出品希望アート作品の情報の入力、送信のみで、出品希望アート作品を出品登録することができるので、出品登録時におけるアーティストの負担が軽減され、アーティストの利便性を向上させることが可能となる。また、所有権トークンTKの取引によりアート作品を流通させるので、アート作品の流動性を向上させることが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、所有権トークンTKの再出品によりアート作品の二次流通等を行うことが可能である。また、二次流通等においても、アート作品取引管理装置10の運営会社からアーティストへロイヤリティの支払が行われるので、一次流通に引き続き販売代金の一部をアーティストへ還元することが可能となる。
【0073】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、パブリックスペースに設置される実体アート作品の取引の一形態について説明する。このような実体アート作品は、パブリックアート作品とも呼ばれる。本実施の形態においても、アート作品取引システムの構成は実施の形態1と同様である。また、パブリックアート作品の取引方法は、実施の形態1と同様であり、所有権トークンTKの取引により、パブリックアート作品が流通する。
【0074】
図13は、本発明の実施の形態2に係るパブリックアート作品の取引方法の概要を説明する図である。図13は、図10に類似しているが、パブリックアート作品がアーティストから受託者へ寄贈される点が図10とは異なる。パブリックアート作品の受託者は、例えば、市区町村等の自治体であるが、それ以外にも、法人や個人が受託者となる場合もあり得る。
【0075】
本実施の形態では、パブリックアート作品がアーティストから受贈者へ寄贈され、パブリックアート作品の所有権は受贈者へ移転する。一方、パブリックアート作品をデジタル化したパブリックアート作品のデジタルデータの所有権はトークン化され、パブリックアート作品の所有権トークンTKがブロックチェーンネットワーク50において取引される。
【0076】
本実施の形態においても、前述の実施の形態と同様の効果が得られる。また、本実施の形態では、アーティストおよび一次流通の購入者は、パブリックアート作品に隣接して設置されるプレートや、パブリックアート作品を紹介するパンフレットやウェブサイト等に自身の氏名等を表示することができる。ただし、二次流通およびそれ以降の購入者は、パブリックアートに自身の氏名等を表示することはできない。
【0077】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えなくてもよい場合がある。
【0078】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態や変形例等の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。なお、図面に記載した各要素や要素間の相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑になる場合がある。
【符号の説明】
【0079】
1…アート作品取引システム、10…アート作品取引管理装置、30…ユーザ端末、40…所有権トークン管理装置、50…ブロックチェーンネットワーク、60…ノード、70…ブロックチェーン、TK…所有権トークン。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アート作品取引システムの登録ユーザが使用するユーザ端末と、
ブロックチェーンネットワークと、
アート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置と、
前記アート作品の所有権に関する所有権トークンを管理する所有権トークン管理装置と、
を備え、
前記アート作品取引管理装置は、前記登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行い、
前記アート作品取引管理装置は、前記所有権トークン管理装置へ前記所有権トークンの発行指示を行い、
前記所有権トークン管理装置は、前記発行指示に基づき、出品登録された前記アート作品に対応する前記所有権トークンを発行し、発行した前記所有権トークンを前記ブロックチェーンネットワークへ出品する、
アート作品取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記所有権トークンは、および前記所有権トークンの所有権者を特定する情報、および前記所有権トークンの取引履歴の情報を含み、
前記所有権トークンの取引が成立すると、前記所有権トークンの前記所有権者を特定する情報、および前記所有権トークンの前記取引履歴の情報が更新される、
アート作品取引システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記ユーザ端末は、前記アーティストにより入力された出品希望アート作品情報を前記アート作品取引管理装置へ送信し、
前記アート作品取引管理装置は、前記出品希望アート作品情報に基づいて、出品希望アート作品に対応する前記所有権トークンの発行を指示し、前記出品希望アート作品の出品登録を行う、
アート作品取引システム。
【請求項4】
請求項1に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記アート作品は、デジタルアート作品または実体アート作品をデジタル化した前記実体アート作品のデジタルデータである、
アート作品取引システム。
【請求項5】
請求項に記載のアート作品取引システムにおいて、
前記実体アート作品は、パブリックスペースに設置されるパブリックアート作品である、
アート作品取引システム。
【請求項6】
ユーザ端末が、アーティストにより入力された出品希望アート作品情報をアート作品取引管理装置へ送信し出品リクエストを行うステップと、
前記アート作品取引管理装置が、前記出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行うステップと、
所有権トークン管理装置が、前記アート作品取引管理装置からの所有権トークンの発行指示に基づき、出品登録された前記アート作品の所有権に関する前記所有権トークンを発行し、発行した前記所有権トークンをブロックチェーンネットワークへ出品するステップと、
を備えている、
アート作品取引方法。
【請求項7】
アート作品取引システムにおいてアート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置であって、
前記アート作品取引システムの登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行い、前記出品登録した前記アート作品の所有権に関する所有権トークンの発行指示を所有権トークン管理装置に行う、
アート作品取引管理装置。