(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072015
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ロキソプロフェン含有去痰医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20230516BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20230516BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20230516BHJP
A61K 31/085 20060101ALI20230516BHJP
A61K 31/09 20060101ALI20230516BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20230516BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230516BHJP
A61P 11/10 20060101ALI20230516BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230516BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/4535
A61K31/137
A61K31/085
A61K31/09
A61K38/47
A61K31/198
A61P11/10
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038234
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2021082884の分割
【原出願日】2015-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2014007698
(32)【優先日】2014-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015007404
(32)【優先日】2015-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 洋行
(57)【要約】
【課題】ロキソプロフェン又はその塩を含有し、優れた去痰作用を示す去痰医薬組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ロキソプロフェン又はその塩を、1日量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下と、(B)去痰成分とを含有する医薬組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ロキソプロフェン又はその塩を、1日量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下と、(B)去痰成分とを含有する医薬組成物。
【請求項2】
去痰成分を、1日量として、1日最大分量の1/3以上2/3以下含有するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
1日2回に分けて服用するものである請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
1日2回服用するものであって、ロキソプロフェン又はその塩を、1回量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mgと、去痰成分を、1回量として、1日最大分量の1/6以上1/3以下含有する医薬組成物。
【請求項5】
去痰成分が、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リゾチーム塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、エチルシステイン塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩及びアンブロキソール塩酸塩から選ばれる1種以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェン又はその塩を含有する去痰医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンナトリウムは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られている(非特許文献1)。
【0003】
我が国においては、近年、セルフメディケーションを一層促進すべく、ロキソプロフェンナトリウム単味成分の「解熱鎮痛薬」がスイッチOTC医薬品として上市された。セルフメディケーションの促進は、医療費抑制の観点からも、今後より一層注目されていくと考えられている。
【0004】
ところで、OTC医薬品は、いわゆる一般の人が、薬剤師等から提供された適切な情報に基づいて、自らの判断・責任で購入・使用する医薬品である。そのため、OTC医薬品には副作用の心配が少ないことが求められる。例えば、ロキソプロフェンナトリウムは、イブプロフェン等の他のNSAIDに比べ、副作用としての消化管障害が生じにくいとされているが、ロキソプロフェンに消化管障害の虞が全くないというわけではなく、ロキソプロフェンに起因する消化管障害を軽減させる方策も種々検討されている(特許文献1~5等)。
【0005】
また、ロキソプロフェンナトリウムを含有する配合剤をOTC医薬品とするために種々の検討がなされ、去痰成分等との組み合わせが知られている。例えば、アンブロキソール又はブロムヘキシンを組み合わせた咳嗽症状の除去・軽減組成物(特許文献6)や杯細胞過形成抑制医薬組成物(特許文献7)、エフェドリン類を組み合わせたくしゃみ抑制用医薬(特許文献8)や杯細胞過形成抑制医薬組成物(特許文献9)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-139165号公報
【特許文献2】特開2006-52210号公報
【特許文献3】特開2008-195705号公報
【特許文献4】特開2013-151485号公報
【特許文献5】特開2013-151486号公報
【特許文献6】特開2001-172175号公報
【特許文献7】特開2008-13542号公報
【特許文献8】特開2004-2362号公報
【特許文献9】特開2007-314517号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C-5359-5364頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような背景の下、OTC医薬品を指向した開発をするにあたり、ロキソプロフェン又はその塩の副作用軽減等も視野に入れつつ本発明者が種々の検討していたところ、ロキソプロフェン又はその塩を、1日量としてロキソプロフェンナトリウム無水物換算で180mgとともに、1日最大分量の去痰成分を併用した場合であっても、去痰作用について改善の余地があることが判明した。
したがって、本発明の課題は、ロキソプロフェン又はその塩を含有し、優れた去痰作用を示す去痰医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、ロキソプロフェン又はその塩を、1日量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下の用量と、去痰成分とを併用した場合には、意外にも、ロキソプロフェン又はその塩を、1日量としてロキソプロフェンナトリウム無水物換算で180mgの用量と去痰成分を1日最大分量で併用した場合よりも優れた去痰作用が得られることを見出し、本発明を完成した。
また、ロキソプロフェン又はその塩を、1回量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mgの用量と、去痰成分を、1回量として、1日最大分量の1/6以上1/3以下の用量とを併用し、1日2回服用すると、良好な去痰作用が得られることを見出し、本発明を完成した。
また、ロキソプロフェン又はその塩と去痰成分の組み合わせを1日に2回服用した場合に、優れた去痰作用が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)(A)ロキソプロフェン又はその塩を、1日量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下と、(B)去痰成分とを含有する医薬組成物(以下、去痰医薬組成物(1)ともいう)を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、(2)1日2回服用するものであって、ロキソプロフェン又はその塩を、1回量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mgと、去痰成分を、1回量として、1日最大分量の1/6以上1/3以下含有する医薬組成物(以下、去痰医薬組成物(2)ともいう)を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、(3)ロキソプロフェン又はその塩と去痰成分とを含有し、1日に2回服用するものである医薬組成物(以下、去痰医薬組成物(3)ともいう)を提供するものである。
【0013】
更に、本発明は、(4)ロキソプロフェン又はその塩を有効成分とし、去痰成分を含む医薬組成物中、1日量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下の含有量で使用される、去痰作用改善剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の去痰医薬組成物は優れた去痰効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、上記去痰医薬組成物(1)について詳細に説明する。
(ロキソプロフェン又はその塩)
本発明において、「ロキソプロフェン又はその塩」には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはロキソプロフェンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名: Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
【0016】
本発明の去痰医薬組成物(1)におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は、1日量(1日の服用量)として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下であり、好ましくは120mgである。
また、1回量(1回の服用量)として、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg含有するものが好ましい。
【0017】
(去痰成分)
本発明において、去痰成分は、去痰作用を示すものであれば特に限定されるものではないが、例えば、チペピジン又はその塩、メチルエフェドリン又はその塩、グアヤコールスルホン酸又はその塩、グアイフェネシン又はその塩、リゾチーム又はその塩、アルキルシステイン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩が挙げられ、1種以上を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、チペピジン又はその塩、メチルエフェドリン又はその塩、グアヤコールスルホン酸又はその塩、グアイフェネシン又はその塩、リゾチーム又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩が好ましい。
【0018】
また、去痰成分の具体例としては、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩(例えば、l-メチルエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩等)、メチルエフェドリンサッカリン塩(例えば、l-メチルエフェドリンサッカリン塩、dl-メチルエフェドリンサッカリン塩等)、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リゾチーム塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、エチルシステイン塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩が挙げられる。
これらの中でも、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リゾチーム塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、エチルシステイン塩酸塩が好ましく、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、グアイフェネシン、リゾチーム塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩がより好ましく、メチルエフェドリン塩酸塩、グアイフェネシン、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩が特に好ましい。
上述の成分は、いずれも公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0019】
また、本発明の去痰医薬組成物(1)における去痰成分の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、服薬コンプライアンス、去痰作用の観点から、1日量として、1日最大分量の1/3以上2/3以下が好ましく、2/3がより好ましい。斯様な1日量とすることによって、1日あたりの去痰成分の服用量が1日最大分量よりも少ないにも拘わらず、優れた去痰効果が得られる。
ここで、1日最大分量とは、1日量として医薬組成物中に配合することが可能な最大の分量として知られるものをいい、去痰成分を2種以上含む場合は、各1日最大分量の合計量である。例えば、チペピジンクエン酸塩の1日最大分量は75mgであり、チペピジンヒベンズ酸塩の1日最大分量は60mgであり、メチルエフェドリン塩酸塩の1日最大分量は60mgであり、メチルエフェドリンサッカリン塩の1日最大分量は60mgであり、グアヤコールスルホン酸カリウムの1日最大分量は250mgであり、グアイフェネシンの1日最大分量は250mgであり、リゾチーム塩酸塩の1日最大分量は90mg(力価)であり、メチルシステイン塩酸塩の1日最大分量は300mgであり、エチルシステイン塩酸塩の1日最大分量は300mgであり、ブロムヘキシン塩酸塩の1日最大分量は12mgであり、アンブロキソール塩酸塩の1日最大分量は45mgである。
【0020】
また、1回量として、去痰成分を1日最大分量の1/6以上1/3以下含有するものが好ましく、1/3含有するものがより好ましい。
【0021】
また、本発明の去痰医薬組成物(1)としては、服薬コンプライアンス、去痰作用の観点から、上記1日量を、1日2回に分けて服用するものが好ましく、1日2回に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用するものがより好ましく、1日2回に分けて食後に服用するものがさらに好ましい。
【0022】
また、本発明は、(2)1日2回服用するものであって、ロキソプロフェン又はその塩を、1回量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mgと、去痰成分を、1回量として、1日最大分量の1/6以上1/3以下含有する医薬組成物、(3)ロキソプロフェン又はその塩と去痰成分とを含有し、1日に2回服用するものである医薬組成物をも提供するものである。これら医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩や去痰成分としては上記と同様のものが好ましい。
【0023】
本発明の去痰医薬組成物(2)におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は、1回量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mgである。
また、1日量として、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下含有するものが好ましく、120mg含有するものがより好ましい。
また、本発明の去痰医薬組成物(2)における去痰成分の含有量は、1回量として、1日最大分量の1/6以上1/3以下であり、好ましくは1/3である。
また、服薬コンプライアンス、去痰作用の観点から、1日量として、1日最大分量の1/3以上2/3以下が好ましく、2/3がより好ましい。斯様な1日量とすることによって、1日あたりの去痰成分の服用量が1日最大分量よりも少ないにも拘わらず、優れた去痰効果が得られる。
また、本発明の去痰医薬組成物(2)は、上記1回量を、1日2回服用するものであり、服薬コンプライアンス、去痰作用の観点から、1日に2回、食前、食間、食後、就寝前等に服用するものが好ましく、1日2回食後に服用するものがより好ましい。
【0024】
本発明の去痰医薬組成物(3)におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は、1日量として、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg超120mg以下が好ましく、より好ましくは120mgである。
また、1回量(1回の服用量)として、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で60mg含有するものが好ましい。
また、本発明の去痰医薬組成物(3)における去痰成分の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、服薬コンプライアンス、去痰作用の観点から、1日量として、1日最大分量の1/3以上2/3以下が好ましく、2/3がより好ましい。斯様な1日量とすることによって、1日あたりの去痰成分の服用量が1日最大分量よりも少ないにも拘わらず、優れた去痰効果が得られる。
また、1回量として、去痰成分を1日最大分量の1/6以上1/3以下含有するものが好ましく、1/3含有するものがより好ましい。
また、本発明の去痰医薬組成物(3)は、1日に2回服用するものであるが、1日2回、食前、食間、食後、就寝前等に服用するものが好ましく、1日2回食後に服用するものがより好ましい。
【0025】
また、上記去痰医薬組成物(1)~(3)中のロキソプロフェン又はその塩の含有量としては、組成物全量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、また、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0026】
本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)中の去痰成分の含有量としては、組成物全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、また、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
また、本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)中の(A)ロキソプロフェン又はその塩と(B)去痰成分との質量比率〔(A)/(B)〕は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.75以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
【0027】
そして、上記本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)は、例えば、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。また、剤形は、特に限定されるものではなく、固形状、半固形状、液状のいずれの形状でもよい。具体的には例えば、錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠も含む)、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、ドライシロップ剤、ゼリー剤、シロップ剤、ドリンク剤などにすることができる。
【0028】
また、本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)としては、服用の簡便性や薬物服用量の管理等の点で、固形製剤が好ましく、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤及びドライシロップ剤からなる群より選ばれる固形製剤がより好ましい。
【0029】
本発明の去痰医薬組成物は、その1日量を1日につき2回に分けて食前、食間、食後、就寝前等に服用することができ、1日につき2回に分けて食後に服用するのが好ましい。また、その1回量を1日に2回、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができ、1日2回食後に服用するのが好ましい。
【0030】
本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)には、医薬成分として、さらに成分(A)及び(B)以外の薬物、例えば、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、カフェイン類、解熱鎮痛剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方、キサンチン系成分等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい。
【0031】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、シプロへプタジン塩酸塩水和物、セチリジン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、ロラタジン等が挙げられる。
本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)中の(A)ロキソプロフェン又はその塩と(C)抗ヒスタミン剤との質量比率〔(A)/(C)〕は、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、また、好ましくは200以下、より好ましくは150以下である。
【0032】
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデイン、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩等が挙げられる。
本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)中の(A)ロキソプロフェン又はその塩と(D)鎮咳剤との質量比率〔(A)/(D)〕は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
【0033】
カフェイン類としては、例えば、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェイン等が挙げられる。
本発明の去痰医薬組成物(1)~(3)中の(A)ロキソプロフェン又はその塩と(E)カフェイン類との質量比率〔(A)/(E)〕は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
【0034】
解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、チアラミド塩酸塩、ラクチルフェネチジン等が挙げられる。
【0035】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
【0036】
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0037】
催眠鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
【0038】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0039】
抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン、トラネキサム酸等が挙げられる。
【0040】
胃粘膜保護剤としては、例えば、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
【0041】
抗コリン薬としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル-l-ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
【0042】
生薬類としては、例えば、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン (沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0043】
漢方処方としては、例えば、ケイシトウ(桂枝湯)、コウソサン(香蘇散)、サイコケイシトウ(柴胡桂枝湯)、ショウサイコトウ(小柴胡湯)、バクモンドウトウ(麦門冬湯)、ハンゲコウボクトウ(半夏厚朴湯)等が挙げられる。
【0044】
キサンチン系成分としては、例えば、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリン等が挙げられる。
【0045】
そして、本発明の去痰医薬組成物は、去痰成分の含有量が少ないのにもかかわらず、優れた去痰作用を発揮し、副作用の心配が少なく安全性が高い。
また、本発明の去痰医薬組成物は、NSAIDの一種であるロキソプロフェン又はその塩と去痰成分を含有するため、かぜの諸症状(たん)の緩和や「たん」の効能又は効果を有する、総合感冒薬(かぜ薬)や去痰薬として有用である。
【実施例0046】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]錠剤
9錠あたり、ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で180mg)、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(金剛化学製:商品名D-マレイン酸クロルフェニラミン)3.5mg、ジヒドロコデインリン酸塩(塩野義製薬製:商品名 リン酸ジヒドロコデイン「シオノギ」)24mg、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(アルプス薬品工業製:商品名 日本薬局方 dl-塩酸メチルエフェドリン末)60mg、グアイフェネシン(アルプス薬品工業製:商品名 日本薬局方 グアイフェネシン)250mg及び無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)40mgを含むように、これら医薬成分と、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の製剤添加物とを混合し、精製水を用いて造粒した。得られた造粒物を乾燥し、整粒して、整粒物を得た。得られた整粒物に、ステアリン酸マグネシウムを加えて打錠して、錠剤を得た。
【0048】
[試験例1]去痰作用の検討
実施例1で得た錠剤を用いて、痰の症状を示す20代~30代の患者男女62名を2群に分けて、症状の改善の検討を行った。
すなわち、実施例1で得た錠剤を1日に2回、1回あたり3錠を食後に服用する群と1日に3回、1回あたり3錠を食後に服用する群に分け3日間投与した。投与終了後、痰の症状の改善具合を、消失、軽減、不変、悪化の4段階に分けて評価した。症状の改善が「軽減」以上の患者の割合を表1に示した。
【0049】
【0050】
表1から明らかなように、1日あたりの服用回数が少ない患者(1日2回投与群)のほうが、痰の症状の改善が優れていた。
一般には、症状の改善を期待して薬物を投与する際、その症状に応じた薬物を多く投与したほうが症状の改善度が高まると期待されるにも拘わらず、驚くべきことに、薬物の投与量が少ない1日2回投与群(1日に6錠服用)のほうが1日3回投与群(1日9錠服用)に比べ、痰の症状が改善された。
【0051】
[製造例1]
実施例1と同様にして、9錠あたりグアイフェネシン250mg含有するところをチペピジンクエン酸塩75mgに換えた錠剤を得た。
【0052】
[製造例2]
実施例1と同様にして、9錠あたりグアイフェネシン250mg含有するところをチペピジンヒベンズ酸塩60mgに換えた錠剤を得た。
【0053】
[製造例3]
実施例1と同様にして、9錠あたりグアイフェネシン250mg含有するところをリゾチーム塩酸塩90mg(力価)に換えた錠剤を得た。
【0054】
[製造例4]
実施例1と同様にして、9錠あたりグアイフェネシン250mg含有するところをブロムヘキシン塩酸塩12mgに換えた錠剤を得た。
【0055】
[製造例5]
実施例1と同様にして、9錠あたりグアイフェネシン250mg含有するところをアンブロキソール塩酸塩45mgに換えた錠剤を得た。