(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072047
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/26 20060101AFI20230516BHJP
F23N 5/20 20060101ALI20230516BHJP
F23K 5/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F23N5/26 101G
F23N5/20 Z
F23K5/02 Z
F23N5/26 101B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039972
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2019152314の分割
【原出願日】2019-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】若月 慶介
(57)【要約】
【課題】燃焼残り時間のカウントが終了して、燃焼が停止した時の燃料の残量を極力少なくなるように制御することで、燃焼時間が長く設定でき、使用者にとって使い勝手のよい燃焼装置を提供すること。
【解決手段】本体1に貯留される液体燃料の量を検知する燃料検知部11を備え、燃料検知部11の検知信号から液体燃料の残量が所定量以下になったことを検知すると、バーナ6の燃焼量を所定の燃焼量に固定し、固定した燃焼量で燃焼を継続可能な燃焼残り時間を表示させ、燃焼残り時間のカウント終了時に油受皿3に停止準備制御を実行可能な液体燃料を残す。燃焼量を所定値に固定することで、燃料の消費量を精度よく判断できるため、燃焼残り時間のカウント終了時に油受皿3に残る燃料を極力少なくすることができる。そのため、燃焼残り時間を長く設定することができ、使用者にとって使い勝手のよい燃焼装置となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料を燃焼するバーナと、
前記バーナへ供給する液体燃料を貯留する油受皿と、
前記油受皿の液体燃料の量を検知して検知信号を出力する燃料検知部と、
前記バーナの燃焼量を制御する制御部と、
運転状態を表示する表示部と、を備え
前記制御部は、運転停止の指示があると、前記バーナへの液体燃料の供給を停止する前に停止準備制御を実行可能であり、
前記燃料検知部の検知信号に基づいて液体燃料が所定量以下になったことを検知すると、前記バーナでの燃焼を所定の燃焼量に固定するとともに、前記表示部に前記所定の燃焼量で燃焼を継続することが可能な燃焼残り時間を表示させ、
前記燃焼残り時間のカウントダウンが終了したときに、前記油受皿に前記停止準備制御を実行可能な液体燃料が残るように前記燃焼残り時間の初期値を設定する燃焼装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記燃焼残り時間の表示を行う際は、前記燃料検知部が作動したことを前記表示部に表示させる請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記表示部は、液体燃料の残量を表示可能である請求項1または2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記油受皿に液体燃料を供給する給油タンクを備え、
前記表示部は前記給油タンク内の液体燃料の残量を表示可能であり、
前記制御部は、前記燃焼残り時間の表示を行う際は、前記給油タンク内の液体燃料の残量がゼロであることを前記表示部に表示させる請求項3記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記燃焼残り時間の表示を開始することを予告する予告報知を行う、請求項1から4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記燃焼残り時間のカウントダウンが終了したことにより燃焼を停止した場合は、運転開始の指示を受付可能とする請求項1から5のいずれかに記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を燃焼して暖房を行う燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、灯油等の液体燃料を燃焼して暖房を行う燃焼装置において、燃焼残り時間を表示する機能を備えたものが知られている。この燃焼装置では、本体内に設けられた油受内の燃料の残量を検出して残量が所定量以下になったことを検知すると、燃焼残り時間を演算し、時間経過とともに燃焼残り時間をカウントダウンして表示するようになっている。使用者は何分後に燃焼が停止するのかがわかるため、燃焼が停止してしまう前に給油をすることができ使い勝手がよい。
【0003】
この燃焼残り時間の表示方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、燃料の残量が所定量以下であることを検出すると、その時点での燃焼量に基づいて燃焼可能な残り時間を演算して表示し、さらにそのときの燃焼量を記憶して、その後は記憶した燃焼量を上限として燃焼を継続するものがある(特許文献1)。また、燃焼残り時間の表示中に燃焼量が切り換わった場合、切り換わった後の燃焼量を用いて燃焼継続可能な時間を算出し、燃焼残り時間を更新するようにしたものもある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-4843号公報
【特許文献2】特開2000-213744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、燃焼残り時間を演算した後で燃焼量が減少した場合、カウントダウンが終了した時点では当初の予定よりも多くの燃料が残ってしまうことになる。これにより、本来ならば燃焼が可能な時間よりも短い時間で燃焼が停止してしまうため、使用者の利便性を損ねてしまうおそれがある。一方、特許文献2の方法では、燃焼量が切り替わった場合には燃焼継続時間を算出して更新するため、上述のような問題は発生しない。ところが、燃焼量が大きくなったときには突然燃焼可能時間が短くなってしまうことがあるため、いつカウントダウンが終了するかがわかりづらくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、燃焼残り時間のカウントが終了して、燃焼が停止した時の燃料の残量を極力少なくなるように制御することで、燃焼時間が長く設定でき、使用者にとって使い勝手のよい燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液体燃料を燃焼するバーナと、
前記バーナへ供給する液体燃料を貯留する油受皿と、
前記油受皿の液体燃料の量を検知して検知信号を出力する燃料検知部と、
前記バーナの燃焼量を制御する制御部と、
運転状態を表示する表示部と、を備え
前記制御部は、運転停止の指示があると、前記バーナへの液体燃料の供給を停止する前に停止準備制御を実行可能であり、
前記燃料検知部の検知信号に基づいて液体燃料が所定量以下になったことを検知すると、前記バーナでの燃焼を所定の燃焼量に固定するとともに、前記表示部に前記所定の燃焼量で燃焼を継続することが可能な燃焼残り時間を表示させ、
前記燃焼残り時間のカウントダウンが終了したときに、前記油受皿に前記停止準備制御を実行可能な液体燃料が残るように前記燃焼残り時間の初期値を設定する燃焼装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、残り時間のカウントダウンが終了して燃焼が停止した時の燃料の残量を少なくすることができるので、燃焼時間が長く設定でき、使用者にとって使い勝手のよい燃焼装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本実施形態の燃焼装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の燃焼残り時間表示のフローチャートである。
【
図5】表示部における燃焼残り時間の表示態様を説明する図である。
【
図6】他の実施形態の燃焼装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】他の実施形態の燃焼残り時間表示のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、本体に貯留される液体燃料の量を検知する燃料検知部を備え、制御部は燃料検知部の検知信号に基づいて液体燃料の残量が所定量以下になったことを検知すると、バーナの燃焼量を所定の燃焼量に固定して燃焼を継続するとともに、固定した燃焼量で燃焼を継続することが可能な燃焼残り時間を表示させる。燃焼量を所定値に固定することで、その後の燃料の消費量を精度よく判断できるため、燃焼残り時間のカウントが終了して、燃焼が停止したときに油受皿に残る燃料を少なくすることができる。そのため、燃焼残り時間を長く設定することができるため、使用者にとって使い勝手のよい燃焼装置となる。
【0012】
また、燃焼残り時間の表示を行う際には、燃料検知部が作動したことも併せて表示部に表示させる。これにより、燃料が残り少なくなったことによって、燃焼残り時間の表示が行われていることを明確に表示することができるため、利便性に優れることとなる。
【0013】
また、表示部には、液体燃料の残量を表示可能である。液体燃料の残量を表示することで、燃料が残り少なくなったことによって、燃焼残り時間の表示が行われていることを示唆することができるため、利便性に優れることとなる。
【0014】
また、表示部に表示される液体燃料の残量として、給油タンク内の液体燃料の残量を表示可能であり、燃焼残り時間の表示を行う際は、給油タンク内の液体燃料の残量がゼロであることを表示させる。これにより、燃料が残り少なくなったことによって、燃焼残り時間の表示が行われていることを明確に表示することができるため、利便性が向上する。
【0015】
また、設定温度と室温との差に基づいて、燃焼を一時的に停止する燃焼待機制御を実行可能であり、燃焼残り時間の表示中に燃焼待機制御を実行する場合は、燃焼残り時間はカウントダウンを中断して表示する。これにより、燃焼待機制御の実行中であっても、燃焼残り時間を確認することができるため、利便性を損なうことがない。
【0016】
また、燃焼残り時間の表示を開始することを予告する予告報知を行う。予告報知を行うことで、このまま給油を行わずに燃焼を継続すると燃焼量が固定されることを前もって使用者に知らせることができるため、利便性が向上する。
【0017】
また、燃料検知部の検知信号を受けて、液体燃料の消費に関連する値の積算を開始し、積算値が所定の判定値に達するとバーナの燃焼量を所定の燃焼量に固定して、燃焼残り時間の表示を開始する。液体燃料の消費に関連する値を積算することで、燃料検知部が検知信号を出力した時点から、燃料がどれだけ消費されたかを推測することができる。つまり、判定値を適宜設定することで、残り時間表示を開始する際の液体燃料の残量を任意に設定することができる。これにより、油受皿の容量や、燃料検知部の設置位置に関わらず、燃焼残り時間の初期値を任意に設定することができるため、設計の自由度が向上する。
【0018】
また、制御部は、運転停止の指示があると、バーナへの液体燃料の供給を停止する前に停止準備制御を実行可能であり、燃焼残り時間のカウントダウンが終了したときに、停止準備制御を実行可能な液体燃料が残るように燃焼残り時間の初期値を設定する。これにより、燃料がなくなったことが原因で燃焼を停止させる場合であっても、燃焼を停止させる前に停止準備制御を実行することができるので、適切に燃焼装置の燃焼を停止させることができる。
【0019】
また、燃焼残り時間のカウントダウンが終了したことにより燃焼を停止した場合は、運転開始の指示を受け付けることができる。これにより、カウントダウンが終了しても燃料が残っていれば燃焼を行わせることができるため、利便性に優れる。また、シーズンオフ等で燃焼装置を保管する場合には、カウントダウンが終了した後で運転開始を指示することにより、油受皿内に残った燃料を使い切ることができるため、保管作業の手間を軽減することができる。
【実施例0020】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の燃焼装置の構成図である。燃焼装置の本体1には、着脱自在に設けられ液体燃料を補給する給油タンク2、給油タンク2から供給される液体燃料を所定量貯留する油受皿3、油受皿3内に貯留された液体燃料を汲み上げる電磁ポンプ4、電磁ポンプ4が汲み上げた液体燃料を加熱気化する気化器5、気化器5で気化された燃料ガスと一次空気とを混合してこの混合ガスを燃焼するバーナ6、燃焼装置の動作を指示するボタンを備える操作部7、燃焼装置の状態を表示する表示部8が備えられている。
【0022】
また、本体1の背面には本体1内部に空気を供給する送風機9(
図3参照)が取付けられている。バーナでの燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機9から供給される空気と混合されて温風となり、本体1の前面に設けられた吹出口10から排出されることで室内の暖房が行われるようになっている。
【0023】
図2は、本実施形態の燃焼装置の要部断面図である。油受皿3の上面には、前述の電磁ポンプ4と、油受皿3内の液体燃料の量を検知する燃料検知部11と、給油タンク2の重量を検知するタンク重量検知部12が取り付けられるとともに、給油タンク2が挿入されるタンク挿入口13が形成されている。このタンク挿入口13には、液体燃料内に混入したゴミなどの不純物をろ過する油フィルタ14が配置されていて、油フィルタ14内に給油タンク2の口金15を挿入することで油受皿3上に給油タンク2を載置するようになっている。
【0024】
本実施形態では、燃料検知部11には、発光素子と受光素子を備える光学式の液面センサを用いており、液面センサ周囲の液体の有無による光の変化により、液体の有無を検知する。つまり、油受皿3内の液体燃料が所定量以下になると液面センサは信号を出力し、この出力信号により油受皿3内に液体燃料がないと判定される。なお、燃料検知部11は光学式に限るものではなく、その他の方式であってもよい。また、燃料が所定量以上あることを検知して信号を出力するものであってもよい。
【0025】
油フィルタ14の中央にはピン16が突出形成されており、給油タンク2を装着するとこのピン16が給油タンク2の口金15に設けられた燃料吐出口15aを開口させる。これにより、給油タンク2内の液体燃料が油フィルタ14を介して油受皿3内に供給される。そして、油受皿3内の液面が上昇して燃料吐出口15aまで達すると、給油タンク2からの液体燃料の供給が停止するので、これを繰り返すことにより油受皿3には常に一定量の液体燃料が貯留されるようになっている。
【0026】
図3は、本実施形態の燃焼装置の構成を示すブロック図である。マイコンからなる制御部20の入力側には、タンク重量検知部12、燃料検知部11、室内温度を検知する室温検知部17、操作部7が接続されている。
【0027】
そして制御部20は、タンク重量検知部12からの検知信号に基づいて給油タンク2内の液体燃料の残量を演算するタンク残量演算部21、燃焼残り時間のカウントダウン表示を制御する残時間カウント制御部22、室温検知部17によって検知された室内温度と、使用者によって設定された設定温度との差から燃焼量を決定して燃焼を制御する燃焼量制御部23、とを含んで構成される。
【0028】
また、制御部20の出力側には、表示部8、電磁ポンプ4、送風機9と、気化器5を加熱するための気化ヒータ18が接続されており、燃焼量制御部23が決定した燃焼量に基づき、これらの部品の動作が制御されて室温が設定温度になるように燃焼が行われる。なお、図の構成は本実施形態にかかる燃焼装置の一実施例であって、図示される以外のその他の構成要素を含んでいても構わない。
【0029】
上述の構成からなる燃焼装置において、操作部7のボタン操作によって運転開始を指示すると、まず気化器5を加熱する気化ヒータ18への通電を開始する。気化ヒータ18の加熱により気化器5が液体燃料を気化することができる温度に到達すると、電磁ポンプ4を駆動して気化器5に液体燃料を供給し、気化器5に供給された液体燃料は加熱気化されて気化ガスとなる。そして、気化ガスは気化器5の先端からバーナ6に供給され、バーナ6で燃焼が行われる。燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機9からの空気と混合されて温風となり、吹出口10から排出される。
【0030】
このようにして、燃焼が開始されると、油受皿3内の液体燃料は電磁ポンプ4により汲み上げられて消費されるが、消費された分の液体燃料が給油タンク2から供給されるため、油受皿3には常に一定量の液体燃料が貯蔵されている。給油タンク2内の液体燃料の残量は、タンク重量検知部12により検知され、表示部8に表示される。
【0031】
燃焼量制御部23は、使用者が設定する設定温度と、室温検知部17が検知する室温との差から燃焼量を決定し、室温を設定温度に維持するよう、気化ヒータ18、送風機9、電磁ポンプ4の動作を制御する。運転開始直後で設定温度と室温との差が大きいときは燃焼量を大きくし、室温が設定温度に近づくと燃焼量を小さくする。なお、室温が設定温度より所定温度(例えば3℃)高い状態となると、燃焼を一時的に停止する燃焼待機制御を実行することができる。燃焼を一時的に停止している状態で、室温が設定温度よりも低くなると燃焼を再開する。
【0032】
燃焼が継続し、給油タンク2内の液体燃料がなくなると、油受皿3には液体燃料が供給されなくなるため、油受皿3内の液体燃料の液面は徐々に下降していく。この液面は燃料検知部11により検知され、燃料の残量が所定量以下となったことが検知されると、燃焼残り時間の表示を開始する。また、これと同時に給油タンク2への燃料の補給が必要であることを報知してもよい。
【0033】
制御部20では、燃料検知部11によって油受皿3の液体燃料の量が所定量以下になったことが検知されると、燃焼量制御部23によって、バーナ6での燃焼を所定の燃焼量に設定し、以後はその設定した燃焼量に固定して燃焼を継続する。そして、残時間カウント制御部22では、燃焼残り時間として表示する初期値を設定し、これを表示部8に表示することで燃焼残り時間のカウントダウンを開始する。燃焼量を所定値に固定することで、その後の燃料の消費量を精度よく判断できるため、燃焼残り時間のカウントが終了して、燃焼が停止したときに油受皿3に残る燃料を少なくすることができる。したがって、燃焼残り時間を長く設定することができるため、使用者にとって使い勝手のよい燃焼装置となる。
【0034】
ここで、所定の燃焼量とは、通常の暖房運転における最小燃焼量でもよいし、最小燃焼量より小さく設定された燃焼量でもよい。また、燃焼残り時間の表示中に燃焼待機制御を実行する場合は、燃焼残り時間はカウントダウンを中断した状態で表示することができる。これにより、燃焼待機制御の実行中であっても、燃焼残り時間を確認することができるため、利便性を損なうことがない。
【0035】
図4は、本実施形態の燃焼残り時間表示のフローチャートである。制御部20は、燃料検知部11からの信号の有無を判定する(ステップ1)。燃料検知部11から信号があった、つまり油受皿3の燃料が所定量以下となったことを燃料検知部11が検知した場合(ステップ1でYes)、燃焼量を所定の燃焼量に固定する(ステップ2)。
【0036】
次いで、残時間カウント制御部22では、燃焼残り時間の初期値を設定し(ステップ3)、燃焼残り時間のカウントダウン表示を開始する(ステップ4)。そして、カウント値がゼロになったかを判定し(ステップ5)、ゼロになっていない場合(ステップ5でNo)は、燃焼量を所定量に固定して燃焼を継続しつつカウントダウンを継続する。カウント値がゼロになった場合(ステップ5でYes)は、燃焼を停止させる(ステップ6)。
【0037】
なお、燃焼装置が燃焼待機制御を実行可能な場合にあっては、上述のステップ4とステップ5の間で燃焼待機制御が実行されているかを判定する。燃焼待機制御が実行されている場合には、燃焼残り時間のカウントダウンは中断され、その後、燃焼待機制御が終了したことを検知すると、燃焼残り時間のカウントダウンを再開する。
【0038】
燃焼装置は、運転停止の指示があった場合に、バーナ6へ液体燃料の供給を停止する前に、停止準備制御を実行することができるようになっていてもよい。この場合、上述のステップ5の後で、停止準備制御を実行し、この停止準備制御が完了した後で燃焼を停止させる。停止準備制御とは、例えば、燃焼停止時に発生する臭いを低減するために実行される制御であって、供給する燃料を徐々に低下させるとともに送風機9を所定の回転数に制御することで、本体1内に残る燃料ガスを燃焼させて未燃ガスが放出されることを抑制する。そのため、燃焼残り時間のカウントダウンが終了して燃焼を停止させる場合においても、この停止準備制御を実行することのできる液体燃料が残るように、燃焼残り時間の初期値が設定される。
【0039】
また、ステップ6で燃焼残り時間のカウントダウンが終了したことにより燃焼が停止した場合において、運転開始の指示があったときには、その指示を受け付けることができる。つまり、油受皿3に燃料が残っている場合には、燃焼を行わせることができるため、利便性に優れる。また、シーズンオフ等で燃焼装置を保管する場合には、カウントダウンが終了した後で運転開始を指示することにより、油受皿3内に残った燃料を使い切ることができるため、保管作業の手間を軽減することができる。
【0040】
図5は、表示部の表示態様を示す図である。
図5(a)は、給油タンク内に液体燃料が残っている状態において運転を行っている場合、
図5(b)は液体燃料の残量が残り少なくなったことにより燃焼残り時間を表示して運転を行っている場合、
図5(c)は燃焼残り時間のカウントダウンが終了して燃焼が停止した場合を示している。表示部8はLCDにより構成されており、燃焼装置の状態に応じて表示される内容は変化する。
【0041】
図5(a)において、表示部8は、設定温度を表示する設定温度表示部30と、室内温度を表示する室内温度表示部31と、現在の時刻を表示する現在時刻表示部32と、給油タンク2内の液体燃料の残量を表示する残油量表示部33と、その他の燃焼装置の状態を表示する状態表示部34を備えている。残油量表示部33は、給油タンク2内の液体燃料の残量をバーグラフによって表示している。状態表示部34は、使用者に報知する必要のある燃焼装置の状況を表示するものであり、特に報知する必要がなければここには何も表示されない。
【0042】
この状態表示部34には、例えば、給油タンク2への給油が必要であることを表示する「給油マーク」、換気が必要であることを表示する「換気マーク」、子供のいたずらなどを防止するチャイルドロックが設定されていることを表示する「チャイルドロックマーク」など、が表示されるようになっている。なお、ここに挙げたマークは状態表示の一例であり、それ以外のマークを表示してもよい。
【0043】
燃焼が継続して給油タンク2内の液体燃料が消費されると、バーグラフの表示数が減少する。そして給油タンク2内の液体燃料がなくなると、バーグラフの表示がゼロになるとともに、油受皿3には液体燃料が供給されなくなるため、油受皿3内の液体燃料の液面は徐々に下降していく。そして油受皿3の燃料の残量が所定量以下となったことが検知されると、バーナ6での燃焼量が所定値に固定されて、
図5(b)に示すように燃焼残り時間の表示が開始される。
【0044】
図5(b)では、表示部8は、設定温度表示部30、室内温度表示部31、残油量表示部33、状態表示部34の他に、燃焼残り時間をカウントダウン表示する残時間表示部35を備えている。この残時間表示部35は、
図5(a)における現在時刻表示部32と兼用されている。燃焼残り時間は、所定周期で点滅表示させており、これにより表示されている時間が燃焼残り時間なのか、現在時刻なのかを明確にすることができる。さらには、残時間表示部35に、燃焼残り時間と「OFF」の文字とを交互に表示させるようにしてもよい。燃焼が停止することを示す「OFF」の文字を挟むことで、残り時間をカウントダウンしていることをより明確にすることができる。
【0045】
燃焼残り時間の表示中には、給油タンク2内には液体燃料が残っていないため、残油量表示部33にバーグラフは表示されておらず、これにより残量がゼロであることを示している。また、状態表示部34には「給油マーク」を点滅させている。「給油マーク」は、燃料検知部11が作動したことを示す表示の一例であり、これにより燃料が少なくなったことを示すことができる。このように、燃焼残り時間の表示に加えて、給油タンク2内の液体燃料の残量や、「給油マーク」を表示させることで、燃料が少なくなったことに起因して、燃焼残り時間のカウントダウンが行われていることを明確にすることができる。特に、タイマーによって設定された燃焼継続時間が残り少なくなった際にも燃焼残り時間のカウントダウンを行うようになっている場合には、カウントダウンの原因が明確になるため、利便性に優れることとなる。
【0046】
なお、本実施形態では、表示部8に、残油量表示部33と状態表示部34を備えた場合を例に説明したが、少なくとも残油量表示部33と状態表示部34のいずれか一方を備えていれば、上述の効果を奏することができる。
【0047】
そして、燃焼残り時間のカウントダウンが終了すると、燃焼が停止される。このとき、表示部は
図5(c)の表示となる。状態表示部34には「給油マーク」を点灯表示させることで、燃料がなくなったために燃焼が停止したことを示している。なお、残時間表示部35から現在時刻表示部32に切り替わっているが、残時間表示部35のままとして「OFF」の文字を表示させてもよい。
【0048】
本実施形態では、現在時刻表示部32と残時間表示部35とを兼用させた例を示しているが、それぞれに専用の表示部を設けることもできる。また、室内温度表示部31と残時間表示部35とを兼用させることもできる。
【0049】
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態は、制御部20の構成の一部が前述の実施形態と異なっているが、その他の構成は同じである。そのため、以下では前述の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図6は、他の実施形態の燃焼装置の構成を示すブロック図である。制御部20は、消費量演算部24を備えている。この消費量演算部24では、燃料検知部11の信号を受けて液体燃料の消費に関連する値を積算する。そして、消費量演算部24が演算した積算値が所定の判定値に達すると、液体燃料が所定量以下になったと判断して、燃焼量制御部23に燃焼量を固定するよう指示を送るとともに、残時間カウント制御部22に燃焼残り時間のカウントダウン表示を開始するよう指示を送る。
【0051】
本実施形態では、液体燃料の消費に関連する値として燃焼量相当値を積算する。燃焼量相当値は、燃焼量に応じて設定された数値であり、これを積算することによってどのくらいの燃料が消費されたかを推測することができる。なお、積算する値はこれに限らず、例えば、電磁ポンプ4の駆動量を監視して電磁ポンプ4から気化器5へ送られる燃料の量を演算したりしてもよい。
【0052】
燃焼残り時間の初期値は、カウントダウン表示を開始するときに油受皿3内に残っている燃料の量によって決定される。これを検知する手段として燃料検知部11を備えているが、燃料検知部11が作動したときに油受皿3に残っている燃料の量は、油受皿3の形状と燃料検知部11の配置によって決定される。加えて、カウントダウンが終了したときに油受皿3に残る燃料は少ない方がよい。そのため、例えば、初期値を20分に設定するのであれば、カウントダウンを開始する時点で油受皿3には20分間燃焼可能な燃料が残るように調整をしなければならない。そこで、本実施形態では、この調整をするために液体燃料の消費に関連する値を積算するように構成している。
【0053】
つまり、燃料検知部11からの検知信号を受けて、液体燃料の消費に関連する値である燃焼量相当値を積算することで、油受皿3に残る燃料がカウントダウン表示に必要かつ十分な量にまで低下したかを判定することができる。したがって、判定値を適宜設定することで、油受皿3の容量や燃料検知部11の設置位置に関わらず、燃焼残り時間の初期値を任意に設定することができるため、設計の自由度が向上する。
【0054】
また、燃料検知部11が作動した際には、予告報知を行うこととしてもよい。この予告報知とは、給油タンク2内の液体燃料がなくなったことを使用者に報知するものであり、この報知を受けて使用者は給油タンク2に燃料を補給することができる。使用者が燃料の補給を行わなかった場合には、消費量演算部24で演算した積算値が判定値に到達した時点で、燃焼残り時間表示を開始することになる。よって、バーナ6の燃焼が所定の燃焼量に固定されることを前もって通知する役割も果たす。
【0055】
図7は、本実施形態の燃焼残り時間表示のフローチャートである。制御部20は、燃料検知部11からの信号の有無を判定する(ステップ11)。燃料検知部11から信号があった場合(ステップ11でYes)、予告報知を実行し(ステップ12)、燃料が少なくなっていることを使用者に報知する。
【0056】
ステップ12で予告報知を実行すると、消費量演算部24は燃焼量相当値の積算を開始する(ステップ13)。そして、積算値が判定値に達したか、言い換えると、油受皿3の燃料が所定量以下となったかを判定する(ステップ14)。積算値が判定値に到達していない場合(ステップ14でNo)は、油受皿3の燃料は所定量以上あるので燃焼量相当値の積算を継続する。積算値が判定値に達した場合(ステップ14でYes)は、油受皿3の燃料が所定量以下となったと判断し、燃焼量を所定の燃焼量に固定する(ステップ15)。
【0057】
次いで、残時間カウント制御部22では、燃焼残り時間の初期値を設定し(ステップ16)、燃焼残り時間のカウントダウン表示を開始する(ステップ17)。そして、カウント値がゼロになったかを判定し(ステップ18)、ゼロになっていない場合(ステップ18でNo)は、燃焼量を所定量に固定して燃焼を継続しつつカウントダウンを継続する。カウント値がゼロになった場合(ステップ18でYes)は、燃焼を停止させる(ステップ19)。