(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072097
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】タイヤの摩耗測定装置および摩耗測定装置用の埋設ピン
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G01B7/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020066102
(22)【出願日】2020-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 秋人
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA30
2F063BA09
2F063BB01
2F063BB03
2F063BC02
2F063BC09
2F063BD05
2F063BD11
2F063CA08
2F063CA09
2F063DA01
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD03
2F063GA52
2F063KA01
(57)【要約】
【課題】地磁気などの外部磁界の影響を抑えて、タイヤの摩耗を精度よく検出できるタイヤの摩耗測定装置を提供すること。
【解決手段】
第1磁性体11の磁界M1に基づいてタイヤ20の摩耗度合を測定するタイヤ20の摩耗測定装置10は、トレッド部22に埋設され、トレッド部22とともに摩耗するシールド部15と、トレッド部22とともにシールド部15が摩耗することにより、第1磁性体11からの磁界Mのうち、シールド部15を通過した検出される磁界m1が変化する位置に設けられている第1の磁界検出部13と、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石の磁界に基づいてタイヤの摩耗度合を測定するタイヤの摩耗測定装置において、
トレッド部に埋設された、前記磁石からの前記磁界を遮蔽するシールド部と、
前記トレッド部とともに前記シールド部が摩耗することにより、前記磁石からの前記磁界が変化する位置に設けられている磁界検出部と、を有していることを特徴とするタイヤの摩耗測定装置。
【請求項2】
前記磁界検出部が、前記タイヤの内側面における、前記トレッド部の裏側に設けられており、
前記磁石が、車体における、前記トレッド部に対向する位置に設けられており、
前記シールド部が、前記磁界検出部と前記磁石との間に設けられている、請求項1に記載の摩耗測定装置。
【請求項3】
前記磁界検出部が、車体における、前記トレッド部に対向する位置に設けられており、
前記磁石が、前記タイヤの内側面における、前記トレッド部の裏側に設けられており、
前記シールド部が、前記磁界検出部と前記磁石との間に設けられている、請求項1に記載の摩耗測定装置。
【請求項4】
参照磁石と、
前記トレッド部とともに前記シールド部が摩耗することに影響を受けず、前記参照磁石からの磁界が変化しない位置に設けられた参照磁界検出部と、を有している、請求項2または3に記載の摩耗測定装置。
【請求項5】
前記磁界検出部と前記参照磁界検出部とが、前記タイヤの幅の中心線に対して対称な位置に設けられている請求項4に記載の摩耗測定装置。
【請求項6】
前記磁石が、第1の磁石と第2の磁石とを有しており、
前記シールド部が、前記第1の磁石と前記第2の磁石とに挟まれた状態で、前記第1の磁石および前記第2の磁石とともに前記トレッド部に埋設されており、
前記第1の磁石と、前記シールド部と、前記第2の磁石とが、この順に前記タイヤの径方向に並べて配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の摩耗測定装置。
【請求項7】
前記第1の磁石、前記シールド部および前記第2の磁石が収納された収納部を有する埋設ピンが前記トレッド部に埋設されており、
前記収納部が、前記第1の磁石、前記シールド部および前記第2の磁石を収納する筒状の筒状部を備えており、
前記筒状部の内部には、前記第1の磁石と前記第2の磁石との間に、前記シールド部が順配置されている、請求項6に記載の摩耗測定装置。
【請求項8】
前記収納部は、前記筒状部の外周面から突出する係合突部を有している請求項7に記載の摩耗測定装置。
【請求項9】
前記第1の磁石における前記シールド部側の磁極と、前記第2の磁石における前記シールド部側の磁極とが同じである、請求項7に記載の摩耗測定装置。
【請求項10】
前記埋設ピンを複数備えている、請求項7に記載の摩耗測定装置。
【請求項11】
第1の磁石、シールド部、第2の磁石、および収納部を備えており、
前記収納部が、前記第1の磁石、前記シールド部および前記第2の磁石を収納する筒状の筒状部を備えており、
前記筒状部の内部には、前記シールド部が、前記第1の磁石と、前記第2の磁石との間に、配置されている、摩耗測定装置用の埋設ピン。
【請求項12】
前記収納部は、前記筒状部の外周面から突出する係合突部を有している、請求項10に記載の摩耗測定装置用の埋設ピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界に基づいて、タイヤの摩耗を検出する摩耗測定装置および摩耗測定装置用の埋設ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの摩耗が進行すると、路面を走行する際におけるグリップ性能や、濡れた路面を走行する際におけるタイヤと路面との間の水を排出する排水性能が低下する。そこで、運転者や車両管理者は、タイヤのトレッドの摩耗状態を目視で点検し、安全性を確保するために使用限度を超える前にタイヤを交換する。目視による点検にはタイヤの溝に設けられているスリップサインなどが用いられるが、点検作業は煩雑であり、また、摩耗状態の評価を誤るおそれもある。評価を誤った場合、性能が低下したタイヤが継続して使用されることになり、安全性の観点から好ましくない。
そこで、目視以外の方法によってタイヤの摩耗の程度を測定する方法が提案されている。たとえば、特許文献1には、トレッドに磁石を埋め込み、タイヤ内に配置した磁界検出部を用いて埋め込まれた磁石の磁界を検出し、溝の状態やタイヤの劣化を評価する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、タイヤの内側面に張り付けられたインナーライナーとトレッドとの間には、幾層ものスチールワイヤ層が設けられており、例えばトラック用のタイヤでは4~5層にもなる。このスチールワイヤ層によりトレッドに埋め込まれた磁石からの磁界がシールドされて、タイヤの内側に到達する磁界が変化するという問題がある。ただし、磁石の磁界を強くすると、タイヤに鉄片等の不要物をひきつける要因になり、磁石とタイヤとの柔軟性の差が大きくなるという問題もある。
【0005】
上述したように、シールドによりトレッドに埋設する磁石の磁界をあまり大きくすることはできない。このため、摩耗検出装置により検出される磁界は、トレッドに埋め込まれた磁石からの磁界以外の外部磁界の影響を受けやすいといえる。外部磁界としては、例えば、地磁気などが挙げられ、地磁気の影響は、車両の進行方向、タイヤの向きや回転位置などにより刻刻と変化する。したがって、特許文献1に記載の方法のように、一つの磁界検出部によって測定された磁束密度の値に基づいてタイヤの摩耗量を評価すると、実際の摩耗量に対する誤差が大きくなるという問題がある。ノイズの影響などにより摩耗量に対する誤差が大きくなると、例えば、タイヤのローテーション(位置交換)に適したタイミングを精度よく検出できないという問題もある。
そこで、本発明は、地磁気などの外部磁界の影響を抑えて、タイヤの摩耗を精度よく検出できるタイヤの摩耗測定装置および摩耗測定装置用の埋設ピンを提供することを目的としている。
また、タイヤのローテーションに適したタイミングを容易に検出できるタイヤの摩耗測定装置および摩耗測定装置用の埋設ピンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一態様において、磁石の磁界に基づいてタイヤの摩耗度合を測定するタイヤの摩耗測定装置において、トレッド部に埋設された、前記磁石からの前記磁界を遮蔽するシールド部と、前記トレッド部とともに前記シールド部が摩耗することにより、前記磁石からの前記磁界が変化する位置に設けられている磁界検出部と、を有していることを特徴とするタイヤの摩耗測定装置を提供する。
この構成により、タイヤのトレッド部とともに摩耗するシールド部の変化に伴って変化する磁界に基づいて、タイヤの摩耗度合を測定することができる。
【0007】
前記磁界検出部が、前記タイヤの内側面における、前記トレッド部の裏側に設けられており、前記磁石が、車体における、前記トレッド部に対向する位置に設けられており、前記シールド部が、前記磁界検出部と前記磁石との間に設けられていてもよい。
また、前記磁界検出部が、車体における、前記トレッド部に対向する位置に設けられており、前記磁石が、前記タイヤの内側面における、前記トレッド部の裏側に設けられており、前記シールド部が、前記磁界検出部と前記磁石との間に設けられていてもよい。
トレッド部ではなく、車体に磁石を設けることにより、タイヤ表面に金属などが引き寄せられることが防止できる。また、トレッド部の裏側に磁石を設けることにより、タイヤ表面における磁界を抑制することができる。したがって、トレッド部に埋設する場合よりも、強い磁石を用いることができる。このため、トレッド部とともにシールド部が摩耗することによってシールド部のシールド効果が変化する。そのため、磁界検出部により検出される磁界も変化し、その磁界に基づいて、タイヤの摩耗の進捗度を精度よく測定できる。
【0008】
車体またはトレッド部の裏側に磁石を設ける場合、参照磁石と、前記トレッド部とともに前記シールド部が摩耗することに影響を受けず、前記参照磁石からの磁界が変化しない位置に設けられた参照磁界検出部と、を有していることが好ましい。
磁界検出部が検出した第1の検出値と、参照磁界検出部が検出した第2の検出値との差分を取って、外部磁界の影響を除くことにより、タイヤの摩耗の進捗度を精度よく測定できる。
この場合、前記磁界検出部と前記参照磁界検出部とが、前記タイヤの幅の中心線に対して対称な位置に設けられていることが好ましい。これにより、摩耗測定装置をバランスよく配置することができるから、ホイールバランスが安定しやすい。
【0009】
摩耗測定装置は、前記磁石が、第1の磁石と第2の磁石とを有しており、前記シールド部が、前記第1の磁石と前記第2の磁石とに挟まれた状態で、前記第1の磁石および前記第2の磁石とともに前記トレッド部に埋設されており、前記第1の磁石と、前記シールド部と、前記第2の磁石とが、この順に前記タイヤの径方向に並べて配置されていてもよい。
この構成により、タイヤの摩耗の進行に伴うトレッド部の表面に露出する部材による磁界の変化に基づいて、タイヤの摩耗度合が所定の閾値に達したことを容易に検出できる。例えば、第1の磁石が摩耗しシールド部が現れた時点で、磁界検出部により検出される磁石の磁界をなくすことができる。このように、磁石からの磁界が検出されるか否かにより、トレッド部の摩耗が所定の閾値に達したことを検出できる。
【0010】
前記磁石が、第1の磁石と第2の磁石とを有している場合、前記第1の磁石、前記シールド部および前記第2の磁石が収納された収納部を有する埋設ピンが前記トレッド部に埋設されており、前記収納部が、前記第1の磁石、前記シールド部および前記第2の磁石を収納する筒状の筒状部を備えており、前記筒状部の内部には、前記第1の磁石と前記第2の磁石との間に、前記シールド部が配置されていてもよい。また、前記収納部は、前記筒状部の外周面から突出する係合突部を備えていてもよい。
収納部に係合突部を設けることにより、埋設ピンがタイヤに埋設された状態を安定して維持することができる。
【0011】
前記第1の磁石における前記シールド部側の磁極と、前記第2の磁石における前記シールド部側の磁極とが同じものであってもよい。
この構成により、タイヤの表面に露出しているのが第1の磁石または第2の磁石のいずれであるかを、磁界の向きによって検出できる。このため、タイヤの摩耗の進行度合いをより明確に測定することが可能になる。
【0012】
また、摩耗測定装置は、前記埋設ピンを複数備えていてもよい。
埋設ピンを複数とすることにより、摩耗測定装置の信頼性が向上するともに、異なる位置におけるタイヤの摩耗状態を測定することができる。
【0013】
本発明は、他の一態様において、第1の磁石、シールド部、第2の磁石、および収納部を備えており、前記収納部が、前記第1の磁石、前記シールド部および前記第2の磁石を収納する筒状の筒状部を備えており、前記筒状部の内部には、前記シールド部が、前記第1の磁石と前記第2の磁石との間に配置されている、摩耗測定装置用の埋設ピンを提供する。
前記収納部は、前記筒状部の外周面から突出する係合突部を備えていてもよい。係合突部により、タイヤ内に埋設ピンが埋設された状態を安定的に保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイヤの摩耗測定装置は、トレッド部の摩耗に伴うシールドの変化に伴って変化する磁界を検出することにより、精度よくタイヤの摩耗を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る摩耗測定装置がタイヤに設けられた状態を説明する断面図
【
図2】タイヤの摩耗量と検出される磁界との関係を模式的に示すグラフ
【
図5】(a)第2の実施形態に係るタイヤの摩耗測定装置を説明する断面図、(b)第1の磁石、シールド部および第2の磁石が収納された収納部を有する埋設ピンを説明する断面図
【
図6】
図5(b)の埋設ピンがトレッド部の摩耗に伴って変化した状態を示す(a)第1の磁石が表面に現れた初期の状態の断面図、(b)シールド部が表面に現れた状態の断面図、(c)シールド部が摩耗して第2の磁石が表面に現れた状態の断面図
【
図7】(a)
図6(a)の状態における出力波形のグラフ、(b)
図6(b)の状態における出力波形のグラフ、(c)
図6(c)の状態における出力波形のグラフ
【
図8】埋設ピンの変形例を説明する(a)第1の磁石が表面に現れた初期の状態の断面図、(b)シールド部が表面に現れた状態の断面図、(c)シールド部が摩耗して第2の磁石が表面に現れた状態の断面図
【
図9】(a)
図8(a)の状態における出力波形のグラフ、(b)
図8(b)の状態における出力波形のグラフ、(c)
図8(c)の状態における出力波形のグラフ
【
図10】摩耗測定装置の変形例を説明する(a)断面図、(b)平面図
【
図12】従来のタイヤの摩耗測定装置がタイヤに設けられた状態を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
本発明の実施形態について、以下、図を参照しつつ説明する。各図において、同一の部材には同じ番号を付して、適宜、説明を省略する。
図12は、従来のタイヤの摩耗測定装置がタイヤに設けられた状態を説明する断面図である。同図に示すように、タイヤの摩耗測定装置100は、磁界検出部112がタイヤ20の外側面21のトレッド部22に埋設された第1磁性体111が摩耗することに伴って、図中に破線で示す磁界Mが変化する。この磁界Mの変化を検出することで、トレッド部22の摩耗状態を測定する。
【0017】
しかし、実際にタイヤ20が使用される環境下では、磁界M以外にも、地磁気等の外部磁界Gが存在する。外部磁界Gなどは、磁界Mを測定する際のノイズとなり、磁界検出部112による磁界Mの測定精度を低下させる原因となる。タイヤ20の内側面に設けられた磁界検出部112が、磁界Mを測定する場合、タイヤ20内部のスチールワイヤ層24によって磁界Mが変化する。このため、磁界Mの測定における外部磁界Gの影響が大きくなる。
【0018】
そこで、本実施形態のタイヤの摩耗測定装置は、外部磁界Gの影響を除くために磁界検出部を二つ備えている。以下、本発明のタイヤの摩耗測定装置について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るタイヤの摩耗測定装置がタイヤに設けられた状態を説明する断面図である。同図に示すように、タイヤの摩耗測定装置10は、シールド部15を備えている。シールド部15はタイヤ20のトレッド部22に埋設され、トレッド部22とともに摩耗する。摩耗測定装置10は、シールド部15による車体30に設けられた第1磁性体11の磁界M1に対するシールド(遮蔽)効果が摩耗に伴って変化することに基づいて、タイヤ20のトレッド部22の摩耗度合を測定する。言い換えると、摩耗測定装置10は、第1磁界検出部13が検知する第1磁性体11の磁界M1の変化に基づいて、タイヤ20のトレッド部22の摩耗度合を測定する。
【0020】
第1磁性体11および第2磁性体12は、車体30におけるトレッド部22に対向する位置に、タイヤの幅(X軸方向)の中心線Cに対して対称な位置に設けられている。このように、複数の磁性体を等間隔に配置することで、よりホイールバランスが安定化する。また、複数の磁性体を用いることにより、摩耗測定装置10の冗長性が向上する。
【0021】
そして、タイヤ20の内側面23すなわちトレッド部22の裏側には、第1磁性体11の磁界M1を検出する第1磁界検出部13と、第2磁性体12の磁界M2を検出する第2磁界検出部14とが、設けられている。ただし、初期状態では、第1磁性体11の磁界M1は、シールド部15に遮蔽されるから第1磁界検出部13により検出されない。そして、トレッド部22とともにシールド部15の摩耗が進みシールド部15のシールド効果が低下するに伴い、磁界M1のうちシールド部15を通過した磁界m1が第1磁界検出部13に検出される。
【0022】
第1磁界検出部13および第2磁界検出部14はそれぞれ、タイヤ20の内側面23において、第1磁性体11の発する磁界M1および第2磁性体12の発する磁界M2の影響を強く受ける位置に配置されている。本実施形態では、第1磁界検出部13および第2磁界検出部14が、第1磁性体11および第2磁性体12の真上、すなわちY軸方向から見て重なる位置に配置されている。
【0023】
第1磁界検出部13および第2磁界検出部14は、第1磁性体11および第2磁性体12同様、タイヤの幅(X軸方向)の中心線Cに対して対称な位置に設けられている。このため、第1磁性体11と第2磁性体12とのX軸方向の距離を大きくとることができる。したがって、第1磁界検出部13が対向する第1磁性体11に隣接して設けられた第2磁性体12の影響を受けないように、第1磁界検出部13と第2磁性体12との距離を確保することが容易になる。同様に第2磁界検出部14と第1磁性体11との距離を確保することも同様に容易になる。
【0024】
例えば、第1磁界検出部13をタイヤ幅(X軸方向)の中心位置に配置した場合、第1磁界検出部13と第2磁性体12とのX軸方向の距離は最大でタイヤ幅の半分の距離である。これに対して、第1磁界検出部13と第2磁界検出部14とをタイヤ幅の両端に配置することにより、第1磁界検出部13と第2磁性体12とのX軸方向の距離をタイヤ20の幅と同程度にすることが可能になる。
【0025】
第1磁性体11および第2磁性体12は、車体30に設けられているから、タイヤ20に鉄片等の不要物を引き付ける要因にならない。したがって、従来の摩耗測定装置100(
図12参照)におけるタイヤ20のトレッド部22に埋設する第1磁性体111よりも、磁界が強いものを用いることができるから、摩耗測定の精度が向上する。
【0026】
第1磁界検出部13は、第1磁性体11と第1磁界検出部13との間に設けられているシールド部15が摩耗した状態において、第1磁性体11の磁界を検出可能な位置に設けられている。シールド部15は、タイヤ20の外側面21のトレッド部22の一部に埋設されており、トレッド部22の摩耗に伴って摩耗する。このため、第1磁性体11によって形成される磁界M1のうち、第1磁界検出部13により測定される磁界m1は、トレッド部22の摩耗に伴って増大する。
【0027】
対して、第2磁性体12と第2磁界検出部14との間にはシールド部15が設けられていないから、第2磁性体12からの磁界M2のうち、第2磁界検出部14に検出される磁界m2は、トレッド部22とともにシールド部15が摩耗することに影響を受けず、トレッド部22の摩耗の進行に伴って変化しない。
【0028】
図2は、タイヤの摩耗量と検出される磁界との関係を模式的に示すグラフである。同図に示すように、トレッド部22の摩耗が進行するとともに、第1磁界検出部13により検出される磁界m1が増加する。このため、当該磁界m1の変化に基づいて、トレッド部22の摩耗を測定することができる。ただし、磁界m1は外部磁界Gの影響をも受けている。
【0029】
そこで、本実施形態のタイヤの摩耗測定装置10は、磁界m1同様、外部磁界Gの影響を受けた磁界m2を測定し、磁界m1と磁界m2との差を用いてトレッド部22の摩耗を測定することにより、摩耗測定の精度を向上させている。第1磁界検出部13が検出した磁界m1と、第2磁界検出部14が検出した磁界m2との差を用いることにより、外部磁界Gの影響を取り除くことができる。したがって、外部磁界Gの影響による検出精度の低下を抑え、タイヤ20の外側面21のトレッド部22の摩耗を精度よく測定することが可能になる。なお、第1磁界検出部13および第2磁界検出部14は、磁束密度または磁界強度を用いて磁界を測定する。
【0030】
第1磁界検出部13および第2磁界検出部14の地面に対する相対的な位置関係は、タイヤ20の回転に伴って周期的に変化する。このため、検出値に対する地磁気の影響も周期的に変化する。そこで、第1磁界検出部13と第2磁界検出部14とは、タイヤ20の内側面23における、タイヤ20の回転方向(Z軸方向)に直交するタイヤ20の幅方向(X軸方向)に並列に設けられている。このため、第1磁界検出部13と第2磁界検出部14との設置個所の反対面(外側面21)が、タイヤ20の回転に伴って同時に接地する。
【0031】
第1磁界検出部13と第2磁界検出部14とを上記のように、タイヤ20の回転方向に対して直交する方向に並列に設けることにより、第1磁界検出部13と第2磁界検出部14との地面に対する相対的な位置関係が同様に変化する。したがって、同時に測定される第1磁界検出部13の第1の検出値(磁界m1)と、第2磁界検出部14の第2の検出値(磁界m2)とは、外部磁界Gの影響を同様に受ける。このため、同時に測定された第1の検出値と第2の検出値との差を用いることにより、第1の検出値から外部磁界Gの影響を取り除くことができる。
【0032】
第1磁界検出部13および第2磁界検出部14は、磁界を測定し、磁界の方向、強さによって抵抗が変化する磁気抵抗効果素子を備えたものが用いられる。磁気抵抗効果素子としては、GMR素子、TMR素子等が挙げられる。第1磁界検出部13および第2磁界検出部14による測定は、リアルタイムで連続的に行われる必要はなく、一定の時間毎に断続的に行われてもよい。あるいは、図示しない無線通信手段を介して受信した外部からの指示に応じて測定してもよい。一定の時間毎、あるいは指示に応じて測定を行うことにより、連続的に測定するよりも電力消費を抑制することができる。また、第1磁界検出部13および第2磁界検出部14である磁気抵抗効果素子としてホール素子を使用し、磁束の強さの変化を計測してもよい。
また磁気インピーダンス効果素子を用いて、磁界の変化によるインピーダンスの変化を計測してもよい。
【0033】
第1磁界検出部13および第2磁界検出部14は、それぞれ、互いに直交する3軸方向(X軸、Y軸およびZ軸)の磁界を検出可能に構成されている。なお、第1磁界検出部13および第2磁界検出部14は、1軸検出のセンサ3つを用いて構成してもよい。
【0034】
第1磁界検出部13および第2磁界検出部14は、同一平面上に配置されるとともに、互いの3つの感度軸が同じ方向を向いて配置されている。第1磁界検出部13が検出した磁界m1と、第2磁界検出部14が検出した磁界m2とについて、X軸成分、Y軸成分およびZ軸成分ごとに差分を取り、差分の合成磁磁界を求めて、摩耗量を推定する。これにより、タイヤ20のトレッド部22の摩耗を精度よく検出することができる。
【0035】
タイヤの摩耗測定装置10は、第1磁界検出部13および第2磁界検出部14による磁界の測定に基づいたタイヤ20の摩耗に関する情報を、無線通信手段などを介して車両側装置などに出力してもよい。無線通信を介して、車両側装置に第1磁界検出部13および第2磁界検出部14による測定結果の情報を送信したり、車両側装置からの情報を受信したりすることができる。タイヤの摩耗測定装置10と外部の装置との通信による情報の送受は図示しないCPUによって制御される。
【0036】
[変形例1]
図3は、本実施形態に係るタイヤの摩耗測定装置の変形例を説明する断面図である。同図に示す摩耗測定装置40は、第1磁界検出部13および第2磁界検出部14が車体30に設けられており、第1磁性体11および第2磁性体12がタイヤ20の内側面23に設けられている構成において、
図1の摩耗測定装置10と異なっている。摩耗測定装置40は、摩耗測定装置10同様、トレッド部22とともにシールド部15も摩耗する。シールド部15が摩耗することで、そのシールド効果が低下する。摩耗測定装置40は、シールド部15のシールド効果の低下に伴って変化する磁界m1とトレッド部22の摩耗により変化しない磁界m2との差を用いて、タイヤ20の摩耗を測定することができる。
【0037】
[変形例2]
図4は、本実施形態に係るタイヤの摩耗測定装置の変形例を説明する断面図である。同図に示すタイヤの摩耗測定装置50は、制御部51および記憶部52を備えている点において、
図1および
図3に示した摩耗測定装置10、40とは異なっている。
【0038】
制御部51は、磁界m1、磁界m2および記憶部52に記憶されたテーブルに基づいて、タイヤ20の摩耗度合を測定するものである。制御部51は、CPUなどにより構成される。
記憶部52は、磁界m1と磁界m2とから、タイヤ20のトレッド部22摩耗量の算出に用いられるテーブルを記憶するものであり、マスクROM、EEPROM、フラッシュメモリー等のROM(Read Only Memory)が用いられる。
【0039】
[第2の実施形態]
FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車の場合、前輪は駆動輪と操舵輪を兼ねているため、前輪に装着したタイヤの方が、後輪に装着したタイヤよりも摩耗しやすい。また、FF車の場合、前輪と後輪のタイヤのサイズが同じであることが多い。そこで、前輪と後輪のタイヤのローテーションを行って、各タイヤの摩耗量が均等になるように調整することが行われている。以下では、タイヤのローテーションの時期を知らせるために好適なタイヤの摩耗測定装置として、本発明を実施する形態について説明する。
【0040】
図5(a)は本実施形態に係るタイヤの摩耗測定装置を説明する断面図である。同図に示すように、本実施形態の摩耗測定装置60においては、磁性体(第1の磁石)62Aと磁性体(第2の磁石)62Bとに挟まれたシールド部61がタイヤ20のトレッド部22に埋設されており、磁性体62Aと磁性体62Bとが発する磁界Mを、車体30に設けられた磁界検出部63で検出している。磁性体62A、シールド部61および磁性体62Bは、この順にタイヤ20の径方向(Y軸方向)に並べて配置されている。このため、トレッド部22の摩耗の進行に伴って、タイヤ20の表面に現れる部分が、磁性体62A、シールド部61、磁性体62Bの順に変化する。後述する通り、このタイヤ20の表面に現れる部材の変化に伴って磁界Mは変化するので、磁界Mを磁界検出部63で検出し、トレッド部22の摩耗を精度よく測定することができる。
【0041】
図5(b)は、磁性体62A、シールド部61および磁性体62Bが収納部に収納された埋設ピン65を説明する断面図である。同図に示すように、埋設ピン65は、磁性体62Aと磁性体62Bとシールド部61とが収納部64に収納されたものであり、トレッド部22に埋設される。磁性体62A、磁性体62Bおよびシールド部61を埋設ピン65として一体化することで、磁性体62A、磁性体62Bおよびシールド部61を個別にトレッド部22に埋設する場合に比べて、トレッド部22への埋設を容易に行うことができる。
【0042】
また、トレッド部22に埋設ピン65を埋設する方法は特に限定されないが、例えば、タイヤ20の製造後において、埋設ピン65をトレッド部22に打ち込むことにより埋設することができる。タイヤ20の成形時に埋設ピン65をトレッド部22に埋設する場合に比べて、成形金型内で埋設ピン65を保持する必要がなくなるため、タイヤ20を従来の実績ある製造方法とほぼ同一の方法で製造することができるなどのメリットがある。なお、埋設ピン65の打ち込みは、スパイクタイヤ(studded tire)の滑り止めの鋲を打ち込むのと同様の技術で行うことができる。
【0043】
収納部64は、磁性体62A、磁性体62Bおよびシールド部61を収納可能な筒状の筒状部641と、筒状部641の一端側の外周面から突出する係合突部642と、を備えている。ここで、一端側とは、収納部64がトレッド部22に埋設された状態において、タイヤ20の外側面21から遠方側(タイヤ20の回転中心側)のY軸方向の端をいう。筒状部641の内部には、係合突部642側から、磁性体62B、シールド部61および磁性体62Aの順に配置されている。係合突部642はトレッド部22の内部でトレッド部22と係合することで、埋設ピン65がトレッド部22から脱落するのを防止する。なお、本実施形態においては、係合突部642を筒状部641の端部に設けているが、設ける位置を端部に限定するものではない。ただし、タイヤ20を製造した後に、埋設ピン65を打ち込んでトレッド部22に埋設する場合には、端部に設けることでトレッド部22側に設けた凹部との位置合わせが容易になり、脱落しにくくなる。
【0044】
図6(a)~
図6(c)は、トレッド部22の摩耗の進行度毎に
図5(b)の埋設ピン65が摩耗した状態を示した断面図である。
図6(a)は磁性体62Aがトレッド部22の表面に現れた初期の状態(新品状態)を示し、
図6(b)はシールド部61がトレッド部22の表面に現れた状態(摩耗が進んだ状態)を示し、
図6(c)はシールド部が摩耗して磁性体62Bがトレッド部22の表面に現れた状態(さらに摩耗が進んだ状態)を示している。これらの図に示すように、トレッド部22の摩耗とともに埋設ピン65の摩耗が進行することで、トレッド部22の表面に現れる部材が変化する。
【0045】
図7(a)~
図7(c)は
図6(a)~(c)の状態における磁界検出部63の出力波形のグラフを模式的に示している。
図6(a)に示す磁性体62Aが露出した状態では、磁性体62Aの磁界Mが磁界検出部63によって検出される。埋設ピン65が磁界検出部63に対向する位置を通過したときに磁界検出部63は磁界Mを検出するから、タイヤ20の回転に伴う磁界検出部63からの出力は
図7(a)に示した矩形波となる。
【0046】
図6(b)に示す磁性体62Aが完全に摩耗してシールド部61が露出した状態では、磁性体62Bの磁界がシールド部61によって遮蔽されるから、タイヤ20の回転に伴う磁界検出部63からの出力は、
図7(b)に示すように無磁界を示す波形となる。
【0047】
図6(c)に示すシールド部61が完全に摩耗して磁性体62Bが露出した状態では、磁性体62Bの磁界Mが磁界検出部63によって検出されるから、タイヤ20の回転に伴う磁界検出部63からの出力は、
図7(c)に示す矩形波となる。
【0048】
磁界Mについては、無磁界かどうかを検出できればよく、大きさについての検出は必要ないため、磁性体62A・磁性体62Bと磁界検出部63との距離の変化や砂鉄などの付着による磁界Mの変化の影響を受けにくい。また磁界Mを大きくしなくてもよいためタイヤ20の表面に鉄片等の不要物をひきつけるリスクを低減することができる。
【0049】
摩耗測定装置60は、磁界検出部63によって、トレッド部22の摩耗に伴って露出する部材の変化に伴う磁界Mの変化を検出することで、トレッド部22の摩耗を測定する。トレッド部22に埋設された埋設ピン65は、磁性体62Aと磁性体62Bとの間にシールド部61が設けられている。このため、トレッド部22が所定の摩耗状態に達した時点で磁界Mが検出されなくなるため、トレッド部22が所定の摩耗状態に達したことを容易に検出できる。前述の所定の摩耗状態をタイヤ20のローテーションに適した時期に設定することで、摩耗測定装置60は、タイヤ20のローテーションに適した時期を精度よく通知することが可能である。また、例えば、トレッド部22の表面に磁性体62Bが露出するタイミングを、トレッド部22の摩耗が進みタイヤ交換が必要な程度に設定することで、タイヤ交換が必要な時期を通知することなども可能である。
【0050】
[変形例]
図8(a)~
図8(c)は、埋設ピンの変形例を説明する断面図である。
図8(a)~
図8(c)に示す埋設ピン67は、磁性体62Aにおけるシールド部61側の磁極と、磁性体62Bにおけるシールド部61側の磁極とが同じである。換言すれば、トレッド部22の表面側の磁極が異なる点において、埋設ピン65とは異なっている。磁性体62Aと磁性体62Bとの磁界の向きを逆にすることにより、磁性体62Aが摩耗する前の初期状態と、シールド部61が完全に摩耗して磁性体62Bが現れた状態とを、磁界検出部63(
図5(a)参照)による磁界Mの検出結果の出力波形を差別化して、容易に区別することができる。
【0051】
図9(a)~
図9(c)に示すように、
図8(a)の磁性体62Aがトレッド部22の表面に現れた状態と、
図8(b)のシールド部61がトレッド部22の表面に現れた状態と、
図8(c)のシールド部が摩耗して第2の磁性体がトレッド部22の表面に現れた状態とにおいて、異なるパターンの出力波形が得られる。したがって、例えば、トレッド部22がタイヤ20をローテーションすべき摩耗状態となったときに、
図8(b)に示すシールド部61が表面に現れるようにしておけば、出力波形のパターンに基づいて、タイヤ20のローテーション時期の前(
図9(a))、ローテーション時期(
図9(b))、ローテーション時期の後(
図9(c))いずれであるかを容易に検出することができる。また、検出された埋設ピン67の状態に基づいて、タイヤ交換が必要な時期を通知することなども可能である。
【0052】
磁界Mについては、無磁界かどうかおよび磁極の向き(N極かS極か)を検出できればよく、大きさについて検出する必要がない。したがって、磁界Mの変化の影響を受けにくく、また磁界Mを大きくしなくてもよいためタイヤ表面に鉄片等の不要物をひきつけるリスクを低減することができる。
【0053】
[変形例]
図10(a)は本実施形態に係る摩耗測定装置の変形例を説明する断面図であり、
図10(b)はタイヤ20の外側面21側から見た平面図である。これらの図に示すように、本発明は、複数の埋設ピン65A~65C(以下、これらを区別しないときは埋設ピン65という)を備えた摩耗測定装置70として実施することができる。埋設ピン65を複数用いることにより、摩耗測定装置70の冗長性が向上するとともに、埋設ピン65を埋設した場所ごとにタイヤ20のトレッド部22の摩耗を測定できる。このため、例えば、タイヤ20の偏摩耗を検出することが可能になる。
【0054】
図10(b)に示すように、摩耗測定装置70では、複数の埋設ピン65A~65Cのうち、埋設ピン65Bと65Cとが、タイヤ20の幅方向(X軸方向)の同一直線上に並んで設けられている。そして、磁界検出部63A~63Cは、タイヤ20の幅方向(X軸方向)の同一直線上に並んで設けられている。タイヤ20が
図10(b)に白抜き矢印で示した方向(Z軸方向)に回転すると、埋設ピン65Aが磁界検出部63Aに対向する位置を通過した後に、埋設ピン65Bおよび65Cが同時に磁界検出部63Bおよび63Cに対向する位置を通過することとなる。
【0055】
埋設ピン65Aの磁界MAと、埋設ピン65Bおよび65Cの磁界MBおよびMCとは、検出されるタイミングによって区別することができる。すなわち、X軸方向に隣接する埋設ピン65について、Z軸方向(タイヤ20の回転方向)における位置を変えることにより、各埋設ピン65の磁界Mを分離することができる。なお、以下において、磁界MA、磁界MB、磁界MCを区別しないときは、これらを磁界Mという。
【0056】
また、
図10(b)に示すように、埋設ピン65Bと埋設ピン65Cとでは、磁性体62Aおよび磁性体62Bの向きを反対にしている。すなわち、トレッド部22の表面に現れる磁極の向きを反対にしている。このため、磁界検出部63Bと63Cとにより、同時に検出される磁界MBと磁界MCとを、磁界Mの向きによって区別することができる。すなわち、複数の埋設ピン65をX軸方向に並べて配置する場合、隣接する埋設ピン65において露出する磁性体の磁極を異ならせることで、各埋設ピン65の磁界Mを分離して、測定精度を向上させることができる。
【0057】
図11は、
図10(a)および
図10(b)に示す摩耗測定装置70による磁界MA~MCの検出を示す出力波形のグラフである。同図に示すように、磁界MAと、磁界MBと、磁界MCとは、異なるパターンの出力として得られるから、一方が他方のノイズとなることを抑制できる。このため、埋設ピン65A~65Cを設けたタイヤ20の部分ごとの測定精度が向上する。
【0058】
図10(a)および
図10(b)に示す埋設ピン65の個数、埋設位置は一例であり、これら以外の構成としてもよい。例えば、埋設ピン65を2個、あるいは4個以上埋設した構成や、すべての埋設ピン65がX軸方向の同一直線上に並べて埋設された構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、タイヤの摩耗状態を目視によらず測定可能なタイヤの摩耗測定装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10、40、50、60、70:摩耗測定装置
11 :第1磁性体(磁石)
12 :第2磁性体(参照磁石)
13 :第1磁界検出部(磁界検出部)
14 :第2磁界検出部(参照磁界検出部)
15 :シールド部
20 :タイヤ
21 :外側面
22 :トレッド部
23 :内側面
24 :スチールワイヤ層
30 :車体
51 :制御部
52 :記憶部
61 :シールド部
62A :磁性体(第1の磁石)
62B :磁性体(第2の磁石)
63、63A、63B、63C、:磁界検出部
64 :収納部
65、65A、65B、65C、67:埋設ピン
100 :摩耗測定装置
111 :第1磁性体
112 :磁界検出部
641 :筒状部
642 :係合突部
C :中心線
G :外部磁界
M、M1、M2、MA、MB、MC:磁界
m1 :磁界(第1の検出値)
m2 :磁界(第2の検出値)