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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072103
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230517BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230517BHJP
   H01H 13/00 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 500
G06F3/041 600
G06F3/01 560
G06F3/01 510
H01H13/00 B
H01H13/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020070292
(22)【出願日】2020-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】谷口 義尚
(72)【発明者】
【氏名】平舘 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡部 弘也
(72)【発明者】
【氏名】蛇口 広行
(72)【発明者】
【氏名】清 努
【テーマコード(参考)】
5E555
5G206
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA58
5E555BA23
5E555BA25
5E555BB23
5E555BB25
5E555BC01
5E555CA12
5E555CA41
5E555CB12
5E555CB59
5E555DA24
5E555DB41
5E555DC13
5E555DD08
5E555EA10
5E555EA14
5E555FA00
5G206AS33H
5G206CS04K
5G206CS15K
5G206FS32K
5G206FU03
5G206GS21
5G206KS07
5G206KS08
5G206KS20
5G206KS43
5G206KS56
5G206QS09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】診断用センサを設けることなく自己診断を行うことができる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置1Aは、基台10と、基台10に対して垂直方向に変位可能に支持され、外装部41、操作パネル42、タッチセンサ43、スペーサ44、導電板45及び保持部材46を備える操作部と、操作者の押圧による操作部の垂直方向の変位を検出する変位検出部30と、操作部に取り付けられ、操作部に振動を発生させる振動部50と、変位検出部30が操作部の垂直方向の変位を検出したときに振動部50を駆動して振動させる制御部60と、を備える。制御部60は、振動部50を駆動させた後、変位検出部30からの出力が変化した場合には正常と判断し、変位検出部30からの出力が変化しない場合には異常と判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に対して垂直方向に変位可能に支持された操作部と、
操作者の押圧による前記操作部の垂直方向の変位を検出する変位検出部と、
前記操作部に取り付けられ、前記操作部に振動を発生させる振動部と、
前記変位検出部が前記操作部の垂直方向の変位を検出したときに前記振動部を駆動して振動させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記振動部を駆動させた後、前記変位検出部からの出力が変化した場合には正常と判断し、前記変位検出部からの出力が変化しない場合には異常と判断する入力装置。
【請求項2】
前記振動部は、前記操作部を前記基台に対して水平方向に振動させるように前記操作部に設けられ、
前記変位検出部は、前記基台と前記操作部との間に設置され、前記操作部の垂直方向の変位及び水平方向の変位により抵抗が変化する感圧導電性部材を備える請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記感圧導電性部材は、エラストマーに導電性材料を含有する導電性エラストマーを備え、
前記制御部は、前記振動部を駆動した時に前記感圧導電性部材の抵抗が増加した場合には、正常と判断する請求項2に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の入力装置として、操作パネルの操作面に操作者が触れた時に振動を生じさせることで、操作者に操作感触を与える振動機構(フォースフィードバック(FFB))を搭載した入力装置がある。
【0003】
このようなフォースフィードバックを搭載した入力装置として、例えば、パネル基板表面のスイッチ操作を振動で操作者に知らせる圧電素子と、操作者のスイッチ操作により圧電素子を振動させると共に所定の時期に圧電素子を振動させる制御部と、制御部により一方の圧電素子の振動を他方の圧電素子で検知して、他方の圧電素子の出力を判別する振動検出部とを備えるタッチパネルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-217237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のタッチパネルは、使用時にフォースフィードバックが正常に動作しているか確認(自己診断)する場合、スイッチ操作を振動で操作者に知らせる一方の圧電素子の他に、一方の圧電素子の振動を検知する他方の圧電素子を診断用のセンサとして設けなければならないという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、診断用センサを設けることなく自己診断を行うことができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る入力装置の一態様は、基台と、前記基台に対して垂直方向に変位可能に支持された操作部と、操作者の押圧による前記操作部の垂直方向の変位を検出する変位検出部と、前記操作部に取り付けられ、前記操作部に振動を発生させる振動部と、前記変位検出部が前記操作部の垂直方向の変位を検出したときに前記振動部を駆動して振動させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記振動部を駆動させた後、前記変位検出部からの出力が変化した場合には正常と判断し、前記変位検出部からの出力が変化しない場合には異常と判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る入力装置の一態様は、診断用センサを設けることなく自己診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る入力装置の構成を簡略に示す断面図である。
図2】電極の構成の一例を示す図である。
図3】感圧導電性部材の構成を示す断面図である。
図4】感圧導電性部材が押圧されている状態の一例を示す説明図である。
図5】制御装置の機能を示すブロック図である。
図6】変位検出部が押圧された時の抵抗の変化の一例を示す図ある。
図7】振動部が正常に稼働しているか判定する自己診断方法のフローチャートである。
図8】振動部で水平方向に振動している状態の一例を示す説明図である。
図9】振動部が正常である場合に振動部で水平方向に振動が生じた時における感圧導電性部材の抵抗の変化の一例を示す図である。
図10】振動部が異常である場合に振動部で水平方向に振動が生じた時における感圧導電性部材の抵抗の変化の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る入力装置の構成を簡略に示す断面図である。
図12】第3の実施形態に係る入力装置の構成を簡略に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本明細書において数値範囲を示すチルダ「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る入力装置について説明する。図1は、本実施形態に係る入力装置の構成を簡略に示す断面図である。図1に示すように、入力装置1Aは、フォースフィードバックを搭載した入力装置(フォースフィードバック型入力装置)であり、基台10、振動吸収部材20、変位検出部30、操作部40、振動部50及び制御装置60を備えている。基台10、振動吸収部材20、変位検出部30及び操作部40は、この順に積層されている。
【0012】
なお、本実施形態では、基台10、振動吸収部材20、変位検出部30及び操作部40の積層方向を入力装置1Aの高さ方向(垂直方向)とし、高さ方向と直交する方向を横方向(水平方向)という。入力装置1Aの高さ方向をZ軸方向とし、横方向をX軸方向とする。Z軸方向の操作部40側を+Z軸方向とし、基台10側を-Z軸方向とする。以下の説明において、+Z軸方向を上又は上方といい、-Z軸方向を下又は下方という場合があるが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0013】
図1に示すように、基台10は、フレキシブル基板であり、ベース基板11と、接着層12と、電極13とを備え、ベース基板11の上面111に、接着層12及び電極13をこの順に積層している。基台10は、ベース基板11の上面111で接着層12及び電極13を介して、変位検出部30を保持している。
【0014】
ベース基板11は、略矩形状に形成された部材である。ベース基板11は、フレキシブル基板を形成する材料として公知の材料を用いて形成することができる。ベース基板11を形成する材料として、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンニトリル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フェノール、エポキシ(ガラスフィラー入り)及びポリカーボネート(PC)等の公知の合成樹脂等を用いることができる。
【0015】
ベース基板11の厚さは、適宜設計可能であり、材料の種類にもよるが、ベース基板11の剛性を確保し、ベース基板11が十分な強度を有する点から、0.5mm~1.5mmであることが好ましい。
【0016】
接着層12は、ベース基板11と電極13との間に設けられる。接着層12は、ベース基板11と電極13との接着力を高める機能を有し、ベース基板11に電極13を固着させることできる。
【0017】
接着層12は、一般的な接着剤を用いて形成することができる。接着層12は、トリアジン系化合物を含むことが好ましく、トリアジン系化合物を含む分子接着剤を用いて形成することができる。
【0018】
トリアジン系化合物としては、トリアジンチオール化合物を用いることができる。トリアジンチオール化合物として、例えば、トリアジン環にチオール基(-SH基)又はチオール基にアルカリ金属塩が結合したものを用いることができる。官能基の何れか一つは、ジブチルアミノ基、アニリノ基等の他の構造を有していてもよい。トリアジンチオール化合物の具体例としては、例えば、2,4,6-トリメルカプト-1,3,5-トリアジンモノナトリウム塩(n-TES)等が挙げられる。
【0019】
接着層12は、一般的な接着剤を用いて形成される場合、接着層12の厚さは、1μm~20μmであることが好ましい。接着層12がトリアジン系化合物を含む分子接着剤を用いて形成される場合、接着層12の厚さは、1nm~100nmであることが好ましい。
【0020】
電極13は、図1に示すように、ベース基板11の上に接着層12を介して形成されている。電極13の構成の一例を図2に示す。図2に示すように、電極13は、一対の電極13A及び13Bで構成することができる。電極13は、一対の電極13A及び13Bが互いに絶縁された状態で対向して設けられ、先端部131A及び131Bが櫛歯状に形成された櫛歯電極を用いることができる。
【0021】
電極13を形成する材料としては、Au、Ag、Cu、Ni、Fe、Al、Sn、Pb、Cr、Co等の金属及びこれらの合金;カーボンブラック、グラファイト(黒鉛)、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー(炭素繊維)、フラーレン等の炭素系材料等が挙げられる。電極13A及び13Bを形成する材料は、これらを、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、接続の安定性、製造コストの低減及び作製のし易さ等の点から、電極13A及び13Bを形成する材料としては、Ag及びCuを用いることが好ましい。電極13A及び13Bは、1つの金属層で形成されていてもよいし、複数の金属層を積層して構成されていてもよい。
【0022】
電極13の厚さは、導電性を十分確保する点から、1μm~50μmであることが好ましい。
【0023】
図1に示すように、振動吸収部材20は、基台10及び変位検出部30を覆うように設けられたゴム状の部材である。振動吸収部材20としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム等を用いることができる。これらの中でも、シリコーンゴムが好ましい。
【0024】
図1に示すように、変位検出部30は、基台10上に設置した電極13を含む領域の上に、基台10と振動吸収部材20との間に挟まれ、下面311が電極13と接し、上面312が振動吸収部材20と接するように配置されている。図2に示すように、変位検出部30は、円柱状に形成されており、下面311が一対の電極13A及び13Bの先端部131A及び131Bを含む領域の上に積層するように配置され、一対の電極13A及び13Bの先端部131A及び131Bと電気的に接続されている。なお、感圧導電性部材31は、軸方向視において楕円形、多角形等に形成されていてもよい。
【0025】
変位検出部30は、操作者の押圧による操作部40の垂直方向の変位を検出する部材である。変位検出部30は、弾性変形可能な感圧導電性部材31で形成することができる。感圧導電性部材31は、押圧力の変化により弾性変形して、操作部40の垂直方向の変位及び水平方向の変位により、抵抗値を低下させることができる。そして、感圧導電性部材31が弾性変形することで、感圧導電性部材31に接触している電極13A及び13B同士が通電するようになり、電極13A及び13B間の電気抵抗値が押圧力に応じて変化することになる。すなわち、押圧力の変化に応じて、感圧導電性部材31の抵抗値が変化すると共に、感圧導電性部材31と電極13A及び13Bとの抵抗も変化するので、押圧力の変化を抵抗値の変化として捉えることができる。
【0026】
図3は、感圧導電性部材31の構成を示す断面図である。図3に示すように、感圧導電性部材31は、粒子状の導電性材料32をエラストマー33に含有する導電性エラストマーを用いて形成できる。感圧導電性部材31は、導電性材料32を含有する導電性エラストマーで形成されることで、導電性材料32による導通に加え、押圧力に対して変形及び復元をし易くすることができる。
【0027】
感圧導電性部材31は、導電性材料32をエラストマー33中に略均一に分散させて含むことが好ましい。これにより、導電性材料32による導通がより安定して確保することができる。
【0028】
導電性材料32としては、金属粒子や炭素系材料等の導電性を有する材料を用いることができる。金属粒子や炭素系材料としては、上述の電極13A及び13Bと同様の材料を用いることができる。
【0029】
導電性材料32の平均粒子径としては、0.05μm~200μmが好ましく、0.5μm~60μmがより好ましく、1.0μm~30μmがさらに好ましい。導電性材料32の平均粒子径が0.05μm~200μmの範囲内であれば、導電性材料32の凝集を抑えてエラストマー33内での分散性を高めることができる。また、感圧導電性部材31が弾性変形した際に、導電性材料32の感圧導電性部材31内での移動が相対的に小さくなることを抑えることで、弾性変形による抵抗の変化が緩慢になるのを低減することができる。なお、平均粒子径とは、有効径による体積平均粒径をいい、平均粒子径は、例えば、レーザ回折・散乱法又は動的光散乱法等によって測定される。
【0030】
エラストマー33としては、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステルゴム、フッ素ゴム及びこれらの変性体等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムを用いることで、感圧導電性部材31は、弾性が高く、接着層12との密着性を良好とすることができる。また、感圧導電性部材31は、押圧力の作用点で感圧導電性部材31が変形し、作用点が移動することなく押圧力を受け止めることができるので、押圧力は上面312から電極13A及び13Bと感圧導電性部材31に的確に伝達される。
【0031】
感圧導電性部材31は、ゴム硬度が30~70の範囲内であることが好ましい。ゴム硬度が40~70の範囲内であれば、感圧導電性部材31は十分な強度を有することができ、高い復元力を発揮することができる。なお、ゴム硬度とは、日本工業規格JIS K6301で規定された値である。
【0032】
感圧導電性部材31の厚さは、適宜設設定可能であり、例えば、0.1mm~10mmであることが好ましい。感圧導電性部材31の厚さが0.1mm~10mmの範囲内であれば、感圧導電性部材31は十分な強度を有すると共に弾性を有することができる。
【0033】
感圧導電性部材31は、図4に示すように、操作部40による押圧力が作用していない状態では、互いに接触する導電性材料32の数は少なく、導電経路がほとんど形成されておらず(図4中、白丸参照)、感圧導電性部材31は所定の抵抗値を有する。そして、感圧導電性部材31に押圧力が作用すると、導電性材料32は互いに接近し、互いに接触する導電性材料32の数が多くなるので、感圧導電性部材31の平面方向及び垂直方向等に導電経路(図4中、黒丸参照)が形成され、感圧導電性部材31の抵抗値は小さくなる。このように、押圧力によって感圧導電性部材31は変形し、導電性材料32同士が接触又は離間することで、感圧導電性部材31の抵抗値が変化する。
【0034】
また、感圧導電性部材31は、円錐台形状に形成されていてもよい。この場合、上面312を大きくし、下面311を小さくして、面積の広い上面312が振動吸収部材20と接し、面積が小さい下面311が電極13A及び13Bと接するように形成することが好ましい。これにより、押圧力を加える面積を広くすることができると共に、電極13A及び13Bの先端部131A及び131Bへの単位面積当たりの荷重を強めることができる。
【0035】
また、感圧導電性部材31は、平面視においてその上面312が電極13A及び13Bの先端部131A及び131Bを覆う大きさとなるように形成されることが好ましい。感圧導電性部材31の上面312が先端部131A及び131Bの全面を覆うように形成されることで、操作部40に加えられた押圧力を感圧導電性部材31により確実に伝えることができる。
【0036】
図1に示すように、操作部40は、基台10に、振動吸収部材20及び変位検出部30を介して、基台10に対して垂直方向に変位可能となるように支持されている。操作部40は、外装部41と、操作パネル42と、タッチセンサ43と、スペーサ44と、導電板45と、保持部材46とを備えている。
【0037】
外装部41は、略矩形枠状に形成された枠部41aと、枠部41aの外周縁部から下方に延びる壁部41bとを有している。
【0038】
操作パネル42は、車載機器を操作するためのものであり、略矩形板状に形成されている。操作パネル42は、外装部41における枠部41aの開口周縁部の裏面に配設されている。操作パネル42は、通常時にタッチセンサ43との間に垂直方向に隙間が形成されるように配置されている。
【0039】
タッチセンサ43は、操作パネル42を介してタッチセンサ43に接触する操作者の指の位置及びその接触面積を検出する。タッチセンサ43としては、静電容量方式のものを用いることができる。タッチセンサ43は、略矩形板状に形成されている。タッチセンサ43の中央部の裏面には、タッチコントローラ47が配設されている。タッチコントローラ47には、タッチセンサ43が電気的に接続されており、タッチセンサ43からの入力情報を信号として出力する。
【0040】
スペーサ44は、略矩形枠板状に形成された、タッチセンサ43及び導電板45を一定間隔に保持するための部材である。スペーサ44は、公知の合成樹脂等を用いて形成することができる。
【0041】
導電板45は、略矩形状に形成された金属製の部材である。導電板45の中央部には、裏側に凹む凹部24aが形成されている。導電板45は、振動部50からタッチセンサ43への電界ノイズを低減することができる。
【0042】
保持部材46は、タッチセンサ43、スペーサ44、導電板45及び振動部50を保持する部材である。保持部材46は、タッチセンサ43、スペーサ44及び導電板45が設置される、略矩形板状の板部46aと、振動部50が収容される収容部46bと、底面461の中央部から所定間隔の位置に下方(-Z軸方向)に突出した、一対の押圧部46cとを有している。押圧部46cは、振動吸収部材20を介して感圧導電性部材31を押圧することができる。押圧部46cは、円柱状、立方状等に形成することができる。
【0043】
図1に示すように、振動部50は、操作部40内に設けられ、操作部40を水平方向に振動させる機能を有する。振動部50は、操作部40を水平方向に振動させることで、操作部40を水平振動させることができる。なお、振動部50は、操作部40の外部に取り付けられていてもよい。
【0044】
振動部50は、振動を発生させることができればよく、公知の振動部材を用いることができる。振動部50としては、例えば、アクチュエータ、モータ、圧電素子等を用いることができる。振動部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、操作パネル42に接触している接触物に対して触感を与える。振動部50は、制御装置60から送信される電気信号に基づいて振動を発生する。振動部50は、操作パネル42において接触物が接触している位置(座標)に触感を与えるように振動してもよい。
【0045】
図1に示すように、制御装置60は、変位検出部30及び振動部50と電気的に接続されている。図5は、制御装置60の機能を示すブロック図である。図5に示すように、制御装置60は、抵抗測定部61、制御部62及び動作制御部63を備える。
【0046】
抵抗測定部61は、変位検出部30と電気的に接続されており、変位検出部30から送られる抵抗値を示す電気信号を取得して変位検出部30の抵抗値を算出する。抵抗測定部61は、制御部62と電気的に接続されており、算出した抵抗値を入力情報として制御部62に入力する。
【0047】
制御部62は、抵抗測定部61で算出した抵抗値に基づいて、抵抗値が変動したか判断して、振動部50が正常に機能しているか否か判定する。制御部62は、変位検出部30が変形する前の状態の抵抗値から抵抗値が下がった場合には、振動部50が正常に機能していると判断する。
【0048】
制御部62は、変位検出部30が操作部40の垂直方向の変位を検出したときに振動部50を駆動して操作部40を振動させる。そして、制御部62は、振動部50を駆動して振動を発生させた後、変位検出部30からの出力が変化した場合には正常と判断し、変位検出部30からの出力が変化しない場合には異常と判断する。制御部62は、振動部50を駆動した時に感圧導電性部材31の抵抗が増加した場合には、正常と判断することができる。
【0049】
制御部62は、制御プログラムや各種記憶情報を格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて動作する演算手段とを有している。記憶手段には、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ストレージ等がある。演算手段には、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)等がある。制御部62は、演算手段が記憶手段に格納されている制御プログラム等を読み出して実行することで実現される。
【0050】
制御部62の有する記憶手段には、感圧導電性部材31の種類と、感圧導電性部材31の種類毎における信号と抵抗値との関係を示す情報が格納されていてもよい。
【0051】
動作制御部63は、振動部50と電気的に接続されており、振動部50に振動を発生させる信号を出力する。動作制御部63は、振動部50に、操作パネル42において接触物が接触している位置(座標)に触感を与えるように振動を発生させる信号を発生させてもよい。
【0052】
また、動作制御部63は、表示部70と電気的に接続されており、表示部70に振動部50が正常である又は振動部50が故障等して異常であることの信号を出力する。表示部70は、例えば、メーターパネル、カーナビゲーションシステム、ヘッドアップディスプレイ等、車両に使用される任意の表示装置である。
【0053】
入力装置1Aでは、運転手が車両の稼働時に操作部40の操作パネル42の任意の位置を押圧すると、その押圧力によって操作部40が下方向(-Z軸方向)に変位することにより、変位検出部30を構成する感圧導電性部材31が下方向(-Z軸方向)に変形する。また、操作部40が下方向(-Z軸方向)に変位することに伴い、振動部50が変位検出部30に対して水平方向(X軸方向)に振動することにより、変位検出部30を構成する感圧導電性部材31を水平方向(X軸方向)に振動させる。この水平方向への振動により、感圧導電性部材31内に含まれる複数の導電性材料32同士が一時的に離れ、導電性材料32同士の導通が取り難くなるため、感圧導電性部材31の導電性が一時的に低下する。そのため、感圧導電性部材31の抵抗が一時的に増加(上昇)する。図6は、変位検出部30が押圧された時の抵抗の変化の一例を示す図である。図6に示すように、変位検出部30は、操作部40が押圧された時に振動部50の水平方向(X軸方向)の振動で、感圧導電性部材31の抵抗が一時的に増加するため、この感圧導電性部材31の抵抗の変化を検出することで、操作パネル42の任意の場所が押圧されたことを振動部50の振動によって運転手に触感を与え、操作パネル42の任意の場所を押圧したことを認識させることができる。
【0054】
次に、入力装置1Aを用いて、振動部50が正常に稼働しているか判定する自己診断方法について説明する。図7は、振動部50が正常に稼働しているか判定する自己診断方法を示すフローチャートである。図7に示すように、運転手が車両の電源スイッチを入れると、入力装置1Aが起動し(ステップS11)、制御装置60は、振動部50に振動を発生させる信号を出力して、振動部50を水平方向に振動させる(ステップS12)。
【0055】
そして、制御装置60は、振動部50の振動に起因して生じる水平方向の振動を検知して、振動部50が振動したか判定する(ステップS13)。図8は、振動部50で水平方向に振動している状態の一例を示す説明図であり、図9は、振動部50で水平方向に振動が生じた時における変位検出部30の抵抗の変化の一例を示す図である。図8に示すように、振動部50が水平方向に振動すると、この水平方向の振動により、変位検出部30が水平方向に振動して、図9に示すように、抵抗が一時的に増加する。制御装置60は、変位検出部30の抵抗に関する信号を受け取り、抵抗が増加していると判断した場合には(ステップS14:Yes)、制御装置60は、振動部50が正常に稼働していると判断し(ステップS15)、終了する。
【0056】
一方、振動部50が水平方向に振動しなかった場合、図10に示すように、制御装置60は、変位検出部30の抵抗が低下しておらず変化していないと判断した場合には(ステップS14:No)、制御装置60は、振動部50が故障等により異常な状態であると判断し(ステップS16)、メーターパネル等に警告を表示する(ステップS17)。
【0057】
このように、本実施形態に係る入力装置1Aは、基台10、変位検出部30、操作部40、振動部50及び制御装置60を備え、制御装置60で、振動部50を駆動して、変位検出部30からの出力に変化があれば正常と判断し、変位検出部30からの出力に変化がなければ異常と判断している。入力装置1Aは、変位検出部30で、振動部50が水平方向(X軸方向)に振動した時に水平方向(X軸方向)に振動したことを検知することができるため、振動部50が正常に稼働していることの信号を出力することができる。よって、制御装置60は、変位検出部30から出力される信号によって振動部50が正常に稼働しているか否かを診断することができる。したがって、入力装置1Aは、振動部50が正常に稼働していることを検査するための診断用センサを設けることなく自己診断を行うことができる。
【0058】
また、入力装置1Aは、変位検出部30で、操作部40が押圧された時に垂直方向(Z軸方向)の変位を検知することができるため、操作部40が押圧されたことの信号を出力することができる。よって、入力装置1Aは、操作部40が押圧されたことを操作者に触感で知らせることができる。
【0059】
入力装置1Aは、上述の通り、操作部40が押圧されたことを操作者に振動で触感として認識させることができると共に、振動部50が正常に稼働しているか自己診断を行うことができるので、FFBを搭載したタッチパネル等に有効に用いることができる。
【0060】
また、入力装置1Aは、振動部50を操作部40内に設置し、変位検出部30として感圧導電性部材31を用いることができる。感圧導電性部材31は、操作部40の垂直方向(Z軸方向)の変位及び水平方向(X軸方向)の変位により抵抗を変化させることができるため、操作部40の振動方向が水平方向(X軸方向)であっても感圧導電性部材31の抵抗を検知することで、振動部5の自己診断をより確実に行うことができる。
【0061】
さらに、入力装置1Aは、感圧導電性部材31として、エラストマー33に導電性材料32を含有する導電性エラストマーを用いることができる。これにより、感圧導電性部材31が変形した際、導電性材料32同士を導通し易くすることができるため、制御装置60は、振動部50を駆動したときに感圧導電性部材31の抵抗が増加すれば、振動部50は正常に稼働している状態であると容易に判断することができる。また、振動部50が水平方向(X軸方向)に振動した際、導電性材料32同士が離れて導電性材料32同士の間を一時的に導通し難くすることができる。そのため、制御装置60は、振動部50を駆動させた際、感圧導電性部材31の抵抗が増加することで、振動部50が正常に稼働しているか否かを容易に判断することができる。よって、入力装置1Aは、振動部50の自己診断をより高精度に行うことができる。
【0062】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る入力装置について説明する。本実施形態に係る入力装置は、上記図1に示す第1の実施形態に係る入力装置1Aの振動吸収部材20をフィルム80に変更したものであり、その他の構成については、第1の実施形態と同様の構成である。
【0063】
図11は、第2の実施形態に係る入力装置の構成を簡略に示す断面図である。図11に示すように、入力装置1Bは、基台10、フィルム80、変位検出部30、操作部40、振動部50及び制御装置60を備えている。基台10、変位検出部30、フィルム80及び操作部40は、この順に積層されている。本実施形態では、フィルム80以外の構成は、上記の第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0064】
フィルム80は、基台10の上に変位検出部30を覆うようにドーム状に設けられたゴム状の部材である。フィルム80としては、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等を用いることができる。これらの中でも、シリコーンゴムが好ましい。
【0065】
入力装置1Bは、第1の実施形態に係る入力装置1Aと同様、制御装置60で、変位検出部30から出力される信号によって振動部50が正常に稼働しているか診断することができるため、振動部50が正常に稼働していることを検査するための診断用センサを設けることなく自己診断を行うことができる。
【0066】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る入力装置について説明する。本実施形態に係る入力装置は、上記図1に示す第1の実施形態に係る入力装置1Aの振動吸収部材20の上方に弾性変形部材90を設け、振動吸収部材20を変位検出部30の周囲にのみ設けたものであり、その他の構成については、第1の実施形態と同様の構成である。
【0067】
図12は、第3の実施形態に係る入力装置の構成を簡略に示す断面図である。図12に示すように、入力装置1Cは、基台10、変位検出部30、弾性変形部材90、操作部40、振動部50及び制御装置60を備えている。基台10、変位検出部30、弾性変形部材90及び操作部40は、この順に積層されている。本実施形態では、弾性変形部材90以外の構成は、上記の第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0068】
弾性変形部材90は、基台10の上に変位検出部30を覆うようにドーム状に設けられている。
【0069】
弾性変形部材90は、第1弾性体の内部に、第1弾性体よりも弾性率が高い第2弾性体を備えたものである。
【0070】
第1弾性体は、例えば、天然ゴム、合成ゴム、または合成樹脂等の弾性材料で形成することができる。第2弾性体は、第1弾性体よりも弾性率が高い弾性体であればよく、例えば、金属製のコイルバネ等のバネ部材で形成することができる。弾性変形部材90して、具体的にはラバースプリング等を用いることができる。
【0071】
入力装置1Cは、第1の実施形態に係る入力装置1Aと同様、制御装置60で、変位検出部30から出力される信号によって振動部50が正常に稼働しているか診断することができるため、振動部50が正常に稼働していることを検査するための診断用センサを設けることなく自己診断を行うことができる。
【0072】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1A、1B、1C 入力装置
10 基台
11 ベース基板
12 接着層
13、13A、13B 電極
20 振動吸収部材
30 変位検出部
40 操作部
50 振動部
60 制御装置
62 制御部
80 フィルム
90 弾性変形部材
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
図12