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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072107
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】スペーサリテーナ
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/372 20060101AFI20230517BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20230517BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
F16C33/372
F16H1/32 A
F16C19/36
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184432
(22)【出願日】2021-11-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】鄭旭▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】彭▲ズ▼文
【テーマコード(参考)】
3J027
3J701
【Fターム(参考)】
3J027FA18
3J027FC12
3J027GB03
3J027GC02
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE25
3J701AA02
3J701AA26
3J701AA33
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA54
3J701AA62
3J701AA72
3J701BA13
3J701BA15
3J701BA19
3J701FA44
3J701FA46
3J701GA11
3J701XB03
3J701XB26
(57)【要約】
【課題】スペーサリテーナおよびスペーサリテーナを有するサイクロイド減速機を提供する。
【解決手段】スペーサリテーナは第一表面、第一表面と反対側の第二表面、第一表面および第二表面に別々に形成された二つの相対する第一ローラー格納溝および二つの相対する第二ローラー格納溝から構成される。第一表面の二つの第一ローラー格納溝は第二表面の二つの第二ローラー格納溝に対応する。第一表面の二つの第二ローラー格納溝は第二表面の二つの第一ローラー格納溝に対応する。スペーサリテーナは基準面を有する。基準面は水平方向のスペーサリテーナの最大厚さの中心点に垂直である。基準面から第一ローラー格納溝の中心までの水平距離は基準面から第二ローラー格納溝の中心までの水平距離と異なる。上述した技術的特徴により、本発明によるスペーサリテーナを回転させれば二つの隣り合うローラーの間隔を調整することができる。本発明はさらに前記スペーサリテーナを有するサイクロイド減速機を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面、前記第一表面と反対側の第二表面、前記第一表面および前記第二表面に別々に形成された二つの第一ローラー格納溝および二つの第二ローラー格納溝から構成され、基準面を有するスペーサリテーナであって、
第一表面において、二つの前記第一ローラー格納溝および二つの前記第二ローラー格納溝は前記第一表面の中心で交差するように配置され、
前記第二表面において、二つの前記第一ローラー格納溝および二つの前記第二ローラー格納溝は前記第二表面の中心で交差するように配置され、
前記第一表面の二つの前記第一ローラー格納溝は前記第二表面の二つの第二ローラー格納溝に対応し、前記第一表面の二つの前記第二ローラー格納溝は前記第二表面の二つの前記第一ローラー格納溝に対応し、
前記基準面は、水平方向の前記スペーサリテーナの最大厚さの中心点に垂直であり、
(式1)L1>L2
前記基準面からそれぞれの前記第一ローラー格納溝の中心までの水平距離はL1と定義され、
前記基準面からそれぞれの前記第二ローラー格納溝の中心までの水平距離はL2と定義され、
前記L1と前記L2の関係は前記式1によって表示されることを特徴とする、
スペーサリテーナ。
【請求項2】
前記第一表面は一つの前記第一ローラー格納溝と一つの前記第二ローラー格納溝との間が第一凸状部に隣接し、前記第二表面は一つの前記第一ローラー格納溝と一つの前記第二ローラー格納溝との間が第二凸状部に隣接し、それぞれの前記第二凸状部は一つずつ前記第一凸状部に対応し、前記基準面と一つの前記第一凸状部との間の最大距離は前記基準面と一つの前記第二凸状部との間の最大距離に等しいことを特徴とする請求項1に記載のスペーサリテーナ。
【請求項3】
前記L1と前記L2の距離差は0.1mmから0.4mmの間であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサリテーナ。
【請求項4】
それぞれの前記第一凸状部および前記第二凸状部は円周角を有することを特徴とする請求項2に記載のスペーサリテーナ。
【請求項5】
さらに四つの識別部を有し、四つの前記識別部は一つずつ前記第一ローラー格納溝または前記第二ローラー格納溝に対応することを特徴とする請求項1に記載のスペーサリテーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサリテーナに関し、詳しく言えばスペーサリテーナおよびスペーサリテーナを有するサイクロイド減速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密機械によく使用されているローラースクリュー、ローラー式リニアスライドまたはローラーベアリングは複数のローラーによって伝動する。二つのローラーが互いに衝突して損壊することを抑制すると同時に騒音低減効果を確保するために、特許文献1、特許文献2などの先行技術は二つのローラーの間にスペーサリテーナを配置する構造を開示している。
【0003】
二つのローラーの間の間隔を調整する際、通常二つ以上の異なる厚さのスペーサリテーナを用意しておくことが一般的である。異なる厚さのスペーサリテーナを交換し、間隔を調整すればよいが、交換作業には時間が掛かるため、全体の着脱作業は複雑になる。一方、異なる厚さのスペーサリテーナが多ければ多いほど、それに対応する型の製作費が高くなるため、製造コストを増加させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US4,479,683号公報
【特許文献2】US9,995,340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、異なるローラー格納溝の中心と基準面との間の距離差によって二つのローラーの間の間隔を調整し、組立作業の簡単化および製造コストの削減を実現させることができるスペーサリテーナを提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明は、前記スペーサリテーナを使用するサイクロイド減速機を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(式1)
L1>L2
【0008】
上述した課題を解決するため、スペーサリテーナは第一表面、第一表面と反対側の第二表面、第一表面および第二表面に別々に形成された二つの第一ローラー格納溝および二つの第二ローラー格納溝から構成される。第一表面において、二つの第一ローラー格納溝および二つの第二ローラー格納溝は第一表面の中心で交差するように配置される。第二表面において、二つの第一ローラー格納溝および二つの第二ローラー格納溝は第二表面の中心で交差するように配置される。第一表面の二つの第一ローラー格納溝は第二表面の二つの第二ローラー格納溝に対応する。第一表面の二つの第二ローラー格納溝は第二表面の二つの第一ローラー格納溝に対応する。スペーサリテーナは基準面を有する。基準面は水平方向のスペーサリテーナの最大厚さの中心点に垂直し、第一ローラー格納溝の中心までの水平距離がL1と定義され、第二ローラー格納溝の中心までの水平距離がL2と定義される。L1とL2の関係は式1によって表示される。上述した技術特徴により、本発明によるスペーサリテーナが90度回転すれば二つの隣り合うローラーの間隔が変化する。
【0009】
つまり、本発明によるスペーサリテーナが回転する際、スペーサリテーナは第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝から基準面までの距離の差によって二つの隣り合うローラーの間隔を調整するため、組立時間を効果的に短縮でき、多種類の型を製作する必要がなくなり、製造コストの削減を実現させることができる。
【0010】
比較的好ましい場合、第一表面は第一ローラー格納溝と第二ローラー格納溝との間が第一凸状部に隣接する。第二表面は第一ローラー格納溝と第二ローラー格納溝との間が第二凸状部に隣接する。それぞれの第二凸状部は一つずつ第一凸状部に対応する。基準面と第一凸状部との間の最大距離は基準面と第二凸状部との間の最大距離に等しい。
【0011】
比較的好ましい場合、本発明によるスペーサリテーナにおいて、L1とL2の距離差は入力フランジまたは出力フランジの大きさによって変わる。一実施形態において、L1とL2の距離差は0.1mmから0.4mmの間である。
【0012】
比較的好ましい場合、それぞれの第一凸状部および第二凸状部は円周角を呈する。装着位置がずれる際、スペーサリテーナは複数の円周角によって校正を自動的に行う。
【0013】
比較的好ましい場合、第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝は断面が円弧形であり、曲率が同じである。複数のローラーが作動する際、第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝は面がローラーの面に接触することによってローラーに支持効果を生じる。
【0014】
比較的好ましい場合、第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝は断面が円弧状三角形であり、サイズが同じである。複数のローラーが作動する際、第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝とローラーの接触は一本の線による接触であるため、摩擦力を低減させ、応力集中を効果的に抑制することができる。
【0015】
比較的好ましい場合、スペーサリテーナは外周に四つの識別部(例えば凹状溝)を有する。四つの識別部は一つずつ第一ローラー格納溝または第二ローラー格納溝に対応するため、組立作業の効率を向上させることができる。
【0016】
比較的好ましい場合、潤滑油を貯める集油槽は第一表面および第二表面を貫通する。
【0017】
上述した課題を解決するため、サイクロイド減速機はハウジング、回転軸、入力フランジ、出力フランジ、減速装置、複数のローラーおよび複数のスペーサリテーナを備える。回転軸はハウジング内に回転可能に装着され、入力端および出力端を有する。入力フランジは回転軸の入力端に回転可能に被さるようにハウジングの一端に配置される。出力フランジは回転軸の出力端に回転可能に被さるようにハウジングの別の一端に配置されると同時に出力フランジに連結される。減速装置は一つ以上のサイクロイドホイールおよび一つ以上のオルダム継手を有する。サイクロイドホイールは中心点からずれたうえで回転軸に装着される。オルダム継手はサイクロイドホイールおよび入力フランジまたは出力フランジの間に配置される。複数のローラーはハウジングと入力フランジとの間およびハウジングと出力フランジとの間に配置される。複数のスペーサリテーナは二つの隣り合うローラーの間に配置される。複数のスペーサリテーナは第一表面の第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝のいずれか一つによってローラーを支え、第二表面の第一ローラー格納溝および第二ローラー格納溝のいずれか一つによって別の一つのローラーを支える。上述した構造特徴により、サイクロイドホイールが回転軸の駆動力によってハウジングにサイクロイド曲線を生じる際、オルダム継手が入力フランジおよび出力フランジを連動させれば、入力フランジおよび出力フランジは複数のローラーがハウジングを回転することによって回転速度低減効果を生じる。
【0018】
本発明によるスペーサリテーナおよびスペーサリテーナを有するサイクロイド減速機の詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法について、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。なお、以下の詳細な説明および本発明により開示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかる領域において常識がある者ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナを別の角度から見た斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナの第一使用状態を示す側面図である。
図4】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナの第二使用状態を示す側面図である。
図5】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナが90度回転する前と回転した後の距離差を表示する平面図である。
図6図6の一部分を示す分解斜視図である。
図7】本発明によるサイクロイド減速機を示す分解斜視図の一部分である。
図8】本発明によるサイクロイド減速機を別の角度から見た斜視図である。
図9図8の一部分を示す分解斜視図である。
図10】本発明によるサイクロイド減速機を示す断面図である。
図11a】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナと複数のローラーを異なる方式で組み合わせる状態を示す斜視図である。
図11b】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナと複数のローラーを異なる方式で組み合わせる状態を示す斜視図である。
図11c】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナと複数のローラーを異なる方式で組み合わせる状態を示す斜視図である。
図12】本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナと複数のローラーが異なる使用状態下で作動する形態を示す平面図である。
図13】本発明によるサイクロイド減速機において出力フランジと複数のローラーが結合した状態を示す平面図である。
図14図13の一部分を示す拡大図である。
図15】本発明の第2実施形態によるスペーサリテーナを示す斜視図である。
図16】本発明の第2実施形態によるスペーサリテーナを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明によるスペーサリテーナおよびスペーサリテーナを有するサイクロイド減速機を図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造特徴を示す。
【0021】
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態によるスペーサリテーナ10は第一表面12、第一表面12と反対側の第二表面14、第一表面12および第二表面14を貫通する集油槽16、第一表面12および第二表面14に別々に形成された二つの相対する第一ローラー格納溝18および二つの相対する第二ローラー格納溝20から構成される。
本実施形態において、それぞれの第一ローラー格納溝18および第二ローラー格納溝20は断面が円弧形であり、曲率が同じである。
【0022】
図1および図2に示すように、第一表面12において、二つの第一ローラー格納溝18および二つの第二ローラー格納溝18は第一表面12の中心で交差するように配置される。第二表面14において、二つの第一ローラー格納溝18および二つの第二ローラー格納溝20は第二表面14の中心で交差するように配置される。
第一表面12の二つの第一ローラー格納溝18は第二表面14の二つの第二ローラー格納溝20に対応する。第一表面12の二つの第二ローラー格納溝20は第二表面14の二つの第一ローラー格納溝18に対応する。つまり、第一表面12に位置する二つの第一ローラー格納溝18および二つの第二ローラー格納溝20の配列方式と第二表面14に位置する二つの第一ローラー格納溝18および二つの第二ローラー格納溝20の配列方式とは90度の差がある。
【0023】
第一ローラー格納溝18および第二ローラー格納溝20の位置を明確にするために、スペーサリテーナ10は外周に四つの識別部22を有する。図1および図2に示すように、四つの識別部22は一つずつ第一ローラー格納溝18または第二ローラー格納溝20に対応する。本実施形態において、四つの識別部はそれぞれ凹状溝から形成され、一つずつ第一ローラー格納溝18に対応する。
【0024】
(式1)
L1>L2
【0025】
図3から図5に示すように、スペーサリテーナ10は基準面Pを有する。基準面Pは水平方向Xのスペーサリテーナ10の最大厚さの中心点Cに垂直である。第一表面12および第二表面14において、基準面Pから第一ローラー格納溝18の中心C1までの水平距離はL1と定義される。基準面Pから第二ローラー格納溝20の中心C2までの水平距離がL2と定義される。L1とL2の関係は式1によって表示される。
スペーサリテーナ10が90度回転し、図3に示した第一使用状態S1から図4に示した第二使用状態S2に変わると、基準面Pとローラー90の中心までの距離が変わる。更に詳しく言えば、図1に示すように、第一表面12は四つの第一ローラー格納溝18と第二ローラー格納溝20の境目に位置する第一凸状部24を有する。図2に示すように、第二表面14は四つの第一ローラー格納溝18と第二ローラー格納溝20の境目に位置する第二凸状部26を有する。四つの第二凸状部26および四つの第一凸状部24は一つずつ相互に対応する。
【0026】
図6から図10に示すように、スペーサリテーナ10はサイクロイド減速機30に応用される。サイクロイド減速機30はハウジング40、回転軸50、入力フランジ60、出力フランジ70、減速装置80、複数のローラー90および複数のスペーサリテーナ10を備える。
【0027】
回転軸50はハウジング40内に回転可能に装着され、入力端52および出力端54を有する。
【0028】
入力フランジ60はハウジング40の一端に配置され、中央に位置する第一軸孔62および第一ベアリング66を有する。入力フランジ60は第一軸孔62によって回転軸50の入力端52に被さる。第一ベアリング66は入力フランジ60と回転軸50の入力端52との間に配置されて回転軸50と入力フランジ60とを相対的に回転させる。入力フランジ60はさらに第一軸孔62の周りに四つの第一柱状連結部64を有する。
【0029】
出力フランジ70はハウジング40の別の一端に配置され、中央に位置する第二軸孔72および第二ベアリング76を有する。出力フランジ70は第二軸孔72によって回転軸50の出力端54に被さる。第二ベアリング76は出力フランジ70と回転軸50の出力端54との間に配置されて回転軸50と出力フランジ70とを相対的に回転させる。
出力フランジ70はさらに第二軸孔72の周りに四つの第二柱状連結部74を有する。入力フランジ60の四つの第一柱状連結部64および出力フランジ70の四つの第二柱状連結部74は四つのボルト78によって締結され、入力フランジ60と出力フランジ70を結合させる。
【0030】
減速装置80は二つのサイクロイドホイール82、二つのオルダム継手84および複数のローラーピン86を有する。二つのサイクロイドホイール82は中心点からずれたうえで回転軸50の中央に並列して装着される。出力フランジ70の四つの第二柱状連結部74は二つのサイクロイドホイール82を貫通する。一つのオルダム継手84は入力フランジ60と二つのサイクロイドホイール82との間に配置される。別の一つのオルダム継手84は出力フランジ70と二つのサイクロイドホイール82との間に配置される。複数のローラーピン86はハウジング40の内周面と二つのサイクロイドホイール82の外周面との間に配置され、作動中の二つのサイクロイドホイール82の作動を安定させる。
上述した構造の特徴により、サイクロイドホイール82が回転軸50の駆動力によってハウジング40にサイクロイド曲線を生じる際、二つのオルダム継手85が入力フランジ60および出力フランジ70を連動させれば、入力フランジ60および出力フランジ70はハウジング40に対して回転し、回転速度低減効果を生じる。
【0031】
複数のローラー90は伝導媒質としてハウジング40と入力フランジ60との間およびハウジング40と出力フランジ70との間に配置される。詳しく言えば、複数のローラー90の配列方式は状況に応じて調整される。図11aに示すように、通常通り使用する際、複数のローラー90を交差させればよい。径方向の負荷が比較的大きい場合、図11bに示した通り複数のローラー90を配置すればよい。軸方向の負荷が比較的大きい場合、図11cに示した通り複数のローラー90を配置すればよい。
【0032】
複数のスペーサリテーナ10は二つの隣り合うローラー90の間に配置される。複数のスペーサリテーナ10は二つの異なる使用状態下で回転し、配列方式が状況に応じて調整されることができる。それぞれのスペーサリテーナ10は第一表面12の第一ローラー格納溝18また第二ローラー格納溝20によって一つのローラー90を支え、第二表面14の第二ローラー格納溝20また第一ローラー格納溝18によって別の一つのローラー90を支える。
【0033】
スペーサリテーナ90の装着作業が完了した後、スペーサリテーナ10は二つの異なる使用状態に対応したうえで同じ一側のローラー90および別の一側のローラー90に距離差L3を別々に生じるため、スペーサリテーナ10を手動で調整し、90度回転させれば距離差L3によって二つの隣り合うローラー90の間隔を調整することができる。
図12に示すように、スペーサリテーナ10が第一使用状態S1に維持される際、左側のローラー90の一番左の面から右側のローラー90の一番右の面までの距離はG1と定義される。ペーサリテーナ10が回転し、第二使用状態S2に維持される際、左側のローラー90の一番左の面から右側のローラー90の一番右の面までの距離はG2と定義される。G1とG2の差は距離差の2倍(即ち2×L3)である。言い換えれば、異なる厚さのスペーサリテーナを交換する調整方式を採用する先行技術に対し、本発明はスペーサリテーナ10を90度回転させ、異なる使用状態に切り替えて間隔を調整するため、組立時間を効果的に短縮でき、多種類の型を製作する必要がなくなり、製造コストの削減を実現させることができる。
図4および図6に示すように、第一凸状部24および第二凸状部26は円周角29から形成される。スペーサリテーナ10の位置がずれる場合、円周角29は自動校正効果を発揮するため、手動で調整することは必要でない。
【0034】
異なる使用状態によってスペーサリテーナ10に生じた距離差L3は入力フランジ60または出力フランジ70の大きさによって変わる。図13および図14に示すように、本実施形態は出力フランジ70および入力フランジ60を使用することを例として挙げる。出力フランジ70直径はψと定義される。二つの隣り合うローラー90の間隔はGと定義される。直径ψが小さければ小さいほど、複数のローラー90の配列が曲率の性質によって間隔Gを漸増させる。直径ψが大きければ大きいほど、複数のローラー90の配列が曲率の性質によって間隔Gを漸減させる。つまり、間隔Gの変化は直径ψに応じて一定範囲内に維持される。本実施形態において、距離差L3は間隔Gの変化に応じて0.1mmから0.4mmの間に設定される。
【0035】
(第2実施形態)
図15および図16は本発明の第2実施形態によるスペーサリテーナ10’を示す模式図である。第1実施形態と第2実施形態との違いは下記の通りである。第1実施形態において、第一ローラー格納溝18および第二ローラー格納溝20は断面が円弧形であるが、これに限定されない。第2実施形態において、第一ローラー格納溝18および第二ローラー格納溝20は断面が円弧状三角形、即ち二つの斜面27および二つの斜面27の間に繋がる円弧面28からなる形である。また第一ローラー格納溝18および第二ローラー格納溝20はサイズが同じである。複数のローラー90が作動する際、第一ローラー格納溝18および第二ローラー格納溝20はそれぞれの二つの斜面27とローラー90の接触が一本の線になる接触であるため、摩擦力を低減させ、応力集中を効果的に抑制することができる。
【0036】
本発明の第2実施形態によるスペーサリテーナ10’のそのほかの構造の特徴、作動方式および達成した効果は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0037】
10、10’ スペーサリテーナ
12 第一表面
14 第二表面
16 集油槽
18 第一ローラー格納溝
20 第二ローラー格納溝
22 識別部
24 第一凸状部
26 第二凸状部
27 斜面
28 円弧面
29 円周角
30 サイクロイド減速機
40 ハウジング
50 回転軸
52 入力端
54 出力端
60 入力フランジ
62 第一軸孔
64 第一柱状連結部
66 第一ベアリング
70 出力フランジ
72 第二軸孔
74 第二柱状連結部
76 第二ベアリング
78 ボルト
80 減速装置
82 サイクロイドホイール
84 オルダム継手
86 ローラーピン
90 ローラー
C スペーサリテーナの最大厚さの中心点
C1 第一ローラー格納溝の中心
C2 第二ローラー格納溝の中心
D1 基準面と第一凸状部との間の最大距離
D2 基準面と第一凸状部との間の最大距離
G 二つのローラーの間の間隔
G1 二つのローラーの端点の間の距離
G2 二つのローラーの端点の間の距離
L1 第一ローラー格納溝の中心と基準面との間の水平距離
L2 第二ローラー格納溝の中心と基準面との間の水平距離
L3 距離差
P 基準面
S1 第一使用状態
S2 第二使用状態
X 水平方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面、前記第一表面と反対側の第二表面、前記第一表面および前記第二表面に別々に形成された二つの第一ローラー格納溝および二つの第二ローラー格納溝から構成され、基準面を有するスペーサリテーナであって、
第一表面において、二つの前記第一ローラー格納溝および二つの前記第二ローラー格納溝は前記第一表面の中心で交差するように配置され、
前記第二表面において、二つの前記第一ローラー格納溝および二つの前記第二ローラー格納溝は前記第二表面の中心で交差するように配置され、
前記第一表面の二つの前記第一ローラー格納溝は前記第二表面の二つの第二ローラー格納溝に対応し、前記第一表面の二つの前記第二ローラー格納溝は前記第二表面の二つの前記第一ローラー格納溝に対応し、
前記基準面は、水平方向の前記スペーサリテーナの最大厚さの中心点に垂直であり、
(式1)L1>L2
前記基準面からそれぞれの前記第一ローラー格納溝の中心までの水平距離はL1と定義され、
前記基準面からそれぞれの前記第二ローラー格納溝の中心までの水平距離はL2と定義され、
前記L1と前記L2の関係は前記式1によって表示されることを特徴とする、
スペーサリテーナ。
【請求項2】
前記第一表面は一つの前記第一ローラー格納溝と一つの前記第二ローラー格納溝との間が第一凸状部に隣接し、前記第二表面は一つの前記第一ローラー格納溝と一つの前記第二ローラー格納溝との間が第二凸状部に隣接し、それぞれの前記第二凸状部は一つずつ前記第一凸状部に対応し、前記基準面と一つの前記第一凸状部との間の最大距離は前記基準面と一つの前記第二凸状部との間の最大距離に等しいことを特徴とする請求項1に記載のスペーサリテーナ。
【請求項3】
前記L1と前記L2の距離差は0.1mmから0.4mmの間であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサリテーナ。
【請求項4】
それぞれの前記第一凸状部および前記第二凸状部は円弧面することを特徴とする請求項2に記載のスペーサリテーナ。
【請求項5】
さらに四つの識別部を有し、四つの前記識別部は一つずつ前記第一ローラー格納溝または前記第二ローラー格納溝に対応することを特徴とする請求項1に記載のスペーサリテーナ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
比較的好ましい場合、それぞれの第一凸状部および第二凸状部は円弧面を呈する。装着位置がずれる際、スペーサリテーナは複数の円弧面によって校正を自動的に行う。