(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072137
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】張線装置
(51)【国際特許分類】
B66D 3/02 20060101AFI20230517BHJP
B66D 5/32 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B66D3/02
B66D5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184488
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】油原 大和
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で製造コストを低く抑えることができるとともに、線状部材を巻き取るときの抵抗が小さい張線装置を提供する。
【解決手段】本体21と、線状部材3の端部が接続された正逆回転自在な回転軸22と、回転軸22の回転を停止させるための回転停止手段23とを有する。回転停止手段23は回転軸22に設けられた係止部材43と、係止部材43が係止することで回転軸22の回転を停止させる被係止部材33とを有する。回転軸22は、本体21に対して線状部材3の緊張方向および弛緩方向に遊動可能である。係止部材43は、線状部材3が緊張しているときに被係止部材33に係止され、かつ線状部材3が弛緩しているときに被係止部材33から係止解除可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に取り付けられる本体と、
架設される線状部材の端部が接続され、前記線状部材の巻き取りおよび繰り出しを行うために前記本体に正逆回転自在に配置された回転軸と、
前記回転軸の回転を停止させるための回転停止手段と、を含んで構成され、
前記回転停止手段が、前記回転軸に設けられた係止部材と、前記本体に設けられ、前記係止部材が係止することで前記回転軸の回転を停止させる被係止部材と、を有している張線装置において、
前記回転軸は、前記本体に対して前記線状部材の緊張方向および弛緩方向に遊動可能であり、
前記係止部材は、前記線状部材が緊張しているときに前記被係止部材に係止され、かつ前記線状部材が弛緩しているときに前記被係止部材から係止解除可能となっていることを特徴とする張線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の張線装置において、
前記本体は、
前記回転軸の両端部が挿通される貫通孔を有する一対の側壁部と、
前記側壁部どうしの間に形成され、前記回転軸に巻き取られた前記線状部材を収容する巻き取り空間とを有し、
前記貫通孔の孔内面と前記回転軸との間に前記回転軸が前記本体に対して遊動可能になる隙間が形成されていることを特徴とする張線装置。
【請求項3】
請求項2に記載の張線装置において、
前記回転軸の一方の端部は、前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部より前記本体の外側に突出する突出部を有し、
前記係止部材は、前記回転軸の前記突出部から前記回転軸の径方向の外側へ突出する複数の爪片を有し、
前記被係止部材は、前記一方の側壁部の外側面に突設されているとともに、前記線状部材が緊張しているときに前記爪片と係合することを特徴とする張線装置。
【請求項4】
請求項3に記載の張線装置において、
前記一対の側壁部に形成された前記貫通孔のうち、少なくとも前記係止部材が設けられている側の前記回転軸の端部が挿通された貫通孔は、円形であることを特徴とする張線装置。
【請求項5】
請求項3に記載の張線装置において、
前記一対の側壁部に形成された前記貫通孔のうち、少なくとも前記係止部材が設けられている側の前記回転軸の端部が挿通された貫通孔は、前記回転軸の前記端部が遊嵌状態で挿通可能な開口幅で前記線状部材の緊張方向および弛緩方向に延びる長円状に形成されていることを特徴とする張線装置。
【請求項6】
請求項3~請求項5の何れか一つに記載の張線装置において、
前記回転軸の他方の端部には、この回転軸を回す工具が着脱自在に係合する係合部が設けられていることを特徴とする張線装置。
【請求項7】
請求項3~請求項6の何れか一つに記載の張線装置において、
前記被係止部材は、前記一方の側壁部の外側面に固着された板部材によって構成されているとともに、前記係止部材を収容可能な窓孔を有し、
前記窓孔の内面には、前記線状部材が緊張したときに前記爪片と係合する被係止部が形成されていることを特徴とする張線装置。
【請求項8】
請求項3~請求項6の何れか一つに記載の張線装置において、
前記被係止部材は、前記一方の側壁部の外側面に突設された突起によって構成され、
前記突起は、前記線状部材が緊張したときに前記爪片と係合する位置に形成されていることを特徴とする張線装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか一つに記載の張線装置において、
前記被係止部材は、前記線状部材が緊張することにより前記係止部材が係止される係止位置と、前記係止状態が解除される非係止位置との間で前記本体に対して移動可能であり、
前記被係止部材を前記係止位置に向けて付勢する弾性付勢部材を備えていることを特徴とする張線装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか一つに記載の張線装置において、
前記本体にクランプが連結され、
前記支持体は支柱であり、
前記支柱を前記クランプが挟持することにより前記本体が前記支柱に取り付けられることを特徴とする張線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤやロープなどの架設される線状部材を引っ張る張線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の張線装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された張線装置は、支柱に取り付けられるクランプと、このクランプに取り付けられた本体部とを備えている。本体部は、クランプに取り付けられたフレームと、このフレームに両端部が回転自在に支持されてワイヤが接続された軸と、この軸の逆回転が規制される状態と自由に回転できる状態とを切り替えるラチェット機構などを備えている。
【0003】
ラチェット機構は、爪式の一方向クラッチによって構成されており、軸の一端部に設けられた、係止部材となっている複数の歯と、これらの歯に係合する爪を有する、被係止部材となっている揺動レバーとを備えている。歯と爪は、軸がワイヤを巻き取る方向に回るときには爪が歯を乗り越えることができるように形成され、軸がワイヤを繰り出すように逆回転するときには互いに係合して軸の逆回転が規制されるように形成されている。以下においては、ワイヤが巻き取られる軸の回転方向を単に巻き取り方向という。揺動レバーは、フレームに揺動自在に支持されており、爪が歯に係合可能な巻取位置と、爪が歯から外れる退避位置との間で揺動する。また、揺動レバーは、フレームとの間に設けられたトーションばねからなる戻りばねによって巻取位置に向けて付勢されている。
【0004】
この張線装置においては、軸の他端部に工具を係合させて軸を巻き取り方向に回すことによってワイヤが軸に巻き取られる。このとき、軸の歯がラチェット機構の爪を押すことにより、揺動レバーが戻りばねのばね力に抗して退避位置に向けて揺動し、爪が歯を乗り越えて軸が回転する。
ワイヤが軸に巻き取られた状態においては、ワイヤが軸を引くことにより、軸に逆転方向へ回す力が作用する。このときは、ラチェット機構の爪が歯に係合するために、軸が回ることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている張線装置は、軸の他に揺動レバーと戻りばねとが必要であるから、部品数が多く構造が複雑で、製造コストが高くなるという問題があった。また、爪が戻りばねのばね力で常に歯に押し付けられているために、ワイヤを巻き取るときに歯で爪を戻りばねのばね力に抗して押し上げなければならず、抵抗が大きいという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、構造が簡単で製造コストを低く抑えることができるとともに、線状部材を巻き取るときの抵抗が小さい張線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る張線装置は、支持体に取り付けられる本体と、架設される線状部材の端部が接続され、前記線状部材の巻き取りおよび繰り出しを行うために前記本体に正逆回転自在に配置された回転軸と、前記回転軸の回転を停止させるための回転停止手段と、を含んで構成され、前記回転停止手段が、前記回転軸に設けられた係止部材と、前記本体に設けられ、前記係止部材が係止することで前記回転軸の回転を停止させる被係止部材と、を有している張線装置において、前記回転軸は、前記本体に対して前記線状部材の緊張方向および弛緩方向に遊動可能であり、前記係止部材は、前記線状部材が緊張しているときに前記被係止部材に係止され、かつ前記線状部材が弛緩しているときに前記被係止部材から係止解除可能となっているものである。
【0009】
本発明は、前記張線装置において、前記本体は、前記回転軸の両端部が挿通される貫通孔を有する一対の側壁部と、前記側壁部どうしの間に形成され、前記回転軸に巻き取られた前記線状部材を収容する巻き取り空間とを有し、前記貫通孔の孔内面と前記回転軸との間に前記回転軸が前記本体に対して遊動可能になる隙間が形成されていてもよい。
【0010】
本発明は、前記張線装置において、前記回転軸の一方の端部は、前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部より前記本体の外側に突出する突出部を有し、前記係止部材は、前記回転軸の前記突出部から前記回転軸の径方向の外側へ突出する複数の爪片を有し、前記被係止部材は、前記一方の側壁部の外側面に突設されているとともに、前記線状部材が緊張しているときに前記爪片と係合してもよい。
【0011】
本発明は、前記張線装置において、前記一対の側壁部に形成された前記貫通孔のうち、少なくとも前記係止部材が設けられている側の前記回転軸の端部が挿通された貫通孔は、円形であってもよい。
【0012】
本発明は、前記張線装置において、前記一対の側壁部に形成された前記貫通孔のうち、少なくとも前記係止部材が設けられている側の前記回転軸の端部が挿通された貫通孔は、前記回転軸の前記端部が遊嵌状態で挿通可能な開口幅で前記線状部材の緊張方向および弛緩方向に延びる長円状に形成されていてもよい。
【0013】
本発明は、前記張線装置において、前記回転軸の他方の端部には、この回転軸を回す工具が着脱自在に係合する係合部が設けられていてもよい。
【0014】
本発明は、前記張線装置において、前記被係止部材は、前記一方の側壁部の外側面に固着された板部材によって構成されているとともに、前記係止部材を収容可能な窓孔を有し、前記窓孔の内面には、前記線状部材が緊張したときに前記爪片と係合する被係止部が形成されていてもよい。
【0015】
本発明は、前記張線装置において、前記被係止部材は、前記一方の側壁部の外側面に突設された突起によって構成され、前記突起は、前記線状部材が緊張したときに前記爪片と係合する位置に形成されていてもよい。
【0016】
本発明は、前記張線装置において、前記被係止部材は、前記線状部材が緊張することにより前記係止部材が係止される係止位置と、前記係止状態が解除される非係止位置との間で前記本体に対して移動可能であり、前記被係止部材を前記係止位置に向けて付勢する弾性付勢部材を備えていてもよい。この弾性付勢部材は、板ばねやコイルばね等によるばねでもよく、圧縮されると弾発力が生じるゴム等の部材でもよい。
【0017】
本発明は、前記張線装置において、前記本体にクランプが連結され、前記支持体は支柱であり、前記支柱を前記クランプが挟持することにより前記本体が前記支柱に取り付けられいてもよい。また、前記線状部材は、前記回転軸の正逆回転により巻き取りおよび繰り出しが可能なものであれば任意のものでよく、例えば、ワイヤでもよく、ロープでもよく、チェーンでもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構造が簡単で製造コストを低く抑えることができるとともに、ワイヤを巻き取るときの抵抗が小さい張線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係る張線装置を一方の側面から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る張線装置を他方の側面から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、回転軸が線状部材の緊張方向に移動した状態における張線ユニットの側面図である。
【
図6】
図6は、
図4(A)におけるVI-VI線断面図である。
【
図8】
図8は、張線装置の本体と回転軸の断面図である。
【
図14】
図14は、被係止部材が移動可能となっている変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る張線装置の一実施の形態を
図1~
図11を参照して詳細に説明する。
図1に示す張線装置1は、
図1中に二点鎖線で示す支柱2に取り付けられ、この支柱2に向けて線状部材3を引っ張るためのものである。この実施の形態においては、支柱2が本発明でいう「支持体」に相当する。支柱2は、断面円形のパイプや丸棒などによって形成されている。
【0021】
図1に示す線状部材3は、ワイヤやロープあるいはチェーンなどによって形成されている。この線状部材3は、一端が張線装置1を介して支柱2に接続され、他端が図示していない他の支柱や建造物などに接続され、支柱2と他の支柱や建造物との間に架設されるものである。これらの支柱2と線状部材3は、例えば
図11に示すように、家庭菜園4を区画するために使用することができる。
図11に示す家庭菜園4は、4本の支柱2と4本の線状部材3とによって周囲の他の家庭菜園(図示せず)とは区画されている。
図11に示す線状部材3の一端は、この実施の形態による張線装置1によって支柱2に接続され、他端は、他の支柱2に線状部材掛け用のクランプ5を介して接続されている。
【0022】
張線装置1は、
図1および
図2に示すように、支柱2に取り付けられるクランプ11と、クランプ11に取り付けられた張線ユニット12とによって構成されている。この実施の形態において、張線装置1の各部材を説明するにあたって方向を示す場合は、支柱2が延びる方向を上下方向とし、線状部材3が引っ張られる方向(
図1においては斜め右上方に向かう方向)を緊張方向とし、線状部材3が緩む方向(
図1においては斜め左下方に向かう方向)を弛緩方向とする。このため、
図1等で表示されている「緊張方向」、「弛緩方向」とは、線状部材3についての緊張方向、弛緩方向である。
【0023】
(クランプの説明)
クランプ11は、図示していない仮設足場を組み立てるために用いる単クランプと同等のもので、支柱2を固定アーム13と可動アーム14とによって挟持するように構成されている。固定アーム13は、支柱2に向けて開く平面視く字状に形成されており、張線ユニット12を支持している。固定アーム13の一端部には、可動アーム14の一端部が第1の支持ピン15によって揺動自在に連結され、固定アーム13の他端部には、締結用ボルト16の基部が第2の支持ピン17によって揺動自在に連結されている。
【0024】
可動アーム14は、支柱2の外周面に重ねることができるように平面視円弧状に形成されている。可動アーム14の他端部には、締結用ボルト16の先端部が挿抜自在な切欠き18(
図2参照)を有する押圧部19が設けられている。切欠き18に締結用ボルト16の先端部が挿入された状態で締結用ボルト16にナット20をねじ込んで締め付けることにより、押圧部19がナット20によって固定アーム13に向けて押される。固定アーム13と可動アーム14とが支柱2を挟む状態で押圧部19がナット20によって固定アーム13に向けて押されることにより、支柱2が固定アーム13と可動アーム14とによって挟持され、クランプ11が支柱2に固定される。
【0025】
(張線ユニットの説明)
張線ユニット12は、
図1および
図2に示すように、支柱2にクランプ11を介して取り付けられる本体21と、線状部材3の端部が接続されて線状部材3の巻き取りおよび繰り出しを行う回転軸22と、本体21および回転軸22の一端部に設けられた回転停止手段23とを備えている。
本体21は、
図3に示すように、互いに平行な第1の支持板24および第2の支持板25と、これらの第1、第2の支持板24,25の一端どうしを連結する連結板26とによって断面コ字状に形成されている。この実施の形態による本体21は、鋼板を断面コ字状に曲げて形成されている。この実施の形態においては、第1の支持板24と第2の支持板25が本発明でいう「一対の側壁部」に相当する。
【0026】
図1および
図2に示すように、第1の支持板24と第2の支持板25とには、回転軸22が線状部材3の巻き取りおよび繰り出しを行うために正逆回転自在に配置されている。第1の支持板24と第2の支持板25との間には、回転軸22に巻き取られた線状部材3を収容する巻き取り空間27が形成されている。
連結板26は、クランプ11の固定アーム13に重ねられ、固定アーム13および連結板26を貫通する固定用ボルト28と、この固定用ボルト28に螺着されたナット29とによって固定アーム13に固定されている。この実施の形態による連結板26は、第1の支持板24と第2の支持板25とが水平方向に並ぶように位置決めされて固定アーム13に固定されている。
【0027】
図3に示すように、第1の支持板24には第1の貫通孔31が穿設され、第2の支持板25には第2の貫通孔32が穿設されている。これらの第1の貫通孔31と第2の貫通孔32の開口形状は円形である。第1の貫通孔31には、回転軸22の一方の端部となる第1の小径部22aが挿入される。第2の貫通孔32には、回転軸22の他方の端部となる第2の小径部22bが挿入されている。第1の貫通孔31の孔径d1(
図8参照)は、第2の貫通孔32の孔径d2より大きい。
【0028】
(被係止部材の説明)
第1の支持板24の外側面24a(
図1参照)、すなわち第1の支持板24における第2の支持板25とは反対側の側面であって、本体21の一端部には、後述する回転停止手段23の一部を構成する被係止部材33が突設されている。この実施の形態による被係止部材33は、第1の支持板24の外側面24aに固着された板部材によって構成されているとともに、所定の形状に開口する窓孔34を有している。この被係止部材33は、例えば本体21と同じ金属材料によって形成することができ、第1の支持板24に溶接によって固着させることができる。
【0029】
(窓孔の説明)
被係止部材33の窓孔34は、板部材からなる被係止部材33を厚み方向に貫通するように形成されている。また、窓孔34は、
図9(A),(B)に示すように、第1の支持板24の第1の貫通孔31より孔径が大きい略円形の孔からなる円形部35と、円形部35における、線状部材3の弛緩方向の先端部となる一部{
図9(A),(B)においては左側の端部}を部分的に線状部材3の弛緩方向に膨出させたような形状の被係止部36とによって形成されている。
図9(A)は本体21の一端部を示す斜視図、
図9(B)は窓孔34と第1の貫通孔31の開口形状を示す要部の側面図である。
【0030】
図9(B)に示すように、円形部35は、上下方向において第1の貫通孔31と略同じ高さに位置し、かつ中心が第1の貫通孔31より線状部材3の緊張方向に偏って位置するように形成されている。
線状部材3の弛緩方向における円形部35の先端部分は、下側半部35aより上側半部35bが
図1等で示している線状部材3の弛緩方向に偏って位置するように形成されており、下側半部35aと上側半部35bとの境界となる平坦面37を有している。平坦面37は、円形部35の下側半部35aの一端(線状部材3の弛緩方向の先端であって図においては左端)を基端として弛緩方向に延びるように略水平に形成されている
この平坦面37と円形部35の上側半部35bとの間に被係止部36が形成されている。
【0031】
(回転軸の説明)
回転軸22は、
図3に示すように、円柱状に形成されており、軸線方向の両端部に位置する第1の小径部22aおよび第2の小径部22bと、軸線方向の中央を含む大径部22cとを有している。大径部22cには、線状部材3を通して取り付けるために、二つの貫通孔41が軸線方向と直交する方向に穿設されている。大径部22cの外径D1(
図8参照)は、第1の貫通孔31の孔径d1より小さく、第2の貫通孔32の孔径d2より大きい。
第1の小径部22aと第2の小径部22bは、外径が同一となるように形成されているとともに、大径部22cから所定の長さだけ軸線方向に突出するように形成されている。第1の小径部22aおよび第2の小径部22bの外径D2は、第2の貫通孔32の孔径d2より小さい。
【0032】
この回転軸22は、
図6に示すように、大径部22cが第1の支持板24と第2の支持板25との間に位置する状態、すなわち、第1の小径部22aが第1の支持板24の第1の貫通孔31に挿通されるとともに、第2の小径部22bが第2の支持板25の第2の貫通孔32に挿通された状態で本体21に組み付けられている。この組み付け状態において、第1の小径部22aと第1の貫通孔31の孔内面との間には、回転軸22が本体21に対して遊動可能になる隙間S1が形成される。また、第2の小径部22bと第2の貫通孔32の孔内面との間には、回転軸22が本体21に対して遊動可能になる隙間S2が形成される。すなわち、回転軸22は、これらの隙間S1および隙間S2の中で本体21に対して移動することができ、本体21に対して回転軸22が線状部材3の緊張方向および弛緩方向に遊動可能である。
【0033】
隙間S1は隙間S2より大きい。このことは、後述する回転停止手段23の一部が設けられる回転軸22の一端部(第1の小径部22a)が他端部より本体21に対して大きく遊動可能であることを意味する。
回転軸22の第1の小径部22aと第2の小径部22bとのうち、本発明でいう「回転軸の一方の端部」を構成する第1の小径部22aは、
図6に示すように、回転軸22が本体21に組み付けられた状態で第1の支持板24より本体21の外側に突出する第1の突出部42を有している。この第1の突出部42には、上述した被係止部材33と協働して回転停止手段23を構成する係止部材43が設けられている。係止部材43の説明は後述する。
【0034】
第2の小径部22bは、
図6に示すように回転軸22が本体21に組み込まれた状態で第2の支持板25から本体21の外に突出する第2の突出部44を有している。この第2の突出部44には、図示していない工具が着脱自在に係合する工具用係合部材45が溶接されている。この実施の形態においては、工具用係合部材45が本発明でいう「係合部」に相当する。
工具は、線状部材3を回転軸22で巻き取るために、また、回転軸22から繰り出すために、回転軸22を正逆回転させるためのものである。工具用係合部材45は、
図2に示すように、6角ナットを呈する形状に形成されている。この実施の形態による張線装置1は、工具用係合部材45をナットとして想定した場合、ナットが緩む方向に回転軸22を回すことによって、線状部材3が回転軸22に巻き取られるように構成されている。以下においては、このように線状部材3が回転軸22に巻き取られるように回転軸22が回転するときの回転方向を単に巻き取り方向といい、線状部材3が回転軸22から繰り出されるときの回転軸22の回転方向を単に繰り出し方向という。
【0035】
線状部材3が回転軸22に巻き取られると、線状部材3が緊張し、回転軸22には線状部材3の張力が作用する。回転軸22は本体21に対して遊動可能であるから、このとき回転軸22は支柱2から離れる方向(
図1等で表示されている線状部材3の弛緩方向)に本体21に対して移動する。
【0036】
(回転停止手段の説明)
回転停止手段23は、上述した被係止部材33と、回転軸22に設けられた係止部材43とによって構成され、被係止部材33に係止部材43が係止することで回転軸22の回転を停止させる。
係止部材43は、
図3に示すように、第1の小径部22aが嵌合する貫通孔43aを有するラチェット歯車によって構成されており、回転軸22が本体21に組み付けられた状態で被係止部材33の窓孔34の中に収容されるように、第1の小径部22aに溶接されている。この実施の形態による係止部材43は、回転軸22(第1の小径部22a)の第1の突出部42から回転軸22の径方向の外側へ突出する複数の爪片51を有している。
【0037】
これらの爪片51は、
図10に示すように、係止部材43の貫通孔43aを形成する環状部43bの外周部分に一体に形成されている。詳述すると、爪片51は、環状部43bを周方向に4等分する位置に、それぞれ環状部43bの径方向の外側に向けて突出するように形成されている。
この実施の形態による爪片51は、回転軸22の軸線方向から見て、環状部43bから径方向の外側へ直線的に延びる平坦面52と、平坦面52の先端から隣の爪片51の平坦面52の基端まで延びる凸曲面53とによって挟まれた断面山形状に形成されている。凸曲面53が平坦面52の先端から延びる方向は、回転軸22が線状部材3を巻き取る方向(
図10においては時計方向)に回転するときに平坦面52の先端が進む方向である。
【0038】
係止部材43は、回転軸22が本体21に組み付けられた状態においては、
図1に示すように被係止部材33の窓孔34の中に収容され、本体21に対して遊動する回転軸22に追従して窓孔34の中で移動する。
線状部材3が緊張し、回転軸22が本体21に対して線状部材3の弛緩方向に移動した場合は、
図4(A)および
図6に示すように爪片51が被係止部材33の被係止部36に係止する。
図4(A)は、係止部材43が被係止部材33に係止されている状態を示す張線ユニット12の側面図である。このときには、被係止部材33により、回転軸22が繰り出し方向{
図4(A)においては反時計方向}へ回転することが停止される。すなわち、この状態においては、爪片51の平坦面52が被係止部36の平坦面37と重なるようになり、回転軸22がそれ以上繰り出し方向へ回転することができなくなる。
【0039】
また、線状部材3が弛緩しているときなどで
図5および
図7に示すように回転軸22が本体21に対して線状部材3の緊張方向に移動している場合は、爪片51が被係止部36から外れる。この状態においては、回転軸22が本体21に対して回転自在となる。すなわち、係止部材43は、線状部材3が緊張しているときに被係止部材33に係止され、かつ線状部材3が弛緩しているときに被係止部材33から係止解除可能となっている。
【0040】
(張線装置の動作の説明)
この実施の形態による張線装置1を使用して線状部材3を引っ張るためには、クランプ11を支柱2に固定し、回転軸22に線状部材3の一端部を接続して回転軸22を巻き取り方向に回転させて行う。回転軸22を回転させるためには、工具用係合部材45に例えばラチェットレンチ等の工具を係合させて行う。回転軸22は、巻き取り方向に回転して線状部材3を巻き取ることにより、線状部材3の張力によって本体21に対して支柱2から離れる方向(線状部材3の弛緩方向)に移動する。
【0041】
この状態で回転軸22を巻き取り方向に回転させると、
図4(A)に示すように爪片51が被係止部36に係合する状態と、
図4(B)に示すように被係止部36の近傍に位置する窓孔34の孔内面に爪片51の凸曲面53が接触して滑りながら被係止部36に向けて移動する状態とを繰り返すようになる。
図4(B)は係止部材43が被係止部材33に摺接しながら回転する状態を示す張線ユニット12の側面図である。そして、線状部材3が充分に張られた状態で回転軸22を回す力を弱めて回転軸22を停止させると、
図4(A)に示すように係止部材43の爪片51が被係止部材33の被係止部36に係止し、これにより、回転軸22が、線状部材3が弛緩する方向へ回転することは規制される。このように係止部材43が被係止部材33に係止されることにより、線状部材3を継続して張られた状態、すなわち、緊張した状態に保つことができるようになる。
【0042】
線状部材3を緩める場合は、回転軸22を線状部材3の張力に抗して支柱2側へ移動させる。この操作は、例えば、作業者が手で回転軸22の大径部22cを支柱2側へ押すことにより行うことができる。この操作により、回転軸22は
図5および
図7に示すように回転軸22が第1の貫通孔31や第2の貫通孔32の孔内面に当たるまで、あるいは近づくまで本体21に対して支柱2側に移動する。このように回転軸22が移動することにより、爪片51が被係止部36から外れ、すなわち、爪片51の被係止部36に対する係止が解除され、回転軸22が線状部材3の張力によって繰り出し方向に回転して線状部材3が回転軸22から繰り出されて緩むようになる。また、回転軸22を巻き取り方向へ回転させることにより、線状部材3を再度緊張させることもできる。
【0043】
このように構成された張線装置1においては、本体21に取り付けられる可動部品は回転軸22のみとなるから、従来の張線装置と較べると可動部品の数が少なくなって構造が簡単になる。また、線状部材3を巻き取るときには爪片51が窓孔34の孔内面に沿って滑るようになるから、巻き取り時の抵抗は従来の張線装置と較べると小さくなる。
したがって、この実施の形態によれば、構造が簡単で製造コストを低く抑えることができるとともに、ワイヤを巻き取るときの抵抗が小さい張線装置を提供することができる。
【0044】
この実施の形態による張線装置1においては、第1および第2の貫通孔31,32の孔内面と回転軸22との間に回転軸22が本体21に対して遊動可能になる隙間S1,S2が形成されている。このため、回転軸22を本体21に対して遊動可能に設けるにあたって、簡単な構造で実現することができる。
【0045】
この実施の形態による係止部材43は、回転軸22の第1の突出部42から回転軸22の径方向の外側へ突出する複数の爪片51を有している。被係止部材33は、第1の支持板24の外側面24aに突設されているとともに、線状部材3が緊張しているときに爪片51と係合するように構成されている。このため、係止部材43と被係止部材33とを有する回転停止手段23が本体21の外側に位置するようになり、巻き取り時や繰り出し時に回転する係止部材43と線状部材3との干渉を避けることができる。
【0046】
この実施の形態による第1の貫通孔31と第2の貫通孔32の開口形状は円形である。また、第1の貫通孔31の孔径d1は、第2の貫通孔32の孔径d2より大きい。このため、回転軸22の係止部材43を有する一端部(第1の小径部22a)が他端部より本体21に対して大きく遊動できるようになり、係止部材43が被係止部材33の被係止部36に接近あるいは離間する際の係止部材43の移動量を大きくとることが可能になる。また、第1および第2の貫通孔31,32の開口形状が円形であるために、係止部材43が被係止部材33の被係止部36に接近あるいは離間するにあたって、係止部材43が移動する方向の自由度が高い。
したがって、係止部材43が被係止部材33の被係止部36に係止される状態と、この係止が解除される状態とを明確に分けることができるから、線状部材3を繰り出すときに誤って係止部材43が被係止部材33の被係止部36に係止されてしまうようなことを容易に防ぐことができる。
【0047】
この実施の形態おいては、回転軸22の係止部材43とは反対側となる端部(第2の小径部22b)に、回転軸22を回す工具が着脱自在に係合する工具用係合部材45が設けられている。このため、回転軸22を巻き取り方向に回転させる操作と、繰り出す方向に回転させる操作とを工具を使って簡単に行うことができる。
【0048】
この実施の形態による被係止部材33は、第1の支持板24の外側面24aに固着された板部材によって構成されているとともに、係止部材43を収容可能な窓孔34を有している。窓孔34の内面には、線状部材3が緊張したときに爪片51と係合する被係止部36が形成されている。このため、係止部材43の周囲が被係止部材33によって囲まれるから、係止部材43の爪片51を被係止部材33によって保護することができる。
【0049】
この実施の形態による張線装置1の本体21には、クランプ11が連結されており、支柱2をクランプ11が挟持することにより支柱2に本体21が取り付けられる。このため、本体21を支柱2に簡単に取り付けることができる。
【0050】
(第1の貫通孔の変形例)
第1の貫通孔は
図12に示すように形成することができる。
図12において、
図1~
図11によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図12に示す第1の貫通孔61は、開口形状が長円状となるように形成されている。詳述すると、この第1の貫通孔61は、回転軸22の第1の小径部22aが遊嵌状態で挿通可能な開口幅で線状部材3の緊張方向および弛緩方向に延びるように形成されている。
【0051】
第1の貫通孔61をこのように長円状に形成することにより、第1の小径部22aの移動方向を線状部材3の緊張方向および弛緩方向に規定することができ、係止部材43が被係止部材33に対して不必要に上下方向に移動することがなくなる。このため、係止部材43が被係止部材33に係止されるときや係止部材43の係止が解除されるときの係止部材43の挙動が安定し、係止部材43の爪片51が被係止部材33に衝突することにより発生する騒音が小さくなる。なお、
図12には図示していないが、第2の貫通孔も第1の貫通孔61と同様に、長円状としてもよく、あるいは、
図1~
図11に示す実施の形態を採るときの第2の貫通孔32と同様に、円形としてもよい。
【0052】
(被係止部材の変形例)
被係止部材は
図13および
図14(A),(B)に示すように構成することもできる。
図14(A)は、係止部材43が被係止部材63に係止されている状態を示す張線ユニット12の側面図、
図14(B)は、係止部材43の係止状態が解除された状態を示す張線ユニット12の側面図である。
図13および
図14(A),(B)において、
図1~
図11によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。また、
図13および
図14(A),(B)においても、回転軸22は本体21に対して線状部材3の緊張方向および弛緩方向に遊動可能である。
【0053】
図13に示す被係止部材62は、第1の支持板24の外側面24aに突設された突起によって構成されている。この被係止部材62は、円柱状の鋼材によって形成され、その軸線が第1の支持板24の外側面24aと直交する状態で第1の支持板24に溶接されている。また、被係止部材62は、線状部材3が緊張したときに爪片51と係合する位置に形成されている。
【0054】
このように突起によって構成された被係止部材62は、簡単に製造でき、しかも、第1の支持板24に簡単に設けることができるから、
図1~
図12に示す被係止部材33を使用する場合と較べて、張線装置1の製造コストを更に低くすることができる。
【0055】
図14(A),(B)に示す被係止部材63は、金属製の板部材によって形成され、第1の支持板24の外側面24aに後述する支持構造64によって移動自在に支持されている。被係止部材63が移動する方向は、線状部材3の弛緩方向と緊張方向である。被係止部材63には、
図1~
図11に示す実施の形態を採るときと同様に、窓孔34が形成されている。
被係止部材63を第1の支持板24に移動自在に支持するための支持構造64は、被係止部材33の上端部と下端部とを断面L字状のレール部材65によって移動自在に保持する構造である。
【0056】
この実施の形態によるレール部材65は、被係止部材33の上端部の近傍で線状部材3の弛緩方向および緊張方向に延びる上部レール65aと、被係止部材63の下端部の近傍で線状部材3の弛緩方向および緊張方向に延びる下部レール65bと、線状部材3の弛緩方向における上部レール65aおよび下部レール65bの一端どうしを接続する縦レール65cとからなり、回転軸22の軸線方向から見てコ字状に形成されている。このレール部材65は、第1の支持板24に溶接されている。
【0057】
レール部材65の上部レール65aは、被係止部材63の上端面63aと外側面63bとに沿うように形成され、被係止部材63の上端部の上方および外側方(第1の支持板24から離れる方向)への移動を規制している。
レール部材65の下部レール65bは、被係止部材33の下端面63cと外側面63bとに沿うように形成され、被係止部材33の下端部の下方および外側方への移動を規制している。
【0058】
上部レール65aと下部レール65bにおける、線状部材3の緊張方向の先端部には、被係止部材63が線状部材3の緊張方向に移動するときの限界位置を規定するストッパー66が設けられている。このストッパー66は、線状部材3の緊張方向における被係止部材63の先端63dと対峙するように構成されている。被係止部材63の移動方向においてストッパー66が設けられる位置は、
図14(A)に示すように、係止部材43が、先端63dがストッパー66に当接した被係止部材63の被係止部36に係止される位置である。
図14(A)に示す係止部材43は、線状部材3が緊張して回転軸22が線状部材3の弛緩方向に移動した位置に描いてある。以下においては、このように係止部材43が被係止部材33に係止されるときの被係止部材33の位置を単に「係止位置」という。
【0059】
この係止位置から被係止部材63がレール部材65に案内されて線状部材3の弛緩方向に移動することにより、
図14(B)に示すように係止部材43の係止状態が解除されるようになる。以下においては、このように係止部材43の係止状態が解除されるときの被係止部材63の位置を単に「非係止位置」という。すなわち、この被係止部材63は、線状部材3が緊張することにより係止部材43が係止される係止位置と、係止状態が解除される非係止位置との間で本体21に対して移動可能である。
【0060】
レール部材65の縦レール65cは、被係止部材63とは所定の距離だけ線状部材3の弛緩方向に離れる位置に設けられている。縦レールの位置は、
図14(B)に示すように、上述した非係止位置に位置している被係止部材63と縦レール65cとの間に弾性付勢部材67を配置できるような位置である。この実施の形態による弾性付勢部材67は、全体が円弧状に形成された板ばねによって構成されており、両端が縦レール65cに保持されて中央部が被係止部材63に接触する状態で被係止部材63と縦レール65cとの間に弾性変形した状態で装着されている。この弾性付勢部材67は、被係止部材63を上述した係止位置に向けて付勢している。
【0061】
このように係止位置と非係止位置との間で移動できる被係止部材63を備えた張線ユニット12においては、線状部材3が緊張して係止部材43が被係止部材63に係止されている状態{
図14(A)に示す状態}で、被係止部材63を弾性付勢部材67のばね力に抗して線状部材3の弛緩方向に押すことにより、
図14(B)に示すように係止部材43の係止状態が解除される。このため、この実施の形態によれば、被係止部材63を本体21に対して移動させるだけで簡単に緊張状態にある線状部材3を緩めて繰り出すことができるから、操作性が高い張線装置を実現することができる。また、被係止部材63を
図14(B)で示す状態とすることにより、回転軸22を正逆回転させて線状部材3の巻き取りと繰り出しも実施できる。
【0062】
上述した各実施の形態においては、支柱2に取り付ける張線装置1の例を示したが、張線装置1が取り付けられて張線装置1を支持する支持体は、支柱2に限定されることはない。張線装置1を取り付ける支持体としては、例えば、建造物に上下方向に延びるように設けられたパイプや、水平方向に延びる柱状体などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば、家庭菜園の区画範囲を示すワイヤを緊張させる張線装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…張線装置、2…支持体である支柱、3…線状部材、11…クランプ、21…本体、22…回転軸、22a…第1の小径部、22b…第2の小径部、23…回転停止手段、24…側壁部である第1の支持板、24a…外側面、25…側壁部である第2の支持板、27…巻き取り空間、31,61…第1の貫通孔、32…第2の貫通孔、33,62,63…被係止部材、34…窓孔、36…被係止部、42…第1の突出部、43…係止部材、45…工具用係合部材、51…爪片、67…弾性付勢部材、S1,S2…隙間。