(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007218
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】テンション付与機構
(51)【国際特許分類】
F16H 7/12 20060101AFI20230111BHJP
F16D 41/08 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F16H7/12 A
F16D41/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110326
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】592127965
【氏名又は名称】NKE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】荒木 悠平
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049AA08
3J049BB05
3J049BB22
3J049BH02
3J049CA08
(57)【要約】
【課題】ワンウェイクラッチ付のテンションアームをワンウェイクラッチのロック方向に容易に回転できるテンション付与機構を提供する。
【解決手段】テンション付与機構1は、循環移動する無端部材86にテンションを付与し、クラッチ軸周りの1方向への回転を許容するワンウェイクラッチ21をハウジング25内に収容するクラッチユニット2と、クラッチユニット2のクラッチ軸に接続され且つクラッチ軸周りに回転可能なアーム3と、アーム3に回転可能に支持され且つ無端部材86にテンションを付与するテンションプーリ43とを備え、ハウジング25又はアーム3、ここではハウジング25が、クラッチ軸に対して、第1方向と反対方向の第2方向に回転可能に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動する無端部材のテンション付与機構において、
クラッチ軸周りの1方向への回転を許容するワンウェイクラッチをハウジング内に収容するクラッチユニットと、
前記クラッチユニットの前記クラッチ軸に接続され且つ前記クラッチ軸周りに回転可能なアームと、
前記アームに回転可能に支持され且つ前記無端部材にテンションを付与するテンションプーリと
を備え、
前記ハウジング又は前記アームが、前記クラッチ軸に対して、前記第1方向と反対方向の第2方向に回転可能に設けられている
テンション付与機構。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記クラッチユニットを支持する支持部材に、前記第2方向に回転可能に設けられ、
前記アームが前記クラッチ軸に当該軸周りに回転不可能に設けられている
請求項1に記載のテンション付与機構。
【請求項3】
前記アームが、前記クラッチ軸に、前記第2方向に回転可能に設けられ、
前記ハウジングが、前記クラッチユニットを支持する支持部材に、前記クラッチ軸周りに回転不可能に設けられている
請求項1に記載のテンション付与機構。
【請求項4】
前記アームの前記第1方向の移動が所定位置に達したことを検知するセンサを備える
請求項1~3の何れか1項に記載のテンション付与機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周回する無端部材のテンション付与機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、駆動ベルト等の無端部材のテンションを自動調整する機構として、「先端にテンションプーリーを枢着したテンションアーム基部のボス部内に取り付けたワンウエイクラッチを、本体の固定軸に装着し、テンションアームを駆動ベルト側に回動するようテンションバネを設け、前記プーリーをベルトの圧接した駆動ベルトのテンション自動調整装置」が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記テンション自動調整装置では、例えば、テンションアームを駆動ベルトと反対側に戻す、つまり、テンションアームをワンウェイクラッチのロック方向に回転させる際に、容易にできないという問題がある。
つまり、上記の自動調整装置では、テンションアームをワンウェイクラッチの回転方向に略1周回転させる必要があるが、駆動ベルト用のモータプーリーなどがあり、テンションアームを1回転させることができない。
ワンウェイクラッチをロック方向に戻すような状況は、例えば、駆動ベルトを交換した際、無端部材としてチェーン部材を使用している場合に当該チェーン部材のリンクを抜いて短くした際に生じる。
本発明が解決しようとする課題は、ワンウェイクラッチ付のアーム(テンションアーム)をワンウェイクラッチのロック方向に容易に回転できるテンション付与機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るテンション付与機構は、循環移動する無端部材のテンション付与機構において、クラッチ軸周りの1方向への回転を許容するワンウェイクラッチをハウジング内に収容するクラッチユニットと、前記クラッチユニットの前記クラッチ軸に接続され且つ前記クラッチ軸周りに回転可能なアームと、前記アームに回転可能に支持され且つ前記無端部材にテンションを付与するテンションプーリとを備え、前記ハウジング又は前記アームが、前記クラッチ軸に対して、前記第1方向と反対方向の第2方向に回転可能に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ワンウェイクラッチ付のテンションアームをワンウェイクラッチのロック方向に容易に回転できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】テンション付与機構の側面図であり、(a)は組み立て状態の図であり、(b)は幅方向の外方側のプレートを外した状態の図である。
【
図3】テンション付与機構の断面図であり、(a)は
図2の(a)のAA断面を矢印側から見た図であり、(b)は
図2の(a)のBB断面を矢印側から見た図である。
【
図4】テンション付与機構の使用状態を説明するための図である。
【
図5】第2実施形態のテンション付与機構の斜視図であり、(a)は組み立て状態の図であり、(b)は構造が分かるように一部を分解した状態の図である。
【
図6】
図2の(a)のAA断面に相当する位置での断面図である。
【
図7】変形例に係る図であり、(a)は第1実施形態に対応するテンション付与機構の図であり、(b)は第2実施形態に対応するテンション付与機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
本発明の一態様に係る第1のテンション付与機構は、循環移動する無端部材のテンション付与機構において、クラッチ軸周りの1方向への回転を許容するワンウェイクラッチをハウジング内に収容するクラッチユニットと、前記クラッチユニットの前記クラッチ軸に接続され且つ前記クラッチ軸周りに回転可能なアームと、前記アームに回転可能に支持され且つ前記無端部材にテンションを付与するテンションプーリとを備え、前記ハウジング又は前記アームが、前記クラッチ軸に対して、前記第1方向と反対方向の第2方向に回転可能に設けられている。これにより、アームをロック方向に容易に移動できる。
別態様に係る第2のテンション付与機構は、第1のテンション付与機構において、前記ハウジングが、前記クラッチユニットを支持する支持部材に、前記第2方向に回転可能に設けられ、前記アームが前記クラッチ軸に当該軸周りに回転不可能に設けられている。これにより、ロック方向にアームが移動できるテンション付与機構を容易に実施できる。
別態様に係る第3のテンション付与機構は、第1のテンション付与機構において、前記アームが、前記クラッチ軸に、前記第2方向に回転可能に設けられ、前記ハウジングが、前記クラッチユニットを支持する支持部材に、前記クラッチ軸周りに回転不可能に設けられている。これにより、ロック方向にアームが移動できるテンション付与機構を容易に実施できる。
別態様に係る第4のテンション付与機構は、第1~3の何れかのテンション付与機構において、前記アームの前記第1方向の移動が所定位置に達したことを検知するセンサを備える。これにより、アームが所定位置に達した状態を放置されるのを防止できる。
【0009】
<第1実施形態>
以下に第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
1.全体構成
第1実施形態に係るテンション付与機構1は、チェーン部材やベルト部材を利用し且つ被搬送物を搬送する搬送装置7に設けられている。ここでは、チェーン部材を利用し、被搬送物が搬送される方向を搬送方向とする。
搬送装置7は、
図1に示すように、1個又は複数個設けられたコンベアユニット80と、コンベアユニット80を駆動するための駆動ユニット81と、テンション付与機構1とを有する。
ここでは、コンベアユニット80は、搬送方向と直交する方向に間隔をおいて2個あり、連結部材82により連結されている。なお、ここでの駆動ユニット81は、一方のコンベアユニット80に設けられている。
ここで、被搬送物の搬送方向を搬送装置7の長手方向又は単に長手方向ともいい、駆動ユニット81の駆動軸91が延伸する方向や2個のコンベアユニット80が並設する方向を搬送装置7の幅方向又は単に幅方向ともいい、搬送装置7の長手方向と幅方向とに直交する方向を高さ方向又は上下方向ともいう。
【0011】
コンベアユニット80は、搬送方向に延伸するフレーム84と、フレーム84の搬送方向の一端に設けられたスプロケット(図示省略)と、フレーム84の搬送方向の他端に設けられた従動ローラ85(
図2の(b)参照)と、スプロケットと従動ローラ85とを巻回して循環移動するチェーン部材86とを備える。なお、スプロケットは一対のプレート87を介して、従動ローラ85は一対のプレート88を介して、それぞれフレーム84に回転可能に固定される。なお、チェーン部材86は、内リンクと外リンクとが連結されているが、図では、便宜上ベルト状をしている。
駆動ユニット81は、モータ89と直交軸タイプのギヤヘッド90型とを備え、ギヤヘッド90に接続された駆動軸91がコンベアユニット80のスプロケットと連結する。なお、駆動ユニット81は、プレート92を介して一方のコンベアユニット80のフレーム84に固定される。
【0012】
2.テンション付与機構
テンション付与機構1は循環移動(周回)するチェーン部材86にテンションを付与する。
テンション付与機構1は、
図2及び
図3に示すように、クラッチ軸23周りの1方向への回転を許容するワンウェイクラッチ21をハウジング25内に収容するクラッチユニット2と、クラッチユニット2のクラッチ軸23に接続され且つクラッチ軸23周りに回転可能なアーム3と、アーム3に回転可能に支持され且つチェーン部材86にテンションを付与するテンションプーリ4とを備える。これにより、アーム3は、クラッチ軸23の周りを第1方向に回転可能となる。なお、第1方向(回転方向)は、テンションプーリ4がチェーン部材86に対してテンションを付与する方向であり、第2方向(ロック方向)は、テンションプーリ4がチェーン部材86に対してテンションを解除する方向である。
テンション付与機構1のハウジング25又はアーム3が、クラッチ軸23に対して、第1方向と反対方向の第2方向に回転可能に設けられている。これにより、アーム3が第2方向に回転可能となる。
ここでは、ハウジング25が、クラッチユニット2を支持する支持部材であるプレート88に、第2方向に回転可能に設けられ、アーム3がクラッチ軸23に当該軸周りに回転不可能に固定されている。
【0013】
(1)クラッチユニット
クラッチユニット2は、
図3の(a)に示すように、一対のプレート88に回転可能に支持されるクラッチ軸23と、中心軸に貫通孔を有するハウジング25と、ハウジング25の貫通孔とクラッチ軸23の間に配されたワンウェイクラッチ21とを有している。
ハウジング25は、ここでは、円柱状の貫通孔を中心に有する円筒状をしている。ハウジング25の端面が一方のプレート88に当接する状態で、ハウジング25がねじ27により一方のプレート88に固定されている。一方のプレート88には、プレート88の厚み方向(幅方向)から見たときに、
図2の(a)に示すように、クラッチ軸23の中心軸を中心とした円周上に、円弧状に貫通する長孔88aを有している。長孔88aにはねじ27が挿通して、そのねじ部がハウジング25の端面のねじ孔に螺合する。これにより、ハウジング25を、一方のプレート88に対して、第2方向に回転可能に固定できる。なお、一方のプレート88は、ここでは、幅方向の外方に位置するプレートである。
【0014】
(2)アーム
アーム3は、ここでは、例えば矩形板状をしている。アーム3は、一対のプレート88の厚み方向の外側に一対ある。アーム3は、アーム3の長手方向の両端部に貫通孔を有している。
アーム3の一端側の貫通孔にはねじ31が挿通して、クラッチユニット2のクラッチ軸23のねじ孔に螺合する。アーム3は、ねじ31によりクラッチ軸23に固定され、ねじ31が緩んだ状態では、アーム3はクラッチ軸23に対して第2方向に回転可能であるが、ここでのねじ31は、アーム3をクラッチ軸23に対して回転不可能に固定するものとする。アーム3の他端側の貫通孔にはねじ33が挿通して、テンションプーリ4の固定軸41のねじ孔に螺合する。
両方のプレート88には、プレート88の厚み方向(幅方向)から見たときに、クラッチ軸23の中心軸を中心とした円周上に、円弧状に貫通する長孔88bを有している。長孔88bにはテンションプーリ4用の固定軸41が挿通する。これにより、アーム3が、クラッチ軸23周りを第1方向へ回転移動することが可能となる。長孔88bにおける円弧の長さは、チェーン部材86の内リンクと外リンクとの連結長に相当する。
なお、アーム3が第1方向に移動する際にねじ96(
図2参照)と干渉するのを避けるために、
図3の(a)に示すように、アーム3と一方のプレート88との間に円筒状のカラー35が配されている。なお、ねじ96は、
図2の(b)に示すように、チェーン部材86をフレーム84に誘導するためのガイド部材95をプレート88に固定する。
【0015】
(3)テンションプーリ
テンションプーリ4は、一対のプレート88の長孔88bを挿通して一対のアーム3により固定支持される固定軸41と、中央の貫通孔に固定軸41が配され且つ固定軸41に対して回転可能に支持されるテンションプーリ43とを有する。
テンションプーリ4は、
図2の(b)で示すように、チェーン部材86の循環移動の経路内に配されている。テンションプーリ4は、錘として機能し、重力が作用する方向に移動可能に支持されている。これにより、テンションプーリ4は、チェーン部材86に対して常時テンションを付与する。
【0016】
3.使用
図4を用いて説明する。
図4において、「3A」は、使用初期の状態のアームを示し、「3B」は、使用によりチェーン部材86が伸びた状態のアームを示す。また、「27A」は、使用初期の状態のねじを示し、「27B」は、複数回(ここでは4回である)チェーン部材86のリンクを抜いた状態を示す。
(1)アーム
アーム3Aは、使用初期の状態では、プレート88の長孔88bにおける第2方向(ロック方向)側の端に位置する。搬送装置7の使用に伴い、チェーン部材86が伸び、テンションプーリ4が下方に移動する。これに伴い、アーム3は、クラッチ軸23の中心軸Oの周りを、第1方向に回転する。
さらに、搬送装置7の使用に伴って、チェーン部材86が伸び、テンションプーリ4が下方に移動し、アーム3Bが中心軸O周りを第1方向に回転し、長孔88bにおける第1方向(回転方向)側の端に位置する。
アーム3Bが長孔88bの第1方向の端に位置する状態では、チェーン部材86の伸び量が、略内リンクと外リンクの連結長さに相当する。つまり、図中のアーム3Aの中心線とアーム3Bの中心線との間の角度Aは、内リンクと外リンクの連結長さに相当する。これにより、アーム3の位置により、チェーン部材86の伸び量を把握できる。
【0017】
(2)ハウジング
ハウジング25は、使用初期の状態では、プレート88の長孔88bにおける第1方向(回転方向)側の端でねじ27Aにより固定されている。搬送装置7の使用に伴い、チェーン部材86の伸び量が内リンクと外リンクとの連結長さになると、つまり、アーム3Bの位置が長孔88bにおける第1方向側の端になると、チェーン部材86のリンクを外して、全長を短くする。
これに伴い、ハウジング25を一方のプレート88に固定していたねじ27Aを緩めて、ハウジング25をクラッチ軸23の周りを第2方向側へと回転させる。これにより、ハウジング25に固定されたアーム3Aが長孔88bの第2方向の端の位置に戻る。このように、アーム3の位置を簡単に第2方向に戻すことができる。このとき、チェーン部材86の内リンクと外リンクの連結長と長孔88bの長さとが対応するため、リンクを抜いたチェーン部材86の全長が使用開始時のチェーン部材86の全長と同じになり、アーム3を戻した際の位置が長孔88bの第2方向の端となる。
さらに、搬送装置7の使用に伴って、チェーン部材86が伸び、リンクを抜いていくと、ハウジング25を固定しているねじ27が長孔88a内を第2方向側に移動し、やがて、ねじ27Bが第2方向の端に位置する。
ねじ27Bが長孔88aの第2方向の端に位置する状態では、チェーン部材86の寿命に相当する。つまり、図中の中心軸Oとねじ27Aの中心とを結ぶ仮想線と、中心軸Oとねじ27Bの中心とを結ぶ仮想線との間の角度Bは、チェーン部材86のリンクを抜いた回数を示す。これにより、チェーン部材86の寿命を把握できる。
【0018】
4.その他
(1)第1実施形態では、
図3の(a)に示すように、クラッチユニット2のハウジング25が幅方向の外方側のプレート88にねじ27により固定されていたが、幅方向の内方側のプレート88にねじにより固定されてもよい。
(2)プレート88の長孔88aは、円弧状をしていたが、円周方向の略全領域、つまり円形状に近い形状としてもよい。この場合、
図4に示す、チェーン部材86の寿命までのリンクを抜く回数(つまり、第2方向に戻す角度)を考慮しなくてもよい。また、円弧状とする場合、チェーン部材の寿命を示す目印をプレートに付けてもよい。
長孔88aは、複数個あってもよく、そのうちの1つの円弧の長さをチェーン部材86の寿命に対応させ、他の長孔を寿命に関連させた長孔よりも長くしてもよい。
(3)第1実施形態では、プレート88の長孔88aは、内リンクと外リンクの連結長に対応させている(略同じ長さに設定されている)。つまり、テンション付与機構1は、搬送装置7で使用されているチェーン部材86に対応しているが、例えば、長孔88aは連結長以上としてもよい。長孔88aを連結長よりも長くすることで、連結長の異なる複数のチェーン部材86に対応することができ、汎用性を高めることができる。
(4)アーム3とクラッチ軸23との固定にねじ31が1本利用されているが、例えば、
図7の(a)のように、2本のねじ331で固定するようにしてもよい。これにより、ねじ331が緩んでも、アーム303がクラッチ軸の中心軸周りに回動するのを防止できる。
【0019】
<第2実施形態>
第1実施形態では、クラッチユニット2を支持する支持部材であるプレート88にハウジング25が第2方向に回転可能に設けられ、アーム3がクラッチ軸23に当該軸周りに回転不可能に設けられている。
第2実施形態では、アーム203が、クラッチ軸223に対して第2方向に回転可能に設けられ、ハウジング225が、クラッチユニット202を支持する支持部材であるプレート288に、クラッチ軸223周りに回転不可能に設けられている。
以下、第2実施形態のテンション付与機構201について
図5及び
図6を用いて説明する。
【0020】
1.構成
テンション付与機構201は、クラッチ軸223周りの1方向への回転を許容するワンウェイクラッチ21をハウジング25内に収容するクラッチユニット202と、クラッチユニット2のクラッチ軸223に接続され且つクラッチ軸223周りに回転可能なアーム203と、アーム203に回転可能に支持され且つチェーン部材86にテンションを付与するテンションプーリ4とを備える。なお、テンションプーリ4は第1実施形態と同じ又は略同じ構造であるため、その説明を省略する。
【0021】
(1)クラッチユニット
クラッチユニット202は、一対のプレート288に回転可能に支持されるクラッチ軸223と、中心軸に貫通孔を有するハウジング25と、ハウジング25の貫通孔とクラッチ軸23の間に配されたワンウェイクラッチ21とを有している。なお、第1実施形態のクラッチユニット2とは、クラッチ軸223の長さが異なる以外、同じ又は略同じ構造であるため、ワンウェイクラッチ21とハウジング25の説明を省略する。
ハウジング25は、その端面がプレート288に当接する状態で、ねじ27によりプレート288に固定されている。プレート288には、ねじ27が挿通する貫通孔が設けられているが、プレート288の厚み方向(幅方向)から見たときに、ねじ27のねじ部に対応した形状及び大きさをしている。つまり、ハウジング25はプレート288に対して回転不可能に固定されている。なお、ハウジング25が固定されるプレート288は、ここでは、幅方向の外方に位置するプレートであるが、内方に位置するプレートであってもよい。
【0022】
(2)アーム
アーム203は、ここでは、例えば矩形板状をしている。アーム203は、一対のプレート288の厚み方向の外側に一対ある。アーム203は、アーム203の長手方向の両端部に貫通孔を有している。
アーム203の一端側の貫通孔203aには、
図5の(b)に示すように、クラッチ軸223が挿通する。アーム3の他端側の貫通孔(ねじ33のため図に現れていない)には、第1実施形態と同様に、ねじ33が挿通して、テンションプーリ4の固定軸41のねじ孔に螺合する。
なお、両方のプレート288には、第1実施形態と同様に、長孔88bが設けられている。長孔88bにおける円弧の長さは、第1実施形態と同様に、チェーン部材86の内リンクと外リンクとの連結長に相当する。なお、アーム203と、ガイド部材95を固定するねじ96(
図5では、アーム203により現れていない)との干渉を避けるカラー35が配されている。
【0023】
アーム203は、上述のように、クラッチ軸223に対して回転可能であり、通常時は回転不可能にクラッチ軸223に固定されている。アーム203のクラッチ軸223への取り付け(固定)は、クラッチ軸223を回転不可能に挟持する挟持手段205がアーム203に固定されることで行われている。挟持手段205は、円柱状(円筒状を含む)のクラッチ軸223の外周に嵌合する部材を分割してなる複数個の挟持部材251を有し、複数個の挟持部材251がクラッチ軸223を挟んだ状態で連結具(例えば、ねじである)253により連結される。
具体的には、挟持手段205として、セットカラーを利用できる。ここでは、2個のカラー251が分離するセパレートタイプである。セットカラー205は、カラー251の側面の貫通孔251aを挿通するねじ259がアーム203のねじ孔203bに螺合することで、アーム203に固定される。
【0024】
2.使用
使用初期の状態では、アーム203がプレート288の長孔288bにおける第2方向(ロック方向)側の端に位置する。搬送装置の使用に伴って、チェーン部材86が伸び、アーム203が長孔288bにおける第1方向(回転方向)側の端に位置すると、チェーン部材86のリンクを外してチェーン部材86の全長を短くする。
これに伴い、クラッチ軸223にアーム203を固定したセットカラー205のねじ259と連結具253を緩めて、アーム203をクラッチ軸223の周りを第2方向側へと回転させる。そして、再度、セットカラー205のねじ259と連結具253とを締めて、アーム203がクラッチ軸223に対して回転しないように固定する。
【0025】
3.その他
(1)第2実施形態では、
図6に示すように、クラッチユニット202のハウジング25が幅方向の外方側のプレート288にねじ27により固定されていたが、幅方向の内方側のプレート288にねじにより固定されてもよいし、一対のプレート288に固定されてもよい。なお、ここでの固定は、クラッチ軸223の中心軸に対して回転不可能に固定されることをいう。
(2)ハウジング25のプレート288への固定はねじ27により行われているが、例えば、一対のプレートの凸部又は凹部に、ハウジングの凹部又は凸部が嵌合する状態で支持するようにしてもよい。この場合も、ハウジングがクラッチ軸の中心軸に対して回転不可能に支持(固定)される。
(3)アーム203のクラッチ軸223の固定に、セパレートタイプのセットカラー205が利用されたが、例えば、止めねじタイプ、スリットタイプ、ヒンジタイプ等の他のタイプのセットカラーを利用してもよい。また、例えば、止めねじタイプの場合、セットカラーをアームと一体化させてもよい。
【0026】
<変形例>
以上、第1及び第2実施形態に係るテンション付与機構1,201について説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0027】
1.無端部材
実施形態等では、無端部材として、内リンクと外リンクとを連結させてなるチェーン部材86を利用していたが、リンク機構を有しないベルト部材も利用できる。ベルト部材を使用する場合、例えば、プレート88,288の長孔88b,288bの第2方向側の端部から第1方向側の端部までアーム3,203が移動してベルト部材を交換する際に、アーム3,203を第2方向に容易に回転させることができる。また、ベルト部材を使用する場合、長孔88b,288bの円弧の長さと、交換時のベルト部材の伸び量とを対応させることで、ベルト部材の交換時期を把握できる。
【0028】
2.テンション付与機構
(1)テンションプーリ
テンションプーリ4は、自重により、無端部材86に負荷を作用させていたが、さらに錘を追加してもよいし、ばね等の付勢手段を追加してもよい。
(2)アーム
実施形態では、アーム3,203は、一対あったが、テンションプーリの大きさ、無端部材に付与するテンションの大きさによっては、アームは1本であってもよい。アームの形状は、クラッチ軸の延伸方向から見ると、矩形状をしていたが、円弧状、
図7の(b)に示すような「L」字状等の他の形状であってもよい。
(3)アームとテンションプーリとの固定
実施形態では、アーム3,203とテンションプーリ4との固定にねじ33が1本利用されているが、例えば、
図7のように、アーム303,403を2本のねじ333で固定するようにしてもよい。
また、第1実施形態では、アーム3はクラッチ軸23に1本のねじ31で固定されていたが、
図7の(a)に示すように、アーム303は2本のねじ331により固定されてもよい。
【0029】
(4)他の機能
テンション付与機構は、他の機能を有してもよい。
図7の(a)及び(b)に示すように、アーム303,403の第1方向の移動が、所定位置に達したことを検知するセンサ61を備えてもよい。
ここでの所定位置は、アーム303,403が長孔388b,488bの第1方向の端部に達した位置である。センサ61は、非接触タイプ又は接触タイプであり、ここでは、非接触タイプの近接センサを利用できる。センサ61は、プレート388,488に設けられ、アーム303,403に取り付けられたセンサドグ63を検知する。なお、言うまでもなく、センサ61がセンサドグ63を検知すると、その旨を使用者に知らせる報知手段も備える。これにより、アーム303,403が長孔388b,488bの第1方向の端部を達した状態が、長時間にわたって放置されるのを防止できる。
【符号の説明】
【0030】
1 テンション付与機構
2 クラッチユニット
3 アーム
4 テンションプーリ
7 搬送装置
21 ワンウェイクラッチ
23 クラッチ軸
25 ハウジング
61 センサ
86 チェーン部材(無端部材)
88 プレート(支持部材)