(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072210
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ケーブル送り出し装置の支持構造及びその支持構造に使用する架台
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184602
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】521497419
【氏名又は名称】有限会社 高橋電気土木工事
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 保夫
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CA05
5G352CB08
5G352CE02
5G352CJ03
(57)【要約】
【課題】ケーブル送り出し装置を使用してケーブルを敷設する際のケーブル送り出し装置の取り外し作業と設置作業の繰り返しを軽減できるケーブル送り出し装置の支持構造及びその支持構造に使用する架台を提供すること。
【解決手段】左右の親桁28と親桁28を連結する多数の子桁29とを基本構造としたケーブルラック23上に配置されるケーブル送り出し装置21の架台1であって、ケーブルラック23の幅方向に離間して第1の脚部2と第2の脚部3を配置し、第1の脚部2とケーブル送り出し装置21とを蝶番7を介して回動可能に連結し、ケーブル送り出し装置21が蝶番7の回動軸8を中心に回動してケーブル送り出し装置21の第2の脚部3で支えられている側が持ち上がることで、ケーブルラック23側方に退避可能とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の親桁と左右の前記親桁を連結する2つ以上の子桁とを基本構造としたケーブルラック上に、前記親桁の長さ方向に沿って間隔をおいて配置されるケーブル送り出し装置の支持構造であって、
前記ケーブル送り出し装置が載置される架台は、前記ケーブルラックの幅方向に離間して配置される第1及び第2の支持部材を備え、
前記第1の支持部材と前記ケーブル送り出し装置とは前記ケーブルラックの長手方向に対して交差する方向において相対的に回動可能に連結され、
前記ケーブル送り出し装置は前記回動軸を中心に回動して前記ケーブル送り出し装置の前記第2の支持部材で支えられている側が持ち上がることで、前記ケーブルラック側方に退避可能としたことを特徴とするケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項2】
前記第1の支持部材側には第1のリンク部が設けられるとともに、前記ケーブル送り出し装置側には前記第2のリンク部が設けられ前記第1のリンク部と前記第2のリンク部は、回動軸を中心に相対的に回動することを特徴とする請求項1に記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項3】
前記第1のリンク部は前記第1の支持部材と一体化して前記ケーブル送り出し装置の荷重を受ける受け部とされていることを特徴とする請求項2に記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項4】
前記第2のリンク部は前記ケーブル送り出し装置の底面又は側面に固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項5】
前記第1の支持部材及び前記第2の脚部は前記子桁上に掛け渡されることを特徴とする請求項請求項1~3のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項6】
前記第1の支持部材及び前記第2の脚部は前記親桁の長さ方向に移動しないように前記子桁と係合する係合部を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項7】
前記第1の支持部材は掛け渡された前記子桁に対して固定手段によって固定されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項8】
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は板体から構成され、その面方向は前記親桁の長さ方向に配置されることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項9】
前記第2の支持部材は前記ケーブル送り出し装置に固定されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項10】
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材は別々に構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項11】
前記ケーブル送り出し装置の前記回動軸を中心とした回動ができないようにロックするロック機構を備えていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造に使用される架台であって、前記ケーブルラックの幅方向に離間して配置されて前記子桁上に掛け渡される第1及び第2の支持部材を備えていることを特徴とする架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルラック上に配置されるケーブル送り出し装置の支持構造及びその支持構造に使用する架台等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、中高層用の建築物や工場等の比較的大きな建物に電気を供給するために幹線ケーブル(以下、単にケーブルとする)を配線(敷設)する必要がある。ケーブルは取り扱いや配線作業の便からケーブルラック内に収容される。ケーブルラックは一般に左右の支柱となる親桁と親桁に対して直交する多数の子桁からなる梯子状の外形とされる。ケーブルラックは建物内において同じ階であれば水平方向に敷設され、上下階に延線していく場合には垂直方向に敷設される。また、ケーブルは長く延出されて重量もあるため一般にケーブルの配線にはケーブル送り出し装置が使用される。ケーブル送り出し装置はケーブルラック上に作業者の経験則によって適度な間隔で配置され、ケーブルラックの長手方向にケーブルを送る。このようなケーブル送り出し装置の一例を特許文献1に示す。
特許文献1のケーブル送り出し装置10は、例えばその
図3のように一般に「ボール」と呼称される対向配置された2つの弾性ローラ33間にケーブルCを挟み、弾性ローラ33の回転力によって押し出すようにケーブルCを送る仕組みである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルの敷設においては複数のケーブルを送らなければならない。また、送り出しが完了したケーブルは次のケーブルの敷設のためにその都度ケーブル送り出し装置10から外してケーブルラック内に収容しなければならない。その際に、ケーブル送り出し装置はケーブルラック上に設置されているため、あるケーブルの送り作業が終了すると、ケーブルラック上に配設されているケーブル送り出し装置をケーブル収容の邪魔にならないように一旦ケーブルラックから取り外す必要がある。そして、ケーブル収容後、次のケーブルのために再びケーブル送り出し装置をケーブルラック上に設置しなければならない。
このケーブル送り出し装置の取り外し作業と設置作業の繰り返しはケーブルを敷設するたびに必ず行わなければならず大変面倒であった。また、ケーブル送り出し装置はかなり重量があり、大きな建物ではケーブルラック上に多くのケーブル送り出し装置が配設されることとなるため、ケーブルを敷設するたびにこれら取り外し作業と設置作業をすることは非常に労力を要することとなっていた。
本発明は、このような課題を解決したケーブル送り出し装置の支持構造及びその支持構造に使用する架台等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために手段1として、左右の親桁と左右の前記親桁を連結する2つ以上の子桁とを基本構造としたケーブルラック上に、前記親桁の長さ方向に沿って間隔をおいて配置されるケーブル送り出し装置の支持構造であって、前記ケーブル送り出し装置が載置される架台は、前記ケーブルラックの幅方向に離間して配置される第1及び第2の支持部材を備え、前記第1の支持部材と前記ケーブル送り出し装置とは前記ケーブルラックの長手方向に対して交差する方向において相対的に回動可能に連結され、前記ケーブル送り出し装置は前記回動軸を中心に回動して前記ケーブル送り出し装置の前記第2の支持部材で支えられている側が持ち上がることで、前記ケーブルラック側方に退避可能とした。
これによって、敷設完了したケーブルをケーブルラック内に収容する場合に、ケーブル送り出し装置を回動軸を中心に回動させるだけでケーブルラック側方に退避させることができケーブル収容するための上方の空間が確保できることとなるため、ケーブル送り出し装置をケーブルラック上から取り外したり、再度設置したりする作業の必要がなくなり作業効率が向上する。また、それらの作業も回動軸を中心に回動させるだけであるため重いケーブル送り出し装置を持ち上げる必要もなく作業の労力が軽減される。
【0006】
「第1の支持部材」は左右の親桁のうちの一方に寄った側に配置されてケーブル送り出し装置を支持する支持部材であり「第2の支持部材」は左右の親桁のうちの他方に寄った側に配置されてケーブル送り出し装置を支持する支持部材である。第1の支持部材は1つの部材で構成されていても複数の部材で構成されていてもよい。第2の支持部材も同様である。「第1の支持部材」と「第2の支持部材」は子桁上でケーブル送り出し装置を支持してもよく、ケーブルラックが配置される土台、例えば床面や壁面に立設させるように支持させてもよい。
また、手段2として、前記第1の支持部材側には第1のリンク部が設けられるとともに、前記ケーブル送り出し装置側には前記第2のリンク部が設けられ前記第1のリンク部と前記第2のリンク部は、回動軸を中心に相対的に回動するようにした。
このようにリンク機構によって回動軸を中心に回動させることで、ケーブル送り出し装置はがたつくことなく正確に回動することができる。
「第1のリンク部」と「第2のリンク部」は例えば蝶番の羽根のように回動軸を中心することがよい。「第1のリンク部」は、例えば第1の支持部材と一体化していてもよく、別部材として第1の支持部材に連結固定するようにしてもよい。「第2のリンク部」は、例えばケーブル送り出し装置と一体化していてもよく、別部材としてケーブル送り出し装置に連結固定するようにしてもよい。
【0007】
また、手段3として、前記第1のリンク部は前記第1の支持部材と一体化して前記ケーブル送り出し装置の荷重を受ける受け部とされているようにした。
つまり、第1の支持部材のケーブル送り出し装置と接する部分がそのまま第1のリンク部を構成するような場合である。これによって、部材強度が向上し、軽量化にも貢献する。この構成の裏返しとして、第1のリンク部は第1の支持部材と一体化していなくともよい。つまり蝶番の羽根のように第1のリンク部を構成して第1の支持部材に連結固定するようにしてもよい。
また、手段4として、前記第2のリンク部は前記ケーブル送り出し装置の底面又は側面に固定されているようにした。
つまり、第2のリンク部は蝶番の羽根のようにケーブル送り出し装置の底面又は側面に連結固定されることとなる。これらの位置に取り付けることによってケーブル送り出し装置の退避が可能となる。また、第2のリンク部をケーブル送り出し装置の底面に配設する場合であってケーブル送り出し装置を退避させていない場合に第1のリンク部と重なるように配置することがコンパクトになってよい。
また、手段5として、前記第1の支持部材及び前記第2の脚部は前記子桁上に掛け渡されるようにした。
つまり、第1の支持部材及び前記第2の脚部は子桁上でケーブル送り出し装置を支持する場合である。ケーブルラックは一般に支柱となる親桁は同一平面内にあるように平行に配置され、これに対して子桁が一定間隔で直交するように連結されている。そのため、子桁上に第1の支持部材及び第2の脚部を掛け渡すようにすると、親桁に対してがたつくことなく安定して第1の支持部材及び第2の脚部が載置されることとなる。但し、上記のように必ずしも子桁上に設置されなくともよい。
また、手段6として、前記第1の支持部材及び前記第2の脚部は前記親桁の長さ方向に移動しないように前記子桁と係合する係合部を備えているようにした。
これによってケーブル送り出し装置はケーブルラックの長手方向にずれることなく保持されることとなる。
【0008】
また、手段7として、前記第1の支持部材は掛け渡された前記子桁に対して固定手段によって固定されているようにした。
これによってケーブル送り出し装置をケーブルラック側方に退避させた際にその荷重で第1の支持部材側が一緒に持ち上がってケーブルラック側方に飛び出してしまうことがなくなる。
また、手段8として、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は板体から構成され、その面方向は前記親桁の長さ方向に配置されるようにした。
このような薄い板体の第1の支持部材や第2の支持部材が親桁の長さ方向に面方向が配置されるようであれば、ケーブルラック内に多くのケーブルを収容したとしても、第1の支持部材や第2の支持部材がそれらに干渉することがないため、ケーブルの収容に支障がない。
また、手段9として、前記第2の支持部材は前記ケーブル送り出し装置に固定されているようにした。
これによって、第2の支持部材はケーブル送り出し装置の退避動作と一緒に回動して退避することとなる。これによって、ケーブル送り出し装置を退避させるとケーブルラック内に第2の支持部材が残らずケーブルの収納の邪魔になりにくい。また、この裏返しとして、第2の支持部材は前記ケーブル送り出し装置に固定されていなくともよい。例えばケーブルラックに固定されていたり基盤に自立するような構成でもケーブル送り出し装置を支持することができればよい。
また、手段10として、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材は別々に構成されているようにした。
つまり、第1の支持部材と第2の支持部材は連結されておらず、別体でそれぞれ存在しているということである。これによって架台の軽量化が図れる。また、この裏返しとして、第1の支持部材と第2の支持部材が連結されて一体的な部材で構成されていてもよい。一体的であれば部材が紛失しにくく第1の支持部材と第2の支持部材によって架台が自立できるため取り扱い上有利である。
また、手段11として、前記ケーブル送り出し装置の前記回動軸を中心とした回動ができないようにロックするロック機構を備えているようにした。
これによって、例えばケーブルラックが垂直に配置されているような場合に不用意にケーブル送り出し装置が回動軸を中心に回動してしまうようなことがなくなる。また、ケーブル送り出し装置の使用中においてもテーブル送り出し装置をしっかりと固定できるため有利である。
【0009】
また、手段12として、手段1~手段10のいずれかに記載のケーブル送り出し装置の支持構造に使用される架台であって、前記ケーブルラックの幅方向に離間して配置されて前記子桁上に掛け渡される第1及び第2の支持部材を備えているようにした。
上述の手段1~手段12に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、手段1に示した発明の全てまたは一部の構成に手段2以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、手段1に示した発明に、手段2以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。
また、手段1から手段12に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、敷設完了したケーブルをケーブルラック内に収容する場合に、ケーブル送り出し装置を回動軸を中心に回動させるだけでケーブルラック側方に退避させることができケーブル収容するための上方の空間が確保できることとなるため、ケーブル送り出し装置をケーブルラック上から取り外したり、再度設置したりする作業の必要がなくなり作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造における架台を構成する第1の脚部の分解斜視図。
【
図2】同じ実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造における架台を構成する第2の脚部の斜視図。
【
図3】同じ実施形態のケーブル送り出し装置とその支持構造をケーブルラック上に設置し正面視した状態を説明する説明図。
【
図4】同じ実施形態のケーブル送り出し装置とその支持構造をケーブルラック上に設置し側面視した状態を説明する説明図。
【
図5】同じ実施形態のケーブル送り出し装置とその支持構造をケーブルラック上に設置し平面視した状態を説明する説明図。
【
図6】(a)~(d)は実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造の使用方法を連続的に説明する説明図。
【
図7】(a)及び(b)は他の実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造を説明する説明図。
【
図8】(a)及び(b)は他の実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造を説明する説明図。
【
図9】他の実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造における第2の脚部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態であるケーブル送り出し装置の支持構造と支持構造に使用される架台について図面に基づいて説明する。
まず、架台1について説明する。架台1は第1の支持部材としての第1の脚部2と第2の支持部材としての第2の脚部3から構成されている。つまり、架台1は別部材の組み合わせとして構成されている。
図1及び
図3に示すように、第1の脚部2は脚部本体4と脚部本体4に連結された揺動プレート5とを備えている。脚部本体4は上下幅に対して横幅が若干広い長方形の合金製の板材が屈曲あるいはカットして構成されている。脚部本体4の上部寄りは直角に屈曲形成された長方形形状の受け部4aとされている。脚部本体4の下端は左右を残して長方形形状にカットされており、カットされた残余の部分が左右端それぞれに下垂部4bとして形成されている。下垂部4bは方形な板部として構成されている。両下垂部4bの対向する縁部分が係合部6Aとされている。係合部6Aと直交するカットされた直線状の上縁が当接部6Bとされている。
受け部4a先端には回動軸部8を介して揺動プレート5が連結されている。揺動プレート5は脚部本体4の受け部4aと同じ形状の長方形形状の合金製の板材である。
受け部4aと揺動プレート5とは長手方向の縁部分で蝶番7を介して回動可能に連結されている。蝶番7の羽根はそれぞれ受け部4aと揺動プレート5に溶着されており、管とピンで構成される回動軸部8を中心として相対的に回動可能とされている。このような構成によって、回動軸部8を中心として受け部4aは第1のリンク部となり、揺動プレート5は第2のリンク部となる。本実施の形態では間隔を空けて2つの回動軸部8が設けられている。揺動プレート5の両端寄りにはそれぞれネジ孔9が形成されている。
【0013】
脚部本体4には子桁固定用フレーム11が組み合わせられて使用される。子桁固定用フレーム11は上下幅に対して横幅が広い長方形の合金製の板材を屈曲して構成されている。子桁固定用フレーム11の上部は直角に屈曲形成され長方形形状の子桁受け部11aとされている。子桁固定用フレーム11の両端寄りにはそれぞれ取り付け孔10が形成されている。子桁固定用フレーム11は脚部本体4下垂部4bに形成された取り付け孔14と取り付け孔10が照合された状態でワッシャ15を介してボルト16が挿通され、ボルト16とナット17との協働によって締結されることで脚部本体4に固定される。
図2、
図3及び
図4に示すように、第2の脚部3は第1の脚部2の脚部本体4と同一形状に形成されている。すなわち、脚部本体4の受け部4a及び下垂部4bと同じ形状の受け部3a、下垂部3bを有する構成とされている(ネジ孔9に対応するネジ孔12、取り付け孔14に対応する取り付け孔18も形成されている)。第2の脚部3も第1の脚部2と同様に両下垂部3bの対向する縁部分が係合部6Aとされ、係合部6Aと直交するカットされた直線状の上縁が当接部6Bとされている。
【0014】
次に、架台1を使用したケーブル送り出し装置の支持構造について
図3~
図6に基づいて説明する。まず、簡単にケーブル送り出し装置21とケーブル送り出し装置21が配置されるケーブルラック23の構成について説明する。
ケーブル送り出し装置21は台座24上に固定された筐体25を備えている。筐体25の前方(ケーブルを向かい入れる方向)には第1のガイドローラ装置26Aが配設され、その後方に2つのボール27が並んで配置されている。ボール27間にはケーブルを挟むための若干の隙間が形成されている。ボール27の後方には第2のガイドローラ装置26Bが配設されている。
ケーブルラック23は同じ形状に構成された2本の親桁28を備えている。親桁28は合金製の板材をチャンネル状に屈曲形成した長尺の部材である。2本の親桁28は鏡像関係となるように向かい合わせに平行に配置されている。2本の親桁28間にはこれらと直交するように多数の子桁29が配設されている。子桁29は合金製の板材をローマ字のCの字状に屈曲形成した長尺の部材である。多数の子桁29は等間隔で2本の親桁28の下側の凹部28a内に係合されている。
【0015】
図3に示すように、架台1を構成する第1の脚部2と第2の脚部3はケーブル送り出し装置21の台座24に対して間隔を空けて装着される。具体的には第1の脚部2側については、第1の脚部2の受け部4aに揺動プレート5が回動軸部8を中心に回動させて重ねた状態で揺動プレート5のネジ孔9に対して台座24側の図示しない透孔を重ね、その状態で上側からワッシャ30を介してボルト31によって締結する。第2の脚部3側については受け部3aを同様に台座24側の図示しない透孔を重ね、その状態で上側からワッシャ30を介してボルト31によって締結する。
このように1の脚部2と第2の脚部3が取り付けられたケーブル送り出し装置21を、ケーブルラック23が敷設された建物に応じて任意の位置に配置する。具体的には
図4及び
図5に示すように隣接する2本の子桁29上に下垂部4bと下垂部3bが跨がるように配置され、第1の脚部2と第2の脚部3の当接部6Bがそれぞれを子桁29上に載置される。このとき、下垂部4bと下垂部3bの内側の係合部6Aが2本の子桁29の外側にちょうど接するように配置される。係合部6Aの間隔は2本の子桁29の外側間隔よりも広いため、子桁29は第1の脚部2及び第2の脚部3に干渉することはない。本実施の形態では係合部6A間は2本の子桁29に対してちょうどずれなくぴったりと収まるように同じ幅サイズ(実際はわずかに広く)に構成されている。
次いで、
図3に示すように、第1の脚部2に子桁固定用フレーム11を装着する。子桁固定用フレーム11は子桁29を桁受け部11aによって下側から支えるように、つまり第1の脚部2の当接部6Bと桁受け部11aによって上下から挟むように配置される。尚、この子桁固定用フレーム11の装着の際にケーブル送り出し装置21をボール27間の隙間(つまり中心が)が子桁29の中央に配置されるように子桁29の長手方向に沿って配置の調整を行う。
【0016】
次に、
図6の概略図に基づいてこのようなケーブル送り出し装置の支持構造の使用方法の一例について説明する。
図6(a)のようにケーブルラック23の路線上に架台1で支持された設置された複数のケーブル送り出し装置21を用いてケーブルCを配線していく。そして配線が完了した状態で、ケーブルCをケーブルラック23内に格納するために
図6(b)に示すように、当該位置のケーブルCをケーブル送り出し装置21のボール27から外し、ケーブル送り出し装置21を回動軸部8を回動中心として回動させ第2の脚部3側を持ち上げていく。すると、ケーブルラック23の上方空間は開放されていく。回動軸部8は軸方向がケーブルラック23の長手方向であるため、ケーブル送り出し装置21の退避方向はケーブルラック23の長手方向に対して直交する方向となる。
十分上方空間が開放された状態で
図6(c)のようにケーブルCをケーブルラック23内に格納していく。
図6(d)のようにケーブルCが格納されれば、今度はケーブル送り出し装置21を逆方向に回動させて
図6(a)の状態に戻す。すべてのケーブル送り出し装置21が配設された位置でこのようにケーブルCの格納を実行する。そしてケーブルCの格納が完了(敷設が完了)すると、次のケーブルCを送るための作業準備に入る。
【0017】
以上のような構成によって、実施の形態のケーブル送り出し装置の支持構造(と架台1)では次のような効果が奏されることとなる。
(1)ケーブルラック23内にケーブルCを格納する際に、ケーブルCごとにケーブル送り出し装置21をいちいち取り外したり設置したりする手間がなくなり、作業効率が向上する。
(2)ケーブル送り出し装置21は重量があるが、このように片側だけを回動させるのであれば回動させる際の重量だけでよいため、楽にケーブルラック23の上方空間を開放させることができる。
(3)子桁29を第1の脚部2の当接部6Bと桁受け部11aによって上下から挟むように配置され、第1の脚部2を支持側として回動させるため、架台1が外れてしまうことがない。
(4)第1の脚部2と第2の脚部3の下垂部4bと下垂部3bの内側の係合部6Aが2本の子桁29の外側にちょうど接するように配置されるため、ケーブルラック23上への設置状態でケーブルラック23の長手方向にずれることがない。
(5)第1の脚部2の受け部4aと第2の脚部3の受け部3aによってケーブル送り出し装置21は下側から面で支持されるため、安定性がよい。
【0018】
上記実施の形態は本発明の原理およびその概念を例示するための具体的な実施の形態として記載したにすぎない。つまり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。
・上記実施の形態の架台1は一例であって、上記以外の形態で実施することは自由である。例えば、上記の架台1は第1の脚部2と第2の脚部3が別体であったが、これらを一体として架台を構成することも可能である。また、第1の脚部2と第2の脚部3は板状の部材であったが、もっと厚みのある部材を使用してもよいし、例えばパイプを組み合わせて構築するようにしてもよい。
・上記実施の形態では揺動プレート5はケーブル送り出し装置21の底面、つまり台座24の裏に固着されるような構成であったが、
図7に示すようにケーブル送り出し装置21の側面、つまり筐体25の側面に固着するようにしてもよい。
・上記実施の形態では第2の脚部3はケーブル送り出し装置21に固着されており、ケーブル送り出し装置21と一緒に回動するような構成であったが、
図8に示すように、ケーブル送り出し装置21を支えるだけでケーブル送り出し装置21に固着させずにケーブル送り出し装置21が回動する際にケーブルラック23側に残るような構成でもよい。尚、その場合には第2の脚部3にも子桁固定用フレーム11のような部材で子桁29に対して固定し、子桁29上で安定するような構造とすることがよい。
・上記実施の形態では第1の脚部2と第2の脚部3はケーブルラック23の子桁29に設置するような構成であったが、子桁29ではなくケーブルラック23が配置される例えば床面や壁面のような土台に直接設置するようにしてもよい。
・ケーブル送り出し装置21によってケーブル配線を行っている段階ではケーブル送り出し装置21は回動しないほうがよいため、そのようなケーブル送り出し装置21が作動中においては、
図9に示すように、第2の脚部3の下部寄りに回転軸35を中心に回動するフック36を設け、子桁29に設置した第2の脚部3が持ち上がらないようにフック36を子桁29に係合させるようなロック機構を設けるようにしてもよい。このフック36以外の手段として、例えば子桁固定用フレーム11を第2の脚部3側の取り付け孔18を用いて第1の脚部2側と同様に設け第2の脚部3が持ち上がらないようにしてもよい。例えば紐を用いて第2の脚部3を子桁29に縛るようにしてもよい。
・上記蝶番7以外の手段で回動軸を構成するようにしてもよい。
・上記実施の形態では回動軸部8を回動中心とする正確な回動動作の例を挙げたが、要はケーブル送り出し装置21をケーブルラック23から脱落することなく回動させ退避できればよく、それは第1の脚部2の受け部4aと揺動プレート5とを回動軸部8を介して連結していなくとも実現可能である。例えば、受け部4aと揺動プレート5とを連通する連通孔を外寄りに複数直列に形成し、それら連通孔に堅固なリング部材を挿通させて連結するようにしてもよい。
【0019】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成には限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1…架台、2…第1の支持部材としての第1の脚部、3…第2の支持部材としての第2の脚部、4a…第1のリンク部としての受け部、8…回動軸部、21…ケーブル送り出し装置、23…ケーブルラック、28…親桁、29…子桁。