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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072252
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】梁筋配設用カンザシ筋保持具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
E04G21/12 105D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184677
(22)【出願日】2021-11-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】521496412
【氏名又は名称】桜井 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】桜井 裕二
(57)【要約】
【課題】各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を提供する。
【解決手段】本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、垂直方向に延在すると共に型枠80の側面80aに沿って配される垂直部2と、垂直部2から水平方向に向かって延出した水平部3とを有し、垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に延在すると共に型枠の側面に沿って配される垂直部と、該垂直部から水平方向に向かって延出した水平部とを有し、前記垂直部はカンザシ筋を挿通させるためのカンザシ筋挿通部を垂直方向に沿って複数有していることを特徴とする梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項2】
前記カンザシ筋挿通部は梯子状部に形成されている請求項1に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項3】
前記梯子状部は、縦部の間に垂直方向に間隔を置いて横部が固定されて構成されている請求項2に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項4】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、前記水平部が設けられている部位より上方側のみに前記梯子状部が設けられている請求項2または3に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項5】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、全体に前記梯子状部が設けられている請求項2または3に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項6】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記垂直部が前記型枠の側面と離隔するための延出部を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項7】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記水平部が配置用係止部を有している請求項1ないし6のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項8】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、棒状体にて構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項9】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、複数組み合わせて使用可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート建築物を構築する場合において、建築物の梁部構築時に使用して好適な梁筋配設用カンザシ筋保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄筋コンクリート建築物の梁部を構築する際には、コンクリートを打設する前に梁型枠内に梁筋を配設する必要があり、その梁筋配設に際して梁筋を支持するカンザシ筋が使用されている。
【0003】
具体的には、梁型枠内に配設される梁筋70の基本的構造は、図11に示すように、梁部内の上部付近において長手方向に沿って離隔して配される複数の上端主筋71と、梁部内の下部付近において長手方向に沿って離隔して配される複数の下端主筋72と、上端主筋71および下端主筋72に一定ピッチで縦軸方向に巻くスターラップ73(あばら筋)とを有している。
【0004】
そして、このような梁筋70を梁型枠75内に配設する場合、図12(a)に示すように、スラブ型枠80上にスペーサー81を掛け渡し下端主筋72を載置して配設し、下端主筋72の上方にスペーサー82を載置してその上方に上端主筋71を載置する。その後、一定ピッチでスターラップ73(あばら筋)を縦軸方向に巻いて配設する。その状態で、図12(b)に示すように、スペーサー81を取り除いて下端主筋72を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設し、各種鉄筋(71,72,73)同士を結束線(図示しない)にて結束する。
【0005】
他方、上端主筋71または下端主筋72を載置し支持するものとして、カンザシ筋(例えば実開平1-100852号公報)が使用されており、このカンザシ筋を水平方向に保持することで梁筋70を梁型枠75内に配設する梁筋配設用カンザシ筋保持具も提案されている。
【0006】
例えばそのような梁筋配設用カンザシ筋保持具として、図13に示したスタンドタイプの梁筋配設用カンザシ筋保持具90がある。この梁筋配設用カンザシ筋保持具90は、図14に示すように、スラブ型枠80上に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具90を載置して使用するものであり、底部にベース部91を有し、カンザシ筋74を水平方向に保持するためにカンザシ筋74を挿通するための挿通穴92を多数有した立設部93を有している。
【0007】
そして、この梁筋配設用カンザシ筋保持具90を使用して梁筋70を梁型枠75内に配設する場合、図14に示すように、スラブ型枠80上に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具90を載置した後、下方付近の挿通穴92内にカンザシ筋74を挿通して水平方向に保持させる。この状態でカンザシ筋74上に下端主筋72を載置する。同様に、上方付近の挿通穴92内にカンザシ筋(図示しない)を挿通して水平方向に保持させた後、カンザシ筋(図示しない)上に上端主筋(図示しない)を載置する。その後、一定ピッチでスターラップ(図示しない)を縦軸方向に巻いて配設する。この状態で各種鉄筋同士を結束線にて結束する。最後に、梁筋配設用カンザシ筋保持具90から2本のカンザシ筋74を取り除いて梁筋70を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設する。
【0008】
しかし、図12に示したスペーサー81を使用した梁筋70の配設方法では、梁型枠75内に梁筋70を降下させた後、各種鉄筋(71,72,73)同士を結束するため、下端主筋72の結束作業が困難であった。
【0009】
また、図13に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具90を使用した梁筋70の配設方法では、梁型枠75内に梁筋70を降下させる前に梁型枠75の上方で結束作業を行うことができるため結束作業は容易であるが、図14に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具90によるカンザシ筋74の支点が遠くなる(Hが長くなる)と共に、可動するベース部91にて支持するため不安定であった。また、この梁筋配設用カンザシ筋保持具90は、図15に示すように、載置スペースが狭小な部位、例えば外周部100では載置することができず使用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平1-100852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するものは、垂直方向に延在すると共に型枠の側面に沿って配される垂直部と、該垂直部から水平方向に向かって延出した水平部とを有し、前記垂直部はカンザシ筋を挿通させるためのカンザシ筋挿通部を垂直方向に沿って複数有していることを特徴とする梁筋配設用カンザシ筋保持具である(請求項1)。
【0013】
前記カンザシ筋挿通部は梯子状部に形成されていることが好ましい(請求項2)。前記梯子状部は、縦部の間に垂直方向に間隔を置いて横部が固定されて構成されていることが好ましい(請求項3)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、前記水平部が設けられている部位より上方側のみに前記梯子状部が設けられていてもよい(請求項4)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、全体に前記梯子状部が設けられていてもよい(請求項5)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記垂直部が前記型枠の側面と離隔するための延出部を有していてもよい(請求項6)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記水平部が配置用係止部を有していてもよい(請求項7)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、棒状体にて構成されていることが好ましい(請求項8)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、複数組み合わせて使用可能であってもよい(請求項9)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる。
請求項2に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、カンザシ筋を挿通容易なカンザシ筋挿通部を簡素な構造で構成できる。
請求項3に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、梯子状部を簡素な構造で構成できる。
請求項4に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、梯子状部をより簡素な構造で構成できる。
請求項5に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、より汎用性の高い梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
請求項6に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
請求項7に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
請求項8に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、軽量で低廉かつ簡素な構造の梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できると共に複数の梁筋配設用カンザシ筋保持具を重ね合わせてコンパクトに収納できる。
請求項9に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、より汎用性の高い梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の一実施例の斜視図である。
図2図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための斜視図である。
図3図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図4図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図5図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の作用効果を説明するための説明図である。
図6図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の他の使用方法を説明するための説明図である。
図7】本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の他の実施例の斜視図である。
図8図7に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図9図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具と、図7に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具を組み合わせて使用する他の実施例の斜視図である。
図10図9に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図11】梁型枠内に配設される梁筋の基本的構造を説明するための斜視図である。
図12】従来の梁筋を配設する方法を説明するための説明図である。
図13】従来の梁筋配設用カンザシ筋保持具の斜視図である。
図14図13に示した従来の梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図15図13に示した従来の梁筋配設用カンザシ筋保持具の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、垂直方向に延在すると共に型枠80の側面80aに沿って配される垂直部2と、垂直部2から水平方向に向かって延出した水平部3とを有し、垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有していることで、各種鉄筋(71,72,73)同士の結束作業を梁型枠75の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋74を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具1を実現した。
【実施例0017】
本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具を図1ないし図6に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、図1に示すように、垂直方向に延在すると共に型枠80の側面80aに沿って配される垂直部2と、垂直部2から水平方向に向かって延出した水平部3とを有し、垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有している。以下、各構成について順次詳述する。
【0018】
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、鉄筋コンクリート建築物を構築する場合において、建築物の梁部構築時に使用して好適なものである。
【0019】
垂直部2は、垂直方向に延在すると共に、図2に示すように、型枠(この実施例ではスラブ型枠)80の側面80aに沿って配される部位である。
【0020】
具体的には、この実施例の垂直部2は、垂直方向に延在し最上部で逆U字型に湾曲されて折り返された棒状体(丸鋼棒)にて構成された縦部5と、縦部5の間に垂直方向に間隔を置いて固定された複数の横部6(丸鋼棒)にて構成されている。
【0021】
水平部3は、垂直部2から水平方向に向かって延出した部位であり、この実施例の水平部3は、垂直部2の縦部5に沿って垂直方向に延在すると共に縦部5に固定された固定部7と、固定部7から水平方向に延出し端部で湾曲されて折り返された水平延出部8とが一本の棒状体(丸鋼棒)にて構成されている。
【0022】
垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有している。この実施例のカンザシ筋挿通部4は、水平部3が設けられている部位より上方側のみに設けられた梯子状部9にて構成されている。
【0023】
具体的には、この実施例の梯子状部9は、前述した垂直部2の構造部分である、縦部5と、縦部5の間に垂直方向に間隔を置いて固定された複数の横部6にて構成されており、この実施例のカンザシ筋挿通部4は、複数の横部6の間の空間にて構成されている。これにより、カンザシ筋74を挿通容易なカンザシ筋挿通部4を簡素な構造で構成できると共に、カンザシ筋74を挿通し易いカンザシ筋挿通部4を構成することができる。
【0024】
なお、この実施例のカンザシ筋挿通部4は、横部6が垂直方向に一定間隔を置いて固定されることにより略同一サイズに構成されているが、カンザシ筋挿通部4が異なるサイズに構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0025】
また、この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1の垂直部2は、カンザシ筋挿通部4が梯子状部9にて構成されているが、カンザシ筋挿通部が梯子状部9以外の例えばカンザシ筋挿通穴などにより構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0026】
さらに、この実施例のカンザシ筋挿通部4は、水平部3が設けられている部位より上方側のみに梯子状部9が設けられて、水平部3が設けられている部位より上方側のみにカンザシ筋挿通部4が設けられているが、梯子状部9が全体(水平部3が設けられている部位より下方側にも)に設けられているものも本発明の範疇に包含される。これによって、逆さにして使用してもカンザシ筋挿通部を有するものとなり、より汎用性の高い梁筋配設用カンザシ筋保持具が構成される。
【0027】
つぎに、本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を作用効果と共に説明する。
本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具1を使用して梁筋70を梁型枠75内に配設する場合、図2または図3(a)に示すように、スラブ型枠80の端部上に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1をそれぞれ載置する。この載置方法としては、垂直部2をスラブ型枠80の側面80aに当接させると共に、水平部3をスラブ型枠80の上面80bに当接させる。これにより、スラブ型枠80に対して垂直方向および水平方向で係合して配置されるため安定した状態を配置される。また、図5に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1によるカンザシ筋74の支点が、従来のスタンドタイプの梁筋配設用カンザシ筋保持具90に比して近くなる(H1となる)ことからカンザシ筋74ひいては梁筋70全体をより安定して保持できる。なお、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、梁型枠75の長手方向に間隔をおいて複数対配置される。
【0028】
つぎに、図3(a)に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1のカンザシ筋挿通部4内のうち、下方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させ、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1により、カンザシ筋74を水平状態で保持させる。この状態で、図3(b)に示すように、カンザシ筋74の上方に下端主筋72を載置する。
【0029】
さらに、図3(c)に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1のカンザシ筋挿通部4内のうち、上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させ、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1により、カンザシ筋74を水平状態で保持させる。この状態で、カンザシ筋74の上方に上端主筋71を載置する。
【0030】
その後、一定ピッチでスターラップ73(あばら筋)を縦軸方向に巻いて配設した後、図3(d)に示すように、下方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して下端主筋72をスターラップ73の上方に載置させる。この状態で各種鉄筋(71,72,73)同士を結束線にて結束して梁筋70を構築する。
【0031】
最後に、上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して梁筋70を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設させる。
【0032】
なお、図2または図4は一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1を配置する型枠80の高さが左右で異なる場合の使用方法を説明するための説明図であり、型枠80の高さが左右で異なる場合でも、図4(a)に示すように、それぞれの型枠80に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1をそれぞれ配置する。そして、図4(b)に示すように、低い位置に配置された左側の梁筋配設用カンザシ筋保持具1では、より上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させカンザシ筋74を水平状態に保持させることで、図3の使用例と同様の方法にて梁筋70を梁型枠75内に配設することができる。
【0033】
また、図6は梁筋配設用カンザシ筋保持具1の載置スペースが狭小な部位、この図では梁型枠75の一方側が外周部100である場合の使用方法を説明するための説明図であり、一方側は梁筋配設用カンザシ筋保持具1を上下逆さに配置して使用することができる。具体的には、一方側では、梁筋配設用カンザシ筋保持具1を逆さにした状態で、外周部100の上面に水平部3の上面が面当接するように配置する。これにより、カンザシ筋74を水平状態に保持して、図3の使用例と同様の方法にて梁筋70を構築して梁型枠75内に配設することができる。
【0034】
上記のように、梁筋配設用カンザシ筋保持具1を使用することにより、各種鉄筋同士71,72,73の結束作業を梁型枠75の上方にて容易かつ効率的に行うことができると共に、カンザシ筋74を安定して保持することができ梁筋構築をより容易に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる。
【実施例0035】
つぎに、図7または図8に示した本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の他の実施例について説明する。
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具20は、垂直方向に延在すると共に型枠(この実施例では梁型枠)75の側面75aに沿って配される垂直部22と、垂直部22から水平方向に向かって延出した水平部23とを有し、垂直部22はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部24を垂直方向に沿って複数有すると共に、垂直部22が型枠75の側面75aと離隔するための延出部25を有し、水平部23が配置用係止部26を有している。
【0036】
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具20は、載置スペースが狭小な部位(例えば図8の外周部100)でも使用することができるものであり、垂直部22全体に梯子状部27が形成されて、垂直方向に沿って複数設けられたカンザシ筋挿通部24が構成されている。また、垂直部22は型枠75の側面75aと離隔するための水平方向に延びた延出部25を有しており、図8に示すよう延出部25の端面が型枠75の側面75aに当接することで、垂直部22と型枠75の側面75aとが離隔して、カンザシ筋74をカンザシ筋挿通部24に挿通させ保持可能に構成されている。さらに、水平部23の端部に垂直方向下方に延出した配置用係止部26が設けられることにより、外周部100に係止可能に構成されている。
【0037】
さらに、梁筋配設用カンザシ筋保持具1,20は、組み合わせて使用可能である。具体的には、図9または図10に示すように、梁筋配設用カンザシ筋保持具20の上方より梁筋配設用カンザシ筋保持具1を差し込んで組み合わせることにより、図10に示すように、載置スペースが狭小な部位でもより容易に梁筋70を構築することができる。
【0038】
具体的には、例えば図10に示すように外周部100が低い位置にある場合でも、梁筋配設用カンザシ筋保持具1,20を組み合わせることにより、図10(a)に示すように、載置スペースが狭小な部位でも、梁型枠75の上方において上下に離隔して2本のカンザシ筋74を水平方向に保持させることができるため、より容易に梁筋70を構築することができる。
【0039】
すなわち、梁筋配設用カンザシ筋保持具20の上方に梁筋配設用カンザシ筋保持具1を配置する(梁筋配設用カンザシ筋保持具1の垂直部2の下方部分を梁筋配設用カンザシ筋保持具20の垂直部22に沿わせるように上方より差し込む)ことで、図10(a)に示すように、上方に配置された一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させ、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1により、カンザシ筋74を水平状態で保持させることができる。これにより、カンザシ筋74の上方に上端主筋71を載置することができる。
【0040】
その後、一定ピッチでスターラップ73(あばら筋)を縦軸方向に巻いて配設した後、図10(b)に示すように、下方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して下端主筋72をスターラップ73の上方に載置させる。この状態(梁型枠75の上方に各種鉄筋(71,72,73)が保持された状態)で各種鉄筋(71,72,73)同士を結束線にて結束して梁筋70を構築する。
【0041】
最後に、上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して梁筋70を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設させることができる。
【0042】
なお、これらの実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1,20は、全て棒状体(丸鋼棒)にて構成されているため、軽量で低廉かつ簡素な構造の梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できると共に、複数の梁筋配設用カンザシ筋保持具同士を重ね合わせてコンパクトに収納することができる。ただし、本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具は、棒状体にて構成されたものに限定されるものではなく、例えば板状体など、垂直方向に延在すると共に型枠の側面に沿って配される垂直部と、垂直部から水平方向に向かって延出した水平部とを有し、垂直部はカンザシ筋を挿通させるためのカンザシ筋挿通部を垂直方向に沿って複数有したものを広く包含する。
【0043】
以上のように、本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 梁筋配設用カンザシ筋保持具
2 垂直部
3 水平部
4 カンザシ筋挿通部
5 縦部
6 横部
7 固定部
8 水平延出部
9 梯子状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁型枠の上方にてカンザシ筋を保持し梁筋を構成した後、前記梁筋を前記梁型枠内に降下させる際に使用する梁筋配設用カンザシ筋保持具であって、垂直方向に延在する垂直部と、該垂直部から水平方向に向かって延出した水平部とを有し、前記垂直部はカンザシ筋を挿通させるためのカンザシ筋挿通部を垂直方向に沿って複数有し、前記垂直部のうち前記水平部より下方に位置する部位は型枠の側面に沿って配され、前記垂直部のうち前記水平部より上方に位置する部位は前記型枠の上面の高さより上方に向かって延出するように配され、前記水平部は前記型枠の上面に沿って配され、前記垂直部および前記水平部を前記型枠の前記上面および前記側面から構成される角部に係合させて配置可能であることを特徴とする梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項2】
前記カンザシ筋挿通部は梯子状部に形成されている請求項1に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項3】
前記梯子状部は、縦部の間に垂直方向に間隔を置いて横部が固定されて構成されている請求項2に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項4】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、前記水平部が設けられている部位より上方側のみに前記梯子状部が設けられている請求項2または3に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項5】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、全体に前記梯子状部が設けられている請求項2または3に記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項6】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記垂直部が前記型枠の側面と離隔するための延出部を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項7】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記水平部が配置用係止部を有している請求項1ないし6のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項8】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、棒状体にて構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【請求項9】
前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、複数組み合わせて使用可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の梁筋配設用カンザシ筋保持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート建築物を構築する場合において、建築物の梁部構築時に使用して好適な梁筋配設用カンザシ筋保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄筋コンクリート建築物の梁部を構築する際には、コンクリートを打設する前に梁型枠内に梁筋を配設する必要があり、その梁筋配設に際して梁筋を支持するカンザシ筋が使用されている。
【0003】
具体的には、梁型枠内に配設される梁筋70の基本的構造は、図11に示すように、梁部内の上部付近において長手方向に沿って離隔して配される複数の上端主筋71と、梁部内の下部付近において長手方向に沿って離隔して配される複数の下端主筋72と、上端主筋71および下端主筋72に一定ピッチで縦軸方向に巻くスターラップ73(あばら筋)とを有している。
【0004】
そして、このような梁筋70を梁型枠75内に配設する場合、図12(a)に示すように、スラブ型枠80上にスペーサー81を掛け渡し下端主筋72を載置して配設し、下端主筋72の上方にスペーサー82を載置してその上方に上端主筋71を載置する。その後、一定ピッチでスターラップ73(あばら筋)を縦軸方向に巻いて配設する。その状態で、図12(b)に示すように、スペーサー81を取り除いて下端主筋72を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設し、各種鉄筋(71,72,73)同士を結束線(図示しない)にて結束する。
【0005】
他方、上端主筋71または下端主筋72を載置し支持するものとして、カンザシ筋(例えば実開平1-100852号公報)が使用されており、このカンザシ筋を水平方向に保持することで梁筋70を梁型枠75内に配設する梁筋配設用カンザシ筋保持具も提案されている。
【0006】
例えばそのような梁筋配設用カンザシ筋保持具として、図13に示したスタンドタイプの梁筋配設用カンザシ筋保持具90がある。この梁筋配設用カンザシ筋保持具90は、図14に示すように、スラブ型枠80上に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具90を載置して使用するものであり、底部にベース部91を有し、カンザシ筋74を水平方向に保持するためにカンザシ筋74を挿通するための挿通穴92を多数有した立設部93を有している。
【0007】
そして、この梁筋配設用カンザシ筋保持具90を使用して梁筋70を梁型枠75内に配設する場合、図14に示すように、スラブ型枠80上に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具90を載置した後、下方付近の挿通穴92内にカンザシ筋74を挿通して水平方向に保持させる。この状態でカンザシ筋74上に下端主筋72を載置する。同様に、上方付近の挿通穴92内にカンザシ筋(図示しない)を挿通して水平方向に保持させた後、カンザシ筋(図示しない)上に上端主筋(図示しない)を載置する。その後、一定ピッチでスターラップ(図示しない)を縦軸方向に巻いて配設する。この状態で各種鉄筋同士を結束線にて結束する。最後に、梁筋配設用カンザシ筋保持具90から2本のカンザシ筋74を取り除いて梁筋70を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設する。
【0008】
しかし、図12に示したスペーサー81を使用した梁筋70の配設方法では、梁型枠75内に梁筋70を降下させた後、各種鉄筋(71,72,73)同士を結束するため、下端主筋72の結束作業が困難であった。
【0009】
また、図13に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具90を使用した梁筋70の配設方法では、梁型枠75内に梁筋70を降下させる前に梁型枠75の上方で結束作業を行うことができるため結束作業は容易であるが、図14に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具90によるカンザシ筋74の支点が遠くなる(Hが長くなる)と共に、可動するベース部91にて支持するため不安定であった。また、この梁筋配設用カンザシ筋保持具90は、図15に示すように、載置スペースが狭小な部位、例えば外周部100では載置することができず使用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平1-100852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するものは、梁型枠の上方にてカンザシ筋を保持し梁筋を構成した後、前記梁筋を前記梁型枠内に降下させる際に使用する梁筋配設用カンザシ筋保持具であって、垂直方向に延在する垂直部と、該垂直部から水平方向に向かって延出した水平部とを有し、前記垂直部はカンザシ筋を挿通させるためのカンザシ筋挿通部を垂直方向に沿って複数有し、前記垂直部のうち前記水平部より下方に位置する部位は型枠の側面に沿って配され、前記垂直部のうち前記水平部より上方に位置する部位は前記型枠の上面の高さより上方に向かって延出するように配され、前記水平部は前記型枠の上面に沿って配され、前記垂直部および前記水平部を前記型枠の前記上面および前記側面から構成される角部に係合させて配置可能であることを特徴とする梁筋配設用カンザシ筋保持具である(請求項1)。
【0013】
前記カンザシ筋挿通部は梯子状部に形成されていることが好ましい(請求項2)。前記梯子状部は、縦部の間に垂直方向に間隔を置いて横部が固定されて構成されていることが好ましい(請求項3)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、前記水平部が設けられている部位より上方側のみに前記梯子状部が設けられていてもよい(請求項4)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具の垂直部は、全体に前記梯子状部が設けられていてもよい(請求項5)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記垂直部が前記型枠の側面と離隔するための延出部を有していてもよい(請求項6)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、前記水平部が配置用係止部を有していてもよい(請求項7)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、棒状体にて構成されていることが好ましい(請求項8)。前記梁筋配設用カンザシ筋保持具は、複数組み合わせて使用可能であってもよい(請求項9)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる。
請求項2に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、カンザシ筋を挿通容易なカンザシ筋挿通部を簡素な構造で構成できる。
請求項3に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、梯子状部を簡素な構造で構成できる。
請求項4に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、梯子状部をより簡素な構造で構成できる。
請求項5に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、より汎用性の高い梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
請求項6に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
請求項7に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
請求項8に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、軽量で低廉かつ簡素な構造の梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できると共に複数の梁筋配設用カンザシ筋保持具を重ね合わせてコンパクトに収納できる。
請求項9に記載した梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、より汎用性の高い梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の一実施例の斜視図である。
図2図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための斜視図である。
図3図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図4図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図5図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の作用効果を説明するための説明図である。
図6図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の他の使用方法を説明するための説明図である。
図7】本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の他の実施例の斜視図である。
図8図7に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図9図1に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具と、図7に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具を組み合わせて使用する他の実施例の斜視図である。
図10図9に示した梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図11】梁型枠内に配設される梁筋の基本的構造を説明するための斜視図である。
図12】従来の梁筋を配設する方法を説明するための説明図である。
図13】従来の梁筋配設用カンザシ筋保持具の斜視図である。
図14図13に示した従来の梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を説明するための説明図である。
図15図13に示した従来の梁筋配設用カンザシ筋保持具の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、垂直方向に延在すると共に型枠80の側面80aに沿って配される垂直部2と、垂直部2から水平方向に向かって延出した水平部3とを有し、垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有していることで、各種鉄筋(71,72,73)同士の結束作業を梁型枠75の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋74を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる梁筋配設用カンザシ筋保持具1を実現した。
【実施例0017】
本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具を図1ないし図6に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、図1に示すように、垂直方向に延在すると共に型枠80の側面80aに沿って配される垂直部2と、垂直部2から水平方向に向かって延出した水平部3とを有し、垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有している。以下、各構成について順次詳述する。
【0018】
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、鉄筋コンクリート建築物を構築する場合において、建築物の梁部構築時に使用して好適なものである。
【0019】
垂直部2は、垂直方向に延在すると共に、図2に示すように、型枠(この実施例ではスラブ型枠)80の側面80aに沿って配される部位である。
【0020】
具体的には、この実施例の垂直部2は、垂直方向に延在し最上部で逆U字型に湾曲されて折り返された棒状体(丸鋼棒)にて構成された縦部5と、縦部5の間に垂直方向に間隔を置いて固定された複数の横部6(丸鋼棒)にて構成されている。
【0021】
水平部3は、垂直部2から水平方向に向かって延出した部位であり、この実施例の水平部3は、垂直部2の縦部5に沿って垂直方向に延在すると共に縦部5に固定された固定部7と、固定部7から水平方向に延出し端部で湾曲されて折り返された水平延出部8とが一本の棒状体(丸鋼棒)にて構成されている。
【0022】
垂直部2はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部4を垂直方向に沿って複数有している。この実施例のカンザシ筋挿通部4は、水平部3が設けられている部位より上方側のみに設けられた梯子状部9にて構成されている。
【0023】
具体的には、この実施例の梯子状部9は、前述した垂直部2の構造部分である、縦部5と、縦部5の間に垂直方向に間隔を置いて固定された複数の横部6にて構成されており、この実施例のカンザシ筋挿通部4は、複数の横部6の間の空間にて構成されている。これにより、カンザシ筋74を挿通容易なカンザシ筋挿通部4を簡素な構造で構成できると共に、カンザシ筋74を挿通し易いカンザシ筋挿通部4を構成することができる。
【0024】
なお、この実施例のカンザシ筋挿通部4は、横部6が垂直方向に一定間隔を置いて固定されることにより略同一サイズに構成されているが、カンザシ筋挿通部4が異なるサイズに構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0025】
また、この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1の垂直部2は、カンザシ筋挿通部4が梯子状部9にて構成されているが、カンザシ筋挿通部が梯子状部9以外の例えばカンザシ筋挿通穴などにより構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0026】
さらに、この実施例のカンザシ筋挿通部4は、水平部3が設けられている部位より上方側のみに梯子状部9が設けられて、水平部3が設けられている部位より上方側のみにカンザシ筋挿通部4が設けられているが、梯子状部9が全体(水平部3が設けられている部位より下方側にも)に設けられているものも本発明の範疇に包含される。これによって、逆さにして使用してもカンザシ筋挿通部を有するものとなり、より汎用性の高い梁筋配設用カンザシ筋保持具が構成される。
【0027】
つぎに、本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の使用方法を作用効果と共に説明する。
本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具1を使用して梁筋70を梁型枠75内に配設する場合、図2または図3(a)に示すように、スラブ型枠80の端部上に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1をそれぞれ載置する。この載置方法としては、垂直部2をスラブ型枠80の側面80aに当接させると共に、水平部3をスラブ型枠80の上面80bに当接させる。これにより、スラブ型枠80に対して垂直方向および水平方向で係合して配置されるため安定した状態配置される。また、図5に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1によるカンザシ筋74の支点が、従来のスタンドタイプの梁筋配設用カンザシ筋保持具90に比して近くなる(H1となる)ことからカンザシ筋74ひいては梁筋70全体をより安定して保持できる。なお、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1は、梁型枠75の長手方向に間隔をおいて複数対配置される。
【0028】
つぎに、図3(a)に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1のカンザシ筋挿通部4内のうち、下方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させ、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1により、カンザシ筋74を水平状態で保持させる。この状態で、図3(b)に示すように、カンザシ筋74の上方に下端主筋72を載置する。
【0029】
さらに、図3(c)に示すように、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1のカンザシ筋挿通部4内のうち、上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させ、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1により、カンザシ筋74を水平状態で保持させる。この状態で、カンザシ筋74の上方に上端主筋71を載置する。
【0030】
その後、一定ピッチでスターラップ73(あばら筋)を縦軸方向に巻いて配設した後、図3(d)に示すように、下方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して下端主筋72をスターラップ73の上方に載置させる。この状態で各種鉄筋(71,72,73)同士を結束線にて結束して梁筋70を構築する。
【0031】
最後に、上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して梁筋70を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設させる。
【0032】
なお、図2または図4は一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1を配置する型枠80の高さが左右で異なる場合の使用方法を説明するための説明図であり、型枠80の高さが左右で異なる場合でも、図4(a)に示すように、それぞれの型枠80に一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1をそれぞれ配置する。そして、図4(b)に示すように、低い位置に配置された左側の梁筋配設用カンザシ筋保持具1では、より上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させカンザシ筋74を水平状態に保持させることで、図3の使用例と同様の方法にて梁筋70を梁型枠75内に配設することができる。
【0033】
また、図6は梁筋配設用カンザシ筋保持具1の載置スペースが狭小な部位、この図では梁型枠75の一方側が外周部100である場合の使用方法を説明するための説明図であり、一方側は梁筋配設用カンザシ筋保持具1を上下逆さに配置して使用することができる。具体的には、一方側では、梁筋配設用カンザシ筋保持具1を逆さにした状態で、外周部100の上面に水平部3の上面が面当接するように配置する。これにより、カンザシ筋74を水平状態に保持して、図3の使用例と同様の方法にて梁筋70を構築して梁型枠75内に配設することができる。
【0034】
上記のように、梁筋配設用カンザシ筋保持具1を使用することにより、各種鉄筋同士71,72,73の結束作業を梁型枠75の上方にて容易かつ効率的に行うことができると共に、カンザシ筋74を安定して保持することができ梁筋構築をより容易に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる。
【実施例0035】
つぎに、図7または図8に示した本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具の他の実施例について説明する。
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具20は、垂直方向に延在すると共に型枠(この実施例では梁型枠)75の側面75aに沿って配される垂直部22と、垂直部22から水平方向に向かって延出した水平部23とを有し、垂直部22はカンザシ筋74を挿通させるためのカンザシ筋挿通部24を垂直方向に沿って複数有すると共に、垂直部22が型枠75の側面75aと離隔するための延出部25を有し、水平部23が配置用係止部26を有している。
【0036】
この実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具20は、載置スペースが狭小な部位(例えば図8の外周部100)でも使用することができるものであり、垂直部22全体に梯子状部27が形成されて、垂直方向に沿って複数設けられたカンザシ筋挿通部24が構成されている。また、垂直部22は型枠75の側面75aと離隔するための水平方向に延びた延出部25を有しており、図8に示すよう延出部25の端面が型枠75の側面75aに当接することで、垂直部22と型枠75の側面75aとが離隔して、カンザシ筋74をカンザシ筋挿通部24に挿通させ保持可能に構成されている。さらに、水平部23の端部に垂直方向下方に延出した配置用係止部26が設けられることにより、外周部100に係止可能に構成されている。
【0037】
さらに、梁筋配設用カンザシ筋保持具1,20は、組み合わせて使用可能である。具体的には、図9または図10に示すように、梁筋配設用カンザシ筋保持具20の上方より梁筋配設用カンザシ筋保持具1を差し込んで組み合わせることにより、図10に示すように、載置スペースが狭小な部位でもより容易に梁筋70を構築することができる。
【0038】
具体的には、例えば図10に示すように外周部100が低い位置にある場合でも、梁筋配設用カンザシ筋保持具1,20を組み合わせることにより、図10(a)に示すように、載置スペースが狭小な部位でも、梁型枠75の上方において上下に離隔して2本のカンザシ筋74を水平方向に保持させることができるため、より容易に梁筋70を構築することができる。
【0039】
すなわち、梁筋配設用カンザシ筋保持具20の上方に梁筋配設用カンザシ筋保持具1を配置する(梁筋配設用カンザシ筋保持具1の垂直部2の下方部分を梁筋配設用カンザシ筋保持具20の垂直部22に沿わせるように上方より差し込む)ことで、図10(a)に示すように、上方に配置された一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1のカンザシ筋挿通部(図示しない)内にカンザシ筋74を挿通させ、一対の梁筋配設用カンザシ筋保持具1により、カンザシ筋74を水平状態で保持させることができる。これにより、カンザシ筋74の上方に上端主筋71を載置することができる。
【0040】
その後、一定ピッチでスターラップ73(あばら筋)を縦軸方向に巻いて配設した後、図10(b)に示すように、下方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して下端主筋72をスターラップ73の上方に載置させる。この状態(梁型枠75の上方に各種鉄筋(71,72,73)が保持された状態)で各種鉄筋(71,72,73)同士を結束線にて結束して梁筋70を構築する。
【0041】
最後に、上方のカンザシ筋挿通部(図示しない)内に保持されているカンザシ筋74を除去して梁筋70を降下させることで梁筋70を梁型枠75内に配設させることができる。
【0042】
なお、これらの実施例の梁筋配設用カンザシ筋保持具1,20は、全て棒状体(丸鋼棒)にて構成されているため、軽量で低廉かつ簡素な構造の梁筋配設用カンザシ筋保持具を構成できると共に、複数の梁筋配設用カンザシ筋保持具同士を重ね合わせてコンパクトに収納することができる。ただし、本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具は、棒状体にて構成されたものに限定されるものではなく、例えば板状体など、垂直方向に延在すると共に型枠の側面に沿って配される垂直部と、垂直部から水平方向に向かって延出した水平部とを有し、垂直部はカンザシ筋を挿通させるためのカンザシ筋挿通部を垂直方向に沿って複数有したものを広く包含する。
【0043】
以上のように、本発明の梁筋配設用カンザシ筋保持具によれば、各種鉄筋同士の結束作業を梁型枠の上方にて容易に行うことができると共に、カンザシ筋を安定して保持することができて梁筋構築をより容易かつ効率的に行うことができ、さらに、載置スペースが狭小な部位でも使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 梁筋配設用カンザシ筋保持具
2 垂直部
3 水平部
4 カンザシ筋挿通部
5 縦部
6 横部
7 固定部
8 水平延出部
9 梯子状部