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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072266
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20230517BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20230517BHJP
【FI】
B01D53/14 220
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184701
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】518018986
【氏名又は名称】三菱重工エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】立花 晋也
(72)【発明者】
【氏名】勝目 正
(72)【発明者】
【氏名】吉田 香織
(72)【発明者】
【氏名】米川 隆仁
【テーマコード(参考)】
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BB03
4D020BC01
4D020CB08
4D020CC01
4D020CC09
4D020CC10
4D020CC12
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC06
4G146JC10
4G146JC18
4G146JC19
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放散させる蒸留塔への外部からの熱供給量を削減した二酸化炭素回収システムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して吸収液から二酸化炭素を放散させる第1蒸留塔と、第1蒸留塔から抜き出された吸収液と蒸気とを熱交換する第1リボイラと、第1蒸留塔から抜き出された吸収液と、第1蒸留塔から流出した流出ガス及び蒸気のいずれとも異なる流体とを熱交換する第2リボイラと、流体が第2リボイラに流入する前に流体を圧縮する第1圧縮機とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる第1蒸留塔と、
前記第1蒸留塔から抜き出された前記吸収液と蒸気とを熱交換する第1リボイラと、
前記第1蒸留塔から抜き出された前記吸収液と、前記第1蒸留塔から流出した流出ガス及び前記蒸気のいずれとも異なる流体とを熱交換する第2リボイラと、
前記流体が前記第2リボイラに流入する前に前記流体を圧縮する第1圧縮機と
を備える二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記流体は、水、若しくは、飽和温度が大気圧で100℃以下かつ10気圧以下で120℃以下である物性を有する炭化水素又は酸素原子を含む炭化水素を含む、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記第1蒸留塔とは異なる第2蒸留塔をさらに備え、
前記流体は前記第2蒸留塔から供給される、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記第2蒸留塔の圧力は前記第1蒸留塔の圧力よりも高い、請求項3に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記第1蒸留塔から流出した流出ガスを冷却して得られた凝縮液を前記蒸留塔に戻す凝縮装置を備え、
前記凝縮装置は、前記流出ガスと冷却流体とを熱交換することにより前記流出ガスを冷却する冷却器を備え、
前記冷却流体は、前記第2リボイラにおいて前記流体が前記吸収液と熱交換した後の前記流体の少なくとも一部である、請求項3または4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記冷却器において前記流出ガスと熱交換した後の前記冷却流体は、前記第2蒸留塔からの前記流体と混合されて前記第1圧縮機で圧縮されるように構成されている、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記第1蒸留塔から抜き出された前記吸収液と第2流体とを熱交換する第3リボイラと、
前記冷却器において前記流出ガスと熱交換した後の前記冷却流体を圧縮する第2圧縮機と
を備え、
前記第2流体は、前記第2圧縮機によって圧縮された後の前記冷却流体である、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記第1蒸留塔から抜き出された前記吸収液と第2流体とを熱交換する第3リボイラと、
前記第1蒸留塔から流出した流出ガスを圧縮したガスを前記第3リボイラに前記第2流体として供給する第3圧縮機と、
前記第3リボイラにおいて前記吸収液と熱交換した後の前記第2流体を冷却して得られた凝縮液の少なくとも一部を前記第1蒸留塔に戻す凝縮装置と
を備える、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記流体はメタノールである、請求項1~8のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素を含むガスと吸収液とを気液接触させて吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、吸収塔で二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出させる蒸留塔とを備えた二酸化炭素回収システムが記載されている。この蒸留塔には、蒸留塔内の吸収液を加熱するためのリボイラが設けられている。複数のリボイラを設けてもよく、例えば、蒸気と吸収液とを熱交換することで吸収液が加熱されるリボイラと、蒸留塔から流出した後に圧縮機で加圧した蒸気と吸収液とを熱交換することで吸収液が加熱されるリボイラと設けてもよい。この構成によれば、蒸気だけでなく、蒸留塔の塔頂から流出した後に圧縮機で圧縮した蒸気の熱も吸収液を加熱するための熱源として使用しているので、蒸気の使用量を低減し、外部からの熱供給量を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6064771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二酸化炭素回収システムは通常は、任意の物質の製造プラントや発電プラント等の一部として設けられていることが多く、蒸留塔内の吸収液を加熱するための熱源としてはさらに適切なものが存在する可能性が考えられ、そのような適切な熱源を使用すれば、外部からの熱供給量のさらなる削減が可能になると考えられる。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放散させる蒸留塔への外部からの熱供給量を削減した二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる第1蒸留塔と、前記第1蒸留塔から抜き出された前記吸収液と蒸気とを熱交換する第1リボイラと、前記第1蒸留塔から抜き出された前記吸収液と、前記第1蒸留塔から流出した流出ガス及び前記蒸気のいずれとも異なる流体とを熱交換する第2リボイラと、前記流体が前記第2リボイラに流入する前に前記流体を圧縮する第1圧縮機とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の二酸化炭素回収システムによれば、第1リボイラにおいて、蒸気と吸収液とが熱交換することにより吸収液を加熱するとともに、第2リボイラにおいて、第1蒸留塔から流出した流出ガス及び蒸気のいずれとも異なる流体を圧縮した後に吸収液と熱交換させて吸収液を加熱することにより、蒸気の使用量が低減されて、第1蒸留塔への外部からの熱供給量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図2】本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図3】本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図4】本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による二酸化炭素回収システムについて、図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
(実施形態1)
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図1に示されるように、本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システム1を、メタノール製造プラントに設けられた構成を例に説明する。二酸化炭素回収システム1は、第1蒸留塔2と第2蒸留塔10とを備えている。第1蒸留塔2は、例えば、二酸化炭素を含むガスと吸収液とを気液接触させることにより吸収液に二酸化炭素を吸収させるための図示しない吸収塔と吸収液供給ライン3を介して連通している。
【0011】
第1蒸留塔2には、第1蒸留塔2内の吸収液を第1蒸留塔2の塔底から抜き出して第1蒸留塔2内に再び戻すように吸収液を循環させるための循環ライン4が設けられている。循環ライン4は、吸収液の流れが2つに分かれて互いに並列に流れる部分である第1ライン部分4a及び第2ライン部分4bを含んでいる。第1ライン部分4a及び第2ライン部分4bにはそれぞれ、第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bが設けられている。すなわち、第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bは吸収液の流れ方向に関して互いに並列に設けられている。第1リボイラ5aは、第1ライン部分4aを流れる吸収液と蒸気とが熱交換することにより、吸収液を加熱する熱交換器である。第2リボイラ5bは、第2ライン部分4bを流れる吸収液と前記蒸気とは異なる流体とが熱交換することにより、吸収液を加熱する熱交換器である。実施形態1における流体の具体例については後述する。
【0012】
また、第1蒸留塔2には、第1蒸留塔2の塔頂から流出したガス(以下、「流出ガス」と言う)を冷却して得られた凝縮液を第1蒸留塔2に戻す凝縮装置6が設けられている。凝縮装置6は、流出ガスが流通する流出ガスライン6aと、流出ガスライン6aに設けられた冷却器6bと、流出ガスライン6aの下流側端部に接続された還流槽6cと、還流槽6c内の凝縮液を第1蒸留塔2に戻す凝縮液ライン6dとを備えている。冷却器6bは、一例として、流出ガスと任意の冷却流体とを熱交換することにより流出ガスを冷却する熱交換器とすることができる。還流槽6c内には凝縮液の他に、主に二酸化炭素であるガスが存在する。還流槽6cの塔頂には、二酸化炭素を使用する装置に接続するラインの一端、実施形態1で言えば例えば、メタノール製造プラントの原料として二酸化炭素を供給するための原料供給ライン7の一端が接続されていてもよい。
【0013】
第2蒸留塔10は、第1蒸留塔2とは異なるものである限りはその構成を特に限定するものではないが、実施形態1では第2蒸留塔10が、メタノール製造プラントにおいて主成分をメタノールとする粗流体(以下、「粗メタノール流体」という)を精留してメタノール濃度を高めた流体を得るための蒸留塔として説明する。第2蒸留塔10は、粗メタノール流体を製造する図示しない装置と粗流体供給ライン16を介して連通している。
【0014】
第2蒸留塔10には、第1蒸留塔2と同様に、第2蒸留塔10内の粗メタノール流体を加熱するためのリボイラ11と、第2蒸留塔10の塔頂から流出したメタノール蒸気を凝縮するための凝縮装置12とが設けられている。リボイラ11は、例えば、蒸気と粗メタノール流体とが熱交換する熱交換器である。凝縮装置12は、例えば、第2蒸留塔10から流出したメタノール蒸気と任意の冷却流体とが熱交換する熱交換器である冷却器12aと、冷却器12aで冷却された流体(主に液体メタノール)が流入する還流槽12bと、還流槽12b内の一部の液体メタノールを第2蒸留塔10に戻すための戻りライン12cと、還流槽12b内の残りの液体メタノールを製品として供給するためのメタノール供給ライン12dとを備えている。
【0015】
第2蒸留塔10から流出したメタノール蒸気が流通するライン13の一端が第2蒸留塔10の塔頂に接続され、ライン13の他端が凝縮装置12の還流槽12bに接続されている。ライン13は、第2リボイラ5bを通過するように、すなわち、第2リボイラ5bにおいて第2ライン部分4bを流通する吸収液とライン13を流通するメタノール蒸気とが熱交換するように設けられている。したがって、前述した流体は、実施形態1では、第2蒸留塔10の塔頂から流出したメタノール蒸気である。ライン13には、第2蒸留塔10と第2リボイラ5bとの間に、第1圧縮機14が設けられ、第2リボイラ5bと凝縮装置12との間には、圧力を調節するための調節弁15が設けられている。
【0016】
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システム1の動作について説明する。吸収液供給ライン3を介して、二酸化炭素を吸収した吸収液が第1蒸留塔2内に流入する。第1蒸留塔2内の吸収液は、第1蒸留塔2の塔底から抜き出された後に循環ライン4を流通して第1蒸留塔2内に再び戻るように循環する。吸収液がこのように循環する際に、第1ライン部分4a及び第2ライン部分4bのそれぞれを流通する吸収液が、第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bのそれぞれにおいて加熱される。
【0017】
第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bのそれぞれにおける吸収液の加熱によって吸収液の温度が上昇すると、吸収液に吸収されている二酸化炭素が吸収液から放散される。吸収液から放散された二酸化炭素及びその他のガス成分は、第1蒸留塔2内を上昇して第1蒸留塔2の塔頂から流出した後に、流出ガスとして流出ガスライン6aを流通する。流出ガスが流出ガスライン6aを流通する際に、冷却器6bにおいて流出ガスが冷却される。流出ガスが冷却されて温度が低下すると、流出ガス中の沸点の低い成分は凝縮するが二酸化炭素の大部分は気体のままである。冷却された流出ガスが還流槽6cに流入すると、流出ガスは気体成分と液体成分とに分離される。主に二酸化炭素である気体成分は、原料供給ライン7を介して図示しない二酸化炭素の消費装置に原料として供給される。一方、液体成分は、凝縮液ライン6dを介して第1蒸留塔2内に戻される。
【0018】
一方、粗流体供給ライン16を介して第2蒸留塔10内に流入した粗メタノール流体は、リボイラ11によって加熱されて温度が上昇する。粗メタノール流体の温度が上昇すると、沸点の低いメタノールの大部分が気化して第2蒸留塔10内を上昇する一方、沸点の高い成分(主に水)の大部分が液体のまま第2蒸留塔10内に留まる。第2蒸留塔10内を上昇して第2蒸留塔10から流出した主成分をメタノールとする蒸気(以下、「メタノール蒸気」という)はライン13を流通する。
【0019】
ライン13を流通するメタノール蒸気は、第1圧縮機14によって圧縮される。第1圧縮機14による圧縮でメタノール蒸気の温度が上昇する。第1圧縮機14によって圧縮されたメタノール蒸気は、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換し、温度が低下する。温度によっては、メタノールの少なくとも一部が凝縮する場合がある。第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換したメタノール蒸気は、メタノール蒸気のまま、又は、少なくとも液体メタノールを含む状態でライン13を流通し、凝縮装置12において、冷却器12aによって冷却された後に還流槽12bに流入する。還流槽12b内の凝縮液(液体メタノール)の一部は戻りライン12cを介して第2蒸留塔10に戻される一方、残りの凝縮液は、メタノール供給ライン12dを介して、メタノールを消費又は貯蔵するための図示しない装置に供給される。
【0020】
ライン13を流通するメタノール蒸気を熱媒体とする場合、当該熱媒体を圧縮することで昇温させ、第2リボイラ5bで熱交換することで凝縮潜熱分の熱量も吸収液に与えることが可能となる。これにより、ライン13とライン13に付随する装置はヒートポンプとして作用するため、二酸化炭素回収システム1全体のエネルギー消費量を下げることができる。
【0021】
第1蒸留塔2における二酸化炭素の回収量を3t/Dayとし、第2蒸留塔10からの製品としてのメタノールの供給量を2t/Dayとし、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換したメタノール蒸気は全て凝縮して液体メタノールとなる条件で、二酸化炭素回収システム1の各装置及び各ラインにおける流体の特性と各装置の消費エネルギーとのシミュレーションを行った。このシミュレーション結果によれば、第1リボイラ5aのみで吸収液を加熱する場合に比べて、第1リボイラ5aにおける蒸気の使用量を4~5割削減することができる。
【0022】
このように、第1リボイラにおいて、蒸気と吸収液とが熱交換することにより吸収液を加熱するとともに、第2リボイラにおいて、第2蒸留塔10から流出した流体を圧縮した後に吸収液と熱交換させて吸収液を加熱することにより、蒸気の使用量を削減することができる。
【0023】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態2に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1に対して、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換した流体を、凝縮装置6において第1蒸留塔2からの流出ガスを冷却する冷却流体として使用するように変更したものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0024】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図2に示されるように、実施形態2に係る二酸化炭素回収システム1において、凝縮装置6は、冷却器6bより上流側で流出ガスライン6aに設けられた冷却器6eを備えている。第2リボイラ5bと調節弁15との間でライン13に一端が接続されるとともに第1圧縮機14と第2蒸留塔10との間でライン13に他端が接続されるバイパスライン20が設けられている。バイパスライン20は、冷却器6eを通過するように、すなわち、冷却器6eにおいて流出ガスライン6aを流通する流出ガスとバイパスライン20を流れる流体とが熱交換するように構成されている。バイパスライン20には、第2リボイラ5bと冷却器6eとの間に、圧力を調節する調節弁21が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0025】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システム1の動作について説明する。第1蒸留塔2において吸収液から二酸化炭素が放散される動作と、第2蒸留塔10において粗メタノール流体からメタノール蒸気を発生させる動作については実施形態1と同じである。実施形態2では、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換した流体は、メタノール蒸気の状態又は少なくとも一部のメタノールが凝縮した状態である流体となってバイパスライン20を流通して冷却器6eに流入する。この流体は、冷却器6eにおいて流出ガスと熱交換することで流出ガスを冷却する。この流体に少なくとも液体メタノールが含まれている場合、流出ガスとの熱交換によって液体メタノールが気化する。冷却器6eから流出したメタノール蒸気は、バイパスライン20を介して、第2蒸留塔10と第1圧縮機14との間でライン13に流入し、ライン13を流通するメタノール蒸気と混合され、第1圧縮機14によって圧縮される。その他の動作は実施形態1と同じである。
【0026】
このように、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換した後の流体の一部を第1蒸留塔2から流出した流出ガスの冷却に使用するので、二酸化炭素回収システム1全体の熱効率を向上することができる。また、冷却器6eにおいて流出ガスと熱交換した後の冷却流体は、第2蒸留塔10の塔頂からの流体と混合されて第1圧縮機14で圧縮された後に第2リボイラ5bに供給されるので、二酸化炭素回収システム1全体の熱効率を向上することができる。
【0027】
実施形態2も実施形態1と同様に、第1蒸留塔2における二酸化炭素の回収量を3t/Dayとし、第2蒸留塔10からの製品としてのメタノールの供給量を2t/Dayとし、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換したメタノール蒸気は全て凝縮して液体メタノールとなり、冷却器6eにおいて流出ガスと熱交換した液体メタノールは全て気化する条件で、二酸化炭素回収システム1の各装置及び各ラインにおける流体の特性と各装置の消費エネルギーとのシミュレーションを行った。このシミュレーション結果によれば、第1リボイラ5aのみで吸収液を加熱する場合に比べて、第1リボイラ5aにおける蒸気の使用量を8~9割削減することができる。
【0028】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの変形例>
実施形態2では、凝縮装置6が2つの冷却器6b,6eを備えていたが、冷却器6bに代えて冷却器6eのみを備えていてもよい。また、冷却器6eは1つに限定されず、複数の冷却器6eが、流出ガスの流通方向に関して直列又は並列に設けられていてもよい。
【0029】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態3に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態2に対して、吸収液を加熱するために第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bに加えて第3リボイラ5cを設けるように変更したものである。尚、実施形態3において、実施形態2の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
<本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図3に示されるように、実施形態3に係る二酸化炭素回収システム1において、循環ライン4は、第1ライン部分4a及び第2ライン部分4bのそれぞれに対して並列に設けられる第3ライン部分4cを含んでいる。第3ライン部分4cには、第3ライン部分4cを流れる吸収液と第2流体とが熱交換することにより吸収液を加熱する第3リボイラ5cが設けられている。すなわち、第3リボイラ5cは、吸収液の流れ方向に関して第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bのそれぞれと並列に設けられている。実施形態3における第2流体の具体例については後述する。
【0031】
実施形態3では、実施形態2とは異なり、バイパスライン20は設けられていない。その代わり、一端が第2蒸留塔10の塔頂に接続されるライン13は、第2リボイラ5bを通過し、次いで冷却器6eを通過し、次いで第3リボイラ5cを通過し、ライン13の他端が凝縮装置12の還流槽12bに接続するように設けられている。ライン13には、冷却器6eと第3リボイラ5cとの間に第2圧縮機30が設けられ、第3リボイラ5cと凝縮装置12との間に、圧力を調節する調節弁31が設けられている。その他の構成は実施形態2と同じである。
【0032】
<本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システム1の動作について説明する。第1蒸留塔2において吸収液から二酸化炭素が放散される動作と、第2蒸留塔10において粗メタノール流体からメタノール蒸気を発生させる動作と、メタノール蒸気が第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換し冷却器6eで流出ガスと熱交換する動作とについては実施形態2と同じである。実施形態3では、冷却器6eで流出ガスと熱交換した後のメタノール蒸気は、第2圧縮機30によって圧縮される。第2圧縮機30による圧縮でメタノール蒸気の温度が上昇する。第2圧縮機30によって圧縮されたメタノール蒸気は、第3リボイラ5cにおいて第2流体として吸収液と熱交換し、温度が低下する。第3リボイラ5cにおいて吸収液と熱交換した後の第2流体は、凝縮装置12に供給される。凝縮装置12における動作は、実施形態2と同じである。
【0033】
実施形態3も実施形態2と同様に、第1蒸留塔2における二酸化炭素の回収量を3t/Dayとし、第2蒸留塔10からのメタノール供給量を2t/Dayとし、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換したメタノール蒸気は全て凝縮して液体メタノールとなり、冷却器6eにおいて流出ガスと熱交換した液体メタノールは全て気化し、第3リボイラ5cにおいて吸収液と熱交換したメタノール蒸気は全て凝縮して液体メタノールとなる条件で、二酸化炭素回収システム1の各装置及び各ラインにおける流体の特性と各装置の消費エネルギーとのシミュレーションを行った。このシミュレーション結果によれば、第1リボイラ5aのみで吸収液を加熱する場合に比べて、第1リボイラ5aにおける蒸気の使用量を8~9割削減することができる。
【0034】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態4に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1に対して、吸収液を加熱するために第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bに加えて第3リボイラ5cを設けるように変更したものである。尚、実施形態4において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】
<本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図4に示されるように、実施形態4に係る二酸化炭素回収システム1は、実施形態3と同様に、第1蒸留塔2内の吸収液を加熱するために、第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bに加えて第3リボイラ5cを備えている。実施形態4では、一端が第1蒸留塔2の塔頂に接続される流出ガスライン6aは、第3リボイラ5cを通過するとともに流出ガスライン6aの他端が凝縮装置6の還流槽6cに接続されている。流出ガスライン6aには、第1蒸留塔2と第3リボイラ5cとの間に、2つの第3圧縮機40a,40bが互いに直列に設けれ、さらに第3圧縮機40a,40b間に、流出ガスと任意の冷却流体とが熱交換することにより流出ガスを冷却するための熱交換器41が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0036】
尚、実施形態4において必須の構成ではないが、凝縮液ライン6dに一端が接続されるとともに吸収液を系外に排出するためのラインであって循環ライン4から分岐した排出ライン4dに他端が接続された凝縮液抜出ライン42を設けてもよい。この場合、第1蒸留塔2へ凝縮液を戻す量及び凝縮液抜出ライン42を流通する凝縮液の量のそれぞれを調整するために、凝縮液ライン6d及び凝縮液抜出ライン42のそれぞれに、流量を調節する調節弁43,44を設けてもよい。
【0037】
<本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システム1の動作について説明する。第1蒸留塔2において吸収液から二酸化炭素が放散される動作と、第2蒸留塔10において粗メタノール流体からメタノール蒸気を発生させる動作と、第2リボイラ5bにおいて吸収液とメタノール蒸気である流体とが熱交換するとともに吸収液と熱交換した流体が凝縮装置12で凝縮される動作とについては実施形態1と同じである。実施形態4では、第1蒸留塔2から流出した流出ガスが流出ガスライン6aを流通する際に熱交換器41によって温度を調整されながら第3圧縮機40a,40bのそれぞれによって圧縮される。第3圧縮機40a,40bのそれぞれによる圧縮によって流出ガスの温度が上昇する。第3圧縮機40a,40bのそれぞれによって圧縮された流出ガスは、第3リボイラ5cにおいて第2流体として吸収液と熱交換する。第3リボイラ5cにおいて吸収液と熱交換した流出ガスは、凝縮装置6において実施形態1で説明した動作と同じ動作で処理される。
【0038】
凝縮液抜出ライン42が設けられている場合には、凝縮液の一部を凝縮液抜出ライン42及び排出ライン4dを介して系外に排出することができる。凝縮液の一部を系外に排出すると、第1蒸留塔2のリフラックス流量が減少することになる。第1蒸留塔2のリフラックス流量を減少させると、第1蒸留塔2のリボイラデューティが低減する。例えば、本開示の発明者らによるシミュレーションによれば、第1蒸留塔2のリフラックス流量を50%減少させると、第1蒸留塔2のリボイラデューティを1~2割削減させることができる。
【0039】
実施形態4も実施形態1と同様に、第1蒸留塔2における二酸化炭素の回収量を3t/Dayとし、第2蒸留塔10からの製品としてのメタノールの供給量を2t/Dayとし、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換したメタノール蒸気は全て凝縮して液体メタノールとなる条件で、二酸化炭素回収システム1の各装置及び各ラインにおける流体の特性と各装置の消費エネルギーとのシミュレーションを行った。このシミュレーション結果によれば、第1リボイラ5aのみで吸収液を加熱する場合に比べて、第1リボイラ5aにおける蒸気の使用量を9~10割削減することができる。
【0040】
<本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの変形例>
実施形態4では、第2流体としての流出ガスを圧縮するために2つの第3圧縮機40a,40bを設けていたが、第3圧縮機を1つのみ設ける形態であってもよい。ただし、圧縮機を多段化することで一段当たりの圧縮比を下げて動力を低減し、効率を向上することができる。このため、第3圧縮機は2つに限定するものではなく、3つ以上の第3圧縮機を設けてもよい。尚、実施形態4では、第3圧縮機40a,40b間に熱交換器41を設けていたが、各圧縮機から流出するガスを冷却できるものであれば任意の装置を使用することができ、例示的な代替手段としては、各圧縮機から流出したガスが流通するラインに液体を噴霧するポンプであってもよい。このようなポンプから噴霧された液体によるクエンチにより、ガスの冷却が可能である。
【0041】
<各実施形態に係る二酸化炭素回収システムの変形例>
実施形態1~4では、第2蒸留塔10は、メタノール製造プラントにおいてメタノールを精留するための蒸留塔であったが、このような蒸留塔に限定するものではなく、メタノール派製品製造装置、例えば、二酸化炭素とメタノールとから炭酸ジメチルを製造する装置、メタノールからオレフィンを製造する(MTO)装置、メタノールからガソリンを製造する(MTG)等であってもよい。また、メタノールはプラントで製造されるもの(製品又は中間材)に限定はされず、原料として外部調達されたものを利用してもよい。この場合は、蒸留塔である第2蒸留塔10に代えて、例えば、メタノールの貯蔵設備及びメタノールを加熱する加熱装置からメタノールが供給されることになる。特に実施形態2においてこのような形態を採用する場合には、第2リボイラ5bにおいて吸収液と熱交換した後のメタノールの全量を冷却器6eの冷却流体として用い、冷却器6eで流出ガスと熱交換することで加熱されたメタノールを再び第2リボイラ5bに供給して吸収液と熱交換させてもよい。さらに、実施形態1~4では、第2蒸留塔10は1つの蒸留塔であったが、第2蒸留塔10を2つ以上の蒸留塔から構成してもよいし、1つ以上の蒸留塔と蒸留塔以外の構成の装置との組み合わせで構成してもよい。
【0042】
実施形態1~4では、第2リボイラ5bにおいて熱源として使用される流体はメタノール蒸気であったが、メタノールに限定するものではない。水、若しくは、飽和温度が大気圧で100℃以下かつ10気圧以下で120℃以下である物性を有する炭化水素又は酸素原子を含む炭化水素を前記流体として使用してもよい。また、このような物質の純物質に限定するものではなく、このような物質を一部として含むものを前記流体として使用してもよい。このような物質としては、エタノール、アセトン、2-プロパノール、ヘキサン、これらの混合物等を例示することができる。
【0043】
実施形態1~4では、第1蒸留塔2と第2蒸留塔10とが同じプラント(例示的にメタノール製造プラント)であったが、それぞれが別々のプラントに設けられた構成であってもよい。
【0044】
実施形態1及び2では、吸収液の流れ方向に関して第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bが互いに並列に設けられ、実施形態3及び4では、吸収液の流れ方向に関して第3リボイラ5cが第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bのそれぞれに対して並列に設けられていたが、これらの形態に限定するものではない。第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bが互いに直列に設けられていてもよく、第3リボイラ5cが第1リボイラ5a及び第2リボイラ5bの少なくとも一方と直列に設けられていてもよい。
【0045】
尚、実施形態1~4及びそれらの変形例において、第2蒸留塔10の圧力を第1蒸留塔2の圧力よりも高くしてもよい。この場合、第1圧縮機14での圧縮比を下げることができ、二酸化炭素回収システム1全体でのエネルギー消費量を抑えることができる。
【0046】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0047】
[1]一の態様に係る二酸化炭素回収システムは、
二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる第1蒸留塔(2)と、
前記第1蒸留塔(2)から抜き出された前記吸収液と蒸気とを熱交換する第1リボイラ(5a)と、
前記第1蒸留塔(2)から抜き出された前記吸収液と、前記第1蒸留塔(2)から流出した流出ガス及び前記蒸気のいずれとも異なる流体とを熱交換する第2リボイラ(5b)と、
前記流体が前記第2リボイラ(5b)に流入する前に前記流体を圧縮する第1圧縮機(14)と
を備える。
【0048】
本開示の二酸化炭素回収システムによれば、第1リボイラにおいて、蒸気と吸収液とが熱交換することにより吸収液を加熱するとともに、第2リボイラにおいて、第1蒸留塔から流出した流出ガス及び蒸気のいずれとも異なる流体を圧縮した後に吸収液と熱交換させて吸収液を加熱することにより、蒸気の使用量が低減されて、第1蒸留塔への外部からの熱供給量を削減することができる。
【0049】
[2]別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]の二酸化炭素回収システムであって、
前記流体は、水、若しくは、飽和温度が大気圧で100℃以下かつ10気圧以下で120℃以下である物性を有する炭化水素又は酸素原子を含む炭化水素を含む。
【0050】
[3]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]または[2]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1蒸留塔(2)とは異なる第2蒸留塔(10)をさらに備え、
前記流体は前記第2蒸留塔(10)から供給される。
【0051】
このような構成によれば、第1リボイラにおいて、蒸気と吸収液とが熱交換することにより吸収液を加熱するとともに、第2リボイラにおいて、第2蒸留塔から供給された流体を圧縮した後に吸収液と熱交換させて吸収液を加熱することにより、蒸気の使用量が低減されて、第1蒸留塔への外部からの熱供給量を削減することができる。
【0052】
[4]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[3]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第2蒸留塔(10)の圧力は前記第1蒸留塔(2)の圧力よりも高い。
【0053】
このような構成によれば、第1圧縮機での圧縮比を下げることができ、二酸化炭素回収システム全体でのエネルギー消費量を抑えることができる。
【0054】
[5]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[3]または[4]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1蒸留塔(2)から流出した流出ガスを冷却して得られた凝縮液を前記第1蒸留塔(2)に戻す凝縮装置(6)を備え、
前記凝縮装置(6)は、前記流出ガスと冷却流体とを熱交換することにより前記流出ガスを冷却する冷却器(6e)を備え、
前記冷却流体は、前記第2リボイラ(5b)において前記流体が前記吸収液と熱交換した後の前記流体の少なくとも一部である。
【0055】
このような構成によれば、第2リボイラにおいて吸収液と熱交換した後の流体の少なくとも一部を第1蒸留塔から流出した流出ガスの冷却に使用するので、二酸化炭素回収システム全体の熱効率を向上することができる。
【0056】
[6]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[5]の二酸化炭素回収システムであって、
前記冷却器(6e)において前記流出ガスと熱交換した後の前記冷却流体は、前記第2蒸留塔(10)からの前記流体と混合されて前記第1圧縮機(14)で圧縮されるように構成されている。
【0057】
このような構成によれば、冷却器において流出ガスと熱交換した後の冷却流体は、第2蒸留塔からの流体と混合されて第1圧縮機で圧縮された後に第2リボイラに供給されるので、二酸化炭素回収システム全体の熱効率を向上することができる。
【0058】
[7]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[5]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1蒸留塔(2)から抜き出された前記吸収液と第2流体とを熱交換する第23リボイラ(5c)と、
前記冷却器(6e)において前記流出ガスと熱交換した後の前記冷却流体を圧縮する第2圧縮機(30)と
を備え、
前記第2流体は、前記第2圧縮機(30)によって圧縮された後の前記冷却流体である。
【0059】
このような構成によれば、冷却器において流出ガスと熱交換した後の冷却流体を圧縮したものである第2流体と吸収液とを熱交換することにより吸収液を加熱する第3リボイラが設けられていることにより、第1リボイラにおける蒸気の使用量が低減されて、第1蒸留塔への外部からの熱供給量をさらに削減することができる。
【0060】
[8]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]または[2]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1蒸留塔(2)から抜き出された前記吸収液と第2流体とを熱交換する第3リボイラ(5c)と、
前記第1蒸留塔(2)から流出した流出ガスを圧縮したガスを前記第3リボイラ(5c)に前記第2流体として供給する第3圧縮機(40a,40b)と、
前記第3リボイラ(5c)において前記吸収液と熱交換した後の前記第2流体を冷却して得られた凝縮液の少なくとも一部を前記第1蒸留塔(2)に戻す凝縮装置(6)と
を備える。
【0061】
このような構成によれば、第1蒸留塔から流出した流出ガスを圧縮したガスである第2流体と吸収液とを熱交換することにより吸収液を加熱する第3リボイラが設けられていることにより、第1リボイラにおける蒸気の使用量を低減でき、第1蒸留塔への外部からの熱供給量をさらに削減することができる。また、凝縮液の一部を蒸留塔に戻す一方で、残りの凝縮液を、第1蒸留塔から抜き出した吸収液の排液と共に系外に排出することにより、第1蒸留塔への凝縮液の戻り量を削減できるので、第1蒸留塔への外部からの熱供給量をさらに削減することができる。
【0062】
[9]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[8]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記流体はメタノールである。
【符号の説明】
【0063】
1 二酸化炭素回収システム
2 第1蒸留塔
5a 第1リボイラ
5b 第2リボイラ
5c 第3リボイラ
6 凝縮装置
6e 冷却器
10 第2蒸留塔
14 第1圧縮機
30 第2圧縮機
40a 第3圧縮機
40b 第3圧縮機
図1
図2
図3
図4