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特開2023-72273ロッカー装置、ロッカーシステム及びロッカー装置の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072273
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ロッカー装置、ロッカーシステム及びロッカー装置の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/12 20060101AFI20230517BHJP
   G06Q 10/08 20230101ALI20230517BHJP
【FI】
G07F17/12
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184713
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久永 淳
(72)【発明者】
【氏名】竹内 寿
(72)【発明者】
【氏名】前田 克己
(72)【発明者】
【氏名】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦
【テーマコード(参考)】
3E048
5L049
【Fターム(参考)】
3E048CA01
3E048CA02
3E048CA06
3E048CA08
3E048CA10
3E048CA11
3E048CA16
3E048CA21
3E048CA22
3E048DA03
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】臭気物に関して利用率の向上を図れるロッカー装置、ロッカーシステム及びロッカー装置の管理方法を提供する。
【解決手段】ロッカー装置1は、ロッカー3と、ロッカー3の内部における臭気を検知する検知部8と、特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部30と、検知部8の検知結果と特定臭気情報とを照合する制御部25とを含む。検知部8の検知結果と特定臭気情報とが一致する場合には、制御部25は、特定臭気を有する物品がロッカー3に収納されている旨を外部出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッカーと、
前記ロッカーの内部における臭気を検知する検知部と、
特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部と、
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する制御部であって、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力する制御部とを含む、ロッカー装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記特定臭気情報を、前記ロッカーに収納できない物品に関連付けて記憶している、請求項1に記載のロッカー装置。
【請求項3】
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、前記特定臭気を有する物品の収納に関する時間情報を取得して前記記憶部に記憶する、請求項1又は2に記載のロッカー装置。
【請求項4】
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されたときの当該ロッカーの周辺画像を取得して前記記憶部に記憶する、請求項1~3のいずれか一項に記載のロッカー装置。
【請求項5】
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、前記特定臭気を有する物品の収納に関する時間情報と、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されたときの前記周辺画像とを取得して、当該時間情報と当該周辺画像とを互いに関連付けて前記記憶部に記憶する、請求項4に記載のロッカー装置。
【請求項6】
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、前記特定臭気を有する物品が収納されている前記ロッカーを施錠する、請求項1~5のいずれか一項に記載のロッカー装置。
【請求項7】
複数の前記ロッカーを含み、
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、複数の前記ロッカーのうち、前記特定臭気を有する物品が収納されているロッカーだけでなく、当該ロッカーの周辺に位置する他のロッカーも施錠する、請求項6に記載のロッカー装置。
【請求項8】
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、前記特定臭気を有する物品が収納されているロッカーを施錠した後に、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力する、請求項6又は7に記載のロッカー装置。
【請求項9】
複数のロッカーと、
前記複数のロッカーのそれぞれの内部における臭気を検知する検知部と、
特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部と、
前記複数のロッカーのそれぞれについて、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する制御部とを含む、ロッカー装置。
【請求項10】
前記検知部は、前記複数のロッカーのそれぞれに設けられている、請求項9に記載のロッカー装置。
【請求項11】
前記ロッカーの利用者向けの表示部を含み、
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、所定情報を前記表示部に表示する、請求項1~10のいずれか一項に記載のロッカー装置。
【請求項12】
前記ロッカーの利用料金を決済する決済部を含み、
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部は、前記決済部による決済が完了する前に、前記所定情報を前記表示部に表示する、請求項11に項に記載のロッカー装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のロッカー装置と、
前記ロッカー装置と通信可能な管理装置であって、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨が前記ロッカー装置から外部出力される管理装置とを含む、ロッカーシステム。
【請求項14】
前記制御部は、前記ロッカー装置と通信可能な携帯端末に対して、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力する、請求項13に記載のロッカーシステム。
【請求項15】
ロッカーと、前記ロッカーの内部における臭気を検知する検知部とを含むロッカー装置と、
前記ロッカー装置と通信可能な管理装置と、
特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部と、
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する制御部であって、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を前記管理装置に出力する制御部とを含む、ロッカーシステム。
【請求項16】
ロッカーと、前記ロッカーの内部における臭気を検知する検知部と、特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部とを含むロッカー装置の管理方法であって、
前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する照合ステップと、
前記照合ステップにおいて前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力する外部出力ステップとを含む、ロッカー装置の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロッカー装置、ロッカーシステム及びロッカー装置の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたロッカー装置は、個別に施錠可能な複数の収納部と、これらの収納部のうち採寸室として設定された1つの収納部に設けられた深度カメラ及び臭気センサと、操作パネルと、制御部とを含む。このロッカー装置は、利用者が収納部に荷物を一時的に預け入れる用途の他に、利用者が発送を依頼したい荷物を配送業者に受け渡すための用途にも使用できる。
【0003】
利用者が発送を依頼したい荷物を採寸室にセットすると、制御部は、深度カメラの出力を用いて荷物の寸法を算出する。その際、制御部は、荷物が腐敗物等である可能性を臭気センサの出力を用いて検査する。荷物が腐敗物である等によって荷物の採寸結果が適正でない場合には、制御部は、採寸結果が適正でない理由を利用者に報知する。荷物の採寸結果が適正である場合には、制御部は、採寸結果と、算出した寸法に基づいて決定した送付料金とを操作パネルに表示する。利用者が荷物を採寸室から別の収納部に移し替えて送付料金を精算すると、ロッカー装置から配送業者に対して通知が行われるので、配送業者がやってきて収納部から荷物を回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-33732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロッカー装置は、腐敗物のように臭気を発する荷物(以下「臭気物」ということがある。)の採寸時には、臭気物が採寸室にセットされた旨を利用者に報知することができる。しかし、利用者が、報知を無視して臭気物を採寸室から別の収納部に移し替えてしまうかもしれない。別の収納部に移し替えられた臭気物がそのまま放置されると、別の利用者が、この収納部を利用しないので、利用者によるロッカー装置の利用率の向上が困難になるおそれがある。管理者が定期的にロッカー装置を見回ることによって収納部における存否を確認することも考えられるが、臭気物が存在する収納部を速やかに発見して次の利用者が利用できるように対応できるとは限らない。
【0006】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、臭気物に関して利用率の向上を図れるロッカー装置、ロッカーシステム及びロッカー装置の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ロッカーと、前記ロッカーの内部における臭気を検知する検知部と、特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部と、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する制御部であって、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力する制御部とを含む、ロッカー装置である。
【0008】
また、本発明は、前記記憶部が、前記特定臭気情報を、前記ロッカーに収納できない物品に関連付けて記憶していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、前記特定臭気を有する物品の収納に関する時間情報を取得して前記記憶部に記憶することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されたときの当該ロッカーの周辺画像を取得して前記記憶部に記憶することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、前記特定臭気を有する物品の収納に関する時間情報と、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されたときの前記周辺画像とを取得して、当該時間情報と当該周辺画像とを互いに関連付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、前記特定臭気を有する物品が収納されている前記ロッカーを施錠することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記ロッカー装置が、複数の前記ロッカーを含み、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、複数の前記ロッカーのうち、前記特定臭気を有する物品が収納されているロッカーだけでなく、当該ロッカーの周辺に位置する他のロッカーも施錠することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、前記特定臭気を有する物品が収納されているロッカーを施錠した後に、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、複数のロッカーと、前記複数のロッカーのそれぞれの内部における臭気を検知する検知部と、特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部と、前記複数のロッカーのそれぞれについて、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する制御部とを含む、ロッカー装置である。
【0016】
また、本発明は、前記検知部が、前記複数のロッカーのそれぞれに設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記ロッカー装置が、前記ロッカーの利用者向けの表示部を含み、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、所定情報を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記ロッカー装置が、前記ロッカーの利用料金を決済する決済部を含み、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記制御部が、前記決済部による決済が完了する前に、前記所定情報を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記ロッカー装置と、前記ロッカー装置と通信可能な管理装置であって、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨が前記ロッカー装置から外部出力される管理装置とを含む、ロッカーシステムである。
【0020】
また、本発明は、前記制御部が、前記ロッカー装置と通信可能な携帯端末に対して、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、ロッカーと、前記ロッカーの内部における臭気を検知する検知部とを含むロッカー装置と、前記ロッカー装置と通信可能な管理装置と、特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部と、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する制御部であって、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を前記管理装置に出力する制御部とを含む、ロッカーシステムである。
【0022】
また、本発明は、ロッカーと、前記ロッカーの内部における臭気を検知する検知部と、特定臭気についての情報である特定臭気情報を記憶する記憶部とを含むロッカー装置の管理方法であって、前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とを照合する照合ステップと、前記照合ステップにおいて前記検知部の検知結果と前記特定臭気情報とが一致する場合には、前記特定臭気を有する物品が前記ロッカーに収納されている旨を外部出力する外部出力ステップとを含む、ロッカー装置の管理方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、臭気物に関してロッカー装置の利用率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るロッカーシステムの模式図である。
図2】ロッカーシステムの電気的構成を示すブロック図である。
図3】ロッカーシステムを構成するロッカー装置の記憶部に記憶された第1テーブルの内容を示す図である。
図4】ロッカー装置の記憶部に記憶された第2テーブルの内容を示す図である。
図5】ロッカーシステムを構成する管理装置の表示部等における表示内容の一例を示す模式図である。
図6】ロッカー装置の表示操作部における表示内容の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るロッカーシステム100の模式図である。ロッカーシステム100は、駅の構内やスポーツジム等(本実施形態では駅の構内)に設置された単数又は複数のロッカー装置1と、ロッカー装置1に対する上位装置であって駅の構内又はその他の任意の場所に設置された管理装置2とを含む。
【0026】
各ロッカー装置1には、各ロッカー装置1を識別するための装置識別情報の一例として、「○○駅南口」といったロッカー装置1のロケーション名が割り当てられている。ロケーション名の代りに、記号等を装置識別情報として用いてもよい。各ロッカー装置1は、利用者が預け入れる物品の一例である荷物を収納する単数又は複数のロッカー3と、ロッカー3の動作制御等を実行する制御装置4と、ロッカー3の周辺画像を撮像する撮像部5と、ロッカー装置1の状態等を表示する表示部6とを備えている。
【0027】
本実施形態では、通常サイズであれば縦5段に並ぶ複数のロッカー3によって構成された列が、制御装置4の左右両側に2列ずつ設けられ、通常サイズのロッカー3が、制御装置4の上下両側に1つずつ設けられている。ロッカー3の数及びレイアウトは、適宜変更可能である。また、ロッカー3のサイズは、全てのロッカー3において共通であってもよいし、ロッカー3に応じて異なってもよい。本実施形態では、通常サイズの他に、通常サイズよりも上下に大きい大サイズが存在する。
【0028】
各ロッカー装置1における各ロッカー3には、各ロッカー3を識別するためのロッカー識別情報が割り当てられている。本実施形態におけるロッカー識別情報は、例えば1から始まるロッカー番号であるが、ロッカー識別情報として、数字以外の記号を用いてもよい。ロケーション名とロッカー番号との組み合わせによって、各ロッカー装置1における個々のロッカー3を特定することができる。
【0029】
図1のロッカー装置における左上のロッカー3を参照して、各ロッカー3は、正面側つまり前側へ開放された出入口3Aを有するボックス状の本体3Bと、本体3Bによって回動可能に支持されて出入口3Aを開閉する扉3Cとを備えている。本体3Bの前面において、例えば出入口3Aの右隣の領域3Dには、各ロッカー3のロッカー番号(図示せず)が表示されている。また、領域3Dには、ロッカー3の使用可否等の情報を表示する表示部(図示せず)や、ロッカー3の利用料金の支払いが完了するまでの間において扉3Cを一時的に仮施錠するために利用者によって操作される仮施錠レバー(図示せず)が設けられてもよい。
【0030】
本実施形態における扉3Cは、本体3Bの前面の左端部に設けられた縦軸(図示せず)まわりに回動可能である。出入口3Aを閉じた状態における扉3Cの表面の右端部には、扉3Cを開閉するために利用者によって掴まれる取っ手3Eが設けられている。
【0031】
各ロッカー3の本体3Bには、例えば電磁ロックやソレノイド等によって構成された施解錠部7が内蔵されている。施解錠部7は、自身を内蔵する本体3Bの出入口3Aを閉じた状態にある扉3Cを施解錠することができる。なお、以下の説明において、扉3Cの施解錠と、この扉3Cが設けられたロッカー3の施解錠とは、同じ意味である。
【0032】
各ロッカー3において本体3Bの内部3Fに臨む内面3Gには、内部3Fにおける臭気を検知する検知部8が設けられている。本実施形態では、検知部8は、内部3Fに収納される荷物の邪魔にならないように、本体3Bにおいて内部3Fに上側から臨む天井面3Hに設けられている。
【0033】
検知部8として、いわゆるQCM(Quartz Crystal Microbalance)型の匂いセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型の匂いセンサを採用できる。どちらの匂いセンサも、匂い物質を吸着する吸着膜を有する。QCM型の臭いセンサは、吸着膜の下に設けられた水晶振動子を有する。QCM型の匂いセンサは、匂い物質が吸着膜に吸着したときの水晶振動子の周波数の変化に基づいて、臭気を検知する。CMOS型の匂いセンサは、半導体電極を有する。CMOS型の匂いセンサは、匂い物質が吸着膜に吸着したときの半導体電極の電圧の変化に基づいて、臭気を検知する。検知部8の検知結果の一例は、水晶振動子の周波数の変化又は導体電極の電圧の変化を示す波形データである。なお、検知部8は、匂い物質を吸着膜へ導いて効率的に吸着させるためのガイド部材(図示せず)を備えてもよい。
【0034】
制御装置4は、例えば縦長のボックス形状を有し、その正面における上側領域には、表示操作部11が設けられている。表示操作部11の一例は、液晶のタッチパネルである。表示操作部11は、利用者やロッカー装置1の管理者に向けた様々な情報が表示される表示部としての機能と、利用者や管理者によって操作される操作部として機能とを有する。表示部と操作部とは、表示操作部11にまとめられるのでなく、別々に存在してもよく、その場合の操作部は、物理的なメカボタンであってもよい。
【0035】
制御装置4の正面において、例えば表示操作部11の右側の領域には、スピーカー12と、コードリーダー13とが上下に並んで配置されている。コードリーダー13の読み取り対象となるコードは、この実施形態ではQRコード(登録商標)のように大小多数のドットの組み合わせた二次元コードであるが、バーコード等の一次元コードや、QRコード以外の二次元コードであってもよい。
【0036】
制御装置4の正面において表示操作部11よりも下側の領域には、硬貨投入口14と、紙幣出入口15と、返却レバー16と、硬貨返却口17と、様々な帳票が発行される発行口18と、利用者が携帯するICカード等から非接触にて情報を読み取るICリーダー19と、管理者向けのメンテナンス錠20とが配置されている。これらの構成のレイアウトは、利用者や管理者にとってアクセスしやすいように適宜設定される。
【0037】
荷物をいずれかのロッカー3に預け入れたい利用者は、ロッカー装置1における使用可能な空きロッカー3の扉3Cを開いて出入口3Aから本体3Bの内部3Fに荷物を収納した後に、扉3Cを閉じる。その際、利用者は、前述した仮施錠レバーを操作して扉3Cを仮施錠する。そして、利用者は、制御装置4の表示操作部11を操作して、荷物の預入処理を選択し、今回利用するロッカー3のロッカー番号を特定して、このロッカー3の利用期間や利用料金の支払い方法を選択する。本実施形態では、現金又は電子マネーによって利用料金を支払うことができる。
【0038】
利用料金を現金によって支払うことを選択した利用者は、硬貨投入口14に硬貨を投入したり紙幣出入口15に紙幣を投入したりする。お釣りは、紙幣出入口15や硬貨返却口17から利用者に返却される。なお、紙幣出入口15は、紙幣を投入するための紙幣投入口と、紙幣を返却するための紙幣返却口とに分かれていてもよい。
【0039】
現金による利用料金の決済つまり現金決済が完了すると、利用先のロッカー3の扉3Cが施錠、厳密には本施錠されるとともに、利用者向けの帳票である利用証明書(図示せず)が、発行口18から発行される。利用証明書には、ロッカー3のロッカー番号と、決済済みの利用料金と、このロッカー3の扉3Cを解錠するのに必要な鍵番号と、これらの情報(以下「利用情報」という。)を表わすコードとが記載されている。発行口18は、帳票の発行に関する不具合等を考慮して複数設けられており、本実施形態では、2つの発行口18が、左右に並んでおり、帳票は、いずれか一方の発行口18から優先して発行される。
【0040】
利用料金を電子マネーによって支払うことを選択した利用者は、自身のICカードをICリーダー19にかざす。すると、このICカードに紐づいた利用料金分の電子マネーが引き落とされることによって、電子マネーによる利用料金の決済つまりIC決済が完了するとともに、このICカードの識別情報が、ICリーダー19によって読み取られて、前述した利用情報と紐付いて制御装置4に記憶される。ICカードの識別情報の一例は、ICカードのICチップの製造番号であるIDmである。
【0041】
電子マネーによる利用料金の決済が完了すると、利用先のロッカー3が本施錠される。この場合にも、前述した利用証明書が発行口18から発行されてもよい。なお、ロッカー装置1では、ICカードの代わりに、利用者のスマートフォン等の通信端末(図示せず)を用いてIC決済ができてもよく、その場合には、通信端末に内蔵されたICチップのIDmが識別情報として用いられてもよい。また、現金決済やIC決済に限らず、利用者のクレジットカードによって決済できてもよい。
【0042】
利用者は、ロッカー3に預け入れた荷物を取り出したい場合には、制御装置4の表示操作部11を操作して、荷物の取り出し処理を選択する。利用料金を現金決済した利用者は、現金決済の完了時に発行された利用証明書に記載されたコードをコードリーダー13にかざす。すると、このコードに含まれる利用情報における鍵番号に基づいて、該当するロッカー3が解錠される。
【0043】
一方、利用料金をIC決済した利用者は、IC決済に用いたICカードや通信端末をICリーダー19にかざす。ICリーダー19がICカードや通信端末から読み取った識別情報と、制御装置4に記憶されている識別情報とが一致すると、この識別情報に紐付いて制御装置4に記憶されている利用情報における鍵番号に基づいて、該当するロッカー3が解錠される。利用者は、このように解錠されたロッカー3の扉3Cを開いて、本体3B内の荷物を出入口3Aから取り出すことができる。
【0044】
メンテナンス錠20に関し、管理者が、メンテナンス錠20の表面の鍵穴20Aに専用の鍵を差し込んで捻じると、制御装置4が、利用者向けの通常モードから管理者向けの管理モードに切り替わって、表示操作部11にログイン画面(図示せず)が切替表示される。管理者は、ログイン画面を操作してログインした後に、ロッカー装置1における設定条件等を変更できる。
【0045】
撮像部5は、カメラ等によって構成されている。撮像部5によって撮影される画像は、動画でもよいし、静止画でもよい。撮像部5の撮像範囲は、全てのロッカー3及び制御装置4を収めるように設定されている。そのために、撮像部5は、複数設けられてもよい。撮像部5は、本実施形態ではロッカー装置1の天面1Aに固定されるが、ロッカー装置1から独立した撮像装置として、ロッカー装置1から離れた位置に配置されてもよい。この場合の撮像装置もロッカーシステム100を構成する
【0046】
表示部6の一例は、信号表示灯であり、ロッカー装置1の天面1Aに固定に固定されたベース部6Aと、ベース部6A上に積層された単数又は複数の発光部6Bとを有する。本実施形態では、待機状態の表示部6では、全ての発光部6Bが消灯している。例えば、ロッカー3の空き具合に応じて発光部6Bの発光色が変化してもよい。具体的には、所定数以上のロッカー3が空いている場合の発光色が緑色であって、空いているロッカー3の数が所定数未満になると発光色が黄色になって、空いているロッカー3が無くなると発光色が赤色になる運用が挙げられる。
【0047】
管理装置2は、いわゆるサーバーやパソコンである。この実施形態における管理装置2は、モニター等によって構成された表示部21と、キーボード等によって構成された入力部22とを含む。表示部21と入力部22とは、液晶のタッチパネル等によって構成された表示操作部に一体化されてもよい。管理装置2は、インターネット等の公衆回線Xを介して各ロッカー装置1と通信可能である。
【0048】
管理者は、スマートフォン等の携帯端末23を携帯してもよい。携帯端末23は、公衆回線Xを介して各ロッカー装置1と通信可能である。
【0049】
図2は、ロッカーシステム100の電気的構成を示すブロック図である。各ロッカー装置1の制御装置4は、制御部25と、制御部25に対して電気的に接続された現金処理部26、内部通信部27、発行部28、外部通信部29及び記憶部30とをさらに備えている。
【0050】
制御部25は、CPUやROMやタイマー等を含んだマイクロコンピューター等によって構成されている。後述する他の制御部についても同様である。制御部25には、前述した表示操作部11、スピーカー12、コードリーダー13及びICリーダー19も電気的に接続されている。制御部25は、表示操作部11における表示を制御したり、利用者や管理者による表示操作部11の操作入力を受け付けたりする。制御部25は、スピーカー12の発報動作を制御する。コードリーダー13が帳票等から読み取ったコードに含まれる情報は、制御部25に入力される。
【0051】
制御部25は、ICリーダー19によって利用者のICカードや通信端末と非接触通信して、ICカードや通信端末に紐付いた電子マネーによってロッカー3の利用料金についてIC決済する。この場合の制御部25及びICリーダー19は、ロッカー3の利用料金を電子マネーによって決済する決済部の一例である。
【0052】
現金処理部26は、硬貨投入口14や紙幣出入口15(図1参照)に投入された現金をロッカー装置1の内部に取り込む構成や、取り込んだ現金の金種及び真贋を識別する構成や、釣銭等の返却用の現金を紙幣出入口15や硬貨返却口17に排出する構成等を含む。制御部25は、投入された現金からロッカー3の利用料金を差し引くことによって、利用料金について現金決済する。この場合の制御部25及び現金処理部26は、ロッカー3の利用料金を現金によって決済する決済部の一例である。
【0053】
内部通信部27は、ロッカー3、撮像部5及び表示部6に対して電気的に接続されたインターフェースである。内部通信部27は、各ロッカー3における施解錠部7及び検知部8に対して電気的に接続されている。そのため、制御部25は、各ロッカー3の施解錠部7の施解錠動作を個別に制御することによって、各ロッカー3を個別に施解錠することができる。制御部25には、各ロッカー3の検知部8の検知結果、つまり、検知部8が検知したロッカー3の内部3Fの臭気についての情報(以下「臭気情報」という。)が入力される。
【0054】
本実施形態では、制御部25が、各ロッカー3の施解錠動作を直接制御したり、各ロッカー3の検知部8の検知結果の入力を直接受け付けたりするが、制御部25をメイン制御部として、別のサブ制御部(図示せず)が、各ロッカー3又は所定数毎のロッカー3に対応して設けられてもよい。この場合には、内部通信部27は、制御部25と各サブ制御部とを中継する。例えば、サブ制御部がロッカー3の各列に設けられて、サブ制御部が、制御部25の指令に応じて、対応する列における各ロッカー3を施解錠したり、検知部8の検知結果を制御部25に転送したりしてもよい。
【0055】
制御部25は、撮像部5の撮像した画像のデータを取得することができる。制御部25は、表示部6における表示、つまり各発光部6Bの発光動作を制御する。
【0056】
発行部28は、2つの発行口18に対応して2つ設けられている。それぞれの発行部28は、必要な情報を印字ヘッドからロール紙に印字して帳票を作成し、この帳票を切り離して、対応する発行口18に発行するプリンターである。一方の発行部28は、他方の発行部28が故障したときのバックアップとして使用される。もちろん、発行口18及び発行部28のそれぞれが1つだけ設けられる場合もあり得る。
【0057】
外部通信部29は、ロッカー装置1が管理装置2等と外部通信するためのインターフェースであって、公衆回線Xに接続されている。後述する他の外部通信部についても同様である。記憶部30は、ロッカー装置1のロケーション名や、各ロッカー3のロッカー番号や、各ロッカー3の利用状況等の様々な情報を記憶している。
【0058】
管理装置2は、制御部31と、制御部31に対して電気的に接続された記憶部32及び外部通信部33とをさらに備えている。制御部31には、前述した表示部21及び入力部22も電気的に接続されている。制御部31は、表示部21における表示を制御したり、管理者による入力部22の操作入力を受け付けたりする。
【0059】
記憶部32は、本実施形態では管理装置2に内蔵された記憶装置であるが、管理装置2とは別に設けられた外部データベースであってもよい。記憶部32は、様々な情報を記憶している。
【0060】
携帯端末23は、制御部34と、制御部34に対して電気的に接続された表示操作部35、記憶部36及び外部通信部37とを備えている。表示操作部35は、本実施形態では液晶のタッチパネルであるが、制御装置4の表示操作部11と同様に、表示部と操作部とに分かれて構成されてもよい。制御部34は、表示操作部35における表示を制御したり、携帯端末23を携帯する管理者による表示操作部35の操作入力を受け付けたりする。記憶部36は、様々な情報を記憶している。
【0061】
ところで、腐敗臭や揮発臭や刺激臭等の特定臭気を有する物品である臭気物の一例として、生ごみ等の腐敗物や、発酵食品や、爆発物等の危険物が挙げられ、これらの臭気物は、ロッカー3に収納できない物品としてロッカー装置1の利用規約において定められていることが一般的である。また、この利用規約は、ロッカー装置1の表示操作部11等の利用者の目の届く位置に表示される。以下では、臭気物に着目した場合におけるロッカー装置1の管理方法について説明する。
【0062】
ロッカー装置1の記憶部30には、図3に示す第1テーブルT1が記憶されている。管理者は、前述したようにメンテナンス錠20によってロッカー装置1の制御装置4を管理モードに切り替えること等によって第1テーブルT1を編集したり閲覧したりすることができてもよい。第1テーブルT1には、特定臭気についての情報である特定臭気情報が少なくとも記憶されている。特定臭気情報は、特定臭気を検知部8によって検知したときの検知結果と一致又は略一致するテンプレートであって、腐敗臭や刺激臭等の種類に応じて複数存在してもよい。
【0063】
第1テーブルT1には、それぞれの特定臭気情報が、対応する臭気物の種類情報に関連付けて記憶されている。そのため、ロッカー3の内部3Fにおける臭気についての検知部8の検知結果と特定臭気情報とが一致する場合には、管理者は、例えば第1テーブルT1にアクセスすることによって、このロッカー3に収納されている臭気物の種類を具体的に特定することができる。
【0064】
ロッカー装置1では、制御部25が、複数のロッカー3のそれぞれについて、ロッカー3の内部3Fにおける臭気についての検知部8の検知結果と、第1テーブルT1における各特定臭気情報とを照合する(ロッカー装置1の管理方法における照合ステップ)。制御部25が照合を実行するタイミングは、利用者が物品を内部3Fに収納したタイミングでもよいし、常時であってもよいし、定期的なタイミングであってもよい。
【0065】
検知部8の検知結果と、第1テーブルT1におけるいずれかの特定臭気情報とが一致した場合には、制御部25は、この特定臭気情報に対応する臭気を有する臭気物が、該当するロッカー3に収納されていると判定する。なお、検知部8の検知結果にばらつきが存在し得ることを考慮して、特定臭気情報には、ある程度の範囲が設定されてもよい。その場合には、検知部8の検知結果が特定臭気情報の範囲に収まると、制御部25は、検知部8の検知結果と当該特定臭気情報とが一致したと判定する。
【0066】
臭気物がロッカー3に収納されたことが判明した場合の関連情報を記憶するために、図4に示す第2テーブルT2が、ロッカー装置1の記憶部30に記憶されている。管理者は、第1テーブルT1と同様に、第2テーブルT2も閲覧することができる。第2テーブルT2には、臭気物がロッカー3に収納されたことが判明した時刻である判明時刻と、このロッカー3のロッカー番号と、このロッカー3における収納物つまり臭気物の種類と、判明時刻における撮像部5が撮像した周辺画像の画像データと、備考とが、判明時刻の順に記憶されている。このように一緒に記憶された周辺画像及び判明時刻は、管理者によるロッカー装置1の周辺の見回りの強化や、ロッカー装置1を用いた犯罪が発生した際の犯罪捜査等に役立てることができる。
【0067】
前述した照合ステップにおいて、あるロッカー3の内部3Fについての検知部8の検知結果と、第1テーブルT1におけるいずれかの特定臭気情報とが一致する場合には、制御部25は、検知結果と特定臭気情報とが一致した時刻を判明時刻として取得する。そして、制御部25は、このロッカー3のロッカー番号を取得する。また、制御部25は、第1テーブルT1において当該臭気情報に関連付けれた物品の種類を、収納物つまり臭気物の種類として特定する。また、制御部25は、この臭気物が収納されたときの当該ロッカー3の周辺画像の画像データを撮像部5から取得する。制御部25は、取得した判明時刻、ロッカー番号、収納物の種類及び画像データを第2テーブルT2に新たに記憶する。
【0068】
判明時刻は、臭気物の収納に関する時間情報の一例である。判明時刻は、利用者がロッカー3に臭気物を収納したときの時刻、つまり収納開始時刻である場合もある。また、物品がロッカー3に収納されてしばらくしてから腐って臭気物になった場合には、制御部25は、判明時刻から収納開始時刻を差し引くことによって、収納開始時刻からの経過時間を算出して、第2テーブルT2の備考に記憶してもよい。経過時間も、前述した時間情報の一例である。管理者は、第2テーブルT2にアクセスすることによって、臭気物が収納された時刻や、この時刻からの経過時間を把握することができる。
【0069】
さらに、管理者は、第2テーブルT2にアクセスすることによって、臭気物や、この臭気物が収納されたロッカー3や、この臭気物をロッカー3に収納した利用者等を周辺画像に基づいて特定することができる。また、臭気物をロッカー3に収納した利用者の画像は、すぐに破棄されずに、証拠として所定期間保存されてもよい。その場合、撮像部5が同一人物を今後撮像すると、制御部25は、臭気物をロッカー3に収納しないように表示操作部11等によって警告してもよい。なお、周辺画像の画像データそのものは、第2テーブルT2でなく、記憶部30における別の記憶領域等に記憶されてもよく、その場合には、画像データに辿り着くためのハイパーリンクが、第2テーブルT2における周辺画像の欄に記憶されてもよい。また、本実施形態では、判明時刻等の時間情報と、周辺画像とが、互いに関連付けられて第2テーブルT2に記憶されるが、時間情報及び周辺画像の一方だけが第2テーブルT2に記憶されてもよい。
【0070】
前述した照合ステップにおいて、ロッカー3の内部3Fについての検知部8の検知結果と、特定臭気情報とが一致する場合には、制御部25は、臭気物が当該ロッカー3に収納されている旨を外部出力する(ロッカー装置1の管理方法における外部出力ステップ)。その際、制御部25は、前述したように取得した当該ロッカー3のロッカー番号、判明時刻及び収納物の種類も、ロッカー装置1のロケーション名に紐付けて外部出力する。
【0071】
臭気物がロッカー3に収納されている旨等の情報は、ロッカー装置1から管理装置2に対して外部出力される。これに応じて、管理装置2の制御部31は、図5に示す注意画面41を表示部21に表示する。注意画面41には、臭気物がロッカー装置1に収納されている旨のメッセージ41Aと、このロッカー装置1のロケーション名41B(図5では「○○駅南口」)と、判明時刻41Cと、当該ロッカー3のロッカー番号41Dと、当該ロッカー3内の収納物の情報41Eとが表示されている。なお、周辺画像の画像データもロッカー装置1から管理装置2に外部出力されて、注意画面41に表示されてもよい。
【0072】
臭気物がロッカー3に収納されている旨等の情報は、ロッカー装置1の制御部25によって携帯端末23に対しても外部出力されてもよい。この場合には、携帯端末23の制御部34も、注意画面41を表示操作部35に表示する。なお、管理装置2の表示部21に表示される注意画面41の内容と、表示操作部35に表示される注意画面41の内容とは同じであってもよいし、細部が異なってもよい。
【0073】
ロッカー装置1からの外部出力先となる管理装置2や携帯端末23を担当する管理者は、注意画面41を見た場合には、ロッカー装置1に駆け付けて、必要に応じて管理モードによってロッカー3を強制的に解錠してから、臭気物を当該ロッカー3から取り除く等の作業を速やかに行うことができる。これにより、このロッカー3を次の利用者が利用できるようにすることができる。また、利用者が臭気物をロッカー3に収納した直後に注意画面41を見た管理者は、ロッカー装置1に速やかに駆け付けて、臭気物をロッカー3に収納しないように、この利用者に促すことができる。以上により、臭気物によるロッカー3の長期独占を抑制できるので、臭気物に関してロッカー装置1の利用率の向上を図れる。
【0074】
また、本実施形態では、検知部8が複数のロッカー3のそれぞれの内部3Fにおける臭気を検知する。そのため、複数のロッカー3のそれぞれについて、臭気物の存否を正確に把握できるので、臭気物が存在するロッカー3については、この臭気物をロッカー3から取り除く等の作業を速やかに行うことによって、このロッカー3を次の利用者が利用できるようにすることができる。これにより、臭気物に関してロッカー装置1の利用率の向上を図れる。なお、1つの検知部8が複数のロッカー3のそれぞれの内部3Fにおける臭気をまとめて検知できるのであれば、検知部8が複数のロッカー3のそれぞれに設けられなくてもよい。
【0075】
ロッカー3の内部3Fについての検知部8の検知結果と、特定臭気情報とが一致する場合には、制御部25は、臭気物が収納されているロッカー3を施錠してもよい。これにより、他の利用者がこのロッカー3を不意に開けて特定臭気によって不快な思いをすることを防止できる。さらに、制御部25は、当該ロッカー3だけでなく、当該ロッカー3の周辺に位置する他のロッカー3も施錠してもよい。施錠対象である当該他のロッカー3として、臭気物が収納されているロッカー3に上下左右に隣り合うロッカー3を挙げることができる。これにより、当該他のロッカー3に物品を収納することができないので、これから当該他のロッカー3に収納される物品に特定臭気が付着することを防止できる。なお、特定臭気が全てのロッカー3に影響を与える得る場合には、制御部25は、臭気物が収納されているロッカー3を含む全てのロッカー3を施錠してもよい。
【0076】
制御部25は、このように該当するロッカー3を施錠した後に、前述した外部出力ステップにおいて、臭気物がロッカー3に収納されている旨を外部出力する。外部出力による注意画面41を見てロッカー装置1に駆け付けた管理者は、前述したようにロッカー3を強制的に解錠してから、臭気物をロッカー3から取り除く。その後、管理者は、当該ロッカー3の周辺に位置する他のロッカー3等も解錠することによって、臭気物に関して施錠された全てのロッカー3を使用可能にする。
【0077】
利用者が物品をロッカー3の内部3Fに収納したタイミングにおいて、当該ロッカー3の内部3Fについての検知部8の検知結果と特定臭気情報とが一致する場合には、制御部25は、図6に示す利用者向けの警告画面42を表示操作部11に表示してもよい。警告画面42には、利用者が収納した物品が特定臭気を発するので預け入れできない旨のメッセージ42Aを含む所定情報が表示される。利用者が外国人である場合を想定して、メッセージ42Aを外国語に翻訳したメッセージ42Bも警告画面42に表示されてもよい。警告画面42により、臭気物を収納した利用者に対して瞬時に注意を促すことができる。
【0078】
制御部25は、決済を完了する前に警告画面42を表示操作部11に表示するとよい。これにより、臭気物をロッカー3に収納した利用者に対しては、決済が完了する前に、この物品をロッカー3から取り出すように促すことができる。
【0079】
制御部25は、警告画面42を表示操作部11に表示するのに加えて、又は、警告画面42の表示に代えて、表示部6の発光部6B(図1参照)を赤色等の所定の警告色にて発光させることによって利用者に警告してもよい。発光部6Bが警告色にて発光している状態にある表示部6は、警告画面42のメッセージ42Aに相当する所定情報を表示している。なお、発光部6Bの発光色だけでなく発光パターンも組み合わせることによって、利用者に警告してもよい。一例として、発光部6Bを点滅させることが挙げられる。
【0080】
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、ロッカー装置1と管理装置2との間における情報の送受信を中継する別の中継装置(図示せず)が存在してもよい。つまり、ロッカー装置1と管理装置2とは、中継装置を介して通信可能である。中継装置として、制御部及び記憶部を有するサーバー等を用いてもよい。
【0082】
この場合には、中継装置の制御部が、臭気物がロッカー装置1のロッカー3に収納されている旨を、当該ロッカー装置1の制御部25の代りに、管理装置2に出力してもよい。中継装置の制御部は、このように外部出力ステップを実行するのに加えて、照合ステップも実行してもよい。このために、前述した第1テーブルT1及び第2テーブルT2の少なくとも一方が中継装置の記憶部に記憶されてもよい。もちろん、第1テーブルT1及び第2テーブルT2の少なくとも一方は、管理装置2の記憶部32に記憶されてもよい。
【0083】
以上に説明した様々な特徴は、取捨選択のうえ、必要に応じて適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 ロッカー装置
2 管理装置
3 ロッカー
3F 内部
6 表示部
8 検知部
11 表示操作部
19 ICリーダー
23 携帯端末
25 制御部
26 現金処理部
30 記憶部
100 ロッカーシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6