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特開2023-72279タイヤ状況判定装置、タイヤ状況判定方法、及びタイヤ状況判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072279
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】タイヤ状況判定装置、タイヤ状況判定方法、及びタイヤ状況判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230517BHJP
   G01G 19/03 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B60C19/00 Z
G01G19/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184721
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花塚 泰史
(72)【発明者】
【氏名】桂 慎吾
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA24
3D131LA34
(57)【要約】
【課題】より高精度にタイヤの状況を判定することができるタイヤ状況判定装置、タイヤ状況判定方法、及びタイヤ状況判定プログラムを得る。
【解決手段】タイヤ状況判定装置10は、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び上記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得されたタイヤ状態パラメータ及びタイヤ摩耗情報を用いて、上記タイヤに関する状況を判定する判定部11Bと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び前記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記タイヤ状態パラメータ及び前記タイヤ摩耗情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する判定部と、
を備えたタイヤ状況判定装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記タイヤの識別情報を更に取得し、取得した前記識別情報を用いて、前記タイヤ摩耗情報を取得する、
請求項1に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記タイヤの種類を示す情報であるタイヤ種類情報を更に取得し、
前記判定部は、前記取得部によって取得された前記タイヤ種類情報が示すタイヤの種類毎に、前記タイヤに関する状況を判定する、
請求項2に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記タイヤに関する状況として、前記タイヤの内圧の状況を判定する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項5】
前記タイヤ状態パラメータは、前記車両が通過することにより荷重センサによって各々得られる、接地長さ、接地面積、荷重の時間変化、通過面積の時間変化、及び通過時間の少なくとも1つである、
請求項4に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記タイヤの温度を示すタイヤ温度情報を更に取得し、
前記判定部は、前記タイヤ状態パラメータ、前記タイヤ摩耗情報、及び前記タイヤ温度情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記タイヤ状態パラメータとして、異なる複数の時期における値を取得し、
前記判定部は、前記取得部によって取得された前記複数の時期における前記タイヤ状態パラメータを用いて、前記タイヤに関する状況を判定する、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項8】
前記タイヤに関する状況の判定は、当該状況に問題があるか否かの判定、及び当該状況を示す値そのものの判定の少なくとも一方である、
請求項1~請求項7の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置。
【請求項9】
コンピュータが、
対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び前記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、
取得した前記タイヤ状態パラメータ及び前記タイヤ摩耗情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する、
タイヤ状況判定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び前記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、
取得した前記タイヤ状態パラメータ及び前記タイヤ摩耗情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する、
処理を実行させるためのタイヤ状況判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状況判定装置、タイヤ状況判定方法、及びタイヤ状況判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの内圧を簡便に検出することができるタイヤ内圧検出方法として、特許文献1に開示されている技術があった。
【0003】
このタイヤ内圧検出方法では、車両の進行方向に対して交差する方向に一列に配列された荷重センサ群を設け、当該荷重センサ群を通過する前記車両のタイヤ内圧を検出する。このタイヤ内圧検出方法は、前記荷重センサ群をタイヤが通過するときの荷重の時間変化及び通過面積の時間変化を取得するステップと、取得された前記荷重の時間変化及び前記通過面積の時間変化に基づいて、前記タイヤ内圧を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-219355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内圧や、負荷荷重といったタイヤの状況を示す値は、上述した荷重の時間変化や、通過面積といった、タイヤが装着された車両が走行している場合の当該タイヤの状態を示すパラメータのみならず、タイヤのトレッド部における摩耗状態によっても大きく左右される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上記パラメータのみを考慮したものとなっているため、必ずしも精度よくタイヤの内圧等の状況を判定することができるとは言えない、という問題点があった。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みて成されたものであり、より高精度にタイヤの状況を判定することができるタイヤ状況判定装置、タイヤ状況判定方法、及びタイヤ状況判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のタイヤ状況判定装置は、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び前記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記タイヤ状態パラメータ及び前記タイヤ摩耗情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する判定部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載のタイヤ状況判定装置によれば、管理対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及びタイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、取得したタイヤ状態パラメータ及びタイヤ摩耗情報を用いて、タイヤに関する状況を判定することで、タイヤの摩耗状態を考慮しない場合に比較して、より高精度にタイヤの状況を判定することができる。
【0010】
請求項2に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項1に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記取得部が、前記タイヤの識別情報を更に取得し、取得した前記識別情報を用いて、前記タイヤ摩耗情報を取得するものである。
【0011】
請求項2に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤの識別情報を更に取得し、取得した前記識別情報を用いて、タイヤ摩耗情報を取得することで、識別情報を用いない場合に比較して、より簡易にタイヤ摩耗情報を取得することができる。
【0012】
請求項3に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項2に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記取得部が、前記タイヤの種類を示す情報であるタイヤ種類情報を更に取得し、前記判定部が、前記取得部によって取得された前記タイヤ種類情報が示すタイヤの種類毎に、前記タイヤに関する状況を判定するものである。
【0013】
請求項3に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤの種類を示す情報であるタイヤ種類情報を更に取得し、取得したタイヤ種類情報が示すタイヤの種類毎に、タイヤに関する状況を判定することで、タイヤの種類を考慮しない場合に比較して、より高精度に、タイヤの状況を判定することができる。
【0014】
請求項4に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記判定部が、前記タイヤに関する状況として、前記タイヤの内圧の状況を判定するものである。
【0015】
請求項4に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤに関する状況として、タイヤの内圧の状況を判定することで、タイヤの内圧の状況を、より高精度に判定することができる。
【0016】
請求項5に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項4に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記タイヤ状態パラメータが、前記車両が通過することにより荷重センサによって各々得られる、接地長さ、接地面積、荷重の時間変化、通過面積の時間変化、及び通過時間の少なくとも1つであるものである。
【0017】
請求項5に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤ状態パラメータを、車両が通過することにより荷重センサによって各々得られる、接地長さ、接地面積、荷重の時間変化、通過面積の時間変化、及び通過時間の少なくとも1つとすることで、適用したパラメータに応じて、タイヤの状況を判定することができる。
【0018】
請求項6に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項1~請求項5の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記取得部が、前記タイヤの温度を示すタイヤ温度情報を更に取得し、前記判定部が、前記タイヤ状態パラメータ、前記タイヤ摩耗情報、及び前記タイヤ温度情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定するものである。
【0019】
請求項6に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤの温度を示すタイヤ温度情報を更に取得し、タイヤ状態パラメータ、タイヤ摩耗情報、及びタイヤ温度情報を用いて、タイヤに関する状況を判定することで、タイヤの温度を考慮しない場合に比較して、より高精度に、タイヤの状況を判定することができる。
【0020】
請求項7に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項1~請求項6の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記取得部が、前記タイヤ状態パラメータとして、異なる複数の時期における値を取得し、前記判定部が、前記取得部によって取得された前記複数の時期における前記タイヤ状態パラメータを用いて、前記タイヤに関する状況を判定するものである。
【0021】
請求項7に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤ状態パラメータとして、異なる複数の時期における値を取得し、取得した複数の時期におけるタイヤ状態パラメータを用いて、タイヤに関する状況を判定することで、タイヤの状況の経時的な判断を行うことができる。
【0022】
請求項8に記載のタイヤ状況判定装置は、請求項1~請求項7の何れか1項に記載のタイヤ状況判定装置であって、前記タイヤに関する状況の判定が、当該状況に問題があるか否かの判定、及び当該状況を示す値そのものの判定の少なくとも一方であるものである。
【0023】
請求項8に記載のタイヤ状況判定装置によれば、タイヤに関する状況の判定を、当該状況に問題があるか否かの判定、及び当該状況を示す値そのものの判定の少なくとも一方とすることで、タイヤに関する状況の判定として、当該状況に問題があるか否かの判定を適用する場合は、当該状況を示す値そのものの判定を適用する場合に比較して、より簡易に判定を行うことができる。また、タイヤに関する状況の判定として、当該状況を示す値そのものの判定を適用する場合は、当該状況に問題があるか否かの判定を適用する場合に比較して、応用の幅を、より広くすることができる。
【0024】
請求項9に記載のタイヤ状況判定方法は、コンピュータが、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び前記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、取得した前記タイヤ状態パラメータ及び前記タイヤ摩耗情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する。
【0025】
請求項9に記載のタイヤ状況判定方法によれば、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及びタイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、取得したタイヤ状態パラメータ及びタイヤ摩耗情報を用いて、タイヤに関する状況を判定することで、タイヤの摩耗状態を考慮しない場合に比較して、より高精度にタイヤの状況を判定することができる。
【0026】
請求項10に記載のタイヤ状況判定プログラムは、コンピュータに、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び前記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、取得した前記タイヤ状態パラメータ及び前記タイヤ摩耗情報を用いて、前記タイヤに関する状況を判定する、処理を実行させる。
【0027】
請求項10に記載のタイヤ状況判定プログラムによれば、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及びタイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得し、取得したタイヤ状態パラメータ及びタイヤ摩耗情報を用いて、タイヤに関する状況を判定することで、タイヤの摩耗状態を考慮しない場合に比較して、より高精度にタイヤの状況を判定することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、より高精度にタイヤの状況を判定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係るタイヤ状況判定システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係るタイヤ状況判定システムの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る計測部の概略構成図である。
図4】実施形態に係る計測部による荷重計測の概念図である。
図5】実施形態に係るセンサによる荷重の検出を示す図である。
図6】実施形態に係るセンサにより計測された荷重の時間変化を示す波形図である。
図7】第1実施形態に係るタイヤ許容情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図8】実施形態に係るタイヤ摩耗管理情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図9】第1実施形態に係るタイヤ状況判定処理の一例を示すフローチャートである。
図10】実施形態に係るタイヤ状況警告画面の構成の一例を示す正面図である。
図11】実施形態に係るタイヤ状況提示画面の構成の一例を示す正面図である。
図12】第2、第3実施形態に係るタイヤ状況判定システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図13】第2、第3実施形態に係るタイヤ許容情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図14】第2、第3実施形態に係るタイヤ状況推定情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図15】第2実施形態に係るタイヤ状況判定処理の一例を示すフローチャートである。
図16】第2、第3実施形態に係るタイヤ状況警告画面の構成の一例を示す正面図である。
図17】第2、第3実施形態に係るタイヤ状況提示画面の構成の一例を示す正面図である。
図18】第3実施形態に係るタイヤ状況判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明を、タイヤ状況判定装置と、対象とするタイヤが装着された複数の車両の各々に搭載された車両端末と、当該複数の車両の運行を管理する運行管理サーバと、を含むタイヤ状況判定システムに適用した場合について説明する。
【0031】
[第1実施形態]
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aの構成を説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、図2は、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aは、ネットワーク80に各々アクセス可能とされた、タイヤ状況判定装置10と、運行管理サーバ30と、複数の車両端末50と、計測部70と、を含む。なお、タイヤ状況判定装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。また、車両端末50の例としては、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant、携帯情報端末)等の携帯型の端末が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係るタイヤ状況判定装置10は、タイヤ状況判定システム90Aにおいて中心的な役割を有する装置である。タイヤ状況判定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、及び通信I/F部18はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0034】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、タイヤ状況判定プログラム13Aが記憶されている。タイヤ状況判定プログラム13Aは、当該プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの上記プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、タイヤ状況判定プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、タイヤ状況判定プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0035】
また、記憶部13には、タイヤ許容情報データベース13Bが記憶されている。タイヤ許容情報データベース13Bについては、詳細を後述する。
【0036】
一方、運行管理サーバ30は、上述したように、対象とするタイヤが装着された複数の車両の運行を管理する装置である。運行管理サーバ30は、タイヤ状況判定装置10と同様のCPU、メモリ、入力部、表示部等に加えて、記憶部33を備えている。
【0037】
記憶部33には、タイヤ摩耗管理情報データベース33Aが記憶されている。タイヤ摩耗管理情報データベース33Aについては、詳細を後述する。
【0038】
更に、車両端末50は、上述したように、上記複数の車両の各々に個別に搭載されたものである。
【0039】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況判定装置10及び運行管理サーバ30の機能的な構成について説明する。
【0040】
図2に示すように、タイヤ状況判定装置10は、取得部11A及び判定部11Bを含む。タイヤ状況判定装置10のCPU11がタイヤ状況判定プログラム13Aを実行することで、取得部11A及び判定部11Bとして機能する。
【0041】
本実施形態に係る取得部11Aは、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及びタイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得する。なお、本実施形態に係る取得部11Aは、タイヤの識別情報を更に取得し、取得した識別情報を用いて、タイヤ摩耗情報を取得する。
【0042】
一方、本実施形態に係る判定部11Bは、取得部11Aによって取得されたタイヤ状態パラメータ及びタイヤ摩耗情報を用いて、タイヤに関する状況を判定する。
【0043】
なお、本実施形態に係る取得部11Aは、上記識別情報を用いて、タイヤの種類を示す情報であるタイヤ種類情報を更に取得する。そして、本実施形態に係る判定部11Bは、取得部11Aによって取得されたタイヤ種類情報が示すタイヤの種類毎に、タイヤに関する状況を判定する。
【0044】
本実施形態に係る判定部11Bは、上記タイヤに関する状況として、当該タイヤの内圧の状況を判定するが、これに限るものではない。例えば、上記タイヤに関する状況として、当該タイヤの負荷荷重の状況を判定する形態としてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、タイヤ状態パラメータして、車両が通過することにより荷重センサによって得られる計測値に応じたタイヤの接地長さを適用している。
【0046】
ここで、本実施形態に係る取得部11Aは、タイヤの温度を示すタイヤ温度情報を更に取得し、本実施形態に係る判定部11Bは、タイヤ状態パラメータ、タイヤ摩耗情報、及びタイヤ温度情報を用いて、タイヤに関する状況を判定する。また、本実施形態では、タイヤに関する状況の判定として、当該状況、即ちタイヤの内圧に問題があるか否かの判定を適用している。
【0047】
一方、本実施形態に係る運行管理サーバ30は、制御部31Aを含む。運行管理サーバ30のCPUが予めインストールされたプログラムを実行することで、制御部31Aとして機能する。
【0048】
本実施形態に係る制御部31Aは、タイヤ状況判定装置10との間の通信I/F部38を介した通信の制御、記憶部33に対するアクセスの制御、表示部に対する各種情報の表示の制御等を行う。
【0049】
一方、図3には、本実施形態に係る計測部70の概略構成図が示されている。図3に示すように、本実施形態に係る計測部70は、荷重を検出可能なセンサ72を複数備える。複数のセンサ72は、例えば、一直線上に均等な間隔で一列に配置され、一つのセンサ群を構成する。隣接するセンサ72は、配列方向に所定距離離間するように間隔Xが設定される。各センサ72は、荷重を計測するための受圧面72Aを有する。受圧面72Aは、例えば、図3に示すように、矩形状に設定され、タイヤ通過方向の長さがA、センサ配列方向の長さがBに設定されている。なお、受圧面72Aの形状は、一例であってこれに限定されない。複数のセンサ72は、例えば、隣接するセンサ72同士の間に上記間隔Xを維持しつつ、一端側から他端側までの距離が計測対象となるタイヤRの幅Wを超える長さを有するように数量が設定される。即ち、複数のセンサ72で構成される荷重の検出部の長さは、センサ72のセンサ配列方向の長さBにセンサ72の個数を乗じた数値と、センサ72の個数から1を減じた数に間隔Xを乗じた数値との和により設定される。
【0050】
図4(A)及び図4(B)は、計測部70による荷重計測の概念図である。なお、図4(B)では、計測部70を15個のセンサ72で構成しているが、説明の便宜上設定した数であってこれに限定されない。また、図4(B)におけるMは、タイヤRの接地面、所謂タイヤのフットプリントの一例を示している。図4に示すように、計測部70は、走行する車両の進行方向に、センサ72の配列方向が交差するように路面z等に設けられる。なお、交差とは、タイヤRがセンサ72の配列方向を横切るように通過することを意味し、例えば、タイヤRがセンサ72の配列方向と直交するように通過すると、計測精度が最も良い。
【0051】
計測部70は、走行中の車両のタイヤRが、複数のセンサ72の上を通過することにより、荷重を計測する。即ち、複数のセンサ72によりタイヤRの接地面Mを走査して荷重を計測する。例えば、図4(B)に示す場合、計測部70は、複数のセンサ72のうち、タイヤRが通過する位置3から位置13までのセンサ72により荷重が計測される。
【0052】
図5は、センサ72による荷重の検出を示す図である。図5(A)に示すように、センサ72は、例えば、回転するタイヤRの踏込端Sinが受圧面72Aに乗ったときに荷重を出力し、図5(B)に示すように、接地面Mの主要部分が通過し、蹴出端Koutが受圧面72Aから離れたときに荷重の出力を停止する。センサ72により計測された荷重値は、センサ72の有する分解能δtに応じて出力される。
【0053】
図6は、センサ72により計測された荷重の時間変化を示す波形図である。図6(A)に示す波形u1は、図4における位置3や位置13のセンサ72により検出された荷重の時間変化を示している。また、図6(B)に示す波形u2は、ちょうどタイヤ幅方向のタイヤセンターCL上にある位置8のセンサ72により検出された荷重の時間変化を示している。
【0054】
図4に示すように、接地面Mは、幅方向の端部がタイヤセンターCLよりも接地長さが短いため、タイヤRが位置3や位置8のセンサ72を加圧する時間は、位置8のセンサ72を加圧する時間よりも短い。図6(A)に示す波形u1の荷重計測範囲の時間間隔t1は、図6(B)に示す波形u2の荷重計測範囲の時間間隔t2よりも短い。
【0055】
計測部70は、上述のようにタイヤRが通過したセンサ72からは荷重が計測値として出力され、タイヤRが通過していないセンサ72からは荷重として0(零)が計測値として出力される。そして、各センサ72により計測された計測値は、センサ72毎に決められた頻度、例えば、センサ72の分解能δtの時間により、当該計測されたタイミングでタイヤ状況判定装置10に送信される。
【0056】
一方、図4に示すように、本実施形態に係るタイヤRには、タイヤRが設けられている車両を特定するための情報、タイヤRの種類を示すタイヤ種類情報、及びタイヤRの車両内における装着位置を示すタイヤ番号情報を無線で発信する発信部78が設けられている。
【0057】
本実施形態では、上記車両を特定するための情報として、タイヤ状況判定システム90Aが対象としている車両に対して、各々異なる識別情報(以下、「車両識別情報」という。)を予め付与しておき、当該車両識別情報を、上記車両を特定するための情報として適用しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0058】
また、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aでは、上記車両として各種物品を運送するトラックを想定しており、各車両に対して最大6箇所にタイヤが装着されることを想定している。上記タイヤ番号情報は、この場合の車両内における、タイヤRの装着位置を示す情報であり、本実施形態では、左前方、右前方、左中間、右中間、左後方、右後方の順に、1から6までの値が適用されているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0059】
更に、本実施形態に係る発信部78は、自身が設けられている位置の温度を検出し、当該温度を示す情報(以下、「タイヤ温度情報」という。)を無線で発信する機能も有している。
【0060】
なお、本実施形態では、発信部78として、RFID(Radio Frequency Identifier)が適用されているが、これに限るものではなく、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の中・近距離通信が可能な他の発信デバイスを適用する形態としてもよい。
【0061】
これに対し、図3図5に示すように、本実施形態に係る計測部70には、車両が計測部70の上部を通過する際に、当該車両に設けられたタイヤRが通過する位置の近傍に、発信部78からの発信信号を受信する受信部74が設けられている。そして、受信部74によってタイヤRの発信部78から受信された車両識別情報、タイヤ種類情報、タイヤ番号情報、及びタイヤ温度情報の各種情報(以下、「タイヤ関連情報」という。)は、当該受信されたタイミングでタイヤ状況判定装置10に送信される。
【0062】
次に、図7を参照して、本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Bについて説明する。図7は、本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Bの構成の一例を示す模式図である。
【0063】
本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Bは、タイヤに許容される、タイヤ状態パラメータの許容値が登録されたデータベースである。図7に示すように、本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Bは、タイヤ種、摩耗量、及び許容接地長さの各情報が記憶される。
【0064】
上記タイヤ種は、タイヤの種類を示す情報であり、上記摩耗量は、タイヤの摩耗量を複数の段階で表す情報である。本実施形態では、全く摩耗していない状態を0(零)%とし、想定される最大の摩耗量を100%として、10%刻みの10段階で摩耗量を表しているが、これに限るものではない。例えば、全く摩耗していない状態からの摩耗量の長さそのものの段階を、摩耗量の段階を表す値として適用する形態としてもよいし、段階数も10段階に限るものではないことは言うまでもない。
【0065】
また、上記許容接地長さは、対応するタイヤ種のタイヤRの、対応する摩耗量の段階における接地長さの許容値を示す情報である。なお、本実施形態では、上記許容接地長さとして、計測部70を用いて得られたタイヤRの接地長さが当該値を超えた場合に、タイヤRの内圧が許容値以下となったことを示す値として、実機を用いた実験や、コンピュータ・シミュレーション等によって得られた値を適用している。但し、この形態に限らず、タイヤ状況判定システム90Aの管理者等により、タイヤ状況判定システム90Aに求められるタイヤの状況の判定精度や、用途等に応じた値を適宜入力する形態としてもよい。
【0066】
次に、図8を参照して、本実施形態に係るタイヤ摩耗管理情報データベース33Aについて説明する。図8は、本実施形態に係るタイヤ摩耗管理情報データベース33Aの構成の一例を示す模式図である。
【0067】
本実施形態に係るタイヤ摩耗管理情報データベース33Aは、タイヤ状況判定システム90Aが対象としている車両に装着されているタイヤの摩耗に関する状態を管理するための情報が登録されたものである。図8に示すように、本実施形態に係るタイヤ摩耗管理情報データベース33Aは、車両識別情報、通知先、タイヤ種、及びタイヤ摩耗情報の各情報が記憶される。
【0068】
上記車両識別情報は、上述した車両識別情報と同一の情報であり、上記通知先は、対応する車両に搭載された車両端末50に対する通知先を示す情報である。なお、本実施形態では、上記通知先を示す情報として、電子メールのメール・アドレスを適用しているが、これに限るものではない。例えば、IP(Internet Protocol)アドレス等の他の情報を、上記通知先を示す情報として適用する形態としてもよい。
【0069】
また、上記タイヤ種は、対応する車両に装着されたタイヤの種類を示す情報である。なお、図8に示すように、本実施形態では、1台の車両に対して装着されるタイヤの種類が1種類のみであり、車両毎に1種類のみのタイヤが装着されていることを想定している。但し、この形態に限るものではなく、1台の車両に対して複数種類のタイヤが装着される形態としてもよい。
【0070】
更に、上記タイヤ摩耗情報は、対応する車両に装着された各タイヤRの各々毎の摩耗量を示す情報である。なお、本実施形態に係るタイヤ摩耗管理情報データベース33Aでは、タイヤRの各々を上述したタイヤ番号情報によって表しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0071】
次に、図9図11を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aの作用を説明する。図9は、本実施形態に係るタイヤ状況判定処理の一例を示すフローチャートである。また、図10は、本実施形態に係るタイヤ状況警告画面の構成の一例を示す正面図である。更に、図11は、本実施形態に係るタイヤ状況提示画面の構成の一例を示す正面図である。
【0072】
タイヤ状況判定装置10のユーザ(本実施形態では、タイヤ状況判定システム90Aの管理者)により、入力部14を介してタイヤ状況判定処理の実行を開始する指示入力が行われた場合に、タイヤ状況判定装置10のCPU11がタイヤ状況判定プログラム13Aを実行することで、図9に示すタイヤ状況判定処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、タイヤ許容情報データベース13B及びタイヤ摩耗管理情報データベース33Aが既に構築されている場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、1台の車両につき、1つのタイヤのみに関して判定を行う場合について説明する。
【0073】
図9のステップ100で、CPU11は、計測部70からタイヤ関連情報及び計測値が受信されるまで待機する。ここで、CPU11は、計測値については、タイヤの接地長さが導出可能な期間の情報を受信する。
【0074】
ステップ102で、CPU11は、受信した計測値を用いてタイヤRの接地長さLを導出する。なお、計測部70によって得られた計測値を用いたタイヤRの接地長さの導出方法は、上述した特開2019-219355号公報にも記載されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0075】
ステップ104で、CPU11は、受信したタイヤ関連情報を用いて、処理対象とするタイヤR(以下、「処理対象タイヤ」という。)を特定する。ステップ106で、CPU11は、特定した処理対象タイヤに対応するタイヤ摩耗情報をタイヤ摩耗管理情報データベース33Aから読み出す。
【0076】
ステップ108で、CPU11は、処理対象タイヤの種類に対応し、かつ、読み出したタイヤ摩耗情報が示す摩耗量に対応する許容接地長さPをタイヤ許容情報データベース13Bから読み出す。
【0077】
ステップ110で、CPU11は、読み出した許容接地長さPに対して、受信したタイヤ関連情報に含まれるタイヤ温度情報が示す温度を反映させることで、許容接地長さPを処理対象タイヤの温度に応じた適切な値に調整する。即ち、タイヤの内圧は、当該タイヤの温度が高くなるほど高くなる。そこで、本実施形態に係るタイヤ状況判定処理では、タイヤ温度情報が示す温度が高くなるほど、許容接地長さPを長くすることで、タイヤの状況の判定精度を高めるようにしている。
【0078】
そして、ステップ110で、CPU11は、導出した処理対象タイヤの接地長さLが、調整後の許容接地長さPを超えているか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ120に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ112に移行する。
【0079】
ステップ112で、CPU11は、受信したタイヤ関連情報の車両識別情報に対応する通知先をタイヤ摩耗管理情報データベース33Aから読み出すことで通知先を特定する。ステップ114で、CPU11は、特定した通知先に、処理対象タイヤの内圧が許容値を下回っている可能性があることを示すものとして予め定められた通知情報を送信する。この通知情報の送信により、当該通知情報を受信した車両端末50では、一例として図10に示すタイヤ状況警告画面が表示される。従って、当該車両の運転手等の乗車者は、このタイヤ状況警告画面を参照することにより、乗車している車両に装着されたタイヤの内圧に問題があることを把握することができる。
【0080】
ステップ116で、CPU11は、予め定められた構成とされたタイヤ状況提示画面を表示するように表示部15を制御し、ステップ118で、CPU11は、予め定められた情報が入力されるまで待機する。
【0081】
一例として図11に示すように、本実施形態に係るタイヤ状況提示画面では、処理対象タイヤが装着された車両を示す情報と共に、当該処理対象タイヤの内圧が許容値を下回っている可能性がある旨を示す情報が表示される。従って、タイヤ状況判定装置10のユーザは、これらの情報を把握することができる。図11に示すタイヤ状況提示画面が表示部15により表示されると、ユーザは、表示内容を把握した後、入力部14を用いて終了ボタン15Cを指定する。これに応じてステップ118が肯定判定となってステップ120に移行する。
【0082】
ステップ120で、CPU11は、タイヤ状況判定処理を終了するタイミングとして、予め定められたタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ100に戻る一方、肯定判定となった場合は本タイヤ状況判定処理を終了する。なお、本実施形態では、上記タイミングとして、タイヤ状況判定装置10のユーザによってタイヤ状況判定処理の終了を指示する指示入力が入力部14を介して行われたタイミングを適用しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、対象とするタイヤが装着された車両が走行している場合における当該タイヤの状態を示すパラメータであるタイヤ状態パラメータ、及び上記タイヤのトレッド部における摩耗状態を示す情報であるタイヤ摩耗情報を取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得されたタイヤ状態パラメータ及びタイヤ摩耗情報を用いて、上記タイヤに関する状況を判定する判定部11Bと、を備えている。従って、タイヤの摩耗状態を考慮しない場合に比較して、より高精度にタイヤの状況を判定することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、タイヤの識別情報(本実施形態では、車両識別情報)を更に取得し、取得した識別情報を用いて、タイヤ摩耗情報を取得している。従って、識別情報を用いない場合に比較して、より簡易にタイヤ摩耗情報を取得することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、タイヤの種類を示す情報であるタイヤ種類情報を更に取得し、取得したタイヤ種類情報が示すタイヤの種類毎に、タイヤに関する状況を判定している。従って、タイヤの種類を考慮しない場合に比較して、より高精度に、タイヤの状況を判定することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、タイヤの内圧の状況を判定している。従って、タイヤの内圧の状況を、より高精度に判定することができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、タイヤ状態パラメータを、車両が通過することにより荷重センサによって得られる接地長さとしている。従って、タイヤの接地長さに応じて、タイヤの状況を判定することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、タイヤの温度を示すタイヤ温度情報を更に取得し、タイヤ状態パラメータ、タイヤ摩耗情報、及びタイヤ温度情報を用いて、タイヤに関する状況を判定している。従って、タイヤの温度を考慮しない場合に比較して、より高精度に、タイヤの状況を判定することができる。
【0089】
更に、本実施形態によれば、タイヤに関する状況の判定を、当該状況に問題があるか否かの判定としている。従って、タイヤに関する状況の判定として、当該状況を示す値そのものの判定を適用する場合に比較して、より簡易に判定を行うことができる。
【0090】
なお、本実施形態では、タイヤ状態パラメータとしてタイヤの接地長さを適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、当該接地長さに加えて、接地面積、荷重の時間変化、通過面積の時間変化、及び通過時間の何れか1つ、又は複数の組み合わせをタイヤ状態パラメータとして適用する形態としてもよい。この場合、適用したパラメータに応じて、タイヤの状況を判定することができる。
【0091】
[第2実施形態]
第1実施形態では、タイヤに関する状況の判定として、当該状況に問題があるか否かの判定を適用した場合の形態例を説明した。これに対し、本実施形態では、タイヤに関する状況の判定として、当該状況を示す値そのものの判定を適用する場合の形態例を説明する。
【0092】
まず、図12を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bの構成を説明する。図12は、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bのハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、図1に示す第1実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aと同一の構成要件には、図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図12に示すように、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bは、第1実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aとは、タイヤ状況判定プログラム13Aが異なる処理を実行する点に加え、タイヤ許容情報データベース13Bに代えてタイヤ許容情報データベース13Cが適用されている点が相違している。更に、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bは、第1実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Aとは、タイヤ状況判定装置10の記憶部13にタイヤ状況推定情報データベース13Dが記憶されている点が相違している。
【0094】
次に、図13を参照して、本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Cについて説明する。図13は、本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Cの構成の一例を示す模式図である。
【0095】
図13に示すように、本実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Cは、許容接地長さに代えて許容内圧が適用されている点のみが第1実施形態に係るタイヤ許容情報データベース13Bと相違している。
【0096】
本実施形態に係る許容内圧は、対応するタイヤ種のタイヤRの、対応する摩耗量の段階における内圧の許容値を示す情報である。なお、本実施形態では、上記許容内圧として、計測部70によって得られた計測値を用いて導出された内圧が当該値以下となった場合に、タイヤRの内圧が許容値以下となったことを示す値として、実機を用いた実験や、コンピュータ・シミュレーション等によって得られた値を適用している。但し、この形態に限らず、タイヤ状況判定システム90Bの管理者等により、タイヤ状況判定システム90Bに求められるタイヤの内圧の判定精度や、用途等に応じた値を適宜入力する形態としてもよい。
【0097】
次に、図14を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況推定情報データベース13Dについて説明する。図14は、本実施形態に係るタイヤ状況推定情報データベース13Dの構成の一例を示す模式図である。
【0098】
本実施形態に係るタイヤ状況推定情報データベース13Dは、タイヤの状況(本実施形態では、内圧)を推定するための情報が登録されたデータベースである。図14に示すように、本実施形態に係るタイヤ状況推定情報データベース13Dは、タイヤ種及び推定テーブルの各情報が記憶される。
【0099】
上記タイヤ種は、タイヤ許容情報データベース13Cのタイヤ種と同一の情報である。また、上記推定テーブルは、対応するタイヤの種類に対応する、予め定められたタイヤ状態パラメータを含む情報を入力情報とし、当該入力情報に対応する、対応するタイヤの内圧を出力情報としたルックアップテーブルを示す情報である。
【0100】
本実施形態では、上記ルックアップテーブルを、上記入力情報を入力した場合に、当該入力情報に対応する内圧を出力するものとして、実機を用いた実験や、コンピュータ・シミュレーション等によって得られたテーブルを適用している。
【0101】
なお、本実施形態では、上記入力情報として、図6に示した荷重の時間変化を示すグラフにおける時間間隔t1又は時間間隔t2(本実施形態では、時間間隔t2)、当該グラフにおける曲線とX軸との間で囲まれた部分の面積、及びタイヤ関連情報に含まれるタイヤ温度情報が示す温度を適用している。ここで、時間間隔t1及び上記面積は、計測部70により得られた計測値から特定することができる。なお、この形態に限るものではなく、上記入力情報として、車両が通過することにより計測部70によって各々得られる、接地長さ、接地面積、荷重の時間変化、通過面積の時間変化、及び通過時間の何れか1つ、又は複数の組み合わせを入力情報として適用する形態としてもよい。この場合、適用したパラメータに応じて、タイヤの内圧を判定することができる。
【0102】
本実施形態に係るタイヤ状況判定装置10及び運行管理サーバ30の機能的な構成は、判定部11Bが、タイヤに関する状況の判定として、当該状況に問題があるか否かの判定に代えて、当該状況を示す値そのものの判定を適用している点を除いて、第1実施形態に係るものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0103】
次に、図15図17を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bの作用を説明する。図15は、本実施形態に係るタイヤ状況判定処理の一例を示すフローチャートである。また、図16は、本実施形態に係るタイヤ状況警告画面の構成の一例を示す正面図である。更に、図17は、本実施形態に係るタイヤ状況提示画面の構成の一例を示す正面図である。
【0104】
タイヤ状況判定装置10のユーザにより、入力部14を介してタイヤ状況判定処理の実行を開始する指示入力が行われた場合に、タイヤ状況判定装置10のCPU11がタイヤ状況判定プログラム13Aを実行することで、図15に示すタイヤ状況判定処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、タイヤ許容情報データベース13C、タイヤ状況推定情報データベース13D、及びタイヤ摩耗管理情報データベース33Aが既に構築されている場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、1台の車両につき、1つのタイヤのみに関して判定を行う場合について説明する。
【0105】
図15のステップ200で、CPU11は、計測部70からタイヤ関連情報及び計測値が受信されるまで待機する。ここで、CPU11は、計測値については、時間間隔t2が導出可能な期間の情報を受信する。
【0106】
ステップ202で、CPU11は、時間間隔t2及び上記面積を導出する。ステップ204で、CPU11は、受信したタイヤ関連情報を用いて、処理対象とするタイヤR(以下、「処理対象タイヤ」という。)を特定する。ステップ206で、CPU11は、特定した処理対象タイヤに対応するタイヤ摩耗情報をタイヤ摩耗管理情報データベース33Aから読み出す。
【0107】
ステップ208で、CPU11は、処理対象タイヤの種類に対応し、かつ、読み出したタイヤ摩耗情報が示す摩耗量に対応する許容内圧PIをタイヤ許容情報データベース13Cから読み出す。
【0108】
ステップ210で、CPU11は、処理対象タイヤの種類に対応する推定テーブルをタイヤ状況推定情報データベース13Dから読み出す。そして、ステップ210で、CPU11は、読み出した推定テーブルに対して、導出した入力情報を入力することで、処理対象タイヤの内圧Iを導出する。
【0109】
ステップ212で、CPU11は、導出した処理対象タイヤの内圧Iが、読み出した許容内圧PI未満であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ222に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ214に移行する。
【0110】
ステップ214で、CPU11は、受信したタイヤ関連情報の車両識別情報に対応する通知先をタイヤ摩耗管理情報データベース33Aから読み出すことで通知先を特定する。ステップ216で、CPU11は、特定した通知先に、処理対象タイヤの内圧が許容値を下回っている可能性があることを示すものとして予め定められた通知情報を送信する。この通知情報の送信により、当該通知情報を受信した車両端末50では、一例として図16に示すタイヤ状況警告画面が表示される。従って、当該車両の運転手等の乗車者は、このタイヤ状況警告画面を参照することにより、乗車している車両に装着されたタイヤの内圧に問題がある点、及び当該タイヤの内圧の推定値を把握することができる。
【0111】
ステップ218で、CPU11は、予め定められた構成とされたタイヤ状況提示画面を表示するように表示部15を制御し、ステップ220で、CPU11は、予め定められた情報が入力されるまで待機する。
【0112】
一例として図17に示すように、本実施形態に係るタイヤ状況提示画面では、処理対象タイヤが装着された車両、及び推定した処理対象タイヤの内圧を示す情報と共に、当該処理対象タイヤの内圧が許容値を下回っている可能性がある旨を示す情報が表示される。従って、タイヤ状況判定装置10のユーザは、これらの情報を把握することができる。図17に示すタイヤ状況提示画面が表示部15により表示されると、ユーザは、表示内容を把握した後、入力部14を用いて終了ボタン15Cを指定する。これに応じてステップ220が肯定判定となってステップ222に移行する。
【0113】
ステップ222で、CPU11は、タイヤ状況判定処理を終了するタイミングとして、予め定められたタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ200に戻る一方、肯定判定となった場合は本タイヤ状況判定処理を終了する。なお、本実施形態では、上記タイミングとして、タイヤ状況判定装置10のユーザによってタイヤ状況判定処理の終了を指示する指示入力が入力部14を介して行われたタイミングを適用しているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0114】
以上説明したように、本実施形態によれば、タイヤに関する状況の判定として、タイヤの内圧の値そのものの判定も適用している。従って、タイヤに関する状況の判定として、タイヤの内圧に問題があるか否かの判定のみを適用する場合に比較して、応用の幅を、より広くすることができる。
【0115】
[第3実施形態]
本実施形態では、取得部11Aが、タイヤ状態パラメータとして、異なる複数の時期における値を取得し、判定部11Bが、取得部11Aによって取得された複数の時期におけるタイヤ状態パラメータを用いて、タイヤに関する状況を判定する場合の形態例について説明する。
【0116】
本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bの構成は、第2実施形態に係るものと同様であるため、以下、図18を参照して、本実施形態に係るタイヤ状況判定システム90Bの作用を説明する。図18は、本実施形態に係るタイヤ状況判定処理の一例を示すフローチャートであり、図15に示す第2実施形態に係るタイヤ状況判定処理と同一の処理を行うステップには図15と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0117】
ステップ211で、CPU11は、ステップ210の処理によって導出した内圧Iを記憶部13に記憶する。
【0118】
その後、ステップ221Aで、CPU11は、内圧Iが既に記憶部13に記憶されているか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ222に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ221Bに移行する。
【0119】
ステップ221Bで、CPU11は、記憶部13に記憶されている内圧Iを読み出し、読み出した内圧Iと、ステップ210の処理によって直前に導出した内圧Iと、の差分Sを算出する。
【0120】
ステップ221Cで、CPU11は、算出した差分Sが予め定められた閾値th以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ222に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ221Dに移行する。
【0121】
ステップ221Dで、CPU11は、予め定められた通知処理を実行し、その後にステップ222に移行する。なお、本実施形態では、上記通知処理として、処理対象タイヤの内圧の減圧量が想定よりも大きい旨を示す情報を、対応する車両に搭載された車両端末50に通知する処理を適用する形態としているが、これに限るものではない。例えば、同様の通知を運行管理サーバ30や、タイヤ状況判定装置10に行う形態としてもよい。
【0122】
即ち、本実施形態に係るタイヤ状況判定処理では、過去に記憶しておいた処理対象タイヤの内圧Iと、現時点の内圧Iとを比較して、その差分Sが閾値th以上であった場合は、処理対象タイヤの内圧の減圧量が許容範囲を超えていると見なして警告を発する。
【0123】
従って、タイヤ状況判定処理を、減圧量を判定する期間として予め定められた期間(例えば、1週間)を隔てて実行することにより、より実態に即したタイヤの状況の判定を行うことができる。
【0124】
以上説明したように、本実施形態によれば、タイヤ状態パラメータとして、異なる複数の時期における値を取得し、取得した複数の時期におけるタイヤ状態パラメータを用いて、タイヤに関する状況を判定している。従って、タイヤの状況の経時的な判断を行うことができる。
【0125】
なお、本実施形態では、タイヤの内圧を、ルックアップテーブルを用いて推定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、AI(Artificial Intelligence、人工知能)を用いてタイヤの内圧を推定する形態としてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態では、発信部78に温度検出機能を搭載した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、温度検出機能及び通信機能を有する装置を発信部78とは別に設ける形態としてもよい。
【0127】
また、上記各実施形態では、タイヤ状況判定装置10においてタイヤ状況判定処理を実行する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、各車両端末50によってタイヤ状況判定処理を実行する形態としてもよい。この形態の場合、本発明のタイヤ状況判定装置が車両端末50に含まれることになる。
【0128】
また、上記各実施形態では、計測部70を1箇所のみに設けた場合について説明したが、これに限定されない。例えば、計測部70を複数の箇所に設けておき、計測部70の各々によって得られた複数の計測値を用いて、タイヤの状況を判定する形態としてもよい。
【0129】
また、上記各実施形態において、例えば、取得部11A及び判定部11Bの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0130】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0131】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0132】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0133】
10 タイヤ状況判定装置
11 CPU
11A 取得部
11B 導出部
12 メモリ
13 記憶部
13A タイヤ状況判定プログラム
13B タイヤ許容情報データベース
13C タイヤ許容情報データベース
13D タイヤ状況推定情報データベース
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
30 運行管理サーバ
31A 制御部
33 記憶部
33A タイヤ摩耗管理情報データベース
50 車両端末
70 計測部
72 センサ
72A 受圧面
74 受信部
78 発信部
80 ネットワーク
90A、90B タイヤ状況判定システム
R タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18