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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007232
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】竪型ミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B02C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110342
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 岳彦
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063EE26
4D063GA06
4D063GA08
4D063GA10
4D063GC12
4D063GC19
4D063GC32
4D063GD04
4D063GD12
4D063GD13
(57)【要約】
【課題】被粉砕物を効率よく粉砕する。
【解決手段】竪型ミル100は、回転テーブル120と、回転テーブル120の上方に配されたローラ本体132と、ローラ本体132を回転テーブル120側に加圧する加圧装置140と、加圧装置140を駆動させてローラ本体132による回転テーブル120側への加圧圧力を制御する加圧制御と、回転テーブル120とローラ本体132と間の距離を制御する距離制御とを排他的に行うローラ制御部182と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルと、
前記回転テーブルの上方に配されたローラ本体と、
前記ローラ本体を前記回転テーブル側に加圧する加圧装置と、
前記加圧装置を駆動させて前記ローラ本体による前記回転テーブル側への加圧圧力を制御する加圧制御と、前記回転テーブルと前記ローラ本体と間の距離を制御する距離制御とを排他的に行うローラ制御部と、
を備える竪型ミル。
【請求項2】
前記ローラ本体を複数備え、
前記ローラ制御部は、
複数の前記ローラ本体それぞれの前記加圧制御の実行時間が略等しくなるように、前記加圧制御を行う請求項1に記載の竪型ミル。
【請求項3】
前記ローラ制御部は、
複数の前記ローラ本体それぞれの前記加圧制御の、累積の実行時間が略等しくなるように、前記加圧制御を行う請求項1または2に記載の竪型ミル。
【請求項4】
前記ローラ本体を複数備え、
前記ローラ制御部は、
複数の前記ローラ本体それぞれの前記距離制御の実行時間が略等しくなるように、前記距離制御を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の竪型ミル。
【請求項5】
前記ローラ本体を複数備え、
前記ローラ制御部は、
複数の前記ローラ本体それぞれの前記距離制御の、累積の実行時間が略等しくなるように、前記距離制御を行う請求項1から4のいずれか1項に記載の竪型ミル。
【請求項6】
前記ローラ本体を複数備え、
前記ローラ制御部は、少なくとも1の前記ローラ本体に対し前記加圧制御を行っている際、他のいずれか1の前記ローラ本体に対し前記距離制御を行う請求項1から5のいずれか1項に記載の竪型ミル。
【請求項7】
前記ローラ制御部は、複数の前記ローラ本体に対し、予め定められた順で前記加圧制御および前記距離制御を行う請求項6に記載の竪型ミル。
【請求項8】
前記回転テーブルの上方に開口し、固体燃料が通過する供給管と、
前記回転テーブルおよび前記ローラ本体によって粉砕された前記固体燃料を、発電設備を構成するボイラに導く排出管と、
を備え、
前記ローラ制御部は、前記発電設備を構成する発電装置の負荷に応じて前記加圧制御を行う請求項1から7のいずれか1項に記載の竪型ミル。
【請求項9】
前記回転テーブルの上方に開口し、固体燃料が通過する供給管と、
前記回転テーブルおよび前記ローラ本体によって粉砕された前記固体燃料を、発電設備を構成するボイラに導く排出管と、
を備え、
前記ローラ制御部は、前記発電設備を構成する発電装置の負荷に応じて前記距離制御を行う請求項1から8のいずれか1項に記載の竪型ミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、竪型ミルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭、バイオマス、セメント原料等の被粉砕物を粉砕する竪型ミルが普及している(例えば、特許文献1)。竪型ミルは、回転テーブル、ローラ本体、および、加圧装置を備える。竪型ミルでは、回転テーブルとローラ本体との間に被粉砕物が導かれ、加圧装置によってローラ本体が回転テーブル側に押圧される。回転テーブル上の被粉砕物は、ローラ本体に押し潰されて粉砕される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-2507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記竪型ミルにおいて、被粉砕物の種類に拘わらず、被粉砕物を効率よく粉砕できる技術の開発が希求されている。
【0005】
そこで、本開示は、このような課題に鑑み、被粉砕物を効率よく粉砕することが可能な竪型ミルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る竪型ミルは、回転テーブルと、回転テーブルの上方に配されたローラ本体と、ローラ本体を回転テーブル側に加圧する加圧装置と、加圧装置を駆動させてローラ本体による回転テーブル側への加圧圧力を制御する加圧制御と、回転テーブルとローラ本体と間の距離を制御する距離制御とを排他的に行うローラ制御部と、を備える。
【0007】
また、上記竪型ミルは、ローラ本体を複数備え、ローラ制御部は、複数のローラ本体それぞれの加圧制御の実行時間が略等しくなるように、加圧制御を行ってもよい。
【0008】
また、上記竪型ミルは、ローラ本体を複数備え、ローラ制御部は、複数のローラ本体それぞれの加圧制御の、累積の実行時間が略等しくなるように、加圧制御を行ってもよい。
【0009】
また、上記竪型ミルは、ローラ本体を複数備え、ローラ制御部は、複数のローラ本体それぞれの距離制御の実行時間が略等しくなるように、距離制御を行ってもよい。
【0010】
また、上記竪型ミルは、ローラ本体を複数備え、ローラ制御部は、複数のローラ本体それぞれの距離制御の、累積の実行時間が略等しくなるように、距離制御を行ってもよい。
【0011】
また、上記竪型ミルは、ローラ本体を複数備え、ローラ制御部は、少なくとも1のローラ本体に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体に対し距離制御を行ってもよい。
【0012】
また、ローラ制御部は、複数のローラ本体に対し、予め定められた順で加圧制御および距離制御を行ってもよい。
【0013】
また、上記竪型ミルは、回転テーブルの上方に開口し、固体燃料が通過する供給管と、回転テーブルおよびローラ本体によって粉砕された固体燃料を、発電設備を構成するボイラに導く排出管と、を備え、ローラ制御部は、発電設備を構成する発電装置の負荷に応じて加圧制御を行ってもよい。
【0014】
また、上記竪型ミルは、回転テーブルの上方に開口し、固体燃料が通過する供給管と、回転テーブルおよびローラ本体によって粉砕された固体燃料を、発電設備を構成するボイラに導く排出管と、を備え、ローラ制御部は、発電設備を構成する発電装置の負荷に応じて距離制御を行ってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、被粉砕物を効率よく粉砕することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る竪型ミルの概略図である。
図2図2は、実施形態に係る加圧装置とローラ制御部とを説明する図である。
図3図3は、ローラ制御部による制御順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[竪型ミル100]
図1は、本実施形態に係る竪型ミル100の概略図である。図1中、実線の矢印は被粉砕物の流れを示す。また、図1中、破線の矢印は気体の流れを示す。
【0019】
図1に示すように、竪型ミル100は、ケーシング110と、回転テーブル120と、複数のローラユニット130と、複数の加圧装置140と、供給管150と、分級機160と、排出管170と、中央制御部180とを含む。なお、図1中、理解を容易にするために、ローラユニット130および加圧装置140を1つのみ示し、他のローラユニット130および加圧装置140を省略する。
【0020】
竪型ミル100のケーシング110内には、回転テーブル120が設けられる。回転テーブル120は、円盤形状である。回転テーブル120は、回転軸が鉛直方向となるように、ケーシング110内に設けられる。回転テーブル120は、減速機122を介して、テーブル駆動モータ124によって回転される。回転テーブル120は、テーブル駆動モータ124によって定速または可変速で回転される。
【0021】
回転テーブル120の上面には、凹溝126が形成される。凹溝126は、回転テーブル120の回転軸を中心とする環形状の溝である。凹溝126の、回転テーブル120の回転軸を通る鉛直断面は、円弧形状である。
【0022】
ローラユニット130は、複数(例えば3つ)設けられる。ローラユニット130は、ローラ本体132と、ローラ軸134と、ブラケット136と、ピボット軸138とを含む。ローラ本体132は、回転テーブル120の凹溝126の上方に傾斜して配される。凹溝126に導かれる被粉砕物が多いほど、ローラ本体132の傾きは小さくなり(水平方向に近づき)、凹溝126に導かれる被粉砕物が少ないほど、ローラ本体132の傾きは大きくなる。
【0023】
本実施形態において、3つのローラ本体132は、回転テーブル120の回転中心から放射状に120°間隔で設けられる。ローラ本体132は、ローラ軸134に取り付けられた不図示の軸受に軸支される。ローラ軸134は、ブラケット136に挿通される。ブラケット136には、ローラ軸134の他にピボット軸138が挿通される。ピボット軸138は、不図示の軸受に軸支される。
【0024】
加圧装置140は、ローラユニット130それぞれに対応して、1つずつ設けられる。本実施形態において、竪型ミル100は、3つのローラユニット130を備えるため、3つの加圧装置140が設けられる。詳しくは後述するが、加圧装置140は、アクチュエータ(例えば油圧シリンダ)を含む。加圧装置140は、ローラ本体132を回転テーブル120側に加圧する。本実施形態において、加圧装置140は、ブラケット136に形成された受け座136aを押圧する。これにより、受け座136aに荷重が作用する。そうすると、ピボット軸138を回転中心としてブラケット136が揺動する。ローラ本体132は、ブラケット136と共に揺動して、下方の回転テーブル120側に押圧(加圧)される。
【0025】
供給管150は、回転テーブル120の上方に開口する。被粉砕物は、ケーシング110の外部から供給管150を通過して回転テーブル120上に供給される。被粉砕物は、例えば、石炭、バイオマス等の固体燃料である。バイオマスは、例えば、木質系バイオマス、草本系バイオマスおよび、廃棄物系バイオマスのうちのいずれか1または複数である。木質系バイオマスは、例えば、木材、おがくず、樹皮等である。また、草本(草木)系バイオマスは、例えば、サトウキビ、ソルガム、竹、麦わら、稲わら等である。廃棄物系バイオマスは、例えば、パーム椰子からパーム油を生産した結果生じる空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)等である。
【0026】
回転テーブル120に供給された被粉砕物は、回転テーブル120の凹溝126とローラ本体132との間に噛みこまれる。噛みこまれた被粉砕物は、回転テーブル120の回転に伴い、ローラ本体132に押し潰されて粉砕される。
【0027】
回転テーブル120の径方向外側には、空気の噴出口128が形成されている。粉砕された被粉砕物は、噴出口128から噴出する空気によって上昇する(気流搬送)。上昇した被粉砕物は、分級機160に流入する。
【0028】
分級機160は、被粉砕物を分級する。分級機160で分級された、相対的に粒径の大きい被粉砕物は、回転テーブル120に落下して、ローラ本体132によって再び粉砕される。一方、分級機160で分級された、相対的に粒径の小さい被粉砕物は、排出管170に導かれる。
【0029】
排出管170は、回転テーブル120およびローラ本体132によって粉砕された被粉砕物(固体燃料)を、発電設備10を構成するボイラ12に導く。
【0030】
発電設備10は、ボイラ12と発電装置14とを含む。ボイラ12は、固体燃料を燃焼させて、水蒸気を生成する。発電装置14は、ボイラ12によって生成された水蒸気が有するエネルギーを電力に変換(発電)する。
【0031】
中央制御部180は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部180は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部180は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して竪型ミル100全体を管理および制御する。
【0032】
本実施形態において、中央制御部180は、ローラ制御部182として機能する。ローラ制御部182は、1のローラ本体132に対し、加圧制御と距離制御とを排他的に行う。加圧制御は、加圧装置140を駆動させてローラ本体132による回転テーブル120側への加圧圧力を制御することである。距離制御は、回転テーブル120(凹溝126)とローラ本体132と間の距離を制御することである。
【0033】
図2は、本実施形態に係る加圧装置140とローラ制御部182とを説明する図である。図2中、実線の矢印は、油圧作動油の流れを示す。図2中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0034】
図2に示すように、加圧装置140は、油圧シリンダ210と、第1油流路220と、第2油流路222と、制御バルブ230と、切換バルブ240、242と、圧力センサ250、252と、位置センサ260とを含む。
【0035】
油圧シリンダ210は、シリンダ212と、ピストン214と、ピストンロッド216とを含む。ピストン214は、シリンダ212内に摺動可能に設けられる。ピストン214は、シリンダ212内を、第1室212aと、第2室212bとに区画する。ピストンロッド216は、ピストン214に設けられる。ピストンロッド216は、第2室212bおよびシリンダ212外に配される。ピストンロッド216の先端216aは、受け座136aに当接する。
【0036】
第1油流路220は、制御バルブ230と第1室212aとを接続する。第2油流路222は、制御バルブ230と第2室212bとを接続する。
【0037】
制御バルブ230は、油圧作動油の流れを、第1状態と第2状態とに切り換える。第1状態は、油圧装置300から供給された油圧作動油を第1油流路220(第1室212a)に供給し、第2油流路222(第2室212b)から送出された油圧作動油を油圧装置300に返送する状態である。第1状態では、ピストン214が図2中、右側に移動し、ピストンロッド216による受け座136aへの押圧圧力が増加する。これにより、ローラ本体132による回転テーブル120側への加圧圧力が増加する。
【0038】
第2状態は、油圧装置300から供給された油圧作動油を第2油流路222(第2室212b)に供給し、第1油流路220(第1室212a)から送出された油圧作動油を油圧装置300に返送する状態である。第2状態では、ピストン214が図2中、左側に移動し、ピストンロッド216による受け座136aへの押圧圧力が低下する。これにより、ローラ本体132による回転テーブル120側への加圧圧力が低下する。
【0039】
切換バルブ240は、第1油流路220に設けられる。切換バルブ240は、第1油流路220を開閉する。切換バルブ242は、第2油流路222に設けられる。切換バルブ242は、第2油流路222を開閉する。
【0040】
圧力センサ250は、第1油流路220における切換バルブ240と第1室212aとの間の圧力を検出する。圧力センサ252は、第2油流路222における切換バルブ242と第2室212bとの間の圧力を検出する。
【0041】
位置センサ260は、ピストン214の位置を検出する。
【0042】
加圧制御を行う場合、ローラ制御部182は、まず、切換バルブ240および切換バルブ242を開弁する。ローラ制御部182は、圧力センサ250および圧力センサ252の検出値に基づき、ローラ本体132による回転テーブル120側への加圧圧力を検出する。そして、ローラ制御部182は、ローラ本体132による回転テーブル120側への加圧圧力が目標圧力となるように、制御バルブ230を制御する。
【0043】
上記目標圧力は、被粉砕物(固体燃料)の性状(種類)に基づいて決定される。また、ローラ制御部182は、発電装置14の負荷に応じて、目標圧力を可変させてもよい。具体的に説明すると、発電装置14の負荷が大きい場合、供給管150から回転テーブル120上に供給される固体燃料の量が多くなる。このため、ローラ制御部182は、目標圧力を増加させる。一方、発電装置14の負荷が小さい場合、供給管150から回転テーブル120上に供給される固体燃料の量が少なくなる。このため、ローラ制御部182は、目標圧力を低下させる。つまり、ローラ制御部182は、固体燃料の供給量に応じて、目標圧力を可変させてもよい。
【0044】
距離制御を行う場合、ローラ制御部182は、まず、切換バルブ240および切換バルブ242を開弁する。ローラ制御部182は、位置センサ260の検出値に基づき、回転テーブル120とローラ本体132との間の距離を検出する。そして、ローラ制御部182は、回転テーブル120とローラ本体132との間の距離が目標距離となるように、制御バルブ230を制御する。回転テーブル120とローラ本体132との間の距離が目標距離となったら、ローラ制御部182は、切換バルブ240および切換バルブ242を閉弁する。
【0045】
上記目標距離は、被粉砕物(固体燃料)の性状(種類)に基づいて決定される。また、ローラ制御部182は、発電装置14の負荷に応じて、目標距離を可変させてもよい。具体的に説明すると、発電装置14の負荷が大きい場合、供給管150から回転テーブル120上に供給される固体燃料の量が多くなる。このため、ローラ制御部182は、目標距離を大きくする。一方、発電装置14の負荷が小さい場合、供給管150から回転テーブル120上に供給される固体燃料の量が少なくなる。このため、ローラ制御部182は、目標距離を小さくする。つまり、ローラ制御部182は、固体燃料の供給量に応じて、目標距離を可変させてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の実行時間が略等しくなるように加圧制御を行う。換言すれば、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の実行時間が略等しくなるように距離制御を行う。また、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132に対し、予め定められた順で加圧制御および距離制御を行い、少なくとも1のローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体132に対し距離制御を行う。
【0047】
図3は、ローラ制御部182による制御順を説明する図である。図3に示すように、ローラ制御部182は、第1期間において、3つのローラ本体132のうちNo.1のローラ本体132およびNo.2のローラ本体132に対し、加圧制御を行い、No.3のローラ本体132に対し、距離制御を行う。また、ローラ制御部182は、第1期間後の第2期間において、No.2のローラ本体132およびNo.3のローラ本体132に対し、加圧制御を行い、No.1のローラ本体132に対し、距離制御を行う。ローラ制御部182は、第2期間後の第3期間において、No.1のローラ本体132およびNo.3のローラ本体132に対し、加圧制御を行い、No.2のローラ本体132に対し、距離制御を行う。そして、ローラ制御部182は、第1期間から第3期間までの処理単位を繰り返す。なお、第1期間、第2期間、第3期間は、実質的に等しい時間である。
【0048】
また、No.1のローラ本体132に着目すると、ローラ制御部182は、No.1のローラ本体132に対し、加圧制御、距離制御、加圧制御の順で処理を繰り返す。同様に、No.2のローラ本体132に着目すると、ローラ制御部182は、No.2のローラ本体132に対し、加圧制御、加圧制御、距離制御の順で処理を繰り返す。No.3のローラ本体132に着目すると、ローラ制御部182は、No.3のローラ本体132に対し、距離制御、加圧制御、加圧制御の順で処理を繰り返す。
【0049】
また、距離制御に着目すると、ローラ制御部182は、No.3のローラ本体132、No.1のローラ本体132、No.2のローラ本体132の順で距離制御を繰り返す。
【0050】
つまり、ローラ本体132ごとに制御順の規則性は等しく、ローラ本体132間では、加圧制御と距離制御とのタイミングが異なっている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る竪型ミル100は、加圧制御および距離制御を行うローラ制御部182を備える。加圧制御のみを行う場合、バイオマス等の、石炭と比較して柔らかい被粉砕物は、ローラ本体132と回転テーブル120との間に噛みこまなくなり、粉砕性が低下してしまう。これに対し、本実施形態に係るローラ制御部182は、加圧制御に加えて、距離制御を行う。これにより、柔らかい被粉砕物が、ローラ本体132と回転テーブル120との間に噛みこまなくなってしまう事態を回避することができる。したがって、竪型ミル100は、石炭等の相対的に硬い被粉砕物に加えて、バイオマス等の相対的に柔らかい被粉砕物を効率よく粉砕することが可能となる。つまり、竪型ミル100は、被粉砕物の種類に拘わらず、被粉砕物を効率よく粉砕することができる。
【0052】
また、上記したように、ローラ制御部182は、1のローラ本体132に対し、加圧制御と距離制御とを排他的に行い、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の実行時間が略等しくなるように加圧制御を行う。また、ローラ制御部182は、1のローラ本体132に対し、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の実行時間が略等しくなるように距離制御を行う。これにより、竪型ミル100は、複数のローラ本体132の摩耗量を均一化することができる。したがって、竪型ミル100は、複数のローラ本体132のメンテナンス頻度を低減することが可能となる。
【0053】
また、上記したように、ローラ制御部182は、2つのローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他の1のローラ本体132に対し距離制御を行う処理を常時実行する。これにより、竪型ミル100は、粉砕後の結果物を常時均一にすることができる。
【0054】
また、上記したように、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132に対し、予め定められた順で加圧制御および距離制御を行い、少なくとも1のローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体132に対し距離制御を行う。つまり、ローラ制御部182は、加圧制御を行うローラ本体132をローテーションさせる。換言すれば、ローラ制御部182は、距離制御を行うローラ本体132をローテーションさせる。
【0055】
例えば、複数のローラ本体132のうち、加圧制御が行われるローラ本体132と、距離制御が行われるローラ本体132とが固定される場合、被粉砕物の粉砕箇所に偏りが生じる。そうすると、分級機160への被粉砕物の気流搬送にバラツキが生じ、排出管170への被粉砕物の搬送ができなくなる恐れがある。これに対し、本実施形態に係るローラ制御部182は、複数のローラ本体132に対し、予め定められた順で加圧制御および距離制御を行い、少なくとも1のローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体132に対し距離制御を行う。これにより、竪型ミル100は、被粉砕物の粉砕箇所に偏りが生じる事態を回避することができる。したがって、竪型ミル100は、分級機160への被粉砕物の気流搬送を実質的に均一に行うことができ、排出管170への被粉砕物の搬送を効率よく行うことが可能となる。
【0056】
また、上記したように、ローラ制御部182は、発電装置14の負荷に応じて、加圧制御および距離制御を行う。これにより、竪型ミル100は、被粉砕物の供給量に拘わらず、被粉砕物を効率よく粉砕することが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
例えば、上述した実施形態において、ローラ制御部182が、複数のローラ本体132に対し、予め定められた順で加圧制御および距離制御を行う場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182は、予め定められた順でなくとも、少なくとも1のローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体132に対し距離制御を行うことができればよい。これにより、竪型ミル100は、粉砕後の結果物を常時均一にすることができる。例えば、ローラ制御部182は、No.1のローラ本体132、No.2のローラ本体132、No.3のローラ本体132、No.3のローラ本体132、No.2のローラ本体132、No.1のローラ本体132等、ランダムに距離制御を繰り返してもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、ローラ制御部182が、少なくとも1のローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体132に対し距離制御を行う場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182は、すべてのローラ本体132に対し、加圧制御または距離制御を同時に行ってもよい。いずれにせよ、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の実行時間が略等しくなるように、加圧制御を行えればよい。同様に、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の実行時間が略等しくなるように、距離制御を行えればよい。これにより、竪型ミル100は、複数のローラ本体132の摩耗量を均一化することができる。
【0060】
また、上記実施形態において、ローラ制御部182が、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の実行時間が略等しくなるように加圧制御を行い、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の実行時間が略等しくなるように距離制御を行う場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の実行時間が異なるように、加圧制御を行ってもよい。同様に、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の実行時間が異なるように、距離制御を行ってもよい。いずれにせよ、ローラ制御部182は、少なくとも1のローラ本体132に対し加圧制御を行っている際、他のいずれか1のローラ本体132に対し距離制御を行うことができればよい。これにより、竪型ミル100は、粉砕後の結果物を常時均一にすることができる。
【0061】
また、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の、累積の実行時間が略等しくなるように加圧制御を行ってもよい。この場合、竪型ミル100は、不図示のメモリを備え、メモリは、ローラ本体132ごとに、加圧制御の実行時間の累積値を記憶しておく。そして、ローラ制御部182は、メモリの累積値を参照し、複数のローラ本体132それぞれの加圧制御の、累積の実行時間が略等しくなるように加圧制御を行う。これにより、竪型ミル100は、複数のローラ本体132のうちのいずれか1または複数を新品に交換した場合であっても、複数のローラ本体132すべての摩耗量を均一化することができる。
【0062】
また、ローラ制御部182は、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の、累積の実行時間が略等しくなるように距離制御を行ってもよい。この場合、竪型ミル100は、不図示のメモリを備え、メモリは、ローラ本体132ごとに、距離制御の実行時間の累積値を記憶しておく。そして、ローラ制御部182は、メモリの累積値を参照し、複数のローラ本体132それぞれの距離制御の、累積の実行時間が略等しくなるように距離制御を行う。これにより、竪型ミル100は、複数のローラ本体132のうちのいずれか1または複数を新品に交換した場合であっても、複数のローラ本体132すべての摩耗量を均一化することができる。
【0063】
また、上記実施形態において、加圧制御を行っているローラ本体132の数が、距離制御を行っているローラ本体132の数より多い場合を例に挙げた。しかし、加圧制御を行っているローラ本体132の数は、距離制御を行っているローラ本体132の数と同じでもよいし、距離制御を行っているローラ本体132の数より少なくてもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、加圧装置140が、ローラユニット130それぞれに対応して、1つずつ設けられる場合を例に挙げた。しかし、複数のローラユニット130のうち、加圧制御が行われるローラユニット130が1つである場合、加圧装置140は、当該1つのローラユニット130に対し、1つ設けられればよい。いずれにせよ、加圧装置140は、加圧制御を行うローラユニット130にのみ設けられていればよい。
【0065】
また、上記実施形態において、ローラ制御部182は、発電装置14の負荷に応じて、目標圧力を可変させる場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182は、目標圧力を可変させずともよい。
【0066】
上記実施形態において、ローラ制御部182は、発電装置14の負荷に応じて、目標距離を可変させる場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182は、目標距離を可変させずともよい。
【0067】
また、上記実施形態において、竪型ミル100が複数のローラ本体132を備える場合を例に挙げた。しかし、竪型ミル100は、1のローラ本体132を備えていてもよい。いずれにせよ、ローラ制御部182は、1のローラ本体132に対し、加圧制御と距離制御とを排他的に行うことができればよい。
【0068】
また、上記実施形態において、加圧装置140が油圧シリンダ210を備える場合を例に挙げた。しかし、加圧装置140は、ローラ本体132を回転テーブル120側に加圧することができれば構成に限定はない。加圧装置140は、例えば、モータを備えてもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、加圧装置140が圧力センサ250、252を備える場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182が加圧圧力を取得することができれば、加圧装置140は、圧力センサ250、252を備えずともよい。例えば、ローラ制御部182は、油圧装置300から供給される油圧作動油の流量、油圧シリンダ210から返送される油圧作動油の流量、第1室212aの容積、第2室212bの容積に基づいて、ローラ制御部182が加圧圧力を推定してもよい。
【0070】
また、上記実施形態において、加圧装置140が位置センサ260を備える場合を例に挙げた。しかし、ローラ制御部182が、回転テーブル120とローラ本体132と間の距離を取得することができれば、位置センサ260を備えずともよい。例えば、加圧装置140は、位置センサ260に代えて、距離センサを備えていてもよい。距離センサは、シリンダ212における第1室212a側の端部または第2室212b側の端部と、ピストン214との間の距離を検出する。
【0071】
また、上記実施形態において、油圧装置300は、複数の加圧装置140に油圧作動油を供給する場合を例に挙げた。しかし、油圧装置300は、複数の加圧装置140それぞれに設けられていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、被粉砕物が固体燃料である場合を例に挙げた。しかし、被粉砕物は、固形物であればよい。被粉砕物は、例えば、セメント原料、スラグ、クリンカ、石灰石等であってもよい。
【0073】
本開示は、石炭およびバイオマスを効率よく粉砕することができるため、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0074】
100 竪型ミル
120 回転テーブル
132 ローラ本体
140 加圧装置
150 供給管
170 排出管
182 ローラ制御部
図1
図2
図3