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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072325
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20230517BHJP
   G02B 6/32 20060101ALN20230517BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184790
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】矢加部 祥
(72)【発明者】
【氏名】木村 元佳
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2H036JA02
2H036QA03
2H036QA18
2H036QA43
2H036QA46
2H036QA57
2H137AB01
2H137BA15
2H137BC07
2H137CA33
2H137CA42
2H137CA43
2H137CA61
2H137CA75
2H137CD13
2H137CD19
2H137CD22
2H137CD45
(57)【要約】
【課題】アダプタに対する挿入を容易に行うことができる光コネクタを提供する。
【解決手段】光コネクタは、光ファイバを収容するフェルールと、光ファイバの光軸方向に沿ってフェルールの外周を覆うハウジングと、を備え、ハウジングは、光軸方向に沿って延在し、フェルールを収容するフロントハウジングと、ラッチアームを有し、フロントハウジングに着脱可能なリアハウジングと、を備え、ラッチアームは、フロントハウジングの外周を構成する側壁に位置決め可能な係止片を有する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを収容するフェルールと、前記光ファイバの光軸方向に沿ってフェルールの外周を覆うハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記光軸方向に沿って延在し、前記フェルールを収容するフロントハウジングと、
ラッチアームを有し、前記フロントハウジングに着脱可能なリアハウジングと、を備え、
前記ラッチアームは、前記フロントハウジングの外周を構成する側壁に位置決め可能な係止片を有する、光コネクタ。
【請求項2】
前記フロントハウジングの前記側壁は、前記光軸方向に沿って延在するフロントスリットを含み、
前記係止片は、前記フロントスリットに位置決め可能となっている、請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記側壁は、前記光軸方向に交差する方向に互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含み、
前記係止片は、前記第1側壁及び前記第2側壁にそれぞれ位置決め可能であり、フロントハウジングにリアハウジングが装着された状態において、前記第1側壁及び前記第2側壁のいずれか一方に位置決めされている、請求項1又は請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記リアハウジングは、前記フェルールに収容された前記光ファイバを出し入れ可能な、前記光軸方向に延在するリアスリットを有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記リアハウジングは、前記フロントハウジングに対して、前記光軸方向に沿った回転軸を中心に180°回転させた2つの状態で取り付け可能となっている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光コネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光コネクタに関する技術を開示する。この光コネクタは、光ファイバと、光ファイバを保持するフェルールと、筒形状を有するフロントハウジングと、フロントハウジングに固定されるリアハウジングと、を備え、リアハウジングは、光ファイバを挿入可能な挿入孔を有する。フロントハウジングは、アダプタに係合するラッチアームを備える。リアハウジングは、フロントハウジングのラッチに当接する摘まみを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-24339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロントハウジングに形成されたラッチアームがリアハウジングに形成された摘まみによって押圧される場合、ラッチアーム及び摘まみの長さが長いときに、ラッチアームと摘まみとの互いの当接部分が左右にずれることが考えられる。この場合、アダプタに対する光コンクタの挿入がスムースに行えないことが考えられる。
【0005】
本開示は、アダプタに対する挿入を容易に行うことができる光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る光コネクタは、光ファイバを収容するフェルールと、光ファイバの光軸方向に沿ってフェルールの外周を覆うハウジングと、を備え、ハウジングは、光軸方向に沿って延在し、フェルールを収容するフロントハウジングと、ラッチアームを有し、フロントハウジングに着脱可能なリアハウジングと、を備え、ラッチアームは、フロントハウジングの外周を構成する側壁に位置決め可能な係止片を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示による光コネクタによれば、アダプタに対する挿入を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係るフェルールを示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係る光コネクタを構成するフロントハウジングを示す斜視図である。
図4図4は、一実施形態に係る光コネクタを構成するリアハウジングを示す斜視図である。
図5図5は、一実施形態に係る光接続構造を光軸方向に沿って切断した断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態に係る光コネクタは、光ファイバを収容するフェルールと、光ファイバの光軸方向に沿ってフェルールの外周を覆うハウジングと、を備え、ハウジングは、光軸方向に沿って延在し、フェルールを収容するフロントハウジングと、ラッチアームを有し、フロントハウジングに着脱可能なリアハウジングと、を備え、ラッチアームは、フロントハウジングの外周を構成する側壁に位置決め可能な係止片を有する。
【0010】
この光コネクタでは、リアハウジングに設けられたラッチアームがフロントハウジングの側壁に位置決め可能となっている。したがって、ラッチアームがフロントハウジングの側壁に位置決めされている状態では、ラッチアームが左右にずれることが抑制されているので、アダプタに対する光コネクタの挿入を容易に行うことができる。
【0011】
フロントハウジングの側壁は、光軸方向に沿って延在するフロントスリットを含み、係止片は、フロントスリットに挿入されることによって位置決め可能となっていてもよい。この構成では、ラッチアームがフロントスリットに挿入されることによって、フロントスリットの延在方向に交差する方向に関してラッチアームが位置決めされる。
【0012】
側壁は、光軸方向に交差する方向に互いに対向する第1側壁及び第2側壁を含み、係止片は、第1側壁及び第2側壁にそれぞれ位置決め可能であり、フロントハウジングにリアハウジングが装着された状態において、第1側壁及び第2側壁のいずれか一方に位置決めされていてもよい。この構成では、フロントハウジングに対するリアハウジングの装着の態様を、ラッチアームの係止片が第1側壁に装着された態様と、ラッチアームの係止片が第2側壁に装着された態様とから選択することができる。
【0013】
リアハウジングは、フェルールに収容された光ファイバを出し入れ可能な、光軸方向に延在するリアスリットを有してもよい。この構成では、ハウジングがフェルールを収容している状態で、リアハウジングのみを光コネクタから取り外すことが可能である。
【0014】
リアハウジングは、フロントハウジングに対して、光軸方向に沿った回転軸を中心に180°回転させた2つの状態で取り付け可能となっていてもよい。この構成では、フェルールが複数の光ファイバを収容している場合に、光ファイバの配列とラッチアームの向きとの関係を変更することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、各図においては、理解の容易のため、XYZ直交座標系を示している。各図においては、光ファイバの延在方向(光軸方向)がX方向であり、光ファイバの並び方向がY方向である。光軸方向であるX方向を前後方向として説明する場合、光ファイバの先端側を前とし、その反対側を後とする。
【0016】
一例の光コネクタは、光ファイバを収容するフェルールとハウジングとを含む。図1は、一例のフェルールを示す斜視図である。フェルール10は、光ファイバテープ心線4の先端部に取り付けられている。光ファイバテープ心線4は、複数の光ファイバ3を収容する。フェルール10は、図1に示すように、光ファイバ3の各先端部を保持し、これら光ファイバ3を他の光コネクタに保持される別の光ファイバに光学的に結合させるための部材である(図5参照)。
【0017】
光ファイバテープ心線4の各光ファイバ3は、X方向に沿って延在しており、X方向と交差(例えば直交)するY方向に沿って整列して配置されている。光ファイバテープ心線4は、その内部において複数の光ファイバ3が複数段に重なって配置された構成であってもよい。複数の光ファイバ3は、フェルール10の内部に形成された複数の光ファイバ溝又は複数の光ファイバ保持孔にX方向に沿って配置又は挿入されて保持される。
【0018】
一例のフェルール10の外周面は、アダプタ60(図5参照)との相対的な位置決めを行うための位置決め部(例えば凹部)を有する。この位置決め部は、光ファイバの光軸方向に沿って延在する。図1に示すフェルール10は、本体部11、鍔部12、側面13,14、及び、位置決め部としての凹部13a,14a(第1凹部、第2凹部)を備えている。
【0019】
フェルール10は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PES(ポリエーテルサルホン)、又は、COP(シクロオレフィンポリマー)等の材料によって構成される。一例のフェルール10は、PEIによって構成されていてよい。
【0020】
本体部11は、略直方体形状の外観を有する部分である。本体部11の上面にはフェルール内部に向かって開口された窓部11a,11bが設けられており、窓部11aの内側には、複数の光ファイバ3を保持するための、Y方向に延在する光ファイバ溝が形成されている。また、本体部11の内部には、後端部18の開口から光ファイバ溝に向かって延在する収容部(内部空間)が形成されている。後端部18の開口から挿入された光ファイバ3の各先端部は、収容部を通って光ファイバ溝に配置される。各光ファイバ3は、先端部17に設けられたレンズアレイの各レンズ19に光学的に結合される。各レンズ19は、Y方向に沿って整列している。
【0021】
鍔部12は、本体部11のX方向における後端に位置する部分である。XY平面に沿った断面形状において、鍔部12の外形は、本体部11の外形よりも大きくなっている。鍔部12によって形成される段差により、フェルール10を収容するハウジング30(図2参照)に対するフェルール10のX方向における位置が規制される。
【0022】
側面13及び側面14は、フェルール10の外周面を構成する。両側面13,14は、本体部11において複数の光ファイバ3の並び方向であるY方向に互いに対向する側面である。側面13には凹部13aが、側面14には凹部14aがそれぞれ設けられている。凹部13a,14aは、例えばX方向に延在するV溝又はU溝であり、フェルール10をアダプタ60に対して挿抜する際のガイドとして機能する。凹部13a,14aは、鍔部12に形成されていなくてもよいし、鍔部12まで延在していてもよい。
【0023】
凹部13a,14aは、断面形状がV溝である場合、X方向に垂直な断面において、V溝の開き角度(すなわち、V溝を構成する一対の面がなす角度)が、例えば、45°以上且つ150°以下であってもよいし、60°以上且つ100°以下であってもよい。一例として、V溝の開き角度は、90°であってもよい。凹部13a,14aを構成するV溝の底部は、X方向に垂直な断面において、例えば丸みを帯びていてもよい。また、凹部13a,14aは、後述するアダプタ60の凸部が接触して位置決めできる構成であれば、断面が半円形状であってもよい。
【0024】
図示例の凹部13a,14aは、X方向に延在し、Z方向を幅方向とするV溝状に形成されている。幅方向において、V溝状をなす凹部13a,14aの中央の位置は、側面13,14の幅方向の中央の位置に一致している。すなわち、凹部13a,14aの最深部(底部)は、側面13,14の幅方向の中央に形成されている。
【0025】
側面15及び側面16は、側面13と側面14とを接続する側面であり、側面13及び側面14と同様にフェルール10の外周面を構成する。側面15及び側面16は、光ファイバ3の延在方向と光ファイバ3の並び方向との両方に交差(直交)するZ方向に互いに対向している。図示例では、側面13と側面14との間隔は、側面15と側面16と間隔よりも大きい。すなわち、フェルール10のY方向における幅は、Z方向における幅よりも大きい。
【0026】
図2は、一実施形態に係る光コネクタ1を示す斜視図である。図2に示すように、ハウジング30は、フェルール10の外周を覆っている。すなわち、光コネクタ1は、フェルール10とフェルール10を収容するハウジング30とを含む。本実施形態に係るハウジング30は、フェルール10の凹部13a,14aに対応する位置に光軸方向に沿って延在するスリットを有する。これにより、フェルール10に形成された凹部13a,14aは、スリットを介してハウジング30の外部に露出している。すなわち、凹部13a,14aは、光コネクタ1の外側から視認できる。
【0027】
ハウジング30は、例えば、PEI、PBT、PPS、PC、PMMA、PES、又はPA等の弾性を有する弾性材料によって構成される。ハウジング30の材料の線膨張係数とフェルール10の材料の線膨張係数との差を小さくするため、ハウジング30の材料として、フェルール10と同種の材料を用いてもよい。
【0028】
ハウジング30は、フロントハウジング31とリアハウジング41とを備える。図3は、フロントハウジングを示す斜視図である。フロントハウジング31は、例えば、断面略矩形状の略筒状をなしており、フェルール10の側面を覆っている。すなわち、フロントハウジング31は、フェルール10の側面13、側面14、側面15及び側面16にそれぞれ対向する側壁33、側壁34、側壁35及び側壁36を有する。また、フロントハウジング31は、X方向の前端に形成された開口31aとX方向の後端に形成された開口31b(図5参照)とを含む。
【0029】
上述のとおり、フロントハウジング31には、収容するフェルール10の凹部13a,14aを外部に露出させるためのスリットが形成されている。一例のスリットは、側壁33に形成されたスリット33a(フロントスリット)と側壁34に形成されたスリット34a(フロントスリット)とを含む。スリット33aは、側壁33の前端を基端として光軸方向に沿って側壁33の中央まで形成されており、スリット34aは、側壁34の前端を基端として光軸方向に沿って側壁34の中央まで形成されている。図3に示されるスリット33a,34aの先端は、例えば円弧状に形成されているが、スリット33a,34aの先端は、直線状に形成されていてもよい。
【0030】
Z方向において、スリット33aの中心位置と凹部13aの中心位置とは互いに一致しており、スリット34aの中心位置と凹部14aの中心位置とは互いに一致している。また、Z方向において、スリット33aの幅の大きさは、凹部13aの幅の大きさ以上であってよく、スリット34aの幅の大きさは、凹部14aの幅の大きさ以上であってよい。一例では、スリット33a,34aの幅の大きさ及び凹部13a,14aの幅の大きさは、いずれも同じであってよい。この場合、Y方向から見たときに、スリット33aを介して凹部13aの全幅が視認できる。また、Y方向から見たときに、スリット34aを介して凹部14aの全幅が視認できる。
【0031】
また、フロントハウジング31は、側壁35,36に、リアハウジング41が係合する係合部31hを備える。係合部31hは、一例として、係合孔であり、この係合孔にリアハウジング41の係合部42h(図3参照)が係合する。
【0032】
図4は、リアハウジングを示す斜視図である。リアハウジング41は、フロントハウジング31の内部に挿入される挿入部42と、挿入部42の後端で拡張する拡張部47と、挿入部42及び拡張部47を前後方向に貫通するとともに光ファイバテープ心線4が通される挿入孔41aとを有する。
【0033】
挿入部42は、例えば、フロントハウジング31の側壁33、側壁34、側壁35及び側壁36にそれぞれ対面する側壁43、側壁44、側壁45及び側壁46を含む。なお、側壁33、側壁34、側壁35及び側壁36によって形成される内部空間と側壁43、側壁44、側壁45及び側壁46によって形成される外周面とは、Z方向から見て略同一の矩形状をなしている。すなわち、リアハウジング41は、フロントハウジング31に対して、X方向に沿った回転軸を中心に180°回転させた2つの状態で取り付け可能となっている。図2の状態からリアハウジング41が180°回転した場合、側壁33、側壁34、側壁35及び側壁36は、側壁44、側壁43、側壁46及び側壁45にそれぞれ対面することになる。
【0034】
側壁45,46には、前述した係合部42hが設けられている。図示例の係合部42hは、三方向が囲まれるように切り欠かれて形成されており、先端に係合用の突起を含んでいる。側壁44は、光ファイバ3の並び方向(Z方向)に互いに対向する一対の側壁43,44のうちの一方である。側壁44には、光軸方向に延在するスリット44a(リアスリット)が形成されている。スリット44a、側壁44だけではなく、拡張部47にも形成されている。すなわち、スリット44aは、X方向においてリアハウジング41の一端から他端にかけて形成されている。スリット44aの幅は、例えば光ファイバテープ心線4が通過可能な大きさであってよい。フェルール10に収容された光ファイバテープ心線4(光ファイバ3)は、スリット44aを介して挿入孔41aに出し入れ可能となっている。フロントハウジング31にフェルール10が収容された状態のまま、フェルール10に収容された光ファイバテープ心線4をスリット44aから取り出し、リアハウジング41をフロントハウジング31から取り外すことができる。さらに、リアハウジング41を180°回転させた後、スリット44aから光ファイバテープ心線4を挿入孔41aに入れて、リアハウジング41をフロントハウジング31に取り付けることができる。
【0035】
図2に示すように、フロントハウジング31にリアハウジング41が係合された状態では、拡張部47がフロントハウジング31の後端に当接している。また、フロントハウジング31にリアハウジング41が係合された状態では、リアハウジング41とフェルール10との間にコイルスプリング50(図5参照)が配置されている。すなわち、フェルール10は、コイルスプリング50によって前方に向けて付勢されている。
【0036】
図2及び図4に示すように、拡張部47は、フロントハウジング31が配置される前方に向かって突出するラッチアーム48を備える。ラッチアーム48の基端は、拡張部47のXZ平面に沿った側面47aに設けられている。ラッチアーム48は、前方に向かって側壁43に沿った平面から離れるように傾斜し、Y方向の所定位置を頂上として、前方に向かって側壁43に沿った平面に近づくように傾斜している。すなわち、ラッチアーム48は、基端から頂上までを形成する第1部分48bと、頂上から先端までの形成する第2部分48cと、を含んで構成されている。
【0037】
第2部分48cのX方向の中央部分には、左右方向(Z方向)に突出するラッチ38aが設けられている。また、第2部分48cの先端には、フロントハウジング31のスリット33a及びスリット33bに位置決め可能な係止片49が設けられている。フロントハウジング31にリアハウジング41が装着された状態において、係止片49は、側壁33のスリット33a及び側壁34のスリット34aのいずれか一方に選択的に位置決めされている。
【0038】
係止片49は、略直方体形状をなしている。係止片49のZ方向の幅は、スリット33a,34aのZ方向の幅と実質的に同じであってよい。また、係止片49は、Y方向において側壁43に沿った平面に向かって突出する突出部49aを含む。突出部49aのZ方向の幅は、スリット33a,34aのZ方向の幅と実質的に同じであってよい。なお、図示される突出部49aのX方向における後方側の側面は、Y方向から見たときに、スリット33a,34aの先端と同様に円弧状に形成されているが、直線状に形成されていてもよい。無負荷状態において、Y方向における突出部49aの位置は、少なくとも拡張部47の側面47aの位置よりも挿入部42の側壁43の位置に近くなっていてよい。
【0039】
図5は、光コネクタを含む光接続構造を光軸方向に沿って切断した断面斜視図である。図5では、光接続構造100がZ方向の中央においてXY平面に沿って切断されている。アダプタ60は、ハウジング30A,30Bにそれぞれ収容された一対のフェルール10A,10Bを対向するように保持して、光接続させるための筒形状の部材である。そのため、アダプタ60は、ハウジング30が挿通される内側空間を有している。また、アダプタ60は、内部空間に挿通されたハウジング30のスリット33a,34aを介してフェルール10の凹部13a,14aと係合する凸部67a,64aを有する。これにより、X方向から見たときのアダプタ60とフェルール10との相対位置が決定される。
【0040】
アダプタ60は、例えば、PEI、PBT、PPS、PC、PMMA、PES、又はPA等の弾性を有する弾性材料によって構成される。アダプタ60の材料の線膨張係数とフェルール10A,10Bの材料の線膨張係数との差を小さくするため、アダプタ60の材料として、フェルール10A,10Bと同種の材料を用いてもよい。
【0041】
アダプタ60は、例えば、断面略矩形状の略筒状をなしており、フェルール10を収容したハウジング30の側面を覆っている。また、アダプタ60は、X方向の前端に形成された第1開口61とX方向の後端に形成された第2開口62とを含む。光接続構造100では、例えば第2開口62からアダプタ60内にフェルール10Aを収容したハウジング30Aが挿入され、第1開口61からアダプタ60内にフェルール10Bを収容したハウジング30Bが挿入される。それぞれのハウジング30に設けられたラッチアーム48のラッチ48aは、アダプタ60に係止される。ハウジング30をアダプタ60から抜き出す場合には、ラッチアーム48を摘まむようにして押圧することによって、ラッチ48aのアダプタ60に対する係止を解除することができる。
【0042】
アダプタ60は、フェルール10Aの先端部17と接続対象のフェルール10Bの先端部17とが互いに対向するように、フェルール10A,10Bと嵌合する。すなわち、凸部67a,64aは、フェルール10を収容するハウジング30がアダプタ60内に挿入された際、ハウジング30のスリット33a,34aを通ってフェルール10の凹部13a,14aに係合する。これにより、凸部67a,64aは、フェルール10のアダプタ60内部への挿入及び外部への抜出をガイドする。
【0043】
以上説明のように、光コネクタ1は、光ファイバ3を収容するフェルール10と、光ファイバ3の光軸方向に沿ってフェルール10の外周を覆うハウジング30と、を備え、ハウジング30は、光軸方向に沿って延在し、フェルール10を収容するフロントハウジング31と、ラッチアーム48を有し、フロントハウジング31に着脱可能なリアハウジング41と、を備え、ラッチアーム48は、フロントハウジング31の外周を構成する側壁に位置決め可能な係止片49を有する。
【0044】
光コネクタ1のように、フロントハウジングとリアハウジングとを備える構成において、リアハウジングのみにラッチアームを形成する場合には、ラッチアームの長さが長くなることがある。このような場合には、ラッチアームが延在方向に交差する方向(左右方向)にずれ易く、アダプタに対する挿入及び抜き取りがスムースに行えないことが考えられる。本実施形態では、リアハウジング41に設けられたラッチアーム48がフロントハウジング31の側壁33,34に位置決め可能となっている。したがって、ラッチアーム48がフロントハウジング31の側壁33,34のいずれかに位置決めされている状態では、ラッチアーム48が左右にずれることが抑制されている。また、アダプタ60から光コネクタ1を抜き取る場合には、ラッチアーム48を押圧する必要があるが、この場合にもラッチアーム48が左右にずれることが抑制されている。したがって、アダプタ60に対する光コネクタ1の挿入及び抜き取りを容易に行うことができる。
【0045】
フロントハウジング31の側壁33,34は、光軸方向に沿って延在するスリット33a,34aを含み、係止片49は、スリット33a,34aに挿入されることによって位置決め可能となっていてもよい。この構成では、ラッチアーム48がスリット33a,34aに挿入されることによって、スリット33a,34aの延在方向に交差する方向に関してラッチアーム48が位置決めされる。すなわち、ラッチアーム48が左右にずれることが抑制されている。また、光コネクタ1の抜き取りの際にラッチアーム48が押圧された場合には、係止片49がスリットに沿ってX方向に移動するため、ラッチアーム48を容易に弾性変形させることができる。
【0046】
係止片49は、側壁33及び側壁34にそれぞれ位置決め可能であり、フロントハウジング31にリアハウジング41が装着された状態において、側壁33及び側壁34のいずれか一方に位置決めされていてもよい。この構成では、フロントハウジング31に対するリアハウジング41の装着の態様を、ラッチアーム48の係止片49が側壁33に装着された態様と、ラッチアーム48の係止片49が側壁34に装着された態様とから選択することができる。
【0047】
リアハウジング41は、フェルール10に収容された光ファイバ3を出し入れ可能な、光軸方向に延在するスリット44aを有してもよい。この構成では、ハウジング30がフェルール10を収容している状態で、リアハウジング41のみを光コネクタ1から取り外すことが可能である。この場合、リアハウジング41は、フロントハウジング31に対して、光軸方向に沿った回転軸を中心に180°回転させた2つの状態で取り付け可能となっていてもよい。この構成では、フェルール10が複数の光ファイバ3を収容している場合に、光ファイバ3の配列とラッチアーム48の向きとの関係を変更することができる。
【0048】
例えば、図2のように、スリット33aに係止片49が挿入された状態を伴って、フロントハウジング31にリアハウジング41が装着されている場合を考える。この場合、フロントハウジング31から取り外されたリアハウジング41のスリット44aを光ファイバテープ心線4が通過することによって、リアハウジング41が光コネクタ1から独立する。そして、リアハウジング41のY方向の天地が反転した状態で、光ファイバテープ心線4がスリット44aを介してリアハウジング41の挿入孔41a内に収容される。この状態で、リアハウジング41がフロントハウジング31に装着されることによって、ラッチアーム48の係止片49はスリット33aに対向するスリット34aに挿入される。一連の操作の前後では、光ファイバ3の配列とラッチアーム48の向きとの関係が反対に成っている。
【0049】
以上、本開示に係る光接続構造について説明してきたが、本開示は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0050】
例えば、上記の実施形態では、フェルール10の側面13,14に凹部13a,14a(溝)を形成し、アダプタ60の内面に凸部67a,64aを形成し、凹部13a,14aに凸部67a,64aが入り混むことで、フェルール10のアダプタ60に対する位置決めが為されていた。しかしながら、これとは逆に、フェルール10の側面13,14に凸部(第1凸部、第2凸部)を形成して、アダプタ60の内面に凹部(溝)(第3凹部、第4凹部)を設けて、フェルール10がアダプタ60に挿入されるようにしてもよい。この場合、フェルール10の側面13,14に形成される凸部は、アダプタ60の凸部67a,64aのような形状であってもよく、もしくは、半円突起形状又は楕円突起形状であってもよく、アダプタ60の内面に形成される凹部は、フェルール10の側面13,14に形成される凹部13a,14a(V溝又はU溝等)のような形状であってもよい。
【0051】
また、リアハウジング41に形成されたスリット44aを介して光ファイバテープ心線4からリアハウジング41を取り外してリアハウジングを反転させる例を示したが、例えば、挿入孔41aに光ファイバテープ心線4が挿入された状態でリアハウジング41を反転可能であれば、スリット44aは必須の構成ではない。
【符号の説明】
【0052】
1…光コネクタ
3…光ファイバ
4…光ファイバテープ心線
10…フェルール
10A…フェルール
10B…フェルール
11…本体部
11a…窓部
11b…窓部
12…鍔部
13…側面
13a…凹部
14…側面
14a…凹部
15…側面
16…側面
17…先端部
18…後端部
19…レンズ
30…ハウジング
30A…ハウジング
30B…ハウジング
31…フロントハウジング
31a…開口
31b…開口
31h…係合部
33…側壁
33a…スリット(フロントスリット)
33b…スリット
34…側壁
34a…スリット(フロントスリット)
35…側壁
36…側壁
38a…ラッチ
41…リアハウジング
41a…挿入孔
42…挿入部
42h…係合部
43…側壁
44…側壁
44a…スリット(リアスリット)
45…側壁
46…側壁
47…拡張部
47a…側面
48…ラッチアーム
48a…ラッチ
48b…第1部分
48c…第2部分
49…係止片
49a…突出部
50…コイルスプリング
60…アダプタ
61…第1開口
62…第2開口
64a…凸部
67a…凸部
100…光接続構造
図1
図2
図3
図4
図5