(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072365
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B65H 29/24 20060101AFI20230517BHJP
B65G 47/46 20060101ALI20230517BHJP
B65G 15/58 20060101ALI20230517BHJP
B65H 29/32 20060101ALI20230517BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B65H29/24 B
B65G47/46 H
B65G15/58 B
B65H29/32 A
B65H29/60 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184878
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】523036340
【氏名又は名称】G.D株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】嶺川 尚宏
【テーマコード(参考)】
3F015
3F024
3F049
3F053
【Fターム(参考)】
3F015AA20
3F015FA00
3F015GA01
3F024CA06
3F049AA07
3F049BA01
3F049BB06
3F049DA03
3F049DB02
3F049DB11
3F049FB07
3F049FC21
3F049LA15
3F049LB07
3F053EC02
3F053EC06
3F053EC12
3F053EC18
3F053LA15
3F053LB07
(57)【要約】
【課題】供給されたワークを反転させて搬送する作業機を提供することを目的とする。
【解決手段】作業機1は、可撓性を有するシート状のワークWが当接されるベルト部材と、ベルト部材が調帯されベルト部材を走行させる駆動プーリ15と、ベルト部材が調帯される反転ローラ(反転ローラ群19)と、ワークWに吸引力を作用させることでベルト部材に対してワークWを当接させる吸引部(下側吸引ファン28、側方吸引ファン30)と、を備え、ベルト部材の上側からワークWを供給して該ワークWの第1の面Waを下方に向けた状態で第1の方向へ搬送し、吸引部(側方吸引ファン30)によってワークWの第1の面Waをベルト部材に当接させた状態で反転ローラを通過させ、ワークWが第1の面Waを上方に向けた状態でベルト部材の下側を搬送される際も吸引部(下側吸引ファン28)によりベルト部材に対するワークWの当接を維持させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート状のワークが当接されるベルト部材と、
前記ベルト部材が調帯され前記ベルト部材を走行させる駆動プーリと、
前記ベルト部材が調帯される反転ローラと、
前記ワークに吸引力を作用させることで前記ベルト部材に対して前記ワークを当接させる吸引部と、を備え、
前記ベルト部材の上側から前記ワークを供給して該ワークの第1の面を下方に向けた状態で第1の方向へ搬送し、前記吸引部によって前記ワークの第1の面を前記ベルト部材に当接させた状態で前記反転ローラを通過させ、前記ワークが前記第1の面を上方に向けた状態で前記ベルト部材の下側を搬送される際も前記吸引部により前記ベルト部材に対する前記ワークの当接を維持させる、作業機。
【請求項2】
前記ベルト部材の下方に設けられたワーク収容部を備え、
前記ベルト部材の下側まで搬送された前記ワークを落下させて前記ワーク収容部に前記ワークを収容する、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記ベルト部材の下側から前記ワークを供給し、前記吸引部によって前記ワークに吸引力を作用させることで前記ワークの第2の面を前記ベルト部材に当接させた状態で前記ワークを第2の方向へ搬送する、請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
上流から供給された前記ワークを前記ベルト部材の上側と下側の何れかに振り分ける振り分け手段を備えた、請求項1乃至3の何れかに記載の作業機。
【請求項5】
前記ベルト部材の下側を搬送される前記ワークを前記ベルト部材から分離させる分離手段を備えた、請求項1乃至4の何れかに記載の作業機。
【請求項6】
前記分離手段は、前記ワークを下方へ押圧する押圧部材を含む、請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記ベルト部材の走行方向を前記第1の方向と前記第2の方向の何れかに切り替える切り替え手段を備えた、請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するシート状のワークを搬送する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の内装用のパネルに用いられる可撓性を有するシート類(以下「ワーク」と称する。)は、ケースに積層された状態で生産工場に出荷される。そこで従来、ワークが積層される位置までワークを搬送するための作業機(ワーク搬送装置)が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、上部搬送コンベアと該上部搬送コンベアの下方に配置設けられた下部搬送コンベアとの重複搬送区域に搬送されてきたワークを全長に亘って一斉に吸引可能な吸引フードを重複搬送区域に併設し、重複搬送区域にワークが搬送される都度、吸引フードを介してワークを下部搬送コンベア上から上部搬送コンベア側へ一斉に吸引し、この状態でワークを搬送する構成が開示されている。所定位置まで搬送されたワークは、吸引フードによる吸引が解除されることで上部搬送コンベアから落下し、上部搬送コンベアの下方に設けられた堆積台に積層される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで生産現場においては、生産対象に応じて、作業機に供給されたワークの表裏を反転させた状態で積層したいというニーズが存在する。しかしながら上記従来技術では、供給されたワークを反転させて搬送することができないという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、ワークを反転させて搬送することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業機は、可撓性を有するシート状のワークが当接されるベルト部材と、前記ベルト部材が調帯され前記ベルト部材を走行させる駆動プーリと、前記ベルト部材が調帯される反転ローラと、前記ワークに吸引力を作用させることで前記ベルト部材に対して前記ワークを当接させる吸引部と、を備え、前記ベルト部材の上側から前記ワークを供給して該ワークの第1の面を下方に向けた状態で第1の方向へ搬送し、前記吸引部によって前記ワークの第1の面を前記ベルト部材に当接させた状態で前記反転ローラを通過させ、前記ワークが前記第1の面を上方に向けた状態で前記ベルト部材の下側を搬送される際も前記吸引部により前記ベルト部材に対する前記ワークの当接を維持させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、供給されたワークを反転させて搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における作業機の模式的な正面図
【
図2】本発明の一実施の形態における作業機を構成する作業機の模式的な平面図
【
図3】本発明の一実施の形態における作業機を構成するワーク搬送部の模式的な底面図
【
図4】本発明の一実施の形態における作業機を構成するワーク搬送部の模式的な側面図
【
図5】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図6】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図7】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図8】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図9】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図10】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図11】本発明の一実施の形態における作業機の動作説明図
【
図12】本発明の一実施の形態における作業機を構成するワーク搬送部の模式的な正面図
【
図13】本発明の一実施の形態における作業機の
図2に示す領域Rの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~4を参照して、本発明の一実施の形態における作業機について説明する。以下、ワークの搬送方向をX軸方向、X軸方向と平面視して直交する方向をY軸方向、XY平面に対して直交する方向をZ軸方向と称する。また、
図1において紙面右側を上流側、紙面左側を下流側と称する。
【0011】
図1において、作業機1は、可撓性を有するシート状部材であるワークWを所定方向に搬送する搬送装置である。作業機1は主として、床面Fに設置された架台2上にワーク振り分け部3、ワーク搬送部4、ワーク収容部5を含んで構成される。ワーク振り分け部3は、後述する多列ベルト14の上側又は下側の何れかにワークWを振り分けるものであり、駆動プーリ6と従動プーリ7にベルト部材8を調帯した(掛け回した)振り分けコンベア3Aを含んで構成される。
【0012】
振り分けコンベア3Aと上流側で隣接する位置には、図示しない切断装置によって所定サイズに切断されたワークWを振り分けコンベア3Aに受け渡すための受け渡しコンベア9が設けられている。受け渡しコンベア9は架台2に設置された基台10の上面に設けられている。
【0013】
振り分けコンベア3Aは、上流側に位置する駆動プーリ6の水平軸を中心として、下流側の従動プーリ7が上下方向に移動自在に設けられている(
図1に示す矢印a、
図1及び
図8)。振り分けコンベア3Aの下部には、シリンダ11が有するロッド12の先端と連結した連結部13が設けられている。シリンダ11は基台10に対して水平軸を中心に回動自在に設けられている。シリンダ11を駆動してロッド12を進退させることで、下流側の従動プーリ7が上下方向に移動する。
【0014】
すなわち、ロッド12を退避させた状態では、振り分けコンベア3Aは水平な姿勢となり(
図1)、多列ベルト14の下側にワークWを供給することが可能となる。また、ロッド12を伸ばした状態では(
図8)、振り分けコンベア3Aは下流側の従動プーリ7が上方に移動することで斜め上方に傾いた姿勢となり、多列ベルト14の上側にワークWを供給することが可能となる。
【0015】
ワーク搬送部4は振り分けコンベア3Aから供給されたワークWを所定方向に搬送するものであり、多列ベルト14と、多列ベルト14が調帯される(掛け回される)駆動プーリ15、多列ベルトガイドローラ16、複数の多列ベルト支持ローラ17、複数の多列ベルト水平ガイドローラ18、反転ローラ群(ローラ群)19と、を備えたベルトコンベアを含んで構成される。駆動プーリ15は、振り分けコンベア3AからワークWが供給される側の位置に設けられ、駆動モータ20(
図2)と接続されている。駆動モータ20は制御部21によって制御される。駆動モータ20を駆動させることで駆動プーリ15は回転し、これにより多列ベルト14は所定方向に走行する。駆動モータ20及び駆動プーリ15は、多列ベルト14(ベルト部材14a)を走行させる駆動部となっている。
【0016】
複数の多列ベルト支持ローラ17は駆動プーリ15よりも下流側において、上流から下流に向かうにつれて位置が漸次高くなるように配設されている。多列ベルトガイドローラ16は、最下流に配置される多列ベルト支持ローラ17よりもさらに下流側であって、多列ベルト支持ローラ17よりも高い位置に配置されている。したがって、多列ベルト14が駆動プーリ15を周回して、多列ベルト支持ローラ17と多列ベルトガイドローラ16によって支持される(これらのローラ上を走行する)第1区画E1(
図12)においては、多列ベルト14は斜め上方にガイドされる。
【0017】
多列ベルトガイドローラ16の上方であって、多列ベルト14上を搬送されるワークが斜め下方へ移動し始める位置には、ワーク浮き上がり防止ローラ22が配設されている。多列ベルトガイドローラ16とワーク浮き上がり防止ローラ22との隙間は1枚のワークWの厚み方向の長さ寸法と略同じである。ワーク浮き上がり防止ローラ22は、多列ベルト14上を搬送されるワークWの上面である第2の面Wbに当接することで、多列ベルト14に対するワークWの浮き上がりを防止する。
【0018】
図1、
図4及び
図9において、反転ローラ群19は複数(本実施の形態では5本)の反転ローラ(ローラ)19a~19eから成る。
図4において、各反転ローラ19a~19eをその長手方向から挟んだ位置には、対をなす取り付け板23が設けられている。反転ローラ19a~19eはその両端から突出した軸が取り付け板によって回転自在に支持されている(
図1に示す矢印b)。複数の反転ローラ19a~19eの夫々は高さ位置が異なっており、隣接する反転ローラ19a~19eの間には所定の隙間S(
図9)が設けられている。
図9では、反転ローラ19a,19bにおける隙間Sを例示している。
【0019】
図9において、最も高い位置にある第1の反転ローラ19aは多列ベルトガイドローラ16よりも下流側であって、且つ、多列ベルトガイドローラ16よりも下方の位置に設けられている。2番目に高い位置にある第2の反転ローラ19bは第1の反転ローラ19aよりも下流側であって、且つ、第1の反転ローラ19aよりも下方の位置に設けられている。3番目に高い位置にある第3の反転ローラ19cは第2の反転ローラ19bよりも下流側であって、且つ、第2の反転ローラ19bよりも下方の位置に設けられている。
【0020】
4番目に高い位置にある第4の反転ローラ19dは第3の反転ローラ19cよりも上流側であって、且つ、第3の反転ローラ19cよりも下方の位置に設けられている。第5の反転ローラ19eは第4の反転ローラ19dよりも上流側であって、且つ、第4の反転ローラ19dよりも下方の位置に設けられている。このように、複数の反転ローラ19a~19eは正面視して緩やかな弧(略「く」の字)を描くように配置されている。
【0021】
多列ベルト14が多列ベルトガイドローラ16を越えて第3の反転ローラ19cまで到達するまでの多列ベルト14の範囲は、上流から下流に向かうにつれて緩やかな下り勾配が続き、第3の反転ローラ19cから第5の反転ローラ19eまで到達するまでの多列ベルト14の範囲は、下流から上流に向かうにつれて緩やかな下り勾配となっている。したがって、多列ベルト14が多列ベルトガイドローラ16と反転ローラ群19によって支持される(これらのローラ上を走行する)第2区画E2(
図12)においては、多列ベルト14は弧を描くようにガイドされる。
【0022】
図8において、複数の多列ベルト水平ガイドローラ18は、第5の反転ローラ19eと駆動プーリ15の間における水平面内に沿った直線上の位置に所定間隔をあけて配設される。したがって、多列ベルト14が駆動プーリ15を周回して複数の多列ベルト水平ガイドローラ18によって支持される第3区画E3においては、多列ベルト14は水平方向にガイドされる。
【0023】
図13は
図2に示す領域Rの拡大図である。
図2及び
図13において、多列ベルト14は、走行方向に沿って伸びた帯状の複数のベルト部材14aから成る。本実施の形態では、走行方向と直交する方向に隙間T1を開けて隣接させた3本のベルト部材14aから成るベルト群14a1を、走行方向と直交する方向(Y軸方向)に所定の隙間T2をあけて各ローラに調帯させている。隣接するベルト部材14aの隙間T1は例えば2mmであり、隣接するベルト群14a1の隙間T2は例えば22~23mmである。第3区画E3に対応する多列ベルト14の高さ位置は、振り分けコンベア3Aの上面の高さ位置よりも高く設定される。ベルト群14a1を構成するベルト部材14aの数は3本に限られない。また、ベルト群14a1ごとにベルト部材14aの数は異なってもよい。
【0024】
図1において、ワーク搬送部4は、その全体が支持フレーム24によって支持される。支持フレーム24は旋回自在な複数のキャスター25を備えており、キャスター25を構成するローラが架台2上に接触している。支持フレーム24を架台2上で移動させることで、振り分けコンベア3Aとワーク搬送部4との距離を調整することができる。なお、ワーク搬送部4を移動させる構成はこれに限定されない。
【0025】
ワーク収容部5はワーク搬送部4によって搬送されたワークWを収容・回収するためのものであり、台車26に載置された複数(本実施の形態では2個)のケース27を含んで構成されている。複数のケース27は、第3区画E3に対応する多列ベルト14の下方の位置において、多列ベルト14の走行方向(言い換えればワークWの搬送方向)に沿って隣接して配置されている。ワーク搬送部4によって第3区画E3を搬送されるワークWは、後述する分離手段によって多列ベルト14から分離されてケース27に落下する。収容されるワークWが満杯になったならば、オペレータは台車26を多列ベルト14の下方から退避させ、空のケース27に載せ替えて多列ベルト14の下方に戻す。すなわち、ワーク収容部5はベルト部材14aの下方に設けられ、ベルト部材14aの下側まで搬送されたワークWを落下させることでワーク収容部5にワークWが収容される。
【0026】
図1及び
図3において、第3区画E3に対応する多列ベルト14の上方の位置には、吸引方向を下方に向けた姿勢の複数の下側吸引ファン(第1の吸引部)28が平面視して格子配列で設けられている。複数の下側吸引ファン28は制御部21によって個別に制御されることで、第3区画E3に対応する範囲にある多列ベルト14側を上方に向けて吸引する(
図9に示す矢印c)。隣接するベルト部材14aの間には所定の隙間T1が設けられ、また、隣接するベルト群14a1の間には所定の隙間T2が設けられており、これらの隙間T1,T2を通じて多列ベルト14の下方が吸引される。これにより、ワークWが外部からの作用を受けない状況下では、ワークWは下側吸引ファン28によって全範囲が吸引されることで多列ベルト14に接触した状態のまま第3区画E3を搬送される。
【0027】
図1、
図4、
図9において、第2区画E2に対応する多列ベルト14の側方の位置には、反転ローラ群19の配設側に吸引方向を向けた複数の側方吸引ファン(第2の吸引部)30がY軸方向に沿って所定間隔をあけて設けられている。複数の側方吸引ファン30には反転ローラ群19に向けて開口した整流用のフード31が設けられている。複数の側方吸引ファン30は制御部21によって個別に制御されることで、第2区画E2を走行する多列ベルト14側を吸引する(
図9に示す矢印d)。すなわち、第1区画E1を越えて搬送されるワークWを上流側に吸引することで、第2区画E2を走行する多列ベルト14にワークWを強制的に接触させ、多列ベルト14に沿ってワークWを撓ませながら第2区画E2を搬送させることができる。言い換えれば、側方吸引ファン30によってワークWを吸引しながら多列ベルト14を走行させることによって、第2区画E2を搬送されるワークWが落下しないようになっている。
【0028】
図1において、ワーク収容部5の上方であって、第3区画E3を走行するベルト群14a1の間の位置には、複数の節から成るリンク機構32によってZ軸方向に沿って移動自在な複数のパッド部材33が格子配列で設けられている。リンク機構32を駆動することで、パッド部材33は第3区画E3を走行する多列ベルト14よりも高い位置(
図5)と低い位置(
図1)との間を移動することができる。すなわち、第3区画E3を搬送されるワークWに対してパッド部材33を下降させることで、下側吸引ファン28の吸引による多列ベルト14に対するワークWの接触を強制的に解除してワークWを落下させることができる。落下したワークWはケース27に収容される。リンク機構32とパッド部材33は、ベルト部材14aの下側を搬送されるワークWをベルト部材14aから分離させる分離手段となっている。また、パッド部材33はワークWを下方へ押圧する押圧部材となっている。
【0029】
本実施の形態における作業機1は以上のように構成される。次に
図5~11を参照して、ワークWの搬送方法について説明する。本実施の形態における作業機1では、振り分けコンベア3Aから供給されるワークWを反転させずにワーク収容部5の上方まで搬送する第1の搬送モードと、振り分けコンベア3Aから供給されるワークWを反転させてワーク収容部5の上方まで搬送する第2の搬送モードの何れかによってワークWを搬送することができる。
図5以下では便宜上、支持フレーム24,取り付け板23、リンク機構32等の図示を省略している。
【0030】
図5~
図7を参照して、第1の搬送モードにおけるワークWの搬送方法について説明する。第1の搬送モードでワークWを搬送するに際しては、予め、シリンダ11のロッド12を退避させることで振り分けコンベア3Aを水平な姿勢にするとともに、ワーク搬送部4をX軸方向に移動させて多列ベルト14の一部と振り分けコンベア3Aの一部が上下方向において重なり合うようにオーバーラップさせる(
図5に示すオーバーラップ位置34)。これにより、振り分けコンベア3Aとワーク搬送部4の第3区画E3とを連結させた状態にする。また、制御部21は駆動モータ20を制御して多列ベルト14を第2の方向である矢印e方向(
図5)に走行させるとともに、下側吸引ファン28を駆動させる。
【0031】
まず
図5に示すように、受け渡しコンベア9は、上流側で所定サイズにカットされたワークWを下流側に搬送して(矢印f)、振り分けコンベア3Aに受け渡す(ST(ステップ)1:第1の搬送工程)。次いで、振り分けコンベア3Aは下流側のオーバーラップ位置34までワークWを矢印f方向に搬送する(ST2:第2の搬送工程)。オーバーラップ位置34には第3区画E3の一端部が含まれる。第1の搬送工程と第2の搬送工程では、ワークWは第1の面Waが下方から支持された状態で搬送される。
【0032】
次いで、ワークWを振り分けコンベア3Aから多列ベルト14へ受け渡し、ワークWをさらに下流側の矢印e方向へ搬送する(ST3:第3の搬送工程)。すなわち、第2の搬送工程でオーバーラップ位置34まで搬送されたワークWは、その前端部が下側吸引ファン28によって上方へ吸引されることによって撓み(矢印c)、前端部における第2の面Wbが多列ベルト14に接触する。
【0033】
そして
図6に示すように、多列ベルト14がさらに走行することによってワークWが振り分けコンベア3Aから離脱するとともに、ワークWの全領域が下側吸引ファン28によって上方から吸引されることで第2の面Wbが多列ベルト14に接触して搬送される。このように、振り分けコンベア3Aからワーク搬送部4にワークWが受け渡される過程で、ワークWの外部に接触する面が第1の面Waから第2の面Wbに切り替わる。
【0034】
すなわち、この工程(ST3)では、多列ベルト14の下側からワークWを供給し、下側吸引ファン(第1の吸引部)28によってワークWに吸引力を作用させることでワークWの第2の面Wbをベルト部材14aに当接させた状態でワークを第2の方向(矢印e方向)へ搬送する。
【0035】
次いで
図7に示すように、ワーク搬送部4によってワークWが所望のケース27の上方まで搬送されたタイミングでパッド部材33が下降することで(矢印g)、ワークWを多列ベルト14から強制的に引き離して落下させる(ST4:分離工程)。落下したワークWはケース27に収容される(ST5:収容工程)。この第1の搬送モードでは、ワークWは、振り分けコンベア3Aによる搬送時に下面側であった第1の面Waを下向きにしてワーク収容部5に収容される。
【0036】
制御部21はパッド部材33の昇降回数をカウントしており、パッド部材33の昇降回数が所定値に達したならば収容先のケース27が満杯になったと判断し、ワークWの収容先を他のケース27へ切り替える。なお、ワークWをカウントする方法はこれに限定されない。例えば、昇降自在なリフター(図示省略)にケース27を載置し、ワークWがケース27に収容される都度、リフターを1ワーク分だけ降下させるようにする。かかる場合、リフターの降下回数に基づいてケース27内のワークWが満杯になったか否かを判断する。
【0037】
次に
図8~
図11を参照して、第2の搬送モードにおけるワークWの搬送方法について説明する。第2の搬送モードでワークWを搬送するに際しては、
図8に示すように、予め、シリンダ11のロッド12を伸ばすことで振り分けコンベア3Aの下流側(従動プーリ7側)を上方に移動させて斜め上方に傾ける。これにより、振り分けコンベア3Aとワーク搬送部4の第1区画E1とを連結させた状態にする。また、制御部21は駆動モータ20を制御し、多列ベルト14を第1の方向である矢印h1方向に走行させるとともに、下側吸引ファン28及び側方吸引ファン30を駆動させる。
【0038】
すなわち、第2の搬送モードでは、第1の搬送モードとは逆の方向に多列ベルト14を走行させる。制御部21は、多列ベルト14(ベルト部材14a)の走行方向を第1の方向と第2の方向の何れかに切り替える切り替え手段となっている。
【0039】
まず
図8に示すように、受け渡しコンベア9は、上流側で所定サイズにカットされたワークWを下流側に搬送し(矢印f)、振り分けコンベア3Aに受け渡す(ST(ステップ)11:第4の搬送工程)。次いで、振り分けコンベア3AはワークWをワーク搬送部4における第1区画E1の一端部(始端)に向けて斜め上方に搬送する(矢印i。ST12:第5の搬送工程)。第4の搬送工程と第5の搬送工程では、ワークWは第1の面Waが下方から支持された状態で搬送される。
【0040】
次いで、ワークWを振り分けコンベア3Aから多列ベルト14へ受け渡し、多列ベルト14によってワークWを矢印h1方向へ搬送する(ST13:第6の搬送工程)。すなわち、振り分けコンベア3Aから搬出されたワークWは、第1の面Waが支持された状態で多列ベルト14に乗り移り、上流から下流に向けて第1区画E1を搬送される。このように、この工程(ST13)では、多列ベルト14(ベルト部材14a)の上側からワークWを供給してワークWの第1の面Waを下方に向けた状態で第1の方向へ搬送する。
【0041】
そして、ワークWは多列ベルト14の走行によって、第1区画E1を越えて第2区画E2をさらに搬送される。第2区画E2にワークWが到達した際、ワークWは側方吸引ファン30によって反転ローラ群19側に吸引されることで(
図9に示す矢印d)、多列ベルト14との接触を維持した状態となる。この状態で多列ベルト14がさらに走行することで、ワークWは落下することなく多列ベルト14に倣って撓みながら第2区画E2を搬送される(
図9に示す矢印h2)。すなわち、ワークWは側方吸引ファン30によって多列ベルト14に吸い寄せられた状態で第2区画E2を搬送される。多列ベルト14が走行する所定範囲(第2区画E2)は、ワークWを上下に反転させる反転エリアとなっている。
【0042】
ワークWの前端部分が第2区画E2を越えて第3区画E3に到達すると、下側吸引ファン28によって上方に吸引される(
図9に示す矢印c)。そして、多列ベルト14がさらに矢印h3方向に走行することで、第3区画E3に到達したワークWは側方吸引ファン30による吸引が解除される一方で、ワークWの全領域が下側吸引ファン28によって上方から吸引される。これにより、ワークWは第1の面Waが多列ベルト14に接触した状態のまま第3区画E3を下流から上流に向けて搬送される(
図9,
図10に示す矢印h3)。
【0043】
次いで
図11に示すように、ワーク搬送部4によってワークWが所望のケース27の上方まで搬送されたタイミングでパッド部材33が下降することで(矢印g)、ワークWを多列ベルト14から強制的に引き離して落下させる(ST14:分離工程)。落下したワークWはケース27に収容される(ST15:収容工程)。この第2の搬送モードでは、ワークWは、振り分けコンベア3Aによる搬送時に下面側であった第1の面Waを上向きにしてワーク収容部5に収容される。
【0044】
このように、本実施の形態における作業機1は、可撓性を有するシート状のワークWが当接されるベルト部材14a(多列ベルト14)と、ベルト部材14aが調帯され(掛け回され)ベルト部材14aを走行させる駆動プーリ15と、ベルト部材14aが調帯される(掛け回される)反転ローラ19a~19eと、ワークWに吸引力を作用させることでベルト部材14aに対してワークWを当接させる吸引部(下側吸引ファン28、側方吸引ファン30)と、を備えている。
【0045】
また、作業機1は、ベルト部材14aの上側(第1区画E1の始端)からワークWを供給して該ワークWの第1の面Waを下方に向けた状態で第1の方向へ搬送し、吸引部(第2の吸引部としての側方吸引ファン30)によってワークWの第1の面Waをベルト部材14aに当接させた状態で各反転ローラ19a~19eを通過させ、ワークWが第1の面Waを上方に向けた状態でベルト部材14aの下側(第3区画E3)を搬送される際も吸引部(第1の吸引部としての下側吸引ファン28)によりベルト部材14aに対するワークWの当接を維持させるようになっている。これにより、上流の振り分けコンベア3Aから供給されたワークWを反転させてワーク収容部5の上方まで搬送することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態における作業機1は、走行方向に沿って伸びた複数のベルト部材14aと、複数のベルト部材14aを走行させる駆動部(駆動プーリ15、駆動モータ20)と、複数のベルト部材14a側に向けて吸引することでワークWを複数のベルト部材14aに接触させる吸引部(下側吸引ファン28、側方吸引ファン30)と、を備え、複数のベルト部材14aは、走行方向と直交する方向に沿って所定の隙間T1又は隙間T2をあけて配置され、吸引部は、隣接するベルト部材14a,14aの隙間T1,T2を通じてワークWを吸引する。このような構成を有する作業機1によれば、簡易な構成でワークWを吸引しながら搬送することができる。
【0047】
本発明の作業機はこれまで説明した実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、反転ローラ19a~19eは一つであってもよい。また、ワーク搬送部4においては、多列ベルト14ではなく、複数の吸引孔が形成された1本の幅広なベルト部材を走行させるようにしてもよい。さらに、ワークWが所定のケースの上方に到達したならば、下側吸引ファン28の吸引を停止させることによってワークWをケース27に向けて落下させるようにしてもよい。かかる場合、パッド部材33とリンク機構32を省略できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
供給されたワークを反転させて搬送する作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 作業機(ワーク搬送装置)
3A 振り分けコンベア(振り分け手段)
4 ワーク搬送部
5 ワーク収容部
14 多列ベルト
14a ベルト部材
32 リンク機構(分離手段)
33 パッド部材(分離手段)
19a 第1の反転ローラ(反転ローラ)
19b 第2の反転ローラ(反転ローラ)
19c 第3の反転ローラ(反転ローラ)
19d 第4の反転ローラ(反転ローラ)
19e 第5の反転ローラ(反転ローラ)
28 下側吸引ファン(第1の吸引部)
30 側方吸引ファン(第2の吸引部)
W ワーク
Wa 第1の面
Wb 第2の面