(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007237
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】サドルおよび自転車またはバランスバイク
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B62J1/00 B
B62J1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110356
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】521209627
【氏名又は名称】株式会社ブーンカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺未来雄
(57)【要約】
【課題】高さ位置の調節代を大きくすることが可能となるサドルおよび同サドルを有する自転車を提供する。
【解決手段】本発明のサドル10は、自転車1に用いられるサドル10であって、先端部11に凹部16を有し、凹部16は、先端部11の下部側に設けられ、下方側に開放する凹状の形状とすることができる。凹部16は、自転車1のフレーム6の形状に対応した形状とすることができ、フレーム6の形状に対応した形状は、フレーム6と嵌め合うことが可能な形状とすることができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車またはバランスバイクに用いられるサドルであって、
先端部に凹部を有し、
前記凹部は、前記先端部の下部側に設けられ、下方側が開放する凹状の形状であることを特徴とするサドル。
【請求項2】
前記凹状の形状は、周縁部が湾曲した形状であることを特徴とする請求項1に記載のサドル。
【請求項3】
前記凹部は、前記先端部の中央部が前記前部から所定の長さ食い込む凹状の形状であり、前記先端部は二股に分かれた形状であることを特徴とする請求項1に記載のサドル。
【請求項4】
前記凹部は、前記自転車またはバランスバイクのフレームの形状に対応した形状であることを特徴とする請求項1に記載のサドル。
【請求項5】
前記フレームの形状に対応した形状は、前記フレームの長手方向に対して交差する方向に沿った断面形状における上部側の輪郭に対応した形状であることを特徴とする請求項4に記載のサドル。
【請求項6】
前記フレームの形状に対応した形状は、前記フレームと嵌め合うことが可能な形状とすることを特徴とする請求項4に記載のサドル。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のサドルを有することを特徴とする自転車またはバランスバイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サドルおよび自転車またはバランスバイクに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車のサドルは高さ調節可能となっており、例えば特許文献1にはこのような高さ調節可能なサドルを有する自転車の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は、低年齢で自転車に乗れるようになる子供も増え、よりサドルを低くした状態から、子供が成長しても同じ自転車に乗れるように、サドルの高さ位置の調節代を大きくした自転車の開発が望まれていた。しかし、児童用の自転車においては、車両全体の大きさが小さくなることから、フレームの形状が制約される。これに伴い、サドル高さの下限はフレームにより制限されてしまう。また、サドルのサイズを小さくするとサドル高さの下限も下げることができるが、乗り心地が変わってしまう。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、サドルの下限をより低くすることが可能となるサドルおよび同サドルを有する自転車またはバランスバイクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のサドルは、自転車またはバランスバイクに用いられるサドルであって、先端部に凹部を有し、前記凹部は、前記先端部の下部側に設けられ、下方側が開放する凹状の形状であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上記構成としたので、自転車にサドルを備えて、サドルの位置を下方に下げたときに先端部の下部側の凹部に自転車のフレームを嵌め合わせることが可能になる。これにより、サドル位置の下限をより下げることができる。
【0008】
前記凹状の形状は、周縁部が湾曲した形状である。
【0009】
前記凹部は、前記先端部の中央部が前記前部から所定の長さ食い込む凹状の形状であり、前記先端部は二股に分かれた形状とすれば、自転車のフレームを凹部の前部から所定の長さ食い込ませることが可能となり、サドル位置の下限をより一層下方に下げることができる。
【0010】
前記凹部は、前記自転車またはバランスバイクのフレームの形状に対応した形状とすれば、自転車のフレームを凹部に嵌め合わせ易くすることができる。
【0011】
前記フレームの形状に対応した形状は、より詳しくは、前記フレームの長手方向に対して交差する方向に沿った断面形状における上部側の輪郭に対応した形状である。
【0012】
前記フレームの形状に対応した形状は、前記フレームと嵌め合うことが可能な形状である。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の自転車またはバランスバイクは、上記のサドルを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サドル高さ調整の下限をより低くすることが可能となるサドルおよび同サドルを有する自転車またはバランスバイクを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るサドルを有する自転車の全体構成を示す右側面図で、(a)はサドルを高く調整した状態を示す右側面図、(b)はサドルを低く調節した状態を示す右側面図である。
【
図8】同サドルを自転車のフレームに嵌め合わせた状態を示す一部断面を含む正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るサドルを有する自転車の全体構成を示す右側面図、
図2は、同サドルの構成を示す平面図、
図3は、同サドルの構成を示す右側面図、
図4は、同サドルの構成を示す左側面図、
図5は、同サドルの構成を示す底面図、
図6は、同サドルの構成を示す正面図、
図7は、同サドルの構成を示す背面図である。なお、以下の説明において、自転車1の前輪4側を前方(フレーム6cの長手方向、軸方向)、後輪5側を後方(フレーム6cの長手方向、軸方向)、自転車1にユーザが乗った状態においてユーザの右手側を右方(フレーム6cの長手方向に直交する方向)、左手側を左方(フレーム6cの長手方向に直交する方向)、上側を上方(フレーム6cの長手方向に直交する方向)、下側を下方(フレーム6cの長手方向に直交する方向)とし、各方向を図において明示するものとする。
【0017】
図1を参照して本発明の実施形態に係る自転車1は、ハンドル2、ペダル3、前輪4、後輪5、およびサドル10を有しており、サドル10にユーザが跨りつつペダル3を漕ぐことによって自走することができる。自転車1は、自転車1の骨格をなすフレーム6を有しており、フレーム6を介してハンドル2、ペダル3、前輪4、後輪5、およびサドル10が連結する構成となっている。
【0018】
フレーム6は、フレーム部分6a,6b,6cを有している。フレーム部分6aは、サドル10に向かって軸状にかつ上方に延びるフレーム6の部分であり、サドル10を支持することができる。フレーム部分6bは、ハンドル2に向かって軸状にかつ上方に延びるフレーム6の部分であり、ハンドル2を支持することができる。フレーム部分6cは、サドル10を支持するフレーム部分6aからハンドル2を支持するフレーム部分6bに至るフレーム6の部分である。フレーム部分6cは、軸状をなしており、後方から前方に行くにしたがって直線状に傾斜しながら上昇するように延びている。フレーム部分6cは、内部が中空で上端側が開口している。フルーム部分6cは、サドル10の下方側にあるフレーム部分である。
【0019】
サドル10は、所定の骨格部材の上面にウレタン等の弾力性のある部材を設けて形成されており、弾力性のある部材の表面が皮革等の表皮で覆われた構成となっている。
【0020】
サドル10は、
図2~
図7に示すように、先端部11から中間部12にかけては、幅狭で細長の形状として平面視の輪郭が略直線状または曲線状となっている。サドル10は、先端部11から中間部12にかけては、幅寸法が後方に行くにしたがって漸次増加している。
【0021】
サドル10は、中間部12から後端部13にかけては、平面視の輪郭が曲線状となっている。より詳しくは、サドル10は、中間部12から後端部13にかけては、中間部12から後端部13における中間位置14までは膨出するように幅寸法を漸次大きくし、中間部12から後端部13における中間位置14から後端位置15までは収縮するように幅寸法を漸次小さくしている。ユーザは、サドル10の中間部12から後端部13に至る部分に臀部を載せながら、先端部11から中間部12に至る細長の形状部分を股間から突出させつつ跨ることができる。
【0022】
サドル10の底面側は、軸状の支持体18により支持されている。支持体18は、フレーム部分6cの中空の内部に挿入されつつ上下に移動可能となっている。サドル10は、支持体18を介して高さ位置を調節することができる。フレーム部分6cには、支持体18の上下方向の位置を所定の高さ位置で固定するためのストッパー17が設けられている。
【0023】
サドル10は、先端部11に凹部16を有している。凹部16は、先端部11の中央部の下部側に設けられ、下方側に開放(開口)する凹状の形状である。凹部16の凹状の形状は、周縁部16aを湾曲した形状である。
湾曲した形状は、より詳しくはフレーム6cの長手方向(フレーム6cの軸方向)に対して交差する方向(より詳しくは直交する方向)に沿った開放(開口)する部分の間隔dが下方から上方に行くにしたがって漸次大きくなるように設定されており、開放(開口)する部分の形状が上方に突出する略山型の形状である。
【0024】
凹部16は、自転車1のフレーム部分6cの形状に対応した形状とすることができる。フレーム部分6cの形状に対応した形状は、
図8に示すように、フレーム6cの長手方向(フレーム6cの軸方向)に対して交差する方向(より詳しくは直交する方向)に沿った断面形状における上部側の輪郭6c´に対応した形状である。フレーム6cの形状に対応した形状は、フレーム6cと嵌め合うことが可能な形状である。
【0025】
すなわち、サドル10をこのような構成とすることで、サドル10の位置を下方に下げたときに先端部11の下部側の凹部16に自転車1のフレーム部分6cの上部側を嵌め合わせることが可能になる。これにより、サドル10の位置をより下方に下げることができ、高さ位置の調節代を大きくすることが可能となる。
【0026】
つまり、凹部16は、自転車1のフレーム部分6cの形状に対応した形状であることとしたので、自転車1のフレーム部分6cを凹部16に嵌め合わせ易くすることができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく特許請求の範囲内において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0028】
例えば、凹部16が設けられるサドル10は上述した実施形態の形状に限定されることなく各種の形状を採用することができる。
また、上述した実施形態にあっては、凹部16は、湾曲した形状より詳しくは山型の形状としているが、フレーム部分6cと嵌め合うことが可能な形状であれば、三角形状や四角形状、円弧形状、楕円弧形状等各種の形状とすることができる。
更に、凹部16はフレーム部分6cと嵌め合う形状としているが、サドル10の下方側にあるフレームであって、サドル10の位置を下方に下げたときにサドル10の先端部11側が干渉するフレームと嵌め合う構成とすればよい。
【0029】
更に、上述した実施形態の凹部16に代えて、
図9に示す凹部16´をサドル10に設け、凹部16´は、先端部11の中央部11aが前部から所定の長さ食い込む凹状の形状とし、先端部11は二股に分かれた形状としてもよい。サドル10の先端部11にこのような凹部16´を設けることで、自転車1のフレーム部分6cを凹部16´の前部から所定の長さ食い込ませることが可能となり、サドル10の位置をより一層下方に下げることができる。
【0030】
更にまた、本発明10のサドル10を有する自転車1は、一般用自転車、幼児用自転車、ペダル無しのバランスバイク、スポーツ専用自転車、電動アシスト自転車、三輪自転車、特殊自転車等各種の自転車を採用することができる。
【符号の説明】
【0031】
d:間隔
1:自転車
2:ハンドル
3:ペダル
4:前輪
5:後輪
6:フレーム
6a,6b,6c:フレーム部分
10:サドル
11:先端部
12:中間部
13:後端部
14:中間位置
15:後端位置
16,16´:凹部
16a:周縁部
17:ストッパー
18:支持体