(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072386
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】電気機器システムおよび連結部材
(51)【国際特許分類】
H01R 31/06 20060101AFI20230517BHJP
G08B 21/16 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01R31/06 A
G08B21/16
H01R31/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184920
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】西岡 吉行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA02
5C086DA16
5C086FA11
5C086GA10
(57)【要約】
【課題】複数のユニットを連結したシステムにおける各ユニットの接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニットの設置作業を簡素化することが可能な電気機器システムを提供する。
【解決手段】このガス検知システム(電気機器システム)100は、複数のユニット10と、複数のユニット10のうち隣り合う第1ユニットU1および第2ユニットU2を外部から連結する連結部材200とを備える。連結部材200は、基板110を収容する収容部120と、基板110に接続され、第1ユニットU1と着脱可能に結合する第1結合部130と、基板110に接続され、第2ユニットU2と着脱可能に結合する第2結合部140と、を含み、第1ユニットU1および第2ユニットU2を連結した際に、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを電気的に接続するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットを連結して構成される電気機器システムであって、
前記複数のユニットと、前記複数のユニットのうち隣り合う第1ユニットおよび第2ユニットを外部から連結する連結部材とを備え、
前記連結部材は、
基板を収容する収容部と、
前記基板に接続され、前記第1ユニットと着脱可能に結合する第1結合部と、
前記基板に接続され、前記第2ユニットと着脱可能に結合する第2結合部と、を含み、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを連結した際に、前記第1ユニットと前記第2ユニットとを電気的に接続するように構成されている、電気機器システム。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1ユニットと前記第2ユニットとを、電力供給可能かつ通信可能に接続するように構成されている、請求項1に記載の電気機器システム。
【請求項3】
前記連結部材は、前記第1結合部と前記第2結合部との間を接続する接続部をさらに含み、
前記接続部は、所定範囲内で前記第1結合部と前記第2結合部との相対移動を許容するように構成されている、請求項1または2に記載の電気機器システム。
【請求項4】
前記基板は、前記第1結合部が装着された第1基板と、前記第2結合部が装着された第2基板とを含み、
前記収容部は、前記第1結合部および前記第1基板を収容する第1収容部と、前記第2結合部および前記第2基板を収容する第2収容部と、を含み、
前記接続部は、前記第1基板と前記第2基板とを接続するケーブル部と、前記ケーブル部を収容するとともに、前記第1収容部および前記第2収容部に接続される第3収容部とを含む、請求項3に記載の電気機器システム。
【請求項5】
前記複数のユニットの各々は、前記連結部材が取り付けられる取付部が形成された上面と、前記複数のユニットの各々を所定の位置に固定する際に用いられるユニット固定用部材に結合される固定部が形成された他の面と、を含む箱状形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気機器システム。
【請求項6】
前記複数のユニットの少なくとも1つは、ガス検知部を備えたガス検知ユニットである、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気機器システム。
【請求項7】
複数のユニットを外部から連結する連結部材であって、
基板を収容する収容部と、
前記基板に接続され、第1ユニットと着脱可能に結合する第1結合部と、
前記基板に接続され、第2ユニットと着脱可能に結合する第2結合部と、を備え、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを連結した際に、前記第1ユニットと前記第2ユニットとを電気的に接続するように構成されている、連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機器システムおよび連結部材に関し、特に、複数のユニットを備えた電気機器システムおよび複数のユニットの連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユニットを備えた電気機器システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数のガス濃度監視ユニットと、電源ユニットと、警報発生ユニットとが連結されたシステムが開示されている。各ユニットは上下方向に扁平な箱状形状を有し、ユニットの左側面から外向きに突出する突出部からなる連結部と、ユニットの右側面において突出部を受容する凹状の受容部からなる被連結部と、を有する。右側のユニットの突出部を、左側のユニットの受容部内に配置し、ねじ部材によって突出部と受容部とが結合されることにより、ユニット同士が機械的に連結される。そして、隣り合うユニット同士の連結によって、全てのユニットが横並びに配列された状態で互いに連結される。各ガス濃度監視ユニットは、定置型のガス検知機構よりのガス濃度信号を受けて当該ガス濃度を監視する。電源ユニットは、外部よりの電力を各ユニットに供給する。警報発生ユニットは、ガス濃度監視ユニットから警報発生用指示信号が送られることによって警報ブザーを発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、連結部と被連結部との結合によって各ユニットが機械的に連結される一方で、各ガス濃度監視ユニットおよび警報発生ユニットの電源ユニットへの電気的接続、各ガス濃度監視ユニットの警報発生ユニットへの電気的接続を、別途行う必要がある。そのため、システムを構築する際の各ユニットの設置作業(連結作業および電気的接続作業)が繁雑になる。特に、システムを構成するユニット数が多くなるほど作業の繁雑さが増大するという課題がある。また、ユニット間には、連結部と被連結部との連結構造に加えて、電気的接続用の部材を設ける必要があるため、ユニット間の接続に関わる構成が複雑になるという課題がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数のユニットを連結したシステムにおける各ユニットの接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニットの設置作業を簡素化することが可能な電気機器システムおよび連結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電気機器システムは、複数のユニットを連結して構成される電気機器システムであって、複数のユニットと、複数のユニットのうち隣り合う第1ユニットおよび第2ユニットを外部から連結する連結部材とを備え、連結部材は、基板を収容する収容部と、基板に接続され、第1ユニットと着脱可能に結合する第1結合部と、基板に接続され、第2ユニットと着脱可能に結合する第2結合部と、を含み、第1ユニットおよび第2ユニットを連結した際に、第1ユニットと第2ユニットとを電気的に接続するように構成されている。
【0008】
なお、本明細書における「第1ユニット」、「第2ユニット」は、互いに隣接する2つのユニットの一方と他方とを意味し、それぞれ特定のユニットを指すものではない。そのため、たとえば3つのユニットA、B、Cがこの順で一列に並んでいる場合を仮定すると、ユニットA、ユニットBがそれぞれ第1ユニット、第2ユニットに該当するとともに、ユニットB、ユニットCがそれぞれ第1ユニット、第2ユニットに該当する。2つのユニットA、Cに挟まれた中間のユニットBは、一方のユニットAに対して第2ユニットであると同時に、他方のユニットCに対して第1ユニットでありうる。
【0009】
この発明の第1の局面による電気機器システムでは、上記構成により、連結部材の第1結合部を第1ユニットに結合し、第2結合部を第2ユニットに結合することによって、隣り合う第1ユニットと第2ユニットとが連結部材を介して連結されるとともに電気的に接続される。すなわち、連結部材によって第1ユニットと第2ユニットとを機械的に連結するだけで、連結した際に第1ユニットと第2ユニットとの電気的接続も実現できる。また、ユニット間の機械的連結と電気的接続とを別々の部材で行う場合と異なり、ユニット間の機械的連結と電気的接続とを1つの連結部材だけで行える。その結果、複数のユニットを連結したシステムにおける各ユニットの接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニットの設置作業を簡素化することができる。
【0010】
上記第1の局面による電気機器システムにおいて、好ましくは、連結部材は、第1ユニットと第2ユニットとを、電力供給可能かつ通信可能に接続するように構成されている。このように構成すれば、1つの連結部材によって、第1ユニットと第2ユニットとの一方から他方への電力供給を可能とし、かつ、第1ユニットと第2ユニットとの間の通信接続が可能となる。そのため、たとえば第1ユニットと第2ユニットとを、給電用のケーブルと通信用のケーブルとで別々に接続する構成と比べて、各ユニットの接続に関わる構成およびユニット設置(接続)作業を効果的に簡素化できる。電気機器システムに用いる接続用部材の数は、ユニット1台当たりの接続用部材の数とユニット数との乗算になる。そのため、ユニット1台当たりの接続用部材の数が減少することは、特に電気機器システムを構成するユニット数が多い場合に有益である。
【0011】
上記第1の局面による電気機器システムにおいて、好ましくは、連結部材は、第1結合部と第2結合部との間を接続する接続部をさらに含み、接続部は、所定範囲内で第1結合部と第2結合部との相対移動を許容するように構成されている。このように構成すれば、連結部材を取り付ける際の第1ユニットの位置と第2ユニットの位置との位置ずれを、接続部によって所定範囲内で許容することができる。ここで、上記特許文献1のように突出部と受容部とをねじ部材によって結合する構成では、突出部のねじ穴と受容部のねじ穴とが重なるまで2つのユニットの位置合わせを正確に行う必要があり作業が煩雑である。これに対して、上記構成では、接続部がユニット間の位置ずれを所定範囲内で許容(吸収)できるので、ユニットの位置合わせの要求精度を緩和することができ、その結果、ユニット設置(接続)作業を容易にすることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、基板は、第1結合部が装着された第1基板と、第2結合部が装着された第2基板とを含み、収容部は、第1結合部および第1基板を収容する第1収容部と、第2結合部および第2基板を収容する第2収容部と、を含み、接続部は、第1基板と第2基板とを接続するケーブル部と、ケーブル部を収容するとともに、第1収容部および第2収容部に接続される第3収容部とを含む。このように構成すれば、第1収容部内の第1基板と、第2収容部内の第2基板とが、第3収容部内のケーブル部によって接続されるので、ユニット間の位置ずれによって第1収容部と第2収容部との位置がずれた場合でも、柔軟なケーブル部が位置ずれに合わせて変形することができる。そして、第1収容部および第2収容部が第3収容部を介して接続されるので、ユニット設置作業時に、ユニット間の位置ずれによって連結部材に引張力が作用する場合でも、相互接続された第1~第3収容部に引張力を支持させることによって、ケーブル部に過度な引張力が作用することを抑制できる。
【0013】
上記第1の局面による電気機器システムにおいて、好ましくは、複数のユニットの各々は、連結部材が取り付けられる取付部が形成された上面と、複数のユニットの各々を所定の位置に固定する際に用いられるユニット固定用部材に結合される固定部が形成された他の面と、を含む箱状形状を有する。このように構成すれば、取付部が形成された上面とは異なる他の面で、各ユニットをまとめてユニット固定用部材に固定することができる。これにより、各ユニットの上記他の面をユニット固定用部材に取り付けた後でも、ユニット固定用部材が邪魔になることなく、各ユニットの上面において連結部材を取り付ける作業を行える。また、ユニットを増設する場合やユニットを取り除く場合にも、各ユニットをユニット固定用部材に固定した状態のままで連結部材の着脱を行える。そのため、たとえば1つのユニットを追加するためだけに既設のユニット全てをユニット固定用部材から取り外すような作業が不要になるので、電気機器システムの構築後にシステム構成を変更する作業を簡素化することができる。
【0014】
上記第1の局面による電気機器システムにおいて、好ましくは、複数のユニットの少なくとも1つは、ガス検知部を備えたガス検知ユニットである。このように構成すれば、設置場所におけるガス監視箇所の数に応じてガス検知ユニットの数を増減することが可能な柔軟性を有するガス検知システムを得ることができる。この結果、ガス監視箇所の数が多い場合にはガス検知ユニットの数を多くすることができ、その場合でも、各ユニットの接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニットの設置作業を簡素化することができる。
【0015】
この発明の第2の局面による連結部材は、複数のユニットを外部から連結する連結部材であって、基板を収容する収容部と、基板に接続され、第1ユニットと着脱可能に結合する第1結合部と、基板に接続され、第2ユニットと着脱可能に結合する第2結合部と、を備え、第1ユニットおよび第2ユニットを連結した際に、第1ユニットと第2ユニットとを電気的に接続するように構成されている。
【0016】
この発明の第2の局面による連結部材では、上記構成により、上記第1の局面と同様に、連結部材によって第1ユニットと第2ユニットとを機械的に連結するだけで、連結した際に第1ユニットと第2ユニットとの電気的接続も実現できる。また、ユニット間の機械的連結と電気的接続とを別々の部材で行う場合と異なり、ユニット間の機械的連結と電気的接続とを1つの連結部材だけで行える。その結果、複数のユニットを連結したシステムにおける各ユニットの接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニットの設置作業を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、複数のユニットを連結したシステムにおける各ユニットの接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニットの設置作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】5つのユニットを備えたガス検知システムを例示した斜視図である。
【
図2】ガス検知システムの各ユニットと配管との接続を示した模式図である。
【
図3】連結部材を第1ユニットおよび第2ユニットから分離させた状態を示す模式図(A)、および、第1ユニットおよび第2ユニットを連結部材で連結した状態を示す模式図(B)である。
【
図5】連結部材の長手方向に沿った模式的な断面図である。
【
図7】連結部材による第1ユニットと第2ユニットとの電気的な接続を説明するための模式図である。
【
図8】第1収容部、第2収容部および第3収容部を示した分解斜視図である。
【
図9】第1結合部と第2結合部とを近づけた状態(A)、第1結合部と第2結合部とを離れさせた状態(B)、第1結合部および第2結合部をそれぞれ接続部に対して回動させた状態(C)を示した模式図である。
【
図11】ユニットの上面の取付部を説明するための斜視図である。
【
図12】ユニットを第1固定部により固定した例(A)およびユニットを第2固定部により固定した例(B)を示した模式的な側面図である。
【
図13】ガス検知システムの制御に関わる構成を説明するためのブロック図である。
【
図14】変形例による連結部材を説明するための模式図である。
【
図15】第1収容部と第2収容部とを回動可能に接続した変形例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1~
図13を参照して、一実施形態によるガス検知システム100および連結部材200の構成について説明する。ガス検知システム100は、特許請求の範囲の「電気機器システム」の一例である。
【0021】
(ガス検知システムの構成)
図1に示すガス検知システム100は、監視対象環境の雰囲気を取り込み、雰囲気中に含有される検知対象ガスの検知を行うシステムである。ガス検知システム100は、採取ガス中の検知対象ガス濃度が予め設定された所定値以上の高濃度である場合に、高濃度の検知対象ガスが検知されたことを報知する機能を有する。検知対象ガスは、特に限定されないが、人体に対する毒性を有するガスや、可燃性を有するガスなど、監視が必要とされるガスである。
【0022】
ガス検知システム100は、たとえば、検知対象ガスを使用する工場などに設置される。一例としては、ガス検知システム100は半導体製造工場に設置され、半導体材料ガス、水素ガス等の可燃性ガスの漏洩を検知する。この場合、ガス採取される監視対象環境は、たとえばガス供給装置の設置箇所、排気ダクト、作業員の作業領域などである。
【0023】
図1に示すように、ガス検知システム100は、複数のユニット10を備える。ガス検知システム100は、複数のユニット10を連結して構成される電気機器システムである。
図1は、5つのユニット10を設けた例を示している。
【0024】
それぞれのユニット10は、同一構成を有してもよいし、互いに異なる構成を有していてもよい。本実施形態では、ガス検知システム100は、1つのメインユニット11と、1つ以上のサブユニットとを備える。サブユニットは、メインユニット11とは構成が異なるユニットであり、メインユニット11の機能拡張用のユニットである。
図1の構成例では、サブユニットには、ガス検知ユニット12と、接続ユニット13との2種類が含まれる。
【0025】
複数のユニット10は、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されている。
図1の例では、複数のユニット10は、相似した外形形状を有する。すなわち、複数のユニット10の各々は、共通して、直方体形状の筐体を有し、縦長(上下)の長方形状の前面部を有する。複数のユニット10は、幅方向(左右方向)に直線状に配列される。
【0026】
本実施形態では、ガス検知システム100は、複数のユニット10のうち隣り合う第1ユニットU1(
図3参照)および第2ユニットU2(
図3参照)を外部から連結する連結部材200を備える。連結部材200は、各ユニット10とは別体で設けられた部品であり、ユニット10に対して着脱可能である。第1ユニットU1と第2ユニットU2とは、ガス検知システム100が備える複数のユニット10のうち、隣り合う2つのユニット10の一方と他方とを意味する。連結部材200が隣り合う2つのユニット10を連結するため、
図1の例では、5つのユニット10に対して、合計4つの連結部材200が設けられている。それぞれの連結部材200の構成は同一である。連結部材200の詳細な構成については、後述する。
【0027】
本実施形態では、複数のユニット10の少なくとも1つは、ガス検知部を備えたガス検知ユニットである。具体的には、
図2に示すように、1台のメインユニット11と、3台のガス検知ユニット12とが、ガス検知部(23、33、
図2参照)を備えたガス検知ユニットである。
【0028】
メインユニット11は、筐体11a内に、制御部21、ガス検知部23および表示部25を有する。メインユニット11は、筐体11aの下面に設けられたガス導入口11bおよびガス排出口11cを有する。ガス検知部23は、ガス導入口11bから導入された採取ガス中に含まれる検知対象ガスを検知し、採取ガスをガス排出口11cから排出する。制御部21は、ガス検知部23によるガス検知結果(検知ガス濃度)を取得する。ガス導入口11b、ガス排出口11cには、ガスを流通させる配管50が接続される。
【0029】
メインユニット11の制御部21は、サブユニットの制御の少なくとも一部を実行する。メインユニット11とサブユニットとの通信が、連結部材200を介して行われる。
【0030】
ガス検知ユニット12は、筐体12a内に、ガス検知部33を備える。ガス検知ユニット12は、筐体12aの下面に設けられたガス導入口12bおよびガス排出口12cを有する。ガス検知部33は、ガス導入口12bから導入された採取ガス中に含まれる検知対象ガスを検知し、採取ガスをガス排出口12cから排出する。ガス検知ユニット12は、メインユニット11に対して、ガス検知部の数を増大させる拡張機能を有する。ガス導入口12b、ガス排出口12cには、ガスを流通させる配管50が接続される。
【0031】
また、接続ユニット13は、筐体13a内に、信号を入力および/または出力するための接続モジュール41を備える。接続モジュール41は、複数の外部機器60と接続するための入出力インターフェースをモジュール化したものである。接続ユニット13は、接続モジュール41に接続された外部機器60と、メインユニット11との間の信号のやり取りを中継する機能を有する。接続ユニット13は、メインユニット11に対して、信号入力の最大接続数を増大させたり、信号出力の最大接続数を増大させたり、あるいは接続可能なインターフェースの種類数を増大させたりする拡張機能を有する。
【0032】
(連結部材)
次に、連結部材200について説明する。
図3(A)および(B)に示すように、連結部材200は、基板110を収容する収容部120と、第1結合部130と、第2結合部140と、を含む。また、本実施形態では、連結部材200は、第1結合部130と第2結合部140との間を接続する接続部150を含む。
【0033】
連結部材200は、第1ユニットU1および第2ユニットU2の取付部80にそれぞれ装着されることにより、第1ユニットU1と第2ユニットU2を機械的に連結する。そして、連結部材200は、第1ユニットU1および第2ユニットU2を連結した際に、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを電気的に接続するように構成されている。
【0034】
本明細書における「機械的に連結」とは、別々の物体(ユニット10)同士を、相対移動が制限されるように結合させることを意味する。「機械的に」とは、その連結が物体同士の相対位置や運動を制約したり、物体間で力を伝達したりする物理的(力学的)な性質を意味し、電気的接続とは区別されるものとする。電気的接続は、別々の物体(ユニット10の電気回路)同士を、接続された物体間で電流が流れるように接続することを意味する。「電気的」とは、接続された物体間で電流が流れることを可能とする接続であることを要するが、その接続が物体同士の機械的(物理的)な連結構造を何ら限定しないことを意味する。
【0035】
連結部材200は、第1ユニットU1と第2ユニットU2との相対移動を所定範囲内で許容するように、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを連結するように構成されている。連結部材200は、連結状態において、少なくとも1つの方向における第1ユニットU1と第2ユニットU2との相対移動を許容するように構成されている。また、連結部材200は、連結状態において、少なくとも他の1つの方向における第1ユニットU1と第2ユニットU2との相対移動を規制するように構成されている。
【0036】
以下、連結部材200の詳細な構造を説明する。
【0037】
第1結合部130は、基板110に接続され、第1ユニットU1と着脱可能に結合するように構成されている。また、第2結合部140は、基板110に接続され、第2ユニットU2と着脱可能に結合するように構成されている。これらの第1結合部130および第2結合部140は、ユニット10の取付部80に設けられた後述する受容部82(
図3参照)と結合可能なコネクタである。
【0038】
収容部120は、基板110を収容するケース部材である。収容部120は、基板110を保護する機能を有する。本実施形態では、
図4に示すように、収容部120は、第1収容部121と、第2収容部122とを含む。収容部120(第1収容部121、第2収容部122)は、絶縁性を有する樹脂材料からなる。
【0039】
図5に示すように、基板110は、第1結合部130が装着された第1基板111と、第2結合部140が装着された第2基板112とを含む。第1結合部130は第1基板111に固定されている。第2結合部140は第2基板112に固定されている。第1基板111と第2基板112とは、後述するケーブル部151を介して互いに接続されている。第1基板111と第2基板112とは、ケーブル部151とともに第1結合部130と第2結合部140との間を電気的に接続する電気回路部分を構成する。
【0040】
第1収容部121は、連結部材200の一端部101に配置されている。第1収容部121は、第1結合部130および第1基板111を収容する。第1収容部121は、底面および接続部150側の端面が開放された箱状形状(
図4参照)を有する。第1結合部130が設けられた第1基板111が、第1収容部121内に収容され、ねじ部材105(
図6参照)によって第1収容部121の内面に固定されている。第1結合部130は、第1収容部121の内部から、開放された底面を介して、第1収容部121の外部へ下向きに突出するように設けられている。
【0041】
第2収容部122は、連結部材200の他端部102に配置されている。第2収容部122は、第2結合部140および第2基板112を収容する。第2収容部122は、底面および接続部150側の端面が開放された箱状形状(
図4参照)を有する。第2結合部140が設けられた第2基板112が、第2収容部122内に収容され、ねじ部材105(
図6参照)によって第2収容部122の内面に固定されている。第2結合部140は、第2収容部122の内部から、開放された底面を介して、第2収容部122の外部へ下向きに突出するように設けられている。
【0042】
第1収容部121、第1結合部130および第1基板111を含む一端部101と、第2収容部122、第2結合部140および第2基板112を含む他端部102とは、実質的に同一構造を有している。連結部材200において、一端部101と他端部102とが、中央の接続部150を挟んで、略左右対称に設けられている。
【0043】
接続部150は、一端部101と他端部102との間を機械的および電気的に接続する部分である。接続部150は、ケーブル部151と、第3収容部152(
図4参照)とを含む。ケーブル部151は、第1基板111と第2基板112とを電気的に接続する。つまり、接続部150は、ケーブル部151によって、第1結合部130および第1基板111と、第2結合部140および第2基板112とを、電気的に接続する。第3収容部152は、第1収容部121と第2収容部122とを機械的に連結する。
【0044】
ケーブル部151は、第1基板111に接続された第1端部と、第2基板112に接続された第2端部と、を有する。ケーブル部151は、電線(導体)を含む可撓性を有する部材である。実施形態では、ケーブル部151は、フレキシブルフラットケーブルからなる。
【0045】
連結部材200は、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを、電力供給可能かつ通信可能に接続するように構成されている。すなわち、
図7に示すように、ケーブル部151は、ユニット10間の電力回路を接続するための電力線151aと、ユニット10間の通信回路を接続するための通信線151bと、を含む。第1結合部130と第2結合部140とは、ケーブル部151の電力線151aと通信線151bとで互いに接続されている。第1結合部130、第2結合部140は、それぞれ、電力供給用電極(図示せず)と通信用電極(図示せず)とを含み、電力供給用電極同士、通信用電極同士が、電力線151aおよび通信線151bでそれぞれ相互に接続されている。この結果、第1ユニットU1の電力回路U1aと第2ユニットU2の電力回路U1aとが連結部材200(電力線151a)を介して接続される。第1ユニットU1の通信回路U1bと第2ユニットU2の通信回路U1bとが連結部材200(通信線151b)を介して接続される。
【0046】
図5に戻り、第3収容部152は、ケーブル部151を収容するケース部材である。第3収容部152は、絶縁性を有する樹脂材料からなる。第3収容部152は、底面と、第1収容部121側および第2収容部122側の両端面が開放された形状(
図8参照)を有する。なお、ケーブル部151は、第3収容部152に固定されておらず、第3収容部152に覆われているだけである。ケーブル部151は、第1基板111と第2基板112とによって両端を支持されているため、各基板を介して第1収容部121と第2収容部122とに保持されている。第3収容部152は、ケーブル部151を自由に湾曲可能に収容している(覆っている)。
【0047】
接続部150は、所定範囲内で第1結合部130(つまり、一端部101)と第2結合部140(つまり、他端部102)との相対移動を許容するように構成されている。以下、連結部材200の一端部101と他端部102とを結ぶ方向(長手方向)をX方向とし、連結部材200の幅方向をY方向(
図4参照)とし、連結部材200の上下方向(厚み方向)をZ方向とする。接続部150は、第1結合部130および第2結合部140の各々と、X方向に摺動可能かつZ方向に回動可能に接続されている。
【0048】
図8に示すように、第1収容部121および第2収容部122には、第3収容部152との嵌合部123が設けられている。それぞれの嵌合部123は、第3収容部152の内側に嵌り込むように形成されている。嵌合部123のY方向の各側面123aに、それぞれ係合溝部124が形成されている。つまり、第1収容部121および第2収容部122は、それぞれ、一対の係合溝部124を有している。係合溝部124は、X方向に沿って直線状に延びる非貫通溝である。各係合溝部124は、長円形状を有する。
【0049】
第3収容部152は、上面部152aと、一対の側面部152bとを有する。一対の側面部152bは、第1収容部121および第2収容部122の各嵌合部123をY方向の両側から挟み込むように設けられている。一対の側面部152bの各内面に、Y方向の内側(つまり、嵌合部123側)に向けて突出する係合突部153が形成されている。係合突部153は、2対(4個)設けられている。各係合突部153は、円柱形状を有する。X方向の第1収容部121側の一対の係合突部153が、第1収容部121の一対の係合溝部124の内側にそれぞれ配置されることにより、一対の係合突部153と第1収容部121の一対の係合溝部124とが係合する。X方向の第2収容部122側の一対の係合突部153が、第2収容部122の一対の係合溝部124の溝内に配置されることにより、一対の係合突部153と第2収容部122の一対の係合溝部124とが係合する。
【0050】
この係合構造により、第1収容部121および第2収容部122は、それぞれ別々に、第3収容部152に対して機械的に連結されている。そして、第1収容部121および第2収容部122は、第3収容部152に対して、係合溝部124の長さに対応する所定範囲内で、X方向に摺動移動可能となっている。このため、
図9(A)、(B)に示すように、第1結合部130と第2結合部140との間の距離が、距離L1と距離L2との間の所定範囲で変更可能である。
【0051】
さらに、第1収容部121および第2収容部122は、係合溝部124と係合突部153とが係合した状態で、接続部分(係合突部153)を中心に第3収容部152に対して回動可能である。第1収容部121および第2収容部122が回動可能な範囲は、係合突部153に対する係合溝部124の位置(第1収容部121および第2収容部122のX方向の位置)によって異なる。
【0052】
回動可能な範囲を規定する構造として、第1収容部121および第2収容部122は、それぞれ、嵌合部123の下部に隣接するリブ状部125(
図8参照)を含む。
図9(C)に示すように、第1収容部121および第2収容部122は、それぞれのリブ状部125が第3収容部152の一対の側面部152bの下端と接触するまで、第3収容部152に対してZ方向下向きに回動可能である。また、第1収容部121および第2収容部122は、それぞれの嵌合部123が第3収容部152の上面部152aの内表面と接触するまで、第3収容部152に対して上向きに回動可能である。これらにより、第1収容部121および第2収容部122は、第3収容部152に対して所定範囲内で回動可能に構成されている。
【0053】
一方、第1収容部121(一端部101)および第2収容部122(他端部102)は、第3収容部152(接続部150)により、Y方向およびZ方向への相対移動が規制されている。第1収容部121(一端部101)および第2収容部122(他端部102)は、第3収容部152(接続部150)により、X方向およびY方向への回動が規制されている。
【0054】
図5に示したように、第3収容部152に収容されたケーブル部151は、一端部101(第1基板111)と他端部102(第2基板112)との相対移動を考慮して、第1収容部121および第2収容部122の移動可能範囲よりも大きい長さを有する。具体的には、第1収容部121および第2収容部122が最大限離れた状態(
図9(B)参照)での第1基板111と第2基板112との距離よりも、ケーブル部151の長さが大きい。ケーブル部151は、上面部152a側へ凸状に湾曲した状態で第3収容部152内に収容されている。このように、ケーブル部151は、湾曲した余長部(余分な長さの部分)を有し、第1基板111と第2基板112との距離が大きくなるにしたがって湾曲部分が引き延ばされ直線に近付くように変形する。
【0055】
また、第1基板111、第2基板112およびケーブル部151の下面側には、弾性を有する板状の保護部材160が設けられている。保護部材160(
図6参照)は、ねじ部材105により、一端が第1収容部121に固定され、他端が第2収容部122に固定されている。保護部材160は、ケーブル部151と同じく、第3収容部152内で湾曲した状態で収容されている。保護部材160の長さは、ケーブル部151の長さよりも小さい。そのため、第1収容部121および第2収容部122をX方向に離れさせる外力が作用しても、保護部材160が直線状になるまで伸展した後は、保護部材160によって外力が支持され、各基板およびケーブル部151に外力が作用することが回避される。また、連結部材200が各ユニット10から取り外されたときに、保護部材160は、一端部101および他端部102が接続部150に対して自重のみによって下方向へ回動しないように弾性力によって支持する、板バネとしても機能する。
【0056】
〈ユニットの取付部〉
次に、連結部材200を取り付ける取付部80の構成について説明する。
図10および
図11は、複数のユニット10を代表して、メインユニット11の取付部80を示している。取付部80の形成位置および取付部80の構造は、各ユニット10で同様である。
【0057】
図10および
図11に示すように、複数のユニット10の各々は、筐体(11a、12a、13a、
図1参照)の上面70aに取付部80を有する。取付部80は、上面70aおける一方側面70b側と他方側面70c側とにそれぞれ設けられている。つまり、取付部80は、各ユニット10の上面70aにおいて、幅方向の両端部に一対(2つ)配置されている。本実施形態では、一対の取付部80は、各ユニット10の上面70aのうち、背面70d側の位置(背面70dの近傍)に配置されている。
【0058】
これにより、複数のユニット10の各々は、一方側面70b側に隣接するユニット10および他方側面70c側に隣接するユニット10と、それぞれ連結部材200を介して接続可能である。ガス検知システム100は、1つのユニット10の隣りに、連結部材200を介して他のユニット10を次々と連結していくことで、複数のユニット10を、数珠つなぎに(いわゆるデイジーチェーン方式で)連結することが可能である。
【0059】
各ユニット10の2つの取付部80は、それぞれカバー部材75を装着可能である。
図10は、両方の取付部80にカバー部材75が取り付けられた状態を示している。
図11は、両方の取付部80からカバー部材75を取り外した状態の分解図を示す。
【0060】
図11に示すように、取付部80は、ユニット10の上面70aと側面(一方側面70bまたは他方側面70c)との角部を切り欠いた凹状の切欠形状になっている。取付部80には、連結部材200またはカバー部材75が嵌り込むように取り付けられる。取付部80は、凹状の切欠部分の底面に相当する取付面81を有し、この取付面81に、連結部材200の結合部(第1結合部130または第2結合部140)を装着するための受容部82が設けられている。
【0061】
受容部82は、結合部(第1結合部130または第2結合部140)が脱着可能なコネクタである。
図11の例では、受容部82がピンインサート(オス)であり、結合部(第1結合部130または第2結合部140、
図6参照)がソケットインサート(メス)であるが、ピンインサート、ソケットインサートの関係は逆でもよい。受容部82は、ユニット10の内部の電気回路に接続されている。
【0062】
図3(B)に示したように、連結部材200は、隣り合う2つのユニット10の、互いに近い位置にある側の取付部80同士の間に跨がるように、取り付けられる。第1ユニットU1の他方側面70c側の取付部80の受容部82に対して、連結部材200の第1結合部130が上方から装着され、第2ユニットU2の一方側面70b側の取付部80の受容部82に対して、連結部材200の第2結合部140が上方から装着される。
【0063】
第1ユニットU1および第2ユニットU2の各取付部80に連結部材200を取り付けた状態で、連結部材200の上面200aと、各ユニット(U1、U2)の上面70aとが、略同一平面上に配置される。連結部材200は、切欠形状の取付部80同士を概ね直線で(最短距離で)結ぶように、それぞれの取付部80に装着される。この結果、
図1に示したように、隣り合うユニット10の上面70aの間が連結部材200によって略平坦面状に接続される。そのため、連結部材200が、各ユニット10へ接続される他のケーブル、ガス配管、その他の障害物と干渉(接触)することが抑制されている。
【0064】
なお、
図1に示したように、複数のユニット10のうち、端部に位置するユニット10については、端部側(外側)の取付部80には連結部材200が取り付けられないままとなる。そこで、複数のユニット10のうち、端部に配置されたユニット10には、連結部材200に代えて取付部80を着脱可能に覆うカバー部材75が設けられている。
【0065】
図11に示したように、カバー部材75は、取付部80を覆うように設けられる。カバー部材75は、ユニット10の外形の一部を補完するようにユニット10の角部に合わせた形状(
図10参照)を有する。カバー部材75の両側面75aに、それぞれ、溝状のカバー係合部76が1つずつ形成されている。また、切欠状の取付部80の一対の内側側面83には、リブ状の係合部84が1つずつ形成されている。カバー部材75は、両側の係合部84にカバー係合部76を係合させることによって、ユニット10の取付部80に係合する。
【0066】
〈ユニットの固定〉
図10に示したように、複数のユニット10の各々は、連結部材200が取り付けられる取付部80が形成された上面70aと、複数のユニット10の各々を所定の位置に固定する際に用いられるユニット固定用部材に結合される固定部85が形成された他の面と、を含む箱状形状を有する。本実施形態では、固定部85がユニット10の背面70dに設けられている。つまり、本実施形態における「他の面」は、背面70dである。
【0067】
図10の例では、各ユニット10は、背面70dに、第1固定部86と第2固定部87との2種類の固定部85を有する。
【0068】
第1固定部86は、レール装着溝からなる。第1固定部86は、背面70dを幅方向に横切るように形成された溝部86aと、先端が溝部86a内に突出した係合レバー86bと、を含む。
図12(A)に示すように、溝部86aの内側に嵌るインナーレール88にユニット10を取り付け、インナーレール88と係合レバー86bの先端とを係合させることにより、ユニット10の背面70dがインナーレール88に取り付けられる。インナーレール88は、特許請求の範囲の「ユニット固定用部材」の一例である。
【0069】
図10に示したように、第2固定部87は、ねじ装着孔からなる。第2固定部87は、背面70dの上部と下部とに1つずつ設けられている。
図12(B)に示すように、ねじ部材89aによってユニット10の背面70dを取付板89に固定できる。取付板89は、特許請求の範囲の「ユニット固定用部材」の一例である。なお、
図12(B)の二点鎖線で囲まれた領域内は、ユニット10の模式的な部分断面を示している。
【0070】
(ユニットの詳細構成)
次に、ガス検知システム100の各ユニットの詳細な構成を説明する。
【0071】
〈メインユニット〉
図13に示すように、メインユニット11は、制御部21、記憶部22、ガス検知部23、インジケータランプ24、表示部25、入力部26、通信部27、電源部28、および、外部接続のためのインターフェース(I/O部29a、29b)を備える。
【0072】
制御部21は、プロセッサにより構成され、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、メインユニット11の全体の制御処理を行う。制御部21は、取付部80に装着された連結部材200を介して、各サブユニットとの通信を行う。制御部21は、ガス検知判定処理を行う判定部21aを有する。
【0073】
判定部21aは、ガス検知部23およびガス検知部33の各出力信号に基づき、検知対象ガスの検知ガス濃度を取得する。判定部21aは、検知ガス濃度が予め設定された所定値(判定閾値)以上であるか否かを判定するガス検知判定処理を行う。所定値以上の判定結果が出力される場合、制御部21が、判定結果に応じた所定の報知処理を実行する。
【0074】
記憶部22は、プログラム、ガス検知結果のログデータ(判定結果、検知ガス濃度)、各種設定情報などを記憶する。記憶部22は、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により構成される。
【0075】
ガス検知部23は、ガスセンサおよびポンプを含む。制御部21が、ガスセンサの出力信号(ガス検知信号)を取得して、出力信号に応じた検知対象ガスの濃度値を取得する。
【0076】
インジケータランプ24は、制御部21の制御下で、点灯や点滅により、メインユニット11における情報の報知を行う。表示部25は、文字および図形により各種情報を表示可能なディスプレイ装置により構成されている。ディスプレイ装置は、たとえば液晶表示装置である。入力部26は、メインユニット11に対する操作入力を受け付ける入力装置により構成されている。
【0077】
通信部27は、たとえばイーサネット(登録商標)に準拠した有線通信を行うように構成されている。電源部28は、外部の電力源と接続され、メインユニット11の各部に電力を供給する機能を有する。メインユニット11は、I/O部29bを介して上位システム500の構成機器(制御装置、コンピュータなど)と接続されている。メインユニット11は、PoE(Power over Ethernet(登録商標))機能により、I/O部29bに接続されたLANケーブルを介して、通信部27による通信信号の伝送と、電源部28への電力供給との両方が可能なように構成されている。
【0078】
I/O部29aは、2つの取付部80を含む。I/O部29aは、2つの取付部80を制御部21と接続する。I/O部29bは、上記の通り、イーサネット(登録商標)通信用のLANケーブルを接続するためのインターフェースである。
【0079】
〈ガス検知ユニット〉
本実施形態では、ガス検知部33が備えるガスセンサの種類が異なる場合がある他は、各ガス検知ユニット12の装置構成は同一である。そのため
図13では、メインユニット11に隣接する1つのガス検知ユニット12の構成のみを詳細に図示しており、残りの2つのガス検知ユニット12の詳細な構成については図示を省略している。
【0080】
ガス検知ユニット12は、制御部31、記憶部32、ガス検知部33、インジケータランプ34、および、I/O部35を備える。
【0081】
制御部31は、プロセッサにより構成され、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、ガス検知ユニット12の全体の制御処理を行う。記憶部32は、プログラム、メインユニット11から送信された設定情報などを記憶する。記憶部32は、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により構成される。
【0082】
ガス検知部33は、ポンプおよびガスセンサを含む。ガス検知部33の検知対象ガスは、ガス検知部23の検知対象ガスと同じであってもよく、異なっていてもよい。各ガス検知ユニット12のガス検知部33の検知対象ガスも、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。インジケータランプ34は、メインユニット11のインジケータランプ24と同様である。
【0083】
I/O部35は、2つの取付部80を含む。I/O部35は、2つの取付部80を制御部31と電気的に接続する。
【0084】
〈接続ユニット〉
接続ユニット13は、接続モジュール41、インジケータランプ42、および、I/O部43を備える。
【0085】
インジケータランプ42は、個々の接続モジュール41への連結部材200を介した給電状態をそれぞれ点灯により報知したり、接続モジュール41の通信状態を点灯により報知したりする。
【0086】
I/O部43は、2つの取付部80を含む。I/O部43は、2つの取付部80を各接続モジュール41と電気的に接続する。
【0087】
接続ユニット13は、インターフェースが異なる複数種類の接続モジュール41を搭載可能に構成されている。
【0088】
接続モジュール41の種類としては、アナログ出力信号(4-20mAアナログ信号)の入力用のアナログ入力モジュール、接点信号の出力用の接点出力モジュール、アナログ信号の出力用のアナログ出力モジュール、デジタル通信用のデジタル通信モジュール、などがある。接続モジュール41は、その種類に応じた種類の外部機器60と接続可能である。
【0089】
以上の構成により、各々のサブユニット(ガス検知ユニット12、接続ユニット13)は、隣り合うユニット10同士で連結部材200を介して通信可能に接続され、一方に隣接するユニット10と他方に隣接するユニット10との間で信号を中継する機能を有する。
【0090】
たとえば
図2の右端のガス検知ユニット12は、メインユニット11との間で、中間の2つのガス検知ユニット12を介して通信を行う。つまり、メインユニット11および各サブユニットは、各連結部材200を介して、隣接するサブユニット同士で順次信号を受け渡すことにより、メインユニット11と各サブユニットとの間の通信を行うように構成されている。
【0091】
(メインユニットの機能)
次に、上記構成を備えたメインユニット11の詳細な機能について説明する。
【0092】
メインユニット11は、連結部材200を介して、サブユニットに対する電力供給を行うように構成されている。具体的には、
図13に示したように、メインユニット11は、I/O部29bを介して電源部28により取得した電力を、メインユニット11の各部に供給することに加えて、連結部材200を介して、各サブユニットに対して供給する。連結部材200を介した中継により、メインユニット11とは直接接続されていないサブユニットに対しても、電源部28からの電力が供給される。
【0093】
また、メインユニット11は、連結部材200を介した通信によりサブユニットに対する設定処理を行うように構成されている。具体的には、制御部21は、入力部26への操作入力により、設定情報を取得可能である。また、制御部21は、通信部27を用いた上位システム500との通信により、上位システム500から設定情報を取得可能である。
【0094】
制御部21は、取得したメインユニット用の設定情報によりメインユニット11の各種処理に関する設定処理を行う。制御部21は、さらに、取得したサブユニット用の設定情報を、連結部材200を介してサブユニットに送信することにより、サブユニットに対する設定処理を行う。
【0095】
また、メインユニット11は、連結部材200を介した通信により、各ガス検知ユニット12から、そのガス検知ユニット12のステータス(動作情報)およびガス検知信号を取得する。メインユニット11は、取得したガス検知信号に基づき、個々のガス検知ユニット12のガス検知判定処理を行う。メインユニット11は、ガス検知判定と、取得した動作情報とに基づいて、各ガス検知ユニット12に対して、個別にランプ点灯指令を送信し、インジケータランプ34を用いた報知を実行させる。
【0096】
また、メインユニット11は、ガス検知部23による検知ガス濃度を表示部25に表示することに加えて、連結部材200を介した通信により取得したガス検知部33による検知ガス濃度を表示部25に表示可能に構成されている。
【0097】
また、メインユニット11は、連結部材200を介した通信により、接続ユニット13に接続された外部機器60との間で信号の入力処理または出力処理を行う。メインユニット11は、連結部材200を介した通信により、外部機器60に関する情報を取得して、表示部25に表示する。
【0098】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
本実施形態では、上記のように、ガス検知システム100は、複数のユニット10を連結して構成される電気機器システムであって、複数のユニット10と、複数のユニット10のうち隣り合う第1ユニットU1および第2ユニットU2を外部から連結する連結部材200とを備える。連結部材200は、基板110を収容する収容部120と、基板110に接続され、第1ユニットU1と着脱可能に結合する第1結合部130と、基板110に接続され、第2ユニットU2と着脱可能に結合する第2結合部140と、を含み、第1ユニットU1および第2ユニットU2を連結した際に、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを電気的に接続するように構成されている。
【0100】
本実施形態では、上記構成により、連結部材200の第1結合部130を第1ユニットU1に結合し、第2結合部140を第2ユニットU2に結合することによって、隣り合う第1ユニットU1と第2ユニットU2とが連結部材200を介して連結されるとともに電気的に接続される。すなわち、連結部材200によって第1ユニットU1と第2ユニットU2とを機械的に連結するだけで、連結した際に第1ユニットU1と第2ユニットU2との電気的接続も実現できる。また、ユニット10間の機械的連結と電気的接続とを別々の部材で行う場合と異なり、ユニット10間の機械的連結と電気的接続とを1つの連結部材200だけで行える。その結果、複数のユニット10を連結したシステムにおける各ユニット10の接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニット10の設置作業を簡素化することができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、連結部材200は、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを、電力供給可能かつ通信可能に接続するように構成されている。これにより、1つの連結部材200によって、第1ユニットU1と第2ユニットU2との一方から他方への電力供給を可能とし、かつ、第1ユニットU1と第2ユニットU2との間の通信接続が可能となる。そのため、たとえば第1ユニットU1と第2ユニットU2とを、給電用のケーブルと通信用のケーブルとで別々に接続する構成と比べて、各ユニット10の接続に関わる構成およびユニット設置(接続)作業を効果的に簡素化できる。ガス検知システム100に用いる接続用部材の数は、ユニット1台当たりの接続用部材の数とユニット数との乗算になる。そのため、ユニット1台当たりの接続用部材の数が減少することは、特にガス検知システム100を構成するユニット数が多い場合に有益である。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、連結部材200は、第1結合部130と第2結合部140との間を接続する接続部150をさらに含み、接続部150は、所定範囲内で第1結合部130と第2結合部140との相対移動を許容するように構成されている。これにより、連結部材200を取り付ける際の第1ユニットU1の位置と第2ユニットU2の位置との位置ずれを、接続部150によって所定範囲内で許容することができる。接続部150がユニット10間の位置ずれを所定範囲内で許容(吸収)できるので、ユニット10の位置合わせの要求精度を緩和することができ、その結果、ユニット設置(接続)作業を容易にすることができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、基板110は、第1結合部130が装着された第1基板111と、第2結合部140が装着された第2基板112とを含み、収容部120は、第1結合部130および第1基板111を収容する第1収容部121と、第2結合部140および第2基板112を収容する第2収容部122と、を含み、接続部150は、第1基板111と第2基板112とを接続するケーブル部151と、ケーブル部151を収容するとともに、第1収容部121および第2収容部122に接続される第3収容部152とを含む。これにより、第1収容部121内の第1基板111と、第2収容部122内の第2基板112とが、第3収容部152内のケーブル部151によって接続されるので、ユニット10間の位置ずれによって第1収容部121と第2収容部122との位置がずれた場合でも、柔軟なケーブル部151が位置ずれに合わせて変形することができる。そして、第1収容部121および第2収容部122が第3収容部152を介して接続されるので、ユニット設置作業時に、ユニット10間の位置ずれによって連結部材200に引張力が作用する場合でも、相互接続された第1~第3収容部に引張力を支持させることによって、ケーブル部151に過度な引張力が作用することを抑制できる。
【0104】
また、本実施形態では、上記のように、複数のユニット10の各々は、連結部材200が取り付けられる取付部80が形成された上面70aと、複数のユニット10の各々を所定の位置に固定する際に用いられるユニット固定用部材(インナーレール88、取付板89)に結合される固定部85が形成された他の面(背面70d)と、を含む箱状形状を有する。これにより、取付部80が形成された上面70aとは異なる背面70dで、各ユニット10をまとめてユニット固定用部材に固定することができる。その結果、各ユニット10の背面70dをユニット固定用部材に取り付けた後でも、ユニット固定用部材が邪魔になることなく、各ユニット10の上面70aにおいて連結部材200を取り付ける作業を行える。また、ユニット10を増設する場合やユニット10を取り除く場合にも、各ユニット10をユニット固定用部材に固定した状態のままで連結部材200の着脱を行える。そのため、たとえば1つのユニット10を追加するためだけに既設のユニット10全てをユニット固定用部材から取り外すような作業が不要になるので、ガス検知システム100の構築後にシステム構成を変更する作業を簡素化することができる。
【0105】
また、本実施形態では、上記のように、複数のユニット10の少なくとも1つは、ガス検知部(23、33)を備えたガス検知ユニット(メインユニット11、ガス検知ユニット12)である。これにより、設置場所におけるガス監視箇所の数に応じてガス検知ユニットの数を増減することが可能な柔軟性を有するガス検知システム100を得ることができる。この結果、ガス監視箇所の数が多い場合にはガス検知ユニットの数を多くすることができ、その場合でも、各ユニット10の接続に関わる構成を簡素化し、システム構築に伴う各ユニット10の設置作業を簡素化することができる。
【0106】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0107】
たとえば、上記実施形態では、本発明の電気機器システムをガス検知システム100に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の電気機器システムは、ガス検知システム以外の他の電気機器システムに適用してもよい。たとえば、外部接続されるガス検知器の出力信号に基づいてガス濃度表示を行う指示計ユニットを複数備えた電気機器システムに本発明を適用してもよい。ガス検知とは無関係の他の電気機器システムに本発明を適用してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、5つのユニット10を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。ユニット10の数は、複数(2つ以上)であればいくつでもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、複数のユニット10がメインユニット11とガス検知ユニット12と接続ユニット13とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。ユニット10の種類は1種類でもよいし、2種類でもよいし、4種類以上でもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、連結部材200が、第1ユニットU1と第2ユニットU2とを、電力供給可能かつ通信可能に接続する例を示したが、本発明はこれに限られない。連結部材200は、電力供給および通信の一方のみが可能なように2つのユニット10を電気的に接続してもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、連結部材200が、第1結合部130と第2結合部140との間を接続する接続部150を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、連結部材200が接続部150を含まなくてもよい。たとえば
図14に示す例では、連結部材300は、1つの基板301および1つの収容部302を含む。基板301の一端部に第1結合部130が設けられ、基板301の他端部に第2結合部140が設けられている。第1結合部130と第2結合部140とが基板301に設けられた電気回路を介して接続されている。
【0112】
この他、
図15に示すように、第1収容部と、第2収容部とが、接続部を介さずに互いに接続されていてもよい。
図15に示す連結部材310では、第1収容部311と第2収容部312とが、回動軸313を介して回動可能に接続されている。
【0113】
なお、
図14に示したように、本発明では、基板110が第1基板111と第2基板112とを含まずに1つの基板だけであってもよいし、3つ以上の基板を含んでいてもよい。同様に、収容部120が、第1収容部121と第2収容部122とを含まずに1つ(
図14参照)だけであってもよい。
【0114】
また、接続部150を設ける場合において、接続部150が第1結合部130と第2結合部140との相対移動を許容する構造については、上記した例には限られない。たとえば接続部150が筒状形状を有し、第1収容部121および第2収容部122の嵌合部123が筒状の接続部150の内側に挿入されて摺動可能であってもよい。この場合、第1収容部121および第2収容部122が接続部150に対して回動しないが、長手方向(X方向)における距離を変更できる。逆に、接続部150が、第1収容部121および第2収容部122の回動のみを許容し、摺動(長手方向における距離の変更)を許容しない構造であってもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、各ユニット10の取付部80が上面70aに設けられ、固定部85が背面70dに設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。取付部80は、ユニット10のどの面に設けられてもよい。取付部80をユニット10の側面に設けてもよく、その場合、ユニット10を上下に並べて配置すればよい。同様に、固定部85は、ユニット10のどの面に設けられてもよい。取付部80と、固定部85とが、ユニット10の同じ面に設けられてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、メインユニット11が、PoE(Power over Ethernet(登録商標))機能により電力供給を受ける例を示したが、各ユニットに対する電力供給方法は特に限定されない。メインユニット11および各サブユニットは、商用電源または施設内の電源設備に接続されて電力供給を受ける構成であってもよい。
【0117】
また、上記実施形態において、連結部材200を介した通信によるメインユニット11の各種機能の例を説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、連結部材200を介した通信により、各ユニット10がどのような機能を実現してもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0118】
10 ユニット
11 メインユニット(ガス検知ユニット)
12 ガス検知ユニット
13 接続ユニット
23、33 ガス検知部
70a 上面
70d 背面(他の面)
80 取付部
85 固定部
88 インナーレール(ユニット固定用部材)
89 取付板(ユニット固定用部材)
100 ガス検知システム(電気機器システム)
110、301 基板
111 第1基板
112 第2基板
120、302 収容部
121、311 第1収容部
122、312 第2収容部
130 第1結合部
140 第2結合部
150 接続部
151 ケーブル部
152 第3収容部
200、300、310 連結部材
U1 第1ユニット
U2 第2ユニット