(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072388
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】電気機器および電気機器の基板の接続方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20230517BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20230517BHJP
G08B 21/14 20060101ALI20230517BHJP
G08B 21/16 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H05K7/14 C
H05K5/03 A
G08B21/14
G08B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184922
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】松尾 剛志
(72)【発明者】
【氏名】松尾 賢
【テーマコード(参考)】
4E360
5C086
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360BA02
4E360BB22
4E360CA02
4E360EA12
4E360EA24
4E360ED03
4E360GA47
4E360GB99
5C086AA02
5C086AA38
5C086BA20
5C086GA10
5E348AA02
5E348AA03
5E348AA07
5E348AA21
5E348AA31
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】ユーザが基板を変更したい場合に、基板を容易に変更することが可能な電気機器を提供する。
【解決手段】この接続ユニット100(電気機器)は、筐体本体11と、筐体本体11に対して接続して配置される固定位置P1と、筐体本体11に対して少なくとも一部が離間する変位位置P2との間で変位可能な底部12と、を備える。底部12は、第1基板20を保持する基板保持部121を有する。接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に変位した際に、基板保持部121に保持された第1基板20が筐体本体11に配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体本体と、
前記筐体本体に対して接続して配置される固定位置と、前記筐体本体に対して少なくとも一部が離間する変位位置との間で変位可能な変位部と、を備え、
前記変位部は、第1基板を保持する基板保持部を有し、
前記変位部が前記変位位置から前記固定位置に変位した際に、前記基板保持部に保持された前記第1基板が前記筐体本体に配置された第2基板に電気的に接続されるように構成されている、電気機器。
【請求項2】
前記変位部は、前記固定位置で前記筐体本体に対して接続して配置される底部であり、
前記底部は、前記筐体本体の背面側の位置に配置された回動軸を回動中心として、上方に回動することにより前記固定位置に変位し、下方に回動することにより前記変位位置に変位するように構成されている、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記基板保持部は、前記第1基板を略垂直の姿勢で保持するように構成されており、
前記筐体本体には、前記第2基板が略水平の姿勢で配置されており、
前記底部が前記変位位置から前記固定位置に上方に回動した際に、前記基板保持部に略垂直な姿勢で保持された前記第1基板が前記筐体本体に略水平な姿勢で配置された前記第2基板に電気的に接続されるように構成されている、請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第1基板を前記第2基板に電気的に接続した状態で、前記変位部を前記固定位置から前記変位位置に変位させた場合、前記第1基板と前記第2基板との電気的な接続状態が維持されるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記筐体本体に着脱可能な前面カバーをさらに備え、
前記前面カバーを外した状態で、前記基板保持部に保持された前記第1基板にアクセスできるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記基板保持部は、複数設けられており、
複数の前記基板保持部には、複数種類の前記第1基板が保持可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
筐体本体に対して接続して配置される固定位置と、前記筐体本体に対して少なくとも一部が離間する変位位置との間で変位可能な変位部を、前記変位位置に変位させるステップと、
前記変位位置において、前記変位部が有する基板保持部に第1基板を保持させるステップと、
前記基板保持部に前記第1基板を保持させた前記変位部を、前記変位位置から前記固定位置に変位させることにより、前記基板保持部に保持された前記第1基板を、前記筐体本体に配置された第2基板に電気的に接続させるステップと、を備える、電気機器の基板の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機器および電気機器の基板の接続方法に関し、特に、筐体を備えた電気機器および電気機器の基板の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体を備えた電気機器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、外匣(外側筐体)と、外匣に開閉可能に接続された前面カバー蓋と、外匣内に収容されたガスセンサとを備えるガス警報装置(電気機器)が開示されている。外匣の内部には、メイン基板が配置されている。前面カバー蓋には、表示部および操作部が設けられている。また、前面カバー蓋の内部には、表示用/操作用回路基板が配置されている。また、外匣のメイン基板と前面カバー蓋の表示用/操作用回路基板とは、フラットケーブルにより、互いに電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたガス警報装置では、基板同士がフラットケーブルにより接続されているため、ユーザが基板を変更(交換)したい場合、基板を変更するためには、フラットケーブルを用いた配線作業を行う必要がある。このため、ユーザが基板を容易に変更(交換)することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザが基板を変更したい場合に、基板を容易に変更することが可能な電気機器および電気機器の基板の接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電気機器は、筐体本体と、筐体本体に対して接続して配置される固定位置と、筐体本体に対して少なくとも一部が離間する変位位置との間で変位可能な変位部と、を備え、変位部は、第1基板を保持する基板保持部を有し、変位部が変位位置から固定位置に変位した際に、基板保持部に保持された第1基板が筐体本体に配置された第2基板に電気的に接続されるように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による電気機器では、上記のように、変位部は、第1基板を保持する基板保持部を有し、変位部が変位位置から固定位置に変位した際に、基板保持部に保持された第1基板が筐体本体に配置された第2基板に電気的に接続されるように構成されている。これにより、変位部を変位位置から固定位置に移動させるだけで、第1基板を第2基板に電気的に接続させることができるので、第1基板と第2基板とを電気的に接続するためにフラットケーブルなどの配線を用いた配線作業を行う必要がない。その結果、ユーザが第1基板を変更(交換)したい場合に、第1基板を容易に変更(交換)することができる。
【0009】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、変位部は、固定位置で筐体本体に対して接続して配置される底部であり、底部は、筐体本体の背面側の位置に配置された回動軸を回動中心として、上方に回動することにより固定位置に変位し、下方に回動することにより変位位置に変位するように構成されている。このように構成すれば、底部が変位部を兼ねるので、構造の複雑化を抑制しながら、変位部を設けることができる。また、底部を筐体本体の背面側の位置に配置された回動軸を回動中心として回動させるだけの簡単な構成で、底部を固定位置または変位位置に変位させることができる。その結果、ユーザが第1基板を変更する作業をより容易に行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、基板保持部は、第1基板を略垂直の姿勢で保持するように構成されており、筐体本体には、第2基板が略水平の姿勢で配置されており、底部が変位位置から固定位置に上方に回動した際に、基板保持部に略垂直な姿勢で保持された第1基板が筐体本体に略水平な姿勢で配置された第2基板に電気的に接続されるように構成されている。このように構成すれば、基板保持部に略垂直な姿勢で保持された第1基板が筐体本体に略水平な姿勢で配置された第2基板に電気的に接続されるので、第2基板が筐体本体の比較的上方の位置に配置されている場合にも、第1基板と第2基板とを容易に電気的に接続することができる。
【0011】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、第1基板を第2基板に電気的に接続した状態で、変位部を固定位置から変位位置に変位させた場合、第1基板と第2基板との電気的な接続状態が維持されるように構成されている。このように構成すれば、変位部を固定位置から変位位置に変位させた場合に、基板保持部の保持力により第1基板の保持状態が維持される場合と異なり、基板保持部に強い保持力を持たせる必要がない。その結果、変位部を固定位置から変位位置に変位させた場合に、基板保持部の保持力により第1基板と第2基板との電気的な接続状態が解除される場合に比べて、基板保持部の構造が複雑化することを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、筐体本体に着脱可能な前面カバーをさらに備え、前面カバーを外した状態で、基板保持部に保持された第1基板にアクセスできるように構成されている。このように構成すれば、前面カバーを外せば基板保持部に保持された第1基板にアクセスすることができるので、ユーザが基板保持部に保持された第1基板を変更する作業を容易に行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、基板保持部は、複数設けられており、複数の基板保持部には、複数種類の第1基板が保持可能である。このように構成すれば、基板保持部が複数設けられているので、複数の基板保持部のうちの第1基板が保持されていない基板保持部に、第1基板を後から追加することができる。また、第1基板を後から追加する際にも、変位部を変位位置から固定位置に移動させるだけで、第1基板を第2基板に容易に電気的に接続させることができる。また、複数の基板保持部に複数種類の第1基板が保持可能であるので、ユーザが複数種類の第1基板のうちの所望の種類の第1基板を基板保持部に保持させることができる。その結果、第1基板に応じた所望の機能を発揮させることができる。また、第1基板に応じた所望の機能を発揮させるために、第1基板の変更(交換)や追加が行われる可能性がある電気機器において、第1基板を第2基板に容易に電気的に接続させることができることは、特に有効である。
【0014】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による電気機器の基板の接続方法は、筐体本体に対して接続して配置される固定位置と、筐体本体に対して少なくとも一部が離間する変位位置との間で変位可能な変位部を、変位位置に変位させるステップと、変位位置において、変位部が有する基板保持部に第1基板を保持させるステップと、基板保持部に第1基板を保持させた変位部を、変位位置から固定位置に変位させることにより、基板保持部に保持された第1基板を、筐体本体に配置された第2基板に電気的に接続させるステップと、を備える。
【0015】
この発明の第2の局面による電気機器の基板の接続方法では、上記のように、基板保持部に第1基板を保持させた変位部を、変位位置から固定位置に変位させることにより、基板保持部に保持された第1基板を、筐体本体に配置された第2基板に電気的に接続させるステップを設ける。これにより、上記第1の局面による電気機器と同様に、ユーザが第1基板を変更(交換)したい場合に、第1基板を容易に変更(交換)することが可能な電気機器の基板の接続方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、ユーザが基板を変更したい場合に、基板を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態によるガス検知システムを示した斜視図である。
【
図2】一実施形態による接続ユニットを示した斜視図である。
【
図3】一実施形態による接続ユニットを示した分解斜視図である。
【
図4】一実施形態による接続ユニットの底部が固定位置に変位した状態を示した図である。
【
図5】一実施形態による接続ユニットの底部が変位位置に変位した状態を示した図である。
【
図6】一実施形態による接続ユニットの底部を示した斜視図である。
【
図7】一実施形態による接続ユニットの筐体本体を示した斜視図(1)である。
【
図8】一実施形態による接続ユニットの筐体本体を示した斜視図(2)である。
【
図9】一実施形態による接続ユニットの前面カバーを示した斜視図である。
【
図10】変形例による接続ユニットの底部が変位位置に変位した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1を参照して、一実施形態による接続ユニット100を備えるガス検知システム200の構成について説明する。なお、接続ユニット100は、特許請求の範囲の「電気機器」の一例である。
【0020】
(ガス検知システムの構成)
図1に示すガス検知システム200は、監視対象環境の雰囲気を取り込み、雰囲気中に含有される検知対象ガスの検知を行うシステムである。ガス検知システム200は、採取ガス中の検知対象ガス濃度が予め設定された所定値以上の高濃度である場合に、高濃度の検知対象ガスが検知されたことを報知する機能を有する。検知対象ガスは、特に限定されないが、人体に対する毒性を有するガスや、可燃性を有するガスなど、監視が必要とされるガスである。
【0021】
ガス検知システム200は、たとえば、検知対象ガスを使用する工場などに設置される。一例としては、ガス検知システム200は半導体製造工場に設置され、半導体材料ガス、水素ガス等の可燃性ガスの漏洩を検知する。この場合、ガス採取される監視対象環境は、たとえばガス供給装置の設置箇所、排気ダクト、作業員の作業領域などである。
【0022】
図1に示すように、ガス検知システム200は、メインユニット210と、複数(3つ)のガス検知ユニット220と、接続ユニット100とを備える。ガス検知ユニット220および接続ユニット100は、メインユニット210とは構成が異なるユニットであり、メインユニット210の機能拡張用のユニットである。
【0023】
メインユニット210と複数のガス検知ユニット220と接続ユニット100とは、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されている。
図1の例では、メインユニット210と複数のガス検知ユニット220と接続ユニット100とは、相似した外形形状を有する。具体的には、メインユニット210と複数のガス検知ユニット220と接続ユニット100とは、共通して、直方体形状の筐体を有し、縦長(上下)の長方形状の前面部を有する。メインユニット210と複数のガス検知ユニット220と接続ユニット100とは、幅方向(左右方向)に直線状に配列される。メインユニット210と複数のガス検知ユニット220と接続ユニット100とは、各々の背面が取付部材を介して設置場所の壁面などに対して固定される。
【0024】
メインユニット210は、制御部211と、ガス検知部212と、表示部213とを有する。ガス検知部212は、採取ガス中に含まれる検知対象ガスを検知する。制御部211は、ガス検知部212によるガス検知結果(検知ガス濃度)を取得する。メインユニット210は、制御部211により、ガス検知部212によるガス検知判定処理を行い、ガス検知結果を表示部213に表示するように構成されている。
【0025】
ガス検知ユニット220は、制御部221と、ガス検知部222とを有する。ガス検知部222は、採取ガス中に含まれる検知対象ガスを検知する。ガス検知部222の検知対象ガスは、ガス検知部212の検知対象ガスと同じであってもよく、異なっていてもよい。制御部221は、メインユニット210の制御部211と通信を行う。制御部221は、メインユニット210の制御部211に対して、ガス検知部222の出力信号を送信する。メインユニット210の制御部211は、ガス検知部222の出力信号を取得してガス検知ユニット220のガス検知判定処理を行うように構成されている。
【0026】
なお、ガス検知部212の検知対象ガスと同じガスを検知するガス検知ユニット220は、メインユニット210に対して、ガス検知部の数を増大させる拡張機能を有する。ガス検知部212の検知対象ガスと異なるガスを検知するガス検知ユニット220は、メインユニット210に対して、同時検知可能なガス種を増大させる拡張機能を有する。
【0027】
接続ユニット100は、信号を入力および/または出力するための接続部を有する。接続部は、外部機器と接続される信号の入力端子または出力端子のことである。接続ユニット100は、メインユニット210に対して、信号入力の最大接続数を増大させたり、信号出力の最大接続数を増大させたり、あるいは接続可能なインターフェースの種類数を増大させたりする拡張機能を有する。
【0028】
メインユニット210は、接続ユニット100に接続された外部機器との間で信号の入力処理または出力処理を行うように構成されている。接続ユニット100は、たとえば外部機器として複数の報知器と接続され、メインユニット210は、接続ユニット100を介して、それぞれの報知器へ信号出力を行う。接続ユニット100は、たとえば外部機器として複数のガス検知器と接続され、メインユニット210は、接続ユニット100を介して、それぞれのガス検知器からの信号入力を受け付ける。
【0029】
(接続ユニットの構成)
次に、
図2~
図9を参照して、接続ユニット100の詳細な構成を説明する。
【0030】
図2および
図3に示すように、接続ユニット100は、筐体10を備えている。筐体10には、第1基板20と、第2基板30と、第3基板40とが収容されている。
【0031】
第1基板20は、メインユニット210の機能拡張のための基板である。第1基板20は、複数種類の基板のうちのいずれかであり得る。
【0032】
複数種類の第1基板20のうちの1つは、アナログ入力用基板である。アナログ入力用基板は、アナログ出力信号(4-20mAアナログ信号)の入力用接続部を、複数備える。アナログ入力用基板には、たとえば外部機器としてガス検知器が接続され、それぞれのガス検知器からのガス検知信号であるアナログ出力信号が入力される。メインユニット210の制御部211は、アナログ入力用基板を介して取得したそれぞれのガス検知器からの信号についてガス検知判定処理を行う。
【0033】
複数種類の第1基板20のうちの1つは、接点出力用基板である。接点出力用基板は、接点信号の出力用接続部を、複数備える。接点出力用基板には、たとえば外部機器として報知器(警報ブザーや報知灯など)が接続される。メインユニット210の制御部211は、接点出力用基板を介して、それらの制御機器に接点信号を出力させることにより、各報知器を作動させることが可能である。
【0034】
複数種類の第1基板20のうちの1つは、アナログ出力用基板である。アナログ出力用基板は、アナログ信号の出力用接続部を、複数備える。アナログ出力用基板には、たとえば外部機器として、アナログ入力対応の上位システムや信号処理装置が接続される。メインユニット210の制御部211は、アナログ出力用基板を介して、それらの機器に対して、検知ガス濃度信号を4-20mAアナログ信号として出力させる処理を行う。
【0035】
複数種類の第1基板20のうちの1つは、デジタル通信用基板である。デジタル通信用基板は、デジタル通信用接続部を備える。デジタル通信用基板のデジタル通信用接続部は、メインユニット210が備える通信用インターフェースとは異なるインターフェースである。たとえば、メインユニット210がRJ-45コネクタを使用したインターフェースであり、イーサネット(登録商標)またはModbus(登録商標)/TCPに準拠した通信を行うのに対して、デジタル通信用基板は、RS-485コネクタを使用したデジタル通信用接続部であり、Modbus(登録商標)/RTUに準拠した通信を行う。これにより、メインユニット210の制御部211は、デジタル通信用基板を介して、メインユニット210には設けられていないインターフェースを採用する上位システムとの間でデジタル通信を行うことが可能である。
【0036】
第2基板30は、電力の供給のためおよび通信のためのベース基板である。第2基板30は、メインユニット210から供給される電力を第1基板20および第3基板40に供給する。第2基板30は、メインユニット210と第1基板20とを通信可能に接続する。
【0037】
第3基板40は、LED(発光ダイオード)が搭載されたLED基板である。第3基板40は、LEDにより後述するインジケータ133を点灯させるように構成されている。
【0038】
〈筐体の構成〉
筐体10は、筐体本体11と、底部12と、前面カバー13とを含む。底部12は、筐体本体11に取り付けられている。前面カバー13は、筐体本体11に着脱可能に構成されている。なお、底部12は、特許請求の範囲の「変位部」の一例である。
【0039】
筐体本体11は、筐体10の背面カバーを構成する。筐体本体11は、背面111が取付部材を介して壁面などの取付面に取り付けられるように構成されている。筐体本体11は、略直方体形状を有する。筐体本体11には、下方(Z2方向側)に開口する開口部11a(
図7参照)が下部に設けられるとともに、前方(Y1方向側)に開口する開口部11b(
図7参照)が前部に設けられている。また、前面カバー13は、略直方体形状を有する。前面カバー13には、下方(Z2方向側)に開口する開口部13a(
図9参照)が下部に設けられるとともに、後方(Y2方向側)に開口する開口部13b(
図9参照)が後部に設けられている。また、前面カバー13は、筐体本体11の開口部11bと自身の開口部13bとが前後方向(Y方向)に接続されるように、筐体本体11に取り付けられている。
【0040】
底部12は、筐体10の底面を構成する。底部12は、筐体本体11と前面カバー13とにわたって配置されている。底部12は、筐体本体11の開口部11a(
図7参照)と、前面カバー13の開口部13a(
図9参照)とを、下方から塞ぐように配置されている。
【0041】
ここで、本実施形態では、
図4および
図5に示すように、底部12は、筐体本体11に対して接続して配置される固定位置P1と、筐体本体11に対して少なくとも一部が離間する変位位置P2との間で変位可能に構成されている。また、底部12は、第1基板20を保持する基板保持部121を有する。そして、接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に変位した際に、基板保持部121に保持された第1基板20が筐体本体11に配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。なお、第1基板20が第2基板30に電気的に接続されるとは、第1基板20のコネクタ21が第2基板30のコネクタ31に電気的に接続されることである。底部12が変位位置P2から固定位置P1に変位した際に、第1基板20のコネクタ21を第2基板30のコネクタ31に直接接続可能である。なお、固定位置P1は、底部12が筐体本体11の開口部11aに対して接続して配置されるとともに、底部12が開口部11aを塞ぐ位置である。また、変位位置P2は、底部12が筐体本体11の開口部11aに対して少なくとも一部が離間するとともに、底部12が開口部11aの少なくとも一部を塞がない位置である。
【0042】
図4~
図6に示すように、底部12は、基板保持部121と、軸係合部122と、固定位置係合部123と、操作レバー124と、変位位置係合部125と、配線挿通部126と、ガイド部127とを有する。
【0043】
基板保持部121は、前後方向(Y方向)に延びるスロット状の溝部により構成されている。基板保持部121は、下方(Z2方向側)に窪むように形成されている。基板保持部121は、第1基板20の下端部が溝に挿入されることにより、第1基板20の下端部を左右方向側(X方向側)から保持するとともに下方(Z1方向側)から支持するように構成されている。また、基板保持部121は、後述する背面側位置決め部115と共に保持することにより、第1基板20を上下方向(Z方向)に沿った略垂直の姿勢で保持するように構成されている。また、基板保持部121は、筐体本体11に第1基板20が収容されるように、背面側(Y2方向側)に形成されている。
【0044】
また、本実施形態では、基板保持部121は、複数(2つ)設けられている。複数の基板保持部121には、上記のように、複数種類の第1基板20が保持可能である。複数の基板保持部121は、左右方向(X方向)に離間して配置されている。なお、
図3~
図5では、複数の基板保持部121のうちの1つに第1基板20が保持される例を示している。
【0045】
軸係合部122は、筐体本体11の背面側(Y2方向側)の下部に形成された左右方向(X方向)に延びる回動軸112に回転可能に係合するように構成されている。軸係合部122は、回動軸112に回転可能に係合するように、切り欠き状に形成されている。軸係合部122は、左右方向の両側に設けられており、左右方向の両側に設けられた回動軸112と係合するように構成されている。
【0046】
また、本実施形態では、底部12は、筐体本体11の背面側の位置に配置された回動軸112を回動中心として、上方(Z1方向側)に回動することにより固定位置P1に変位し、下方(Z2方向側)に回動することにより変位位置P2に変位するように構成されている。
【0047】
また、本実施形態では、筐体本体11には、第2基板30が略水平の姿勢で配置されている。接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に上方(Z1方向側)に回動した際に、基板保持部121に上下方向(Z方向)に沿った略垂直な姿勢で保持された第1基板20が筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。具体的には、接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に上方(Z1方向側)に回動した際に、基板保持部121に上下方向に沿った略垂直な姿勢で保持された第1基板20に上向きに取り付けられたコネクタ21が、筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に下向きに取り付けられたコネクタ31に電気的に接続されるように構成されている。なお、底部12が変位位置P2から固定位置P1に上方に回動した際、第1基板20のコネクタ21は、上下方向に沿って移動されながら、第2基板30のコネクタ31に電気的に接続される。
【0048】
なお、コネクタ21および31は、接続方向(Z方向)に略直交する縦横方向(XY方向)の位置ずれを吸収可能なフローティング構造で接続されるコネクタであり、底部12の回動時にコネクタ31に対するコネクタ21の位置が多少ずれたとしても、コネクタ21および31が問題なく接続されるように構成されている。コネクタ31は、雄側のコネクタであり、コネクタ21は、コネクタ31との接点部を可動にするフローティング部(可動部)を有する雌側のコネクタである。
【0049】
また、本実施形態では、接続ユニット100は、第1基板20を第2基板30に電気的に接続した状態で、底部12を固定位置P1から変位位置P2に変位させた場合、第1基板20と第2基板30との電気的な接続状態が維持されるように構成されている。すなわち、接続ユニット100は、第1基板20を第2基板30に電気的に接続した後には、底部12を固定位置P1から変位位置P2に下方(Z2方向側)に回動させても、第1基板20の少なくとも一部が基板保持部121から外れて、第1基板20と第2基板30との電気的な接続状態が解除されないように構成されている。第1基板20のコネクタ21と第2基板30のコネクタ31との間の保持力は、第1基板20と基板保持部121との間の保持力よりも大きい。なお、
図5では、第1基板20を第2基板30に電気的に接続する前の状態を示している。
【0050】
固定位置係合部123は、固定位置P1で底部12を停止させるために設けられている。固定位置係合部123は、筐体本体11内の下部に形成された被係合部113(
図7参照)に係合することにより固定位置P1で底部12を停止させるように構成されている。固定位置係合部123は、左右方向(X方向)において外側に突出する爪部により構成されている。また、被係合部113は、左右方向において内側に突出する爪部により構成されている。固定位置係合部123は、被係合部113に上方(Z1方向側)から引っ掛かることにより、被係合部113に係合するように構成されている。また、固定位置係合部123は、左右方向の両側に設けられており、左右方向の両側に設けられた被係合部113と係合するように構成されている。また、固定位置係合部123は、操作レバー124に接続されている。
【0051】
操作レバー124は、ユーザにより操作されるレバーである。操作レバー124は、左右方向(X方向)において内側に弾性変形する(撓む)ことが可能なように、底部12の本体に片持ち状に支持されている。操作レバー124がユーザの操作により左右方向の内側に弾性変形された場合、操作レバー124に接続された固定位置係合部123が左右方向の内側に移動される。そして、固定位置係合部123と被係合部113との係合が解除されて、底部12が固定位置P1から変位位置P2に変位可能になる。また、操作レバー124は、左右方向の両側に設けられている。
【0052】
変位位置係合部125は、変位位置P2で底部12を停止させるために設けられている。変位位置係合部125は、筐体本体11内の下部に形成された被係合部114(
図7参照)に係合することにより変位位置P2で底部12を停止させるように構成されている。これにより、後述する配線50(
図3参照)が配線挿通部126に挿通された状態で、底部12が変位位置P2に変位された場合にも、配線50に過剰な負荷が掛かることを抑制可能である。
【0053】
変位位置係合部125は、左右方向(X方向)において外側に突出する爪部により構成されている。また、被係合部114は、左右方向において内側に突出する段差部により構成されている。変位位置係合部125は、被係合部114に上方(Z1方向側)から引っ掛かることにより、被係合部114に係合するように構成されている。また、変位位置係合部125は、固定位置係合部123よりもやや高い位置(Z1方向側の位置)に形成されている。これにより、底部12が固定位置P1に変位した状態では、変位位置係合部125が被係合部114とは係合せずに、底部12が変位位置P2に変位した状態で、変位位置係合部125が被係合部114と係合する。また、変位位置係合部125は、固定位置係合部123よりも回動軸112側(Y2方向側)に配置されている。また、変位位置係合部125は、左右方向の両側に設けられており、左右方向の両側に設けられた被係合部114と係合するように構成されている。
【0054】
配線挿通部126は、第1基板20の配線接続部22に接続された配線50(
図3参照)が挿通されるように構成されている。配線挿通部126は、底部12を上下方向(Z方向)に貫通する貫通孔により構成されている。また、配線挿通部126には、配線50を保護するための配線保護部126aが配置されている。配線保護部126aは、ゴム製のグロメットである。接続ユニット100は、配線挿通部126の配線保護部126aを介して筐体10内から筐体10外に配線50が引き出されるように構成されている。
【0055】
ガイド部127は、前面カバー13の筐体本体11に対する着脱時の前後方向(Y方向)への移動をガイドするように構成されている。ガイド部127は、左右方向(X方向)において外側に突出するとともに、前後方向に延びる板状に形成されている。ガイド部127は、前面カバー13内の下部に形成されたリブ131(
図9参照)をガイドするように構成されている。リブ131は、左右方向において内側に突出するとともに、前後方向に延びるように形成されている。また、ガイド部127は、前面カバー13が筐体本体11に取り付けられた状態で、リブ131の上方(Z1方向側)においてリブ131に上下方向(Z方向)に対向するように配置されている。すなわち、ガイド部127は、前面カバー13が筐体本体11に取り付けられた状態で、底部12が下方(Z2方向側)に回動しようとした場合、リブ131に上方から引っ掛かることにより、底部12の下方への回動を規制するように構成されている。ガイド部127は、規制部も兼ねている。
【0056】
また、
図7および
図8に示すように、筐体本体11には、第2基板30に接続された第1基板20を位置決めするための、背面側位置決め部115および前面側位置決め部116が形成されている。背面側位置決め部115は、筐体本体11内の後部に形成され、背面側(Y2方向側)に窪む切り欠き状の溝部により構成されている。背面側位置決め部115は、第1基板20の後端部が溝に挿入されることにより、第1基板20の後端部の後方向(Y2方向)の位置および左右方向(X方向)の位置を位置決めするように構成されている。また、背面側位置決め部115は、上下方向(Z方向)に離間して複数配置されている。また、複数の背面側位置決め部115は、複数(2つ)の第1基板20および基板保持部121に対応するように、左右方向に離間して複数(2つ)設けられている。また、背面側位置決め部115は、底部12を変位位置P2から固定位置P1に変位させて、第1基板20を第2基板30に電気的に接続させる際に、基板保持部121と共に第1基板20を保持する。
【0057】
前面側位置決め部116は、筐体本体11の上部側に形成され、前面側(Y1方向側)に窪む切り欠き状の溝部により構成されている。前面側位置決め部116は、第1基板20の前端部の上部が溝に挿入されることにより、第1基板20の前端部の上部の前方向(Y1方向)の位置および左右方向(X方向)の位置を位置決めするように構成されている。また、前面側位置決め部116は、複数(2つ)の第1基板20および基板保持部121に対応するように、複数(2つ)設けられている。
【0058】
また、接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に変位した際に、基板保持部121および背面側位置決め部115に保持された第1基板20が前面側位置決め部116に配置されるように構成されている。すなわち、接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に変位した際に、第1基板20の下端部が基板保持部121の溝に挿入されるとともに第1基板20の後端部が背面側位置決め部115の溝に挿入された状態で、第1基板20の前端部の上部が前面側位置決め部116の溝に挿入されるように構成されている。これにより、第1基板20を第2基板30に電気的に接続した後、ユーザが第1基板20の配線接続部22に配線50を接続する作業を行う場合、背面側位置決め部115および前面側位置決め部116により第1基板20が位置決めされているので、第1基板20の位置を安定させた状態で、配線50を接続する作業を行うことが可能である。
【0059】
また、筐体本体11には、第2基板30を保持する基板保持部117が形成されている。基板保持部117は、筐体本体11内の上部に形成された溝部117aおよびリブ117bにより構成されている。基板保持部117は、第2基板30の下面を下方から支持し、筐体本体11において第2基板30を略水平の姿勢で配置させるように構成されている。また、第2基板30の下面には、複数(2つ)の第1基板20および基板保持部121に対応するように、複数(2つ)のコネクタ31が設けられている。また、第2基板30の上面の前部には、第3基板40のコネクタ41(
図9参照)と電気的に接続されるコネクタ32が設けられている。
【0060】
図3に示すように、前面カバー13は、底部12が固定位置P1に変位した状態で、筐体本体11に対して着脱されるように構成されている。前面カバー13は、前方向(Y1方向)にスライド移動されることにより、筐体本体11から取り外されるように構成されている。前面カバー13は、後方向(Y2方向)にスライド移動されることにより、筐体本体11に取り付けられるように構成されている。
【0061】
また、本実施形態では、接続ユニット100は、前面カバー13を外した状態で、基板保持部121に保持された第1基板20にアクセスできるように構成されている。すなわち、接続ユニット100は、前面カバー13を筐体本体11から取り外すことにより、第1基板20が外部に露出されて、基板保持部121に保持された第1基板20にアクセスできるように構成されている。
【0062】
また、接続ユニット100は、前面カバー13が筐体本体11に取り付けられた際に、前面カバー13に配置される第3基板40が筐体本体11に配置される第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。なお、第3基板40が第2基板30に電気的に接続されるとは、第3基板40のコネクタ41が第2基板30のコネクタ32に電気的に接続されることである。前面カバー13が筐体本体11に取り付けられた際に、第3基板40のコネクタ41を第2基板30のコネクタ32に直接接続可能である。接続ユニット100は、前面カバー13が後方向(Y2方向)にスライド移動した際に、前面カバー13に略水平な姿勢で保持された第3基板40が筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。具体的には、接続ユニット100は、前面カバー13が後方向(Y2方向)にスライド移動した際に、前面カバー13に略水平な姿勢で保持された第3基板40に後向きに取り付けられたコネクタ41が、筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に前向きに取り付けられたコネクタ32に電気的に接続されるように構成されている。
【0063】
図9に示すように、前面カバー13には、第3基板40を保持する基板保持部132が形成されている。基板保持部132は、前面カバー13内の上部に形成された溝部132aおよびリブにより構成されている。基板保持部132は、第3基板40の下面を下方から支持し、前面カバー13において第3基板40を略水平の姿勢で配置させるように構成されている。また、第3基板40の上面の後部には、第2基板30のコネクタ32(
図7参照)と電気的に接続されるコネクタ41が設けられている。
【0064】
図2および
図3に示すように、前面カバー13の前面には、第3基板40のLEDにより点灯するインジケータ133が複数(3つ)形成されている。複数のインジケータ133は、それぞれ異なる状態を報知するように構成されている。たとえば、複数のインジケータ133は、メインユニット210から第1基板20への給電状態や、第1基板20の通信状態を点灯により報知する。
【0065】
(第1基板を変更する作業)
次に、
図3~
図5を参照して、ユーザが第1基板20を変更(交換)する作業について説明する。
【0066】
図3~
図5に示すように、まず、前面カバー13が筐体本体11から取り外される。そして、底部12が固定位置P1から変位位置P2に変位させられる。この際、第1基板20が第2基板30に接続された状態が維持される。そして、開口部11aを介して第1基板20が取り外される。そして、変位位置P2において、開口部11aを介して基板保持部121に新たな第1基板20が保持させられる。そして、基板保持部121に新たな第1基板20を保持させた底部12が、変位位置P2から固定位置P1に変位させられる。これにより、基板保持部121に保持された新たな第1基板20が、筐体本体11に配置された第2基板30に電気的に接続される。そして、前面カバー13が筐体本体11に取り付けられる。これにより、前面カバー13に配置された第3基板40が、筐体本体11に配置された第2基板30に電気的に接続される。その後、ユーザが第1基板20を変更(交換)する作業が完了される。なお、第1基板20が保持されていない基板保持部121が存在する場合、ユーザが第1基板20を追加する作業を行うことが可能である。ユーザが第1基板20を追加する作業は、第1基板を取り外す工程がないことを除いて、第1基板20を変更する作業と同様である。また、ユーザが第1基板20を変更する作業および追加する作業は、筐体本体11の背面111を取付面に取り付けた状態で、行うことが可能である。
【0067】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、上記のように、接続ユニット100は、筐体本体11と、筐体本体11に対して接続して配置される固定位置P1と、筐体本体11に対して少なくとも一部が離間する変位位置P2との間で変位可能な底部12と、を備え、底部12は、第1基板20を保持する基板保持部121を有し、底部12が変位位置P2から固定位置P1に変位した際に、基板保持部121に保持された第1基板20が筐体本体11に配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。
【0069】
また、接続ユニット100の基板の接続方法は、筐体本体11に対して接続して配置される固定位置P1と、筐体本体11に対して少なくとも一部が離間する変位位置P2との間で変位可能な底部12を、変位位置P2に変位させるステップと、変位位置P2において、底部12が有する基板保持部121に第1基板20を保持させるステップと、基板保持部121に第1基板20を保持させた底部12を、変位位置P2から固定位置P1に変位させることにより、基板保持部121に保持された第1基板20を、筐体本体11に配置された第2基板30に電気的に接続させるステップと、を備える。
【0070】
上記構成により、底部12を変位位置P2から固定位置P1に移動させるだけで、第1基板20を第2基板30に電気的に接続させることができるので、第1基板20と第2基板30とを電気的に接続するためにフラットケーブルなどの配線を用いた配線作業を行う必要がない。その結果、ユーザが第1基板20を変更(交換)したい場合に、第1基板20を容易に変更(交換)することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、底部12は、筐体本体11の背面側の位置に配置された回動軸112を回動中心として、上方に回動することにより固定位置P1に変位し、下方に回動することにより変位位置P2に変位するように構成されている。これにより、底部12が変位部を兼ねるので、構造の複雑化を抑制しながら、変位部を設けることができる。また、底部12を筐体本体11の背面側の位置に配置された回動軸112を回動中心として回動させるだけの簡単な構成で、底部12を固定位置P1または変位位置P2に変位させることができる。その結果、ユーザが第1基板20を変更する作業をより容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、基板保持部121は、第1基板20を略垂直の姿勢で保持するように構成されている。筐体本体11には、第2基板30が略水平の姿勢で配置されている。接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に上方に回動した際に、基板保持部121に略垂直な姿勢で保持された第1基板20が筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されている。これにより、基板保持部121に略垂直な姿勢で保持された第1基板20が筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に電気的に接続されるので、第2基板30が筐体本体11の比較的上方の位置に配置されている場合にも、第1基板20と第2基板30とを容易に電気的に接続することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、接続ユニット100は、第1基板20を第2基板30に電気的に接続した状態で、底部12を固定位置P1から変位位置P2に変位させた場合、第1基板20と第2基板30との電気的な接続状態が維持されるように構成されている。これにより、底部12を固定位置P1から変位位置P2に変位させた場合に、基板保持部121の保持力により第1基板20の保持状態が維持される場合と異なり、基板保持部121に強い保持力を持たせる必要がない。その結果、底部12を固定位置P1から変位位置P2に変位させた場合に、基板保持部121の保持力により第1基板20と第2基板30との電気的な接続状態が解除される場合に比べて、基板保持部121の構造が複雑化することを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、接続ユニット100は、筐体本体11に着脱可能な前面カバー13を備え、前面カバー13を外した状態で、基板保持部121に保持された第1基板20にアクセスできるように構成されている。これにより、前面カバー13を外せば基板保持部121に保持された第1基板20にアクセスすることができるので、ユーザが基板保持部121に保持された第1基板20を変更する作業を容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、基板保持部121は、複数設けられている。複数の基板保持部121には、複数種類の第1基板20が保持可能である。これにより、基板保持部121が複数設けられているので、複数の基板保持部121のうちの第1基板20が保持されていない基板保持部121に、第1基板20を後から追加することができる。また、第1基板20を後から追加する際にも、底部12を変位位置P2から固定位置P1に移動させるだけで、第1基板20を第2基板30に容易に電気的に接続させることができる。また、複数の基板保持部121に複数種類の第1基板20が保持可能であるので、ユーザが複数種類の第1基板20のうちの所望の種類の第1基板20を基板保持部121に保持させることができる。その結果、第1基板20に応じた所望の機能を発揮させることができる。また、第1基板20に応じた所望の機能を発揮させるために、第1基板20の変更(交換)や追加が行われる可能性がある接続ユニット100において、第1基板20を第2基板30に容易に電気的に接続させることができることは、特に有効である。
【0076】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0077】
たとえば、上記実施形態では、ガス検知システムの接続ユニットに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。ガス検知システムの接続ユニット以外の電気機器に本発明を適用してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、変位部を底部により構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。変位部を、底部以外の天部や側部により構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、底部(変位部)が、回動軸を回動中心として、回動により固定位置と変位位置との間で変位する例を示したが、本発明はこれに限られない。変位部が、回動以外のスライド移動などにより固定位置と変位位置との間で変位してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、回動軸が筐体本体に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。回動軸が底部に形成されていてもよい。この場合、軸係合部が筐体本体に形成されていればよい。
【0081】
また、上記実施形態では、第1基板を保持する基板保持部が2つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。第1基板を保持する基板保持部が1つまたは3つ以上設けられていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、第1基板を保持する基板保持部が複数種類の第1基板を保持可能である例を示したが、本発明はこれに限られない。第1基板を保持する基板保持部が1種類の第1基板のみを保持可能であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、基板保持部に略垂直な姿勢で保持された第1基板が筐体本体に略水平な姿勢で配置された第2基板に電気的に接続される例を示したが、本発明はこれに限られない。第1基板と第2基板とを電気的に接続できれば、第1基板の姿勢と第2基板の姿勢とはどのような姿勢であってもよい。たとえば、基板保持部に略垂直な姿勢で保持された第1基板が筐体本体に略垂直な姿勢で配置された第2基板に電気的に接続されてもよいし、基板保持部に略水平な姿勢で保持された第1基板が筐体本体に略水平な姿勢で配置された第2基板に電気的に接続されてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第1基板を第2基板に電気的に接続した状態で、変位部を固定位置から変位位置に変位させた場合、第1基板と第2基板との電気的な接続状態が維持される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1基板を第2基板に電気的に接続した状態で、変位部を固定位置から変位位置に変位させた場合、第1基板と第2基板との電気的な接続状態が解除されてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、第1基板が機能拡張のための基板であり、第2基板が電力の供給のためおよび通信のためのベース基板である例を示したが、本発明はこれに限られない。第1基板および第2基板は、どのような基板であってもよい。また、上記実施形態では、第3基板がLED基板であったが、第3基板もどのような基板であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、接続ユニットは、底部が変位位置から固定位置に上方に回動した際に、基板保持部に上下方向に沿った略垂直な姿勢で保持された第1基板が筐体本体に略水平な姿勢で配置された第2基板に電気的に接続されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。
図10に示す変形例のように、接続ユニット100は、底部12が変位位置P2から固定位置P1に上方(Z1方向側)に回動した際に、基板保持部121に上下方向に対してわずかに傾いた状態で略垂直な姿勢で保持された第1基板20が筐体本体11に略水平な姿勢で配置された第2基板30に電気的に接続されるように構成されていてもよい。この場合、底部12が変位位置P2から固定位置P1に上方に回動した際、第1基板20のコネクタ21は、回動軸112周りに回動されながら、第2基板30のコネクタ31に電気的に接続される。
【符号の説明】
【0087】
11 筐体本体
12 底部(変位部)
13 前面カバー
20 第1基板
21 コネクタ
30 第2基板
31 コネクタ
100 接続ユニット(電気機器)
112 回動軸
121 基板保持部
P1 固定位置
P2 変位位置