(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072428
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】電動機及び回転圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20230517BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H02K3/50 Z
H02K7/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184982
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】517403558
【氏名又は名称】瀋陽中航機電三洋制冷設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】畠山 智行
(72)【発明者】
【氏名】中山 善友
(72)【発明者】
【氏名】後藤 太我
(72)【発明者】
【氏名】簗島 俊人
【テーマコード(参考)】
5H604
5H607
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604BB01
5H604CC01
5H604PC03
5H604QA08
5H604QB01
5H607BB01
5H607DD03
5H607FF07
(57)【要約】
【課題】 インシュレータに装着されるコイルと中性点との間を適切に絶縁すると共に、省スペース化が可能な電動機及び回転圧縮機の提供を目的とする。
【解決手段】 電動機は、ロータと、前記ロータより径方向外側に周設されると共に、複数のコイルが各々巻着される複数のティース部を含むステータと、
前記ステータに装着されるインシュレータを備え、前記インシュレータの外周域に、所定数の前記コイルの中性線を結線した中性点を収容する中性点収容部が設けられ、前記中性点収容部は、コイル側に配設される第1壁部と、前記第1壁部より径方向外側に配設されると共に、前記第1壁部から離間して設けられる第2壁部とを備え、前記中性点は、前記第1壁部と前記第2壁部との間に収容されることを特徴とする。また、回転圧縮機は、前記電動機を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
前記ロータより径方向外側に設けられると共に、複数のコイルが各々巻着される複数のティース部を含むステータと、
前記ステータに装着されるインシュレータと、
を備え、
前記インシュレータの外周域に、所定数の前記コイルの中性線を結線した中性点を収容する中性点収容部が設けられ、
前記中性点収容部は、
コイル側に配設される第1壁部と、
前記第1壁部より径方向外側に配設されると共に、前記第1壁部から離間して設けられる第2壁部と、
を備え、
前記中性点は、前記第1壁部と前記第2壁部との間に収容される
ことを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記第1壁部及び前記第2壁部の少なくとも一方に、前記中性点より上方側に配される軒部が設けられる
請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記第1壁部に前記軒部が設けられ、
前記第2壁部の最頂位置が、前記第1壁部の前記軒部より低い
請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記第1壁部と前記第2壁部との間に、前記中性点を載置する中性点載置面が形成され、
前記中性点載置面が、底方側に傾斜するスロープ部を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の電動機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電動機と、
前記電動機のロータに取り付けられるシャフトを介して前記電動機と接続する回転圧縮機構部と、
を備えることを特徴とする回転圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機及び回転圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機器等の圧縮機として、回転圧縮機(ロータリーコンプレッサ)が提供されている。回転圧縮機は、電動機と、回転圧縮機構部と、電動機と回転圧縮機構部とを収める密閉容器を備える。また、電動機と回転圧縮機構部とは、シャフト(クランクシャフト)を介して接続される。
【0003】
電動機のステータに回転磁界が生成されると、ロータが回転する。また、ロータの回転に伴い回転圧縮機構部の偏芯要素(クランクシャフトと係合する偏芯部やローラ等)が回転する。これにより、回転圧縮機構部のシリンダ内に導入された冷媒が圧縮される。
【0004】
ところで、回転圧縮機の電動機として、ブラシレスモータ(例えば、3相のブラシレスモータ)が用いられている。また、ブラシレスモータのステータは、複数のティース(スロット)を有する。更に、各ティースには、ステータに回転磁界を生成するためのコイルが巻着される。
【0005】
このようなブラシレスモータの各相(U相、V相、W相)がスター結線される場合、異なる相のコイルから延びる中性線が、捩り合わされる等の形態で電気的に接続される(中性線の接続箇所を、以下「中性点」と言う)。
【0006】
ここで、モータの動作特性を損なわないことに加え、モータの組み立て作業性や省スペース化等の観点から、中性点の接合方法や収容方法に関する発明が、種々提案されている。このような状況下、特に、中性点の収容方法(配設方法)に関する発明が、例えば、下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示の技術は、ロータと、ステータと、ステータの端部に固定される筒状のインシュレータを備え、ステータは、複数のティースと、前記複数のティースの各々に巻回された巻回部と、巻回部の一端側に設けられた中性線と、複数の前記中性線が電気的に接続された中性点とを有するブラシレスモータに関する。
【0009】
また、特許文献1に開示のインシュレータには、引込み用切り欠きが設けられ、複数の中性線は、インシュレータの外周面に沿って引き回されて引込み用切り欠きを通り、インシュレータの外側から内側へ引き込まれると共に、引き込まれた複数の中性線が固定される。
【0010】
より詳しくは、特許文献1に開示の技術において、電気的に接続された中性線の束(中性点)は、絶縁チューブで覆われた状態で、インシュレータの内側に位置する。このとき、絶縁チューブと巻回部(ステータに巻着されたコイル)とが接触又は近接し得る。そのため、モータ(特許文献1の場合、ブラシレスモータ)が回転し、振動が生ずると、双方が擦れるなどの事態が想定される。
【0011】
これに対して、例えば、
図8に示されるように、インシュレータ812の外周面813に、複数のコイルから延びる中性線を結線するための接続端子814を備えたブラシレスモータが提供されている。このような態様によれば、中性点(接続端子814)が、インシュレータ812の内側に位置しないため、特許文献1に開示の技術のような課題は生じない。
【0012】
しかしながら、接続端子814がインシュレータ812の外側に突出する分、省スペース化の点で課題を有する。また、接続端子814がインシュレータ812の外側に位置する結果、電気的に絶縁されていない中性点が外部に露出し得る。そのため、モータ近傍に、これと電位差を有する導電体が配設される場合、双方の通電を防ぐために、これらを所定距離(絶縁距離)離して配置する必要がある。
【0013】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、インシュレータに装着されるコイルと中性点との間を適切に絶縁すると共に、省スペース化が可能な電動機及び回転圧縮機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明に係る電動機は、
ロータと、
前記ロータより径方向外側に設けられると共に、複数のコイルが各々巻着される複数のティース部を含むステータと、
前記ステータに装着されるインシュレータと、
を備え、
前記インシュレータの外周域に、所定数の前記コイルの中性線を結線した中性点を収容する中性点収容部が設けられ、
前記中性点収容部は、
コイル側に配設される第1壁部と、
前記第1壁部より径方向外側に配設されると共に、前記第1壁部から離間して設けられる第2壁部と、
を備え、
前記中性点は、前記第1壁部と前記第2壁部との間に収容される
ことを特徴とする。
【0015】
本発明のこの態様によれば、異なる相の中性線を結線した中性点が、中性点収容部における第1壁部と第2壁部との間に収容される。ここで、第1壁部が、インシュレータに装着されたコイルと中性点との間に介在する。また、第2壁部より内側に中性点が収められるため、インシュレータより径方向外側に中性点が突出せず、且つ、中性点の少なくとも側域がカバーされる。その結果、振動が生じた場合であっても、中性点がコイルに接触しないことに加え、インシュレータ近傍に他の導電体が配置されても、中性点と他の導電体とが適切に絶縁される。これにより、中性点とコイルとが短絡するなどの事態が防止されると共に、電動機の省スペース化を図ることができる。
【0016】
また、本発明に係る電動機において、
前記第1壁部及び前記第2壁部の少なくとも一方に、前記中性点より上方側に配される軒部が設けられることが好ましい。
【0017】
本発明のこの態様によれば、インシュレータの中性点収容部における第1壁部及び前記第2壁部の少なくとも一方に軒部が設けられるため、中性点収容部に一度収容された中性点が、中性点収容部から脱離する事態を抑制できる。
【0018】
更に、本発明に係る電動機において、
前記第1壁部に前記軒部が設けられ、
前記第2壁部の最頂位置が、前記第1壁部の前記軒部より低いことが好ましい。
【0019】
本発明のこの態様によれば、インシュレータの中性点収容部における第2壁部の最頂位置が、第1壁部の前記軒部より低いため、電動機の外側から中性点収容部の内側に中性点を容易に収めることができる。
【0020】
更に、本発明に係る電動機において、
前記第1壁部と前記第2壁部との間に、前記中性点を載置する中性点載置面が形成され、
前記中性点載置面が、底方側に傾斜するスロープ部を有することが好ましい。
【0021】
本発明のこの態様によれば、中性点載置面のスロープ部によって、中性点の先端が、中性点収容部の底方側(収容領域の深い位置)に導かれる。これにより、中性点収容部に収容された中性点が脱離する事態を防止できる。
【0022】
また、本発明に係る回転圧縮機は、
前記電動機と、
前記電動機のロータに取り付けられるシャフトを介して前記電動機と接続する回転圧縮機構部と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明のこの態様によれば、異なる相の中性線を結線した中性点が、中性点収容部における第1壁部と第2壁部との間に収容される。ここで、第1壁部が、インシュレータに装着されたコイルと中性点との間に介在する。また、第2壁部より内側に中性点が収められるため、インシュレータより径方向外側に中性点が突出せず、且つ、中性点の少なくとも側域がカバーされる。その結果、振動が生じた場合であっても、中性点がコイルに接触しないことに加え、インシュレータ近傍に他の導電体が配置されても、中性点と他の導電体とが適切に絶縁される。これにより、中性点とコイルとが短絡するなどの事態が防止されると共に、電動機の省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、インシュレータに装着されるコイルと中性点との間を適切に絶縁すると共に、省スペース化が可能な電動機及び回転圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る回転圧縮機の垂直断面図。
【
図4】第1実施形態において、コイルが巻着されていない上部側のインシュレータの部分斜視図。
【
図7】第2実施形態のステータ(変形例)の斜視図。
【
図8】従来のブラシレスモータ(ステータ)の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る回転圧縮機を詳細に説明する。まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る回転圧縮機1の全体構成を説明する。ここで、
図1は、回転圧縮機1の垂直断面図である。
【0027】
図1に示されるように、第1実施形態に係る回転圧縮機1は、電動機10、電動機10によって駆動される回転圧縮機構部20を備える。電動機10及び回転圧縮機構部20は、容器本体部31、蓋部32を備える鋼板製の密閉容器30に収容される。
【0028】
密閉容器30に収容される電動機10は、密閉容器30内の一方側(高さ方向上方側)に配設される。また、回転圧縮機構部20は、密閉容器30内の他方側(高さ方向下方側)に配設される。
【0029】
電動機10は、ステータ11と、ロータ12と、シャフト13(ロータ12の回転軸に対応するクランクシャフト)とを備えるブラシレスモータ(例えば、3相ブラシレスモータ)である。ここで、ステータ11は、略円柱状の空域が内側に形成される平面視ドーナッツ形状の複数の電磁鋼板を高さ方向に積層したステータコア11aと、コイル11bを備える。
【0030】
また、ステータコア11aは、ヨーク部とヨーク部から径方向内側に延出するティース部を備える。前述のコイル11bは、ティース部に集中巻き方式で巻着される。更に、ステータ11(ステータコア11a)は、ステータコア11aに装着されると共に、コイル11bの巻回端部111a(上端側)に係り合う上部側のインシュレータ112と、コイル11bの巻回端部111b(下端側)に係り合う下部側のインシュレータ113を備える。インシュレータ112,113によって、ティース部とコイル11bとが絶縁される。
【0031】
なお、コイル11bは、容器30の蓋部32に装着されるターミナル33と電気的に接続される。ターミナル33からコイル11bに電力が供給されると、ステータコイル11bに電流が流れる。これにより、ロータ12に作用する回転磁界が生成され、ロータ12が回転する。
【0032】
次に、ロータ12は、平面視略円形の複数の電磁鋼板を高さ方向に積層した積層体(ロータコア)12aと、積層体12a内に設けられる永久磁石を備える。ロータ12の積層体12aは、ステータ11の内側に形成される円柱状の空域内に配設される。このとき、ステータ11の内端(ティース部の内端)とロータ12の外面との間に僅かな間隙が形成される。更に、ロータ12の中央に、高さ方向に貫通する貫通孔が形成される。シャフト13は、貫通孔に挿嵌され、ロータ12を支持する。なお、電動機10を備えた圧縮機として回転圧縮機1を例に説明したが、本発明は、これに限定されない。本実施形態の電動機10は、例えば、スクロール圧縮機等の他の機器に備わるものであってもよい。
【0033】
次に、
図2から
図4を参照して、第1実施形態のステータ11を説明する。ここで、
図2は、ステータ11の平面図である。また、
図3は、ステータ11の斜視図である。更に、
図4は、コイル11bが巻着されていない上部側のインシュレータ112の部分斜視図である。
【0034】
なお、前述のように、ステータ11には、上部側のインシュレータ112と下部側のインシュレータ113とが装着されているが、以下、上部側のインシュレータ112を中心に説明する。それに伴い、上部側のインシュレータ112を単に「インシュレータ112」と言う場合がある。
【0035】
図2~
図4に示されるように、インシュレータ112は、径方向外側に配設される外側部112aと、鍔部112bと、外側部112aの内面から径方向内側に延出し、鍔部112bと接続するインシュレータティース部112c(
図4参照)を備える。
【0036】
更に、
図2~
図4に示されるように、インシュレータ112は、その外周域に設けられると共に、複数のコイル11bの中性線114を束ねた中性点115の収容部(中性点収容部)120を備える。第1実施形態の場合、コイル11b1(例えば、U相)の中性線114a、コイル11b2(例えば、V相)の中性線114b、コイル11b3(例えば、W相)の中性線114cを束ねた中性点115が、中性点収容部120に収容される。また、中性点115は、絶縁チューブに被覆された状態で中性点収容部120に収容される。
【0037】
ここで、第1実施形態の中性点収容部120は、コイル11b側に配設される第1壁部121と、第1壁部121より径方向外側に配設される第2壁部122を備える。また、第1壁部121と第2壁部122とは、離間して設けられる。更に、第1壁部121に隣設される切り欠き112kが設けられる。中性点115(中性線114)は、切り欠き112kを通り、中性点収容部120に収容される。
【0038】
より詳しくは、第1壁部121が、インシュレータ112に装着されたコイル11bと中性点115との間に介在する。また、第2壁部122より内側に中性点115が位置するため、従来のブラシレスモータのように、インシュレータ112より径方向外側に中性点115が突出せず、且つ、中性点115の少なくとも側域が第2壁部122によってカバーされる。
【0039】
その結果、例えば、電動機10に振動が生じた場合であっても、中性点115がコイル11bに接触しないことに加え、インシュレータ112の近傍に他の導電体が配置されても、中性点115と他の導電体とが適切に絶縁される。これにより、中性点115とコイル11bとが短絡するなどの事態が防止されると共に、電動機10の省スペース化を図ることができる。
【0040】
また、第1実施形態において、第1壁部121の所定位置に軒部124が設けられる。
図2~
図4に示されるように、軒部124は、第1壁部121から径方向外側に延在する(第2壁部122に向けて延びる)。これにより、軒部124は、中性点収容部120に収容される中性点115より上方側に位置し、且つ、中性点115に向き合う。
【0041】
このような態様の軒部124が設けられることで、中性点収容部120に一度収容された中性点115が、中性点収容部120から脱離する事態を抑制できる。ただし、軒部124の形態は、図示されるような第1壁部121から略水平に延びる平板部位に限られない。また、第1実施形態の第1壁部121は、第1壁部121の頂端部に設けられているが、中性点115より上方側に位置するものであれば、他の箇所に設けられていてもよい。更に、第1実施形態の中性点収容部120は、軒部124を2つ備えるが、軒部124の数は、これに限定されない。
【0042】
更に、図示されるように、第1実施形態の軒部124は、第1壁部121のみに設けられているが、軒部124の配設態様は、これに限られない。例えば、軒部124は、第2壁部122のみに設けられていてもよい(例えば、第2壁部122の頂端部)し、第1壁部121と第2壁部122の双方に設けられていてもよい。なお、軒部124が第2壁部122に設けられる場合、第2壁部122から径方向内側に延在する(第1壁部121に向けて延びる)。
【0043】
更に、第2壁部122の最頂位置が、第1壁部121の軒部124の位置より低いことが好ましい。このような構造によれば、電動機10(インシュレータ112)の外側から中性点収容部120の内側に中性点115を容易に収めることができる。その結果、作業コストを低減できる。
【0044】
また、第1壁部121の底部と第2壁部122の底部との間に、中性点を載置する中性点載置面123が設けられる。更に、
図4に示されるように、中性点載置面123は、底方側に傾斜するスロープ部125を有することが好ましい。
【0045】
スロープ部125の位置は、中性点載置面123の先端側(切り欠き112kから遠い側)であることが好ましい。中性点載置面123にスロープ部125が設けられることで、中性点115の先端が、中性点収容部120の底方側(収容領域の深い位置)に導かれる。これにより、中性点収容部120に収容された中性点115が脱離する事態を防止できる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、
図5~
図7を参照して、第2実施形態における電動機(特に、ステータ)を説明する。ここで、
図5は、第2実施形態に係るステータ51(3相9スロットの並列結線)の斜視図である。また、
図6は、第2実施形態に係るステータ61(直列結線)の斜視図である。更に、
図7は、ステータ61の変形例の斜視図である。
【0047】
第2実施形態に係るステータ51,61は、分割されたステータコアの小区画を嵌め合わせて一体化させたいわゆる分割コア型に対応する。これに対して、第1実施形態に係るステータ11(
図1~
図4参照)は、環状に一体成形された円環コア型に対応する。その点で、双方の実施形態は異なる。
【0048】
また、前述のように、ステータ51は、3相9スロットの並列結線に対応することから、3つの中性点515(515a~515c)が形成される。それに伴い、第2実施形態の中性点収容部520は、前記3つの中性点515a~515cを収容する。ただし、スロット数や中性点515の数は、これに限定されない。なお、第2実施形態の中性点収容部520も、第1壁部521と、第2壁部522と、第1壁部521及び第2壁部522の少なくとも一方に設けられる軒部524を備える。
【0049】
図5に示されるように、第2実施形態の中性点収容部520は、インシュレータ512の外周に沿って一連に設けられている。ただし、中性点収容部520の態様は、これに限られない。他の態様の例として、中性点515a~515cをそれぞれ収容する複数(例えば、3つ)の中性点収容部520が設けられると共に、そのうちの任意の中性点収容部520が隣り合う中性点収容部520と物理的に隔てられる態様等が挙げられる。
【0050】
これに対して、
図6に示されるステータ61は、各相のコイルが直列に結線されているため、1つの中性点615が形成される。また、第2実施形態における中性点収容部620は、インシュレータ612の外周域の一部に設けられる。なお、中性点収容部620も、第1壁部621と、第2壁部622と、第1壁部621及び第2壁部622の少なくとも一方に設けられる軒部624を備える。
【0051】
図6に示されるように、第2実施形態の中性点収容部620は、2つの分割区画の外周域に渡って形成される。ただし、中性点収容部620の態様は、これに限られない。例えば、
図7に示されるように、中性点収容部620が1つの分割区画の外周域に形成されていてもよい。
【0052】
本発明の実施形態について詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、前述の実施形態から変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る回転圧縮機は、例えば、家庭用・業務用空調装置等に用いられる。ただし、その用途は、これに限られない。
【符号の説明】
【0054】
1…回転圧縮機
10…電動機
11,51,61…ステータ
11a…ステータコア
112,113,512,612…インシュレータ
115,515,615…中性点
120,520,620…中性点収容部
121,521,621…第1壁部
122,522,622…第2壁部
123…中性点載置面
124,524,624…軒部
125…スロープ部
12・・・・・・・ロータ
13・・・・・・・ロータのシャフト
20・・・・・・・・回転圧縮機構部
21・・・・・・・シリンダ
211・・・・・圧縮室
22・・・・・・・偏芯部
23・・・・・・・ローラ
30・・・・・・・・密閉容器