(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072465
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】除菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20230517BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20230517BHJP
A61L 2/025 20060101ALI20230517BHJP
E03C 1/126 20060101ALI20230517BHJP
E03C 1/30 20060101ALI20230517BHJP
E03C 1/28 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L2/20
A61L2/025
A61L2/18 100
A61L2/20 100
E03C1/126
E03C1/30
E03C1/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185039
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】岩端 智大
(72)【発明者】
【氏名】浦田 宗幸
(72)【発明者】
【氏名】音羽 勇哉
【テーマコード(参考)】
2D061
4C058
【Fターム(参考)】
2D061AA02
2D061AB06
2D061AB10
2D061AC05
2D061AE10
2D061DA01
2D061DD03
2D061DE30
4C058AA07
4C058BB04
4C058BB06
4C058BB07
4C058CC07
4C058DD07
4C058DD13
4C058JJ07
4C058JJ14
4C058JJ16
4C058JJ24
4C058JJ28
(57)【要約】
【課題】封水形成部の封水水位付近の内壁の汚れを超音波により落とした後で、除菌水又は除菌ガスを、洗浄後の内壁に供給でき、内壁における菌やカビの増殖を抑制できる除菌システムを提供する。
【解決手段】本発明の除菌システム20は、封水形成部14と、封水形成部内に流入する水により、封水形成部内の水位が第1水位から第1水位より高い第2水位W2まで上昇されやすくなるように形成されている水位上昇部26と、超音波発振器64と、除菌水又は除菌ガスを封水形成部内の水位高さの内壁14eまで供給する除菌装置22と、制御部29と、を備え、制御部29は、第1水位よりも水位が上昇している状態の少なくとも一部の期間において超音波照射器による超音波の照射を行わせると共に、第2水位に向かう水位上昇が少なくとも終わってから除菌装置22による除菌水又は除菌ガスの供給を停止させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の洗い場床の下流側に設けられる封水形成部内を除菌する除菌システムであって、
第1水位で封水水位を形成する上記封水形成部と、
上記封水形成部内に流入する水により、上記封水形成部内の水位が上記第1水位から上記第1水位より高い第2水位まで上昇されやすくなるように形成されている水位上昇部と、
上記封水形成部内の水に超音波を照射する超音波発振器と、
除菌水又は除菌ガスを上記封水形成部内の水位高さの内壁まで供給する除菌装置と、
上記超音波発振器及び上記除菌装置を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、上記第1水位よりも水位が上昇している状態の少なくとも一部の期間において上記超音波発振器による超音波の照射を行わせると共に、上記第2水位に向かう水位上昇が少なくとも終わってから上記除菌装置による除菌水又は除菌ガスの供給を停止させる、除菌システム。
【請求項2】
さらに、上記封水形成部に水を供給する給水装置を備え、
上記制御部は、上記除菌装置による除菌水又は除菌ガスの供給の停止後に、
上記給水装置により上記封水形成部に水を供給させる、請求項1に記載の除菌システム。
【請求項3】
上記除菌装置は、除菌ガスを吐出させる又は除菌水を吐出させた後この除菌水を気化させることにより除菌ガスを生じさせるように構成される、請求項1又は2に記載の除菌システム。
【請求項4】
上記制御部は、上記封水形成部への水の供給停止から所定時間経過前に、上記除菌装置により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる、請求項3に記載の除菌システム。
【請求項5】
さらに、上記浴室内の水蒸気量を減少させる浴室乾燥装置を備え、
上記制御部は、上記浴室乾燥装置により上記浴室内の水蒸気量を減少させた後に、上記除菌装置により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる、請求項3又は4に記載の除菌システム。
【請求項6】
さらに、上記封水形成部の上方且つ上記浴室の洗い場床に取付けられる排水カバーを備え、
上記除菌装置は、上記排水カバーよりも上方側から除菌水又は除菌ガスを吐出させるように構成され、
上記排水カバーは、上記封水形成部と連通する開口部を少なくとも2方向に向けて形成する、請求項3乃至5の何れか1項に記載の除菌システム。
【請求項7】
上記制御部は、上記除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、上記超音波発振器により超音波の照射を行わせる、請求項6に記載の除菌システム。
【請求項8】
さらに、上記排水カバーに空気を送る送風装置を備え、
上記制御部は、上記除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、上記送風装置により空気を上記排水カバーに送る、請求項6又は7に記載の除菌システム。
【請求項9】
さらに、上記封水形成部に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床を備える、請求項1乃至8の何れか1項に記載の除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室を除菌する除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、浴室の床に設けられる排水装置において超音波発振器が設けられることが知られている。この排水装置においては水位調整部が設けられ、水位調整部が水の流入に応じて排水本体部内の水位を上昇させ、封水水位付近の内壁の汚れを洗浄させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された装置においては、封水水位付近の内壁の汚れを落とせたとしても、その汚れが封水形成部に残り、封水水位付近の内壁に汚れが再付着するおそれがある。このように洗浄後の内壁に汚れが再付着した場合、内壁における菌やカビの増殖を生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、封水形成部の封水水位付近の内壁の汚れを超音波により落とした後で、除菌水又は除菌ガスを、洗浄後の内壁に供給でき、内壁における菌やカビの増殖を抑制できる除菌システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するために、本発明は、浴室の洗い場床の下流側に設けられる封水形成部内を除菌する除菌システムであって、第1水位で封水水位を形成する上記封水形成部と、上記封水形成部内に流入する水により、上記封水形成部内の水位が上記第1水位から上記第1水位より高い第2水位まで上昇されやすくなるように形成されている水位上昇部と、上記封水形成部内の水に超音波を照射する超音波発振器と、除菌水又は除菌ガスを上記封水形成部内の水面まで供給する除菌装置と、上記超音波発振器及び上記除菌装置を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記第1水位よりも水位が上昇している状態の少なくとも一部の期間において上記超音波発振器による超音波の照射を行わせると共に、上記第2水位に向かう水位上昇が少なくとも終わってから上記除菌装置による除菌水又は除菌ガスの供給を停止させることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部は、第2水位に向かう水位上昇中の少なくとも一部の期間において上記超音波発振器による超音波の照射を行わせるので、封水形成部内の水位が封水水位である第1水位よりも高い水位まで上昇した状態において超音波を照射し、封水形成部において汚れやすく且つ封水水位のままでは洗浄しにくい封水の高さの内壁を超音波により効果的に洗浄できる。さらに、制御部は、第2水位に向かう水位上昇が少なくとも終わってから除菌装置による除菌水又は除菌ガスの供給を停止させるので、封水形成部の封水水位付近の内壁の汚れが超音波により落とされ、さらに水位上昇が終わった後に、除菌水又は除菌ガスを、洗浄後の内壁に供給できる。これにより、仮に超音波洗浄により剥離した汚れが内壁に再付着したとしても、内壁における菌やカビの増殖を抑制できる。
【0007】
本発明において、好ましくは、さらに、上記封水形成部に水を供給する給水装置を備え、上記制御部は、上記除菌装置による除菌水又は除菌ガスの供給の停止後に、上記給水装置により上記封水形成部に水を供給させる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、さらに、上記除菌装置による除菌水又は除菌ガスの供給の停止後に、上記封水形成部に水を供給する給水装置を備える。これにより、除菌装置により供給された除菌水又は除菌ガスにより除菌された菌やカビ等の汚れを排出でき、このような汚れが内壁に付着することを抑制でき、内壁における菌やカビの増殖をより抑制できる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記除菌装置は、除菌ガスを吐出させる又は除菌水を吐出させた後この除菌水を気化させることにより除菌ガスを生じさせるように構成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、除菌装置は、除菌ガスを吐出させる又は除菌水を吐出させた後この除菌水を気化させることにより除菌ガスを生じさせるように構成される。仮に除菌水を液体のまま直接に封水形成部内の水面まで供給する場合には、封水形成部の内壁に到達するまでの経路で、例えば、床面などに残存している水や汚れなどにより、除菌水の濃度が減衰する可能性がある。それと比べて、本発明においては、除菌ガスを床面などに残存している水や汚れなどに接触させにくくすることができる。すなわち、濃度が比較的高い状態を保ちながら封水形成部内の水位高さの内壁まで除菌ガスを供給できる。これにより、除菌ガスをより効果的に活用して菌やカビの増殖をより抑制できる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記封水形成部への水の供給停止から所定時間経過前に、上記除菌装置により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記除菌装置は、上記水位上昇部により上記封水形成部内の水位が上昇されることにより濡れた状態となる上記第1水位より上方の上記封水形成部の内壁が乾燥状態になる前に、除菌水又は除菌ガスを吐出するように構成される。これにより、上記除菌装置は、第1水位より上方の上記封水形成部の内壁が濡れた状態となっている間に除菌ガスを封水形成部の内壁に供給できる。これにより、内壁が乾燥状態の場合と異なり、濡れた状態の内壁に除菌ガスを供給することができるため、除菌ガスを内壁の水分に溶解させることができる。従って、除菌ガスを、乾燥状態の内壁上の対象物に直接反応させるよりも、濡れた状態の内壁の水滴の表面積に応じて水分に溶解させることができ、対象物により有効に作用させやすくできる。
【0010】
本発明において、好ましくは、さらに、上記浴室内の水蒸気量を減少させる浴室乾燥装置を備え、上記制御部は、上記浴室乾燥装置により上記浴室内の水蒸気量を減少させた後に、上記除菌装置により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、さらに、上記浴室内の水蒸気量を減少させる浴室乾燥装置を備え、上記制御部は、上記浴室乾燥装置により上記浴室内の水蒸気量を減少させた後に、上記除菌装置により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる。これにより、除菌ガスが浴室内の水蒸気に溶解され、除菌ガスが封水水位付近の内壁に作用する効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、上記封水形成部の上方且つ上記浴室の洗い場床に取付けられる排水カバーを備え、上記除菌装置は、上記排水カバーよりも上方側から除菌水又は除菌ガスを吐出させるように構成され、上記排水カバーは、上記封水形成部と連通する開口部を少なくとも2方向に向けて形成する。
本実施形態と異なり、除菌装置が排水カバーよりも上方側から除菌水又は除菌ガスを吐出させる場合には、排水カバーの形態によっては、排水カバーにより除菌装置から供給された除菌ガス等が封水形成部に到達しにくくなる可能性がある。これに対し、このように構成された本発明の一実施形態においては、排水カバーは、上記封水形成部と連通する開口部を少なくとも2方向に向けて形成する。従って、排水カバーから封水形成部への空気の流れを形成しやすくできる。よって、排水カバーが設けられる場合であっても、除菌水又は除菌ガスを、封水形成部内の内壁に供給しやすくできる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、上記超音波発振器により超音波の照射を行わせる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部は、上記除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、上記超音波発振器により超音波の照射を行わせる。これにより、封水形成部内の水面に超音波が照射されることにより、水面が波立ち、封水形成部内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部内の水位高さの内壁まで供給しやすくできる。また、封水形成部内の水面に超音波が照射されることにより、封水形成部内の水の水温が上昇され、水による上昇気流が生じやすくされ、封水形成部内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部内の水位高さの内壁まで供給しやすくできる。さらに、封水形成部内の水面が波立つことにより、封水水位よりも下方側の内壁にも除菌ガスが作用でき、菌やカビの増殖を抑制できる領域をより広げることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、上記排水カバーに空気を送る送風装置を備え、上記制御部は、上記除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、上記送風装置により空気を上記排水カバーに送る。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部は、上記除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、上記送風装置により空気を上記排水カバーに送る。これにより、封水形成部内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部内の水位高さの内壁まで供給しやすくできる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、上記封水形成部に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、さらに、上記封水形成部に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床を備える。これにより、洗い場床の水が排水傾斜により封水形成部に排出されやすくでき、除菌ガスが洗い場床の水分に溶解され、除菌ガスが封水水位付近の内壁に作用する効率が低下してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の除菌システムによれば、封水形成部の封水水位付近の内壁の汚れを超音波により落とした後で、除菌水又は除菌ガスを、洗浄後の内壁に供給でき、内壁における菌やカビの増殖を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態による除菌システムが使用される浴室を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による除菌システムが使用される浴室を浴室乾燥装置を省略した状態で示す上面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って見た部分断面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿って見た断面図である。
【
図5】
図1のカウンター近傍を拡大した斜視図である。
【
図6】
図1のVI-VI線に沿って見た吐水装置の部分断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿って見た部分断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態による除菌システムの浴室乾燥装置において、換気ダンパー開の状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態による除菌システムの浴室乾燥装置において、換気ダンパー閉の状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態による除菌システムによる動作を示すタイムチャートである。
【
図12】本発明の第1実施形態による除菌システムによる動作を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の第1実施形態による除菌システムの原理の一部を説明するための線図である。
【
図14】本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第1変形例における水位上昇部において可動堰が待機状態となっている様子を示す拡大断面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第1変形例における水位上昇部において可動堰が上昇している状態となっている様子を示す拡大断面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第2変形例における水位上昇部において可動堰が待機状態となっている様子を示す拡大断面図である。
【
図17】本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第2変形例における水位上昇部において可動堰が下降している状態となっている様子を示す拡大断面図である。
【
図18】本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第3変形例における水位上昇部を説明する断面図である。
【
図19】本発明の第2実施形態による除菌システムが使用されるシャワールームの斜視図である。
【
図20】
図19のXX-XX線に沿って見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、
図1及び
図2により、本発明の第1実施形態による除菌システムが使用される浴室について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による除菌システムが使用される浴室を示す斜視図であり、
図2は本発明の実施形態による除菌システムが使用される浴室を浴室乾燥装置を省略した状態で示す上面図である。
図1に示すように、浴室1は、ほぼ直方体の4つの側面を形成する第1壁2、第2壁4、第3壁6及び第4壁8を備えている。第2壁4の側には浴槽10が設けられ、第4壁8と浴槽10の間の下方には洗い場床12が設けられている。この洗い場床12の浴槽10の近傍には封水形成部14が設けられ、この封水形成部14から水が外部に排出されるようになっている。浴室1は使用者が水により体を洗う部屋であり、シャワールームも含まれる。本実施形態において使用される用語「水」は、給水源又は外部の給湯機等において温度調節されて湯と水が混合された湯水のみならず、外部水道から温度調節されていない状態で給水された水、給水源からの水を適温まで加熱した湯水等も含む意味で使用されている。
【0018】
第3壁6の側の一部にはカウンター16が設けられている。第3壁6のカウンター16の上方には、鏡が設けられている。カウンター16の上段には、水を吐水する吐水部18、シャワーホースを介したシャワー34等の水栓装置などが設けられている。
【0019】
吐水部18及びシャワー34は、湯水混合栓7を介して、上流側において、給水源(図示せず)から水が供給される水給水路9及び、給水源(図示せず)に接続された給湯機等から湯が供給される湯給水路11に接続される。湯水混合栓7は、使用者の操作や制御部の設定等に基づいて、水給水路9からの水と、湯給水路11からの湯とを任意の割合で混合できる。カウンター16の下面側には、本実施形態による除菌システム20の一部を構成する除菌水及び水道水(水)を吐水するための吐水装置である除菌装置22が設けられている。
【0020】
上述した第1壁2乃至第4壁8の上端には天井24が取り付けられ、この天井24には浴室乾燥装置27が設けられている。さらに、浴室1の外部には、除菌システム20を操作するための操作パネル28と後述する制御部29が設けられている。操作パネル28は、使用者からの操作入力を受け付ける操作部を形成している。操作パネル28はボタンを備えており、使用者がボタンを手動操作するような使用者からの手動操作入力を受け付けている。変形例として、操作パネル28は、スマートフォンやリモコン等の電子機器の画面上に表示される操作画面として形成されてもよい。すなわち、操作パネル28は、このような操作画面上の操作ボタンにおいて使用者からの操作入力を受け付ける操作部を形成していてもよい。このとき、スマートフォンやリモコン等の電子機器の操作パネル28は、制御部29とインターネットや赤外線通信等の無線通信により電気的に接続される。また、さらなる他の変形例として、操作パネル28は、音声入力により使用者からの操作入力を受け付ける音声操作部や、使用者の手指等のジェスチャー操作入力により使用者からの操作入力を受け付ける(例えば使用者が手指等を所定の空間に一定時間かざすことにより使用者の手指等を検出して操作入力として検出し操作入力を受け付ける等)ジェスチャー操作部であってもよい。
【0021】
再び本実施形態に戻り、
図5に示すように、カウンター16は、天板16aと下カバー16bとを有しており、洗い場床12から上方に離間して設けられている。
【0022】
除菌システム20は、浴室1の洗い場床12の下流側に設けられる封水形成部14内の少なくとも一部、例えば封水形成部14に形成される封水の近傍の高さの内壁14eを除菌する。除菌システム20は、封水形成部14に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床12と、浴室1内の水蒸気量を減少させる浴室乾燥装置27と、第1水位で封水水位W0を形成する封水形成部14と、封水形成部14の上方且つ浴室の洗い場床12に取付けられる排水カバー15と、封水形成部14内に流入する水により、封水形成部14内の水位が第1水位から第1水位より高い第2水位まで上昇されやすくなるように形成されている水位上昇部26と、封水形成部14内の水に超音波を照射する超音波発振器64と、除菌水又は除菌ガスを封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給する除菌装置22と、排水カバー15に空気を送る送風装置66と、超音波発振器64及び除菌装置22を制御する制御部29と、を備える。
【0023】
浴室乾燥装置27は、浴室1内の空気を換気して浴室1内の水蒸気量を減少させ、浴室1内を乾燥させることができる。浴室乾燥装置27は、室内温度より温かい温風、室内温度とほぼ同じ温度の風、又は室内温度より冷たい冷風を送出することにより、浴室1内の水蒸気を気化させ、水蒸気量を減少させることができる。浴室乾燥装置27は、また、後述するように、散水された除菌水を気化させる機能を有する。より好ましくは、浴室乾燥装置27は、温風を送出することにより、浴室1内の温度を上昇させることができるため、浴室1内の空気の飽和水蒸気量を上昇させ水を水蒸気として気化させる機能を有する。
【0024】
封水形成部14は、洗い場床12の下部と接続される。封水形成部14は、超音波洗浄機能付きの排水装置として形成されている。封水形成部14は、洗い場床12に吐水された水を排水するとともに、流入された水の一部を貯留させてその内部に封水水位W0で通常時(待機状態)の封水を形成する機能を有する。ここで「封水」とは、臭気などを遮断するために封水形成部14内のトラップ内に形成される水をいう。また「通常時の封水」とは、浴室の吐水部から水の吐水を行なっていない吐水部の不使用時(待機状態)における封水をいう。
【0025】
図3に示すように、封水形成部14は、封水水位W0に封水を形成するようなトラップ形状の流路を形成する。封水形成部14は、洗い場床12に開口するように接続される接続部14aと、排水トラップを形成するように下流側に向けて斜め上方に上昇する上昇流路である上昇部14bと、上昇部14bと下降部14dとの間において排水トラップの上昇部14bと接続する折り返し部分である頂部14cと、上昇部14bの下流側に設けられ且つ頂部14cから下降する下降流路である下降部14dとを備えている。よって、封水形成部14は、上昇部14bから下降部14dに向けて折り返すトラップ形状の流路を形成する。頂部14cは封水水位W0を規定する。下降部14dは、頂部14cより下降する流路を形成し、排水流路17と接続される。封水形成部14は、排水流路17側の流路としての排水トラップの流路を形成し、流路の内径が小さい、流路の形状が複雑である、流路の深さが深い等の要素のいずれか又はこれらの要素の少なくとも一部の組合せ等を有することにより、網かご19に比べて使用者が手指を入れて清掃しにくくなっている。
【0026】
封水形成部14は、樹脂により形成されている。封水形成部14は、下流側の排水流路17と接続される。排水流路17は、さらに下流側の排水配管(図示せず)に接続される。封水形成部14には、洗い場床12からの流路とは別の水の供給流路が接続されていてもよい。別の水の供給流路は、別の給水源(図示せず)又は本実施形態と同じ給水源に接続される。封水形成部14内に流入する水には、洗い場床12からの流路とは別の水の供給流路から封水形成部14内に流入する水も含まれる。封水形成部14内に流入する水には、使用者が体や洗い場床等を洗うのに使用した水や、洗剤、シャンプー、ボディーソープ等を含むような水等も含まれる。接続部14aと洗い場床12との間には、網かご19が配置されている。網かご19は、網目を形成し、髪の毛等のごみを捕集しやすくされている。
【0027】
超音波発振器64は、封水形成部14の接続部14aの下方に設けられている。超音波発振器64は、封水形成部14の底部に設けられ、上方に向けて超音波を照射するように配置されている。超音波発振器64は、制御部29と電気的に接続されている。
【0028】
送風装置66は、排水カバー15から封水形成部14内に流れ込む空気の流れを形成させる。送風装置66は、浴室乾燥装置27により形成されていてもよい。この場合、浴室乾燥装置27は、送風装置66としても機能する。
【0029】
排水カバー15は、封水形成部14の接続部14a及び網かご19の上方を覆うように形成されている。排水カバー15は、四角に形成された脚部により洗い場床12上に配置され、封水形成部14と連通する開口部を少なくとも2方向、好ましくは4方向に向けて形成する。本実施形態では、排水カバー15は、封水形成部14との間に4方向に開口する開口部を形成している。
【0030】
除菌装置22は、除菌ガスを封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給するように構成される。除菌装置22は、排水カバー15よりも上方側から除菌水又は除菌ガスを吐出させるように構成される。本実施形態においては、除菌装置22は、除菌水を吐出させ、この除菌水を気化させることにより、除菌ガスを生成させるように構成される。なお、変形例として、除菌装置22は、除菌ガスを吐出させるように構成されてもよい。また、さらなる変形例として、除菌装置22は、除菌ガスを直接吐出させるものに限られず、除菌水を液体のまま吐出させ、直接封水形成部14内まで供給するように構成されてもよい。
【0031】
制御部29は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリに記憶された所定の制御プログラム等に基づいて浴室乾燥装置27、除菌装置22、超音波発振器64等の動作を制御する。なお、除菌装置22からの水の吐水に限られず、流量センサが配置されることにより封水形成部14に流入する水が検知され、制御部29が、このような検知に基づいて超音波発振器64による超音波の照射を開始する制御を行ってもよい。また、さらなる変形例として、流量センサが封水形成部14から排出される水を検知するように配置され、制御部29が、このような流量センサによる検知に基づいて超音波発振器64による超音波の照射を開始する制御を行ってもよい。
【0032】
制御部29は、上述した除菌装置22及び浴室乾燥装置27の動作を操作する。制御部29は、第2水位W2に向かう水位上昇中の少なくとも一部の期間において超音波発振器64による超音波の照射を行わせると共に、第2水位W2に向かう水位上昇が少なくとも終わってから除菌装置22による除菌水又は除菌ガスの供給を停止させる。制御部29は、除菌装置22による除菌水又は除菌ガスの供給の停止後に、給水装置である除菌装置22により封水形成部14に水を供給させる。制御部29は、封水形成部14への水の供給停止(又は水位下降の開始)から所定時間経過前に(例えば、水位上昇部26により封水形成部14内の水位が上昇されることにより濡れた状態となる、第1水位である封水水位W0より上方の封水形成部14の内壁14eが乾燥状態になる前に)、除菌装置22により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる。制御部29は、浴室乾燥装置27により浴室1内の水蒸気量を減少させた後に、除菌装置22により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる。制御部29は、除菌装置22により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、超音波発振器64により超音波の照射を行わせる。制御部29は、除菌装置22により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、送風装置により空気を排水カバー15に送る。
【0033】
次に、
図3及び
図4により、封水形成部14の水位上昇部について説明する。
水位上昇部26は、例えば封水形成部14内に流入する水が所定流量以上である場合に、封水形成部14内に流入する水により、封水形成部14内の水位が封水形成部14内の第1水位である封水水位W0から封水形成部14内の封水水位W0より高い第2水位W2までは上昇しやすくなるように形成されている。水位上昇部26は、封水形成部14内に配置されることにより水位を調整する。水位上昇部26は、封水形成部14内の水位が封水水位W0から第2水位W2までの間にある場合における下流側への排水量が、封水形成部14内の水位が第2水位W2に到達して以後における下流側への排水量よりも少なくなるように形成される。
【0034】
水位上昇部26は、電動の電磁弁等による流路の開閉によらず、流路の構造により水位を調整する機能を有するので、使用者の操作等によらず、水の封水形成部14内への流入に応じて自動的に水位を調整できる。
【0035】
水位上昇部26は、封水形成部14の排水トラップの封水水位W0を規定する封水水位規定部である頂部14cに形成されている。より具体的には、水位上昇部26は、頂部14cから上方に突出するように形成されている。
図4に示すように、水位上昇部26は、封水形成部14内の流路を狭める壁30を備える。壁30は、封水形成部14内の流路の下部側を絞る絞り部を形成している。壁30は、封水形成部14内の流路の頂部14cの底面から上方に立ち上がるように形成される。壁30の後面30bは下方に延びている。よって、壁30は、流路の上流側から下流側を見る方向(前後方向)の断面において平板状に形成される。例えば、壁30は、封水形成部14の両側の側壁が内側に突出するようにして、頂部14cから上方に向けて立ち上がるように形成される壁30を形成していてもよい。
【0036】
壁30は、水位上昇部26に到達する主たる水の流れ方向に対して左右方向に延び、さらに、壁30には、その上端30cから下方に延びる切欠き30dが形成されている。この切欠き30dの左右方向の幅A1は、上下方向においてほぼ一定である。切欠き30dの下部は、頂部14cにより形成されている。切欠き30dは前後方向においては前面から後面まで延びている。従って、
図4に示すように、封水形成部14内の流路は、左右方向の横断面においてT字形状に形成されている。
【0037】
吐水部18、シャワー34又は除菌装置22から吐水される吐水量(封水形成部14に流入する単位時間あたりの流入量)に対し、切欠き30dを通過しきれない水が、封水形成部14内の水位を上昇させ、水位が上端30cを超えた場合には、壁30部分の幅方向全体の上端30cを超える流れを形成する。壁30は水位が上端30c以下の高さにある場合には切欠き30dを通過する単位時間の排水量を制限すると共に、水位が上端30cを超えた高さである場合には上端30cを超える流れを形成する特殊な堰を形成している。切欠き30dの第1領域B1(切欠き30dにより切り欠かれた領域)を通過する単位時間あたりの排水量(排水流量)は、切欠き30dの幅A1と水位の高さh1(頂部14cからの実際の水位の高さ)により決定される。また、第2領域B2を通過する単位時間あたりの排水量(排水流量)は、封水形成部14の流路の幅A2と上端30cより上方の水位の高さh2(上端30cからの実際の水位の高さ)により決定される。第2領域B2は壁30の上端30cより上方の領域である。
【0038】
水位が上端30cを超えた場合には、吐水部6bから吐水される吐水量(封水形成部14に流入する単位時間あたりの流入量)に対し、切欠き30dの第1領域B1を通過しきれない水が、壁30部分の上端30cを超える流れを形成するので、水位の上昇が抑制される。このように、水位が上端30cを超えた場合には、封水形成部14に流入する単位時間あたりの流入量に対し、水位上昇部26により、切欠き30dの第1領域B1を通過する単位時間あたりの排水量と第2領域B2を通過する単位時間あたりの排水量との合計の第2排水量が排出される。
【0039】
このように、切欠き30dの第1領域B1が比較的小さく形成されているので、水位が切欠き30dの頂部、すなわち上端30cの高さの第2水位W2まで上昇されやすくなっている。水位が第2水位W2を超える場合には、第2排水量の排出により水位上昇が抑制される。水位が第2水位W2を超えたとしても、水位が第3水位W3に到達し、封水形成部14に流入する単位時間あたりの流入量と、第1領域B1を通過する単位時間あたりの排水量と第2領域B2を通過する単位時間あたりの排水量との合計の第2排水量とが同じになる場合、水位上昇がほぼ停止される。超音波洗浄水位は、第1水位である封水水位W0より上方の水位、例えば第2水位W2として規定されている。超音波洗浄水位は、第3水位W3であってもよい。
【0040】
水位上昇部26の上端30cにより規定される第2水位W2は、網かごの下端よりも上方に位置する。また、水位上昇部26の上端30cにより規定される第2水位W2は、封水水位W0の位置の接続部14aの周壁よりも上方に位置している。なお、変形例として第2水位W2は、網かごの下端よりも下方に位置してもよい。
【0041】
次に、
図5乃至
図8により、本実施形態の除菌装置22について説明する。
図6に示すように、カウンター16の内部(天板16aと下カバー16bとの間)には、除菌装置22が設けられ、この除菌装置22は、カウンター16の下カバー16bから下方に突出するノズル部32を備えている。
図5に示すように、ノズル部32は、カウンター16の下部に、洗い場床12から離間した位置に配置され、さらに、ノズル部32は、カウンター16の横方向における中央付近、すなわち、洗い場床12の横方向における中央付近に設けられている。除菌装置22のノズル部32は、排水カバー15よりも上方側に設けられている。
【0042】
図6に戻り、除菌装置22は、第1ストレーナ36と、第1電磁弁38と、第2電磁弁40と、調圧弁42と、バキュームブレーカ44と、逆止弁46と、除菌水生成部48と、第2ストレーナ50と、が設けられている。第1ストレーナ36は、湯水混合栓7を介して外部の給水管(水給水路9等)と接続されており、第1ストレーナ36の下流において、水道水の流路は2つに分岐している。
【0043】
第1ストレーナ36の下流側の一方の流路51は、第1電磁弁38を介して、水道水を直接的にノズル部32に供給するようになっている。第1ストレーナ36は、湯水混合栓7を介して、水給水路9及び湯給水路11に接続されている。第1ストレーナ36は、別の経路により水道等に接続されていてもよい。第1電磁弁38を開くことにより水道水がノズル部32に供給されるようになっている。この一方の流路51に設けられた第1電磁弁38及びノズル部32が、洗い場床12に水道水を散水して、洗い場床12に残留水を形成する。
【0044】
第1ストレーナ36の下流側の他方の流路52には、上流側から順に、第2電磁弁40、調圧弁42、バキュームブレーカ44、逆止弁46、除菌水生成部48、第2ストレーナ50が接続されており、除菌水をノズル部32に供給するようになっている。なお、バキュームブレーカ44は設けなくても良い。
【0045】
第1電磁弁38及び第2電磁弁40は、それぞれ、水道水の上述した流路51、52を開く動作、及び、水道水の流路51、52を閉じる動作、を行うようになっている。なお、流路51、52には、吐水される水の単位時間あたりの流量を検知できる流量センサが設けられ、吐水がなされることが検知されてもよい。
【0046】
調圧弁42は、供給される水道水の圧力を制御するようになっている。これにより、詳細は後述する除菌水生成部48に供給される水道水の流量を所望の値に調整することができる。除菌水生成部48に供給される水道水の流量を調整することにより、ノズル部32に供給される除菌水の流量が調整される。なお、調圧弁42の代わりに、あるいは、調圧弁42に加えて、第2電磁弁40により水道水の流量を調整してもよい。
【0047】
除菌水生成部48は、陽極と陰極とを有する電解室(電解槽)である。除菌水生成部48は、陽極と陰極との間に電圧を印加して、それら電極の間を流れる水道水を電気分解することにより、次亜塩素酸を含む除菌水を生成するようになっている。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。
【0048】
第1電磁弁38、第2電磁弁40、調圧弁42及び除菌水生成部48は、制御部29により適宜に制御されるようになっている。これにより、ノズル部32からの水道水の散水と、ノズル部32からの除菌水の散水と、を互いに独立に制御できるようになっている。
【0049】
具体的には、第1電磁弁38及び第2電磁弁40は、制御部29からの信号に基づいて、水道水の流路51、52の開閉を行う。これにより、下流側に供給される水道水の流量が制御される。また、除菌水生成部48は、制御部29からの信号に基づいて、電解室のON/OFF等を切り替える。このようにして制御部29は、除菌水における各種構成成分の濃度、吐水される水道水及び除菌水の瞬間流量(単位時間当たりの流量)、吐水される除菌水の総水量、を制御することができる。また、制御部29は、第1電磁弁38、第2電磁弁40、それぞれの開状態を認識できるため、制御部29は、第1電磁弁38、第2電磁弁40、から吐水がされているか否かを認識できる。
【0050】
上述した除菌水は、菌や黴、酵母を減少させる機能を有する機能水であり、例えば、次亜塩素酸を含む水である。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。その結果、電気分解された水は、次亜塩素酸(HOCl)を含む液に変化する。この次亜塩素酸が気化して一酸化二塩素(Cl2O)となる。この一酸化二塩素が、除菌ガスである。
除菌水は、金属イオン水(例えば、銀イオン、銅イオンまたは亜鉛イオンなどの金属イオンを含む水)またはオゾンを含む水であってもよい。例えば、水道水が電気分解される際、陰極においては酸(H+)が消費され、陰極の近傍ではpHが上昇する。すなわち、陰極の近傍では、アルカリ水が生成される。一方、陽極においてはアルカリ(OH-)が消費され、陽極の近傍ではpHが下降する。すなわち、陽極の近傍では、酸性水が生成される。除菌水生成部48における流量を変化させることにより、除菌水に含まれる成分の濃度を制御することができる。
なお、上述した除菌水生成部48では、電気分解して除菌水を生成しているが、これに限定されことなく、例えば、除菌剤を水道水に溶解させて除菌水を生成するようにしてもよい。
除菌ガスは、菌や黴、酵母を減少させる機能を有するガスである。除菌ガスは、微粒子状の除菌水を含んでもよい。ここで、「微粒子状」とは、気流にのって浮遊できる程度の大きさの液体粒子の状態である。このような微粒子状の除菌水を含む除菌ガスはミスト状になっている。なお、除菌ガスの菌や黴、酵母を減少させる機能は、ガス中の気体によって奏されてもよいし、ガス中に含まれる液体によって奏されてもよいし、気体及び液体の両方によって奏されてもよい。
除菌ガスは、例えば、有効成分として一酸化二塩素を含むガスである。一酸化二塩素を含むガスは、例えば、前述の通り、次亜塩素酸を気化させることにより、生成することができる。除菌ガスは、例えば、次亜塩素酸(HOCl)を含む水を微粒子化させることにより生成されてもよい。除菌ガスは、例えば、金属イオン水(例えば、銀イオン、銅イオンまたは亜鉛イオンなどの金属イオンを含む水)を含むガスであってもよい。この場合、金属イオン水は微粒子状の除菌水である。 また、除菌ガスは、オゾン(O3)を含むガスであってもよい。
なお、前述のように、変形例として、除菌装置22は、除菌ガスを直接吐出させるように構成されてもよい。このように除菌ガスを直接吐出する場合、例えば、除菌装置22は、タンクに貯められた除菌水に浸された吸水性フィルタを備え、そのフィルタに風を当てることで、除菌ガスを生成且つ吐出させるように構成されてもよい。また、他に例えば、除菌装置22は、酸素を含む空気に紫外線を照射して、生成したオゾン(除菌ガス)を浴室内に吐出するように構成されてもよい。
【0051】
本実施形態において、気化した除菌水の有効成分における「有効」とは、例えば対象物に付着している菌や黴、酵母の減菌率が10%以上であることを示す。詳述すると、対象物に付着していた菌や黴、酵母の量に対して、気化した除菌水によって、該対象物に付着している菌や黴、酵母の量の割合が、90%以下になった場合、気化した除菌水が有効であったと定義する。除菌水や除菌ガスは、例えば対象物に付着している菌や黴、酵母の減菌率が10%以上、より好ましくは20%以上である除菌水や除菌ガスである。
【0052】
本実施形態において、詳細は後述するが、ノズル部32は、電動モータ53によって回転駆動されるようになっている。電動モータ53は、例えばステッピングモータからなる。電動モータ53は、制御部29によって制御されるようになっている。これにより、ノズル部32は、制御部29からの信号に基づいて電動モータ53が制御されることにより、回転角度や回転速度が変化するようになっている。また、制御部29には、除菌作業を開始するためのスイッチを備えた操作パネル28が接続されていて、浴室利用者が除菌作業以外についても適宜の操作を行うことができるようになっている。
【0053】
図7及び
図8に示すように、ノズル部32は、滞留水通水部54と、第2通水部(除菌水通水部)56と、滞留水通水部54に形成された滞留水用ノズル開口58と、除菌水通水部56に形成された除菌水用ノズル開口60と、を有している。
【0054】
第1電磁弁38を通過した水道水は、滞留水通水部54内に供給され、第1ノズル開口である滞留水用ノズル開口58から吐水されるようになっている。除菌水生成部48によって生成された除菌水は、除菌水通水部56内に供給され、第2ノズル開口である除菌水用ノズル開口60から吐水されるようになっている。滞留水用ノズル開口58から水道水が垂直方向に広がるように吐水され、除菌水用ノズル開口60から除菌水が垂直方向に広がるように吐水される。さらに、ノズル部32が電動モータ53により軸線を中心に回転することにより、水平方向の広い範囲に水道水及び除菌水を吐水することができるようになっている。上述のように除菌装置22は、封水形成部14に水を供給する給水装置としても機能する。なお、除菌システムは、除菌装置22の他に、封水形成部14に水を供給する給水装置を別途設けてもよい。例えば、洗い場床12を介さずに封水形成部14内に水を直接供給する給水経路を形成している給水装置を備えていてもよい。
【0055】
次に、
図9及び
図10により、浴室1の天井24に設けられた浴室乾燥装置27について説明する。
図9は浴室乾燥装置27により浴室1内を換気している状態を示し、
図10は入浴前の暖房、入浴中の暖房、及び、本実施形態による除菌システム20により「除菌水吐水」が実行されるときの状態を示している。なお、図中の矢印は、空気の流れの様子を示している。
【0056】
図9に示すように、浴室乾燥装置27は、ハウジング70を備え、このハウジング70の下部は開口72を介して浴室1の内部に連通している。ハウジング70内には、ファン74が設けられ、電動モータにより回転し、このファン74の回転により、浴室1内の空気を吸引するようになっている。さらに、ハウジング70内のファン74の下流側には、排気ダンパー76とヒーター78が設けられている。さらに、排気ダンパー76の下流側には、排出口80が設けられている。
【0057】
図9に示すように、浴室乾燥装置27により浴室1内を換気する場合には、排気ダンパー76が開操作され、ファン74により吸引された浴室1内の空気が排出口80から外部に排出されるようになっている。
【0058】
次に、
図10に示すように、先ず、入浴前及び入浴中に浴室1内を暖房する場合には、排気ダンパー76が閉操作され、ファン74により吸引された浴室1内の空気はヒーター78により温められ、この温められた空気が開口72から浴室1内に戻るようになっている。このようにして、浴室1内の空気が浴室乾燥装置27との間で循環され、浴室1内の空気が所望の温度(例えば20℃)に維持されるようになっている。
【0059】
本実施形態による除菌システム20により除菌水吐水を行う場合も、
図10に示すように、排気ダンパー76が閉操作され、ファン74により吸引された浴室1内の空気はヒーター78により温められ、この温められた空気が開口72から浴室1内に戻り、浴室1内の空気が浴室乾燥装置27との間で循環されるようになっている。このとき、浴室1内は換気されていないので、浴室1内の空気は浴室1内に閉じ込められている。
【0060】
次に、
図11及び
図12により、本実施形態による除菌システム20の動作について説明する。
図11は本発明の第1実施形態による除菌システムによる動作を示すタイムチャートであり、
図12は本発明の第1実施形態による除菌システムによる動作を示すフローチャートである。
【0061】
先ず、
図11に示すように、制御部29が操作パネル28の入力を受けて浴室乾燥装置27及び除菌装置22を駆動させ、浴室乾燥装置27は運転開始から12分間の間、浴室1内の空気の換気を行い(
図9参照)、この状態で、除菌装置22は、浴室1の洗い場床12に向けて水を散水して「予洗い」を実行する。除菌装置22が洗い場床12に向けて水を吐水するので、
図11に示すように除菌装置22からの吐水流量[L/min]は3[L/min]まで上昇され、その後一定に保たれる。
【0062】
洗い場床12に吐水された水が封水形成部14に流入すると、水位上昇部26により封水形成部14内の水位が封水水位W0から第2水位W2を超えて第3水位W3まで上昇される。このように、封水形成部14内の水位が第1水位よりも上昇している状態で、後述するように制御部29は、超音波発振器64を駆動させる。
【0063】
制御部29は、除菌装置22による吐水開始から所定時間経過後に、超音波発振器64の超音波振動子を発振させ、超音波発振器64は、13分の間駆動され、超音波を照射させ、封水形成部14内の水が接している内壁14e等の超音波洗浄を実行する。このとき、超音波発振器64は、間欠的に駆動される。例えば、超音波発振器64は、時刻t1にON状態とされた後、時刻t2にOFF状態とされ、次いで、時刻t3にON状態とされた後、時刻t4にOFF状態とされる。以後同様に、時刻t5乃至t8において、超音波発振器64は、ON状態とOFF状態とが切り替わるように制御される。制御部29は、超音波発振器64を封水形成部14内の水位が上昇する前に駆動開始させているが、水位が上昇を開始した後駆動開始させてもよい。水位が封水水位W0よりも上昇された状態で超音波発振器64が駆動されるので、封水形成部14において汚れやすく且つ封水水位W0のままでは洗浄しにくい封水水位W0の高さ近傍の内壁14eを超音波により効果的に洗浄できる。
【0064】
次に、開始から12分経過したら、34分の間、浴室乾燥装置27は、排気ダンパー76を閉じて換気を停止し(
図10参照)、その状態でヒーター78をONとして浴室1内の空気を温め、温まった空気を循環させる。
除菌装置22は、開始から12分経過したら、4分の間、除菌装置22による水の吐水を停止して、待機する。その後、30分の間、除菌装置22は、間欠的に「除菌水吐水」を行い、その後、「除菌水吐水」を終了する。
【0065】
除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水により、吐水流量[L/min]は0.5[L/min]まで上昇され、その後一定に保たれる。除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水により、封水形成部14内の水位が封水水位W0から第2水位W2に向けてわずかに上昇される。
【0066】
制御部29は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水を開始してから所定期間にわたって超音波発振器64を駆動させずに待機状態とする。
【0067】
制御部29は、除菌装置により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、超音波発振器64により超音波の照射を行わせる。例えば、制御部29は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水を実行中に、時刻t10において超音波発振器64を駆動させる。超音波発振器64の駆動は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水の終了(時刻t11)を超えて継続している。超音波発振器64の駆動は、時刻t12において終了する。超音波発振器64が時刻t11から時刻t12まで駆動されることにより、水面が波立ち、封水形成部内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部内の水面まで供給しやすくできる。また、封水形成部14内の水面に超音波が照射されることにより、封水形成部14内の水の水温が上昇され、水による上昇気流が生じやすくされ、封水形成部14内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給しやすくできる。さらに、封水形成部14内の水面が波立つことにより、波立ちによって露出される封水水位よりも下方側の周壁にも除菌ガスが作用でき、菌や黴の増殖を抑制できる領域をより広げることができる。所定期間は、例えば、除菌水が吐出開始された時刻t9から除菌ガスを浴室内で作用させるために十分な時刻t13までの期間であり、好ましくは除菌水等の吐出開始から約1時間(56分間)である。所定期間は、約1時間から約2時間程度の時間とされてもよく、浴室乾燥装置27の換気運転の始まるまでの時間として設定されていてもよい。
【0068】
除菌装置22が「除菌水吐水」を行っているとき、浴室乾燥装置27は、排気ダンパー76を閉じて換気を停止し、ヒーター78により浴室1内の空気を温め、温まった空気を循環させるようにしているので、この循環空気により、吐水された除菌水は揮発して気化する。暖まった空気の循環は、除菌水の気化に有効であるが、ヒーター78をOFFにして、単に送風させるだけでも、除菌水を気化させることができる。浴室乾燥装置27は、その後、26分の間、排気ダンパー76を閉じて換気を停止した状態を継続し、ヒーター78をOFFにして浴室1内の空気を循環させる。よって、時刻t9において除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水を開始してから浴室乾燥装置27のヒーター78をOFFにした状態の空気循環が終了するまで(時刻t13まで)の間に、除菌ガスが浴室内の手指等では清掃しにくいところまで供給され、封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給される。除菌ガスが対象物(例えば封水水位近傍の内壁14e)に付着している水に溶解することにより、対象物に付着している菌や黴、酵母を有効に除菌できる。
【0069】
制御部29は、浴室乾燥装置27のヒーター78をOFFにした状態の空気循環を終了させた後、時刻t13から除菌装置22により再び洗い場床12に向けて「後洗い」の水を散水する。制御部29は、除菌装置22により「予洗い」と同程度の吐水流量3[L/min]の吐水を行う。除菌装置22による吐水流量は変更されてもよい。制御部29は、除菌装置22により5分間の吐水を実行させた後、時刻t14において吐水を停止させ、待機状態とさせる。
【0070】
浴室乾燥装置27は、t11以後、26分の間、排気ダンパー76を閉じて換気を停止した状態を継続し、ヒーター78をOFFにして浴室1内の空気を循環させる。その後、24時間の間、浴室乾燥装置27は、排気ダンパー76を開いて浴室1内の空気の換気を行い(
図9参照)、その後、換気を終了する。
【0071】
次に、
図12により、本実施形態による除菌システムにより実行される制御フローを説明する。
図12に示される制御フローと、上述した
図11による説明とは、基本動作は同じである。なお、
図12において、「S」は各ステップを示す。
【0072】
図12に示すように、S1において、操作パネル28に設けられた除菌システムの運転を開始するためのスイッチをONとする。S2に進み、制御部29は、浴槽乾燥装置(乾燥装置)26による換気運転を開始させ、同時に、除菌装置22による「予洗い」運転も開始させる。
【0073】
制御部29は、S2を実行後、S3を実行させると共に、独自に並行してS4も実行させる。
先ず、S3において、制御部29は、S2の実行開始後、1分経過したか否かを判定する。1分経過までは、封水形成部14内の水位の上昇が開始されておらず超音波発振器64の超音波により封水水位W0よりも高い位置を洗浄しにくいと判断するので、水位の上昇の開始まで待機するため、S3の判定を継続する。
S3において、制御部29は、1分経過したと判定した場合には、封水形成部14内の水位の上昇が開始され超音波発振器64の超音波により封水水位W0よりも高い位置を洗浄しやすい状態となったと判断できるので、S5に進み、超音波発振器64を駆動させ、超音波洗浄を実行する。
S5においては、制御部29は、超音波発振器64を間欠的に駆動させる。具体的には、制御部29は、超音波発振器64を所定時間(例えばt1~t2)駆動した後、所定時間(例えばt2~t3)停止され、その後、再び所定時間(例えばt3~t4)駆動される。
次に、制御部29は、S6に進み、13分経過したか否かを判定する。13分経過までは、S6の運転を継続する。制御部29は、S6において、13分経過したと判定した場合には、封水形成部14内の水が接している壁等の超音波洗浄を実行するのに十分な時間が経過したと判断できるので、S7に進み、超音波発振器64の駆動を停止させる。
【0074】
制御部29は、S2を実行後、S3と独立して、S4も実行させ、S4において、S2の実行開始後、12分経過したか否かを判定する。12分経過までは、S2の実行を継続しつつS4の判定を継続する。
【0075】
この除菌装置22による「予洗い」運転により、洗い場床12に、必要な量の残留水を形成することができ、この残留水に後述する除菌ガスが溶解して、さらなる除菌効果を得ることができる。また、「予洗い」運転により、封水形成部14内の水位を上昇させ、封水形成部14内の封水水位W0から第3水位W3までの高さの内壁14eに水を付着させた状態(濡れた状態)とすることができる。よって、この水に除菌ガスが溶解して、さらなる除菌効果を得ることができる。
【0076】
S4において、12分経過したと判定した場合には、S8に進み、浴室乾燥装置27による換気運転は停止し(排気ダンパーが閉じられる)、且つ、除菌装置22による「予洗い」運転も停止する。
【0077】
次に、S9に進み、除菌装置22が「予洗い」運転を停止して4分待機したか否かを判定する。4分待機するまでは、S10に進み、浴室内温度が20℃以上か否かを判定し、20℃以上でない場合には、S11に進み、浴室乾燥装置27のヒーター78をONとし、浴室内の空気を暖めて循環させる循環運転を行う。このS11における動作は、浴室室内の温度が20℃以上でない場合には、S8において乾燥装置の排気停止が行われた後直ぐに実行される。さらに、S10において、浴室内温度が20℃以上であると判定された場合には、S12に進み、乾燥装置は、排気ダンパーを閉じた状態で、空気を循環させる循環運転を行う。
【0078】
S9において、除菌装置22が4分待機したと判定された場合には、S13に進み、除菌装置22により「除菌水吐水」を開始する。除菌装置22から「除菌水吐水」された除菌水には、浴室乾燥装置27により暖まった循環空気が作用し、これにより、除菌水が気化し、除菌水が気化することで生成された除菌ガスが上述した洗い場床12上に残留した残留水や封水形成部14内の内壁に付着した水に溶解して、除菌効果を向上させている。なお、浴室内の温度が20℃以上の場合には、ヒーター78をOFFしても、除菌水を容易に気化させることができる。
【0079】
制御部29は、S13を実行後、S14を実行させると共に、独自に並行してS15も実行させる。
先ず、S14において、制御部29は、S13の実行開始後、25分経過したか否かを判定する。制御部29は、除菌ガスが対象物に付着している水に溶解することにより、対象物に付着している菌や黴、酵母をより有効に除菌するために、25分経過までは待機する必要があると判断するのでS14の判定を継続する。なお、25分経過前でも除菌効果は十分に得られるが、より除菌効果を得るため制御部29は、S14において、25分経過の判定を行っている。S14において、制御部29は、25分経過したと判定した場合には、除菌ガスが対象物に付着している水に溶解することにより、対象物に付着している菌や黴、酵母をより有効に除菌できたと判断できるので、S16に進み、超音波発振器64を駆動させ、超音波洗浄を実行する。S16においては、制御部29は、超音波発振器64を時刻t10から時刻t12まで継続して駆動させる。
【0080】
次に、制御部29は、S17に進み、10分(時刻t10から時刻t12まで)経過したか否かを判定する。10分経過までは、S17の運転を継続する。制御部29は、S17において、10分経過したと判定した場合には、封水形成部内の空気を流動させるのに十分な時間が経過したと判断できるので、S18に進み、超音波発振器64の駆動を停止させる。
【0081】
制御部29は、S13を実行後、S14と独立して、S15も実行させ、S15において、S13の実行開始後、30分経過したか否かを判定する。30分経過までは、S19に進み、浴室内温度が20℃以上か否かを判定し、20℃以上でない場合には、S20に進み、浴室乾燥装置27のヒーター78をONとし、浴室内の空気を暖めて循環させる循環運転を行う。さらに、S19において、浴室内温度が20℃以上であると判定された場合には、S21に進み、乾燥装置は、排気ダンパーを閉じた状態で、空気を循環させる循環運転を行う。
【0082】
S15において、除菌装置22による除菌水の吐水が30分継続したと判定された場合には、S22に進み、制御部29は、浴室乾燥装置27のヒーター78をOFFとし、循環運転を停止させる。また、制御部29は、除菌装置22による除菌水の吐水を停止させる。
【0083】
次に、S23において、制御部29は、S22の実行後、26分経過したか否かを判定する。制御部29は、除菌ガスが対象物に付着している水に溶解することにより、対象物に付着している菌や黴、酵母をさらに有効に除菌するために、さらに26分経過するまで待機すると判断するのでS23の判定を継続する。なお、26分経過前でも除菌効果は十分に得られるが、さらに除菌効果を得るため制御部29は、S23において、26分経過の判定を行っている。制御部29は、S23において、26分経過したと判定した場合には、S24を実行させると共に、独自に並行してS25も実行させる。
S24において、除菌装置22が「後洗い」運転を開始させる。この除菌装置22による「後洗い」運転により、洗い場床12や封水形成部14内の除菌された菌等を洗い流してさらに除菌効果を高めることができる。
【0084】
S24の実行開始後、S26において5分経過したか否かを判定する。5分経過までは、S24の実行を継続しつつS26の判定を継続する。S26において、5分経過したと判定した場合には、S27に進み、制御部29は、除菌装置22による「後洗い」運転を停止させる。
【0085】
S25において、浴室乾燥装置27によるダンパー76を閉じた状態での循環運転は停止され、S28に進む。制御部29は、S28において、浴室乾燥装置27の24時間換気運転を開始させる。制御部29は、浴室乾燥装置27において、排気ダンパー76を開いた状態で、換気運転を24時間継続させる。これにより、本実施形態による除菌システムによる浴室の除菌動作は終了する。
【0086】
図11に示すような本実施形態による除菌システム20の動作や、
図12に示すような本実施形態による除菌システムにより実行される制御フローの動作における変形例について説明する。
上述の第1実施形態においては、除菌装置22が洗い場床12に向けて吐水を開始するタイミング(時刻t0)よりもやや遅れた時点(時刻t1)から超音波発振器64の駆動が開始されている。これに対し、変形例として、超音波発振器64の駆動開始が除菌装置22の吐水開始よりも前の時点であってもよく、また、超音波発振器64の駆動開始が除菌装置22の吐水開始と同時の時点であってもよい。
また、本実施形態においては、超音波発振器64の駆動が終了されるタイミング(時刻t8)は、除菌装置22の予洗いの吐水の終了の時点よりも遅い時点となっている。これに対し、変形例として、超音波発振器64の駆動が終了されるタイミングは除菌装置22の予洗いの吐水の終了の時点よりも早い時点であってもよく、また、除菌装置22の予洗いの吐水の終了の時点と同時の時点であってもよい。さらに、超音波発振器64の駆動が終了されるタイミングは除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水を開始して以後の時点であってもよい。
また、本実施形態においては、超音波発振器64は、駆動開始から駆動終了まで間欠的に駆動されている。これに対し、変形例においては、超音波発振器64は、駆動開始(時刻t1)から駆動終了(時刻t8)まで継続的に駆動されていてもよい。
【0087】
また、本実施形態においては、制御部29は、浴室乾燥装置27のヒーター78をOFFにした状態の空気循環を終了させた後、時刻t13から除菌装置22により再び洗い場床12に向けて「後洗い」の水を散水する。これに対し、変形例として、制御部29は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水終了の直後から、除菌装置22により再び洗い場床12に向けて「後洗い」の水を散水してもよく、また、浴室乾燥装置27のヒーター78をOFFにした状態の空気循環を実行している途中において、除菌装置22により再び洗い場床12に向けて「後洗い」の水を散水してもよい。
【0088】
また、本実施形態においては、制御部29は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水を実行中に、時刻t10において超音波発振器64を駆動させ、「除菌水吐水」の吐水の終了後に、超音波発振器64の駆動を終了させている。これに対し、変形例として、制御部29は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水を実行中に、超音波発振器64の駆動を開始させ、「除菌水吐水」の吐水の終了前に、超音波発振器64の駆動を終了させてもよい。また、別の変形例として、制御部29は、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水終了以後に、超音波発振器64の駆動を開始させ、ヒーター78をOFFにした浴室1内の空気循環の終了前に、超音波発振器64の駆動を終了させてもよい。
本実施形態においては、超音波発振器64は、駆動開始(時刻t10)から駆動終了(時刻t12)まで継続的に駆動されている。これに対し、変形例においては、超音波発振器64は、駆動開始から駆動終了まで間欠的に駆動されていてもよい。
【0089】
本実施形態においては、制御部29は、除菌装置22により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、送風装置66として機能する浴室乾燥装置27のヒーター78をOFFにした状態の空気循環により空気を排水カバー15に送る。これに対し、変形例として、制御部29は、除菌装置22により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、浴室乾燥装置27とは別に設けられた送風装置66により空気を排水カバー15に送ってもよい。除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水中に送風装置の駆動が開始され、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水が終了するまでに送風装置の駆動が終了されてもよい。なお、さらなる変形例として、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水中に送風装置の駆動が開始され、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水終了以後に送風装置の駆動が終了されてもよい。また、さらなる変形例として、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水終了以後に送風装置の駆動が開始され、ヒーター78をOFFにした浴室1内の空気循環の終了までに、送風装置66の駆動が終了されてもよい。なお、除菌装置22からの「除菌水吐水」の吐水終了以後に送風装置66の駆動が終了されてもよい。
【0090】
次に、
図13を参酌して、本実施形態による除菌システムの基本原理について説明する。
図13は本発明の実施形態による除菌システムの原理の一部を説明するための線図である。
図13に示すように、従来は、塩素濃度Aの除菌水がノズルから散水され、除菌水が除菌対象の到達点に達したときに、「効果を発揮する濃度B」であることが必要であり、さらに、除菌水の到達点における「着水量」と「作用時間」も重要であった。
【0091】
この従来技術においては、ノズルから散水された除菌水が到達点に到達するまでの間に、揮発(気化)し、それにより、除菌水の濃度が低下するという問題があった。そのため、到着点における「濃度×着水量×作用時間」を考慮して除菌水を散水する必要があり、広い範囲で浴室を除菌することが難しかった。
【0092】
ここで、除菌水がノズルから到達点に到達するまでの間に、除菌水を揮発(気化)して生成された除菌ガスは何ら除菌作業に活用されていないので、本発明者らは、この除菌ガスを除菌作業に活用することを見出した。即ち、除菌ガスを、上述した「予洗い」動作により洗い場床や浴槽エプロン、カウンター裏、壁等に残った残水に、溶解させ、これにより、除菌ガスを活用し、広範囲な除菌を可能としたのである。
【0093】
以下、本実施形態による除菌システムによる作用効果を説明する。
一般的には、浴室1に滞留した水(残水)があると菌・カビ汚れの原因となるので好ましくない。しかしながら、本実施形態においては、あえて浴室1に残水を残し、この状態で、浴室1に除菌水を吐水し、この吐水された除菌水を浴室乾燥装置27により気化させている。これにより、除菌水を気化することで生成された除菌ガスを残水に溶解させるので、直接除菌水を付着させることができない部位(隅部、継ぎ目、カウンタ裏面、天井、壁の上部、収納棚等)にまで除菌効果を得ることができる。この結果、本実施形態によれば、浴室内を広い範囲で除菌することができる。
【0094】
本実施形態による除菌システム20は、さらに、封水形成部14に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床12を備える。これにより、洗い場床12の水が排水傾斜により封水形成部14に排出されやすくでき、除菌ガスが洗い場床の水分に溶解され、除菌ガスが封水水位付近の周壁に作用する効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0095】
上述した本実施形態においては、浴室1に吐水された除菌水を浴室乾燥装置27の空気の流れ又は加温された空気の流れにより、気化させて、この気化した除菌ガスを浴室1内に残る残留水に溶解させるようにしている。しかしながら、本実施形態においては、除菌水の全てが気化する必要はなく、微粒化した状態の除菌水(除菌ガス)と気体状の除菌ガスの混合物であってもよい。また、他の変形例として、除菌装置22は、微粒子状の除菌水を含むミスト状の除菌ガスを吐出するようにしていてもよい。
【0096】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、制御部29は、第2水位W2に向かう水位上昇中の少なくとも一部の期間において超音波発振器64による照射を行わせるので、封水形成部14内の水位が第1水位である封水水位W0よりも高い水位まで上昇した状態において超音波を照射し、封水形成部14において汚れやすく且つ封水水位W0のままでは洗浄しにくい封水の高さの内壁14eを超音波により効果的に洗浄できる。さらに、制御部29は、第2水位W2に向かう水位上昇が少なくとも終わってから除菌装置22による除菌水又は除菌ガスの供給を停止させるので封水形成部14の封水水位W0付近の内壁14eの汚れが超音波により落とされ、さらに水位上昇が終わった後に、除菌水又は除菌ガスを、洗浄後の内壁に供給できる。これにより、仮に超音波洗浄により剥離した汚れが内壁14eに再付着したとしても、内壁14eにおける菌やカビの増殖を抑制できる。
【0097】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、さらに、除菌装置22による除菌水又は除菌ガスの供給の停止後に、封水形成部14に水を供給する給水装置を備える。これにより、除菌装置22により供給された除菌水又は除菌ガスにより除菌された菌やカビ等の汚れを排出でき、このような汚れが内壁14eに付着することを抑制でき、内壁14eにおける菌やカビの増殖をより抑制できる。
【0098】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、除菌装置22は、除菌ガスを吐出させる又は除菌水を吐出させた後この除菌水を気化させることにより除菌ガスを生じさせるように構成される。仮に除菌水を液体のまま直接に封水形成部14内の水面まで供給する場合には、封水形成部14の内壁14eに到達するまでの経路で、例えば、床面などに残存している水や汚れなどにより、除菌水の減衰する可能性がある。それと比べて、本発明においては、除菌ガスを床面などに残存している水や汚れなどに接触させにくくすることができる。すなわち、濃度が比較的高い状態を保ちながら封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで除菌ガスを供給できる。これにより、除菌ガスをより効果的に活用して菌やカビの増殖をより抑制できる。
【0099】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、除菌装置22は、水位上昇部26により封水形成部14内の水位が上昇されることにより濡れた状態となる第1水位より上方の封水形成部14の内壁14eが乾燥状態になる前に、除菌水又は除菌ガスを吐出するように構成される。これにより、除菌装置22は、第1水位より上方の封水形成部14の内壁14eが濡れた状態となっている間に除菌ガスを封水形成部14の内壁14eに供給できる。これにより、内壁14eが乾燥状態の場合と異なり、濡れた状態の内壁14eに除菌ガスを供給することができるため、除菌ガスを内壁14eの水分に溶解させることができる。従って、除菌ガスを、乾燥状態の内壁14e上の対象物に直接反応させるよりも、濡れた状態の内壁14eの水滴の表面積に応じて水分に溶解させることができ、対象物により有効に作用させやすくできる。
【0100】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、さらに、浴室内の水蒸気量を減少させる浴室乾燥装置27を備え、制御部29は、浴室乾燥装置27により浴室内の水蒸気量を減少させた後に、除菌装置22により、除菌水又は除菌ガスを吐出させる。これにより、除菌ガスが浴室内の水蒸気に溶解され、除菌ガスが封水水位W0付近の内壁14eに作用する効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0101】
本実施形態と異なり、除菌装置22が排水カバー15よりも上方側から除菌水又は除菌ガスを吐出させる場合には、排水カバー15の形態によっては、排水カバー15により除菌装置22から供給された除菌ガス等が封水形成部14に到達しにくくなる可能性がある。
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、排水カバー15は、上記封水形成部14と連通する開口部を少なくとも2方向に向けて形成する。従って、排水カバー15から封水形成部14への空気の流れを形成しやすくできる。よって、排水カバー15が設けられる場合であっても除菌水又は除菌ガスを、封水形成部14内の内壁14eに供給しやすくできる。
【0102】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、制御部29は、除菌装置22により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、超音波発振器64により超音波の照射を行わせる。これにより、封水形成部14内の水面に超音波が照射されることにより、水面が波立ち、封水形成部14内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給しやすくできる。また、封水形成部14内の水面に超音波が照射されることにより、封水形成部14内の水の水温が上昇され、水による上昇気流が生じやすくされ、封水形成部14内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給しやすくできる。さらに、封水形成部14内の水面が波立つことにより、封水水位W0よりも下方側の内壁14eにも除菌ガスが作用でき、菌やカビの増殖を抑制できる領域をより広げることができる。
【0103】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、制御部29は、除菌装置22により除菌水又は除菌ガスが吐出開始された後の所定期間内のいずれかの期間において、送風装置66により空気を排水カバー15に送る。これにより、封水形成部14内の空気の流動が促進されやすくなり、除菌ガスを封水形成部14内の水位高さの内壁14eまで供給しやすくできる。
【0104】
このように構成された本発明の第1実施形態の構造によれば、さらに、封水形成部14に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床12を備える。これにより、洗い場床12の水が排水傾斜により封水形成部14に排出されやすくでき、除菌ガスが洗い場床12の水分に溶解され、除菌ガスが封水水位W0付近の内壁14eに作用する効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0105】
次に、
図14及び
図15により、上述した本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第1変形例を説明する。本発明の第1実施形態による除菌システムの変形例について、第1実施形態による除菌システム20と異なる点のみを説明し、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の変形例の動作(作用)については、第1実施形態による除菌システムの水位上昇の動作(作用)と同様であるので説明を省略する。
図14は、本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第1変形例における水位上昇部において可動堰が待機状態となっている様子を示す拡大断面図である。
図15は、本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第1変形例における水位上昇部において可動堰が上昇している状態となっている様子を示す拡大断面図である。
【0106】
第1変形例においては、水位上昇部26は、頂部14cに可動堰31を備える点が、本実施形態において水位上昇部26の壁30が、封水形成部14内の流路の下部側を絞る絞り部を形成している構造と異なっている。
【0107】
本変形例においては、水位上昇部26は、頂部14cに設けられた可動堰31を備えている。水位上昇部26は、電動式の流路調整弁等により形成することができる。封水水位W0は頂部14cにより規定されている。このような水位上昇部26は、流路の封水水位を規定する頂部14cの高さを上昇させるように構成されている。可動堰31は、頂部14cに設けられた軸部31aの周りを回動する可動壁31bを備えている。可動堰31は、左右方向に延び、封水形成部14の側壁と合わせて流路の堰となるような壁部(流路に対して左右方向に延びるような壁部)を形成する。可動堰31は、制御部29と電気的に接続され、制御部29の指令により駆動されるようになっている。
図14に示すように、可動堰31の可動壁31bが水平に延びる水平姿勢をとるとき、封水水位W0は、この水平に延びる可動堰31の高さとなる。一方で、
図15に示すように。可動堰31の可動壁31bが垂直に立つ垂直姿勢を取るとき、封水水位は、この垂直に延びる可動堰31の頂部31cの高さ(第2水位W2)となる。
【0108】
制御部29は、第1電磁弁38又は第2電磁弁40が開状態となる等、封水形成部14内に水が流入すると判断した場合に、制御部29は、可動堰31を水平から上昇させるように回動させる。従って、水位上昇部26は、封水形成部14内に流入する水により、封水形成部14内の水位が第1水位である封水水位W0から封水水位W0より高い第2水位W2まで上昇されやすくなるように形成されている。制御部29が吐水の開始を判断したことに基づいて、制御部29が可動堰31を回動させて封水形成部14内の水位を上昇させ、水位を第2水位W2に向けて上昇させるように制御されてもよい。さらに、例えば、制御部29が、水位が第2水位W2まで上昇された後、水が洗い場床12側に逆流しないように、この可動堰31等を元に戻す等の制御を行って封水形成部14内の水位上昇を抑制してもよい。
【0109】
次に、
図16及び
図17により、上述した本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第2変形例を説明する。
本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第2変形例について、第1実施形態による除菌システム20の水位上昇部と異なる点のみを説明し、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の変形例の動作(作用)については、第1実施形態による除菌システムの水位上昇の動作(作用)と同様であるので説明を省略する。
図16は、本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第2変形例における水位上昇部において可動堰が待機状態となっている様子を示す拡大断面図である。
図17は、本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第2変形例における水位上昇部において可動堰が下降している状態となっている様子を示す拡大断面図である。
【0110】
この第2変形例においては、水位上昇部26は、封水形成部14内に流路の開度を変更できるような弁体33を備えている点が、本実施形態において水位上昇部26の壁30が、封水形成部14内の流路の下部側を絞る絞り部を形成している構造と異なっている。
【0111】
本変形例においては、水位上昇部26は、封水形成部14内に可動式の弁体33を備えている。弁体は制御部29と電気的に接続され、制御部29からの制御指令を受けて封水形成部14内の流路の開度を変更できる。このような水位上昇部26は、流路の通水面積を一時的に減少させることにより封水形成部14内の水位を上昇させやすくするように構成されている。可動式の弁体33は、封水形成部14内に取付けられる軸部33aの周りを回動する可動壁33bを備えている。可動壁33bは、左右方向に延び、封水形成部14の側壁と合わせて流路に対して左右方向に延びる壁部を形成する。弁体33は、頂部14cより上流側の管路の頂部に設けられている。弁体33は、頂部14cより下流側の管路に設けられていてもよく、また、管路の頂部に限られず、側部又は底部に設けられていてもよい。弁体33は、制御部29と電気的に接続され、制御部29の指令により駆動されるようになっている。
【0112】
図16に示すように、弁体33の可動壁33bが軸部33aから水平に延びるとき、封水形成部14内の流路は狭められていない状態となっている。このとき、封水水位W0は、頂部14cの高さとなっている。一方で、
図17に示すように。弁体33の可動壁33bが封水形成部14内の流路を狭めるような位置まで移動されるとき、通水面積が一時的に減少されることにより、封水形成部14内の水位が上昇されやすくなる。制御部29は、第1電磁弁38又は第2電磁弁40が開状態となる等、封水形成部14内に水が流入すると判断した場合に、制御部29は、弁体33を封水形成部14内の流路を狭めるように回動させる。従って、水位上昇部26は、封水形成部14内に流入する水により、封水形成部14内の水位が第1水位である封水水位W0から封水水位W0より高い第2水位W2まで上昇されやすくなるように形成されている。制御部29が吐水の開始を判断したことに基づいて、制御部29が弁体33を回動させて封水形成部14内の水位を上昇させ、水位を第2水位W2に向けて上昇させるように制御されてもよい。さらに、例えば、制御部29が、水位が第2水位W2まで上昇された後水が洗い場床12側に逆流しないように、この弁体33等を元に戻す等の制御を行って封水形成部14内の水位上昇を抑制してもよい。
【0113】
次に、
図18により、上述した本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第3変形例を説明する。本発明の一第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の変形例について、第1実施形態による除菌システム20の水位上昇部と異なる点のみを説明し、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第3変形例の動作(作用)については、第1実施形態による除菌システムの水位上昇の動作(作用)と同様であるので説明を省略する。
図18は、本発明の第1実施形態による除菌システムの水位上昇部の第3変形例における水位上昇部を説明する断面図である。
【0114】
この第3変形例においては、水位上昇部26は、壁30を備えていなく、封水形成部14が浴槽10の排水流路21と接続されている構造となっている点が、本実施形態において水位上昇部26の壁30が、封水形成部14内の流路の下部側を絞る絞り部を形成している構造と異なっている。
【0115】
本変形例においては、水位上昇部26は、排水流路21を備え、封水形成部14が浴槽10の排水流路21と接続され、浴槽10からの比較的大流量の排水により水位が上昇するようになっている。浴槽10内に貯水されていた水を排水するときに、浴槽10から封水形成部14に供給される水の単位時間当たりの流量が、封水形成部14から下流側に排出される単位時間当たりの流量を超えるので、封水形成部14内の水位が上昇される。水位上昇部26は、通常想定される浴槽10内の貯水量による排水流量により水位を上昇させるように構成される。よって、水位上昇部26は、封水形成部14内に流入する水により、封水形成部14内の水位が第1水位である封水水位W0から封水水位W0より高い第2水位W2まで上昇されやすくなるように形成されている。第2水位W2は、想定される浴槽10からの排水流量と封水形成部14から下流側に排出される排水流量とのバランスにより規定されてもよいし、封水形成部14を含む排水流路内の構造により規定されてもよい。
【0116】
次に、
図19により、本発明の第2実施形態による除菌システムを備えたシャワールーム装置を説明する。第2実施形態は、本発明による除菌システムをシャワールームに適用した例である。
図19は本発明の第2実施形態による除菌システムを備えたシャワールーム装置の斜視図である。
【0117】
第2実施形態による除菌システムは、上述した第1実施形態による除菌システムと基本構造が類似しているため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付する又は図示を省略して説明を省略する。本発明の第2実施形態によるシャワールーム装置の動作(作用)や各測定方法等については、第1実施形態による浴槽装置の動作(作用)や各測定方法等と同様であるので説明を省略する。
【0118】
図19に示すように、シャワールーム101は、ほぼ直方体の4つの側面を形成する第1壁102、第2壁104、第3壁106及び第4壁108を備えている。シャワールーム101の下方には洗い場床112が設けられている。この洗い場床112の下方には封水形成部114が設けられ、この封水形成部114から湯水が外部に排出されるようになっている。洗い場床112は封水形成部114に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する。
【0119】
第3壁106の側の一部には腰掛け形状のカウンタ116が設けられている。カウンタ116は第3壁106から水平方向に延び、使用者が腰掛けることができるようになっている。第2壁104には、湯水を吐水する吐水部18、シャワー34等の水栓装置などが設けられている。
【0120】
カウンター116の下面側には、本実施形態による除菌システム20の一部を構成する除菌水及び水道水(水)を吐水するための吐水装置である除菌装置22が設けられている。カウンター116は、洗い場床112から上方に離間して設けられている。
【0121】
除菌システム120は、シャワールーム101の洗い場床112の下流側に設けられる封水形成部114内に形成される封水の高さ近傍の内壁14eを除菌する。
除菌システム120は、封水形成部114に向けて下方に傾斜した排水傾斜を有する洗い場床112と、第1水位で封水水位W0を形成する封水形成部114と、封水形成部114内に流入する水により、封水形成部114内の水位が第1水位である封水水位W0から第1水位より高い第2水位W2まで上昇されやすくなるように形成されている水位上昇部26と、除菌水又は除菌ガスを封水形成部114内の水位高さの内壁14eまで供給する除菌装置22と、超音波発振器64及び除菌装置22を制御する制御部29と、を備える。
【0122】
封水形成部114は、洗い場床112の下部と接続される。封水形成部114は、超音波洗浄機能付きの排水装置として形成されている。封水形成部114は、洗い場床112に吐水された水を排水するとともに、流入された水の一部を貯留させてその内部に封水水位W0で通常時(待機状態)の封水を形成する機能を有する。
図20に示すように、封水形成部14は、封水水位W0に封水を形成するようなトラップ形状の流路を形成する。封水形成部114には、洗い場床112からの流路とは別の水の供給流路が接続されていてもよい。
【0123】
除菌装置22は、除菌ガスを封水形成部114内の水位高さの内壁14eまで供給するように構成される。除菌装置22は、排水カバー15よりも上方側から除菌水又は除菌ガスを吐出させるように構成される。
【0124】
次に、
図20により、封水形成部114の水位上昇部について説明する。
水位上昇部26は、例えば封水形成部114内に流入する水が所定流量以上である場合に、封水形成部114内に流入する水により、封水形成部114内の水位が封水形成部114内の第1水位である封水水位W0から封水形成部114内の封水水位W0より高い第2水位W2までは上昇しやすくなるように形成されている。水位上昇部26は、封水形成部114内に配置されることにより水位を調整する。水位上昇部26は、封水形成部14内の水位が封水水位W0から第2水位W2までの間にある場合における下流側への排水量が、封水形成部114内の水位が第2水位W2に到達して以後における下流側への排水量よりも少なくなるように形成される。水位上昇部26は、封水形成部114の排水トラップの封水水位W0を規定する封水水位規定部である頂部14cに形成されている。
【0125】
次に、
図19に示すように、カウンター116の内部には、除菌装置22が設けられ、この除菌装置22は、カウンター16の下カバー16bから下方に突出するノズル部32を備えている。
第2実施形態による除菌システム120の動作及び効果等については、第1実施形態による除菌システム20の動作及び効果等と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0126】
1 :浴室
12 :洗い場床
14 :封水形成部
14b :上昇部
15 :排水カバー
20 :除菌システム
22 :除菌装置
26 :水位上昇部
27 :浴室乾燥装置
29 :制御部
30 :壁
62 :水位上昇部
64 :超音波発振器
66 :送風装置
112 :洗い場床
114 :封水形成部
120 :除菌システム
W0 :封水水位
W2 :第2水位