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特開2023-72489無線通信サービスのサービス運用を支援するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072489
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】無線通信サービスのサービス運用を支援するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230517BHJP
【FI】
H04W76/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185077
(22)【出願日】2021-11-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 誠由
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】飯島 智之
(72)【発明者】
【氏名】桑原 幹夫
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA44
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】無線通信サービスのサービス運用の課題を解決する。
【解決手段】無線通信サービスの運用を支援するシステムが、無線通信サービスの一つ以上のサービス運用について用意された一つ以上の運用支援部を備える。コアネットワークにおける少なくとも一つの機能が共通の複数のネットワークスライスがある。複数のネットワークスライスは、ユーザ毎のユーザ向けスライスと複数のユーザに共通のサービス運用向けスライスである。サービス運用に対応した運用支援部が、当該サービス運用向けのスライスの識別情報を含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを行った無線通信端末に、当該サービス運用において設定されるパラメータと当該サービス運用の実行に必要なパラメータとのうちの少なくとも一つを含んだ情報である対象情報を、当該サービス運用向けのスライスを介して送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信サービスの運用を支援するシステムであって、
無線通信サービスの一つ以上のサービス運用について一つ以上の運用支援部を備え、
コアネットワークにおける少なくとも一つの機能が共通の複数のネットワークスライスがあり、
前記複数のネットワークスライスは、一つ又は複数のユーザ向けスライスと、一つ以上のサービス運用向けスライスであり、
複数のユーザの各々について、
一つ以上のユーザ向けスライスがあり、
ユーザ向けスライスは、ユーザ向けに用意されたネットワークスライスであり、
前記一つ以上のサービス運用の各々について、
一つ以上のサービス運用向けスライスがあり、
サービス運用向けスライスは、当該サービス運用向けに用意され複数のユーザに共通のネットワークスライスであり、
当該サービス運用に対応した運用支援部が、前記サービス運用向けスライスのスライス識別情報を含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを行った無線通信端末である対象端末に、当該サービス運用において設定されるパラメータと当該サービス運用の実行に必要なパラメータとのうちの少なくとも一つを含んだ情報である対象情報を、当該サービス運用向けのネットワークスライスを介して送信する、
システム。
【請求項2】
前記一つ以上のサービス運用のうちの一つが、端末初期設定であり、
端末初期設定というサービス運用について、
当該サービス運用に対応し前記対象端末が接続されるサービス運用向けスライスは、設定スライスであり、
前記対象端末は、前記設定スライスのスライス識別情報を含んだ情報である初期情報が前記接続情報として設定された無線通信端末であり、
前記対象情報は、ユーザ向けスライスのスライス識別情報を含み当該ユーザ向けスライスに接続するために使用されるコンフィグ情報である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記一つ以上のサービス運用のうちの一つが、端末診断であり、
端末診断というサービス運用について、
当該サービス運用に対応し前記対象端末が接続されるサービス運用向けスライスは、診断スライスであり、
前記対象情報は、端末診断のためのパラメータを含んだ情報である診断用情報であり、
前記対象端末が当該診断用情報を用いた実行をすることで、端末診断に対応し当該対象端末と前記診断スライスを介して通信可能に接続された運用支援部が、当該診断スライスを介して、当該対象端末の遠隔診断を行う、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記対象端末の接続先の診断スライスに同時に接続されてよい無線通信端末の数は、所定数以下、又は、同時に障害が生じた無線通信端末の数である、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
管理部を更に備え、
前記対象端末の障害発生が、前記対象端末が接続されているユーザ向けスライスのデータネットワーク経由で検出された場合、前記管理部が、同時に接続されてよい無線通信端末の数が所定数以下である診断スライスを決定し、当該決定された診断スライスのスライス識別情報を含んだ接続情報が関連付けられた切替指示を、前記対象端末が接続されているユーザ向けスライスを介して、前記対象端末に送信し、
前記対象端末が、前記切替指示に応答して、当該切替指示に関連付けられる接続情報を用いて、前記決定された診断スライスに接続する、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
管理部を更に備え、
前記対象端末の障害発生が、前記対象端末が接続されているユーザ向けスライスのデータネットワーク経由で検出された場合、前記管理部が、前記診断スライスのスライス識別情報を含んだ接続情報が関連付けられた切替指示を、前記対象端末が接続されているユーザ向けスライスを介して、前記対象端末に送信し、
前記対象端末が、前記切替指示に応答して、当該切替指示に関連付けられる接続情報を用いて、前記診断スライスに接続する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
複数の場所の各々について、
ユーザ向けスライス及びサービス運用向けスライスがあり、
ユーザ向けスライスが、当該場所でのネットワークスライスであり、
サービス運用向けスライスが、前記複数の場所に共通である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記一つ又は複数のサービス運用向けスライスの各々に関する情報であるスライス情報を含んだ管理情報を管理し当該管理情報を出力する管理部、
を更に備え、
各サービス運用向けスライスについて、前記スライス情報は、当該サービス運用向けスライスに接続されている無線通信端末の数と、当該サービス運用向けスライスを利用するユーザの識別情報とのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記一つ又は複数のサービス運用向けスライスの各々を介した無線通信端末の通信相手が特定の相手に制限される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
無線通信サービスの運用を支援する方法であって、
コアネットワークにおける少なくとも一つの機能が共通の複数のスライスがあり、
前記複数のスライスは、一つ又は複数のユーザ向けスライスと、一つ以上のサービス運用向けスライスであり、
複数のユーザの各々について、
一つ以上のユーザ向けスライスがあり、
ユーザ向けスライスは、ユーザ向けに用意されたネットワークスライスであり、
前記一つ以上のサービス運用の各々について、
一つ以上のサービス運用向けスライスがあり、
サービス運用向けスライスは、当該サービス運用向けに用意され前記複数のユーザに共通のネットワークスライスであり、
前記方法が、
無線通信サービスの一つ以上のサービス運用について識別情報一つ以上の運用支援部のうち、前記一つ以上のサービス運用のうち対象とされたサービス運用に対応した運用支援部により、前記サービス運用向けスライスのスライス識別情報を含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを行った無線通信端末である対象端末に、当該サービス運用において設定されるパラメータと当該サービス運用の実行に必要なパラメータとのうちの少なくとも一つを含んだ情報である対象情報を、当該サービス運用向けのネットワークスライスを介して送信する、
方法。
【請求項11】
前記一つ以上のサービス運用のうちの一つが、端末初期設定であり、
端末初期設定というサービス運用について、
当該サービス運用に対応し前記対象端末が接続されるサービス運用向けスライスは、設定スライスであり、
前記対象端末は、前記設定スライスのスライス識別情報を含んだ情報である初期情報が前記接続情報として設定されている無線通信端末であり、
前記対象情報は、ユーザ向けスライスのスライス識別情報を含み当該ユーザ向けスライスに接続するために使用されるコンフィグ情報である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記一つ以上のサービス運用のうちの一つが、端末診断であり、
端末診断というサービス運用について、
当該サービス運用に対応し前記対象端末が接続されるサービス運用向けスライスは、診断スライスであり、
前記対象情報は、端末診断のためのパラメータを含んだ情報である診断用情報であり、
前記対象端末が当該診断用情報を用いた実行をすることで、端末診断に対応し当該対象端末と前記診断スライスを介して通信可能に接続された運用支援部により、当該診断スライスを介して、当該対象端末の遠隔診断を行う、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
無線通信サービスの運用を支援するためのコンピュータプログラムであって、
コアネットワークにおける少なくとも一つの機能が共通の複数のネットワークスライスがあり、
前記複数のネットワークスライスは、一つ又は複数のユーザ向けスライスと、一つ以上のサービス運用向けスライスであり、
複数のユーザの各々について、
一つ以上のユーザ向けスライスがあり、
ユーザ向けスライスは、ユーザ向けに用意されたネットワークスライスであり、
前記一つ以上のサービス運用の各々について、
一つ以上のサービス運用向けスライスがあり、
サービス運用向けスライスは、当該サービス運用向けに用意され複数のユーザに共通のネットワークスライスであり、
前記コンピュータプログラムが、
当該コンピュータプログラムが対応したサービス運用のサービス運用向けスライスのスライス識別情報を含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを行った無線通信端末である対象端末に、当該サービス運用において設定されるパラメータと当該サービス運用の実行に必要なパラメータとのうちの少なくとも一つを含んだ情報である対象情報を、当該サービス運用向けのネットワークスライスを介して送信する、
ことをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信サービスの利用が拡大している。無線通信サービスを持たない事業者がローカル5G(5th Generation)を新たな無線通信サービスとして展開する動きがある。
【0003】
このような無線通信サービスの一形態として、5Gコア(コアネットワークの一例)が複数の組織ユーザで共有される無線通信サービスの提供が考えられる。このような形態であれば、端末の認証やモバイル通信の終端処理をするため一般にコストが高い5Gコアをユーザ毎に配備する必要が無い。なお、このような無線通信サービスでは、5Gコアは、例えばエッジデータセンタやクラウド上に配備される。また、「組織ユーザ」とは、ユーザとしての組織である。ユーザは、個人でも組織でもよいが、本明細書では、ユーザとしての組織を、便宜上、「組織ユーザ」と言う。「組織」は、一又は複数の個人の集合でよく、例えば、企業でもよいし企業内の部門や事業所でもよい。
【0004】
このような無線通信サービスにおいて、組織ユーザのネットワーク独立性を保証するために、組織ユーザ毎にネットワークスライスを用意することが考えられる。
【0005】
例えば、特許文献1には次の技術が開示されている。モバイルネットワークに、一般サービス向けのネットワークスライスの他に、特定サービス向けのネットワークスライスが用意され。モバイルネットワークに対するサービスサーバからの切替指示に応答して、ユーザ端末に適用されるネットワークスライスが一般サービス向けネットワークスライスから特定サービス向けネットワークスライスに切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-22889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、無線通信サービスの提供及び維持のためにはサービス運用(例えば保守)が必要である。サービス運用としては、端末初期設定(無線通信端末に対する初期設定)や端末診断(無線通信端末の障害(例えば挙動が不安定)の原因を特定するための診断)がある。
【0008】
端末初期設定の問題として、例えば次の課題がある。すなわち、無線通信サービスプロバイダ(ローカル5Gの無線通信サービスを提供する事業者)が、各組織ユーザについて、当該組織ユーザに提供される無線通信端末毎に、当該組織ユーザのネットワークスライスの識別子(例えばAPN(Access Point Name)又はDNN(Data Network Name))を含むパラメータが記述されたコンフィグファイルを設定して出荷してよいが、組織ユーザの数が多かったり、組織ユーザにおける端末提供先(例えば従業員)が多かったりすると、初期設定の作業が煩雑となる。また、誤った初期設定がされた無線通信端末が出荷されてしまう可能性がある。初期設定を組織ユーザにおける管理者等に行ってもらうことが考えられるが、この場合、当該管理者等が、無線通信のオペレーション経験の少ない者であると、誤った初期設定がされてしまう可能性がある。
【0009】
端末診断の問題として、例えば次の課題がある。すなわち、無線通信端末に障害が生じた場合に、無線通信端末がある現地で障害の原因(例えば、コンピュータウィルスの感染)を究明するためには、オペレータが現地に出向く必要がある。また、現地の環境で障害の原因を究明するまでには、障害が生じた無線通信端末が接続されているネットワークスライスに接続されている別の無線通信端末に影響を与える可能性がある。この問題を回避する一つの方法として、障害が生じた無線通信端末を組織ユーザが所定の施設(例えば配送センタ)に配送し当該施設にてオペレータが障害の原因を究明することが考えられる。しかし、このような施設では通常現場と同じ環境を再現できないので、障害の原因が現場依存(例えば電波干渉)の場合には障害の原因を解明することができない。
【0010】
以上の端末初期設定と端末診断は、無線通信サービスのサービス運用の例であるが、少なくとも一つの別のサービス運用についても課題があり得る。
【0011】
特許文献1によれば、いずれのネットワークスライスもユーザ向けのネットワークスライスであり、ユーザ端末からの要求サービス品質レベルに応じた特定サービス向けネットワークスライスがユーザ端末に適用される。特許文献1には、サービス運用の課題もその課題の解決手段も開示も示唆もされていない。
【0012】
以上の課題は、ローカル5G以外の無線通信サービス、例えば、6G(6th Generation)又はLTE(Long Term Evolution)の無線通信サービスについてもあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
無線通信サービスの運用を支援するシステムが構築される。当該システムが、無線通信サービスの一つ以上のサービス運用について識別情報一つ以上の運用支援部を備える。コアネットワークにおける少なくとも一つの機能が共通の複数のネットワークスライスがある。複数のネットワークスライスは、一つ又は複数のユーザ向けスライスと、一つ以上のサービス運用向けスライスである。複数のユーザの各々について、一つ以上のユーザ向けスライスがあり、ユーザ向けスライスは、当該ユーザ向けに用意されたネットワークスライスである。
【0014】
一つ以上のサービス運用の各々について、一つ以上のサービス運用向けスライスがあり、サービス運用向けスライスは、当該サービス運用向けに用意され複数のユーザに共通のネットワークスライスである。当該サービス運用に対応した運用支援部が、対象端末(サービス運用向けスライスのスライス識別情報を含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを行った無線通信端末)末に、当該サービス運用において設定されるパラメータと当該サービス運用の実行に必要なパラメータとのうちの少なくとも一つを含んだ情報である対象情報を、当該サービス運用向けのネットワークスライスを介して送信する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信サービスのサービス運用の課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示す。
図2】モバイルネットワークの構成例を示す。
図3】設定支援サーバの構成例を示す。
図4】診断支援サーバの構成例を示す。
図5】管理サーバの構成例を示す。
図6】端末初期設定の支援の流れの一例を示す。
図7】端末診断の支援の流れの一例を示す。
図8】管理UIの一例を示す。
図9】管理UIの一例を示す。
図10】本発明の一実施形態に係るシステム全体の別の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0020】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0021】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0022】
また、以下の説明では、「xxxDB」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが(「DB」はデータベースの略)、当該情報は、どのような構造のデータでもよいし(例えば、構造化データでもよいし非構造化データでもよいし)、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxDB」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各DBの構成は一例であり、一つのDBは、二つ以上のDBに分割されてもよいし、二つ以上のDBの全部又は一部が一つのDBであってもよい。
【0023】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配付計算機又は計算機が読み取り可能な記憶媒体(例えば非一時的な記憶媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0024】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別する場合は、参照符号を使用することがある。
【0025】
また、ネットワークスライスや無線通信端末といった要素を識別するための識別情報は、「名前」、「ID」、「識別子」及び「番号」等のうちの一つ以上の組合せでよい。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示す。なお、以下、図面において、「Un」(nは自然数)は、企業ユーザnを意味し、「Un-AAA」は、企業ユーザnに対応したAAAを意味する。「AAA」は、例えば、スライス(ネットワークスライス)、DN(データネットワーク)及びUPF(User Plane Function)がある。
【0027】
5Gコア111(コアネットワークの一例)における少なくとも一つの機能が共通の複数のネットワークスライスが存在する。複数のネットワークスライスは、一つ又は複数のユーザ向けスライスS50と、一つ以上のサービス運用向けスライスS51である。
【0028】
企業ユーザ毎にユーザ向けスライス51がある。ユーザ向けスライス51は、企業ユーザ向けのネットワークスライスである。図1が示す例によれば、企業ユーザ1向けのスライスであるU1-スライス51Aと、企業ユーザ2向けのスライスであるU2-スライス51Bがある。
【0029】
一つ以上のサービス運用の各々について、一つ以上のサービス運用向けスライス50があり、サービス運用向けスライス50は、当該サービス運用のために用意されたスライスである。つまり、一つのサービス運用について、サービス運用向けスライス50は一つでも複数でもよい。本実施形態では、「サービス運用」の例として、端末初期設定と端末診断がある。そのため、サービス運用向けスライス50として、端末初期設定向けのスライスである設定スライス50Aと、端末診断向けのスライスである診断スライス50Bとがある。
【0030】
また、ユーザ端末5、運用支援システム110、UPFサーバ112、DN(データネットワーク)124、ユーザ管理システム12、及び5G管理システム11が存在する。
【0031】
ユーザ端末5は、無線通信端末である。ユーザ端末5は、配送センタ(出荷元の一例)から企業ユーザに出荷され、企業ユーザの従業員等に提供される。
【0032】
運用支援システム110は、無線通信サービスの運用を支援するシステムである。運用支援システム110は、管理サーバ121、設定支援サーバ122及び診断支援サーバ123を有する。管理サーバ121が、管理部の一例である。設定支援サーバ122及び診断支援サーバ123の各々が、サービス運用について用意された運用支援サーバ(運用支援部の一例)である。具体的には、例えば、設定支援サーバ122が、端末初期設定に対応した運用支援部としての設定支援部の一例である。診断支援サーバ123が、端末診断に対応した運用支援部としての診断支援部の一例である。運用支援システム110は、本実施形態では、一以上の物理計算機で構成された物理的な計算機システム(例えば、インターフェース装置、記憶装置及びそれらに接続されたプロセッサを有するシステム)であるが、物理的な計算機システムに基づく論理的な計算機システム(例えば、クラウド基盤上に実現されるシステム)でもよい。すなわち、運用支援システム110における各サーバは、物理的なサーバでもよいし論理的なサーバ(例えば、VM(Virtual Machine)やコンテナ))により実現されてもよい。
【0033】
UPFサーバ112は、論理的な又は物理的なUPF集合の一例である。論理的なUPF集合は、物理的なサーバ上に設けられてよく、物理的なUPF集合は、物理的なサーバでよい。本実施形態では、物理的なUPF集合としてのUPFサーバ112がある。UPFサーバ112は、サービス運用毎に用意されたUPF21と、ユーザ向けスライス51毎に用意されたUPF22とがある。図1が示す例によれば、UPF21として、例えば、端末初期設定に対応した設定UPF21Aと、端末診断に対応した診断UPF21Bがある。また、UPF22として、例えば、企業ユーザ1に対応したU1-UPF22Aと、企業ユーザ2に対応したU2-UPF22Bがある。
【0034】
DN124は、UPF22と、外部ネットワーク(例えばインターネット)とに接続されている。ユーザ向けスライス51に接続されたユーザ端末5は、ユーザ向けスライス51、UPF22及びDN124を介して、外部ネットワークに接続されたデバイスと通信することができる。DN124として、例えば、U1-UPF22Aに接続され企業ユーザ1に対応したU1-DN124Aと、U2-UPF22Bに接続され企業ユーザ2に対応したU2-DN124Bがある。
【0035】
ユーザ管理システム12は、企業ユーザに対応したDN124に接続されている。ユーザ端末5に障害が生じた場合、ユーザ管理システム12が、ユーザ向けスライス51、UPF22及びDN124を通じて当該障害を検出し、検出された障害を管理サーバ121に通知することができる。ユーザ管理システム12として、例えば、U1-DN124Aに接続され企業ユーザ1に対応したユーザ管理システム12Aと、U2-DN124Bに接続され企業ユーザ2に対応したユーザ管理システム12Bがある。
【0036】
5G管理システム11は、管理サーバ121の入出力コンソールとしての情報処理端末であり、典型的には5Gの管理者により操作される。
【0037】
一つのサービス運用を例に取る。本実施形態では、サービス運用の対象とされるユーザ端末(以下、この段落で「対象ユーザ端末」)5が、当該サービス運用向けのスライス50のスライスID(例えばAPN又はDNN)を含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを行い、それにより、対象ユーザ端末5が当該サービス運用向けスライス50に接続される。当該サービス運用に対応した運用支援部が、当該サービス運用向けスライス50に接続された対象ユーザ端末5に、対象情報(当該サービス運用において設定されるパラメータと当該サービス運用の実行に必要なパラメータとのうちの少なくとも一つを含んだ情報)を、当該サービス運用向けスライス50を介して送信する。
【0038】
このように、本実施形態では、ユーザ端末5へのサービス運用が、企業ユーザ毎に用意されたユーザ向けスライス51経由無しに行われる。これにより、サービス運用が支援される。
【0039】
少なくとも一つのサービス運用向けスライス50は、特定のサーバ(例えば、当該スライス50に対応した運用支援サーバ)以外とは通信できないよう(例えば、ユーザ端末5間での通信ができないよう)に制限されてよい。例えば、サービス運用向けネットワークスライスに属するスイッチ(ネットワーク通信装置)に対し、データ入力ポートへの折返し転送の禁止が設定されることで、たとえサービス運用向けスライス50に複数のユーザ端末5が接続されていても、ユーザ端末5間の通信の抑止が可能になる。また、サービス運用向けスライス50に論理的又は物理的に接続するサーバを当該サービス運用に対応した運用支援サーバ(及び5Gコア111)に限定することで、当該サービス運用向けスライス50に接続されたユーザ端末5が不特定のサーバに接続することを抑止することが可能である。このようにして、サービス運用の信頼性又は安定性が向上する。
【0040】
端末初期設定というサービス運用がある。端末初期設定については、例えば次の通りである。出荷先の一例を、企業ユーザ1とする。配送センタからは、設定スライス50Aに接続するための接続情報(例えば、設定スライス50AのスライスIDを含んだ情報)がユーザ端末5-1(又は、SIMカード(ユーザ端末5に搭載される無線通信用の可搬型記憶媒体の一例))に設定されて、ユーザ端末5-1(及び/又はSIMカード)が出荷される。当該接続情報は、出荷先に関わらず同じ情報である。当該接続情報が記憶されたSIMカードがユーザ端末5-1に接続される。当該ユーザ端末5の無線通信を出荷先の企業ユーザ1向けに調整するための初期設定は、設定スライス50A経由で行われる。具体的には、例えば、上記SIMカードをユーザ端末5に挿すことで、ユーザ端末5が、当該ユーザ端末5に設定された接続情報を用いた接続シーケンスを行い、設定スライス50Aに接続する。当該接続情報は、設定支援サーバ122へのアクセスのためのアクセス情報を含んでいてよい。ユーザ端末5は、当該アクセス情報を用いて、設定支援サーバ122へアクセスする。設定支援サーバ122は、ユーザ端末5の端末IDをキーに企業ユーザ1を特定し、当該企業ユーザ1に対応した初期設定コンフィグファイルを特定し、当該初期設定コンフィグファイルを、ユーザ端末5にインストールする。当該初期設定コンフィグファイルは、U1-スライス51AのスライスIDを含む接続情報を有する。ユーザ端末5は、当該初期設定コンフィグファイルを用いて、U1-スライス51Aに接続する。このようにして、端末初期設定が支援される。具体的には、企業ユーザ毎の設定をせずにユーザ端末5(及び/又はSIMカード)を出荷することができ、以って、設定コストの作業負担を削減することができる。また、企業ユーザ1について、無線通信の経験が少ない者であっても、簡単に企業ユーザ1向けのスライスに最適な設定をすることができる。
【0041】
また、端末診断というサービス運用がある。端末診断については、例えば次の通りである。企業ユーザ2を例に取る。ユーザ端末5-2に障害が生じた場合(例えば、挙動が不安定になった場合)、当該障害が、U2-DN124Bを通じてユーザ管理システム12Bにより検出され、当該障害がユーザ管理システム12Bにより管理サーバ121に通知される。或いは、当該障害が、U2-DN124Bを通じて企業ユーザ2の管理者により検出されて5G管理者に通知され、5G管理者から5G管理システム11を通じて管理サーバ121に通知される。管理サーバ121は、当該障害が通知された場合、5Gコア111経由で(又は非経由で)、U2-UPF22Bに対し、ユーザ端末5-2の接続先スライスIDを、診断スライス50BのスライスIDに変更する。これにより、ユーザ端末5-2が、U2-スライス51Bから切断され、診断スライス50Bに接続される。そして、診断支援サーバ123が、診断UPF21B及び診断スライス50Bを介して、ユーザ端末5-2に対する遠隔診断を行う。これにより、障害が生じたユーザ端末5-2が他のユーザ端末5へ影響を与えることを抑えながら遠隔からユーザ端末5-2を診断することができ、以って、例えば、現地環境で挙動が不安定な端末の原因究明が可能である。
【0042】
なお、診断スライス50に同時に接続されているユーザ端末5の数は下記のいずれか又は両方に制限されてよい。「同時に接続されている」とは、同じ時刻で接続されることではなく、同じ時期に接続されていること(接続されている時間の少なくとも一部が重複していること)を意味する。
・他のユーザ端末5への影響を抑えるために、同時接続が許容される端末の数は所定数(例えば1)以下でよい。
・N(Nは2以上の自然数)のユーザ端末5の挙動が同時に不安定になった場合は、現場環境と同じ環境での診断を可能にするために、同時接続が許容される端末の数は、同時に障害が生じたユーザ端末5の数Nでよい。
【0043】
図2は、モバイルネットワークの構成例を示す。
【0044】
モバイルネットワークは、(R)AN((Radio) Access Network)252、スイッチ253M、UPFサーバ112、スイッチ253D、DN124及び5Gコア111を含む。(R)AN290は、UE(User Equipment)であるユーザ端末5と無線通信する基地局を含んでよい。(R)AN290が基地局を含まない場合、ユーザ端末5と基地局(gNB)と送受信されるパケットが(R)AN290を経由でよい。(R)AN290とUPFサーバ112は、一つ以上のスイッチ253Mを含んだMBH(Mobile Back Haul)に接続される。UPFサーバ112には、一つ以上のスイッチ253Dで構成されたDN124がある。DN124として、例えば上述したように、ユーザ向けスライス51毎のDN124がある。Uプレーン220が、(R)AN252、スイッチ253M、UPFサーバ112及びスイッチ253Dの少なくとも一部を含む。
【0045】
5Gコア111が、AMF(Access and Mobility Management Function)261、SMF(Session Management Function)262、PCF(Policy Control Function)263及びUDM(Unified Data Management)264といった機能を含む。SMF262は、UPF22と同様、企業ユーザ毎(又はユーザ向けスライス51毎)に存在する。また、SMF262は、UPF21と同様、サービス運用毎に存在する。本実施形態では、一つの企業ユーザにつき一つのユーザ向けスライス51が存在するが、一つの企業ユーザにつき複数のユーザ向けスライス(例えば、QoSや用途等のような要素毎に用意されたユーザ向けスライス)が存在してもよい。5Gコア111が、一つ以上のスイッチ253Cを介して、UPFサーバ112及びスイッチ253Mに接続される。Cプレーン210が、5Gコア111及びスイッチ253Cを含んでよく、更に、(R)AN252、スイッチ253M、UPFサーバ112及びスイッチ253Dの一部を含んでよい。
【0046】
Mプレーン230が、運用支援システム110における管理サーバ121及び運用支援サーバ(本実施形態では設定支援サーバ122及び診断支援サーバ123)を含む。
【0047】
装置パッケージとしての無線通信施設がユーザサイト(例えば工場等のユーザ側のサイト)に提供されてもよい。無線通信施設は、(R)AN252、スイッチ253M、UPFサーバ112及びスイッチ253Dを含んでよい。ユーザサイトにおいて無線通信施設の設定が済んだ後に、ユーザサイトにおけるユーザ端末5に対し端末初期設定が行われてよい。
【0048】
図3は、設定支援サーバ122の構成例を示す。
【0049】
設定支援サーバ122は、通信インターフェース装置301、記憶装置302及びそれらに接続された設定支援コントローラ303(プロセッサの一例)を有する。
【0050】
通信インターフェース装置301は、図2に例示した通り、スイッチ253D経由でUPFサーバ112(設定UPF21A(図1参照))に通信可能に接続される。
【0051】
記憶装置302は、端末DB311及び初期設定DB312を記憶する。端末DB311は、ユーザ端末5毎に、端末ID(当該ユーザ端末5の端末ID)と企業ユーザID(当該ユーザ端末5の出荷先の企業ユーザのID)とを表す。初期設定DB312は、ユーザ端末5毎に、端末ID(当該ユーザ端末5の端末ID)と初期設定コンフィグファイル(当該ユーザ端末5に提供される初期設定用のコンフィグファイル又はそのファイルへのパス)とを表す。図3が示す例によれば、同一の企業ユーザには同一の初期設定コンフィグファイルが提供されることになる。
【0052】
設定支援コントローラ303は、端末初期設定を支援する。詳細は後述する。
【0053】
図4は、診断支援サーバ123の構成例を示す。
【0054】
診断支援サーバ123は、通信インターフェース装置401、記憶装置402及びそれらに接続された診断支援コントローラ403(プロセッサの一例)を有する。
【0055】
通信インターフェース装置401は、図2に例示した通り、スイッチ253D経由でUPFサーバ112(診断UPF21B(図1参照))に通信可能に接続される。
【0056】
記憶装置402は、診断DB411及びログDB412を記憶する。診断DB411は、ユーザ端末5毎に、端末ID(当該ユーザ端末5の端末ID)と遠隔診断ファイル(当該ユーザ端末5に実行させる遠隔診断の実行ファイル又はそのファイルへのパス)とを表す。ログDB412は、ユーザ端末5毎に、端末ID(当該ユーザ端末5の端末ID)と分析ログ(遠隔診断のログ(及びそのログの分析結果としてのログ))とを表す。
【0057】
診断支援コントローラ403は、端末診断を支援する。詳細は後述する。
【0058】
図5は、管理サーバ121の構成例を示す。
【0059】
管理サーバ121は、通信インターフェース装置501、記憶装置502及びそれらに接続された管理コントローラ503(プロセッサの一例)を有する。
【0060】
通信インターフェース装置401は、図2に例示した通り、5Gコア111に通信可能に接続される。
【0061】
記憶装置502は、端末DB511及び運用スライスDB512を記憶する。端末DB511及び運用スライスDB512のうちの少なくとも運用スライスDB512が、管理情報の少なくとも一部の一例である。
【0062】
端末DB511は、ユーザ端末5毎に、端末ID(当該ユーザ端末5の端末ID)、企業ユーザID(当該ユーザ端末5の出荷先の企業ユーザのID)、端末ステータス(当該ユーザ端末5のステータス)、及び、スライスID(当該ユーザ端末5の接続先スライスのスライスID)を表す。
【0063】
運用スライスDB512は、サービス運用向けスライス毎に、スライスID(当該サービス運用向けスライスのスライスID)、スライスステータス(当該サービス運用向けスライスのステータス)、接続数(当該サービス運用向けスライスに接続されているユーザ端末5の数)、及び、企業ユーザID(当該サービス運用向けスライスが割り当てられている企業ユーザのID)を表す。なお、運用スライスDB512は、サービス運用向けスライス毎に、更に、同時接続許容数(当該サービス運用向けスライスに同時の接続が許容されるユーザ端末の数)を表してもよい。
【0064】
管理コントローラ503は、ネットワークスライスやネットワークスライスに接続されるユーザ端末5を管理したり、ユーザ端末5に対し接続先スライスの切替指示を送信したりする。詳細は後述する。
【0065】
上述した設定支援コントローラ303、診断支援コントローラ403及び管理コントローラ503の少なくとも一つのコントローラについて、当該コントローラとしての機能は、記憶装置302、402又は502に格納されたプログラムを、サーバ122、123又は121のプロセッサが読み込んで実行することにより具現化されてよい。プログラムの一部またはすべては、あらかじめ記憶装置302、402又は502に格納されていてもよいし、必要に応じてネットワークで接続された他の装置の非一時的記憶装置から、又は、図示しないI/Fに接続された非一時的記録媒体から、読み込まれて記憶装置302、402又は502に格納されてもよい。
【0066】
以下、サービス運用の例として本実施形態において採用されている端末初期設定及び端末診断のそれぞれについて、サービス運用支援の流れの例を説明する。
【0067】
図6は、端末初期設定の支援の流れの一例を示す。図6の説明では、企業ユーザは企業ユーザ1であるとする。企業ユーザ1に出荷されたユーザ端末5について、端末ID及び企業ユーザIDとの対応関係が、設定支援サーバ122及び管理サーバ121に登録されているとする。また、当該出荷されたユーザ端末5(それに挿されるSIMカード)に設定の接続情報が含む接続先スライスIDは、いずれかの設定スライス50AのスライスIDであり、故に、管理サーバ121に、当該ユーザ端末5について、スライスIDとして、設定スライス50AのスライスIDが登録されているとする。
【0068】
ユーザ端末5の電源が投入されると、ユーザ端末5が、設定されている接続情報(設定スライス50AのスライスIDを含んだ接続情報)を用いて、接続シーケンス(例えば、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準の接続シーケンス)を開始する(S600)。ユーザ端末5から(R)AN252へアクセスされる(S601)。(R)AN252からAMF261にセッション確立要求が送信される(S602)。AMF261から設定SMF262A(端末初期設定に対応したSFM262)にセッション確立要求が送信される(S603)。設定SMF262Aからセッション情報の登録がUDM264に対してされる(S604)。UDM264から応答が設定SMF262Aに返り(S605A)、設定SMF262Aから応答がAMF261に返る(S605B)。
【0069】
設定SMF262Aから通信ポリシー要求がPCF263に送信され(S606)、PCF263から応答が設定SMF262Aに返る(S607)。
【0070】
設定SMF262Aから設定UPF21Aにセッション情報が通知され(S608)、設定UPF21Aから設定SMF262Aに応答が返る(S609)。設定SMF262AからAMF261にセッション情報が通知され(S610)、AMF261から設定SMF262Aに応答が返る(S611)。
【0071】
AMF261から(R)AN252にセッション情報が通知され(S612)、(R)AN252からユーザ端末5にセッション情報が通知される(S613)。ユーザ端末5から応答が(R)AN252に返り(S614)、ユーザ端末5にとって設定スライス50Aへの接続が完了となる(S615)。(R)AN252からAMF261に応答が返る(S616)。AFM261から設定SMF262Aに基地局側セッション情報が通知される(S617)。設定SMF262Aから設定UPF21Aに無線情報が通知される(S618)。設定UPF21Aから設定SMF262Aに応答が返り(S619)、設定SMF262AからAFM261に応答が返る(S620)。以上により、ユーザ端末5の設定スライス50Aへの接続のための接続シーケンスが完結する。
【0072】
ユーザ端末5(SIMカード)に設定されている接続情報が、例えば設定UPF21Aへのアクセスに必要な情報を含んでいる。当該必要な情報を基に、ユーザ端末5から設定スライス50Aを介して設定UPF21Aに初期接続が通知される(S621)。
【0073】
その後、設定UPF21Aから設定支援サーバ122に初期接続が通知される(S622)。設定支援サーバ122から設定UPF21Aを介してユーザ端末5に端末IDが要求される(S623及びS624)。その要求に応答して、ユーザ端末5から設定UPF21Aを介して端末IDが設定支援サーバ122に通知される(S625及びS626)。
【0074】
設定支援サーバ122が、通知された端末IDをキーに初期設定DB312から初期設定コンフィグファイル(U1-スライス51AのスライスIDを有する接続情報を含み当該ユーザ向けスライス51Aに接続するために使用されるコンフィグファイル)を特定する。特定された初期設定コンフィグファイルが、設定支援サーバ122から設定UPF21Aを介してユーザ端末5に送信される(S627及びS628)。ユーザ端末5から設定UPF21Aを介して応答が設定支援サーバ122に返る(S629及びS630)。
【0075】
ユーザ端末5が、当該初期設定コンフィグファイルを内部に設定し当該ファイルを実行することで、再起動し、且つ、初期設定コンフィグファイルに含まれる接続情報を用いて接続シーケンスを開始する(S631)。ユーザ端末5から(R)AN252及びAMF261を介してU1-SMF262U1(企業ユーザ1に対応したSFM262)にセッション確立要求が送信される(S632、S633及びS634)。U1-SMF262U1からセッション情報の登録がUDM264に対してされる(S635)。UDM264から応答がU1-SMF262U1に返り(S636)、U1-SMF262U1から応答がAMF261に返る(S637)。
【0076】
U1-SMF262U1から通信ポリシー要求がPCF263に送信され(S638)、PCF263から応答がU1-SMF262U1に返る(S639)。
【0077】
U1-SMF262U1からU1-UPF22U1にセッション情報が通知され(S640)、U1-UPF21U1からU1-SMF262U1に応答が返る(S641)。U1-SMF262U1からAMF261にセッション情報が通知され(S642)、AMF261からU1-SMF262U1に応答が返る(S643)。
【0078】
AMF261から(R)AN252を介してユーザ端末5にセッション情報が通知される(S644及びS645)。ユーザ端末5から応答が(R)AN252に返り(S646)、ユーザ端末5にとってU1-スライス51Aへの接続が完了となる(S647)。(R)AN252からAMF261に応答が返る(S648)。AFM261からU1-SMF262U1に基地局側セッション情報が通知される(S649)。U1-SMF262U1からU1-UPF21U1に無線情報が通知される(S650)。U1-UPF21U1からU1-SMF262U1に応答が返り(S651)、U1-SMF262U1からAFM261に応答が返る(S652)。以上により、ユーザ端末5のU1-スライス51Aへの接続のための接続シーケンスが完結する。
【0079】
以上が、端末初期設定の支援の流れの一例である。なお、システム規模が大きい(例えば、多数のユーザ端末5が出荷された)等の場合は、設定スライス50Aが複数設けられていてよい。出荷されたユーザ端末5(又はSIMカード)に設定の接続情報における接続先設定スライスID(接続先の設定スライス50AのスライスID)が、組織別(例えば、企業ユーザ別又は部門別)等で異なっていてよい。これにより、複数のユーザ端末5について同時に端末初期設定が行われる際の負荷が分散されるので、複数のユーザ端末5の同時端末初期設定の時間短縮が期待される。
【0080】
図7は、端末診断の支援の流れの一例を示す。図7の説明では、企業ユーザは企業ユーザ2であるとする。また、図7の説明において、ユーザ端末5は、障害が生じたユーザ端末である。
【0081】
U2-スライス50Bに接続されているユーザ端末5の異常の通知を管理サーバ121が受ける(S701)。通知のソース(入力元)は、5G管理者等の人間でもよいし、ユーザ管理システム12B等のコンピュータでもよい。受けた通知は、ユーザ端末5の端末IDのようなアクセス情報(ユーザ端末5へのアクセスに使用される情報)を含んでよい。
【0082】
管理サーバ121が、ユーザ端末5の接続先診断スライス50Bを決定する(S702)。管理サーバ121が、ユーザ端末5に、決定した接続先診断スライス50BのスライスIDを含んだ接続情報(接続先診断スライス50Bの接続に使用される情報)が関連付けられた切替指示を、U2-UPF22U2(及びU2-スライス50B)を介して、ユーザ端末5に送信する(S703及びS704)。これにより、ユーザ端末5を適切なサービス運用向けスライス50に接続させることができる。
【0083】
ユーザ端末5が、当該切替指示に応答して、当該切替指示に関連付いている接続情報を内部に設定し、再起動し、且つ、当該接続情報を用いて接続シーケンスを開始する(S705)。ユーザ端末5から(R)AN252及びAMF261を介して診断SMF262B(端末診断に対応したSFM262)にセッション確立要求が送信される(S706、S707及びS708)。診断SMF262Bからセッション情報の登録がUDM264に対してされる(S709)。UDM264から応答が診断SMF262Bに返り(S710)、診断SMF262Bから応答がAMF261に返る(S711)。なお、S702の後、管理サーバ121が、ユーザ端末5の端末ID等の所定種類の情報を診断支援サーバ123に通知する(S712)。
【0084】
診断SMF262Bから通信ポリシー要求がPCF263に送信され(S713)、PCF263から応答が診断SMF262Bに返る(S714)。
【0085】
診断SMF262Bから診断UPF22Bにセッション情報が通知され(S715)、診断UPF21Bから診断SMF262Bに応答が返る(S716)。診断SMF262BからAMF261にセッション情報が通知され(S717)、AMF261から診断SMF262Bに応答が返る(S718)。
【0086】
AMF261から(R)AN252を介してユーザ端末5にセッション情報が通知される(S719及びS720)。ユーザ端末5から応答が(R)AN252に返り(S721)、ユーザ端末5にとって診断スライス50Bへの接続が完了となる(S722)。(R)AN252からAMF261に応答が返る(S723)。AFM261から診断SMF262Bに基地局側セッション情報が通知される(S724)。診断SMF262Bから診断UPF22Bに無線情報が通知される(S725)。診断UPF22Bから診断SMF262Bに応答が返り(S726)、診断SMF262BからAFM261に応答が返る(図示せず)。以上により、ユーザ端末5の診断スライス50Bへの接続のための接続シーケンスが完結する。この後、ユーザ端末5と診断支援サーバ123が診断UPF21B(及び診断スライス50B)を介して通信できる。
【0087】
具体的には、ユーザ端末5から診断支援サーバ123に診断UPF21Bを介して初期接続通知が送信される(S727及びS728)。診断支援サーバ123からユーザ端末5に診断UPF21Bを介してリモートログインコマンドが送信される(S729及びS730)。
【0088】
ユーザ端末5から診断支援サーバ123に診断UPF21Bを介してログイン完了応答が送信される(S731及びS732)。診断支援サーバ123からユーザ端末5に診断UPF21Bを介して端末ログ情報(ユーザ端末5のログの情報)が要求される(S733及びS734)。
【0089】
ユーザ端末5から診断支援サーバ123に診断UPF21Bを介して端末ログ情報が応答される(S735及びS736)。端末ログ情報は端末IDを含んでよい。診断支援サーバ123が、端末ログ情報をログDB412に格納し、端末IDをキーに遠隔診断ファイルを特定する。診断支援サーバ123からユーザ端末5に診断UPF21Bを介して当該遠隔診断ファイルが送信される(S737及びS738)。
【0090】
ユーザ端末5が、当該遠隔診断ファイルを実行する(S739)。ユーザ端末5から診断支援サーバ123に診断UPF21Bを介して診断ログ情報(当該遠隔診断ファイルの実行においてユーザ端末5に蓄積されたログの情報)が応答される(S740及びS741)。診断支援サーバ123が、診断ログ情報をログDB412に格納し、当該診断ログ情報に基づき修正パッチファイルを特定する。診断支援サーバ123からユーザ端末5に診断UPF21Bを介して当該修正パッチファイルが送信される(S742及びS743)。
【0091】
ユーザ端末5が、当該修正パッチファイルを実行する。ユーザ端末5から診断支援サーバ123に診断UPF21Bを介して修正完了が応答される(S744及びS745)。診断支援サーバ123からユーザ端末5に診断UPF21Bを介して端末初期化が指示される(S746及びS745)。
【0092】
ユーザ端末5が、当該指示に応答して、再起動し、且つ、U2-スライス51BのスライスIDを含んだ接続情報を用いて接続シーケンスを開始する(S748)。これにより、ユーザ端末5の接続先が、診断スライス50Bから再度U2-スライス51Bとなる。つまり、遠隔診断完了後は、自動的に、ユーザ端末5が、診断スライス50Bから切り離され、U2-スライス51Bに接続される。
【0093】
以上が、端末診断の支援の流れの一例である。なお、S702の接続先診断スライス50Bの決定は、例えば以下のいずれかでよい。
・管理サーバ121が、運用スライスDB512から接続数が所定数以下(例えば0以下)の診断スライス50Bを特定し、特定された診断スライス50Bを決定する。これにより、障害が生じたユーザ端末5が影響を与え得る他のユーザ端末5を所定の範囲に抑えることができる。
・企業ユーザ2の複数のユーザ端末5について同時に障害が通知された場合、管理サーバ121が、それら複数のユーザ端末5の各々について同一の診断スライス50Bを決定してよい。その際、特定される診断スライス50Bは、接続数が所定数以下の診断スライスでよい。
【0094】
図8は、管理UIの一例を示す。
【0095】
管理サーバ121が、運用スライスDB512を含む管理情報を基に管理UI(User Interface)800を5G管理システム11に表示する。
【0096】
管理UI800は、例えば、サービス運用向けスライスの表示オブジェクト(例えば図形及び文字列)801を表示する。
【0097】
また、管理UI800は、例えば、運用スライスDB512と同じ内容のテーブルである運用スライステーブル820を表示する。但し、スライスIDは、5G管理者が理解可能なスライス名に代替されてよい。
【0098】
また、管理UI800は、例えば、ユーザ端末5の障害の通知を受けている場合、当該通知の少なくとも一部(例えば、障害が生じたユーザ端末5の端末ID、当該ユーザ端末5の出荷先の企業ユーザのID、及び、障害としての症状)を表す障害通知テーブル810を表示してよい。
【0099】
以上のような管理UI800により、サービス運用向けスライスの管理が支援される。例えば、5G管理者にとって、サービス運用向けスライスの状態を容易に把握することができる。
【0100】
障害通知テーブル810は、スライスIDの選択ツール(例えばプルダウンメニュー)を有してよい。当該選択ツールが5G管理者により操作された場合、管理サーバ121が、図9に例示するように、5G管理者により選択可能な診断スライスのスライスIDのリストを表示してよい。例えば、管理サーバ121が、運用スライスDB512から接続数が所定数以下の診断スライスのスライスIDを特定し、特定されたスライスIDを、5G管理者により選択可能なスライスIDのリストとして表示してよい。このように、接続数が所定数以下の診断スライスを、障害が生じたユーザ端末5の接続切替先として決定することは、管理サーバ121により自動で行われてもよいし、5G管理者により手動で行われてもよい。
【0101】
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。例えば、上述した実施形態の説明の補足及び変形例の説明として、下記の説明が可能である。
【0102】
図10に例示するように、複数の場所(例えばユーザ側のサイト)の各々について、ユーザ向けスライス51及びサービス運用向けスライス50があり、ユーザ向けスライス51が、当該場所でのネットワークスライスであり、サービス運用向けスライスが、当該複数の場所に共通でよい。例えば、第1の場所1000Aは、複数の企業ユーザ1及び2がそれぞれテナントである商業ビルでよい。第2の場所1000Bは、一企業ユーザ3の工場でよい。第2の場所1000Bには、用途毎にユーザ向けネットワークスライスが存在してよく、例えば、現場作業向けのスライス51Cと現場監視向けのスライス51Dとが存在してよい。このような複数の場所に、設定スライス50A及び診断スライス50Bといったサービス運用向けスライス(及び、サービス運用に対応したUPFやSMF)は共通でよい。これにより、企業ユーザ別や用途別等でサービス運用向けスライスの接続情報を違える必要が無い。なお、複数の場所にサービス運用向けスライスが共通とは、場所に関わらずサービス運用向けスライスの接続情報が同じであることを意味してよい。
【0103】
また、運用支援システム110における少なくとも一つのサーバは、MNO(Mobile Network Operator)によって運用されてもよいし、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)のようなエンティティによって運用されていてもよい。
【0104】
また、ネットワークスライスは、ネットワークが論理分割(例えばEtoEに論理分割)されることにより得られた論理ネットワーク(例えば、特定のネットワークケイパビリティおよび特定ネットワーク特性の提供可能な論理ネットワーク)でよい。ネットワークスライスは、例えば、UPF21又は22やSMF262といった機能を含んでもいなくてもよい。例えば、ネットワークスライスは、一又は複数のネットワークスライスインスタンスから構成されてよい。ネットワークスライスインスタンスは、配置されるネットワークスライスを形成する一又は複数のネットワークファンクションと一又は複数のリソース(例えば、コンピューティングリソース、ストレージリソース、ネットワーキングリソース)とのセットを意味してよい。
【符号の説明】
【0105】
110:運用支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10