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  • 特開-布繊維を用いた成形材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007249
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】布繊維を用いた成形材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/12 20060101AFI20230111BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20230111BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20230111BHJP
   B09B 3/20 20220101ALI20230111BHJP
【FI】
B29B9/12
C08J3/12 Z CER
C08J3/12 CEZ
B29B9/06
B09B3/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110371
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】597114041
【氏名又は名称】株式会社ユニオン産業
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】森川 真彦
【テーマコード(参考)】
4D004
4F070
4F201
【Fターム(参考)】
4D004AA12
4D004CA03
4D004CA04
4D004CA29
4D004CA45
4D004CB13
4D004CB15
4D004CB31
4D004DA03
4D004DA10
4F070AA02
4F070AA15
4F070AB09
4F070AB11
4F070AB26
4F070AD02
4F070AE01
4F070DA11
4F070DA55
4F070DC05
4F070FA01
4F070FA03
4F070FA12
4F070FA17
4F070FB06
4F070FC05
4F201AA01
4F201AC04
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC03
4F201BC12
4F201BC17
4F201BD02
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK40
4F201BL08
4F201BL43
(57)【要約】
【課題】布繊維を均一に混合した成形材を容易に作成することができる布繊維を用いた成形材の製造方法を提供すること。
【解決手段】布をわた状に粉砕する第1の粉砕工程(ステップ1-1)と、第1の粉砕工程によって粉砕した布繊維を圧縮して圧縮体に固める圧縮工程(ステップ1-2)と、圧縮工程によって固めた圧縮体を粉末状に粉砕する第2の粉砕工程(ステップ1-3)と、第2の粉砕工程によって粉砕した布粉末を、熱可塑性の合成樹脂に混合して加熱溶融し、成形する成形工程(ステップ1-4)とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布を粉砕してわた状にする第1の粉砕工程と、
前記第1の粉砕工程によって粉砕した布繊維を圧縮して固めて圧縮体にする圧縮工程と、
前記圧縮工程によって固めた圧縮体を粉砕して粉末状にする第2の粉砕工程と、
前記第2の粉砕工程によって粉砕した布の粉末を、合成樹脂に混合して加熱溶融し、成形する成形工程と、
を有することを特徴とする布繊維を用いた成形材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の布繊維を用いた成形材の製造方法であって、
前記成形工程における前記布の粉末の配合割合を10~30質量%、前記合成樹脂の配合割合を70~90質量%としたことを特徴とする布繊維を用いた成形材の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の成形材の製造方法であって、
前記成形工程によって成形した成形材を粉砕して粉末状にする第3の粉砕工程と、
前記第3の粉砕工程によって粉砕した成形材の粉末を、加熱溶融し、成形する第2の成形工程と、
をさらに有することを特徴とする布繊維を用いた成形材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木綿などの布繊維を用いた成形材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂に、麦のフスマ、竹、コーヒー粕などの植物由来の粉末や、ゼオライト、タルクなどの鉱物の粉末などを混合して加熱溶融し成形してなる成形材が開発され使用されている(例えば特許文献1,2など参照)。
【0003】
この種の成形材によれば、成形材に占める合成樹脂の混合割合を減少させることができ、また有機性廃棄物であるフスマや竹やコーヒー粕などの有効利用が図れ、環境にも好適なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-224665号公報
【特許文献2】特開2016-23282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形材に混合させる各種廃棄物などの粉末は、溶融させた合成樹脂中に当該各種廃棄物などの粉末を満遍なく混錬させるため、小さく粉砕しておく必要がある。
【0006】
しかし、例えば廃棄された服などの布繊維を混合させた成形材を作成しようとした場合は、以下のような課題があった。
【0007】
即ち、綿布などの布繊維は、これを粉砕した場合、繊維がわた状に膨らみ、その重さも軽い(密度が小さい)ので、これを溶融した合成樹脂に混錬しようとした場合、そもそも合成樹脂に混ざりにくく、混ざったとしても合成樹脂中に満遍なく行き渡りにくくて何れかの場所で固まったり、逆にまばらにしか存在しない場所が生じたりしてしまう虞があった。このため従来、布繊維を合成樹脂に混合させた成形材を作成することは困難であった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、布繊維を均一に混合した成形材を容易に作成することができる布繊維を用いた成形材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる布繊維を用いた成形材の製造方法は、布を粉砕してわた状にする第1の粉砕工程と、前記第1の粉砕工程によって粉砕した布繊維を圧縮して固めて圧縮体にする圧縮工程と、前記圧縮工程によって固めた圧縮体を粉砕して粉末状にする第2の粉砕工程と、前記第2の粉砕工程によって粉砕した布の粉末を、合成樹脂に混合して加熱溶融し、成形する成形工程と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、第1の粉砕工程ではわた状にしかならない布繊維を、圧縮工程によって一度固めて圧縮体とし、当該固めて密度を高めた圧縮体を再び第2の粉砕工程において粉砕するので、粉末状に粉砕しにくい布を粉末状にすることができ、これによって合成樹脂に布の粉末を均等に混合して成形することが可能になった。
【0010】
また本発明は、上記特徴に加え、前記成形工程における前記布の粉末の配合割合を10~30質量%、前記合成樹脂の配合割合を70~90質量%としたことを特徴としている。
布の粉末の配合割合を30質量%以下としたのは、布の粉末と合成樹脂の粉末とを混錬した際に、布の粉末は密度(単位:kg/m)がかなり小さい(低い)ので、合成樹脂の粉末中から上方に浮いてしまい易く、特に布の粉末の配合割合が30質量%を超えると、その現象が顕著になり、成形工程における布の粉末と合成樹脂との均等な混合・成形が行いにくくなる。このため、布の粉末の配合割合を30質量%以下にしたのである。一方布の粉末の配合割合を10質量%以上としたのは、布の粉末の配合割合が少なすぎると、布の有効活用という点での効果が小さくなるためである。即ち本発明の配合割合は、密度が非常に小さい(低い)布の粉末特有のものである。
【0011】
また本発明は、上記特徴に加え、前記成形工程によって成形した成形材を粉砕して粉末状にする第3の粉砕工程と、前記第3の粉砕工程によって粉砕した成形材の粉末を、加熱溶融し、成形する第2の成形工程と、をさらに有することを特徴としている。
布の種類や第1,第2の粉砕工程による粉砕の状態によっては、上記成形工程(第1の成形工程)によって成形した成形材中の合成樹脂と布の粉末との混合状態が不十分(不均一)になる場合が生じる。上記混合状態が不十分な場合は、例えば上記第1の成形工程で成形した成形材の形状が所望の形状にならなかったりする。このような場合は、本発明のように、上記成形材をさらに第3の粉砕工程によって粉砕する。布の粉末は、第1の成形工程によって合成樹脂中に固定されているので、この成形材を粉砕すれば、合成樹脂と共に布をさらに細かく粉砕することができる。これにより、その後の第2の成形工程によって成形した成形材中に、より細かく粉砕した布繊維の粉末を均一に混合することができ、より確実に、成形材を所望の形状に成形することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、布繊維を均一に混合した成形材を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】成形材の製造方法の工程図である。
図2】成形材の具体的製造方法説明図である。
図3】攪拌混合機50と押出機60を示す概略断面図である。
図4】成形材の製造方法の工程図である。
図5】成形材の具体的製造方法説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる成形材の製造方法の工程図である。同図に示すように第1実施形態にかかる成形材の製造方法は、布をわた状に粉砕する第1の粉砕工程(ステップ1-1)と、前記第1の粉砕工程によって粉砕した布繊維を圧縮して板状の圧縮体に固める圧縮工程(ステップ1-2)と、前記圧縮工程によって固めた圧縮体を粉末状に粉砕する第2の粉砕工程(ステップ1-3)と、前記第2の粉砕工程によって粉砕した布の粉末を、熱可塑性の合成樹脂に混合して加熱溶融して成形する第1の成形工程(以下この実施形態においては「成形工程」という)(ステップ1-4)と、を具備して構成されている。
【0015】
使用する布の素材(繊維、紡織繊維)としては、例えば、コットン繊維(綿繊維)、リネン繊維(亜麻繊維)、シルク繊維(絹繊維)などの天然繊維の他に、化学繊維(ナイロン、アクリル、ポリエステルなど)など、種々のものがある。
【0016】
ステップ1-1の第1の粉砕工程では、粉砕機によって布を細かく粉砕するが、布繊維の特質上、粉砕した布は、細切れの繊維状になって各繊維が複雑に絡み合い、わた状(綿状)のふわりとした軽くて大きい塊になってしまう。このわた状の塊は、これをそのままさらに粉砕機で粉砕しても、わた状のままになり易い。
【0017】
ステップ1-2の圧縮工程では、例えばプレス機を用い、前記わた状の布繊維を収納する凹状の収納部を有する下型上に、下面が平面状の上型を配置し、上型を下型の収納部内に挿入して当該収納部内に予め収納しておいた前記わた状の布繊維をプレス加圧する。これによって前記わた状の布繊維が圧縮されて平板状の圧縮体に固められる。プレス機の代わりに、一対のローラ間に前記わた状の布繊維を通すことで加圧して平板状の圧縮体としても良い。
【0018】
ステップ1-3の第2の粉砕工程では、前記圧縮工程によって固められて密度が大きく(高く)なった板状の圧縮体を再び粉砕する。このとき当該布繊維からなる圧縮体は粉末状に粉砕される。布繊維が粉末状になるのは、布繊維の密度を大きくして硬くなった板状の圧縮体を粉砕するからである。これによって密度が比較的大きい状態の布の粉末が得られる。
【0019】
ステップ1-4の成形工程では、前記第2の粉砕工程によって粉砕した布の粉末と、熱可塑性の合成樹脂の粉末を例えば攪拌混合機によって混合したものを、例えば押出機に投入し、当該押出機によって加熱・溶融・混錬した後、例えば細棒状に引き出しながらカッターで短く切断していくことで、ペレット状に成型した成形材を得る。
【0020】
以上のように、第1の粉砕工程ではわた状にしかならない布繊維を、圧縮工程によって一度固めて板状とし、当該固めて密度を高めた板状体を再び第2の粉砕工程において粉砕するので、粉末状に粉砕しにくい布を粉末状にすることができ、これによって合成樹脂に布繊維を均等に混合した成形材を作成することができる。
【0021】
(第1実施例)
図2は上記第1実施形態の第1実施例にかかる成形材の具体的製造方法説明図である。同図(a)に示すように、まず成形材に混錬しようとする布10を用意する。ここで用いる布10としては綿布を用いた。次に、図2(b)に示すように、当該布10を粉砕機20に投入してこれを粉砕する(上記第1の粉砕工程、ステップ1-1)。これによって前記布10は繊維状に粉砕され、図2(c)に示すようなわた状体25になる。
【0022】
次に、図2(d)に示すように、前記わた状体25を、プレス機などの加圧成形機30によって加圧し、これによって図2(e)に示すような平板状の圧縮体(以下「板体」という)35を成形する(上記圧縮工程、ステップ1-2)。次に、図2(f)に示すように、当該板体35を粉砕機40に投入してこれを粉砕する(上記第2の粉砕工程、ステップ1-3)。これによって図2(g)に示すような密度が比較的大きい状態の布繊維の粉末45が得られる。
【0023】
次に、前記布繊維の粉末45(10~30質量%)と、別途用意したポリプロピレンのペレット(又は粉末)47(70~90質量%)とを攪拌混合機50に投入して両者を攪拌混合し(図2(h)参照)、この攪拌混合物を図2(i)に示す押出機60に投入して、加熱・溶融・混錬した後、例えば細棒状に引き出しながらカッターで短く切断していくことで、図2(j)に示すペレット状に成型した成形材65を得る(上記成形工程、ステップ1-4)。
【0024】
図3は、上記攪拌混合機50と押出機60を示す概略断面図である。同図に示すように、攪拌混合機50は、ホッパ51内に前記布繊維の粉末45とポリプロピレンのペレット(又は粉末)47を投入し、攪拌部材53によって攪拌混合する。次に、攪拌混合機50において混合された混合物を、押出機60に導入して螺旋状の突条62を設けたスクリュー63をシリンダ61内で回転しながらヒータ64によって加熱することで、前記混合物中のポリプロピレンを溶融し、当該溶融したポリプロピレンに対して布繊維の粉末45を均等に混錬する。そして、前記押出機60の押出側の端部近傍に設けた図示しないノズルから細棒状に成形された成形材を吐出させ、図示しないカッターで短い長さにカットした後に硬化させることで、ペレット状の成形材を得ることができる。以上の各工程によって、第1実施例に係るペレット状の成形材65が完成する。
【0025】
ここで、布の粉末45の配合割合を30質量%以下としたのは、布の粉末45とポリプロピレンのペレット(又は粉末)47とを混錬した際に、布の粉末はその密度(単位:kg/m)がポリプロピレンに比べてかなり小さいので、攪拌混合機50における攪拌混合中に布の粉末45がポリプロピレンのペレット(又は粉末)47中から上方に浮いてしまい易く、特に布の粉末45の配合割合が30質量%を超えると、その現象が顕著になり、このため両者の混合がうまく行えず、このため混合物を攪拌混合機50から押出機60に投入して成形する際、布の粉末45とポリプロピレン47の適正な混合・成形が行いにくくなるからである。また布の粉末45の配合割合を10質量%以上としたのは、布の粉末45の配合割合が少なすぎると、布の有効活用という点での効果が小さくなるためである。即ちこの配合割合は、合成樹脂に比べて密度が非常に小さい布の粉末45特有のものである。
【0026】
なお、以上のようにして製造された成形材(ペレット)65は、次の工程で、例えば射出成型機に投入されて加熱溶融され、当該射出成型機に接続した金型のキャビティー内に射出され、その後冷却して固化することで、各種製品の形状(最終形状)に成形された成形品となる。
【0027】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態にかかる成形材の製造方法の工程図である。同図に示すように第2実施形態にかかる成形材の製造方法は、布をわた状に粉砕する第1の粉砕工程(ステップ2-1)と、前記第1の粉砕工程によって粉砕した布繊維を圧縮して板状の圧縮体に固める圧縮工程(ステップ2-2)と、前記圧縮工程によって固めた板状の圧縮体を粉末状に粉砕する第2の粉砕工程(ステップ2-3)と、前記第2の粉砕工程によって粉砕した布の粉末を、熱可塑性の合成樹脂に混合して加熱溶融し、成形する第1の成形工程(ステップ2-4)と、前記第1の成形工程によって成形した成形材を粉末状に粉砕する第3の粉砕工程(ステップ2-5)と、前記第3の粉砕工程によって粉砕した成形材の粉末を、加熱溶融し、成形する第2の成形工程(ステップ2-6)と、を具備して構成されている。
【0028】
この第2実施形態における第1の粉砕工程(ステップ2-1)と、圧縮工程(ステップ2-2)と、第2の粉砕工程(ステップ2-3)と、第1の成形工程(ステップ2-4)は、上記第1実施形態における第1の粉砕工程(ステップ1-1)と、圧縮工程(ステップ1-2)と、第2の粉砕工程(ステップ1-3)と、成形工程(ステップ1-4)と同一なのでその詳細な説明は省略する。一方、第2実施形態において上記第1実施形態と相違する点は、第3の粉砕工程(ステップ2-5)と第2の成形工程(ステップ2-6)とを設けた点なので、以下主としてこれらの工程について説明する。
【0029】
第1実施形態における成形工程(ステップ1-4)において、ペレット状に成形される成形材の形状が所望の形状にならず、変形した成形材になってしまう場合があった。その原因としては、布繊維の材質や布の織り方などによって、第1,第2の粉砕工程における布繊維の粉末化が十分に行えなくなってしまい、成形材中の合成樹脂と布の粉末の混合状態が不十分になってしまったような場合などが考えられる。
【0030】
そこで本実施形態の場合、第1実施形態における成形工程(ステップ1-4)に相当する第1の成形工程(ステップ2-4)の次に、当該第1の成形工程によって成形された成形材を、再び第3の粉砕工程(ステップ2-5)によって粉末状に粉砕し、再び第2の成形工程(ステップ2-6)によって成形材を成形することとした。布の粉末は、第1の成形工程(ステップ2-4)によって合成樹脂中に固定されているので、この成形材を粉砕すれば、合成樹脂と共に布の粉末をさらに細かく均一に粉砕することができる。
【0031】
ステップ2-6の第2の成形工程では、例えば前記第3の粉砕工程(ステップ2-5)によって粉砕した合成樹脂と布の粉末からなる粉末を、例えば押出機に投入し、当該押出機によって加熱・溶融・混錬した後、例えばペレット状に成型した成形材を得る。前記第3の粉砕工程で粉砕した各粉末は布の粉末を合成樹脂が固めている状態なので、即ち、第2の成形工程時に単体の布の粉末を混錬などしなくても良いので、布の粉末を合成樹脂に均等に分散した成形材を容易に得ることができる。
【0032】
またこの第2の成形工程において押出機に投入する粉末として、前記第3の粉砕工程で粉砕した合成樹脂と布の粉末からなる粉末に、別途新たに合成樹脂の粉末を単体で加え、これらを攪拌混合機などで攪拌混合したものを用いても良い。この場合も、前記第3の粉砕工程で粉砕した各粉末は布の粉末を合成樹脂が固めている状態なので、この粉末に単体の合成樹脂の粉末を加えて攪拌混合しても、第2の成形工程時に単体の布の粉末を混錬などしなくても良く、布の粉末を合成樹脂に均等に分散した成形材を容易に得ることができる。
【0033】
以上のように、この実施形態においては、第2の成形工程によって成形した成形材中に、より細かく粉砕した布繊維の粉末をより均一に混合することができ、より容易に、成形材を所望の形状に成形することができる。
【0034】
(第2実施例)
図5は上記第2実施形態の第2実施例にかかる成形材の具体的製造方法説明図である。第2実施例においても、上記図2(a)~(j)で説明した内容と同様に、まず成形材に混錬しようとする布(綿布)10を用意し(図5(a))、当該布10を粉砕機20に投入してこれを粉砕して(図5(b))わた状体25とし(図5(c))、次にこのわた状体25をプレス機などの加圧成形機30によって固めて(図5(d))密度が大きい状態の平板状の板体35に成形し(図5(e))、次に当該板体35を粉砕機40によって粉砕して(図5(f))布繊維の粉末45とし(図5(g))、次に前記布繊維の粉末45(10~30質量%)と、別途用意したポリプロピレンの粉末47(70~90質量%)と、を攪拌混合機50に投入して両者を攪拌混合し(図5(h))、この攪拌混合物を押出機60によって加熱・溶融・混錬した(図5(i))後、ペレット状に成型した成形材65を得る(図5(j))。
【0035】
次に、以上のようにして得られた成形材65(図5(j))を、再び図5(k)に示す粉砕機70に投入してこれを粉砕する(上記第3の粉砕工程、ステップ2-5)。これによって前記成形材65は図5(l)に示すような細かい粉体75に粉砕される。
【0036】
次に、前記粉末75を押出機80に投入して(図5(m))、加熱・溶融・混錬した後、例えば細棒状に引き出しながらカッターで短く切断していくことで、図5(n)に示すペレット状に成型した成形材85を得る(上記第2成形工程、ステップ2-6)。
【0037】
なお他の実施例として、上記図5(k)による第3の粉砕工程(ステップ2-5)を行って得られた粉体75を用いて、上記図5(m)の押出機80による第2の成形工程(ステップ2-6)を行う際に、別途用意したポリプロピレンの粉末を混合させても良い。この場合は、上記別途用意したポリプロピレンの粉末と、図5(l)に示す粉体75とを、前記図2(h)に示すと同様の攪拌混合機50に投入して両者を攪拌混合し、この攪拌混合物を図5(m)に示す押出機80に投入して、図5(n)に示すペレット状に成型した成形材85を得る。
【0038】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施例では、布として1種類の布(綿布)を用いたが、複数種類の布を混合したものを用いても良い。また上記例では、圧縮工程によって圧縮される圧縮体の形状を板状としたが、板状以外の各種形状としても良い。また成形される成形材は、ペレット状である必要はなく、他の各種形状、場合によっては直接最終製品の形状に成形しても良い。また各粉砕機20,40,70は同一の粉砕機であっても良いし、別の粉砕機であっても良い。同様に、押出機60,80も同一の押出機であっても良いし、別の押出機であっても良い。
【0039】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
10 布
20 粉砕機
25 わた状体
30 加圧成形機
35 板体
40 粉砕機
45 粉末
47 粉末
50 攪拌混合機
60 押出機
65 成形材
70 粉砕機
75 粉体
80 押出機
85 成形材
図1
図2
図3
図4
図5