(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072520
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】自動半田付方法及び自動半田付システム
(51)【国際特許分類】
H01R 43/02 20060101AFI20230517BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01R43/02 A
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185134
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000214836
【氏名又は名称】長野日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 忠彦
【テーマコード(参考)】
3C707
5E051
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707BS12
3C707LV05
3C707NS17
5E051KA09
5E051KB03
(57)【要約】
【課題】 半田付部分に無理な応力が付加される弊害を解消し、接続強度及び接続品質を、より高めるとともに、線材の引込方向を均一化して外観品質をより高めるなど、半田付けの全自動化を容易に最適化する。
【解決手段】 ワークAの線材引込部Xiを通した線材(Wa…)における先端部位の、被接続部Ja…に対する最適な折曲角度Qa…を角度データDqとして設定処理する角度データ設定部Fsと、線材(Wa…)における先端部位を、角度データDqに基づいて折曲角度Qa…だけ折曲処理する折曲処理機構部Fmと、折曲処理した線材(Wa…)の先端部位における芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対する半田付け時に、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行う修正処理機能部Fcとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材における被覆部を有する芯線部をワークの被接続部に対して自動で半田付けする自動半田付方法において、予め、前記線材における先端部位の、前記被接続部に対する最適な折曲角度を角度データとして設定処理し、前記半田付け前に、前記線材における先端部位を、前記角度データに基づいて折曲処理機構部により前記折曲角度だけ折曲処理するとともに、前記半田付け時に、折曲処理した前記線材の先端部位における芯線部を、前記被接続部に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行った後、前記芯線部を前記被接続部に対して半田付け処理することを特徴とする自動半田付方法。
【請求項2】
前記線材における先端部位は、前記被覆部の先端から露出する前記芯線部,又は前記被覆部を含む線材自体であることを特徴とする請求項1記載の自動半田付方法。
【請求項3】
前記半田付け前に、前記芯線部に対して予備半田付処理することを特徴とする請求項1記載の自動半田付方法。
【請求項4】
前記半田付け時に、前記線材を軸芯に対して周方向へ回動変位させることにより、前記被接続部に対して、前記先端部位を、前記所定の姿勢に位置させる修正処理を行うことを特徴とする請求項1,2又は3記載の自動半田付方法。
【請求項5】
線材における被覆部を有する芯線部をワークの被接続部に対して自動で半田付けする自動半田付システムにおいて、前記ワークの線材引込部を通した前記線材における先端部位の、前記被接続部に対する最適な折曲角度を角度データとして設定処理する角度データ設定部と、前記線材における先端部位を、前記角度データに基づいて前記折曲角度だけ折曲処理する折曲処理機構部と、折曲処理した前記線材の先端部位における前記芯線部を、前記被接続部に対する半田付け時に、前記被接続部に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行う修正処理機能部とを備えることを特徴とする自動半田付システム。
【請求項6】
前記線材における先端部位は、前記被覆部の先端から露出する前記芯線部,又は前記被覆部を含む線材自体であることを特徴とする請求項5記載の自動半田付システム。
【請求項7】
前記折曲処理機構部は、前記折曲角度が異なる複数のリード線,又はワイヤハーネスに対して折曲処理することを特徴とする請求項5又は6記載の自動半田付システム。
【請求項8】
前記修正処理機能部は、前記線材を把持し、少なくとも当該線材の軸芯に対して周方向へ回動変位させるロボット機構を備えることを特徴とする請求項5記載の自動半田付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材における被覆部を有する芯線部をワークの被接続部に対して自動で半田付けする際に用いて好適な自動半田付方法及び自動半田付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品等のワークの被接続部に、リード線又はワイヤハーネス等の線材を接続する際には、半田付けにより接続される場合も多い。このため、半田付けを自動で行う自動半田付装置も各種提案されている。
【0003】
従来、この種の自動半田付装置としては、特許文献1で開示されるワイヤハーネスの製造装置及び特許文献2で開示される自動被覆電線取付装置が知られている。同文献1で開示されるワイヤハーネスの製造装置は、1台の装置で、1種以上のワイヤハーネスが製造可能なワイヤハーネス製造装置の提供を目的としたものであり、具体的には、電線を送給する電線送給装置と、送給された電線を任意の長さに切断する電線切断装置と、該電線の両端部の被覆を皮むきする皮むき装置と、皮むきされた電線端部に端子を圧着する第1の端子圧着装置と、皮むきされた電線端部に端処理を施す端処理装置と、2種類以上の端処理された電線の払い出し装置を備え、端処理された2種類以上のワイヤハーネスを製造可能に構成されたものである。
【0004】
また、同文献2で開示される自動被覆電線取付装置は、被覆電線等の線材の原線からの加工と、スイッチ端子やターミナル端子等への配線,接続固定を自動的に行なえるようにしたものであり、具体的には、本体テーブルの上に回転テーブルを配置し、該回転テーブルの周囲に部品整列装置,部品供給装置,部品端子矯正装置,複数の被覆電線加工供給装置,折曲げ装直,被覆電線保持リール,ハンダ付装置,完成品取出し装置を配し、前記回転テーブル上に部品固定治具を複数個配置し、モーター等で前記回転テーブルを間欠動作させる事により部品を順次移載し、前記各装置により前記部品に対し各々の作業を実施することにより、前記部品に対する複数の種類の被覆電線を定寸切断,被覆の定寸ストリップ,部品への供給,電線の折曲げ,部品と電線のハンダによる接続の一連の作業を自動的に行なうように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開公報WO2012/120631号
【特許文献2】特開昭60-177587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した装置をはじめ、従来における自動半田付装置は、次のような問題点があった。
【0007】
即ち、ワークの被接続部に対して、例えば、リード線における被覆部を有する芯線部を半田付けする場合、ワークの種類、特に、ワークの構造や形状によっては、被接続部の位置に対してリード線の引込部が制約される場合も少なくない。この場合、リード線(芯線部)の位置を、カメラから得られる画像データに対する画像処理等により検出し、被接続部に対してリード線の位置決め制御を行うことにより半田付けすることも行われているが、被接続部の位置や形状によっては、芯線部と被接続部間の接続面積を十分に確保できなかったり、芯線部と被接続部間における相対的位置にオフセットやバラツキが生じる虞れがある。しかも、リード線の引込部が制約される場合、リード線を引込部側における本来の位置へ引き回した際に半田付部分に無理な応力が付加されたり、リード線の引き回しに無用な膨らみを生じて外観品質を損なう虞れもある。
【0008】
このように、従来の自動半田付装置では、ワークの被接続部に対してリード線の被覆部を半田付けする際における接続強度,接続品質及び外観品質を、より高める観点、更には、半田付けの全自動化を最適化する観点からは更なる改善の余地があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した自動半田付方法及び自動半田付システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る自動半田付方法は、上述した課題を解決するため、線材(Wa…)における被覆部Ta…により被覆された芯線部Ca…をワークAの被接続部Ja…に対して自動で半田付けするに際し、予め、線材(Wa…)における先端部位の、被接続部Ja…に対する最適な折曲角度Qa…を角度データDqして設定処理(S1)し、半田付け前に、線材(Wa…)における先端部位を、角度データDqに基づいて折曲処理機構部Fmにより折曲角度Qa…だけ折曲処理(S9)するとともに、半田付け時に、折曲処理した線材(Wa…)の先端部位における芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理(S14b)を行った後、芯線部Ca…を被接続部Ja…に対して半田付け処理(S17)することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る自動半田付システム1は、上述した課題を解決するため、線材(Wa…)における被覆部Ta…により被覆された芯線部Ca…をワークAの被接続部Ja…に対して自動で半田付けするシステムを構成するに際して、ワークAの線材引込部Xiを通した線材(Wa…)における先端部位の、被接続部Ja…に対する最適な折曲角度Qa…を角度データDqして設定処理する角度データ設定部Fsと、線材(Wa…)における先端部位を、角度データDqに基づいて折曲角度Qa…だけ折曲処理する折曲処理機構部Fmと、折曲処理した線材(Wa…)の先端部位における芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対する半田付け時に、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行う修正処理機能部Fcとを備えることを特徴とする。
【0012】
一方、本発明は、発明の好適な態様により、線材(Wa…)における先端部位には、被覆部Ta…の先端から露出する芯線部Ca…,又は被覆部Ta…を含む線材(Wa…)自体を適用することができる。また、自動半田付方法の実施に際しては、半田付け前に、芯線部Ca…に対して予備半田付処理(S3)することができる。他方、自動半田付システム1を構成するに際して、折曲処理機構部Fmは、折曲角度Qa…が異なる複数のリード線Wa…,又はワイヤハーネスに対して折曲処理することができる。さらに、修正処理機能部Fcには、線材を把持し、少なくとも当該線材の軸芯に対して周方向へ回動変位させることにより、被接続部Ja…に対して芯線部Ca…を所定の姿勢に位置させる修正処理を行うロボット機構Rを用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明に係る自動半田付方法及び自動半田付システム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) 半田付け前に、線材(Wa…)における先端部位を、角度データDqに基づいて折曲処理機構部Fmにより折曲角度Qa…だけ折曲処理するとともに、半田付け時に、折曲処理した線材(Wa…)の先端部位における芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行った後、芯線部Ca…を被接続部Ja…に対して半田付け処理するようにしたため、ワークAの構造や形状によって被接続部Ja…に対して線材引込部Xiが制約され、芯線部Ca…と被接続部Ja…間の接続面積を十分に確保できない課題、及び芯線部Ca…と被接続部Ja…間の相対的位置のオフセットやバラツキが生じやすい課題を有効に低減できる。この結果、半田付部分に無理な応力が付加される弊害を解消し、接続強度及び接続品質を、より高めることができるとともに、線材の引込方向を均一化して外観品質をより高めることができるなど、半田付けの全自動化を容易に最適化することができる。
【0015】
(2) 自動半田付システム1は、ワークAの線材引込部Xiを通した線材(Wa…)における先端部位の、被接続部Ja…に対する最適な折曲角度Qa…を角度データDqして設定処理する角度データ設定部Fsと、線材(Wa…)における先端部位を、角度データDqに基づいて折曲角度Qa…だけ折曲処理する折曲処理機構部Fmと、折曲処理した線材(Wa…)の先端部位における芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対する半田付け時に、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行う修正処理機能部Fcとを備えるため、上述した自動半田付方法を容易かつ確実に実施することができる。
【0016】
(3) 好適な態様により、線材(Wa…)における先端部位として、被覆部Ta…の先端から露出する芯線部Ca…,又は被覆部Ta…を含む線材(Wa…)自体を適用すれば、折曲態様をより多様化できるため、様々な形態の被接続部Ja…に適用可能となり、汎用性に優れるとともに、被接続部Ja…と線材(Wa…)間の、よりマッチングした半田付けを行うことができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、自動半田付方法の実施に際し、半田付け前に、芯線部Ca…に対して予備半田付処理するようにすれば、芯線部Ca…がヨリ線により構成される線材であっても単線と同様に折曲処理することが可能になるため、自動半田付方法を確実に実施することができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、折曲処理機構部Fmを構成するに際し、折曲角度Qa…が異なる複数のリード線Wa…,又はワイヤハーネスに対して折曲処理可能に構成すれば、一台の折曲処理機構部Fmにより、複数のリード線Wa…,又はワイヤハーネスを同時に折曲処理できるため、折曲処理工程の効率化を図れるとともに、自動半田付システム1の小型化及び低コスト化に寄与できる。
【0019】
(6) 好適な態様により、修正処理機能部Fcを構成するに際し、線材(Wa…)を把持し、少なくとも当該線材の軸芯に対して周方向へ回動変位させることにより、被接続部Ja…に対して芯線部Ca…を所定の姿勢に位置させる修正処理を行うロボット機構Rを用いれば、別途の修正処理工程を設けることが不要となるため、生産効率を高めることができるとともに、ロボット機構Rに、線材を把持する回転駆動軸のハンド部を設ければ足りるなど、自動半田付システム1の更なる小型化及び低コスト化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の好適実施形態に係る自動半田付方法を用いて好適なワークと線材の配置図、
【
図2】同自動半田付方法を用いて好適なワークと線材の他の配置図、
【
図3】本発明の好適実施形態に係る自動半田付システムに用いる一部抽出拡大図を含む折曲処理機構部の斜視図、
【
図4】同自動半田付システムに用いる折曲処理機構部の正面構成図、
【
図5】同折曲処理機構部の一部を抽出して示す正面拡大断面構成図、
【
図7】同折曲処理機構部の一部を抽出して示す側面拡大断面構成図、
【
図10】同自動半田付システムの処理を順次説明するためのフローチャート、
【
図11】同自動半田付システムのロボット機構のハンド部によりリード線を把持した側面図、
【
図12】同自動半田付システムのロボット機構のハンド部によりリード線を把持して修正処理した後の平面図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る自動半田付システム1の理解を容易にするため、全体のシステム構成及び半田付け対象となるワークAの構成について、
図1及び
図8を参照して説明する。
【0023】
実施形態で示す自動半田付システム1は、ワークAとして、
図1に示すように、プリント基板本体Mpの外郭にフレームMfを有するプリント基板モジュールMを例示する。このプリント基板モジュールMは、フレームMfの角部付近に、四本のリード線Wa,Wb,Wc,Wdを引き込む引込口Mfiを有する線材引込部Xiを備えるとともに、この引込口Mfiの近傍におけるプリント基板本体Mpの上面には、
図1に示す四つの被接続部(接続端子)Ja,Jb,Jc,Jdが一定間隔おきに設けられている。
【0024】
また、引込口Mfiは、プリント基板モジュールMを所定の機器に組込んだ際に当該機器の構造により制限され、引込口Mfiの位置と大きさが
図1のように制約されている。この結果、四つの被接続部Ja,Jb,Jc,Jdを設けた全体のエリアの幅は、引込口Mfiの幅よりも広くなっている。
【0025】
このような形態のため、直線状のリード線Wa,Wb,Wc,Wdを、ロボット機構等により位置決め制御し、各被接続部Ja,Jb,Jc,Jdに半田付けしても、例示の場合、特に、両側のリード線WaとWdは、対応する被接続部JaとJdのエッジ付近に半田付けされる可能性がある。なお、リード線Wa…は、被覆部Ta…により被覆された芯線部Ca…を有するリード線である。
【0026】
したがって、この場合、
図1に示すように、両側のリード線WaとWdにおける芯線部CaとCdを、それぞれ対応する被接続部JaとJd側へ折曲すれば、被接続部JaとJdの最適な位置に芯線部CaとCdを半田付けすることが可能になり、例示の場合、芯線部Caの折曲角度をQa、芯線部C2の折曲角度は0(折曲なし)、芯線部C3の折曲角度はQ3、芯線部Cdの折曲角度はQ4に設定した場合を示す。そして、この折曲角度Qa,0,Q3,Q4は角度データDqとして設定される。
【0027】
なお、
図1は、芯線部Ca…を折曲処理する例として、線材引込部Xiの幅が制約されている場合を示したが、
図2には、線材引込部Xiが他の条件により制約される場合を示す。
図2(a)は、線材引込部Xiの角度が制約されている場合であり、芯線部Ca…を折曲処理することにより、被接続部Ja(Jc)…に対する芯線部Ca(Cc)…の折曲角度Qa(Qc)…を最適化することができる。また、
図2(b)は、線材引込部Xiの方向が制約されている場合であり、芯線部Cn…を折曲処理することにより、被接続部Jn…に対する芯線部Cn…の折曲角度Qn…を最適化することができる。さらに、
図2(b)は、プリント基板本体Mpに段差部Mpsが存在し、被覆部Tnを含むリード線Wn自体を位置Tncで折曲する場合を示す。この場合には、後述する折曲処理機構部Fmにより芯線部Caの折曲処理を行った後、次の折曲処理機構部Fmにより、被覆部Tnの位置Tncを折曲処理することにより実現できる。このように、リード線Wa…における先端部位として、被覆部Ta…の先端から露出する芯線部Ca…,又は被覆部Ta…を含むリード線Wa…自体を適用すれば、折曲態様をより多様化できるため、様々な形態の被接続部Ja…に適用可能となり、汎用性に優れるとともに、被接続部Ja…とリード線Wa…間の、よりマッチングした半田付けを行うことができる。
【0028】
次に、本実施形態に係る自動半田付システム1の機械系における全体構成について、
図8を参照して説明する。
【0029】
自動半田付システム1は、
図8に示すように、中央に、ワーク半田付ライン11を設置し、このワーク半田付ライン11は、上流側から四つの半田付処理部11a,11b,11c,11dを順次通過する。即ち、ワーク半田付ライン11は、ワークAをセットしたパレット14を順次搬送する機能を備え、各パレット14にセットした各ワークAを、各半田付処理部11a,11b…に一定時間停止させつつ順次搬送する機能を備える。
【0030】
また、ワーク半田付ライン11の搬送方向Emの左側には、各半田付処理部11a,11b…に対応する四台の半田付ユニット12,12,12.12を順次配設する。一台の半田付ユニット12は、半田鏝部及び半田供給部を備える半田付ヘッド部を有する半田付ロボット機構であり、半田付ヘッド部はXYZ方向へ移動することができる。また、半田鏝部の先端付近を撮影する位置決用カメラ32(
図9)を備えている。このような半田付ロボット機構は、公知の各種半田付ロボット機構を利用することができる。
【0031】
他方、ワーク半田付ライン11の搬送方向Emの右側には、各半田付処理部11a,11b…に対応する四台のロボット機構R,R,R.Rを順次配設する。一台のロボット機構Rは、
図10-
図11に示すように、六軸の産業用ロボットであり、先端に、六軸目の回転出力部41に取付けたハンド部Rhを備える。この回転出力部41は、回転制御可能な回転軸Rcを有する。ハンド部Rhは、チャック部42を備える。チャック部42は、リード線Wa(Wb…)を把持する機能を備え、
図10及び
図11に示すように、リード線Waを把持した際に、リード線Waの中心軸線Lcは、回転軸Rcと同一軸線上になるように構成する。なお、例示のロボット機構Rは、回転軸Rcとリード線Waの中心軸線Lcが同一軸線上になるように構成したが、それぞれ異なる軸線上にあってもよい。この場合には、他の軸やアームを含めた角度制御及び位置制御を行うことにより、同様の動作をソフトウェア的に行うことができる。
【0032】
この場合、ロボット機構Rは、折曲処理した芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対する半田付け時に、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理、即ち、例示の場合、略平行に位置するように修正処理を行う修正処理機能部Fcを兼ねている。これにより、ロボット機構R…は、リード線Wa…を把持し、当該リード線Wa…の軸芯に対して周方向へ回動変位させることにより、被接続部Ja…に対して芯線部Ca…が所定の姿勢になるように修正処理することができる。したがって、このようなロボット機構Rを利用すれば、別途の修正処理工程を設けることが不要となるため、生産効率を高めることができるとともに、ロボット機構Rに、リード線Wa…を把持する回転駆動軸のハンド部を設ければ足りるなど、自動半田付システム1の更なる小型化及び低コスト化に寄与することができる。
【0033】
さらに、ロボット機構R…に対し、搬送方向Em右側には、クランパー6にクランプしたリード線Wa…を上述したワークA…(パレット14…)に同期して搬送するリード線搬送ライン15を配設する。クランパー6は、一個のワークAに使用する色の異なる四本のリード線Wa,Wb,Wc,Wdをクランプする機能を備える。例示のクランパー6は、ブロック体の上面からリード線Wa…を挟むことができる四つのU形スリットを形成したものである。また、
図1に示すように、リード線搬送ライン15の近傍には、多数のリード線Wa…,Wb…,Wc…,Wd…をストックしたリード線ストッカー16が配設される。
【0034】
一方、リード線ストッカー16の後段、即ち、リード線ストッカー16と最初のクランパー6間には、折曲処理工程ゾーンZsを設け、この折曲処理工程ゾーンZsに、本発明の要部を構成する折曲処理機構部Fmを配置する。この折曲処理機構部Fmにより、被覆部Ta…の先端から突出した芯線部Ca…を、角度データDqに基づき折曲角度Qa…だけ折曲処理することができる。
【0035】
図3-
図7に、折曲処理機構部Fmの具体的な構成を示す。折曲処理機構部Fmは、
図3に示すように、大別して、四本のリード線Wa,Wb,Wc,Wdを保持するリード線保持部Fmhと、リード線Wa,Wb,Wc,Wdの芯線部Ca,Cb,Cc,Cdを折曲処理するリード線折曲部Fmcを備える。リード線保持部Fmhは、上面に、水平で平坦なリード線セット面を形成したセットプレート21sを有するリード線支持台21を備え、セットプレート21sのリード線セット面には、
図4に示すように、一定間隔置きに配した断面V形をなす四つのリード線保持スリット22a,22b,22c,22dを形成する。このリード線セット面を形成したセットプレート21sは、リード線Wa…の異なる外径に応じて交換することができる。また、セットプレート21sの上方には、第一昇降駆動部23dにより昇降する押えブロック23cを備え、この押えブロック23cを
図3の仮想線で示す位置23csに下降させることにより、各リード線保持スリット22a…にセットしたリード線Wa…を保持固定することができる。
【0036】
このように、折曲処理機構部Fmを構成するに際し、折曲角度Qa…が異なる複数のリード線Wa…に対して折曲処理可能に構成すれば、一台の折曲処理機構部Fmにより、複数のリード線Wa…を同時に折曲処理できるため、折曲処理工程の効率化を図れるとともに、自動半田付システム1の小型化及び低コスト化に寄与できる。
【0037】
他方、リード線折曲部Fmcは、第二昇降駆動部24dにより昇降し、かつ上下方向にスライド自在に支持されたアクチュエータ支持プレート24pを備え、このアクチュエータ支持プレート24pに、四つの折曲ユニット25a,25b,25c,25dを、前記リード線保持スリット22a,22b,22c,22dの各位置に対応(一致)させて配設する。一つの折曲ユニット25dは、
図6及び
図7に示すように、角度設定アクチュエータ250,この角度設定アクチュエータ250から上方へ突出した昇降ロッド250rの上端に支持された折曲部251を備え、この折曲部251の上端位置には、折曲器252を固定する。この折曲器252は、
図3に示す抽出拡大図のように、所定の厚さを有するプレート部材の上端に、U形の凹部253を形成したものであり、この折曲器252を
図7に示すように、上昇変位させることにより、この凹部253に芯線部Cdを収容し、芯線部Cdを押し上げることにより折曲処理することができる。このため、凹部253における内壁の上端両側は、芯線部Cdを凹部253内にガイドできるように、面取りすることにより曲面部253p,253qを形成するとともに、
図7に示すように、凹部253の底部断面形状も、面取りすることにより表裏間にわたり山形の曲面部253dを形成する。一つの折曲ユニット25dについて説明したが、他の折曲ユニット25a,25b,25cについても、基本的な構成は、位置を変更するための一部の形状変更を除き、上述した折曲ユニット25dと同様に構成することができる。
【0038】
その他、
図8に示すように、ワーク半田付ライン11に対する上流側には、ワーク搬入部17を配設するとともに、このワーク搬入部17により搬送されたワークAをスタンバイさせるワーク導入部17sを備える。さらに、ワーク導入部17sの近傍には、不図示のリード線移載ロボットを設置し、このリード線移載ロボットにより、リード線ストッカー16にストックされたリード線Wa,Wb……を、順次、折曲処理機構部Fmに移載することができるとともに、この折曲処理機構部Fmにより折曲処理されたリード線Wa,Wb……をクランパー6に対して移載することができる。他方、ワーク半田付ライン11に対して、下流側には半田付け処理の終了したワークAを、ワーク半田付ライン11から搬出するワーク搬出部18を備える。Rpは半田付け処理の終了したワークAを取出すワーク取出ロボットを示す。
【0039】
次に、自動半田付システム1における制御系及び駆動系を含む全体のシステム構成について、
図9を参照して説明する。
【0040】
図9中、Csはシステムコントローラを示す。システムコントローラCsは、システムコントローラ本体31を備え、このシステムコントローラ本体31には、タッチパネル31tを有するディスプレイ31dが付属する。また、システムコントローラ本体31には、位置決用カメラ32をインターフェイス33を介して接続する。一方、システムコントローラ本体31には、半田付処理部11aにおける、ハンド部Rh及び各ロボット軸を駆動する各種のアクチュエータ群34を含むロボット機構Rをインターフェイス35を介して接続する。他の半田付処理部11b,11c,11dについても、半田付処理部11aと同様に接続する。さらに、各半田付ユニット12…をインターフェイス36…を介して接続する。その他、ワーク取出ロボットRp及びリード線移載ロボット(不図示)、ワーク半田付ライン11,リード線搬送ライン15,ワーク搬入部17及びワーク搬出部18の各駆動機構(不図示)も必要なインターフェイスを介してシステムコントローラ本体31に接続される。
【0041】
一方、折曲処理機構部Fmの第一昇降駆動部23d,第二昇降駆動部24d,及び四つの折曲ユニット25a,25b,25c,25dに備える各角度設定アクチュエータ250…は、ドライバ37を介してシステムコントローラ本体31に接続する。
【0042】
また、システムコントローラCsは、CPU及び内部メモリ36等を内蔵するコンピュータ機能を備え、内部メモリ36mには、各種演算処理及び各種制御処理(シーケンス制御)を実行するため包括的な制御プログラム(ソフトウェア)を格納するプログラムエリア36mpを有するとともに、各種データ(データベース)類を書込可能なデータエリア36mdが含まれる。
【0043】
そして、プログラムエリア36mpには、被接続部Ja…に対する被覆部Ta…の線材引込部Xiに対する芯線部Ca…の最適な折曲角度Qa…を角度データDqとして設定処理する角度データ設定部Fsを備えるとともに、特に、前述した折曲処理機構部Fmをシーケンス制御するための折曲処理プログラムFcを備える。また、本発明に係る自動半田付システム1の全体を機能させるための半田付シーケンスプログムFpが格納されることにより各機能部が実行される。
【0044】
次に、本実施形態に係る自動半田付システム1の動作、即ち、自動半田付方法について、各図を参照しつつ
図10に示すフローチャートに従って説明する。
【0045】
実施形態は、ワークAとして、
図1に示したプリント基板モジュールMであって、半田付け前のプリント基板モジュールMを例示するとともに、このプリント基板モジュールMに対して、自動半田付システム1を用いることにより、四本のリード線Wa,Wb,Wc,Wdを半田付けする場合について説明する。
【0046】
最初に、角度データ設定部Fsにより、被接続部Ja…に対する被覆部Ta…の線材引込部Xiに対する芯線部Ca…の最適な折曲角度Qa…を角度データDqとして設定処理する(ステップS1)。
図1に示すように、プリント基板モジュールMの各部の寸法等を含む各種ディメンションは既知であるため、この既知情報に基づき、各芯線部Ca…の最適な折曲角度Qa…を角度データDqとして設定することができる。
【0047】
例示の場合、
図1に示すように、四本のリード線Wa,Wb,Wc,Wdを引込口Mfi(線材引込部Xi)に整列させた場合、リード線Waの芯線部Caは左側へ角度Qaだけ傾斜させ、リード線Wbの芯線部Cbはそのままとし、リード線Wcの芯線部Ccは右側へ角度Qcだけ傾斜させ、リード線Wdの芯線部Cdは右側へ角度Qdだけ傾斜させることが、各被接続部Ja…と各芯線部Ca…間の接続面積や接続品質を確保する観点から最適と判断すれば、この折曲角度Qa,0,Qc,Qdの大きさを入力することができる。これにより、入力した折曲角度Qa,0,Qc,Qdは、システムコントローラCsの内部メモリ36のデータエリア36md内に角度データDqとして登録されるとともに、折曲処理機構部Fmに転送される(ステップS2)。
【0048】
一方、各リード線Wa…に対するリード線処理を行う。この場合、原線を必要な長さにカッティング処理するとともに、先端側における被覆部Ta…の一部を剥離処理し、所定長さの芯線部Ca…を露出させる。この際、芯線部Ca…が単線であれば、そのまま使用可能であるが、芯線部Ca…がヨリ線の場合には、芯線部Ca…に対して予備半田付処理を行う(ステップS3)。予備半田付処理を行うことにより、芯線部Ca…がヨリ線により構成されるリード線(線材)Wa…であっても単線と同様に折曲処理することが可能になるため、自動半田付方法を確実に実施することができる。なお、この予備半田付処理は、多数のリード線Wa…をまとめて同時に行うことができる。そして、得られた各リード線Wa…,Wb…,Wc…,Wd…は、リード線搬送ライン15の近傍に設けたリード線ストッカー16にストックされる。
【0049】
他方、
図8において、ワーク搬入部17により搬入されたワークA(プリント基板モジュールM)は、スタンバイ位置となるワーク導入部17sにおけるパレット14上にセットされる(ステップS4)。また、不図示のリード線移載ロボットにより、リード線ストッカー16から色の異なる一番目のリード線Waが、折曲処理機構部Fmにおけるリード線支持台21の一番目のリード線保持スリット22aにセット(移載)される(ステップS5)。この移載処理は、残りの三本(一般にはN本)のリード線Wb,Wc,Wdに対しても同様に行われる(ステップS6)。移載が完了した状態を、
図3-
図6に示す。
【0050】
移載が完了したなら、第一昇降駆動部23dを制御し、押えブロック23cを
図3の仮想線で示す位置23csに下降させることにより、各リード線保持スリット22a…にセットしたリード線Wa…を保持固定する(ステップS7)。次いで、第二昇降駆動部24dを制御し、アクチュエータ支持プレート24p、更には四つの折曲ユニット25a,25b,25c,25dを上昇させる(ステップS8)。
【0051】
この際、各折曲ユニット25a,25b,25c,25dにおける角度設定アクチュエータ250…は、予め転送されている角度データDqに基づいて各折曲部251…の位置が設定されている。即ち、
図4に示す折曲ユニット25bによる折曲角度Qbは0のため、この折曲器252の高さがHssの基準位置にあるとすれば、折曲ユニット25aによる折曲角度Qaが得られるように、折曲ユニット25aにおける折曲器252の高さがHaが、折曲ユニット25aの角度設定アクチュエータ250を制御して設定する。同様に、折曲ユニット25c,25dにより折曲角度Qc,Qdが得られるように、折曲ユニット25c,25dにおける折曲器252…の高さが設定される。
【0052】
四つの折曲ユニット25a,25b,25c,25dが上昇変位すれば、各折曲器252…の凹部253…に各芯線部Ca,Cb,Cc,Cdが進入し、かつ各凹部253…の底部253d…に当接するため、この後、押上げられることにより、
図5及び
図7に示すように、各芯線部Ca,Cc,Cdが折曲処理される(ステップS9)。そして、予め設定した高さ、即ち、予め設定した上昇端位置までアクチュエータ支持プレート24pを上昇変位させたなら、第二昇降駆動部24dの停止し、かつ下降変位させる(ステップS10)。この折曲処理が終了したなら第一昇降駆動部23dを制御して押えブロック23cを上昇させる(ステップS11)。また、折曲処理された四本のリード線Wa,Wb,Wc,Wdは、不図示のロボット機構により、リード線搬送ライン15における最初のクランパー6に移載される(ステップS12)。この場合、折曲処理機構部Fmにおけるセットプレート21sの代わりにクランパー6を使用し、折曲処理が終了したクランパー6をそのままリード線搬送ライン15に移動させてもよい。
【0053】
次いで、半田付処理部11aにおけるロボット機構Rにより、一番目のリード線Waがハンド部Rhにより把持される。この状態を
図11に示す。
図11は側面から見た状態であり、リード線Waの中間位置がチャック部42により把持固定される(ステップS13)。また、ロボット機構Rにより把持されたリード線Waは、直ちにワークAにおける対応する位置、即ち、被接続部Ajの上方の対面位置まで移送される(ステップS14a)。そして、この移送中に、修正処理機能部Fcを兼ねるロボット機構Rにより、折曲処理した芯線部Caを、被接続部Jaに対する半田付け時に、被接続部Jaに対して所定の姿勢(例示の場合は略平行)になるように修正処理される(ステップS14b)。具体的には、例示の場合、折曲処理機構部Fmにより折曲された芯線部Caは、
図11に示すように、上方へ折曲角度Qaだけ傾斜した状態にあるため、ロボット機構Rの回転出力部41を後方から見て反時計方向へ90゜回動変位させる修正処理を行う。これにより、
図12に示すように、平面から見た場合、芯線部Caは左側へ角度Qaだけ折曲した状態になり、かつ被接続部Jaに対して略平行(所定の姿勢)に位置する。即ち、
図1のリード線Waと同様の位置と角度に設定される。この修正処理はリード線Waがクランパー6から半田付処理部11aに移送されるタクト内に実行される。
【0054】
修正処理機能部Fcを構成するに際し、線材を把持し、当該線材の軸芯に対して周方向へ回動変位させることにより、被接続部Jaに対して芯線部Caが所定の姿勢になるように修正処理するロボット機構Rを設ければ、別途の修正処理工程を設けることが不要となるため、生産効率を高めることができるとともに、ロボット機構Rに、線材を把持する回転駆動軸のハンド部を設ければ足りるなど、自動半田付システム1の更なる小型化及び低コスト化に寄与できる。
【0055】
また、リード線Waの芯線部Caが対応する被接続部Jaの上方へ移送されたなら、位置決めカメラ32により芯線部Caを予め設定した最適位置(定位置)になるように位置決め制御を行う(ステップS15,S16)。この場合、位置決めカメラ32の画像データ(検出データ)は、システムコントローラ本体31に付与されるため、システムコントローラCsにおける位置決め制御機能部により、ロボット機構Rのアクチュエータ群34を駆動制御し、リード線Waの位置に対するフィードバック制御により位置決め処理を行うことができる。この結果、リード線Waの先端位置が、被接続部Jaに対して定位置(目標位置)になったなら、半田付ユニット12を作動制御して半田付け処理を行う(ステップS17)。
【0056】
以上により、ワークAに対する一番目のリード線Waの半田付け処理が終了するため、リード線搬送ライン15が駆動制御されることにより、リード線Waが除かれたクランパー6が、次工程となる半田付処理部11bに移送されるとともに、ワーク半田付ライン11が駆動制御されることにより、リード線Waの半田付けされたワークAが、次工程となる半田付処理部11bに移送される(ステップS18)。半田付処理部11bにおいても、基本的には、上述した半田付処理部11aと同様の処理が行われる(ステップS12-S17)。なお、例示の場合、リード線Wbに対する折曲処理は行われなかったため、ステップS14bの修正処理は行われない。
【0057】
さらに、半田付処理部11cにおいて、上述した半田付処理部11aと同様の処理が行われるとともに、半田付処理部11dにおいて、上述した半田付処理部11bと同様の処理が行われる。これにより、半田付処理部11dによる半田付け処理の終了により、四本(一般的にはN本)のリード線Wa,Wb,Wc,Wdの半田付け処理が全て終了する(ステップS18)。
【0058】
このように、本実施形態に係る自動半田付方法は、基本的な手法として、予め、被接続部Ja…に対する被覆部Ta…の線材引込部Xiに対する芯線部Ca…の最適な折曲角度Qa…を角度データDqして設定処理し、半田付け前に、被覆部Ta…の先端から突出した芯線部Ca…を、角度データDqに基づき折曲処理機構部Fmにより折曲角度Qa…だけ折曲処理するとともに、半田付け時に、折曲処理した芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行った後、芯線部Ca…を被接続部Ja…に対して半田付け処理するようにしたため、ワークAの構造や形状によって被接続部Ja…に対して線材の線材引込部が制約され、芯線部Ca…と被接続部Ja…間の接続面積を十分に確保できない課題、及び芯線部Ca…と被接続部Ja…間の相対的位置のオフセットやバラツキが生じやすい課題を有効に低減できる。この結果、半田付部分に無理な応力が付加される弊害を解消し、接続強度及び接続品質を、より高めることができるとともに、線材の引込方向を均一化して外観品質をより高めることができるなど、半田付けの全自動化を容易に最適化することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る自動半田付システム1は、被接続部Ja…に対する被覆部Ta…の線材引込部Xiに対する芯線部Ca…の最適な折曲角度Qa…を角度データDqとして設定処理する角度データ設定部Fsと、被覆部Ta…の先端から突出した芯線部Ca…を、角度データDqに基づき折曲角度Qa…だけ折曲処理する折曲処理機構部Fmと、折曲処理した芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対する半田付け時に、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行う修正処理機能部Fcとを備えるため、上述した自動半田付方法を容易かつ確実に実施することができる。
【0060】
以上、変更例を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0061】
例えば、線材として、リード線Wa…を例示したが、線材には、ワイヤーハーネス,ケーブル,電線等の名称の異なる各種の電気系線材が含まれるとともに、必要により機械系や他の分野における線材にも適用可能である。また、ロボット機構R…は、同様の機能を有する機械的要素に置換可能であり、必ずしも一般的なロボットを意味するものではない。同様に、半田付けは、線材(芯線部Ca…)と被接続部Aj…を溶着(接続)する機能を有すれば足り、必ずしも一般的な半田付けを意味するものではない。さらに、実施形態では、折曲回数を一回の場合を示したが、折曲回数は、二回であってもよいし任意の複数回数であってもよい。加えて、各折曲時の折曲方向は、同一であってもよいし異なっていてもよい。また、折曲位置は、芯線部Ca…のみならず、
図2(b)に示したように、被覆部Ta…を含むリード線Wa…自体であってもよい。一方、予備半田付処理(S3)は、前述したように、単線の場合には不要であり、必ずしも必須の構成要件となるものではない。さらに、折曲処理した芯線部Ca…を、被接続部Ja…に対する半田付け時に、被接続部Ja…に対して所定の姿勢に位置させる修正処理を行う修正処理機能部Fcとして、線材を把持し、当該線材の軸芯に対して周方向へ回動変位させることにより、被接続部Ja…に対して芯線部Ca…が所定の姿勢になるように修正処理するロボット機構Rを用いた場合を例示したが、折曲処理機構部Fmによる折曲方向が被接続部Ja…の面方向に一致する場合には、別途の修正処理機能部Fcは必ずしも必要ではなく、この場合、折曲処理機構部Fmは修正処理機能部Fcを兼用する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る自動半田付方法及び自動半田付システムは、電子部品や電子機器等の製造工程における各種ワークの被接続部に対してリード線やワイヤーハーネス等の各種線材を自動で半田付けする際に利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1:自動半田付システム,Wa…:線材,Ta…:被覆部,Ca…:芯線部,A:ワーク,Ja…:被接続部,Xi:線材引込部,R:ロボット機構,Qa…:折曲角度,Dq:角度データ,Fs:角度データ設定部,Fm:折曲処理機構部,Fc:修正処理機能部,(S1):設定処理,(S3):予備半田付処理,(S9):折曲処理,(S14b):修正処理,(S17):半田付け処理