(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072523
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ペット介護支援装置、ペット介護支援方法、および、ペット介護支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230517BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20230517BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
G06Q50/10
A01K29/00 B
G08B25/04 K
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185139
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 暁
【テーマコード(参考)】
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA19
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複合的な情報に基づきペットを詳細に監視し、ペットが危険な状態になった場合、飼い主が次のアクションを取りやすくする、ペット介護支援装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ペット介護支援装置であるサーバ10は、記憶部13と、情報取得部124と、判定部125と、通知部126と、を備える。記憶部13は、ペットの映像、生体情報、および、ペットの居住空間の環境情報を入力とし、ペットの危険度を出力するよう学習されたモデルを記憶する。情報取得部124は、監視対象のペットの映像、生体情報、および、ペットの居住空間の環境情報を取得する。判定部125は、取得したペットの情報をモデルに入力することによりペットの危険度を算出し、危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する。通知部126は、ペットの危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の連絡先へ通知を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの危険度を出力するよう学習されたモデルを記憶する記憶部と、
監視対象のペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を取得する取得部と、
取得した前記ペットの情報を前記モデルに入力することにより前記ペットの危険度を算出し、前記危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定部と、
前記ペットの危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の連絡先へ通知を行う通知部と、
を備えることを特徴とするペット介護支援装置。
【請求項2】
前記閾値は、
前記ペットの普段の健康状態に基づき選択された値である
ことを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記ペットの普段の健康状態ごとに前記モデルを記憶し、
前記判定部は、
前記ペットの普段の健康状態に基づき選択された前記モデルを用いて、前記ペットの危険度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項4】
前記監視対象のペットの普段の映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を用いて、前記モデルの学習を行うモデル学習部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項5】
前記ペットの飼い主により指定された端末装置に、当該ペットの居住空間の施錠を解錠するためのキー情報を通知する解錠処理部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項6】
前記通知部は、さらに、
判定された前記ペットの危険度の高さに応じて、前記所定の連絡先への通知内容を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項7】
ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの危険度を出力するよう学習されたモデルを備えるペット介護支援装置が、
監視対象のペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を取得する工程と、
取得した前記ペットの情報を前記モデルに入力することにより前記ペットの危険度を算出し、前記危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する工程と、
前記ペットの危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の端末装置へ通知を行う工程と
を含むことを特徴とするペット介護支援方法。
【請求項8】
監視対象のペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を取得する工程と、
取得した前記ペットの情報を、ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの危険度を出力するよう学習されたモデルを用いて、前記ペットの危険度を算出し、前記危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する工程と、
前記ペットの危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の端末装置へ通知を行う工程と
をコンピュータに実行させることを特徴とするペット介護支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット介護支援装置、ペット介護支援方法、および、ペット介護支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飼い主が不在のときもペットの介護を行えるようにするため、家の中にカメラを設置してペットを監視したり、ペットの生体情報により異常を検知したり、ペットシッターを利用したりすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法はいずれもペットの状態を複合的な情報に基づき判断するものではない。したがって、飼い主はペットの状態を詳細に把握することができず、ペットが危険な状態にある旨の通知を受けても、次のアクションにつながりにくいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、複合的な情報に基づきペットを詳細に監視し、ペットが危険な状態になった場合、飼い主が次のアクションを取りやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明は、ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの危険度を出力するよう学習されたモデルを記憶する記憶部と、監視対象のペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を取得する取得部と、取得した前記ペットの情報を前記モデルに入力することにより前記ペットの危険度を算出し、前記危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定部と、前記ペットの危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の連絡先へ通知を行う通知部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複合的な情報に基づきペットを詳細に監視し、ペットが危険な状態になった場合、飼い主が次のアクションを取りやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、システムの概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、サーバが実行する処理の例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、サーバの処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、ペット介護支援プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。本発明は、以下に説明する実施形態に限定されない。
【0010】
[概要]
まず、
図1を用いて、本実施形態のペット介護支援装置を含むシステムの概要を説明する。なお、ペット介護支援装置が監視対象とするペットは、例えば、犬、猫、うさぎ、ハムスター等を想定しているが、これらの動物に限定されない。
【0011】
システム1は、例えば、
図1に示すように、監視対象のペットの居住空間(家)に設置されるデバイス(エッジデバイス30およびウェアラブルデバイス31)と、サーバ(ペット介護支援装置)10と、端末装置20とを備える。また、監視対象のペットの居住空間(家)には、例えば、端末装置20による施錠および解錠が可能なスマートロック32が設置される。
【0012】
エッジデバイス30は、カメラ、マイク、温湿度計等を備え、ペットの映像の撮影、音声の収録、居住空間における温度および湿度(環境情報)の計測を行う。ウェアラブルデバイス31は、ペットに装着され、ペットの生体情報を計測する。エッジデバイス30は、ウェアラブルデバイス31により計測されたペットの生体情報と、上記のペットの映像、音声および環境情報と(以上まとめて、適宜「ペットの情報」と称す)をネットワーク経由でサーバ10へ送信する。
【0013】
サーバ10は、エッジデバイス30から受信したペットの情報をストレージ(記憶部)に蓄積する。そして、サーバ10は、ストレージに蓄積されたペットの情報に基づき、ペットが危険な状態であるか否かを判定する。ここで、サーバ10が、ペットが危険な状態であると判定した場合、ペットの飼い主の端末装置20にペットが危険な状態である旨の通知を行う。
【0014】
端末装置20は、ペットの飼い主に保持される端末装置であり、例えば、スマートフォン等である。端末装置20は、例えば、当該端末装置20にインストールされたアプリケーションにより、サーバ10に蓄積されるペットの情報を取得し、画面上に表示する。また、端末装置20は、ペットが危険な状態の時、サーバ10からペットが危険な状態である旨の通知を受信する。これにより、ペットの飼い主は、外出先からでもペットの状態を確認することができる。
【0015】
ここで、飼い主がすぐに帰宅できない場合、端末装置20は、ペットの様子を見に行って欲しい人(例えば、家族、動物病院のスタッフ、ペットシッター等の介護支援者)の選択を飼い主から受け付ける。そして、端末装置20は、選択された介護支援者をサーバ10へ通知する。上記の通知を受けたサーバ10は、選択された介護支援者の端末装置にペットの様子を見に行って欲しい旨を通知する。また、このときサーバ10は、選択された介護支援者の端末装置に、スマートロック32を解錠するためのキー情報も通知する。これにより、飼い主がすぐに帰宅できない場合でも、介護支援者をペットの居住空間に入室させ、ペットの様子を確認させることができる。
【0016】
[構成例]
次に、
図2を用いて、システム1の構成例を説明する。システム1は、例えば、サーバ10と、端末装置20(20A,20B)と、ペットの居住空間(家)に設置されるエッジデバイス30、ウェアラブルデバイス31およびスマートロック32とを備える。
【0017】
なお、以下、端末装置20のうち、ペットの飼い主の端末装置を端末装置20Aとし、ペットの介護支援者(介護者)の端末装置を端末装置20Bとして説明する。
【0018】
サーバ10は、通信処理部11と、制御部12と、記憶部13とを備える。通信処理部11は、無線または有線にて他の装置との間で通信を行う。通信処理部11は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インターフェースである。通信処理部11は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネット等の電気通信回線を介して他の装置(例えば、エッジデバイス30、ウェアラブルデバイス31、端末装置20等)と制御部12(後述)との間の通信を行う。
【0019】
制御部12は、サーバ10全体を制御する。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部12は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部12は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0020】
制御部12は、設定情報作成部121と、モデル学習部122と、計測指示部123と、情報取得部124と、判定部125と、通知部126と、表示処理部127と、解錠処理部128とを備える。
【0021】
設定情報作成部121は、ペットの飼い主の端末装置20Aからの入力情報に基づき、ペットの飼い主のユーザ設定情報を作成する。ユーザ設定情報は、ペットの監視に用いる各種設定を示した情報であり、例えば、ペットが危険な状態になった場合の連絡先、ペットがどの程度の危険度のときに飼い主に通知を行うか(危険度の閾値)、ペットの危険度の算出において、どのデータ(例えば、ペットの映像、生体情報、環境情報)にどの程度重み付けするかを示した情報等を含む。
【0022】
なお、ペットが危険な状態になった場合の連絡先は、例えば、ペットの飼い主の連絡先や、飼い主の家族、近所の住民、ペットシッター、動物病院等の介護支援者の連絡先(例えば、端末装置20A,20Bのメールアドレス等)等である。作成されたユーザ設定情報は、記憶部13に保存される。
【0023】
モデル学習部122は、ペットの映像、生体情報、および、ペットの居住空間の環境情報を入力とし、当該ペットの危険度を出力するモデルを学習する。例えば、モデル学習部122は、監視対象のペット(または当該ペットと同種の動物)の映像、生体情報、および、ペットの居住空間の環境情報を教師データとして用いた機械学習により、ペットの危険度を出力するモデルを学習する。
【0024】
ここで、モデル学習部122が学習するモデルは1つでもよいし複数でもよい。例えば、モデル学習部122は、ペットの映像を分析するモデルと、ペットの生体情報を分析するモデルと、ペットの環境情報を分析するモデルとを学習してもよい。そして、判定部125は、上記の各モデルを組み合わせて、ペットの危険度を算出してもよい。
【0025】
例えば、判定部125は、ペットの映像を分析するモデルから出力された分析結果、ペットの生体情報を分析するモデルから出力された分析結果、および、ペットの環境情報を分析するモデルから出力された分析結果それぞれに所定の重み付けを行った結果を用いて、ペットの危険度を算出してもよい。
【0026】
計測指示部123は、通信処理部11経由で、監視対象のペットの居住空間(家)のエッジデバイス30およびウェアラブルデバイス31に対し、計測の指示を行う。
【0027】
情報取得部124は、通信処理部11経由で、エッジデバイス30から、監視対象のペットの情報を取得する。取得されたペットの情報は、記憶部13の情報蓄積部131(後記)に保存される。
【0028】
判定部125は、情報蓄積部131に保存されたペットの情報を上記のモデルに入力することにより、ペットの危険度を算出する。そして、判定部125は、算出したペットの危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する。
【0029】
例えば、判定部125は、情報蓄積部131に保存された、ペットの映像と、当該ペットの生体情報(例えば、脈拍、体温、呼吸数等)と、当該ペットの居住空間の環境情報(例えば、室温、湿度等)とを上記のモデルに入力することにより、ペットの危険度を算出する。
【0030】
ここで判定部125がペットの危険度を算出する際、入力データの種類(例えば、ペットの映像、生体情報、環境情報)に応じ、所定の重み付けを行ってもよい。重み付けは、例えば、判定部125が、1つのモデルを用いてペットの危険度を算出する場合、ユーザ設定情報に基づき、モデルのパラメータ値を調整することにより行われる。また、判定部125が、複数のモデルを用いてペットの危険度を算出する場合、ユーザ設定情報に基づき、各モデルが出力する分析結果に重み付けを行うことにより行われる。
【0031】
このようにすることで、判定部125は、ペットの危険度を算出する際、ペットの飼い主が重視したい観点を反映した危険度を算出することができる。
【0032】
通知部126は、判定部125によりペットの危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、ペットの飼い主の端末装置20Aに対し、当該ペットが危険な状態にある旨の通知を行う。例えば、通知部126は、ペットの危険度が、ユーザ設定情報に示される閾値を超える場合、当該ペットの飼い主の端末装置20Aに対し、当該ペットが危険な状態にある旨の通知を行う。
【0033】
例えば、ペットの危険度が0-10の値を取る場合において、ユーザ設定情報に示される閾値が5であり、判定部125により算出されたペットの危険度が6であれば、通知部126は、当該ペットの飼い主の端末装置20Aに対し、当該ペットが危険な状態にある旨の通知を行う。
【0034】
また、通知部126は、ペットの危険度に応じた通知内容を選択し、端末装置20Aへ通知してもよい。この場合、ペットの危険度に応じた通知内容を決定するための閾値をあらかじめ用意しておく。この閾値は、例えば、過去におけるペットの危険度のデータの機械学習の結果や、データの分類結果等に基づき決定された値を用いる。例えば、判定部125は、上記のようにして決定された閾値A、閾値B(閾値A<閾値B)を用いて、ペットの危険度が閾値A以上閾値B未満と判定した場合、通知部126は、ペットの危険度=閾値A以上閾値B未満に対応する通知内容(例えば、「危険な状態です」)を通知する。また、判定部125は、ペットの危険度が閾値B以上と判定した場合、通知部126はペットの危険度=閾値B以上に対応する通知内容(例えば、「たいへん危険な状態です」)を通知する。
【0035】
なお、上記の閾値は、監視対象のペットの種類やペットの普段の健康状態ごとに用意されてよい。この場合も、上記の閾値は、例えば、過去におけるペットの危険度のデータの機械学習の結果や、データの分類結果等に基づき決定された値を用いる。
【0036】
また、通知部126は、ペットの飼い主の端末装置20Aからの指示入力に基づき、ユーザ設定情報に登録された介護支援者の端末装置20Bへも上記の通知を行う。ここで、ユーザ設定情報に複数の介護支援者の端末装置20Bが登録されている場合、例えば、通知部126は、すべての介護支援者の端末装置20Bに対し、上記の通知を行ってもよいし、飼い主により選択された介護支援者の端末装置20Bに対し、上記の通知を行ってもよい。
【0037】
表示処理部127は、ペットの飼い主の端末装置20Aからの要求に基づき、情報蓄積部131に蓄積された当該ペットの情報を読み出し、端末装置20Aに表示させる。
【0038】
解錠処理部128は、ペットの居住空間のスマートロック32を解錠する。例えば、解錠処理部128は、ペットの飼い主の端末装置20Aからの指示に基づき、当該ペットの介護支援者の端末装置20Bに、スマートロック32を解錠するためのキー情報を通知する。これにより、ペットの飼い主がすぐに帰宅できない場合でも、介護支援者をペットの居住空間へ入室させ、ペットの様子を確かめさせることができる。
【0039】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部13は、サーバ10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部13は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。
【0040】
例えば、記憶部13は、ユーザ設定情報とモデルとを記憶する。ユーザ設定情報は、例えば、監視対象のペットごとに用意される。また、モデルは、監視対象のペットごとに用意されてもよいし、監視対象のペットの種類ごと、普段の健康状態ごとに用意されてもよい。モデルが、監視対象のペットの種類ごと、監視対象のペットの普段の健康状態ごとに用意される場合、判定部125は、監視対象のペットの情報から判断された、ペットの種類、ペットの普段の健康状態等に基づきモデルの選択を行い、選択したモデルを用いて当該ペットの危険度を算出する。
【0041】
また、記憶部13は、情報蓄積部131を備える。情報蓄積部131は、情報取得部124により取得されたペットの情報を保存する。
【0042】
このようなサーバ10によれば、複合的な情報に基づきペットが危険な状態か否かを判定し、飼い主に対し通知を行うので、飼い主は次のアクションを取りやすくなる。また、サーバ10は、必要に応じてペットの介護支援者に対しても通知を行うので、飼い主がすぐに帰宅できない場合でも、介護支援者にペットの様子を確認させることができる。
【0043】
[処理手順の例]
次に、
図3を用いて、サーバ10の処理手順の例を説明する。まず、ペットの居住空間のウェアラブルデバイス31およびエッジデバイス30のスイッチがONされると、サーバ10は以下の処理を実行する。
【0044】
すなわち、サーバ10の計測指示部123は、それぞれのデバイス(ウェアラブルデバイス31およびエッジデバイス30)に計測の指示を行う(S1)。そして、当該指示に基づきウェアラブルデバイス31およびエッジデバイス30は、計測を行い、サーバ10の情報取得部124は、エッジデバイス30から、ウェアラブルデバイス31およびエッジデバイス30による計測の結果(ペットの情報)を取得する。その後、判定部125は、取得したペットの情報を、モデルに入力することにより、ペットが危険な状態にあるか否かを判定する。例えば、判定部125は、ペットの映像の解析により得られた、ペットの追跡、行動認識、異常検知の結果と、ペットの脈拍、呼吸、体温等の解析結果とを統合し(S2)、ペットが危険な状態にあるか否かを判定する(S3)。
【0045】
ここで、判定部125が、ペットが危険な状態にあると判定した場合(S3でYes)、通知部126は、ペットの飼い主の端末装置20にペットが危険な状態であることを通知する(S4)。これにより、ペットの飼い主はペットが危険な状態にあることを知ることができる。
【0046】
そして、当該通知を受信したペットの飼い主の端末装置20は、サーバ10から当該ペットの情報を取得する。そして、端末装置20は、アプリケーション等により、当該ペットの情報を可視化する(S5:端末装置でペットの状態を可視化)。これにより、ペットの飼い主は、ペットの状態を詳細に確認することができる。一方、サーバ10が、ペットが危険な状態にないと判定した場合(S3でNo)、S5へ進む。
【0047】
S5の後、サーバ10は、デバイスのスイッチがONであれば(S6でYes)、S1へ戻り、デバイスのスイッチがOFFであれば(S6でNo)、計測を終了する。
【0048】
なお、ここでは説明を省略したが、サーバ10が、ペットの飼い主の端末装置20Aにペットが危険な状態であることを通知し、当該端末装置20Aから、介護支援者への通知を行う旨の指示を受信したとき、当該端末装置20Aにより選択された介護支援者の端末装置20Bに対し、当該ペットが危険な状態にある旨の通知を行う。
【0049】
また、このときサーバ10は、介護支援者が当該ペットの居住空間に入室できるよう、介護支援者の端末装置20Bに当該ペットの居住空間の施錠を解錠するためのキー情報を通知する。これにより、ペットの飼い主がすぐに帰宅できない場合でも、介護支援者をペットの居住空間へ入室させ、介護支援者にペットの様子を確かめさせることができる。
【0050】
[その他]
なお、サーバ10が、ペットの飼い主の端末装置20Aに、ペットが危険な状態にある旨の通知を行うか否かの判定に用いる危険度の閾値は、当該ペットの普段の健康状態に基づき選択された値であってもよい。ここでの当該ペットの普段の健康状態は、例えば、サーバ10が、当該ペットの情報から得られた当該ペットの活動量により判断したものでもよいし、ペットの飼い主の主観で判断したものでもよい。
【0051】
また、例えば、
図4に示すように、サーバ10は、ペットの普段の健康状態(例えば、(1)高齢、(2)病気持ち、(3)通常)によって、上記の危険度の閾値の値を変更したり、危険度の判断に用いるモデルを変更したり、飼い主の端末装置20Aに通知する内容を変更したりしてもよい。
【0052】
例えば、サーバ10は、ペットの普段の健康状態(例えば、(1)高齢、(2)病気持ち、(3)通常)ごとに危険度の閾値(例えば、閾値X、閾値Y、閾値Z)を用意しておく。そして、サーバ10は、監視対象のペットが高齢の場合、危険度が閾値X以上で通知し、監視対象のペットが病気持ちの場合、危険度が閾値Y以上で通知し、監視対象のペットが通常の場合、危険度が閾値Z以上で通知する。
【0053】
例えば、サーバ10の監視対象のペットがあまり動かない場合を考える。この場合、サーバ10は、監視対象のペットが高齢ならば((1))、「いつもより動きがやや少ない」という判断を行い、その旨を飼い主の端末装置20Aへ通知する。また、サーバ10は、監視対象のペットが病気ならば((2))、「いつも通り」という判断を行い、その旨を飼い主の端末装置20Aへ通知する。さらに、サーバ10は、監視対象のペットが通常の状態(高齢でも病気持ちでもない)ならば((3))、「いつもより動きがとても少ない」という判断を行い、その旨を飼い主の端末装置20Aへ通知する。このようにすることでサーバ10は、監視対象のペットの普段の健康状態に合わせた判断を行い、その判断の結果を端末装置20Aへ通知することができる。
【0054】
また、サーバ10は、監視対象のペットが病気持ち((2))である場合において、ペットの状態が危険な状態であると判断したときに、そのペットの介護支援者の端末装置20Bに対する判断の結果の通知と、ペットの居住空間(家)のスマートロック32を解除するためのキー情報を通知とを行ってもよい。
【0055】
また、ペットの普段の健康状態(例えば、(1)高齢、(2)病気持ち、(3)通常)ごとに、ペットの危険度に応じた通知内容を決定するための閾値を複数用意してもよい。この閾値も、例えば、過去におけるペットの危険度のデータの機械学習の結果や、データの分類結果等に基づき決定された値を用いる。
【0056】
例えば、監視対象のペットが高齢の場合、サーバ10は、高齢のペット用の閾値X1、閾値X2(閾値X1<閾値X2)を用いて、当該ペットの危険度が閾値X1以上閾値X2未満と判定した場合、ペットの危険度=閾値X1以上閾値X2未満に対応する通知内容(例えば、「危険な状態です」)を通知する。また、サーバ10は、当該ペットの危険度が閾値X2以上と判定した場合、ペットの危険度=閾値X2以上に対応する通知内容(例えば、「たいへん危険な状態です」)を通知する。
【0057】
さらに、例えば、監視対象のペットが病気持ちの場合、サーバ10は、病気持ちのペット用の閾値Y1、閾値Y2(閾値Y1<閾値Y2)を用いて、当該ペットの危険度が閾値Y1以上閾値Y2未満と判定した場合、ペットの危険度=閾値Y1以上閾値Y2未満に対応する通知内容(例えば、「危険な状態です」)を通知する。また、サーバ10は、当該ペットの危険度が閾値Y2以上と判定した場合、ペットの危険度=閾値Y2以上に対応する通知内容(例えば、「たいへん危険な状態です」)を通知する。
【0058】
また、サーバ10は、エッジデバイス30から継続的にペットの情報を取得し、取得したペットの情報を用いて、モデルを更新してもよい。
【0059】
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0060】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、サーバ10の機能の全部または一部をエッジデバイス30に装備してもよい。
【0061】
例えば、ペットの居住空間内のエッジデバイス30側で、ペットが危険な状態か否かを判定し、その結果をサーバ10に通知してもよい。また、エッジデバイス30は、カメラの映像単体によるペットの様子の推論を行い、その推論の結果とペットの情報とをサーバ10へ通知してもよい。この場合、サーバ10は、エッジデバイス30によるペットの推論の結果と当該ペットの情報とを用いて、当該ペットが危険な状態か否かを判定する。
【0062】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0063】
[プログラム]
また、上記の実施形態で述べたサーバ10の機能を実現するプログラムを所望の情報処理装置(コンピュータ)にインストールすることによって実装できる。例えば、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして提供される上記のプログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置をサーバ10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ、ラック搭載型のサーバコンピュータ等が含まれる。また、その他にも、情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistants)等がその範疇に含まれる。また、サーバ10を、クラウドサーバに実装してもよい。
【0064】
図5を用いて、上記のプログラム(ペット介護支援プログラム)を実行するコンピュータの一例を説明する。
図5に示すように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインターフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインターフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインターフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0065】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインターフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。ディスクドライブ1100には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインターフェース1050には、例えば、マウス1110およびキーボード1120が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1130が接続される。
【0066】
ここで、
図5に示すように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。前記した実施形態で説明した各種データや情報は、例えばハードディスクドライブ1090やメモリ1010に記憶される。
【0067】
そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0068】
なお、上記のペット介護支援プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、上記のプログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LANやWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインターフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 サーバ
11 通信処理部
12 制御部
13 記憶部
121 設定情報作成部
122 モデル学習部
123 計測指示部
124 情報取得部
125 判定部
126 通知部
127 表示処理部
128 解錠処理部
131 情報蓄積部
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの生命に対する危険度を出力するよう学習されたモデルを記憶する記憶部と、
監視対象のペットの映像、生体情報、前記ペットの居住空間の環境情報、およびユーザ設定情報を取得する取得部と、
取得した前記監視対象のペットの映像と、前記生体情報と、前記ペットの居住空間の環境情報と、前記ユーザ設定情報とを前記モデルに入力することにより、入力データの種類に応じた所定の重み付けを行って前記ペットの生命に対する危険度を算出し、前記ペットの生命に対する危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定部と、
前記ペットの生命に対する危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の連絡先へ通知を行う通知部と、
を備えることを特徴とするペット介護支援装置。
【請求項2】
前記閾値は、
前記ペットの種類やペットの健康状態ごとに用意された値である
ことを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記ペットの種類やペットの健康状態ごとに前記モデルを記憶し、
前記判定部は、
前記ペットの種類やペットの健康状態に基づき選択された前記モデルを用いて、前記ペットの生命に対する危険度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項4】
前記監視対象のペットの映像、前記生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を用いて、前記モデルの学習を行うモデル学習部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項5】
前記ペットの飼い主により指定された端末装置の連絡先に、当該ペットの居住空間の施錠を解錠するためのキー情報を送信する解錠処理部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項6】
前記通知部は、さらに、
判定された前記ペットの生命に対する危険度の高さに応じて、前記所定の連絡先へ通知内容を通知する
ことを特徴とする請求項1に記載のペット介護支援装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する方法であって、
ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの生命に対する危険度を出力するよう学習されたモデルを記憶する記憶部と、
監視対象のペットの映像、生体情報、前記ペットの居住空間の環境情報、およびユーザ設定情報を取得する取得工程と、
取得した前記監視対象のペットの映像と、前記生体情報と、前記ペットの居住空間の環境情報と、前記ユーザ設定情報とを前記モデルに入力することにより、入力データの種類に応じた所定の重み付けを行って前記ペットの生命に対する危険度を算出し、前記ペットの生命に対する危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定工程と、
前記ペットの生命に対する危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の連絡先へ通知を行う通知工程と、
を含むことを特徴とするペット介護支援方法。
【請求項8】
監視対象のペットの映像、生体情報、前記ペットの居住空間の環境情報、およびユーザ設定情報を取得する取得ステップと、
取得した前記監視対象のペットの映像と、前記生体情報と、前記ペットの居住空間の環境情報と、前記ユーザ設定情報とを、ペットの映像、生体情報、および、前記ペットの居住空間の環境情報を入力とし、前記ペットの生命に対する危険度を出力するよう学習されたモデルに入力することにより、入力データの種類に応じた所定の重み付けを行って前記ペットの生命に対する危険度を算出し、前記ペットの生命に対する危険度が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定ステップと、
前記ペットの生命に対する危険度が所定の閾値を超えると判定された場合、所定の連絡先へ通知を行う通知ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするペット介護支援プログラム。