(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072560
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】試験片収容容器及び試験片排出機構
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G01N35/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185193
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古里 紀明
(72)【発明者】
【氏名】和田 佑亮
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CD03
2G058CD23
2G058CF01
2G058CF13
2G058CF17
2G058GB08
2G058GB10
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】試験片を収容した容器への外気の進入を防止しつつ、試験片を排出できる機構を提供する。
【解決手段】内部に試験片が収容される収容部材と、前記収容部材の内部で前記試験片を移動させる移動部材と、前記移動部材によって移動された前記試験片を前記収容部材の外部に排出するために、前記収容部材の側面に開閉可能に設けられるとともに、閉鎖時には前記収容部材の内部と外部とを遮断する扉部材と、前記収容部材の外側から前記扉部材を覆うとともに内部で扉部材が開閉可能な扉収容部と、閉鎖時には前記扉収容部の内部と外部とを遮断し、前記収容部材の外部に排出された前記試験片を前記扉収容部の外部に排出するために、前記扉収容部に開閉可能に設けられる排出口と、を備え前記扉部材により前記収容部材が閉鎖されている状態で、前記排出口を開放可能に構成されている、試験片収容容器。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に試験片が収容される収容部材と、
前記収容部材の内部で前記試験片を移動させる移動部材と、
前記移動部材によって移動された前記試験片を前記収容部材の外部に排出するために、前記収容部材の側面に開閉可能に設けられるとともに、閉鎖時には前記収容部材の内部と外部とを遮断する扉部材と、
前記収容部材の外側から前記扉部材を覆うとともに内部で扉部材が開閉可能な扉収容部と、
閉鎖時には前記扉収容部の内部と外部とを遮断し、前記収容部材の外部に排出された前記試験片を前記扉収容部の外部に排出するために、前記扉収容部に開閉可能に設けられる排出口と、を備え、
前記扉部材により前記収容部材が閉鎖されている状態で、前記排出口を開放可能に構成されている、試験片収容容器。
【請求項2】
前記排出口は、前記扉収容部の下方側において、前記扉収容部の内部と外部とを連絡し、
前記扉部材の前記閉鎖時における内側面は、前記開放時には前記収容部材の内部と前記排出口とを連絡する傾斜面となり、
前記閉鎖時における前記内側面の反対側には、前記閉鎖時には前記排出口を閉鎖するとともに開放時には前記収容部材の内部を外部から遮断する遮断部が形成されている、請求項1に記載の試験片収容容器。
【請求項3】
前記扉部材は、前記開放時に前記移動部材から落下する前記試験片を前記傾斜面で前記収容部材の外部に誘導する、請求項2に記載の試験片収容容器。
【請求項4】
前記試験片は長尺形状であり、
前記収容部材は長手方向の長さが前記試験片の長さ以上の円筒形状を呈し、
前記移動部材は、前記収容部材の内周面に沿って回転移動し、
前記扉収容部は、前記収容部材より小径でかつ長手方向の長さが前記試験片の長さ以上の円柱形状の一部が、前記収容部材から外方に突出した形状を呈し、
前記排出口は、前記扉収容部の長手方向に沿った、前記試験片の長さ以上の長さの開口として設けられ、
前記扉部材は、前記収容部材の側面において前記収容部材の前記長手方向に沿った方向に設けられ、
前記傾斜面は前記閉鎖時において前記収容部材の内側面と面一となる凹面形状を呈し、
前記遮断部は前記閉鎖時において前記扉収容部の内部の円筒凹面に対応する円筒凸面形状を呈する、請求項2又は請求項3に記載の試験片収容容器。
【請求項5】
前記移動部材は、前記試験片を保持しつつ前記収容部材の内部で移動するとともに、
前記扉部材は、前記扉収容部の内部で回転することによって開閉するとともに、前記開放時に、前記移動部材が保持する前記試験片に対して衝撃を付与して前記収容部材から排出させる、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の試験片収容容器。
【請求項6】
前記扉部材は、前記回転による前記開放時に、前記移動部材が保持する前記試験片に対して前記傾斜面を衝突させることによって、前記試験片に対して前記衝撃を付与する、請求項5に記載の試験片収容容器。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の試験片収容容器と、
前記試験片収容容器と電気的に接続して制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記扉部材の閉鎖時に前記排出口を開放するよう制御する、試験片排出機構。
【請求項8】
前記制御部は、前記移動部材が前記扉部材に近接すると前記移動部材の移動を停止させてから、前記扉部材を開放させつつ前記排出口を閉鎖するとともに、前記扉部材を再び閉鎖させてから、前記移動部材の移動を再開させるよう制御する、請求項7に記載の試験片排出機構。
【請求項9】
前記移動部材が前記扉部材に近接したことを検知する近接検知器を備え、
前記制御部は、前記近接検知器が前記近接を検知することにより前記扉部材を開放させる、請求項8に記載の試験片排出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片収容容器及び試験片排出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
尿などの検体中に含まれる所定の項目を測定するために使われる試験片を用いて、連続して測定を行うため、複数枚の試験片を装置に投入し、投入された試験片から一枚ずつ取り出しを行う機構が利用されていた。このような機構によって取り出された試験片に検体を点着して、当該所定の項目が測定される。
【0003】
たとえば、特許文献1記載の技術ではドラム容器に「ドラム内つめ部」を設けている。そして、ドラム容器は回転運動をしながら格納する試験紙を一枚づつ、この「ドラム内つめ部」にひっかけてソータラック上に落としていた。また、たとえば特許文献2記載の自動尿検査装置では、尿試験紙の試薬部20aが許容量以上の湿気を吸湿して劣化していても、自動尿検査装置は試薬部20aの劣化を検知できないことを解決するために、尿試験紙の中間劣化検知用試薬部を設け、尿検査用試薬部の劣化を光学的に検出する検出手段を設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-264540号公報
【特許文献2】特開平5-5736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術のように、容器外部に試験片を排出するためには、容器に開口部を設ける必要があるが、開口部が開放している間、容器内部に容器外部から水蒸気を含む外気が流入するため、試験片が劣化する懸念があった。また、特許文献2に記載の技術のように、尿試験紙の中間劣化検知用試薬部を設けることは、尿試験片のコストが増加するとともに、そもそも尿試験片の湿気による劣化に対抗できていない。なお、特許文献1や特許文献2に記載の技術においても、試験片収容容器は収容部材の内部に極力外気が入らないように工夫されてはいるが、収容部材から試験片を排出する際に、開口部から外気が収容部材の内部に入ってしまうことは防げていなかった。
【0006】
そこで本開示の実施態様は、試験片を収容した容器への外気の進入を防止しつつ、試験片を排出できる機構の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施態様の試験片収容容器は、内部に試験片が収容される収容部材と、収容部材の内部で試験片を移動させる移動部材と、移動部材によって移動された試験片を収容部材の外部に排出するために、収容部材の側面に開閉可能に設けられるとともに、閉鎖時には収容部材の内部と外部とを遮断する扉部材と、収容部材の外側から扉部材を覆うとともに内部で扉部材が開閉可能な扉収容部と、閉鎖時には扉収容部の内部と外部とを遮断し、収容部材の外部に排出された試験片を扉収容部の外部に排出するために、扉収容部に開閉可能に設けられる排出口と、を備え、扉部材により収容部材が閉鎖されている状態で、排出口を開放可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施態様は上記のように構成されているので、試験片を収容した容器への外気の進入を防止しつつ、試験片を排出できる機構が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図1の試験片収容容器からキャップを除いた状態を前方斜視図で示す。
【
図5】
図1の試験片収容容器における収容部材の内周である円筒面を、
図1のD-D′断面で示す。
【
図7】
図1の試験片収容容器に収容される回転部材を前方斜視図で示す。
【
図14】
図13の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図15A】試験片排出処理の概要を示すフローチャートである。
【
図15B】試験片排出処理の概要を示すフローチャートである。
【
図16E】試験片が排出される状態を断面図で示す。
【
図16F】試験片が排出される状態を断面図で示す。
【
図16G】試験片が排出される状態を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において共通して付されている符号については、以下における各図の説明にて言及されていない場合であっても同一の対象を指し示している。
【0011】
(1)実施形態
図1は、本実施形態の試験片収容容器10を正面図で示す。
図2は、この試験片収容容器10を前方斜視図で示す。
図3は、この試験片収容容器10からキャップ21を除いた状態を前方斜視図で示す。
図4は、この試験片収容容器10を後方斜視図で示す。なお、以後の説明では、試験片収容容器10において、キャップ21(
図1、
図2、
図4)が設けられている方向を前方と称し、接続部20Cが設けられている方向を後方と称する。
【0012】
本実施形態の試験片収容容器10は、側面が円筒形状で、内部に試験片90(
図6A~
図6C)が収容される収容部材20を有する。したがって、収容部材20の長手方向の長さは試験片90の長さ以上である。この収容部材20の一端側には、
図1、
図2及び
図4に示すように、短円筒形状のキャップ21が装着されている。収容部材20の側面には、外方に突出した円筒形状の扉収容部27が設けられている。扉収容部27は、収容部材20より小径でかつ長手方向の長さが試験片90の長さ以上の円柱形状の一部が、収容部材20から外方に突出した形状を呈している。また、扉収容部27の長手方向に沿って、試験片90の長さ以上の開口である排出口28が設けられている。排出口28は、扉収容部27の下方側において、扉収容部27の内部と外部とを連絡している。
【0013】
扉収容部27には、
図9に外方斜視図で、
図10に内方斜視図でそれぞれ示す形状の扉部材40が収容される。扉部材40は円柱形状の側面の一部を、収容部材20の円筒面22の凹曲面で抉ったような、断面略三日月状の形状を呈する。そして側面の凸曲面を遮断部45、また、凹曲面を傾斜面44と称する。傾斜面44の下縁の2箇所には矩形の切欠部42が形成されている。この下縁は、この2箇所の切欠部42によって、3個の舌片状の弾発部43に分割されている。扉部材40の両端からは、円柱形状の軸心上に設けられた扉軸41が突出している。
【0014】
扉収容部27の前方側は、収容部材20の側面から膨出した、扉収容部27より小径の円筒形状の軸受20Bと連接している。この軸受20Bには扉軸41の一方が収容されている。また、扉収容部27の上方近傍の2箇所には、長方形状の検知窓26が形成されている。扉部材40は、収容部材20の側面において収容部材20の長手方向に沿った方向に設けられている。
【0015】
一方、収容部材20の他端側には、扉収容部27に連接し外方に膨出した円筒形状の駆動軸収容部20Aが設けられている。この駆動軸収容部20Aには、
図4に示すように扉駆動軸46が収容されている。扉駆動軸46と扉軸41とは軸心同一である。扉駆動軸46は開閉操作器4(
図13参照)に保持され、軸心の周りを回動することで、扉部材40が回動する。さらに、収容部材20の他端側には、やや小径の円筒形状の接続部20Cが突出している。この接続部20Cは、試験片収容容器10が試験片排出機構1に装着されるときに回転駆動器3(
図13参照)に接続される部分である。接続部20Cの中心に設けられる開口からは、回転部材30(
図7、
図8)の回転駆動軸36が視認される。
【0016】
収容部材20は、
図1のD-D′断面を示す
図5に示すように、内周の全てが円筒形状を呈する円筒面22となっている。さらにこの円筒面22には、周方向に沿って複数の内周溝23が形成されている。なお、円筒面22には内周溝23は形成しなくてもよい。円筒面22が形成する円筒形の中心軸が収容部材20の中心軸15である。
【0017】
試験片収容容器10の収容部材20の内部には、
図6A~
図6Cに示す長尺形状の試験片90が保持される。本実施例における試験片90は外気の湿気等によって変質しやすい性質を備えたものであり、一例として尿試験紙や血糖値測定用のバイオセンサなどがあげられる。このような試験片には湿気、すなわち水分と反応する試薬が使用されており、例えば水分との反応で発色する成分や、水分によって分解する成分が含まれている。そのため、試験片収容容器10は収容部材20の内部に外気が入らないように構成されている。必要に応じ、収容部材20の内部にはシリカゲル等の乾燥剤が入れられている。すなわち、一時的な開放による外気の流入は少なくても、収容部材20から試験片90を排出する度に、外気が流入するため、収容部材20での滞在時間の長い試験片90は湿気によって劣化してしまう。以下のとおり、本実施形態の試験片収容容器10は収容部材20の内部に実質的に一切の外気が入らないように構成されている。
【0018】
本実施例では、尿中の物理的性状又は特定の成分の濃度若しくは有無を測定するための尿試験片を試験片90の一例として記載する。図示のように、この試験片90は、短冊状の基板94の上に、複数の試薬パッド93が配置されているという構成である。基板94は、その一端に図示しない測定装置内で把持される把持部95が設けられ、その他の領域は、試薬パッド配置領域96となっている(
図6C参照)。試薬パッド配置領域96には、複数の試薬パッド93が長手方向に沿って、かつ相互に一定の間隔を持って直列に配置されている。
【0019】
前記基板94の材質は特に制限されず、たとえば、樹脂、金属、ガラスなどがある。基板の色は、特に制限されず、白色、灰色、黒色、有彩色、透明のいずれであってもよい。前記基板94の大きさは、特に制限されず、検査項目、使用する分析装置の規格等により適宜決定され、たとえば、長さ50~150mm、幅2~10mm、厚み0.1~1.0mmとすることができる。本実施形態では、試験片90の長尺方向、すなわち長辺92の長さはL2(
図6B)、及び短尺方向、すなわち短辺91の長さはY(
図6B)である。したがって、収容部材20の長手方向の長さは試験片の長さ以上である。このように、本実施形態の試験片収容容器10に適合可能な試験片90はサイズが限定されている。
【0020】
試薬パッド93の材料としては、たとえば、ろ紙、ガラス繊維ろ紙、編物、織物、不織布、メンブランフィルター、多孔質樹脂シート、プラスチックフィルムなどがある。また、試薬パッド93の形は特に制限されず、正方形、長方形、円形、楕円形などがある。試薬パッド93の大きさは、特に制限されず、形状が矩形の場合、たとえば、縦及び横2~10mm、厚み0.05~1.0mmとすることができる。本実施形態では、厚肉部の厚さはX(
図6C)である。試薬パッド93は、前記したパッド材料に試薬を保持させてから所定形状に成形してもよいし、パッド材料を所定形状に成形してから試薬を保持させてもよい。試薬の保持は、たとえば、パッド材料を試薬溶液に浸漬し、乾燥させることにより実施できる。また、基板94への試薬パッド93の配置には、たとえば、接着剤又は粘着剤を使用することができる。接着剤又は粘着剤としては、たとえば、ポリウレタン系、アクリル系、塩化ビニル系、エポキシ系、ナイロン系、ホットメルト系、シアノアクリレート系、ゴム系等を使用することができる。
【0021】
なお、試験片90の厚さXは、試験片収容容器10に使用される試験片における最も厚い部分の距離であり、上述の試験片90では試薬パッド93の厚みとなる。もし、試験片90に試薬パッド93より厚肉の部分を有する場合は、その箇所の厚さがXとなる。
【0022】
後述する試験片排出機構1において、試験片収容容器10は、その収容部材20の仮想的な中心軸15(
図1)の方向が水平方向になるように装着される。ただし、この中心軸15の方向は水平方向には限られず、鉛直方向に対して傾斜した方向であれば(換言すると、鉛直方向でなければ)、試験片90を保持するのに差し支えない。すなわち、この中心軸15の方向と鉛直方向とがなす角度のうち、90°以下である方の角度の大きさは、0°超かつ90°以下、望ましくは30°以上90°以下、さらに望ましくは45°以上90°以下、より望ましくは60°以上90°以下、最も望ましくは90°、すなわち水平方向である。
【0023】
試験片収容容器10からキャップ21を除いた状態を表す
図3に示すように、収容部材20の前方側の中心には、収容部材20に試験片90を投入するための投入口25が形成されている。
【0024】
試験片収容容器10において、収容部材20に収容される回転部材30を、
図7の前方斜視図及び
図8の後方斜視図で示す。回転部材30は、前方側に位置する円形の前板30Aと、前板30Aから試験片の長辺の長さL2よりも長い距離を隔てて後方側に位置する同径の円形の後板30Bとの間に複数、具体的には3個の移動部材31が配置された構造を有する。移動部材31は試験片の短辺91の長さYよりも長い距離を隔ててそれぞれ設けられている。前板30Aと後板30Bの直径は、収容部材20の円筒面22によって形成される円筒形の直径と同じであり、前板30Aの円の中心軸と後板30Bの円の中心軸が一致するように移動部材31によって固定されている。
【0025】
換言すると、前板30Aの中心軸及び後板30Bの中心軸は一致しており、回転部材30の回転軸15となる。後板30Bの円の中心からは後板30Bの中心軸に沿って後方に回転駆動軸36が突出している(
図8)。収容部材20の円筒面22に回転部材30の前板30Aの外周面と後板30Bの外周面が接触するように収容すると、円筒面22によって形成される円筒形の直径と前板30Aの直径および後板30Bの直径は同じなので、収容部材20の中心軸15と回転部材30の回転軸15は一致する。
【0026】
回転駆動軸36は、後述する回転駆動器3と接続され、回転駆動器3からの回転力が伝達されることで、
図7及び
図8に示した矢印の方向へ回転部材30全体が回転する。これにより、移動部材31は中心軸15と一致する回転軸15を中心に収容部材20の内部で回転し、これにより収容部材20の内部で試験片90を移動させる。すなわち、移動部材31は収容部材20とは別体に形成されるともに収容部材20に対して回転する。換言すれば、移動部材31は収容部材20の中心軸15から所定距離を保って中心軸15の周りを回るように構成されている。
【0027】
前板30Aには、前板30Aの円の中央に円形の開口が設けられており(
図8)、該開口と同じ外径の円筒が嵌められている(
図7)。円筒は前板30Aから前方に突出している。収容部材20に回転部材30が収容されると、収容部材20の投入口25と連結する。よって試験片収容容器10の投入口25に投入された試験片90は前板30Aと後板30Bの間に保持される。
【0028】
移動部材31は回転軸15の方向に沿って設けられた略板状の部材である。移動部材31は、前板30Aの内側の円形面と後板30Bの内側の円形面に回転軸15から離間して取り付けられている。移動部材31は回転部材30の外側の方向を向いた外周面と、回転軸15の方向を向いた内周面と、中心軸15と平行しており回転方向を向いた第1の側面と、中心軸15と平行しており回転方向と反対側の方向を向いた第2の側面とを備えている。外周面と内周面は回転軸15を中心とした曲面である。第1の側面と第2の側面は外周面と内周面とを接続する面であり、外周面から中心軸に向かう方向に展開している平面である。外周面と第1の側面との縁に沿って複数の摺動突起35が外周面に配設されている。摺動突起35は、収容部材20に回転部材30を収容したときに円筒面22に設けられた内周溝23に嵌る突起であり、回転部材30の外側に向かって鋭くなる底辺が四角形の錘台形状である。摺動突起35の回転方向側の面は回転軸15に向かって展開する平面となっており、移動部材31の第1の側面の一部を形成している。摺動突起35の回転方向側の面を含む第1の側面が移動部材31の先端縁32である。
【0029】
移動部材31の各々は、回転方向の先端部分に当たり、中心軸と平行な先端縁32を有する。この先端縁32から回転方向へ長手方向に所定の長さを有する直方体状の2つの押圧片33が少なくとも距離Bより長い所定の距離D(
図12参照)で並行して突出している。押圧片33の数は、2つに限定されず、回転中であっても試験片90を保持できればよく、1つ又は3つ以上でもよい。また、回転中であっても試験片90を保持できれば、押圧片33の長手方向の位置は特に限定されない。さらにこの押圧片の先端からは、外方へ、すなわち、円筒面22(
図5)に向かって直方体状の選別片34が突出している。また、移動部材31の外周面には、先端縁32及び後端縁32Aに沿ってそれぞれ、円筒面22(
図5)に向かって、複数の摺動突起35が一列に配設されている。移動部材31の外周面に設けられてる摺動突起35と、収容部材20の円筒面22に設けられている内周溝23(
図5)とは、互いに噛み合う凹凸構造として形成されている。収容部材20の中心軸15から所定距離を保って中心軸15の周りを回る移動部材31に押圧片33と選別片34はいずれも固定されている。そのため、押圧片33と選別片34も中心軸15から所定距離を保って中心軸15の周りを回る。
【0030】
図11は、
図1のC-C′断面図である。収容部材20の円筒面22は概ね断面円形の断面を呈しており、収容部材20と扉収容部27とを連絡する開口部24に設けられる扉部材40の内周面は収容部材20の円筒面22と面一の円弧状を呈している。また、3個の移動部材31は概ね円弧状の断面形状を有し、中心軸15に対して等配されている。なお、移動部材31は必ずしも等配されている必要はなく、その数も3個には限られないが、数に応じて回転部材30の一周につき保持できる試験片90の数が増え、試験片90を試験片収容容器10から取り出す速度が向上するため、複数設けることが好ましい。しかし、数が多いほど、前後の移動部材31の間隔が狭くなり、試験片90を保持できずに回転しまう確率が高くため、3個~5個であることが好ましい。さらに、移動部材31の先端側及び後端側の両方に設けられている摺動突起35は、円筒面22の内周溝23に嵌入し、この内周溝23に沿って図中の矢印で示す回転方向へ摺動する。なお、摺動突起35は2つ以上設けられていれば、凹凸で噛み合っていなくても移動部材31と円筒面22との間への試験片90の噛み込みが阻止できる。
【0031】
なお、図中に破線で示した中心線24Aは、開口部24を長手方向に沿って二等分する仮想的な線である。ここで、収容部材20の内部における移動部材31の到達する最上位置31Aに対し、この中心線24Aは、回転方向へ下降した位置にある。望ましくは、この最上位置31Aの回転角度を0°とすると、この中心線24Aは回転角度45°以上90°以下の位置、さらに望ましくは90°の位置にある。
【0032】
移動部材31は、収容部材20に収容されている試験片90を、収容部材20の内周面である円筒面22に沿って回転移動させる。扉部材40は、この試験片90を収容部材20の外部に排出するために、収容部材20の側面に開閉可能に設けられている。また、扉部材40はその閉鎖時には、収容部材20の内部と外部とを遮断している。扉収容部27は収容部材20の外側から扉部材40を覆っている。扉部材40は扉収容部27の内部で回転することで開閉可能となっている。
【0033】
排出口28は、収容部材20の外部、すなわち扉収容部27内に排出された試験片90をこの扉収容部27の外部(すなわち、試験片収容容器10の外部)に排出するために設けられている。排出口28は、扉収容部27内で回転する扉部材40によって外部に対して開閉可能となっている。すなわち、排出口28が閉鎖されているときには、扉収容部27の内部と外部とは遮断される。一方で、排出口28が開放されるときには、後述するように扉部材40が収容部材20の開口部24を閉鎖する。すなわち、本実施形態の試験片収容容器10では、扉部材40により収容部材20が閉鎖されている状態で、排出口28を開放可能に構成されている。たとえば、扉部材40により収容部材20が開放されている場合に排出口28をロックするとともに、扉部材40により収容部材20が閉鎖されている場合にロックが解除され、排出口28を開放可能とするような、物理的構造のロック機構や、電気的なロック機構によりこのような構成が可能となる。
【0034】
扉部材40の傾斜面44は、
図11に示す閉鎖時には収容部材20の内側面である円筒面22と面一となる凹面形状の内周面となっている。この傾斜面44の反対側の遮断部45は、
図11に示す閉鎖時には扉収容部の内部の円筒凹面に対応する円筒凸面形状を呈し、開口部24と排出口28との両方を閉鎖しているが、後述するように排出口28の開放時にはこの遮断部45は収容部材の内部を外部から遮断する。
【0035】
移動部材31の押圧片33及び選別片34と、円筒面22との位置関係を、
図12の拡大断面図で示す。すなわち、移動部材31の先端縁32において、円筒面22に最も近い位置(すなわち、摺動突起35の先端)と円筒面22との距離は、試験片90の厚さX(
図6C)を下回るよう設定されている。これによって、試験片90の、移動部材31と円筒面22との間への噛み込みが阻止されているとともに、移動部材31の回転に伴い、先端縁32が試験片90を回転方向に押すことができるようになっている。そして、選別片34において円筒面22に最も近い位置と円筒面22との距離Aは、試験片90の厚さX以上、かつ、Xの2倍未満となるよう設定されている。
【0036】
つまり、距離Aは選別片34と円筒面22との間には1枚の試験片90が入りこむことができるが、2枚以上の試験片が入ることができないような距離になっている。これによって、押圧片33と円筒面22との間に試験片90が2枚以上重なって同時に入り込むことが阻止されている。なお、試験片90の製造誤差を許容すること、および、試験片90の入り込みやすさの点から、距離Aは試験片90の厚さXの1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。また、上述のような試験片90における試薬パッド93はろ紙などを材料とするため、厚さXは押圧されることによって、Xより薄くなることがあるため、距離Aは試験片90の厚さXの1.8倍未満であることが好ましく、1.6倍未満であることがより好ましい。
【0037】
また、試験片90の短尺方向の長さY(
図6B)に対し、押圧片33において移動部材31の先端縁32から選別片34までの距離Bは、Y以上、かつ、Yの2倍未満となるよう設定されている。つまり、先端縁32及び選別片34で挟まれる押圧片33と円筒面22との間には、回転方向において1枚の試験片90が入るこむことができるが、2枚以上の試験片90が入ることができないような距離になっている。これによって、押圧片33と円筒面22との間に試験片90が2枚以上回転方向に並んで保持されることが阻止されている。なお、試験片90の製造誤差を許容すること、および、試験片90の入り込みやすさの点から、距離Bは試験片90の長さYの1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。また、試験片90が立ち上がってしまうと2枚以上の試験片が入り込むおそれがあるため、距離Bは試験片90の長さYの1.8倍未満であることが好ましく、1.6倍未満であることがより好ましい。
【0038】
さらに、選別片34において押圧片33から円筒面22へ突出している部分の長さCは、試験片90の厚さXの0.5倍以上、かつ、Xの1.5倍未満となるよう設定されている。つまり、先端縁32及び選別片34で挟まれる押圧片33と円筒面22との間に入り込んでいる1枚の試験片90を保持することができるが、2枚以上の試験片90を保持することができないような距離になっている。このような距離B及び長さCの条件によって、移動部材31(押圧片33)が2枚以上の試験片90を保持したまま回転していたとしても、押圧片33が最上位置31Aに達した直後(すなわち、鉛直下方のベクトルが少ない位置に達したとき)に、移動部材31から押圧片33側の試験片90のみが、選別片34の長さCの突出部分の内側で保持され、それ以外の試験片90は選別片34では保持できないため、落下するようになっている。なお、試験片90の厚さXの0.5倍以上、かつ、Xの1.0倍未満であれば、保持される1枚の試験片90以外は選別片34の長さCの突出部分の内側とは一切接触しないため、確実に落下できるようにすることができる点でより好ましい。
【0039】
また、試験片90の短尺方向の長さYに対し、先端縁32の回転方向における長さである距離E(
図12参照)は、幅を有し、Y未満であるように設定されており、試験片90の長さYの0.5倍未満であることが好ましい。このような距離Eの条件によって、最上位置31Aに達した直後に、選別片34と円筒面22の間に保持された試験片が落下できるようになる。なお、距離Eは、距離Dから距離Bを減じた距離とほぼ同じ長さである。
【0040】
試験片排出機構1の機能ブロック図を
図13に示す。試験片排出機構1は、たとえば尿検体のような生体試料の物理的性状又は特定の成分の濃度若しくは有無を、特定の試薬が塗布された試験片90によって測定する測定機器として構成される。
【0041】
制御部100は、この試験片排出機構1と電気的に接続して各部を制御するものである。制御部100は、後述するハードウェア構成によって、近接検知器2、回転駆動器3、開閉操作器4及び測定部5を制御する。試験片収容容器10が試験片排出機構1に装着されると、先述したように回転駆動器3が回転部材30の回転駆動軸36(
図8)に接続され、また、開閉操作器4が扉部材40の扉駆動軸46(
図4)に接続される。近接検知器2は、たとえば光学センサ又は接近センサなどで構成され、収容部材20の検知窓26(
図11)を通じて移動部材31の扉部材40への近接を検知する。なお、近接検知器2は、移動部材31に保持された試験片90の近接を検知するものであってもよい。制御部100は、近接検知器2での検知に応じて、回転駆動器3を駆動させて回転部材30(移動部材31)を回転させ、また停止させる。制御部100はまた、近接検知器2での検知に応じて、開閉操作器4を駆動させて扉部材40を開閉させる。また制御部100は、測定機器としての種々の部位や装置で構成される測定部5も制御する。
【0042】
制御部100は、
図14のハードウェア構成に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103及びストレージ104を有する。各構成は、バス109を介して相互に通信可能に接続されている。
【0043】
CPU101は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU101は、ROM102又はストレージ104からプログラムを読み出し、RAM103を作業領域としてプログラムを実行する。CPU101は、ROM102又はストレージ104に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0044】
ROM102は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ104は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本態様では、ROM102又はストレージ104には、測定や判定に関するプログラムや各種データが格納されている。また、ストレージ104には、測定データを保存しておくこともできる。
【0045】
制御部100は、上記ハードウェア構成のうちCPU101が、前記したプログラムを実行することによって、近接検知器2、回転駆動器3、開閉操作器4及び測定部5の制御を実行する。
【0046】
以上の構成によって、制御部100の制御により、近接検知器2が移動部材31の扉部材40への近接を検知すると、回転駆動器3は移動部材31の回転を停止させるとともに、開閉操作器4が扉部材40を開放させつつ排出口28を閉鎖させることができる。また、制御部100は、扉部材40の閉鎖時に排出口28を開放させるよう制御することもできる。さらに、扉部材40を再び閉鎖させてから、移動部材31の移動を再開させるよう制御することもできる。この開閉操作器4の作動は、近接検知器2がこの近接を検知することにより作動するように制御部100が制御することもできる。さらに制御部100は、近接検知器2がこの近接を検知することにより回転駆動器3による回転の停止を制御するとともに、開閉操作器4が開口部24を閉鎖すると回転駆動器3による回転の再開を制御することもできる。
【0047】
次に、本実施形態の試験片収容容器10による試験片90の取り出しを、
図15A(又は
図15B)のフローチャートと、
図16A~
図16Gの断面図を参照しつつ説明する。なお、
図16A~
図16Gの断面図においては、1つの移動部材31に着目した動作を説明するが、他の2つの移動部材31における動作も当然に同時進行で実行されている。
【0048】
まず、試験片排出機構1の電源が投入されると、S100に示す段階において機器の初期設定が実行される。この初期設定には、制御部100が回転駆動器3を制御することで、回転部材30を回転の初期位置へセットすることも含まれる。
【0049】
そして、測定の準備が完了したら、制御部100は、S110に示す段階において、回転駆動器3を駆動させて回転部材30の回転を開始させる。この制御部100は、S120に示す段階で、近接検知器2が検知窓26を通じて移動部材31を検知するまで、回転部材30の回転を続行させる。なお、近接検知器2を備えずに、たとえば回転駆動器3としてステップモータを採用するような構成の場合は、
図15BのフローチャートのS120′に示す段階で、所定のステップ数(たとえば、回転停止を経て回転を再開してから、次に移動部材31が開口部24に近接するまでに要するステップ数)が経過するまで回転部材30の回転を続行させることができる。
【0050】
この間、
図16Aにおいて、収容部材20の内部空間の下方には複数枚の試験片90が滞留して一番下に位置している。この移動部材31の押圧片33はこの滞留している複数枚の試験片90を回転方向に押圧して行く。一方、閉鎖状態にある扉部材40は、傾斜面44によって開口部24を閉鎖しているとともに、遮断部45によって排出口28を閉鎖している。
【0051】
移動部材31は試験片90を保持しつつ収容部材の内部で回転による移動を続け、
図16Bに示すように鉛直方向の最下位置を過ぎた位置に来ると、最も外側に位置していた試験片90が1枚だけ、選別片34と円筒面22との間の、幅Aの間隙(
図12参照)をすり抜けて、先端縁32に長辺92を接触させる位置まで入り込む。なお、もう1枚の試験片90も、選別片34と円筒面22との間の間隙に一部だけ入り込むことがある。その他の試験片90は、押圧片33によって上方へ持ち上げられる。
【0052】
移動部材31はさらに回転を続け、
図16Cに示すように押圧片33が最上位置31Aに達すると、選別片34と円筒面22との間の間隙に入り込めなかった試験片90は全て下方へ落下する。そしてさらに
図16Dに示す位置まで移動部材31が回転すると、選別片34と円筒面22との間の間隙に一部だけ入り込んでいた試験片90も遂に落下するが、先端縁32に接するまで入り込んでいた試験片90は、押圧片33と選別片34とにより保持され落下を免れる。
【0053】
すなわち、選別片34の円筒面22に最も近い位置と円筒面22との距離AがX≦A<2Xであることによって、移動部材31を回転することで最上位置31Aから少し回転した位置では一枚の試験片90のみを保持した状態となっている。なお、押圧片33の先端縁32から選別片34までの距離BがY≦B<2Yであり、選別片34の押圧片33から円筒面22へ突出している部分の長さCが0.5X≦C<1.5Xであることによって、移動部材31は、最上位置31Aから少し回転した位置で、より確実に試験片90のみを保持した状態とすることができる。
【0054】
そして、
図16Eに示す位置まで移動部材31が回転してくると、S120に示す段階において近接検知器2が移動部材31の近接を検知し(又はS120′に示す段階において制御部100が所定のステップ数の経過を検知し)、S130に示す段階において制御部100は回転駆動器3の駆動を停止させ、移動部材31の回転は停止する。そして次にS140に示す段階において制御部100は、開閉操作器4を駆動させて、扉部材40を
図16Eに示す状態にまで回転させて開放する。
【0055】
すなわち、この扉部材40の回転で、切欠部42が押圧片33の位置に達すると同時に、弾発部43の傾斜面44が、押圧片33と選別片34とで保持されていた試験片90に対して衝撃を付与して、収容部材20から外側に排出させる。このとき、押圧片33又は試験片90に対して傾斜面44を衝突させてもいい。このとき、排出されて落下する試験片90は、扉部材40の傾斜面44により収容部材20の外部へ誘導される。この状態で、扉部材40は、収容部材20を開放しつつ、排出口28を閉鎖している。
【0056】
扉部材40がさらに回転して
図16Fに示す状態に至ると、扉部材40は遮断部45によって再び開口部24と排出口28とを閉鎖する。そして、排出された試験片90は傾斜面44に沿って落下する。
【0057】
扉部材40がさらに回転して
図16Gに示す状態に至ると、遮断部45は開口部24を閉鎖しつつ、排出口28を開放する。排出された試験片90は傾斜面44に沿って開放した排出口28へ誘導され、排出口28から扉収容部27の外に排出された試験片90は図示しない搬送手段によって測定部5へ移動していき、そこで所定の測定に供される。
【0058】
なお、
図17に示す本実施形態の変形例のように、排出口28を開閉する開閉部材50を設けることとしてもよい。この開閉部材50は、
図13のブロック図における開閉操作器4で開閉させることができる。
【0059】
上記の実施形態では、扉部材40は常に収容部材20の開口部24と扉収容部27の排出口28とのうち少なくとも一方を閉鎖している。換言すると、開口部24と排出口28とが同時に開放していることがないので、収容部材20に収容されている試験片90を常に外気から遮断することができる。それにより、外気の湿気等から試験片90の変質を防ぐことができる。
【0060】
上記に加えて、選別片34と円筒面22との間の間隙から試験片90を1枚だけ通過させるとともに、通過できなかった試験片90は、移動部材31が回転している間に下向きになったときに落下する。これによって、移動部材31が収容部材20の中で回転するだけで、通過できなかった試験片90に押圧によるストレスを過度に与えることなく、自ずと1枚の試験片90のみが選別片34と押圧片33とで把持され、開口部24から取り出すことができる。
【0061】
(2)その他
上記の実施形態は、円筒形状の収容部材20の内部で移動部材31が回転移動する態様であったが、本発明はそれに限定されない。たとえば、収容部材20が箱形形状であって、その内部を、ベルト状の移動部材31が蛇腹状に屈曲して移動するような態様であってもよい。
【0062】
また、上記の実施形態は、扉部材40が扉収容部27の内部で回転することで開閉可能となっている態様であったが、本発明はそれに限定されない。たとえば、扉部材40がドアのように開閉するような態様であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 試験片排出機構 2 近接検知器 3 回転駆動器 4 開閉操作器
5 測定部
10 試験片収容容器 15 回転軸(中心軸)
20 収容部材 20A 駆動軸収容部 20B 軸受 20C 接続部
21 キャップ 22 円筒面 23 内周溝 24 開口部 24A 中心線
25 投入口 26 検知窓 27 扉収容部 28 排出口
30 回転部材 30A 前板 30B 後板 31 移動部材
31A 最上位置 32 先端縁 32A 後端縁 33 押圧片
34 選別片 35 摺動突起 36 回転駆動軸
40 扉部材 40B 軸受 41 扉軸 42 切欠部 43 弾発部
44 傾斜面 45 遮断部 46 扉駆動軸
50 開閉部材
90 試験片 91 短辺 92 長辺 93 試薬パッド 94 基板
95 把持部 96 試薬パッド配置領域
100 制御部 101 CPU 102 ROM 103 RAM
104 ストレージ 109 バス